JP2004061391A - 揮発性化合物の識別装置及び該化合物の識別方法 - Google Patents

揮発性化合物の識別装置及び該化合物の識別方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高湿度環境下あるいは湿度変動があり、かつ匂い濃度の変動があっても有効に匂い成分を識別できる識別装置及び識別方法の提供。
【解決手段】電極面に揮発性化合物の感応膜を被覆した複数個の水晶振動子ガスセンサに、揮発性化合物を吸着させ、該吸着による各水晶振動子の共振周波数の変化を測定して揮発性化合物の識別する装置において、該装置が、揮発性化合物の濃縮素子及び複数個の水晶振動子ガスセンサとを具備し、該濃縮素子が平面形状の金属性網と該網で挟置された平板状の吸着剤とからなり、かつ吸着剤の片面側の網には加熱手段が設けられており、水晶振動子ガスセンサが濃縮素子から脱着された揮発性化合物と直接接触できるように濃縮素子と近距離に設けられたことを特徴とする揮発性化合物の識別装置及び該装置を使用した識別方法。
【選択図】     図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な濃縮素子を使用した揮発性化合物の識別装置及び識別方法に関する。さらに詳しくは、揮発性化合物の濃度変動あるいは妨害物質の影響を排除した揮発性化合物の識別装置及び識別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品・化粧品業界や環境計測等において、揮発性物質例えば匂い情報の重要性は高まっている。従来、匂いの品質管理や検査は主に専門家による官能検査に頼っていた。しかし官能検査では再現性に問題がある。生体では、多数の特性の異なる嗅細胞からの応答パターンをパターン認識することにより匂いを識別していると言われている。そこで、このような生体嗅覚機構を模擬した水晶振動子ガスセンサアレイを用いた匂い識別装置が提案されている(特開平1−244335号公報)。ここで提案された匂い識別装置は、所定の匂いを呈する物質に対して相互に異なる感受性を示す複数種類の受容体を組み合わせた場合、この感受性の相違に由来して得られる検出情報は、受容体毎に異なり、全体としては一定のパターンを示すことに着目して提案された装置である。
【0003】
しかしながら、一般に大気中に含まれる匂いの濃度は低く、また水蒸気などの妨害ガスが混合しているのが通常である。この場合、温度や匂い濃度の変動又は湿度などが外乱となり、識別精度に影響を与えることとなる。
【0004】
湿度の影響を除外するものとして、疎水性濃縮管を使用して匂い成分と湿度を分離し、希薄な匂い成分を分離する方法が提案されている(W.A.Groves et al. Anal.Chem.Acta.371,(1998)131)。濃縮管では希薄な匂い成分を濃縮することができる。
【0005】
吸着剤に吸着した匂い分子は熱パルスを印加することで脱着し、適切な脱着温度を選べば、異なる温度の熱パルスを印加することで匂い識別能力の向上は可能である(T.Nakamoto et al. Sensors & Actuators B,71(2000)155−160)。しかしながら、従来型の濃縮管では脱着時定数が大きく、匂い濃度変動の依存性を解消出来ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、匂い濃度の変動があっても有効に匂い成分を識別できる識別装置及び識別方法の提供を目的とする。
【0007】
さらに本発明は、高湿度環境下あるいは湿度変動があり、かつ匂い濃度の変動があっても有効に匂い成分を識別できる識別装置及び識別方法の提供を目的とする。
【0008】
