JP2004064240A - 無線通信方法、無線通信システム及び無線端末装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無線電話システムなどのセルラ方式の無線通信システムで、効率良く送信ダイバーシティを行う。
【解決手段】端末局の移動により、無線通信を行う基地局を第1の基地局から第2の基地局に切換えるハンドオーバー処理として、端末局に対して送信するシンボル系列を、第1の基地局で直交符号化して無線送信した状態から、シンボル系列を第1の基地局に割当てられた直交符号と、第2の基地局に割当てられた直交符号で符号化して、それぞれの基地局から1つ又は複数の同じ周波数で無線送信した状態とし、さらにその後、シンボル系列を第2の基地局で直交符号化して無線送信した状態とする処理を行う。
【選択図】 図4
【解決手段】端末局の移動により、無線通信を行う基地局を第1の基地局から第2の基地局に切換えるハンドオーバー処理として、端末局に対して送信するシンボル系列を、第1の基地局で直交符号化して無線送信した状態から、シンボル系列を第1の基地局に割当てられた直交符号と、第2の基地局に割当てられた直交符号で符号化して、それぞれの基地局から1つ又は複数の同じ周波数で無線送信した状態とし、さらにその後、シンボル系列を第2の基地局で直交符号化して無線送信した状態とする処理を行う。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばセルラ方式の無線電話システムに適用して好適な無線通信方法及び無線通信システム、並びにこのシステムに適用される無線端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無線伝送を効率良く行う方法の1つとして、送信ダイバーシティがある。一般にダイバーシティと言われる方法は、受信側で複数のアンテナを備えて、それぞれのアンテナで受信された信号を、受信回路で合成する受信ダイバーシティと称される処理である。これに対して、送信ダイバーシティとは、送信アンテナを複数用意して、複数のアンテナから同時に送信される信号を、受信側の端末で同時に受信して、受信回路内で合成するものである。具体的には、送信機では、1系統の送信データを変調した後、変調シンボルが直交するように符号化を行って複数のシンボル系列を生成し、各シンボル系列をアンテナ間が無相関となるような複数の送信アンテナを用いて並列に送信し、受信機は複数伝搬路を経由した到来波を受信した後、並列に送信されたシンボル系列を分離し、最大比合成を行うことによってダイバーシティ利得を得る方式である。
【0003】
図16は、送信ダイバーシティを行う場合の送信側と受信側の構成例を示した図である。この構成例は、Alamoutiの手法による送信ダイバーシティ手法であり、図16の例では、送信アンテナ数2、受信アンテナ数1の例である。送信機では、送信データd0,d1,d2,d3を、変調部11で変調して変調シンボルs0,s1を生成する。ここでは、変調シンボルs0は時刻t=1に出力され、変調シンボルs1は時刻t=2に出力されるものとする。生成された2シンボルs0,s1は、直交符号部12で直交符号化して、シンボルs0,−s1と、シンボルs1,s0* に符号化される。シンボルs0* は、シンボルs0の複素共役である。直交符号化された一方のシンボルs0,−s1は、一方の送信アンテナ13から時刻t=1,2の順で送信され、他方のシンボルs1,s0* は、他方の送信アンテナ14から時刻t=1,2の順に送信される。
【0004】
受信機では、1本のアンテナ15で、2つのアンテナ13,14から送信された信号を受信する。受信信号は、チャンネル推定部16で伝搬路推定を行い、合成部17で2系統の受信シンボルの合成を行い、それぞれの結果を最尤検出部18に送り、最尤検出部で受信したシンボル系列については最尤判定を行い、最尤判定シンボルを復調部19に送り、復調部19で供給されたシンボルの復調を行う。
【0005】
ここで、アンテナ13,14から無線送信された信号は、それぞれ伝搬路h0(t)、h1(t) を通過した到来波であるとし、伝搬路が時刻t=1,2で変動しないとすると、各時刻における伝搬路特性は以下のように表せる。
【0006】
【数1】
【0007】
このとき、時刻t=1,2における受信信号は次式で与えられる。
【0008】
【数2】
【0009】
n0,n1 は複素ランダム雑音+干渉である。送信シンボルsiとsk (i≠k)について最尤判定を用いると、以下のようにユークリッド距離で比較することができる。
【0010】
【数3】
【0011】
〔数3〕式の場合、送信シンボルはsiと判定する。ここで、d2(x,y) は次式で定義される信号x とy との間の2乗ユークリッド距離である。
【0012】
【数4】
【0013】
図16に示した受信側での合成部17では、〔数1〕式と〔数2〕式を用いて以下の2つの合成信号を生成し、それぞれ最尤判定部18に送る。
【0014】
【数5】
【0015】
ここで、それぞれのアンテナからの伝搬路特性が判っていれば、信号s0,s1* は分離可能であり、〔数5〕式を〔数3〕式に代入して展開することで、次式が得られる。
【0016】
【数6】
【0017】
さらに、
【0018】
【数7】
【0019】
を〔数6〕式にそれぞれ加算して展開すると、最終的に次式が得られる。
【0020】
【数8】
【0021】
〔数8〕式は、送信データs0は送信可能な全信号点のうちsiを送信シンボルとして最尤判定した結果であり、送信データs1についても同様な判定式が得られる。このことから、受信ダイバーシティと同様に送信ダイバーシティにおいても最大比合成によるダイバーシティ利得が得られる。
【0022】
図16に示す構成で送信ダイバーシティを行う場合には、送信アンテナ2本で異なったシンボルを同タイミングで送信できるように制御する必要がある。また、システムの送信電力が制限された場合、2本の送信アンテナから等しい送信電力を得るためには各シンボルに割当てる電力を1/2にしなければならず、誤り率で3dBの劣化を招く。しかし、増幅器で扱う電力3dBを軽減することは非常に重要であり、2つの増幅器で半分ずつ電力増幅を行う方が1つの増幅器で2倍の電力増幅を行うより安価である。RF電力の制限がなければ、送信総電力を2倍にすることで3dB向上を図れる。さらに、送信ダイバーシティを行う受信機は1本のアンテナでも、伝搬路状態によっては受信ダイバーシティと同等の最大比合成が得られるので、受信ダイバーシティを行う受信機に比べて、端末装置の小型化が図れる方式である。
【0023】
このような送信ダイバーシティは、例えば携帯電話システムの1つの方式であるWCDMA方式に、比較的容易に適用可能である。即ち、WCDMA方式では基地局毎に異なった系列あるいは異なったタイミングオフセットを持つ拡散符号を採用しているので、RAKE受信機を用いると受信機における伝搬路推定が可能であり、送信ダイバーシティを比較的容易に実現できる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図16に示したような送信ダイバーシティを行えば、利得向上を図ることができ、効率良く無線伝送できる。マルチパス等の伝搬路において、相互に相関が小さい複数伝搬路を通過した信号が等電力の場合、ダイバーシティを行うことで大きな利得が得られる。そのため、セル境界といった複数基地局からの信号電力がほぼ等しい領域ほどダイバーシティ利得が得られると予測できる。
【0025】
無線電話システム以外でも、例えば無線LAN(Local Area Network:構内情報通信網)の規格であるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers )802.11方式や、ディジタル放送において広く採用されているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex :直交周波数分割多重)方式の場合にも、送信ダイバーシティを用いることができれば、利得向上が図れることは確かであるが、これらの無線伝送方式では、一般的に基地局と移動局の通信チャンネルは、TDMAあるいはFDMAでチャンネル分割されているため、WCDMA方式のような同一周波数による送信ダイバーシティを用いた利得向上を図ることは難しかった。
【0026】
さらに、移動局毎に音声、データ、画像といった複数のメディアを伝送する場合、移動局毎のデータ量および所望品質に合わせて通信チャンネル割当を柔軟に行える可変データレート伝送方式が望まれるが、送信ダイバーシティを、このような可変データレート伝送に組み合わせる場合における、適切な伝送方式は従来提案されてなかった。
【0027】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、送信ダイバーシティを携帯電話システムの如き無線伝送システムに適切に組み合わせて、無線伝送効率を向上させることを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の基地局で構成される無線通信エリア内で、端末局との間で無線通信を行う場合に、端末局の移動により、無線通信を行う基地局を第1の基地局から第2の基地局に切換えるハンドオーバー処理として、端末局に対して送信するシンボル系列を、第1の基地局で直交符号化して無線送信した状態から、シンボル系列を第1の基地局に割当てられた直交符号と、第2の基地局に割当てられた直交符号で符号化して、それぞれの基地局から1つ又は複数の同じ周波数で無線送信した状態とし、さらにその後、シンボル系列を第2の基地局で直交符号化して無線送信した状態とすることを特徴とする。
【0029】
このようにしたことで、ハンドオーバー処理時に、複数の基地局から端末局への送信ダイバーシティ処理が行われることになり、無線通信エリアが切換わる際の通信状態を向上させることが可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図15を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。
【0031】
