JP2004065671A - 生体活動解析プログラム - Google Patents

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山谷 克
Yoshiaki Takanashi
高梨 芳彰
Shigeki Kajiwara
梶原 茂樹
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Abstract

【課題】偽の生体活動電流源の出現を解消でき、生体活動部位を正確に把握することができる生体活動解析プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】関心領域を内部に含む計測面の生体信号データと、計測面の内部中心点からその面上の点までの距離とを積算した関数を算出し(ステップS1)、この関数の値を、関心領域の内部に仮想的に設定された複数個の点電荷の生成する電位信号を用いて近似し(ステップS2)、この点電荷から関心領域の境界面上に設定された仮想的計測点における生体信号を算出し(ステップS3)、この算出された仮想生体信号を、関心領域の境界面についての解剖学的三次元画像情報と関連付けて表示させる(ステップS4)ので、偽の生体活動電流源の出現を解消でき、活動部位を把握することができる。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、被検体の生体活動部位を解析するための演算をコンピュータに実行させるための生体活動解析プログラム等に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体に刺激を与えると、Naイオンが細胞内に流入して生体活動電流が流れる。この生体活動電流は、脳や心臓において現れ、脳波,心電図として記憶される。また、生体活動電流によって生じる磁界は、脳磁図,心磁図として記憶される。
【0003】
近年、生体内の微小な磁界を計測する装置として、SQUID(Superconducting Quantum Interface Device :超伝導量子干渉素子)を用いたセンサが開発されている。このセンサを、例えば頭部の外側に置き、脳内に生じた生体活動電流源である電流双極子(以下、単に電流源とも称する)による微小磁界をそのセンサで無侵襲に計測することができる。このセンサで計測された磁界データから電流源(例えば病巣に関連した電流源)の物理量(位置,大きさなど)を算出し、X線CT装置やMRI装置で得られた断層像(X線スライス画像やMRIスライス画像)上にこの算出した電流源を表示させて患部等の物理的位置の特定などに用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法を用いて電流源を解析するような生体活動解析装置の場合には、次のような問題がある。
すなわち、電流源と前述のセンサとの距離が遠いため、生体活動に伴う信号(例えば磁界データ)の空間分布が広がっており、電流源の物理量(位置,大きさなど)を特定することは困難である。また、複数の電流源が同時に存在する場合には、この複数の活動信号が重なり合い電流源を特定することがより困難になる。このため、電流源の物理量(位置,大きさなど)を特定するには、センサにより取得した計測信号から電流源を求める計算が必要になるが、解(つまり、電流源の物理量(位置,大きさなど))を一意に求めることは困難である。例えば、センサ位置において計測信号と計測面の内部中心点からの距離の積に一致する調和関数に着目し,この関数の電流源近傍における漸近的性質を用いて電流源の物理量(位置,大きさなど)を求めることが考えられるが、計測信号に含まれるノイズのため、偽の電流源が現れる場合があり、生体活動部位を正確に把握することができないという問題がある。このノイズとしては、生体活動解析装置が設置される磁気シールド室内における磁場ノイズや、SQUIDセンサの回路内で発生するランダムノイズなどが挙げられる。特に、計測位置から遠い位置、つまり、関心領域(例えば、脳)の内部の深い位置で現れる偽の電流源は強度も大きく現れ、真の電流源と区別することが困難である。
