JP4639350B2 - 電流双極子の位置および方向の推定方法 - Google Patents

電流双極子の位置および方向の推定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4639350B2
JP4639350B2 JP2004245926A JP2004245926A JP4639350B2 JP 4639350 B2 JP4639350 B2 JP 4639350B2 JP 2004245926 A JP2004245926 A JP 2004245926A JP 2004245926 A JP2004245926 A JP 2004245926A JP 4639350 B2 JP4639350 B2 JP 4639350B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brain
pixel
pixels
current dipole
current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004245926A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006061321A (ja
Inventor
治 樋脇
Original Assignee
公益財団法人ひろしま産業振興機構
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 公益財団法人ひろしま産業振興機構 filed Critical 公益財団法人ひろしま産業振興機構
Priority to JP2004245926A priority Critical patent/JP4639350B2/ja
Publication of JP2006061321A publication Critical patent/JP2006061321A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4639350B2 publication Critical patent/JP4639350B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)
  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)

Description

本発明は、脳の神経活動の有無を示す電流双極子の存在するべき領域および方向を限定した電流双極子の位置および方向の推定方法、およびそれを用いた脳活動部位推定方法に関するものである。
脳における活動部位は、脳の活動に伴い頭皮上に現れる電位を電極で計測した脳電位から推定することができる。前記脳電位測定を行うために、電流双極子の位置を推定する必要がある。推定方法は、現在脳を球として近似したものや、有限要素に分解したものを用いて電流双極子の位置を推定する方法が多用されている。
図14に従来の電流双極子の推定方法を示す。図14は実形状4層頭蓋モデルの斜視図である。図示のごとく、4層頭蓋モデルは脳質21、脳髄液22、頭蓋骨23、頭皮24の4層領域よりなる。脳質21、脳髄液22、頭蓋骨23、頭皮24の領域をそれぞれΩ、Ω、Ω、Ωとしたとき、電流双極子は領域Ω内にのみ発生する。
また、脳質21、脳髄液22、頭蓋骨23、頭皮24の導電率をそれぞれσ、σ、σ、σとして、境界要素法を用いて行列連立方程式を解く。次に、伝達行列の計算を行い、その結果を用いて電極位置の電位を求め、電流双極子の真の位置とベクトル成分を推定する(例えば特許文献1参照。)。
特開平8−257004号公報
従来の脳活動部位の推定方法では、脳を球として近似したものや有限要素に分解したものを用いて電流双極子の位置を推定する場合が多いため、簡便であるという利点を有する。
しかしながら、電流双極子は神経細胞の位置に存在し、その方向は神経細胞の走行方向に出現しなければならず、前記推定方法ではこの要件を満たしていない。そのため、電流双極子の正確な位置の推定が困難であるだけでなく、本来電流双極子が存在するはずのない部位に電流双極子を推定してしまう場合があるという問題があった。
また、一般的に脳電位から推定される脳の活動部位は、電流双極子として推定されるが、脳の神経細胞の並び方を考慮していない推定法では電流双極子の方向を予め制限していないため計算量が膨大となる。さらに、脳の形は人によってそれぞれ異なるため、各々の脳の形に適した電流双極子の位置を推定することが困難であるという問題があった。
