JP2004071249A - プラズマディスプレイ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対向配置した一方のガラス基板の内表面に電極を互いに平行に形成し、他方のガラス基板2の内表面に上記電極と直交する複数の隔壁8及び凹部7aを形成し、この凹部7aに2つの領域に画成する突部10を設け、この突部10により画成される2つの領域それぞれに、導電性粒子と水とを含むスラリーを所定時間静置して沈殿させた導電性粒子を熱処理し互いに接合させてなるアドレス電極11a、11bを形成し、これら2分割されたアドレス電極11a、11b上に誘電体層12及び蛍光体13を積層したことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイ及びその製造方法に係り、特に、高精細化、高輝度化により、デュアル駆動化が必要となるプラズマディスプレイに好適に用いられ、しかも、表示面の高品質化、構造の簡単化、製造工程の短縮化、製造設備のコスト低減、製品のコスト削減等が可能な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイビジョン用の大画面、高画質の表示デバイスとしてプラズマディスプレイ(PDP)が注目されている。
このプラズマディスプレイは、1対の透明基板を対向配置し、一方の透明基板の内表面に複数のストライプ状の第1の電極を形成するとともに、他方の透明基板の内表面に前記第1の電極に直交する複数のストライプ状の第2の電極を形成し、これら第2の電極間に隔壁を形成し、これら隔壁により画成された凹部を放電セルとした構造のもので、自然な階調表示が得られ、色再現性、応答性がよく、比較的安価に大型化ができるという様々な特徴を有する。
【0003】
一方、近年におけるプラズマディスプレイの高精細化、高輝度化により、デュアル駆動化が必要となってきている。そこで、アドレス電極を2分割し、分割されたアドレス電極それぞれに全く別のデータ信号を入力する方式のプラズマディスプレイが提案されている。
図12は、従来のアドレス電極を2分割した電極2分割方式のAC型プラズマディスプレイ(AC−PDP)を示す分解斜視図、図13はこのプラズマディスプレイの電極パターンの一例を示す平面図である。
【0004】
このプラズマディスプレイ100は、2枚のガラス基板(透明基板)101、102が互いに対向配置され、前面側のガラス基板102の内表面(ガラス基板101に対向する側の一主面)には、インジウム添加酸化スズ(ITO:IndiumTin Oxide)、SnO2等の透明導電材料からなるストライプ状の複数の走査電極(透明電極)104A及び維持電極104Bが互いに平行に形成され、これら走査電極104A及び維持電極104Bは透明な誘電体層103により覆われ、さらにこの誘電体層103は、MgO等からなる透明な保護膜(図示略)により覆われている。上記の走査電極104A及び維持電極104Bは、交互に配置されている。
【0005】
一方、背面側のガラス基板101の内表面(ガラス基板102に対向する側の一主面)には、ガス放電を行う空間である放電セル107を形成するために、上述した走査電極104A及び維持電極104Bと交差する方向に、所定の高さを有する複数の隔壁108がストライプ状に形成され、これらの隔壁108、108、…により凹部107aが形成され、これら隔壁108、108及び凹部107aにより囲まれた領域がガス放電を行う空間である溝状の放電セル107とされている。また、隔壁108はガラス基板101と一体形成されている。
それぞれの凹部107aには、上述した走査電極104A及び維持電極104Bに直交しかつ中央部で2つに分割されたストライプ状のアドレス電極106a、106bが形成され、これら2つに分割されたアドレス電極106a、106bは反射率の高い誘電体層105で覆われ、この誘電体層105上には、3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)のうちいずれかの色を発光する蛍光体109が積層されている。
【0006】
そして、これらガラス基板101、102を互いに対向させて、各放電セル107、107、…の内部に147nmのXe共鳴放射光を利用するNe−Xe、He−Xe等の混合ガスを封入した状態で、周囲をシールガラス等により封着した構成になっている。
なお、アドレス電極106a、106bとしては、従来、Agペースト、Cr−Cu−Cr積層膜等の導電材料が用いられてきたが、近年、Agペーストに替わりAgシートを用いたプラズマディスプレイが提案されている。
【0007】
次に、このプラズマディスプレイの製造方法について説明する。
