JP2004064113A - 無線パケット通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】他の無線パケット通信との干渉を低減し同時通信可能な端末数の向上を図ること。
【解決手段】通信相手でない第1の無線パケット通信装置及び第2の無線パケット通信装置からの受信パケットの少なくともいずれかに基づいて、該第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信における第1のパケット送信タイミングを算出する第1のパケット送信タイミング算出部51と、当該無線パケット通信装置が第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信から干渉を受けないように、第1及び第2のビームパターンを第1のパケット送信タイミングに従って交互に切り替えてビーム形成部3に設定するビームパターン切り替え部4とを備える。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアダプティブアレイアンテナを備えた無線パケット通信装置に関し、同じ周波数(チャネル)ないしは隣接チャネルを用いていても通信中の無線パケット通信装置の組同士が互いに干渉しない、いわゆる同時通信を可能にするものである。
【0002】
【従来の技術】
無線パケット通信システムでは、CSMA(Carrier Sense Multiple Access:キャリアセンス多元接続)方式が広く用いられている。CSMA方式ではパケット送信前にキャリアセンスが行われる。キャリアセンスとは、無線通信媒体が使用中であるか否かを受信パケットの信号レベルから判断する物理的なキャリアセンスと、受信パケットに含まれる通信終了時間からこれを判断する仮想キャリアセンスの双方を含む。キャリアセンスにより他の無線パケット通信装置からのパケットを受信したとき、無線パケット通信システムはパケット送信を延期する。
【0003】
また、無線パケット通信装置においてアダプティブアレイアンテナを備えたものが知られている。アダプティブアレイアンテナでは、複数のアンテナで受信した受信信号に基づいてビーム制御が行われる。これには例えば方向拘束付き電力最小化法がある。該電力最小化法によれば、特定の方向への利得を維持しつつ不要波を低減するようなビーム制御を行える。したがって、特定エリアをカバーしかつ他のエリアからの干渉波を除去することができる。
【0004】
従来の無線パケット通信システムにおいて複数端末間の同時通信を実現するにあたり次の問題がある。
【0005】
CSMA方式では、パケットがいつ受信されるか分からない。つまり、他のエリアからの干渉となるパケットが無線パケット通信システムにいつ受信されるかも分からない。このことは、アダプティブアレイアンテナを備えた無線パケット通信システムがこのような干渉パケットを低減するためのビームパターンを形成する前に、干渉パケットが受信されてしまう可能性を意味する。このような従来の無線パケット通信システムが干渉パケットを受信したとき、つまり他のエリアからの干渉を受けたとき、該システムはキャリアセンスによりパケット送信を延期する。結果として、システム全体で同時に通信可能な端末数を増やすことができないことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情を考慮してなされたものであり、各々が複数のアンテナを備える無線パケット通信装置において、ビームパターンを制御することで同一周波数チャネルないし隣接チャネルを使用する他の端末からの干渉を低減できることを利用し、システム全体として同時に通信可能な端末数を増やすことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る無線パケット通信装置は、複数のアンテナと、前記複数のアンテナに接続して指向性を与えるビームパターンを形成するビームパターン形成部と、通信相手でない第1の無線パケット通信装置からの受信パケットに基づく第1のビームパターンを算出する第1のビームパターン算出部と、通信相手でなく且つ前記第1の無線パケット通信装置と通信中にある第2の無線パケット通信装置からの受信パケットに基づく第2のビームパターンを算出する第2のビームパターン算出部と、前記第1の無線パケット通信装置及び前記第2の無線パケット通信装置からの受信パケットの少なくともいずれかに基づいて、該第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信における第1のパケット送信タイミングを算出する第1のパケット送信タイミング算出部と、当該無線パケット通信装置が前記第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信から干渉を受けないように、前記第1及び第2のビームパターンを前記第1のパケット送信タイミングに従って交互に切り替えて前記ビームパターン形成部に設定するビームパターン切り替え部と、を具備する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施形態に係る無線パケット通信装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態の無線パケット通信装置は、第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置の組における無線パケット通信と、第3の無線パケット通信装置と第4の無線パケット通信装置の組における無線パケット通信とが同時に行われる無線パケット通信システムにおいて、いずれか一組の無線パケット通信装置に適用される。ここでは説明の便宜上、第3の無線パケット通信装置を通信相手先とする第4の無線パケット通信装置を例に挙げて説明する。