また、脳の活動により発生する電流双極子が分布する位置と方向と大きさを推定する電流双極子の推定方法であって、前記脳の画像を取得して脳表画素を特定するステップと、それぞれの前記脳表画素について脳外に向かう単位法線ベクトルを算出し、該単位法線ベクトルの位置及び方向をそれぞれ前記電流双極子が分布する位置及び方向と仮定し、該電流双極子の位置及び方向に限定して前記単位法線ベクトルを用いて前記電流双極子の大きさの分布を求めるステップと、を具備することにより解決するものである。
また、脳の活動により発生する電流双極子が分布する位置と方向と大きさを推定する電流双極子の推定方法であって、前記脳の画像を取得するステップと、前記画像を脳内と脳外の判別が可能な複数の画素に分割し、行×列の前記画素からなる画素群を構成するステップと、上下に連続する複数の前記画素群から脳外と脳内を判別し脳表画素を特定するステップと、前記脳表画素を中心とした行×列×段の前記画素からなる立方画素群を抽出し、該立方画素群のうちの脳外画素を選択するステップと、前記脳表画素から前記立方画素群内の前記脳外画素に対する少なくとも1つの単位ベクトルを算出するステップと、前記各単位ベクトルの和を正規化して前記脳表画素の単位法線ベクトルを算出し、それぞれの前記脳表画素の前記単位法線ベクトルの位置及び方向を電流双極子が分布する位置および方向と仮定し、該電流双極子の位置及び方向に限定して該電流双極子の大きさの分布を算出するステップと、を具備することにより解決するものである。
また、前記脳表画素は、脳外の前記画素に隣接する脳内の前記画素で構成されることを特徴とするものである。
また、前記立方画素群は3行×3列×3段の27画素からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、第1に、電流双極子の領域を大脳皮質に限定し、かつ電流双極子の方向を大脳皮質の表面(脳表)に対して垂直方向に限定することにより、電流双極子の位置および方向を効率よくかつ正確に推定することが可能となる。
第2に、脳のMRIデータを用いて脳の3次元輪郭を抽出するため、脳を球として近似する必要がなく、個々の脳の形に適した電流双極子を推定することが可能となる。
第3に、対象となる画素を中心とした立方画素群から脳表画素を特定することによって正確な脳表の位置を特定することができる。
第4に、脳表から脳外に向かう単位法線ベクトルを求めるため、脳表に対する垂直方向を正確に得ることができる。
第5に、対象となる脳表画素の単位法線ベクトルは、その脳表画素に隣接した画素群、すなわち脳表画素を中心とした3行×3列×3段の立方画素群を用いて求めることができる。つまり、必要最小限の画素群からなる立方画素群により脳表画素の単位法線ベクトルを求めることができるため、それにかかる計算量が最小ですむ。
第6に、電流源の位置を大脳皮質に限定し、かつ電流源の方向を大脳皮質の表面(脳表)に対して垂直方向に限定することにより、脳活動部位の位置および方向を効率よく正確に推定することが可能となる。
図1から図6を参照して本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の実施の形態では、脳の神経活動の有無を示す電流双極子の領域を大脳皮質に限定し、その方向を大脳皮質の表面に対して垂直に限定して電流双極子の位置および方向の推定を行う。
図1は、電流双極子の位置および方向の推定方法のフローチャート図である。
本発明の電流双極子の推定方法は、前記脳の画像を取得するステップと、前記画像を脳内と脳外の判別が可能な複数の画素に分割し、行×列の前記画素からなる画素群を構成するステップと、上下に連続する複数の前記画素群から脳外と脳内を判別し脳表画素を特定するステップと、前記脳表画素を中心とした行×列×段の前記画素からなる立方画素群を抽出し、該立方画素群のうちの脳外画素を選択するステップと、前記脳表画素から前記立方画素群内の前記脳外画素に対する少なくとも1つの単位ベクトルを算出するステップと、前記各単位ベクトルの和を正規化して前記脳表画素の単位法線ベクトルを算出し、それぞれの前記脳表画素の前記単位法線ベクトルの位置及び方向を電流双極子が分布する位置および方向と仮定し、該電流双極子の位置及び方向に限定して該電流双極子の大きさの分布を算出するステップと、から構成される。
第1のステップは、脳の画像を取得するステップである(ステップS1)。
まず、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)により被験者のMR(Magnetic Resonance)画像を取得する。図2は取得した1枚のMR画像データ図である。図示のごとく、MR画像1はグレースケールの情報をもつ2次元画像で構成されている。脳の3次元画像は、MR画像1のような頭部の水平断層像を約1mm間隔で撮影し、連続的に取得することによって構築される。なお、図2、図4から図6、図11および図12(後述)では、脳外を黒色、脳内を白色および灰色でそれぞれ表示している。
