JP2004069509A - 検体搬送容器 - Google Patents

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Ikuo Matsuyama
松山 郁生
Akira Tsuji
辻 章
Yoshiyuki Sunaga
須永 芳幸
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YANASE SANGYOSHA KK
Atleta Inc
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YANASE SANGYOSHA KK
Atleta Inc
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Abstract

【課題】搬送された検体の容器からの取り出し作業を容易にする新規な容器を提案する。
【解決手段】検体の搬送に供する検体搬送容器1であって、上面が開放されて検体を収容する収容室が形成されると共に、収容室内と外部とを連通する複数の連通孔26が形成された収容体20と、該収容体20の収容室の上面開口を開閉するカバー体と、収容室に設けられて検体を保持する紙片と、収容体20の取り入れ及び取り出しが自在な出入口が形成されて収容体20を検体の保存液と共に収納する容器本体50と、該容器本体50の出入口51を開閉するキャップ60とを備える。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、組織片等の検体の搬送に供する検体搬送容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、病院において患者の体から臓器等の組織片を検体として採取し、その検体を病院から検査施設へ搬送して詳しく検査することが行われている。従来より、検体を搬送するときには、次に示すように、該検体を密閉可能な容器に保存するようにしている。
【0003】
まず、例えば、6種類の検体を搬送する場合には、1枚の乾いた濾紙に1から6までの番号を記載する。次に、各検体を各番号が付された濾紙上に載置する。濾紙が乾いているため、検体は該濾紙に貼り付いて保持される。一方、例えばスピッツやスクリュー管瓶等の密閉可能な蓋付の容器を利用し、その容器に検体を保存するための保存液である20%ホルマリン溶液を注ぎ入れる。続いて、各検体が貼り付けられた濾紙を上記容器内へ収納すると共に容器内を蓋により密閉することで、検体を容器内のホルマリン溶液中に保存する。このようにして、検体を、容器内に収納した状態で病院から検査施設へ搬送するようにしている。
【0004】
ところで、検査施設では、搬送されてきた検体を顕微鏡で観察できるようにするために、該検体に対して公知の方法により脱水処理や包埋処理を行うようにしている。すなわち、まず、上記容器から各検体を取り出して、図22に示すような公知の包埋カセット90の各収容室内へ移す。
【0005】
上記包埋カセット90は、上面が開放した箱状のカセット本体91と、該カセット本体91の上面を開閉する蓋92とを備えている。上記カセット本体91には、上方に開口する例えば6つの収容室が区画されている。また、カセット本体91及び蓋92には、その収容室内と外部とを連通する多数の連通孔94が形成されている。蓋92は、その基端部95がカセット本体91に回動自在に接続されてカセット本体91と一体形成されている。そして、蓋92の先端が基端部95周りに回動してカセット本体91の上面に接触した際に、蓋92は、その先端側の係止部でカセット本体91に係止されるようになっている。
【0006】
次に、検体を収納した包埋カセット90を、公知の自動包埋装置にセットする。この自動包埋装置において、包埋カセット90をエチルアルコール溶液中に入れて検体の脱水処理を行う。続いて、検体に含まれるエチルアルコールをキシレンに置換した後、液状パラフィンを浸透させる。
【0007】
その後、包埋カセット90から検体を取り出して、所定量の液状パラフィンが予め溜めらたステンレス製の包埋皿に並べる。そして、該包埋皿上の検体の上に上記包埋カセット90を載置し、該包埋カセット90の上方から液状パラフィンを注ぎ足すことで、包埋処理を行う。そして、上記パラフィンを、包埋カセット90の底に付着した状態で冷却固化することで検体を包埋したブロックとし、このブロックをスライスしてスライドグラスにのせる。続いて、スライスされた検体を乾燥した後に染色してパラフィンを除去し、顕微鏡により観察して検査を行う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のものでは、検体を搬送するために、搬送以外の他の用途に使用するスピッツ等の容器を利用しており、検体の搬送のための専用の容器自体がなかった。
【0009】
さらに、検体がその搬送中に濾紙から剥がれる虞れがある。その結果、検体が容器内の保存液中で浮遊するため、該検体を容器から取り出す作業が難しくなるという問題もある。
【0010】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的とするところは、検体の搬送に供する新規な容器を提案することで、搬送された検体の容器からの取り出し作業を容易にしようとすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、所定の収容室内に検体を収容した状態で、該検体を保存液と共に容器内に収納して搬送するようにした。
【0012】
具体的に、請求項1に係る発明は、上面が開放されて検体を収容する収容室が形成されると共に、上記収容室内と外部とを連通する複数の連通孔が形成された収容体と、上記収容体の収容室の上面開口を開閉するカバー体と、上記収容体の収容室に設けられて検体を保持する保持部材と、上記収容体の取り入れ及び取り出しが自在な出入口が形成されて該収容体を検体の保存液と共に収納する容器本体と、上記容器本体の出入口を開閉するキャップとを備えている。
【0013】
上記の発明によると、まず、病院では、容器本体からキャップを取り外して収容体を取り出す。そして、収容体の収容室を閉鎖しているカバー体を移動させて該収容室内を開放する。その後、患者から採取された検体は、収容室内に収容されて保持部材により保持される。続いて、カバー体を移動させて収容室内を閉鎖する。また、容器本体に例えば20%ホルマリン溶液等の保存液を注入して収納する。さらに、容器本体に収容体を取り入れて収納し、該容器本体の開口をキャップにより閉塞する。こうして、上記検体は、容器本体内で収容室に収納して保存された状態で病院から検査施設へ搬送される。
【0014】
一方、検査施設では、キャップが容器本体から取り外されて、収容体が容器本体から取り出される。続いて、カバー体を移動して収容室を開放し、該収容室から検体を取り出して、包埋処理を行うためのカセットへ移す。そして、検体は、カセット内に収容された状態で脱水処理や包埋処理等が行われた後、顕微鏡等により観察して検査される。
