JP2004062779A - 画像処理装置 - Google Patents

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関 範顕
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関口 ゆみ
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Abstract

【課題】それぞれ所定の画像処理を行う複数の画像処理モジュールを備えた画像処理装置において、プル型の画像処理モジュールに、プッシュ型の画像処理モジュールが行うような処理をさせることを可能にする。
【解決手段】上記のような画像処理装置に、後段側に接続されたプル型の要求画像処理モジュール604に対して画像要求依頼をする画像要求依頼手段612を備えた依頼画像処理モジュール600と、依頼画像処理モジュール600からの画像要求依頼を受けて、前段側に接続された依頼画像処理モジュール600に対して、画像要求をする画像要求手段614を備えた要求画像処理モジュール604とを設ける。
【選択図】    図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル化された画像を処理する装置に係り、複数の要素機能的な画像処理モジュールを用意して、その組み合わせにより多種多様な画像処理機能を提供するような画像処理装置に関する。これらの画像処理機能は、例えば文書エディタや描画ツール、あるいは画像伝送装置やプリンタ等、デジタル画像を取り扱う様々なシステムにおいて利用される。
【0002】
このような画像処理機能は、しばしば画像処理ライブラリファイルとして提供される。その場合には画像処理機能を利用したいアプリケーションプログラムとリンクすることによりその機能が利用される。
【0003】
【従来の技術】
画像処理装置や画像を入力可能なDTP(デスクトップ・パブリッシング)システム、画像を出力可能なプリントシステムなどでは、処理対象となる画像に対して、例えば拡大・縮小、回転、アフィン変換、色変換、フィルタ、合成などの各種の画像処理が行われる。
【0004】
これらの処理を行う際には、入力画像の属性や処理内容、手順、パラメータなどが固定されている場合には専用のハードウエアを用いて処理を行う場合もある。しかし、例えば色空間や画素当たりのビット数が異なる様々な画像が入力されたり、処理内容や手順、パラメータなどが様々に変更される場合には、より柔軟性のある構成が必要となる。
【0005】
このような要求を満たす手段としては、例えば特開平5−260373号公報や特開平7−105020号公報に記載されているように、プログラマブルなモジュールをパイプライン形態やDAG(Directed Acyclic Graph:有向非循環グラフ)形態に接続して、柔軟に所望の処理を行う例が開示されている。
【0006】
特開平5−260373号公報に記載された発明では、複数のプログラマブル演算処理部の各演算処理内容と、ネットワーク部による各プログラマブル演算処理部の接続形態とを、ホストコントロール手段を通じて外部から自在に設定できるように構成する。これにより、高速かつ高度な演算処理が可能で、機能変更、系統変更に対する自由度が高いデジタル映像信号処理装置の提供を目指している。
【0007】
また特開平7−105020号公報に記載された発明では、必要な機能モジュールを所望の順番でパイプライン状に接続/初期化し、処理を行うように構成している。これにより、柔軟に画像処理を行う発明が提案されている。
【0008】
接続が終了すると最後尾のモジュールに対して必要に応じてヘッダの取得を要求する。この要求は接続されたモジュールを順次遡って先頭の画像入力モジュールに達して、読み込まれる画像のヘッダ情報を返す。そして、各モジュールは自身が変更する部分の情報を書き換えた後に後段のモジュールに渡す。
【0009】
例えば入力画像のサイズが1000x1000画素であり、処理パイプラインの中に500x500画素への縮小処理モジュールが含まれていた場合には、当該縮小モジュールは前段から渡されたヘッダ情報のうちのサイズ情報を1000x1000から500x500に変更して後段に渡す。このような処理を順次繰り返して、最終的に最後尾のモジュールは外部に対して当該画像処理パイプラインが出力する画像のヘッダ情報を出力する。
【0010】
次に、得られたヘッダ情報などをもとにデータの処理を行う。データの処理もヘッダの処理と同様に、最後尾のモジュールに対して一定量のデータ出力を要求する。その後、最後尾のモジュールは前段のモジュールに対してそれに必要な画像データの入力を要求する。この要求は同様により前段に対して遡って伝えられて画像入力モジュールに伝えられる。そして、必要な画像データが読み出された後に、後段に渡され、順次処理をされながら最終的に最後尾の処理モジュールから出力される。
