JP2004067342A - フィルム搬送装置及び画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】収納時におけるフィルムの特性を維持することで、形成した画像の安定化を図る。
【解決手段】画像記録装置本体に取り付けられて、感光性のフィルムを画像記録装置本体に搬送するフィルム搬送装置である。フィルム搬送装置には、フィルムを収納するフィルム収納手段と、フィルム収納手段に収納される複数のフィルムを上から順次搬送する搬送手段とが格納手段に格納されて備えられている。この格納手段には、フィルムをフィルム収納手段に補充するための補充蓋を開閉自在に有するとともに、搬送されたフィルムを搬出する搬出口が設けられている。そして、搬出口を開閉自在に覆う開閉手段と、格納手段とが一体的に画像記録装置本体に備えられている。そして、補充蓋と開閉手段とが閉状態である場合には、格納手段内部が気密になる。
【選択図】 図1
【解決手段】画像記録装置本体に取り付けられて、感光性のフィルムを画像記録装置本体に搬送するフィルム搬送装置である。フィルム搬送装置には、フィルムを収納するフィルム収納手段と、フィルム収納手段に収納される複数のフィルムを上から順次搬送する搬送手段とが格納手段に格納されて備えられている。この格納手段には、フィルムをフィルム収納手段に補充するための補充蓋を開閉自在に有するとともに、搬送されたフィルムを搬出する搬出口が設けられている。そして、搬出口を開閉自在に覆う開閉手段と、格納手段とが一体的に画像記録装置本体に備えられている。そして、補充蓋と開閉手段とが閉状態である場合には、格納手段内部が気密になる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現象感光材料等からなるフィルムを搬送するフィルム搬送装置及びこのフィルム搬送装置を内部に収納する画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CTなどのX線撮影装置やMRI等の医療用画像撮影装置で撮影した画像情報を階調処理などの画像処理を施した後、その画像データをドライイメージャ等の画像記録装置に送り、前記画像データにしたがって駆動制御されるレーザ光の走査を介して、感光性の乳剤層を備えるフィルム上に画像を記録するシステムが知られている。
【0003】
上述のような画像記録装置は、記録部に向けてフィルムを供給するためのフィルムカートリッジを着脱自在に具備している。このフィルムカートリッジには、フィルムが複数枚重ねて搭載されており、これらのフィルムは、画像記録装置本体に備えられたフィルム搬送装置の吸盤部によって一枚ずつ画像記録装置本体に供給されている。
【0004】
このフィルムカートリッジには、画像記録装置から取り外された際に、内部のフィルムが常に感光しないようにフィルムを覆う遮光板が備えられている。この遮光板は、フィルムの搬送時、つまりフィルムカートリッジが画像記録装置本体に取り付けられると、フィルムを画像記録装置本体に搬送するために開放され、フィルム搬送装置までの搬送経路を確保する。搬送経路が確保されると、フィルム搬送装置は、フィルムカートリッジに搭載されたフィルムを一枚ずつ吸着して搬送する吸盤部を駆動させて、フィルムを記録部に搬送している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フィルムの乳剤層は感光層を有しており、この感光層には揮発性の溶剤や還元剤等が含まれている。このため溶剤の揮発や、還元剤の酸化によってフィルム自体の感度、現像特性等が次第に変化する。
従来のフィルムカートリッジでは、吸盤部がフィルムを持ち運べるように遮光板が大きく開放されるために、フィルムカートリッジの内部は換気されやすく、乳剤層が大気にさらされやすい状態であった。このため、乳剤層内の感光層に含まれる溶剤の揮発や、還元剤の酸化が進行してしまい、結果としてフィルムの感度、現像特性等が変化してしまう。
このようにフィルムの感度、現像特性に変化が生じると、形成された画像が不安定で不明瞭となってしまうので、従来では、次第に変化するフィルムの特性を基に、その特性変化分を補正制御して、安定した画像を形成していた。
【0006】
また、一日あたりの使用枚数が少ない少処理施設では、一度に多くのフィルムを補充すると、フィルムカートリッジ内に長期間とどまるフィルムが発生してしまう。このようなフィルムは、長期にわたって大気にさらされる可能性が高いために、感度、現像特性等の変化を生じやすい。このため、従来では、コストがかかるものの少量入りのフィルムパッケージを用意して、フィルムカートリッジ内にフィルムが長期間とどまることを防止していた。
【0007】
本発明の課題は、収納時におけるフィルムの特性を維持することで、容易に安定した画像を形成できるフィルム搬送装置及び画像記録装置を提供する。また、フィルムパッケージにかかるコストを低減できるフィルム搬送装置及び画像記録装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
画像が記録される感光性のフィルムを画像記録装置本体に搬送するフィルム搬送装置において、
前記フィルムを収納するフィルム収納手段と、
前記フィルム収納手段に複数枚重ねられて収納される前記フィルムを上から順次、前記画像記録装置本体まで搬送する搬送手段と、
前記フィルム収納手段及び前記搬送手段を格納し、かつ、前記フィルムを前記フィルム収納手段に補充するための補充蓋を開閉自在に有するとともに、前記搬送手段により搬送された前記フィルムを搬出する搬出口を有する格納手段と、
前記搬出口を開閉自在に覆う開閉手段と、
が一体的に前記画像記録装置本体に備えられ、
前記補充蓋と前記開閉手段とが閉状態である場合には、前記格納手段が気密になることを特徴としている。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、格納手段内にフィルム収納手段と搬送手段とが格納され、フィルム収納手段に収納されるフィルムは、搬送手段によって画像記録装置本体に搬送される。つまり、画像記録装置本体のフィルム搬送装置を介さなくとも画像記録装置本体にフィルムを搬送することができる。そして、搬出口は、最低限フィルムが搬出できる大きさを確保していればよいので、従来のように遮光板を大きく開放させた場合よりも小さな開口となり、その分、格納手段内部の換気を抑えることができる。したがって、フィルム収納部に収納されたフィルムが大気にさらされることを抑制し、フィルムの乳剤層内の感光層に含まれる溶剤の揮発や、還元剤の酸化を抑え、フィルムの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
また、補充蓋と開閉手段とが閉状態である場合には、格納手段内部が気密であるので、フィルム搬送時以外は格納手段内部の気密性を維持することができる。このため、フィルム収納部に収納されたフィルムが、搬送時以外に大気にさらされることを防止し、よりフィルムの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
【0010】
このように、フィルムの感度、現像特性を防止できることから、フィルムの特性変動は小さくなり、補正制御を行わなくても容易に安定した画像を得ることができる。また、補正制御を適応した場合においても、補正制御での補正量が小さくなり、より安定した画像を得ることができる。このように、フィルムの特性変動は小さいので少処理施設でも補正制御とあいまって安定した画像を得ることができる。
そのうえ、フィルム収納手段内にフィルムが長期間とどまっていても、フィルムの特性変動を小さく抑えているので、少量入りのフィルムパッケージを用意しなくてもよく、フィルムパッケージにかかるコストを抑えることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のフィルム搬送装置において、
前記格納手段内部の体積は、前記フィルム収納手段が収納できる最大収納枚数分の前記フィルムの体積の3倍以下に設定されることを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、格納手段内部の体積が、フィルム収納手段が収納できる最大収納枚数分のフィルムの体積の3倍以下に設定されているので、格納手段内部に溜まる空気の量を少なくすることができ、フィルムを補充した直後であっても、格納手段内部の空気によってフィルムの感度、現像特性等が変化するのを抑えることができる。なお、好ましくは最大収納枚数分のフィルムの体積の2倍以下であり、さらに好ましくは1.5倍以下である。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のフィルム搬送装置において、
前記搬送手段には、前記フィルム収納手段に収納された複数の前記フィルムのうち、最上位の前記フィルムの上面に接触するローラが備えられ、
前記ローラは、前記フィルムを搬送する際に、前記最上位の前記フィルムを搬送方向へ移動させるように回転することを特徴としている。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、フィルムをローラにより搬送する搬送手段であるので、吸盤式のものと比較して、搬送手段の設置空間を小さくでき、格納手段内部の体積を小さくすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
前記格納手段には、前記搬送手段により搬送された前記フィルムが前記搬出口までいたるまでの間に、前記フィルムを一枚毎に捌く捌き手段が格納されることを特徴としている。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、搬送手段により搬送されたフィルムが搬出口までいたるまでの間に、フィルムを一枚毎に捌く捌き手段が格納手段に格納されているので、格納手段から画像記録装置本体にまでフィルムを一枚毎に搬送することができる。このため、搬出口の開口を小さくすることができ、より格納手段内部の換気を抑えることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載のフィルム搬送装置において、
前記捌き手段には、前記搬送手段から搬送された前記フィルムを下側から支持する第一捌きローラと、前記第一捌きローラの上方で、前記搬送手段から搬送された前記フィルムの上面に接触し、前記接触した前記フィルムを搬送方向へ移動させるように回転する第二捌きローラとが備えられることを特徴としている。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、捌き手段が、第一捌きローラと第二捌きローラとを備えた構成であるために、設置スペースを小さくでき、格納手段内の体積を小さくすることができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