本発明はさらに、吸脱着サイクルの高速化、センサ応答レベルの一定化により、高湿度環境下でも匂い濃度変動に強い匂い識別装置及び識別方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電極面に揮発性化合物の感応膜を被覆した複数個の水晶振動子ガスセンサに、揮発性化合物を吸着させ、該吸着による各水晶振動子の共振周波数の変化をパターン認識して揮発性化合物の識別する装置において、
該装置が、揮発性化合物の濃縮素子及び複数個の水晶振動子ガスセンサとを具備し、該濃縮素子が網と該網に挟まれた平板状に詰められた吸着剤とからなり、かつ吸着剤の片面側又は両面側の網には加熱手段が設けられており、水晶振動子ガスセンサが濃縮素子から脱着された揮発性化合物と直接接触できるように濃縮素子と近距離に設けられたことを特徴とする揮発性化合物の識別装置を提供する。なお、本発明において直接接触できるとは、濃縮素子と水晶振動子ガスセンサが一体化されていて、濃縮素子から脱着された揮発性化合物がパイプなどにより誘導されることなく、水晶振動子ガスセンサと接触できることを意味する。
【0010】
さらに本発明は、電極面に揮発性化合物の感応膜を被覆した複数個の水晶振動子ガスセンサに、揮発性化合物を吸着させ、該吸着による各水晶振動子の共振周波数の変化をパターン認識して揮発性化合物の識別する方法において、
該方法が、水晶振動子ガスセンサと近い距離に設けた、網に挟置された平板状に詰められた吸着剤と該吸着剤の片面側又は両面側の網に加熱手段を設けた濃縮素子を使用し、該吸着剤への濃縮時間又はキャリアガスの希釈率を可変として、水晶振動子ガスセンサの応答を一定レベルとして得られた応答パターンをパターン認識して揮発性化合物を識別することを特徴とする揮発性化合物の識別又方法を提供する。
【0011】
本発明はさらに、電極面に揮発性化合物の感応膜を被覆した複数個の水晶振動子ガスセンサに、揮発性化合物を吸着させ、該吸着による各水晶振動子の共振周波数の変化を測定して揮発性化合物の識別する方法において、
該方法が、水晶振動子ガスセンサと近い距離に設けた、金属性網に挟置された平板状に詰められた吸着剤と該吸着剤の片面側又は両面側の網に加熱手段を設けた濃縮素子を使用し、該吸着剤への濃縮時間又はキャリアガスの希釈率を可変として、水晶振動子ガスセンサの応答を一定レベルとして揮発性化合物の応答パターンを測定し、ついで一定応答レベルとは異なる複数の応答レベルで応答パターンを測定し、これらの応答パターンをパターン認識して揮発性化合物を識別することを特徴とする揮発性化合物の識別方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の匂い識別装置又は識別方法で使用される匂い識別システムの概略説明図である。液体サンプル2を入れたバイアル瓶1は恒温槽3に複数個並べられる。キャリアガスである乾燥空気4の流量はマスフローコントローラ5で制御される。所定流量の空気が電磁弁6を経てバイアル瓶1中に供給され、ヘッドスペースガスを押出し、該ガスは電磁弁6’を経て濃縮素子8に到達する。濃縮素子には疎水性の吸着剤が充填され、ここで匂い成分と水蒸気の分離が行われる。吸着剤に吸着した匂い分子の脱着は、熱パルスを印加して行う。脱着した匂い成分は、センサセル9に到達し、センサ則ち水晶振動子ガスセンサの発振周波数変化が起こる。この周波数変化をレシプロカル方式の周波数カウンタ10で測定し、コンピューター12に取り込む。一つのサンプル測定が終わるとXYZステージ7が次のバイアル瓶まで移動し、次の測定操作を行う。これらの操作はコンピューターで制御しておけば、自動的に多数のサンプルを測定できる。
【0013】
