JP2004066471A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】普通紙に印字しても滲みのない鮮明な画像を得ることができ、また画像形成装置を分解して分別回収する際に、回収する廃液吸収体を安全に扱うことができるようにする。
【解決手段】色材を含有する記録液と、該色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を含有する処理液とを被記録体21に付与する。処理液用吐出部16から排出される記録液の廃液と記録液用吐出部17から排出される処理液の廃液は、廃液収容体の筐体1に収容されると直ちに混合され、中和反応が起こり、混合液は中性付近に変化する。廃液を長時間放置することにより水分が蒸発して濃縮されても、廃液は中和された状態であるため、酸性やアルカリ性に大きく振れることがなく安全性が高い状態に保たれる。また、中和反応と同時に凝集物または不溶物が生成するため、混合液は急激に増粘して流動性が大幅に低減するため、装置を搬送する際に傾けたりしても廃液がこぼれることがない。
【選択図】 図17
【解決手段】色材を含有する記録液と、該色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を含有する処理液とを被記録体21に付与する。処理液用吐出部16から排出される記録液の廃液と記録液用吐出部17から排出される処理液の廃液は、廃液収容体の筐体1に収容されると直ちに混合され、中和反応が起こり、混合液は中性付近に変化する。廃液を長時間放置することにより水分が蒸発して濃縮されても、廃液は中和された状態であるため、酸性やアルカリ性に大きく振れることがなく安全性が高い状態に保たれる。また、中和反応と同時に凝集物または不溶物が生成するため、混合液は急激に増粘して流動性が大幅に低減するため、装置を搬送する際に傾けたりしても廃液がこぼれることがない。
【選択図】 図17
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置、より詳細には、記録液と共に記録液中の色材と凝集物を形成する成分を含有する処理液を併用してインクジェット方式で画像を形成する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録液を液滴として画像記録を行うインクジェット記録方式は、その印字機構が簡単であるためコストが安く、コンパクトであり、しかも騒音が少ない点で優れている。しかし、記録媒体との組み合わせによっては文字滲み(以下、フェザリングという)に代表される画像欠陥が発生しやすく、特に普通紙において画像品質が大きく低下するという問題を有する。
【0003】
上記のような問題に対して、記録液と共に記録液中の色材と凝集物を形成する成分を含有する処理液を併用する画像形成装置が提案されている。例えば、特許第3177128号公報には、インク及びプリント性向上液を吐出して被プリント材にプリントを行うインクジェットプリント装置において、被プリント材上での混合を除き、インクとプリント性向上液の混合を実質的に防止する作用を奏する混合防止手段を備えるインクジェットプリント装置が開示されている。
【0004】
また、特許第3205688号公報には、インクを固着させる作用のある処理液を用いて第1のインクジェットヘッドで被プリント媒体に前処理を行い、インクを用いて第2のインクジェットヘッドで被プリント媒体にプリントを行うインクジェット装置において、廃液吸収体の一方の端部近傍に第1の廃液移送手段の排出端が配置され、廃液吸収体の他方の端部近傍に第2の廃液移送手段の排出端が配置されたインクジェット装置が開示されている。
【0005】
また、特開平11−320917号公報には、装着脱自在のタンク手段からインク並びに反応液が別々に供給され、インク吐出ヘッドと反応液吐出ヘッドより廃インク並びに廃反応液を別々に吐出しうる記録ヘッドと、記録ヘッドから吐出された廃インク並びに廃反応液を別々に回収しうる廃インク回収部並びに廃反応液回収部とを具備したインクジェット記録装置が開示されている。
【0006】
一方、近年では地球環境保護の観点から資源の再利用が重要な課題となってきている。画像記録装置においても、再利用できる部品、加工し直すことで再資源化できる部品を分別回収し、これらの資源を新たな製品を製造する際に使用する傾向が強まっている。しかし、装置を分解して部品を回収する際に、廃インクを含んだ廃液吸収体の取り扱いが問題となる。通常、インクを廃液吸収体に吸収させる際に、より多くのインクを吸収させるために、吸収したインク中の水分を通気口を通して大気中に蒸発させる。このようにして廃液吸収体に吸収されるインク量を多くすることができる。
【0007】
しかし、水分が蒸発することで溶解物が濃縮され、印字されるときに弱アルカリ性あるいは弱酸性であったインクや、インクとともに廃液吸収体に吸収された処理液は、廃液吸収体内で徐々に濃度が高まり、長時間経過後には強いアルカリ性あるいは強い酸性を示すようになる。インクまたは処理液が初めから強いアルカリ性あるいは強い酸性である場合、廃液吸収体内では、さらに強いアルカリ性あるいは強い酸性の廃液が生成される。このような廃インクまたは廃処理液を多量に含んだ廃液吸収体を作業者が誤って素手で触れたり、飛び散った廃液が肌に触れたり、目に入ると炎症が生じ、健康に悪影響を及ぼし、作業環境の点で問題となっている。
【0008】
しかしながら、上記の従来技術に記載されている記録液中の色材と凝集物を形成する成分を含有する処理液を併用する画像形成装置には、廃液吸収体内のインクの安全性に関しては何ら考慮されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、普通紙に印字しても滲みのない鮮明な画像を得ること、及び画像形成装置を分解して分別回収する際に、回収する廃液吸収体を安全に扱い得ることを同時に満足する画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を鑑み、鋭意検討した結果、効果的に課題を解決する方法を見いだすに至った。以下、本発明の課題を解決するための手段について説明する。
請求項1の発明は、色材を含有する記録液を吐出するための第1の吐出部と、該色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を含有する処理液を吐出するための第2の吐出部とを有し、各前記吐出部より前記記録液または前記処理液を吐出して被記録材に画像を形成する画像形成装置において、該画像形成装置は、前記第1の吐出部から排出される前記記録液の廃液と前記第2の吐出部から排出される前記処理液の廃液を収容する廃液収容体を具備し、該廃液収容体は、前記記録液の廃液と前記処理液の廃液のうちのいずれかが酸性で、他方がアルカリ性である場合に、該記録液の廃液と該処理液の廃液とを廃液収容体内で混合することで中和反応を生じさせることを特徴としたものである。
【0011】
請求項2の発明は、色材を含有する記録液を吐出するための第1の吐出部と、該色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を含有する処理液を吐出するための第2の吐出部とを有し、前記各吐出部より前記記録液または前記処理液を吐出して被記録材に画像を形成する画像形成装置において、該画像形成装置は、前記第1の吐出部から排出される前記記録液の廃液と前記第2の吐出部から排出される前記処理液の廃液とを収容する廃液収容体を具備し、該廃液収容体は、廃液吸収性部材を有し、前記記録液の廃液と前記処理液の廃液のうちのいずれかが酸性で、他方がアルカリ性である場合に、前記記録液の廃液と前記処理液の廃液の少なくとも一部が、前記廃液収容体内で中和反応した後に前記廃液吸収性部材に吸収されることを特徴としたものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記記録液の廃液及び前記処理液の廃液が前記廃液収容体に収容される際に、前記記録液の廃液の着弾点と前記処理液の廃液の着弾点とが同じ位置、あるいは各前記廃液が互いに混合可能な位置であることを特徴としたものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1の発明において、前記記録液の廃液は、第1の吐出部の吐出不良を回復させるために設けられた第1の回復手段によって該第1の吐出部から排出され、前記処理液の廃液は、前記第2の吐出部の吐出不良を回復させるために設けられた第2の回復手段によって該第2の吐出部から排出されることを特徴としたものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、各前記回復手段は、各前記吐出部内側から正圧を与えて前記記録液の廃液または前記処理液の廃液を排出させることを特徴としたものである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、各前記回復手段は、各前記吐出部に連通する加圧手段によって該吐出部内側に正圧を与えることを特徴としたものである。
【0016】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、各前記回復手段により各前記吐出部から排出された前記記録液の廃液または廃処理液が、飛翔して廃液吸収体に到達することを特徴としたものである。
【0017】
請求項8の発明は、請求項5の発明において、各前記回復手段により各前記吐出部から排出された前記記録液の廃液または前記処理液の廃液は、廃液移送手段を介して前記廃液吸収体に到達することを特徴としたものである。
【0018】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記廃液移送手段は、チューブであることを特徴としたものである。
【0019】
請求項10の発明は、請求項4の発明において、各前記回復手段は、各前記吐出部の外側から負圧を与えて前記記録液の廃液または前記処理液の廃液を排出させることを特徴としたものである。
【0020】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、各前記回復手段は、キャップ手段と、該キャップ手段に連通する吸引手段とによって各前記吐出部に負圧を与えることを特徴としたものである。
【0021】
請求項12の発明は、請求項10の発明において、各前記回復手段により各前記吐出部から排出された前記記録液の廃液または前記廃処理液は、廃液移送手段を介して前記廃液吸収体に到達することを特徴としたものである。
【0022】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記廃液移送手段は、チューブであることを特徴としたものである。
【0023】
請求項14の発明は、請求項2の発明において、前記廃液吸収性部材は、多孔質吸収体または繊維状吸収体であることを特徴としたものである。
【0024】
請求項15の発明は、請求項1ないし3のいずれか1の発明において、前記色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分は、微粒子であることを特徴としたものである。
【0025】
請求項16の発明は、請求項15の発明において、前記微粒子は、カチオン性微粒子であることを特徴としたものである。
【0026】
請求項17の発明は、請求項16の発明において、前記カチオン性微粒子は、カチオン性コロイダルシリカであることを特徴としたものである。
【0027】
請求項18の発明は、請求項1ないし3のいずれか1の発明において、前記色材は、アニオン性基を有する染料または顔料であることを特徴としたものである。
【0028】
請求項19の発明は、請求項1ないし3のいずれか1の発明において、前記色材は、アニオン性基を有する化合物と顔料であることを特徴としたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の画像形成装置は、普通紙に印字しても滲みのない鮮明な画像を得ることができ、かつ画像形成装置を分解して分別回収する際に、回収する廃液吸収体を安全に扱うことができる。本発明の画像形成装置では、色材を含有する記録液と、該色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を含有する処理液とを被記録材に付与することで普通紙に対しても滲みのない鮮明な画像を得ることができる。
【0030】
処理液中に含有される色材と反応して凝集物または不溶物を生成する反応成分が、色材を含有する記録液と被記録材上で接触すると、反応成分と色材とが凝集物を形成するか、あるいは不溶物を生成する。凝集物あるいは不溶物が形成されると、記録液と処理液が被記録材に浸透する際に、凝集物あるいは不溶物が被記録媒体の多孔質部分にトラップされ、色材が移動しづらくなり、フェザリングやカラーブリードが低減される。
【0031】
次に、本発明の画像形成装置における廃液吸収体の安全性について、構成別に説明する。本発明の画像形成装置に用いられる廃液収容体の第1の例は、吸収性部材を有さない。
【0032】
第1の吐出部から排出される記録液の廃液(廃記録液)と第2の吐出部から排出される処理液の廃液(廃処理液)は、廃液収容体に収容されると直ちに混合され、中和反応が起こり、混合液は中性付近に変化する。そのため、廃液を長時間放置することにより水分が蒸発して濃縮されても、廃液は中和された状態であるため、酸性やアルカリ性に大きくに振れることがない。
【0033】
したがって、廃液収容体は安全性が高い状態に保たれる。また、中和反応と同時に、凝集物または不溶物の生成も起こるため、廃記録液と廃処理液との混合液は急激に増粘する。吸収性部材に廃液を吸収させなくても、混合液の流動性は大幅に低減するため、装置を搬送する際に傾けたりしても廃液がこぼれることがない。
【0034】
本発明の画像形成装置に用いられる廃液収容体の第2の例は、廃液吸収性部材を有し、中和反応の後に廃液が廃液吸収性部材に吸収される。第1の吐出部から排出される廃記録液と、第2の吐出部から排出される廃処理液は、混合されて中和反応した後に廃液吸収性部材に吸収されるため、混合液は中性付近に変化した後に吸収されることになる。そのため、廃液を長時間放置することにより水分が蒸発して濃縮されても、廃液は中和された状態であるため、大きく酸性やアルカリ性に振れることがない。したがって、廃液収容体は安全性が高い状態で保たれる。また、中和反応と同時に、凝集物または不溶物の生成も起こるため、混合液は急激に増粘する。一部の混合液のビヒクルは吸収性部材に吸収されるため、混合液の粘度はさらに上昇する。その結果、第1の例よりも混合液の流動性がさらに低減するため、装置を搬送する際の廃液こぼれを一層確実に防止することができる。
【0035】
一方で、上述したごとくの従来技術の構成では、以下のような不具合が生じてしまう。上述した特許第3177128号公報、及び特許第3205688号公報では、廃液吸収体の一方の端部近傍に第1の廃液を吸収させ、他方の端部近傍に第2の廃液を吸収させて、廃液吸収体の中央付近で2液を混合させる方法が開示されている。しかし、2液が混合する境界付近では中性になったとしても、混合する境界以外では、酸性あるいはアルカリ性のいずれかに成らざるを得ず、長時間放置後には廃液中の水分が蒸発して強酸の部分と強アルカリの部分が形成されてしまう。
【0036】
また、上記特開平11−320917号公報では、廃記録液並びに廃反応液を別々に回収しうる廃記録液回収部並びに廃反応液回収部とを具備したインクジェット記録装置が開示されている。しかし、廃記録液と廃処理液が混合できないため、廃液同士を混合して中和反応させることができない。そのため、酸性とアルカリ性の廃液が吸収された2つの廃液吸収体が形成され、長時間放置後には廃液中の水分が蒸発して強酸と強アルカリの廃液吸収体が形成されてしまう。いずれにしても、廃液吸収体の安全性に問題が生じる。
【0037】
本発明の画像形成装置は、廃液収容体内での廃記録液の着弾点と廃処理液の着弾点とが同じ位置、あるいは互いに混合可能な位置とすることができる。廃記録液と廃処理液を噴射し、あるいは連結管を介して搬送することにより廃液吸収体に収容させるが、廃液収容体内面、あるいは廃液吸収性部材に着弾する際の2液の位置が、同一か、あるいは互いに混合可能な位置とすることで、効率的に廃記録液と廃処理液とを混合させることができる。
【0038】
廃記録液と廃処理液を互いに混合できない位置に着弾させると、最終的に2液が流動して一部で中和反応が生じたとしても、混合に関与しない廃液が残ってしまい、中和反応が十分行われない恐れがある。廃記録液の着弾点と廃処理液の着弾点が同じ位置、あるいは互いに混合可能な位置とすることで、これら廃液を即座に混合することができ、中和反応しない廃液を少なくすることができる。
【0039】
以下に本発明の画像形成装置に係わる実施の形態を添付された図面を参照しながら具体的に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同様の機能を有する部分には、同じ符号を付けその繰り返しの説明は省略する。
【0040】
図1ないし図4は、本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の構成例をそれぞれ説明する図で、廃液収容体の断面概略図を各図(A)に、平面概略図を各図(B)に示す。まず図1において、廃液収容体は筐体1で外周面を構成し、その内部は空洞となっている。天井(上面)には開口Oが設けられており、この開口Oから廃液を取り込む。