遮光性を確保するバリア袋で包装された前記フィルムを前記フィルム収納手段に格納した際に、前記バリア袋の開封される一端部を遮光するシャッター手段が備えられることを特徴としている。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、バリア袋で包装されたフィルムをフィルム収納手段に格納した際に、バリア袋の開封される一端部がシャッター手段によって遮光されるので、バリア袋の開封後にバリア袋内のフィルムが感光することを防止できる。
そして、例えば、バリア袋で包装されたフィルムをフィルム収納部へセットした後、バリア袋の他端部を格納手段の補充蓋からはみ出すように補充蓋を閉じておき、補充蓋による遮光性を維持した状態で、バリア袋の他端部をもってバリア袋を格納手段から抜き出せば、フィルムを感光させることなく補充することができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
前記フィルムには、樹脂からなるシート状の支持体と、前記支持体の一面に形成される感光性の乳剤層とが備えられ、
前記フィルム収納部に収納される前記各フィルムは、前記乳剤層と前記支持体とが交互になるように積層され、前記積層された複数の前記フィルムの最下面が前記乳剤層であることを特徴としている。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、各フィルムが乳剤層側と支持体側とが交互になるように積層され、積層された複数のフィルムの最下面が乳剤層となるように、フィルム収納部に収納されるので、最上位のフィルムは支持体側が上面となる。つまり、乳剤層に格納手段内の空気が触れることを抑制することができ、フィルムの感度、現像特性等の変化を抑えることができる。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置を内部に収納する画像記録装置であって、
換気のために発生させられる気流のうち、前記フィルム搬送装置の前記格納手段の前記搬出口近傍を流れる気流が、前記搬出口が設けられた前記格納手段の前面と平行もしくは前記搬出口の後方側から前方側に向かって流れることを特徴としている。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、換気のために発生させられる気流のうち、フィルム搬送装置の格納手段の搬出口近傍を流れる気流が、搬出口が設けられた格納手段の前面と平行もしくは前記搬出口の後方側から前方側に向かって流れるので、搬出口が気流の上流側を向くことなく、換気時の風により大気が搬出口を介して格納手段内に入ることを抑えることができる。したがって、格納手段内部が換気されることを防止でき、フィルムの感度、現像特性等の変化を抑えることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図1〜図7の図面を参照しながら説明する。
【0026】
本実施の形態のフィルム搬送装置は、ドライ銀塩熱現像方式を採用したレーザイメージャからなる画像記録装置に備えられ、この画像記録装置本体に対して、感光性のフィルムを搬送するものである。
【0027】
画像記録装置1は、図1に示すように、画像記録装置本体2と、画像記録装置本体2に引き出し自在に収納されるフィルム搬送装置3とを備えている。
【0028】
画像記録装置本体2は、フィルム搬送装置3が取り付けられる搬送部4と、フィルムFを露光してフィルムF上に潜像を形成する露光部5と、フィルムFに形成された潜像を現像し可視画像を得る現像部6と、現像されたフィルムFを受けるフィルム受け部7と、搬送部4、露光部5、現像部6、フィルム受け部7を結ぶフィルム搬送路8と、装置内部の熱上昇を抑えるために換気するファン9と、これら各部を制御するとともにフィルム搬送装置3を制御する制御部10と、各部を格納して覆うカバー11とを備えている。
【0029】
搬送部4は、フィルム搬送装置3を引き出し自在に保持するためのスライドレール41を備えており、フィルム搬送装置3が搬送可能な状態に押し込められた際には、フィルム搬送装置3内が感光しないよう、遮光性が保たれた構成となっている。
【0030】
露光部5は、搬送部4の下方に設けられている。この露光部5は、レーザ光源、ポリゴンミラー、Fθレンズ、シリンドリカルレンズ等を備え、制御部10により走査が制御されて、フィルムFを露光し潜像を形成する走査光学部51と、走査光学部51の直下のフィルム搬送路8上に設けられるフィルム送り部52と、フィルム搬送装置3からフィルム搬送路8を介して搬送されたフィルムFの一辺を、搬送方向に対して直交する左右いずれかの基準位置に合うように、フィルムFの位置を調整するフィルム位置調整部53とを備えている。
【0031】
フィルム送り部52は、ベルト52aと、ベルト52aを懸架する3つの支持ローラ52bと、支持ローラ52bのうち搬送路側に位置する支持ローラ52bにそれぞれ接触する2つの搬送ローラ52cとを備えている。そして、フィルム送り部52は、走査光学部51の走査に対応してフィルムFを搬送するように、制御部10によって制御されている。
【0032】
現像部6は、搬送部4の上方に設けられている。この現像部6は、表面にシリコンゴム層を有し、内側に加熱源を有する可回転のドラム61と、前記ドラム61の表面に軽圧接するように設けた小径かつ可回転の押圧ローラ62と、分離爪63とを備えている。
押圧ローラ62は、フィルム搬送路8内を搬送されてくるフィルムFの受け入れ位置から分離爪63に近接する位置までの範囲に適宜の数だけ設けられており、フィルムFの均一な現像を可能としている。
【0033】
フィルム受け部7は、装置上面に設けられた受け皿71により、フィルム搬送路8から装置外に排出されたフィルムFを受ける。
【0034】
フィルム搬送路8は、対からなる搬送ローラ81a〜81jと、それらの搬送ローラ81a〜81jの間に設置したガイドレール82と、露光部5における支持ローラ52b及び搬送ローラ52cとから形成されている。
【0035】
カバー11には、搬送部4の上方部分に複数の通気孔11aが設けられており、ファン9が回転することで、通気孔11aからファン9までの気流Wが発生し、画像記録装置1内部を換気し内部に貯まった熱を排出することができる。
【0036】
ここで、本実施の形態で用いられる熱現像用のフィルムFは、透過性の樹脂(例えばPET(PolyEthylene Terephthalate resin)等)からなるシート状の支持体と、支持体の一面に形成される感光性の乳剤層とを備えている。
乳剤層は、支持体の一面に乳剤を塗布したものである。乳剤層には、感光層が設けられており、この感光層には、還元剤、溶剤等が含有されている。
【0037】
還元剤の好適な例としては、米国特許第3770484号、同第3773512号、同第3593863号及びResearch Disclosure17029及び29963に記載されており、公知の還元剤の中から適宜選択して使用することができるが、有機銀塩に脂肪族カルボン酸銀塩を使用する場合には、2個以上のフェノール基がアルキレン基又は硫黄によって連結されたポリフェノール類、特にフェノール基のヒドロキシ置換位置に隣接した位置の少なくとも1つにアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)又はアシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基等)を置換したフェノール基の2個以上がアルキレン基又は硫黄によって連結されたビスフェノール類等が好ましい。
【0038】
また、還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀塩1モルあたり0.05モル〜10.00モル、好ましくは0.10モル〜3.00モルが適当である。またこの量の範囲内において、上述した還元剤は2種以上併用されてもよい。なお、還元剤の補助剤として、ED1096310号明細書に記載されているトリフェニルフォスファンオキサイド等のように還元剤の水酸基の水素と水素結合を形成しうる化合物を併用することも好ましい。
【0039】
溶剤の好適な例としては、アセトン、メチルエチルケトン、イソフォロン等のケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール類、イソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、塩化メチレン、ジクロルベンゼン等の塩化物類、炭化水素類等が挙げられる。その他、水、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、トルイジン、テトラヒドロフラン、酢酸等が挙げられる。ただしこれらに限定されるものではない。またこれらの溶剤は、単独、又は数種類組み合わせて用いてもよい。
【0040】
そして、フィルムFは、図2及び図3に示すようにフィルム搬送装置3に装填される前に感光しないように、バリア袋Sによって包装されている。この状態のものをフィルムパッケージと呼ぶ。バリア袋Sは、乳剤層側と支持体側とが交互になるように積層された複数枚のフィルムFを収納するフィルムトレイ12を内部に備えている。このフィルムトレイ12は、図2に示すように、切欠12aを有するH型形状の底部12bと、底部12bの四隅でフィルムFの移動を規制する壁部12cと、底部12bの中心で回動可能に軸支され、フィルム搬送時にフィルムFの一端部を持ち上げる持ち上げ板12dとを備えている。
なお、バリア袋Sは、遮光性と可撓性とある程度の強度とがあれば特に材料限定されないが、例えば、PETフィルムとアルミニウム箔をラミネート構造とした薄膜からなるものが挙げられる。
【0041】
このように、フィルムFはバリア袋Sによって十分に遮光性を保たれた状態で、フィルム搬送装置3に補充される。なお、搬送時においては、バリア袋SをフィルムFから剥がした状態でなければフィルムFを搬送できないが、このバリア袋Sを剥がす際の手順については後で説明する。
【0042】
フィルム搬送装置3は、フィルムFを搬送する搬送手段を備えたフィルムカートリッジであり、図2〜図4に示すように、フィルムFをフィルムトレイ12ごと収納するカセットトレイ(フィルム収納手段)31と、カセットトレイ31内のフィルムFを画像記録装置本体に搬送するフィルム搬送部32と、フィルムトレイ12の持ち上げ板12dを上下動させて、フィルムFを搬送部4まで案内する案内部(図示省略)と、これら各部を遮光して格納する遮光ケース(格納手段)35とを備えている。
