JP2004072506A - 送信装置、受信装置及び送信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせた場合に、周波数利用効率を低下させることなく受信特性を向上させること。
【解決手段】複数の送信データに関してはM−ary/SSによる系列選択部105A〜105Dによって系列変換処理を施し、複数の既知信号(パイロット信号)に関してはM−ary/SSによる系列変換は行わずに、拡散部104A〜104Dによって互いに直交関係にある拡散符号を用いた拡散処理を施す。そしてM−ary/SS後の各送信データに拡散処理後の既知信号を時分割多重して複数のアンテナAN11〜AN14から送信する。これにより、M−ary/SS処理した送信データを複数のアンテナAN11〜AN14から送信し、複数のアンテナで受信した場合でも(すなわちMIMO通信を行った場合でも)、各アンテナから送信されたM−ary/SS処理後の送信データをチップ単位で高精度で分離できるようになる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の送信データに関してはM−ary/SSによる系列選択部105A〜105Dによって系列変換処理を施し、複数の既知信号(パイロット信号)に関してはM−ary/SSによる系列変換は行わずに、拡散部104A〜104Dによって互いに直交関係にある拡散符号を用いた拡散処理を施す。そしてM−ary/SS後の各送信データに拡散処理後の既知信号を時分割多重して複数のアンテナAN11〜AN14から送信する。これにより、M−ary/SS処理した送信データを複数のアンテナAN11〜AN14から送信し、複数のアンテナで受信した場合でも(すなわちMIMO通信を行った場合でも)、各アンテナから送信されたM−ary/SS処理後の送信データをチップ単位で高精度で分離できるようになる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル通信システムに用いられる送信装置、受信装置及び送信方法に関し、特にM−ary/SS方式による無線通信を行う場合に適用し得る。
【0002】
【従来の技術】
近年、IMT−2000の標準方式として決定したW−CDMA(Wide band Code Division Multiple Access)方式のように、直接拡散によるCDMA(DS−CDMA)が注目されている。一方、一極でいくつかの系列を用意しておき、数ビットのデータに応じてその中の一つを送信するM−ary/SS方式によるCDMAが、DS−CDMAに比べて周波数利用効率高いことで知られている。
【0003】
このM−ary/SS方式を用いた送信装置と受信装置の概略構成を、図12及び図13に示す。送信装置10では、図12に示すように、送信データを系列選択部11に入力する。系列選択部11には、mビットの2値データに対応した2m=M個の異なった系列(系列1〜系列M)が用意されており、入力された送信データに応じてその中の一つを選択する。そして選択された系列データがアンテナ12から送信される。
【0004】
受信装置20には、図13に示すように、相関部22が設けられている。相関部22には、各系列(系列1〜系列M)に対応した相関器23−1〜23−Mが設けられており、アンテナ21で受信された信号を全ての相関器23−1〜23−Mに入力されることにより、M個の全ての系列との相関をとる。各相関器23−1〜23−Mにより得られた相関値は、最尤系列推定部(MLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation))24に送出され、MLSE24により最も相関値の高いと推定されたデータが受信データとして出力される。
【0005】
このようにM−ary/SS方式を用いれば、同一周波数帯域において複数の系列(符号)を割り当てることができるので、系列数M=2mにおいて、M≫2とすることによって、同一周波数特性帯域を持ちながらmビットのデータを伝送できる。この結果、周波数利用効率を向上させることができる。
【0006】
また近年、画像等の大容量のデータを複数のユーザに送信するために、一段と高速なデータ伝送が求められている。例えばW−CDMAの高速パケット通信の標準規格として、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)が検討されている。その中でも高速伝送のために、MIMO(Multi−Input/ Multi−Output)通信が注目されている。
【0007】
MIMO通信では送信側の複数のアンテナからそれぞれ異なる送信データを送信し、受信側では伝搬路上で混ざり合った複数の送信データを伝搬路推定値を用いて元の送信データに分離するようになされている。実際上、MIMO通信では、送信装置から送信された信号を、送信装置の数と同数又はそれよりも多いアンテナ数で受信し、当該各アンテナによって受信された信号にそれぞれ挿入されているパイロット信号に基づいてそれぞれのアンテナごとに伝搬路推定を行う。この推定された伝搬路特性Hは、例えば送信側アンテナが2つであり、受信アンテナが2つである場合には、2×2の行列によって表わされる。
【0008】
そして、MIMO通信では、このようにして求められた伝搬路特性Hの逆行列と、各受信アンテナで得られた受信信号とに基づいて、各送信アンテナから送信された送信信号を求める。
【0009】
図14を用いて、送信機30と受信機40のアンテナ数がそれぞれ2つの場合のMIMO通信の原理を説明する。ここで送信機30の各アンテナAN1、AN2から送信される信号をそれぞれTX1、TX2とし、受信機40の各アンテナAN3、AN4により受信される信号をそれぞれRX1、RX2とする。このとき、受信信号RX1、RX2はそれぞれ次式で表すことができる。
【0010】
RX1 = ATX1 + BTX2 ……… (1)
RX2 = CTX1 + DTX2 ……… (2)
但し、(1)式、(2)式において、Aは送信アンテナAN1と受信アンテナAN3との間の伝搬路特性、Bは送信アンテナAN2と受信アンテナAN3との間の伝搬路特性、Cは送信アンテナAN1と受信アンテナAN4との間の伝搬路特性、Aは送信アンテナAN2と受信アンテナAN4との間の伝搬路特性を表すものとする。
【0011】
ここで受信信号から、上述した送信信号TX1とTX2を復調するためには、4つの伝搬路特性A、B、C、Dを推定する必要がある。このため送信機30では、送信信号に伝搬路推定用の既知信号(例えばパイロット信号)を挿入した信号を送信する。受信機40では、この既知信号に基づいて伝搬路特性を求める。
【0012】
送信機30及び受信機40について具体的に説明する。送信機30は送信データをシリアルパラレル変換部(S/P)31により分流する。分流されたデータは変調部32、33により変調された後、パイロット信号挿入部34、35によって所定位置にパイロット信号が挿入される。パイロット信号が挿入された信号は、拡散部36、37を介してアンテナAN1、AN2から送信される。
【0013】
受信機40はアンテナAN1、AN2で受信した信号を、逆拡散部41、42において拡散部36、37で用いた拡散符号を用いて逆拡散し、逆拡散後の信号を分離演算部43に送出すると共にチャネル推定部44に送出する。チャネル推定部44は、受信信号に含まれる既知信号を用いて上記伝搬路特性A、B、C、Dを求める。
【0014】
分離演算部43では、推定した4つの伝搬路特性A〜Dを用いて、以下の式で表す処理を行うことにより、各アンテナAN1、AN2から送信された信号TX1、TX2を元のサブストリームに分離する。
【0015】
実際上、分離演算部43では、(3)式及び(4)式に示す逆行列演算のみによってサブストリームを分離するZF(Zero−Forcing)演算や誤差を最小にするように分離するMMSE(Minimum Mean Square Error)演算などが使用される。分離演算部43により求められた、各アンテナAN1、AN2から送信されたデータはパラレルシリアル変換部(P/S)45及び復調部46を介して受信データとされる。
【0016】
このようにMIMO通信においては、受信機により同一時間に同一周波数で送られた信号を分離することができるので、高速伝送が可能となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ここで上述したM−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせて用いれば、さらなる高速伝送を行うことができると考えられる。しかしながら、M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせようとすると、以下のような不都合が生じ、実現が困難となる。
【0018】
つまり、M−ary/SS通信での伝送速度を高速化するために、MIMO技術を導入すると、単純にDS−CDMAとMIMO技術とを組み合わせた場合と異なり、受信側において、逆拡散後にサブストリーム(送信側の各アンテナから送信されたデータ)に分離をする方法を適用できない。
【0019】
なぜなら、送信側で異なる送信データに対してM−ary/SS処理と拡散処理を施して異なる送信アンテナから送信した場合、受信側でサブストリームに分離する前に逆拡散を行うと、複数のアンテナから送信された各データが混ざり合ってしまい、元の複数データを復元できなくなるからである。従って、逆拡散前のチップ単位で受信信号を分離しなければならなくなる。この結果、分離の際のSNRが低くなってしまい、受信品質が劣化する。
【0020】
またパイロット信号は、一般に、DS−CDMAとMIMO技術を組み合わせる場合には、パイロット信号自体を互いに直交した信号としているが、M−ary/SSによる拡散が行われると、各アンテナから送信されるパイロット信号は互いに直交しなくなってしまう。この結果、受信側ではパイロット信号に基づいて正確な伝搬路推定ができなくなってしまうので、各アンテナから送信されたデータを精度良く復元できなくなってしまい、受信品質が劣化する。
【0021】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせた場合に、周波数利用効率を低下させることなく受信特性を向上させることができる送信装置、受信装置及び送信方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明は、以下の構成を採る。
【0023】
本発明の送信装置は、送信データを単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列に変換するM−ary処理手段と、複数の既知信号それぞれを拡散する拡散手段と、データ変換された送信データ及び拡散された既知信号を送信する複数のアンテナとを具備する構成を採る。
【0024】