【0010】
図1に示すように、第4の無線パケット通信装置が備える2つのアンテナ11,12はそれぞれスイッチ21,22を介してビーム形成部3の送信ビーム形成部31及び受信ビーム形成部32に接続されている。送信ビーム形成部31は、図示しない送信部からの送信信号を分配部313で等分配して2つ分配信号を出力する。これら分配された送信信号は、それぞれ重み付け器311,312によりそれぞれ重み付けが行われてアンテナ11,12から送信され、送信ビームパターンが形成される。
【0011】
一方、受信ビーム形成部32はアンテナ11,12が受波したそれぞれの受信信号に対し重み付け器321,322でそれぞれ重み付けを行って合成部323に出力する。合成部323は重み付け器321,322からそれぞれ出力された重み付け後の受信信号を合成し、図示しない受信部に出力する。該合成後の受信信号は、重み付けに応じた指向性を有する受信ビームパターンを反映している。このようなアンテナ11、12およびビーム形成回路3はいわゆるアダプティブアレイアンテナを構成する。
【0012】
また図1に示すように、通信相手でない第1の無線パケット通信装置からの受信パケットに基づく第1のビームパターンを算出する第1のビームパターン算出部61と、通信相手でなく且つ第1の無線パケット通信装置と通信中にある第2の無線パケット通信装置からの受信パケットに基づく第2のビームパターンを算出する第2のビームパターン算出部62とを備える。
【0013】
また、第1の無線パケット通信装置及び第2の無線パケット通信装置からの受信パケットの少なくともいずれかに基づいて、該第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信における第1のパケット送信タイミングを算出する第1のパケット送信タイミング算出部51と、当該第4の無線パケット通信装置が第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信から干渉を受けないように、第1及び第2のビームパターンを第1のパケット送信タイミングに従って交互に切り替えてビーム形成部3に設定するビームパターン切り替え部4とを備える。
【0014】
また、当該第4の無線パケット通信装置が通信相手先である第3の無線パケット通信装置に対してパケットを送受信する際の第2のパケット送信タイミングを算出する第2のパケット送信タイミング算出部52を備える。ビームパターン切り替え部4は、当該第4の無線パケット通信装置から第3の無線パケット通信装置へのパケット送信が第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信に干渉を与えないように、第1及び第2のビームパターンを第2のパケット送信タイミングに従って交互に切り替えてビーム形成部3に設定する。
【0015】
上記第1のビームパターンは、第1の無線パケット通信装置からの干渉を低減する第1の受信ビームパターン及び第1の無線パケット通信装置への干渉を低減する第1の送信ビームパターンを含む。上記第2のビームパターンは、第2の無線パケット通信装置からの干渉を低減する第2の受信ビームパターン及び第2の無線パケット通信装置への干渉を低減する第2の送信ビームパターンを含む。
【0016】
すなわち、本実施形態に係る第4の無線パケット通信装置は、第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信から干渉を受けないようにパケット受信時のビーム制御を行う一方、当該第4の無線パケット通信装置と第3の無線パケット通信装置との間の通信が第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信に干渉を与えないように、パケット送信時のビーム制御を行う構成である。
【0017】
なお、パケット受信時のビーム制御のみ行い、他の装置間における通信への干渉低減を目的としたパケット送信時のビーム制御を行わない構成を採ることもできる。かかる構成を図2に示す。この図2から分かるように第2のパケット送信タイミング算出部52が設けられていない。
【0018】
ビーム形成部3に対しビームパターン切り替え部4が上述した第1又は第2のビームパターンを設定するビーム制御においては、必要に応じて現時点での設定ビームパターンを初期のビームパターンに設定し直すことが行われる。このため図1に示す第4の無線パケット通信装置は、初期ビームパターンを記憶する記憶部を備える(図示しない)。初期ビームパターンを設定するタイミングとしては、あるパケットの受信時から所定時間後(後述するSIFS時間経過後)に、本来であれば受信されるべきパケットを受信しないときである。この場合には上記記憶部に記憶された初期ビームパターンをビーム形成部3に設定する。
【0019】
また本実施形態の無線パケット通信装置は、任意の相手先にパケットを送信し、かかるパケット送信から所定時間後(後述するSIFS時間経過後)に該相手先から送信される応答パケットに基づいて、該相手先との通信において最適な受信状態が得られるビームパターンを算出する最適ビームパターン算出部を備える(図示しない)。ここで、最適な受信状態が得られるビームパターンは例えば最大の受信電力が得られるビームパターンである。算出された最適ビームパターンは、相手先のアドレスに関連付けてビームパターン記憶部(図示しない)に記憶される。