図12は、従来濃縮管として提案されてきた直接加熱型濃縮管の構造を示す図面である。匂い成分を含むガスをパイプ21、好ましくはテフロンチューブ製パイプ21(テフロン:登録商標)からコネクタ25を介して濃縮管23に供給される。供給されたガスは濃縮管23に充填された疎水性吸着剤24に吸着され、匂い分子の濃縮、水分や妨害ガスの除去が行われる。濃縮管は該管の壁面に電源22から電流パルスを印加して直接加熱する。しかしながら、このような濃縮管を使用した場合には、サンプル濃度によって水晶振動子ガスセンサに届く匂いの濃度波形が異なり、濃度レベルと応答レベルが一致しないという問題があった。しかしながら、直接加熱型濃縮管を用いた場合であっても、濃縮時間を変えて濃度レベルを揃えると、水晶振動子ガスセンサに供給される匂い濃度は等しくなるので、応答パターンは変化しないものと予測された。
【0014】
図13は2−hexanoneを無臭の希釈剤中鎖脂肪酸トリグリセライド(以下ODOという)で3段階に、則ち原液、1:3、1:7に希釈調整した匂いサンプルを、吸着剤の濃縮時間を調節したセンサピーク応答の規格化パターンを示している。この規格化パターンは、phosphatidyl inositol(以下Inositolという)のセンサピーク応答を約80Hzに揃えた時の感応膜Ucon75HB−9000(以下Ucon90000という、信和化工社製)とInositolの応答パターンを示す。規格化は下記の式に従って行った。
【0015】
【数1】
Figure 2004061391
図13によれば、サンプル濃度に対して応答パターンは変化している。濃度レベルを揃えると応答パターンは変化しないという予測に反するものであった。これは従来型の濃縮管の場合には脱着時定数が大きいためと推量された。これは時定数が大きく、センサに到達するガス濃度の波形が、低濃度と高濃度で異なるためと推量された。
【0016】
上記した従来型濃縮管で脱着時定数が大きくなる要因としては、チュープ形状濃縮管では吸着剤が円柱状に配置されているため匂いの脱着に時間的な幅ができること、内径が小さいためにキャリアガスの流量に制限があること、濃縮管の熱容量が大きく加熱と冷却に時間がかかること、濃縮管とセンサセルとの間での移動遅れによる影響があるものと推量した。
【0017】
本発明者らは、鋭意検討に努めた結果従来型濃縮管の有する問題点を解決するものとして、下記するようなセンサセル直結型濃縮素子を提案するに至った。
【0018】
図2は本発明の一例を示す濃縮素子35の説明図を、図3は本発明のセンサセル直結型濃縮素子の一例を示す概略断面図である。漏斗31は匂い成分等を含むガスの濃縮素子35への供給口である。漏斗31の上部には、網32、通常金属製の網、好ましくはステンレススチール製の網を少なくとも中央部分に適宜の大きさで設置する。該網の上部に漏斗の拡大部よりも大きい面積の板状材34を配置し、該板状材の中央部に貫通口を設け、該貫通口に吸着剤33を充填し、該吸着剤の上部に網32’を配置する。貫通口に両面を網で挟置された吸着剤を設置してもよい。吸着剤としてはTenax−TA(Alltech社製)のような疎水性吸着剤が好ましく使用される。
【0019】
図3の場合は、濃縮素子35を中央部の底面に配置するように設置した断面四角形状の底のない容器形状のセンサセル36が設置されている。センサセル36の上部には、漏斗31の入り口38から供給された匂い成分を含むガスが、濃縮素子35を経て排出される開放部39が設けられている。センサセル36の側壁には水晶振動子ガスセンサ37が設置されている。
【0020】
本発明のセンサセル直結型濃縮素子を使用すると、従来提案されてきた濃縮管により生ずる問題点をいずれも解決できることが明らかとなった。以下本発明により奏される作用効果を例を挙げて説明する。
【0021】
図4は、従来の濃縮管と本発明のセンサセル直結型濃縮素子を使用した場合の最大センサ応答値からベースラインまでの応答回復波形を比較したグラフである。吸着剤としては疎水性吸着剤であるTenax−TA(粒径20/30mesh)を、感応膜にはInositolを使用し、匂い成分を含むガスの流速を200ml/min(濃縮管)、100ml/min(センサセル直結型)とし、匂い成分として2−ヘキサノンを使用した。2−ヘキサノンに対する最大センサ応答値を1として規格化したときの各々の回復波形を示した。センサセル直結型の回復速度は濃縮管の場合に比して速く、匂いの脱着時定数は小さくなったことがわかる。