【0011】
上記の処理が画像の最後まで、または必要な部分に対して行われると、処理パイプラインは不要となるので、最後尾のモジュールに対して終了を要求する。この終了要求も前記ヘッダ情報取得や前記処理と同様にモジュールの接続を遡って最前部の画像入力モジュールに達する。そして、画像入力モジュールは処理に用いたリソースを解放するとともに自身を解放して後段に制御を返す。制御が戻された後段も同様にリソースや自身を解放する処理を行ってさらに後段に返す。そして、最終的に最後尾のモジュールのリソース/自身の解放が終了した時点で全ての操作が終了する。
【0012】
特開平7−105020号公報に記載された上記方式は、例えばUNIX(登録商標)などのオペレーティングシステムで用いられている単一プロセッサによる多重処理パイプラインのシミュレーション方式を画像処理などの分野に応用したものである。特に画像処理においては、1回の処理単位を例えば画像の1ラインのように画像の一部に限定することにより、各処理モジュールが処理用に保持するメモリ領域を極めて少なくすることが可能となる。
【0013】
その結果、少ないメモリで複雑な処理を実行できるコストの安い画像処理装置を提供することが可能となる。また、仮想記憶をサポートするオペレーティングシステム上で動作させる場合には、メモリ不足によるスワップアウトが最小限に抑えられるため、高速に処理を実行することが可能となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
画像処理パイプラインを構成する画像処理モジュールは、入力されたデータの処理結果をパイプラインの下流に接続された画像処理モジュールに入力するプッシュ型か、処理するデータを取得するためにパイプラインの上流に接続された画像処理モジュールにデータ要求を送信するプル型のいずれかである。通常の画像処理パイプラインは、外部制御が最小限でかつ画像処理モジュール間の接続が効率的であるように、同型の画像処理モジュールでのみ構成される。
【0015】
しかしながら、パイプラインがプル型の画像処理モジュールで構成されている場合には、利用者が他のアプリケーションを利用して、画像情報をパイプラインに直接与えるようなプッシュ型の処理、特に利用者が保持する画像情報をある画像フォーマットで出力するモジュールを利用してストレージなどに出力するような処理を直接、プル型のモジュールで実行することができないという問題があった。
【0016】
また、この場合、画像情報をプル型の画像処理モジュールに与えるためには、プル型の画像処理モジュールで構成されたパイプラインとは別のメモリ等に、与えたい画像情報を一端保持する必要がある。したがって、余分なメモリを消費したり、処理時間が多くかかったりするという問題があった。
【0017】
本発明は、上述したような問題点を鑑みてなされたものであり、プル型の画像処理モジュールにはなんら変更を加えることなく、プル型の画像処理モジュールをプッシュ型の画像処理モジュールとして振舞うことを可能にし、特に、プル型の画像処理モジュールに、直接画像情報を与えて出力させることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、次のような画像処理装置よって実現される。すなわち、本発明は、多段に接続され、処理対象画像に対して、それぞれ所定の画像処理を行う複数の画像処理モジュールを備えた画像処理装置であって、前記画像処理モジュールの少なくとも一つは、処理対象画像が入力されると、後段側の画像処理モジュールに対して、画像要求を行うように依頼する画像要求依頼手段と、後段側の画像処理モジュールからの画像要求に応じて、入力された処理対象画像に対して、所定の画像処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段が処理した結果を後段側の画像処理モジュールに出力する画像出力手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
このように構成された本発明にかかる画像処理装置によれば、画像要求依頼手段が、処理対象画像が入力されると、後段のプル型の画像処理モジュールに対して、画像要求をするように依頼する。そして、画像処理手段が、後段側のプル型の画像処理モジュールからの画像要求に応じて、入力された処理対象画像に対して、所定の画像処理を行う。さらに、画像出力手段が、その結果を後段側のプル型の画像処理モジュールに出力する。
【0020】
これにより、前段の画像処理モジュールが備える画像要求依頼手段が、後段の画像処理モジュールに対して、画像要求をさせることができるため、プル型の画像処理モジュールをプッシュ型の画像処理モジュールとして振る舞わせることができる。
【0021】
よって、パイプライン状に構成されたプル型の画像処理モジュールで、プッシュ型の画像処理モジュールで行うような画像処理を行うことができる。
【0022】