【0015】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る発明において、上記収容体は、収容室を区画すると共に上下両面が開口した収容本体と、該収容本体の下面を開閉する底部カバー体とにより構成されている。
【0016】
上記の発明によると、底部カバー体を移動させて該底部カバー体の閉鎖面で閉鎖されている収容本体の下面を開放する。そして、底部カバー体の閉鎖面に保持部材を設けた状態で、該底部カバー体を移動させて収容本体の下面を再び閉鎖する。その結果、保持部材は、収容室内に容易に配設される。
【0017】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に係る発明において、上記底部カバー体は、基端が収容本体に回動自在に接続されて収容本体と一体形成されている。
【0018】
この発明によると、底部カバー体の先端が、収容本体に接続されている基端周りに回動することで、底部カバー体は収容室の下面開口に接離して該収容室の下面を開閉する。
【0019】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れか1つに係る発明において、上記収容体は、キャップに連続して形成されている。
【0020】
この発明によると、収容体がキャップに連続して形成されているので、該収容体は、キャップが容器本体を開放することで該容器本体内から外部へ取り出される一方、キャップが容器本体を閉鎖することで該容器本体内へ取り入れられる。
【0021】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4の何れか1つに係る発明において、上記保持部材は、紙片である。
【0022】
この発明によると、検体と紙片との接触部において検体の水分が紙片に吸収されるため、検体は、収容室内で紙片により容易に保持される。
【0023】
請求項6に係る発明は、上記請求項1〜5の何れか1つに係る発明において、上記カバー体は、収容体に設けられて収容室の開口に沿ってスライド移動するように構成されている。
【0024】
上記の発明によると、カバー体は、収容室の開口に沿って、収容体の一端側から他端側へスライド移動することにより収容室を閉鎖する一方、収容体の他端側から一端側へスライド移動することにより収容室を開放する。
【0025】
請求項7に係る発明は、上記請求項1〜5の何れか1つに係る発明において、上記カバー体は、基端が収容体に回動自在に接続されて収容体と一体形成され、該収容体には、収容室の開口を閉塞した状態でカバー体の先端に係止する爪部が形成されている。
【0026】
上記の発明によると、カバー体の先端が、収容体に接続されている基端周りに回動することで、カバー体は収容室の開口に接触する。このとき、収容体の爪部がカバー体の先端に係止することによって、収容室は閉鎖される。一方、上記爪部とカバー体の先端との係止状態が解かれ、カバー体が基端周りに回動して収容室の開口から離脱することにより、収容室は開放される。
【0027】
請求項8に係る発明は、上記請求項1〜7の何れか1つに係る発明において、上記収容体には、複数の収容室が形成されている。
【0028】
ところで、複数の検体が1つの保持部材に保持された状態で所定の容器内に一括して収納されている場合には、仮に、複数の検体が保持部材から外れてしまったとすると、それら各検体を正確に識別することは非常に難しい。一方、各検体を複数の容器に個別に収納すると、複数の容器が必要となるため、搬送に要するコストが嵩んでしまう。
【0029】
これに対し、上記請求項8に係る発明によると、収容体に複数の収容室が形成されているので、複数の検体は、容器本体内で各収容室に個別に収容される。したがって、仮に、各検体が保持部材から外れたとしても、各収容室がカバー体によりそれぞれ閉鎖されており、各検体が収容室の外部へ出ないため、これらの検体は確実に識別される。
【0030】
請求項9に係る発明は、上記請求項8に係る発明において、上記カバー体又は収容体には、各収容室を識別するための番号が記載されている。
【0031】
この発明によると、カバー体又は収容体に番号が記載されているため、その番号に基づいて、各収容室及びその内部の検体はそれぞれ識別される。
【0032】
請求項10に係る発明は、上記請求項1〜9の何れか1つに係る発明において、上記カバー体及び容器本体の少なくとも一方には、筆記可能なラベルが設けられている。
【0033】
上記の発明によると、カバー体及び容器本体の少なくとも一方に設けられているラベルに、患者の氏名や病院名などが記載される。したがって、そのラベルの記載により検体の出所等が判別される。
【0034】
請求項11に係る発明は、上記請求項1〜10の何れか1つに係る発明において、上記容器本体には、該容器本体に入れられる保存液を計量するための目印が設けられている。
【0035】
この発明によると、保存液は、上記目印を目視しながら容器本体へ注ぎ込まれる。このことで、所望の容量の保存液が容器内に溜められる。
【0036】
請求項12に係る発明は、上記請求項1〜11の何れか1つに係る発明において、上記容器本体は、扁平部と、該扁平部に連続して形成された円形の出入口部とにより構成されている。
【0037】
この発明によると、収容体は、容器本体の扁平部に収納され、円形の出入口部で閉鎖される。
【0038】
請求項13に係る発明は、上記請求項12に係る発明において、上記キャップと収容体とは、互いに回転自在に連続している。
【0039】
この発明によると、収容体がキャップに対して回転自在であるため、該収容体が扁平な形状であっても、収容体が容器本体の扁平部に挿入された状態で、キャップは容器本体にねじ込んで取り付けられる。
【0040】
請求項14に係る発明は、上記請求項1に係る発明において、複数の上記収容体を備え、上記各収容体は、薄肉部を介して連結している。
【0041】
この発明によると、複数の検体は、各収容体の収容室にそれぞれ収容されると共に、各収容室が容器本体内に収納された状態で検査施設へ搬送される。一方、検査施設では、各収容体は、薄肉部で切断して分離される。分離された各収容体は、検体を収容した状態で、該検体に包埋処理等を行うためのカセットへ収納される。
【0042】
請求項15に係る発明は、検体を収容するための収容室が形成されたカセットを保持するカセット保持部と、上記カセット保持部の取り入れ及び取り出しが自在な出入口が形成されて該カセット保持部を、カセットを保持した状態で、検体の保存液と共に収納する容器本体と、上記容器本体の出入口を開閉し且つ上記カセット保持部に連続して形成されたキャップとを備えている。
【0043】