【0041】
図2の例では、廃液収容体は筐体1で外周面が構成され、筐体1の底面に吸収性部材(廃液吸収性部材)2が取り付けられており、廃液のビヒクルを吸収して混合液の粘度をさらに高められる点で、図1の例よりも優れている。筐体1の天井(上面)には開口Oが設けられており、ここから廃液を取り込む。
【0042】
図3の例では、廃液収容体は筐体1で外周面が構成され、筐体1の天井(上面)を除く壁部の内面に、吸収性部材2が取り付けられており、廃液のビヒクルを底面のみならず側面からも吸収することができるため、混合液の粘度をさらに高められる点で、図2の例よりも優れている。天井には開口Oが設けられており、この開口Oから廃液を取り込む。
【0043】
図4の例では、廃液収容体は筐体1で外周面が構成され、その筐体1の内部には吸収性粒子3が入れられている。吸収性粒子3を有する本構成は、凝集物の粒径が大きい場合、及び廃液の混合物の粘度が大きい場合に有効である。すなわち、凝集物の粒径が大きく、多孔質吸収体または繊維状吸収体では目詰まりが生じて吸収しない場合や、廃液の混合物の粘度が大きく流動性が低い場合にも、吸収性粒子3は、その粒子同士の間隙が、多孔質吸収体や繊維状吸収体の孔よりも大きいため、大きな凝集物や粘度の高い混合物でも吸収、保持することができる。本構成では、筐体1の天井(上面)には開口Oが設けられており、この開口Oから廃液を取り込む。
【0044】
図5ないし図8は、それぞれ図1ないし図4の各構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。図5の例では、図示しない第1の吐出部から排出された廃記録液と、同じく図示しない第2の吐出部から排出された廃処理液は、廃液収容体に向かって飛翔し、もしくは図示しない廃液移送手段によって移送されて、廃液収容体の筐体1の開口Oからその内部に取り込まれる。図6ないし図8の例では、筐体1に取り込まれた各廃液は、混合して中和反応した後、吸収性部材2または吸収性粒子3に吸収される。各例において、廃記録液と廃処理液の着弾点R1,R2は、これら廃記録液と廃処理液が互いに混合可能なように設定される。
【0045】
図9ないし図12は、本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の他の構成例をそれぞれ説明する図で、廃液収容体の断面概略図を各図(A)に、平面概略図を各図(B)に示す。上述の廃液収容体において、各廃液の取り込み口である開口Oは、装置搬送時の廃液の液こぼれを回避する観点から必要最低限の大きさにすることが好ましい。より好ましくは、図9ないし図12に示すように、連結管4を用いて廃液を廃液収容体の筐体1に導き、連結管4を通す以外の部分は筐体1の取り込み口を密閉し、外部との通気を可能とする通気口5を設ける。
【0046】
廃液収容体を有効に活用するために、収容された廃液中の水分を蒸発させることが好ましい。図1ないし図8の例では、水分は廃液取り込み口から蒸発させることができ、図9ないし図12の例のように通気口5から蒸発させても良い。通気口5は、空気は通すが粘調質の液体は容易には通さない通気性膜を取り付けられていることが好ましい。通気性膜としては、メッシュ状膜、スポンジ状膜、繊維状膜、不織り布状膜等が挙げられる。
【0047】
図13ないし図16は、それぞれ図9ないし図12の各構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。図13の例では、図示しない第1の吐出部から排出された廃記録液と、同じく図示しない第2の吐出部から排出された廃処理液は、連結管4によって移送されて、廃液収容体の筐体1の内部に取り込まれる。図14ないし図16の例では、筐体1に取り込まれた各廃液は、混合して中和反応した後、吸収性部材2または吸収性粒子3に吸収される。各例において、廃記録液と廃処理液の着弾点R1,R2は、これら廃記録液と廃処理液が互いに混合可能なように設定される。
本発明による画像形成装置の実施例及び比較例について、図17ないし図21を用いて詳細に説明する。
【0048】
<第1の実施例>
図17は、本発明による画像形成装置の第1の実施例の概略正面図で、図18は、その概略側面図である。図17及び図18において、11はポンプ、12は連結管、13は処理液カートリッジ、14は記録液カートリッジ、15はキャリッジ、16は処理液用吐出部、17は記録液用吐出部、18はガイドシャフト、19は駆動ベルト、20は駆動モータ、21は被記録体、22は被記録体搬送ベルト、23はキャップユニット、24は搬送ローラ対である。
【0049】
本実施形態の画像形成装置は、処理液カートリッジ13と記録液カートリッジ14の数に応じた複数のポンプ11が備えられ、各ポンプ11は、連結管12を介して各処理液カートリッジ13または記録液カートリッジ14に連結し、これらカートリッジに対して正圧を付与する。処理液カートリッジ13と記録液カートリッジ14はキャリッジ15に位置決めされており、キャリッジ15の下面には処理液用吐出部16と記録液用吐出部17が搭載されている。各吐出部16,17には図示しないコネクタが接続されており、吐出部を駆動するための信号が電気的に送信される。
【0050】
本実施例では、キャリッジ15に搭載される各カートリッジは、左から処理液、ブラックの記録液、イエローの記録液、マゼンタの記録液、シアンの記録計、及び処理液を順に収納した処理液カートリッジ13または記録液カートリッジ14である。前記キャリッジ15は、その主走査方向に延在しているガイドシャフト18に摺動自在に支持されており、駆動ベルト19はキャリッジ15を往復動させる駆動モータ20の駆動力を伝達するために設けられている。
【0051】
また図18において、各吐出部16,17によるプリント位置の前後には、紙などの被記録体21の挟持搬送を行うための搬送ローラ対24が配置されている。さらに、被記録体21は、その被プリント面を平坦に規制する被記録体搬送ベルト22に吸着された状態で搬送される。このとき、キャリッジ15に搭載された処理液用吐出部16、及び記録液用吐出部17は、被記録体搬送ベルト22の案内面に吸着された被記録体21と平行に対向するようになっている。
【0052】
本実施例の画像形成装置においては、ポンプ11を加圧することで処理液用吐出部16、あるいは記録液用吐出部17の内側に正圧を付与し、それぞれの吐出部16,17から処理液または記録液を排出することで吐出不良を回復させる。複数のポンプ11のそれぞれは独立しているため、吐出不良が生じた吐出部だけを効率よく回復させることができる。排出された処理液、及び記録液の廃液は、廃液収容体の筐体1の開口Oからその内部に収容される。
【0053】
図17に示すキャップユニット23には、複数の処理液用吐出部16及び記録液用吐出部17のそれぞれに対応するキャップが設けられており、キャップユニット23は上下方向に昇降可能である。画像形成を行わないときには、キャップユニット23を各吐出部16,17に当接させてこれらをキャッピングし、各吐出部16,17の吐出口内において、処理液及び記録液の揮発成分が蒸発して増粘、固着し、吐出不良になるのを防ぐ。
【0054】
<第2の実施例>
図19は、本発明による画像形成装置の第2の実施例の概略正面図である。正圧を付与するポンプ11が連結管12によって処理液カートリッジ13と記録液カートリッジ14に連結される。処理液カートリッジ13と記録液カートリッジ14はキャリッジ15に位置決めされており、キャリッジ15の下面には処理液用吐出部16と記録液用吐出部17が搭載されている。各吐出部16,17には図示しないコネクタが接続されており、駆動するための信号が電気的に送信される。
【0055】
本実施例では、キャリッジ15に搭載される各カートリッジは、左から処理液、ブラックの記録液、イエローの記録液、マゼンタの記録液、シアンの記録計、及び処理液を順に収納した処理液カートリッジ13または記録液カートリッジ14である。キャリッジ15は、その主走査方向に延在しているガイドシャフト18に摺動自在に支持されており、駆動ベルト19はキャリッジ15を往復動させる駆動モータ20の駆動力を伝達するために設けられている。
【0056】
本実施例の画像形成装置においては、ポンプ11を加圧することで処理液用吐出部16、あるいは記録液用吐出部17の内側に正圧を付与し、それぞれの吐出部16,17から処理液または記録液を排出することで吐出不良を回復する。各々のポンプ11は独立しているため、吐出不良が生じた吐出部だけを効率よく回復させることができる。
【0057】
キャップユニット23には、複数の処理液用吐出部16、及び記録液用吐出部17にそれぞれ対応してキャップが設けられており、キャップユニット23は上下方向に昇降可能である。キャップユニット23には連結管25が処理液用と記録液用で別々に設けられており、連結管25の端部は廃液収容体の筐体1の取り込み口(開口)Oに配置されている。
【0058】
画像形成を行わないときには、キャップユニット23を各吐出部16,17に当接させてこれをキャッピングし、各吐出部16,17の吐出口内の処理液、及び記録液の揮発成分が蒸発して増粘、固着して吐出不良になるのを防ぐ。
【0059】
<第3の実施例>
図20は、本発明による画像形成装置の第6の実施例を示す概略正面図である。本実施例では、処理液カートリッジ13と記録液カートリッジ14はキャリッジ15に位置決めされており、キャリッジ15の下面には処理液用吐出部16と記録液用吐出部17が搭載されている。各吐出部16,17には図示しないコネクタが接続されており、駆動するための信号が電気的に送信される。
【0060】
本実施例では、キャリッジ15に搭載される各カートリッジは、左から処理液、ブラックの記録液、イエローの記録液、マゼンタの記録液、シアンの記録計、及び処理液を順に収納した処理液カートリッジ13または記録液カートリッジ14である。キャリッジ15は、その主走査方向に延在しているガイドシャフト18に摺動自在に支持されており、駆動ベルト19はキャリッジ15を往復動させる駆動モータ20の駆動力を伝達するために設けられている。
【0061】
キャップユニット23には、複数の処理液用吐出部16、及び記録液用吐出部17にそれぞれ対応してキャップが設けられており、キャップユニット23は上下方向に昇降可能である。キャップユニット23には連結管25aが処理液用と記録液用で別々に設けられており、連結管25aはポンプ11に連結されている。ポンプ11が動作して吸引することにより、各吐出部16,17の外側に負圧を発生させ、処理液及び記録液を吸引する。ポンプ11にはそれぞれ連結管25bが接続されており、連結管25bの端部は廃液収容体の筐体1の取り込み口(開口)Oに配置されている。
【0062】
本実施例の画像形成装置においては、ポンプ11で吸引することで処理液用吐出部16、あるいは記録液用吐出部17の外側に負圧を付与し、それぞれの吐出部16,17から処理液または記録液を排出することで吐出不良を回復する。各々のポンプ11は独立しているため、吐出不良が生じた吐出部だけを効率よく回復させることができる。
【0063】
画像形成を行わないときには、キャップユニット23を各吐出部16,17に当接させてこれをキャッピングし、各吐出部16,17の吐出口内の処理液、及び記録液の揮発成分が蒸発して増粘、固着して吐出不良になるのを防ぐ。
【0064】
なお、図中、不図示であるが、各吐出部16,17の凝集物を取り除くためのワイパーブレードを設けてもよい。好ましくは各吐出部16,17に各々独立したワイパーブレードを設けることが好ましい。
【0065】
本発明の画像形成装置に搭載される廃液吸収体(吸収性部材)を構成する材料は、スポンジ等の多孔質吸収体、フェルトや積層紙などの繊維状吸収体が挙げられるが、廃液を吸収できる材料であればいかなるものでも良い。
【0066】
<処理液組成>
本発明の画像形成装置に用いることができる処理液は、記録液中の色材と反応して凝集物、または不溶物を生成する成分を有する。
【0067】
記録液中の色材と反応して凝集物、または不溶物を生成する反応とは、記録液中の色材と、それと反応して凝集物、または不溶物を生成する成分との間に働く作用であって、静電気力、フアンデルワールス力、磁力等の物理的作用、と電子状態を変化させ共有結合やイオン結合のような結合状態を変化させる化学的作用とに大別でき、第3の物質を介しても、光、熱などの外部エネルギーによっても起こるものである。
【0068】
記録液中の色材と反応して凝集物、または不溶物を生成する成分は、処理液中に溶解状態で含有されても良いし、微粒子として分散状態で含有されても良いが、画質改善効果の点で微粒子であることが好ましい。
静電気力の作用による微粒子と色材との反応については以下のように考えられる。ただし、これらの説明によって本発明が制約を受けるものではない。
【0069】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液中に含有される微粒子は、粒子表面に電荷を有し、微粒子同士は表面電荷による反発作用が生じるため分散が安定化されている。微粒子と逆の極性を有する色材を含有する記録液が、微粒子を含有する処理液と接触すると、微粒子に色材が電気的な作用により強力に吸着する。このとき微粒子の表面電荷は色材の電荷で中和されるため、微粒子同士の反発作用がなくなり、微粒子と色材は大きな凝集体を形成する。また、色材が有するカルボニル基やスルホニル基等の親水性基が吸着の際に微粒子で隠蔽されるため、凝集体の水に対する溶解度が急速に低下し、凝集体はさらに大きくなる。このような凝集体の形成が急速に生じれば、記録液と処理液が被記録材に浸透する際に凝集体が被記録媒体の多孔質部分にトラップされ、色材が移動しづらくなり、フェザリングとカラーブリードが効果的に防止できる。
【0070】
また、微粒子と色材とが粒子状の凝集物を形成し、被記録材の表面付近に石垣状に積み重なると浸透性の膜が形成される。そのため、ビヒクルが被記録材に速やかに浸透するためカラーブリードが良好になることに加えて、乾燥性が良好となる。色材と反応する化合物として微粒子ではなくポリマーを用いた場合には、ポリマーが被記録材表面に膜を形成してしまい、ビヒクルの浸透を妨げてしまう。その結果、乾燥性が低下し、印刷後に印刷物に触れるとインクが手に付いてしまったり、画像汚れが生じてしまう。
【0071】
微粒子は有機微粒子であっても良いし、無機微粒子であっても良いし、有機無機複合微粒子であっても良い。粒子形についても特に限られるものではなく、球状、数珠状、不定形のいずれであっても良い。
【0072】
有機微粒子としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂、弗素系樹脂、α,β−不飽和エチレン性単量体をエマルジョン重合等により得られる重合体等が挙げられる。
【0073】
無機微粒子としては、炭酸カルシウムなどの無機塩と、シリカ(SiO2)などの無機酸化物に大別される。
無機塩の具体例としては、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。水系処理液として用いる場合には、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸鉄などの水に溶解度が低いものを用いるほうが分散体が得られやすい点で好ましい。また、これらはカチオン化処理することでさらに色剤の吸着能力、凝集能力を高めることができ、さらに好ましい。カチオン剤で改質する方法は従来技術にて記載されている(特開平10−129113号公報、特開平11−20301号公報など)。
【0074】
無機微粒子の具体例としては、シリカ(SiO2)、シリカのカチオン化物、二酸化チタン、アルミナ(Al2O3)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
無機微粒子の中では反応性の点でカチオン性シリカが特に好ましい。カチオン性シリカは、シリカの表面がカチオン化処理されたものであれば用いることができる。カチオン化するには、シリカ表面に化学的、物理的にカチオン性化合物を導入すれば良い。例えば、シリカのシラノール基にアミノ化合物をカップリングすることで、あるいはアルミニウム化合物を反応させることで化学的に表面処理することができる。また、シリカとカチオン性化合物を溶剤中で混合し、カチオン性化合物を物理的に吸着させた後に溶剤を除去することで物理的に表面処理することができる。
【0076】
その際、核材として用いるアニオン性シリカの具体例としては、ST−ZL、ST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−S、ST−50、ST−20L、ST−OL、ST−XS、ST−YL、ST−XL、ST−UP、ST−OUP(以上、日産化学製)、Cataloid SI−350、SI−500(以上、デュポン製)、Nipgel AY−220、AY−420、AY−460(以上、日本シリカ製)等が挙げられる。
これらの方法に限らず、シリカ表面をカチオン性に処理したものであれば、いずれも好適に用いることができる。
【0077】