【0020】
以上のように構成された本実施形態による同時通信時の動作を、具体的なシステムへの応用例によって説明する。図3はかかるシステムの構成を示す図である。本システムは例えばIEEE802.11に準拠の無線LAN(Local Area Network)を想定している。3台のアクセスポイントAPのそれぞれに対し、端末STAが2台づつ通信可能状態にある無線パケット通信システムが構成されている。即ち、図3に示すように、STA11およびSTA12はAP1と通信可能であり、同様に、STA21およびSTA22はAP2と、STA31およびSTA32はAP3と通信可能である。図3の点線はアクセスポイントAP1〜3のそれぞれが形成している通信可能エリア(「ゾーン」と称する)を示している。ここでは、全てのAPおよびSTAが、どのゾーンに属しているかに依らず同一チャネルを使用する。また、これら全てのAPおよびSTAの各々が送信するパケットが、ゾーンを超えて他の全てのAPおよびSTAで受信可能な無線通信環境となっている。
【0021】
アクセスポイントAP1〜3はそれぞれバックボーンB1〜B3に接続されている。これらバックボーンB1〜B3は異なるものであっても、同一のものであってもよい。
【0022】
同時通信は、1台のAPおよび1台のSTAからなる組で行われる通信と、これらとは異なる1台のAPおよび1台のSTAからなる別の組で行われる通信とが、一時的であれ同時に発生している状況をいう。合計で4台のこれらAPおよびSTAは、それぞれ、上述した第1乃至第4の無線パケット通信装置のいずれかに相当する。尚、以下の動作説明において、通信中に発生し得るパケット受信エラーについては説明しないが、かかるエラーが発生する無線通信環境においても本発明は適用可能である。
【0023】
図4は図3のシステムにおいて同時通信が行われる際のパケット送信のタイミングを示すタイミングチャートである。以下、このタイミングチャートに従って、同時通信が行われる際の各アクセスポイントおよび各端末の動作を詳細に説明する。
【0024】
(ステップS1)
図3は、一定時間(SIFS時間)以上の期間にわたりパケットが受信されない状態を示している。各APおよびSTAの送信ビームパターンと受信ビームパターンは同じ指向性を持っている。APは例えば隣接ゾーンへの干渉を低減する、あらかじめ計算されたビームパターンを設定する。STAは例えば通信可能状態のAPが送信するビーコンを最大電力で受信できる、あらかじめ計算されたビームパターンを設定する。なお、STAが、送信先を自ゾーン内のAPとするパケットを送信し、その後、SIFS時間後に受信されるパケットを最大電力で受信できるビームパターンを計算してもよい。このようにすればSIFS時間後に送信されるパケットの送信元は自ゾーンのAPだけであるはずであり、当該STAは確実に自ゾーンのAPの方向に最適なビームを向けることができる。
【0025】
(ステップS2)
図5に示すように、AP1がSTA11宛てにDATAパケットを送信する。このDATAパケットには、データ以外に、送信元アドレス、送信先アドレス、パケットサイズ、パケット送信間隔、および総送信パケット数といった属性情報が含まれる。
【0026】
STA11は送信先が自分になっているので受信処理を行う。尚、図5から分かるように、STA11以外の他のAPおよびSTAもDATAパケットが受信される。STA12は、送信元が通信可能状態のAP1になっているので、送信待ち状態になる。パケットサイズ、パケット送信間隔、総送信パケット数から計算されるAP1−STA11間の通信時間を待ち時間とする。パケット送信間隔はここではSIFS(Short InterFrame Space)とする。
【0027】
DATAパケットの送信が終了し、さらにSIFS時間経過後においてもSTA11からのACKが受信されない場合は、計算した待ち時間を経過していなくても送信待ち状態は解除される。
【0028】
AP2およびAP3は送信先が自分になっていないので、AP1−STA11間の通信時間と、送受信のタイミングを計算した後、AP1にヌルを向けるビームパターンの計算を開始する。このとき、干渉波は1波しか存在しないので、例えば2素子アレイを用いてAP1にヌルを向けるビームパターンを電力最小化法に従い計算することができる。電力最小化法は受信ビームを介して受信した信号の電力を最小化するようにビームパターンを形成するアルゴリズムである。
【0029】
なお、STA21,STA22,STA31,STA32は送信元が通信可能状態のAPではないので、上記AP2およびAP3と同様の処理を行う。
【0030】
(ステップS3)
図6に示すようにAP1はSTA11に向けたDATAパケットを送信中である。STA11も該DATAパケットの受信処理中である。またSTA12は送信待ち状態である。
【0031】
ここで、AP2,AP3はAP1にヌルを向けるビームパターンの計算を終了する。またAP2,AP3はAP1からの干渉量を所定レベルまで低減できることを確認する。STA21,STA22,STA31,STA32はAP2およびAP3と同様の処理を行う。
【0032】
(ステップS4)
図7に示すようにSIFS時間中である。AP1はSTA11へのDATAパケットの送信を終了している。STA11は受信したDATAパケットへの応答パケット(ACKパケット)を送信する準備を行う。STA12は依然として送信待ち状態である。なお、SIFS時間後にSTA11からのACKが受信されない場合、送信待ち状態は解除される。