この構成によれば、送信データはM−ary処理手段によりM−ary/SS処理が施されて複数のアンテナから送信されるので、周波数利用効率が良くかつ高速のデータ送信が行われる。一方、各アンテナから送信される既知信号は、M−ary/SS処理は施されず拡散処理が施されるので、受信側では各送信アンテナから送信された逆拡散後の既知信号に基づいて高精度の伝搬路推定を行うことができる。そしてこの高精度の伝搬路推定結果に基づいて、M−ary/SS処理された送信データを分離した後、M−ary/SS処理と逆のデータ変換処理を行えば、各送信アンテナから送信された送信データを高精度で復元できる。かくして、M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせた場合に、周波数利用効率を低下させることなく受信特性を向上させることができるようになる。
【0025】
本発明の送信装置は、M−ary処理手段が、送信データについて、単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列を選択するデータ系列選択部と、当該データ系列選択部からの出力データを複数のアンテナに対応した複数のサブストリームに分流するシリアルパラレル変換部とを具備する構成を採る。
【0026】
この構成によれば、データ系列選択部によって送信データに対して一括してM−ary/SS処理を行った後、複数のアンテナに対応した複数のサブストリームに分流するので、1つのデータ系列選択部で複数のアンテナに対応したM−ary/SS信号を形成することができるようになる。この結果、構成を簡易化することができる。
【0027】
本発明の送信装置は、拡散された既知信号を複数のアンテナから同一時間に送信すると共に、データ変換された送信データを複数のアンテナからから同一時間に送信する構成を採る。
【0028】
この構成によれば、既知信号が複数のアンテナから同時に送信されるので、受信側では同一時間での伝搬路変動を受けた既知信号に基づいて、各アンテナ間での伝搬路特性を求めることができる。また既知信号は拡散されているので、複数のアンテナから同一時間に送信されても受信側で逆拡散により各送信アンテナから送信された既知信号を高精度で復元することができる。この結果、M−ary処理された送信データの分離精度を一段と向上させることができるようになる。
【0029】
本発明の受信装置は、送信データを単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列に変換するM−ary処理手段と、複数の既知信号それぞれを拡散する拡散手段と、データ変換された送信データ及び拡散された既知信号を送信する複数のアンテナとを有する送信装置から送信された送信信号を受信する受信装置であって、複数の受信アンテナと、各受信アンテナにより受信された拡散された既知信号を逆拡散する逆拡散手段と、逆拡散後の既知信号に基づいて送信側に設けられた複数のアンテナと各受信アンテナ間の伝搬路特性を推定する伝搬路推定手段と、当該伝搬路推定値を用いて受信アンテナにより受信された受信信号に対して分離演算を行い、送信側の各アンテナから送信された送信信号を求める分離演算手段と、分離された各送信信号と送信装置で用いたデータ系列との相関値に基づいてデータ系列に対応した単位ビット当たりの送信データを復元する相関手段と、を具備する構成を採る。
【0030】
この構成によれば、既知信号の逆拡散結果に基づいて伝搬路特性を推定し、この推定結果に基づいて、受信信号中で混ざり合った各送信アンテナからの信号を分離し、分離された信号に対して相関演算を行ってM−ary処理前の送信データを復元するので、複数のアンテナからM−ary処理したデータを送信した場合でも、伝搬路上で混ざり合ったデータを良好に分離して復調できるようになる。
【0031】
本発明の受信装置は、送信データを単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列に変換するM−ary処理手段と、複数の既知信号それぞれを拡散する拡散手段と、データ変換された送信データ及び拡散された既知信号を送信する複数のアンテナとを有すると共に、M−ary処理手段が、送信データについて、単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列を選択するデータ系列選択部と、当該データ系列選択部からの出力データを複数のアンテナに対応した複数のサブストリームに分流するシリアルパラレル変換部とを有する送信装置から送信された送信信号を受信する受信装置であって、複数の受信アンテナと、各受信アンテナにより受信された拡散された既知信号を逆拡散する逆拡散手段と、逆拡散後の既知信号に基づいて送信側に設けられた複数のアンテナと各受信アンテナ間の伝搬路特性を推定する伝搬路推定手段と、当該伝搬路推定値を用いて受信アンテナにより受信された受信信号に対して分離演算を行い、送信側の各アンテナから送信された送信信号を求める分離演算手段と、分離された送信信号をパラレルシリアル変換するパラレルシリアル変換部と、得られたシリアル送信信号と送信装置で用いたデータ系列との相関値に基づいてデータ系列に対応した単位ビット当たりの送信データを復元する相関手段と、を具備する構成を採る。
【0032】
この構成によれば、分離された送信信号をパラレルシリアル変換して直列のストリームにしてから相関手段によって送信装置でのM−ary処理と逆の処理を行うので、分離された複数のサブストリームに対して1つの相関手段でM−ary処理と逆の処理を行うことができるようになる。この結果、構成を簡易化することができる。
【0033】
本発明の受信装置は、上記構成に加えて、分離演算により得られた各送信アンテナから送信された信号に対応する受信信号の信号レベルを順位付けし、当該信号レベルの高い信号から順に、各受信アンテナにより受信された信号から前記分離された受信信号に伝搬路推定値を加えた信号を減算し、分離演算手段が、減算後の信号を用いて、順次信号レベルの高い信号から順に分離演算を行う構成を採る。
【0034】
この構成によれば、分離演算手段に入力される減算後の信号には現在分離対象となっているサブストリーム(各送信アンテナから送信された信号に対応する受信信号)よりも受信パワーの大きいサブストリームは存在していないので、複数のサブストリームが混ざり合った信号の中から最もパワーの大きい信号を分離できる。この結果、各サブストリームの分離精度を向上させることができる。
【0035】
本発明の送信方法は、各送信アンテナから送信する複数の送信データについてM−ary方式によるデータ変換処理を施すと共に、各送信アンテナから送信する複数の既知信号についてはM−ary方式によるデータ変換処理を行わずに、互いに直交関係にある拡散符号を用いて拡散処理を施し、データ変換処理後の送信データ及び拡散処理後の既知信号を複数のアンテナから送信するようにする。
【0036】
この方法によれば、送信データはM−ary/SS処理が施されて複数のアンテナから送信されるので、周波数利用効率が良くかつ高速のデータ送信が行われる。一方、各アンテナから送信される既知信号は、M−ary処理は施されず拡散処理が施されるので、受信側では各送信アンテナから送信された逆拡散後の既知信号に基づいて高精度の伝搬路推定を行うことができる。そしてこの高精度の伝搬路推定結果に基づいて、M−ary処理された送信データを分離した後、M−ary処理と逆のデータ変換処理を行えば、各送信アンテナから送信された送信データを高精度で復元できる。かくして、M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせた場合に、周波数利用効率を低下させることなく受信特性を向上させることができるようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、各送信アンテナから送信する複数の送信データに関してはM−ary/SSによるデータ変換処理を施し、複数の既知信号(パイロット信号)に関してはM−ary/SSによるデータ変換は行わずに、互いに直交関係にある拡散符号を用いた拡散処理を施し、それぞれを複数のアンテナから送信するようにしたことである。
【0038】
これにより受信側では、逆拡散後の既知信号に基づいて高精度の伝搬路推定を行うことができる。そしてこの高精度の伝搬路推定結果を用いてM−ary/SS処理された送信データをサブストリームに分離し、分離したサブストリーム毎にM−ary/SSに対応したデータ変換処理を施す。これにより、チップ単位でサブストリームに分離する際でも、各サブストリームを高精度で分離できるので、各送信データを高精度で復元できるようになる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1に送信装置の構成を示す。送信装置100は、M−ary/SS技術とMIMO技術とを組み合わせて、複数のアンテナからそれぞれ異なるデータを送信することにより、周波数利用効率の良い高速なデータ伝送を行うことができるようになされている。この実施の形態の場合には、4つのアンテナAN11〜AN14を用いて4つの異なるデータを送信するようになっている。
【0041】
送信装置100は、送信データをシリアルパラレル変換部(S/P)101によりアンテナ数と同じ数のデータに直並列変換して各系列選択部105A、105B、105C、105Dに入力させる。系列選択部105A〜105Dは、入力データに対してM−ary/SSに準じたデータ変換処理を施す。具体的には、各系列選択部105A〜105Dには、図12に示すように、mビットの2値データに対応した2m=M個の異なった系列(系列1〜系列M)が用意されており、入力された送信データに応じてその中の一つが選択して出力される。系列選択部105A〜105Dの出力は変調部106A〜106Dにより例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等の変調処理が施される。
【0042】
一方、送信装置100には、アンテナ数分のパイロット信号生成部102A〜102Dが設けられており、このパイロット信号生成部102A〜102Dにより生成されたパイロット信号は変調部103A〜103Dにより例えばBPSK(Binariphase Phase Shift Keying)等の変調処理が施される。変調処理後のパイロット信号は拡散部104A〜104Dにおいて所定の拡散符号を用いて拡散処理される。ここで各拡散部104A〜104Dで用いる拡散符号としては、互いに直交関係にあるもの(相関が0又はそれに近いもの)が用いられるようになっている。
【0043】
また送信装置100は各アンテナAN11〜AN14に接続されたスイッチSW1〜SW4を有し、各スイッチSW1〜SW4は他のスイッチSW1〜SW4と同期して、あるスイッチSW1〜SW4が端子A側に接続されるときには他のスイッチSW1〜SW4も端子A側に接続され、同様にあるスイッチSW1〜SW4が端子B側に接続されるときには他のスイッチSW1〜SW4も端子B側に接続されるようになっている。これにより、ある期間は全てのアンテナAN11〜AN14から互いに直交する拡散符号により拡散されたパイロット信号が送信され、他の期間は全てのアンテナAN11〜AN14からM−ary/SS方式によりデータ変換された送信データが送信されるようになる。
【0044】