無機微粒子は製品として入手することもできる。シリカのカチオン化物としては、ST−AK(日産化学製)が挙げられる。アルミナとしては、アルミナゾル100、200、520(以上、日産化学製)等が挙げられる。二酸化チタンとしてはチタニアシリーズ(出光興産製)が挙げられる。これらの微粒子の中には既に水分散体として入手できるものも存在する。
【0078】
微粒子はカチオン性無機有機複合微粒子であっても良く、粒子状のカチオン性無機有機複合微粒子であれば用いることができる。
カチオン性無機有機複合微粒子は、無機微粒子の表面にカチオン性有機化合物を吸着させたり、逆に有機化合物の表面にカチオン性無機化合物を吸着させることで得ることができる。例えば、カチオン性高分子で被覆された無機有機複合微粒子は、無機微粒子を水等の溶媒中に分散させておき、これにカチオン性高分子を水、あるいは、水溶性有機溶媒の溶液の状態で徐々に加えることで得ることができる。
【0079】
カチオン性高分子の具体例としては、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリイミン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノアセタール化ポリビニルアルコール、イオネンポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルベンジルホスホニウム、ポリアルキルアリルアンモニウム、ポリアミジン、ポリアミンスルホン、カチオンでん粉などのカチオン性高分子化合物を挙げることができる。
【0080】
微粒子の添加量は処理液に対して10wt%以上であることが好ましく、光沢度を向上させる観点からは15wt%以上がより好ましい。含有率が10wt%未満の場合、画質改善効果が充分に得られない。なお、複数種類の微粒子を併用して用いても良い。
【0081】
記録液中の色材と反応して凝集物、または不溶物を生成する成分は、処理液中に溶解状態で含有されていても良い。具体的には、カチオン性モノマー、カチオン性ポリマー、アニオン性モノマー、アニオン性ポリマーが挙げられる。カチオン性ポリマーの具体例としては、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリイミン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノアセタール化ポリビニルアルコール、イオネンポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルベンジルホスホニウム、ポリアルキルアリルアンモニウム、ポリアミジン、ポリアミンスルホン、カチオンでん粉などのカチオン性高分子化合物を挙げることができる。
【0082】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液は、乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止する目的で水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。水溶性有機溶媒には湿潤剤、浸透剤が含まれる。湿潤剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエ−テル額;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノ−ル等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。
【0083】
また、浸透剤は、処理液と被記録材の濡れ性を向上させ、浸透速度を調整する目的で添加される。浸透剤としては、下記式(I)〜(IV)で表わされるものが好ましい。すなわち、下記式(I)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、式(II)のアセチレングリコール系界面活性剤、下記式(III)のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤ならびに式(IV)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界面活性剤は、液の表面張力を低下させることができるので、濡れ性を向上させ、浸透速度を高めることができる。
【0084】
【化1】
【0085】
【化2】
【0086】
【化3】
【0087】
【化4】
【0088】
前記式(I)〜(IV)の化合物以外では、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類を用いることができるが、特にジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0089】
微粒子の平均粒子径は1000nm以下であることが好ましく、500nm以下が吐出安定性の観点からさらに好ましい。つまり、1000nm以上である場合、吐出ヘッドの目詰まりが生じやすくなり、吐出不良が生じやすくなる。平均粒子径は光学式粒度分布計で測定することができ、粒子数50%の粒子径をもって表わす。
【0090】
微粒子は水を主成分とするビヒクルに分散処理されて処理液となる。分散する際には分散を安定化させるために解膠剤を用いることが好ましい。解膠剤とは帯電性粒子表面に電気二重層を形成し、電気二重層が静電的に反発して粒子の接近を防止し、分散を安定化させるものである。微粒子は中性から酸性にかけては正に帯電するため、陰イオン源である酢酸、硝酸、塩酸、蟻酸、乳酸、及び、これらのアルカリ金属塩、オキシ塩化ジルコニウム水和物等のジルコニウム化合物、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、タウリン等が解膠剤として用いられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0091】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液は次の方法によって製造することができる。微粒子と水と解膠剤を混合し、分散液を調合する。必要に応じて水溶性溶剤を添加し、解膠機によって解膠する。この際使用される解膠機としては、高速回転高せん断型攪拌解膠機、デゾルバー、コロイドミル、ホモジナイザー、超音波式解膠機などを挙げられ、より具体的には、T.K.オートホモミキサー、T.K.ホモミックラインフロー、ウルトラホモミキサー、NNKコロイドミルなどが挙げられる。解膠時の回転数は、解膠機の種類、構造によって変わるが、500〜10000rpmであることが好ましく、2000〜8000rpmであることがより好ましい。解膠時の温度は5〜100℃であることが好ましい。解膠時間は解膠機の種類、構造によって変わるが、0.01〜48時間であることが好ましい。
【0092】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液は、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリン型化合物等のカチオン性界面活性剤を含有することができる。具体的には、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、セチルピリジニウムクロライド、2−ヘプタデセニルヒドロキシエチルイミダゾリン等が挙げられる。
【0093】
カチオン性界面活性剤は、表面張力を下げて被記録材との濡れ性を高めて微粒子層を速やかに形成すると共に、アニオン性色材を凝集する作用があり、画質改善に効果がある。
【0094】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液の表面張力は、20〜60dyne/cmであることが好ましく、被記録材との濡れ性と液滴の粒子化の両立の観点からは30〜50dyne/cmであることがさらに好ましい。
【0095】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましく、吐出安定性の観点からは3.0〜10.0cPであることがさらに好ましい。
【0096】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液のpHは3〜11であることが好ましく、微粒子の分散安定性の観点からは3〜6、及び8〜11であることがさらに好ましい。
【0097】
<インク組成>
本発明の画像形成装置に用いられる記録液について説明する。
本発明の画像形成装置に用いられる記録液に用いる色剤としては染料、顔料、あるいは染料と顔料を混合して用いることができるが、微粒子がカチオン性である場合にはアニオン性の色材を用いるほうが電気的に中和され凝集するので画質向上の点で好ましい。
【0098】
また、染料よりも顔料を用いるほうが好ましい。つまり、溶解状態の染料よりも分散状態の顔料のほうが電気的に中和された際に、より効率的に凝集が生じるため、画質向上に効果が高い。
【0099】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液に用いる顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラツク、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉等が挙げられる。
【0100】
アニオン性基を有する顔料分散剤の例として、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸、アルギン酸ナトリウム、ペクチン酸、ヒアルロン酸などを挙げることができる。これらのアニオン系分散剤は、酸の形でも用いることができるが、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩を用いることもできる。
【0101】
表面にアニオン性基を有する顔料の例としては、カルボキシル基やスルホン酸基を有するカーボン・ブラックがその代表例として挙げられる。その他、フタロシアニン系顔料や、アントラキノン系顔料を酸化処理したり、発煙硫酸で処理したりして、顔料粒子の一部にカルボキシル基やスルホン酸基を導入したものもその例として挙げられる。
【0102】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液に含有される色材に用いられる水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で耐水、耐光性が優れたものが用いられる。これら染料は複数種類を混合して用いても良いし、あるいは必要に応じて顔料等の他の色材と混合して用いても良い。これら着色剤は、本発明の効果が阻害されない範囲で添加される。
【0103】
(a)酸性染料及び食用染料としては、
C.I.アシッド・イエロー 17,23,42,44,79,142
C.I.アシッド・レッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289
C.I.アシッド・ブルー 9,29,45,92,249
C.I.アシッド・ブラック 1,2,7,24,26,94
C.I.フード・イエロー 3,4
C.I.フード・レッド 7,9,14
C.I.フード・ブラック 1,2等が使用できる。
【0104】
(b)直接染料としては、
C.I.ダイレクト・イエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144
C.I.ダイレクト・レッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227
C.I.ダイレクト・オレンジ 26,29,62,102
C.I.ダイレクト・ブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202
C.I.ダイレクト・ブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171等が使用できる。
【0105】
(c)塩基性染料としては、
C.I.ベーシック・イエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91
C.I.ベーシック・レッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112
C.I.ベーシック・ブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155
C.I.ベーシック・ブラック 2,8等が使用できる。
【0106】
(d)反応性染料としては、
C.I.リアクティブ・ブラック 3,4,7,11,12,17
C.I.リアクティブ・イエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67
C.I.リアクティブ・レッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97
C.I.リアクティブ・ブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95等が使用できる。
【0107】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液を所望の物性にするため、あるいは乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止するためなどの目的で、色材の他に、水溶性有機溶媒を使用することが好ましい。水溶性有機溶媒には湿潤剤、浸透剤が含まれる。湿潤剤は乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止することを目的に添加される。湿潤剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエ−テル額;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノ−ル等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。
【0108】
また、浸透剤は記録液と被記録材の濡れ性を向上させ、浸透速度を調整する目的で添加される。浸透剤としては、下記式(V)〜(VIII)で表わされるものが好ましい。すなわち、下記式(V)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、式(VI)のアセチレングリコール系界面活性剤、下記式(VII)のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤ならびに式(VIII)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界面活性剤は、液の表面張力を低下させることができるので、濡れ性を向上させ、浸透速度を高めることができる。
【0109】
【化5】
【0110】
【化6】
【0111】
【化7】
【0112】
【化8】
【0113】
前記式(V)〜(VIII)の化合物以外では、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類を用いることができるが、特にジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0114】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液の表面張力は、20〜60dyne/cmであることが好ましく、被記録材との濡れ性と液滴の粒子化の両立の観点からは30〜50dyne/cmであることがさらに好ましい。
【0115】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましく、吐出安定性の観点からは3.0〜10.0cPであることがさらに好ましい。
【0116】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液のpHは3〜11であることが好ましく、接液する金属部材の腐食防止の観点からは6〜10であることがさらに好ましい。
【0117】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液、及び記録液は防腐防黴剤を含有することができる。防腐防黴剤を含有することによって、菌の繁殖を押さえることができ、保存安定性、画質安定性を高めることができる。防腐防黴剤としてはベンゾトリアゾール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、イソチアゾリン系化合物、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。
【0118】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液、及び記録液は防錆剤を含有することができる。防錆剤を含有することによって、ヘッド等の接液する金属面に被膜を形成し、腐食を防ぐことができる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が使用できる。