【0033】
AP2,AP3は送信待ち状態である。STA21,STA22,STA31,STA32も送信待ち状態である。
【0034】
(ステップS5)
図8に示すように、STA11はAP1に向けてACKパケットを送信する。ACKパケットには、送信先アドレス、パケットサイズ、パケット送信間隔等の属性情報が含まれる。AP1は送信先が自分になっているのでACKパケットの受信処理を行う。STA12はAP1−STA11間の通信時間を再計算し、引き続き送信待ち状態である。
【0035】
AP2,AP3はAP1−STA11間の通信時間、送受信のタイミングを再計算した後、STA11にヌルを向けるビームパターンの計算を開始する。STA21,STA22,STA31,STA32はAP2,AP3と同様の処理を行う。
【0036】
(ステップS6)
図9に示すように、STA11はAP1にACKパケットを送信中である。AP1も当該ACKパケットの受信処理中である。STA12は依然として送信待ち状態である。
【0037】
AP2,AP3はSTA11にヌルを向けるビームパターンの計算を終了する。また、STA11からの干渉量を所定レベルまで低減できることを確認する。AP2,AP3はAP1,STA11のそれぞれに対してヌルを向けるビームパターンが準備できたので、送信可能状態になる。
【0038】
STA21,STA22,STA32はAP2,AP3と同様の処理を行う。これらも、AP1,STA11のそれぞれに対してヌルを向けるビームパターンが準備できたので、送信可能状態になる。
【0039】
STA31はAP2,AP3と同様の処理を行う。ここでSTA31は所定レベルまで低減できないので送信待ち状態になる。
【0040】
(ステップS7)
図10に示すようにSIFS時間中である。STA11はAP1へのACKパケットの送信を終了している。ここでAP1は次のDATAパケットの送信準備をする。STA12は依然として送信待ち状態である。
【0041】
AP2,AP3はAP1にヌルが向く受信ビームパターンを設定する。STA21,STA22,STA32もAP1にヌルが向く受信ビームパターンを設定する。
【0042】
STA31は送信待ち状態であり、受信ビームパターンを初期ビームパターンに戻す。
【0043】
(ステップS8)
図11に示すように、AP1はSTA11へのDATAパケットの送信を開始する。STA11はこのDATAパケットを受信処理する。STA12は送信待ち状態となる。
【0044】
AP2,AP3は受信ビームパターンをAP1にヌルが向くビームパターンに設定しているので、自ゾーン内のSTAからの信号を受信できる状態である。ここで例えばSTA21が送信準備をする。STA21は送信ビームパターンをSTA11にヌルが向くビームパターンに設定する。このときSTA11はAP1からのDATAパケットを受信している最中である。
【0045】
STA22,STA32についても、AP2,AP3と同様に受信ビームパターンをAP1にヌルが向くビームパターンに設定しているので、自ゾーン内の他のSTAからの信号を受信できる状態である。STA31は送信待ち状態である。
【0046】
(ステップS9)
図12に示すように、AP1はSTA11にDATAパケットを送信中である。STA11も該DATAパケットを受信処理中である。
【0047】
STA12は、正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0048】
STA21は、AP2にDATAパケットを送信する。ここが同時通信の開始時点である。STA21は送信ビームパターンをSTA11にヌルが向くビームパターンに設定しているので、該STA21からAP2へのDATAパケット送信はSTA11に干渉を与えない。
【0049】
AP2は送信先が自分になっているのでSTA21からのDATAパケットを受信処理する。AP2は受信ビームパターンをAP1にヌルが向くビームパターンに設定しているのでAP1から干渉を受けない。
【0050】
STA22は送信先が通信可能状態のAP2になっているので、送信待ち状態になる。STA22はAP2−STA21間の通信時間を待ち時間とする。
【0051】
AP3は受信ビームパターンをAP1にヌルが向くビームパターンに設定しているので、STA21からの信号を受信できるが送信先が自分ではない。ここでは、AP1−STA11間の通信と、STA21−AP2間の通信とが同時に行われているので、送信待ち状態に入る。STA32もAP3と同様である。
【0052】
STA31は正常に受信できない信号がSIFS間隔空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0053】
(ステップS10)
図13に示すようにAP1からのDATAパケット送信後のSIFS時間中である。STA1はACKパケットをAP1へ送信するための準備をする。
【0054】
STA12は正常に受信できない信号がSIFS間隔空けずに受信されるので、送信待ち状態である。
【0055】
STA21はAP2へのDATAパケットを送信中である。ここでSTA21は送信ビームパターンをAP1にヌルが向くビームパターンに設定する。AP2はSTA21からのDATAパケットの受信処理中である。AP2もSTA21と同様に受信ビームパターンをSTA11にヌルが向くビームパターンに設定する。
