JP2004071424A - 電磁波中の磁界の発生が少ない発熱体及びその製造方法 - Google Patents

電磁波中の磁界の発生が少ない発熱体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、電磁波中の磁界の発生が少ない電気抵抗体及び発熱体を得る技術を提供する。また、本発明は、2つの発熱体に位相を反転した同じ値の電流を流すことにより、電磁波中の磁界を低減化する技術をも提供する。さらに、本発明は、直流電源を用いて発熱体に通電することにより電磁波中の磁界を低減化する技術をも提供する。
【解決手段】ゴム原料に、膨張黒鉛、カーボンブラック、並びに土壌黒鉛及び/又は鱗状黒鉛を配合して混合した後、加硫して成形することを特徴とする電気抵抗体の製造方法、その方法により得られる電気抵抗体及び発熱体等に関する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房器具から発生する電磁波中の磁界の発生を低減化する電気抵抗体及びその製造方法、該電気抵抗体を備えた発熱体、並びに該発熱体を備えた暖房器具等に関する。
【0002】
【従来の技術】
発熱体として従来よりニクロム線が広く用いられているが、ニクロム線を使用する場合には、電圧及び流れる電流により電界及び磁界が発生する。この電界と磁界が相互作用して生じる電磁波は、携帯電話による医療機器の誤作動等の電磁波障害を引き起こすのみならず、人体にも悪影響をもたらす恐れがあることが指摘されている。特に、スウェーデンのカロリンスカ研究所の調査結果によれば、高圧電線の下では通常の環境下に比べて著しく白血病の発生が多いという結果が報告されており、欧米では電磁波中の磁界による生体への影響を懸念して、電気毛布等の販売数が減少しているという事実がある。そのため、電磁波中の磁界の発生が少ない器具が強く望まれている。
【0003】
しかし、ニクロム線を使う限りは電流の強さに応じて電磁波が発生し、これを低減化するためには電磁波シールド法程度しか使用されてこなかった。しかも、かかる方法では発熱体部分を金属等の導電性素材で覆うため発熱効率が低下し、かつ、低周波磁場を抑制する方法が非常に大掛かりになり、暖房器具に用いるにはほとんど不可能という欠点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、従来技術の問題点を解決乃至大幅に軽減することにより、電磁波中の磁界の発生が少ない電気抵抗体及び発熱体を得る技術を提供することを主な目的とする。
【0005】
また、本発明は、2つの発熱体に位相を反転した同じ値の電流を流すことにより、電磁波中の磁界を低減化する技術を提供することをも目的とする。
【0006】
さらに、本発明は、直流電源を用いて発熱体に通電することにより電磁波中の磁界を低減化する技術を提供することをも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、加硫前のゴム原料に対し、所望の電気抵抗率を得るように態様の異なる炭素材料を配合して混合した後、加硫して成形した電気抵抗体を製造し、この電気抵抗体を使用した発熱体は、同一の電力でも電磁波中の磁界の発生が少なくなることを見出した。
【0008】
また、2枚のシート状発熱体を、電流の方向性が逆になるように、すなわち位相が反転するように配置すると、更に電磁波中の磁界の発生が少なくなることも見出した。
さらに、発熱体に使用する電源を直流にすると電磁波中の磁界の発生が抑制できることもまた見出した。
【0009】
本発明者によるこのような知見は、従来技術のニッケルとクロムの合金を主体とする電気抵抗体からなる発熱体からは、到底予測し難いところである。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の電磁波中の磁界の発生が少ない電気抵抗体及びその製造方法、該電気抵抗体を備えた発熱体、並びに該発熱体を備えた暖房器具等を提供するものである。
【0011】
項1. ゴム原料に、膨張黒鉛、カーボンブラック、並びに土壌黒鉛及び/又は鱗状黒鉛を配合して混合した後、加硫して成形することを特徴とする電気抵抗体の製造方法。
【0012】
項2. 電気抵抗率が10〜10−2 Ω・cmである電気抵抗体である項1に記載の製造方法。
【0013】