まず、蒸着法、スパッタ法等の薄膜形成技術を用いて、平板状のガラス基板102の内表面全面にITO、SnO2等の導電材料を成膜し、この導電材料をフォトリソグラフィによりパターン化してストライプ状の走査電極104A、…及び維持電極104B、…とする。
次いで、これら走査電極104A、…及び維持電極104B、…が形成されたガラス基板102上に誘電体材料を塗布し、その後所定の温度で焼成して透明な誘電体層103とする。さらに、この誘電体層103上にMgO等を主成分とする保護膜材料を塗布し、その後所定の温度で焼成して透明な保護膜(図示略)とする。
【0008】
また、図14(a)に示すように、放電セル107を形成するために、平板状のガラス基板101の内表面に、サンドブラスト法等により所定の深さの凹部107aを切削する。この凹部107aの両側は切削されずに残り、所定の高さを有する隔壁108、108となる。これにより、隔壁108、108及び凹部107aにより放電セル107となる領域が画成される。
次いで、図14(b)に示すように、このガラス基板101の内表面全面に、加圧ローラ等を用いて、銀(Ag)シート(電極シート)111を減圧下で押圧し、このAgシート111を凹部107a及び隔壁108に沿うように塑性変形させる。
【0009】
次いで、図14(c)に示すように、フォトリソグラフィにより、所定のパターンを有するフォトマスク112を用いてAgシート111をパターニングし、図14(d)に示すストライプ状のアドレス電極106a(106b)とする。次いで、スクリーン印刷法あるいはロールコータ法等により、放電セル107、107、…の内側、すなわち隔壁108、108及び凹部107aの内側に、反射率の高い誘電体材料を塗布し、その後所定の温度にて焼成し、誘電体層105とする。
【0010】
次いで、この誘電体層105上に、3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)に対応するペースト状の蛍光体材料を塗布し、その後乾燥・焼成し、蛍光体109とする。
その後、これらのガラス基板101、102を対向配置してガラス基板101、102同士を貼り合わせ、各放電セル107、107、…の内部にNe−Xe、He−Xe等の混合ガスを封入し、周囲をシールガラス等により封着する。
以上により、プラズマディスプレイ100を得ることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の電極2分割方式のプラズマディスプレイ100においては、フォトリソグラフィ法により、Agシート、Agペースト、Cr−Cu−Cr積層膜等の導電材料をパターニングすることでアドレス電極106a、106bを形成していたために、導電材料のコストが高い分、製造コストが高くなり、得られた製品のコストも高くなり、したがって、高精細化、高輝度化によりデュアル駆動化が必要となるプラズマディスプレイに速やかに対応することが難しいという問題点があった。
また、フォトリソグラフィ法を用いた場合、設備が高価なものとなり、製造工程も長くなるという問題点があった。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、高精細化、高輝度化により、デュアル駆動化が必要となるプラズマディスプレイに速やかに対応することができ、しかも、構造の簡単化、製造工程の短縮化、製造設備のコスト低減、製品のコスト削減等を図ることができるプラズマディスプレイ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のようなプラズマディスプレイ及びその製造方法を採用した。
すなわち、本発明の請求項1記載のプラズマディスプレイは、1対の透明基板が互いに対向配置され、これらの透明基板のうち一方の透明基板の一主面に複数のストライプ状の第1の電極が互いに平行に形成されるとともに、他方の透明基板の対向する側の一主面に前記第1の電極に直交する複数のストライプ状の第2の電極が互いに平行に形成され、これら第2の電極それぞれの間には隔壁が形成され、これら隔壁により画成されたそれぞれの凹部が放電セルとされたプラズマディスプレイにおいて、前記凹部に、この凹部を複数の領域に画成する突部を1つ以上設け、該突部により画成される領域それぞれに、導電性粒子を含む導電性液状物質を静置することにより沈降した導電性粒子同士を熱処理により互いに接合してなる第2の電極を形成してなることを特徴とする。
【0014】
