JP2004060764A - 板ブラシシール - Google Patents
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Abstract
【課題】板ブラシシールの被密封流体に対する耐圧能力と、被密封流体のシール能力と、可撓性とを付与して板ブラシ部の摩耗を防止することにある。
【解決手段】被密封流体の作用する方向へ第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3との基部を接合すると共に交互に積層して第1板ブラシ部3Bと第2板ブラシ部3Bとが互いのスリットを介して噛み合わせるものである。
【選択図】 図1
【解決手段】被密封流体の作用する方向へ第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3との基部を接合すると共に交互に積層して第1板ブラシ部3Bと第2板ブラシ部3Bとが互いのスリットを介して噛み合わせるものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸と相対変位する相対部品との間をシールする板ブラシシールに関する。
更に詳しくは、例えば、航空機、ガスタービン等の回転軸と相対変位する相対部品との間をシールする板ブラシシールに係わるものである。
【0002】
【従来技術】
本発明に関する先行技術には、図7に示すブラシシール装置100Aが存在する。
図7は、回転軸120が貫通するケーシング110との間に取り付けられたブラシシール装置100の断面図である。このケーシング110は、蒸気タービンやガスタービン等の部品である。そして、ブラシシール装置100Aはケーシング110に取り付けられて回転軸120との隙間を仕切って被密封流体をシールしている。
【0003】
このブラシシール装置100Aは、リング状に形成されて、ケーシング110の取付溝部112に取り付けられる。このブラシシール装置100Aの主要な構成は、ブラシシール109と、このブラシシール109を挟持する背板102と支持板103である。このブラシシール109は、剛毛101が円周に沿ってある厚さに束ねられて壁状に配列され、一端部が結合されて取付部104を形成している。又、ブラシシール109の自由端面105は回転軸120に対向して配置される。この剛毛101の線径は、一般に、0.02mmから0.5mmのものが用いられている。そして、その本数は何万、何十万本となる。
【0004】
このブラシシール109の側面には、環状に形成された背板102が側面108をブラシシール109と接触状態にして配置されおり、この背板102は被密封流体の圧力を受けて剛毛101が変形しないように支持している。
又、ブラシシール109の他方の面には、保持板103がリング板に形成されて背板102との間でブラシシール109の取付部104側を狭持している。この保持板103は、ブラシシール109の自由端側が弾性変形しやすいように径方向の幅が狭くされてブラシシール109を被密封流体側に露出させている。
そして、背板102とブラシシール109の取付部104と保持板103とは、一端が溶接されて結合部106を成している。
【0005】
直線状の剛毛101は、回転軸120の径方向に対して回転軸120の回転する方向へ傾斜している。このブラシシール109の正常状態は、図7の実線で示すように回転軸120が自由端面105に接触又は近接している。
しかし、剛毛101は、束ねられているので、被密封流体の圧力を受けると剛毛101間に隙間が生じるので被密封流体の漏れが生じるおそれがある。特に、高圧の被密封流体の場合にはシール能力に問題が生じてくる。
【0006】
又、ブラシシール109は、剛毛101が、ある厚さの束にされて周方向に沿って配列されている。そして、ブラシシール109の自由端面105は、回転軸に嵌合するようにワイヤ放電加工機などにより精密仕上げ加工されている。しかし、剛毛101は変形しやすいので、この加工が極めて困難になっている。
【0007】
又、回転軸120が振動や揺動などにより、ブラシシール109に接触すると、ブラシシール109は、回転軸120と圧接された状態になりながら回転方向へ傾斜した傾斜角度も増加する。
この状態で、被密封流体の圧力が高圧P1の場合には、低圧P2との差圧(P1−P2)が大きくなるから、ブラシシール109の直線状の剛毛101は、弾性変形して曲がり、各剛毛101間にランダムな間隙が生じることになる。
【0008】
この直線状の剛毛101間に被密封流体が侵入すると束ねられた各剛毛101は、剛毛101間の間隙が被密封流体により押し分けられて大きな間隙となるので、この分けられた間隙から被密封流体が漏洩することになる。
この作用は、更に、傾斜した状態の剛毛101が圧力により分けられると、分けられた一方側が、設定された傾斜角度よりも小さくするように変位しようとするので、剛毛101の先端部は、回転軸120とますます接触状態を強めるから圧接力を更に増加させて摩耗することになる。
この剛毛101の自由端面105が摩耗すると、この摩耗した自由端面105と回転軸120との間から被密封流体が漏洩することになる。
【0009】
又、この様な状態で、回転軸120が揺動すると、ブラシシール101の回転軸120に圧接した位置に対して軸心を通り径方向反対側は、剛毛101の自由端面105と回転軸120との隙間Cが大きくなるので、この間隙Cから被密封流体の漏れが惹起する。
このように、剛毛101による被密封流体のシールには解決しなければならない問題が存在する。
【0010】
更に、他の従来技術として、図8に示すブラシシール装置100Bが存在する。このブラシシール装置100Bは、薄板の板シール209を回転軸120の周方向に積層状態に重ねて高圧側領域P1と低圧側領域P2をシールするものである。