項3. ゴム原料100重量部に対し、膨張黒鉛25〜70重量部、カーボンブラック30〜80重量部、並びに土壌黒鉛10〜45重量部及び/又は鱗状黒鉛25〜100重量部を配合することを特徴とする項1又は2に記載の製造方法。
【0014】
項4. ゴム原料が、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、EPDM、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・酢ビゴム、クロロプレンゴム、ハイパロン、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、チオコール、シリコーンゴム、及びフッ素ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1つである項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【0015】
項5. 膨張黒鉛、カーボンブラック、並びに土壌黒鉛及び/又は鱗状黒鉛が、それぞれ粉末状又は繊維状であることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【0016】
項6. 膨張黒鉛の平均粒子径が、カーボンブラックの平均粒子径、並びに土壌黒鉛及び/又は鱗状黒鉛の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【0017】
項7. 項1〜6のいずれかに記載の製造方法で得られる電気抵抗体。
【0018】
項8. 項7に記載の電気抵抗体及び電極からなる発熱体。
【0019】
項9. 発熱体の形状が、線状、シート状、ブロック状、らせん状、棒状、及び管状からなる群から選ばれる少なくとも1つである項8に記載の発熱体。
【0020】
項10. 項9に記載のシート状発熱体2枚の間に絶縁体を介在させてなる発熱部材及び電源からなる発熱装置であり、各シート状発熱体に流れる電流の位相が反転するように各シート状発熱体を配置したことを特徴とする発熱装置。
【0021】
項11. 電源が直流電源である項10に記載の発熱装置。
【0022】
項12. 項10又は11に記載の発熱装置及びその温度調整器を備えてなる暖房器具。
【0023】
項13. 暖房器具が寝具用暖房器具である項12に記載の暖房器具。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
A.電気抵抗体
本発明の電気抵抗体の製造に用いられるゴム原料は、電気抵抗体のマトリクスとして好適に用いられる加硫前のゴム原料であればよい。該ゴム原料としては、炭素材料を含浸又は練りこむことができるものであれば特に限定はない。例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・酢ビゴム、クロロプレンゴム、ハイパロン、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、チオコール、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴムを挙げることができる。
【0025】
これらのゴム原料は、加硫性を高めるために非共役ジエンを少量加えて共重合したものであってもよい。例えば、エチレン・プロピレンゴム・ジエンモノマー(EPDM)等が例示される。
【0026】
また、ゴム原料としては、上記に例示したゴム原料からなる群から選ばれる少なくとも1つを選択することができる。これらのゴム原料は、いずれも公知の方法によって製造することができる。
【0027】
本発明の電気抵抗体の製造に用いられる炭素材料は、膨張黒鉛、カーボンブラック、並びに土壌黒鉛及び/又は鱗状黒鉛である。
【0028】
一般に、樹脂等のマトリクスにカーボンブラック等の炭素材料を配合した発熱体は、長期間使用することにより、炭素材料の粒子がマトリクス中で移動するマイグレーション現象を引き起こしショートしやすいという問題がある。しかし、本発明者らは、マトリクス中に膨張黒鉛を配合すると、長期間の使用によっても膨張黒鉛はマイグレーション現象をほとんど起こさないことを見出した。しかも、カーボンブラック等のマイグレーションを起こしやすい他の炭素材料を膨張黒鉛と併用した場合には、マトリクスを移動してきたカーボンブラック等の炭素材料が膨張黒鉛と衝突して止まり、該炭素材料のマイグレーション現象が抑制されることをも見出した。すなわち、本発明の電気抵抗体は、この膨張黒鉛を必須成分として配合することを特徴としている。