【0043】
そしてフィルム搬送装置3は、画像記録装置本体2に備わるスライドレール41と係合する係合部36を備えており、係合部36とスライドレール41とが係合すると、フィルム搬送装置3は画像記録装置本体2に抜き出し可能に設置される。なお、フィルム搬送装置3をスライドレール41から取り外すことも可能である。
また、フィルム搬送装置3は、画像記録装置本体2に備わる制御部10と電気的に接続されており、この制御部10によって各部が制御されている。
【0044】
カセットトレイ31は、バリア袋Sの搭載後、バリア袋Sの一端部を切断して開封する際に、バリア袋Sの開封される一端部の遮光性を維持するバリア袋開封部31a(シャッター手段:図2)を備えている。
【0045】
バリア袋開封部31aは、図2に示すように、バリア袋Sの一端部をスリット31bに通して保持するカット基台31cと、軸31dによってカット基台31cに回動可能に軸支されて、切断されるバリア袋Sの一端部を遮光する遮光板31eと、遮光板31eを回動し移動させるソレノイド31fと、遮光板31eに付勢力を与える付勢バネ31gとを備えている。
【0046】
フィルム搬送部32は、カセットトレイ31に複数枚重ねられて収納されるフィルムFを上から順次搬送する搬送手段33と、搬送手段33によって搬送されたフィルムFを画像記録装置本体に一枚毎送る捌き手段34とを備えている。
【0047】
搬送手段33は、カセットトレイ31に収納された複数のフィルムFのうち、最上位のフィルムFの上面に接触するローラ33aを備えており、このローラ33aがフィルムFを搬送する際に、最上位のフィルムFを搬送方向(図1の矢印T)へ移動させるように回転する。
【0048】
捌き手段34は、搬送手段33から搬送されたフィルムFを下側から支持する第一捌きローラ34aと、第一捌きローラ34aの上方で、搬送手段33から搬送されたフィルムFの上面に接触し、接触したフィルムFを搬送方向へ移動させるように回転する第二捌きローラ34bとを備えている。
第一捌きローラ34aは、搬送手段33から搬送されたフィルムFが複数枚重なっている場合に、第二捌きローラ34bにより移動させられるフィルムFよりも下のフィルムFの下面に接触して、この下のフィルムFを搬送方向とは逆の方向へ移動させるように回転する。
つまり、搬送手段33が複数のフィルムFを搬送すると、第一捌きローラ34aは一番上にあるフィルムFに対して搬送方向への推進力を与えるのに対して、第二捌きローラ34bは、第一捌きローラ34aの回転方向に対して逆向きに回転し、推進力を与えられたフィルムF以外のフィルムFを、搬送方向とは逆の方向に搬送する。これにより、一番上のフィルムF以外は、カセットトレイ31に戻されることとなる。
【0049】
案内部は、フィルムFが減少しても、常に最上部のフィルムFを搬送手段33のローラ33aに当接させるように、フィルムトレイ12の持ち上げ板12dの傾きを調製する。
【0050】
遮光ケース35は、フィルムFをカセットトレイ31に補充するための補充蓋35aと、捌き手段34により搬送されたフィルムFを搬出する搬出口35bと、搬出口35bを開閉する開閉手段35cとを備えている。この遮光ケース35は、ケース内部の体積が、カセットトレイ31に収納できる最大収納枚数分のフィルムの体積の1.5倍以下となるように形成されている。
補充蓋35aは、開閉可能であり、フィルム搬送時においては閉じられて遮光ケース本体に密着し、遮光ケース35内を遮光するとともに、遮光ケース35内部を気密にする。そして、フィルム補充時においては、補充蓋35aは開かれ、バリア袋Sによって包装されたフィルムがカセットトレイ31に装填される(図4)。
【0051】
開閉手段35cは、遮光ケース35に上端部を回動可能に軸支されて、遮光ケース35の搬出口35bを開閉する遮光片35dと、遮光片35dを駆動させる遮光片駆動部(図示省略)とを備えている。
遮光片35dは、閉状態にある場合には、遮光ケース35と密着し、遮光ケース35内に光や外気が流入することを防止する。
遮光片駆動部は、制御部10に電気的に接続されており、開閉のタイミングに合わせて遮光片35dを駆動させるように制御部10によって制御されている。
【0052】
つまり、このフィルム搬送装置3は、カセットトレイ31と、搬送手段33と、捌き手段34と、遮光ケース35と、遮光片35dとを一体的に画像記録装置本体2から取り出し自在に備えている。そして、このフィルム搬送装置3が画像記録装置本体2に収納された際には、図1に示すように、換気のために発生させられる気流Wのうち、遮光ケース35の搬出口35b近傍を流れる気流が、搬出口35bが設けられた遮光ケース35の前面と平行もしくは搬出口35bの後方側(フィルム搬送装置3の搬送方向に対して後側)から前方側(フィルム搬送装置3の搬送方向に対して前側)に向かって流れる。つまり、搬出口35bは、ファン9により発生した気流Wの上流側を向かないように配置されることとなるので、換気時の風により大気が搬出口35bを介して遮光ケース35内に入ることを抑えることができる。
【0053】
ここで、フィルム補充時の各部の動作について説明する。
【0054】
フィルム搬送装置3にフィルムFがなくなると、作業者は、フィルム搬送装置3を画像記録装置本体2から引き出して、遮光ケース35の補充蓋35aを開放し、バリア袋Sに包装されたフィルムF(図2の二点鎖線部)を、乳剤層が最下面となるようにカセットトレイ31に補充する。そして、作業者はバリア袋Sの一端部を、カット基台31cのスリット31bに通した状態で切断しバリア袋Sを開封する。この際、切断した部分から内部が感光しないように、予め遮光板31eでバリア袋Sの一端部を覆って、カット基台31cに押さえつけておく。
【0055】
バリア袋Sの開封が完了すると、作業者はバリア袋Sの他端部が補充蓋35aから遮光ケース35の外へ出るように、補充蓋35aを閉じる。これにより、遮光ケース35内部の遮光性は保たれた状態となり、ソレノイド31fは、遮光板31eを回動して、バリア袋Sの一端部を開放する。そして、作業者は、補充蓋35aの遮光性を保ちながら、バリア袋Sの他端部を引っ張って、フィルムFからバリア袋Sを剥ぎ、フィルムFの補充を完了する。これによって、各フィルムFは、乳剤層側と支持体側とが交互になるように積層され、積層された複数のフィルムFの最下面が乳剤層となるように、カセットトレイ31に収納される。
【0056】
フィルムFの補充が完了すると、作業者はフィルム搬送装置3を画像記録装置本体に押し入れて装填する。
そして画像記録の開始に伴い、制御部10は遮光片駆動部を制御して、遮光片35dを開状態にした後、搬送手段33及び捌き手段34を制御して、フィルムFを一枚ずつ画像記録装置本体に搬入する。
【0057】
次に、本実施の形態のフィルム搬送装置3に収納されたフィルムFと、本発明を適用していないフィルム搬送装置に収納されたフィルムとのフィルム特性(カブリ濃度、感度変動、最高濃度)、画質(鮮鋭性及び粒状性)を比較する。ここで、本発明を適用していないフィルム搬送装置とは、遮光ケース内の体積を最大収納枚数分のフィルムの体積の3倍よりも多く設定したフィルム搬送装置(比較例1〜4)であり、比較例1は収納日数が5日間のフィルム、比較例2は収納日数が10日間のフィルム、比較例3は収納日数が20日間のフィルム、比較例4は収納日数が40日間のフィルムである。また、フィルム搬送装置3のフィルムFは、収納日数が40日間のフィルムである。
【0058】
フィルム搬送装置3のフィルム及び各比較例1〜4のフィルムの特性、画質を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
特性は、収納日数が0日のフィルム、つまり特性変化の最も少ないフィルムを比較基準として、変化がほとんどなく比較基準とほぼ同じものをA、変化量が微妙なものをB、変化量が小さいものをC、変化量が中位のものをD、変化量が大きいものをEとして表している。
【0061】
画質は、胸部画像(胸部ファントムを用いて得られた画像試料(仕上がり写真))について目視で観察し、鮮鋭性と粒状性を以下の基準で判断する。
鮮鋭性は、非常にシャープなものをA、良好だが僅かにボケがあるものをB、ボケが目立ち読影に若干支障があるものをC、ボケにより読影困難なものをDとして表している。
粒状性は、粒状がほとんど目立たないものをA、粒状が若干目立つものをB、粒状が目立ち読影に若干支障があるものをC、粒状が非常に目立ち読影に支障のあるものをDとして表している。
【0062】
結果、比較例1〜4とフィルム搬送装置3のフィルムFとを比較してみると、表1に示したように、本実施の形態のフィルム搬送装置3のフィルムFの方が、特性、画質において、比較例1〜4よりも優っているか、同等であることが分かる。
【0063】
このように、本実施の形態では、遮光ケース35内の体積が、最大収容枚数分のフィルムの体積の1.5倍以下に抑えられ、かつ、補充蓋35a及び遮光片35dが閉じられた際には遮光ケース35内の気密が保たれているために、遮光ケース35内にフィルムを収納し、補充蓋35aが閉じられたあとには、フィルムFの乳剤層の感光層から揮発する溶剤のガスが充満し飽和状態になりやすい。飽和状態となると、それ以上溶剤が揮発することはないので、全体として溶剤の揮発を抑えることができる。また、感光層に含まれる還元剤も、遮光ケース35内部に溜まった空気により酸化されるものの、遮光ケース35内に溜まった空気の絶対量が少ないために、それ以上酸化が進まない。このため、フィルムFの特性の変化を抑えることができる。
【0064】
次に、遮光ケース内の体積を異ならせたフィルム搬送装置を複数用意して、それぞれのフィルム搬送装置に40日間収納させたフィルムの濃度特性、画質特性、カール性を比較する。ここで用いたフィルム搬送装置は、遮光ケース内の体積を最大収納枚数分のフィルムの体積の1.5倍(本実施の形態のフィルム搬送装置3)、2倍(比較例5)、3倍(比較例6)、5倍(比較例7)、10倍(比較例8)としたものである。比較結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
濃度特性は、カブリ濃度、感度変動、最高濃度から総合的に判断しており、安定した濃度で読影が容易に行えるものをA、多少濃度が不安定であるものの読影に影響を与えないものをB、濃度が不安定であり読影にもあまり適さないものをC、濃度が不安定で読影が困難であるものをDとして表している。
【0067】
画質特性は、鮮鋭性、粒状性から総合的に判断しており、読影に最適なものをA、僅かにぼやけや粒状がみられるものの読影に影響の与えないものを、ぼやけや粒状がみられ読影が困難であるものをC、読影できないものをDとして表している。
【0068】