そして、板シール209の外周部はろう付けされて取付部104に形成されていると共に、このろう付けされた取付部104を介してケーシング110の溝部に取り付けられる。又、板シール209の低圧側領域P2の側面には背板102が配置されていると共に、高圧領域側P1の側面には保持板103が配置されており、この両板102,103により板シール209の両側を支持している。
【0011】
しかし、この様に形成された板シール209に対し、回転軸120が偏心して圧接したときに、円弧状を成すのみの板シール209は、弾性変形が容易でないから、弾性変形に対応するバネ常数が大きくなるので、回転軸60の偏心に対して追随することが困難になる問題を惹起している。このために板シール209の自由端面とロータ120の外周面との間隔を大きくとっているので、被密封流体をシールする能力が低下する。
【0012】
更に、被密封流体の圧力が作用する方向に接合して重ねられた板シール209は、単なる平板のみであるために、その平板の接合面間方向に作用する被密封流体の圧力が容易に平板の接合隙間から流出し、被密封流体の漏れを防止するシール能力に問題が生じてくる。
更に又、可撓性が阻害される構成の積層構造は、板シール209の自由端面105を早期に摩耗させる結果となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような問題点に鑑み成されたものであって、その技術的課題は、板ブラシシールに可撓性を付与すると共に、シール能力を向上させることにある。
【0014】
更に、対向部品からの押圧力に対する板ブラシシールの弾性変形能力を向上させると共に、被密封流体に対するシール能力を向上させ、且つ板ブラシシールが対向部品により摩耗させられるのを低減することにある。
又、板ブラシシールの接触する対向部品との変動に対応する追随性を良好にし動力のエネルギーの低減を図ると共に、変動に対してもシール能力を向上させることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述のような課題を解決するために成されたものであって、その課題を解決するための技術的手段は以下のように構成されている。
【0016】
請求項1に係わる本発明の板ブラシシールは、 間隙を有して相対移動する部品間の前記一方の部品に取付けられて前記他方の部品との間をシールする板ブラシシールであって、前記一方の部品に取り付けられる第1基部を有すると共に前記他方の部品側に細梁の第1ブラシ部分と第1スリットとが交互に配列された第1板ブラシ部を有する第1ブラシシール単板と、前記第1ブラシ部分と前記第1スリットとに互いに噛み合う第2スリットと第2ブラシ部分とを交互に配列された第2板ブラシ部を有する第2ブラシシール単板とを備え、前記第1ブラシシール単板と第2ブラシシール単板とを交互に積層して前記第1板ブラシ部と前記第2板ブラシ部とが互いのスリットを介して噛み合わせているものである。
【0017】
この請求項1に係わる本発明の板ブラシシールでは、板ブラシシールが一対の第1及び第2ブラシシール単板をブラシ部分とスリットとが自由端部側に向かって互いに噛み合うので、各ブラシ部分の各側面の間隙が密接し、シール能力を飛躍的に向上させることが可能になる。
【0018】
又、この板ブラシ部は、各ブラシ部分の噛み合う互いの接触深さが浅い基部側は、シール能力よりも弾性変形が付与されている。そして、板ブラシ部の自由端部側は各ブラシ部分の互いに噛み合う深さが深くされて接合しシール能力を向上させている。その結果、板ブラシシールは、シール能力と共に可撓性が発揮されて当接部品との接触による摩耗が効果的に防止される。
【0019】
請求項2に係わる本発明の板ブラシシールは、複数に積層された第1板ブラシ部と第2板ブラシ部とが互いのスリットを介して噛み合わされて自由端部に向かって噛み合わせの深さが徐々に深くなる寸法に形成されていると共に、各ブラシシール単板が被密封流体の作用方向に対して略直角方向へ積層されているものである。
【0020】
この請求項2に係わる本発明の板ブラシシールでは、各第1板ブラシ部と第2板ブラシ部とを自由端部に向かって徐々に噛み合い深さが互いに深くなるように構成されているので、被密封流体が積層面方向に作用しても板ブラシシールの自由端部側が隙間のない板ブラシ部に形成されているので、シール能力が向上する。そして、板ブラシ部の基部側は各ブラシ部分の噛み合い深さが浅いから弾性変形力が付与されて対向部品との当接に対して柔らかく接触し摩耗が効果的に防止される。
【0021】
請求項3に係わる本発明の板ブラシシールは、第1ブラシシール単板の基部と第2ブラシシール単板の基部が環状に積層されて接面していると共に各第1ブラシ部分又は/及び各第2ブラシ部分が自由端部で互いに接触しているものである。
【0022】
この請求項3に係わる本発明の板ブラシシールでは、各ブラシシール単板を環状に積層すると、環状を成す板ブラシシールの外周側が内周側よりも大径である分基部の積層間にスペーサを設けなければならないが、板ブラシシールの各ブラシ部分を噛み合わせることにより、積層された基部の環状を成す外径に応じて自由端部の環状の内径を小径にすることができる。このために、環状に積層された基部の積層面に隙間をなくすことができる。
【0023】
更に、環状を成す自由端部の板ブラシ部は互いにブラシ部分が噛み合って隙間がないから、被密封流体をシールすることが可能になる。しかも、板ブラシ部の内径は、各ブラシ部分の接合面が連通しない組み合わせ体であるから、可撓性を発揮して回転軸との摩擦による摩耗を防止することが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる実施の形態についての板ブラシシールを図面に基づいて詳述する。尚、以下の図面は特許図面としての概念図ではなく、設計図である。
