JP2004063209A - White organic electroluminescent element - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶用バックライトや照明用光源などに用いることのできる白色有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フラットパネルディスプレイ、液晶表示機用バックライト、照明光源などに用いられる発光体として、フラットパネルディスプレイの薄型化、液晶表示機を備える電子機器の小型化や薄型化、あるいは照明器具の形状の自由化などのために、薄く、軽量であり、かつ高効率であるものが近年ますます要求されるようになっている。そしてこのような要求に応じることができるものとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機電界発光素子)が注目されている。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス素子が低電圧で発光することは、イーストマン・コダック社のC.W.Tangらにより、電極間に二層の薄膜を積層した構成の素子において初めて示された(Appl.Phys.Lett.,51,12,913(1987))。そしてこれ以降、有機エレクトロルミネッセンス素子は、電池などの10V程度の低電圧で100〜100000cd/m2程度の高輝度の発光が可能なこと、蛍光物質を構成する材料の組み合せで多数の色を発光させることが可能なこと、非常に薄い面発光体として使用可能なこと、などから産業界で注目され、素子構成に改良を加えた種々の薄膜構成の有機エレクトロルミネッセンス素子が検討されており、実用段階に入っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況のなかで、RGBの各発光色の有機エレクトロルミネッセンス素子に関しては、発光効率、寿命とも著しい進歩がみられ、実用的レベルのものが開発されている。
【0005】
しかし、光源等に有用であり応用範囲が広い白色発光の白色有機エレクトロルミネッセンス素子に関しては、発光効率や寿命がまだ不十分であり、これらの更なる向上が望まれているのが現状である。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、発光効率や寿命に優れた白色有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る白色有機エレクトロルミネッセンス素子は、二つの電極の間に有機発光層を備えて形成される白色有機エレクトロルミネッセンス素子において、一方の表面が光拡散処理された光拡散部として形成され、他方の表面に透明導電膜が形成された透明基板と、ホール輸送層と、青色発光及び黄色発光の有機発光層と、電子輸送層と、金属層と、導電性金属電極とを積層して成ることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項2の発明は、請求項1において、透明基板に形成した透明導電膜がハロゲン処理されていることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項3の発明は、請求項2において、ハロゲン処理によって、透明基板に形成した透明導電膜の仕事関数が処理前より0.5eV以上大きくなっていることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項4の発明は、請求項2又は3において、ハロゲン処理に用いるハロゲンが臭素であることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項5の発明は、請求項1において、透明基板に形成した透明導電膜が酸処理されていることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項6の発明は、請求項5において、酸処理によって、透明基板に形成した透明導電膜の仕事関数が処理前より0.5eV以上大きくなっていることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項7の発明は、請求項5又は6において、酸処理に用いる酸が無機プロトン酸であることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、有機発光層は発光波長が420〜480nmの青色発光層と、発光波長520〜580nmの黄色発光層の少なくとも2層からなることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかにおいて、電子輸送層が電子移動度10−5cm2/Vs以上の有機化合物からなることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項10の発明は、請求項1乃至8のいずれかにおいて、電子輸送層が、有機発光層に近い側の電子移動度が10−5cm2/Vs以上の有機化合物の層と、陰極に近い側のガラス転移温度が80℃以上の有機化合物の層との積層構造であることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかにおいて、金属層が、イオン半径1.5Å以下のアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属から選ばれる少なくとも一種の金属からなることを特徴とするものである。
【0018】
また請求項12の発明は、請求項1乃至11のいずれかにおいて、導電性金属電極が、仕事関数が3.7eV以上の、Al,Ag,Mg,In,Zn,Pb,Biから選ばれる少なくとも一種の金属またはその合金からなることを特徴とするものである。
【0019】
また請求項13の発明は、請求項1乃至12のいずれかにおいて、少なくとも導電性金属電極の表面を低温プラズマCVD法で作製される窒化珪素の封止膜によって覆うようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
また請求項14の発明は、請求項1乃至13のいずれかにおいて、透明基板の光拡散処理された光拡散部が、母層内に母層と屈折率の異なる散乱材を散在させることによって形成された層であることを特徴とするものである。
【0021】
また請求項15の発明は、請求項1乃至13のいずれかにおいて、透明基板の光拡散処理された光拡散部が、母層内に母層と屈折率の異なる散乱材を散在させたシートを貼り付けることによって形成された層であることを特徴とするものである。
【0022】
また請求項16の発明は、請求項1乃至15のいずれかにおいて、透明基板の光拡散部の表面に空気層を介して光集光性のあるプリズムシートを配置したことを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極Aと陰極Cの間に有機発光層1を備えたものである。そして図1は有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示すものであり、透明基板2の表面に透明導電膜3からなる陽極Aを積層し、透明導電膜3の陽極Aの表面にホール輸送層4を介して有機発光層1を積層すると共に、さらにこの有機発光層1に電子輸送層5を介して陰極Cが積層してある。これを基本構成として有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を形成することができるものであり、透明導電膜3で形成される陽極Aに正電圧を、陰極Cに負電圧を印加すると、電子輸送層5を介して有機発光層1に注入された電子と、ホール輸送層4を介して有機発光層1に注入されたホールとが、有機発光層1内や、有機発光層1とホール輸送層4の界面等にて再結合して発光が起こるものである。このように有機発光層1で発光した光は、透明導電膜3からなる陽極Aと透明基板2を透過して外部に取り出される。ここで、有機発光層1を青色発光する青色発光層1bと黄色発光する黄色発光層1aが積層されたものとして形成することによって、青色光と黄色光が混合されて白色発光する白色有機エレクトロルミネッセンス素子として形成することができるものである。また本発明では上記の陰極Cを、導電性金属電極7の有機発光層1の側の表面に金属層6を積層したものとして形成してある。