【0005】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、偽の生体活動電流源の出現を解消でき、生体活動部位を正確に把握することができる生体活動解析プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、発明者が鋭意研究をした結果、次のような知見を得た。すなわち、前述の調和関数の解析接続性に着目した方法では、例えば頭部の外側にSQUIDセンサが置かれた計測面で得られた計測データ(磁界データ)に基づいて、頭部の内部の関心領域(例えば、脳)の境界面からその内部の深い位置に至るまでに存在する電流源を逐次に算出していくのであるが、関心領域の内部の深い位置に存在するとして算出された電流源ほど、偽の電流源である場合が多くなっている。これは、前記センサで計測された計測信号に含まれるノイズが、関心領域の内部に進むにつれて、急峻な変化を持つ点として現れていくことになり、偽の電流源であるにもかかわらず真の電流源と区別することができず、真の電流源として算出されてしまうことによる。したがって、関心領域の内部の深い位置にまで踏み込んで信憑性の低い電流源を算出するよりも、関心領域の境界面上での仮想的計測磁場データを算出するに留めることで、偽の電流源の出現を解消できるし、関心領域の境界面についての解剖学的三次元画像情報上に、前記の求められた境界面上での生体磁場を関連付けて表示することで、関心領域の境界面上での活動部位を正確に把握することができるということを見出したのである。
【0007】
このような知見に基づくこの発明は次のような構成を採る。
すなわち、請求項1に記載の発明は、被検体内の生体活動を解析するための演算をコンピュータに実行させるための生体活動解析プログラムであって、(a)予め求められた被検体の関心領域を内部に含む計測面の生体信号データに基づいて、前記生体信号データと、前記計測面の内部中心点からその計測面上の点までの距離とを積算した関数を算出する関数算出過程と、(b)前記関数算出過程で積算された関数の値を、前記関心領域の内部に仮想的に設定された複数個の点電荷の生成する電位信号を用いて近似する電位信号算出過程と、(c)前記電位信号算出過程で近似に用いた点電荷から前記関心領域の境界面上に設定された仮想的計測点における生体信号を算出する仮想生体信号算出過程と、(d)前記(c)で算出された仮想生体信号を、前記関心領域の境界面についての解剖学的三次元画像情報と関連付けて表示させる仮想生体信号表示過程と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
(作用・効果)請求項1に記載の発明によれば、関数算出過程では、予め求められた被検体の関心領域を内部に含む計測面の生体信号データに基づいて、この生体信号データと、計測面の内部中心点からその計測面上の点までの距離とを積算した関数を算出する。電位信号算出過程では、関数算出過程で積算された関数の値を、関心領域の内部に仮想的に設定された複数個の点電荷の生成する電位信号を用いて近似する。仮想生体信号算出過程では、電位信号算出過程で近似に用いた点電荷から関心領域の境界面上に設定された仮想的計測点における生体信号を算出する。仮想生体信号表示過程では、算出された仮想的計測点における生体信号(仮想生体信号)を、関心領域の境界面についての解剖学的三次元画像情報と関連付けて表示させる。
【0009】
したがって、関心領域を計測した計測面の生体信号データに基づいてこの関心領域の境界面における磁場を求めるに留め、関心領域内部の生体活動電流源の位置を算出しないこととしているので、関心領域の内部位置(関心領域の深さ方向の位置)にまで踏み込んで生体活動電流源の位置を求める際に生じ易い偽の生体活動電流源の出現を解消することができる。また、関心領域の境界面についての解剖学的三次元画像情報上に、前記の求められた境界面上での生体磁場を関連付けて表示することができるので、関心領域の境界面上での活動部位を把握することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の生体活動解析プログラムにおいて、(a’)前記関数算出過程は、所定時刻ごとに取得された計測面の生体信号データに基づいて、前記関数を前記所定時刻ごとにそれぞれ求め、(b’)前記電位信号算出過程は、前記関数算出過程で求められた所定時刻ごとの各関数の値を、前記関心領域の境界面上にそれぞれ個別に近似し、(c’)前記仮想生体信号算出過程は、前記電位信号算出過程で近似に用いた所定時刻ごとの点電荷から前記関心領域の境界面上に設定された仮想的計測点における生体信号をその所定時刻ごとに算出し、(d’)前記仮想生体信号表示過程は、前記仮想生体信号算出過程で算出された所定時刻ごとの仮想生体信号を、その時刻ごとに前記解剖学的三次元画像情報に表示させることを特徴とするものである。
【0011】