カール性は、搬送性を左右するのに大きく関わる要因の1つであり、カール性が悪いと温度変化や湿度変化によりフィルムFがカールしやすく、反り量が大きくなり搬送性を低下させてしまう。ここでは、バリア袋が開封された直後のフィルムを比較基準として、基準フィルムに対して同等の反り量のものをA、基準フィルムよりも僅かに反り量が大きいが問題にはならないものをB、基準フィルムよりも反り量が大きく対策を施すことが好ましいものをC、基準フィルムよりも反り量が大幅に大きく対策を施さなければならないものをD、仕様外のものをEとして表している。
【0069】
結果、比較例5〜8とフィルム搬送装置3のフィルムFとを比較してみると、表2に示したように遮光ケース内の体積が、最大収納枚数分のフィルムの体積の1.5倍や2倍に設定されたものが、濃度特性、画質特性、カール性ともに最も好ましい結果が得られていることが分かる。また、遮光ケース内の体積が3倍以下のものであれば、濃度特性、画質特性、カール性ともに読影や搬送性に影響を与えないことが分かる。
【0070】
次に残存溶剤量と濃度との関係を図5〜図7に表す。具体的には、残存溶剤量の異なるフィルムを5種(残存溶剤量の多い順にa、b、c、d、e)用意して、それぞれ低露光量、中露光量、高露光量で露光し現像した際の濃度と、残存溶剤量との関係を表している。図5は低露光量における濃度と残存溶剤量との関係を表し、図6は中露光量における濃度と残存溶剤量との関係を表し、図7は高露光量における濃度と残存溶剤量との関係を表している。
これらの図5〜図7に示されるように、低露光量、中露光量、高露光量のいずれにおいても、残存溶剤量が少ないほど(揮発溶剤量が多いほど)特性が不安定のため濃度の安定した画像を得にくい。しかしながら残存溶剤量が多い場合(揮発溶剤量が少ないほど)には低濃度部分から高濃度部分にわたって濃度の変動が少なく安定した画像を得ることができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態のフィルム搬送装置3によれば、遮光ケース35内にカセットトレイ31とフィルム搬送部32とが格納されており、これらによって、カセットトレイ31に収納されるフィルムFは画像記録装置本体2に搬送される。つまり、画像記録装置本体2にフィルム搬送装置を設けなくとも画像記録装置本体2にフィルムを搬送することができる。そして、搬出口35bは、最低限フィルムFが搬出できる大きさを確保していればよいので、従来のように遮光板を大きく開放させた場合よりも小さな開口となり、その分、遮光ケース35内部の換気を抑えることができる。したがって、カセットトレイ31に収納されたフィルムFが大気にさらされることを抑制し、フィルムFの乳剤層内の感光層に含まれる溶剤の揮発や、還元剤の酸化を抑え、フィルムFの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
また、補充蓋35aと遮光片35dとが閉状態である場合には、遮光ケース35内部が気密であるので、フィルム搬送時以外は遮光ケース35内部の気密性を維持することができる。このため、カセットトレイ31に収納されたフィルムFが、搬送時以外に大気にさらされることを防止し、よりフィルムFの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
【0072】
このように、フィルムFの感度、現像特性を防止できることから、フィルムFの特性変動は小さくなり、補正制御を行わなくても容易に安定した画像を得ることができる。また、補正制御を適応した場合においても、補正制御での補正量が小さくなり、より安定した画像を得ることができる。このように、フィルムFの特性変動は小さいので少処理施設でも補正制御とあいまって安定した画像を得ることができる。
そのうえ、カセットトレイ31内にフィルムFが長期間とどまっていても、フィルムFの特性変動を小さく抑えているので、少量入りのフィルムパッケージを用意しなくてもよく、フィルムパッケージにかかるコストを抑えることができる。
【0073】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施の形態では、バリア袋Sをフィルムから剥がす際に、作業者がバリア袋Sの他端部がはみ出るように補充蓋35aを閉じた後に、補充蓋35aの遮光性を維持しつつバリア袋Sの他端部を持って抜き出す構成を例示したが、遮光性を維持しつつバリア袋を剥がせるのであれば如何なる構成でもよい。例えば、遮光ケース内部でバリア袋を自動的に巻き取る巻き取り部を設けておけば、バリア袋で包装されたフィルムをカセットトレイに補充した後に、バリア袋の他端部を巻き取り部にセットするとともに、バリア袋の一端部を遮光片により遮光された状態で開封し、補充蓋を閉じれば自動的にバリア袋Sがフィルムから剥がされる。このような構成であれば、バリア袋をフィルムから剥がす際に、補充蓋が開放する心配もなく、気密性、遮光性を維持することができる。
また、バリア袋の開封される一端部が遮光片で遮光された状態で、バリア袋の一端部をカットするカット手段を、フィルム搬送装置3に設けておけば、バリア袋の開封も自動で行うことができる。
【0074】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、搬出口は、最低限フィルムが搬出できる大きさを確保していればよいので、従来のように遮光板を大きく開放させた場合よりも小さな開口となり、その分、格納手段内部の換気を抑えることができる。したがって、フィルム収納部に収納されたフィルムが大気にさらされることを抑制し、フィルムの乳剤層内の感光層に含まれる溶剤の揮発や、還元剤の酸化を抑え、フィルムの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
また、補充蓋と開閉手段とが閉状態である場合には、格納手段内部が気密であるので、フィルム搬送時以外は格納手段内部の気密性を維持することができる。このため、フィルム収納部に収納されたフィルムが、搬送時以外に大気にさらされることを防止し、よりフィルムの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
【0075】
このように、フィルムの感度、現像特性を防止できることから、フィルムの特性変動は小さくなり、補正制御を行わなくても容易に安定した画像を得ることができる。また、補正制御を適応した場合においても、補正制御での補正量が小さくなり、より安定した画像を得ることができる。このように、フィルムの特性変動は小さいので少処理施設でも補正制御とあいまって安定した画像を得ることができる。
そのうえ、フィルム収納手段内にフィルムが長期間とどまっていても、フィルムの特性変動を小さく抑えているので、少量入りのフィルムパッケージを用意しなくてもよく、フィルムパッケージにかかるコストを抑えることができる。
【0076】
請求項2記載の発明によれば、格納手段内部に溜まる空気の量を少なくすることができ、フィルムを補充した直後であっても、格納手段内部の空気によってフィルムの感度、現像特性等が変化するのを抑えることができる。
請求項3記載の発明によれば、吸盤式のものと比較して、搬送手段の設置空間を小さくでき、格納手段内部の体積を小さくすることができる。
請求項4記載の発明によれば、格納手段から画像記録装置本体にまでフィルムを一枚毎に搬送することができる。このため、搬出口の開口を小さくすることができ、より格納手段内部の換気を抑えることができる。
請求項5記載の発明によれば、捌き手段が、第一捌きローラと第二捌きローラとを備えた構成であるために、設置スペースを小さくでき、格納手段内の体積を小さくすることができる。
請求項6記載の発明によれば、バリア袋で包装されたフィルムをフィルム収納手段に格納した際に、バリア袋の開封される一端部がシャッター手段によって遮光されるので、バリア袋の開封後にバリア袋内のフィルムが露光することを防止できる。
そして、例えば、バリア袋で包装されたフィルムをフィルム収納部へセットした後、バリア袋の他端部を格納手段の補充蓋からはみ出すように補充蓋を閉じておき、補充蓋による遮光性を維持した状態で、バリア袋の他端部をもってバリア袋を格納手段から抜き出せば、フィルムを露光させることなく補充することができる。
【0077】
請求項7記載の発明によれば、各フィルムが乳剤層と支持体とが交互になるように積層され、積層された複数のフィルムの最下面が乳剤層となるように、フィルム収納部に収納されるので、最上位のフィルムは支持体側が上面となる。つまり、乳剤層に格納手段内の空気が触れることを抑制することができ、フィルムの感度、現像特性等の変化を抑えることができる。
請求項8記載の発明によれば、搬出口が気流の上流側を向くことなく、換気時の風により大気が搬出口を介して格納手段内に入ることを抑えることができる。したがって、格納手段内部が換気されることを防止でき、フィルムの感度、現像特性等の変化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態で例示した画像記録装置の主要構成を表す横断面図である。
【図2】図1の画像記録装置に備わるフィルム搬送装置のカセットトレイを表す斜視図である。
【図3】図2のフィルム搬送装置のフィルム格納前を表す側断面図である。
【図4】図3のフィルム搬送装置のフィルム格納後を表す側断面図である。
【図5】低露光量におけるフィルムの濃度と残存溶剤量との関係を表す濃度−残存溶剤量線図である。
【図6】中露光量におけるフィルムの濃度と残存溶剤量との関係を表す濃度−残存溶剤量線図である。
【図7】高露光量におけるフィルムの濃度と残存溶剤量との関係を表す濃度−残存溶剤量線図である。
【符号の説明】
2 画像記録装置本体
3 フィルム搬送装置
31 カセットトレイ(フィルム収納手段)
33 搬送手段
33a ローラ
34 捌き手段
34a 第一捌きローラ
34b 第二捌きローラ
35 遮光ケース(格納手段)
35a 補充蓋
35b 搬出口
35c 開閉手段
F フィルム
S バリア袋
W 気流
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現象感光材料等からなるフィルムを搬送するフィルム搬送装置及びこのフィルム搬送装置を内部に収納する画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CTなどのX線撮影装置やMRI等の医療用画像撮影装置で撮影した画像情報を階調処理などの画像処理を施した後、その画像データをドライイメージャ等の画像記録装置に送り、前記画像データにしたがって駆動制御されるレーザ光の走査を介して、感光性の乳剤層を備えるフィルム上に画像を記録するシステムが知られている。
【0003】