【0025】
そして本発明において、透明基板2の透明導電膜3を設けた面と反対側の表面には、光拡散処理された光拡散部8が設けてある。この透明基板2としては、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどの透明ガラス板や、透明プラスチック板などを用いることができるものであり、光透過性であればよく、無色透明の他に、多少着色されているものであっても、すりガラス状のものであってもよい。
【0026】
ここで、特に限定する趣旨ではないが、光拡散部8としてはヘーズ(曇価)が80%以上のものを用いるのが好ましいものであり、透明基板2を透過した光は光拡散部8での光散乱効果によって、光拡散部8の表面と空気との間の界面で全反射されることが極めて少なくなり、透明基板2の表面の光拡散部8から効率高く取り出すことができるものである。光拡散部8のヘーズが80%未満であると、十分な光散乱効果を得ることができず、光の取り出し率の明確な向上の効果を得ることが難しくなる。光拡散部8のヘーズの上限値は特に設定されるものではないが、ヘーズが高くなり過ぎると正面輝度が低下するおそれがあるので、95%以下であることが望ましい。
【0027】
この光拡散部8は、母層9内に屈折率が母層9と異なる光散乱材10を分散して散在させたもので形成することができるものであり、母層9と光散乱材10の屈折率差によって、母層9と光散乱材10の界面での光の反射や屈折作用で全体として光を拡散させることができるものである。この母層9としては、可視光に対して透明性を有し、かつ透明基板2との界面で全反射が起こり難いように、透明基板2と同等な屈折率あるいは透明基板2よりも大きな屈折率を有するものを用いるのが好ましく、材質は固定形状を保持するものであれば特に制限されないが、例えばアクリル樹脂、PET、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、シクロオレフィンポリマー、ナイロン、ポリカーボネート樹脂、フッ素系樹脂などから選ばれる一種以上の透明樹脂を適宜選択して用いることができる。光拡散部8を形成する母層9の厚みは、可視光に対して透明性を確保できる厚みであれば、特に制限されない。また光散乱材10としては、光吸収性がなく、屈折率が母層9と異なるものであればよく、材質、形状は特に限定されないが、例えばシリカ、チタニア、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを用いることができる。母層9に対する光散乱材10の添加量は、目的とする光拡散部8のヘーズの値に応じて適宜設定されるものである。
【0028】
そして光拡散部8は、母層9となる樹脂と光散乱材10とを混合した樹脂液を透明基板2の表面に塗布して硬化乃至固化させることによって、透明基板2と一体の層として形成することができる。また、透明基板2とは別体のシートで光拡散部8を形成し、シートを透明基板2に接着剤で貼り付けることによって、透明基板2に光拡散部8を設けることもできる。この光拡散部8を形成するシートは、上記と同様に透明樹脂等で形成される母層9内に屈折率が母層9と異なる光散乱材10を散在させたもので形成することができるものであり、具体的には液晶バックライトフィルム用の拡散フィルムとして市販されているものを用いることができる。ここで、透明基板2にシートからなる光拡散部8を接着する接着剤としては、上記の母層9と同様の機能を有する材質のものが好ましい。
【0029】
また、透明基板2自体を光拡散性を有するもので形成し、透明基板2の全体を光拡散部8として形成することも可能である。この場合、透明基板2を透過した光は光散乱効果によって空気との間の界面で全反射されることが極めて少なくなり、透明基板2から光を効率良く取り出すことができるものである。この透明基板2は、母層9内に屈折率が母層9と異なる光散乱材10を分散して散在させたもので形成することができる。
【0030】
尚、本発明において、透明基板2として予め光拡散部8を形成したものを用い、この透明基板2の表面に他の各種の層を形成するようにしてもよく、また透明基板2として光拡散部8を形成していないものを用い、他の各種の層を形成した後に透明基板2の表面に光拡散部8を形成するようにしてもよいものであり、請求項1の「一方の表面が光拡散処理された光拡散部8として形成され、他方の表面に透明導電膜3が形成された透明基板2」とはこの両方を含むものである。
【0031】
また図1の実施の形態では、光拡散部8の透明基板2と反対側の表面に所定間隙を介して光集光性のあるプリズムシート11を配置してある。光拡散部8から取り出される光は散乱された状態にあるので、このようにプリズムシート11を配置することによって、光拡散部8から出る光をプリズムシート11で集光して正面輝度を高めることができるものである。
【0032】
ここで、本発明では上記のように一方の表面に光拡散部8を設けた透明基板2の他方の表面に透明導電膜3を形成した後、透明基板2を酸処理することによって、陽極Aを構成する透明導電膜3の表面を酸で処理するようにしてある。そして、この酸処理の後に水や溶剤などで洗浄することを行なわないで、酸を含む層を透明導電膜3の表面に保持した状態で、透明導電膜3にホール輸送層4、有機発光層1、電子輸送層5、陰極Cを構成する金属層7と導電性金属電極6を設けることによって、有機エレクトロルミネッセンス素子を製造するようにしている。このように、透明導電膜3の表面を酸処理することによって、透明導電膜3の仕事関数を大きくして、透明導電膜3とホール輸送層4とのエネルギー障壁を小さくすることができるものであり、陽極Aを構成する透明導電膜3からのホール注入効率を高めることができ、素子駆動電圧の低電圧化を行なって発光の高効率化を達成することができるものである。このとき、透明導電膜3の表面を酸処理した後に洗浄を行わないようにするのが好ましいものであり、有機溶剤などによる残留炭素等の汚れを極小化することができると共に電気2重層が損なわれることを防ぎ、透明導電膜3の仕事関数を大きくする効果を高く得ることができるものである。
【0033】
上記のように透明導電膜3を酸処理するにあたって、酸としては、一般的な無機プロトン酸や有機酸を用いることができる。無機プロトン酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、又はこれらの混合物等を用いることができるが、これに限定されるものではない。また、有機酸としては、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ギ酸、クエン酸、コハク酸、又はこれらの混合物等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
透明導電膜3を酸で処理する方法としては、上記の酸の溶液に透明基板2を所定時間浸積する方法や、酸の溶液の蒸気に透明基板2を所定時間さらす方法などを挙げることができる。透明導電膜3を処理する酸のpHは6以下であることが望ましい。pHが6を超えるものであると、透明導電膜3の仕事関数を大きくする効果を十分に期待することはできない。pHの下限は特に設定されるものではないが、pH0.01程度を下限とするのが好ましい。また酸処理の時間は、酸のpHや酸の温度によっても異なるが、通常は1秒から1時間の範囲であり、この範囲内で適宜選択すればよい。さらに、透明導電膜3の酸処理を行なった後、1週間以内に、透明導電膜3にホール輸送層4や有機発光層1などを積層して設けるようにするのが好ましい。透明導電膜3を酸処理した後に放置すると、透明導電膜3の表面は徐々に汚染されるので、透明導電膜3を酸処理した後はできるだけ早くホール輸送層4や有機発光層1などを設けるのが好ましいものであり、1週間を経過すると、透明導電膜3を酸処理したことによる効果を十分に得ることができなくなるおそれがある。