本例においては、セルラ方式の無線電話システムに適用したものである。図1は、本例の無線電話システムの全体構成例を示した図である。まず、セルラ方式の無線通信の概略構成について図1を参照しながら説明する。
【0032】
図1に示すように、セル構成の無線通信システムは、複数の基地局1,2,3‥‥が、適当な間隔で配置されて、それぞれの基地局毎に、端末局(移動局)と無線通信を行うエリアが、セルとして設定されている。各基地局は、セル内に位置する移動局との間で、基地局から移動局へ通信を行う下り回線、移動局から基地局へ通信を行う上り回線を用いて通信を行う。図1では、7つの基地局1〜7を示してあり、それぞれの基地局を中心として構成される無線通信エリアであるセルが連続して設定されている。図1では、セルとセルの境界部は、斜線で示してある。移動局がこの境界部を超えて移動する場合には、通信を行う基地局を切換えるハンドオーバー処理が必要になる。
【0033】
モバイルスイッチングセンタ(以下MSCと称する)8は、上り、下りそれぞれの回線で扱うデータを管理する制御センタであり、下り回線のデータは移動局と通信を行う基地局にスロット毎に送られ、上り回線のデータは基地局で受信した移動局のデータがスロット毎に送られてくる。公衆電話回線ネットワーク9は、MSC8を介して基地局側と接続させてあり、端末局の位置情報などもMSC8で管理され、その位置情報に基づいて、移動局と通信を行う基地局を判断して、その判断された基地局に公衆電話回線ネットワーク9からのデータを振り分ける振り分け機能を有する。またMSC8は、通信中の基地局、端末局それぞれの伝搬路状況を把握して、これら伝搬路状況とそれぞれのデータレート、所望品質に合わせて送信ダイバーシティの有無、送信ダイバーシティを行う場合のスロットあるいはシンボル系列構成に対応した制御を行う。
【0034】
具体的な制御例について説明すると、例えば、移動局が斜線部のセル領域(即ちセルの境界部)に入った場合、MSC8は基地局と移動局から送られてくる受信信号電力ハンドオーバーを行うタイミングを判定して、移動局の受信信号電力が大きくなった隣接基地局へハンドオーバーを行う。図2に、セル境界における基地局受信電力変化例を示す。図2は、基地局1で構成されるセル内にいる端末局(移動局)が、基地局2で構成されるセルに移動した場合の例を示してあり、基地局1での受信信号レベルと、基地局2での受信信号レベルとの比較で、基地局2での受信信号レベルの方が高くなったときに、MSC8側で端末局がセル境界に移動したと判断して、基地局2との通信に切換えるハンドオーバータイミングを決定する。このように単純に受信信号レベルからハンドオーバータイミングを決定するのは、従来の処理である。
【0035】
ここで本例においては、端末局がセル境界の近傍にある場合に、基地局からの送信ダイバーシティを、必要により行うようにしてある。セル境界での送信ダイバーシティの具体的な処理については後述するが、例えば、基地局1と基地局2で同一周波数で同じスロットの使用が可能とすると、基地局1の受信信号レベルが方が大幅に大きいときには、基地局1からのチャンネル1の信号のみを受信し、基地局1と基地局2の受信信号レベルがほぼ等しいセル境界では、基地局1からのチャンネル1とチャンネル2、基地局2からのチャンネル3とチャンネル4を用いて直交符号化を行うことで送信ダイバーシティを行い、基地局2の受信信号レベルが方が大幅に大きいときには、基地局2からのチャンネルの信号のみを受信するように切り替える。このように、セル境界では送信ダイバーシティによってチャンネル数を増加させてダイバーシティ利得を得ること、あるいはチャンネルとスロットを複数ユーザで共用することにより柔軟なチャンネル割当ができるようになる。
【0036】
次に、MSCと基地局の構成例を、図3を参照して説明する。ここでは、MSC8は、送信ダイバーシティの処理に関係した構成だけを示してある。この例は、2つの基地局が、それぞれ2本のアンテナを用いた場合を示している。
【0037】
下り回線の送信は、データがMSC8のスロットデータ割当部101で移動局毎にスロット単位に割り当てられ、スロット単位のデータおよび送信ダイバーシティの有無、さらに送信ダイバーシティを行うときは該当する基地局と移動局で採用する直交符号系列、それぞれの符号シンボルの割当といった制御情報を、該当する基地局の送信部に送る。ここでは、基地局1の送信部111と基地局2の送信部121に送る。この2つの基地局に同時に送るのは、ハンドオーバー時に送信ダイバーシティを行う場合であり、それ以外の場合には、いずれか1つの基地局にだけ送る。
【0038】
データが供給された基地局の送信部111,121では、データをフレーム化した後に変調して変調シンボルを生成し、同一周波数を用いて送信ダイバーシティを行う場合には、制御情報に従って直交符号化し、複数の局で送信タイミングを合わせて送信する。図5の例では、各基地局の送信部の出力は、2本のアンテナに供給して無線送信するようにしてある。即ち、例えば基地局1は、送信部111の出力を、アンテナ共用器113,114を介して2本のアンテナ115,116に供給する構成としてあり、基地局2は、送信部121の出力を、アンテナ共用器123,124を介して2本のアンテナ125,126に供給する構成としてある。
【0039】
各基地局の2本のアンテナは、送信アンテナと受信アンテナを兼用してあり、各基地局の2本のアンテナで受信した信号を、それぞれの受信部112又は122に供給する構成としてある。各受信部112,122での上り回線の信号の受信処理としては、上り回線の送信ダイバーシティが行われている場合、基地局は移動局からの送信された受信信号を、シンボル系列に分離合成し、その分離合成した分離したシンボル系列をMSC8に送る。MSC8では、供給されたシンボル系列のユニークワード部分と、基地局および移動局の隣接基地局の電力情報を伝搬路情報摘出部102,103で取り出して、その取り出された情報の内容を伝搬路情報判定部104で判定し、判定された情報に基づいて、送信ダイバーシティ制御部105で伝搬路推定を行い送信ダイバーシティの有無を判断し、さらに、移動局がセル境界に位置すると判断した場合は、複数基地局を用いた送信ダイバーシティの可能性について判断する。これらの結果に基づいてスロット割当と制御情報を送信ダイバーシティ制御部105で決定して、スロット割当部101および基地局の送信部111,121に最適な制御情報を送る。
【0040】
基地局からMSC8に送られたシンボル系列は、ダイバーシティ合成部106に送られる。ここで、上り回線の信号は送信ダイバーシティが行われている場合には、最尤判定に基づいた合成処理を行い、受信シンボル系列を得、その受信シンボル系列を上り回線データとして出力させる。送信ダイバーシティが行われてない場合には、MSC8に送られたシンボル系列は、そのまま上り回線データとして出力される。
【0041】
図4及び図5は、2つの基地局から移動局(端末局)に、送信ダイバーシティで下り回線の信号を送る場合の、送信部及び受信部のより具体的な構成例を示した図である。図4は、各基地局が2本の送信アンテナを備えて、移動局が1本の受信アンテナを用いた場合の例であり、図5は、各基地局が2本の送信アンテナを備えて、移動局が2本の受信アンテナを用いた場合の例である。
【0042】
MSC8のスロットデータ割当て部201は、供給される下り回線のシンボル系列を、2つの基地局のフレーム生成部202,203に送り、それぞれのフレーム生成部202,203でフレーム構造のデータとし、そのフレーム構造のデータを、変調部204,205に送る。各変調部204,205では、送信用の変調処理を行い、その変調されたシンボルを、直交符号部206,207に送り、直交符号化を行って、2系統の送信信号とする。一方の基地局の直交符号部206で得た2系統の送信信号は、別のアンテナ208,209に供給して、無線送信させる。他方の基地局の直交符号部206で得た2系統の送信信号は、別のアンテナ210,211に供給して、無線送信させる。各直交符号部206,207では、MSC8側から供給される制御情報に基づいて、直交符号化状態が制御される。
【0043】
ここでは、2つの基地局の合計4本のアンテナ208,209,210,211から無線送信される信号は、同一の周波数を使用して無線送信される信号としてあり、アンテナ208から送信される信号をCH1(チャンネル1)、アンテナ209から送信される信号をCH2、アンテナ210から送信される信号をCH3、アンテナ211から送信される信号をCH4としてある。また、アンテナ208から送信されるCH1の信号の伝搬路特性をh0 、アンテナ209から送信されるCH2の信号の伝搬路特性をh1 、アンテナ210から送信されるCH3の信号の伝搬路特性をh2 、アンテナ211から送信されるCH4の信号の伝搬路特性をh3 としてある。
【0044】
移動局(端末局)での受信構成としては、図4の例の場合には、1つのアンテナ221で受信する構成としてある。ここでは、4つのチャンネル(CH1,CH2,CH3,CH4)の受信信号を、受信信号r0,r1,r2,r3 としてあり、このアンテナ221で受信した信号を、伝搬路推定部222に供給して、4つの伝搬路特性h0,h1,h2,h3 の推定を行う。そして、この推定された伝搬路特性h0,h1,h2,h3 に基づいて、信号合成部223で受信信号r0,r1,r2,r3 の合成処理を行い、4系統の合成信号を得、その合成信号を最尤判定部224に送って、伝搬路特性に基づいて判定可能な4つのシンボル系列の内の、自局宛のシンボル系列について最尤判定を行い、最尤判定シンボルを出力する。
【0045】
図5は、移動局(端末局)での受信構成として、2つのアンテナ231,232で受信する構成とした場合の例である。図5の例の場合には、2つの基地局の合計4本のアンテナ208,209,210,211から無線送信される信号の伝搬路として、8つの伝搬路が存在することになり、それぞれを伝搬路特性h0,h1,h2,h3,h4,h5,h6,h7 としてある。伝搬路推定部233では、8つの伝搬路特性h0 〜h7 を推定し、信号合成部234で4系統の合成信号を得、その合成信号を最尤判定部235に送って、伝搬路特性に基づいて判定可能な4つのシンボル系列の内の、自局宛のシンボル系列について最尤判定を行い、最尤判定シンボルを出力する。
