JP2004058962A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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steering
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Kazuo Hara
原 一男
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】短時間の外乱やキックバック等による操舵反力トルクの変動を抑制防止すると共に、操舵角が大きいときのアシストトルクを適正に制御する。
【解決手段】操舵角θが小さいほど、より小さな操舵反力トルクTに対して大きな目標アシストトルクcTA が設定することで、カント走行中のような小操舵角或いは或る程度操舵しているときでも、短時間の外乱やキックバックによる操舵反力トルクTの増加に対して速やかに目標アシストトルクcTA を増加させる。操舵反力トルクTが大きいとき並びに操舵角θが小さいほど、操舵反力トルクTの増加に対する目標アシストトルクcTA の増加変化率を大きく設定することにより、操舵角θが或る程度大きいときの目標アシストトルクcTA を適正に維持すると共に、操舵反力トルクTが小さい領域での微小な変動に対して目標アシストトルクcTA が大きく変化してしまうという違和感を防止する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、操舵に要する力を操舵補助モータの回転出力によりアシスト(操舵補助)する電動パワーステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
操舵に要するアシストトルクを発生する電動パワーステアリング装置としては、例えば特開平7−228263号公報に記載されるものや、特開2000−159135号公報に記載されるものがある。このうち、特開平7−228263号公報に記載される電動パワーステアリング装置は、単位時間当たりの操舵角変化が少なく、且つ操舵反力トルクの変化量が大きいときに、路面からのキックバックが発生したと判定し、アシストトルクを補正する構成としている。また、特開2000−159135号公報に記載される電動パワーステアリング装置は、過去の所定時間内の操舵角情報から目標中立位置を算出して補助操舵トルクを付加し、中立位置の操舵反力を偏かさせることにより路面カント等による負荷変化に伴う操舵反力トルクを低減する構成としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の電動パワーステアリング装置のうち、特開平7−228263号公報に記載されるものでは、単位時間当たりの操舵角変化が少なく、且つ操舵反力トルクの変化量が大きいときに路面からのキックバックが発生したと判定し、それからアシストトルクを補正する構成となっているため、少なくともキックバック判定までの操舵反力トルク変化は抑制防止できない。また、操舵中は、単位時間当たりの操舵角変化が少なくないので、キックバックが発生しても、それを検出することができず、アシストトルクも補正できない。また、路面カントのように定常的な入力の場合には、操舵反力トルクの変化量が大きくないためにアシストトルクの補正ができない。また、前記特開2000−159135号公報に記載される電動パワーステアリング装置では、路面カント等による負荷変化に伴う操舵反力トルクは低減できるが、短時間の外乱やキックバックによるハンドル取られまでは改善できない。
【0004】
本発明は、前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、操舵中でも、短時間の外乱やキックバックによる操舵反力トルクの変動を適切に抑制防止できる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電動パワーステアリング装置は、操舵反力トルクが大きいほど、アシストトルクを大きく設定すると共に、操舵角が小さいほど、より小さな操舵反力トルクに対し大きなアシストトルクを設定する。具体的には、操舵反力トルクが大きいほど、当該操舵反力トルクの増加に対するアシストトルクの増加変化率を大きく設定すると共に、操舵角が小さいほど、前記操舵反力トルクの増加に対するアシストトルクの増加変化率を大きく設定する。また、走行速度が大きいときに、操舵角が小さいほど、より小さな操舵反力トルクに対して大きなアシストトルクを設定する。
【0006】
【発明の効果】