このプラズマディスプレイでは、放電セルとされる凹部に、この凹部を複数の領域に画成する突部を1つ以上設け、この突部により画成される領域それぞれに、導電性粒子を含む導電性液状物質を静置することにより沈降した導電性粒子同士を熱処理により互いに接合してなる第2の電極を形成したことにより、複数に分割された第2の電極それぞれの領域における放電のばらつきが小さくなり、画素領域の表示むらが小さくなり、表示面における表示品質が向上する。
【0015】
請求項2記載のプラズマディスプレイは、請求項1記載のプラズマディスプレイにおいて、前記突部の高さは、前記凹部の深さの20%〜100%であることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載のプラズマディスプレイの製造方法は、透明基板の一主面に、凹部形成用の開口の一部が前記凹部を複数の領域に画成する1つ以上の突部を形成するための狭窄部または遮蔽部を1つ以上有するレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、前記レジスト膜を用いて前記透明基板の一主面に前記凹部及び前記突部を形成する凹部形成工程と、この凹部に導電性粒子を含む導電性液状物質を供給する導電性液状物質供給工程と、この導電性液状物質を静置させてその中に含まれる導電性粒子を沈降させ、この導電性粒子を熱処理し、前記突部により画成される前記凹部の複数の領域それぞれに第2の電極を形成する電極形成工程とを備えてなることを特徴とする。
【0017】
この製造方法では、透明基板の一主面に、凹部形成用の開口の一部が前記凹部を複数の領域に画成する1つ以上の突部を形成するための狭窄部を1つ以上有するレジスト膜を形成し、前記レジスト膜を用いて前記透明基板の一主面に前記凹部、及び該凹部を複数の領域に画成する1つ以上の突部をそれぞれ形成する。この凹部形成工程では、前記狭窄部をマスクとして触刻される部分の深さは、この狭窄部以外の部分をマスクとして触刻される部分の深さより浅いものとなり、その結果、凹部内に、該凹部より浅いストライプ状の部分、すなわち突部が形成されることとなる。
【0018】
その後、この突部が形成された凹部に導電性粒子を含む導電性液状物質を供給し、この導電性液状物質を静置させてその中に含まれる導電性粒子を沈降させれば、この導電性粒子は突部には堆積されず、この突部により画成される複数の領域のみに堆積されることとなる。これにより、従来のフォトリソグラフィ法と比べて簡単な工程で、前記凹部の画成された複数の領域それぞれに第2の電極を形成することができ、製造工程の短縮化、製品のコスト削減を図ることができる。また、上記の工程は、製造設備が簡単なものであるから、従来のフォトリソグラフィ装置に比べて安価であり、製造設備のコスト低減を図ることが可能である。
【0019】
請求項4記載のプラズマディスプレイの製造方法は、請求項3記載のプラズマディスプレイの製造方法において、前記レジスト膜形成工程の前に、透明基板の一主面に前記導電性液状物質に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程を備えることを特徴とする。
【0020】
この製造方法では、前記レジスト膜形成工程の前に、透明基板の一主面に前記導電性液状物質に対して撥液性を有する撥液層を形成することにより、前記凹部を形成した後には、この凹部の側壁部分の上端部のみに撥液層が残ることとなる。この撥液層は、前記導電性液状物質に対して撥液性を有するので、前記導電性液状物質が前記凹部の上端部に残ることがない。
【0021】
請求項5記載のプラズマディスプレイの製造方法は、請求項3または4記載のプラズマディスプレイの製造方法において、前記導電性液状物質供給工程は、前記透明基板の一主面に前記導電性液状物質を塗布することにより、前記凹部に前記導電性液状物質を充填する工程であることを特徴とする。
【0022】
請求項6記載のプラズマディスプレイの製造方法は、請求項3または4記載のプラズマディスプレイの製造方法において、前記導電性液状物質供給工程は、前記導電性液状物質を供給する供給手段を用いて、前記凹部に前記導電性液状物質を充填する工程であることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明のプラズマディスプレイ及びその製造方法の一実施の形態について図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態のプラズマディスプレイを示す部分分解斜視図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は本実施形態のプラズマディスプレイの背面側のガラス基板の上面を示す平面図である。なお、図1〜図3に示すプラズマディスプレイは一例であり、本発明はこのプラズマディスプレイに限定されるものではない。
【0024】