【0035】
また本発明において他の酸として、高分子有機酸を用いることも可能である。高分子有機酸はその膜を透明導電膜3の表面に形成することができるので、透明導電膜3の表面に固定化することが容易であり、酸処理によって透明導電膜3の仕事関数を大きくすることに関して安定した特性を得ることができるものである。高分子有機酸としては、酸性を示すイオン解離性高分子を用いることができる。具体的には、ポリスチレンスルホン酸やポリビニルスルホン酸等のスルホン酸化合物、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタリン酸及びこれらのユニットを含有するポリマー等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
これら高分子有機酸を水や有機溶剤に溶かした状態で透明導電膜3上にコーティングすることによって、透明導電膜3の表面に、高分子有機酸の薄膜を形成することができる。ここで、高分子有機酸の薄膜の膜厚は、1Å以上、100Å以下であることが望ましい。膜厚が100Åを超えると、高分子有機酸の薄膜が絶縁層として働いて素子に電流が流れ難くなる問題が発生するおそれがある。また、膜厚を1Å未満にすると、酸で処理することによる本発明の狙いの効果を充分に得ることができない。
【0037】
また、透明導電膜3の表面をさらにシランカップリング剤で処理するのが好ましい。そしてこのようにシランカップリング剤で処理したその上にホール輸送層4や有機発光層1などの有機層を形成することで、有機層と透明導電膜3との密着性を上げることができ、透明導電膜3を酸処理することによる効果を一層高めることが可能になるものである。ここで、シランカップリング剤としては、一般的に用いられるエポキシ基、メルカプト基、アミノ基を反応基に有するものを用いることができる。具体的には、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を用いることができるが、特にこれに限定されない。このシランカップリング剤処理は、酸と上記シランカップリング剤の混合物を透明導電膜3の表面に塗布することによって、酸処理と同時に行うようにすることができる。
【0038】
また、上記のように透明導電膜3の表面を酸処理する他に、透明導電膜3の表面をハロゲンで処理して、透明導電膜3の表面にハロゲンを含有する層を形成することによって、透明導電膜3の仕事関数を大きくすることができるものであり、陽極Aを構成する透明導電膜3からのホール注入効率を高めて、素子駆動電圧の低電圧化を達成することができるものである。
【0039】
透明導電膜3の処理に用いるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。これらは一種を単独で用いる他に、二種以上を混合して用いることもできるものであり、これらの中でも臭素が最も好ましい。また透明導電膜3をハロゲンで処理する方法としては、ハロゲンを含有する溶液に透明基板2を所定時間浸漬したり、その蒸気に所定時間さらしたりする方法、液状のハロゲンに透明基板2を所定時間浸漬した後に乾燥する方法、ハロゲンガスに透明基板2を所定時間曝す方法、ハロゲンガスの存在下で透明基板2をプラズマ処理する方法などを採用することができる。ハロゲンによる処理時間は、使用するハロゲンの種類、処理方法などによって異なるが、通常、1秒から1時間程度である。
【0040】
透明導電膜3の仕事関数を大きくするために酸処理を行なう場合は、透明導電膜3の表面がエッチングされて透明導電膜3の表面形状が乱れるおそれがあり、有機エレクトロルミネッセンス素子の特性や寿命に悪影響を与えることがあるが、ハロゲンによる処理では、透明導電膜3の表面形状に殆ど影響を与えることがなく、酸でエッチングされ易い材料、例えばIZOなどを透明導電膜3に用いた場合にも、所望の性能を発揮させることが容易になるものである。また、透明導電膜3をハロゲンで処理して透明導電膜3の表面にハロゲンを含有する層を設けた状態で、この上に有機発光層3等を形成することができるものであり、透明導電膜3をハロゲンで処理した後に水や有機溶剤によって洗浄を行なう必要はない。従って、透明導電膜3をハロゲンで処理した後、水や有機溶剤による洗浄を行なわずに、この上に有機発光層3等を形成する加工を行なって有機エレクトロルミネッセンス素子を製造することによって、透明導電膜3の表面に有機溶剤などによる残留炭素等の汚れが残ることを極小化することができ、透明導電膜3の仕事関数を大きくする効果を高く得ることができるものである。
【0041】
上記のように透明導電膜3の表面を酸処理やハロゲン処理して、透明導電膜3の仕事関数を大きくするにあたって、本発明では、透明導電膜3の表面の仕事関数が処理前の仕事関数よりも0.5eV以上大きくなっていることが望ましい。透明導電膜3の仕事関数が0.5eV以上大きくなっていないと、陽極Aを構成する透明導電膜3の仕事関数を大きくすることによってホールの注入効率を高める効果が不充分になり、素子駆動電圧の低電圧化の目的を十分に達成することができない。透明導電膜3の仕事関数は大きいほど望ましいので、仕事関数を大きくすることの上限は特に設定されないが、酸処理やハロゲン処理によって透明導電膜3の仕事関数を大きくすることには限界があるので、仕事関数を大きくすることの実質的な上限は1.3eV程度である。
【0042】
陽極Aを構成する透明導電膜3は素子中にホールを注入するための電極であり、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましく、仕事関数が4eV以上のものを用いるのがよい。このような透明導電膜3の材料として具体的には、金などの金属、CuI、ITO(酸化インジウム錫)、SnO2、ZnO、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の導電性透明材料を挙げることができる。透明導電膜3は、これらの電極材料を透明基板2の表面に、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法により薄膜に形成することによって作製することができるものであり、光透過率が10%以上の透明電極に形成することが好ましい。さらに、透明導電膜3のシート抵抗は数百Ω/□以下とすることが好ましく、特に好ましくは100Ω/□以下とするものである。透明導電膜3の膜厚は、光透過率やシート抵抗等の特性を上記のように制御するために、材料により異なるが、500nm以下、好ましくは10〜200nmの範囲に設定するのがよい。
【0043】
また、陽極Aと有機発光層1の間に積層されるホール輸送層4を構成するホール輸送性材料としては、ホールを輸送する能力を有し、陽極Aからのホール注入効果を有するとともに、有機発光層3または発光材料に対して優れたホール注入効果を有し、また電子のホール輸送層4への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物を挙げることができる。具体的にはフタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)や4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリエチレンジオキサイドチオフェン(PEDOT)等の導電性高分子等の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
そしてホール輸送層4の表面に積層される有機発光層1に使用される発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、及び各種蛍光色素等があるが、これに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10重量部含むようにすることも好ましい。有機発光層3の厚みは0.5〜500nm、更に好ましくは0.5〜200nmとするものである。
