JP2004067533A - 易溶出性製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することを特徴とする易溶出性製剤。
【効果】本発明の易溶出性製剤は、水への溶出性が優れ、溶出した2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オンが析出せず、安定に維持され血中への吸収性も改善される。
【選択図】 なし
【効果】本発明の易溶出性製剤は、水への溶出性が優れ、溶出した2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オンが析出せず、安定に維持され血中への吸収性も改善される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶出性及び溶出安定性の優れた2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン(以下、化合物1という)含有製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
化合物1は、優れたインターロイキン−1β産生抑制作用を有し、免疫系疾患、炎症性疾患、虚血性疾患の予防治療薬、特に関節リウマチの治療薬として有用であることが知られている(特開2000−198776)。
本発明者は、当該化合物1を経口投与用医薬製剤として利用すべく検討してきた。しかし、この化合物1は、極めて水に溶け難く、製剤からの溶出性が悪く、さらに溶出してもすぐに結晶として析出してしまい、充分な薬効が得られないことが判明した。
難水溶性薬物含有製剤から当該薬物の水への溶出性を改善する手段としては、一般に当該薬物を微細化する方法、誘導体に変換する方法が知られている。しかし、化合物1の場合、微細化しても溶出性が改善されず、誘導体に変換すると薬効が変化し好ましくないことが判明した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、製剤からの溶出性及び溶出安定性の優れた化合物1含有製剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、化合物1と種々の成分とを組み合せて製剤を調製し、その製剤からの化合物1の溶出性を検討したところ、化合物1にヒドロキシプロピルメチルセルロースと特定の非イオン性界面活性剤を組み合せて固体分散体とすれば、化合物1の溶出性が顕著に向上し、さらに溶出後に結晶析出がなく溶出安定性も優れ、経口投与用製剤として有用な製剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、化合物1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することを特徴とする易溶出性製剤を提供するものである。
また、本発明は、化合物1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することを特徴とする固体分散体を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する化合物1、すなわち2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オンは、例えば、特開2000−198776に記載の方法で製造される。
本発明の易溶出性製剤中に化合物1は、製剤全量に対して0.1〜25重量%、さらに0.1〜20重量%、特に0.5〜15重量%含有するのが薬効の点で好ましい。
【0007】
本発明において使用するヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、メトキシ基含有率が19〜30重量%、好ましくは28〜30重量%であり、ヒドロキシプロポキシ基含有率が4〜12重量%、好ましくは7〜12重量%であり、かつ粘度が2.5〜7mm2/s(20℃)のものが最も好ましい。ここで、粘度は、試料2gを水98mLに溶解した水溶液を、日本薬局方の粘度測定法第一法(毛細管粘度計法)により、20℃で測定した値をいう。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、具体的には、メトローズ90SH、メトローズ65SH、メトローズ60SH、TC−5(信越化学工業製)、メトセルK、メトセルF、メトセルE(ダウ・ケミカル製)、マーポローズ(松本油脂製薬製)が市販されている。
【0008】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、化合物1、1重量部に対して、2〜15重量部、特に3〜10重量部含有するのが好ましい。
【0009】
本発明で使用するソルビタン脂肪酸エステルとしては、炭素数12〜22、さらに12〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸のソルビタンエステルが挙げられる。モノエステルが好ましく、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノミリスチン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル等が挙げられ、特にソルビタンモノラウリン酸エステルが好ましい。例えば、ニッコールSL−10、ニッコールSP−10、ニッコールSS−10、ニッコールSO−10(日光ケミカルズ製)、レオドールSP−L10、レオドールSP−P10、レオドールSP−S10、レオドールSP−O10、エマゾールL−10(F)、エマゾールP−10(F)、エマゾールS−10(F)、エマゾールO−10(F)(花王製)、ノニオンLP−20R、ノニオンPP−40Rペレット、ノニオンSP−60Rペレット、NOFABLE SO−991、NOFABLE SO−901(日本油脂製)、ソルゲン50(第一工業製薬製)、ソルマンS−300(武田薬品工業製)等が市販されている。