このプラズマディスプレイ1は、1対のガラス基板(透明基板)2、3が互いに対向配置され、前面側のガラス基板3の内表面(ガラス基板2に対向する側の一主面)には、インジウム添加酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、SnO2等の透明導電材料からなるストライプ状の走査電極(第1の電極)4A及び維持電極4Bが互いに平行に形成され、これら走査電極4A及び維持電極4Bは透明な誘電体層5により覆われ、さらにこの誘電体層5は、MgO等からなる透明な保護膜(図示略)により覆われている。
なお、このガラス基板3の内表面においては、走査電極4A及び維持電極4Bは、互いに平行にかつ交互に形成されている。
【0025】
一方、背面側のガラス基板2の内表面(ガラス基板3に対向する側の一主面)には、ガス放電を行う空間である放電セル7を形成するために、上述した走査電極4A及び維持電極4Bの延在方向と交差する方向に、所定の高さを有する複数の隔壁8がストライプ状に形成され、これらの隔壁8、8、…により挟まれる領域が凹部7aとされ、これら隔壁8、8及び凹部7aにより囲まれた空間領域がガス放電を行う空間である溝状の放電セル7とされている。
隔壁8、8、…は、ガラス基板2とは異なる別部材により構成されていてもよいが、プラズマディスプレイ1の製造工程を簡略化するために、図1に示すように、ガラス基板2と一体形成されていることが望ましい。
【0026】
各放電セル7内、すなわち凹部7aの中央部の底面には、この凹部7aを2つの領域に画成する断面三角形状のストライプ状の突部10が、この凹部7aを横断するように形成され、この突部10により画成される2つの領域それぞれには、上述した走査電極4A及び維持電極4Bに直交しかつ凹部7aの底面に沿う帯状のアドレス電極(第2の電極)11a及び11bが形成され、これらアドレス電極11a、11bは反射率の高い誘電体層12で覆われ、各誘電体層12上には、3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)のうちいずれかの色を発光する蛍光体13が積層されている。
この突部10の凹部7aの底面からの高さは、隔壁8の上面から凹部7aの底面までの深さの20〜100%である。
【0027】
これらのアドレス電極11a、11bは、凹部7a内に、少なくとも導電性粒子と、ガラスフリットと、水と、バインダー樹脂と、分散剤を含有するスラリー(導電性液状物質)を充填し、次いで、所定時間静置することにより、凹部7a内の突部10により画成される2つの領域それぞれに、上記の導電性粒子を沈降させ、次いで、所定の温度で所定時間熱処理し、この沈降した導電性粒子同士を互いに接合させることにより得られる。
【0028】
導電性粒子としては、例えば、平均粒径が0.05〜5.0μm、好ましくは0.1〜2.0μmの、Ag粒子あるいはAg合金粒子が好適に用いられる。
また、ガラスフリットとしては、電極の特性に影響を及ぼさないものであれば良く、例えば、平均粒径が0.1〜5.0μm、好ましくは0.1〜2.0μmの、硼珪酸鉛ガラス、硼珪酸亜鉛ガラス、硼珪酸ビスマスガラス等が好適に用いられる。
【0029】
そして、これらガラス基板2、3を互いに対向させて、各放電セル7、7、…の内部に147nmのXe共鳴放射光を利用するNe−Xe、He−Xe等の混合ガスを封入した状態で、周囲をシールガラス等により封着した構成になっている。
【0030】
このプラズマディスプレイ1では、走査電極4A、…、維持電極4B、…およびアドレス電極11a、11bの一方の端部は、それぞれ外部に引き出されており、これらに接続された端子に選択的に電圧を印加することで、選択的に放電セル7、7、…内の走査電極4A及び維持電極4Bとアドレス電極11a、11bとの間に放電を発生させ、この放電により放電セル7内の蛍光体13からの励起光を外部(観察者側)に表示するようになっている。なお、このときの発光面は、放電セル7に面した蛍光体13の表面部分となる。
【0031】
次に、本実施形態のプラズマディスプレイ1の製造方法について図4〜図9に基づき説明する。
なお、図4〜図6は、本実施形態のプラズマディスプレイ1の製造方法を示す過程図であり、図1中のB−B線に沿う部分概略断面図により説明している。 また、以下に記載の製造方法は、本発明の製造方法の一例であって、本発明は以下に記載のものに限定されるものではない。
【0032】
まず、図4(a)に示すように、ソーダライムガラス等からなるガラス基板(透明基板)21を有機溶剤を用いて洗浄し、乾燥させた後、このガラス基板21の全面に、後述するスラリー(導電性液状物質)に対して撥水性(撥液性)を有する酸化ケイ素膜(撥液層)22を形成する。