上記の発明によると、上記カセットの収容室内に検体が収容され、該カセットがカセット保持部に保持される。そして、カセット及びカセット保持部は、キャップにより容器本体の出入口を閉塞することで、保存液と共に容器本体内に収納される。一方、検査施設では、搬送されてきた容器内からカセット及びカセット保持部を取り出し、該カセット保持部からカセットを取り外す。その後、カセット内の検体に対して、包埋処理等を行う。
【0044】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。
【0045】
図1〜図6に示すように、本実施形態の検体搬送容器1は、病院等において患者から採取された臓器等の組織片である検体を、検査施設等へ搬送するための容器である。
【0046】
検体搬送容器1は、検体10を収容する収容室15が形成された収容体20と、収容室15を開閉するカバー体30と、収容室15内で検体10を保持する保持部材40と、収容体を収納する容器本体50と、容器本体50を開閉するキャップ60とを備えている。
【0047】
図1〜図3に示すように、収容体20は、収容室15を区画すると共に上下両面が開口した収容本体である本体部22と、該本体部22の下面を開閉する底部カバー体24とにより構成されている。
【0048】
本体部22は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂により形成されており、左右方向に延びる細長の略矩形箱状に形成されている。本体部22には、該本体部22を上下方向(図1で紙面奥手前方向)に貫通する例えば6つの縦孔21が、左右方向に一列に並んで形成されている。具体的に、本体部22は、例えば、縦幅が13mm、横幅が67mmの矩形箱体に形成されている。また、縦孔21は、例えば、長さが5mm、縦幅及び横幅がそれぞれ10mmの断面矩形状の孔に形成され、隣り合う縦孔21同士を区画する隔壁の厚さ(つまり、隣り合う縦孔21同士の間隔)は、例えば0.8mmになっている。
【0049】
そして、上記収容体20の本体部22の下端における各縦孔21,21,…の近傍には、これら縦孔21,21,…により形成される後述の各収容室15,15,…を識別するための1から6までの番号17,17,…がそれぞれ刻印して設けられている。
【0050】
本体部22の下部(図3で左側)には、該本体部22の縦孔21の下端を開閉するための底部カバー体24の基端が、ヒンジ25を介して回動自在に接続されている。底部カバー体24は、本体部22と同じ縦幅及び横幅を有する板状に形成され、ヒンジ25及び本体部22と一体形成されている。図3に矢印Aで示すように、底部カバー体24は、先端が基端周りに回動して、本体部22の下端に当接することによって、縦孔21の下端を閉鎖面24aで閉鎖するようになっている。そして、底部カバー体24には、その表側と裏側とを連通する複数の連通孔26が形成されている。各連通孔26は、例えば、一辺の長さが0.5mmの正方形の孔に形成され、縦方向及び横方向に0.7mmのピッチで多数形成されている。
【0051】
また、底部カバー体24の先端には、該底部カバー体24を本体部22に開閉する際に使用するつまみ部27が突出して形成されている。つまみ部27の基端部には、本体部22の下端に形成された係合溝29に係合可能な爪部28が、底部カバー部24の閉鎖面24aに直交するように形成されている。
【0052】
底部カバー体24の閉鎖面24aには、検体を保持するための保持部材である濾紙等の紙片40が設けられている。紙片40は、閉鎖面24aの左右一端から他端に亘って延びる長方形状に形成されている。そして、底部カバー体24が縦孔21の下端を閉鎖したときに、紙片40は、閉鎖面24aと、隣り合う縦孔21,21同士の区画壁の底面との間で挟まれることによって、収容体20に固定されるようになっている。
【0053】
本体部22の左右一端には、該本体部22をキャップ60へ取り付けるための柱状の取付部23が設けられている。取付部23の基端は、本体部22に一体に形成される一方、取付部23の先端には、先端側へ向かうに連れて断面が小さくなるテーパ爪23aが形成されている。テーパ爪23aの先端中央は、基端側に窪むように形成されている。具体的に、例えば、取付部23は、左右方向の長さが26.5mm、幅が8mmに形成されている。また、テーパ爪23aの左右方向の長さは、4.2mmに形成されている。
【0054】
そして、底部カバー部24が本体部22の縦孔21の下端を閉鎖することによって、収容体20には、上面が開放されて検体を収容する複数の収容室15が形成されている。言い換えれば、収容室15の下面を区画する収容体20の底部は、該収容室15の下面を開閉する底部カバー体24に構成されている。それと共に、収容室20内と外部とを連通する複数の上記連通孔26が、収容体20に形成される一方、紙片40が収容室15の底に設けられることとなる。
【0055】
一方、本体部22の上部(図3で右側)には、該本体部22の縦孔21の上端を開閉するためのカバー体30が、ヒンジ31を介して回動自在に接続されている。つまり、カバー体30は、その基端周りに回動することで、収容体20の収容室15の上面開口を開閉するように構成されている。カバー体30は、上記底部カバー体24と同様に、本体部22の縦幅及び横幅と同じ寸法を有する板状に形成され、ヒンジ31及び本体部22と一体形成されている。図3に矢印Bで示すように、カバー体30は、先端が基端周りに回動して、本体部22の上端に当接することにより、収容室15の上面開口を閉鎖部30aで閉鎖するようになっている。こうして、カバー体30及び底部カバー体24によって収容室15が閉鎖されたときに、収容体20は略板状となるように構成されている。
【0056】
カバー体30には、その表側と裏側とを連通する複数の連通孔32が形成されている。連通孔32は、上記底部カバー体24の連通孔26と同様に形成されている。こうして、収容体20の収容室15に検体10を収容した状態で、カバー体30を閉鎖することにより、収容体20内に検体10を収納するようになっている。
【0057】
図6に示すように、上記収容体20は、容器本体50に収納されるようになっている。図4に示すように、容器本体50は、例えば、有底円筒状に形成されている。容器本体50の一端には、収容体20の取り入れ及び取り出しが自在な円筒状の出入口51が形成されている。出入口51の外周面には、該出入口51をキャップ60にねじ込んで接続するためのねじ山52が形成されている。
【0058】
具体的に、容器本体50は、例えば、外径が23.8mmで、内径が20mmで、長さが99.2mmの有底円筒体に形成されている。また、出入口51の外径は、例えば23mmになっている。そして、容器本体50は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂の透明材料により形成されている。
【0059】