【0056】
STA22は送信待ち状態であり、受信ビームパターンを初期ビームパターンに戻す。AP3も送信待ち状態であり、受信ビームパターンを初期ビームパターンに戻す。STA32は送信待ち状態である。受信ビームパターンを初期ビームパターンに戻す。STA31は送信待ち状態である。
【0057】
(ステップS11)
図14に示すように、STA11はAP1へのACKパケットの送信を開始する。AP1はこれを受信処理する。
【0058】
STA12は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0059】
STA21は、AP2にDATAパケットを送信中である。STA21は送信ビームパターンをAP1にヌルが向くビームパターンに設定しているので、AP1に干渉を与えない。AP2はSTA21からのDATAパケットを受信処理中である。AP2も受信ビームパターンをSTA11にヌルが向くビームパターンに設定しているのでSTA11から干渉を受けない。
【0060】
STA22は、正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。またAP3は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。STA31,STA32も正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0061】
(ステップS12)
図15に示すように、STA21からAP2へのDATAパケット送信後のSIFS時間中である。このときSTA11はAP1にACKパケットを送信中である。AP1は該ACKパケットを受信処理中である。
【0062】
STA12は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0063】
ここでSTA21は受信ビームパターンをSTA11にヌルが向くビームパターンに設定する。AP2はSTA21からのDATAパケットに対するACKパケットの送信準備をする。またAP2は送信ビームパターンをAP1にヌルが向くビームパターンに設定する。
【0064】
STA22は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。AP3は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。STA31,STA32も正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0065】
(ステップS13)
図16に示すように、STA11はAP1へのACKパケットの送信を開始する。AP1はこれを受信処理する。
【0066】
STA12は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0067】
続いて、AP2がSTA21へのACKパケットの送信を開始する。AP2は送信ビームパターンをAP1にヌルが向くビームパターンに設定しているので、AP1に干渉を与えない。
【0068】
STA21はAP2からのACKパケットを受信処理する。STA21は受信ビームパターンをSTA11にヌルが向くビームパターンに設定しているのでSTA11から干渉を受けない。
【0069】
STA22は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。AP3は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。STA31,STA32も正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0070】
(ステップS14)
ここで、AP1−STA11間の通信が終了する。図17に示すようにビームパターンを初期ビームパターンに戻す。正常に受信できない信号がSIFS間隔空けずに受信されるのでSTA11,AP1は送信待ち状態になる。
【0071】
STA12は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0072】
AP2はSTA21へのACKパケットの送信中である。AP1−STA11間の通信が終了しているので、ビームパターンを初期ビームパターンに戻す。
【0073】
STA21はAP2からのACKパケットの受信処理中である。AP2と同様に、ビームパターンを初期ビームパターンに戻す。
【0074】
STA22は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0075】
AP3は正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。STA31,STA32も正常に受信できない信号がSIFS間隔を空けずに受信されるので送信待ち状態である。
【0076】
(ステップS15)
図18に示すように、AP2からSTA21へのACKパケットの送信後のSIFS時間中である。
【0077】
STA21は次のDATAパケットの送信準備をする。
【0078】
STA22は送信待ち状態である。SIFS時間経過後にパケットが受信されない場合、STA22の送信待ち状態は解除される。AP1,AP3も送信待ち状態であり、SIFS後にパケットが受信されない場合、送信待ち状態は解除される。STA11,STA12,STA31,STA32も送信待ち状態であり、SIFS後にパケットが受信されない場合、送信待ち状態は解除される。