【0119】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液、及び記録液は酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤を含有することによって、腐食の原因となるラジカル種が生じた場合にも酸化防止剤がラジカル種を消滅させることで腐食を防止することができる。酸化防止剤としては、フェノール系化合物類、アミン系化合物類が代表的であるがフェノール系化合物類としては、ハイドロキノン、ガレート等の化合物、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のヒンダードフェノール系化合物が挙げられ、アミン系化合物類としては、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−テトラメチル−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
【0120】
また、後者としては、硫黄系化合物類、リン系化合物類が代表的であるが、硫黄系化合物としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられ、リン系化合物類としては、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールフォスファイト等が挙げられる。
【0121】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液、及び記録液はpH調整剤を含有することができる。pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、ジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン類、硼酸、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等を用いることができる。
【0122】
処理液と記録液の製造方法の具体例を以下に挙げる。
(1)処理液の製造方法
以下に示す各々の処理液成分を混合、攪拌後、テフロン(R)フィルター(0.8μm)にてろ過して、それぞれの処理液を製造した。また、微粒子分散液は市販のものを入手して用いることができるが、必要に応じて水分を減圧除去して濃度調整を行なった。なお、カチオン性コロイダルシリカ、アルミナなどの微粒子重量は微粒子固形分を示す(市販の分散液の重量ではない)。
【0123】
<処理液1>
ポリアリルアミン(数平均分子量5000) 5部
グリセリン 25部
カチオン性界面活性剤 2部
(三洋化成社製、カチオンG50)
防腐防黴剤 0.4部
{アビシア社製、PROXEL LV(s)}
イオン交換水 残量
【0124】
<処理液2>
アルミナ 15部
(日産化学社製、アルミナゾル520)
グリセリン 25部
カチオン性界面活性剤 2部
(三洋化成社製、カチオンG50)
防腐防黴剤 0.4部
{アビシア社製、PROXEL LV(s)}
イオン交換水 残量
【0125】
<処理液3>
カチオン性コロイダルシリカ 15部
(日産化学社製、スノーテックスAK)
グリセリン 25部
カチオン性界面活性剤 2部
(三洋化成社製、カチオンG50)
防腐防黴剤 0.4部
{アビシア社製、PROXEL LV(s)}
イオン交換水 残量
【0126】
(2)記録液の製造方法
以下に示す各々の記録液成分を混合、攪拌後、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂フィルター(0.8μm)にてろ過して、それぞれの記録液を製造した。
【0127】
<記録液1>
顔料(キャボット社製、キャボジェット300) 10部
2−ピロリドン 22.5部
グリセリン 7.5部
界面活性剤(I)、R=C9H19、k=12 1部
2−ピロリドン 2部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2部
チオ硫酸ナトリウム 0.2部
防腐防黴剤{アビシア社製、PROXEL LV(s)} 0.4部
イオン交換水 残量
【0128】
<記録液2>
C.I.アシッド・イエロー 17 10部
2−ピロリドン 22.5部
グリセリン 7.5部
界面活性剤(I)、R=C9H19、k=12 1部
2−ピロリドン 2部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2部
チオ硫酸ナトリウム 0.2部
防腐防黴剤{アビシア社製、PROXEL LV(s)} 0.4部
イオン交換水
【0129】
<記録液3>
C.I.アシッド・ブルー 9 10部
2−ピロリドン 22.5部
グリセリン 7.5部
界面活性剤(I)、R=C9H19、k=12 1部
2−ピロリドン 2部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2部
チオ硫酸ナトリウム 0.2部
防腐防黴剤{アビシア社製、PROXEL LV(s)} 0.4部
イオン交換水
【0130】
<記録液4>
C.I.アシッド・レッド 1 10部
2−ピロリドン 22.5部
グリセリン 7.5部
界面活性剤(I)、R=C9H19、k=12 1部
2−ピロリドン 2部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2部
チオ硫酸ナトリウム 0.2部
防腐防黴剤{アビシア社製、PROXEL LV(s)} 0.4部
イオン交換水
本発明の画像形成装置に、上記処理液1〜3、上記記録液1〜4を充填し、印字試験を行った。
【0131】
<第4の実施例>
図17に記載する画像形成装置に上記処理液1と、上記記録液1〜4を充填し、普通紙(リコー社製、タイプ6200)に印字試験を行った。作製した印刷物の文字部分の滲みを観察し、以下の基準で主観評価した。その結果、滲み出しがやや多く、上記評価基準におけるランク2の状態であった。
ランク5…滲み出しが全くない
ランク4…滲み出しがわずかにある
ランク3…滲み出しがあるが、実用上問題なし
ランク2…滲み出しがやや多い
ランク1…滲み出しが多い
【0132】
<第5の実施例>
第4の実施例において、上記処理液1を用いた代わりに上記処理液2を用いた以外は第4の実施例と同様に印字試験を行った。その結果、滲み出しがわずかにあり、上記評価基準におけるランク4の状態であった。
【0133】
<第6の実施例>
第4の実施例において、上記処理液1を用いた代わりに上記処理液3を用いた以外は第4の実施例と同様に印字試験を行った。その結果、滲み出しが全くなく、上記評価基準におけるランク5の状態であった。
【0134】
<第7の実施例>
各処理液と各記録液の印字前のpHを測定したところ、以下のようなpHを示した。
【0135】
図17に記載される画像記録装置に上記処理液3と上記記録液1〜4を充填し、回復操作を繰り返し、廃液の混合物を廃液収容体に回収した。廃液のpHを測定したところpH=7.05であり、おおよそ中性であることを確認した。さらに廃液収容体を大気開放した状態で常温にて3か月放置した。その後の廃液の混合物のpHを測定したところ、pH=6.90であり、おおよそ中性の状態が保たれていることを確認した。
【0136】
<第1の比較例>
図17に記載する画像形成装置に処理液は充填せずに、上記記録液1〜4だけを充填し、普通紙(リコー社製、タイプ6200)に印字試験を行った。作製した印刷物の文字部分の滲みを観察し、以下の基準で主観評価した。その結果、滲み出しが多く、上記評価基準におけるランク1の状態であった。
【0137】
<第2の比較例>
図21は本発明の画像記録装置に対する第2の比較例を説明するための図である。本比較例では、廃液収容体の筐体1が処理液用廃液収容部1aと記録液用廃液収容部1bとに分離された構成を有している。
図21に記載される画像記録装置に上記処理液3と上記記録液1〜4を充填し、回復操作を繰り返し、廃液を廃液収容体に回収した。廃液のpHを測定したところ処理液用廃液収容部1a内の廃液はpH=4.26であり、記録液用廃液収容部1b内の廃液はpH=10.31であることを確認した。さらに廃液収容体を大気開放した状態で常温にて3か月放置した。その後の廃液のpHを測定したところ、処理液用廃液収容部1a内の廃液はpH=3.10であり、記録液用廃液収容部1b内の廃液はpH=11.65であり、双方とも回収直後よりも強い酸性、あるいはアルカリ性を示すことを確認した。
【0138】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、色材を含有する記録液と、色材と反応して凝集物または不溶物を生成する処理液を併用することで、滲み低減に代表される画質向上が達成される。また、同時に、廃液収容体の内部で酸性液とアルカリ性液とを混合して中和・凝集させることにより、安全性の高い混合廃液が生成される。
【0139】
また、廃液収容体の内部で酸性液とアルカリ性液とが混合して中和した後に、吸収性部材に吸収させることにより、安全性の高い混合廃液が生成されることに加えて、混合した廃液の一部が廃液吸収体に吸収されるため、廃液の混合物の粘度がさらに高まり流動性が低くなる。それにより、廃液の液こぼれをより確実に防止することができる。
【0140】
また、廃液収容体に廃液が収容される際に、廃記録液の着弾点と廃処理液の着弾点とを同じ位置、あるいは互いに混合可能な位置とすることで、より確実に廃液を混合して、中和反応を進行させる。それにより、中和反応に関与しない廃液を少なくすることができ、安全性が高まる。
【0141】
また、第1の吐出部と第2の吐出部から別々の回復手段で処理液または記録液を排出させることで、混合による吐出部の目詰まりを防止できる。ここで、吐出部の内部から正圧を与えることにより、吐出部に付着した凝集物を取り除き、吐出不良を回復させることができる。また、加圧手段を用いることにより、効果的に吐出部内側に正圧を生じさせることができる。さらに、廃処理液または廃記録液が飛翔して廃液吸収体に吸収される構成により、簡易な構成を採ることができ、コストを低減することができる。ここで廃液移送手段としてチューブを介することで、確実に廃液を吸収させることができ、信頼性を高めることができる。
【0142】
また、吐出不良を回復させる回復手段が、吐出部の外側から負圧を与えることにより、吐出部に付着した凝集物を取り除き吐出不良を回復させることができる。ここで、回復手段として、キャップ手段とそれに連通する吸引手段とを用いることにより、効果的に吐出部外側に負圧を生じさせることができる。また廃液を移送する廃液移送手段としてチューブを介することで、確実に廃液を吸収させることができ、信頼性を高めることができる。
【0143】
また、廃液吸収体を多孔質吸収体または繊維状吸収体とすることで、確実に吸収すると共に、確実に廃液を廃液吸収体内に保持することができる。さらに色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を微粒子とすることにより、処理液と記録液が混合した際の凝集物、または不溶物の生成が促進される。その結果、滲み出しが少ない品質の高い印刷物が得られる。
【0144】
上記微粒子としてカチオン性微粒子を用いることで、凝集物、または不溶物の生成がさらに促進され、さらに画像品質の高い印刷物が得られる。また上記カチオン性微粒子としてカチオン性コロイダルシリカを用いることで、凝集物、または不溶物の生成がさらに促進され、さらに画像品質の高い印刷物が得られる。
【0145】
上記色材としてアニオン性基を有する染料または顔料を用いること、あるいはアニオン性基を有する化合物と顔料を用いることで、画像品質の高い印刷物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の構成例を説明する図である。
【図2】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の他の構成例を説明する図である。
【図3】発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図4】発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図5】図1の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾の様子を説明するための概略図である。
【図6】図2の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾の様子を説明するための概略図である。
【図7】図3の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾の様子を説明するための概略図である。
【図8】図4の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾の様子を説明するための概略図である。
【図9】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図10】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図11】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図12】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図13】図9の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。
【図14】図10の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。
【図15】図11の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。
【図16】図12の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。
【図17】本発明による画像形成装置の第1の実施例の概略正面図である。
【図18】本発明による画像形成装置の第1の実施例の概略側面図である。
【図19】本発明による画像形成装置の第2の実施例の概略正面図である。
【図20】本発明による画像形成装置の第6の実施例を示す概略正面図である。
【図21】本発明の画像記録装置に対する第2の比較例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…廃液収容体の筐体、1a…処理液用廃液収容部、1b…記録液用廃液収容部、2…吸収性部材、3…吸収性粒子、4…連絡管、5…通気口、11…ポンプ、12…連結管、13…処理液カートリッジ、14…記録液カートリッジ、16…処理液用吐出部、17…記録液用吐出部、15…キャリッジ、18…ガイドシャフト、19…駆動ベルト、20…駆動モータ、21…被記録体、22…被記録体搬送ベルト、23…キャップユニット、24…搬送ローラ対、25,25a,25b…連絡管。
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置、より詳細には、記録液と共に記録液中の色材と凝集物を形成する成分を含有する処理液を併用してインクジェット方式で画像を形成する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録液を液滴として画像記録を行うインクジェット記録方式は、その印字機構が簡単であるためコストが安く、コンパクトであり、しかも騒音が少ない点で優れている。しかし、記録媒体との組み合わせによっては文字滲み(以下、フェザリングという)に代表される画像欠陥が発生しやすく、特に普通紙において画像品質が大きく低下するという問題を有する。
【0003】
上記のような問題に対して、記録液と共に記録液中の色材と凝集物を形成する成分を含有する処理液を併用する画像形成装置が提案されている。例えば、特許第3177128号公報には、インク及びプリント性向上液を吐出して被プリント材にプリントを行うインクジェットプリント装置において、被プリント材上での混合を除き、インクとプリント性向上液の混合を実質的に防止する作用を奏する混合防止手段を備えるインクジェットプリント装置が開示されている。
【0004】
また、特許第3205688号公報には、インクを固着させる作用のある処理液を用いて第1のインクジェットヘッドで被プリント媒体に前処理を行い、インクを用いて第2のインクジェットヘッドで被プリント媒体にプリントを行うインクジェット装置において、廃液吸収体の一方の端部近傍に第1の廃液移送手段の排出端が配置され、廃液吸収体の他方の端部近傍に第2の廃液移送手段の排出端が配置されたインクジェット装置が開示されている。
【0005】
また、特開平11−320917号公報には、装着脱自在のタンク手段からインク並びに反応液が別々に供給され、インク吐出ヘッドと反応液吐出ヘッドより廃インク並びに廃反応液を別々に吐出しうる記録ヘッドと、記録ヘッドから吐出された廃インク並びに廃反応液を別々に回収しうる廃インク回収部並びに廃反応液回収部とを具備したインクジェット記録装置が開示されている。
【0006】
一方、近年では地球環境保護の観点から資源の再利用が重要な課題となってきている。画像記録装置においても、再利用できる部品、加工し直すことで再資源化できる部品を分別回収し、これらの資源を新たな製品を製造する際に使用する傾向が強まっている。しかし、装置を分解して部品を回収する際に、廃インクを含んだ廃液吸収体の取り扱いが問題となる。通常、インクを廃液吸収体に吸収させる際に、より多くのインクを吸収させるために、吸収したインク中の水分を通気口を通して大気中に蒸発させる。このようにして廃液吸収体に吸収されるインク量を多くすることができる。