そして、容器本体50は、収容体20を検体10の保存液である例えば20%ホルマリン溶液と共に収納するように構成されている。容器本体50の外周面には、該容器本体50に入れられる上記保存液を計量するための目印53が、周方向に延びるように設けられている。
【0060】
また、容器本体50の外周面には、筆記可能なラベル54が貼り付けて設けられている。そして、このラベル54は、患者の氏名や病院名などを記載するようになっている。
【0061】
図5及び図6に示すように、キャップ60は、有底円筒状に形成され、上記容器本体50の出入口51を開閉するように構成されている。キャップ60の内周面には、上記出入口51のねじ山52に螺合するねじ溝を形成するねじ山61が形成されている。また、キャップ60の内側底部には、矩形筒状の係合部62が突出して形成されていて、該係合部62内に上記取付部23のテーパ爪23aが挿入されて係合するようになっている。その結果、キャップ60の取り付け及び取り外しと同時に、収容体20の容器本体50への取り入れ及び取り出しが行われるようになっている。具体的に、例えば、キャップ60の外径は28.4mm、内径は24.8mmに形成されており、例えばポリエチレン等の合成樹脂により形成されている。
【0062】
−検体の収容方法−
次に、本実施形態に係る検体搬送容器1への検体10の収容方法について説明する。
【0063】
まず、カバー体30の閉鎖部30aが収容体20の本体部22の上端(つまり収容室15の上面)から離脱するように、カバー体30の先端を基端周りに回動させて、収容室15内を開放状態にする。一方、底部カバー体24の閉鎖面24aが本体部22の下端(つまり収容室15の下面)から離脱するように、底部カバー体24の先端を基端周りに回動させて、収容体20の下部を開放状態にする。このようにして、図1に示すように、収容室15の上面及び下面を開放する。
【0064】
次に、紙片40を底部カバー体24の閉鎖面24a上に載置する。そして、紙片40を載置した状態で、底部カバー体24の先端を基端周りに回動させて、該底部カバー体24の閉鎖面24aにより収容室15の下面を閉鎖する。このとき、紙片40は、閉鎖面24aと、隣り合う収容室15の間の隔壁との間で挟まれて固定される。
【0065】
続いて、例えば6種類の検体10を、番号17が付された各収容室15の紙片40上に載置する。紙片40は乾燥しているため、検体10は、該紙片40によりその水分が吸収されて保持される。このとき、各収容室15の番号17と各検体10との対応関係を別途記録しておく。その後、カバー体30の先端を基端周りに回動させて各収容室15を閉鎖する。こうして、各検体10は、収容体20の各収容室15内に収容される。
【0066】
その後、容器本体50の目印53を目視しながら、該容器本体50に保存液である20%ホルマリン溶液を目印53まで注ぎ入れる。一方、収容体20の取付部23を、キャップ60の係合部に係合させて、該キャップ60に取付固定する。そして、収容体20が取り付けられたキャップ60を、容器本体50の出入口51にねじ込んで取り付ける。このことにより、図6に示すように、収容体20を容器本体50内に収納すると共に、容器本体50を閉塞する。
【0067】
このようにして検体10が収納された検体搬送容器1は、郵送等によって、病院から検査施設へ搬送される。その後、検査施設に搬送された検体10は、検体搬送容器1から、図22に示す包埋カセット90の各収容室内へ移される。続いて、検体10が包埋カセット90に収容された状態で、公知の方法により該検体10の脱水処理や包埋処理が行われる。包埋処理等が行われた検体10は、スライス加工されて顕微鏡等により観察して検査される。
【0068】
−実施形態1の効果−
以上説明したように、この実施形態1によると、各検体10は、カバー体30により閉鎖された各収容室15内にそれぞれ収容されているため、仮に、その搬送時に検体10が紙片40から剥がれてしまったとしても、各収容室15内に確保されるため、搬送先の検査施設において容器本体50から検体10を取り出す作業を容易にすることができる。
【0069】
さらに、収容室15の下面を区画する収容体20の底部を、収容室15の下面を開閉する底部カバー体24に構成したので、収容室15の下面を区画している底部カバー体24の先端を基端周りに回動させることにより、収容室15の下面を開放することができる。その結果、底部カバー体24の閉鎖面24aに紙片40を設けて再び収容室15を閉鎖することで、紙片40は、閉鎖面24aと、隣り合う収容室15の間の隔壁との間で挟まれて固定されるため、該紙片40を収容室15の下面に容易に固定して設けることが可能となる。
【0070】
また、保持部材を乾いた紙片40により形成したので、検体10と紙片40との接触部において検体10の水分が紙片40に吸収され、該紙片40によって検体10を容易に保持することができる。
【0071】
さらに、収容体20に複数の収容室15を形成したので、複数の検体10を、カバー体30により閉鎖された各収容室15に個別に収容することができる。その結果、仮に、各検体10が紙片40から外れたとしても、これら各検体10は、依然として各収容室15内に収容されているため、各検体10を確実に識別することが可能となる。そのことに加えて、複数の検体10を保持部材からの離脱に拘わらず確実に識別する目的で、複数の搬送容器を用意する必要がなく、1つの容器により搬送されるため、その搬送に要するコストを低減することができる。
【0072】
さらにまた、収容体20の本体部22に、各収容室15を識別するための番号17を記載して設けるようにしたので、各番号17に基づいて、各収容室15及びその内部の検体10をそれぞれ容易に識別することができる。
【0073】
また、容器本体50に筆記可能なラベル54を設けたので、ラベル54に患者の氏名や病院名などを記載することで、検体10の出所等を容易に判別することができる。
【0074】
さらに、容器本体50に、該容器本体50内に入れられる保存液を計量するための目印53を設けたので、目印53を目視しながら保存液を容器本体50へ注ぎ込むことで、所望の容量の保存液を容器本体50内に溜め込むことが可能となる。
【0075】
尚、上記実施形態1では、各収容室20を識別するための番号17を収容体20の本体部22に設けるようにしたが、請求項8の発明に係る他の実施形態としては、カバー体30に設けるようにしてもよい。つまり、番号17を、カバー体30又は収容体20に記載するようにすればよい。
【0076】
また、この実施形態1では、容器本体50に筆記可能なラベル54を設けるようにしたが、請求項9に係る発明の他の実施形態としては、上記ラベル54をカバー体30及び容器本体50の少なくとも一方に設けるようにしてもよい。
【0077】
(実施形態2)
図7〜図9は、本発明に係る検体搬送容器1の実施形態2を示している。尚、以下の各実施形態では、図1〜図6と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。そして、上記実施形態1では、収容体20を取付部23でキャップ60に取付固定するようにしたのに対し、この実施形態では、収容体20をキャップ60に回転自在に取り付けるようにしている。