【0046】
図6は、受信系が備える伝搬路推定部の構成例を示した図である。例えば、4つの受信信号r0,r1,r2,r3 を、セレクタ301で時分割で選択する。具体的には、例えばシンボル系列のユニークワード部分と、基地局及び移動局の隣接基地局の電力情報の部分を取り出し、その選択された信号を、マッチドフィルタ302を介して伝搬路特性部303に供給し、伝搬路推定部303で、各信号の伝搬路を推定する。
【0047】
図7は、受信系が備える信号合成部の構成例を示した図である。信号合成部は、伝搬路推定部からの伝搬路特性情報を、乗算部311に供給して乗算処理を行い、さらに、受信シンボルを乗算部312に供給して乗算処理を行い、積和演算部313で各乗算信号及び乗算されてない信号の積和演算を行って、4つの4系統の合成信号を得る。
【0048】
図8は、受信系が備える最尤判定部の構成例を示した図である。供給された4系統の信号は、ユークリッド距離計算部314に供給されて、リファレンス送信シンボルとの比較で、ユークリッド距離が計算され、その計算された各信号のユークリッド距離が比較部315で比較され、その比較結果に基づいて、データ選択部316で最適なシンボルが選択されて、その選択されたシンボル系列が出力される。
【0049】
なお、移動局から基地局への上り回線で送信ダイバーシティが実行される場合には、移動局側が複数の送信アンテナを備えて、その複数の送信アンテナからの信号が、基地局側で同時に受信されて、最尤判定で最適なシンボルが選択される処理が実行される。基本的な送信及び受信の処理構成については、下り回線での送信及び受信の処理構成と同じである。
【0050】
次に、このような送信ダイバーシティが実行される際の、処理例について、図9以降の図を参照して説明する。既に説明したように、本例の送信ダイバーシティの処理は、移動局が移動して、セルの境界にあるときに実行されるものである。即ち、ある移動局での、基地局1からの信号の受信電界強度と、基地局2からの信号の受信電界強度の、セル境界での変化例を図9に示すと、基地局1の受信電界強度が十分なレベルにある区間aでは、移動局は基地局1とだけ無線通信が行われる。また、基地局2の受信電界強度が十分なレベルにある区間dでは、移動局は基地局2とだけ無線通信が行われる。そして本例においては、基地局1の受信電界強度と基地局2の受信電界強度とが近づいた区間b,cで、この2つの基地局1,2を使用した送信ダイバーシティが実行され、この送信ダイバーシティが行われた状態で、ハンドオーバー処理が実行される。
【0051】
図10は、このハンドオーバー時に送信ダイバーシティが実行される際のスロットのデータ割当て例を示した図である。この例では、基地局1でCH1だけを使用して送信を行う区間aのときには、スロット毎に割当てられたデータ{d0,d1,‥‥}をフレーム生成した後、変調してその変調されたフレームのシンボルD0 ,D1 を、そのまま1つのチャンネル(CH1)から無線送信させる。
【0052】
そして、送信ダイバーシティを行う区間b,cでは、スロット毎に割当てられたデータ{d0,d1,‥‥}をフレーム生成し、変調した後、ビット毎或いはフレーム毎に直交符号化を行う。変調後の4つの変調シンボル{s0,s1,s2,s3 }は、次式のように直交符号化される。
【0053】
【数9】
【0054】
符号化された信号は、行列Sの列方向に、2つの基地局の合計4本のアンテナから同タイミングで送信する。ここで、受信機(移動局)が1本の受信アンテナで構成される場合(即ち例えば図4に示すような構成の場合)、受信信号は時刻t=0,1,2,3で送られる時系列信号r0,r1,r2,r3 毎に、送信信号と信号伝搬路特性ベクトルh=〔h0,h1,h2,h3 〕との乗算で以下のように表現できる。
【0055】
【数10】
【0056】
この式において、nx は各時刻での雑音である。ここで、従来例として2本のアンテナによる送信ダイバーシティで説明した〔数3〕式のような2シンボル系列に対するユークリッド距離を用いた最尤判定を、〔数10〕式の4シンボル系列に拡張する。送信シンボルsi とsk (i≠k)についての最尤判定は次式で定義される。
【0057】
【数11】
【0058】
〔数11〕式ではシンボルsi が送信されたシンボルと判定する。ユークリッド距離は、既に説明した〔数4〕式で与えられるので、受信信号r0 〜r3 と伝搬路特性h0 〜h3 から合成信号s0 〜s3 は以下のように求めることができる。
【0059】
【数12】
【0060】
〔数11〕式に〔数10〕式と〔数12〕式を代入し、〔数6〕式〜〔数10〕式と同様な展開を施すと以下の最尤判定規範が得られる。
【0061】
【数13】
【0062】
〔数13〕式は、送信シンボルs0 は送信可能な全信号点のうちユークリッド距離が最も近いsi を送信シンボルとして最尤判定した結果であり、シンボルs0 〜s3 についても同様な判定式が得られる。この結果、受信アンテナダイバーシティと同様に最大比合成によるダイバーシティ利得が得られる。
【0063】
図5に示すように受信アンテナ2本の場合は同様の処理を行うことにより以下のように最尤判定規範が与えられる。
【0064】
【数14】
【0065】
この場合、伝搬路特性が完全に推定できれば、受信アンテナ2本を用いることにより1本の場合に比べ2倍のダイバーシティ利得が得られることになる。
【0066】
もし、伝搬路変動が4シンボル区間(t=0、1、2、3)ではなく、遅延波の影響のないフラットな状態であれば、各伝搬路特性は〔数1〕式と同様に以下のように与えられる。
【0067】
【数15】
【0068】
この場合、〔数10〕式のようにhn hn * の項は振幅変動an のみで置き換えることができ、最大のダイバーシティ利得が得られる。受信機に等化器などのマルチパスによる選択性フェージング軽減機能がない場合、選択性フェージング下ではその対策ができないため、遅延波による歪によってダイバーシティ利得は低下する。そのためMSCは、基地局あるいは移動局から送られてくる伝搬路情報からフラットフェージングか選択性フェージングかを判断し、同一周波数を用いて送信ダイバーシティを行っている場合、選択性フェージング環境で送信ダイバーシティによる伝送が困難と判断したなら送信ダイバーシティを停止するようにする。
【0069】
ここで、送信ダイバーシティを行う場合の一般的な送信アンテナ2本の送信ダイバーシティを行う場合のフレーム構造について示すと、例えば図11,図12に示す処理で実現できる。即ち、図11A,Bに示すように、各チャンネルの1フレームのプリアンブル区間を、2分割して、その前半にCH1のユニークワード〔UW0〕を配置し、後半にCH2のユニークワード〔UW0〕を配置して送信させる。それぞれのユニークワードは、PN系列といった自己相関の高い系列をユニークワードとして用いる。CH1のユニークワードが配置される区間のCH2、及びCH2のユニークワードが配置される区間のCH1では、ヌルデータ(即ち0データが連続する意味のないデータ)とされる。CH1,CH2のフレーム構成例ではフレーム毎に異なった直交符号を用いて直交符号化を行っている。各フレームの末尾は、データが配置されないガード周期(Guard period)である。
【0070】
また、同一周波数を用いた4チャンネルでの送信ダイバーシティを行う場合には、例えば図12に示すように、スロット間で信号が重ならないようにタイミングを割り当てることで、同時に送信されるのは、2チャンネルとなり、従来の2チャンネルでの送信ダイバーシティの処理が適用できる。即ち、例えば図12A,Bに示すように、スロット1の期間は、基地局1からのCH1とCH2を使用して2チャンネルでの送信ダイバーシティを行い、スロット2の期間は、基地局2からのCH3とCH4を使用して2チャンネルでの送信ダイバーシティを行うことで、合計4チャンネルでの送信ダイバーシティが可能である。このように送信ダイバーシティを実行した場合、ダイバーシティ利得は期待できるが、割当可能なチャンネルおよびスロット数は限定される。
【0071】
このため、本例においては、チャンネルおよびスロット数の割当の柔軟性を向上させるため、上述した4チャンネルでの同時送信による送信ダイバーシティを行う。図13,図15は、この場合の各スロットへのシンボル割当て例を示した図である。図13はフレーム毎に、図15はビット毎にそれぞれ4つの直交符号を割当ててある。
【0072】
図13の場合には、2ユーザ(移動局)がスロットを共用してフレーム単位に送信ダイバーシティを行う例であり、例えば、送信シンボルS0 ,S1 を1つの移動局に割当て、送信シンボルS2 ,S3 を別の1つの移動局に割当てることで、2ユーザで1周波数を共用できる。図13A,Bは、基地局1からのCH1,CH2の各スロットのシンボル割当例であり、図13C,Dは、基地局2からのCH3,CH4の各スロットのシンボル割当例である。この例では、各チャンネルに1スロットで2シンボル送るようにしてあり、〔数9〕式で示すように直交符号化された各変調シンボルを生成させて、同じタイミングで送るようにした例である。
【0073】
4つのシンボル系列を用いた4つのチャンネル構成による伝送において、図13のようにフレーム毎に直交符号化する場合は、同じシンボルパターンで符号化されたシンボル系列を1単位とみなして基地局送信アンテナあるいはユーザに割り当てることができる。図13の場合は、CH1〜CH4を、4本の送信アンテナに割り当てることができるので、図13の例のように2つの基地局に割当てるのではなく、例えば、1つの基地局が備える4本のアンテナを用いて同一タイミングで送信して、送信ダイバーシティを行うこともできる。また、1つの基地局に3つのチャンネルを割当てて、他の基地局には1チャンネルだけを割当ててそれぞれ3本、1本の送信アンテナで並列に送信することも可能である。
【0074】
また、4チャンネルをマルチキャリア伝送のようにすべての周波数を変えて送信することも可能であり、さらに例えば2チャンネルは同一周波数で伝送し、他の2チャンネルは異なった周波数で伝送するといったことも可能である。
【0075】