【0045】
ここで、本発明において有機発光層1は、青色発光する青色発光層1bと黄色発光する黄色発光層1aの少なくとも2層を積層した複層構成に形成してあり、青色光と黄色光の混合によって白色発光することができるようにしてある。この青色発光層1bの発光波長はピーク波長が420〜480nmの範囲に入り、黄色発光層1aの発光波長はピーク波長が520〜580nmの範囲に入るようにするのが好ましく、青色発光層1bと黄色発光層1aのそれぞれの発光波長のピーク波長をこの範囲に設定することによって、より白色に近い白色発光を実現することができるものである。
【0046】
有機発光層1と陰極Cの間に積層される電子輸送層5を構成する電子輸送材料としては、電子を輸送する能力を有し、陰極Cからの電子注入効果を有するとともに、有機発光層1または発光材料に対して優れた電子注入効果を有するものが用いられる。そして図1の実施の形態では、電子輸送層5を電子移動度が10−5cm2/Vs以上の有機化合物によって一層構成に形成してある。陰極Cから電子輸送層5に注入された電子を、電子移動度が10−5cm2/Vs以上の有機化合物によって、効率良く有機発光層1に輸送することができるものであり、この結果、有機発光層1へのホールの注入量と電子の注入量のバランスを良好なものにして、有機発光層1を効率良く発光させることができ、初期発光特性に優れた有機電界発光素子を得ることができるものである。電子輸送層5を形成する有機化合物の電子移動度は高いほど好ましく、上限値は特に設定されないが、入手の可能性などのうえから102cm2/Vs程度が実質上の上限である。
【0047】
また図2の実施の形態では、電子輸送層5を、有機発光層1に近い側の電子移動度が10−5cm2/Vs以上の有機化合物の層5aと、陰極Cに近い側のガラス転移温度が80℃以上の有機化合物の層5bとを積層して形成するようにしてある。このように電子輸送層5のうち陰極Cに接する側の層5bをガラス転移温度が80℃以上と耐熱性の高い有機化合物で形成することによって、電子輸送層5の上に金属等を蒸着して陰極Cを形成するにあたって、金属等の蒸着による陰極Cの成膜時に熱ダメージが電子輸送層5に影響することを小さくすることができ、寿命特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を作製することが可能になるものである。陰極Cに接する層5bを形成する有機化合物のガラス転移温度は高いほど好ましく、上限値は特に設定されないが、入手の可能性などのうえから200℃程度が実質上の上限である。
【0048】
そしてこの二層構成の電子輸送層5にあって、有機発光層1の側の層5aは電子移動度が10−5cm2/Vs以上の有機化合物で形成されているので、電子を効率良く有機発光層1に輸送することができ、初期発光特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができるものである。この層5aを形成する有機化合物の電子移動度は高いほど好ましく、上限値は特に設定されないが、入手の可能性などのうえから102cm2/Vs程度が実質上の上限である。
【0049】
さらに上記の層5a,5bからなる二層構成の電子輸送層5において、電子の注入をよりスムーズに行なうために、電子移動度が10−5cm2/Vs以上の有機化合物の電子親和力(EA:Electron Affinity)が、ガラス転移温度が80℃以上の有機化合物の電子親和力(EA)よりも小さいことが好ましい。有機エレクトロルミネッセンス素子においては、一般的に、陰極Cの金属の仕事関数と、電子輸送層5を形成する有機化合物の電子親和力の差がエネルギー障壁として存在し、電子の注入効率を良くするにはこのエネルギー障壁を小さくすることが必要である。そして電子輸送層5を機能分離した二つの層5a,5bで形成する場合、陰極Cと反対側の層5aを形成する電子移動度が10−5cm2/Vs以上の有機化合物の電子親和力を、陰極Cの側の層5bを形成するガラス転移温度が80℃以上の有機化合物の電子親和力よりも小さくすることによって、図3に示すように陰極Cと電子輸送層5との界面におけるエネルギー障壁を小さくすることができ、電子の注入、移動をよりスムーズに行なわせて発光特性を高めることができるものである。
【0050】
ここで、上記の電子移動度が10−5cm2/Vs以上の有機化合物としては、特に限定されるものではないが、バソクプロイン、バソフェナントロリン、及びこれらの誘導体、TPBi(2,2′,2″−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス−[1−フェニル−1H−ベンツイミダゾール])、シロール化合物、トリアゾール化合物などから選ばれる1種以上のものを用いることができる。
【0051】
また上記のガラス転移温度が80℃以上の有機化合物としては、特に限定されるものではないが、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、ビス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、オキサジアゾール化合物、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール化合物、2,2′,2″−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス−[1−フェニル−1H−ベンツイミダゾール](TPBI)などから選ばれる1種以上のものを用いることができる。
【0052】
また本発明では、陰極Cは金属層6と導電性金属電極7とを積層して形成してある。金属層6はイオン半径1.5Å以下の金属からなるものであり、導電性金属電極7は仕事関数が3.7eV以上の金属からなるものである。
【0053】
ここで、イオン半径1.5Å以下の金属よりなる金属層6は電子輸送層5と接するように陰極Cの内層として形成されるものであり、電子輸送層5に金属蒸着をすることによって形成するようにしてある。このようにイオン半径1.5Å以下の金属を電子輸送層5に蒸着すると、その一部が電子輸送層5中に容易に拡散し且つ電子輸送層5の材料と錯体を形成するものであり、このことによって、陰極Cからの電子注入性に優れた素子を作製することができるものである。すなわち、陰極Cの電子輸送層5との界面付近に陰極金属と電子輸送性有機化合物との混合層が形成されることになり、陰極金属から電子輸送性有機化合物へと電子を受け渡すことができ、初期発光特性に優れた有機電界発光素子を得ることができるのである。この電子輸送層5と隣接した金属層6を形成する金属は、電子輸送層5中に容易に拡散し且つ電子輸送層5の材料と錯体を形成するために、イオン半径が1.5Å以下であることが必要である。イオン半径は小さい程好ましく、特に下限は設定されないが、入手の可能性などのうえで実用上は0.5Å程度が下限である。またこの金属としては仕事関数が3.0eV以下と電子注入性に優れたものであることが望ましい。これらの条件を満足する金属としては、Na、K、Rb、Mg、Ca、Baからなるアルカリ金属又はアルカリ土類金属、あるいはSm、Eu、Ce、Yb、Prなどの希土類金属から選ばれるものを用いることができるものであり、これらのなかから1種あるいは複数種の金属を選択して使用することができるものである。
【0054】
また、仕事関数が3.7eV以上の金属よりなる導電性金属電極7は陰極Cの外層として形成されるものである。この外側の導電性金属電極7を形成する金属は、素子に安定性を持たせるために仕事関数が3.7eV以上であるものを用いるものであり、素子抵抗を小さくするために高い導電性を有するものであることが望ましい。仕事関数の上限は特に設定されないが、実用上は5.5eV以下であることが望ましい。これらの条件を満たす金属としては、Al、Ag、Mg、In、Zn、Pb、Biから選ばれるものを用いることができるものであり、これらのなかから1種あるいは複数種の金属を選択して使用することができるものである。