第2のステップは、前記画像を脳内と脳外の判別が可能な複数の画素に分割し、行×列の前記画素からなる画素群を構成するステップである(ステップS2)。
脳磁界の発生源となるのは主に大脳皮質の表面に対して垂直に配列している大脳皮質内の錐体細胞の活動であると考えられている。
図3は、大脳皮質の概要図である。図3(A)は大脳皮質4内に流れる電流双極子の概要図である。大脳皮質4においては多数の錐体細胞が存在することが知られている。この錐体細胞が集団的に活動すれば、その活動電流13の流れは図3(A)に示すように大脳皮質4の表面、すなわち脳表12に向かって垂直な方向となる。この時間的に同期して活動する神経細胞群の電流は集合すると、まとまった値となる。
図3(B)は電流から発生する磁界の概要図である。図示のごとく、大脳皮質4内の神経細胞群に集中した一方向の電流が流れれば、その周りに右ねじの法則に従って磁界15が発生する。つまり、脳磁界は主に脳表12に対して垂直に配列した大脳皮質4内の錐体細胞の活動により生じるものだと考え、本実施形態では電流源の位置を大脳皮質4に、方向を脳表12に対して垂直な方向に限定する。
そのためにまず脳表12の特定を行う。脳表12はMR画像を基に脳内および脳外を判別することにより特定する。従って、まずMR画像を脳内および脳外を含む画素群に分割する。
図4は図2の一部の画素群2を模式的に表した拡大図である。本実施の形態では、MRIにより取得したMR画像1(図2参照)のような水平断層像を一辺の長さが約1mmの正方形の画素ごとに分割する。そしてその操作を全てのMR画像に対して行う。そのMR画像の各画素のグレースケールの濃淡により、脳外および脳内が判別できる。
第3のステップは、上下に連続する複数の前記画素群から脳外と脳内を判別し脳表画素を特定するステップである(ステップS3)。
脳表画素の特定は、任意の脳内画素を選択し、その脳内画素の周囲にある画素により、その脳内画素が脳表12であるか否かを判断する。脳表12を特定するためには任意の脳内画素に対して上下の画素にも着目する必要がある。そのため本実施の形態では、上下に間隔約1mmで連続する3枚のMR画像を用いて脳表画素の特定を行う。
図5は上下に連続する3枚のMR画像を拡大した画像データ図である。画素群A、B、Cは上下に連続する3枚のMR画像の一部分であり、例えば任意の6×6の画素からなる画素群から構成されている。その画素群A、B、Cの中から任意の脳内画素を選択し、前記脳内画素の周囲にある計26個の画素のうち1画素でも黒色の画素が存在すると、その画素を脳表12とする。
例えば、図5に示す画素群Bの5行4列目の脳内画素(B[4][3]と表記する。以下同様)を選択すると、その脳内画素と隣接する画素は、画素群AでB[4][3]の上方に位置するA[4][3]を中心とした3×3(=9)画素と、画素群BでB[4][3]を中心とした3×3(=9)画素のうち、B[4][3]を除いた8画素と、画素群CでB[4][3]の下方に位置するC[4][3]を中心とした3×3(=9)画素の合計26画素である。そのうちA[3][2]、A[3][3]、A[4][4]、B[3][3]、B[3][4]、B[4][4]、C[3][3]、C[4][4]が黒色であるため、B[4][3]は脳表12と見なすことができる。
第4のステップは、前記脳表画素を中心とした行×列×段の前記画素からなる立方画素群を抽出し、立方画素群のうちの脳外画素を選択するステップである(ステップS4)。
本ステップでは脳表画素に隣接する画素のうち脳外画素を選択するため、ステップS3で特定された脳表画素を中心として、立方画素群14を抽出する。すなわち、立方画素群は、図5に示すごとく、B[4][3]を中心とした3×3×3(=27)画素の立方画素群14が抽出される。立方画素群14の中で、A[3][2]、A[3][3]、A[4][4]、B[3][3]、B[3][4]、B[4][4]、C[3][3]、C[4][4]が黒色であるため、これらの画素が1つの脳表画素に対する脳外画素として特定される。
第5のステップは、前記脳表画素から前記立方画素群内の前記脳外画素に対する少なくとも1つの単位ベクトルを算出するステップである(ステップS5)。
前述したように、脳磁界の発生源となるのは主に大脳皮質4の表面に対して垂直に配列している大脳皮質4内の錐体細胞の活動であると考えられている。そこで、本実施形態では、電流双極子の方向を錐体細胞が神経を伸ばしている方向、すなわち大脳皮質4の表面に対して垂直な方向に限定する。そのために、脳表画素に隣接する全ての脳外画素を求め(ステップS4)、本ステップでは脳表画素から全ての脳外画素へのベクトルを算出する。
図6は脳表画素から脳外画素へのベクトルを示す図である。