【0078】
図7及び図8に示すように、収容体20の本体部22の左右一端には、該本体部をキャップ60へ取り付けるための円柱状の取付部23が設けられている。取付部23の基端は、本体部22に一体に形成されている。一方、取付部23の先端は、取付部23の基端側の外径よりも大きい径を有する略球状の回転支持部23bに形成されている。取付部23は、例えばポリプロピレンにより形成されている。
【0079】
一方、キャップ60は有底円筒状に形成されると共に、その内部には、支持板63が、キャップ60の底面と平行に延びるように固定して設けられている。キャップ60の底面と支持板63との間には、所定の隙間が形成されている。支持板63の中央には、取付部23の先端が差し込まれる差込孔64が形成されている。差込孔64の径は、取付部23の外径よりも大きく且つ回転支持部23bの外径よりも小さくなっている。キャップ60は、取付部23よりも柔らかい材料として、例えば軟質のポリエチレン等により形成されている。
【0080】
そして、取付部23は、その先端をキャップ60の開口側から差込孔64へ差し込んで、回転支持部23bを支持板63とキャップ60の底面との間の隙間へ挿入することによって、その軸心周りに回転自在に、支持板63に取り付けられるようになっている。つまり、キャップ60と収容体20とは、互いに回転自在に連続している。
【0081】
図8及び図9に示すように、容器本体50の左右中央部分及び底側部分は、扁平部50bに形成される一方、容器本体50の出入口部51は、円筒状に形成されている。これら円筒状の出入口部51と、扁平部50bとの間には、双方の部分をなだらかに接続する湾曲部50aが形成されている。すなわち、容器本体50は、扁平部50bと、該扁平部50bに連続して形成された円形の出入口部51とにより構成されている。
【0082】
こうして、キャップ60を容器本体50の出入口51にねじ込んで取り付けることにより、容器本体50内に収容体20を保存液と共に収納して、該容器本体50内を閉塞するようになっている。
【0083】
したがって、この実施形態2によると、収容体20がキャップ60に回転自在に取り付けられているので、容器本体50の中央部分及び底側部分が扁平に形成されていても、該容器本体50内に扁平板状の収容体20が挿入された状態で、キャップ60を回転させて容器本体50にねじ込むことができる。
【0084】
言い換えれば、容器本体50を閉塞する目的で、キャップ60を容器本体50にねじ込んで取り付けるように構成した場合であっても、収容体20がキャップ60に対して回動自在であるため、キャップ60を扁平な形状に形成することができる。
【0085】
その結果、容器本体50の小型化を図ることができる。そして、容器本体50内の容積が小さくなるので、該容器本体50内に収納する保存液の容量を低減することが可能となる。
【0086】
(実施形態3)
図10〜図13は、本発明の実施形態3を示している。上記各実施形態では、カバー体30の回動中心である基端を、一列に並ぶ収容室15の配列方向に沿って延びるように設けたのに対し、この実施形態では、カバー体30の基端を、収容室15の配列方向に直交して延びるように設けている。
【0087】
収容体20の左右中央部から先端側は、左右方向に延びる細長の部材である本体部22に形成されている。本体部22には、上方に開口する断面円弧状の収容室15が左右方向に一列に並んで設けられている。収容室15は、例えば6つ形成されている。そして、本体部22には、収容室15内と外部とを連通する複数の連通孔26が形成されている。さらに、本体部22には、隣り合う収容室15同士を区画する隔壁に、各収容室15同士を連通する連通孔26aが形成されている。
【0088】
各収容室15には、紙片40がそれぞれ1枚ずつ設けられている。この紙片40により、収容室15に収容された検体10をそれぞれ保持するようになっている。また、本体部22の底部外壁面には、左右方向に延びる溝41が形成されており、収容体20の転がりを防止するようになっている。
【0089】
一方、収容体20の左右中央部から基端側は、板状の取付部23に形成されており、その端部はキャップ60に一体に形成されている。すなわち、収容体20は、キャップ60に連続して形成されている。
【0090】
収容体20の本体部22の先端には、カバー体30が設けられている。カバー体30は、基端が収容体20に回動自在に接続されて収容体20と一体形成されている。カバー体30は、基端側の本体部22と略同じ形状の蓋本体35と、蓋本体35に一体形成されて先端側へ延びる板状の延長部36とにより構成されている。
【0091】
すなわち、蓋本体35には、本体部22と同様に、下方に開口する断面円弧状の収容室37が一列に並んで形成されている。この蓋本体35にも、収容室37内と外部とを連通する複数の連通孔32が形成されている。そして、カバー体30の先端が基端周りに回動して、蓋本体35と本体部22とが接触することによって、各収容室15,37が上下に合わさって1つの収容室を形成するようになっている。
【0092】
また、蓋本体35には、各収容室15,37を識別するための1から6までの番号18がそれぞれ記載されている。そして、延長部36の上面には、患者の氏名や病院名等を記載するためのラベル38が貼り付けられて設けられている。また、上記本体部22と同様に、蓋本体35にも、左右方向に延びる溝42が形成されている。
【0093】
一方、収容体20の取付部23には、収容室15の開口を閉塞した状態でカバー体30の延長部36の先端に係止する爪部70が形成されている。これに対し、延長部36の上面には、収容体20の爪部70と、延長部の先端との係合状態を解除する際に、カバー体30を持ち上げるためのつまみ部39が形成されている。
【0094】
そして、検体10を検体搬送容器1に収容する場合には、カバー体30の先端を基端周りに回動して収容室15内を開放する。そして、収容室15内の紙片40上に検体10を載置して保持する。続いて、カバー体30を回動し、延長部36の先端を取付部23の爪部70に係止することによって収容室15を閉鎖する。その後、キャップ60を容器本体50の出入口51にねじ込んで取り付けることによって、検体10を収容した収容体20を、容器本体50に保存液と共に収納する。
【0095】
したがって、この実施形態3によると、収容体20をキャップ60に連続して形成するようにしたので、キャップ60の容器本体50への着脱動作によって、収容体20の容器本体50への取り入れ及び取り出しを容易に行うことができる。
【0096】
さらに、収容体20の取付部23に、カバー体30の延長部36の先端を係止する爪部70を設けるようにしたので、延長部36の先端を爪部70に係止固定することにより収容室15の上面開口を確実に閉鎖することができる。また、延長部36の上面につまみ部38を設けたので、容易にカバー体30を持ち上げて収容室15を開放することが可能となる。