図2に、送信装置100により形成される送信信号のフレーム構成を示す。この送信フレームは各アンテナAN11〜AN14から送信されるものである。但し、送信フレームの先頭に付加される同期用信号(SYNC)は、いずれか一つのアンテナAN11〜AN14から送信されるフレームに付加するようにすればよい。この同期信号SYNCは例えばパイロット信号生成部102A〜102Dにより形成するようにしてもよく、又は図示しない同期信号生成部を設けてフレームの先頭に付加するようにしてもよい。
【0045】
図3に、送信装置100から送信された信号を受信復調する受信装置200の構成を示す。受信装置200は同期部207によって、図2に示すフレームの先頭に付加された同期信号SYNCを検出し、各アンテナAN21〜AN24に接続されたスイッチSW21〜SW24の切り換えタイミングを制御する。すなわち同期部207は同期信号SYNCを検出すると、先ず全てのスイッチSW21〜SW24を端子A側に接続し、続いて端子B側に接続する。そしてこの接続処理をフレームの期間中繰り返す。ここで端子A側に接続している時間及び端子B側に接続している時間は、送信装置100との間で予め決められている。これにより、各アンテナAN21〜AN24でパイロット信号を受信している間は、全てのスイッチSW21〜SW24が端子A側に接続され、データを受信している間は、全てのスイッチSW21〜SW24が端子B側に接続されるようになる。
【0046】
逆拡散部201A〜201Dは、端子Aから入力されたパイロット信号に対して送信側と同じ拡散符号を用いて逆拡散処理を施し、逆拡散後の信号をチャネル推定部203に送出する。チャネル推定部203では、逆拡散後のパイロット信号を用いて各アンテナAN11〜AN14、AN21〜AN24間での伝搬路特性を求める。因みに、この実施の形態の場合には、送信側及び受信側共に4つのアンテナを用いているので、4×4=16個の伝搬路特性を推定することになる。
【0047】
分離演算部202には、4つのアンテナAN21〜AN24で受信されたM−ary/SS方式でデータ変換されている送信データが入力される。ここで各アンテナAN21〜AN24からスイッチSW21〜SW24を介して入力されるデータは、送信側の4つのアンテナAN11〜AN14から送信されたデータが混ざり合ったものとなっているので、分離演算部202はチャネル推定部203で推定された伝搬路特性を用いてこれら4つのデータを元のサブストリームに分離する。
【0048】
この際、分離演算部202では、既知の技術である逆行列演算を用いて互いに混ざり合ったデータを4つのサブストリームに分離する。この実施の形態の場合には、16個の伝搬路特性からなる4行×4列の逆行列を計算するようになる。加えて、分離演算部202では、伝搬路で合成されたサブストリームを分離するためにZF(Zero−Forcing)演算やMMSE(Minimum Mean Square Error)演算を行うようになっている。すなわち既知の技術であるV−BLASTと呼ばれる疑似逆行列を用いた処理を行うことで、同一時間に同一周波数で送られた信号を分離するようになっている。
【0049】
分離演算部202によって分離されたサブストリームは、各相関部204A〜204Dに送出される。各相関部204A〜204Dは、図13に示した相関部22と同様の構成でなる。すなわち、各系列(系列1〜系列M)に対応した相関器1〜相関器Mと最尤系列推定部(MLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation))とが設けられており、入力されたサブストリームを全ての相関器に入力することにより、M個の全ての系列との相関をとる。各相関器により得られた相関値は、MLSEにより最も相関値の高いと推定されたデータが選択されて出力される。
【0050】
各相関部204A〜204Dから出力されたデータは、続くパラレルシリアル変換部(P/S)205によって直列変換されて、復調部206に出力され、復調部206によって復調処理が施されて受信データとされる。
【0051】
次にこの実施の形態における送信装置100及び受信装置200の動作について、図4及び図5を用いて説明する。送信装置100は、図4に示すように、ステップS10で送信処理を開始すると、ステップS11−S12−S13において送信データについてM−ary/SS処理を行うと共に、これに並列してステップS14−S15−S16においてパイロット信号についての拡散処理を行う。
【0052】
つまり、送信データについては、先ずステップS11でシリアルパラレル変換部(S/P)101によりアンテナAN11〜AN14毎のサブストリームに分け、続くステップS12で系列選択部105A〜105Dにより各データに応じた系列を選択する。そして続くステップS13で各系列に対して変調処理を行う。
【0053】
一方、パイロット信号については、先ずステップS14でパイロット信号生成部102A〜102DによりアンテナAN11〜AN14毎に直交するパイロット信号を生成し、続くステップS15でパイロット信号を変調する。そして続くステップS16で各拡散部104A〜104Dにより互いに直交する拡散符号を用いて変調後のパイロット信号を拡散処理する。
【0054】
このようにして得られたM−ary/SS処理後のサブストリームの送信データとこれに対応して形成された拡散処理後のパイロット信号は、ステップS17において、スイッチSW1〜SW4を用いて時分割多重されて各アンテナAN11〜AN14から送信される。
【0055】
受信装置200は、図5に示すように、ステップS20で受信処理を開始すると、ステップS21でアンテナAN21〜AN24毎に信号を受信し、続くステップS22でスイッチSW21〜SW24によりパイロット信号とデータとを分離する。ここでパイロット信号とデータは時分割多重されているので、簡単に分離することができる。
【0056】
ステップS23では各逆拡散部201A〜201Dにより各パイロット信号を逆拡散し、続くステップS24ではチャネル推定部203において逆拡散後のパイロット信号を用いて受信アンテナAN21〜AN24毎に、送信アンテナAN11〜AN14の数分(すなわち全てのアンテナ間)の伝搬路特性を推定する。ステップS25では、分離演算部202において、伝搬路推定値を用いて例えばV−BLASTによる方法により、伝搬路上で混ざり合った信号を各送信アンテナAN11〜AN14から送信されたデータに分離する。
【0057】
ステップS26では、分離した各サブストリームについて、各相関部204A〜204Dにより系列の相関をとると共に最尤推定を行うことにより、M−ary/SS処理前の送信データを復元する。そしてステップS27においてパラレルシリアル変換部(P/S)205においてシリアルデータに変換し、ステップS28において復調処理を施すことにより、受信データを得る。
【0058】
以上の構成によれば、複数の送信データに関してはM−ary/SSによる系列変換処理を施し、複数の既知信号(パイロット信号)に関してはM−ary/SSによる系列変換は行わずに、互いに直交関係にある拡散符号を用いた拡散処理を施し、M−ary/SS後の各送信データに拡散処理後の既知信号を時分割多重して複数のアンテナから送信するようにしたことにより、M−ary/SS処理した送信データを複数のアンテナから送信し、複数のアンテナで受信した場合でも(すなわちMIMO通信を行った場合でも)、各アンテナから送信されたM−ary/SS処理後の送信データをチップ単位で高精度で分離できるようになる。この結果、各アンテナから送信された送信データを高精度で復元できるようになるので、受信品質の劣化を抑制して、高速伝送を実現することができるようになる。
【0059】
(実施の形態2)
図1との対応部分に同一符号を付して示す図6において、この実施の形態の送信装置300は、送信データをシリアルパラレル変換部101により各アンテナAN11〜AN14のデータに分流する前に、系列選択部301により一括してM−ary/SS処理を施すようになされている。これにより、実施の形態1の送信装置100がアンテナ数分の系列選択部105A〜105Dを必要とするのと比較して、系列選択部301が一つで済むので、この分だけ構成を簡単化することができる。
【0060】
具体的には、系列選択部301は、図12の系列選択部11と同様の構成でなり、送信データに対してM−ary/SS処理を施す。系列変換された送信データは、シリアルパラレル変換部101によりアンテナAN11〜AN14に対応するデータに分流され、続く変調部106A〜106Dを介して接続端子Bに供給される。パイロット信号については、実施の形態1と同様の処理が施される。すなわち、各アンテナAN11〜AN14に対応して、変調処理及び拡散処理が施されたパイロット信号が接続端子Aに供給される。このようにして、各送信アンテナAN11〜AN14からは、実施の形態1と同様に、図2に示すような、直交符号により拡散処理されたパイロット信号とM−ary/SS処理されたデータが時分割多重されたフレームの信号が送信される。
【0061】
送信装置300から送信された信号は、図7に示すような受信装置400により受信復調される。図3との対応部分に同一符号を付して示す図7において、受信装置400は、パラレルシリアル変換後の信号に対して1つの相関部401によって相関処理を行うことにより、受信データをM−ary/SS前の信号(すなわち系列変換前の信号)に戻すようになっている。これにより、実施の形態1の受信装置200がアンテナ数分の相関部204A〜204Dを必要とするのと比較して、相関部401が一つで済むので、この分だけ構成を簡単化することができる。他の部分の処理は、実施の形態1と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0062】
次にこの実施の形態における送信装置300及び受信装置400の動作について、図8及び図9を用いて説明する。ここで図8に示す送信装置の送信処理のうち、ステップS31及びステップS32以外は、図4に示した実施の形態1の送信装置100の送信処理と同様なので、説明を省略する。送信装置300は、ステップS30で送信処理を開始した後、ステップS31において、各アンテナAN11〜AN14に対応するサブストリームに分流前の送信データについて、系列選択部301により一括して系列変換処理(M−ary/SS処理)を施した後、系列変換後のデータをステップS32でアンテナAN11〜AN14毎のサブストリームに分流する。
【0063】
受信装置400は、図9に示すような受信処理を行う。この受信処理のうち、ステップS41及びステップS42以外は、図5に示した実施の形態1の受信装置200の受信処理と同様なので、説明を省略する。受信装置400は、ステップS25において、分離演算部202により、伝搬路上で混ざり合った信号を伝搬路特性値を用いて各送信アンテナAN11〜AN14から送信されたサブストリームに分離する。ステップS41では、パラレルシリアル変換部205により、複数のサブストリームをシリアルデータに変換する。そしてステップS42において、シリアルデータに対して相関部401により一括して系列の相関をとり、その最尤推定を行うことにより、M−ary/SS処理されたデータを元のデータ系列に戻す。
【0064】
以上の構成によれば、実施の形態1の構成と比較して、送信データを各送信アンテナに対応するサブストリームに分流する前にM−ary/SS処理を施すようにしたことにより、送信側の系列選択部301及び受信側の相関部401の数を低減することができる。この結果、実施の形態1と同様の効果を得ることができる一段と簡易な構成の送信装置300及び受信装置400を実現できる。