【0010】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、エチレンオキサイド平均付加モル数が3〜150、さらには5〜100のものが挙げられる。
ポリオキシエチレン(5:平均付加モル数、以下同様)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油等が挙げられる。例えば、ニッコールHCO−5、ニッコールHCO−10、ニッコールHCO−20、ニッコールHCO−40、ニッコールHCO−50、ニッコールHCO−60、ニッコールHCO−100(日光ケミカルズ製)、ユニオックス、ユニオックスHC−100、ユニオックスHC−20、ユニオックスHC−40、ユニオックスHC−5ユニオックスHC−50、ユニオックスHC−60(日本油脂製)等が市販されている。
【0011】
ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、化合物1、1重量部に対して0.01〜3重量部、特に0.1〜1重量部含有するのが好ましい。両者を併用する場合は、合計量がこの範囲にあればよい。
【0012】
本発明の易溶出性製剤は、化合物1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を予め製剤化し、固体分散体とし、次いで適宜使用される成分と混合して易溶出性製剤とするのが、溶出性の点で好ましい。
【0013】
これら3又は4成分の固体分散体を製造するには、例えば、これら3又は4成分を溶剤中に溶解した後、常法により溶剤を除去する方法が好ましい。
溶剤としては、これら3又は4成分の溶解能力の点でメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、ジクロロメタンなどの有機溶媒、水又はそれらの混合物又はそれと水の混合物などが挙げられる。
溶剤の除去は、該溶剤を除去できれば方法に制限はなく、例えば、減圧留去、スプレードライヤー又は流動層造粒機若しくは転動造粒機などの機械で核粒子に噴霧するなどの方法が挙げられる。
固体分散体の製造に際し、易溶出性製剤の製造に使用される成分を溶解しておいてもよい。
【0014】
固体分散体は、溶出性の点で、平均粒径が1〜1000μm、さらに2〜800μm、特に10〜600μmであるのが好ましい。この平均粒径は、レーザー光散乱回折法で測定した値をいう。
【0015】
本発明の易溶出性製剤は、このようにして製造された固体分散体を、そのまま易溶出性製剤として用いてもよいが、さらに適宜使用される成分を添加して製剤化してもよい。
適宜使用される成分としては、乳糖、結晶セルロース、白糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウムなどの賦形剤;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、プルランなどの結合剤;クロスカルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤;タール色素、三二酸化鉄などの着色剤;ステビア、アスパルテーム、香料などの矯味剤などが挙げられる。
【0016】
本発明の易溶出性製剤は、固形の形態であれば限定されるものではない。例えば、服用しやすい形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤などが挙げられる。
【0017】
【実施例】
本発明を、実施例及び比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】
実施例1
化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトキシ基29重量%、ヒドロキシプロポキシ基10重量%)(信越化学工業製:TC−5R)45g、ソルビタンモノラウリン酸エステル(日光ケミカルズ製:ニッコールSL−10)3gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤー(ヤマト科学製GS−31)にて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。
平均粒径25μm(レーザー光散乱回折式粒度分布測定装置:ベックマン・コールター(株)、LS230、以下同様。)
【0019】
実施例2
化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45g、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ製:ニッコールHCO−60)3gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。
平均粒径22μm
【0020】
比較例1
化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。
平均粒径21μm
【0021】
比較例2