【0025】
図1は、ガスタービンのケーシング50の孔に回転軸(以下、ロータと言う)60が嵌通した両部品間の間隙を高圧P1側と低圧P2側とに仕切る本発明に係わる第1実施の形態の板ブラシシール2の図5に示すB部を軸方向へ断面にした半断面図である。
又、図2は、図1に示す板ブラシシール2の1部を示す正面図である。
図3は、板ブラシシール2の第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3とを積層する状態の斜視図である。
更に、図4は、図2の板ブラシシール2の基部側に於ける板ブラシ部3Bの1部を示す断面図である。図5は、本発明に係わる板ブラシシール2の自由端部側から見た第2実施の形態の平面図である。図6は、本発明に係わる第3実施の形態を示す板ブラシシール2の自由端部側から見た平面図である。
【0026】
図1及び図2において、2は板ブラシシールである。板ブラシシール2の取付部2Aは、構成部品の一方の部品であるケーシング50の内周面に設けられた段部にスナップリング12を介して取り付けられている。又、板ブラシシール2の内周側の自由端部5は他方の部品であるロータ(以下、回転軸とも言う)60の外周面と対向して接面又は近接した状態に配置されている。そして、板ブラシシール2により高圧P1側と低圧P2側の間に配置されて被密封流体をシールする。
【0027】
この板ブラシシール2は、ブラシシール単板3を積層した両側に背板部6と保持部10とを取り付けた構成から成る。この背板部6及び保持部10は板ブラシシール2の補助部品である。この板ブラシシール2は被密封流体に対してブラシシール単板3を図2に示すように積層しているために、基部3Aをケーシング50に保持するだけで被密封流体をシールすることもできる。この為、ブラシシール単板3の幅は、被密封流体の圧力に応じて設定される。
【0028】
この板ブラシシール2は、高圧P1側から低圧P2に向かって直角方向へブラシシール単板3を積層状態に配列し、被密封流体圧力の作用方向に対してある板幅を成すと共に、ロータ60の周面に沿って環状体に形成されている。そして、板ブラシシール2は、内周側がロータ60外周面に沿って、例えば図5に示すような縦横状の各ブラシ部分3B1の構造体に形成されている。又、ブラシシール単板3の外周の基部3Aを積層して板ブラシシール2の取付部2Aに形成する。この取付部2Aを成す外周面は溶接等により一体化されている。
【0029】
図3の左側1列に示すように、交互に積層されるうちの1方の第1ブラシシール単板3は、薄板を長方形に形成し、長方形の長手1方側に第1基部3Aを形成すると共に、他方側に第1板ブラシ部3Bを形成している。この第1板ブラシ部3Bは、薄板を並列に形成した第1スリット3B2により第1スリット3B2間が各々細梁状の第1ブラシ部分3B1に形成されている。この細梁の第1ブラシ部分3B1は、断面が長方形状又は正方形状に形成されている。
この第1ブラシ部分3B1は、図3に示すように、薄板の長方形の長手方向の自由端部5へ1列の奇数本から成る凹凸に形成されている。
【0030】
更に、第2ブラシシール単板3も図3の左側2列目に示すように、第1ブラシシール単板3と同様に形成されており、この第2ブラシシール単板3も長方形で薄板の長手方向1方側に第2ブラシ部分3B1と第2スリット3B2とが凹凸状に1列に形成されて第2板ブラシ部3Bを成している。又、第2板ブラシ部3Bと反対は第2基部3Aに形成されている。
この第2ブラシ部分3B1の細梁も、断面が長方形又は正方形に形成されている。そして、この第2ブラシ部分3B1は、図3に示すように、偶数本に形成されている。
【0031】
図2及び図3に示すように板ブラシシール2は、第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3とが交互に積層されている。この積層方向は被密封流体の作用方向に対して略直角を成している。そして、第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3との積層は、第1ブラシ部分3B1と第2ブラシ部分3B1とがそれぞれの第2スリット3B2と第1スリット3B2を介して噛み合わされる。
【0032】
この板ブラシシール2は、ブラシシール単板3を環状に積層することにより形成される。
図2に示すように、第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3の各基部3Aは、交互に接合状態に積層される。同時に、第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3の各板ブラシ部3Bは、交互に噛み合わされる。
この噛み合い状態は、点線で示すように、自由端部5に向かって徐々に噛み合い深さが深くなるように組み合わされている。このために、板ブラシシール2を環状体に形成しても、板ブラシシール2の外径寸法と内径寸法の差による外径の各基部3A間に生じる隙間を消滅させることが可能になる。
【0033】
この各板ブラシ部3Bの噛み合い状態は、1実施例として、板ブラシシール2の自由端部5側から見た状態が、図5に示すように、第1板ブラシ部3Bと第2板ブラシ部3Bとが接合して全体が一体のように組み合わされる。
又、板ブラシ部3Bの基部3A側は、図4に示すように、積層された各第1ブラシシール単板3の対向面に微小な隙間が形成される。同時に、積層された各第2ブラシシール単板3の対向面間にも微小な間隙が形成される。この微小な間隙が板ブラシ部3Bに可撓性を発揮させる。