したがって、従来のように、利用者が他のアプリケーションを利用して、画像情報をプル型の画像処理モジュールに与える場合に、プル型の画像処理モジュールで構成されたパイプラインとは別のメモリ等に、与えたい画像情報を一端保持する必要がない。
【0023】
これにより、余分なメモリを消費しなくて済み、処理時間の短縮にもつながる。
【0024】
また、本発明は、多段に接続され、処理対象画像に対して、それぞれ所定の画像処理を行う複数の画像処理モジュールを備えた画像処理装置であって、前記画像処理モジュールの少なくとも一つは、他の画像処理モジュールからの画像要求依頼に応じて、前段側の画像処理モジュールに対して、画像要求を行う画像要求手段と、前段側の画像処理モジュールから入力された処理対象画像に対して、所定の画像処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段が処理した結果を出力する画像出力手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
このように構成された本発明にかかる画像処理装置によれば、画像要求手段が、他の画像処理モジュールからの画像要求依頼に応じて、前段側の画像処理モジュールに対して、画像要求を行う。そして、画像処理手段が、前段側の画像処理モジュールから入力された処理対象画像に対して、所定の画像処理を行う。さらに、その結果を画像出力手段が出力する。
【0026】
これにより、後段の画像処理モジュールが備える画像要求手段が、前段側からの画像要求依頼に応じて、画像要求を行い、画像処理を行うことができるため、プル型の画像処理モジュールが、プッシュ型の画像処理モジュールとして振る舞うことができる。
【0027】
さらに、本発明の画像処理装置にかかる画像処理モジュールは、処理対象画像を記憶するために必要な記憶容量を後段側の画像処理モジュールの処理能力に応じて、設定することができる記憶容量設定手段を含むことを特徴とする。
【0028】
このように構成された画像処理装置では、画像処理モジュールが備える記憶容量設定手段が、画像処理の都度、後段側の画像処理モジュールの処理能力に応じて、処理対象画像を記憶するために必要な記憶容量を設定することができるため、無駄なメモリを使用しなくて済む。
【0029】
また、本発明の画像処理装置にかかる画像処理モジュールは、処理対象画像を記憶するために待ち行列機能を有することを特徴とする。
【0030】
ここでいう待ち行列機能とは、簡単に言えば「先入れ先出し機能を持ち、かつ記憶容量が可変である」記憶機能である。したがって、本発明の構成要素として待ち行列機能を含む場合、記憶容量が可変であるため記憶容量の設定手段が必要なくなる。したがって、本発明を実現するのが非常に容易になる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像処理装置に適用した場合の実施の形態について、具体的に説明する。
【0032】
本発明による画像処理装置101は、図1に示すようにホストアプリケーション100から与えられた画像処理命令を記憶する処理記憶部102と、画像情報を記憶する画像記憶部103と、画像記憶部に記憶された画像を処理記憶部に記憶された画像処理命令にしたがって画像処理を行う画像処理部104と、画像処理の実行を制御する処理実行制御部105から構成される。
【0033】
また画像処理部104は、図2に示すように各種処理を行う少なくとも1つの画像処理モジュール200から構成される。さらに、画像処理モジュール200のうち少なくとも1つは、画像要求依頼手段を備えた画像処理モジュールである。そして、画像処理モジュール200のうち少なくとも1つは、画像要求依頼に応じて画像要求をする画像要求手段を備えた画像処理モジュールである。
【0034】
また、処理実行制御部105は図3に示すように、処理記憶部102に記憶された画像処理命令に対応する画像処理モジュール200の生成および画像処理モジュール間の接続を行うモジュール生成手段300と、各画像処理モジュールを展開するメモリや各画像処理モジュールが利用するバッファなどの確保および解放を行うメモリ確保手段301から構成される。各画像処理モジュールがバッファとしてのメモリを確保および解放を行う手段を有していても構わないが、以降の説明では省略する。
【0035】
図4は、モジュール生成手段300によって生成される中段画像処理モジュール400および前段画像処理モジュール401および後段画像処理モジュール402とを接続したパイプラインの構成を説明するブロック図である。中段画像処理モジュール400、401、402は全てプル型の画像処理モジュールである。中段画像処理モジュール400は、前段画像処理モジュール401から取得した画像情報を保持するための入力バッファ406、画像処理モジュールの制御を行う制御部407、中段画像処理モジュール400内で処理後の画像情報を後段画像処理モジュール402に出力するための出力バッファ408から構成される。