【0029】
また、マトリクスとして用いる原料ゴムの引張り強度を大きくするために、通常カーボンブラックが配合される。
【0030】
これらの炭素材料の形状は特に限定はなく、例えば、粉末状、繊維状等いずれの形状も使用できる。炭素材料が粉末状の場合、その平均粒子径が0.1μm〜3mm程度が好ましく、繊維状の場合、その平均粒子径が50μm〜5mm程度のものが望ましい。
【0031】
さらに、本発明者らは、膨張黒鉛の平均粒子径を他の炭素材料の平均粒子径よりも大きくすると、マイグレーション現象をより抑制できることも見出した。これは、膨張黒鉛の平均粒子径が大きくなると、マイグレーション現象に対する膨張黒鉛の抵抗性が増大するためであると考えられる。例えば、膨張黒鉛の平均粒子径は5〜3000μm程度のものが使用でき、望ましくは、50〜2000μm程度、より望ましくは100〜1000μm程度のものが良い。また、カーボンブラックの平均粒子径は、市販品として0.1〜2μm程度、土壌黒鉛又は鱗状黒鉛の平均粒子径は、4〜1000μm程度が使用できる。膨張黒鉛の平均粒子径が大き過ぎると、上述したマイグレーション現象への抵抗性が高いがマトリクス中での均一分散が困難になり、逆に、平均粒子径が小さ過ぎると、均一分散が容易になるがマイグレーション現象への抵抗性が低くなる。
【0032】
なお、上記の炭素材料の平均粒子径は、顕微鏡観察や粒度分布測定装置等を用いた公知の方法を用いて測定される。
【0033】
本発明で用いられる各炭素材料の配合量は、マトリクスである原料ゴム100重量部に対し、膨張黒鉛は25〜70重量部程度(好ましくは30〜50重量部程度)、カーボンブラック30〜80重量部程度(好ましくは30〜50重量部程度)、並びに土壌黒鉛10〜45重量部程度(好ましくは20〜40重量部程度)及び/又は鱗状黒鉛25〜100重量部程度(好ましくは30〜70重量部程度)を好適に配合することができ、所望の電気抵抗率になるように適宜調製すればよい。
【0034】
本発明の電気抵抗体の電気抵抗率は、10〜10−2 Ω・cm程度であり、好ましくは10〜10−1 Ω・cm程度である。発熱体の電気抵抗率を上記範囲内とすることにより、熱拡散効率が向上し、電波吸収体として望ましい性質の1つである誘電損失が増大し、シールド効果、電磁波の乱反射等が増大することにより磁界の発生が抑制される。
【0035】
本発明の電気抵抗体は、ゴム原料に上記の炭素材料を配合して混合し、炭素材料がマトリクスであるゴム原料に均一に分散した混合物を得た後、該混合物を加硫し成形して製造される。ゴム原料と炭素材料の混合は、撹拌混合、含浸、練り込み等の公知の方法を用いることができる。得られる混合物の加硫も公知の方法を用いることができる。原料ゴム分子内に2重結合を含まないときには、過酸化物や反応性フェノール樹脂などの促進剤を用いて加硫してもよい。加硫後、電気抵抗体は、その使用目的に応じローラー成形、圧縮成形等の公知の方法を用いて成型される。例えば、線状;シート状;フィルム状;ブロック状;棒状;管状;被覆層、型物成形品等の形状等の種々の形状に成形することができる。
【0036】
本発明の電気抵抗体の発熱時における使用可能な温度範囲は、通常室温〜120℃程度、好ましくは室温〜70℃程度である。但し、ゴム原料として耐熱性のシリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いた電気抵抗体の場合は、通常室温〜220℃程度、好ましくは室温〜150℃程度の高温まで使用可能となる。
B.発熱体
本発明の発熱体は、上記の電気抵抗体の両端に電極を備えたものである。具体的には、図1に示すような電気抵抗体1と電極2からなるシート状発熱体3を例示できる。シート状発熱体3のシート部分の厚さは、その使用目的に応じて適宜選択しうるが、例えば、電機毛布や電気カーペット等の用途であれば、通常0.5μm〜5mm程度であればよい。シート状発熱体3のシート部分の大きさ(面積)についても、使用目的に応じて適宜選択が可能である。電極2の材質としては、例えば、スティンレス、銅、金、銀、アルミニウム等の導電性金属が挙げられ、その形状としては網状、平板状、棒状、箔状等のものが挙げられる。耐久性、コスト面等から、スティンレス金網が好ましい。