【0079】
(ステップS16)
図19に示すように、STA21はAP2へのDATAパケットの送信を開始する。AP2はこれを受信処理する。
【0080】
STA22は送信先が通信可能状態のAP2になっているので、送信待ち状態になる。
【0081】
AP1,AP3は送信先が自分になっていないので、STA21−AP2間の通信時間、送受信のタイミングを計算した後、STA21にヌルを向けるビームパターンの計算を開始する。
【0082】
STA11,STA12,STA31,STA32は送信元が通信可能状態のAPではないので、AP1,AP3と同様の処理を行う。
【0083】
(ステップS17)
図20に示すように、STA21はAP2にDATAパケットを送信中である。AP2は該DATAパケットを受信処理中である。STA22は送信待ち状態である。
【0084】
AP1,AP3はSTA21にヌルを向けるビームパターンの計算を終了し、STA21からの干渉量を所定レベルまで低減できることを確認する。
【0085】
STA11,STA12,STA31,STA32はAP2,AP3と同様の処理を行う。
【0086】
このステップS17以降は、ステップS4以降の処理と同様である。
【0087】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず種々変形して実施可能である。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、各々が複数のアンテナを備える無線パケット通信装置においてビームパターンを制御することで同一周波数チャネルないし隣接チャネルを使用する他の端末からの干渉を低減できることを利用し、システム全体として同時に通信可能な端末数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線パケット通信装置の概略構成を示すブロック図
【図2】図1の変形例に係り、パケット送信時のビーム制御を行わない構成を示すブロック図
【図3】本実施形態の具体的なシステムへの応用例を示す図
【図4】図3のシステムにおいて同時通信が行われる際のパケット送信のタイミングを示すタイミングチャート
【図5】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS2に対応する図
【図6】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS3に対応する図
【図7】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS4に対応する図
【図8】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS5に対応する図
【図9】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS6に対応する図
【図10】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS7に対応する図
【図11】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS8に対応する図
【図12】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS9に対応する図
【図13】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS10に対応する図
【図14】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS11に対応する図
【図15】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS12に対応する図
【図16】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS13に対応する図
【図17】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS14に対応する図
【図18】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS15に対応する図
【図19】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS16に対応する図
【図20】図4のタイミングチャートに従う図3のシステムにおける通信状態を示す図であって、ステップS17に対応する図
【符号の説明】
11,12…アンテナ
21,22…スイッチ
3…ビーム形成部
31…送信ビーム形成部
32…受信ビーム形成部
313…分配部
311,312…重み付け器
32…受信ビーム形成部
321,322…重み付け器
323…合成部
4…ビームパターン切り替え部
51…第1のパケット送信タイミング算出部
52…第2のパケット送信タイミング算出部
61…第1のビームパターン算出部
62…第2のビームパターン算出部

Claims (10)

  1. 複数のアンテナと、
    前記複数のアンテナに接続して指向性を与えるビームパターンを形成するビームパターン形成部と、
    通信相手でない第1の無線パケット通信装置からの受信パケットに基づく第1のビームパターンを算出する第1のビームパターン算出部と、