この酸化ケイ素膜22は、シリコンテトラエトキシド(Si(OC2H5)4)等のアルコキシドを塗布し、その後、所定の温度で熱処理することにより形成することができる。
【0033】
次いで、図4(b)に示すように、この酸化ケイ素膜22の全面にフォトレジスト(レジスト膜)23を形成する。フォトレジスト23としては、サンドブラスト法では切削され難い材料が良く、例えば、圧着等により簡単に形成することができるドライフィルムレジスト等が好適である。
次いで、図4(c)に示すように、このフォトレジスト23上に、隔壁8の上面の位置及び形状、及びストライプ状の突部10の位置及び形状に対応したパターン、すなわち後述する開口部26の位置及び形状及び狭窄部27の位置及び形状に対応したパターンを有するフォトマスク25を配置し、このフォトマスク25を介してフォトレジスト23を露光する。
【0034】
その後、フォトレジスト23を現像し、図4(d)及び図7に示すように、凹部7aを形成するための開口部26と、凹部7aを2つの領域に画成する突部10を形成するための前記開口部26より幅の狭い狭窄部27とを有するフォトレジスト(レジスト膜)28とする。
このフォトレジスト28では、開口部26の幅W11及び狭窄部27の幅W12は、形成すべき凹部7aの幅(W1)及び深さ(d)、及び突部10の幅(W2)及び高さ(h)と、サンドブラスト法によるエッチング条件から一義的に決定される。
【0035】
サンドブラスト法によるエッチングでは、開口部26の幅(W11)が決まると、凹部7aの幅(W1)も一義的に決まる。また、狭窄部27の幅(W12)が決まると、突部10の幅(W2)も一義的に決まる。
また、サンドブラスト法のエッチング条件が設定されれば、この条件と開口部26の幅(W11)により凹部7aの幅(W1)及び深さ(d)が一義的に決まり、上記の条件と狭窄部27の幅(W12)により、突部10の幅(W2)及び高さ(h)が一義的に決まる。
したがって、このフォトレジスト28の開口部26の幅(W11)と狭窄部27の幅(W12)は、凹部7aの幅(W1)及び深さ(d)と、突部10の幅(W2)及び高さ(h)と、サンドブラスト法のエッチング条件を基に決定されることとなる。
【0036】
次いで、サンドブラスト法を用いて、フォトレジスト28の開口部26及び狭窄部27に露出している酸化ケイ素膜22及びガラス基板21をエッチングする。
これにより、図4(e)に示すように、凹部7a及び隔壁8、8で囲まれた領域である放電セル7が形成されるとともに、凹部7aを2つの領域に画成する突部10も形成される。
なお、酸化ケイ素膜22は、フォトレジスト28の開口部26及び狭窄部27に露出している部分がエッチングされるので、隔壁8、8上のみに残ることとなる。これら隔壁8、8は、狭窄部27に対応する箇所が拡幅されたストライプ状となる。
【0037】
このサンドブラスト法においては、ガラス基板21の材質がソーダライムガラス等であるから、切削用粉末としては、充分な切削力を有する炭化ケイ素(SiC)粉末、あるいはアルミナ(Al2O3)粉末を使用することが好ましい。
この場合、切削力の強い炭化ケイ素(SiC)粉末、あるいはアルミナ(Al2O3)粉末に対応するために、フォトレジスト28としては、固化した後も弾性を有する材質のものを採用するのが好ましく、さらには、酸化ケイ素膜22に対する接着力およびサンドブラスト法に対する耐切削性の高さを基に、ドライフィルムレジストを選択するのが好ましい。
【0038】
次いで、フォトレジスト28を剥離し、その後乾燥させることにより、図4(f)、図8及び図9に示すように、内表面に、凹部7a及び隔壁8、8で囲まれた放電セル7領域が形成されるとともに、凹部7aを2つの領域に画成する突部10が形成され、さらに隔壁8、8、…の狭窄部27に対応する箇所が拡幅されたガラス基板21を得ることができる。
【0039】
次いで、図5(g)に示すように、ディスペンサー(供給手段)31を用いて、凹部7aに水系のスラリー(導電性液状物質)32を充填する。
ディスペンサー31の替わりに、インクジェットノズル、噴霧ノズル、等を用いてもよく、ディップ法を用いてもよい。
充填方法としては、ディスペンサー31あるいはインクジェットノズルを用いて、凹部7a1つ1つに対して逐一充填する方法が好適である。
ここでは、隔壁8、8の上面に酸化ケイ素膜22が形成されているので、スラリー32は、隔壁8、8の上端部に付着したとしても、酸化ケイ素膜22の撥水性により弾かれ、隔壁8、8の上端部に残ることはない。
【0040】
このスラリー32は、少なくとも導電性粒子と、ガラスフリットと、水と、バインダー樹脂と、分散剤を含有する液状の物質である。