前記脳表画素からステップS4で選択された脳外画素へのベクトル群5をそれぞれ計算し、各ベクトル方向の単位ベクトル群を算出する。
第6のステップは、前記各単位ベクトルの和を正規化して前記脳表画素の単位法線ベクトルを算出し、それぞれの前記脳表画素の前記単位法線ベクトルの位置および方向を電流双極子が分布する位置および方向と仮定し、該電流双極子の位置及び方向に限定して該電流双極子の大きさの分布を算出するステップである(ステップS6)。
図7は、脳表画素B[4][3]の単位法線ベクトルを示す図である。単位法線ベクトル6は、算出した各単位ベクトル群の和ベクトルを求め、この和ベクトル方向の単位ベクトルとして求める。
この手順により、全ての脳表画素に対して単位法線ベクトルを算出する。この単位法線ベクトルの位置および方向が電流双極子の位置および方向となる。
上述した手順を行うことにより、全ての脳表12に対する電流双極子の位置および方向を推定する。
一般に、測定した電界分布、磁界分布からその発生源となる電流双極子の位置、方向、大きさを推定することは逆問題を解くことになる。しかしながら、逆問題の解は一意に決定されず、計算量が膨大となるだけでなく、本来電流双極子が存在するはずのない部位に電流双極子を推定してしまうことがあるため、電流双極子の位置および方向を正確に推定することが困難であった。
しかしながら、上述したように電流双極子の位置を大脳皮質4に、方向を脳表12に対して垂直方向に限定することにより、従来の電流双極子推定方法と比較して計算負荷が軽減され、電流双極子の位置および方向を効率よくかつ正確に推定することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態により求めた電流双極子の推定方法を用いて、電流源の位置および方向を推定することによって脳活動部位の推定を行う。
脳の活動により発生する脳磁界は、電流双極子の位置が発生源となり、電流双極子の方向に発生する。その脳の活動により発生した脳磁界の発生源が電流源となる。つまり、電流源の位置は電流双極子の位置に発生し、その方向は電流双極子の方向となる。そのため、電流源の位置および方向を電流双極子の位置および方向に限定して脳活動部位を推定する。
電流源の値の推定は、上記で算出した電流双極子の列ベクトルを用いて行う。
電流源の値を推定する式を求める方法として、脳内を空間離散化し、全ての格子点に電流要素をあらかじめ配置して、それらの強度分布を推定することで脳内の神経活動を解析することができるL2ノルム法を用いた。
M個のセンサーによって得られた計測磁界ベクトルbは(1)式によって表される。
また、各格子点における実際の電流双極子の列ベクトルpは(2)式によってあらわされる。
また、Lを脳磁計のセンサーと脳内の各格子点における電流双極子との位置関係によって一意に決まるM×Nの係数行列とすると、脳磁計によって頭表面で計測される脳磁界は(3)式によって表すことができる。
従って、電流源ベクトルp´は(4)式で表すことができる。
しかし、一般にLは正則行列でないため、逆行列L−1は存在しない。そこで、(4)式に対して解の二乗ノルムの最小化をはかり、逆行列L−1を求める目的関数である(5)式を用いると、逆行列L−1は(6)式によって表すことができる。
電流源は(4)式と(6)式より求めることができる。しかし、実測ではノイズの影響を考慮する必要がある。そこで、γを電流の推定値に及ぼすノイズの影響を制御するパラメータとし、IをM×Mの単位行列としてチホノフの適切化を用いると、逆行列L−1は(7)式のように表すことができる。
プログラムでは、γの値を計測した磁界データからの信号成分の分散値とノイズ成分の分散値により決定している。
(4)式と(7)式より、導かれる電流源の値は(8)式によって求めることができる。
上述した手法により電流源の位置および方向を特定し、電流源の値を求める。そして、電流源の大きな値を脳活動部位として推定できる。以下、この手法の妥当性について検証を行う。
図8から図13を参照して本推定方法の妥当性についての検証のための具体的な実験方法を説明する。本実験では、脳磁界計測および脳電位計測により脳活動部位の推定を行い、本発明の妥当性について検証を行う。
まず、脳磁界計測による脳活動部位の推定について説明する。脳磁界は、神経活動によって発生する電流源の周囲に発生する磁界であり、その位置および値は刺激部位によって変化する。
図8は、脳磁界計測に用いる脳磁界計測システムの構成図である。
図8(A)はNeuromag社製の脳磁界計測システムVectorview(登録商標)である。図示のごとく、脳磁界計測システム3は被験者の頭部を覆い、脳磁界の値の検出を行うデュワー部8を備える。