【0097】
(実施形態4)
図14〜図17は、本発明の実施形態4を示している。上記各実施形態では、カバー体30を基端部で収容体20に回動自在に接続していたのに対し、この実施形態では、カバー体30を、収容体20にスライド移動可能に設けるようにしている。
【0098】
すなわち、収容体20は、キャップ60に一体形成される取付部23と、収容室15が形成される本体部22とにより構成されている。本体部22と取付部23とは連続して形成されると共に、左右方向に延びる略矩形柱状に形成されている。
【0099】
本体部22の収容室15は、上方に開放していて、例えば、縦幅が10mm〜20mm、横幅が20mm〜40mmの矩形箱状に形成されている。そして、本体部22には、上記各実施形態と同様に、例えば6つの収容室15が左右方向に1列に並んで設けられ、収容室15内外を連通する連通孔26と、隣り合う収容室同士を連通する連通孔26aがそれぞれ形成されている。また、本体部22の上部には、各収容室15を識別するための番号17が刻印して設けられている。
【0100】
そして、この実施形態では、カバー体30は、矩形薄板状の透明材に形成され、収容体20に設けられて収容室15の上面開口に沿ってスライド移動するように構成されている。上記本体部22の上部には、カバー体30を左右方向に移動可能に案内するためのガイド溝45が左右に延びるように形成されている。
【0101】
カバー体30の先端部には、収容室15を閉鎖している該カバー体30を先端側へ引き出して各収容室15を開放するための引出孔39が形成されている。
【0102】
こうして、検体10を検体搬送容器1に収納する場合には、カバー体30を本体部22の先端側へスライド移動させて、各収容室15を開放する。続いて、開放された収容室15内の紙片40上に検体10をそれぞれ載置する。そして、紙片40により検体10を保持し、カバー体30をスライド移動させて収容室15を再び閉鎖する。その後、目印53を目視しながら容器本体50に保存液を注ぎ入れ、キャップ60を容器本体50の出入口51にねじ込んで取り付けることによって収容体20を該容器本体50内に収納する。
【0103】
したがって、この実施形態4によると、カバー体30を、収容室15の上面開口に沿ってスライド移動するように構成したので、該収容室15の開口を容易に開閉することが可能となる。
【0104】
(実施形態5)
図18は、本発明の実施形態5を示している。この実施形態では、検体搬送容器1は、複数の収容体20を備え、各収容体20は、薄肉部72を介して連結している。各収容体20には、それぞれ3つの収容室15が区画形成されている。そして、上記実施形態1と同様に、収容室15の下面は、底部カバー体24により開閉される一方、収容室15の上面は、カバー体30により開閉されるようになっている。
【0105】
上記薄肉部72は、各収容体20の収容室15が一列に並ぶように、各収容体20を連結しており、各収容体20と一体に形成されている。そして、一方の収容体20の端部には、上記実施形態2と同様の取付部23が設けられている。取付部23の先端には回転支持部23bが形成される一方、取付部23の基端は、取付部23の他の部分よりも外径が小さいくびれ部23cに構成されている。
【0106】
こうして、各収容体20は、薄肉部72で連結され、上記実施形態2と同様に、左右中央部分及び底側部分が扁平部50bに形成された容器本体50の内部に保存液と共に収納されて搬送される。
【0107】
そして、検査施設に搬送された各収容体20は、容器本体50から取り出され、薄肉部72及びくびれ部23cにおいて、はさみ等により切断して分離される。分離された各収容体20は、包埋カセット90内へ2列に並ぶようにして収納される。その後、包埋カセット90に収納された収容体20内の検体10は、公知の方法により脱水処理や包埋処理等が行われる。尚、この実施形態では、包埋カセット90の内部は区画されていない。
【0108】
したがって、この実施形態5によると、各収容体20が薄肉部72により連結されているため、該薄肉部72を容易に切断して収容体20同士を分離することが可能となる。また、取付部23の基端がくびれ部に形成されているので、取付部23を収容体20から容易に切断して分離することができる。その結果、分離された各収容体20を、包埋カセット90内の形状にあわせて該包埋カセット90に収納することが可能となり、各収容体20の収容室20内の検体10を該収容室20から取り出して包埋カセット90内へそれぞれ移す作業を省略することができる。
【0109】
(実施形態6)
図19〜図21は、本発明の実施形態6を示している。上記各実施形態では、収容体20をキャップ60に設けるようにしたのに対し、包埋カセット90を保持するカセット保持部80をキャップ60に設けるようにしたものである。
【0110】
すなわち、図19及び図20に示すように、本実施形態の検体搬送容器1は、カセット保持部80と、容器本体50と、キャップ60とを備えている。
【0111】
上記カセット保持部80は、検体10を収容するための収容室が形成された包埋カセット90を保持するためのものであって、上面が開放された箱状に形成されている。カセット保持部80の底部には、該底部を上下に貫通する複数の貫通孔81が形成されている。カセット保持部80の上部開口の内壁面には、複数の係止爪82が内側に突出するように設けられている。係止爪82は、カセット保持部80に嵌挿された包埋カセット90を係止固定するように構成されている。そして、カセット保持部80は、例えば、内法幅が29mm、内法長さが41mm、内法深さが5mmの箱状体に形成されている。
【0112】
また、上記容器本体50及びキャップ60は、上記実施形態2と同様に構成されている。すなわち、容器本体50は、カセット保持部80の取り入れ及び取り出しが自在な出入口51が形成されて該カセット保持部80を、包埋カセット90を保持した状態で、検体10の保存液と共に収納するように構成されている。キャップ60は、容器本体50の出入口を開閉し且つカセット保持部80に連続して形成されている。
【0113】
カセット保持部80には、上記実施形態2と同様の取付部23の基端側が固定されている。一方、取付部23の先端は、回転支持部23bでキャップ60に回転自在に設けられている。つまり、キャップ60とカセット保持部80とは、互いに回転自在に連続している。
【0114】
こうして、検体10を搬送する場合には、各検体10を包埋カセット90のカセット本体91の各収容室内に収容し、該収容室を蓋92により閉鎖する。続いて、この包埋カセット90を、カセット保持部80に嵌挿し、係止爪82により固定して保持する。その後、キャップ60を容器本体50の出入口51にねじ込んで取り付けることにより、包埋カセット90を容器本体50内に収納する。そして、検体10は、検体搬送容器1内で、カセット保持部80により保持されている包埋カセット90内に収容された状態で搬送される。
【0115】
このとき、検体搬送容器1内の保存液は、カセット保持部80の貫通孔81と、包埋カセット90の連通孔94とを介して、包埋カセット90の収容室内に浸入する。
【0116】
したがって、この実施形態6によると、上記各実施形態と同様に、検体10を閉鎖された包埋カセット90の収容室内に収容して搬送することで、検体10を包埋カセット90の収容室内に確保しておくことができる。そのことに加えて、搬送先の検査施設において、容器本体50から包埋カセット90を取り外し、該包埋カセット90内の検体10に対して直接に包埋処理等を行うことが可能となる。その結果、検体10の移し換え作業を省略して検体10の処理に要する手間を大幅に軽減することができる。
【0117】
尚、上記実施形態1〜4では、収容体20に、6つの収容室15を1列に並ぶように設けたが、その他複数列に並ぶように設けてもよい。例えば、収容体20に、3つの収容室15からなる列を2列設けるようにしてもよい。
【0118】
また、上記各実施形態では、キャップ60を容器本体50の出入口51にねじ込んで取り付けるように構成したが、キャップ60による容器本体50の閉鎖態様は、ねじ式に限定されるものではない。すなわち、キャップ60を容器本体50の出入口51にはめ込んで閉鎖するはめ込み式に構成してもよい。また、キャップ60と容器本体50とをはめ込み式に構成すると共に、カバー体30を収容体20にスライド移動可能に設けるように構成してもよい。さらに、上記各実施形態における各収容体20の構成と、各容器本体50の構成とを任意に組み合わせるようにしてもよい。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によると、上面が開放された収容室が形成されると共に、収容室内と外部とを連通する複数の連通孔が形成された収容体と、収容室の上面開口を開閉するカバー体と、収容室に設けられて検体を保持する保持部材と、収容体を検体の保存液と共に収納する容器本体と、容器本体の出入口を開閉するキャップとを備えることにより、検体は閉鎖された収容室内に収容されているため、仮に、その搬送時に検体が保持部材から剥がれてしまったとしても、収容室内に確保されるため、搬送先の検査施設において容器本体から検体を取り出す作業を容易にすることができる。
【0120】
請求項2に係る発明によると、収容体を、収容室を区画すると共に上下両面が開口した収容本体と、収容本体の下面を開閉する底部カバー体とにより構成することにより、収容室の下面を区画している底部カバー体を移動することで、収容室の下面を開放することができるため、底部カバー体の内側に保持部材を設けて再び収容室を閉鎖することで、保持部材を収容室の下面に容易に配設することが可能となる。
【0121】
請求項3に係る発明によると、底部カバー体を、基端が収容本体に回動自在に接続して収容本体と一体形成することにより、底部カバー体の先端を基端周りに回動させることで、底部カバー体は収容室の下面開口に接離して該収容室の下面を開閉することができる。
【0122】
請求項4に係る発明によると、収容体をキャップに連続して形成することにより、キャップの容器本体への着脱動作によって、収容体の容器本体への取り入れ及び取り出しを容易に行うことができる。
【0123】
請求項5に係る発明によると、保持部材を紙片とすることにより、検体と紙片との接触部において検体の水分が紙片に吸収されるため、紙片によって検体を容易に保持することが可能となる。
【0124】
請求項6に係る発明によると、カバー体を、収容体に設けて収容室の開口に沿ってスライド移動するように構成することにより、
カバー体をスライド移動させることで、収容室の上面開口を容易に開閉することができる。
【0125】
請求項7に係る発明によると、カバー体を、基端が収容体に回動自在に接続されて収容体と一体形成し、収容体に、収容室の開口を閉塞した状態でカバー体の先端に係止する爪部を形成することにより、収容体の爪部をカバー体の先端に係止固定することにより収容室の上面開口を確実に閉鎖することができる。
【0126】
請求項8に係る発明によると、収容体に複数の収容室を形成することにより、複数の検体は、カバー体により閉鎖された各収容室に個別に収容されているため、仮に、各検体が保持部材から外れたとしても、これらの検体を確実に識別することができる。また、複数の検体をそれぞれ確実に識別する目的で、複数の搬送容器を用意する必要がないため、搬送に要するコストを低減することができる。
【0127】
請求項9に係る発明によると、カバー体又は収容体に、各収容室を識別するための番号を記載することにより、その番号に基づいて、各収容室及びその内部の検体をそれぞれ容易に識別することが可能となる。
【0128】
請求項10に係る発明によると、カバー体及び容器本体の少なくとも一方に、筆記可能なラベルを設けることにより、ラベルに患者の氏名や病院名などを記載することで、検体の出所等を容易に判別することができる。
【0129】
請求項11に係る発明によると、容器本体に、容器本体に入れられる保存液を計量するための目印を設けることにより、目印を目視しながら保存液を容器本体へ注ぎ込むことで、所望の容量の保存液を容器内に溜め込むことが可能となる。
【0130】
請求項12に係る発明によると、容器本体を、扁平部と、該扁平部に連続して形成された円形の出入口部とにより構成することにより、
収容体を容器本体の扁平部に収納することで、容器全体の小型化を図ることができる。また、容器本体に収納する検体の保存液の容量を低減することができる。
【0131】
請求項13に係る発明によると、キャップと収容体とが、互いに回転自在に連続していることにより、収容体がキャップに対して回転自在であるため、該収容体が扁平な形状であっても、収容体を容器本体の扁平部に挿入した状態で、キャップは容を本体にねじ込んで取り付けることができる。
【0132】
請求項14に係る発明によると、複数の上記収容体を備え、各収容体が薄肉部を介して連結していることにより、薄肉部で切断した収容体を、包埋処理を行うためのカセットへ収納することが可能となり、このことによって、各収容室内の検体を取り出してカセット内へそれぞれ移す手間を省略することができる。
【0133】
請求項15に係る発明によると、検体を収容するための収容室が形成されたカセットを保持するカセット保持部と、カセット保持部の取り入れ及び取り出しが自在な出入口が形成されてカセット保持部を、カセットを保持した状態で、検体の保存液と共に収納する容器本体と、容器本体の出入口を開閉し且つカセット保持部に連続して形成されたキャップとを備えることにより、検体を閉鎖されたカセット内に収納して搬送することで、その搬送時に、検体をカセット内に確保しておくことができる。さらに、搬送先において、容器本体に収納されていたカセットを利用して検体の包埋処理等を行うことが可能となり、検体の移し換え作業を省略して検体の処理に要する手間を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における収容室の上面及び下面が開放された収容体の外観を示す正面図である。
【図2】実施形態1における収容室の上面及び下面が閉鎖された収容体を示す平面図である。
【図3】実施形態1における収容室の上面及び下面が開放された収容体を示す側面図である。
【図4】実施形態1の容器本体の外観を示す正面図である。
【図5】実施形態1のキャップの外観を示す側面図である。
【図6】実施形態1における収容体が容器本体に収納された状態を示す断面図である。
【図7】実施形態2における収容体が容器本体に収容された状態を示す断面図である。
【図8】実施形態2における収容体が容器本体に収容された状態を示す断面図である。
【図9】実施形態2の検体搬送容器の外観を示す側面図である。
【図10】実施形態3における収容体及びキャップの外観を示す正面図である。
【図11】実施形態3における収容室が開放された収容体を示す正面図である。
【図12】実施形態3における収容体及びキャップを示す斜視図である。
【図13】実施形態3の容器本体の外観を示す正面図である。
【図14】実施形態4における収容体及びキャップの外観を示す正面図である。
【図15】実施形態4のカバー体の外観を示す正面図である。
【図16】実施形態4における収容体及びキャップを示す斜視図である。
【図17】実施形態4の容器本体の外観を示す正面図である。
【図18】実施形態5における収容体の外観を示す正面図である。
【図19】実施形態6における収容体が容器本体に収容された状態を示す断面図である。
【図20】実施形態6における収容体が容器本体に収容された状態を示す断面図である。
【図21】実施形態6の検体搬送容器の外観を示す側面図である。
【図22】包埋カセットの外観を示す正面図である。
【符号の説明】
1 検体搬送容器
15 収容室
17,18 番号
20 収容体
24 底部カバー体
26 連通孔
30 カバー体
38,54 ラベル
40 紙片(保持部材)
50 容器本体
51 出入口
53 目印
60 キャップ
70 爪部
72 薄肉部
80 カセット保持部
90 包埋カセット(カセット)

Claims (15)

  1. 上面が開放されて検体を収容する収容室が形成されると共に、上記収容室内と外部とを連通する複数の連通孔が形成された収容体と、
    上記収容体の収容室の上面開口を開閉するカバー体と、
    上記収容体の収容室に設けられて検体を保持する保持部材と、
    上記収容体の取り入れ及び取り出しが自在な出入口が形成されて該収容体を検体の保存液と共に収納する容器本体と、
    上記容器本体の出入口を開閉するキャップとを備えている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  2. 請求項1において、
    上記収容体は、収容室を区画すると共に上下両面が開口した収容本体と、該収容本体の下面を開閉する底部カバー体とにより構成されている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  3. 請求項2において、
    上記底部カバー体は、基端が収容本体に回動自在に接続されて収容本体と一体形成されている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  4. 請求項1〜3の何れか1つにおいて、
    上記収容体は、キャップに連続して形成されている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  5. 請求項1〜4の何れか1つにおいて、
    上記保持部材は、紙片である
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  6. 請求項1〜5の何れか1つにおいて、
    上記カバー体は、収容体に設けられて収容室の開口に沿ってスライド移動するように構成されている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  7. 請求項1〜5の何れか1つにおいて、
    上記カバー体は、基端が収容体に回動自在に接続されて収容体と一体形成され、該収容体には、収容室の開口を閉塞した状態でカバー体の先端に係止する爪部が形成されている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  8. 請求項1〜7の何れか1つにおいて、
    上記収容体には、複数の収容室が形成されている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  9. 請求項8において、
    上記カバー体又は収容体には、各収容室を識別するための番号が記載されている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  10. 請求項1〜9の何れか1つにおいて、
    上記カバー体及び容器本体の少なくとも一方には、筆記可能なラベルが設けられている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  11. 請求項1〜10の何れか1つにおいて、
    上記容器本体には、該容器本体に入れられる保存液を計量するための目印が設けられている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  12. 請求項1〜11の何れか1つにおいて、
    上記容器本体は、扁平部と、該扁平部に連続して形成された円形の出入口部とにより構成されている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  13. 請求項12において、
    上記キャップと収容体とは、互いに回転自在に連続している
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  14. 請求項1において、
    複数の上記収容体を備え、
    上記各収容体は、薄肉部を介して連結している
    ことを特徴とする検体搬送容器。
  15. 検体を収容するための収容室が形成されたカセットを保持するカセット保持部と、
    上記カセット保持部の取り入れ及び取り出しが自在な出入口が形成されて該カセット保持部を、カセットを保持した状態で、検体の保存液と共に収納する容器本体と、
    上記容器本体の出入口を開閉し且つ上記カセット保持部に連続して形成されたキャップとを備えている
    ことを特徴とする検体搬送容器。
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