(作用・効果)請求項2に記載の発明によれば、関数算出過程では、所定時刻ごとに取得された計測面の生体信号データに基づいて、前記関数を所定時刻ごとにそれぞれ求める。電位信号算出過程では、関数算出過程で求められた所定時刻ごとの各関数の値を、関心領域の内部に仮想的に設定された複数個の点電荷の生成する電位信号を用いてそれぞれ近似する。仮想生体信号算出過程では、電位信号算出過程で近似に用いた所定時刻ごとの点電荷から関心領域の境界面上に設定された仮想的計測点における生体信号をその所定時刻ごとに算出する。仮想生体信号表示過程では、仮想生体信号算出過程で算出された所定時刻ごとの仮想生体信号を、その時刻ごとに前記解剖学的三次元画像情報に表示させる。したがって、関心領域の境界面における生体磁場を時間変化とともに観測することができ、関心領域のネットワーク、つまり、関心領域の活動部位のタイムコースを求めることができる。
【0012】
なお、本明細書は、次のような生体活動解析プログラムおよび生体活動解析装置も開示している。
【0013】
(1)請求項1または請求項2に記載の生体活動解析プログラムにおいて、
前記電位信号算出過程は、計測で得られた関数と、仮想的に設定される点電荷により発生する関数との差が最小となるように前記点電荷を算出する際に、予め設定しておいた定数を単位行列に掛けたものを用いることを特徴とする生体活動解析プログラム。
【0014】
前記(1)に記載の生体活動解析プログラムによれば、電位信号算出過程では、計測で得られた関数と、仮想的に設定される点電荷により発生する関数との差が最小となるようにこの点電荷を算出する際に、予め設定しておいた定数を単位行列に掛けたものを用いるので、出てくるノルムを小さくでき、ノイズの影響を小さくできる。
【0015】
(2)請求項1または請求項2、あるいは、前記(1)に記載の生体活動解析プログラムにおいて、
前記仮想生体信号算出過程は、前記仮想的計測点における生体信号を、この仮想的計測点を中心とする正方形の各頂点位置における仮想磁場を、その位置が対角関係にあるものをペアとして差分をとったものを2乗してそれらを加算して平方根をとった値とすることを特徴とする生体活動解析プログラム。
【0016】
前記(2)に記載の生体活動解析プログラムによれば、仮想生体信号算出過程では、仮想的計測点における生体信号を、この仮想的計測点を中心とする正方形の各頂点位置における仮想磁場を、その位置が対角関係にあるものをペアとして差分をとったものを2乗してそれらを加算して平方根をとった値とする。したがって、磁場源の直上に相当する関心領域の境界面上の位置で磁場のピークがでるようになる。つまり、関心領域の境界面上の仮想磁場を、正負のピークが存在する形式の仮想磁場ではなく、正のピークが存在する形式の仮想磁場として表すことができ、しかもこの正のピークの位置の真下方向に磁場源が存在すると言えるので、磁場源の直上に相当する関心領域の境界面上の位置を表すことができる。
【0017】
(3)請求項1または請求項2、あるいは、前記(1)または(2)に記載の生体活動解析プログラムを用いて前記計測面の生体信号データを演算処理することで、被検体内の生体活動を解析するための、関心領域の境界面における情報を生成することを特徴とする生体活動解析装置。
【0018】
前記(3)に記載の生体活動解析装置によれば、上述の生体活動解析プログラムを用いて計測面の生体信号データを演算処理することで、被検体内の生体活動を解析するための、関心領域の境界面における情報を生成することができる。つまり、関心領域を計測した計測面の生体信号データに基づいてこの関心領域の境界面における磁場を求めるに留め、関心領域内部の生体活動電流源の位置を算出しないこととしているので、関心領域の内部位置(関心領域の深さ方向の位置)にまで踏み込んで生体活動電流源の位置を求める際に生じ易い偽の生体活動電流源の出現を解消することができる。また、関心領域の境界面についての解剖学的三次元画像情報上に、前記の求められた境界面上での生体磁場を関連付けて表示することができるので、関心領域の境界面上での活動部位を把握することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明する。
図1は、この発明に係る生体活動解析装置の一実施例の概略構成を示したブロック図である。マルチチャンネルSQUIDセンサ1は、被検体Mの例えば頭部に近接配備され、この頭部の脳内に生じた生体活動電流源による微小磁界を無侵襲に計測するためのものである。このマルチチャンネルSQUIDセンサ1は、デュワーと呼ばれる容器内に多数(例えばN個)の磁気センサが冷媒に浸漬して収納されているものである。つまり、被検体Mの頭部に近接する計測面の所定位置に、N個の磁気センサがそれぞれ配備されていて、これらのN個の磁気センサによって、脳内に生じた生体活動電流源による微小磁界が無侵襲にそれぞれ計測されるようになっている。磁気シールドルーム2内には、マルチチャンネルSQUIDセンサ1と、被検体Mが仰臥されるベッド3とが設けられている。