この図13のように4チャンネルで送信させる場合には、例えば各チャンネルのフレーム構成として、図14に示すような例とすることで、各チャンネルの伝搬路特性を受信側で正確に検出できる。即ち、図14に示すように、ユニークワードの区間を4分割して、各チャンネルにユニークワードをシフトさせて配置させる。具体的には、例えば、最初の区間にCH1のユニークワード〔UW0〕を配置し、次の区間にCH2のユニークワード〔UW1〕を配置し、さらに次の区間にCH3のユニークワード〔UW2〕を配置し、最後の区間にCH4のユニークワード〔UW3〕を配置する。
【0076】
そして、CH1の前半のデータ区間に、シンボルs0 ,s2 で符号化したデータを配置し、CH1の後半のデータ区間に、シンボル−s1 * ,−s3 * で符号化したデータを配置する。また、CH2の前半のデータ区間に、シンボルs1 ,s3 で符号化したデータを配置し、CH2の後半のデータ区間に、シンボルs0 * ,s2 * で符号化したデータを配置する。また、CH3の前半のデータ区間に、シンボルs2 ,s0 で符号化したデータを配置し、CH3の後半のデータ区間に、シンボル−s3 * ,−s1 * で符号化したデータを配置する。さらに、CH4の前半のデータ区間に、シンボルs3 ,s1 で符号化したデータを配置し、CH2の後半のデータ区間に、シンボルs2 * ,s0 * で符号化したデータを配置する。
【0077】
図15は、ビット単位で4チャンネルを共用化した場合の例である。図15A,B,C,Dは、4チャンネルのスロット割当てを示し、図15E,F,G,Hは、各スロット内の4チャンネルのシンボル割当てを示している。ここでは、1フレーム内の1ビット単位で直交符号化させたデータを配置させて、送信ダイバーシティを行う例を示している。
【0078】
このようにして、送信ダイバーシティを行うことで、ハンドオーバー時の基地局から移動局への無線伝送を、効率良く行うことができる。この場合、2台以上の複数の移動局でスロットを共用化することで、複数端末を用いた1伝送周波数の共用化が行え、より効率の良い無線伝送が可能になる。この複数端末の移動局で共用化する場合、例えば、2つの移動局のデータレートが等しければ、シンボルs0,s1 を一方の移動局に割当て、シンボルs2,s3 を他方の移動局に割当てて送信ダイバーシティを行い、受信側でのシンボルの最尤判定は、それぞれに割り当てられた送信シンボルについてだけ最尤判定を行う。
【0079】
また、このように複数端末に割当てた場合に、どちらか一方が高速データレートを必要とする場合は、例えばシンボルs0,s1,s2 を高速通信を行う移動局に割当て、シンボルs3 を低速通信を行う移動局に割り当てて、それぞれに割り当てられた送信シンボルのみを最尤判定することも可能である。これらの割当てはスロット毎に変更可能であり、データレートに合わせてシンボル系列数分のチャンネルとスロットを柔軟に割当るといった可変データレート伝送ができる。
【0080】
また、図15の例のように、ビット毎に直交符号化する場合は、上述したチャンネルとスロット割当のほかに、ビット単位にシンボルs0,s1,s2,s3 が直交していることを利用して、同一区間で直交化されたシンボルs0,s1,s2,s3 単位で複数移動局に割当ることも可能であり、それぞれに割り当てられた送信シンボルのみを最尤判定することでさらに柔軟な可変データレート伝送ができる。
【0081】
なお、ここまでの説明では、主として基地局から移動局(端末局)への下り回線で送信ダイバーシティを行う場合の処理の詳細について説明し、移動局から基地局への上り回線での送信ダイバーシティを行う場合の具体的な構成や処理については説明してないが、ここまで説明した送信ダイバーシティの構成、即ち、移動局側で複数の送信アンテナを備える構成として、その複数の送信アンテナから送信ダイバーシティを行って、基地局側で最尤判定を行って適切な受信シンボルを得るようにしても良い。この上り回線の送信ダイバーシティについても、下り回線で送信ダイバーシティを行うのと同時、即ちセル境界時のハンドオーバー時に実行すれば良い。
【0082】
また、下り回線や上り回線での送信ダイバーシティは、ハンドオーバー時以外にも実行するようにしても良い。例えば、セル境界時でない場合であっても、基地局と移動局との間の通信状態が悪く端末が複数基地局からほぼ等しいレベルの電力を受信した場合など、下り回線及び/又は上り回線で送信ダイバーシティを行うようにしても良い。
【0083】
また、上述した実施の形態では、無線電話システムに適用した例について説明したが、その他の同様な無線通信システムにも適用できることは勿論である。
【0084】
【発明の効果】
本発明によると、セル境界といった基地局−端末局間の信号電力の弱い区間で、送信ダイバーシティを用いることによって無線通信の品質改善を図れるようになる。
【0085】
また、送信ダイバーシティを行う場合に、送信させるシンボルを複数の端末局宛のシンボルに個別に割当てることで、同一周波数や同一スロットを用いて複数の端末局と同時に無線通信を行うことが可能になり、無線通信の電圧効率が向上する。
【0086】
複数チャンネルを複数端末に割当てた場合に、割当てるシンボル数を端末局毎に適切に選定することで、端末局毎に異なったデータレートを伝送する必要がある場合に柔軟に対応できる可変データレート伝送が可能になる。
【0087】
また本発明によると、制御センタ側で、通信中の基地局、端末局それぞれの伝搬路状況を把握して、これら伝搬路状況とそれぞれのデータレート、所望品質に合わせて送信ダイバーシティの有無、送信ダイバーシティを行う場合のスロットあるいはシンボル系列構成に対応した制御を行うので、送信ダイバーシティが適切に実行できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるセルラーシステムの構成例を示す構成図である。
【図2】本発明にかかるハンドオーバーの原理を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態の基地局とMSCの構成例を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態による送信ダイバーシティの構成例(受信アンテナ1本の例)を示す構成図である。
【図5】本発明の一実施の形態による送信ダイバーシティの構成例(受信アンテナ2本の例)を示す構成図である。
【図6】本発明の一実施の形態による伝搬路推定部の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施の形態による信号合成部の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施の形態による最尤判定部の構成例を示すブロック図である。
【図9】セル境界における基地局受信電力例を示す説明図である。
【図10】ハンドオーバー時のスロットへのデータ割当て例を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態によるフレーム構成例(チャンネル数2の例)を示す説明図である。
【図12】本発明の他の実施の形態によるスロット割当て例を示す説明図である。
【図13】本発明のさらに他の実施の形態によるフレーム構成例(チャンネル数4の例)を示す説明図である。
【図14】図13例のチャンネル構成の場合の詳細なフレーム構成例を示した説明図である。
【図15】本発明の一実施の形態によるスロットへのシンボル割当例を示す説明図である。
【図16】従来の送信ダイバーシティの例を示した構成図である。
【符号の説明】
1〜7…基地局、8…MSC(モバイルスイッチングセンタ)、9…公衆電話ネットワーク、11…変調部、12…直交符号部、13,14,15…アンテナ、16…チャンネル推定部、17…合成部、18…最尤検出部、19…復調部、101…スロットデータ割当部、102,103…伝搬路情報摘出部、104…伝搬路情報判定部、105…送信ダイバーシティ制御部、106…ダイバーシティ合成部、111…送信部、112…受信部、113,114…アンテナ共用器、115,116…アンテナ、121…送信部、122…受信部、123,124…アンテナ共用器、125,126…アンテナ、201…スロットデータ割当部、202,203…フレーム生成部、204,205…変調部、206,207…直交符号部、208,209,210,211,221…アンテナ、222…伝搬路推定部、223…信号合成部、224…最尤判定部、231,232…アンテナ、233…伝搬路推定部、234…信号合成部、235…最尤判定部、301…セレクタ、302…マッチドフィルタ、303…伝搬路特性部、311,312…計算部、313…積和演算部、314…ユークリッド距離計算部、315…比較部、316…データ選択部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばセルラ方式の無線電話システムに適用して好適な無線通信方法及び無線通信システム、並びにこのシステムに適用される無線端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無線伝送を効率良く行う方法の1つとして、送信ダイバーシティがある。一般にダイバーシティと言われる方法は、受信側で複数のアンテナを備えて、それぞれのアンテナで受信された信号を、受信回路で合成する受信ダイバーシティと称される処理である。これに対して、送信ダイバーシティとは、送信アンテナを複数用意して、複数のアンテナから同時に送信される信号を、受信側の端末で同時に受信して、受信回路内で合成するものである。具体的には、送信機では、1系統の送信データを変調した後、変調シンボルが直交するように符号化を行って複数のシンボル系列を生成し、各シンボル系列をアンテナ間が無相関となるような複数の送信アンテナを用いて並列に送信し、受信機は複数伝搬路を経由した到来波を受信した後、並列に送信されたシンボル系列を分離し、最大比合成を行うことによってダイバーシティ利得を得る方式である。
【0003】