【0007】
しかし、水分が蒸発することで溶解物が濃縮され、印字されるときに弱アルカリ性あるいは弱酸性であったインクや、インクとともに廃液吸収体に吸収された処理液は、廃液吸収体内で徐々に濃度が高まり、長時間経過後には強いアルカリ性あるいは強い酸性を示すようになる。インクまたは処理液が初めから強いアルカリ性あるいは強い酸性である場合、廃液吸収体内では、さらに強いアルカリ性あるいは強い酸性の廃液が生成される。このような廃インクまたは廃処理液を多量に含んだ廃液吸収体を作業者が誤って素手で触れたり、飛び散った廃液が肌に触れたり、目に入ると炎症が生じ、健康に悪影響を及ぼし、作業環境の点で問題となっている。
【0008】
しかしながら、上記の従来技術に記載されている記録液中の色材と凝集物を形成する成分を含有する処理液を併用する画像形成装置には、廃液吸収体内のインクの安全性に関しては何ら考慮されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、普通紙に印字しても滲みのない鮮明な画像を得ること、及び画像形成装置を分解して分別回収する際に、回収する廃液吸収体を安全に扱い得ることを同時に満足する画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を鑑み、鋭意検討した結果、効果的に課題を解決する方法を見いだすに至った。以下、本発明の課題を解決するための手段について説明する。
請求項1の発明は、色材を含有する記録液を吐出するための第1の吐出部と、該色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を含有する処理液を吐出するための第2の吐出部とを有し、各前記吐出部より前記記録液または前記処理液を吐出して被記録材に画像を形成する画像形成装置において、該画像形成装置は、前記第1の吐出部から排出される前記記録液の廃液と前記第2の吐出部から排出される前記処理液の廃液を収容する廃液収容体を具備し、該廃液収容体は、前記記録液の廃液と前記処理液の廃液のうちのいずれかが酸性で、他方がアルカリ性である場合に、該記録液の廃液と該処理液の廃液とを廃液収容体内で混合することで中和反応を生じさせることを特徴としたものである。
【0011】
請求項2の発明は、色材を含有する記録液を吐出するための第1の吐出部と、該色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を含有する処理液を吐出するための第2の吐出部とを有し、前記各吐出部より前記記録液または前記処理液を吐出して被記録材に画像を形成する画像形成装置において、該画像形成装置は、前記第1の吐出部から排出される前記記録液の廃液と前記第2の吐出部から排出される前記処理液の廃液とを収容する廃液収容体を具備し、該廃液収容体は、廃液吸収性部材を有し、前記記録液の廃液と前記処理液の廃液のうちのいずれかが酸性で、他方がアルカリ性である場合に、前記記録液の廃液と前記処理液の廃液の少なくとも一部が、前記廃液収容体内で中和反応した後に前記廃液吸収性部材に吸収されることを特徴としたものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記記録液の廃液及び前記処理液の廃液が前記廃液収容体に収容される際に、前記記録液の廃液の着弾点と前記処理液の廃液の着弾点とが同じ位置、あるいは各前記廃液が互いに混合可能な位置であることを特徴としたものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1の発明において、前記記録液の廃液は、第1の吐出部の吐出不良を回復させるために設けられた第1の回復手段によって該第1の吐出部から排出され、前記処理液の廃液は、前記第2の吐出部の吐出不良を回復させるために設けられた第2の回復手段によって該第2の吐出部から排出されることを特徴としたものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、各前記回復手段は、各前記吐出部内側から正圧を与えて前記記録液の廃液または前記処理液の廃液を排出させることを特徴としたものである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、各前記回復手段は、各前記吐出部に連通する加圧手段によって該吐出部内側に正圧を与えることを特徴としたものである。
【0016】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、各前記回復手段により各前記吐出部から排出された前記記録液の廃液または廃処理液が、飛翔して廃液吸収体に到達することを特徴としたものである。
【0017】
請求項8の発明は、請求項5の発明において、各前記回復手段により各前記吐出部から排出された前記記録液の廃液または前記処理液の廃液は、廃液移送手段を介して前記廃液吸収体に到達することを特徴としたものである。
【0018】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記廃液移送手段は、チューブであることを特徴としたものである。
【0019】
請求項10の発明は、請求項4の発明において、各前記回復手段は、各前記吐出部の外側から負圧を与えて前記記録液の廃液または前記処理液の廃液を排出させることを特徴としたものである。
【0020】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、各前記回復手段は、キャップ手段と、該キャップ手段に連通する吸引手段とによって各前記吐出部に負圧を与えることを特徴としたものである。
【0021】
請求項12の発明は、請求項10の発明において、各前記回復手段により各前記吐出部から排出された前記記録液の廃液または前記廃処理液は、廃液移送手段を介して前記廃液吸収体に到達することを特徴としたものである。
【0022】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記廃液移送手段は、チューブであることを特徴としたものである。
【0023】
請求項14の発明は、請求項2の発明において、前記廃液吸収性部材は、多孔質吸収体または繊維状吸収体であることを特徴としたものである。
【0024】
請求項15の発明は、請求項1ないし3のいずれか1の発明において、前記色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分は、微粒子であることを特徴としたものである。
【0025】
請求項16の発明は、請求項15の発明において、前記微粒子は、カチオン性微粒子であることを特徴としたものである。
【0026】
請求項17の発明は、請求項16の発明において、前記カチオン性微粒子は、カチオン性コロイダルシリカであることを特徴としたものである。
【0027】
請求項18の発明は、請求項1ないし3のいずれか1の発明において、前記色材は、アニオン性基を有する染料または顔料であることを特徴としたものである。
【0028】
請求項19の発明は、請求項1ないし3のいずれか1の発明において、前記色材は、アニオン性基を有する化合物と顔料であることを特徴としたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の画像形成装置は、普通紙に印字しても滲みのない鮮明な画像を得ることができ、かつ画像形成装置を分解して分別回収する際に、回収する廃液吸収体を安全に扱うことができる。本発明の画像形成装置では、色材を含有する記録液と、該色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を含有する処理液とを被記録材に付与することで普通紙に対しても滲みのない鮮明な画像を得ることができる。
【0030】
処理液中に含有される色材と反応して凝集物または不溶物を生成する反応成分が、色材を含有する記録液と被記録材上で接触すると、反応成分と色材とが凝集物を形成するか、あるいは不溶物を生成する。凝集物あるいは不溶物が形成されると、記録液と処理液が被記録材に浸透する際に、凝集物あるいは不溶物が被記録媒体の多孔質部分にトラップされ、色材が移動しづらくなり、フェザリングやカラーブリードが低減される。
【0031】
次に、本発明の画像形成装置における廃液吸収体の安全性について、構成別に説明する。本発明の画像形成装置に用いられる廃液収容体の第1の例は、吸収性部材を有さない。
【0032】
第1の吐出部から排出される記録液の廃液(廃記録液)と第2の吐出部から排出される処理液の廃液(廃処理液)は、廃液収容体に収容されると直ちに混合され、中和反応が起こり、混合液は中性付近に変化する。そのため、廃液を長時間放置することにより水分が蒸発して濃縮されても、廃液は中和された状態であるため、酸性やアルカリ性に大きくに振れることがない。
【0033】
したがって、廃液収容体は安全性が高い状態に保たれる。また、中和反応と同時に、凝集物または不溶物の生成も起こるため、廃記録液と廃処理液との混合液は急激に増粘する。吸収性部材に廃液を吸収させなくても、混合液の流動性は大幅に低減するため、装置を搬送する際に傾けたりしても廃液がこぼれることがない。
【0034】
本発明の画像形成装置に用いられる廃液収容体の第2の例は、廃液吸収性部材を有し、中和反応の後に廃液が廃液吸収性部材に吸収される。第1の吐出部から排出される廃記録液と、第2の吐出部から排出される廃処理液は、混合されて中和反応した後に廃液吸収性部材に吸収されるため、混合液は中性付近に変化した後に吸収されることになる。そのため、廃液を長時間放置することにより水分が蒸発して濃縮されても、廃液は中和された状態であるため、大きく酸性やアルカリ性に振れることがない。したがって、廃液収容体は安全性が高い状態で保たれる。また、中和反応と同時に、凝集物または不溶物の生成も起こるため、混合液は急激に増粘する。一部の混合液のビヒクルは吸収性部材に吸収されるため、混合液の粘度はさらに上昇する。その結果、第1の例よりも混合液の流動性がさらに低減するため、装置を搬送する際の廃液こぼれを一層確実に防止することができる。
【0035】
一方で、上述したごとくの従来技術の構成では、以下のような不具合が生じてしまう。上述した特許第3177128号公報、及び特許第3205688号公報では、廃液吸収体の一方の端部近傍に第1の廃液を吸収させ、他方の端部近傍に第2の廃液を吸収させて、廃液吸収体の中央付近で2液を混合させる方法が開示されている。しかし、2液が混合する境界付近では中性になったとしても、混合する境界以外では、酸性あるいはアルカリ性のいずれかに成らざるを得ず、長時間放置後には廃液中の水分が蒸発して強酸の部分と強アルカリの部分が形成されてしまう。
【0036】
また、上記特開平11−320917号公報では、廃記録液並びに廃反応液を別々に回収しうる廃記録液回収部並びに廃反応液回収部とを具備したインクジェット記録装置が開示されている。しかし、廃記録液と廃処理液が混合できないため、廃液同士を混合して中和反応させることができない。そのため、酸性とアルカリ性の廃液が吸収された2つの廃液吸収体が形成され、長時間放置後には廃液中の水分が蒸発して強酸と強アルカリの廃液吸収体が形成されてしまう。いずれにしても、廃液吸収体の安全性に問題が生じる。
【0037】
本発明の画像形成装置は、廃液収容体内での廃記録液の着弾点と廃処理液の着弾点とが同じ位置、あるいは互いに混合可能な位置とすることができる。廃記録液と廃処理液を噴射し、あるいは連結管を介して搬送することにより廃液吸収体に収容させるが、廃液収容体内面、あるいは廃液吸収性部材に着弾する際の2液の位置が、同一か、あるいは互いに混合可能な位置とすることで、効率的に廃記録液と廃処理液とを混合させることができる。
【0038】
廃記録液と廃処理液を互いに混合できない位置に着弾させると、最終的に2液が流動して一部で中和反応が生じたとしても、混合に関与しない廃液が残ってしまい、中和反応が十分行われない恐れがある。廃記録液の着弾点と廃処理液の着弾点が同じ位置、あるいは互いに混合可能な位置とすることで、これら廃液を即座に混合することができ、中和反応しない廃液を少なくすることができる。
【0039】
以下に本発明の画像形成装置に係わる実施の形態を添付された図面を参照しながら具体的に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同様の機能を有する部分には、同じ符号を付けその繰り返しの説明は省略する。
【0040】
図1ないし図4は、本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の構成例をそれぞれ説明する図で、廃液収容体の断面概略図を各図(A)に、平面概略図を各図(B)に示す。まず図1において、廃液収容体は筐体1で外周面を構成し、その内部は空洞となっている。天井(上面)には開口Oが設けられており、この開口Oから廃液を取り込む。
【0041】
図2の例では、廃液収容体は筐体1で外周面が構成され、筐体1の底面に吸収性部材(廃液吸収性部材)2が取り付けられており、廃液のビヒクルを吸収して混合液の粘度をさらに高められる点で、図1の例よりも優れている。筐体1の天井(上面)には開口Oが設けられており、ここから廃液を取り込む。
【0042】
図3の例では、廃液収容体は筐体1で外周面が構成され、筐体1の天井(上面)を除く壁部の内面に、吸収性部材2が取り付けられており、廃液のビヒクルを底面のみならず側面からも吸収することができるため、混合液の粘度をさらに高められる点で、図2の例よりも優れている。天井には開口Oが設けられており、この開口Oから廃液を取り込む。
【0043】
図4の例では、廃液収容体は筐体1で外周面が構成され、その筐体1の内部には吸収性粒子3が入れられている。吸収性粒子3を有する本構成は、凝集物の粒径が大きい場合、及び廃液の混合物の粘度が大きい場合に有効である。すなわち、凝集物の粒径が大きく、多孔質吸収体または繊維状吸収体では目詰まりが生じて吸収しない場合や、廃液の混合物の粘度が大きく流動性が低い場合にも、吸収性粒子3は、その粒子同士の間隙が、多孔質吸収体や繊維状吸収体の孔よりも大きいため、大きな凝集物や粘度の高い混合物でも吸収、保持することができる。本構成では、筐体1の天井(上面)には開口Oが設けられており、この開口Oから廃液を取り込む。
【0044】
図5ないし図8は、それぞれ図1ないし図4の各構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。図5の例では、図示しない第1の吐出部から排出された廃記録液と、同じく図示しない第2の吐出部から排出された廃処理液は、廃液収容体に向かって飛翔し、もしくは図示しない廃液移送手段によって移送されて、廃液収容体の筐体1の開口Oからその内部に取り込まれる。図6ないし図8の例では、筐体1に取り込まれた各廃液は、混合して中和反応した後、吸収性部材2または吸収性粒子3に吸収される。各例において、廃記録液と廃処理液の着弾点R1,R2は、これら廃記録液と廃処理液が互いに混合可能なように設定される。
【0045】
図9ないし図12は、本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の他の構成例をそれぞれ説明する図で、廃液収容体の断面概略図を各図(A)に、平面概略図を各図(B)に示す。上述の廃液収容体において、各廃液の取り込み口である開口Oは、装置搬送時の廃液の液こぼれを回避する観点から必要最低限の大きさにすることが好ましい。より好ましくは、図9ないし図12に示すように、連結管4を用いて廃液を廃液収容体の筐体1に導き、連結管4を通す以外の部分は筐体1の取り込み口を密閉し、外部との通気を可能とする通気口5を設ける。
【0046】
廃液収容体を有効に活用するために、収容された廃液中の水分を蒸発させることが好ましい。図1ないし図8の例では、水分は廃液取り込み口から蒸発させることができ、図9ないし図12の例のように通気口5から蒸発させても良い。通気口5は、空気は通すが粘調質の液体は容易には通さない通気性膜を取り付けられていることが好ましい。通気性膜としては、メッシュ状膜、スポンジ状膜、繊維状膜、不織り布状膜等が挙げられる。
【0047】
図13ないし図16は、それぞれ図9ないし図12の各構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。図13の例では、図示しない第1の吐出部から排出された廃記録液と、同じく図示しない第2の吐出部から排出された廃処理液は、連結管4によって移送されて、廃液収容体の筐体1の内部に取り込まれる。図14ないし図16の例では、筐体1に取り込まれた各廃液は、混合して中和反応した後、吸収性部材2または吸収性粒子3に吸収される。各例において、廃記録液と廃処理液の着弾点R1,R2は、これら廃記録液と廃処理液が互いに混合可能なように設定される。
本発明による画像形成装置の実施例及び比較例について、図17ないし図21を用いて詳細に説明する。
【0048】
<第1の実施例>