【0020】
マルチチャンネルSQUIDセンサ1で検出された磁界データは、データ変換部4に与えられてデジタルデータに変換された後、データ収集部5に集められる。データ収集部5に集められたデータは、後述するメモリ部9に書き込まれて記憶される。刺激装置6は、被検体Mに電気的刺激(あるいは音、光刺激など)を与えるためのものである。ポジショニング部7は、マルチチャンネルSQUIDセンサ1を基準とした3次元座標系に対する被検体Mの位置関係を把握するための装置である。
【0021】
また、この実施例装置には、後述する関数W を求める、磁場を近似するなどの演算処理を行う、つまり、生体活動解析プログラムを実行する演算部8が設けられているとともに、この生体活動解析プログラムや演算部8による演算処理によって行われた各データなどを記憶するためのメモリ部9が設けられている。演算部8は、CPU(中央処理装置)で構成されており、メモリ部9は、RAMやROMなどの記憶素子で構成されている。各データは画像としてカラーモニタ10にそれぞれ表示出力されて、必要に応じてカラープリンタ11にそれぞれ印刷出力される。
【0022】
その他に、マルチチャンネルSQUIDセンサ1、刺激装置6、ポジショニング部7、カラーモニタ10、カラープリンタ11などを統括制御して、演算部8に演算処理を行う信号を出力して、各データをメモリ部9に記憶(書き込み)してメモリ部9から読み出すための制御部12が設けられている。
【0023】
次に、演算部8による各処理について、図2,図3を参照して説明する。図2は、この実施例装置の演算部での生体活動解析プログラムの処理内容を示すフローチャートである。図3は、計測面での計測データに基づいて関心領域の境界面上の仮想磁場を算出することを説明するための模式図である。
【0024】
(ステップS1)関数Wjを求める
図3に示すように、j番目の計測点の位置x 、つまり、j番目の磁気センサの位置で計測された、脳に対して法線方向の計測磁場B(x )に、計測面の内部中心点(上述の球面モデルの中心点)からj番目の計測点の位置x までの距離を積算した関数W を、1〜N番目の計測点の位置x 〜x についてそれぞれ、以下の式(1)により算出する。ただし、j=1,2,3,…,Nである。なお、予めMRI装置などで取得したMRIスライス画像などによって、前述の計測面の内部中心点と、この内部中心点から位置x までの距離は予め既知となっている。
【0025】
【数1】
Figure 2004065671
【0026】
このように、計測面の内部中心点から位置x までの距離の絶対値である|x |を計測磁場B(xj )に積算することにより、関数Wj は調和関数となり、解析接続性があるという性質を備えることになり、後述するステップS2,S3の代用電荷法を用いて、計測面での計測データを関心領域の境界面上(例えば脳皮質表面上)に延長できる。なお、この演算部8でのステップS1は、本発明における関数算出過程に相当する。
【0027】
(ステップS2)電荷Qを求める
関数Wを近似するような、関心領域の内部に仮想的に設定された複数個の点電荷Qを求める。
【0028】
具体的には、図3に示すように、関心領域内の位置X に設定したN個の仮想的な電荷Qj 、つまり、関心領域内の位置X 〜X に設定されたN個の仮想的な電荷Q 〜QN を、次に示す式(2)の関数fを最小化することにより求める。
【0029】
【数2】
Figure 2004065671
【0030】
ただし、λは予め設定した定数である。すなわち、Qは以下の式(3)〜式(7)により算出される。
【0031】
【数3】
Figure 2004065671
【0032】
【数4】
Figure 2004065671
【0033】
【数5】
Figure 2004065671
【0034】
【数6】
Figure 2004065671
【0035】
【数7】
Figure 2004065671
【0036】