    通信相手でなく且つ前記第1の無線パケット通信装置と通信中にある第2の無線パケット通信装置からの受信パケットに基づく第2のビームパターンを算出する第2のビームパターン算出部と、
    前記第1の無線パケット通信装置及び前記第2の無線パケット通信装置からの受信パケットの少なくともいずれかに基づいて、該第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信における第1のパケット送信タイミングを算出する第1のパケット送信タイミング算出部と、
    当該無線パケット通信装置が前記第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信から干渉を受けないように、前記第1及び第2のビームパターンを前記第1のパケット送信タイミングに従って交互に切り替えて前記ビームパターン形成部に設定するビームパターン切り替え部と、
    を具備することを特徴とする無線パケット通信装置。
  2. 当該無線パケット通信装置が通信相手先である第3の無線パケット通信装置に対してパケットを送受信する際の第2のパケット送信タイミングを算出する第2のパケット送信タイミング算出部を具備し、
    前記ビームパターン切り替え部は、当該無線パケット通信装置から前記第3の無線パケット通信装置へのパケット送信が前記第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信に干渉を与えないように、前記第1及び第2のビームパターンを前記第1及び第2のパケット送信タイミングに従って交互に切り替えて前記ビームパターン形成部に設定することを特徴とする請求項1に記載の無線パケット通信装置。
  3. 前記第1のビームパターンは、前記第1の無線パケット通信装置からの干渉を低減する第1の受信ビームパターン及び前記第1の無線パケット通信装置への干渉を低減する第1の送信ビームパターンを含み、
    前記第2のビームパターンは、前記第2の無線パケット通信装置からの干渉を低減する第2の受信ビームパターン及び前記第2の無線パケット通信装置への干渉を低減する第2の送信ビームパターンを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の無線パケット通信装置。
  4. 当該無線パケット通信装置が前記第3の無線パケット通信装置からのパケットを受信中のときは、前記第1の無線パケット通信装置がパケットの受信動作から送信動作に切り替わるときに前記第1の受信ビームパターンが設定され、前記第2の無線パケット通信装置がパケットの受信動作から送信動作に切り替わるときに前記第2の受信ビームパターンが設定されることを特徴とする請求項3記載の無線パケット通信装置。
  5. 当該無線パケット通信装置が前記第3の無線パケット通信装置へパケットを送信中のときは、前記第1の無線パケット通信装置がパケットの送信動作から受信動作に切り替わるときに前記第1の送信ビームパターンが設定され、前記第2の無線パケット通信装置がパケットの送信動作から受信動作に切り替わるときに前記第2の送信ビームパターンが設定されることを特徴とする請求項3記載の無線パケット通信装置。
  6. 当該無線パケット通信装置がパケットの送信動作から受信動作に切り替わるとき、前記第1の無線パケット通信装置がパケットを送信中のときは前記第1の受信ビームパターンが設定される一方、前記第2の無線パケット通信装置がパケットを送信中のときは前記第2の受信ビームパターンが設定されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の無線パケット通信装置。
  7. 当該無線パケット通信装置がパケットの受信動作から送信動作に切り替わるとき、前記第1の無線パケット通信装置がパケットを送信中のときは前記第1の送信ビームパターンが設定される一方、前記第2の無線パケット通信装置がパケットを送信中のときは前記第2の送信ビームパターンが設定されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の無線パケット通信装置。
  8. 前記第1のパケット送信タイミング算出部は、第1の無線パケット通信装置と第2の無線パケット通信装置との間の通信におけるパケット送信サイズ及びパケット送信間隔から前記第1のパケット送信タイミングを算出することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の無線パケット通信装置。
  9. 初期ビームパターンを記憶する記憶部を備え、第1のパケットの受信時から所定時間後に続くパケットを受信しない場合に前記記憶部に記憶された初期ビームパターンを前記ビームパターン形成部に設定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の無線パケット通信装置。
  10. 任意の相手先にパケットを送信する送信部と、
    前記パケットの送信から所定時間後に前記相手先から送信される応答パケットに基づいて、該相手先との通信において最適な受信状態が得られるビームパターンを算出する最適ビームパターン算出部と、
    前記相手先のアドレスと前記ビームパターンとを対応させて記憶するビームパターン記憶部とを具備することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の無線パケット通信装置。
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