【0055】
陰極Cを上記のようにイオン半径1.5Å以下の金属よりなる金属層6と、仕事関数が3.7eV以上の金属よりなる導電性金属電極7とから形成することによって、高効率で初期発光特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができるものである。ここで、電子輸送層5と隣接して設けられるイオン半径1.5Å以下の金属よりなる金属層6の膜厚は0.1〜10nmと薄く形成するのが好ましい。このような薄い膜厚に形成すると、イオン半径1.5Å以下の金属は微量であるために、電子輸送層5を超えて拡散することを防ぐことができ、有機発光層1で生じた発光中心を消失させることを防止して、高効率で初期特性に優れた有機電界発光素子を得ることが容易になるものである。イオン半径1.5Å以下の金属よりなる金属層6の膜厚が10nmを超えると、イオン半径1.5Å以下の金属が電子輸送層5を超えて拡散するおそれがあり、0.1nm未満の場合にはイオン半径1.5Å以下の金属よりなる金属層6を形成することによる上記の効果を十分に得ることは難しい。
【0056】
上記の金属層6と導電性金属電極7よりなる陰極Cは、上記の金属を、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法により、蒸着して薄膜に形成することによって作製することができる。陰極Cの膜厚は、材料により異なるが、通常500nm以下に設定するのが好ましく、好ましくは100〜200nmの範囲とするのがよい。また陰極Cを金属の蒸着で形成する際に、蒸発源からの輻射熱の影響を抑えるためには、さらに薄い50〜100nmの範囲とするのがよく、蒸着速度を速くした場合にはこの厚みより厚くてもかまわない。さらに、陰極Cの上にAl等の金属をスパッタで積層したり、フッ素系化合物、フッ素系高分子、その他の有機分子など高分子を、蒸着、スパッタ、CVD、プラズマ重合、塗布した後に紫外線硬化させる方法、熱硬化、その他の方法で形成することも可能である。
【0057】
そして図1及び図2に示すように、有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構成体の少なくとも陰極Cの表面を覆うように封止膜12が形成してある。図1及び図2の実施の形態では、陽極Aとホール輸送層4と有機発光層1と電子輸送層5の露出する側面と、陰極Cの露出する表面を覆うように封止膜12を設けてある。この封止膜12は水分と酸素を遮断する機能を有するものであり、窒化珪素の膜で形成してある。窒化珪素膜は水分や酸素を遮断する機能が高く、しかも室温程度の低温において行なう低温プラズマCVDによって形成することができる。従って、低温プラズマCVDで作製される窒化珪素膜によって封止膜12を形成することにより、高温の作用で有機発光層1を劣化させたりするようなことがなくなるものである。窒化珪素膜を成膜するにあたっては、原料ガスとしてシランと窒素を用いたり、あるいは原料ガスとしてシランと窒素とアンモニアを用いたりして行なうことができる。封止膜12の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.01〜100μmの範囲に設定するのが好ましい。
【0058】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0059】
(実施例1)
厚み0.7mmのガラスの透明基板2の表面に、ITO(インジウム−スズ酸化物)をスパッタリングしてシート抵抗7Ω/□の透明導電膜3を形成したITO透明基板(三容真空社製)を用いた。まず、これをアセトン、純水、イソプロピルアルコールでそれぞれ15分間超音波洗浄したのち乾燥させた。
【0060】
そして、このITO透明基板2を臭素水(関東化学(株)製、濃度1.0質量%)の蒸気に室温で10分間さらすことによって、透明導電膜3の表面を臭素で処理した。このように透明導電膜3の表面を臭素で処理することによって、透明導電膜3の表面の仕事関数は4.80eVから5.72eVへと0.92eV増加した。
【0061】
次に、この臭素による処理をしたITO透明基板2を洗浄することなく真空蒸着装置にセットし、133.322×10−6Pa(1×10−6Torr)の真空条件下、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)((株)同仁化学研究所製)を、1〜2Å/sの蒸着速度で蒸着し、厚み400Åのホール輸送層4を形成した。
【0062】
次に、ホール輸送層4の表面に、ジスチリルビフェニル誘導体「DPVBi」に「ルブレン」(アクロス社製)を0.5質量%ドープした厚み50Åの黄色発光層1a(発光波長560nm)と、ジスチリルビフェニル誘導体「DPVBi」に末端にカルバゾリル基を有するDSA誘導体「BCZVBi」を4質量%ドープした厚み300Åの青色発光層1b(発光波長460nm)を蒸着して積層し、有機発光層1を形成した。
【0063】
次に、有機発光層1の表面にバソフェナントロリン((株)同仁化学研究所製:電子移動度10−4cm2/Vs)を100Åの厚みで蒸着し、電子輸送層5を形成した。
【0064】
この後、電子輸送層5の表面に、まずNa(イオン半径1.16Å)を厚み5Å蒸着して金属層6を形成し、続いて、Al(仕事関数4.2eV)を10Å/sの蒸着速度で厚み1500Å蒸着して導電性金属電極7を形成することによって、金属層6と導電性金属電極7からなる陰極Cを形成した。
【0065】
次に、この各層を形成したITO透明基板2を露点−76℃以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックスに入れて、大気に暴露することなく搬送した。一方、通気性を有する袋に吸水剤として酸化バリウムの粉末を入れ、これをガラス製の封止板に接着剤で貼り付けておくと共に、封止板の外周部には予め紫外線硬化樹脂製のシール剤を塗布しておき、グローブボックス内において上記の各層1〜6を形成したITO透明基板2に封止板をシール剤で張り合わせ、UV照射でシール剤を硬化させることによって、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
【0066】
またこの有機エレクトロルミネッセンス素子の透明基板2の透明導電膜3と反対側の表面に、拡散フィルム(恵和株式会社製「オパルスBS−04」、ヘーズ値89.5%、厚み140μm)をエポキシ樹脂接着剤で貼り付けることによって光拡散部8を形成し、白色有機エレクトロルミネッセンス素子として作製した。
【0067】
(実施例2)
実施例1と同じITO透明基板2を硝酸水溶液(pH<1、濃度60〜61質量%)の蒸気に室温で10分間さらすことによって、透明導電膜3の表面を酸処理した。このように透明導電膜3の表面を酸処理することによって、透明導電膜3の表面の仕事関数は4.80eVから5.70eVへと0.90eV増加した。そしてこの酸処理をしたITO透明基板2を洗浄することなく真空蒸着装置にセットし、後は実施例1と同様にして白色有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0068】
(実施例3)
有機発光層1の表面に、バソフェナントロリン((株)同仁化学研究所製:電子移動度10−4cm2/Vs)を50Åの厚みで蒸着し、さらにこの表面にトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体((株)同仁化学研究所製:Tg>80℃)を50Åの厚みで蒸着し、二層5a,5bの積層構成の電子輸送層5を形成するようにした他は、実施例1と同様にして白色有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0069】
(実施例4)