図8(B)はデュワー部8の拡大図である。デュワー部8は、液体ヘリウムが充填されたデュワー7とセンサー部9とから構成されている。また、デュワー7には図示しない磁界検出コイルが配置されており、脳から湧き出す磁界をほぼ頭部に垂直な向きで検出する。センサー部9は伝導量子干渉素子(SQUID:superconducting quantum interference device)を用いているため、微弱な脳磁界の値を検出することができる。
図8(C)は、センサー部9のセンサー配置図である。図示のごとく、204チャネルのコイル10が被験者の頭部全体を覆うように配置されており、全頭部における磁界を同時に計測することができる。
被験者は22〜26歳の健常な男性3名とした。刺激部位は左右の手首とした。刺激電極は手首に装着し、動かないように固定した。
図9は、被験者に与える電気刺激に使用する刺激パルス図である。図示のごとく、刺激装置から送られる刺激パルスは刺激時間を5msとし、刺激間隔を500msとした。
なお、被験者によって刺激の感じ方が異なるため、刺激強度は6〜8mAに設定した。また、電気刺激によって脳から発生する磁界は非常に小さいため、頭皮上から記録すると様々なノイズの影響を受ける。そのため、刺激によって誘発された信号成分を検出することが困難である。そこで、刺激開始時にトリガー11をかけて反復計測を行ない、得られた磁界データを加算平均する加算平均法を用いて磁界データを得る。本実験では、加算平均は約200回以上行い、その結果を解析データとして用いた。
図10は、脳磁界計測および脳電位計測による脳活動部位推定を行うフローチャート図である。
第1のステップは、被験者の刺激部位に電気刺激を与えるステップである(ステップS11)。上述したように、本実施の形態では被験者の刺激部位を左右の手首とした。
第2のステップは、前記電気刺激により発生する脳磁界もしくは脳電位の計測を行うステップである(ステップS12)。本実験では脳磁界の計測を行う。脳磁界の値は脳磁界計測システム3(図8(A)参照)を用いて計測する。
第3のステップは、予め取得したMR画像(図1のステップS1)を基に、脳表画素ごとの単位法線ベクトルを算出するステップである(ステップS13)。上述したように、脳内画素を中心とした3行×3列×3段の立方画素群のうち、1画素でも脳外画素が存在した場合、その脳内画素を脳表画素と特定する(図1のステップS2からステップS4)。
また、単位法線ベクトルは脳表画素から立方画素群中の全ての脳外画素への単位ベクトルの和ベクトルを正規化して算出する(図1のステップS5からステップS6)。
第4のステップは、前記単位法線ベクトルを用いて電流源の値を算出するステップである(ステップS14)。本実施形態では推定アルゴリズムとしてL2ノルム法を用いる。電流源の値は、式(3)において、ベクトルbにステップS12で計測した脳磁界データを代入し、LにステップS13で算出した各脳表画素の単位法線ベクトルから計算される各センサーでの磁界を代入することによって求めることができる。
第5のステップは、前記電流源の値の大きな値となる部位を脳活動部位とするステップである(ステップS15)。ステップS14により算出した電流源の値のうち、大きな値を示した電流源の部位を脳活動部位として推定する。
以上の手順により、脳磁界計測による脳活動部位の推定を行う。
図11は、各被験者の右手首刺激における電流源推定結果である。図11の右図は左図の四角で囲まれている脳を拡大した図である。本実施の形態では一例として0から電流源の最大値までを10段階に等分割し、各段階を色分けして表示することにした。そして、他の部位より電流源が大きい値の部位を脳活動部位として推定する。
図11の右図の丸で囲まれている部分は例えば8段階以上の電流源の値が推定された場所であり、これを本実施形態による脳活動部位として推定する。図示のごとく、全ての被験者において、この領域は左半球の中心溝と中心後溝に挟まれているため体性感覚野に確当する部分であるということがわかる。
この電流源推定結果の脳の左半球部分と図12に示すペンフィールドの脳の左半球部分の機能局在図を比較すると、本発明による脳活動部位推定方法では、左半球の手首の刺激による電流源が推定されており、ペンフィールドの脳の機能局在図とほぼ一致する結果となった。ゆえに、本実施形態の脳活動部位推定方法による右手首刺激における脳活動部位は正確に推定することができる。
また、左手首刺激における脳活動部位推定を行った結果、全ての被験者において電流源が体性感覚野に推定されていたことから、左手首刺激における脳活動部位推定結果も正確に推定することができる。
図13は、一人の被験者に対して行った右足首、右手首、右手中指、右手人差し指、右手親指の刺激における脳活動部位推定結果である。図13は、3次元化した脳の左半球部分を後方から示している。図13中の星形で囲まれた部分が右足首刺激における脳活動部位推定結果であり、三角で囲まれた部分が右手首刺激における脳活動部位推定結果であり、四角で囲まれた部分が右手中指刺激における脳活動部位推定結果であり、五角で囲まれた部分が右手人差し指刺激における脳活動部位推定結果であり、丸で囲まれた部分が右手親指刺激における脳活動部位推定結果である。いずれも電流源の値が8段階以上である等、他の部位より大きい値を示した部位である。