図16は、送信ダイバーシティを行う場合の送信側と受信側の構成例を示した図である。この構成例は、Alamoutiの手法による送信ダイバーシティ手法であり、図16の例では、送信アンテナ数2、受信アンテナ数1の例である。送信機では、送信データd0,d1,d2,d3を、変調部11で変調して変調シンボルs0,s1を生成する。ここでは、変調シンボルs0は時刻t=1に出力され、変調シンボルs1は時刻t=2に出力されるものとする。生成された2シンボルs0,s1は、直交符号部12で直交符号化して、シンボルs0,−s1と、シンボルs1,s0* に符号化される。シンボルs0* は、シンボルs0の複素共役である。直交符号化された一方のシンボルs0,−s1は、一方の送信アンテナ13から時刻t=1,2の順で送信され、他方のシンボルs1,s0* は、他方の送信アンテナ14から時刻t=1,2の順に送信される。
【0004】
受信機では、1本のアンテナ15で、2つのアンテナ13,14から送信された信号を受信する。受信信号は、チャンネル推定部16で伝搬路推定を行い、合成部17で2系統の受信シンボルの合成を行い、それぞれの結果を最尤検出部18に送り、最尤検出部で受信したシンボル系列については最尤判定を行い、最尤判定シンボルを復調部19に送り、復調部19で供給されたシンボルの復調を行う。
【0005】
ここで、アンテナ13,14から無線送信された信号は、それぞれ伝搬路h0(t)、h1(t) を通過した到来波であるとし、伝搬路が時刻t=1,2で変動しないとすると、各時刻における伝搬路特性は以下のように表せる。
【0006】
【数1】
【0007】
このとき、時刻t=1,2における受信信号は次式で与えられる。
【0008】
【数2】
【0009】
n0,n1 は複素ランダム雑音+干渉である。送信シンボルsiとsk (i≠k)について最尤判定を用いると、以下のようにユークリッド距離で比較することができる。
【0010】
【数3】
【0011】
〔数3〕式の場合、送信シンボルはsiと判定する。ここで、d2(x,y) は次式で定義される信号x とy との間の2乗ユークリッド距離である。
【0012】
【数4】
【0013】
図16に示した受信側での合成部17では、〔数1〕式と〔数2〕式を用いて以下の2つの合成信号を生成し、それぞれ最尤判定部18に送る。
【0014】
【数5】
【0015】
ここで、それぞれのアンテナからの伝搬路特性が判っていれば、信号s0,s1* は分離可能であり、〔数5〕式を〔数3〕式に代入して展開することで、次式が得られる。
【0016】
【数6】
【0017】
さらに、
【0018】
【数7】
【0019】
を〔数6〕式にそれぞれ加算して展開すると、最終的に次式が得られる。
【0020】
【数8】
【0021】
〔数8〕式は、送信データs0は送信可能な全信号点のうちsiを送信シンボルとして最尤判定した結果であり、送信データs1についても同様な判定式が得られる。このことから、受信ダイバーシティと同様に送信ダイバーシティにおいても最大比合成によるダイバーシティ利得が得られる。
【0022】
図16に示す構成で送信ダイバーシティを行う場合には、送信アンテナ2本で異なったシンボルを同タイミングで送信できるように制御する必要がある。また、システムの送信電力が制限された場合、2本の送信アンテナから等しい送信電力を得るためには各シンボルに割当てる電力を1/2にしなければならず、誤り率で3dBの劣化を招く。しかし、増幅器で扱う電力3dBを軽減することは非常に重要であり、2つの増幅器で半分ずつ電力増幅を行う方が1つの増幅器で2倍の電力増幅を行うより安価である。RF電力の制限がなければ、送信総電力を2倍にすることで3dB向上を図れる。さらに、送信ダイバーシティを行う受信機は1本のアンテナでも、伝搬路状態によっては受信ダイバーシティと同等の最大比合成が得られるので、受信ダイバーシティを行う受信機に比べて、端末装置の小型化が図れる方式である。
【0023】
このような送信ダイバーシティは、例えば携帯電話システムの1つの方式であるWCDMA方式に、比較的容易に適用可能である。即ち、WCDMA方式では基地局毎に異なった系列あるいは異なったタイミングオフセットを持つ拡散符号を採用しているので、RAKE受信機を用いると受信機における伝搬路推定が可能であり、送信ダイバーシティを比較的容易に実現できる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図16に示したような送信ダイバーシティを行えば、利得向上を図ることができ、効率良く無線伝送できる。マルチパス等の伝搬路において、相互に相関が小さい複数伝搬路を通過した信号が等電力の場合、ダイバーシティを行うことで大きな利得が得られる。そのため、セル境界といった複数基地局からの信号電力がほぼ等しい領域ほどダイバーシティ利得が得られると予測できる。
【0025】
無線電話システム以外でも、例えば無線LAN(Local Area Network:構内情報通信網)の規格であるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers )802.11方式や、ディジタル放送において広く採用されているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex :直交周波数分割多重)方式の場合にも、送信ダイバーシティを用いることができれば、利得向上が図れることは確かであるが、これらの無線伝送方式では、一般的に基地局と移動局の通信チャンネルは、TDMAあるいはFDMAでチャンネル分割されているため、WCDMA方式のような同一周波数による送信ダイバーシティを用いた利得向上を図ることは難しかった。
【0026】
さらに、移動局毎に音声、データ、画像といった複数のメディアを伝送する場合、移動局毎のデータ量および所望品質に合わせて通信チャンネル割当を柔軟に行える可変データレート伝送方式が望まれるが、送信ダイバーシティを、このような可変データレート伝送に組み合わせる場合における、適切な伝送方式は従来提案されてなかった。
【0027】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、送信ダイバーシティを携帯電話システムの如き無線伝送システムに適切に組み合わせて、無線伝送効率を向上させることを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の基地局で構成される無線通信エリア内で、端末局との間で無線通信を行う場合に、端末局の移動により、無線通信を行う基地局を第1の基地局から第2の基地局に切換えるハンドオーバー処理として、端末局に対して送信するシンボル系列を、第1の基地局で直交符号化して無線送信した状態から、シンボル系列を第1の基地局に割当てられた直交符号と、第2の基地局に割当てられた直交符号で符号化して、それぞれの基地局から1つ又は複数の同じ周波数で無線送信した状態とし、さらにその後、シンボル系列を第2の基地局で直交符号化して無線送信した状態とすることを特徴とする。
【0029】
このようにしたことで、ハンドオーバー処理時に、複数の基地局から端末局への送信ダイバーシティ処理が行われることになり、無線通信エリアが切換わる際の通信状態を向上させることが可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図15を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。
【0031】
本例においては、セルラ方式の無線電話システムに適用したものである。図1は、本例の無線電話システムの全体構成例を示した図である。まず、セルラ方式の無線通信の概略構成について図1を参照しながら説明する。
【0032】
図1に示すように、セル構成の無線通信システムは、複数の基地局1,2,3‥‥が、適当な間隔で配置されて、それぞれの基地局毎に、端末局(移動局)と無線通信を行うエリアが、セルとして設定されている。各基地局は、セル内に位置する移動局との間で、基地局から移動局へ通信を行う下り回線、移動局から基地局へ通信を行う上り回線を用いて通信を行う。図1では、7つの基地局1〜7を示してあり、それぞれの基地局を中心として構成される無線通信エリアであるセルが連続して設定されている。図1では、セルとセルの境界部は、斜線で示してある。移動局がこの境界部を超えて移動する場合には、通信を行う基地局を切換えるハンドオーバー処理が必要になる。
【0033】
モバイルスイッチングセンタ(以下MSCと称する)8は、上り、下りそれぞれの回線で扱うデータを管理する制御センタであり、下り回線のデータは移動局と通信を行う基地局にスロット毎に送られ、上り回線のデータは基地局で受信した移動局のデータがスロット毎に送られてくる。公衆電話回線ネットワーク9は、MSC8を介して基地局側と接続させてあり、端末局の位置情報などもMSC8で管理され、その位置情報に基づいて、移動局と通信を行う基地局を判断して、その判断された基地局に公衆電話回線ネットワーク9からのデータを振り分ける振り分け機能を有する。またMSC8は、通信中の基地局、端末局それぞれの伝搬路状況を把握して、これら伝搬路状況とそれぞれのデータレート、所望品質に合わせて送信ダイバーシティの有無、送信ダイバーシティを行う場合のスロットあるいはシンボル系列構成に対応した制御を行う。
【0034】
具体的な制御例について説明すると、例えば、移動局が斜線部のセル領域(即ちセルの境界部)に入った場合、MSC8は基地局と移動局から送られてくる受信信号電力ハンドオーバーを行うタイミングを判定して、移動局の受信信号電力が大きくなった隣接基地局へハンドオーバーを行う。図2に、セル境界における基地局受信電力変化例を示す。図2は、基地局1で構成されるセル内にいる端末局(移動局)が、基地局2で構成されるセルに移動した場合の例を示してあり、基地局1での受信信号レベルと、基地局2での受信信号レベルとの比較で、基地局2での受信信号レベルの方が高くなったときに、MSC8側で端末局がセル境界に移動したと判断して、基地局2との通信に切換えるハンドオーバータイミングを決定する。このように単純に受信信号レベルからハンドオーバータイミングを決定するのは、従来の処理である。
【0035】