プリズムシート11(住友スリーエム(株)製「ThinBEF」、厚み65μm)を2枚直交させ、これを実施例1の白色有機エレクトロルミネッセンス素子の光拡散部8の表面に間隙を介して配置するようにした。
【0070】
上記の実施例1〜4で作製した白色有機エレクトロルミネッセンス素子を電源(KEYTHLEY236モデル)に接続して発光させ、輝度、色度を輝度計(TOPCOM社製「BM5A」)で測定した。また白色有機エレクトロルミネッセンス素子を初期輝度1000cd/m2の定電流で連続駆動させて寿命試験を行ない、輝度が半減する半減寿命を測定した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る白色有機エレクトロルミネッセンス素子は、二つの電極の間に有機発光層を備えて形成される白色有機エレクトロルミネッセンス素子において、一方の表面が光拡散処理された光拡散部として形成され、他方の表面に透明導電膜が形成された透明基板と、ホール輸送層と、青色発光及び黄色発光の有機発光層と、電子輸送層と、金属層と、導電性金属電極とを積層したものであるので、透明基板から出射される光が透明基板と空気との間の界面で全反射されることを光拡散部の光散乱効果によって極めて少なくすることができ、光拡散部から光を効率高く取り出すことができるものであり、簡単な構造で発光効率を高く得ることができるものである。
【0073】
また請求項2の発明は、請求項1において、透明基板に形成した透明導電膜がハロゲン処理されているので、ハロゲンによる処理で陽極を構成する透明導電膜の仕事関数を大きくすることができ、陽極を構成する透明導電膜からのホールの注入効率を高めて、素子駆動電圧の低電圧化を可能にすることができるものであり、さらに連続駆動時の寿命特性や色度の安定性を改善できると共に抵抗増大を極力抑えることができるものである。
【0074】
また請求項3の発明は、請求項2において、ハロゲン処理によって、透明基板に形成した透明導電膜の仕事関数が処理前より0.5eV以上大きくなっているものであるので、陽極を構成する透明導電膜からのホールの注入効率を高める効果を高く得ることができるものである。
【0075】
また請求項4の発明は、請求項2又は3において、ハロゲン処理に用いるハロゲンが臭素であるので、陽極の仕事関数を大きくする効果を高く得ることができるものである。
【0076】
また請求項5の発明は、請求項1において、透明基板に形成した透明導電膜が酸処理されているので、酸による処理で陽極を構成する透明導電膜の仕事関数を大きくすることができ、陽極を構成する透明導電膜からのホールの注入効率を高めて、素子駆動電圧の低電圧化を可能にすることができるものであり、さらに連続駆動時の寿命特性や色度の安定性を改善できると共に抵抗増大を極力抑えることができるものである。
【0077】
また請求項6の発明は、請求項5において、酸処理によって、透明基板に形成した透明導電膜の仕事関数が処理前より0.5eV以上大きくなっているものであるので、陽極を構成する透明導電膜からのホールの注入効率を高める効果を高く得ることができるものである。
【0078】
また請求項7の発明は、請求項5又は6において、酸処理に用いる酸が無機プロトン酸であるので、陽極の仕事関数を大きくする効果を高く得ることができるものである。
【0079】
また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、有機発光層は発光波長が420〜480nmの青色発光層と、発光波長520〜580nmの黄色発光層の少なくとも2層からなるので、これらの発光波長の青色光と黄色光の混合によってより白色に近い白色発光を実現することができるものである。
【0080】
また請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかにおいて、電子輸送層が電子移動度10−5cm2/Vs以上の有機化合物からなるので、陰極から電子輸送層を通して有機発光層に電子を輸送する電子輸送性に優れるものであり、有機発光層への電子注入性能を安定して向上させることができ、発光特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができるものである。
【0081】
また請求項10の発明は、請求項1乃至8のいずれかにおいて、電子輸送層が、有機発光層に近い側の電子移動度が10−5cm2/Vs以上の有機化合物の層と、陰極に近い側のガラス転移温度が80℃以上の有機化合物の層との積層構造であるので、陰極から電子輸送層を通して有機発光層に電子を輸送する電子輸送性に優れるものであり、有機発光層への電子注入性能を安定して向上させることができ、発光特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができるものである。
【0082】
また請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかにおいて、金属層が、イオン半径1.5Å以下のアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属から選ばれる少なくとも一種の金属からなるので、発光特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができるものである。
【0083】
また請求項12の発明は、請求項1乃至11のいずれかにおいて、導電性金属電極が、仕事関数が3.7eV以上の、Al,Ag,Mg,In,Zn,Pb,Biから選ばれる少なくとも一種の金属またはその合金からなるので、発光特性に優れた有機電界発光素子を得ることができるものである。
【0084】
また請求項13の発明は、請求項1乃至12のいずれかにおいて、少なくとも導電性金属電極の表面を低温プラズマCVD法で作製される窒化珪素の封止膜によって覆うようにしたので、低温プラズマCVD法で作製される窒化珪素の封止膜は水分と酸素を遮断する機能が高く、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光特性を長期間に亘って安定して維持することができるものである。
【0085】
また請求項14の発明は、請求項1乃至13のいずれかにおいて、透明基板の光拡散処理された光拡散部が、母層内に母層と屈折率の異なる散乱材を散在させることによって形成された層であるので、母層と散乱材の簡単な構成で光拡散部を形成することができるものである。
【0086】
また請求項15の発明は、請求項1乃至13のいずれかにおいて、透明基板の光拡散処理された光拡散部が、母層内に母層と屈折率の異なる散乱材を散在させたシートを貼り付けることによって形成された層であるので、光拡散部を透明基板と別体の独立部材で形成することができ、設計の自由度が高まるものである。
【0087】
また請求項16の発明は、請求項1乃至15のいずれかにおいて、透明基板の光拡散部の表面に空気層を介して光集光性のあるプリズムシートを配置したので、光拡散部で拡散された光を集光して輝度を高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の他の一例を示す概略断面図である。
【図3】陰極の材料の仕事関数と電子輸送層の二層の材料の電子親和力との関係を示す概略図である。
【符号の説明】
A 陽極
C 陰極
1 有機発光層
2 透明基板
3 透明導電膜
4 ホール輸送層
5 電子輸送層
6 金属層
7 導電性金属電極
8 光拡散部
9 母層
10 光拡散材
11 プリズムシート
12 封止膜[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a white organic electroluminescence device that can be used for a backlight for liquid crystal, a light source for illumination, and the like.
