JP2004067128A - 樹脂製包装容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】容器本体が縦長で、口部、胴部及び底部からなり、この胴部は少なくともラベルを貼るラベル面及び把手を有すると共に、このラベル面以外の胴部に減圧吸収面を有し、ラベル面にその中央部を境にして断続した横方向の横ビードを一列以上設けてなることで、容器本体内に液体内容物を充填したあと内部が減圧になっても、断続したビードにより形成した縦の中央凸部が支点となり、ラベル面が径断面形状でおむすび状に変形し、減圧を吸収してラベル面上のラベルの機能を全う出来、且つビードの剛性によりおむすび状変形に起因する座屈が生じず、縦圧縮強度の低下もない。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製包装容器に関し、より詳しくは、容器本体に内容物を充填後に、容器本体内が減圧になった際に、該減圧を有効に吸収し、容器本体の変形を防止した樹脂製包装容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂製包装容器は、軽量性、耐食性及び耐衝撃性に優れていることから、油、醤油、味醂、酒、ジュース等の液体用容器として広く使用されている。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)を延伸ブロー成形した包装容器、所謂ペット(PET)ボトルは上記に加えて透明性、ガスバリアー性、適度の剛性も有し、上記液体用容器として揺るぎない地位を占めている。
【0003】
上記ペットボトルは、1.8リットル以上の大型のものは、一般に、その取扱性をよくするために、ボトルの胴部に把手等の把持部が設けられることが多い。その一方で、このペットボトルは、液体内容物の保存性を高めるため温間充填することが行われるため、冷却後の液体内容物及び介在する気体の収縮により、ボトルに減圧変形が生じるという問題がある。この減圧変形に対しては、ボトルの胴部や肩部等に減圧吸収のための構造が施され、減圧に伴うボトルの変形を抑制するための対策が施されている。
【0004】
その一例として、図11ないし13に示すように、その容器本体aが縦長で口部b、胴部c及び底部dからなり、その胴部cは把手eを有し、この把手eの反対側にラベルを貼るラベル面fを有すると共に、このラベル面f以外の把手e下の胴部cに減圧吸収面gを有し、更に胴部cと口部bとの間の肩部hにも減圧吸収面gを有している構造が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記図11ないし13によるペットボトルは、特に1.8リットル以上の大型では、元々絶対的な収縮容積が多くなり、把手eを有するため、減圧に伴う変形が非対称となって、減圧変形が大きくしかも変形位置が定まらないという問題がある。そのため、容器本体a内に加温された液体内容物を入れ蓋を嵌め密封したあと、液体内容物が冷めて常温になると内部が減圧状態となって、胴部c及び肩部hの減圧吸収面gが凹んで減圧を吸収する。しかし、これらの減圧吸収面gの凹みだけで減圧を吸収しきれない場合は、前記把手eの取付凹部iにも凹みが及び、この凹みと相俟ってラベル面fに大きな凹み変形jを発生させる。
【0006】
従って、このような凹み変形jがラベル面fに発生することは、そのラベル面fに貼り付けたラベルにも凹みをきたし、これはラベルによる液体内容物の説明効果を著しく低下させ、更にラベルに商品管理のためのバーコードが印刷されている場合には、ラベル面fの凹み変形jがあると、機械による正しい読み取り認識ができないため、正しい商品管理は行うことができず、バーコードを付した本来の意味をなさないことになる。
【0007】
また、このような取付凹部iの変形は、別体の把手eが取付凹部iに取り付けてあるような場合に、把手eと取付凹部iとの固定が不完全なものとなり、把手eがガタ付いたり、最悪時離脱したりするという事態を招くことにもなる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、大容量のボトルで、温度による容積変化の大きい液体内容物を充填しても、減圧変形の際、胴部のラベル面に貼ってあるラベルの機能を損なうことがなく、しかも縦圧縮強度の低下もなく、把手を有する場合にその取付凹部の変形も少なく、把手及びその周辺に支障を起こすことがない樹脂製包装容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴とするものである。
すなわち、本発明によれば、口部、肩部、胴部及び底部を備えた縦長の容器本体からなり、前記胴部は少なくともラベルを貼るラベル面を有すると共に、該ラベル面以外の胴部に減圧吸収面を有してなる樹脂製包装容器において、前記ラベル面にその中央部を境にして断続した横方向のビードを1列以上設けたことを特徴とする樹脂製包装容器が提供される。
これにより、容器本体内に液体内容物を充填したあと内部が減圧状態になっても、ラベル面中央部を境にして二分した横方向のビードにより形成した縦の中央凸部が支点となり、ラベル面が径断面形状でおむすび状に変形して、減圧状態を吸収し、そのようなラベル面の変形はラベルの機能を全うする。また、二分した横方向のビードの剛性によりおむすび状変形に起因する座屈が生じず、縦圧縮強度の低下もないという特徴がある。
【0010】
また、本発明によれば、前記容器本体の胴部の少なくとも一部が凹部に形成され、該凹部に把持部が形成されている上記樹脂製包装容器が提供される。
これにより、把持部の変形と共にラベル面のおむすび状の変形により、減圧状態を吸収してその吸収度合が増し、また、二分した横方向のビードの剛性及び把持部による剛性によりおむすび状変形及び把持部変形に起因する座屈が生じず、縦圧縮強度の低下もないという特徴がある。
【0011】
また、本発明によれば、前記容器本体のラベル面と前記把持部との間に縦方向のビードを有する上記樹脂製包装容器が提供される。
縦方向のビードがあることにより、ラベル面が径断面形状でおむすび状に変形する際、縦方向のビードを引き込んで変形するため、減圧状態の吸収量が増えるという特徴がある。
【0012】
また、本発明によれば、前記把持部は、別体の把手が容器本体に嵌着状態で一体化されている上記樹脂製包装容器が提供される。
把手をボトル本体と別体の素材で構成することにより、ボトル本体よりも高強度の素材を採択することができ、大容量のボトルであっても安定的に把持することができる。
【0013】
また、本発明によれば、前記把持部は、把持用凹部である上記樹脂製包装容器が提供される。
この構成は、容器本体の胴部の一部を縦方向に平行な2個の凹部とすることによって形成された把持部を手指でつかみ持ち運びするようにしたものであり、ボトル成形と同時に一体成形が出来、減圧変形による吸収量も増え、把持用凹部の離脱もないという特徴がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施に係る4.0リットルボトルの形態を示す樹脂用包装容器の正面図、図2は本発明の実施の形態を示す樹脂用包装容器の側面図、図3は図2のIII− III線に沿う断面図である。図面において、樹脂用包装容器1は、容器本体2が縦長で、口部3、肩部12、胴部4及び底部5からなり、この胴部4は少なくともラベルを貼るラベル面6を有すると共にこのラベル面6以外の胴部4に減圧吸収面7を有し、ラベル面6にその中央部を境にして二分した横方向のビード8(以下、単に「横ビード8」という)を一列以上設けてなるものである。
【0015】
前記容器本体2は、その口部3には注ぎ口10とキャップを螺着するためのネジ11が形成されており、胴部4はこの例では強度上の有利さから断面形状が円形をなしているが、多角形でも良く、更に、底部5は上方に凸となり強度を高めている。
【0016】
この胴部4の上部は肩部12となって前記口部3に連なり、この肩部12にはパネル部13があって、別の減圧吸収面をなす。肩部12直下及び底部5直上に全周ビード14及び15がある。これら全周ビード14及び15の間に180度隔てて、胴部4には前記ラベル面6及び把持部16が設けられている。このラベル面6は両側及び上下側を縦ビード17、17及び横ビード18、18により囲われている。そして、このラベル面6にはその中央部6aを境にして二分した横ビード8を複数(この例では5列10本)設けている。これらの横ビード8は、上から第1列目と第5列目が同じ長さで、中間の第2列目〜第4列めもそれぞれ同じ長さであるが、第1列目及び第5列目よりも若干長くなっている。これらの横ビード8が多数(5列10本)あることにより、ラベル面6の中央部6aが縦の中央部19を形成する。
【0017】