【0065】
(実施の形態3)
この実施の形態では、受信装置の構成にさらに改良を加えることにより、一段と受信性能向上させる場合について説明する。
【0066】
図3との対応部分に同一符号を付して示す図10において、この実施の形態の受信装置500は、各アンテナAN21〜AN24で受信したデータ系列をバッファ501A〜501Dを介して減算部502A〜502Dに入力する。減算部502A〜502Dにより得られた減算結果は分離演算部506に入力される。
【0067】
この実施の形態の分離演算部506においては、チャネル推定部505により得られた伝搬路推定値を用いて複数のデータが混ざり合った入力データを各送信アンテナAN11〜AN14から送信された元のサブストリームに分離するのに加えて、受信パワーの大きいサブストリームのデータから順に順次出力するようになされている。
【0068】
ここでサブストリームのデータの受信パワーの順位付けは、伝搬路特性を用いて算出した逆行列の値に応じて判別することができる。具体的には、逆行列の小さいサブストリームにほど受信パワーは大きくなる。この逆行列はチャネル推定部505で求められるので、実際上、チャネル推定部505が受信パワーの順位付けを行うことになる。
【0069】
チャネル推定部505は、分離演算部506に対して各アンテナ間の伝搬路特性値S100に加えて、順位付け信号S101を送出する。またチャネル推定部505は、セレクタ507に対しても順位付け信号S101を送出する。これにより、分離演算部506では、順位付け信号S101に基づいて、順位付の高いサブストリームから順に分離処理を行う。セレクタ507では、順位付け信号S101に基づいて、順位付けされた順に相関部204A〜204Dに対してサブストリームを送出すると共に乗算器503A〜503Dに対してサブストリームを送出する。
【0070】
乗算器503A〜503Dには、セレクタ507により選択されたサブストリームに加えて、選択されたサブストリームへの乗算係数として、このサブストリームが送信された送信アンテナAN11〜AN14と乗算器503A〜503Dに対応する受信アンテナAN21〜AN24との間の伝搬路特性CEV1〜CEV4がチャネル推定部505から与えられている。これにより、各乗算器503A〜503Dでは、伝搬路特性が加味されたサブストリームの信号が得られる。
【0071】
従って、各減算部502A〜502Dでは、各アンテナ受信信号から、順次受信パワーの大きいサブストリームの受信信号が減算される。またバッファ501A〜501Dの内容は、減算後の受信信号に順次更新される。これにより、続く分離演算部506には、順次受信パワーの大きいサブストリームが除かれた受信信号が入力されるようになる。
【0072】
これにより、分離演算部506では、受信パワーの小さいサブストリームを分離する際に、受信パワーの大きいサブストリームの信号が含まれていない混在信号からサブストリームを求めることができるようになるので、特に受信パワーの小さいサブストリームを高精度で求めることができるようになる。
【0073】
このようにして分離演算部506により順次分離された高精度のサブストリームはセレクタ507及び相関部204A〜204Dを介してバッファ504A〜504Dに蓄積される。そして全てのサブストリームがバッファ504A〜504Dに蓄積されると、パラレルシリアル変換部205がバッファ504A〜504Dに蓄積されたサブストリームを直列化して出力する。
【0074】
次にこの実施の形態における受信装置の動作について、図11を用いて説明する。受信装置500は、ステップS50で受信処理を開始すると、ステップS51でアンテナAN21〜AN24毎に信号を受信し、続くステップS52でスイッチSW21〜SW24によりパイロット信号とデータとを分離する。
【0075】
ステップS53では各逆拡散部201A〜201Dにより各パイロット信号を逆拡散し、続くステップS54ではチャネル推定部505において逆拡散後のパイロット信号を用いて受信アンテナAN21〜AN24毎に、送信アンテナAN11〜AN14の数分(すなわち全てのアンテナ間)の伝搬路特性を推定する。
【0076】
ステップS55では、チャネル推定部505が各サブストリーム(各送信アンテナAN11〜AN14から送信された信号に対応する受信信号)に対応する逆行列の大きさに基づいて、各サブストリームの受信パワーを求め、この受信パワーを順位付けする。
【0077】
ステップS56では、分離演算部506が、チャネル推定部505により得られた伝搬路推定値S100と順位付け信号S101とを用いて、複数のサブストリームが混在した受信信号から、受信パワーの大きいサブストリームから順に分離演算を行うことにより、順次サブストリームを分離する。
【0078】
ここで受信パワーの最も大きいサブストリームを分離する際には、ステップS57で肯定結果が得られ、ステップS56に移って全てのサブストリームが混在した受信信号から受信パワーの最も大きいサブストリームが分離される。これに対して、受信パワーが2番目以降のサブストリームを分離する際には、ステップS57で否定結果が得られ、ステップS58の処理を行った後、ステップS56の処理を行うようにされている。
【0079】
ステップS58では、各アンテナ受信信号から受信パワーの大きいサブストリームから順に、ステップS56で分離されたサブストリームに伝搬路定数を掛けたものを引く処理が行われる。具体的には、最初にステップS56で受信パワーの最も大きいサブストリームが分離されたときには、ステップS58でこの分離されたサブストリームに伝搬路定数を掛けた値が受信信号から減算される。
【0080】
この結果、減算後の受信信号は、受信パワーが2番目以降のサブストリームが混在された信号となる。この信号に対してステップS56の処理が再び行われることにより、ステップS56では、受信パワーが2番目のサブキャリアが分離される。
【0081】
このように、ステップS56−S59−S58−S56のループを繰り返すことにより、送信アンテナ数分のサブストリームが混在した受信信号から、受信パワーの大きいサブストリームから順に分離することができる。この際、ステップS58での処理を行っているので、ステップS56で分離演算部506に入力される減算後の信号には現在分離対象となっているサブストリームよりも受信パワーの大きいサブストリームは含まれないので、複数サブストリームの混在信号の中から最もパワーの大きい信号を分離できる。この結果、各サブストリームの分離精度を向上させることができる。
【0082】
なおステップS59、S60、S61での処理は、図5で説明したステップS26、S27、S28での処理と同様なので、説明を省略する。
【0083】
このようにこの実施の形態の受信装置500においては、受信パワーの大きいサブストリームから順にサブストリームを分離すると共に、分離したサブストリームに伝搬路推定値CEVを乗じた信号を受信信号から減算した信号を使って順次受信パワーの大きいサブストリームから順に分離演算処理を行うようにしたことにより、実施の形態1の効果に加えて、一段と高精度のデータを復元することができる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、各送信アンテナから送信する複数の送信データに関してはM−ary/SSによるデータ変換処理を施し、複数の既知信号(パイロット信号)に関してはM−ary/SSによるデータ変換は行わずに、互いに直交関係にある拡散符号を用いた拡散処理を施し、それぞれを複数のアンテナから送信するようにしたことにより、M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせた場合に、周波数利用効率を低下させることなく受信特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る送信装置の構成を示すブロック図
【図2】各送信アンテナから送信される送信信号のフレーム構成を示す図
【図3】実施の形態1の受信装置の構成を示すブロック図
【図4】実施の形態1による送信処理の説明に供するフローチャート
【図5】実施の形態1による受信処理の説明に供するフローチャート
【図6】実施の形態2の送信装置の構成を示すブロック図
【図7】実施の形態2の受信装置の構成を示すブロック図
【図8】実施の形態2による送信処理の説明に供するフローチャート
【図9】実施の形態2による受信処理の説明に供するフローチャート
【図10】実施の形態3の受信装置の構成を示すブロック図
【図11】実施の形態3による受信処理の説明に供するフローチャート
【図12】M−ary/SS方式を用いた送信装置の概略構成を示す図
【図13】M−ary/SS方式を用いた受信装置の概略構成を示す図
【図14】MIMO通信の原理の説明に供する図
【符号の説明】
100、300 送信装置
101 シリアルパラレル変換部(S/P)
102A〜102D パイロット信号生成部
104A〜104D 拡散部
105A〜105D、301 系列選択部
200、400、500 受信装置
201A〜201D 逆拡散部
202、506 分離演算部
203、505 チャネル推定部
204A〜204D、401 相関部
205 パラレルシリアル変換部(P/S)
206 復調部
207 同期部
501A〜501D、504A〜504D バッファ
502A〜502D 減算部
503A〜503D 乗算器
507 セレクタ
AN11〜AN14、AN21〜AN24 アンテナ
SW1〜SW4、SW21〜SW24 スイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル通信システムに用いられる送信装置、受信装置及び送信方法に関し、特にM−ary/SS方式による無線通信を行う場合に適用し得る。
【0002】
【従来の技術】
近年、IMT−2000の標準方式として決定したW−CDMA(Wide band Code Division Multiple Access)方式のように、直接拡散によるCDMA(DS−CDMA)が注目されている。一方、一極でいくつかの系列を用意しておき、数ビットのデータに応じてその中の一つを送信するM−ary/SS方式によるCDMAが、DS−CDMAに比べて周波数利用効率高いことで知られている。
【0003】
このM−ary/SS方式を用いた送信装置と受信装置の概略構成を、図12及び図13に示す。送信装置10では、図12に示すように、送信データを系列選択部11に入力する。系列選択部11には、mビットの2値データに対応した2m=M個の異なった系列(系列1〜系列M)が用意されており、入力された送信データに応じてその中の一つを選択する。そして選択された系列データがアンテナ12から送信される。
【0004】
受信装置20には、図13に示すように、相関部22が設けられている。相関部22には、各系列(系列1〜系列M)に対応した相関器23−1〜23−Mが設けられており、アンテナ21で受信された信号を全ての相関器23−1〜23−Mに入力されることにより、M個の全ての系列との相関をとる。各相関器23−1〜23−Mにより得られた相関値は、最尤系列推定部(MLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation))24に送出され、MLSE24により最も相関値の高いと推定されたデータが受信データとして出力される。
