JP2004059760A - インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録紙に印画濃度が十分に満たされる染料の濃度において、プリンタの一時停止および長期停止などにおいてインクジェットプリンタヘッドの目詰まりを防止でき、万一目詰まりが生じた場合でも良好な回復性(再吐出)を示す、保存安定性に優れたインクジェット記録用インクを提供する。
【解決手段】染料と水とを含有するインクジェット記録用インクに、式(1)
【化1】
(式中、Rはメチル基又はH(OCH2CH2)pO−基であり、lとmとnとpとの和は30〜60の数である。)
のトリメチロールメタン誘導体を含有させる。式(1)のトリメチロール誘導体の含有量は、1〜25重量%が好ましい。このインクジェット記録用インクは、サーマル方式又はピエゾ方式のインクジェットヘッドの吐出ノズルから記録紙に吐出させて画像を形成するインクジェット記録方法に好ましく適用できる。
【選択図】 なし
【解決手段】染料と水とを含有するインクジェット記録用インクに、式(1)
【化1】
(式中、Rはメチル基又はH(OCH2CH2)pO−基であり、lとmとnとpとの和は30〜60の数である。)
のトリメチロールメタン誘導体を含有させる。式(1)のトリメチロール誘導体の含有量は、1〜25重量%が好ましい。このインクジェット記録用インクは、サーマル方式又はピエゾ方式のインクジェットヘッドの吐出ノズルから記録紙に吐出させて画像を形成するインクジェット記録方法に好ましく適用できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、染料と水とを含有するインクジェット記録用インクに関し、特に、良好な保湿性を示すインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、染料と水とを含有するインクジェット記録用インクに対しては、(i)記録に必要な十分な印画濃度を与えること、(ii)プリンタヘッドのノズルで乾燥固化しにくく、ノズルに目詰まりを発生させにくいこと等が強く求められている。
【0003】
(i)の印画濃度に関する要請に対しては、インクジェット記録用インク中に溶解させる染料の濃度を高めるという手段が一般に取られている。これにより、ピコリットルオーダーという極めて少量のインクでも、必要な濃度の画像を形成させることが可能となる。
【0004】
また、(ii)のノズル目詰まりに関する要請に対しては、保湿性の高い多価アルコール系有機溶剤をインクジェット記録用インク中に含有させることによりインクの蒸発乾燥を防止するという手段がとられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクジェット記録に用いられるインクジェットプリンタ装置のインク吐出ノズル径が非常に微細なもの(数十μm)であるため、プリンタ装置の印画停止時等において、吐出ノズル先端でインク溶媒の蒸発が非常に速く、インク中の固形分である染料が析出してノズル目詰まりが生じるという問題があるが、(i)の印画濃度に関する要請に応えるために、インクジェット記録用インク中の染料濃度を高くした場合には、ノズル目詰まりがなおいっそう生じ易くなるという問題がある。
【0006】
一方、(ii)のノズル目詰まりに関する要請に応えるために、保湿性の高い多価アルコール系有機溶剤をインクジェット記録用インク中に含有させた場合、プリンタ装置を長期停止した時あるいは高温環境下で放置した時には、これらの多価アルコール系有機溶剤と言えども蒸発し、ノズル吐出口で染料の析出が避けられず、ノズル目詰まりの回復性が非常に劣ったものになるという問題がある。
【0007】
これに対して、グリセリンなどの保湿性が高い湿潤剤を、インクジェット記録用インク中に多量に併用することが試みられているが、多量の湿潤剤の併用は、インクジェット記録用インクの粘度上昇を招き、吐出性能を低下させるだけでなく、インクジェット記録における記録紙の単位面積あたりの湿潤剤の量が多くなるために、インクジェット記録用インクが記録紙へ浸透し難くなり、しかも乾燥し難くなるという問題がある。このため、界面活性剤などを添加してインクジェット記録用インクの表面張力を低下させ、浸透性および乾燥性を改善させることも行われているが、その添加効果を十分に発揮する量で用いると、記録紙上でもドットの不規則なにじみ、フェザリングと呼ばれる現象が多く発生するという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、従来の技術の問題を解決することであり、記録紙に印画濃度が十分に満たされる染料の濃度において、プリンタの一時停止および長期停止などにおいてインクジェットプリンタヘッドの目詰まりを防止でき、万一目詰まりが生じた場合でも良好な回復性(再吐出)を示す、保存安定性に優れたインクジェット記録用インクを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、インクジェット記録用インクに、吸湿性の高い常温で固体の特定のトリメチロールメタン誘導体を含有させることにより、インクジェット記録用インクの蒸発固化を抑制でき、また、万一吐出ノズル先端のインクジェット記録用インク中の揮発性の液体成分が蒸発してしまった場合でも、染料がそのトリメチロールメタン誘導体とともに残存するため、染料の強固な凝集析出が緩和され、しかも、残存物に高い吸湿性を有するトリメチロールメタン誘導体が含まれているために、ノズル目詰りの回復性が非常に改善されることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、染料と水とを含有するインクジェット記録用インクにおいて、式(1)
【0011】
【化3】
(式中、Rはメチル基又はH(OCH2CH2)pO−基であり、lとmとnとpとの和は30〜60の数である。)
のトリメチロールメタン誘導体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インクを提供する。
【0012】
また、本発明は、染料と水とを含有するインクジェット記録用インクを、インクジェットヘッドの吐出ノズルから記録紙に吐出させて画像を形成するインクジェット記録方法において、該インクジェット記録用インクとして、式(1)のトリメチロールメタン誘導体を含有するものを使用することを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明は、少なくとも染料と水とを含むインクジェット記録用インクであり、高い吸湿性を有する常温で固体の式(1)のトリメチロールメタン誘導体を含有することを特徴とする。このトリメチロールメタン誘導体を含有させることにより、インクジェット記録用インク中に染料を従来より比較的多量に配合したとしても、記録紙に印画濃度が十分に満たされる染料の濃度において、インクジェットプリンタの一時停止および長期停止などにおいてインクジェットプリンタヘッドの目詰まりを防止でき、万一目詰まりが生じた場合でも良好な回復性(再吐出)を示すものとなる。また、このトリメチロールメタン誘導体は、染料等に対し反応性がなく、インクジェット記録用インクの保存安定性に悪影響を与えないものである。