【0036】
中段画像処理モジュール400は、後段画像処理モジュール402から画像要求413を受けると制御部407に要求が伝えられ、制御部407は前段画像処理モジュール401に対して画像要求412を送る。
【0037】
画像要求412を受け取った前段画像処理モジュール401は、処理した画像情報を出力バッファ405に書き込むので、制御部407は出力バッファ405に書き込まれた画像情報を入力バッファ406にコピーする。制御部407は、入力バッファ406の画像情報を処理した結果を出力バッファ408に書き込み、後段画像処理モジュール402の制御部410によって入力バッファ409にコピーされる。
【0038】
図5は、モジュール生成手段300によって生成される中段画像処理モジュール500および前段画像処理モジュール501および後段画像処理モジュール502とを接続したパイプラインの構成を説明するブロック図である。
【0039】
画像処理モジュール500、501、502は全てプッシュ型の処理モジュールである。中段画像処理モジュール500は、前段画像処理モジュール501から入力された画像情報を保持するための入力バッファ506、画像処理モジュールの制御を行う制御部507、中段画像処理モジュール500内で処理後の画像情報を後段画像処理モジュール502に出力するための出力バッファ508から構成される。
【0040】
中段画像処理モジュール500は、前段画像処理モジュール501から入力バッファ506に画像情報を入力され、かつ制御部507に画像処理要求512を受ける。
【0041】
入力バッファ506への一回以上の画像情報入力により、中段画像処理モジュール500が処理に十分な画像情報を得ると、制御部507は入力された画像情報を処理し、その結果を出力バッファ508に書き込む。そして、制御部507は出力バッファ508の画像情報を後段画像処理モジュール502の入力バッファ509に入力し、画像処理要求513を送る。
【0042】
上述したように、プル型の画像処理モジュールは画像要求に対して処理結果を返すのに対し、プッシュ型の画像処理モジュールは入力された処理対象画像に対して処理を行う。
【0043】
すなわち、パイプラインを構成したときにプル型の画像処理モジュールは後段から画像処理要求を受けるのに対し、プッシュ型の画像処理モジュールは前段から画像処理要求を受けるので、プル型とプッシュ型の画像処理モジュールを直接接続してパイプラインを構成することはできない。
【0044】
本発明では、プル型の画像処理モジュールをプッシュ型の画像処理モジュールのように振舞うことを可能にし、特に、プル型の画像処理モジュールに、直接画像情報を与えて出力させることができる。
【0045】
図6は、後段のプル型の画像処理モジュールに対して、画像要求をするように依頼する画像要求依頼手段を備えた依頼画像処理モジュール600と、画像要求依頼に応じて、依頼画像処理モジュールに画像要求する画像要求手段を備えたプル型の要求画像処理モジュール604とを接続したときのパイプラインの構成を説明するブロック構成図である。
【0046】
依頼画像処理モジュール600は、さらに前段に接続された画像処理モジュールまたは利用者が保持する画像情報から取得した画像情報を保持するための画像保持手段としての入力バッファ601を備える。そして、モジュールの制御を行う制御部602も備える。この制御部602は、後段のモジュールに画像要求依頼をする画像要求依頼手段612と、処理対象画像の画像を処理する画像処理手段613とを含む。加えて、依頼画像処理モジュール600は、処理後の画像情報を要求画像処理モジュール604に出力するための画像出力手段としての出力バッファ603を備える。
【0047】
入力バッファ601に画像情報が書き込まれて(608)、書き込まれた画像情報に対する処理要求609が制御部602に入力されると、制御部602は、要求画像処理モジュール604から画像要求があった場合に処理に十分な画像情報が入力バッファ601に蓄えられているかどうか判断する。そして、蓄えられていると判断すると、画像要求依頼手段612に要求画像処理モジュール604への画像要求依頼610を実行させる。
【0048】
画像要求依頼610を受けた要求画像処理モジュール604の画像要求手段613は、依頼画像処理モジュール600に画像要求611を送る。依頼画像処理モジュール600は、画像要求611を受けると、入力バッファ601に蓄えられた画像情報を処理する。そして、その結果を出力バッファ603に書き込み、要求画像処理モジュール604の入力バッファ605にコピーする。
【0049】
要求画像処理モジュール604は、入力バッファ605に蓄えられた画像情報量が出力画像フォーマットに最低限必要な出力単位に達すると、出力画像フォーマットへの変換処理後に出力バッファ607に書き込み、出力先である例えばストレージ616にデータをコピーする。