この電流源推定結果の脳の左半球部分と図12に示すペンフィールドの脳の左半球部分の機能局在図を比較すると、本発明による脳活動部位推定方法では、大脳の中央を縦に走る大脳縦列付近の体性感覚野に足首刺激による電流源をはじめ、体性感覚野を下に向かって手首、中指、人差し指、親指刺激による電流源が推定されており、ペンフィールドの脳の機能局在図とほぼ一致する結果となった。ゆえに、本実施形態の脳活動部位推定方法による右足首、右手首、右手中指、右手人差し指、右手親指刺激における脳活動部位推定結果は妥当であると考えられる。
このことより、脳磁界計測における本実施形態の脳活動部位推定方法は、脳活動部位を正確に推定できるといえる。
次に、脳電位計測による脳活動部位の推定について説明を行う。脳電位は神経活動によって電流源が発生する際、媒質表面である頭皮の皮膚上に分布する電位であり、その位置および値は刺激部位によって変化する。
脳電位計測による脳活動部位の推定は、脳磁界計測による脳活動部位の推定と同様の手順で行う。(図10参照)。
体性感覚誘発電位の計測は21チャネルの電極を有する脳波計を用いて行った。被験者は眼瞼を閉じた状態で計測を行う。電気刺激は手首正中神経および手指部に与え、刺激時間を5msとし、刺激間隔を500msとした。
刺激部位に電気刺激を与え(ステップS11)、それによって発生する体性感覚誘発電位の計測を行う(ステップS12)。
次に、本発明の推定方法により脳表12の画素ごとに単位法線ベクトルを求め(ステップS13)、ステップS12により計測したデータを基に、電流源の方向に垂直な方向に限定した電流源の値を算出する(ステップS14)。電流源の値は、式(3)において、ベクトルbにステップS12で計測した体性感覚誘発電位の計測データを代入し、LにステップS13で算出した各脳表画素の単位法線ベクトルから計算される各電極での電位を代入することによって求めることができる。
そして、0から求めた電流源の値の最大値までを10段階に等分割し、他の部位より大きい値が測定された場所を脳活動部位として推定する。(ステップS15)。
以上の手順により推定を行った脳電位計測による脳活動部位と、図12に示すペンフィールドの脳の機能局在図を比較すると、ペンフィールドの脳の機能局在図とほぼ一致する結果となった。
このことより、脳電位計測における本実施形態の脳活動部位推定方法は、脳活動部位を正確に推定することができる。
以上より、本発明の脳活動部位推定方法は、脳磁界計測および脳電位計測のどちらの計測方法を用いても脳活動部位を高い精度で推定することが可能である。
本実施形態では本推定方法の妥当性を検証するため、一例として電流源の最大値までの値を10段階に等分割し、そのうち他の部位より大きい部位(例えば8段階以上)を脳活動部位として推定し説明をした。しかしこれに限らず、電流源の大きさが視覚的に判別できればよく、他の部位より大きい値を示した部位を活動部位とする。このように、本推定法によれば、電流源の大きさの分布を測定することにより、脳の活動の状態を調べることができる。
本発明の電流双極子の位置および方向の推定方法を示すフローチャート図である。 本発明の1枚の脳のMR画像である。 本発明の電流双極子の位置および方向について説明する概要図である。 本発明の脳表画素の分割について説明する画像データ図である。 本発明の脳表画素を中心とする立方画素群を抽出した画像データ図である。 本発明の脳表画素から脳外画素へのベクトルを算出する方法について説明する画像データ図である。 本発明の電流源の方向の算出方法について説明する画像データ図である。 本発明の脳磁界の計測を行うための脳磁界計測システムの構成図である。 本発明の電気刺激に使用する刺激パルス図である。 本発明の脳活動部位推定を行うフローチャート図である。 本発明の各被験者の右手首刺激における電流源推定結果を示す図である。 ペンフィールドの脳の左半球部分の機能局在図である。 本発明の一人の被験者に対して行った右足首、右手首、右手中指、右手人差し指、右手親指の刺激における電流源推定結果を示す脳の左半球部分の図である。 従来の実形状4層頭蓋モデルの斜視図である。
符号の説明
1 MR画像
2 画素群
3 脳磁界計測システム
4 大脳皮質
5 ベクトル群
6 単位法線ベクトル
7 デュワー
8 デュワー部
9 センサー部
10 コイル
11 トリガー
12 脳表
13 活動電流
14 立方画素群
15 磁界
21 脳質
22 脳髄液
23 頭蓋骨
24 頭皮