【0015】
式(1)のトリメチロールメタン誘導体において、Rはメチル基又はH(OCH2CH2)pO−基である。また、lとmとnとpとの和は30〜60の数である。
【0016】
本発明において、式(1)のトリメチロールメタン誘導体のインクジェット記録用インク中の含有量は、少なすぎるとインクジェット記録用インクの溶媒成分の蒸発防止効果が不十分であり、しかも、吐出ノズル先端でインクジェット記録用インク中の溶媒成分が蒸発した場合に染料の強固な凝集析出を十分に緩和することができず、逆に多すぎるとインクジェット記録用インクの蒸発防止効果が大きくなり過ぎて、逆に被記録材上でのインクの速乾性を妨げることになり、不規則な滲みの発生を瞬時に抑制できなくなるという被記録材上での問題が生じるので、好ましくは1重量%〜25重量%、より好ましくは3〜10重量%である。
【0017】
使用できる染料としては、従来のインクジェット記録用インクに用いられている直接染料、酸性染料、反応性染料などに代表される公知の水溶性染料が挙げられる。具体的には、イエロー系直接染料として、C.I.ダイレクトイエロー1、同8、同11、同12、同24、同26、同27、同28、同33、同39、同44、同50、同58、同85、同86、同87、同88、同89、同98、同100、同110、マゼンタ系の直接染料としてC.I.ダイレクトレッド1、同2、同4、同9、同11、同13、同17、同20、同23、同24、同28、同31、同33、同37、同39、同44、同46、同62、同63、同75、同79、同80、同81、同83、同84、同89、同95、同99、同113、同197、同201、同218、同220、同224、同225、同226、同227、同228、同229、同230、同321、シアン系の直接染料として、C.I.ダイレクトブルー1、同2、同6、同8、同15、同22、同25、同41、同71、同76、同77、同78、同80、同86、同90、同98、同106、同108、同120、同158、同160、同163、同165、同168、同192、同193、同194、同195、同196、同199、同200、同201、同202、同203、同207、同225、同226、同236、同237、同246、同248、同249、ブラック系の直接染料として、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同56、同62、同71、同74、同75、同77、同94、同105、同106、同107、同108、同112、同113、同117、同118、同132、同133、同146が好ましく例示される。
【0018】
また、イエロー系の酸性染料として、C.I.アシッドイエロー1、同3、同7、同11、同17、同19、同23、同25、同29、同36、同38、同40、同42、同44、同49、同59、同61、同70、同72、同75、同76、同78、同79、同98、同99、同110、同111、同112、同114、同116、同118、同119、同127、同128、同131、同135、同141、同142、同161、同162、同163、同164、同165、マゼンタ系の酸性染料として、C.I.アシッドレッド1、同6、同8、同9、同13、同14、同18、同26、同27、同32、同35、同37、同42、同51、同52、同57、同75、同77、同80、同82、同83、同85、同87、同88、同89、同92、同94、同97、同106、同111、同114、同115、同117、同118、同119、同129、同130、同131、同133、同134、同138、同143、同145、同154、同155、同158、同168、同180、同183、同184、同186、同194、同198、同199、同209、同211、同215、同216、同217、同219、同249、同252、同254、同256、同257、同262、同265、同266、同274、同276、同282、同283、同303、同317、同318、同320、同321、同322、シアン系の酸性染科として、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同27、同29、同40、同41、同43、同45、同54、同59、同60、同62、同72、同74、同78、同80、同82、同83、同90、同92、同93、同100、同102、同103、同104、同112、同113、同117、同120、同126、同127、同129、同130、同131、同138、同140、同142、同143、同151、同154、同158、同161、同166、同167、同168、同170、同171、同175、同182、同183、同184、同187、同192、同199、同203、同204、同205、同229、同234、同236、ブラック系の酸性染科として、C.I.アシッドブラック1、同2、同7、同24、同26、同29、同31、同44、同48、同50、同51、同52、同58、同60、同62、同63、同64、同67、同72、同76、同77、同94、同107、同108、同109、同110、同112、同115、同118、同119、同121、同122、同131、同132、同139、同140、同155、同156、同157、同158、同159、同191等を好ましく例示することができる。
【0019】
これらの染料の使用量については特に制限されるものではないが、一般的にはインクジェット記録用インク中に0.1〜15重量%の範囲が好適である。
【0020】
また、本発明のインクジェット記録用インクは溶媒として水を含有するが、更に水溶性有機溶剤を併用することができる。このような水溶性有機溶剤としては、脂肪族一価アルコールや、多価アルコールや多価アルコール誘導体等が挙げられる。ここで、脂肪族一価アルコールは、インクジェット記録用インクの表面張力を調整し、普通紙、専用紙等の被記録媒体への浸透性、ドット形成性、印刷された画像の乾燥性を向上させる効果を有する。一方、多価アルコール又はその誘導体は、蒸発し難く、インクジェット記録用インクの氷点を下げる効果を有するために、インクジェット記録用インクの保存安定性を高め、プリンタ装置のノズルの目詰まりを防止する等の効果を有している。
【0021】