ここで、上述の式(2)〜式(7)について説明する。式(2)で表される関数fを最小化するためには、自乗誤差最小とすればよい、つまり、この式(2)の右辺の{}内が0になればよい。この式(2)の右辺の{}内のWj は、前述のステップS1で求めたものであり、計測から得られた調和関数W である。ここでは説明の便宜上、このW を、実験(計測)で得られたWを意味するWexp として説明する。また、この式(2)の右辺の{}内のΣの方は、代用電荷Qによって発生するWと言え、ここでは説明の便宜上、このWを、理論的(算術的)に出てくるWを意味するWthとして説明する。
【0037】
計測から得られたWexp は、Wexp =KBで表される。なお、「K」は式(6)のものであり、「B」は式(7)のものである。また、理論的に出てくるWthは、Wth=LQで表される。なお、「L」は式(5)のものであり、「Q」は式(4)のものである。
【0038】
上述したように、式(2)で表される関数fを最小化するためには、式(2)の右辺の{}内が0になればよい、つまり、{Wexp −Wth}  を最小にすることであり、Wexp =Wthとなればよいのである。Wexp =KBであり、Wth=LQであることから、これらを代入すると、KB=LQとなり、今求めようとしているのはQであるので、Q=L−1KBとなる。なお、「L−1」はLの逆行列を表す。この「L−1」は、次に示すムーアペンローズの一般逆行列で求めることができる。つまり、L−1=LT (LLT −1となる。なお、「LT 」はLの転置行列である。これを代入すると、Q=LT (LLT −1KBとなる。この式は前述の式(3)を表している。
【0039】
ただし、「LLT 」の行列式は、0に限りなく近い値となり、計算の精度が悪く、イルコンディションとなってしまう。これを改善するために、式(3)に示すように、「LLT 」に「λ  I」を加えることとしている。なお、「I」は単位行列であり、λは前述したように予め設定した定数である。こうすることで、出てくるノルムを小さくでき、ノイズの影響を小さくできる。なお、この演算部8でのステップS2は、本発明における電位信号算出過程に相当する。
【0040】
(ステップS3)磁場を近似する
前述のステップS2で求めた点電荷Qから関心領域の境界面(図3に示すように例えば脳皮質表面)上に設定された仮想的計測点における磁場B’を算出する。具体的には、以下の式(8)に従って、関心領域の境界面上の位置x’j  に設定した仮想的計測点における磁場B(x’j  )を求める。また、予めMRI装置などで取得したMRIスライス画像などによって、前述の位置x’j  までの距離は予め既知となっている。なお、この演算部8でのステップS3は、本発明における仮想生体信号算出過程に相当する。
【0041】
【数8】
Figure 2004065671
【0042】
(ステップS4)磁場Bを解剖学的三次元画像上に重ね合わせ表示する
上述のメモリ部9には、例えばX線CT装置やMRI装置で得られた、解剖学的三次元画像(脳皮質表面に関する三次元画像)が予め記憶されており、ステップS3で求めた仮想磁場B(x’j  )、つまり、空間マップを、この解剖学的三次元画像上に重ね合わせて、カラーモニタ10に表示出力、あるいはカラープリンタ11に出力印刷させる。なお、この演算部8でのステップS4は、本発明における仮想生体信号表示過程に相当する。
【0043】
また、ある時刻で測定した計測面の生体信号データ(磁界データ)を、上述のステップS1〜S3で処理することで、その時刻における脳皮質表面の磁場を算出することができる。したがって、所定の時刻ごとに計測面の生体信号データ(磁界データ)を計測し、上述のステップS1〜S3で処理することで、その所定の時刻ごとの脳皮質表面の磁場を算出することができることは言うまでもない。こうすることで、仮想磁場B(x’j  )の波形、つまり、横軸を時間とし縦軸を強度とする座標上に仮想磁場B(x’j  )の時間変化を取得することもできる。
【0044】
また、変形例として、上述のステップS3を以下のようにしてもよい。関心領域の境界面上の位置x’j  を中心とする正方形の各頂点位置x’j1 、x’j2 、x’j3 、x’j4 (x’j1 とx’j3 、x’j2 とx’j4 が対角ペアとなる)における仮想磁場B’j1 、B’j2 、B’j3 、B’j4 を計算した後、以下の式(9)より算出した値を、位置x’j  における仮想磁場パワーB’’として算出する。言うなれば、仮想の平面型グラディオメータとして算出するのである。こうすることで、後述する図6に示すように、磁場源の直上に相当する関心領域の境界面上の位置で磁場のピークがでるようになる。
【0045】
【数9】
Figure 2004065671
【0046】