一方、前記把持部16は、胴部4に設けた取付凹部20に別体の把手21を取付けたものであるが、これに限定されない。この把手21は、ボトル本体とは別体に形成されたものであり、把持部位と取り付け部位とを備え、かつ容器のブロー成形時に形成される容器本体の突起部位が前記把手の把持部位のリング内に挿入され、さらに前記突起部位の先端がフランジ状に広げられた構造となることにより、容器本体への把手の固定が行われる。把手をボトル本体とは別体に形成することにより、把手はボトル本体よりも高強度のものにすることができ、大容量のボトルでも把持状態が安定するというメリットがある。
【0018】
また、把手21の代わりに、手指で挟むだけの凹みタイプであっても良い。凹みタイプとは、ボトルの胴部の一部に縦方向に平行な二つの凹部を形成し、この凹部に手指を入れて持つようにしたものである。なお、取付凹部20下の胴部4は減圧吸収面7の役割を担っている。
この構成の一例は、特開2002−154515号公報および特開2002−154517号公報にも記載されている。
【0019】
このような構成の樹脂用包装容器1が種々の要因により減圧状態になると、把手21の取付凹部20がその減圧を変形吸収すると共に、前記中央凸部19が支点となり、ラベル面6が径断面形状でおむすび状に変形して、その減圧状態を吸収することになる。更に、ラベル面6の両側にある縦ビード17、17もラベル面6のおむすび状変形に引き込むので、減圧の吸収量も十分に確保することができる。また、ラベル面6を二分した横ビード8の剛性により、おむすび状変形に起因する座屈が生じず、縦圧縮強度の低下もない。
【0020】
なお、前記樹脂用包装容器1を構成する材料は特に限定がないが、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン等が採用される。また、この樹脂用包装容器1の容積も、特に限定がないが、実用上1.8リットル、2.7リットル、3.6リットルあるいはそれ以上の大型のものに適用され得る。
【0021】
【実施例】
以下に、本発明の有効性を実施例にて実証する。
<実施例1>
まず、図1ないし3に示す形状のポリエチレンテレフタレート製包装容器に対して下記の方法で減圧変形試験を行った。
包装容器を空瓶状態のまま密封し、減圧してゆき、変形状態を目視観察すると共に、変形時の容量ならびに減圧吸収状態を評価し、図4ないし6に示した。特に、ラベル面の変形がラベルに対して支障のある変形となっているかどうかを注意深く観察した。
更に、空瓶状態のポリエチレンテレフタレート製包装容器を、そのまま図4の矢線Aに示す方向に荷重を徐々に増してかけてゆき、座屈発生時の荷重量を測定し、縦圧縮強度とした。得られた測定結果を表1に示した。
【0022】
<比較例1>
図1ないし3に示す形状のポリエチレンテレフタレート製包装容器に代えて、横ビード8aを図7に示すように、繋げて5列5本とした以外は図1ないし3と同じにし、これを実施例1と同様に減圧変形試験を行った。減圧変形状態を図8ないし10に示した。また実施例1と同様に縦圧縮強度試験を行い、結果を表1に示した。
【0023】
<比較例2>
図1ないし3に示す形状のポリエチレンテレフタレート製包装容器に代えて、横ビードが無く、それ以外は図1ないし3と同じにして、実施例1と同様の減圧変形試験を行った。変形状態の結果を図11ないし13に示した。更に、減圧変形試験前のポリエチレンテレフタレート製包装容器について、実施例1と同様に縦圧縮強度試験を行った。得られた測定結果を表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
表1及び図4ないし6によれば、本発明による実施例1のポリエチレンテレフタレート製包装容器は、肩部12のパネル部13や取付凹部20下の胴部4の減圧吸収面7は減圧吸収して変形し、更に把手21の取付凹部20が減圧吸収して変形すると共に、前記中央凸部19が支点となり、ラベル面6が径断面形状でおむすび状に変形して、その減圧吸収をすることになることがわかる。更に、ラベル面6の両側にある縦ビード17、17もラベル面6のおむすび状変形に引き込むので、減圧状態の吸収量も十分に確保することができる。このラベル面6のおむすび状変形は、ラベルの視覚的効果を低下させず、またバーコードの機能にも悪影響がない。
また、縦圧縮強度は37.5kgfあり、比較例2の減圧変形試験前のポリエチレンテレフタレート製包装容器の縦圧縮強度は38.0kgfと遜色無い結果となった。これはラベル面6を二分した横ビード8の剛性により、おむすび状変形に起因する座屈が生じないことにより、縦圧縮強度の低下がないものと想定される。
【0026】