化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45g、モノステアリン酸グリセリン(日光ケミカルズ製:ニッコールMGS−B)1.5g、及びステアリン酸ポリオキシル40(日光ケミカルズ製:ニッコールMYS−40)3gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。
平均粒径18μm
【0022】
比較例3
化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45g、ポリソルベート80(日光ケミカルズ製:ニッコールTO−10M)7.5gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。
平均粒径26μm
【0023】
試験例1. 溶出試験
製造した実施例1、比較例1〜3の固体分散体の溶出性及び溶出安定性を次法に従って行った。
溶出試験(日局一般試験法 溶出試験法第2法(パドル法))
化合物1、10mg含有する固体分散体を水900mL中に投入し、温度37±1℃、パドル回転数50r/minの条件で溶出量を測定した。
化合物1の溶出量は、逆相系カラム(ジーエルサイエンス製:Inertsil ODS−2)を用いた高性能液体クロマトグラフ法により測定した。
溶出安定性は、120分撹拌した試験液を顕微鏡で肉眼観察し、結晶の析出の有無を判定した。
【0024】
【表1】
【0025】
実施例1、2の固体分散体は、化合物1の溶出性に優れ、特に経時的な結晶析出が抑制されたのに対し、比較例1では化合物1が殆んど溶出せず、また比較例2、3は初期溶出性は示すが、経時的に化合物1が結晶として析出した。
【0026】
試験例2. 吸収性試験
実施例1及び比較例1の固体分散体を、HRA系ビーグル犬(体重約10kg)に、化合物1、として10mg/kg経口投与し、投与後24時間迄、経時的に採血し、遠心分離した後、試験例1と同様にして高性能液体クロマトグラフ法により血中の本化合物濃度を測定した。最高血中濃度は、実施例1は0.530μg/mL、比較例1は0.008μg/mLであった。本発明の固体分散体は優れた血中への吸収性を示した。
【0027】
実施例3
実施例1で製造した固体分散体粉末42g、乳糖190g、カルメロースカルシウム26g及び軽質無水ケイ酸2gを混合し、打錠機で打錠し、0.26g/個の直径8.5mmの易溶出性製剤を得た。
【0028】
【発明の効果】
本発明の易溶出性製剤は、水への溶出性が優れ、溶出した2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オンが析出せず、安定に維持され血中への吸収性も改善される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶出性及び溶出安定性の優れた2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン(以下、化合物1という)含有製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
化合物1は、優れたインターロイキン−1β産生抑制作用を有し、免疫系疾患、炎症性疾患、虚血性疾患の予防治療薬、特に関節リウマチの治療薬として有用であることが知られている(特開2000−198776)。
本発明者は、当該化合物1を経口投与用医薬製剤として利用すべく検討してきた。しかし、この化合物1は、極めて水に溶け難く、製剤からの溶出性が悪く、さらに溶出してもすぐに結晶として析出してしまい、充分な薬効が得られないことが判明した。
難水溶性薬物含有製剤から当該薬物の水への溶出性を改善する手段としては、一般に当該薬物を微細化する方法、誘導体に変換する方法が知られている。しかし、化合物1の場合、微細化しても溶出性が改善されず、誘導体に変換すると薬効が変化し好ましくないことが判明した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、製剤からの溶出性及び溶出安定性の優れた化合物1含有製剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、化合物1と種々の成分とを組み合せて製剤を調製し、その製剤からの化合物1の溶出性を検討したところ、化合物1にヒドロキシプロピルメチルセルロースと特定の非イオン性界面活性剤を組み合せて固体分散体とすれば、化合物1の溶出性が顕著に向上し、さらに溶出後に結晶析出がなく溶出安定性も優れ、経口投与用製剤として有用な製剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、化合物1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することを特徴とする易溶出性製剤を提供するものである。
また、本発明は、化合物1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することを特徴とする固体分散体を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する化合物1、すなわち2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オンは、例えば、特開2000−198776に記載の方法で製造される。
本発明の易溶出性製剤中に化合物1は、製剤全量に対して0.1〜25重量%、さらに0.1〜20重量%、特に0.5〜15重量%含有するのが薬効の点で好ましい。
【0007】