ここで本例においては、端末局がセル境界の近傍にある場合に、基地局からの送信ダイバーシティを、必要により行うようにしてある。セル境界での送信ダイバーシティの具体的な処理については後述するが、例えば、基地局1と基地局2で同一周波数で同じスロットの使用が可能とすると、基地局1の受信信号レベルが方が大幅に大きいときには、基地局1からのチャンネル1の信号のみを受信し、基地局1と基地局2の受信信号レベルがほぼ等しいセル境界では、基地局1からのチャンネル1とチャンネル2、基地局2からのチャンネル3とチャンネル4を用いて直交符号化を行うことで送信ダイバーシティを行い、基地局2の受信信号レベルが方が大幅に大きいときには、基地局2からのチャンネルの信号のみを受信するように切り替える。このように、セル境界では送信ダイバーシティによってチャンネル数を増加させてダイバーシティ利得を得ること、あるいはチャンネルとスロットを複数ユーザで共用することにより柔軟なチャンネル割当ができるようになる。
【0036】
次に、MSCと基地局の構成例を、図3を参照して説明する。ここでは、MSC8は、送信ダイバーシティの処理に関係した構成だけを示してある。この例は、2つの基地局が、それぞれ2本のアンテナを用いた場合を示している。
【0037】
下り回線の送信は、データがMSC8のスロットデータ割当部101で移動局毎にスロット単位に割り当てられ、スロット単位のデータおよび送信ダイバーシティの有無、さらに送信ダイバーシティを行うときは該当する基地局と移動局で採用する直交符号系列、それぞれの符号シンボルの割当といった制御情報を、該当する基地局の送信部に送る。ここでは、基地局1の送信部111と基地局2の送信部121に送る。この2つの基地局に同時に送るのは、ハンドオーバー時に送信ダイバーシティを行う場合であり、それ以外の場合には、いずれか1つの基地局にだけ送る。
【0038】
データが供給された基地局の送信部111,121では、データをフレーム化した後に変調して変調シンボルを生成し、同一周波数を用いて送信ダイバーシティを行う場合には、制御情報に従って直交符号化し、複数の局で送信タイミングを合わせて送信する。図5の例では、各基地局の送信部の出力は、2本のアンテナに供給して無線送信するようにしてある。即ち、例えば基地局1は、送信部111の出力を、アンテナ共用器113,114を介して2本のアンテナ115,116に供給する構成としてあり、基地局2は、送信部121の出力を、アンテナ共用器123,124を介して2本のアンテナ125,126に供給する構成としてある。
【0039】
各基地局の2本のアンテナは、送信アンテナと受信アンテナを兼用してあり、各基地局の2本のアンテナで受信した信号を、それぞれの受信部112又は122に供給する構成としてある。各受信部112,122での上り回線の信号の受信処理としては、上り回線の送信ダイバーシティが行われている場合、基地局は移動局からの送信された受信信号を、シンボル系列に分離合成し、その分離合成した分離したシンボル系列をMSC8に送る。MSC8では、供給されたシンボル系列のユニークワード部分と、基地局および移動局の隣接基地局の電力情報を伝搬路情報摘出部102,103で取り出して、その取り出された情報の内容を伝搬路情報判定部104で判定し、判定された情報に基づいて、送信ダイバーシティ制御部105で伝搬路推定を行い送信ダイバーシティの有無を判断し、さらに、移動局がセル境界に位置すると判断した場合は、複数基地局を用いた送信ダイバーシティの可能性について判断する。これらの結果に基づいてスロット割当と制御情報を送信ダイバーシティ制御部105で決定して、スロット割当部101および基地局の送信部111,121に最適な制御情報を送る。
【0040】
基地局からMSC8に送られたシンボル系列は、ダイバーシティ合成部106に送られる。ここで、上り回線の信号は送信ダイバーシティが行われている場合には、最尤判定に基づいた合成処理を行い、受信シンボル系列を得、その受信シンボル系列を上り回線データとして出力させる。送信ダイバーシティが行われてない場合には、MSC8に送られたシンボル系列は、そのまま上り回線データとして出力される。
【0041】
図4及び図5は、2つの基地局から移動局(端末局)に、送信ダイバーシティで下り回線の信号を送る場合の、送信部及び受信部のより具体的な構成例を示した図である。図4は、各基地局が2本の送信アンテナを備えて、移動局が1本の受信アンテナを用いた場合の例であり、図5は、各基地局が2本の送信アンテナを備えて、移動局が2本の受信アンテナを用いた場合の例である。
【0042】
MSC8のスロットデータ割当て部201は、供給される下り回線のシンボル系列を、2つの基地局のフレーム生成部202,203に送り、それぞれのフレーム生成部202,203でフレーム構造のデータとし、そのフレーム構造のデータを、変調部204,205に送る。各変調部204,205では、送信用の変調処理を行い、その変調されたシンボルを、直交符号部206,207に送り、直交符号化を行って、2系統の送信信号とする。一方の基地局の直交符号部206で得た2系統の送信信号は、別のアンテナ208,209に供給して、無線送信させる。他方の基地局の直交符号部206で得た2系統の送信信号は、別のアンテナ210,211に供給して、無線送信させる。各直交符号部206,207では、MSC8側から供給される制御情報に基づいて、直交符号化状態が制御される。
【0043】
ここでは、2つの基地局の合計4本のアンテナ208,209,210,211から無線送信される信号は、同一の周波数を使用して無線送信される信号としてあり、アンテナ208から送信される信号をCH1(チャンネル1)、アンテナ209から送信される信号をCH2、アンテナ210から送信される信号をCH3、アンテナ211から送信される信号をCH4としてある。また、アンテナ208から送信されるCH1の信号の伝搬路特性をh0 、アンテナ209から送信されるCH2の信号の伝搬路特性をh1 、アンテナ210から送信されるCH3の信号の伝搬路特性をh2 、アンテナ211から送信されるCH4の信号の伝搬路特性をh3 としてある。
【0044】
移動局(端末局)での受信構成としては、図4の例の場合には、1つのアンテナ221で受信する構成としてある。ここでは、4つのチャンネル(CH1,CH2,CH3,CH4)の受信信号を、受信信号r0,r1,r2,r3 としてあり、このアンテナ221で受信した信号を、伝搬路推定部222に供給して、4つの伝搬路特性h0,h1,h2,h3 の推定を行う。そして、この推定された伝搬路特性h0,h1,h2,h3 に基づいて、信号合成部223で受信信号r0,r1,r2,r3 の合成処理を行い、4系統の合成信号を得、その合成信号を最尤判定部224に送って、伝搬路特性に基づいて判定可能な4つのシンボル系列の内の、自局宛のシンボル系列について最尤判定を行い、最尤判定シンボルを出力する。
【0045】
図5は、移動局(端末局)での受信構成として、2つのアンテナ231,232で受信する構成とした場合の例である。図5の例の場合には、2つの基地局の合計4本のアンテナ208,209,210,211から無線送信される信号の伝搬路として、8つの伝搬路が存在することになり、それぞれを伝搬路特性h0,h1,h2,h3,h4,h5,h6,h7 としてある。伝搬路推定部233では、8つの伝搬路特性h0 〜h7 を推定し、信号合成部234で4系統の合成信号を得、その合成信号を最尤判定部235に送って、伝搬路特性に基づいて判定可能な4つのシンボル系列の内の、自局宛のシンボル系列について最尤判定を行い、最尤判定シンボルを出力する。
【0046】
図6は、受信系が備える伝搬路推定部の構成例を示した図である。例えば、4つの受信信号r0,r1,r2,r3 を、セレクタ301で時分割で選択する。具体的には、例えばシンボル系列のユニークワード部分と、基地局及び移動局の隣接基地局の電力情報の部分を取り出し、その選択された信号を、マッチドフィルタ302を介して伝搬路特性部303に供給し、伝搬路推定部303で、各信号の伝搬路を推定する。
【0047】
図7は、受信系が備える信号合成部の構成例を示した図である。信号合成部は、伝搬路推定部からの伝搬路特性情報を、乗算部311に供給して乗算処理を行い、さらに、受信シンボルを乗算部312に供給して乗算処理を行い、積和演算部313で各乗算信号及び乗算されてない信号の積和演算を行って、4つの4系統の合成信号を得る。
【0048】
図8は、受信系が備える最尤判定部の構成例を示した図である。供給された4系統の信号は、ユークリッド距離計算部314に供給されて、リファレンス送信シンボルとの比較で、ユークリッド距離が計算され、その計算された各信号のユークリッド距離が比較部315で比較され、その比較結果に基づいて、データ選択部316で最適なシンボルが選択されて、その選択されたシンボル系列が出力される。
【0049】
なお、移動局から基地局への上り回線で送信ダイバーシティが実行される場合には、移動局側が複数の送信アンテナを備えて、その複数の送信アンテナからの信号が、基地局側で同時に受信されて、最尤判定で最適なシンボルが選択される処理が実行される。基本的な送信及び受信の処理構成については、下り回線での送信及び受信の処理構成と同じである。
【0050】
次に、このような送信ダイバーシティが実行される際の、処理例について、図9以降の図を参照して説明する。既に説明したように、本例の送信ダイバーシティの処理は、移動局が移動して、セルの境界にあるときに実行されるものである。即ち、ある移動局での、基地局1からの信号の受信電界強度と、基地局2からの信号の受信電界強度の、セル境界での変化例を図9に示すと、基地局1の受信電界強度が十分なレベルにある区間aでは、移動局は基地局1とだけ無線通信が行われる。また、基地局2の受信電界強度が十分なレベルにある区間dでは、移動局は基地局2とだけ無線通信が行われる。そして本例においては、基地局1の受信電界強度と基地局2の受信電界強度とが近づいた区間b,cで、この2つの基地局1,2を使用した送信ダイバーシティが実行され、この送信ダイバーシティが行われた状態で、ハンドオーバー処理が実行される。
【0051】