【0005】
このようにM−ary/SS方式を用いれば、同一周波数帯域において複数の系列(符号)を割り当てることができるので、系列数M=2mにおいて、M≫2とすることによって、同一周波数特性帯域を持ちながらmビットのデータを伝送できる。この結果、周波数利用効率を向上させることができる。
【0006】
また近年、画像等の大容量のデータを複数のユーザに送信するために、一段と高速なデータ伝送が求められている。例えばW−CDMAの高速パケット通信の標準規格として、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)が検討されている。その中でも高速伝送のために、MIMO(Multi−Input/ Multi−Output)通信が注目されている。
【0007】
MIMO通信では送信側の複数のアンテナからそれぞれ異なる送信データを送信し、受信側では伝搬路上で混ざり合った複数の送信データを伝搬路推定値を用いて元の送信データに分離するようになされている。実際上、MIMO通信では、送信装置から送信された信号を、送信装置の数と同数又はそれよりも多いアンテナ数で受信し、当該各アンテナによって受信された信号にそれぞれ挿入されているパイロット信号に基づいてそれぞれのアンテナごとに伝搬路推定を行う。この推定された伝搬路特性Hは、例えば送信側アンテナが2つであり、受信アンテナが2つである場合には、2×2の行列によって表わされる。
【0008】
そして、MIMO通信では、このようにして求められた伝搬路特性Hの逆行列と、各受信アンテナで得られた受信信号とに基づいて、各送信アンテナから送信された送信信号を求める。
【0009】
図14を用いて、送信機30と受信機40のアンテナ数がそれぞれ2つの場合のMIMO通信の原理を説明する。ここで送信機30の各アンテナAN1、AN2から送信される信号をそれぞれTX1、TX2とし、受信機40の各アンテナAN3、AN4により受信される信号をそれぞれRX1、RX2とする。このとき、受信信号RX1、RX2はそれぞれ次式で表すことができる。
【0010】
RX1 = ATX1 + BTX2 ……… (1)
RX2 = CTX1 + DTX2 ……… (2)
但し、(1)式、(2)式において、Aは送信アンテナAN1と受信アンテナAN3との間の伝搬路特性、Bは送信アンテナAN2と受信アンテナAN3との間の伝搬路特性、Cは送信アンテナAN1と受信アンテナAN4との間の伝搬路特性、Aは送信アンテナAN2と受信アンテナAN4との間の伝搬路特性を表すものとする。
【0011】
ここで受信信号から、上述した送信信号TX1とTX2を復調するためには、4つの伝搬路特性A、B、C、Dを推定する必要がある。このため送信機30では、送信信号に伝搬路推定用の既知信号(例えばパイロット信号)を挿入した信号を送信する。受信機40では、この既知信号に基づいて伝搬路特性を求める。
【0012】
送信機30及び受信機40について具体的に説明する。送信機30は送信データをシリアルパラレル変換部(S/P)31により分流する。分流されたデータは変調部32、33により変調された後、パイロット信号挿入部34、35によって所定位置にパイロット信号が挿入される。パイロット信号が挿入された信号は、拡散部36、37を介してアンテナAN1、AN2から送信される。
【0013】
受信機40はアンテナAN1、AN2で受信した信号を、逆拡散部41、42において拡散部36、37で用いた拡散符号を用いて逆拡散し、逆拡散後の信号を分離演算部43に送出すると共にチャネル推定部44に送出する。チャネル推定部44は、受信信号に含まれる既知信号を用いて上記伝搬路特性A、B、C、Dを求める。
【0014】
分離演算部43では、推定した4つの伝搬路特性A〜Dを用いて、以下の式で表す処理を行うことにより、各アンテナAN1、AN2から送信された信号TX1、TX2を元のサブストリームに分離する。
【0015】
実際上、分離演算部43では、(3)式及び(4)式に示す逆行列演算のみによってサブストリームを分離するZF(Zero−Forcing)演算や誤差を最小にするように分離するMMSE(Minimum Mean Square Error)演算などが使用される。分離演算部43により求められた、各アンテナAN1、AN2から送信されたデータはパラレルシリアル変換部(P/S)45及び復調部46を介して受信データとされる。
【0016】
このようにMIMO通信においては、受信機により同一時間に同一周波数で送られた信号を分離することができるので、高速伝送が可能となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ここで上述したM−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせて用いれば、さらなる高速伝送を行うことができると考えられる。しかしながら、M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせようとすると、以下のような不都合が生じ、実現が困難となる。
【0018】
つまり、M−ary/SS通信での伝送速度を高速化するために、MIMO技術を導入すると、単純にDS−CDMAとMIMO技術とを組み合わせた場合と異なり、受信側において、逆拡散後にサブストリーム(送信側の各アンテナから送信されたデータ)に分離をする方法を適用できない。
【0019】
なぜなら、送信側で異なる送信データに対してM−ary/SS処理と拡散処理を施して異なる送信アンテナから送信した場合、受信側でサブストリームに分離する前に逆拡散を行うと、複数のアンテナから送信された各データが混ざり合ってしまい、元の複数データを復元できなくなるからである。従って、逆拡散前のチップ単位で受信信号を分離しなければならなくなる。この結果、分離の際のSNRが低くなってしまい、受信品質が劣化する。
【0020】
またパイロット信号は、一般に、DS−CDMAとMIMO技術を組み合わせる場合には、パイロット信号自体を互いに直交した信号としているが、M−ary/SSによる拡散が行われると、各アンテナから送信されるパイロット信号は互いに直交しなくなってしまう。この結果、受信側ではパイロット信号に基づいて正確な伝搬路推定ができなくなってしまうので、各アンテナから送信されたデータを精度良く復元できなくなってしまい、受信品質が劣化する。
【0021】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせた場合に、周波数利用効率を低下させることなく受信特性を向上させることができる送信装置、受信装置及び送信方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明は、以下の構成を採る。
【0023】
本発明の送信装置は、送信データを単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列に変換するM−ary処理手段と、複数の既知信号それぞれを拡散する拡散手段と、データ変換された送信データ及び拡散された既知信号を送信する複数のアンテナとを具備する構成を採る。
【0024】
この構成によれば、送信データはM−ary処理手段によりM−ary/SS処理が施されて複数のアンテナから送信されるので、周波数利用効率が良くかつ高速のデータ送信が行われる。一方、各アンテナから送信される既知信号は、M−ary/SS処理は施されず拡散処理が施されるので、受信側では各送信アンテナから送信された逆拡散後の既知信号に基づいて高精度の伝搬路推定を行うことができる。そしてこの高精度の伝搬路推定結果に基づいて、M−ary/SS処理された送信データを分離した後、M−ary/SS処理と逆のデータ変換処理を行えば、各送信アンテナから送信された送信データを高精度で復元できる。かくして、M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせた場合に、周波数利用効率を低下させることなく受信特性を向上させることができるようになる。
【0025】
本発明の送信装置は、M−ary処理手段が、送信データについて、単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列を選択するデータ系列選択部と、当該データ系列選択部からの出力データを複数のアンテナに対応した複数のサブストリームに分流するシリアルパラレル変換部とを具備する構成を採る。
【0026】
この構成によれば、データ系列選択部によって送信データに対して一括してM−ary/SS処理を行った後、複数のアンテナに対応した複数のサブストリームに分流するので、1つのデータ系列選択部で複数のアンテナに対応したM−ary/SS信号を形成することができるようになる。この結果、構成を簡易化することができる。
【0027】
本発明の送信装置は、拡散された既知信号を複数のアンテナから同一時間に送信すると共に、データ変換された送信データを複数のアンテナからから同一時間に送信する構成を採る。
【0028】
この構成によれば、既知信号が複数のアンテナから同時に送信されるので、受信側では同一時間での伝搬路変動を受けた既知信号に基づいて、各アンテナ間での伝搬路特性を求めることができる。また既知信号は拡散されているので、複数のアンテナから同一時間に送信されても受信側で逆拡散により各送信アンテナから送信された既知信号を高精度で復元することができる。この結果、M−ary処理された送信データの分離精度を一段と向上させることができるようになる。
【0029】
本発明の受信装置は、送信データを単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列に変換するM−ary処理手段と、複数の既知信号それぞれを拡散する拡散手段と、データ変換された送信データ及び拡散された既知信号を送信する複数のアンテナとを有する送信装置から送信された送信信号を受信する受信装置であって、複数の受信アンテナと、各受信アンテナにより受信された拡散された既知信号を逆拡散する逆拡散手段と、逆拡散後の既知信号に基づいて送信側に設けられた複数のアンテナと各受信アンテナ間の伝搬路特性を推定する伝搬路推定手段と、当該伝搬路推定値を用いて受信アンテナにより受信された受信信号に対して分離演算を行い、送信側の各アンテナから送信された送信信号を求める分離演算手段と、分離された各送信信号と送信装置で用いたデータ系列との相関値に基づいてデータ系列に対応した単位ビット当たりの送信データを復元する相関手段と、を具備する構成を採る。
【0030】
この構成によれば、既知信号の逆拡散結果に基づいて伝搬路特性を推定し、この推定結果に基づいて、受信信号中で混ざり合った各送信アンテナからの信号を分離し、分離された信号に対して相関演算を行ってM−ary処理前の送信データを復元するので、複数のアンテナからM−ary処理したデータを送信した場合でも、伝搬路上で混ざり合ったデータを良好に分離して復調できるようになる。
【0031】