導電性粒子としては、所定の温度で熱処理することによりガラスフリットと接合一体化するものが好ましく、例えば、平均粒径が0.05〜5.0μm、好ましくは0.1〜2.0μmの、Ag粒子あるいはAg合金粒子が好適に用いられる。
【0041】
また、ガラスフリットとしては、上記の導電性粒子と濡れ性が良く、しかも420〜490℃で溶融するものが好ましく、例えば、平均粒径が0.1〜5.0μm、好ましくは0.1〜2.0μmの、硼珪酸鉛ガラス、硼珪酸亜鉛ガラス、硼珪酸ビスマスガラス等が好適に用いられる。
【0042】
次いで、図5(h)に示すように、スラリー32を所定時間静置し、スラリー32中の導電性粒子及びガラスフリットを沈降させる。これにより、凹部7aの底部に、導電性粒子及びガラスフリットの混合物である導電体混合粉33が沈殿する。
この場合、凹部7aは突部10により2つの領域に画成されているので、この突部10上に沈降した導電体混合粉33は、突部10の両側に流れ落ちて凹部7aの画成された2つの領域に沈降することとなり、突部10上に残留することはない。
【0043】
その後、図5(i)に示すように、導電体混合粉33を所定の温度で所定時間熱処理することにより、導電性粒子とガラスフリットが強固に接合した導電材料からなるアドレス電極11a(11b)が得られる。
熱処理条件としては、大気中で、300〜600℃、5〜60分が好ましい。
【0044】
次いで、図6(j)に示すように、このアドレス電極11a(11b)を含む凹部7a及び隔壁8、8の全面に、誘電体層12を形成する。
この誘電体層12は、スパッタ法、CVD法等の成膜方法により形成してもよく、誘電体シートを用いて形成してもよい。誘電体シートを用いた場合、工程が簡略化されるため、製造コストの低減を図ることができる。
次いで、図6(k)に示すように、凹部7a及び隔壁8、8の内面、すなわち放電セル7の内面の誘電体層12上に、3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)に対応するペースト状の蛍光体材料を塗布し、その後乾燥・焼成し、蛍光体13とする。
以上により、背面側のガラス基板2を作製することができる。
【0045】
一方、ガラス基板の内表面(ガラス基板2に対向する側の一主面)に、インジウム添加酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、SnO2等の透明導電材料からなるストライプ状の複数の走査電極4A及び維持電極4B、透明な誘電体層5、透明な保護膜(図示略)を順次積層し、前面側のガラス基板3を作製する。
ここで、走査電極4A及び維持電極4B、誘電体層5は、上述したアドレス電極11及び誘電体層12の形成方法と同様の方法により形成しても良く、その他の公知の方法を用いて形成してもよい。
【0046】
その後、これらのガラス基板2、3を対向配置してガラス基板2、3同士を貼り合わせ、各放電セル7、7、…の内部にNe−Xe、He−Xe等の混合ガスを封入し、周囲をシールガラス等により封着する。
以上により、プラズマディスプレイ1を作製することができる。
【0047】
図10は、本実施形態のプラズマディスプレイ1の製造方法にて用いられるフォトレジスト(レジスト膜)のパターンの変形例を示す平面図であり、このフォトレジスト(レジスト膜)41は、凹部7aを形成するための開口部26と、凹部7aを2つの領域に画成する突部を形成するための前記開口部26より幅の狭い一対の狭窄部42、42とを有している。
このフォトレジスト31においても、開口部26の幅W11及び狭窄部42、42の幅W13は、形成すべき凹部7aの幅(W1)及び深さ(d)、及び突部10の幅(W2)及び高さ(h)と、サンドブラスト法によるエッチング条件から一義的に決定される。
【0048】
図11は、本実施形態のプラズマディスプレイ1の製造方法にて用いられるフォトレジスト(レジスト膜)のパターンの他の変形例を示す平面図であり、このフォトレジスト(レジスト膜)51は、凹部7aを形成するための開口部26が、凹部7aを2つの領域に画成する突部を形成するための幅の狭い帯状の遮蔽部52により2つの領域に分割されている。
このフォトレジスト41においても、開口部26の幅W11及び遮蔽部52の幅W14は、形成すべき凹部7aの幅(W1)及び深さ(d)、及び突部10の幅(W2)及び高さ(h)と、サンドブラスト法によるエッチング条件から一義的に決定される。
【0049】
このフォトレジスト41を用いれば、突部10の凹部7aの底面からの高さを、隔壁8の上面から凹部7aの底面までの深さと等しくすることができ、凹部7aを、それと同じ高さの突部10により複数の領域に完全に分割することができる。
【0050】