上述のような画像記録装置は、記録部に向けてフィルムを供給するためのフィルムカートリッジを着脱自在に具備している。このフィルムカートリッジには、フィルムが複数枚重ねて搭載されており、これらのフィルムは、画像記録装置本体に備えられたフィルム搬送装置の吸盤部によって一枚ずつ画像記録装置本体に供給されている。
【0004】
このフィルムカートリッジには、画像記録装置から取り外された際に、内部のフィルムが常に感光しないようにフィルムを覆う遮光板が備えられている。この遮光板は、フィルムの搬送時、つまりフィルムカートリッジが画像記録装置本体に取り付けられると、フィルムを画像記録装置本体に搬送するために開放され、フィルム搬送装置までの搬送経路を確保する。搬送経路が確保されると、フィルム搬送装置は、フィルムカートリッジに搭載されたフィルムを一枚ずつ吸着して搬送する吸盤部を駆動させて、フィルムを記録部に搬送している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フィルムの乳剤層は感光層を有しており、この感光層には揮発性の溶剤や還元剤等が含まれている。このため溶剤の揮発や、還元剤の酸化によってフィルム自体の感度、現像特性等が次第に変化する。
従来のフィルムカートリッジでは、吸盤部がフィルムを持ち運べるように遮光板が大きく開放されるために、フィルムカートリッジの内部は換気されやすく、乳剤層が大気にさらされやすい状態であった。このため、乳剤層内の感光層に含まれる溶剤の揮発や、還元剤の酸化が進行してしまい、結果としてフィルムの感度、現像特性等が変化してしまう。
このようにフィルムの感度、現像特性に変化が生じると、形成された画像が不安定で不明瞭となってしまうので、従来では、次第に変化するフィルムの特性を基に、その特性変化分を補正制御して、安定した画像を形成していた。
【0006】
また、一日あたりの使用枚数が少ない少処理施設では、一度に多くのフィルムを補充すると、フィルムカートリッジ内に長期間とどまるフィルムが発生してしまう。このようなフィルムは、長期にわたって大気にさらされる可能性が高いために、感度、現像特性等の変化を生じやすい。このため、従来では、コストがかかるものの少量入りのフィルムパッケージを用意して、フィルムカートリッジ内にフィルムが長期間とどまることを防止していた。
【0007】
本発明の課題は、収納時におけるフィルムの特性を維持することで、容易に安定した画像を形成できるフィルム搬送装置及び画像記録装置を提供する。また、フィルムパッケージにかかるコストを低減できるフィルム搬送装置及び画像記録装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
画像が記録される感光性のフィルムを画像記録装置本体に搬送するフィルム搬送装置において、
前記フィルムを収納するフィルム収納手段と、
前記フィルム収納手段に複数枚重ねられて収納される前記フィルムを上から順次、前記画像記録装置本体まで搬送する搬送手段と、
前記フィルム収納手段及び前記搬送手段を格納し、かつ、前記フィルムを前記フィルム収納手段に補充するための補充蓋を開閉自在に有するとともに、前記搬送手段により搬送された前記フィルムを搬出する搬出口を有する格納手段と、
前記搬出口を開閉自在に覆う開閉手段と、
が一体的に前記画像記録装置本体に備えられ、
前記補充蓋と前記開閉手段とが閉状態である場合には、前記格納手段が気密になることを特徴としている。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、格納手段内にフィルム収納手段と搬送手段とが格納され、フィルム収納手段に収納されるフィルムは、搬送手段によって画像記録装置本体に搬送される。つまり、画像記録装置本体のフィルム搬送装置を介さなくとも画像記録装置本体にフィルムを搬送することができる。そして、搬出口は、最低限フィルムが搬出できる大きさを確保していればよいので、従来のように遮光板を大きく開放させた場合よりも小さな開口となり、その分、格納手段内部の換気を抑えることができる。したがって、フィルム収納部に収納されたフィルムが大気にさらされることを抑制し、フィルムの乳剤層内の感光層に含まれる溶剤の揮発や、還元剤の酸化を抑え、フィルムの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
また、補充蓋と開閉手段とが閉状態である場合には、格納手段内部が気密であるので、フィルム搬送時以外は格納手段内部の気密性を維持することができる。このため、フィルム収納部に収納されたフィルムが、搬送時以外に大気にさらされることを防止し、よりフィルムの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
【0010】
このように、フィルムの感度、現像特性を防止できることから、フィルムの特性変動は小さくなり、補正制御を行わなくても容易に安定した画像を得ることができる。また、補正制御を適応した場合においても、補正制御での補正量が小さくなり、より安定した画像を得ることができる。このように、フィルムの特性変動は小さいので少処理施設でも補正制御とあいまって安定した画像を得ることができる。
そのうえ、フィルム収納手段内にフィルムが長期間とどまっていても、フィルムの特性変動を小さく抑えているので、少量入りのフィルムパッケージを用意しなくてもよく、フィルムパッケージにかかるコストを抑えることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のフィルム搬送装置において、
前記格納手段内部の体積は、前記フィルム収納手段が収納できる最大収納枚数分の前記フィルムの体積の3倍以下に設定されることを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、格納手段内部の体積が、フィルム収納手段が収納できる最大収納枚数分のフィルムの体積の3倍以下に設定されているので、格納手段内部に溜まる空気の量を少なくすることができ、フィルムを補充した直後であっても、格納手段内部の空気によってフィルムの感度、現像特性等が変化するのを抑えることができる。なお、好ましくは最大収納枚数分のフィルムの体積の2倍以下であり、さらに好ましくは1.5倍以下である。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のフィルム搬送装置において、
前記搬送手段には、前記フィルム収納手段に収納された複数の前記フィルムのうち、最上位の前記フィルムの上面に接触するローラが備えられ、
前記ローラは、前記フィルムを搬送する際に、前記最上位の前記フィルムを搬送方向へ移動させるように回転することを特徴としている。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、フィルムをローラにより搬送する搬送手段であるので、吸盤式のものと比較して、搬送手段の設置空間を小さくでき、格納手段内部の体積を小さくすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
前記格納手段には、前記搬送手段により搬送された前記フィルムが前記搬出口までいたるまでの間に、前記フィルムを一枚毎に捌く捌き手段が格納されることを特徴としている。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、搬送手段により搬送されたフィルムが搬出口までいたるまでの間に、フィルムを一枚毎に捌く捌き手段が格納手段に格納されているので、格納手段から画像記録装置本体にまでフィルムを一枚毎に搬送することができる。このため、搬出口の開口を小さくすることができ、より格納手段内部の換気を抑えることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載のフィルム搬送装置において、
前記捌き手段には、前記搬送手段から搬送された前記フィルムを下側から支持する第一捌きローラと、前記第一捌きローラの上方で、前記搬送手段から搬送された前記フィルムの上面に接触し、前記接触した前記フィルムを搬送方向へ移動させるように回転する第二捌きローラとが備えられることを特徴としている。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、捌き手段が、第一捌きローラと第二捌きローラとを備えた構成であるために、設置スペースを小さくでき、格納手段内の体積を小さくすることができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
遮光性を確保するバリア袋で包装された前記フィルムを前記フィルム収納手段に格納した際に、前記バリア袋の開封される一端部を遮光するシャッター手段が備えられることを特徴としている。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、バリア袋で包装されたフィルムをフィルム収納手段に格納した際に、バリア袋の開封される一端部がシャッター手段によって遮光されるので、バリア袋の開封後にバリア袋内のフィルムが感光することを防止できる。
そして、例えば、バリア袋で包装されたフィルムをフィルム収納部へセットした後、バリア袋の他端部を格納手段の補充蓋からはみ出すように補充蓋を閉じておき、補充蓋による遮光性を維持した状態で、バリア袋の他端部をもってバリア袋を格納手段から抜き出せば、フィルムを感光させることなく補充することができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
前記フィルムには、樹脂からなるシート状の支持体と、前記支持体の一面に形成される感光性の乳剤層とが備えられ、
前記フィルム収納部に収納される前記各フィルムは、前記乳剤層と前記支持体とが交互になるように積層され、前記積層された複数の前記フィルムの最下面が前記乳剤層であることを特徴としている。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、各フィルムが乳剤層側と支持体側とが交互になるように積層され、積層された複数のフィルムの最下面が乳剤層となるように、フィルム収納部に収納されるので、最上位のフィルムは支持体側が上面となる。つまり、乳剤層に格納手段内の空気が触れることを抑制することができ、フィルムの感度、現像特性等の変化を抑えることができる。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置を内部に収納する画像記録装置であって、