比較例1の結果を示す表1及び図8ないし10によれば、把手21の取付凹部20が減圧吸収して変形すると共に、ラベル面6の上下端部を支点として中央部にかけて弧状の撓みが内方に生じ、すなわち、内反り状態となる。このため、ラベルのシワ等の視覚的効果の低下をきたし、バーコードの機能にも悪影響を及ぼす。更に、変形状態が内反り状態であるから、縦圧縮強度は33.0kgfとなり、実施例1及び比較例2に比べて著しく低下していることがわかる。
【0027】
比較例2の結果を示す表1及び図11ないし13によれば、縦圧縮強度は優れているものの、把手eの取付凹部iが減圧吸収して変形すると共に、ラベル面fが大きくへこみ、凹み変形jを生じさせて、ラベルの視覚的効果の低下をきたし、バーコードの機能にも悪影響を及ぼすことがわかる。
【0028】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更や各請求項における構成の組み合わせは、任意になし得ることはもちろんである。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、容器本体内に液体内容物を充填したあと内部が減圧になっても、ラベル面中央部を境にして二分した横方向のビードにより形成した縦の中央凸部が支点となり、ラベル面が径断面形状でおむすび状に変形して、減圧を吸収し、そのようなラベル面の変形はラベル機能を全うする。また、二分した横方向のビードの剛性によりおむすび状変形に起因する座屈が生じず、縦圧縮強度の低下ももたらすことがない。従って、大容量で、温度による容積変化の大きい液体内容物を充填しても、減圧変形の際、縦圧縮強度を低下させることなく、胴部のラベル面に貼ってあるラベル本来の機能を損なうことがない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す樹脂用包装容器の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す樹脂用包装容器の側面図である。
【図3】図2のIII −III 線に沿う断面図である。
【図4】図1の樹脂用包装容器の減圧変形後を示す正面図である。
【図5】図2の樹脂用包装容器の減圧変形後を示す側面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】比較例1の樹脂用包装容器を示す正面図である。
【図8】図7の樹脂用包装容器の減圧変形後を示す正面図である。
【図9】図7の樹脂用包装容器の減圧変形後を示す側面図である。
【図10】図9のX −X 線に沿う断面図である。
【図11】従来例の減圧変形後を示す正面図である。
【図12】従来例の減圧変形後を示す側面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 樹脂製包装容器
1a,1b ポリエチレンテレフタレート製包装容器
2,a 容器本体
3,b 口部
4,c 胴部
5,d 底部
6,f ラベル面
6a 中央部
7,g 減圧吸収面
8,8a,18 横方向のビード(横ビード)
10 注ぎ口
11 ネジ
12,h 肩部
13 パネル部
14,15 全周ビード
16 把持部
17 縦ビード
19 中央凸部
20,i 取付凹部
21,e 把手
j 凹み変形
Claims (5)
- 口部、肩部、胴部及び底部を備えた縦長の容器本体からなり、前記胴部は少なくともラベルを貼るラベル面を有すると共に、該ラベル面以外の胴部に減圧吸収面を有してなる樹脂製包装容器において、前記ラベル面にその中央部を境にして断続した横方向のビードを1列以上設けたことを特徴とする樹脂製包装容器。
- 前記容器本体の胴部の少なくとも一部が凹部に形成され、該凹部に把持部が形成されている請求項1記載の樹脂製包装容器。
- 前記容器本体のラベル面と前記把持部との間に縦方向のビードを有する請求項2記載の樹脂製包装容器。
- 前記把持部は、別体の把手が容器本体に嵌着状態で一体化されている請求項2又は3記載の樹脂製包装容器。
- 前記把持部は、把持用凹部である請求項2又は3記載の樹脂製包装容器。
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2002
- 2002-08-02 JP JP2002226739A patent/JP4598352B2/ja not_active Expired - Lifetime
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