図10は、このハンドオーバー時に送信ダイバーシティが実行される際のスロットのデータ割当て例を示した図である。この例では、基地局1でCH1だけを使用して送信を行う区間aのときには、スロット毎に割当てられたデータ{d0,d1,‥‥}をフレーム生成した後、変調してその変調されたフレームのシンボルD0 ,D1 を、そのまま1つのチャンネル(CH1)から無線送信させる。
【0052】
そして、送信ダイバーシティを行う区間b,cでは、スロット毎に割当てられたデータ{d0,d1,‥‥}をフレーム生成し、変調した後、ビット毎或いはフレーム毎に直交符号化を行う。変調後の4つの変調シンボル{s0,s1,s2,s3 }は、次式のように直交符号化される。
【0053】
【数9】
【0054】
符号化された信号は、行列Sの列方向に、2つの基地局の合計4本のアンテナから同タイミングで送信する。ここで、受信機(移動局)が1本の受信アンテナで構成される場合(即ち例えば図4に示すような構成の場合)、受信信号は時刻t=0,1,2,3で送られる時系列信号r0,r1,r2,r3 毎に、送信信号と信号伝搬路特性ベクトルh=〔h0,h1,h2,h3 〕との乗算で以下のように表現できる。
【0055】
【数10】
【0056】
この式において、nx は各時刻での雑音である。ここで、従来例として2本のアンテナによる送信ダイバーシティで説明した〔数3〕式のような2シンボル系列に対するユークリッド距離を用いた最尤判定を、〔数10〕式の4シンボル系列に拡張する。送信シンボルsi とsk (i≠k)についての最尤判定は次式で定義される。
【0057】
【数11】
【0058】
〔数11〕式ではシンボルsi が送信されたシンボルと判定する。ユークリッド距離は、既に説明した〔数4〕式で与えられるので、受信信号r0 〜r3 と伝搬路特性h0 〜h3 から合成信号s0 〜s3 は以下のように求めることができる。
【0059】
【数12】
【0060】
〔数11〕式に〔数10〕式と〔数12〕式を代入し、〔数6〕式〜〔数10〕式と同様な展開を施すと以下の最尤判定規範が得られる。
【0061】
【数13】
【0062】
〔数13〕式は、送信シンボルs0 は送信可能な全信号点のうちユークリッド距離が最も近いsi を送信シンボルとして最尤判定した結果であり、シンボルs0 〜s3 についても同様な判定式が得られる。この結果、受信アンテナダイバーシティと同様に最大比合成によるダイバーシティ利得が得られる。
【0063】
図5に示すように受信アンテナ2本の場合は同様の処理を行うことにより以下のように最尤判定規範が与えられる。
【0064】
【数14】
【0065】
この場合、伝搬路特性が完全に推定できれば、受信アンテナ2本を用いることにより1本の場合に比べ2倍のダイバーシティ利得が得られることになる。
【0066】
もし、伝搬路変動が4シンボル区間(t=0、1、2、3)ではなく、遅延波の影響のないフラットな状態であれば、各伝搬路特性は〔数1〕式と同様に以下のように与えられる。
【0067】
【数15】
【0068】
この場合、〔数10〕式のようにhn hn * の項は振幅変動an のみで置き換えることができ、最大のダイバーシティ利得が得られる。受信機に等化器などのマルチパスによる選択性フェージング軽減機能がない場合、選択性フェージング下ではその対策ができないため、遅延波による歪によってダイバーシティ利得は低下する。そのためMSCは、基地局あるいは移動局から送られてくる伝搬路情報からフラットフェージングか選択性フェージングかを判断し、同一周波数を用いて送信ダイバーシティを行っている場合、選択性フェージング環境で送信ダイバーシティによる伝送が困難と判断したなら送信ダイバーシティを停止するようにする。
【0069】
ここで、送信ダイバーシティを行う場合の一般的な送信アンテナ2本の送信ダイバーシティを行う場合のフレーム構造について示すと、例えば図11,図12に示す処理で実現できる。即ち、図11A,Bに示すように、各チャンネルの1フレームのプリアンブル区間を、2分割して、その前半にCH1のユニークワード〔UW0〕を配置し、後半にCH2のユニークワード〔UW0〕を配置して送信させる。それぞれのユニークワードは、PN系列といった自己相関の高い系列をユニークワードとして用いる。CH1のユニークワードが配置される区間のCH2、及びCH2のユニークワードが配置される区間のCH1では、ヌルデータ(即ち0データが連続する意味のないデータ)とされる。CH1,CH2のフレーム構成例ではフレーム毎に異なった直交符号を用いて直交符号化を行っている。各フレームの末尾は、データが配置されないガード周期(Guard period)である。
【0070】
また、同一周波数を用いた4チャンネルでの送信ダイバーシティを行う場合には、例えば図12に示すように、スロット間で信号が重ならないようにタイミングを割り当てることで、同時に送信されるのは、2チャンネルとなり、従来の2チャンネルでの送信ダイバーシティの処理が適用できる。即ち、例えば図12A,Bに示すように、スロット1の期間は、基地局1からのCH1とCH2を使用して2チャンネルでの送信ダイバーシティを行い、スロット2の期間は、基地局2からのCH3とCH4を使用して2チャンネルでの送信ダイバーシティを行うことで、合計4チャンネルでの送信ダイバーシティが可能である。このように送信ダイバーシティを実行した場合、ダイバーシティ利得は期待できるが、割当可能なチャンネルおよびスロット数は限定される。
【0071】
このため、本例においては、チャンネルおよびスロット数の割当の柔軟性を向上させるため、上述した4チャンネルでの同時送信による送信ダイバーシティを行う。図13,図15は、この場合の各スロットへのシンボル割当て例を示した図である。図13はフレーム毎に、図15はビット毎にそれぞれ4つの直交符号を割当ててある。
【0072】
図13の場合には、2ユーザ(移動局)がスロットを共用してフレーム単位に送信ダイバーシティを行う例であり、例えば、送信シンボルS0 ,S1 を1つの移動局に割当て、送信シンボルS2 ,S3 を別の1つの移動局に割当てることで、2ユーザで1周波数を共用できる。図13A,Bは、基地局1からのCH1,CH2の各スロットのシンボル割当例であり、図13C,Dは、基地局2からのCH3,CH4の各スロットのシンボル割当例である。この例では、各チャンネルに1スロットで2シンボル送るようにしてあり、〔数9〕式で示すように直交符号化された各変調シンボルを生成させて、同じタイミングで送るようにした例である。
【0073】
4つのシンボル系列を用いた4つのチャンネル構成による伝送において、図13のようにフレーム毎に直交符号化する場合は、同じシンボルパターンで符号化されたシンボル系列を1単位とみなして基地局送信アンテナあるいはユーザに割り当てることができる。図13の場合は、CH1〜CH4を、4本の送信アンテナに割り当てることができるので、図13の例のように2つの基地局に割当てるのではなく、例えば、1つの基地局が備える4本のアンテナを用いて同一タイミングで送信して、送信ダイバーシティを行うこともできる。また、1つの基地局に3つのチャンネルを割当てて、他の基地局には1チャンネルだけを割当ててそれぞれ3本、1本の送信アンテナで並列に送信することも可能である。
【0074】
また、4チャンネルをマルチキャリア伝送のようにすべての周波数を変えて送信することも可能であり、さらに例えば2チャンネルは同一周波数で伝送し、他の2チャンネルは異なった周波数で伝送するといったことも可能である。
【0075】
この図13のように4チャンネルで送信させる場合には、例えば各チャンネルのフレーム構成として、図14に示すような例とすることで、各チャンネルの伝搬路特性を受信側で正確に検出できる。即ち、図14に示すように、ユニークワードの区間を4分割して、各チャンネルにユニークワードをシフトさせて配置させる。具体的には、例えば、最初の区間にCH1のユニークワード〔UW0〕を配置し、次の区間にCH2のユニークワード〔UW1〕を配置し、さらに次の区間にCH3のユニークワード〔UW2〕を配置し、最後の区間にCH4のユニークワード〔UW3〕を配置する。
【0076】
そして、CH1の前半のデータ区間に、シンボルs0 ,s2 で符号化したデータを配置し、CH1の後半のデータ区間に、シンボル−s1 * ,−s3 * で符号化したデータを配置する。また、CH2の前半のデータ区間に、シンボルs1 ,s3 で符号化したデータを配置し、CH2の後半のデータ区間に、シンボルs0 * ,s2 * で符号化したデータを配置する。また、CH3の前半のデータ区間に、シンボルs2 ,s0 で符号化したデータを配置し、CH3の後半のデータ区間に、シンボル−s3 * ,−s1 * で符号化したデータを配置する。さらに、CH4の前半のデータ区間に、シンボルs3 ,s1 で符号化したデータを配置し、CH2の後半のデータ区間に、シンボルs2 * ,s0 * で符号化したデータを配置する。
【0077】
図15は、ビット単位で4チャンネルを共用化した場合の例である。図15A,B,C,Dは、4チャンネルのスロット割当てを示し、図15E,F,G,Hは、各スロット内の4チャンネルのシンボル割当てを示している。ここでは、1フレーム内の1ビット単位で直交符号化させたデータを配置させて、送信ダイバーシティを行う例を示している。
【0078】
このようにして、送信ダイバーシティを行うことで、ハンドオーバー時の基地局から移動局への無線伝送を、効率良く行うことができる。この場合、2台以上の複数の移動局でスロットを共用化することで、複数端末を用いた1伝送周波数の共用化が行え、より効率の良い無線伝送が可能になる。この複数端末の移動局で共用化する場合、例えば、2つの移動局のデータレートが等しければ、シンボルs0,s1 を一方の移動局に割当て、シンボルs2,s3 を他方の移動局に割当てて送信ダイバーシティを行い、受信側でのシンボルの最尤判定は、それぞれに割り当てられた送信シンボルについてだけ最尤判定を行う。
【0079】
また、このように複数端末に割当てた場合に、どちらか一方が高速データレートを必要とする場合は、例えばシンボルs0,s1,s2 を高速通信を行う移動局に割当て、シンボルs3 を低速通信を行う移動局に割り当てて、それぞれに割り当てられた送信シンボルのみを最尤判定することも可能である。これらの割当てはスロット毎に変更可能であり、データレートに合わせてシンボル系列数分のチャンネルとスロットを柔軟に割当るといった可変データレート伝送ができる。