【0034】
又、板ブラシシール2は、自由端部5側が、図5に示すように、各ブラシ部分3B1が接合状態に組み合わされているから、被密封流体をシールする能力を向上させることが可能になる。実験的には、板ブラシシール2に対する被密封流体の流れは、図1に示すHのようになることからも明白である。
図2に示す板ブラシシール2は、両側からリング状を成す背板部6と保持板10により挟持し、図1の板ブラシシール2のようにケーシング50に取り付けられる。
【0035】
図4は、本発明に係わる第2実施の形態を示す板ブラシシール2の自由端部5側の1部を示す断面図である。この図4に示す各ブラシ部分3B1、3B2の噛み合い状態のように、各第1ブラシ部分3B1の積層間に隙間が生じるように噛み合わせると共に、各第2ブラシ部分3B1の積層間も隙間が生じるように噛み合わせると、板ブラシ部3Bの可撓性が発揮される。
しかも、第1ブラシ部分3B1と第2ブラシ部分3B1とは被密封流体の作用方向に対して間隙が生じないように間隙を綴じるように接合しているから、被密封流体に対するシール能力が向上する。
【0036】
図6は、本発明に係わる第3実施の形態を示す板ブラシシール2の自由端部5側の1部を示す平面図である。この図6に示す各ブラシ部分3B1、3B2の噛み合い状態のように、各第1ブラシ部分3B1の積層間に隙間が生じないように噛み合わせると共に、各第2ブラシ部分3B1の積層間も隙間が生じないように噛み合わせると、板ブラシ部3Bのシール能力が発揮される。しかも、各ブラシ部分3B1は細梁として分割されているから、ロータ60の当接に対して弾性変形を可能として摩耗するのが効果的に防止される。
【0037】
その結果、板ブラシ部3Bは、自由端部5側の各ブラシ部分3B1の接合状態が密になるから被密封流体を仕切るシール能力が向上する。反対に、ブラシ部分3B1の積層下基部3A側はブラシ部分3B1の接合状態が疎に成るから、弾性変形能力が付与される。このために、板ブラシ部3Bの被密封流体に対するシール能力が向上すると共に、この自由端部5側のシールする個所を保持する基部3A側が弾性変形能力を付与されて可撓性が発揮される。
【0038】
この第1及び第2ブラシシール単板3は薄板からエッチング加工、ワイヤー放電加工、レーザ加工、電子ビーム加工等の微細加工によりブラシ部分3B1とスリット3B2を容易に製作することができる。
【0039】
上述した実施例のブラシシール単板4の厚さは0.005〜0.5mmの範囲にされているが、この厚さは、被密封流体の圧力およびロータ60の当接力等を考慮して決められるものである。
又、板ブラシシール単板3の材質は、鋼、ステンレス、ニッケル基の合金、セラミック材等が用いられる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の板ブラシシールによれば、板ブラシシールは一対の第1及び第2ブラシシール単板をブラシ部分とスリットとが互いに噛み合うので、第1ブラシ部分と第2ブラシ部分とが自由端部側に向かって互いに噛み合うように構成されている。このために各ブラシ部分の接合面の間隙が密接し、シール能力を飛躍的に向上させる効果を奏する。その上、板ブラシ部は、積層された基部側がかみ合い深さを浅くなるから弾性変形能力を発揮し、他方部品の当接に対して摩擦を和らげると共に、その摩擦による摩耗を効果的に防止する。
【0041】
又、この板ブラシ部は、積層された基部側のブラシ部分の噛み合い深さを浅くし、自由端部側の各ブラシ部分の噛み合う深さが深く構成されているから、シール能力と共に、ブラシ部分の弾性変形が付与される。
【0042】
更に、各ブラシ部分の自由端部側を小径になるように噛み合わせることにより、板ブラシシールを環状に形成しても、外周側となる基部の各接合面間にスペーサを設ける必要もないから、板ブラシシールの組立が容易になり、組立コストを大きく低減する効果を奏する
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1実施の形態を示す板ブラシシールの半断面図である。
【図2】図1に示す板ブラシシール1部の平面図である。
【図3】本発明に係わるブラシシール単板の組み合わせを示す斜視図である。
【図4】本発明に係わる第2実施例を示す板ブラシシールのブラシ部分の1部断面図である。
【図5】本発明に係わる図1に示す板ブラシシールの自由端部の平面図である。
【図6】本発明に係わる第3実施の形態を示す板ブラシシールの自由端部側から見た平面図である。
【図7】従来のブラシシール装置の半断面図である。
【図8】従来の他のブラシシール装置の斜視図である。
【符号の説明】
2 板ブラシシール
2A 取付部
3 ブラシシール単板
3A 基部
3B 板ブラシ部
3B1 第1、第2ブラシ部分
3B2 第1及び第2スリット
5 自由端部
6 背板部
10 保持部
50 一方の部品(ケーシング)
1 他方の部品(ロータ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸と相対変位する相対部品との間をシールする板ブラシシールに関する。
更に詳しくは、例えば、航空機、ガスタービン等の回転軸と相対変位する相対部品との間をシールする板ブラシシールに係わるものである。
【0002】
【従来技術】
本発明に関する先行技術には、図7に示すブラシシール装置100Aが存在する。
図7は、回転軸120が貫通するケーシング110との間に取り付けられたブラシシール装置100の断面図である。このケーシング110は、蒸気タービンやガスタービン等の部品である。そして、ブラシシール装置100Aはケーシング110に取り付けられて回転軸120との隙間を仕切って被密封流体をシールしている。
