JP2004069399A - 除染テント - Google Patents

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【課題】応急的に除染措置をした後、二次汚染防止のため必要最小限のものだけを破棄し、残りの部分は繰り返して使用出来るような除染テントを提供する。
【解決手段】気柱で骨組みされる骨格2内部に、内天幕3を取り付け、この内天幕3の内部空間の少なくとも一部をシャワー室として構成するとともに、内天幕3を使い捨て式にとする。そして、シャワー室の下方にトレー5とすのこ6を設けるようにし、また、骨格2の入口部と出口部を一本の気柱を環状にした環状気柱部2a、2cとし、底柱gを地面に接触させるとともに、底柱gの上部にスロープ台7を載置してストレッチャーや人が通過しやすいようにする。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば化学汚染や放射能汚染や細菌汚染等の被災者に対し、病院に搬送する前に現場等で緊急的に除染措置を行ったり、病院内に入る前に病院の入り口で除染措置を行うのに適した除染テントに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば化学汚染や放射能汚染や細菌汚染等の緊急事態に対する防護措置の重要性が叫ばれるようになっており、これらの事態が発生すると、二次汚染の被害拡大を防止するため、患者を病院に運び込む前に、現場または適当な個所で緊急的な除染措置を行う必要がある。
このため、緊急に展張できるテント等を利用して外部から遮断されたシャワー室等を構築する必要があり、この際、テントを短時間で形成させるには、気柱を骨格にしたテントを使用するのが好ましい。
ここで、気柱を骨格にした空気テントとしては、例えば特開平8−270265号や、特開平11−264264号のような技術が知られており、これらの技術では、内部に仕切りカーテンを吊下げて隔離部屋を構成するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、一般的にシャワー等により化学汚染や細菌汚染等を除染すると、除染措置終了後に、二次汚染防止のため、シャワー液や汚染物質等が付着した全ての物を破棄する必要があるため、上記のような空気テントでは気柱の骨格部分を含めて全てを破棄しなければならず、不経済であるという問題がある。
【0004】
そこで本発明は、二次汚染防止のため必要最小限のものだけを破棄し、残りの部分は繰り返して使用出来るようにして、より経済的に使用できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、気柱で形成された骨格と、骨格の内側に取り付けられた使い捨ての内天幕を有し、該天幕によって囲まれる内部空間の少なくとも一部がシャワー室とされる除染テントにおいて、前記シャワー室には、シャワー液を受けるトレーと、該トレーの上に配置されるすのこを設けるようにした。
【0006】
ここで、テントの骨組みを気柱の骨格にすれば、テントを短時間で形成することができ、しかも、構築手順が、気柱に空気を入れた後、内天幕を取り付けるだけの簡単な手順で、緊急時にも迅速に対応出来るが、この際、使い捨ての内天幕を骨格の内部に取り付けて一定空間を囲繞するようにし、外部空間と内部空間を遮断して、シャワー液や汚染物質等が外部に漏洩するのを防止するようにすれば、骨格部分を繰り返して使用できるようになって、より経済的である。
【0007】
そして、内天幕によって囲まれる内部空間の少なくとも一部をシャワー室とし、このシャワー室に、シャワー液を受けるトレーと、すのこを配設するようにすれば、シャワー室内のすのこの上で被災者等がシャワー液を浴びて汚染物質等を除去出来るとともに、除染に使用されたシャワー液をトレーで受けることが出来、このトレーに溜まった液体を、例えばバキューム等で回収すれば、汚染物質等を外部に漏洩させないで処理することが出来る。
【0008】
また本発明では、前記テントの入口部と出口部の骨格に、一本の気柱を環状にした環状気柱部を設けるようにした。
このように、入口部と出口部の骨格を環状の気柱とすれば、全体の剛性が一層高くなってより堅牢なテントとすることが出来るが、この際、底柱が高くなると、人やストレッチャー等が通過する際の邪魔になりがちである。
そこで、底柱を出来るだけ低くするため、一本の気柱により環状気柱部を構成する。
これに対して、例えば門型の気柱に別体の底柱を接続して環状にしようとすると、製作時の技術上の問題から、門型気柱の最下端部に底柱を接続するのが困難で、底柱の位置を地面に接触するような低い位置にすることが出来ない。
【0009】
また本発明では、前記環状気柱部の底柱上には、スロープ台を配設するようにした。