【0022】
図5は、センサセル直結型濃縮素子を使用した場合の応答パターンの匂い濃度依存性を示したグラフである。試料としてブチルアセテート、アミルアセテート及びヘキシルアセテートを用い、吸着剤の濃縮時間を3〜11秒まで2秒毎に5段階に変え、水晶振動子(以下QCMともいう)として28MHzの金電極、感応膜としてInositol, Versamid 900(信和化工社製)、ガス流量200ml/minで測定した結果である。横軸にInositolの応答ピーク値、縦軸にVersamid900の応答ピーク値を取って示した。濃度の異なる複数の測定点が原点を通る一直線上に並ぶ場合には、各センサの応答比は変わらず、応答パターンは変化しない。図中○印で囲んだ測定点での応答パターンはほぼ等しく、この測定点を利用しての匂い識別は不可能であった。なお、以下に説明するいずれの実験においても、吸着剤としてはTenax−TAを使用した。
【0023】
図6は、センサセル直結型濃縮素子を用いた場合の一定応答レベル測定を行った結果を示すグラフである。水晶振動子として28MHz金電極、サンプルガス流量200ml/minで測定した。プロピオン酸をODOで4段階(原液、1:1、1:3、1:7)に希釈したものを匂いサンプルとし、吸着剤の濃縮時間を調節してinositolのセンサ応答を約300Hzに揃えたときのinositolとVersamid900の規格化応答パターンを示す。図6の横軸は原液の希釈度と濃縮時間を示す。この場合匂い濃度に対してセンサ応答パターンは一定となっている。濃縮管の場合には脱着時定数が大きく、応答レベルを一定にした場合でも応答パターンが変化し、濃度レベルと応答レベルが一致しない。則ち、一定応答レベル測定を効果的に実施するためには、脱着時定数の小さいセンサセル直結型濃縮素子を用いる必要がある。
【0024】
図7は水に対する希釈率を3段階(1:4、1:9、1:19)に変えた匂いサンプル(propionic acid)について、センサセル直結型濃縮素子を用いて一定応答レベル測定を行った結果を示すグラフである。測定は各希釈率に対してInositolの応答レベルが約140Hzとなるように濃縮時間を変化させた。横軸は希釈率と濃縮時間を示す。希釈率が異なっても応答パターンはほぼ一定であった。
【0025】
なお、一定応答レベル測定を行うためには、ヒータ加熱後のセンサの最大応答値が設定応答レベルの許容範囲に達するまで濃縮時間を変更して行う。この場合、濃縮時間に対してセンサ応答が比例する領域で有効であるから、初期設定濃縮時間は上記領域内に入るように設定する必要がある。本実施例では、この最大繰り返し回数は5回で、サンプルとヒーター加熱時間は30秒〜1分間低度である。
【0026】
上記してきたように、一定応答レベル測定を有効に実施するためには、脱着時定数の小さいセンサセル直結型濃縮素子が有用であり、湿度や匂い濃度の変動があっても、有効な匂い識別を実施するためには、センサセル直結型濃縮素子と一定応答レベル測定の併用が有効である。
【0027】
次に、一定応答レベル以外に複数の応答レベルで応答パターンを測定し、これらの測定パターンから匂いを識別する方法について説明する。なお複数の応答レベルは一定応答レベルよりも短い濃縮時間で測定される。ただし、複数の応答レベルも濃縮時間とセンサ応答が比例する領域に入るように設定する。この方法による測定の所要時間は1サンプル当り5〜10分である。
【0028】
図8は、下記サンプルの第1応答レベルでの応答パターンを規格化した応答パターンの散布図を示す。
【0029】
測定サンプルとして、各2mlの下記サンプルを使用した。
【0030】
trans−2−hexyl acetate(原液、1:3,1:7)
trans−2−hexenal(原液、1:3,1:7)
ethyl valerate (原液、1:3,1:7)
isobutyric acid(原液、1:3,1:7)
()内の数値はODOに対する希釈率(V/V)を示す。
【0031】
キャリアガス流量:200ml/min、
設定応答レベル:150±15Hz(1ch−inositol)
加熱時間と電流値:1.0秒−6.0A
初期濃縮時間:trans−2−hexeyl acetate−10秒
trans−2−hexenal,isobutyric acid−5秒
ethyl valerate−6秒
Inositolの設定第1応答レベルを150Hzとした。4種類のサンプルはtrans−2−hexenalとisobutyric acidで一部オーバーラップしているが、全体的には全てのサンプルが分離されている。本図によれば、匂い濃度変動がある環境下でも本発明の濃縮素子を使用したガスセンサを用いることにより、一定応答レベルで多種類の匂いを匂い濃度依存性なく識別が可能である。なお、図中匂い濃度は原液から希釈率の小さい順にプロットの大きさを大きくした。
【0032】
図9は、図8の場合において、第1、第2、第3応答レベルの応答パターンを識別に用いた結果を示す図面である。なお、第2レベルは一定応答レベルで決定された濃縮時間の4分の3、第3レベルは2分の1の濃縮時間で測定された応答パターンである。図中濃度の大きいもののプロットを大きく表示した。
【0033】
式(1)で規格化した第3応答レベルまでの2次元規格化応答パターンを合わせた6次元ベクトルを用いて主成分分析を行った。図8でオーバーラップの見られた2種のサンプルについてもオーバーラップはなく、4種類のサンプルの匂いが明確に識別できた。図8、図9において、プロットの大小はサンプル濃度の大小を示すが、匂い濃度変動の影響も全く認められなかった。なお、図9横軸及び縦軸の括弧内の数値は、元の情報に対する寄与率を意味する。
【0034】
図10は、低濃度に希釈したpropionic acidとisobutyric acidについて、第1応答レベルでの各サンプルの規格化応答パターンの散布図を示す。プロットの大小は濃度の大小を示す
測定サンプル
propionic acid(10%、1%水溶液)とisobutyric acid(10%、1%水溶液)各2ml、
キャリアガス流量:200ml/min.
加熱時間と電流値:1.0秒−6.0A
設定応答レベル:150±15Hz
初期濃縮時間:5秒
サンプルの種類によりisobutyric acidの一点を除きプロットは大きく分離していた。しかし、2つのカルボン酸の応答パターンは類似しており、精度よく匂いを識別するためには、第1応答レベルのみでは不十分であった。
【0035】
図11は、第1応答レベルと第3応答レベルの2次元規格化パターンを合わせた4次元ベクトルを用いて主成分分析を行った結果を示すグラフである。この結果は濃度変動がある2種の水溶液試料を明確に区別できることを示している。また複数レベルで測定することにより、濃度の異なる類似した匂いの分離が可能となることを示している。
【0036】
【発明の効果】
本発明のセンサセル直結型濃縮素子によれば、湿度の影響を除去でき、脱着時定数が小さく、装置全体を小型化できる等の優れた利点を有する揮発性化合物の識別装置及び識別方法が提供される。
【0037】
本発明の上記濃縮素子を使用した一定応答レベルあるいは該レベル以外に複数の応答レベルを使用した測定法を採用することにより、湿度変動の影響、匂い濃度変動の影響を排除した揮発性化合物の識別方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の匂い識別システムの概略説明図である。
【図2】本発明の濃縮素子の説明図である。