【0050】
これまでの説明では説明の都合上、各処理モジュールは入力バッファと出力バッファを有しているが、図7に示すように入力バッファのみを有する依頼画像処理モジュール700や要求画像処理モジュール705のような構成であっても構わない。
【0051】
要求画像処理モジュール705は、画像要求依頼を受け取ると、画像要求手段708で前段のモジュールに画像要求を行う。その後取得した処理対象画像を制御部707内の画像処理出力手段709で、画像処理する。そして、その結果を、画像処理出力手段709が、後段の画像処理モジュール等の入力バッファに直接書き込む。依頼画像処理モジュールも同様に出力バッファを有しない構成であっても構わない。
【0052】
画像要求依頼手段703の画像要求依頼の結果、後段に接続したプル型の要求画像処理モジュール705から画像要求を受け取る。その後、制御部702は入力バッファ704に蓄えられた画像情報を、画像処理出力手段709で、画像処理する。そして、その結果を、同じく画像処理出力手段709が、要求画像処理処理モジュール705の入力バッファに直接書き込む。
【0053】
このような構成では、出力バッファから要求画像処理モジュール705の入力バッファへの画像情報のコピーが不要であり、処理速度の向上が期待できる。また、出力バッファが不要であるためメモリの節約にもなる。
【0054】
また、各入力バッファに蓄えられる画像情報は先入れ先出し処理が行われるが、入力バッファの代わりに待ち行列機能を利用しても構わない。一般的な待ち行列機能は画像情報の保持機能と先入れ先出し処理機能を備えているため、待ち行列機能を利用することにより画像処理モジュールの実現が容易になる。
【0055】
本発明の実施の形態では、一回の画像処理にNライン分の画像情報を必要とするプル型の画像処理モジュールの前段に、後段のモジュールに対して画像要求を依頼する画像処理モジュールを接続した場合の一般的な動作について説明する。
【0056】
まず、メモリ確保手段301は画像処理モジュール生成に必要なメモリを確保する。モジュール生成手段300は、メモリ確保手段301が確保したメモリ上に、画像処理部104が備える、画像要求依頼手段を有する依頼画像処理モジュールと、画像要求手段有する要求画像処理モジュールとを生成する。
【0057】
そして、要求画像処理モジュールの前段に依頼画像処理モジュールを、後段に画像出力先であるストレージを接続してパイプラインを構成する。依頼画像処理モジュールを生成する際に、要求画像処理モジュールが一回の出力を行うのに必要な画像情報のライン数から、依頼画像処理モジュールの入力バッファの最小容量を計算して必要な分だけ確保することで、メモリを節約しても構わない。
【0058】
図8は、後段のモジュールに対して、画像要求依頼を行う依頼画像処理モジュールの一般的な処理の流れを示した図である。
【0059】
(ステップ801)依頼画像処理モジュールの入力バッファに画像情報が入力される。
【0060】
(ステップ802)入力バッファにNライン分の画像情報が格納されているかどうかを判断する。Nライン分の画像情報が格納されている場合にはステップ803に進み、そうでない場合には、ステップ806に進む。
【0061】
(ステップ803)後段に接続されている要求画像処理モジュールが出力処理を実行するように、依頼画像処理モジュールは、後段に画像要求依頼を送る。
【0062】
(ステップ804)後段に接続されている要求画像処理モジュールは一回の出力処理に対してNライン分の画像情報を必要とする。したがって、依頼画像処理モジュールは、後段からN回の画像要求を受ける。そして、各画像要求に対して後段に画像情報を出力する。
【0063】
(ステップ805)次の行の画像情報が入力されるのを待つ待機状態。依頼画像処理モジュールに画像情報の入力があると、ステップ801に進む。
【0064】
(ステップ806)入力バッファに入力された画像情報が画像の最終ラインである場合にはステップ807に進む。そうでない場合にはステップ805に進む。
【0065】
(ステップ807)後段に接続されている要求画像処理モジュールが画像の残りのラインに対する出力処理を実行するように、依頼画像処理モジュールは、後段に画像要求依頼を送る。
【0066】
(ステップ808)入力バッファに残っているライン分の回数の画像要求を受けるので、依頼画像処理モジュールは、各画像要求に対して後段に画像情報を出力する。仮に、入力バッファに残っているライン分に満たない回数の画像要求を受ける場合には、後段に要求された分の画像情報を出力した後に、再び後段に画像要求依頼を送る。依頼画像処理モジュールは、入力バッファに残っているライン分の画像情報が全て後段に出力されるまで、画像要求依頼を送る。その結果、後段から画像要求を受けて画像情報を出力する、という処理を繰り返す。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる画像処理装置によれば、画像要求依頼手段が、処理対象画像が入力されると、後段のプル型の画像処理モジュールに対して、画像要求をするように依頼する。そして、画像処理手段が、後段側のプル型の画像処理モジュールからの画像要求に応じて、入力された処理対象画像に対して、所定の画像処理を行う。さらに、画像出力手段が、その結果を後段側のプル型の画像処理モジュールに出力する。