Claims (4)

  1. 脳の活動により発生する電流双極子が分布する位置と方向と大きさを推定する電流双極子の推定方法であって、
    前記脳の画像を取得して脳表画素を特定するステップと、
    それぞれの前記脳表画素について脳外に向かう単位法線ベクトルを算出し、該単位法線ベクトルの位置及び方向をそれぞれ前記電流双極子が分布する位置及び方向と仮定し、該電流双極子の位置及び方向に限定して前記単位法線ベクトルを用いて前記電流双極子の大きさの分布を求めるステップと、
    を具備することを特徴とする電流双極子の推定方法。
  2. 脳の活動により発生する電流双極子が分布する位置と方向と大きさを推定する電流双極子の推定方法であって、
    前記脳の画像を取得するステップと、
    前記画像を脳内と脳外の判別が可能な複数の画素に分割し、行×列の前記画素からなる画素群を構成するステップと、
    上下に連続する複数の前記画素群から脳外と脳内を判別し脳表画素を特定するステップと、
    前記脳表画素を中心とした行×列×段の前記画素からなる立方画素群を抽出し、該立方画素群のうちの脳外画素を選択するステップと、
    前記脳表画素から前記立方画素群内の前記脳外画素に対する少なくとも1つの単位ベクトルを算出するステップと、
    前記各単位ベクトルの和を正規化して前記脳表画素の単位法線ベクトルを算出し、それぞれの前記脳表画素の前記単位法線ベクトルの位置及び方向を電流双極子が分布する位置および方向と仮定し、該電流双極子の位置及び方向に限定して該電流双極子の大きさの分布を算出するステップと、
    を具備することを特徴とする電流双極子の推定方法。
  3. 前記脳表画素は、脳外の前記画素に隣接する脳内の前記画素で構成されることを特徴とする請求項2に記載の電流双極子の推定方法。
  4. 前記立方画素群は3行×3列×3段の27画素からなることを特徴とする請求項2に記載の電流双極子の推定方法。
JP2004245926A 2004-08-25 2004-08-25 電流双極子の位置および方向の推定方法 Expired - Fee Related JP4639350B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004245926A JP4639350B2 (ja) 2004-08-25 2004-08-25 電流双極子の位置および方向の推定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004245926A JP4639350B2 (ja) 2004-08-25 2004-08-25 電流双極子の位置および方向の推定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006061321A JP2006061321A (ja) 2006-03-09
JP4639350B2 true JP4639350B2 (ja) 2011-02-23