本実施形態のプラズマディスプレイ1によれば、ガラス基板2の内表面に形成された凹部7a内に、走査電極4A及び維持電極4Bに直交しかつ凹部7aの底面に沿う2分割された帯状のアドレス電極11a、11bを形成し、これらのアドレス電極11a、11bを、凹部7a内に少なくとも導電性粒子と、ガラスフリットと、水と、バインダー樹脂と、分散剤を含有するスラリー32を充填し、導電性粒子及びガラスフリットからなる導電体混合粉33を沈降させ、所定の温度で所定時間熱処理することで導電体混合粉33同士を互いに接合させることとしたので、アドレス電極11a、11bそれぞれの領域における放電のばらつきを小さくすることができ、画素領域の表示むらを小さくすることができ、表示面における表示品質を向上させることができる。
【0051】
本実施形態のプラズマディスプレイ1の製造方法によれば、ガラス基板21上に、凹部7aを形成するための開口部26と、凹部7aを2つの領域に画成する突部10を形成するための狭窄部27とを有するフォトレジスト28を形成し、このフォトレジスト28を用いて凹部7a及び隔壁8、8で囲まれた放電セル7領域及び凹部7aを2つの領域に画成する突部10を有するガラス基板21を作製し、この凹部7aに水系のスラリー32を充填し、このスラリー32を所定時間静置して、スラリー32中の導電性粒子及びガラスフリットを沈降させて導電体混合粉33とし、この導電体混合粉33を熱処理して2分割されたアドレス電極11a、11bとするので、簡単な工程で、凹部7aの画成された2つの領域にアドレス電極11a、11bを形成することができ、製造工程の短縮化、製品のコスト削減を図ることができる。
また、この製造方法は、製造設備が簡単かつ安価であるから、製造設備のコスト低減を図ることができる。
【0052】
以上、本発明の一実施の形態について図面に基づき説明してきたが、具体的な構成は上述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計の変更等が可能である。
例えば、本実施形態では、凹部7aの中央部の底面に、この凹部7aを2つの領域に画成する突部10を形成したが、凹部7aの複数箇所の底面に突部10を形成し、この凹部7aを複数の領域に画成する構成としてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明のプラズマディスプレイによれば、隔壁により画成された凹部に、この凹部を複数の領域に画成する突部を1つ以上設け、該突部により画成される領域それぞれに、導電性粒子を含む導電性液状物質を静置することにより沈降した導電性粒子同士を熱処理により互いに接合してなる第2の電極を形成したので、複数に分割された第2の電極それぞれの領域における放電のばらつきを小さくすることができ、画素領域の表示むらを小さくすることができ、表示面における表示品質を向上させることができる。したがって、高精細化、高輝度化によりデュアル駆動化が必要となるプラズマディスプレイに速やかに対応することができる。
【0054】
本発明のプラズマディスプレイの製造方法によれば、透明基板の一主面に、凹部形成用の開口の一部が前記凹部を複数の領域に画成する1つ以上の突部を形成するための狭窄部または遮蔽部を1つ以上有するレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、前記レジスト膜を用いて前記透明基板の一主面に前記凹部及び前記突部を形成する凹部形成工程と、この凹部に導電性粒子を含む導電性液状物質を供給する導電性液状物質供給工程と、この導電性液状物質を静置させてその中に含まれる導電性粒子を沈降させ、この導電性粒子を熱処理し、前記突部により画成される前記凹部の複数の領域それぞれに第2の電極を形成する電極形成工程とを備えたので、簡単な工程で、前記凹部の画成された複数の領域それぞれに第2の電極を形成することができ、製造工程の短縮化、製品のコスト削減を図ることができる。
また、この製造方法は、製造設備が簡単なものであるから、製造設備のコスト低減を図ることができる。
【0055】
また、前記凹部形成工程の前に、透明基板の一主面に前記導電性液状物質に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程を備えることとすれば、この凹部の側壁部分の上端部のみに残った撥液層が前記導電性液状物質を弾くので、導電性液状物質が前記凹部の上端部に残る虞がなくなり、信頼性の高い電極を作製することができ、高品質のプラズマディスプレイを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のプラズマディスプレイを示す部分分解斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態のプラズマディスプレイの背面側のガラス基板の上面を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態のプラズマディスプレイの製造方法を示す過程図である。