【図3】本発明のセンサセル直結型濃縮素子の説明図である。
【図4】応答回復波形を示すグラフである。
【図5】応答パターンの匂い濃度依存性を示したグラフである。
【図6】一定応答レベル測定を行った結果を示したグラフである。
【図7】湿度を付加させた時の一定応答レベル測定結果を示したグラフである。
【図8】第1応答レベルでの応答パターンの散布図である。
【図9】第1から第3応答レベルを用いた応答パターンの散布図である。
【図10】水溶液試料に対する第1応答レベルの応答パターンの散布図である。
【図11】水溶液試料に対する第1及び第3応答レベルの応答パターンの散布図である。
【図12】直接加熱型濃縮管の説明図である。
【図13】直接加熱型濃縮管を使用した場合の一定応答レベル測定結果を示したグラフである。
【符号の説明】
1:バイアル瓶
8:濃縮素子
9:センサセル
22:電源
23:濃縮管
24:吸着剤
33:吸着剤
35:濃縮素子
36:センサセル
37:水晶振動子ガスセンサ

Claims (8)

  1. 電極面に揮発性化合物の感応膜を被覆した複数個の水晶振動子ガスセンサに、揮発性化合物を吸着させ、該吸着による各水晶振動子の共振周波数の変化をパターン認識して揮発性化合物を識別する装置において、
    該装置が、揮発性化合物の濃縮素子及び複数個の水晶振動子ガスセンサとを具備し、該濃縮素子が平面形状の金属性網と該網で挟置された平板状に詰められた吸着剤とからなり、かつ該吸着剤の片面側または両面側の網には加熱手段が設けられており、水晶振動子ガスセンサが濃縮素子から脱着された揮発性化合物と直接接触できるように濃縮素子と近距離に設けられたことを特徴とする揮発性化合物の識別装置。
  2. 水晶振動子センサが、平板状の濃縮素子を底面に設けた、上部の開放された円筒状又は多角形状容器の側面に配置されている請求項1記載の揮発性化合物の識別装置。
  3. 電極面に揮発性化合物の感応膜を被覆した複数個の水晶振動子ガスセンサに、揮発性化合物を吸着させ、該吸着による各水晶振動子の共振周波数の変化をパターン認識して揮発性化合物を識別する方法において、
    該方法が、水晶振動子ガスセンサと近い距離に設けた、金属性網に挟置された平板状に詰められた吸着剤と該吸着剤の片面側又は両面側の網に加熱手段を設けた濃縮素子を使用し、該吸着剤への濃縮時間又はキャリアガスによる希釈率を可変として、水晶振動子ガスセンサの応答を一定レベルとして得られた応答パターンをパターン認識して揮発性化合物を識別することを特徴とする揮発性化合物の識別方法。
  4. 吸着剤が、疎水性である請求項3記載の揮発性化合物の識別方法。
  5. 電極面に揮発性化合物の感応膜を被覆した複数個の水晶振動子ガスセンサに、揮発性化合物を吸着させ、該吸着による各水晶振動子の共振周波数の変化をパターン認識して揮発性化合物の識別する方法において、
    該方法が、水晶振動子ガスセンサと近い距離に設けた、金属性網に挟置された平板状に詰められた吸着剤と該吸着剤の片面側又は両面側の網に加熱手段を設けた濃縮素子を使用し、該吸着剤への濃縮時間又はキャリアガスにより希釈率を可変として、水晶振動子ガスセンサの応答を一定レベルとして揮発性化合物の応答パターンを測定し、ついで一定応答レベルとは異なる複数の応答レベルで応答パターンを測定し、これらの応答パターンをパターン認識して揮発性化合物を識別することを特徴とする揮発性化合物の識別方法。
  6. 吸着剤が、疎水性である請求項5記載の揮発性化合物の識別方法。
  7. 複数の応答レベルが、一定応答レベルよりも短い濃縮時間で測定された応答レベルである請求項5記載の揮発性化合物の識別方法。
  8. 複数の応答レベルが、一定応答レベルよりも大きい希釈率で測定された応答レベルである請求項5記載の揮発性化合物の識別方法。
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