換気のために発生させられる気流のうち、前記フィルム搬送装置の前記格納手段の前記搬出口近傍を流れる気流が、前記搬出口が設けられた前記格納手段の前面と平行もしくは前記搬出口の後方側から前方側に向かって流れることを特徴としている。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、換気のために発生させられる気流のうち、フィルム搬送装置の格納手段の搬出口近傍を流れる気流が、搬出口が設けられた格納手段の前面と平行もしくは前記搬出口の後方側から前方側に向かって流れるので、搬出口が気流の上流側を向くことなく、換気時の風により大気が搬出口を介して格納手段内に入ることを抑えることができる。したがって、格納手段内部が換気されることを防止でき、フィルムの感度、現像特性等の変化を抑えることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図1〜図7の図面を参照しながら説明する。
【0026】
本実施の形態のフィルム搬送装置は、ドライ銀塩熱現像方式を採用したレーザイメージャからなる画像記録装置に備えられ、この画像記録装置本体に対して、感光性のフィルムを搬送するものである。
【0027】
画像記録装置1は、図1に示すように、画像記録装置本体2と、画像記録装置本体2に引き出し自在に収納されるフィルム搬送装置3とを備えている。
【0028】
画像記録装置本体2は、フィルム搬送装置3が取り付けられる搬送部4と、フィルムFを露光してフィルムF上に潜像を形成する露光部5と、フィルムFに形成された潜像を現像し可視画像を得る現像部6と、現像されたフィルムFを受けるフィルム受け部7と、搬送部4、露光部5、現像部6、フィルム受け部7を結ぶフィルム搬送路8と、装置内部の熱上昇を抑えるために換気するファン9と、これら各部を制御するとともにフィルム搬送装置3を制御する制御部10と、各部を格納して覆うカバー11とを備えている。
【0029】
搬送部4は、フィルム搬送装置3を引き出し自在に保持するためのスライドレール41を備えており、フィルム搬送装置3が搬送可能な状態に押し込められた際には、フィルム搬送装置3内が感光しないよう、遮光性が保たれた構成となっている。
【0030】
露光部5は、搬送部4の下方に設けられている。この露光部5は、レーザ光源、ポリゴンミラー、Fθレンズ、シリンドリカルレンズ等を備え、制御部10により走査が制御されて、フィルムFを露光し潜像を形成する走査光学部51と、走査光学部51の直下のフィルム搬送路8上に設けられるフィルム送り部52と、フィルム搬送装置3からフィルム搬送路8を介して搬送されたフィルムFの一辺を、搬送方向に対して直交する左右いずれかの基準位置に合うように、フィルムFの位置を調整するフィルム位置調整部53とを備えている。
【0031】
フィルム送り部52は、ベルト52aと、ベルト52aを懸架する3つの支持ローラ52bと、支持ローラ52bのうち搬送路側に位置する支持ローラ52bにそれぞれ接触する2つの搬送ローラ52cとを備えている。そして、フィルム送り部52は、走査光学部51の走査に対応してフィルムFを搬送するように、制御部10によって制御されている。
【0032】
現像部6は、搬送部4の上方に設けられている。この現像部6は、表面にシリコンゴム層を有し、内側に加熱源を有する可回転のドラム61と、前記ドラム61の表面に軽圧接するように設けた小径かつ可回転の押圧ローラ62と、分離爪63とを備えている。
押圧ローラ62は、フィルム搬送路8内を搬送されてくるフィルムFの受け入れ位置から分離爪63に近接する位置までの範囲に適宜の数だけ設けられており、フィルムFの均一な現像を可能としている。
【0033】
フィルム受け部7は、装置上面に設けられた受け皿71により、フィルム搬送路8から装置外に排出されたフィルムFを受ける。
【0034】
フィルム搬送路8は、対からなる搬送ローラ81a〜81jと、それらの搬送ローラ81a〜81jの間に設置したガイドレール82と、露光部5における支持ローラ52b及び搬送ローラ52cとから形成されている。
【0035】
カバー11には、搬送部4の上方部分に複数の通気孔11aが設けられており、ファン9が回転することで、通気孔11aからファン9までの気流Wが発生し、画像記録装置1内部を換気し内部に貯まった熱を排出することができる。
【0036】
ここで、本実施の形態で用いられる熱現像用のフィルムFは、透過性の樹脂(例えばPET(PolyEthylene Terephthalate resin)等)からなるシート状の支持体と、支持体の一面に形成される感光性の乳剤層とを備えている。
乳剤層は、支持体の一面に乳剤を塗布したものである。乳剤層には、感光層が設けられており、この感光層には、還元剤、溶剤等が含有されている。
【0037】
還元剤の好適な例としては、米国特許第3770484号、同第3773512号、同第3593863号及びResearch Disclosure17029及び29963に記載されており、公知の還元剤の中から適宜選択して使用することができるが、有機銀塩に脂肪族カルボン酸銀塩を使用する場合には、2個以上のフェノール基がアルキレン基又は硫黄によって連結されたポリフェノール類、特にフェノール基のヒドロキシ置換位置に隣接した位置の少なくとも1つにアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)又はアシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基等)を置換したフェノール基の2個以上がアルキレン基又は硫黄によって連結されたビスフェノール類等が好ましい。
【0038】
また、還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀塩1モルあたり0.05モル〜10.00モル、好ましくは0.10モル〜3.00モルが適当である。またこの量の範囲内において、上述した還元剤は2種以上併用されてもよい。なお、還元剤の補助剤として、ED1096310号明細書に記載されているトリフェニルフォスファンオキサイド等のように還元剤の水酸基の水素と水素結合を形成しうる化合物を併用することも好ましい。
【0039】
溶剤の好適な例としては、アセトン、メチルエチルケトン、イソフォロン等のケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール類、イソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、塩化メチレン、ジクロルベンゼン等の塩化物類、炭化水素類等が挙げられる。その他、水、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、トルイジン、テトラヒドロフラン、酢酸等が挙げられる。ただしこれらに限定されるものではない。またこれらの溶剤は、単独、又は数種類組み合わせて用いてもよい。
【0040】
そして、フィルムFは、図2及び図3に示すようにフィルム搬送装置3に装填される前に感光しないように、バリア袋Sによって包装されている。この状態のものをフィルムパッケージと呼ぶ。バリア袋Sは、乳剤層側と支持体側とが交互になるように積層された複数枚のフィルムFを収納するフィルムトレイ12を内部に備えている。このフィルムトレイ12は、図2に示すように、切欠12aを有するH型形状の底部12bと、底部12bの四隅でフィルムFの移動を規制する壁部12cと、底部12bの中心で回動可能に軸支され、フィルム搬送時にフィルムFの一端部を持ち上げる持ち上げ板12dとを備えている。
なお、バリア袋Sは、遮光性と可撓性とある程度の強度とがあれば特に材料限定されないが、例えば、PETフィルムとアルミニウム箔をラミネート構造とした薄膜からなるものが挙げられる。
【0041】
このように、フィルムFはバリア袋Sによって十分に遮光性を保たれた状態で、フィルム搬送装置3に補充される。なお、搬送時においては、バリア袋SをフィルムFから剥がした状態でなければフィルムFを搬送できないが、このバリア袋Sを剥がす際の手順については後で説明する。
【0042】
フィルム搬送装置3は、フィルムFを搬送する搬送手段を備えたフィルムカートリッジであり、図2〜図4に示すように、フィルムFをフィルムトレイ12ごと収納するカセットトレイ(フィルム収納手段)31と、カセットトレイ31内のフィルムFを画像記録装置本体に搬送するフィルム搬送部32と、フィルムトレイ12の持ち上げ板12dを上下動させて、フィルムFを搬送部4まで案内する案内部(図示省略)と、これら各部を遮光して格納する遮光ケース(格納手段)35とを備えている。
【0043】
そしてフィルム搬送装置3は、画像記録装置本体2に備わるスライドレール41と係合する係合部36を備えており、係合部36とスライドレール41とが係合すると、フィルム搬送装置3は画像記録装置本体2に抜き出し可能に設置される。なお、フィルム搬送装置3をスライドレール41から取り外すことも可能である。
また、フィルム搬送装置3は、画像記録装置本体2に備わる制御部10と電気的に接続されており、この制御部10によって各部が制御されている。
【0044】
カセットトレイ31は、バリア袋Sの搭載後、バリア袋Sの一端部を切断して開封する際に、バリア袋Sの開封される一端部の遮光性を維持するバリア袋開封部31a(シャッター手段:図2)を備えている。
【0045】
バリア袋開封部31aは、図2に示すように、バリア袋Sの一端部をスリット31bに通して保持するカット基台31cと、軸31dによってカット基台31cに回動可能に軸支されて、切断されるバリア袋Sの一端部を遮光する遮光板31eと、遮光板31eを回動し移動させるソレノイド31fと、遮光板31eに付勢力を与える付勢バネ31gとを備えている。
【0046】
フィルム搬送部32は、カセットトレイ31に複数枚重ねられて収納されるフィルムFを上から順次搬送する搬送手段33と、搬送手段33によって搬送されたフィルムFを画像記録装置本体に一枚毎送る捌き手段34とを備えている。
【0047】
搬送手段33は、カセットトレイ31に収納された複数のフィルムFのうち、最上位のフィルムFの上面に接触するローラ33aを備えており、このローラ33aがフィルムFを搬送する際に、最上位のフィルムFを搬送方向(図1の矢印T)へ移動させるように回転する。
【0048】
捌き手段34は、搬送手段33から搬送されたフィルムFを下側から支持する第一捌きローラ34aと、第一捌きローラ34aの上方で、搬送手段33から搬送されたフィルムFの上面に接触し、接触したフィルムFを搬送方向へ移動させるように回転する第二捌きローラ34bとを備えている。
第一捌きローラ34aは、搬送手段33から搬送されたフィルムFが複数枚重なっている場合に、第二捌きローラ34bにより移動させられるフィルムFよりも下のフィルムFの下面に接触して、この下のフィルムFを搬送方向とは逆の方向へ移動させるように回転する。
つまり、搬送手段33が複数のフィルムFを搬送すると、第一捌きローラ34aは一番上にあるフィルムFに対して搬送方向への推進力を与えるのに対して、第二捌きローラ34bは、第一捌きローラ34aの回転方向に対して逆向きに回転し、推進力を与えられたフィルムF以外のフィルムFを、搬送方向とは逆の方向に搬送する。これにより、一番上のフィルムF以外は、カセットトレイ31に戻されることとなる。