【0068】
後段のプル型の画像処理モジュールは、前段からの画像要求依頼に応じて、前段に画像要求をする。そして、要求後に取得した処理対象画像を処理して、出力する。
【0069】
これにより、プル型の画像処理モジュールをプッシュ型の画像処理モジュールのように振る舞わせることができる。
【0070】
よって、パイプライン状に構成されたプル型の画像処理モジュールで、プッシュ型の画像処理モジュールで行うような画像処理ができる。
【0071】
また、従来のように、利用者が他のアプリケーションを利用して、画像情報をプル型の画像処理モジュールに与える場合に、プル型の画像処理モジュールで構成されたパイプラインとは別のメモリ等に、与えたい画像情報を一端保持する必要がない。
【0072】
したがって、余分なメモリを消費しなくて済み、処理時間の短縮にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における画像処理装置の一実施例のブロック図である。
【図2】画像処理部の一実施例のブロック図である。
【図3】処理実行制御部の一実施例のブロック図である。
【図4】プル型の画像処理モジュールによる画像処理パイプラインの構成例である。
【図5】プッシュ型の画像処理モジュールによる画像処理パイプラインの構成例である。
【図6】プル型の画像処理モジュールの前段に、画像要求依頼手段を備えた画像処理モジュールを接続したパイプラインの構成例である。
【図7】画像処理モジュールの別の実施例を示すブロック図である。
【図8】画像要求依頼手段を備えた画像処理モジュールの処理例を表す流れ図である。
【符号の説明】
100 ホストアプリケーション、101 画像処理装置、102 処理記憶部、103 画像記憶部、104 画像処理部、105 処理実行制御部、200 画像処理モジュール、300 モジュール作成手段、301 メモリ確保手段、400,500 中段画像処理モジュール、401,501 前段画像処理モジュール、402,502 後段画像処理モジュール、600,700 依頼画像処理モジュール、604,705 要求画像処理モジュール、612,703 画像要求依頼手段、614,708 画像要求手段、616 ストレージ、403,406,409,503,506,509,601,605,701,706 入力バッファ、404,407,410,504,507,510,602,606,702,707 制御部、405,408,411,505,508,511,603,607 出力バッファ。

Claims (4)

  1. 多段に接続され、処理対象画像に対して、それぞれ所定の画像処理を行う複数の画像処理モジュールを備えた画像処理装置であって、
    前記画像処理モジュールの少なくとも一つは、
    処理対象画像が入力されると、後段側の画像処理モジュールに対して、画像要求を行うように依頼する画像要求依頼手段と、
    後段側の画像処理モジュールからの画像要求に応じて、入力された処理対象画像に対して、所定の画像処理を行う画像処理手段と、
    前記画像処理手段が処理した結果を後段側の画像処理モジュールに出力する画像出力手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 多段に接続され、処理対象画像に対して、それぞれ所定の画像処理を行う複数の画像処理モジュールを備えた画像処理装置であって、
    前記画像処理モジュールの少なくとも一つは、
    他の画像処理モジュールからの画像要求依頼に応じて、前段側の画像処理モジュールに対して、画像要求を行う画像要求手段と、
    前段側の画像処理モジュールから入力された処理対象画像に対して、所定の画像処理を行う画像処理手段と、
    前記画像処理手段が処理した結果を出力する画像出力手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  3. 請求項1記載の画像処理装置において、
    前記画像処理モジュールは、処理対象画像を記憶するために必要な記憶容量を後段側の画像処理モジュールの処理能力に応じて、設定することができる記憶容量設定手段を含むことを特徴とする画像処理装置。
  4. 請求項1記載の画像処理装置において、
    前記画像処理モジュールは、処理対象画像を記憶するために待ち行列機能を有することを特徴とする画像処理装置。
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