【0003】
このブラシシール装置100Aは、リング状に形成されて、ケーシング110の取付溝部112に取り付けられる。このブラシシール装置100Aの主要な構成は、ブラシシール109と、このブラシシール109を挟持する背板102と支持板103である。このブラシシール109は、剛毛101が円周に沿ってある厚さに束ねられて壁状に配列され、一端部が結合されて取付部104を形成している。又、ブラシシール109の自由端面105は回転軸120に対向して配置される。この剛毛101の線径は、一般に、0.02mmから0.5mmのものが用いられている。そして、その本数は何万、何十万本となる。
【0004】
このブラシシール109の側面には、環状に形成された背板102が側面108をブラシシール109と接触状態にして配置されおり、この背板102は被密封流体の圧力を受けて剛毛101が変形しないように支持している。
又、ブラシシール109の他方の面には、保持板103がリング板に形成されて背板102との間でブラシシール109の取付部104側を狭持している。この保持板103は、ブラシシール109の自由端側が弾性変形しやすいように径方向の幅が狭くされてブラシシール109を被密封流体側に露出させている。
そして、背板102とブラシシール109の取付部104と保持板103とは、一端が溶接されて結合部106を成している。
【0005】
直線状の剛毛101は、回転軸120の径方向に対して回転軸120の回転する方向へ傾斜している。このブラシシール109の正常状態は、図7の実線で示すように回転軸120が自由端面105に接触又は近接している。
しかし、剛毛101は、束ねられているので、被密封流体の圧力を受けると剛毛101間に隙間が生じるので被密封流体の漏れが生じるおそれがある。特に、高圧の被密封流体の場合にはシール能力に問題が生じてくる。
【0006】
又、ブラシシール109は、剛毛101が、ある厚さの束にされて周方向に沿って配列されている。そして、ブラシシール109の自由端面105は、回転軸に嵌合するようにワイヤ放電加工機などにより精密仕上げ加工されている。しかし、剛毛101は変形しやすいので、この加工が極めて困難になっている。
【0007】
又、回転軸120が振動や揺動などにより、ブラシシール109に接触すると、ブラシシール109は、回転軸120と圧接された状態になりながら回転方向へ傾斜した傾斜角度も増加する。
この状態で、被密封流体の圧力が高圧P1の場合には、低圧P2との差圧(P1−P2)が大きくなるから、ブラシシール109の直線状の剛毛101は、弾性変形して曲がり、各剛毛101間にランダムな間隙が生じることになる。
【0008】
この直線状の剛毛101間に被密封流体が侵入すると束ねられた各剛毛101は、剛毛101間の間隙が被密封流体により押し分けられて大きな間隙となるので、この分けられた間隙から被密封流体が漏洩することになる。
この作用は、更に、傾斜した状態の剛毛101が圧力により分けられると、分けられた一方側が、設定された傾斜角度よりも小さくするように変位しようとするので、剛毛101の先端部は、回転軸120とますます接触状態を強めるから圧接力を更に増加させて摩耗することになる。
この剛毛101の自由端面105が摩耗すると、この摩耗した自由端面105と回転軸120との間から被密封流体が漏洩することになる。
【0009】
又、この様な状態で、回転軸120が揺動すると、ブラシシール101の回転軸120に圧接した位置に対して軸心を通り径方向反対側は、剛毛101の自由端面105と回転軸120との隙間Cが大きくなるので、この間隙Cから被密封流体の漏れが惹起する。
このように、剛毛101による被密封流体のシールには解決しなければならない問題が存在する。
【0010】
更に、他の従来技術として、図8に示すブラシシール装置100Bが存在する。このブラシシール装置100Bは、薄板の板シール209を回転軸120の周方向に積層状態に重ねて高圧側領域P1と低圧側領域P2をシールするものである。
そして、板シール209の外周部はろう付けされて取付部104に形成されていると共に、このろう付けされた取付部104を介してケーシング110の溝部に取り付けられる。又、板シール209の低圧側領域P2の側面には背板102が配置されていると共に、高圧領域側P1の側面には保持板103が配置されており、この両板102,103により板シール209の両側を支持している。
【0011】
しかし、この様に形成された板シール209に対し、回転軸120が偏心して圧接したときに、円弧状を成すのみの板シール209は、弾性変形が容易でないから、弾性変形に対応するバネ常数が大きくなるので、回転軸60の偏心に対して追随することが困難になる問題を惹起している。このために板シール209の自由端面とロータ120の外周面との間隔を大きくとっているので、被密封流体をシールする能力が低下する。
【0012】
更に、被密封流体の圧力が作用する方向に接合して重ねられた板シール209は、単なる平板のみであるために、その平板の接合面間方向に作用する被密封流体の圧力が容易に平板の接合隙間から流出し、被密封流体の漏れを防止するシール能力に問題が生じてくる。
更に又、可撓性が阻害される構成の積層構造は、板シール209の自由端面105を早期に摩耗させる結果となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような問題点に鑑み成されたものであって、その技術的課題は、板ブラシシールに可撓性を付与すると共に、シール能力を向上させることにある。
【0014】