本発明の受信装置は、送信データを単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列に変換するM−ary処理手段と、複数の既知信号それぞれを拡散する拡散手段と、データ変換された送信データ及び拡散された既知信号を送信する複数のアンテナとを有すると共に、M−ary処理手段が、送信データについて、単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列を選択するデータ系列選択部と、当該データ系列選択部からの出力データを複数のアンテナに対応した複数のサブストリームに分流するシリアルパラレル変換部とを有する送信装置から送信された送信信号を受信する受信装置であって、複数の受信アンテナと、各受信アンテナにより受信された拡散された既知信号を逆拡散する逆拡散手段と、逆拡散後の既知信号に基づいて送信側に設けられた複数のアンテナと各受信アンテナ間の伝搬路特性を推定する伝搬路推定手段と、当該伝搬路推定値を用いて受信アンテナにより受信された受信信号に対して分離演算を行い、送信側の各アンテナから送信された送信信号を求める分離演算手段と、分離された送信信号をパラレルシリアル変換するパラレルシリアル変換部と、得られたシリアル送信信号と送信装置で用いたデータ系列との相関値に基づいてデータ系列に対応した単位ビット当たりの送信データを復元する相関手段と、を具備する構成を採る。
【0032】
この構成によれば、分離された送信信号をパラレルシリアル変換して直列のストリームにしてから相関手段によって送信装置でのM−ary処理と逆の処理を行うので、分離された複数のサブストリームに対して1つの相関手段でM−ary処理と逆の処理を行うことができるようになる。この結果、構成を簡易化することができる。
【0033】
本発明の受信装置は、上記構成に加えて、分離演算により得られた各送信アンテナから送信された信号に対応する受信信号の信号レベルを順位付けし、当該信号レベルの高い信号から順に、各受信アンテナにより受信された信号から前記分離された受信信号に伝搬路推定値を加えた信号を減算し、分離演算手段が、減算後の信号を用いて、順次信号レベルの高い信号から順に分離演算を行う構成を採る。
【0034】
この構成によれば、分離演算手段に入力される減算後の信号には現在分離対象となっているサブストリーム(各送信アンテナから送信された信号に対応する受信信号)よりも受信パワーの大きいサブストリームは存在していないので、複数のサブストリームが混ざり合った信号の中から最もパワーの大きい信号を分離できる。この結果、各サブストリームの分離精度を向上させることができる。
【0035】
本発明の送信方法は、各送信アンテナから送信する複数の送信データについてM−ary方式によるデータ変換処理を施すと共に、各送信アンテナから送信する複数の既知信号についてはM−ary方式によるデータ変換処理を行わずに、互いに直交関係にある拡散符号を用いて拡散処理を施し、データ変換処理後の送信データ及び拡散処理後の既知信号を複数のアンテナから送信するようにする。
【0036】
この方法によれば、送信データはM−ary/SS処理が施されて複数のアンテナから送信されるので、周波数利用効率が良くかつ高速のデータ送信が行われる。一方、各アンテナから送信される既知信号は、M−ary処理は施されず拡散処理が施されるので、受信側では各送信アンテナから送信された逆拡散後の既知信号に基づいて高精度の伝搬路推定を行うことができる。そしてこの高精度の伝搬路推定結果に基づいて、M−ary処理された送信データを分離した後、M−ary処理と逆のデータ変換処理を行えば、各送信アンテナから送信された送信データを高精度で復元できる。かくして、M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせた場合に、周波数利用効率を低下させることなく受信特性を向上させることができるようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、各送信アンテナから送信する複数の送信データに関してはM−ary/SSによるデータ変換処理を施し、複数の既知信号(パイロット信号)に関してはM−ary/SSによるデータ変換は行わずに、互いに直交関係にある拡散符号を用いた拡散処理を施し、それぞれを複数のアンテナから送信するようにしたことである。
【0038】
これにより受信側では、逆拡散後の既知信号に基づいて高精度の伝搬路推定を行うことができる。そしてこの高精度の伝搬路推定結果を用いてM−ary/SS処理された送信データをサブストリームに分離し、分離したサブストリーム毎にM−ary/SSに対応したデータ変換処理を施す。これにより、チップ単位でサブストリームに分離する際でも、各サブストリームを高精度で分離できるので、各送信データを高精度で復元できるようになる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1に送信装置の構成を示す。送信装置100は、M−ary/SS技術とMIMO技術とを組み合わせて、複数のアンテナからそれぞれ異なるデータを送信することにより、周波数利用効率の良い高速なデータ伝送を行うことができるようになされている。この実施の形態の場合には、4つのアンテナAN11〜AN14を用いて4つの異なるデータを送信するようになっている。
【0041】
送信装置100は、送信データをシリアルパラレル変換部(S/P)101によりアンテナ数と同じ数のデータに直並列変換して各系列選択部105A、105B、105C、105Dに入力させる。系列選択部105A〜105Dは、入力データに対してM−ary/SSに準じたデータ変換処理を施す。具体的には、各系列選択部105A〜105Dには、図12に示すように、mビットの2値データに対応した2m=M個の異なった系列(系列1〜系列M)が用意されており、入力された送信データに応じてその中の一つが選択して出力される。系列選択部105A〜105Dの出力は変調部106A〜106Dにより例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等の変調処理が施される。
【0042】
一方、送信装置100には、アンテナ数分のパイロット信号生成部102A〜102Dが設けられており、このパイロット信号生成部102A〜102Dにより生成されたパイロット信号は変調部103A〜103Dにより例えばBPSK(Binariphase Phase Shift Keying)等の変調処理が施される。変調処理後のパイロット信号は拡散部104A〜104Dにおいて所定の拡散符号を用いて拡散処理される。ここで各拡散部104A〜104Dで用いる拡散符号としては、互いに直交関係にあるもの(相関が0又はそれに近いもの)が用いられるようになっている。
【0043】
また送信装置100は各アンテナAN11〜AN14に接続されたスイッチSW1〜SW4を有し、各スイッチSW1〜SW4は他のスイッチSW1〜SW4と同期して、あるスイッチSW1〜SW4が端子A側に接続されるときには他のスイッチSW1〜SW4も端子A側に接続され、同様にあるスイッチSW1〜SW4が端子B側に接続されるときには他のスイッチSW1〜SW4も端子B側に接続されるようになっている。これにより、ある期間は全てのアンテナAN11〜AN14から互いに直交する拡散符号により拡散されたパイロット信号が送信され、他の期間は全てのアンテナAN11〜AN14からM−ary/SS方式によりデータ変換された送信データが送信されるようになる。
【0044】
図2に、送信装置100により形成される送信信号のフレーム構成を示す。この送信フレームは各アンテナAN11〜AN14から送信されるものである。但し、送信フレームの先頭に付加される同期用信号(SYNC)は、いずれか一つのアンテナAN11〜AN14から送信されるフレームに付加するようにすればよい。この同期信号SYNCは例えばパイロット信号生成部102A〜102Dにより形成するようにしてもよく、又は図示しない同期信号生成部を設けてフレームの先頭に付加するようにしてもよい。
【0045】
図3に、送信装置100から送信された信号を受信復調する受信装置200の構成を示す。受信装置200は同期部207によって、図2に示すフレームの先頭に付加された同期信号SYNCを検出し、各アンテナAN21〜AN24に接続されたスイッチSW21〜SW24の切り換えタイミングを制御する。すなわち同期部207は同期信号SYNCを検出すると、先ず全てのスイッチSW21〜SW24を端子A側に接続し、続いて端子B側に接続する。そしてこの接続処理をフレームの期間中繰り返す。ここで端子A側に接続している時間及び端子B側に接続している時間は、送信装置100との間で予め決められている。これにより、各アンテナAN21〜AN24でパイロット信号を受信している間は、全てのスイッチSW21〜SW24が端子A側に接続され、データを受信している間は、全てのスイッチSW21〜SW24が端子B側に接続されるようになる。
【0046】
逆拡散部201A〜201Dは、端子Aから入力されたパイロット信号に対して送信側と同じ拡散符号を用いて逆拡散処理を施し、逆拡散後の信号をチャネル推定部203に送出する。チャネル推定部203では、逆拡散後のパイロット信号を用いて各アンテナAN11〜AN14、AN21〜AN24間での伝搬路特性を求める。因みに、この実施の形態の場合には、送信側及び受信側共に4つのアンテナを用いているので、4×4=16個の伝搬路特性を推定することになる。
【0047】
分離演算部202には、4つのアンテナAN21〜AN24で受信されたM−ary/SS方式でデータ変換されている送信データが入力される。ここで各アンテナAN21〜AN24からスイッチSW21〜SW24を介して入力されるデータは、送信側の4つのアンテナAN11〜AN14から送信されたデータが混ざり合ったものとなっているので、分離演算部202はチャネル推定部203で推定された伝搬路特性を用いてこれら4つのデータを元のサブストリームに分離する。
【0048】
この際、分離演算部202では、既知の技術である逆行列演算を用いて互いに混ざり合ったデータを4つのサブストリームに分離する。この実施の形態の場合には、16個の伝搬路特性からなる4行×4列の逆行列を計算するようになる。加えて、分離演算部202では、伝搬路で合成されたサブストリームを分離するためにZF(Zero−Forcing)演算やMMSE(Minimum Mean Square Error)演算を行うようになっている。すなわち既知の技術であるV−BLASTと呼ばれる疑似逆行列を用いた処理を行うことで、同一時間に同一周波数で送られた信号を分離するようになっている。
【0049】
分離演算部202によって分離されたサブストリームは、各相関部204A〜204Dに送出される。各相関部204A〜204Dは、図13に示した相関部22と同様の構成でなる。すなわち、各系列(系列1〜系列M)に対応した相関器1〜相関器Mと最尤系列推定部(MLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation))とが設けられており、入力されたサブストリームを全ての相関器に入力することにより、M個の全ての系列との相関をとる。各相関器により得られた相関値は、MLSEにより最も相関値の高いと推定されたデータが選択されて出力される。