図17は、本発明による画像形成装置の第1の実施例の概略正面図で、図18は、その概略側面図である。図17及び図18において、11はポンプ、12は連結管、13は処理液カートリッジ、14は記録液カートリッジ、15はキャリッジ、16は処理液用吐出部、17は記録液用吐出部、18はガイドシャフト、19は駆動ベルト、20は駆動モータ、21は被記録体、22は被記録体搬送ベルト、23はキャップユニット、24は搬送ローラ対である。
【0049】
本実施形態の画像形成装置は、処理液カートリッジ13と記録液カートリッジ14の数に応じた複数のポンプ11が備えられ、各ポンプ11は、連結管12を介して各処理液カートリッジ13または記録液カートリッジ14に連結し、これらカートリッジに対して正圧を付与する。処理液カートリッジ13と記録液カートリッジ14はキャリッジ15に位置決めされており、キャリッジ15の下面には処理液用吐出部16と記録液用吐出部17が搭載されている。各吐出部16,17には図示しないコネクタが接続されており、吐出部を駆動するための信号が電気的に送信される。
【0050】
本実施例では、キャリッジ15に搭載される各カートリッジは、左から処理液、ブラックの記録液、イエローの記録液、マゼンタの記録液、シアンの記録計、及び処理液を順に収納した処理液カートリッジ13または記録液カートリッジ14である。前記キャリッジ15は、その主走査方向に延在しているガイドシャフト18に摺動自在に支持されており、駆動ベルト19はキャリッジ15を往復動させる駆動モータ20の駆動力を伝達するために設けられている。
【0051】
また図18において、各吐出部16,17によるプリント位置の前後には、紙などの被記録体21の挟持搬送を行うための搬送ローラ対24が配置されている。さらに、被記録体21は、その被プリント面を平坦に規制する被記録体搬送ベルト22に吸着された状態で搬送される。このとき、キャリッジ15に搭載された処理液用吐出部16、及び記録液用吐出部17は、被記録体搬送ベルト22の案内面に吸着された被記録体21と平行に対向するようになっている。
【0052】
本実施例の画像形成装置においては、ポンプ11を加圧することで処理液用吐出部16、あるいは記録液用吐出部17の内側に正圧を付与し、それぞれの吐出部16,17から処理液または記録液を排出することで吐出不良を回復させる。複数のポンプ11のそれぞれは独立しているため、吐出不良が生じた吐出部だけを効率よく回復させることができる。排出された処理液、及び記録液の廃液は、廃液収容体の筐体1の開口Oからその内部に収容される。
【0053】
図17に示すキャップユニット23には、複数の処理液用吐出部16及び記録液用吐出部17のそれぞれに対応するキャップが設けられており、キャップユニット23は上下方向に昇降可能である。画像形成を行わないときには、キャップユニット23を各吐出部16,17に当接させてこれらをキャッピングし、各吐出部16,17の吐出口内において、処理液及び記録液の揮発成分が蒸発して増粘、固着し、吐出不良になるのを防ぐ。
【0054】
<第2の実施例>
図19は、本発明による画像形成装置の第2の実施例の概略正面図である。正圧を付与するポンプ11が連結管12によって処理液カートリッジ13と記録液カートリッジ14に連結される。処理液カートリッジ13と記録液カートリッジ14はキャリッジ15に位置決めされており、キャリッジ15の下面には処理液用吐出部16と記録液用吐出部17が搭載されている。各吐出部16,17には図示しないコネクタが接続されており、駆動するための信号が電気的に送信される。
【0055】
本実施例では、キャリッジ15に搭載される各カートリッジは、左から処理液、ブラックの記録液、イエローの記録液、マゼンタの記録液、シアンの記録計、及び処理液を順に収納した処理液カートリッジ13または記録液カートリッジ14である。キャリッジ15は、その主走査方向に延在しているガイドシャフト18に摺動自在に支持されており、駆動ベルト19はキャリッジ15を往復動させる駆動モータ20の駆動力を伝達するために設けられている。
【0056】
本実施例の画像形成装置においては、ポンプ11を加圧することで処理液用吐出部16、あるいは記録液用吐出部17の内側に正圧を付与し、それぞれの吐出部16,17から処理液または記録液を排出することで吐出不良を回復する。各々のポンプ11は独立しているため、吐出不良が生じた吐出部だけを効率よく回復させることができる。
【0057】
キャップユニット23には、複数の処理液用吐出部16、及び記録液用吐出部17にそれぞれ対応してキャップが設けられており、キャップユニット23は上下方向に昇降可能である。キャップユニット23には連結管25が処理液用と記録液用で別々に設けられており、連結管25の端部は廃液収容体の筐体1の取り込み口(開口)Oに配置されている。
【0058】
画像形成を行わないときには、キャップユニット23を各吐出部16,17に当接させてこれをキャッピングし、各吐出部16,17の吐出口内の処理液、及び記録液の揮発成分が蒸発して増粘、固着して吐出不良になるのを防ぐ。
【0059】
<第3の実施例>
図20は、本発明による画像形成装置の第6の実施例を示す概略正面図である。本実施例では、処理液カートリッジ13と記録液カートリッジ14はキャリッジ15に位置決めされており、キャリッジ15の下面には処理液用吐出部16と記録液用吐出部17が搭載されている。各吐出部16,17には図示しないコネクタが接続されており、駆動するための信号が電気的に送信される。
【0060】
本実施例では、キャリッジ15に搭載される各カートリッジは、左から処理液、ブラックの記録液、イエローの記録液、マゼンタの記録液、シアンの記録計、及び処理液を順に収納した処理液カートリッジ13または記録液カートリッジ14である。キャリッジ15は、その主走査方向に延在しているガイドシャフト18に摺動自在に支持されており、駆動ベルト19はキャリッジ15を往復動させる駆動モータ20の駆動力を伝達するために設けられている。
【0061】
キャップユニット23には、複数の処理液用吐出部16、及び記録液用吐出部17にそれぞれ対応してキャップが設けられており、キャップユニット23は上下方向に昇降可能である。キャップユニット23には連結管25aが処理液用と記録液用で別々に設けられており、連結管25aはポンプ11に連結されている。ポンプ11が動作して吸引することにより、各吐出部16,17の外側に負圧を発生させ、処理液及び記録液を吸引する。ポンプ11にはそれぞれ連結管25bが接続されており、連結管25bの端部は廃液収容体の筐体1の取り込み口(開口)Oに配置されている。
【0062】
本実施例の画像形成装置においては、ポンプ11で吸引することで処理液用吐出部16、あるいは記録液用吐出部17の外側に負圧を付与し、それぞれの吐出部16,17から処理液または記録液を排出することで吐出不良を回復する。各々のポンプ11は独立しているため、吐出不良が生じた吐出部だけを効率よく回復させることができる。
【0063】
画像形成を行わないときには、キャップユニット23を各吐出部16,17に当接させてこれをキャッピングし、各吐出部16,17の吐出口内の処理液、及び記録液の揮発成分が蒸発して増粘、固着して吐出不良になるのを防ぐ。
【0064】
なお、図中、不図示であるが、各吐出部16,17の凝集物を取り除くためのワイパーブレードを設けてもよい。好ましくは各吐出部16,17に各々独立したワイパーブレードを設けることが好ましい。
【0065】
本発明の画像形成装置に搭載される廃液吸収体(吸収性部材)を構成する材料は、スポンジ等の多孔質吸収体、フェルトや積層紙などの繊維状吸収体が挙げられるが、廃液を吸収できる材料であればいかなるものでも良い。
【0066】
<処理液組成>
本発明の画像形成装置に用いることができる処理液は、記録液中の色材と反応して凝集物、または不溶物を生成する成分を有する。
【0067】
記録液中の色材と反応して凝集物、または不溶物を生成する反応とは、記録液中の色材と、それと反応して凝集物、または不溶物を生成する成分との間に働く作用であって、静電気力、フアンデルワールス力、磁力等の物理的作用、と電子状態を変化させ共有結合やイオン結合のような結合状態を変化させる化学的作用とに大別でき、第3の物質を介しても、光、熱などの外部エネルギーによっても起こるものである。
【0068】
記録液中の色材と反応して凝集物、または不溶物を生成する成分は、処理液中に溶解状態で含有されても良いし、微粒子として分散状態で含有されても良いが、画質改善効果の点で微粒子であることが好ましい。
静電気力の作用による微粒子と色材との反応については以下のように考えられる。ただし、これらの説明によって本発明が制約を受けるものではない。
【0069】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液中に含有される微粒子は、粒子表面に電荷を有し、微粒子同士は表面電荷による反発作用が生じるため分散が安定化されている。微粒子と逆の極性を有する色材を含有する記録液が、微粒子を含有する処理液と接触すると、微粒子に色材が電気的な作用により強力に吸着する。このとき微粒子の表面電荷は色材の電荷で中和されるため、微粒子同士の反発作用がなくなり、微粒子と色材は大きな凝集体を形成する。また、色材が有するカルボニル基やスルホニル基等の親水性基が吸着の際に微粒子で隠蔽されるため、凝集体の水に対する溶解度が急速に低下し、凝集体はさらに大きくなる。このような凝集体の形成が急速に生じれば、記録液と処理液が被記録材に浸透する際に凝集体が被記録媒体の多孔質部分にトラップされ、色材が移動しづらくなり、フェザリングとカラーブリードが効果的に防止できる。
【0070】
また、微粒子と色材とが粒子状の凝集物を形成し、被記録材の表面付近に石垣状に積み重なると浸透性の膜が形成される。そのため、ビヒクルが被記録材に速やかに浸透するためカラーブリードが良好になることに加えて、乾燥性が良好となる。色材と反応する化合物として微粒子ではなくポリマーを用いた場合には、ポリマーが被記録材表面に膜を形成してしまい、ビヒクルの浸透を妨げてしまう。その結果、乾燥性が低下し、印刷後に印刷物に触れるとインクが手に付いてしまったり、画像汚れが生じてしまう。
【0071】
微粒子は有機微粒子であっても良いし、無機微粒子であっても良いし、有機無機複合微粒子であっても良い。粒子形についても特に限られるものではなく、球状、数珠状、不定形のいずれであっても良い。
【0072】
有機微粒子としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂、弗素系樹脂、α,β−不飽和エチレン性単量体をエマルジョン重合等により得られる重合体等が挙げられる。
【0073】
無機微粒子としては、炭酸カルシウムなどの無機塩と、シリカ(SiO2)などの無機酸化物に大別される。
無機塩の具体例としては、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。水系処理液として用いる場合には、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸鉄などの水に溶解度が低いものを用いるほうが分散体が得られやすい点で好ましい。また、これらはカチオン化処理することでさらに色剤の吸着能力、凝集能力を高めることができ、さらに好ましい。カチオン剤で改質する方法は従来技術にて記載されている(特開平10−129113号公報、特開平11−20301号公報など)。
【0074】
無機微粒子の具体例としては、シリカ(SiO2)、シリカのカチオン化物、二酸化チタン、アルミナ(Al2O3)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
無機微粒子の中では反応性の点でカチオン性シリカが特に好ましい。カチオン性シリカは、シリカの表面がカチオン化処理されたものであれば用いることができる。カチオン化するには、シリカ表面に化学的、物理的にカチオン性化合物を導入すれば良い。例えば、シリカのシラノール基にアミノ化合物をカップリングすることで、あるいはアルミニウム化合物を反応させることで化学的に表面処理することができる。また、シリカとカチオン性化合物を溶剤中で混合し、カチオン性化合物を物理的に吸着させた後に溶剤を除去することで物理的に表面処理することができる。
【0076】
その際、核材として用いるアニオン性シリカの具体例としては、ST−ZL、ST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−S、ST−50、ST−20L、ST−OL、ST−XS、ST−YL、ST−XL、ST−UP、ST−OUP(以上、日産化学製)、Cataloid SI−350、SI−500(以上、デュポン製)、Nipgel AY−220、AY−420、AY−460(以上、日本シリカ製)等が挙げられる。
これらの方法に限らず、シリカ表面をカチオン性に処理したものであれば、いずれも好適に用いることができる。
【0077】
無機微粒子は製品として入手することもできる。シリカのカチオン化物としては、ST−AK(日産化学製)が挙げられる。アルミナとしては、アルミナゾル100、200、520(以上、日産化学製)等が挙げられる。二酸化チタンとしてはチタニアシリーズ(出光興産製)が挙げられる。これらの微粒子の中には既に水分散体として入手できるものも存在する。
【0078】
微粒子はカチオン性無機有機複合微粒子であっても良く、粒子状のカチオン性無機有機複合微粒子であれば用いることができる。
カチオン性無機有機複合微粒子は、無機微粒子の表面にカチオン性有機化合物を吸着させたり、逆に有機化合物の表面にカチオン性無機化合物を吸着させることで得ることができる。例えば、カチオン性高分子で被覆された無機有機複合微粒子は、無機微粒子を水等の溶媒中に分散させておき、これにカチオン性高分子を水、あるいは、水溶性有機溶媒の溶液の状態で徐々に加えることで得ることができる。
【0079】
カチオン性高分子の具体例としては、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリイミン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノアセタール化ポリビニルアルコール、イオネンポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルベンジルホスホニウム、ポリアルキルアリルアンモニウム、ポリアミジン、ポリアミンスルホン、カチオンでん粉などのカチオン性高分子化合物を挙げることができる。
【0080】
微粒子の添加量は処理液に対して10wt%以上であることが好ましく、光沢度を向上させる観点からは15wt%以上がより好ましい。含有率が10wt%未満の場合、画質改善効果が充分に得られない。なお、複数種類の微粒子を併用して用いても良い。
【0081】
記録液中の色材と反応して凝集物、または不溶物を生成する成分は、処理液中に溶解状態で含有されていても良い。具体的には、カチオン性モノマー、カチオン性ポリマー、アニオン性モノマー、アニオン性ポリマーが挙げられる。カチオン性ポリマーの具体例としては、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリイミン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノアセタール化ポリビニルアルコール、イオネンポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルベンジルホスホニウム、ポリアルキルアリルアンモニウム、ポリアミジン、ポリアミンスルホン、カチオンでん粉などのカチオン性高分子化合物を挙げることができる。
【0082】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液は、乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止する目的で水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。水溶性有機溶媒には湿潤剤、浸透剤が含まれる。湿潤剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエ−テル額;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノ−ル等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。
【0083】
また、浸透剤は、処理液と被記録材の濡れ性を向上させ、浸透速度を調整する目的で添加される。浸透剤としては、下記式(I)〜(IV)で表わされるものが好ましい。すなわち、下記式(I)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、式(II)のアセチレングリコール系界面活性剤、下記式(III)のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤ならびに式(IV)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界面活性剤は、液の表面張力を低下させることができるので、濡れ性を向上させ、浸透速度を高めることができる。
【0084】
【化1】
【0085】
【化2】
【0086】
【化3】
【0087】
【化4】
【0088】