本発明において使用するヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、メトキシ基含有率が19〜30重量%、好ましくは28〜30重量%であり、ヒドロキシプロポキシ基含有率が4〜12重量%、好ましくは7〜12重量%であり、かつ粘度が2.5〜7mm2/s(20℃)のものが最も好ましい。ここで、粘度は、試料2gを水98mLに溶解した水溶液を、日本薬局方の粘度測定法第一法(毛細管粘度計法)により、20℃で測定した値をいう。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、具体的には、メトローズ90SH、メトローズ65SH、メトローズ60SH、TC−5(信越化学工業製)、メトセルK、メトセルF、メトセルE(ダウ・ケミカル製)、マーポローズ(松本油脂製薬製)が市販されている。
【0008】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、化合物1、1重量部に対して、2〜15重量部、特に3〜10重量部含有するのが好ましい。
【0009】
本発明で使用するソルビタン脂肪酸エステルとしては、炭素数12〜22、さらに12〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸のソルビタンエステルが挙げられる。モノエステルが好ましく、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノミリスチン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル等が挙げられ、特にソルビタンモノラウリン酸エステルが好ましい。例えば、ニッコールSL−10、ニッコールSP−10、ニッコールSS−10、ニッコールSO−10(日光ケミカルズ製)、レオドールSP−L10、レオドールSP−P10、レオドールSP−S10、レオドールSP−O10、エマゾールL−10(F)、エマゾールP−10(F)、エマゾールS−10(F)、エマゾールO−10(F)(花王製)、ノニオンLP−20R、ノニオンPP−40Rペレット、ノニオンSP−60Rペレット、NOFABLE SO−991、NOFABLE SO−901(日本油脂製)、ソルゲン50(第一工業製薬製)、ソルマンS−300(武田薬品工業製)等が市販されている。
【0010】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、エチレンオキサイド平均付加モル数が3〜150、さらには5〜100のものが挙げられる。
ポリオキシエチレン(5:平均付加モル数、以下同様)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油等が挙げられる。例えば、ニッコールHCO−5、ニッコールHCO−10、ニッコールHCO−20、ニッコールHCO−40、ニッコールHCO−50、ニッコールHCO−60、ニッコールHCO−100(日光ケミカルズ製)、ユニオックス、ユニオックスHC−100、ユニオックスHC−20、ユニオックスHC−40、ユニオックスHC−5ユニオックスHC−50、ユニオックスHC−60(日本油脂製)等が市販されている。
【0011】
ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、化合物1、1重量部に対して0.01〜3重量部、特に0.1〜1重量部含有するのが好ましい。両者を併用する場合は、合計量がこの範囲にあればよい。
【0012】
本発明の易溶出性製剤は、化合物1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を予め製剤化し、固体分散体とし、次いで適宜使用される成分と混合して易溶出性製剤とするのが、溶出性の点で好ましい。
【0013】
これら3又は4成分の固体分散体を製造するには、例えば、これら3又は4成分を溶剤中に溶解した後、常法により溶剤を除去する方法が好ましい。
溶剤としては、これら3又は4成分の溶解能力の点でメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、ジクロロメタンなどの有機溶媒、水又はそれらの混合物又はそれと水の混合物などが挙げられる。
溶剤の除去は、該溶剤を除去できれば方法に制限はなく、例えば、減圧留去、スプレードライヤー又は流動層造粒機若しくは転動造粒機などの機械で核粒子に噴霧するなどの方法が挙げられる。
固体分散体の製造に際し、易溶出性製剤の製造に使用される成分を溶解しておいてもよい。
【0014】
固体分散体は、溶出性の点で、平均粒径が1〜1000μm、さらに2〜800μm、特に10〜600μmであるのが好ましい。この平均粒径は、レーザー光散乱回折法で測定した値をいう。
【0015】
本発明の易溶出性製剤は、このようにして製造された固体分散体を、そのまま易溶出性製剤として用いてもよいが、さらに適宜使用される成分を添加して製剤化してもよい。
適宜使用される成分としては、乳糖、結晶セルロース、白糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウムなどの賦形剤;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、プルランなどの結合剤;クロスカルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤;タール色素、三二酸化鉄などの着色剤;ステビア、アスパルテーム、香料などの矯味剤などが挙げられる。
【0016】
本発明の易溶出性製剤は、固形の形態であれば限定されるものではない。例えば、服用しやすい形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤などが挙げられる。
【0017】
【実施例】
本発明を、実施例及び比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】
実施例1
化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトキシ基29重量%、ヒドロキシプロポキシ基10重量%)(信越化学工業製:TC−5R)45g、ソルビタンモノラウリン酸エステル(日光ケミカルズ製:ニッコールSL−10)3gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤー(ヤマト科学製GS−31)にて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。
平均粒径25μm(レーザー光散乱回折式粒度分布測定装置:ベックマン・コールター(株)、LS230、以下同様。)
【0019】
実施例2
化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45g、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ製:ニッコールHCO−60)3gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。
平均粒径22μm
【0020】
比較例1
化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。
平均粒径21μm
【0021】
比較例2
化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45g、モノステアリン酸グリセリン(日光ケミカルズ製:ニッコールMGS−B)1.5g、及びステアリン酸ポリオキシル40(日光ケミカルズ製:ニッコールMYS−40)3gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。
平均粒径18μm
【0022】
比較例3
化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45g、ポリソルベート80(日光ケミカルズ製:ニッコールTO−10M)7.5gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。
平均粒径26μm
【0023】
試験例1. 溶出試験
製造した実施例1、比較例1〜3の固体分散体の溶出性及び溶出安定性を次法に従って行った。
溶出試験(日局一般試験法 溶出試験法第2法(パドル法))
化合物1、10mg含有する固体分散体を水900mL中に投入し、温度37±1℃、パドル回転数50r/minの条件で溶出量を測定した。
化合物1の溶出量は、逆相系カラム(ジーエルサイエンス製:Inertsil ODS−2)を用いた高性能液体クロマトグラフ法により測定した。
溶出安定性は、120分撹拌した試験液を顕微鏡で肉眼観察し、結晶の析出の有無を判定した。
【0024】
【表1】
【0025】
実施例1、2の固体分散体は、化合物1の溶出性に優れ、特に経時的な結晶析出が抑制されたのに対し、比較例1では化合物1が殆んど溶出せず、また比較例2、3は初期溶出性は示すが、経時的に化合物1が結晶として析出した。
【0026】
試験例2. 吸収性試験
実施例1及び比較例1の固体分散体を、HRA系ビーグル犬(体重約10kg)に、化合物1、として10mg/kg経口投与し、投与後24時間迄、経時的に採血し、遠心分離した後、試験例1と同様にして高性能液体クロマトグラフ法により血中の本化合物濃度を測定した。最高血中濃度は、実施例1は0.530μg/mL、比較例1は0.008μg/mLであった。本発明の固体分散体は優れた血中への吸収性を示した。
【0027】
実施例3
実施例1で製造した固体分散体粉末42g、乳糖190g、カルメロースカルシウム26g及び軽質無水ケイ酸2gを混合し、打錠機で打錠し、0.26g/個の直径8.5mmの易溶出性製剤を得た。
【0028】
【発明の効果】
本発明の易溶出性製剤は、水への溶出性が優れ、溶出した2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オンが析出せず、安定に維持され血中への吸収性も改善される。
Claims (2)
- 2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することを特徴とする易溶出性製剤。
- 2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びソルビタン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することを特徴とする固体分散体。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006080312A1 (ja) * | 2005-01-25 | 2006-08-03 | Kowa Co., Ltd. | 吸着多孔体の製造法 |
JP2009155282A (ja) * | 2007-12-27 | 2009-07-16 | Kowa Co | 固体分散体含有医薬組成物 |
-
2002
- 2002-08-02 JP JP2002225882A patent/JP2004067533A/ja active Pending
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