このように、底柱上にスロープ台を配設すれば、ストレッチャーの通過や人の出入り等が一層容易となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1は本発明に係る除染テントの一例を示す全体斜視図、図2は同除染テントの主要構成部品を示す分解斜視図、図3は小型の除染テントの内部構造の一例を示す部分断面図、図4は除染テントの骨格の別構成例図である。
【0011】
本発明に係る除染テント1は、例えば化学汚染や放射能汚染や細菌汚染等の災害において、被害者を病院等に運び込む前に応急的に除染して二次汚染防止を図るとともに、除染後、汚染物が付着した必要最小限のものだけを破棄し、残りの部分は繰り返して使用出来るようにされ、図1及び図2に示すように、気柱で骨組みされる骨格2と、この骨格2の内部に取り付けられて一定空間を囲繞する内天幕3を備えており、この内天幕3は使い捨て式に構成されている。
【0012】
そして、この内天幕3の内部には、少なくともシャワー室が形成されるようになっており、必要に応じて、シャワー室の前後に脱衣室や着衣室が形成されることもあるが、本実施例では、前後二箇所のシャワー室だけが形成されるようにしている。
そして、シャワー室には、シャワー設備4が設けられており、また、シャワー室の下方には、シャワー液を受けるトレー5や、トレー5上にセットされるすのこ6が設けられている。
【0013】
前記骨格2の第1構成例は、入口部の環状気柱部2aと、中間部の門型気柱部2bと、出口部の環状気柱部2cと、これらを結ぶ複数の水平気柱部2dから構成され、少なくとも、入口部の環状気柱部2aと、出口部の環状気柱部2cはそれぞれ一本の気柱から構成することにより、各環状気柱部2a、2cの底柱gは、地面上に接触するような低い位置にされている。そして、この底柱gの上部には、ストレッチャー等の通過を容易に行うことができるよう、スロープ台7が設けられている。
【0014】
因みに、入口部と出口部の骨格2の骨組み形態を環状にすることにより、テント全体の剛性を高めることが出来るが、この際、例えば別々の門型気柱と底柱を接合して環状に構成しようとすると、門型気柱の最下端部に底柱を接続するのが技術的に困難で、例えば底柱を地面に接触させるような低い位置に出来ないという不具合があるが、1本の気柱を環状にすることで、底柱gを低い位置に設定できる。
尚、本実施例では、入口、出口部の環状気柱部2a、2cと、複数の水平気柱部2dと、中間部の門型気柱部2bはすべて一体化し、これらを一本の気柱にすることにより、一箇所の給気孔から空気を送り込むことで、全体の骨格2内に入気出来るようにし、また排気孔を複数箇所に設け、特に撤収時等で折り畳む際に、迅速に排気が行われるようにしている。
【0015】
また、骨格の一部を独立気柱とし、該独立気柱の中に、エアの代わりに水を充填することによって、重さのある水嚢の役割を果たさせることも可能である。具体的には、図2における除染テントの底面近くの水平気柱2dを独立気柱とし、エアの代わりに水を充填することが出来る。
または、図4に示すような第2構成例の骨格8において、入口部の気柱8aと、中間部の気柱8bと、出口部の気柱8cを門型気柱にし、これら門型気柱の底面近くに四角形枠状の水平気柱8dを連結するとともに、上部付近に複数本の水平気柱8eを連結し、底面近くの水平気柱8dについてエアの代わりに水を充填することができる。尚、この際、底面近くの水平気柱8dについては、他の気柱より径を小さくする方が、スロープ台7のスロープ角度を小さく出来て好ましい。
【0016】
このように、骨格の一部を独立気柱とし、該独立気柱に水を充填して重りの役割を果たさせることにより、除染テントの安定性が増し、強風や外的な力による除染テントの移動や横転等を防止することが出来る。
【0017】
前記内天幕3は、ポリエチレンやイソプレンゴム等の剛性樹脂製シートや、織布や不織布等の繊維質基材に合成樹脂をコーティングまたは積層したシート等の非透水性シートが好ましい。これらの内天幕3には、透明部分を設けて採光窓としたり、メッシュ部分を設けて換気窓にすることも可能である。また、他の除染テントや他のテントと連結可能にするため、除染テントの出入り口にファスナやホック等の連結具を設けても良い。
【0018】
前記内天幕3は、例えば骨格2に接着等で固定される連結部にベルトやファスナー、ベルベットファスナ等を介して着脱自在に連結し得るようにされ、骨格2の内部に展張されるようになっている。
そして、展張した状態では、内部空間と骨格2間を遮蔽して内部にシャワー室が構成されるようにするとともに、テントの入口部と出口部に対応する箇所には、ファスナや部分的に内天幕が二重になったスリット等によって開閉自在な開閉部3hが設けられ、この開閉部3hを閉鎖した状態でシャワー設備4を使用すると、シャワー液等が内天幕3外部に漏洩しないようにされている。