ここで、本実施例装置に用いて、被験者の右手首の正中神経を電気刺激した際に誘発される脳磁気を計測した結果について、図4〜図7を用いて説明する。図4は、マルチチャンネルSQUIDセンサの各磁気センサで計測された計測磁場波形である。図5(a)〜(d)は、刺激後50、85、140、160ms(ミリ秒)後の計測面での計測磁場の空間パターンを示す。なお、この図5において、左列側の図は頭部を左後方から見た図であり、中列側の図は頭部を右後方から見た図であり、右列側の図は頭部を真上から見た図である。図6(a)〜(d)は、前述のステップS3でさらに数式(9)を用いて算出した仮想磁場パワーを解剖学的三次元画像(脳皮質表面に関する三次元画像)に重ね合わせ表示した場合の刺激後50、85、140、160ms(ミリ秒)後の仮想磁場の空間パターンを示す。なお、この図6において、左列側の図は脳を左側方から見た図であり、中列側の図は脳を右側方から見た図であり、右列側の図は脳を真上から見た図である。図7(a)〜(c)は、脳皮質表面上の所定の仮想的計測点を示す図であり、図7(d)は図7(a)〜(c)に示した仮想的計測点における仮想磁場波形である。
【0047】
図5(a)の刺激後50msにおける計測面での計測磁場の空間パターンと、図6(a)の刺激後50msにおける脳皮質表面での仮想磁場の空間パターンとの比較からも明らかなように、本法を用いることにより、手の1次感覚野に相当する中心溝近傍から磁場が発生していることがわかる。つまり、図5(a)では活動部位を詳細に把握することができないが、図6(a)では活動部位を詳細に把握することができる。図6(a)の破線で囲まれた部分および図6(a)の破線で囲まれた部分から磁場が発生している、すなわち、中心溝近傍から磁場が発生していることがわかる。
【0048】
また、図5(b)の刺激後85msにおける計測面での計測磁場の空間パターンと、図6(b)の刺激後85msにおける脳皮質表面での仮想磁場の空間パターンとを比較すると、図5(b)の計測パターンからは認識できない2箇所の活動部位(手の2次感覚野に相当する側頭葉弁蓋と頭頂葉後部)を図6(b)では認識することができる。
【0049】
さらに、図7からは、手の刺激に伴う脳活動の時間的変化が脳溝位置と関連付けてわかる。
【0050】
上述したように本実施例によれば、前述のステップS1では、予め求められた被検体Mの関心領域(例えば脳)を内部に含む計測面の生体信号データに基づいて、この生体信号データと、計測面の内部中心点からその計測面上の点までの距離とを積算した関数を算出する。前述のステップS2では、前述のステップS1で積算された関数の値を、関心領域の内部に仮想的に設定された複数個の点電荷の生成する電位信号を用いて近似する。前述のステップS3では、前述のステップS2で近似に用いた点電荷から関心領域の境界面(例えば、脳皮質表面)上に設定された仮想的計測点における生体信号を算出する。前述のステップS4では、算出された仮想的計測点における生体信号(仮想生体信号)を、関心領域の境界面についての解剖学的三次元画像情報と関連付けて表示させる。
【0051】
したがって、関心領域を計測した計測面の生体信号データに基づいてこの関心領域の境界面における磁場を求めるに留め、関心領域内部の生体活動電流源の位置を算出しないこととしているので、関心領域の内部位置(関心領域の深さ方向の位置)にまで踏み込んで生体活動電流源の位置を求める際に生じ易い偽の生体活動電流源の出現を解消することができる。また、関心領域の境界面についての解剖学的三次元画像情報上に、前記の求められた境界面上での生体磁場を関連付けて表示することができるので、関心領域の境界面上での活動部位を把握することができる。
【0052】
また、マルチチャンネルSQUIDセンサ1は、計測面の生体信号データを所定時刻ごとに取得する。前述のステップS1では、関数W を所定時刻ごとにそれぞれ求める。前述のステップS2では、前述のステップS1で求められた所定時刻ごとの各関数W の値を、関心領域の内部に仮想的に設定された複数個の点電荷の生成する電位信号を用いてそれぞれ近似する。前述のステップS3では、前述のステップS2で近似に用いた所定時刻ごとの点電荷Qから関心領域の境界面上に設定された仮想的計測点における生体信号をその所定時刻ごとに算出する。前述のステップS4では、前述のステップS3で算出された所定時刻ごとの仮想生体信号を、その時刻ごとに解剖学的三次元画像情報に表示させる。したがって、関心領域の境界面における生体磁場を時間変化とともに観測することができ、関心領域のネットワーク、つまり、関心領域の活動部位のタイムコースを求めることができる。
【0053】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0054】