【0050】
各相関部204A〜204Dから出力されたデータは、続くパラレルシリアル変換部(P/S)205によって直列変換されて、復調部206に出力され、復調部206によって復調処理が施されて受信データとされる。
【0051】
次にこの実施の形態における送信装置100及び受信装置200の動作について、図4及び図5を用いて説明する。送信装置100は、図4に示すように、ステップS10で送信処理を開始すると、ステップS11−S12−S13において送信データについてM−ary/SS処理を行うと共に、これに並列してステップS14−S15−S16においてパイロット信号についての拡散処理を行う。
【0052】
つまり、送信データについては、先ずステップS11でシリアルパラレル変換部(S/P)101によりアンテナAN11〜AN14毎のサブストリームに分け、続くステップS12で系列選択部105A〜105Dにより各データに応じた系列を選択する。そして続くステップS13で各系列に対して変調処理を行う。
【0053】
一方、パイロット信号については、先ずステップS14でパイロット信号生成部102A〜102DによりアンテナAN11〜AN14毎に直交するパイロット信号を生成し、続くステップS15でパイロット信号を変調する。そして続くステップS16で各拡散部104A〜104Dにより互いに直交する拡散符号を用いて変調後のパイロット信号を拡散処理する。
【0054】
このようにして得られたM−ary/SS処理後のサブストリームの送信データとこれに対応して形成された拡散処理後のパイロット信号は、ステップS17において、スイッチSW1〜SW4を用いて時分割多重されて各アンテナAN11〜AN14から送信される。
【0055】
受信装置200は、図5に示すように、ステップS20で受信処理を開始すると、ステップS21でアンテナAN21〜AN24毎に信号を受信し、続くステップS22でスイッチSW21〜SW24によりパイロット信号とデータとを分離する。ここでパイロット信号とデータは時分割多重されているので、簡単に分離することができる。
【0056】
ステップS23では各逆拡散部201A〜201Dにより各パイロット信号を逆拡散し、続くステップS24ではチャネル推定部203において逆拡散後のパイロット信号を用いて受信アンテナAN21〜AN24毎に、送信アンテナAN11〜AN14の数分(すなわち全てのアンテナ間)の伝搬路特性を推定する。ステップS25では、分離演算部202において、伝搬路推定値を用いて例えばV−BLASTによる方法により、伝搬路上で混ざり合った信号を各送信アンテナAN11〜AN14から送信されたデータに分離する。
【0057】
ステップS26では、分離した各サブストリームについて、各相関部204A〜204Dにより系列の相関をとると共に最尤推定を行うことにより、M−ary/SS処理前の送信データを復元する。そしてステップS27においてパラレルシリアル変換部(P/S)205においてシリアルデータに変換し、ステップS28において復調処理を施すことにより、受信データを得る。
【0058】
以上の構成によれば、複数の送信データに関してはM−ary/SSによる系列変換処理を施し、複数の既知信号(パイロット信号)に関してはM−ary/SSによる系列変換は行わずに、互いに直交関係にある拡散符号を用いた拡散処理を施し、M−ary/SS後の各送信データに拡散処理後の既知信号を時分割多重して複数のアンテナから送信するようにしたことにより、M−ary/SS処理した送信データを複数のアンテナから送信し、複数のアンテナで受信した場合でも(すなわちMIMO通信を行った場合でも)、各アンテナから送信されたM−ary/SS処理後の送信データをチップ単位で高精度で分離できるようになる。この結果、各アンテナから送信された送信データを高精度で復元できるようになるので、受信品質の劣化を抑制して、高速伝送を実現することができるようになる。
【0059】
(実施の形態2)
図1との対応部分に同一符号を付して示す図6において、この実施の形態の送信装置300は、送信データをシリアルパラレル変換部101により各アンテナAN11〜AN14のデータに分流する前に、系列選択部301により一括してM−ary/SS処理を施すようになされている。これにより、実施の形態1の送信装置100がアンテナ数分の系列選択部105A〜105Dを必要とするのと比較して、系列選択部301が一つで済むので、この分だけ構成を簡単化することができる。
【0060】
具体的には、系列選択部301は、図12の系列選択部11と同様の構成でなり、送信データに対してM−ary/SS処理を施す。系列変換された送信データは、シリアルパラレル変換部101によりアンテナAN11〜AN14に対応するデータに分流され、続く変調部106A〜106Dを介して接続端子Bに供給される。パイロット信号については、実施の形態1と同様の処理が施される。すなわち、各アンテナAN11〜AN14に対応して、変調処理及び拡散処理が施されたパイロット信号が接続端子Aに供給される。このようにして、各送信アンテナAN11〜AN14からは、実施の形態1と同様に、図2に示すような、直交符号により拡散処理されたパイロット信号とM−ary/SS処理されたデータが時分割多重されたフレームの信号が送信される。
【0061】
送信装置300から送信された信号は、図7に示すような受信装置400により受信復調される。図3との対応部分に同一符号を付して示す図7において、受信装置400は、パラレルシリアル変換後の信号に対して1つの相関部401によって相関処理を行うことにより、受信データをM−ary/SS前の信号(すなわち系列変換前の信号)に戻すようになっている。これにより、実施の形態1の受信装置200がアンテナ数分の相関部204A〜204Dを必要とするのと比較して、相関部401が一つで済むので、この分だけ構成を簡単化することができる。他の部分の処理は、実施の形態1と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0062】
次にこの実施の形態における送信装置300及び受信装置400の動作について、図8及び図9を用いて説明する。ここで図8に示す送信装置の送信処理のうち、ステップS31及びステップS32以外は、図4に示した実施の形態1の送信装置100の送信処理と同様なので、説明を省略する。送信装置300は、ステップS30で送信処理を開始した後、ステップS31において、各アンテナAN11〜AN14に対応するサブストリームに分流前の送信データについて、系列選択部301により一括して系列変換処理(M−ary/SS処理)を施した後、系列変換後のデータをステップS32でアンテナAN11〜AN14毎のサブストリームに分流する。
【0063】
受信装置400は、図9に示すような受信処理を行う。この受信処理のうち、ステップS41及びステップS42以外は、図5に示した実施の形態1の受信装置200の受信処理と同様なので、説明を省略する。受信装置400は、ステップS25において、分離演算部202により、伝搬路上で混ざり合った信号を伝搬路特性値を用いて各送信アンテナAN11〜AN14から送信されたサブストリームに分離する。ステップS41では、パラレルシリアル変換部205により、複数のサブストリームをシリアルデータに変換する。そしてステップS42において、シリアルデータに対して相関部401により一括して系列の相関をとり、その最尤推定を行うことにより、M−ary/SS処理されたデータを元のデータ系列に戻す。
【0064】
以上の構成によれば、実施の形態1の構成と比較して、送信データを各送信アンテナに対応するサブストリームに分流する前にM−ary/SS処理を施すようにしたことにより、送信側の系列選択部301及び受信側の相関部401の数を低減することができる。この結果、実施の形態1と同様の効果を得ることができる一段と簡易な構成の送信装置300及び受信装置400を実現できる。
【0065】
(実施の形態3)
この実施の形態では、受信装置の構成にさらに改良を加えることにより、一段と受信性能向上させる場合について説明する。
【0066】
図3との対応部分に同一符号を付して示す図10において、この実施の形態の受信装置500は、各アンテナAN21〜AN24で受信したデータ系列をバッファ501A〜501Dを介して減算部502A〜502Dに入力する。減算部502A〜502Dにより得られた減算結果は分離演算部506に入力される。
【0067】
この実施の形態の分離演算部506においては、チャネル推定部505により得られた伝搬路推定値を用いて複数のデータが混ざり合った入力データを各送信アンテナAN11〜AN14から送信された元のサブストリームに分離するのに加えて、受信パワーの大きいサブストリームのデータから順に順次出力するようになされている。
【0068】
ここでサブストリームのデータの受信パワーの順位付けは、伝搬路特性を用いて算出した逆行列の値に応じて判別することができる。具体的には、逆行列の小さいサブストリームにほど受信パワーは大きくなる。この逆行列はチャネル推定部505で求められるので、実際上、チャネル推定部505が受信パワーの順位付けを行うことになる。
【0069】
チャネル推定部505は、分離演算部506に対して各アンテナ間の伝搬路特性値S100に加えて、順位付け信号S101を送出する。またチャネル推定部505は、セレクタ507に対しても順位付け信号S101を送出する。これにより、分離演算部506では、順位付け信号S101に基づいて、順位付の高いサブストリームから順に分離処理を行う。セレクタ507では、順位付け信号S101に基づいて、順位付けされた順に相関部204A〜204Dに対してサブストリームを送出すると共に乗算器503A〜503Dに対してサブストリームを送出する。
【0070】
乗算器503A〜503Dには、セレクタ507により選択されたサブストリームに加えて、選択されたサブストリームへの乗算係数として、このサブストリームが送信された送信アンテナAN11〜AN14と乗算器503A〜503Dに対応する受信アンテナAN21〜AN24との間の伝搬路特性CEV1〜CEV4がチャネル推定部505から与えられている。これにより、各乗算器503A〜503Dでは、伝搬路特性が加味されたサブストリームの信号が得られる。
【0071】
従って、各減算部502A〜502Dでは、各アンテナ受信信号から、順次受信パワーの大きいサブストリームの受信信号が減算される。またバッファ501A〜501Dの内容は、減算後の受信信号に順次更新される。これにより、続く分離演算部506には、順次受信パワーの大きいサブストリームが除かれた受信信号が入力されるようになる。
【0072】
これにより、分離演算部506では、受信パワーの小さいサブストリームを分離する際に、受信パワーの大きいサブストリームの信号が含まれていない混在信号からサブストリームを求めることができるようになるので、特に受信パワーの小さいサブストリームを高精度で求めることができるようになる。
【0073】
このようにして分離演算部506により順次分離された高精度のサブストリームはセレクタ507及び相関部204A〜204Dを介してバッファ504A〜504Dに蓄積される。そして全てのサブストリームがバッファ504A〜504Dに蓄積されると、パラレルシリアル変換部205がバッファ504A〜504Dに蓄積されたサブストリームを直列化して出力する。