【0019】
前記シャワー設備4は、不図示のシャワー液源に接続されるホースや、シャワー液を送給するポンプ等を備えており、前記ホースの一部は、骨格2の門型気柱2bや水平気柱部2d等に縛着されて固定されるとともに、ホースの延出端部は、前記内天幕3上部の挿通孔を通してシャワー室内に導かれ、その先端部には、シャワーヘッド等が取付けられている。
また、前記内天幕3には、ベルト等のシャワーの固定具が設けられており、シャワーヘッドを内天幕3の内側に固定出来るようになっている。
【0020】
前記すのこ6は、図2に示すように、シャワー室の地面上に載置すると、下方にトレー5を収容出来る空間部が形成されるようにされ、また、その高さは、前記スロープ台7の頂部の高さとほぼ同一とされている。そして実施例の場合、すのこ6とスロープ台7は一体化されている。
【0021】
前記スロープ台7の一端側下面には、図2の底柱gや、図4の水平気柱8dより僅かに高い立上げ板7tが設けられており、この立上げ板7tによって図2の底柱gや、図4の水平気柱8dの上部を跨ぐように位置決めできるようにされている。
【0022】
前記トレー5は、すのこ6の下方に位置決めされ、また、不図示のバキュームタンク等から延出するホース等が接続されて、溜まったシャワー液を吸い込んでタンク内等に回収出来るようにされている。
【0023】
以上のような除染テント1において、化学汚染や放射能汚染や細菌汚染等の災害が発生すると、現場等において、急速に組み立てて簡易シャワー室を構築し、被災者等を収容してシャワー液を浴びせて汚染物質を除去する。そして除染措置が完了すると、被災者を病院等に運び込み、汚染物質やシャワー液等が付着した内天幕3は破棄する。そして骨格2部分は殺菌処理を行った後、空気を抜いて折り畳んで収納し、繰り返して使用する。
このような方法により、テント1全体を破棄することに較べて無駄がなくなり、経済的である。
【0024】
ところで、図3はシャワー室を一室だけ構成するようにした小型のタイプのものであるが、この場合も、骨格2の内側に内天幕3を展張してシャワー室を形成し、シャワーが完了した時点で内天幕3を破棄する。
この場合も前記と同様の効果を奏する。
【0025】
尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えば骨格2、8の形状等は一例であり、また、内天幕3内部の空間の仕切り要領等も任意であり、内部に脱衣室や着衣室を設けることも可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る除染テントは、気柱で形成された骨格に、内天幕を取り付け、内天幕によって囲まれる内部空間の少なくとも一部をシャワー室として構成するとともに、シャワー室にトレーとすのこを設け、また内天幕を使い捨て式にしたため、緊急時等において迅速に除染設備を構築出来るとともに、骨格を繰り返して使用できるようになり、より経済的である。
また、テントの入口部と出口部の骨格を、一本の気柱から環状に構成すれば、底柱を地面に接触するような低い位置にすることが出来、ストレッチャーや人の通過が容易になるとともに、剛性の高いテントとなって使い勝手が良い。
また、環状気柱部の底柱上に、スロープ台を配設すれば、一層ストレッチャーや人の通過が便利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る除染テントの一例を示す全体斜視図
【図2】同除染テントの主要構成部品を示す分解斜視図
【図3】小型の除染テントの内部構造の一例を示す部分断面図
【図4】除染テントの骨格の別構成例図
【符号の説明】
1…除染テント、2…骨格、2a、2b…環状気柱部、3…内天幕、4…シャワー設備、5…トレー、6…すのこ、7…スロープ台、8…骨格、g…底柱。

Claims (3)

  1. 気柱で形成された骨格と、骨格の内側に取り付けられた使い捨ての内天幕を有し、該天幕によって囲まれる内部空間の少なくとも一部がシャワー室とされる除染テントであって、前記シャワー室には、シャワー液を受けるトレーと、該トレーの上に配置されるすのこが設けられることを特徴とする除染テント。
  2. 前記テントの入口部と出口部の骨格には、一本の気柱を環状にした環状気柱部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の除染テント。
  3. 前記環状気柱部の底柱上には、スロープ台が配設されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の除染テント。
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