(1)上述した本実施例では、関心領域を脳としているが、脳以外でも、心臓など生体活動を求めるべき部位に用いることができる。
【0055】
(2)さらに、活動部位の把握が解剖学的構造との関連のみでは不十分な場合には、活動部位を正確に算出するための非線形最適化法の初期値として本法の結果を利用することもできる。
【0056】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、関心領域を計測した計測面の生体信号データに基づいてこの関心領域の境界面における磁場を求めるに留め、関心領域内部の生体活動電流源の位置を算出しないこととしているので、関心領域の内部位置(関心領域の深さ方向の位置)にまで踏み込んで生体活動電流源の位置を求める際に生じ易い偽の生体活動電流源の出現を解消することができる。また、関心領域の境界面についての解剖学的三次元画像情報上に、前記の求められた境界面上での生体磁場を関連付けて表示することができるので、関心領域の境界面上での活動部位を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る生体活動解析装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本実施例に係る演算部での生体活動解析プログラムの処理内容を示すフローチャートである。
【図3】計測面での計測データに基づいて関心領域の境界面上の仮想磁場を算出することを説明するための模式図である。
【図4】マルチチャンネルSQUIDセンサの各磁気センサで計測された計測磁場波形である。
【図5】(a)〜(d)は、刺激後50、85、140、160ms後の計測面での計測磁場の空間パターンを示す。
【図6】(a)〜(d)は、数式(9)で算出した仮想磁場パワーを脳皮質表面の三次元画像に表示した場合の刺激後50、85、140、160ms後の仮想磁場の空間パターンを示す。
【図7】(a)〜(c)は、脳皮質表面上の所定の仮想的計測点を示す図であり、(d)は(a)〜(c)に示した仮想的計測点における仮想磁場波形である。
【符号の説明】
1 … マルチチャンネルSQUIDセンサ
7 … ポジショニング部
8 … 演算部
9 … メモリ部
10 … カラーモニタ
M … 被検体
Q … 点電荷
   … 磁気センサによる計測点
x’ … 仮想的計測点
W … 関数

Claims (2)

  1. 被検体内の生体活動を解析するための演算をコンピュータに実行させるための生体活動解析プログラムであって、(a)予め求められた被検体の関心領域を内部に含む計測面の生体信号データに基づいて、前記生体信号データと、前記計測面の内部中心点からその計測面上の点までの距離とを積算した関数を算出する関数算出過程と、(b)前記関数算出過程で積算された関数の値を、前記関心領域の内部に仮想的に設定された複数個の点電荷の生成する電位信号を用いて近似する電位信号算出過程と、(c)前記電位信号算出過程で近似に用いた点電荷から前記関心領域の境界面上に設定された仮想的計測点における生体信号を算出する仮想生体信号算出過程と、(d)前記(c)で算出された仮想生体信号を、前記関心領域の境界面についての解剖学的三次元画像情報と関連付けて表示させる仮想生体信号表示過程と、を備えることを特徴とする生体活動解析プログラム。
  2. 請求項1に記載の生体活動解析プログラムにおいて、(a’)前記関数算出過程は、所定時刻ごとに取得された計測面の生体信号データに基づいて、前記関数を前記所定時刻ごとにそれぞれ求め、(b’)前記電位信号算出過程は、前記関数算出過程で求められた所定時刻ごとの各関数の値を、前記関心領域の境界面上にそれぞれ個別に近似し、(c’)前記仮想生体信号算出過程は、前記電位信号算出過程で近似に用いた所定時刻ごとの点電荷から前記関心領域の境界面上に設定された仮想的計測点における生体信号をその所定時刻ごとに算出し、(d’)前記仮想生体信号表示過程は、前記仮想生体信号算出過程で算出された所定時刻ごとの仮想生体信号を、その時刻ごとに前記解剖学的三次元画像情報に表示させることを特徴とする生体活動解析プログラム。
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JP2019162278A (ja) * 2018-03-19 2019-09-26 株式会社リコー 計測装置およびシステム

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