[0002]
[Prior art]
As light emitters used for flat panel displays, backlights for liquid crystal displays, illumination light sources, etc., thinner flat panel displays, smaller and thinner electronic devices equipped with liquid crystal displays, or liberalization of the shape of lighting equipment For these reasons, thin, lightweight and highly efficient ones have been increasingly required in recent years. Organic electroluminescent devices (organic electroluminescent devices) have attracted attention as devices that can meet such demands.
[0003]
The fact that an organic electroluminescence device emits light at a low voltage is described in Eastman Kodak C.I. W. Tang et al. Showed for the first time a device having a configuration in which two thin films were stacked between electrodes (Appl. Phys. Lett., 51, 12, 913 (1987)). Thereafter, the organic electroluminescent element is used at a low voltage of about 10 V, such as a battery, at 100 to 100000 cd /
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
Under these circumstances, remarkable progress has been made in the luminous efficiency and the life of the organic electroluminescent elements of the respective luminescent colors of RGB, and practically usable ones have been developed.
[0005]
However, white light-emitting organic electroluminescent elements that are useful for light sources and have a wide range of applications are still insufficient in luminous efficiency and lifetime, and further improvement is desired at present.
[0006]
The present invention has been made in view of the above points, and an object of the present invention is to provide a white organic electroluminescent device having excellent luminous efficiency and life.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The white organic electroluminescent device according to
[0008]
According to a second aspect of the present invention, in the first aspect, the transparent conductive film formed on the transparent substrate is subjected to a halogen treatment.
[0009]
According to a third aspect of the present invention, in the second aspect, the work function of the transparent conductive film formed on the transparent substrate is increased by 0.5 eV or more than that before the process by the halogen treatment.
[0010]
The invention according to
[0011]
According to a fifth aspect of the present invention, in the first aspect, the transparent conductive film formed on the transparent substrate is subjected to an acid treatment.
[0012]
The invention according to
[0013]
The invention according to
[0014]
The invention according to
[0015]
According to a ninth aspect of the present invention, in the first aspect, the electron transporting layer has an electron mobility of 10%. -5 cm 2 / Vs or more.
[0016]
According to a tenth aspect of the present invention, in any one of the first to eighth aspects, the electron transport layer has an electron mobility of 10 near the organic light emitting layer. -5 cm 2 / Vs or more and an organic compound layer having a glass transition temperature of 80 ° C. or more on the side close to the cathode.
[0017]
According to an eleventh aspect of the present invention, in any one of the first to tenth aspects, the metal layer is made of at least one metal selected from alkali metals, alkaline earth metals, and rare earth metals having an ionic radius of 1.5 ° or less. It is a feature.
[0018]
According to a twelfth aspect of the present invention, in any one of the first to eleventh aspects, the conductive metal electrode has at least a work function of 3.7 eV or more selected from Al, Ag, Mg, In, Zn, Pb, and Bi. It is characterized by being made of a kind of metal or an alloy thereof.
[0019]
According to a thirteenth aspect of the present invention, in any one of the first to twelfth aspects, at least the surface of the conductive metal electrode is covered with a silicon nitride sealing film formed by a low-temperature plasma CVD method. Things.
[0020]
According to a fourteenth aspect of the present invention, in any one of the first to thirteenth aspects, the light diffusion portion of the transparent substrate, which has been subjected to the light diffusion treatment, is formed by dispersing a scattering material having a different refractive index from that of the base layer in the base layer. Characterized in that it is a layer formed.
[0021]
According to a fifteenth aspect of the present invention, in any one of the first to thirteenth aspects, the light diffusion portion of the transparent substrate, which has been subjected to the light diffusion treatment, forms a sheet in which a scattering material having a different refractive index from the base layer is dispersed in the base layer. It is characterized by being a layer formed by sticking.
[0022]
According to a sixteenth aspect of the present invention, in any one of the first to fifteenth aspects, a prism sheet having a light condensing property is disposed on the surface of the light diffusing portion of the transparent substrate via an air layer. is there.
[0023]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described.
[0024]
The organic electroluminescence device according to the present invention includes an organic
[0025]
In the present invention, a
[0026]
Here, although it is not intended to limit the present invention, it is preferable to use a
[0027]
The
[0028]
The
[0029]
It is also possible to form the
[0030]
In the present invention, a
[0031]
Further, in the embodiment of FIG. 1, a prism sheet 11 having a light condensing property is arranged on a surface of the
[0032]
Here, in the present invention, after the transparent
[0033]
When the transparent
[0034]
Examples of the method of treating the transparent
[0035]
In the present invention, a high molecular organic acid can be used as another acid. Since the polymer organic acid can form a film on the surface of the transparent
[0036]
By coating the polymer organic acid on the transparent
[0037]
Further, it is preferable to further treat the surface of the transparent
[0038]
In addition to the acid treatment of the surface of the transparent
[0039]
Examples of the halogen used for the treatment of the transparent
[0040]
When an acid treatment is performed to increase the work function of the transparent
[0041]
In order to increase the work function of the transparent
[0042]
The transparent
[0043]
The hole transporting material constituting the
[0044]
The light emitting material or doping material used for the organic
[0045]
Here, in the present invention, the organic
[0046]
The electron transporting material constituting the
[0047]
In the embodiment shown in FIG. 2, the
[0048]
In the two-layered
[0049]
Further, in the
[0050]
Here, the above electron mobility is 10 -5 cm 2 The organic compound of / Vs or more is not particularly limited, but bathocuproine, bathophenanthroline, and derivatives thereof, TPBi (2,2 ′, 2 ″-(1,3,5-benzenetolyl) tris- One or more compounds selected from [1-phenyl-1H-benzimidazole]), silole compounds, triazole compounds and the like can be used.