【0049】
案内部は、フィルムFが減少しても、常に最上部のフィルムFを搬送手段33のローラ33aに当接させるように、フィルムトレイ12の持ち上げ板12dの傾きを調製する。
【0050】
遮光ケース35は、フィルムFをカセットトレイ31に補充するための補充蓋35aと、捌き手段34により搬送されたフィルムFを搬出する搬出口35bと、搬出口35bを開閉する開閉手段35cとを備えている。この遮光ケース35は、ケース内部の体積が、カセットトレイ31に収納できる最大収納枚数分のフィルムの体積の1.5倍以下となるように形成されている。
補充蓋35aは、開閉可能であり、フィルム搬送時においては閉じられて遮光ケース本体に密着し、遮光ケース35内を遮光するとともに、遮光ケース35内部を気密にする。そして、フィルム補充時においては、補充蓋35aは開かれ、バリア袋Sによって包装されたフィルムがカセットトレイ31に装填される(図4)。
【0051】
開閉手段35cは、遮光ケース35に上端部を回動可能に軸支されて、遮光ケース35の搬出口35bを開閉する遮光片35dと、遮光片35dを駆動させる遮光片駆動部(図示省略)とを備えている。
遮光片35dは、閉状態にある場合には、遮光ケース35と密着し、遮光ケース35内に光や外気が流入することを防止する。
遮光片駆動部は、制御部10に電気的に接続されており、開閉のタイミングに合わせて遮光片35dを駆動させるように制御部10によって制御されている。
【0052】
つまり、このフィルム搬送装置3は、カセットトレイ31と、搬送手段33と、捌き手段34と、遮光ケース35と、遮光片35dとを一体的に画像記録装置本体2から取り出し自在に備えている。そして、このフィルム搬送装置3が画像記録装置本体2に収納された際には、図1に示すように、換気のために発生させられる気流Wのうち、遮光ケース35の搬出口35b近傍を流れる気流が、搬出口35bが設けられた遮光ケース35の前面と平行もしくは搬出口35bの後方側(フィルム搬送装置3の搬送方向に対して後側)から前方側(フィルム搬送装置3の搬送方向に対して前側)に向かって流れる。つまり、搬出口35bは、ファン9により発生した気流Wの上流側を向かないように配置されることとなるので、換気時の風により大気が搬出口35bを介して遮光ケース35内に入ることを抑えることができる。
【0053】
ここで、フィルム補充時の各部の動作について説明する。
【0054】
フィルム搬送装置3にフィルムFがなくなると、作業者は、フィルム搬送装置3を画像記録装置本体2から引き出して、遮光ケース35の補充蓋35aを開放し、バリア袋Sに包装されたフィルムF(図2の二点鎖線部)を、乳剤層が最下面となるようにカセットトレイ31に補充する。そして、作業者はバリア袋Sの一端部を、カット基台31cのスリット31bに通した状態で切断しバリア袋Sを開封する。この際、切断した部分から内部が感光しないように、予め遮光板31eでバリア袋Sの一端部を覆って、カット基台31cに押さえつけておく。
【0055】
バリア袋Sの開封が完了すると、作業者はバリア袋Sの他端部が補充蓋35aから遮光ケース35の外へ出るように、補充蓋35aを閉じる。これにより、遮光ケース35内部の遮光性は保たれた状態となり、ソレノイド31fは、遮光板31eを回動して、バリア袋Sの一端部を開放する。そして、作業者は、補充蓋35aの遮光性を保ちながら、バリア袋Sの他端部を引っ張って、フィルムFからバリア袋Sを剥ぎ、フィルムFの補充を完了する。これによって、各フィルムFは、乳剤層側と支持体側とが交互になるように積層され、積層された複数のフィルムFの最下面が乳剤層となるように、カセットトレイ31に収納される。
【0056】
フィルムFの補充が完了すると、作業者はフィルム搬送装置3を画像記録装置本体に押し入れて装填する。
そして画像記録の開始に伴い、制御部10は遮光片駆動部を制御して、遮光片35dを開状態にした後、搬送手段33及び捌き手段34を制御して、フィルムFを一枚ずつ画像記録装置本体に搬入する。
【0057】
次に、本実施の形態のフィルム搬送装置3に収納されたフィルムFと、本発明を適用していないフィルム搬送装置に収納されたフィルムとのフィルム特性(カブリ濃度、感度変動、最高濃度)、画質(鮮鋭性及び粒状性)を比較する。ここで、本発明を適用していないフィルム搬送装置とは、遮光ケース内の体積を最大収納枚数分のフィルムの体積の3倍よりも多く設定したフィルム搬送装置(比較例1〜4)であり、比較例1は収納日数が5日間のフィルム、比較例2は収納日数が10日間のフィルム、比較例3は収納日数が20日間のフィルム、比較例4は収納日数が40日間のフィルムである。また、フィルム搬送装置3のフィルムFは、収納日数が40日間のフィルムである。
【0058】
フィルム搬送装置3のフィルム及び各比較例1〜4のフィルムの特性、画質を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
特性は、収納日数が0日のフィルム、つまり特性変化の最も少ないフィルムを比較基準として、変化がほとんどなく比較基準とほぼ同じものをA、変化量が微妙なものをB、変化量が小さいものをC、変化量が中位のものをD、変化量が大きいものをEとして表している。
【0061】
画質は、胸部画像(胸部ファントムを用いて得られた画像試料(仕上がり写真))について目視で観察し、鮮鋭性と粒状性を以下の基準で判断する。
鮮鋭性は、非常にシャープなものをA、良好だが僅かにボケがあるものをB、ボケが目立ち読影に若干支障があるものをC、ボケにより読影困難なものをDとして表している。
粒状性は、粒状がほとんど目立たないものをA、粒状が若干目立つものをB、粒状が目立ち読影に若干支障があるものをC、粒状が非常に目立ち読影に支障のあるものをDとして表している。
【0062】
結果、比較例1〜4とフィルム搬送装置3のフィルムFとを比較してみると、表1に示したように、本実施の形態のフィルム搬送装置3のフィルムFの方が、特性、画質において、比較例1〜4よりも優っているか、同等であることが分かる。
【0063】
このように、本実施の形態では、遮光ケース35内の体積が、最大収容枚数分のフィルムの体積の1.5倍以下に抑えられ、かつ、補充蓋35a及び遮光片35dが閉じられた際には遮光ケース35内の気密が保たれているために、遮光ケース35内にフィルムを収納し、補充蓋35aが閉じられたあとには、フィルムFの乳剤層の感光層から揮発する溶剤のガスが充満し飽和状態になりやすい。飽和状態となると、それ以上溶剤が揮発することはないので、全体として溶剤の揮発を抑えることができる。また、感光層に含まれる還元剤も、遮光ケース35内部に溜まった空気により酸化されるものの、遮光ケース35内に溜まった空気の絶対量が少ないために、それ以上酸化が進まない。このため、フィルムFの特性の変化を抑えることができる。
【0064】
次に、遮光ケース内の体積を異ならせたフィルム搬送装置を複数用意して、それぞれのフィルム搬送装置に40日間収納させたフィルムの濃度特性、画質特性、カール性を比較する。ここで用いたフィルム搬送装置は、遮光ケース内の体積を最大収納枚数分のフィルムの体積の1.5倍(本実施の形態のフィルム搬送装置3)、2倍(比較例5)、3倍(比較例6)、5倍(比較例7)、10倍(比較例8)としたものである。比較結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
濃度特性は、カブリ濃度、感度変動、最高濃度から総合的に判断しており、安定した濃度で読影が容易に行えるものをA、多少濃度が不安定であるものの読影に影響を与えないものをB、濃度が不安定であり読影にもあまり適さないものをC、濃度が不安定で読影が困難であるものをDとして表している。
【0067】
画質特性は、鮮鋭性、粒状性から総合的に判断しており、読影に最適なものをA、僅かにぼやけや粒状がみられるものの読影に影響の与えないものを、ぼやけや粒状がみられ読影が困難であるものをC、読影できないものをDとして表している。
【0068】
カール性は、搬送性を左右するのに大きく関わる要因の1つであり、カール性が悪いと温度変化や湿度変化によりフィルムFがカールしやすく、反り量が大きくなり搬送性を低下させてしまう。ここでは、バリア袋が開封された直後のフィルムを比較基準として、基準フィルムに対して同等の反り量のものをA、基準フィルムよりも僅かに反り量が大きいが問題にはならないものをB、基準フィルムよりも反り量が大きく対策を施すことが好ましいものをC、基準フィルムよりも反り量が大幅に大きく対策を施さなければならないものをD、仕様外のものをEとして表している。
【0069】
結果、比較例5〜8とフィルム搬送装置3のフィルムFとを比較してみると、表2に示したように遮光ケース内の体積が、最大収納枚数分のフィルムの体積の1.5倍や2倍に設定されたものが、濃度特性、画質特性、カール性ともに最も好ましい結果が得られていることが分かる。また、遮光ケース内の体積が3倍以下のものであれば、濃度特性、画質特性、カール性ともに読影や搬送性に影響を与えないことが分かる。
【0070】
次に残存溶剤量と濃度との関係を図5〜図7に表す。具体的には、残存溶剤量の異なるフィルムを5種(残存溶剤量の多い順にa、b、c、d、e)用意して、それぞれ低露光量、中露光量、高露光量で露光し現像した際の濃度と、残存溶剤量との関係を表している。図5は低露光量における濃度と残存溶剤量との関係を表し、図6は中露光量における濃度と残存溶剤量との関係を表し、図7は高露光量における濃度と残存溶剤量との関係を表している。
これらの図5〜図7に示されるように、低露光量、中露光量、高露光量のいずれにおいても、残存溶剤量が少ないほど(揮発溶剤量が多いほど)特性が不安定のため濃度の安定した画像を得にくい。しかしながら残存溶剤量が多い場合(揮発溶剤量が少ないほど)には低濃度部分から高濃度部分にわたって濃度の変動が少なく安定した画像を得ることができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態のフィルム搬送装置3によれば、遮光ケース35内にカセットトレイ31とフィルム搬送部32とが格納されており、これらによって、カセットトレイ31に収納されるフィルムFは画像記録装置本体2に搬送される。つまり、画像記録装置本体2にフィルム搬送装置を設けなくとも画像記録装置本体2にフィルムを搬送することができる。そして、搬出口35bは、最低限フィルムFが搬出できる大きさを確保していればよいので、従来のように遮光板を大きく開放させた場合よりも小さな開口となり、その分、遮光ケース35内部の換気を抑えることができる。したがって、カセットトレイ31に収納されたフィルムFが大気にさらされることを抑制し、フィルムFの乳剤層内の感光層に含まれる溶剤の揮発や、還元剤の酸化を抑え、フィルムFの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