更に、対向部品からの押圧力に対する板ブラシシールの弾性変形能力を向上させると共に、被密封流体に対するシール能力を向上させ、且つ板ブラシシールが対向部品により摩耗させられるのを低減することにある。
又、板ブラシシールの接触する対向部品との変動に対応する追随性を良好にし動力のエネルギーの低減を図ると共に、変動に対してもシール能力を向上させることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述のような課題を解決するために成されたものであって、その課題を解決するための技術的手段は以下のように構成されている。
【0016】
請求項1に係わる本発明の板ブラシシールは、 間隙を有して相対移動する部品間の前記一方の部品に取付けられて前記他方の部品との間をシールする板ブラシシールであって、前記一方の部品に取り付けられる第1基部を有すると共に前記他方の部品側に細梁の第1ブラシ部分と第1スリットとが交互に配列された第1板ブラシ部を有する第1ブラシシール単板と、前記第1ブラシ部分と前記第1スリットとに互いに噛み合う第2スリットと第2ブラシ部分とを交互に配列された第2板ブラシ部を有する第2ブラシシール単板とを備え、前記第1ブラシシール単板と第2ブラシシール単板とを交互に積層して前記第1板ブラシ部と前記第2板ブラシ部とが互いのスリットを介して噛み合わせているものである。
【0017】
この請求項1に係わる本発明の板ブラシシールでは、板ブラシシールが一対の第1及び第2ブラシシール単板をブラシ部分とスリットとが自由端部側に向かって互いに噛み合うので、各ブラシ部分の各側面の間隙が密接し、シール能力を飛躍的に向上させることが可能になる。
【0018】
又、この板ブラシ部は、各ブラシ部分の噛み合う互いの接触深さが浅い基部側は、シール能力よりも弾性変形が付与されている。そして、板ブラシ部の自由端部側は各ブラシ部分の互いに噛み合う深さが深くされて接合しシール能力を向上させている。その結果、板ブラシシールは、シール能力と共に可撓性が発揮されて当接部品との接触による摩耗が効果的に防止される。
【0019】
請求項2に係わる本発明の板ブラシシールは、複数に積層された第1板ブラシ部と第2板ブラシ部とが互いのスリットを介して噛み合わされて自由端部に向かって噛み合わせの深さが徐々に深くなる寸法に形成されていると共に、各ブラシシール単板が被密封流体の作用方向に対して略直角方向へ積層されているものである。
【0020】
この請求項2に係わる本発明の板ブラシシールでは、各第1板ブラシ部と第2板ブラシ部とを自由端部に向かって徐々に噛み合い深さが互いに深くなるように構成されているので、被密封流体が積層面方向に作用しても板ブラシシールの自由端部側が隙間のない板ブラシ部に形成されているので、シール能力が向上する。そして、板ブラシ部の基部側は各ブラシ部分の噛み合い深さが浅いから弾性変形力が付与されて対向部品との当接に対して柔らかく接触し摩耗が効果的に防止される。
【0021】
請求項3に係わる本発明の板ブラシシールは、第1ブラシシール単板の基部と第2ブラシシール単板の基部が環状に積層されて接面していると共に各第1ブラシ部分又は/及び各第2ブラシ部分が自由端部で互いに接触しているものである。
【0022】
この請求項3に係わる本発明の板ブラシシールでは、各ブラシシール単板を環状に積層すると、環状を成す板ブラシシールの外周側が内周側よりも大径である分基部の積層間にスペーサを設けなければならないが、板ブラシシールの各ブラシ部分を噛み合わせることにより、積層された基部の環状を成す外径に応じて自由端部の環状の内径を小径にすることができる。このために、環状に積層された基部の積層面に隙間をなくすことができる。
【0023】
更に、環状を成す自由端部の板ブラシ部は互いにブラシ部分が噛み合って隙間がないから、被密封流体をシールすることが可能になる。しかも、板ブラシ部の内径は、各ブラシ部分の接合面が連通しない組み合わせ体であるから、可撓性を発揮して回転軸との摩擦による摩耗を防止することが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる実施の形態についての板ブラシシールを図面に基づいて詳述する。尚、以下の図面は特許図面としての概念図ではなく、設計図である。
【0025】
図1は、ガスタービンのケーシング50の孔に回転軸(以下、ロータと言う)60が嵌通した両部品間の間隙を高圧P1側と低圧P2側とに仕切る本発明に係わる第1実施の形態の板ブラシシール2の図5に示すB部を軸方向へ断面にした半断面図である。
又、図2は、図1に示す板ブラシシール2の1部を示す正面図である。
図3は、板ブラシシール2の第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3とを積層する状態の斜視図である。
更に、図4は、図2の板ブラシシール2の基部側に於ける板ブラシ部3Bの1部を示す断面図である。図5は、本発明に係わる板ブラシシール2の自由端部側から見た第2実施の形態の平面図である。図6は、本発明に係わる第3実施の形態を示す板ブラシシール2の自由端部側から見た平面図である。
【0026】
図1及び図2において、2は板ブラシシールである。板ブラシシール2の取付部2Aは、構成部品の一方の部品であるケーシング50の内周面に設けられた段部にスナップリング12を介して取り付けられている。又、板ブラシシール2の内周側の自由端部5は他方の部品であるロータ(以下、回転軸とも言う)60の外周面と対向して接面又は近接した状態に配置されている。そして、板ブラシシール2により高圧P1側と低圧P2側の間に配置されて被密封流体をシールする。
【0027】
この板ブラシシール2は、ブラシシール単板3を積層した両側に背板部6と保持部10とを取り付けた構成から成る。この背板部6及び保持部10は板ブラシシール2の補助部品である。この板ブラシシール2は被密封流体に対してブラシシール単板3を図2に示すように積層しているために、基部3Aをケーシング50に保持するだけで被密封流体をシールすることもできる。この為、ブラシシール単板3の幅は、被密封流体の圧力に応じて設定される。
【0028】
この板ブラシシール2は、高圧P1側から低圧P2に向かって直角方向へブラシシール単板3を積層状態に配列し、被密封流体圧力の作用方向に対してある板幅を成すと共に、ロータ60の周面に沿って環状体に形成されている。そして、板ブラシシール2は、内周側がロータ60外周面に沿って、例えば図5に示すような縦横状の各ブラシ部分3B1の構造体に形成されている。又、ブラシシール単板3の外周の基部3Aを積層して板ブラシシール2の取付部2Aに形成する。この取付部2Aを成す外周面は溶接等により一体化されている。
【0029】
図3の左側1列に示すように、交互に積層されるうちの1方の第1ブラシシール単板3は、薄板を長方形に形成し、長方形の長手1方側に第1基部3Aを形成すると共に、他方側に第1板ブラシ部3Bを形成している。この第1板ブラシ部3Bは、薄板を並列に形成した第1スリット3B2により第1スリット3B2間が各々細梁状の第1ブラシ部分3B1に形成されている。この細梁の第1ブラシ部分3B1は、断面が長方形状又は正方形状に形成されている。
この第1ブラシ部分3B1は、図3に示すように、薄板の長方形の長手方向の自由端部5へ1列の奇数本から成る凹凸に形成されている。
【0030】
更に、第2ブラシシール単板3も図3の左側2列目に示すように、第1ブラシシール単板3と同様に形成されており、この第2ブラシシール単板3も長方形で薄板の長手方向1方側に第2ブラシ部分3B1と第2スリット3B2とが凹凸状に1列に形成されて第2板ブラシ部3Bを成している。又、第2板ブラシ部3Bと反対は第2基部3Aに形成されている。
この第2ブラシ部分3B1の細梁も、断面が長方形又は正方形に形成されている。そして、この第2ブラシ部分3B1は、図3に示すように、偶数本に形成されている。
【0031】
図2及び図3に示すように板ブラシシール2は、第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3とが交互に積層されている。この積層方向は被密封流体の作用方向に対して略直角を成している。そして、第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3との積層は、第1ブラシ部分3B1と第2ブラシ部分3B1とがそれぞれの第2スリット3B2と第1スリット3B2を介して噛み合わされる。
【0032】
この板ブラシシール2は、ブラシシール単板3を環状に積層することにより形成される。
図2に示すように、第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3の各基部3Aは、交互に接合状態に積層される。同時に、第1ブラシシール単板3と第2ブラシシール単板3の各板ブラシ部3Bは、交互に噛み合わされる。
この噛み合い状態は、点線で示すように、自由端部5に向かって徐々に噛み合い深さが深くなるように組み合わされている。このために、板ブラシシール2を環状体に形成しても、板ブラシシール2の外径寸法と内径寸法の差による外径の各基部3A間に生じる隙間を消滅させることが可能になる。
【0033】
この各板ブラシ部3Bの噛み合い状態は、1実施例として、板ブラシシール2の自由端部5側から見た状態が、図5に示すように、第1板ブラシ部3Bと第2板ブラシ部3Bとが接合して全体が一体のように組み合わされる。
又、板ブラシ部3Bの基部3A側は、図4に示すように、積層された各第1ブラシシール単板3の対向面に微小な隙間が形成される。同時に、積層された各第2ブラシシール単板3の対向面間にも微小な間隙が形成される。この微小な間隙が板ブラシ部3Bに可撓性を発揮させる。
【0034】
又、板ブラシシール2は、自由端部5側が、図5に示すように、各ブラシ部分3B1が接合状態に組み合わされているから、被密封流体をシールする能力を向上させることが可能になる。実験的には、板ブラシシール2に対する被密封流体の流れは、図1に示すHのようになることからも明白である。
図2に示す板ブラシシール2は、両側からリング状を成す背板部6と保持板10により挟持し、図1の板ブラシシール2のようにケーシング50に取り付けられる。
【0035】
図4は、本発明に係わる第2実施の形態を示す板ブラシシール2の自由端部5側の1部を示す断面図である。この図4に示す各ブラシ部分3B1、3B2の噛み合い状態のように、各第1ブラシ部分3B1の積層間に隙間が生じるように噛み合わせると共に、各第2ブラシ部分3B1の積層間も隙間が生じるように噛み合わせると、板ブラシ部3Bの可撓性が発揮される。
しかも、第1ブラシ部分3B1と第2ブラシ部分3B1とは被密封流体の作用方向に対して間隙が生じないように間隙を綴じるように接合しているから、被密封流体に対するシール能力が向上する。
【0036】
図6は、本発明に係わる第3実施の形態を示す板ブラシシール2の自由端部5側の1部を示す平面図である。この図6に示す各ブラシ部分3B1、3B2の噛み合い状態のように、各第1ブラシ部分3B1の積層間に隙間が生じないように噛み合わせると共に、各第2ブラシ部分3B1の積層間も隙間が生じないように噛み合わせると、板ブラシ部3Bのシール能力が発揮される。しかも、各ブラシ部分3B1は細梁として分割されているから、ロータ60の当接に対して弾性変形を可能として摩耗するのが効果的に防止される。
【0037】
その結果、板ブラシ部3Bは、自由端部5側の各ブラシ部分3B1の接合状態が密になるから被密封流体を仕切るシール能力が向上する。反対に、ブラシ部分3B1の積層下基部3A側はブラシ部分3B1の接合状態が疎に成るから、弾性変形能力が付与される。このために、板ブラシ部3Bの被密封流体に対するシール能力が向上すると共に、この自由端部5側のシールする個所を保持する基部3A側が弾性変形能力を付与されて可撓性が発揮される。
【0038】
この第1及び第2ブラシシール単板3は薄板からエッチング加工、ワイヤー放電加工、レーザ加工、電子ビーム加工等の微細加工によりブラシ部分3B1とスリット3B2を容易に製作することができる。
【0039】
上述した実施例のブラシシール単板4の厚さは0.005〜0.5mmの範囲にされているが、この厚さは、被密封流体の圧力およびロータ60の当接力等を考慮して決められるものである。
又、板ブラシシール単板3の材質は、鋼、ステンレス、ニッケル基の合金、セラミック材等が用いられる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の板ブラシシールによれば、板ブラシシールは一対の第1及び第2ブラシシール単板をブラシ部分とスリットとが互いに噛み合うので、第1ブラシ部分と第2ブラシ部分とが自由端部側に向かって互いに噛み合うように構成されている。このために各ブラシ部分の接合面の間隙が密接し、シール能力を飛躍的に向上させる効果を奏する。その上、板ブラシ部は、積層された基部側がかみ合い深さを浅くなるから弾性変形能力を発揮し、他方部品の当接に対して摩擦を和らげると共に、その摩擦による摩耗を効果的に防止する。
【0041】
又、この板ブラシ部は、積層された基部側のブラシ部分の噛み合い深さを浅くし、自由端部側の各ブラシ部分の噛み合う深さが深く構成されているから、シール能力と共に、ブラシ部分の弾性変形が付与される。
【0042】
更に、各ブラシ部分の自由端部側を小径になるように噛み合わせることにより、板ブラシシールを環状に形成しても、外周側となる基部の各接合面間にスペーサを設ける必要もないから、板ブラシシールの組立が容易になり、組立コストを大きく低減する効果を奏する
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1実施の形態を示す板ブラシシールの半断面図である。
【図2】図1に示す板ブラシシール1部の平面図である。
【図3】本発明に係わるブラシシール単板の組み合わせを示す斜視図である。
【図4】本発明に係わる第2実施例を示す板ブラシシールのブラシ部分の1部断面図である。
【図5】本発明に係わる図1に示す板ブラシシールの自由端部の平面図である。
【図6】本発明に係わる第3実施の形態を示す板ブラシシールの自由端部側から見た平面図である。
【図7】従来のブラシシール装置の半断面図である。
【図8】従来の他のブラシシール装置の斜視図である。
【符号の説明】
2 板ブラシシール
2A 取付部
3 ブラシシール単板
3A 基部
3B 板ブラシ部
3B1 第1、第2ブラシ部分
3B2 第1及び第2スリット
5 自由端部
6 背板部
10 保持部
50 一方の部品(ケーシング)
1 他方の部品(ロータ)
Claims (3)
- 間隙を有して相対移動する部品間の前記一方の部品に取付けられて前記他方の部品との間をシールする板ブラシシールであって、前記一方の部品に取り付けられる第1基部を有すると共に前記他方の部品側に細梁の第1ブラシ部分と第1スリットとが交互に配列された第1板ブラシ部を有する第1ブラシシール単板と、前記第1ブラシ部分と前記第1スリットとに互いに噛み合う第2スリットと第2ブラシ部分とを交互に配列された第2板ブラシ部を有する第2ブラシシール単板とを備え、前記第1ブラシシール単板と第2ブラシシール単板とを交互に積層して前記第1板ブラシ部と前記第2板ブラシ部とが互いのスリットを介して噛み合わせていることを特徴とする板ブラシシール。
- 前記複数に積層された前記第1板ブラシ部と前記第2板ブラシ部とが互いの前記スリットを介して噛み合わされて自由端部に向かって噛み合わせの深さが徐々に深くなる寸法に形成されていると共に、前記各ブラシシール単板が被密封流体の作用方向に対して略直角方向へ積層されていることを特徴とする請求項1に記載の板ブラシシール。
- 前記第1ブラシシール単板の前記基部と第2ブラシシール単板の前記基部が環状に積層されて接合していると共に前記各第1ブラシ部分又は/及び前記各第2ブラシ部分が自由端部で互いに接触していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の板ブラシシール。
Priority Applications (1)
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JP2002219908A JP2004060764A (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 板ブラシシール |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017503120A (ja) * | 2013-11-19 | 2017-01-26 | シーメンス アクティエンゲゼルシャフト | シャフトシール及びシャフトシールの製造方法 |
-
2002
- 2002-07-29 JP JP2002219908A patent/JP2004060764A/ja active Pending
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