【図5】本発明の一実施の形態のプラズマディスプレイの製造方法を示す過程図である。
【図6】本発明の一実施の形態のプラズマディスプレイの製造方法を示す過程図である。
【図7】本発明の一実施の形態のプラズマディスプレイの製造方法にて用いられるフォトレジストのパターンを示す平面図である。
【図8】本発明の一実施の形態のプラズマディスプレイの製造方法にて得られたガラス基板を示す平面図である。
【図9】図8のC−C線に沿う断面図である。
【図10】本発明の一実施の形態のプラズマディスプレイの製造方法にて用いられるフォトレジストのパターンの変形例を示す平面図である。
【図11】本発明の一実施の形態のプラズマディスプレイの製造方法にて用いられるフォトレジストのパターンの他の変形例を示す平面図である。
【図12】従来のプラズマディスプレイを示す部分分解斜視図である。
【図13】従来のプラズマディスプレイの電極パターンの一例を示す平面図である。
【図14】従来のプラズマディスプレイの製造方法を示す過程図である。
【符号の説明】
1 プラズマディスプレイ
2、3 ガラス基板(透明基板)
4A 走査電極(第1の電極)
4B 維持電極
5 誘電体層
7 放電セル
7a 凹部
8 隔壁
10 突部
11a、11b アドレス電極(第2の電極)
12 誘電体層
13 蛍光体
21 ガラス基板(透明基板)
22 酸化ケイ素膜(撥液層)
23、28 フォトレジスト
25 フォトマスク
26 開口部
27 狭窄部
31 ディスペンサー(供給手段)
32 スラリー(導電性液状物質)
33 導電体混合粉
41 フォトレジスト(レジスト膜)
42 狭窄部
51 フォトレジスト(レジスト膜)
52 遮蔽部
Claims (6)
- 1対の透明基板が互いに対向配置され、これらの透明基板のうち一方の透明基板の一主面に複数のストライプ状の第1の電極が互いに平行に形成されるとともに、他方の透明基板の対向する側の一主面に前記第1の電極に直交する複数のストライプ状の第2の電極が互いに平行に形成され、これら第2の電極それぞれの間には隔壁が形成され、これら隔壁により画成されたそれぞれの凹部が放電セルとされたプラズマディスプレイにおいて、
前記凹部に、この凹部を複数の領域に画成する突部を1つ以上設け、
該突部により画成される領域それぞれに、導電性粒子を含む導電性液状物質を静置することにより沈降した導電性粒子同士を熱処理により互いに接合してなる第2の電極を形成してなることを特徴とするプラズマディスプレイ。 - 前記突部の高さは、前記凹部の深さの20%〜100%であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ。
- 透明基板の一主面に、凹部形成用の開口の一部が前記凹部を複数の領域に画成する1つ以上の突部を形成するための狭窄部または遮蔽部を1つ以上有するレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、前記レジスト膜を用いて前記透明基板の一主面に前記凹部及び前記突部を形成する凹部形成工程と、この凹部に導電性粒子を含む導電性液状物質を供給する導電性液状物質供給工程と、この導電性液状物質を静置させてその中に含まれる導電性粒子を沈降させ、この導電性粒子を熱処理し、前記突部により画成される前記凹部の複数の領域それぞれに第2の電極を形成する電極形成工程とを備えてなることを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法。
- 前記レジスト膜形成工程の前に、透明基板の一主面に前記導電性液状物質に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程を備えることを特徴とする請求項3記載のプラズマディスプレイの製造方法。
- 前記導電性液状物質供給工程は、前記透明基板の一主面に前記導電性液状物質を塗布することにより、前記凹部に前記導電性液状物質を充填する工程であることを特徴とする請求項3または4記載のプラズマディスプレイの製造方法。
- 前記導電性液状物質供給工程は、前記導電性液状物質を供給する供給手段を用いて、前記凹部に前記導電性液状物質を充填する工程であることを特徴とする請求項3または4記載のプラズマディスプレイの製造方法。
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