【0074】
次にこの実施の形態における受信装置の動作について、図11を用いて説明する。受信装置500は、ステップS50で受信処理を開始すると、ステップS51でアンテナAN21〜AN24毎に信号を受信し、続くステップS52でスイッチSW21〜SW24によりパイロット信号とデータとを分離する。
【0075】
ステップS53では各逆拡散部201A〜201Dにより各パイロット信号を逆拡散し、続くステップS54ではチャネル推定部505において逆拡散後のパイロット信号を用いて受信アンテナAN21〜AN24毎に、送信アンテナAN11〜AN14の数分(すなわち全てのアンテナ間)の伝搬路特性を推定する。
【0076】
ステップS55では、チャネル推定部505が各サブストリーム(各送信アンテナAN11〜AN14から送信された信号に対応する受信信号)に対応する逆行列の大きさに基づいて、各サブストリームの受信パワーを求め、この受信パワーを順位付けする。
【0077】
ステップS56では、分離演算部506が、チャネル推定部505により得られた伝搬路推定値S100と順位付け信号S101とを用いて、複数のサブストリームが混在した受信信号から、受信パワーの大きいサブストリームから順に分離演算を行うことにより、順次サブストリームを分離する。
【0078】
ここで受信パワーの最も大きいサブストリームを分離する際には、ステップS57で肯定結果が得られ、ステップS56に移って全てのサブストリームが混在した受信信号から受信パワーの最も大きいサブストリームが分離される。これに対して、受信パワーが2番目以降のサブストリームを分離する際には、ステップS57で否定結果が得られ、ステップS58の処理を行った後、ステップS56の処理を行うようにされている。
【0079】
ステップS58では、各アンテナ受信信号から受信パワーの大きいサブストリームから順に、ステップS56で分離されたサブストリームに伝搬路定数を掛けたものを引く処理が行われる。具体的には、最初にステップS56で受信パワーの最も大きいサブストリームが分離されたときには、ステップS58でこの分離されたサブストリームに伝搬路定数を掛けた値が受信信号から減算される。
【0080】
この結果、減算後の受信信号は、受信パワーが2番目以降のサブストリームが混在された信号となる。この信号に対してステップS56の処理が再び行われることにより、ステップS56では、受信パワーが2番目のサブキャリアが分離される。
【0081】
このように、ステップS56−S59−S58−S56のループを繰り返すことにより、送信アンテナ数分のサブストリームが混在した受信信号から、受信パワーの大きいサブストリームから順に分離することができる。この際、ステップS58での処理を行っているので、ステップS56で分離演算部506に入力される減算後の信号には現在分離対象となっているサブストリームよりも受信パワーの大きいサブストリームは含まれないので、複数サブストリームの混在信号の中から最もパワーの大きい信号を分離できる。この結果、各サブストリームの分離精度を向上させることができる。
【0082】
なおステップS59、S60、S61での処理は、図5で説明したステップS26、S27、S28での処理と同様なので、説明を省略する。
【0083】
このようにこの実施の形態の受信装置500においては、受信パワーの大きいサブストリームから順にサブストリームを分離すると共に、分離したサブストリームに伝搬路推定値CEVを乗じた信号を受信信号から減算した信号を使って順次受信パワーの大きいサブストリームから順に分離演算処理を行うようにしたことにより、実施の形態1の効果に加えて、一段と高精度のデータを復元することができる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、各送信アンテナから送信する複数の送信データに関してはM−ary/SSによるデータ変換処理を施し、複数の既知信号(パイロット信号)に関してはM−ary/SSによるデータ変換は行わずに、互いに直交関係にある拡散符号を用いた拡散処理を施し、それぞれを複数のアンテナから送信するようにしたことにより、M−ary/SS技術とMIMO技術を組み合わせた場合に、周波数利用効率を低下させることなく受信特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る送信装置の構成を示すブロック図
【図2】各送信アンテナから送信される送信信号のフレーム構成を示す図
【図3】実施の形態1の受信装置の構成を示すブロック図
【図4】実施の形態1による送信処理の説明に供するフローチャート
【図5】実施の形態1による受信処理の説明に供するフローチャート
【図6】実施の形態2の送信装置の構成を示すブロック図
【図7】実施の形態2の受信装置の構成を示すブロック図
【図8】実施の形態2による送信処理の説明に供するフローチャート
【図9】実施の形態2による受信処理の説明に供するフローチャート
【図10】実施の形態3の受信装置の構成を示すブロック図
【図11】実施の形態3による受信処理の説明に供するフローチャート
【図12】M−ary/SS方式を用いた送信装置の概略構成を示す図
【図13】M−ary/SS方式を用いた受信装置の概略構成を示す図
【図14】MIMO通信の原理の説明に供する図
【符号の説明】
100、300 送信装置
101 シリアルパラレル変換部(S/P)
102A〜102D パイロット信号生成部
104A〜104D 拡散部
105A〜105D、301 系列選択部
200、400、500 受信装置
201A〜201D 逆拡散部
202、506 分離演算部
203、505 チャネル推定部
204A〜204D、401 相関部
205 パラレルシリアル変換部(P/S)
206 復調部
207 同期部
501A〜501D、504A〜504D バッファ
502A〜502D 減算部
503A〜503D 乗算器
507 セレクタ
AN11〜AN14、AN21〜AN24 アンテナ
SW1〜SW4、SW21〜SW24 スイッチ
Claims (7)
- 送信データを単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列に変換するM−ary処理手段と、
複数の既知信号それぞれを拡散する拡散手段と、
前記データ変換された送信データ及び前記拡散された既知信号を送信する複数のアンテナと
を具備することを特徴とする送信装置。 - 前記M−ary処理手段は、
前記送信データについて、単位ビット当たりのデータ毎に当該データに対応したデータ系列を選択するデータ系列選択部と、当該データ系列選択部からの出力データを前記複数のアンテナに対応した複数のサブストリームに分流するシリアルパラレル変換部とを具備することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。 - 前記拡散された既知信号を前記複数のアンテナから同一時間に送信すると共に、前記データ変換された送信データを前記複数のアンテナからから同一時間に送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
- 請求項1に記載の送信装置から送信された送信信号を受信する受信装置であって、
複数の受信アンテナと、各受信アンテナにより受信された拡散された既知信号を逆拡散する逆拡散手段と、逆拡散後の既知信号に基づいて送信側に設けられた複数のアンテナと前記各受信アンテナ間の伝搬路特性を推定する伝搬路推定手段と、当該伝搬路推定値を用いて前記受信アンテナにより受信された受信信号に対して分離演算を行い、送信側の各アンテナから送信された送信信号を求める分離演算手段と、分離された各送信信号と前記送信装置で用いたデータ系列との相関値に基づいてデータ系列に対応した単位ビット当たりの送信データを復元する相関手段と、を具備することを特徴とする受信装置。 - 請求項2に記載の送信装置から送信された送信信号を受信する受信装置であって、
複数の受信アンテナと、各受信アンテナにより受信された拡散された既知信号を逆拡散する逆拡散手段と、逆拡散後の既知信号に基づいて送信側に設けられた複数のアンテナと前記各受信アンテナ間の伝搬路特性を推定する伝搬路推定手段と、当該伝搬路推定値を用いて前記受信アンテナにより受信された受信信号に対して分離演算を行い、送信側の各アンテナから送信された送信信号を求める分離演算手段と、分離された送信信号をパラレルシリアル変換するパラレルシリアル変換部と、得られたシリアル送信信号と前記送信装置で用いたデータ系列との相関値に基づいてデータ系列に対応した単位ビット当たりの送信データを復元する相関手段と、を具備することを特徴とする受信装置。 - 前記分離演算により得られた各送信アンテナから送信された信号に対応する受信信号の信号レベルを順位付けし、当該信号レベルの高い信号から順に、各受信アンテナにより受信された信号から前記分離された受信信号に伝搬路推定値を加えた信号を減算し、前記分離演算手段は、減算後の信号を用いて、順次信号レベルの高い信号から順に分離演算を行う、ことを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
- 各送信アンテナから送信する複数の送信データについてM−ary方式によるデータ変換処理を施すと共に、各送信アンテナから送信する複数の既知信号についてはM−ary方式によるデータ変換処理を行わずに、互いに直交関係にある拡散符号を用いて拡散処理を施し、データ変換処理後の送信データ及び拡散処理後の既知信号を複数のアンテナから送信することを特徴とする送信方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005328312A (ja) * | 2004-05-13 | 2005-11-24 | Ntt Docomo Inc | チャネル推定装置、チャネル推定方法及び無線受信機 |
JP2009303251A (ja) * | 2009-09-24 | 2009-12-24 | Hitachi Ltd | 適応変調方法並びにデータレート制御方法 |
JP2010506546A (ja) * | 2006-10-10 | 2010-02-25 | クゥアルコム・インコーポレイテッド | 無線通信システムにおける空間分割多元接続チャネル化 |
-
2002
- 2002-08-07 JP JP2002230399A patent/JP2004072506A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005328312A (ja) * | 2004-05-13 | 2005-11-24 | Ntt Docomo Inc | チャネル推定装置、チャネル推定方法及び無線受信機 |
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JP2009303251A (ja) * | 2009-09-24 | 2009-12-24 | Hitachi Ltd | 適応変調方法並びにデータレート制御方法 |
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