脂肪族一価アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコールが挙げられる。中でも、エチルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールを好ましく使用できる。
【0022】
また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール等のアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、チオジグリコール等が挙げられる。
【0023】
また、多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールジメチルエーテル等の上述した多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エチレングリコールジアセテート等の上述した多価アルコールの低級カルボン酸エステル類等が挙げられる。
【0024】
本発明のインクジェット記録用インクには、染料や水、水溶性有機溶剤以外にも、必要に応じて界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、キレート剤などの公知の添加剤を配合することができる。
【0025】
本発明のインクジェット記録用インクは、染料、水、必要に応じ、水溶性有機溶剤等を常法により均一に混合することにより製造することができる。
【0026】
本発明のインクジェット記録用インクは、熱エネルギーを吐出エネルギーとする公知のサーマル方式インクジェットプリンタのインクジェットヘッドの吐出ノズルから、記録紙に吐出させて画像を形成するインクジェット記録方法に好ましく適用することができる。また、圧電素子を用いるピエゾ方式インクジェットプリンタを用いたインクジェット記録方法にも適用できる。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0028】
なお、実施例1〜6、13で使用した式(1)のトリメチロールメタン誘導体(TMP−60、日本乳化剤社)は、Rがメチルの化合物であり、実施例7〜12、14で使用した式(1)のトリメチロールメタン誘導体(PNT−60、日本乳化剤社)は、RがH(OCH2CH2)pO−基の化合物である。
【0029】
実施例1〜6
表1〜表6の各表に示された成分を、十分攪拌しながら混合し、得られた混合物を、ポアサイズ0.45μmのフロロポアフィルターにて加圧濾過し、実施例1〜6のインクジェット記録用インクを調製した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
実施例7〜12
実施例1〜6のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体(R=メチル基)に代えて、式(1)のトリメチロールメタン誘導体(R=H(OCH2CH2)pO−基)に代える以外は、実施例1と同様の操作にて、実施例7〜12のインクジェット記録用インクを調製した。
【0037】
実施例13
表7に示された成分を、十分攪拌しながら混合し、得られた混合物を、ポアサイズ0.45μmのフロロポアフィルターにて加圧濾過し、実施例13のインクジェット記録用インクを調製した。
【0038】
【表7】
【0039】
実施例14
実施例13のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体(R=メチル基)に代えて、式(1)のトリメチロールメタン誘導体(R=H(OCH2CH2)pO−基)に代える以外は、実施例13と同様の操作にて、実施例14のインクジェット記録用インクを調製した。
【0040】
比較例1
実施例1のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例1と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0041】
比較例2
実施例1のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をエチレングリコールで補填した以外は、実施例1と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0042】
比較例3
実施例2のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例2と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0043】
比較例4
実施例2のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をエチレングリコールで補填した以外は、実施例2と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0044】
比較例5
実施例2のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をジエチレングリコールで補填した以外は、実施例2と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0045】
比較例6
実施例2のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をイソプロピルアルコールで補填した以外は、実施例2と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0046】
比較例7
実施例3のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例3と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0047】
比較例8
実施例3のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をエチルアルコールで補填した以外は、実施例3と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0048】
比較例9
実施例4のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例4と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0049】
比較例10
実施例4のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をジエチレングリコールで補填した以外は、実施例4と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0050】
比較例11
実施例4のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を1,3−プロパンジオールで補填した以外は、実施例4と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0051】
比較例12
実施例5のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例5と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0052】
比較例13
実施例5のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を2−ピロリドンで補填した以外は、実施例5と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0053】
比較例14
実施例5のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をエチルアルコールで補填した以外は、実施例5と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0054】
比較例15
実施例6のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例6と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0055】
比較例16
実施例6のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をグリセリンで補填した以外は、実施例6と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0056】
比較例17
実施例6のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をエチルアルコールで補填した以外は、実施例6と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0057】
(評価)
実施例1〜14及び比較例1〜17のそれぞれのインクジェット記録用インクを、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用したインクジェットプリンタ(MPR−501、ソニー(株))に搭載し、普通紙に対して印字を行った。プリント一時停止後の再プリント時の目詰り及び長期停止後の再プリント時の目詰まり回復性を以下に説明するように試験・評価した。得られた結果を表8〜表10に示す。
【0058】
プリント一時停止後の再プリント時の目詰まり評価試験▲1▼(通常室内)
20±5℃、50±10%RHの環境下において10分間連続して英数文字を印字した後、プリントを停止し、インクジェットヘッドにキャップを装着しない状態で10分間放置した後、再び英数文字を印字し、得られた印字物中の文字のカスレ、欠け等の不良箇所の有無を目視にて観察し、以下の基準にてランク分けした。
ランク 判定基準
A: 一文字目から不良箇所がない場合
B: 一文字目の一部がカスレ又は欠ける場合
C: 一文字目が全く印字できない場合
【0059】
プリント一時停止後の再プリント時の目詰まり評価試験▲2▼(低湿度環境)
25℃、10±5%RHの環境下において10分間連続して英数文字を印字した後、プリントを停止し、インクジェットヘッドにキャップを装着しない状態で10分間放置した後、再び英数文字を印字し、得られた印字物中の文字のカスレ、欠け等の不良箇所の有無を目視にて観察し、上述の目詰まり評価試験▲1▼と同様にランク分けした。
【0060】
プリント長期停止後の再プリント時の目詰りの回復性評価試験▲3▼
60±5℃、50±10%RHの環境下において10分間連続して英数文字を印字した後、プリントを停止し、インクジェットヘッドにキャップを装着しない状態で7日間放置した後、ノズルの回復操作(条件 MPR−501のメンテナンス基本動作)を行い、何回の操作回数で文字のカスレ、欠け等のない正常な印字が得られるかを判定し、以下の基準にてランク分けした。
ランク 判定基準
A: 1乃至5回の回復操作で正常な印字が可能な場合
B: 6乃至10回の回復操作で正常な印字が可能な場合
C: 11回以上の回復操作で正常な印字が可能な場合
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
表8及び表10から分かるように、式(1)のトリメチロールメタン誘導体を含有する実施例1〜12のインクジェット記録用インクは、20±5℃、50±10%RHという通常の室内環境下及び25℃、10±5%RHという低湿度環境下において、溶媒の種類が異なっていても、プリント一時停止後の再プリント時の目詰まりは観察されなかった。しかも、プリント長期停止後の再プリント時の目詰りも5回以内の回復操作で解消しており、良好な回復性を示していた。
【0065】
一方、式(1)のトリメチロールメタン誘導体を含有しない比較例1〜14のインクジェット記録用インクは、20±5℃、50±10%RHという通常の室内環境下又は25℃、10±5%RHという低湿度環境下において、溶媒の種類によってプリント一時停止後の再プリント時の目詰まりが観察された。また、プリント長期停止後の再プリント時の目詰りの解消に、11回以上の回復操作が必要となり、回復性に問題があった。
【0066】
また、式(1)のトリメチロールメタン誘導体を含有しないが、グリセリンを含有する比較例15〜17のインクジェット記録用インクは、20±5℃、50±10%RHという通常の室内環境下でのプリント一時停止後の再プリント時の目詰まりは観察されず、しかも、プリント長期停止後の再プリント時の目詰りも5回以内の回復操作で解消しており、良好な回復性を示していた。しかし、25℃、10±5%RHという低湿度環境下において、プリント一時停止後の再プリント時の目詰まりが観察された。
【0067】
なお、表9の実施例13及び14の結果から、式(1)のトリメチロールメタン誘導体のインクジェット記録用インク中の含有量(0.5重量%)が少なすぎると、25℃、10±5%RHという低湿度環境下において、プリント一時停止後の再プリント時の目詰まりが生ずる傾向があることがわかる。従って、実施例6(1重量%)の結果、実施例3(25重量%)の結果を勘案すると、式(1)のトリメチロールメタン誘導体のインクジェット記録用インク中の好ましい含有量が1〜25重量%であることがわかる。
【0068】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用インクは、記録紙に印画濃度が十分に満たされる染料の濃度において、プリンタの一時停止および長期停止などにおいてインクジェットプリンタヘッドの目詰まりを防止でき、万一目詰まりが生じた場合でも良好な回復性(再吐出)を示す、保存安定性に優れたものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、染料と水とを含有するインクジェット記録用インクに関し、特に、良好な保湿性を示すインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、染料と水とを含有するインクジェット記録用インクに対しては、(i)記録に必要な十分な印画濃度を与えること、(ii)プリンタヘッドのノズルで乾燥固化しにくく、ノズルに目詰まりを発生させにくいこと等が強く求められている。
【0003】
(i)の印画濃度に関する要請に対しては、インクジェット記録用インク中に溶解させる染料の濃度を高めるという手段が一般に取られている。これにより、ピコリットルオーダーという極めて少量のインクでも、必要な濃度の画像を形成させることが可能となる。
【0004】
また、(ii)のノズル目詰まりに関する要請に対しては、保湿性の高い多価アルコール系有機溶剤をインクジェット記録用インク中に含有させることによりインクの蒸発乾燥を防止するという手段がとられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクジェット記録に用いられるインクジェットプリンタ装置のインク吐出ノズル径が非常に微細なもの(数十μm)であるため、プリンタ装置の印画停止時等において、吐出ノズル先端でインク溶媒の蒸発が非常に速く、インク中の固形分である染料が析出してノズル目詰まりが生じるという問題があるが、(i)の印画濃度に関する要請に応えるために、インクジェット記録用インク中の染料濃度を高くした場合には、ノズル目詰まりがなおいっそう生じ易くなるという問題がある。
【0006】
一方、(ii)のノズル目詰まりに関する要請に応えるために、保湿性の高い多価アルコール系有機溶剤をインクジェット記録用インク中に含有させた場合、プリンタ装置を長期停止した時あるいは高温環境下で放置した時には、これらの多価アルコール系有機溶剤と言えども蒸発し、ノズル吐出口で染料の析出が避けられず、ノズル目詰まりの回復性が非常に劣ったものになるという問題がある。
【0007】
これに対して、グリセリンなどの保湿性が高い湿潤剤を、インクジェット記録用インク中に多量に併用することが試みられているが、多量の湿潤剤の併用は、インクジェット記録用インクの粘度上昇を招き、吐出性能を低下させるだけでなく、インクジェット記録における記録紙の単位面積あたりの湿潤剤の量が多くなるために、インクジェット記録用インクが記録紙へ浸透し難くなり、しかも乾燥し難くなるという問題がある。このため、界面活性剤などを添加してインクジェット記録用インクの表面張力を低下させ、浸透性および乾燥性を改善させることも行われているが、その添加効果を十分に発揮する量で用いると、記録紙上でもドットの不規則なにじみ、フェザリングと呼ばれる現象が多く発生するという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、従来の技術の問題を解決することであり、記録紙に印画濃度が十分に満たされる染料の濃度において、プリンタの一時停止および長期停止などにおいてインクジェットプリンタヘッドの目詰まりを防止でき、万一目詰まりが生じた場合でも良好な回復性(再吐出)を示す、保存安定性に優れたインクジェット記録用インクを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、インクジェット記録用インクに、吸湿性の高い常温で固体の特定のトリメチロールメタン誘導体を含有させることにより、インクジェット記録用インクの蒸発固化を抑制でき、また、万一吐出ノズル先端のインクジェット記録用インク中の揮発性の液体成分が蒸発してしまった場合でも、染料がそのトリメチロールメタン誘導体とともに残存するため、染料の強固な凝集析出が緩和され、しかも、残存物に高い吸湿性を有するトリメチロールメタン誘導体が含まれているために、ノズル目詰りの回復性が非常に改善されることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、染料と水とを含有するインクジェット記録用インクにおいて、式(1)
【0011】
【化3】
(式中、Rはメチル基又はH(OCH2CH2)pO−基であり、lとmとnとpとの和は30〜60の数である。)
のトリメチロールメタン誘導体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インクを提供する。
【0012】
また、本発明は、染料と水とを含有するインクジェット記録用インクを、インクジェットヘッドの吐出ノズルから記録紙に吐出させて画像を形成するインクジェット記録方法において、該インクジェット記録用インクとして、式(1)のトリメチロールメタン誘導体を含有するものを使用することを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明は、少なくとも染料と水とを含むインクジェット記録用インクであり、高い吸湿性を有する常温で固体の式(1)のトリメチロールメタン誘導体を含有することを特徴とする。このトリメチロールメタン誘導体を含有させることにより、インクジェット記録用インク中に染料を従来より比較的多量に配合したとしても、記録紙に印画濃度が十分に満たされる染料の濃度において、インクジェットプリンタの一時停止および長期停止などにおいてインクジェットプリンタヘッドの目詰まりを防止でき、万一目詰まりが生じた場合でも良好な回復性(再吐出)を示すものとなる。また、このトリメチロールメタン誘導体は、染料等に対し反応性がなく、インクジェット記録用インクの保存安定性に悪影響を与えないものである。
【0015】
式(1)のトリメチロールメタン誘導体において、Rはメチル基又はH(OCH2CH2)pO−基である。また、lとmとnとpとの和は30〜60の数である。
【0016】
本発明において、式(1)のトリメチロールメタン誘導体のインクジェット記録用インク中の含有量は、少なすぎるとインクジェット記録用インクの溶媒成分の蒸発防止効果が不十分であり、しかも、吐出ノズル先端でインクジェット記録用インク中の溶媒成分が蒸発した場合に染料の強固な凝集析出を十分に緩和することができず、逆に多すぎるとインクジェット記録用インクの蒸発防止効果が大きくなり過ぎて、逆に被記録材上でのインクの速乾性を妨げることになり、不規則な滲みの発生を瞬時に抑制できなくなるという被記録材上での問題が生じるので、好ましくは1重量%〜25重量%、より好ましくは3〜10重量%である。
【0017】
使用できる染料としては、従来のインクジェット記録用インクに用いられている直接染料、酸性染料、反応性染料などに代表される公知の水溶性染料が挙げられる。具体的には、イエロー系直接染料として、C.I.ダイレクトイエロー1、同8、同11、同12、同24、同26、同27、同28、同33、同39、同44、同50、同58、同85、同86、同87、同88、同89、同98、同100、同110、マゼンタ系の直接染料としてC.I.ダイレクトレッド1、同2、同4、同9、同11、同13、同17、同20、同23、同24、同28、同31、同33、同37、同39、同44、同46、同62、同63、同75、同79、同80、同81、同83、同84、同89、同95、同99、同113、同197、同201、同218、同220、同224、同225、同226、同227、同228、同229、同230、同321、シアン系の直接染料として、C.I.ダイレクトブルー1、同2、同6、同8、同15、同22、同25、同41、同71、同76、同77、同78、同80、同86、同90、同98、同106、同108、同120、同158、同160、同163、同165、同168、同192、同193、同194、同195、同196、同199、同200、同201、同202、同203、同207、同225、同226、同236、同237、同246、同248、同249、ブラック系の直接染料として、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同56、同62、同71、同74、同75、同77、同94、同105、同106、同107、同108、同112、同113、同117、同118、同132、同133、同146が好ましく例示される。
【0018】
また、イエロー系の酸性染料として、C.I.アシッドイエロー1、同3、同7、同11、同17、同19、同23、同25、同29、同36、同38、同40、同42、同44、同49、同59、同61、同70、同72、同75、同76、同78、同79、同98、同99、同110、同111、同112、同114、同116、同118、同119、同127、同128、同131、同135、同141、同142、同161、同162、同163、同164、同165、マゼンタ系の酸性染料として、C.I.アシッドレッド1、同6、同8、同9、同13、同14、同18、同26、同27、同32、同35、同37、同42、同51、同52、同57、同75、同77、同80、同82、同83、同85、同87、同88、同89、同92、同94、同97、同106、同111、同114、同115、同117、同118、同119、同129、同130、同131、同133、同134、同138、同143、同145、同154、同155、同158、同168、同180、同183、同184、同186、同194、同198、同199、同209、同211、同215、同216、同217、同219、同249、同252、同254、同256、同257、同262、同265、同266、同274、同276、同282、同283、同303、同317、同318、同320、同321、同322、シアン系の酸性染科として、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同27、同29、同40、同41、同43、同45、同54、同59、同60、同62、同72、同74、同78、同80、同82、同83、同90、同92、同93、同100、同102、同103、同104、同112、同113、同117、同120、同126、同127、同129、同130、同131、同138、同140、同142、同143、同151、同154、同158、同161、同166、同167、同168、同170、同171、同175、同182、同183、同184、同187、同192、同199、同203、同204、同205、同229、同234、同236、ブラック系の酸性染科として、C.I.アシッドブラック1、同2、同7、同24、同26、同29、同31、同44、同48、同50、同51、同52、同58、同60、同62、同63、同64、同67、同72、同76、同77、同94、同107、同108、同109、同110、同112、同115、同118、同119、同121、同122、同131、同132、同139、同140、同155、同156、同157、同158、同159、同191等を好ましく例示することができる。
【0019】
これらの染料の使用量については特に制限されるものではないが、一般的にはインクジェット記録用インク中に0.1〜15重量%の範囲が好適である。
【0020】
また、本発明のインクジェット記録用インクは溶媒として水を含有するが、更に水溶性有機溶剤を併用することができる。このような水溶性有機溶剤としては、脂肪族一価アルコールや、多価アルコールや多価アルコール誘導体等が挙げられる。ここで、脂肪族一価アルコールは、インクジェット記録用インクの表面張力を調整し、普通紙、専用紙等の被記録媒体への浸透性、ドット形成性、印刷された画像の乾燥性を向上させる効果を有する。一方、多価アルコール又はその誘導体は、蒸発し難く、インクジェット記録用インクの氷点を下げる効果を有するために、インクジェット記録用インクの保存安定性を高め、プリンタ装置のノズルの目詰まりを防止する等の効果を有している。
【0021】
脂肪族一価アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコールが挙げられる。中でも、エチルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールを好ましく使用できる。
【0022】
また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール等のアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、チオジグリコール等が挙げられる。
【0023】
また、多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールジメチルエーテル等の上述した多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エチレングリコールジアセテート等の上述した多価アルコールの低級カルボン酸エステル類等が挙げられる。
【0024】
本発明のインクジェット記録用インクには、染料や水、水溶性有機溶剤以外にも、必要に応じて界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、キレート剤などの公知の添加剤を配合することができる。
【0025】