【0037】
本発明の発熱体の製造方法は、本発明の効果が奏される方法であれば特に限定されない。例えば、上述の電気抵抗体を成形した後に両電極を取り付けてもよいし、電気抵抗体の成形前のゴム原料と炭素原料の混合物中に電極を埋め込んでおきその後加硫成形してもよい。
【0038】
本発明の発熱体は、同一電力を通したニクロム系発熱体に比べて約1/100程度に電磁波中の磁界を低減化できる。
C.発熱装置
また、本発明の発熱装置は、上記のシート状発熱体2枚の間に絶縁体を介在させてなる発熱部材及び電源からなり、各シート状発熱体に流れる電流の位相が反転するように各シート状発熱体を配置したものである。
【0039】
発熱部材としては、具体的には図2又は図3に示されるような層状構造からなるものが例示される。図2は、2枚のシート状発熱体3の間に、発熱体間の絶縁状態を維持できる充分な大きさのシート状絶縁体4を挟んでなる発熱部材の側面図である。図3は、2枚のシート状発熱体3を各々2つの袋状絶縁体4’に入れて絶縁し、それらを重ね合わせてなる発熱部材の側面図である。
【0040】
本発明の発熱装置は、上記発熱部材と電源とを導線により接続することにより製造される。具体的には図4又は図5のような構成を有する発熱装置が例示される。図4(a)又は図4(b)の発熱装置は、図2の発熱部材を構成する二つの発熱体3の配線状態を変えたものである。また、図5(a)又は図5(b)の発熱装置は、図3の発熱部材を構成する二つの発熱体3の配線状態を変えたものである。図4及び図5では、2つのシート状発熱体3の各電極が電源(ここでは直流電源を使用)に接続され、2つのシート状発熱体3に流れる電流の向きが逆になるように、すなわち電流の位相が反転するよう2つのシート状発熱体3が配置されている。図4及び図5では、電源として直流電源を用いているが、交流、直流のいずれを用いてもよい。
【0041】
絶縁体の材質としては、例えば、電気抵抗率が1012 Ω・cm程度以上のもので、耐熱性があり、容易に破壊されないものである必要がある。具体的には、シェラック、ポリエステル樹脂、ポリエチレン(PE)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テフロン(登録商標)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリビニリデンクロライド(PVDC)等の有機高分子化合物、シリコーン、セラミックペーパー等の無機材料等が例示される。
【0042】
絶縁体の形状としては、図2の様な2枚のシート状発熱体3の間に介在させて絶縁状態を維持することができるシート状、フィルム状のものが挙げられる。その厚さは、通常1〜100μm程度であればよい。また、図3の様な各シート状発熱体3を被覆できる袋状のものであってもよい。
【0043】
上記の積層構造を有する発熱部材において、2枚のシート状発熱体3と絶縁体4又は4’の各層間は特に接着させる必要はないが、必要に応じ公知の接着性物質(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂類、クロロプレン、SBR等のゴム類、その他無機系接着性物質等)を介在させてもよい。
【0044】
本発明の発熱装置によれば、通電時に2枚のシート状発熱体から生じる磁界の向きが逆になり電磁波が互いに打ち消し合うため、1枚のシート状発熱体から生じる磁界に比して約半分に減少させることができる。さらに、電源を直流にすると交流に比べ電磁波の発生をほぼ半減させることが可能となる。これは、直流電流は電磁波の発生が一方向であるため、交流電流に対し制御が容易であり、電磁波の飛散が少ないためと考えられる。
D.用途
本発明は、上記の発熱装置及び温度調整器を備えた暖房器具をも提供する。その暖房器具としては、例えば、電気ストーブ、電気こたつ、電気毛布、電気カーペット、床暖房、トイレ暖房(便座暖房等)、遠赤外線暖房器具等が挙げられる。本発明の暖房器具は、電磁波中の磁界の発生が少なく人体に対しほとんど影響を与えないため、長時間にわたり使用する可能性の高い電気毛布、電気カーペット、床暖房等の寝具用暖房器具として好適に用いられる。
【0045】