而して、本発明の電動パワーステアリング装置によれば、操舵反力トルクが大きいほど、アシストトルクを大きく設定すると共に、操舵角が小さいほど、より小さな操舵反力トルクに対し大きなアシストトルクを設定する構成としたため、カント走行中のような小操舵角或いは或る程度操舵しているときでも、短時間の外乱やキックバックによる操舵反力トルクの増加に対して速やかにアシストトルクを増加させることができ、もってハンドル取られ等の操舵反力トルクの変動を抑制防止することができる。また、操舵反力トルクが大きいほど、当該操舵反力トルクの増加に対するアシストトルクの増加変化率を大きく設定すると共に、操舵角が小さいほど、前記操舵反力トルクの増加に対するアシストトルクの増加変化率を大きく設定する構成としたため、操舵角が或る程度大きいときの操舵反力トルクとアシストトルクとの関係を適正に維持することができると共に、操舵反力トルクが小さい領域での微小な操舵反力トルクの変動に対してアシストトルクが大きく変化してしまうという違和感を防止できる。また、走行速度が大きいときに、操舵角が小さいほど、より小さな操舵反力トルクに対して大きなアシストトルクを設定する構成としたため、セルフアライニングトルクが十分に発生されない低速走行時に操舵角の増加に伴って操舵反力トルクが大きくなるという違和感を防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次いで本発明の電動パワーステアリング装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
まず構成を説明すると、図1に示すように、ステアリングホイール1はステアリングシャフト2の上端部に連結され、当該ステアリングシャフト2は下方に延びている。そのステアリングシャフト2の下端部は、トルク検出機構を介してピニオンシャフト3に連結している。ピニオンシャフト3の下端部、つまりピニオンは、車両幅方向に配設されたラック4に噛合し、該ラック4とピニオンシャフト3によってステアリングギアを構成している。従って、ステアリングホイール1からステアリングシャフト2回りの回転運動は、ラック4の直進運動(並進運動)に変換される。
【0008】
そして、水平に延在するラック4の両端部は、それぞれタイロッド5を介してナックル及び転舵輪6に接続し、当該ラック4が水平方向に移動(並進運動)することで左右の転舵輪6が転舵するようになっている。
また、上記ピニオンシャフト3の上部には、減速機を構成するリングギア11が同軸に固定され、このリングギア11に操舵補助モータ8の駆動軸9が断続可能に連結されている。なお、この操舵補助モータ8は,後述するコントロールユニット7のPWM(Pulse Width Modulation)駆動回路からのパルス信号によって、その発生トルク、つまりアシストトルクが制御される、所謂デューティ比制御により、何れかの方向に正逆転制御される。
【0009】
また、前記トルク検出機構は、ステアリングシャフト2の下端部とピニオンシャフト3の上端部を連結する図示されないトーションバーと、その外周に配置された操舵反力トルクセンサ12とから構成されている。この操舵反力トルクセンサ12は、前記トーションバーの捩じれ量から操舵反力トルクを検出し、当該操舵反力トルクの大きさに応じた操舵反力トルクTを、後述するコントロールユニット7に供給する。
【0010】
また、車両には走行速度センサ13が搭載されていて、この走行速度センサ13によって自車両の走行速度が検出され、当該走行速度の大きさに応じた走行速度検出値Vが、後述するコントロールユニット7に供給される。また、前記ステアリングホイール1には、その操舵角θを検出する操舵角センサ14が設けられており、その検出値もコントロールユニット7に供給される。
【0011】
そして、前記コントロールユニット15は、前記操舵反力トルクセンサ12で検出された操舵反力トルク及び走行速度センサ13で検出された走行速度VSP及び操舵角センサ14で検出された操舵角θを入力し且つ前記操舵補助モータ8による目標アシストトルクcTA を算出するためのマイクロコンピュータ等の演算処理装置を備えて構成されている。そして、このようにして算出された目標アシストトルクcTA に応じたモータ駆動信号が、このコントロールユニット15内のモータドライバから前記操舵補助モータ8に向けて出力され、その結果、当該操舵補助モータ8によって目標アシストトルクcTA が発生される。
【0012】
このコントロールユニット15では、所定サンプリング時間ΔT(例えば10msec.)毎に図2の演算処理を行い、前記モータトルク指令値SM を算出出力する。なお、この演算処理では、特に通信のためのステップを設けていないが、算出された情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、記憶装置に記憶されている情報は随時演算処理装置に読込まれる。
【0013】
さて、この演算処理では、まずステップS1で、前記走行速度センサ13で検出された走行速度VSP、操舵角センサ14で検出された操舵角θ、操舵反力トルクセンサ12で検出された操舵反力トルクTを読込む。
次にステップS2に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記ステップS1で読込んだ操舵角θの時間微分値、即ち操舵角速度θ’ を算出する。
【0014】
次にステップS3に移行して、図3の制御マップに従って、前記ステップS1で読込んだ走行速度VSPに基づいて操舵角影響係数kS を算出する。この図3の制御マップでは、例えば20km/h程度に設定された所定走行速度以下では操舵角影響係数kS は“0”であり、それより走行速度の大きい領域では操舵角影響係数kS は“1”である。
【0015】
次にステップS4に移行して、前記ステップS3で算出された操舵角影響係数kS に前記ステップS1で読込まれた操舵角θを乗じて操舵角影響度eθを算出する。
次にステップS5に移行して、図4の制御マップに従って、前記ステップS3で算出された操舵角影響度eθ及び前記ステップS1で読込まれた操舵反力トルクTを用い、当該操舵反力トルクTに応じた操舵反力対応アシストトルクTASを算出する。この図4の制御マップは、操舵反力トルクTが大きいほど操舵反力対応アシストトルクTASが大きく且つ操舵反力トルクTが大きいほど、当該操舵反力トルクTの増加に対する操舵反力対応アシストトルクTASの増加変化率が大きい曲線Cと、少なくともその曲線Cより操舵反力トルクの増加に対する操舵反力対応アシストトルクTASの増加変化率が大きい直線Lとから構成される。直線Lの傾きは一定で、前記操舵影響度eθが大きいほど、操舵反力トルクTを示す横軸との切片が大きくなる。つまり、前記操舵影響係数kS を一定と考えると、操舵角θが小さいほど、曲線Cと直線Lとの交点は、操舵反力トルクTの小さい方向に移動する。そして、操舵反力対応アシストトルクTASは、前記曲線Cと直線Lとで構成されるマップに従い、両者の交点より操舵反力トルクTが小さい領域では曲線Cに応じて操舵反力対応アシストトルクTASが設定され、両者の交点より操舵反力トルクTが大きい領域では直線Lに従って操舵反力対応アシストトルクTASが設定される。従って、操舵角θが小さいほど、より小さな操舵反力トルクTに対して大きな操舵反力対応アシストトルクTASが設定されることになるので、例えばカント走行中のような小操舵角或いは或る程度まで大きな操舵角での操舵中に、短時間の外乱やキックバック等によって操舵反力トルクが大きくなると、前記直線Lに従って大きな操舵反力対応アシストトルクTASが設定され、ハンドル取られ等を伴う操舵反力トルクの変動を抑制防止することが可能となる。
【0016】
次にステップS6に移行して、図5の制御マップに従って、前記ステップS1で読込んだ走行速度VSPに応じた走行速度影響係数kV を算出する。この図5の制御マップでは、走行速度VSPが小さな領域では走行速度影響係数kV は比較的大きな一定値であり、走行速度VSPが大きな領域では走行速度kV は比較的小さな一定値であり、二つの領域の間では、走行速度VSPの増加に伴って走行速度影響係数kV がリニアに減少するように設定されている。
【0017】
次にステップS7に移行して、前記ステップS6で算出された走行速度影響係数kV を前記ステップS5で算出された操舵反力対応アシストトルクTASに乗じて基準アシストトルクTA0を算出する。
次にステップS8に移行して、図6の制御マップに従って、前記ステップS2で算出された操舵角速度θ’及びステップS1で読込んだ走行速度VSPを用い、前記操舵角速度θ’に応じたダンピングトルクTD を算出する。このダンピングトルクTD は、ステアリングホイールに意図的に与える重み或いは減衰力のようなものであり、従って図6の制御マップは操舵角速度θ’が大きいほど、ダンピングトルクTD がリニアに大きくなるように設定されている。また、一般に走行速度VSPが大きいほど、ステアリングホイールにしっかり感が要求されるので、図6の制御マップでは、走行速度VSPが大きいほど、ダンピングトルクTD の増加傾きが大きくなるように設定されている。
【0018】
次にステップS9に移行して、前記ステップS7で算出された基準アシストトルクTA0から前記ステップS8で算出されたダンピングトルクTD を減じて目標アシストトルクcTA を算出してからメインプログラムに復帰する。
この演算処理によれば、前記操舵角影響係数kS が一定であるとすると、少なくとも操舵角θが小さいほど、より小さな操舵反力トルクTに対して大きな目標アシストトルクcTA が設定されることになるので、前述したようにカント走行中のような小操舵角或いは或る程度操舵しているときでも、短時間の外乱やキックバックによる操舵反力トルクTの増加に対して速やかに目標アシストトルクcTA を増加させることができ、もってハンドル取られ等の操舵反力トルクの変動を抑制防止することができる。また、操舵反力トルクTが大きいほど、当該操舵反力トルクTの増加に対する目標アシストトルクcTA の増加変化率を大きく設定する(図4の制御マップの曲線C)と共に、操舵角θが小さいほど、前記操舵反力トルクTの増加に対する目標アシストトルクcTA の増加変化率を大きく設定する(図4の制御マップの直線L)ようにしたため、操舵角θが或る程度大きいときの操舵反力トルクTと目標アシストトルクcTA との関係を適正に維持することができると共に、操舵反力トルクTが小さい領域での微小な操舵反力トルクTの変動に対して目標アシストトルクcTA が大きく変化してしまうという違和感を防止できる。また、走行速度VSPが小さいときには前記操舵角影響係数kS を小さくし、走行速度VSPが大きいときに前記操舵角影響係数kS を大きくすることにより、走行速度VSPが大きいときに、操舵角θが小さいほど、より小さな操舵反力トルクTに対して大きな目標アシストトルクcTA が設定されるようにしたため、セルフアライニングトルクが十分に発生されない低速走行時に操舵角の増加に伴って操舵反力トルクが大きくなるという違和感を防止することができる。つまり、短時間の外乱やキックバックのない状態で、低速走行時に操舵角を切り増ししていくと、小操舵角時にはアシストトルクが大きく発生して操舵反力が感じられず、セルフアライニングトルクが十分に発生されていないにも係わらず、操舵反力トルクがどんどん大きくなってしまい、違和感がある。この違和感をなくすことができるのである。
【0019】
以上より、前記操舵反力トルクセンサ12及び図2の演算処理のステップS1が本発明の操舵反力トルク検出手段を構成し、以下同様に、前記操舵角センサ14及び図2の演算処理のステップS1が操舵角検出手段を構成し、図2の演算処理全体がアシストトルク設定手段を構成し、図1のコントロールユニット7が制御手段を構成している。
なお、前記実施例では,コントロールユニットをマイクロコンピュータで構築する場合についてのみ詳述したが、同等の演算回路や理論回路で構築してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す全体概略構成図である。
【図2】図1の電動パワーステアリング装置で行われる目標アシストトルク算出のための演算処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の演算処理に用いられる制御マップである。
【図4】図2の演算処理に用いられる制御マップである。
【図5】図2の演算処理に用いられる制御マップである。
【図6】図2の演算処理に用いられる制御マップである。
【符号の説明】
1はステアリングホイール
2はステアリングシャフト
3はピニオンシャフト
4はラック
6は転舵輪
7はコントロールユニット
8は操舵補助モータ
12は操舵反力トルクセンサ
13は走行速度センサ
14は操舵角センサ

Claims (3)

  1. 操舵角を検出する操舵角検出手段と、操舵反力トルクを検出する操舵反力トルク検出手段と、前記操舵反力トルク検出手段で検出された操舵反力トルクに応じて、当該操舵反力トルクが大きいほど大きなアシストトルクを設定するアシストトルク設定手段と、前記アシストトルク設定手段で設定されたアシストトルクを操舵補助モータによって発生する制御手段とを備え、前記アシストトルク設定手段は、前記操舵角検出手段で検出される操舵角が小さいほど、より小さな操舵反力トルクに対して大きなアシストトルクを設定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記アシストトルク設定手段は、前記操舵反力トルク検出手段で検出された操舵反力トルクが大きいほど、当該操舵反力トルクの増加に対するアシストトルクの増加変化率を大きく設定すると共に、前記操舵角検出手段で検出される操舵角が小さいほど、前記操舵反力トルクの増加に対するアシストトルクの増加変化率を大きく設定することにより、前記より小さな操舵反力トルクに対して大きなアシストトルクを設定することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 自車両の走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、前記アシストトルク設定手段は、前記走行速度検出手段で検出された走行速度が大きいときに、前記操舵角が小さいほど、より小さな操舵反力トルクに対して大きなアシストトルクを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
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