また、補充蓋35aと遮光片35dとが閉状態である場合には、遮光ケース35内部が気密であるので、フィルム搬送時以外は遮光ケース35内部の気密性を維持することができる。このため、カセットトレイ31に収納されたフィルムFが、搬送時以外に大気にさらされることを防止し、よりフィルムFの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
【0072】
このように、フィルムFの感度、現像特性を防止できることから、フィルムFの特性変動は小さくなり、補正制御を行わなくても容易に安定した画像を得ることができる。また、補正制御を適応した場合においても、補正制御での補正量が小さくなり、より安定した画像を得ることができる。このように、フィルムFの特性変動は小さいので少処理施設でも補正制御とあいまって安定した画像を得ることができる。
そのうえ、カセットトレイ31内にフィルムFが長期間とどまっていても、フィルムFの特性変動を小さく抑えているので、少量入りのフィルムパッケージを用意しなくてもよく、フィルムパッケージにかかるコストを抑えることができる。
【0073】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施の形態では、バリア袋Sをフィルムから剥がす際に、作業者がバリア袋Sの他端部がはみ出るように補充蓋35aを閉じた後に、補充蓋35aの遮光性を維持しつつバリア袋Sの他端部を持って抜き出す構成を例示したが、遮光性を維持しつつバリア袋を剥がせるのであれば如何なる構成でもよい。例えば、遮光ケース内部でバリア袋を自動的に巻き取る巻き取り部を設けておけば、バリア袋で包装されたフィルムをカセットトレイに補充した後に、バリア袋の他端部を巻き取り部にセットするとともに、バリア袋の一端部を遮光片により遮光された状態で開封し、補充蓋を閉じれば自動的にバリア袋Sがフィルムから剥がされる。このような構成であれば、バリア袋をフィルムから剥がす際に、補充蓋が開放する心配もなく、気密性、遮光性を維持することができる。
また、バリア袋の開封される一端部が遮光片で遮光された状態で、バリア袋の一端部をカットするカット手段を、フィルム搬送装置3に設けておけば、バリア袋の開封も自動で行うことができる。
【0074】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、搬出口は、最低限フィルムが搬出できる大きさを確保していればよいので、従来のように遮光板を大きく開放させた場合よりも小さな開口となり、その分、格納手段内部の換気を抑えることができる。したがって、フィルム収納部に収納されたフィルムが大気にさらされることを抑制し、フィルムの乳剤層内の感光層に含まれる溶剤の揮発や、還元剤の酸化を抑え、フィルムの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
また、補充蓋と開閉手段とが閉状態である場合には、格納手段内部が気密であるので、フィルム搬送時以外は格納手段内部の気密性を維持することができる。このため、フィルム収納部に収納されたフィルムが、搬送時以外に大気にさらされることを防止し、よりフィルムの感度、現像特性等の変化を防止することができる。
【0075】
このように、フィルムの感度、現像特性を防止できることから、フィルムの特性変動は小さくなり、補正制御を行わなくても容易に安定した画像を得ることができる。また、補正制御を適応した場合においても、補正制御での補正量が小さくなり、より安定した画像を得ることができる。このように、フィルムの特性変動は小さいので少処理施設でも補正制御とあいまって安定した画像を得ることができる。
そのうえ、フィルム収納手段内にフィルムが長期間とどまっていても、フィルムの特性変動を小さく抑えているので、少量入りのフィルムパッケージを用意しなくてもよく、フィルムパッケージにかかるコストを抑えることができる。
【0076】
請求項2記載の発明によれば、格納手段内部に溜まる空気の量を少なくすることができ、フィルムを補充した直後であっても、格納手段内部の空気によってフィルムの感度、現像特性等が変化するのを抑えることができる。
請求項3記載の発明によれば、吸盤式のものと比較して、搬送手段の設置空間を小さくでき、格納手段内部の体積を小さくすることができる。
請求項4記載の発明によれば、格納手段から画像記録装置本体にまでフィルムを一枚毎に搬送することができる。このため、搬出口の開口を小さくすることができ、より格納手段内部の換気を抑えることができる。
請求項5記載の発明によれば、捌き手段が、第一捌きローラと第二捌きローラとを備えた構成であるために、設置スペースを小さくでき、格納手段内の体積を小さくすることができる。
請求項6記載の発明によれば、バリア袋で包装されたフィルムをフィルム収納手段に格納した際に、バリア袋の開封される一端部がシャッター手段によって遮光されるので、バリア袋の開封後にバリア袋内のフィルムが露光することを防止できる。
そして、例えば、バリア袋で包装されたフィルムをフィルム収納部へセットした後、バリア袋の他端部を格納手段の補充蓋からはみ出すように補充蓋を閉じておき、補充蓋による遮光性を維持した状態で、バリア袋の他端部をもってバリア袋を格納手段から抜き出せば、フィルムを露光させることなく補充することができる。
【0077】
請求項7記載の発明によれば、各フィルムが乳剤層と支持体とが交互になるように積層され、積層された複数のフィルムの最下面が乳剤層となるように、フィルム収納部に収納されるので、最上位のフィルムは支持体側が上面となる。つまり、乳剤層に格納手段内の空気が触れることを抑制することができ、フィルムの感度、現像特性等の変化を抑えることができる。
請求項8記載の発明によれば、搬出口が気流の上流側を向くことなく、換気時の風により大気が搬出口を介して格納手段内に入ることを抑えることができる。したがって、格納手段内部が換気されることを防止でき、フィルムの感度、現像特性等の変化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態で例示した画像記録装置の主要構成を表す横断面図である。
【図2】図1の画像記録装置に備わるフィルム搬送装置のカセットトレイを表す斜視図である。
【図3】図2のフィルム搬送装置のフィルム格納前を表す側断面図である。
【図4】図3のフィルム搬送装置のフィルム格納後を表す側断面図である。
【図5】低露光量におけるフィルムの濃度と残存溶剤量との関係を表す濃度−残存溶剤量線図である。
【図6】中露光量におけるフィルムの濃度と残存溶剤量との関係を表す濃度−残存溶剤量線図である。
【図7】高露光量におけるフィルムの濃度と残存溶剤量との関係を表す濃度−残存溶剤量線図である。
【符号の説明】
2 画像記録装置本体
3 フィルム搬送装置
31 カセットトレイ(フィルム収納手段)
33 搬送手段
33a ローラ
34 捌き手段
34a 第一捌きローラ
34b 第二捌きローラ
35 遮光ケース(格納手段)
35a 補充蓋
35b 搬出口
35c 開閉手段
F フィルム
S バリア袋
W 気流
Claims (8)
- 画像が記録される感光性のフィルムを画像記録装置本体に搬送するフィルム搬送装置において、
前記フィルムを収納するフィルム収納手段と、
前記フィルム収納手段に複数枚重ねられて収納される前記フィルムを上から順次、前記画像記録装置本体まで搬送する搬送手段と、
前記フィルム収納手段及び前記搬送手段を格納し、かつ、前記フィルムを前記フィルム収納手段に補充するための補充蓋を開閉自在に有するとともに、前記搬送手段により搬送された前記フィルムを搬出する搬出口を有する格納手段と、
前記搬出口を開閉自在に覆う開閉手段と、
が一体的に前記画像記録装置本体に備えられ、
前記補充蓋と前記開閉手段とが閉状態である場合には、前記格納手段が気密になることを特徴とするフィルム搬送装置。 - 請求項1記載のフィルム搬送装置において、
前記格納手段内部の体積は、前記フィルム収納手段が収納できる最大収納枚数分の前記フィルムの体積の3倍以下に設定されることを特徴とするフィルム搬送装置。 - 請求項1又は2に記載のフィルム搬送装置において、
前記搬送手段には、前記フィルム収納手段に収納された複数の前記フィルムのうち、最上位の前記フィルムの上面に接触するローラが備えられ、
前記ローラは、前記フィルムを搬送する際に、前記最上位の前記フィルムを搬送方向へ移動させるように回転することを特徴とするフィルム搬送装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
前記格納手段には、前記搬送手段により搬送された前記フィルムが前記搬出口までいたるまでの間に、前記フィルムを一枚毎に捌く捌き手段が格納されることを特徴とするフィルム搬送装置。 - 請求項4記載のフィルム搬送装置において、
前記捌き手段には、前記搬送手段から搬送された前記フィルムを下側から支持する第一捌きローラと、前記第一捌きローラの上方で、前記搬送手段から搬送された前記フィルムの上面に接触し、前記接触した前記フィルムを搬送方向へ移動させるように回転する第二捌きローラとが備えられることを特徴とするフィルム搬送装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
遮光性を確保するバリア袋で包装された前記フィルムを前記フィルム収納手段に格納した際に、前記バリア袋の開封される一端部を遮光するシャッター手段が備えられることを特徴とするフィルム搬送装置。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
前記フィルムには、樹脂からなるシート状の支持体と、前記支持体の一面に形成される感光性の乳剤層とが備えられ、
前記フィルム収納部に収納される前記各フィルムは、前記乳剤層と前記支持体とが交互になるように積層され、前記積層された複数の前記フィルムの最下面が前記乳剤層であることを特徴とするフィルム搬送装置。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置を内部に収納する画像記録装置であって、
換気のために発生させられる気流のうち、前記フィルム搬送装置の前記格納手段の前記搬出口近傍を流れる気流が、前記搬出口が設けられた前記格納手段の前面と平行もしくは前記搬出口の後方側から前方側に向かって流れることを特徴とする画像記録装置。
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