さらに、本発明は、上記の発熱装置及び温度調整器を備えた生ゴミ処理器、孵卵器、土壌暖房(温室用等)等の広範な用途にも適用可能である。
【0046】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明らかにするが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0047】
実施例1
加硫前のEPDMゴム原料100重量部に対し、粒径0.5〜2μmの粒度分布をもつカーボンブラック30重量部、16メッシュパスの膨張黒鉛粉末42重量部、及び200メッシュパスの土壌黒鉛19重量部を配合して混合した後、硫黄0.5重量部、促進剤(EM−9−80E又はS−80E、三新化学工業(株)社製)1重量部、ポリエチレングリコール0.33重量部を加えて加硫して縦27cm,横27cm,厚さ1mmに成形した。この電気抵抗体の電気抵抗率は、56Ω・cmであった。
【0048】
このゴム状電気抵抗体の横方向の端に幅1.0cm、厚み0.1mm、のスティンレス金網を埋め込み電極とした。このときの見掛けの電気抵抗値は、88Ωであった。
【0049】
電極間に交流100Vの電圧をかけ、温度調整器にて表面温度を40℃にしたときの表面部分の磁界は、1.0mGであった。
【0050】
なお、磁界は磁気シールドルーム内において、交流及び直流のいずれも測定可能なトリフィールドメーターを用いて測定した。
【0051】
実施例2
加硫前のEPDMゴム原料100重量部に対し、粒径0.5〜2μmの粒度分布をもつカーボンブラック30重量部、16メッシュパスの膨張黒鉛粉末57重量部、及び200メッシュパスの鱗状黒鉛29重量部を配合する他は、実施例1と同様にして発熱体を作製した。電極間に交流24Vの電圧をかけ、表面温度を40℃にしたときの表面部分の磁界は、0.251mGであった。
【0052】
評価は実施例1と同様にして行った。
【0053】
実施例3
加硫前のEPDMゴム原料100重量部に対し、粒径0.5〜2μmの粒度分布をもつカーボンブラック30重量部、16メッシュの膨張黒鉛粉末83重量部、及び200メッシュの鱗状黒鉛43重量部を配合する他は、実施例1と同様にして発熱体を作製した。電極間に交流12Vの電圧をかけ、表面温度を40℃にしたときの磁界は、0.13mGであった。
【0054】
評価は実施例1と同様にして行った。
【0055】
実施例4
実施例1に記載の発熱体2枚の間にポリエステルフィルム(厚さ:約10〜50μm)を介在させ、2枚の発熱体に流れる電流の位相を反転させるように配置した。それぞれの発熱体に100Vとなるように並列に結線して、磁界を実施例1と同様に測定したところ、0.5mGであった。
【0056】
実施例5
電源に直流100Vを用いる以外は、実施例1と同様に行ったところ、磁界は、0.5mGであった。
【0057】
比較例1
市販のニクロム線(BS−T32型(可変式)、電子回路敷毛布「長さん」サンヨー電気(株)社製)からなる電気毛布に100Vの電圧時における実施例1と同一電力となるよう通電したときの発熱体の表面における磁界は、100mG以上であった。
【0058】
比較例2
電圧を交流24Vとする他は、比較例1と同様に行ったところ、発熱体の表面における磁界は、53mGであった。
【0059】
比較例3
電圧を交流12Vとする他は、比較例1と同様に行った発熱体の表面における磁界は、27mGであった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の電気抵抗体は、ゴム原料に膨張黒鉛等の炭素材料を配合し加硫成形したものである。この電気抵抗体は、従来のニクロム発熱体に比べて通電時に発生する電磁波中の磁界強度が1/100以下に低減化される。これは、膨張黒鉛を配合することによる誘電損失の増大(電波吸収体として望ましい性質の1つである)、シールド効果、電磁波の乱反射等により磁界の発生が低減されたためと考えられる。
【0061】
上記電気抵抗体と電極からなる本発明の発熱体2枚を、位相が反転するようにして配置した本発明の発熱装置においては、全体として2倍電力を消費するにもかかわらず、磁界強度が発熱体1枚の時より半減する。
【0062】
本発明の発熱装置に直流電源を用いた場合、交流電源を用いた場合より発生する磁界強度が半減する。
【0063】
線状の発熱体であるニクロム線は局部加熱方式を採用せざるを得ないため温度むらが生じ、使用に際しその上に絶縁体及びアルミ板等を敷いて温度の均一化を図る必要がある。一方で、本発明の発熱体はその形状を任意に成形することができ、例えば、シート状の形状に成形すれば温度むらなくシート全体を均一な温度で発熱させることができる。
【0064】
また、ニクロム線は局部加熱方式であるため温度むらが生じ、ニクロム線上は設定温度よりも高くなるため局部過熱により発火の危険性があるが、本発明の発熱体は、発熱体全体で均一な温度で発熱するため温度むらがなく安全性の点からも好ましい。
【0065】
本発明の発熱体は、通電時電磁波中の磁界強度が小さく人体、動物への影響がほとんどないと考えられるため、広く暖房器具、孵卵器、生ゴミ処理機等の発熱体として用いることができる。特に、寝具用暖房器具として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発熱体の一例を示す図である。
【図2】本発明の発熱部材の一例を示す図である。
【図3】本発明の発熱部材の一例を示す図である。
【図4】図2の発熱部材及び電源からなる発熱装置の構成を示す図である。
【図5】図3の発熱部材及び電源からな発熱装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 電気抵抗体
2 電極
3 シート状発熱体
4 シート状絶縁体
4’袋状絶縁体

Claims (13)

  1. ゴム原料に、膨張黒鉛、カーボンブラック、並びに土壌黒鉛及び/又は鱗状黒鉛を配合して混合した後、加硫して成形することを特徴とする電気抵抗体の製造方法。
  2. 電気抵抗率が10〜10−2 Ω・cmである電気抵抗体である請求項1に記載の製造方法。
  3. ゴム原料100重量部に対し、膨張黒鉛25〜70重量部、カーボンブラック30〜80重量部、並びに土壌黒鉛10〜45重量部及び/又は鱗状黒鉛25〜100重量部を配合することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. ゴム原料が、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、EPDM、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・酢ビゴム、クロロプレンゴム、ハイパロン、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、チオコール、シリコーンゴム、及びフッ素ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 膨張黒鉛、カーボンブラック、並びに土壌黒鉛及び/又は鱗状黒鉛が、それぞれ粉末状又は繊維状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 膨張黒鉛の平均粒子径が、カーボンブラックの平均粒子径、並びに土壌黒鉛及び/又は鱗状黒鉛の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法で得られる電気抵抗体。
  8. 請求項7に記載の電気抵抗体及び電極からなる発熱体。
  9. 発熱体の形状が、線状、シート状、ブロック状、らせん状、棒状、及び管状からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項8に記載の発熱体。
  10. 請求項9に記載のシート状発熱体2枚の間に絶縁体を介在させてなる発熱部材及び電源からなる発熱装置であり、各シート状発熱体に流れる電流の位相が反転するように各シート状発熱体を配置したことを特徴とする発熱装置。
  11. 電源が直流電源である請求項10に記載の発熱装置。
  12. 請求項10又は11に記載の発熱装置及びその温度調整器を備えてなる暖房器具。
  13. 暖房器具が寝具用暖房器具である請求項12に記載の暖房器具。
JP2002230784A 2002-08-08 2002-08-08 電磁波中の磁界の発生が少ない発熱体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3932425B2 (ja)

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