Family

ID=36108300

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004245926A Expired - Fee Related JP4639350B2 (ja) 2004-08-25 2004-08-25 電流双極子の位置および方向の推定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4639350B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5252383B2 (ja) * 2007-02-06 2013-07-31 公立大学法人広島市立大学 生体内電流双極子の推定方法
JP4836140B2 (ja) * 2007-03-23 2011-12-14 独立行政法人産業技術総合研究所 脳活動解析方法および装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08257004A (ja) * 1995-03-24 1996-10-08 Honma Saburo 双極子の推定方法
JP2005169087A (ja) * 2003-11-19 2005-06-30 Hiroshima Industrial Promotion Organization 神経細胞刺激部位の推定方法およびそれを用いた脳機能解析装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08257004A (ja) * 1995-03-24 1996-10-08 Honma Saburo 双極子の推定方法
JP2005169087A (ja) * 2003-11-19 2005-06-30 Hiroshima Industrial Promotion Organization 神経細胞刺激部位の推定方法およびそれを用いた脳機能解析装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006061321A (ja) 2006-03-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hedrich et al. Comparison of the spatial resolution of source imaging techniques in high-density EEG and MEG
Neggers et al. A stereotactic method for image-guided transcranial magnetic stimulation validated with fMRI and motor-evoked potentials
Vorwerk et al. A guideline for head volume conductor modeling in EEG and MEG
Molins et al. Quantification of the benefit from integrating MEG and EEG data in minimum ℓ2-norm estimation
EP2624748B1 (en) Device for use in electro-biological signal measurement in the presence of a magnetic field
Hansen et al. MEG: An introduction to methods
US6370414B1 (en) System and method for measuring, estimating and displaying RMS current density maps
Jaiswal et al. Comparison of beamformer implementations for MEG source localization
Lei et al. A parallel framework for simultaneous EEG/fMRI analysis: methodology and simulation
Vrba et al. Fetal MEG redistribution by projection operators
Bonaiuto et al. Laminar dynamics of high amplitude beta bursts in human motor cortex
Yoshioka et al. Evaluation of hierarchical Bayesian method through retinotopic brain activities reconstruction from fMRI and MEG signals
Numssen et al. Efficient high-resolution TMS mapping of the human motor cortex by nonlinear regression
Von Ellenrieder et al. Electrode and brain modeling in stereo-EEG
Im et al. Spatial resolution of EEG cortical source imaging revealed by localization of retinotopic organization in human primary visual cortex
Kobayashi et al. Systematic source estimation of spikes by a combination of independent component analysis and RAP-MUSIC: I: Principles and simulation study
JP5252383B2 (ja) 生体内電流双極子の推定方法
Inuggi et al. Motor area localization using fMRI-constrained cortical current density reconstruction of movement-related cortical potentials, a comparison with fMRI and TMS mapping
Papanicolaou Clinical magnetoencephalography and magnetic source imaging
Medani et al. Realistic head modeling of electromagnetic brain activity: an integrated Brainstorm-DUNEuro pipeline from MRI data to the FEM solutions
Valdés-Hernández et al. Validating non-invasive EEG source imaging using optimal electrode configurations on a representative rat head model
Jatoi et al. EEG‐based brain source localization using visual stimuli
JP4639350B2 (ja) 電流双極子の位置および方向の推定方法
JP4482660B2 (ja) 神経細胞刺激部位の推定方法およびそれを用いた脳機能解析装置
Im et al. Anatomically constrained dipole adjustment (ANACONDA) for accurate MEG/EEG focal source localizations

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070510

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100520

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100804

RD13 Notification of appointment of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7433

Effective date: 20100824

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100917

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100928

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101102

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees