JP2004059724A - 塗料組成物 - Google Patents

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JP2004059724A
JP2004059724A JP2002219576A JP2002219576A JP2004059724A JP 2004059724 A JP2004059724 A JP 2004059724A JP 2002219576 A JP2002219576 A JP 2002219576A JP 2002219576 A JP2002219576 A JP 2002219576A JP 2004059724 A JP2004059724 A JP 2004059724A
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Takashi Mukai
向井 隆
Koji Tokunaga
徳永 幸次
Tetsuya Yamazaki
山崎 哲也
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Abstract

【課題】塗膜の耐食性、耐水性、耐薬品性、密着性等に優れ、かつ、乾燥性、機械的物性、耐候性にも優れ、下塗り塗料はもとより上塗り塗料としても兼用可能な弱溶剤系の塗料組成物を提供すること。
【解決手段】無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)とエポキシ樹脂(B)とを反応させて得られるエポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C)と硬化剤(D)及び脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)を含有してなり、前記エポキシ樹脂(B)が特定のジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物、又は、当該重縮合物とフェノール類及び/又はカルボン酸類との重付加物である塗料組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性、耐食性、密着性に優れる、新規にして有用なる塗料組成物に関する。さらに詳細には、脂肪族炭化水素を主成分とする有機溶剤との相溶性に優れる為、低臭気かつ取り扱いの安全性に優れるとともに、旧塗膜への再塗装性に優れる下塗り用としても上塗り用としても好適な塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、塗料分野、特に建築補修用上塗り塗料の分野において、低毒性で、かつ、補修塗装時に種々の旧塗膜に対する耐リフティング性に優れたミネラルスピリットに代表される脂肪族炭化水素を主成分とする溶剤を使用した、いわゆる弱溶剤系塗料が広く使用される様になってきている。
【0003】
このように「弱溶剤化」という流れは建築補修塗料分野においてひとつの大きな潮流であり、上記の上塗り塗料と同様に、下塗り塗料の分野においても、弱溶剤化が試みられている。例えば、特開平11−217422には、4−t−ブチルカテコールのジグリシジルエーテルからなるエポキシ樹脂を特定の硬化剤で架橋させることにより、耐食性、耐水性、耐薬品性、密着性等、下塗り用に求められる塗膜性能を具備した弱溶剤系塗料に適用可能なエポキシ樹脂が開示されている。
【0004】
ところで、上記のエポキシ樹脂を使用したエポキシ系塗料は、耐食性、耐水性、耐薬品性、密着性等の特性に格段に優れるものの、耐候性や乾燥性が不十分であることから、特に耐候性が重要な要求特性の一つである上塗り塗料には適用することができなかった。
【0005】
この問題は、上記のエポキシ系塗料に限るものではなく、従来のいずれの下塗り塗料においても共通するものである。すなわち、下塗り塗料には、とりわけ耐食性、耐水性、耐薬品性、密着性等の特性に優れることが要求されることから、従来より、主としてエポキシ樹脂を用いたエポキシ系塗料が使用されてきたが、当該下塗り塗料としてのエポキシ系塗料は特に耐候性が不十分であることから、耐候性が重要な要求特性の一つである上塗り塗料には適用することができなかった。
【0006】
したがって、耐食性等に優れた下塗り塗料と、耐候性等に優れた上塗り塗料の2種類以上の塗料を準備し、作業をしなければならない。同様に、補修塗装の際においても、まず、下塗り塗料を塗装し、さらに、上塗り塗料を塗装するという作業が行われているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、塗膜の耐食性、耐水性、耐薬品性、密着性等に優れ、かつ、乾燥性、機械的物性、耐候性にも優れ、さらには、低毒性で補修塗装時において各種旧塗膜に対するダメージが小さい弱溶剤系で、下塗り塗料はもとより上塗り塗料としても兼用可能な塗料組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、エポキシ樹脂の特長である耐食性、密着性、耐薬品性に着眼し、エポキシ樹脂を用いた弱溶剤系塗料組成物について鋭意研究を重ねた結果、上述の特開平11−217422に開示されているような特定のエポキシ樹脂と無水カルボン酸基を有するビニル系重合体とを反応させたものを特定の硬化剤で架橋させることにより、エポキシ樹脂の特長である耐食性、密着性、耐薬品性を保持したまま、ビニル系重合体(ビニル系樹脂)の特性である乾燥性、耐候性、機械的物性に優れた塗料組成物が得られることを見出した。
【0009】
さらに、当該塗料組成物は、従来のエポキシ系塗料が主に用いられてきた下塗り塗料分野はもとより、耐候性に劣るという理由から従来のエポキシ系塗料では適用することができなかった上塗り塗料としても兼用可能なレベルのものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)とエポキシ樹脂(B)とを反応させて得られるエポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C)、硬化剤(D)及び脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)を含有してなる塗料組成物であって、前記エポキシ樹脂(B)が炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物、又は、当該重縮合物とフェノール類及び/又はカルボン酸類との重付加物であることを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の塗料組成物は、脂肪族炭化水素溶剤を含む有機溶剤系の塗料組成物であって、無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)とエポキシ樹脂(B)とを反応させて得られるエポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C)および硬化剤(D)を含んでなるものであり、必要に応じて硬化促進剤(F)や前記エポキシ樹脂(B)以外のエポキシ樹脂(G)をも含有してもよい塗料組成物である。
以下、各構成成分について詳細に説明する。
【0012】
〔1〕無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)
本発明で使用する無水カルボン酸基を有するビニル系重合体としては特に制限はないが、例えば、無水カルボン酸基含有ビニル系単量体を少なくとも1種類以上用いて得られたビニル系共重合体を使用することができる。
【0013】
上記無水カルボン酸基を有するビニル系単量体を例示すれば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
【0014】
無水カルボン酸基含有ビニル系単量体は、単独で用いてもよいが塗膜の硬度、光沢、耐水性等を調整するために、その他の共重合可能な単量体として、以下の(イ)群より(ヲ)群に到る部類の、各種の化合物を併用することもできる。その際、[無水カルボン酸基含有ビニル系単量体]/[その他の共重合可能な単量体]の使用割合(重量比)が90/10〜1/99の範囲となるのが好ましい。
【0015】
すなわち、(イ)ビニルトルエン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、イソプロピルスチレンまたはp−tert−ブチルスチレンなどのスチレン系単量体;
【0016】
(ロ)エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソ(i)−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレート、「アクリエステル SL」[三菱レーヨン(株)製の、C12−/C13メタクリレート混合物の商品名]、ステアリル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの如き側鎖に官能基を含有しない(メタ)アクリレート類;
【0017】
(ハ)メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートもしくはメトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0018】
(ニ)ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジエチルフマレート、ジ(n−ブチル)フマレート、ジ(i−ブチル)フマレートもしくはジブチルイタコネートの如き、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸により代表される各種のジカルボン酸類と1価アルコール類とのジエステル類;
【0019】
(ホ)安息香酸ビニルもしくは「ベオバ」〔オランダ国シェル社製の、分岐状(分枝状)脂肪族モノカルボン酸類のビニルエステルの商品名〕の如き、各種のビニルエステル類;
【0020】
(ヘ)「ビスコート 3F、3FM、8F、8FMもしくは17FM」[大阪有機化学(株)製の、含フッ素系アクリルモノマー類の商品名]、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジ−パーフルオロシクロヘキシルフマレートもしくはN−i−プロピルパーフルオロオクタンスルホンアミドエチル(メタ)アクリレートの如き、各種の(パー)フルオロアルキル基含有ビニルエステル類、−ビニルエーテル類、−(メタ)アクリレート類または−不飽和ポリカルボン酸エステル類などの、種々の含フッ素重合性化合物類;
【0021】
(ト)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート類;ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチル−モノブチルフマレートなどの各種ジカルボン酸類の水酸基含有エステル類、さらには、プラクセルFA、プラクセルFM(以上、ダイセル化学工業(株)製のカプロラクトン付加モノマー類の商品名)などで代表される、いわゆるε−カプロラクトン系のモノマー類などの各種のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロアルキルエステル類;
【0022】
(チ)グリシジル(メタ)アクリレート、(β−メチル)グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテルなどの各種のグリシジル基含有ビニルモノマー類;
【0023】
(リ)(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類などの各種の不飽和カルボン酸類;さらには、前記不飽和ジカルボン酸類と、1価アルコールとのモノエステル類(ハーフ・エステル類)などの種々のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸類;ジアルキル〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕ホスフェート類または(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシッドホスフェート類、ジアルキル〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕ホスファイト類もしくは(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシッドホスファイト類の如き燐原子含有ビニル系単量体類;
【0024】
(ヌ)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有ビニル系単量体類;
【0025】
(ル)ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどのビニル基含有アルコキシシラン;γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのメタクリロキシ基含有アルコキシシランなどの加水分解性シリル基含有重合性不飽和単量体;さらにはKR−215、X−22−5002(以上、信越化学工業(株)製品)などの各種のシリコン系モノマー類などの加水分解性シリル基を有する単量体類;
【0026】
(ヲ)公知慣用の原料・手法により得られた(半)乾性油系のアルキド樹脂や、アクリル系樹脂と反応するような形に変性されたポリエステル樹脂類などを使用することができる。
【0027】
本発明で使用する無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)を調製するには、上述したような単量体成分を用いて、公知慣用の種々の共重合反応法あるいはグラフト化反応法(グラフト共重合反応法)を駆使して遂行することができる。
【0028】
その際には、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルパーオキシド(BPO)、tert−ブチルパーベンゾエート(TBPB)、tert−ブチルハイドロパーオキシド(TBHPO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(DTBPO)、クメンハイドロパーオキシド(CHP)またはo,o−tert−o−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)モノパーオキシカーボネートの如き、各種のラジカル発生剤類(ラジカル発生重合触媒類ないしはラジカル重合開始剤類)を単独使用し、あるいは2種以上を併用することができる。
【0029】
〔2〕エポキシ樹脂(B)
次ぎに、本発明で使用するエポキシ樹脂(B)について説明する。
当該エポキシ樹脂(B)として使用することができるものの一つである、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物は、その構造が特に限定されるものではないが、例えばフェノール性水酸基を芳香環上に2つ有し、かつ、該芳香環上に炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を置換基として有する化合物とエピハロヒドリンとを反応せしめて得られる構造のものが挙げられる。
【0030】
また、芳香環上に存在する脂肪族炭化水素基は、上記の通り炭素原子数4〜18のものであるが、なかでも耐衝撃性、耐食性、反応性及び耐候性が良好である点から炭素原子数4〜9であることが特に好ましい。
【0031】
ここで用いる炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類としては、具体的には、ブチルジヒドロキシベンゼン、ジブチルジヒドロキシベンゼン、ブチルジナフトール、ジブチルジナフトール、オクチルジヒドロキシベンゼン、ジオクチルジヒドロキシベンゼン、オクチルジナフトール、ジオクチルジナフトール、ノニルジヒドロキシベンゼン、ジノニルジヒドロキシベンゼン、ノニルジナフトール、ジノニルジナフトール、ドデシルジヒドロキシベンゼン、ジドデシルジヒドロキシベンゼン、ドデシルジナフトール、ジドデシルジナフトール、オクタデシルジヒドロキシベンゼン、ジオクタデシルジヒドロキシベンゼン、オクタデシルジナフトール、ジオクタデシルジナフトール等のアルキルジヒドロキシベンゼンが挙げられる。
【0032】
これらのジヒドロキシベンゼン類は1種単独でも使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。また、脂肪族炭化水素置換基の位置は任意で良い。さらに、脂肪族炭化水素は直鎖、分岐は任意で特に限定されるものではない。これらの中でも、脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)との相溶性に優れる点からブチルジヒドロキシベンゼン、ジブチルジヒドロキシベンゼンが好ましい。
【0033】
このブチルジヒドロキシベンゼン及びジブチルジヒドロキシベンゼンを更に詳述すれば、先ず、ブチルジヒドロキシベンゼンとしては、2−t−ブチルハイドロキノン、2−t−ブチルレゾルシン、4−t−ブチルレゾルシン、5−t−ブチルレゾルシン、3−t−ブチルカテコール、4−t−ブチルカテコールが挙げられ、ジブチルジヒドロキシベンゼンとしては、3,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,4−ジ−t−ブチルレゾルシン、2,5−ジ−t−ブチルレゾルシン、4,5−ジ−t−ブチルレゾルシン、4,6−ジ−t−ブチルレゾルシン、3,4−ジ−t−ブチルレゾルシン、4,5−ジ−t−ブチルレゾルシンが挙げられる。これらの中でも、ブチルジヒドロキシベンゼンとしてカテコール構造を有するものが好ましく、特に4−t−ブチルカテコールが好ましい。
【0034】
次いで、上述のジヒドロキシベンゼン類と、エピハロヒドリンと反応させてグリシジル化し目的とする、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物が得られる。
【0035】
この場合の反応条件は、特に制限されるものではないが、例えば、前記ジヒドロキシベンゼンの水酸基の1当量に対し、エピハロヒドリンを0.3〜10当量添加し、塩基の存在下に、40〜100℃で常圧または、減圧下で、場合によっては反応溶媒として、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を用い反応を行うことが好ましい。
【0036】
上記のグリシジル化の際に用いる塩基は特に限定されるものではなく、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられるが、なかでも水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが好ましい。また、これらの塩基は水溶液、固形のいずれもよい。
【0037】
ここで使用することができるエピハロヒドリンとしては特に制限はないが、好ましくはエピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン等が挙げられるが、なかでも反応性の点からエピクロルヒドリンが好ましい。
【0038】
この様にして得られる、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物は、さらに分子量の調整のためにフェノール類、カルボン酸類と重付加反応させてもよい。
【0039】
この際、前記重縮合物と重付加反応させるフェノール類、カルボン酸類は、それぞれ単独で使用して重付加反応させてもよいし、また、フェノール類とカルボン酸類とを併用してもよい。
【0040】
即ち、該重付加反応によって得られる樹脂としては、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物と、フェノール類との重付加反応物、該重縮合物とカルボン酸類との重付加反応物、該重縮合物とフェノール類とカルボン酸類との重付加反応物が挙げられる。
【0041】
ここで使用し得るフェノール類としては、前記したジヒドロキシベンゼン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等のノボラック型樹脂類、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂類等の多価フェノールが挙げられる。
【0042】
また、本発明においては、この多価フェノールに1価フェノールを併用してエポキシ当量を調整してもよく、1価フェノールとしては、フェノール、o−クレゾール等のクレゾール類、キシレノール類、p−ターシャリブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール類が挙げられる。なかでも、原料ジヒドロキシベンゼン類として、4−t−ブチルカテコールを用いた重縮合物の場合には、更に反応させるフェノール類として、4−t−ブチルカテコールが好ましい。
【0043】
ここで使用できるカルボン酸類は、特に構造を特定されるものではなく、例えば、トール油脂肪酸、ネオデカン酸、ひまし油脂肪酸等のモノカルボン酸を使用してもよいが、本発明においては特に分子量調整の点から二価以上の多価カルボン酸が好ましい。
【0044】
この様な多価カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸の他、乾性油、半乾性油から得られる精製植物油脂肪酸等の高級不飽和脂肪酸を二量化した、所謂ダイマー酸等が挙げられる。不飽和脂肪酸としては主としてC18の不飽和脂肪酸、例えばリノール酸、リノレイン酸、オレイン酸等が挙げられる。ダイマー酸は上記不飽和脂肪酸の二量体を主体とするが、場合により三量体等の他のオリゴマーや、モノマー脂肪酸が含有されていることもある。
【0045】
この重付加反応は、通常、塩基性触媒の存在下に行われるが、具体的には、第四級オニウム塩、ホスフィン類、アルカリ金属水酸化物、三級アミン類等が挙げられる。
【0046】
炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物とフェノール類及び/又はカルボン酸類との反応比率は特に制限されず、目的とするエポキシ当量に合わせて適宜選択できるが、特に、塗膜性能や(E)成分への溶解性の点から[当該重縮合物中のエポキシ基]/[フェノール類中の水酸基、カルボン酸類中のカルボキシル基、又は、該水酸基とカルボキシル基との合計]なる割合(重量割合)が100/1〜100/85となる範囲が好ましい。
【0047】
また、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物とフェノール類及び/又はカルボン酸類との重付加物であるエポキシ樹脂(B)のエポキシ当量は特に制限されるものではないが、塗料用途における塗膜の耐衝撃性、耐食性等の点から、エポキシ当量140〜5000g/eqであることが好ましい。
【0048】
この様にして得られるエポキシ樹脂(B)は、特に分子構造が特定されるものではないが、なかでも、下記構造式[I]
【0049】
【化3】
Figure 2004059724
【0050】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、nは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)で表されるもの、及び、下記構造式[II]
【0051】
【化4】
Figure 2004059724
【0052】
(式中、R3、R4はそれぞれ独立に炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、−O−X−O−は2価フェノール残基、又は2価カルボン酸残基、mは0〜50の整数、lは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)で表されるものが、本発明の効果が顕著なものとなり好ましい。
【0053】
〔3〕エポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C)
本発明で使用するエポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C)は、すでに記述した無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)にエポキシ樹脂(B)を反応させて得られるものでる。その際、[無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)]/[エポキシ樹脂(B)]の使用割合(重量比)は、95/5〜10/90の範囲となるのが好ましい。
【0054】
また、その際の反応方法としては、脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)中で無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)とエポキシ樹脂(B)を共存させて加熱することによって、無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)に含まれる無水カルボン酸基にエポキシ樹脂(B)に含まれる水酸基が容易に付加して、目的のエポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C)を得ることができる。
【0055】
また、その他の反応方法として、脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)中でエポキシ樹脂(B)と無水カルボン酸基を有するビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物を共存させて加熱して、エポキシ樹脂(B)に含まれるエポキシ基への無水カルボン酸基を有するビニル系単量体の付加と、ビニル系単量体の共重合を同時に進行せしめることによっても、目的とするエポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C)を得ることができる。
【0056】
さらに、他のビニル系単量体のうち、無水カルボン酸基を有する単量体と水酸基を有する単量体のような、無水カルボン酸基と水酸基とが反応してゲル化を引き起こすような組み合わせの場合は、予め、エポキシ樹脂(B)と無水カルボン酸基を有するビニル系単量体を付加せしめ、得られたビニル基を有するエポキシ樹脂と他のビニル系単量体混合物とを共重合させてエポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C’)を得ることもできる。
【0057】
〔4〕硬化剤(D)
本発明で使用する硬化剤(D)は、従来からエポキシ樹脂用硬化剤として通常使用されているものが特に制限なく利用出来るが、例えば、ポリアミド樹脂類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するフェノールノボラック樹脂、ポリアミン類、ポリカルボン酸類、ポリカルボン酸無水物類、イミダゾール類、ジシアンジアミド類、ケチミン類等が挙げられる。
【0058】
これらのなかでも脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)との相溶性の点から、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類及びフェノールノボラック樹脂が好ましく、また、相溶性、耐衝撃性、反応性、密着性、耐食性、耐湿性等の塗膜性能に著しく優れる点からポリアミド樹脂が好ましい。
【0059】
このポリアミド樹脂としては特に制限されるものではないが、脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)との相溶性の点から、脂肪族系多官能性アミンと脂肪族カルボン酸とから形成されるものが好ましく、脂肪族系多官能性アミンとして、ペンタエチレンヘキサミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。また、脂肪族カルボン酸としては、トール油脂肪酸などの、リノレン酸、リノール酸等からなるダイマー酸等が挙げられる。
【0060】
〔5〕脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)
本発明の塗料組成物で使用する有機溶剤には、旧塗膜をアタックしにくい溶剤で、かつ、刷毛やローラーでの塗装作業性が良好な脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)を用いるのが好ましい。すなわち、一般的には、LAWS(シェル社)、Aソルベント(日本石油)、ナフサ No.6(エクソン社)やペガゾールAN−45(モービル石油社)等のいわゆるミネラルスピリットやそれと「ソルベッソ 100」[エクソン化学(株)製品]との混合溶剤が最も好ましい溶剤であるが、
【0061】
本発明の特徴を損なわない範囲で、例えば、トルエン、キシレン、「ソルベッソ100」「ソルベッソ 150」[エクソン化学(株)製品]等のような芳香族系炭化水素溶剤類;
【0062】
「マルカゾール RもしくはE」、「スワゾール310」[共に、丸善石油(株)製品];「LAWS」、「HAWS」、「シェルゾール 70もしくは71」(共に、オランダ国シェル社製品);「ダイアナ・ソルベント No.0もしくはNo.1」[共に、出光興産(株)製品];「IPソルベント 1016、1020もしくは1620」(同上社製品);「シェルゾール D−40」(オランダ国シェル社製品);「Aソルベント」、「Kソルベント」、「AFソルベント」[共に、日本石油(株)製品];「エクソンナフサ No.3、No.5もしくはNo.6」、「エクソール D−30、D−40、D−60もしくはD−70」、「アイソパー C、E、GもしくはH」[共に、エクソン化学(株)製品];n−ヘキサン、n−ヘプタンなどのような、脂肪族炭化水素系溶剤、および/または、芳香族−脂肪族混合溶剤類;
【0063】
酢酸エチル、酢酸ブチル等のような酢酸エステル系溶剤類;
【0064】
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のようなケトン系溶剤;
【0065】
プロピレングリコールエーテル系溶剤類、プロピレングリコールエーテルエステル系溶剤類またはエトキシエチルプロピオネート等が併用して使用できる。
【0066】
〔6〕硬化促進剤(F)
また、本発明の塗料組成物には、必要に応じて硬化促進剤(F)を併用してもよく、具体的には、2,4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、DBU等の第三級アミン類、2メチル4エチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルフォスフィン等のフォスフィン類が挙げられる。
【0067】
〔7〕他のエポキシ樹脂(G)
本発明のエポキシ樹脂成分としては、上述した(B)成分のみならず、更にその他のエポキシ樹脂(G)を配合してもよい。この際、使用し得る他のエポキシ樹脂(G)としては、特に制限されるものではないが、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の他、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂、セカンダリーブチルフェノールグリシジルエーテル等のアルキルフェノール型エポキシ樹脂、ウンデカン酸グリシジルエステル等の高級脂肪酸エステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0068】
とりわけ、脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂、高級脂肪酸エステル型エポキシ樹脂等が低粘度で作業性が飛躍的に向上する点から好ましい。
【0069】
〔8〕塗料組成物の調製、その他の成分
本発明の塗料組成物は、上述した無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)とエポキシ樹脂(B)とを反応させて得られるエポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C)、脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)必要に応じて硬化促進剤(F)やエポキシ樹脂(G)を公知の手法で混合した後、硬化剤(D)を配合して調製することができるものである。
【0070】
さらに、本発明の塗料組成物は、酸化チタンを始めとする諸顔料類を混合し練肉せしめたり、分散顔料類や加工顔料類などを混合せしめたりした、いわゆるエナメル塗料としても使用することもできるし、またアルミ粉を分散したメタリック塗料として、あるいはこのような顔料類を使用しない、いわゆるクリヤー塗料としても使用することもできる。
【0071】
塗料化の際には、例えば、「Disperbyk−161、BYK−P104」[いずれも、ドイツ国ビックケミー社製品]等の顔料分散剤類;例えば、「BYK−302」[ドイツ国ビックケミー社製品]等のレベリング剤類;例えば、「BYK−065」[ドイツ国ビックケミー社製品]、「ディスパロン OX−70」[楠本化成(株)社製品]等の消泡剤類;例えば、「ディスパロン 6820−20M」[楠本化成(株)社製品]等のタレ防止剤;例えば、「チヌビンP、328」[いずれも、チバ・スペシャリティケミカルズ社製品]等の紫外線吸収剤類;例えば、「チヌビン 770、765」[いずれも、チバ・スペシャリティケミカルズ社製品]等の光安定剤類;防黴剤等のような、通常、塗料業界において、公知慣用のものとなっているような、種々の塗料用添加剤類を、慣用量使用することができる。
【0072】
さらに、本発明の塗料組成物に相溶して使用されている有機溶剤類に可溶なるものであれば、性能を改良するという目的で、可塑剤類をはじめ、その他の樹脂類、たとえば、アクリル系共重合体類、繊維素系化合物類、アクリル化アルキド樹脂類、アルキド樹脂類、シリコン樹脂類、フッ素樹脂類またはエポキシ樹脂類などを、適宜、併用することもできるが、その際にも、本発明の目的を逸脱せず、本発明の効果を損ねないような範囲で使用することができる。
【0073】
そうして、本発明の塗料組成物は、あらゆる旧塗膜に対して適用することが可能で、とりわけ建築内外装用の補修用として最適な性能を有するものであるが、主として、次に掲げられるような被塗物類(基材類)にも塗装できる。
【0074】
すなわち、上記した基材類を例示すれば、アルミニウム、ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタン板またはブリキ板の如き、各種の金属素材で作成されたアルミサッシ、門扉等金属製品類;あるいは瓦類;および、建築外壁、無機質建材類など各種の建築内外装用資材類;などである。
【0075】
その際の塗装にあたっては、スプレー、刷毛またはローラーなどの、いわゆる公知慣用の種々の手段を利用し適用することが出来る。
【0076】
【実施例】
次に、本発明を参考例、実施例および比較例により具体的に説明する。
以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。
【0077】
参考例1〔4−ターシャリブチルカテコールとエピクロルヒドリンとの重縮合物の合成〕
温度計、適下ロート、冷却管、撹拌機、邪魔板を備えた、下部に分液コック付きの2リットルのセパラブルフラスコに、4−ターシャリブチルカテコール200g、エピクロルヒドリン560g、イソプロピルアルコール150gを仕込み、撹拌、溶解させ、40℃に加熱した。その後適下ロートより、20%水酸化ナトリウム水溶液の 530gを3時間かけて適下した。適下終了後30分間撹拌を続け、反応を完結させた。その後撹拌を停止し静置し、下層の食塩水を分液し除いた。
【0078】
次に、過剰のエピクロルヒドリン、イソプロピルアルコール、水を蒸留回収した。得られた粗樹脂をトルエン335gで溶解させ、5%水酸化ナトリウム水溶液を50g加え、80℃、3時間撹拌した。その後水洗により生成した塩、及びアルカリを油水分離させて、除去し、脱水、濾過を経てトルエンを蒸留回収させてエポキシ樹脂(a)を得た。このエポキシ樹脂(a)のエポキシ当量は226g/eqであった。
【0079】
参考例2[4−ターシャリブチルカテコールとエピクロルヒドリンとの重縮合物とフェノール類との重付加物の合成]
温度計、冷却管、撹拌器、邪魔板を備えた、2リットルのセパラブルフラスコに、合成例1で得られたエポキシ樹脂(a)300gと、4−ターシャリブチルカテコール5gを仕込み、撹拌、溶解させ、80℃に加熱した。そこにテトラメチルアンモニウムクロライド50%水溶液を全樹脂量に対し100ppm添加し、140℃で4時間加熱してエポキシ樹脂(b)を得た。このエポキシ樹脂(b)のエポキシ当量は370g/eqの樹脂であった。
【0080】
参考例3[無水カルボン酸基を有するビニル系重合体の合成]
撹拌装置、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、「LAWS」(シェル社製ミネラルスピリット)の400部および「ソルベッソ100」(エクソン化学社製芳香族系溶剤)の400部を仕込み、110℃に昇温した。この温度になったところで、スチレン(以下Stと略記する)の100部、i−ブチルメタクリレート(以下i−BMAと略記する)の650部、2−エチルヘキシルアクリレート(以下2−EHAと略記する)の150部、無水マレイン酸の100部、および、重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)(以下パーブチルOと略記する)の5部、tert−ブチルパーオキシベンゾエート(以下パーブチルZと略記する)の5部、と「LAWS」の200部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に4時間保持して無水カルボン酸基を有するビニル系重合体溶液(c)を得た。得られた(c)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ;溶液酸価が28.6;ガードナー色数が1以下である溶液であった。
【0081】
参考例4[エポキシ樹脂変性ビニル系重合体の合成I]
攪拌装置、温度計、冷却管を備えたセパラブルフラスコに、参考例1で得られたエポキシ樹脂(a)の500部、参考例3で得られた無水カルボン酸基を有するビニル系重合体溶液(c)の1000部および「LAWS」の40部を仕込み、110℃に昇温した。同温度に4時間保持してエポキシ樹脂変性ビニル系重合体溶液(d)を得た。得られた(d)は不揮発分が65.0%;25℃でのガードナー粘度がZ2;溶液酸価が18.6;ガードナー色数が1−2である溶液であった。
【0082】
参考例5[エポキシ樹脂変性ビニル系重合体の合成II]
参考例3で用いた反応装置と同様のフラスコに、「LAWS」の340部、「ソルベッソ100」の540部、参考例2で得られたエポキシ樹脂(b)の1000部を仕込み、110℃に昇温した。この温度になったところで、Stの100部、i−BMAの650部、2−EHAの150部、無水マレイン酸の100部、および、重合開始剤としてパーブチルOの5部、パーブチルZの5部、と「LAWS」の200部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に4時間保持してエポキシ樹脂変性ビニル系重合体溶液(e)を得た。得られた(e)は、不揮発分が65.0%;25℃でのガードナー粘度がZ3;溶液酸価が18.0;ガードナー色数が2である溶液であった。
【0083】
参考例6[比較用ビニル系重合体の合成]
参考例2で用いた反応装置と同様のフラスコに、「LAWS」の800部を仕込み、110℃に昇温した。この温度になったところで、Stの100部、i−BMAの750部、2−EHAの150部、および、重合開始剤としてパーブチルOの5部、パーブチルZの5部、と「LAWS」の200部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に4時間保持して、ビニル系重合体溶液(f)を得た。得られた(f)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ1;溶液酸価が0.1;ガードナー色数が1以下である溶液であった。
【0084】
参考例7[比較用エポキシ樹脂変性ビニル系重合体の合成]
攪拌装置、温度計、冷却管を備えたセパラブルフラスコに、参考例1で得られたエポキシ樹脂(a)の500部、参考例6で得られたビニル系重合体溶液(f)の1000部および「LAWS」の40部を仕込み、120℃に昇温した。同温度に4時間保持してビニル系重合体溶液(g)を得た。得られた(g)は不揮発分が65.0%;25℃でのガードナー粘度がZ;溶液酸価が0.1;ガードナー色数が1以下である溶液であった。
【0085】
実施例1、2 比較例1〜3
参考例1〜7で得られたエポキシ樹脂(a)及び(b)、エポキシ樹脂変性ビニル系重合体溶液(d)、(e)及び(g)に、硬化剤として「ラッカマイド N−153−IM65」(大日本インキ化学工業(株)製、ポリアミド樹脂(活性水素当量=470))を当量配合し、不揮発分を「LAWS」にて65%に調整して、塗料ワニスを得た。
【0086】
次いで、それぞれの塗料ワニスに、酸化チタン、タルク及びタレ止め剤を表1及び表2に示す組成で配合し、ガラスビーズを混合してサンドミルで2時間練肉し、得られた塗料を「LAWS」で希釈して、25℃のストーマー粘度が95KUになるように調整した。
【0087】
これらの塗料の乾燥性、硬化性、および塗膜の耐食性(塩水噴霧試験)、耐薬品性、(10%NaOH、10%HCl浸漬試験)、耐衝撃性(デュポン式衝撃試験)、耐候性(光沢保持率)の試験をし、その結果を表1下欄及び表2下欄に示した。
【0088】
なお、各評価試験は以下の方法にて従って行った。
[乾燥性および硬化性]
調整した塗料を、ガラス板にドクターブレードにて膜厚40μmになるように塗布し、25℃にてJIS K5400に準拠して指触乾燥、半硬化、硬化時間を測定。
【0089】
[耐食性および耐薬品性]
調整した塗料を、冷間熱延鋼板:JIS G3141(SPCC−SB)、0.8*70*150mmのサンドペーパー#240表面処理板にバーコーターにて膜厚40μmになるように塗布し、25℃、7日間乾燥させ試験片を作製。次いで、JIS K5400に準拠して塩水噴霧試験(300時間)した。また、前記試験片に10%NaOH、10%HClの薬液にそれぞれ25℃、7日間浸漬した。
【0090】
○:異常なし、錆なし。
△:フクレ発生、錆なし。
×:著しいフクレ、錆発生。
【0091】
[耐衝撃性]
JIS K5400に準拠してデュポン式衝撃試験を実施した。
◎:50cm異常なし。
○:45cmまで異常なし。
△:40cmまで異常なし。
×:35cmまで異常なし。
××:30cm以下。
【0092】
[耐候性]
屋外曝露6ヶ月後および12ヶ月後の実施例および比較例の光沢保持率について測定した。
【0093】
【表1】
Figure 2004059724
【0094】
【表2】
Figure 2004059724
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、エポキシ樹脂の特長である耐食性、耐薬品性に優れるという利点を有しながら、塗膜の乾燥性や耐候性が著しく優れる新規な塗料組成物を得ることが可能で、従来のエポキシ系塗料が主に用いられてきた下塗り塗料分野はもとより、耐候性に劣るという理由から従来のエポキシ系塗料が使用されてこなかった上塗り用としても兼用可能なレベルの塗料を提供することができる。

Claims (9)

  1. 無水カルボン酸基を有するビニル系重合体(A)とエポキシ樹脂(B)とを反応させて得られるエポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C)と硬化剤(D)及び脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)を含有してなる塗料組成物であって、前記エポキシ樹脂(B)が炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物、又は、当該重縮合物とフェノール類及び/又はカルボン酸類との重付加物であることを特徴とする塗料組成物。
  2. エポキシ樹脂(B)に無水カルボン酸基を有するビニル系単量体を付加して得られたビニル基を有するエポキシ樹脂と、他のビニル系単量体混合物とを共重合させて得られるエポキシ樹脂変性ビニル系重合体(C’)と、硬化剤(D)及び脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(E)を含有してなる塗料組成物であって、前記エポキシ樹脂(B)が炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物、又は、当該重縮合物とフェノール類及び/又はカルボン酸類との重付加物であることを特徴とする塗料組成物。
  3. エポキシ樹脂(B)が、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物を、更にジヒドロキシベンゼン類及び/又はカルボン酸類と重付加反応させたものである請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. 前記ジヒドロキシベンゼン類が、4−ターシャリブチルカテコールである請求項1〜3の何れか一つに記載の塗料組成物。
  5. エポキシ樹脂(B)が下記構造式[I]
    Figure 2004059724
    (式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、nは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)で表されるものである、請求項1に記載の塗料組成物。
  6. エポキシ樹脂(B)が下記構造式[II]
    Figure 2004059724
    (式中、R3、R4はそれぞれ独立に炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、−O−X−O−は2価フェノール残基、又は2価カルボン酸残基、mは0〜50の整数、lは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)で表されるものである請求項1に記載の塗料組成物。
  7. エポキシ樹脂(B)が、エポキシ当量140〜5,000g/eqのものである請求項1〜6の何れか一つに記載の塗料組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか一つに記載の塗料組成物を用いて得られる塗料。
  9. 請求項8に記載の塗料が塗布された塗装物。
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CN101851396B (zh) * 2009-06-12 2012-05-23 北京金汇利应用化工制品有限公司 一种水性环氧酯树脂组合物及其制备方法以及用其制备的水性涂料
JPWO2018180451A1 (ja) * 2017-03-29 2019-11-21 Dic株式会社 エポキシ樹脂、製造方法、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

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