本発明のインクジェット記録用インクは、染料、水、必要に応じ、水溶性有機溶剤等を常法により均一に混合することにより製造することができる。
【0026】
本発明のインクジェット記録用インクは、熱エネルギーを吐出エネルギーとする公知のサーマル方式インクジェットプリンタのインクジェットヘッドの吐出ノズルから、記録紙に吐出させて画像を形成するインクジェット記録方法に好ましく適用することができる。また、圧電素子を用いるピエゾ方式インクジェットプリンタを用いたインクジェット記録方法にも適用できる。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0028】
なお、実施例1〜6、13で使用した式(1)のトリメチロールメタン誘導体(TMP−60、日本乳化剤社)は、Rがメチルの化合物であり、実施例7〜12、14で使用した式(1)のトリメチロールメタン誘導体(PNT−60、日本乳化剤社)は、RがH(OCH2CH2)pO−基の化合物である。
【0029】
実施例1〜6
表1〜表6の各表に示された成分を、十分攪拌しながら混合し、得られた混合物を、ポアサイズ0.45μmのフロロポアフィルターにて加圧濾過し、実施例1〜6のインクジェット記録用インクを調製した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
実施例7〜12
実施例1〜6のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体(R=メチル基)に代えて、式(1)のトリメチロールメタン誘導体(R=H(OCH2CH2)pO−基)に代える以外は、実施例1と同様の操作にて、実施例7〜12のインクジェット記録用インクを調製した。
【0037】
実施例13
表7に示された成分を、十分攪拌しながら混合し、得られた混合物を、ポアサイズ0.45μmのフロロポアフィルターにて加圧濾過し、実施例13のインクジェット記録用インクを調製した。
【0038】
【表7】
【0039】
実施例14
実施例13のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体(R=メチル基)に代えて、式(1)のトリメチロールメタン誘導体(R=H(OCH2CH2)pO−基)に代える以外は、実施例13と同様の操作にて、実施例14のインクジェット記録用インクを調製した。
【0040】
比較例1
実施例1のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例1と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0041】
比較例2
実施例1のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をエチレングリコールで補填した以外は、実施例1と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0042】
比較例3
実施例2のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例2と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0043】
比較例4
実施例2のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をエチレングリコールで補填した以外は、実施例2と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0044】
比較例5
実施例2のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をジエチレングリコールで補填した以外は、実施例2と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0045】
比較例6
実施例2のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をイソプロピルアルコールで補填した以外は、実施例2と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0046】
比較例7
実施例3のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例3と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0047】
比較例8
実施例3のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をエチルアルコールで補填した以外は、実施例3と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0048】
比較例9
実施例4のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例4と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0049】
比較例10
実施例4のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をジエチレングリコールで補填した以外は、実施例4と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0050】
比較例11
実施例4のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を1,3−プロパンジオールで補填した以外は、実施例4と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0051】
比較例12
実施例5のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例5と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0052】
比較例13
実施例5のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を2−ピロリドンで補填した以外は、実施例5と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0053】
比較例14
実施例5のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をエチルアルコールで補填した以外は、実施例5と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0054】