【0080】
また、図15の例のように、ビット毎に直交符号化する場合は、上述したチャンネルとスロット割当のほかに、ビット単位にシンボルs0,s1,s2,s3 が直交していることを利用して、同一区間で直交化されたシンボルs0,s1,s2,s3 単位で複数移動局に割当ることも可能であり、それぞれに割り当てられた送信シンボルのみを最尤判定することでさらに柔軟な可変データレート伝送ができる。
【0081】
なお、ここまでの説明では、主として基地局から移動局(端末局)への下り回線で送信ダイバーシティを行う場合の処理の詳細について説明し、移動局から基地局への上り回線での送信ダイバーシティを行う場合の具体的な構成や処理については説明してないが、ここまで説明した送信ダイバーシティの構成、即ち、移動局側で複数の送信アンテナを備える構成として、その複数の送信アンテナから送信ダイバーシティを行って、基地局側で最尤判定を行って適切な受信シンボルを得るようにしても良い。この上り回線の送信ダイバーシティについても、下り回線で送信ダイバーシティを行うのと同時、即ちセル境界時のハンドオーバー時に実行すれば良い。
【0082】
また、下り回線や上り回線での送信ダイバーシティは、ハンドオーバー時以外にも実行するようにしても良い。例えば、セル境界時でない場合であっても、基地局と移動局との間の通信状態が悪く端末が複数基地局からほぼ等しいレベルの電力を受信した場合など、下り回線及び/又は上り回線で送信ダイバーシティを行うようにしても良い。
【0083】
また、上述した実施の形態では、無線電話システムに適用した例について説明したが、その他の同様な無線通信システムにも適用できることは勿論である。
【0084】
【発明の効果】
本発明によると、セル境界といった基地局−端末局間の信号電力の弱い区間で、送信ダイバーシティを用いることによって無線通信の品質改善を図れるようになる。
【0085】
また、送信ダイバーシティを行う場合に、送信させるシンボルを複数の端末局宛のシンボルに個別に割当てることで、同一周波数や同一スロットを用いて複数の端末局と同時に無線通信を行うことが可能になり、無線通信の電圧効率が向上する。
【0086】
複数チャンネルを複数端末に割当てた場合に、割当てるシンボル数を端末局毎に適切に選定することで、端末局毎に異なったデータレートを伝送する必要がある場合に柔軟に対応できる可変データレート伝送が可能になる。
【0087】
また本発明によると、制御センタ側で、通信中の基地局、端末局それぞれの伝搬路状況を把握して、これら伝搬路状況とそれぞれのデータレート、所望品質に合わせて送信ダイバーシティの有無、送信ダイバーシティを行う場合のスロットあるいはシンボル系列構成に対応した制御を行うので、送信ダイバーシティが適切に実行できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるセルラーシステムの構成例を示す構成図である。
【図2】本発明にかかるハンドオーバーの原理を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態の基地局とMSCの構成例を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態による送信ダイバーシティの構成例(受信アンテナ1本の例)を示す構成図である。
【図5】本発明の一実施の形態による送信ダイバーシティの構成例(受信アンテナ2本の例)を示す構成図である。
【図6】本発明の一実施の形態による伝搬路推定部の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施の形態による信号合成部の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施の形態による最尤判定部の構成例を示すブロック図である。
【図9】セル境界における基地局受信電力例を示す説明図である。
【図10】ハンドオーバー時のスロットへのデータ割当て例を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態によるフレーム構成例(チャンネル数2の例)を示す説明図である。
【図12】本発明の他の実施の形態によるスロット割当て例を示す説明図である。
【図13】本発明のさらに他の実施の形態によるフレーム構成例(チャンネル数4の例)を示す説明図である。
【図14】図13例のチャンネル構成の場合の詳細なフレーム構成例を示した説明図である。
【図15】本発明の一実施の形態によるスロットへのシンボル割当例を示す説明図である。
【図16】従来の送信ダイバーシティの例を示した構成図である。
【符号の説明】
1〜7…基地局、8…MSC(モバイルスイッチングセンタ)、9…公衆電話ネットワーク、11…変調部、12…直交符号部、13,14,15…アンテナ、16…チャンネル推定部、17…合成部、18…最尤検出部、19…復調部、101…スロットデータ割当部、102,103…伝搬路情報摘出部、104…伝搬路情報判定部、105…送信ダイバーシティ制御部、106…ダイバーシティ合成部、111…送信部、112…受信部、113,114…アンテナ共用器、115,116…アンテナ、121…送信部、122…受信部、123,124…アンテナ共用器、125,126…アンテナ、201…スロットデータ割当部、202,203…フレーム生成部、204,205…変調部、206,207…直交符号部、208,209,210,211,221…アンテナ、222…伝搬路推定部、223…信号合成部、224…最尤判定部、231,232…アンテナ、233…伝搬路推定部、234…信号合成部、235…最尤判定部、301…セレクタ、302…マッチドフィルタ、303…伝搬路特性部、311,312…計算部、313…積和演算部、314…ユークリッド距離計算部、315…比較部、316…データ選択部
Claims (11)
- 複数の基地局で構成される無線通信エリア内で、端末局との間で無線通信を行う無線通信方法において、
端末局の移動により、無線通信を行う基地局を第1の基地局から第2の基地局に切換えるハンドオーバー処理として、
端末局に対して送信するシンボル系列を、第1の基地局で直交符号化して無線送信した状態から、シンボル系列を第1の基地局に割当てられた直交符号と、第2の基地局に割当てられた直交符号で符号化して、それぞれの基地局から1つ又は複数の同じ周波数で無線送信した状態とし、さらにその後、シンボル系列を第2の基地局で直交符号化して無線送信した状態とする
無線通信方法。 - 請求項1記載の無線通信方法において、
端末局に対して送信するシンボル系列を、第1の基地局に割当てられた直交符号と、第2の基地局に割当てられた直交符号で符号化して、それぞれの基地局から同じ周波数で無線送信した状態の場合に、
端末局は、並列に送信されたシンボル系列を同時に受信し、直交符号化前のシンボル系列に最尤判定で分離合成する
無線通信方法。 - 請求項2記載の無線通信方法において、
端末局から基地局に対して送信する無線信号についても、第1の基地局と第2の基地局の双方で受信して、それぞれの基地局で受信されたシンボル系列から、直交符号化前のシンボル系列に最尤判定で分離合成する
無線通信方法。 - 請求項1記載の無線通信方法において、
第1の基地局に割当てられた直交符号と、第2の基地局に割当てられた直交符号とで符号化した場合に、各チャンネルに個別の位置にユニークワードを挿入して無線送信するようにした
無線通信方法。 - 請求項1記載の無線通信方法において、
第1及び第2の基地局は、さらに複数の周波数を使用した複数チャンネルに、送信シンボル系列を分けて送信する
無線通信方法。 - 複数の基地局と、各基地局での無線通信を制御する制御センタとで構成され、各基地局が端末局と無線通信を行う無線通信システムにおいて、
上記制御センタとして、無線通信を行う端末局の無線通信エリアを判断するエリア判断部と、
上記エリア判断部で判断された無線通信エリアに応じて、端末局に対して送信するシンボル系列を振り分け、判断されたエリアが複数のエリアの境界部の近傍である場合に、その境界部で隣接した複数の基地局に同時にシンボル系列を送る振り分け部とを備え、
上記各基地局として、上記制御センタから送られたシンボル系列を、自局に割当てられた直交符号で符号化して、その符号化されたシンボル系列を無線送信する送信部とを備えた
無線通信システム。 - 請求項6記載の無線通信システムにおいて、
さらに上記各基地局として、端末局から無線送信された信号を受信する受信部を備え、
受信部で端末局から基地局に対して送信する無線信号についても、第1の基地局と第2の基地局の双方で受信して、それぞれの基地局で受信されたシンボル系列から、直交符号化前のシンボル系列に最尤判定で分離合成する
無線通信システム。 - 請求項6記載の無線通信システムにおいて、
上記制御センタの振り分け部で複数の基地局に同時にシンボル系列を送った場合に、それぞれの基地局で符号化された直交符号の、それぞれ異なる位置にユニークワードを挿入して無線送信する
無線通信システム。 - 請求項6記載の無線通信システムにおいて、
上記制御センタの振り分け部で複数の基地局に同時にシンボル系列を送った場合に、さらにそれぞれの基地局で、複数の周波数を使用した複数チャンネルに、送信シンボル系列を分けて無線送信する
無線通信システム。 - 基地局と無線通信を行う無線端末装置において、
無線伝送されたシンボル系列を受信するアンテナと、
上記アンテナで受信された信号の伝搬路を推定する推定部と、
上記アンテナで受信された複数のシンボル系列を合成する合成部と、
上記推定部で推定された伝搬路に基づいて、上記合成部で合成された複数のシンボル系列から最尤判定で適切な受信系列を得る判定部とを備えた
無線端末装置。 - 請求項10記載の無線端末装置において、
上記判定部で複数のシンボル系列から最尤判定で適切な受信系列を得る処理は、無線通信を行う基地局を、他の基地局に切換えるハンドオーバー時に行う
無線端末装置。
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