[0051]
The organic compound having a glass transition temperature of 80 ° C. or higher is not particularly limited, but a tris (8-hydroxyquinolinato) aluminum complex, a bis (4-methyl-8-quinolinato) aluminum complex, Selected from oxadiazole compounds, distyrylarylene derivatives, silole compounds, 2,2 ', 2 "-(1,3,5-benzenetolyl) tris- [1-phenyl-1H-benzimidazole] (TPBI) and the like. One or more can be used.
[0052]
In the present invention, the cathode C is formed by laminating the
[0053]
Here, the
[0054]
The
[0055]
By forming the cathode C from the
[0056]
The cathode C composed of the
[0057]
Then, as shown in FIGS. 1 and 2, a sealing
[0058]
【Example】
Next, the present invention will be described specifically with reference to examples.
[0059]
(Example 1)
An ITO transparent substrate (manufactured by Sanyo Vacuum Co.) having a transparent
[0060]
Then, the surface of the transparent
[0061]
Next, the ITO
[0062]
Next, on the surface of the
[0063]
Next, bathophenanthroline (manufactured by Dojindo Laboratories, Inc .:
[0064]
Thereafter, on the surface of the
[0065]
Next, the ITO
[0066]
Also, a diffusion film (“Opulse BS-04” manufactured by Keiwa Co., Ltd., haze value 89.5%, thickness 140 μm) is applied to the surface of the
[0067]
(Example 2)
The surface of the transparent
[0068]
(Example 3)
On the surface of the organic
[0069]
(Example 4)
Two prism sheets 11 (“ThinBEF” manufactured by Sumitomo 3M Limited, thickness: 65 μm) are orthogonal to each other, and the prism sheets 11 are arranged on the surface of the
[0070]
The white organic electroluminescence devices prepared in Examples 1 to 4 were connected to a power supply (KEYTHLEY236 model) to emit light, and the luminance and chromaticity were measured with a luminance meter ("BM5A" manufactured by TOPCOM). In addition, the white organic electroluminescent element was set to have an initial luminance of 1000 cd / m2. 2 The battery was continuously driven at a constant current of, and a life test was performed, and a half life at which the luminance was reduced by half was measured. Table 1 shows the results.
[0071]
[Table 1]
[0072]
【The invention's effect】
As described above, in the white organic electroluminescent device according to
[0073]
Further, according to the invention of
[0074]
According to a third aspect of the present invention, in the second aspect, the work function of the transparent conductive film formed on the transparent substrate is increased by 0.5 eV or more than that before the process by the halogen treatment. The effect of increasing the efficiency of hole injection from the conductive film can be obtained at a high level.
[0075]
Further, in the invention of
[0076]
According to the invention of
[0077]
According to a sixth aspect of the present invention, in the fifth aspect, the work function of the transparent conductive film formed on the transparent substrate is increased by 0.5 eV or more than that before the treatment by the acid treatment. The effect of increasing the efficiency of hole injection from the conductive film can be obtained at a high level.
[0078]
According to a seventh aspect of the present invention, in the fifth or sixth aspect, since the acid used for the acid treatment is an inorganic protonic acid, the effect of increasing the work function of the anode can be enhanced.
[0079]
According to the invention of
[0080]
According to a ninth aspect of the present invention, in the first aspect, the electron transporting layer has an electron mobility of 10%. -5 cm 2 / Vs or more, it is excellent in the electron transporting property of transporting electrons from the cathode to the organic light emitting layer through the electron transport layer to the organic light emitting layer, and it is possible to stably improve the performance of injecting electrons into the organic light emitting layer. And an organic electroluminescent device having excellent light emitting characteristics.
[0081]
According to a tenth aspect of the present invention, in any one of the first to eighth aspects, the electron transport layer has an electron mobility of 10 near the organic light emitting layer. -5 cm 2 / Vs or more and an organic compound layer having a glass transition temperature of 80 ° C. or more on the side close to the cathode, so that electrons transporting electrons from the cathode to the organic light emitting layer through the electron transport layer. It is excellent in transportability, can stably improve the performance of injecting electrons into the organic light-emitting layer, and can provide an organic electroluminescent device having excellent light-emitting characteristics.
[0082]
According to an eleventh aspect of the present invention, in any one of the first to tenth aspects, the metal layer is made of at least one metal selected from alkali metals, alkaline earth metals, and rare earth metals having an ionic radius of 1.5 ° or less. It is possible to obtain an organic electroluminescent device having excellent light emitting characteristics.
[0083]
According to a twelfth aspect of the present invention, in any one of the first to eleventh aspects, the conductive metal electrode has at least a work function of 3.7 eV or more selected from Al, Ag, Mg, In, Zn, Pb, and Bi. Since it is made of a kind of metal or an alloy thereof, it is possible to obtain an organic electroluminescent device having excellent light emitting characteristics.
[0084]
According to a thirteenth aspect of the present invention, in any one of the first to twelfth aspects, at least the surface of the conductive metal electrode is covered with a silicon nitride sealing film formed by a low-temperature plasma CVD method. The silicon nitride sealing film produced by the method has a high function of blocking moisture and oxygen, and can stably maintain the light emitting characteristics of the organic electroluminescence element for a long period of time.
[0085]
According to a fourteenth aspect of the present invention, in any one of the first to thirteenth aspects, the light diffusion portion of the transparent substrate, which has been subjected to the light diffusion treatment, is formed by dispersing a scattering material having a different refractive index from that of the base layer in the base layer. The light diffusion portion can be formed with a simple configuration of the base layer and the scattering material.
[0086]
According to a fifteenth aspect of the present invention, in any one of the first to thirteenth aspects, the light diffusion portion of the transparent substrate, which has been subjected to the light diffusion treatment, forms a sheet in which a scattering material having a different refractive index from the base layer is dispersed in the base layer. Since it is a layer formed by sticking, the light diffusion portion can be formed by an independent member separate from the transparent substrate, and the degree of freedom in design is increased.
[0087]
According to a sixteenth aspect of the present invention, in any one of the first to fifteenth aspects, a prism sheet having a light condensing property is disposed on the surface of the light diffusing portion of the transparent substrate via an air layer. The collected light can be condensed to increase the luminance.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic sectional view showing an example of an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a schematic sectional view showing another example of the embodiment of the present invention.
FIG. 3 is a schematic diagram showing a relationship between a work function of a material of a cathode and an electron affinity of a material of two layers of an electron transport layer.
[Explanation of symbols]
A anode
C cathode
1 Organic light emitting layer
2 Transparent substrate
3 Transparent conductive film
4 Hole transport layer
5 electron transport layer
6 Metal layer
7 Conductive metal electrode
8 Light diffuser
9 Mother layer
10 Light diffusion material
11 Prism sheet
12 sealing film
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