比較例15
実施例6のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分を水で補填した以外は、実施例6と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0055】
比較例16
実施例6のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をグリセリンで補填した以外は、実施例6と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0056】
比較例17
実施例6のインク組成から式(1)のトリメチロールメタン誘導体を除き、その除去分をエチルアルコールで補填した以外は、実施例6と同様の操作にて、インクジェット記録用インクを調製した。
【0057】
(評価)
実施例1〜14及び比較例1〜17のそれぞれのインクジェット記録用インクを、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用したインクジェットプリンタ(MPR−501、ソニー(株))に搭載し、普通紙に対して印字を行った。プリント一時停止後の再プリント時の目詰り及び長期停止後の再プリント時の目詰まり回復性を以下に説明するように試験・評価した。得られた結果を表8〜表10に示す。
【0058】
プリント一時停止後の再プリント時の目詰まり評価試験▲1▼(通常室内)
20±5℃、50±10%RHの環境下において10分間連続して英数文字を印字した後、プリントを停止し、インクジェットヘッドにキャップを装着しない状態で10分間放置した後、再び英数文字を印字し、得られた印字物中の文字のカスレ、欠け等の不良箇所の有無を目視にて観察し、以下の基準にてランク分けした。
ランク 判定基準
A: 一文字目から不良箇所がない場合
B: 一文字目の一部がカスレ又は欠ける場合
C: 一文字目が全く印字できない場合
【0059】
プリント一時停止後の再プリント時の目詰まり評価試験▲2▼(低湿度環境)
25℃、10±5%RHの環境下において10分間連続して英数文字を印字した後、プリントを停止し、インクジェットヘッドにキャップを装着しない状態で10分間放置した後、再び英数文字を印字し、得られた印字物中の文字のカスレ、欠け等の不良箇所の有無を目視にて観察し、上述の目詰まり評価試験▲1▼と同様にランク分けした。
【0060】
プリント長期停止後の再プリント時の目詰りの回復性評価試験▲3▼
60±5℃、50±10%RHの環境下において10分間連続して英数文字を印字した後、プリントを停止し、インクジェットヘッドにキャップを装着しない状態で7日間放置した後、ノズルの回復操作(条件 MPR−501のメンテナンス基本動作)を行い、何回の操作回数で文字のカスレ、欠け等のない正常な印字が得られるかを判定し、以下の基準にてランク分けした。
ランク 判定基準
A: 1乃至5回の回復操作で正常な印字が可能な場合
B: 6乃至10回の回復操作で正常な印字が可能な場合
C: 11回以上の回復操作で正常な印字が可能な場合
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
表8及び表10から分かるように、式(1)のトリメチロールメタン誘導体を含有する実施例1〜12のインクジェット記録用インクは、20±5℃、50±10%RHという通常の室内環境下及び25℃、10±5%RHという低湿度環境下において、溶媒の種類が異なっていても、プリント一時停止後の再プリント時の目詰まりは観察されなかった。しかも、プリント長期停止後の再プリント時の目詰りも5回以内の回復操作で解消しており、良好な回復性を示していた。
【0065】
一方、式(1)のトリメチロールメタン誘導体を含有しない比較例1〜14のインクジェット記録用インクは、20±5℃、50±10%RHという通常の室内環境下又は25℃、10±5%RHという低湿度環境下において、溶媒の種類によってプリント一時停止後の再プリント時の目詰まりが観察された。また、プリント長期停止後の再プリント時の目詰りの解消に、11回以上の回復操作が必要となり、回復性に問題があった。
【0066】
また、式(1)のトリメチロールメタン誘導体を含有しないが、グリセリンを含有する比較例15〜17のインクジェット記録用インクは、20±5℃、50±10%RHという通常の室内環境下でのプリント一時停止後の再プリント時の目詰まりは観察されず、しかも、プリント長期停止後の再プリント時の目詰りも5回以内の回復操作で解消しており、良好な回復性を示していた。しかし、25℃、10±5%RHという低湿度環境下において、プリント一時停止後の再プリント時の目詰まりが観察された。
【0067】
なお、表9の実施例13及び14の結果から、式(1)のトリメチロールメタン誘導体のインクジェット記録用インク中の含有量(0.5重量%)が少なすぎると、25℃、10±5%RHという低湿度環境下において、プリント一時停止後の再プリント時の目詰まりが生ずる傾向があることがわかる。従って、実施例6(1重量%)の結果、実施例3(25重量%)の結果を勘案すると、式(1)のトリメチロールメタン誘導体のインクジェット記録用インク中の好ましい含有量が1〜25重量%であることがわかる。
【0068】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用インクは、記録紙に印画濃度が十分に満たされる染料の濃度において、プリンタの一時停止および長期停止などにおいてインクジェットプリンタヘッドの目詰まりを防止でき、万一目詰まりが生じた場合でも良好な回復性(再吐出)を示す、保存安定性に優れたものである。
Claims (5)
- 式(1)の置換基Rがメチル基である請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- 式(1)の置換基RがH(OCH2CH2)pO−基である請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- 式(1)のトリメチロール誘導体の含有量が、1〜25重量%である請求項1記載のインクジェット記録用インク。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8936357B2 (en) | 2008-06-30 | 2015-01-20 | Eastman Kodak Company | Inkjet printer with inks containing polyoxygenated-polyols |
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