前記式(I)〜(IV)の化合物以外では、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類を用いることができるが、特にジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0089】
微粒子の平均粒子径は1000nm以下であることが好ましく、500nm以下が吐出安定性の観点からさらに好ましい。つまり、1000nm以上である場合、吐出ヘッドの目詰まりが生じやすくなり、吐出不良が生じやすくなる。平均粒子径は光学式粒度分布計で測定することができ、粒子数50%の粒子径をもって表わす。
【0090】
微粒子は水を主成分とするビヒクルに分散処理されて処理液となる。分散する際には分散を安定化させるために解膠剤を用いることが好ましい。解膠剤とは帯電性粒子表面に電気二重層を形成し、電気二重層が静電的に反発して粒子の接近を防止し、分散を安定化させるものである。微粒子は中性から酸性にかけては正に帯電するため、陰イオン源である酢酸、硝酸、塩酸、蟻酸、乳酸、及び、これらのアルカリ金属塩、オキシ塩化ジルコニウム水和物等のジルコニウム化合物、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、タウリン等が解膠剤として用いられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0091】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液は次の方法によって製造することができる。微粒子と水と解膠剤を混合し、分散液を調合する。必要に応じて水溶性溶剤を添加し、解膠機によって解膠する。この際使用される解膠機としては、高速回転高せん断型攪拌解膠機、デゾルバー、コロイドミル、ホモジナイザー、超音波式解膠機などを挙げられ、より具体的には、T.K.オートホモミキサー、T.K.ホモミックラインフロー、ウルトラホモミキサー、NNKコロイドミルなどが挙げられる。解膠時の回転数は、解膠機の種類、構造によって変わるが、500〜10000rpmであることが好ましく、2000〜8000rpmであることがより好ましい。解膠時の温度は5〜100℃であることが好ましい。解膠時間は解膠機の種類、構造によって変わるが、0.01〜48時間であることが好ましい。
【0092】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液は、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリン型化合物等のカチオン性界面活性剤を含有することができる。具体的には、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、セチルピリジニウムクロライド、2−ヘプタデセニルヒドロキシエチルイミダゾリン等が挙げられる。
【0093】
カチオン性界面活性剤は、表面張力を下げて被記録材との濡れ性を高めて微粒子層を速やかに形成すると共に、アニオン性色材を凝集する作用があり、画質改善に効果がある。
【0094】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液の表面張力は、20〜60dyne/cmであることが好ましく、被記録材との濡れ性と液滴の粒子化の両立の観点からは30〜50dyne/cmであることがさらに好ましい。
【0095】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましく、吐出安定性の観点からは3.0〜10.0cPであることがさらに好ましい。
【0096】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液のpHは3〜11であることが好ましく、微粒子の分散安定性の観点からは3〜6、及び8〜11であることがさらに好ましい。
【0097】
<インク組成>
本発明の画像形成装置に用いられる記録液について説明する。
本発明の画像形成装置に用いられる記録液に用いる色剤としては染料、顔料、あるいは染料と顔料を混合して用いることができるが、微粒子がカチオン性である場合にはアニオン性の色材を用いるほうが電気的に中和され凝集するので画質向上の点で好ましい。
【0098】
また、染料よりも顔料を用いるほうが好ましい。つまり、溶解状態の染料よりも分散状態の顔料のほうが電気的に中和された際に、より効率的に凝集が生じるため、画質向上に効果が高い。
【0099】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液に用いる顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラツク、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉等が挙げられる。
【0100】
アニオン性基を有する顔料分散剤の例として、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸、アルギン酸ナトリウム、ペクチン酸、ヒアルロン酸などを挙げることができる。これらのアニオン系分散剤は、酸の形でも用いることができるが、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩を用いることもできる。
【0101】
表面にアニオン性基を有する顔料の例としては、カルボキシル基やスルホン酸基を有するカーボン・ブラックがその代表例として挙げられる。その他、フタロシアニン系顔料や、アントラキノン系顔料を酸化処理したり、発煙硫酸で処理したりして、顔料粒子の一部にカルボキシル基やスルホン酸基を導入したものもその例として挙げられる。
【0102】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液に含有される色材に用いられる水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で耐水、耐光性が優れたものが用いられる。これら染料は複数種類を混合して用いても良いし、あるいは必要に応じて顔料等の他の色材と混合して用いても良い。これら着色剤は、本発明の効果が阻害されない範囲で添加される。
【0103】
(a)酸性染料及び食用染料としては、
C.I.アシッド・イエロー 17,23,42,44,79,142
C.I.アシッド・レッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289
C.I.アシッド・ブルー 9,29,45,92,249
C.I.アシッド・ブラック 1,2,7,24,26,94
C.I.フード・イエロー 3,4
C.I.フード・レッド 7,9,14
C.I.フード・ブラック 1,2等が使用できる。
【0104】
(b)直接染料としては、
C.I.ダイレクト・イエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144
C.I.ダイレクト・レッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227
C.I.ダイレクト・オレンジ 26,29,62,102
C.I.ダイレクト・ブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202
C.I.ダイレクト・ブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171等が使用できる。
【0105】
(c)塩基性染料としては、
C.I.ベーシック・イエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91
C.I.ベーシック・レッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112
C.I.ベーシック・ブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155
C.I.ベーシック・ブラック 2,8等が使用できる。
【0106】
(d)反応性染料としては、
C.I.リアクティブ・ブラック 3,4,7,11,12,17
C.I.リアクティブ・イエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67
C.I.リアクティブ・レッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97
C.I.リアクティブ・ブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95等が使用できる。
【0107】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液を所望の物性にするため、あるいは乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止するためなどの目的で、色材の他に、水溶性有機溶媒を使用することが好ましい。水溶性有機溶媒には湿潤剤、浸透剤が含まれる。湿潤剤は乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止することを目的に添加される。湿潤剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエ−テル額;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノ−ル等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。
【0108】
また、浸透剤は記録液と被記録材の濡れ性を向上させ、浸透速度を調整する目的で添加される。浸透剤としては、下記式(V)〜(VIII)で表わされるものが好ましい。すなわち、下記式(V)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、式(VI)のアセチレングリコール系界面活性剤、下記式(VII)のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤ならびに式(VIII)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界面活性剤は、液の表面張力を低下させることができるので、濡れ性を向上させ、浸透速度を高めることができる。
【0109】
【化5】
【0110】
【化6】
【0111】
【化7】
【0112】
【化8】
【0113】
前記式(V)〜(VIII)の化合物以外では、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類を用いることができるが、特にジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0114】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液の表面張力は、20〜60dyne/cmであることが好ましく、被記録材との濡れ性と液滴の粒子化の両立の観点からは30〜50dyne/cmであることがさらに好ましい。
【0115】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましく、吐出安定性の観点からは3.0〜10.0cPであることがさらに好ましい。
【0116】
本発明の画像形成装置に用いられる記録液のpHは3〜11であることが好ましく、接液する金属部材の腐食防止の観点からは6〜10であることがさらに好ましい。
【0117】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液、及び記録液は防腐防黴剤を含有することができる。防腐防黴剤を含有することによって、菌の繁殖を押さえることができ、保存安定性、画質安定性を高めることができる。防腐防黴剤としてはベンゾトリアゾール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、イソチアゾリン系化合物、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。
【0118】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液、及び記録液は防錆剤を含有することができる。防錆剤を含有することによって、ヘッド等の接液する金属面に被膜を形成し、腐食を防ぐことができる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が使用できる。
【0119】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液、及び記録液は酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤を含有することによって、腐食の原因となるラジカル種が生じた場合にも酸化防止剤がラジカル種を消滅させることで腐食を防止することができる。酸化防止剤としては、フェノール系化合物類、アミン系化合物類が代表的であるがフェノール系化合物類としては、ハイドロキノン、ガレート等の化合物、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のヒンダードフェノール系化合物が挙げられ、アミン系化合物類としては、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−テトラメチル−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
【0120】
また、後者としては、硫黄系化合物類、リン系化合物類が代表的であるが、硫黄系化合物としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられ、リン系化合物類としては、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールフォスファイト等が挙げられる。
【0121】
本発明の画像形成装置に用いられる処理液、及び記録液はpH調整剤を含有することができる。pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、ジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン類、硼酸、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等を用いることができる。
【0122】
処理液と記録液の製造方法の具体例を以下に挙げる。
(1)処理液の製造方法
以下に示す各々の処理液成分を混合、攪拌後、テフロン(R)フィルター(0.8μm)にてろ過して、それぞれの処理液を製造した。また、微粒子分散液は市販のものを入手して用いることができるが、必要に応じて水分を減圧除去して濃度調整を行なった。なお、カチオン性コロイダルシリカ、アルミナなどの微粒子重量は微粒子固形分を示す(市販の分散液の重量ではない)。
【0123】
<処理液1>
ポリアリルアミン(数平均分子量5000) 5部
グリセリン 25部
カチオン性界面活性剤 2部
(三洋化成社製、カチオンG50)
防腐防黴剤 0.4部
{アビシア社製、PROXEL LV(s)}
イオン交換水 残量
【0124】
<処理液2>
アルミナ 15部
(日産化学社製、アルミナゾル520)
グリセリン 25部
カチオン性界面活性剤 2部
(三洋化成社製、カチオンG50)
防腐防黴剤 0.4部
{アビシア社製、PROXEL LV(s)}
イオン交換水 残量
【0125】
<処理液3>
カチオン性コロイダルシリカ 15部
(日産化学社製、スノーテックスAK)
グリセリン 25部
カチオン性界面活性剤 2部
(三洋化成社製、カチオンG50)
防腐防黴剤 0.4部
{アビシア社製、PROXEL LV(s)}
イオン交換水 残量
【0126】
(2)記録液の製造方法
以下に示す各々の記録液成分を混合、攪拌後、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂フィルター(0.8μm)にてろ過して、それぞれの記録液を製造した。
【0127】
<記録液1>
顔料(キャボット社製、キャボジェット300) 10部
2−ピロリドン 22.5部
グリセリン 7.5部
界面活性剤(I)、R=C9H19、k=12 1部
2−ピロリドン 2部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2部
チオ硫酸ナトリウム 0.2部
防腐防黴剤{アビシア社製、PROXEL LV(s)} 0.4部
イオン交換水 残量
【0128】
<記録液2>
C.I.アシッド・イエロー 17 10部
2−ピロリドン 22.5部
グリセリン 7.5部
界面活性剤(I)、R=C9H19、k=12 1部
2−ピロリドン 2部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2部
チオ硫酸ナトリウム 0.2部
防腐防黴剤{アビシア社製、PROXEL LV(s)} 0.4部
イオン交換水
【0129】
<記録液3>
C.I.アシッド・ブルー 9 10部
2−ピロリドン 22.5部
グリセリン 7.5部
界面活性剤(I)、R=C9H19、k=12 1部
2−ピロリドン 2部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2部
チオ硫酸ナトリウム 0.2部
防腐防黴剤{アビシア社製、PROXEL LV(s)} 0.4部
イオン交換水
【0130】
<記録液4>
C.I.アシッド・レッド 1 10部
2−ピロリドン 22.5部
グリセリン 7.5部
界面活性剤(I)、R=C9H19、k=12 1部
2−ピロリドン 2部
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2部
チオ硫酸ナトリウム 0.2部
防腐防黴剤{アビシア社製、PROXEL LV(s)} 0.4部
イオン交換水
本発明の画像形成装置に、上記処理液1〜3、上記記録液1〜4を充填し、印字試験を行った。
【0131】
<第4の実施例>
図17に記載する画像形成装置に上記処理液1と、上記記録液1〜4を充填し、普通紙(リコー社製、タイプ6200)に印字試験を行った。作製した印刷物の文字部分の滲みを観察し、以下の基準で主観評価した。その結果、滲み出しがやや多く、上記評価基準におけるランク2の状態であった。
ランク5…滲み出しが全くない
ランク4…滲み出しがわずかにある
ランク3…滲み出しがあるが、実用上問題なし
ランク2…滲み出しがやや多い
ランク1…滲み出しが多い
【0132】
<第5の実施例>
第4の実施例において、上記処理液1を用いた代わりに上記処理液2を用いた以外は第4の実施例と同様に印字試験を行った。その結果、滲み出しがわずかにあり、上記評価基準におけるランク4の状態であった。
【0133】
<第6の実施例>
第4の実施例において、上記処理液1を用いた代わりに上記処理液3を用いた以外は第4の実施例と同様に印字試験を行った。その結果、滲み出しが全くなく、上記評価基準におけるランク5の状態であった。
【0134】
<第7の実施例>
各処理液と各記録液の印字前のpHを測定したところ、以下のようなpHを示した。
【0135】
図17に記載される画像記録装置に上記処理液3と上記記録液1〜4を充填し、回復操作を繰り返し、廃液の混合物を廃液収容体に回収した。廃液のpHを測定したところpH=7.05であり、おおよそ中性であることを確認した。さらに廃液収容体を大気開放した状態で常温にて3か月放置した。その後の廃液の混合物のpHを測定したところ、pH=6.90であり、おおよそ中性の状態が保たれていることを確認した。
【0136】
<第1の比較例>
図17に記載する画像形成装置に処理液は充填せずに、上記記録液1〜4だけを充填し、普通紙(リコー社製、タイプ6200)に印字試験を行った。作製した印刷物の文字部分の滲みを観察し、以下の基準で主観評価した。その結果、滲み出しが多く、上記評価基準におけるランク1の状態であった。
【0137】
<第2の比較例>
図21は本発明の画像記録装置に対する第2の比較例を説明するための図である。本比較例では、廃液収容体の筐体1が処理液用廃液収容部1aと記録液用廃液収容部1bとに分離された構成を有している。
図21に記載される画像記録装置に上記処理液3と上記記録液1〜4を充填し、回復操作を繰り返し、廃液を廃液収容体に回収した。廃液のpHを測定したところ処理液用廃液収容部1a内の廃液はpH=4.26であり、記録液用廃液収容部1b内の廃液はpH=10.31であることを確認した。さらに廃液収容体を大気開放した状態で常温にて3か月放置した。その後の廃液のpHを測定したところ、処理液用廃液収容部1a内の廃液はpH=3.10であり、記録液用廃液収容部1b内の廃液はpH=11.65であり、双方とも回収直後よりも強い酸性、あるいはアルカリ性を示すことを確認した。
【0138】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、色材を含有する記録液と、色材と反応して凝集物または不溶物を生成する処理液を併用することで、滲み低減に代表される画質向上が達成される。また、同時に、廃液収容体の内部で酸性液とアルカリ性液とを混合して中和・凝集させることにより、安全性の高い混合廃液が生成される。
【0139】
また、廃液収容体の内部で酸性液とアルカリ性液とが混合して中和した後に、吸収性部材に吸収させることにより、安全性の高い混合廃液が生成されることに加えて、混合した廃液の一部が廃液吸収体に吸収されるため、廃液の混合物の粘度がさらに高まり流動性が低くなる。それにより、廃液の液こぼれをより確実に防止することができる。
【0140】
また、廃液収容体に廃液が収容される際に、廃記録液の着弾点と廃処理液の着弾点とを同じ位置、あるいは互いに混合可能な位置とすることで、より確実に廃液を混合して、中和反応を進行させる。それにより、中和反応に関与しない廃液を少なくすることができ、安全性が高まる。
【0141】
また、第1の吐出部と第2の吐出部から別々の回復手段で処理液または記録液を排出させることで、混合による吐出部の目詰まりを防止できる。ここで、吐出部の内部から正圧を与えることにより、吐出部に付着した凝集物を取り除き、吐出不良を回復させることができる。また、加圧手段を用いることにより、効果的に吐出部内側に正圧を生じさせることができる。さらに、廃処理液または廃記録液が飛翔して廃液吸収体に吸収される構成により、簡易な構成を採ることができ、コストを低減することができる。ここで廃液移送手段としてチューブを介することで、確実に廃液を吸収させることができ、信頼性を高めることができる。
【0142】
また、吐出不良を回復させる回復手段が、吐出部の外側から負圧を与えることにより、吐出部に付着した凝集物を取り除き吐出不良を回復させることができる。ここで、回復手段として、キャップ手段とそれに連通する吸引手段とを用いることにより、効果的に吐出部外側に負圧を生じさせることができる。また廃液を移送する廃液移送手段としてチューブを介することで、確実に廃液を吸収させることができ、信頼性を高めることができる。
【0143】
また、廃液吸収体を多孔質吸収体または繊維状吸収体とすることで、確実に吸収すると共に、確実に廃液を廃液吸収体内に保持することができる。さらに色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を微粒子とすることにより、処理液と記録液が混合した際の凝集物、または不溶物の生成が促進される。その結果、滲み出しが少ない品質の高い印刷物が得られる。
【0144】
上記微粒子としてカチオン性微粒子を用いることで、凝集物、または不溶物の生成がさらに促進され、さらに画像品質の高い印刷物が得られる。また上記カチオン性微粒子としてカチオン性コロイダルシリカを用いることで、凝集物、または不溶物の生成がさらに促進され、さらに画像品質の高い印刷物が得られる。
【0145】
上記色材としてアニオン性基を有する染料または顔料を用いること、あるいはアニオン性基を有する化合物と顔料を用いることで、画像品質の高い印刷物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の構成例を説明する図である。
【図2】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の他の構成例を説明する図である。
【図3】発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図4】発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図5】図1の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾の様子を説明するための概略図である。
【図6】図2の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾の様子を説明するための概略図である。
【図7】図3の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾の様子を説明するための概略図である。
【図8】図4の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾の様子を説明するための概略図である。
【図9】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図10】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図11】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図12】本発明の画像形成装置に用いることができる廃液収容体の更に他の構成例を説明する図である。
【図13】図9の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。
【図14】図10の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。
【図15】図11の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。
【図16】図12の構成の廃液収容体における廃記録液と廃処理液の着弾(開口からの落下)の様子を説明するための概略図である。
【図17】本発明による画像形成装置の第1の実施例の概略正面図である。
【図18】本発明による画像形成装置の第1の実施例の概略側面図である。
【図19】本発明による画像形成装置の第2の実施例の概略正面図である。
【図20】本発明による画像形成装置の第6の実施例を示す概略正面図である。
【図21】本発明の画像記録装置に対する第2の比較例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…廃液収容体の筐体、1a…処理液用廃液収容部、1b…記録液用廃液収容部、2…吸収性部材、3…吸収性粒子、4…連絡管、5…通気口、11…ポンプ、12…連結管、13…処理液カートリッジ、14…記録液カートリッジ、16…処理液用吐出部、17…記録液用吐出部、15…キャリッジ、18…ガイドシャフト、19…駆動ベルト、20…駆動モータ、21…被記録体、22…被記録体搬送ベルト、23…キャップユニット、24…搬送ローラ対、25,25a,25b…連絡管。
Claims (19)
- 色材を含有する記録液を吐出するための第1の吐出部と、該色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を含有する処理液を吐出するための第2の吐出部とを有し、各前記吐出部より前記記録液または前記処理液を吐出して被記録材に画像を形成する画像形成装置において、該画像形成装置は、前記第1の吐出部から排出される前記記録液の廃液と前記第2の吐出部から排出される前記処理液の廃液を収容する廃液収容体を具備し、該廃液収容体は、前記記録液の廃液と前記処理液の廃液のうちのいずれかが酸性で、他方がアルカリ性である場合に、該記録液の廃液と該処理液の廃液とを廃液収容体内で混合することで中和反応を生じさせることを特徴とする画像形成装置。
- 色材を含有する記録液を吐出するための第1の吐出部と、該色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分を含有する処理液を吐出するための第2の吐出部とを有し、前記各吐出部より前記記録液または前記処理液を吐出して被記録材に画像を形成する画像形成装置において、該画像形成装置は、前記第1の吐出部から排出される前記記録液の廃液と前記第2の吐出部から排出される前記処理液の廃液とを収容する廃液収容体を具備し、該廃液収容体は、廃液吸収性部材を有し、前記記録液の廃液と前記処理液の廃液のうちのいずれかが酸性で、他方がアルカリ性である場合に、前記記録液の廃液と前記処理液の廃液の少なくとも一部が、前記廃液収容体内で中和反応した後に前記廃液吸収性部材に吸収されることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記記録液の廃液及び前記処理液の廃液が前記廃液収容体に収容される際に、前記記録液の廃液の着弾点と前記処理液の廃液の着弾点とが同じ位置、あるいは各前記廃液が互いに混合可能な位置であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1に記載の画像形成装置において、前記記録液の廃液は、第1の吐出部の吐出不良を回復させるために設けられた第1の回復手段によって該第1の吐出部から排出され、前記処理液の廃液は、前記第2の吐出部の吐出不良を回復させるために設けられた第2の回復手段によって該第2の吐出部から排出されることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項4に記載の画像形成装置において、各前記回復手段は、各前記吐出部内側から正圧を与えて前記記録液の廃液または前記処理液の廃液を排出させることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項5に記載の画像形成装置において、各前記回復手段は、各前記吐出部に連通する加圧手段によって該吐出部内側に正圧を与えることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項5に記載の画像形成装置において、各前記回復手段により各前記吐出部から排出された前記記録液の廃液または廃処理液が、飛翔して廃液吸収体に到達することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項5に記載の画像形成装置において、各前記回復手段により各前記吐出部から排出された前記記録液の廃液または前記処理液の廃液は、廃液移送手段を介して前記廃液吸収体に到達することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項8に記載の画像形成装置において、前記廃液移送手段は、チューブであることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項4に記載の画像形成装置において、各前記回復手段は、各前記吐出部の外側から負圧を与えて前記記録液の廃液または前記処理液の廃液を排出させることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項10に記載の画像形成装置において、各前記回復手段は、キャップ手段と、該キャップ手段に連通する吸引手段とによって各前記吐出部に負圧を与えることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項10に記載の画像形成装置において、各前記回復手段により各前記吐出部から排出された前記記録液の廃液または前記廃処理液は、廃液移送手段を介して前記廃液吸収体に到達することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項12に記載する画像形成装置において、前記廃液移送手段は、チューブであることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項2に記載の画像形成装置において、前記廃液吸収性部材は、多孔質吸収体または繊維状吸収体であることを特徴とする画像記録装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1に記載の画像形成装置において、前記色材と反応して凝集物または不溶物を生成する成分は、微粒子であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項15に記載の画像形成装置において、前記微粒子は、カチオン性微粒子であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項16に記載の画像形成装置において、前記カチオン性微粒子は、カチオン性コロイダルシリカであることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1に記載の画像形成装置において、前記色材は、アニオン性基を有する染料または顔料であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1に記載の画像形成装置において、前記色材は、アニオン性基を有する化合物と顔料であることを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
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JP2002224956A JP2004066471A (ja) | 2002-08-01 | 2002-08-01 | 画像形成装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017007331A (ja) * | 2015-06-19 | 2017-01-12 | キヤノン株式会社 | インクジェット記録方法 |
-
2002
- 2002-08-01 JP JP2002224956A patent/JP2004066471A/ja active Pending
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