JP2004055626A - パルス幅制御装置並びにそれを用いたTHz電磁波発生装置及び発生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ光の幅を任意の幅に制御することが可能なパルス幅制御装置を提供することを目的とすること。任意の周波数及びスペクトル幅をもったTHz電磁波を発生させることが可能なTHz電磁波発生装置及び発生方法を提供すること。
【解決手段】光パルスが波長毎に伝播する距離が異なる性質を有する部材(例えば回折格子対8,9等)と、該部材に入射した後のパルス幅が広がった光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段(例えば回折格子対間の距離を可変とするための手段)とを有することを特徴とする。レーザーパルス光源1と、THz電磁波発生素子(例えば光伝導アンテナ2)との間に、レーザパルス光源1からの光パルスの光パルス幅を任意に設定できる光パルス幅制御装置およびレーザー光のパルス対の時間遅延を任意に設定する干渉計を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】光パルスが波長毎に伝播する距離が異なる性質を有する部材(例えば回折格子対8,9等)と、該部材に入射した後のパルス幅が広がった光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段(例えば回折格子対間の距離を可変とするための手段)とを有することを特徴とする。レーザーパルス光源1と、THz電磁波発生素子(例えば光伝導アンテナ2)との間に、レーザパルス光源1からの光パルスの光パルス幅を任意に設定できる光パルス幅制御装置およびレーザー光のパルス対の時間遅延を任意に設定する干渉計を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、パルス幅制御装置およびそれを用いたTHz電磁波発生装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
バルク半導体、光伝導素子などの半導体にレーザー光を照射する事で、半導体内にキャリアが生成される。このキャリアの時間応答(2階時間微分)がゼロでない事により、THz電磁波が発生する。
【0003】
図7は、このようなTHz電磁波発生装置を構成する従来の装置の一例である。超短パルスレーザー1から出たパルス光は、例えば光伝導アンテナ2などのTHz電磁波発生素子を励起し、キャリアがTHz電磁波発生素子内に生成される。生成されたキャリアの時間変化に応じてTHz電磁波が発生する。この際、キャリアの2階時間微分はゼロから数THzに渡る広い範囲におよび、広いスペクトルを持つTHz電磁波が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来のTHz電磁波発生装置は、発生する電磁波の周波数がほぼゼロから数THzに渡る非常にスペクトル幅の広いものになっている。そのため、ある周波数のみ、またある大きさのスペクトル幅のみのTHz電磁波光源を必要とする場合には、残りのほとんどのTHz電磁波成分は不用であり、所望の結果を期待する場合や信号検出において不用なTHz電磁波成分は取り除く必要がある。
【0005】
本発明は、レーザ光の幅を任意の幅に制御することが可能なパルス幅制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、任意の周波数及びスペクトル幅をもったTHz電磁波を発生させることが可能なTHz電磁波発生装置及び発生方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の光パルス幅制御装置は、光パルスが波長毎に伝播する距離が異なる性質を有する部材と、該部材に入射した後のパルス幅が広がった光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段とを有することを特徴とする。
【0008】
前記光パルスが波長毎に伝播する距離が異なる性質を有する部材としては、例えば、回折格子対、プリズム対、ないしは光ファイバーが好適に用いられる。
【0009】
前記光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段は、回折格子対、プリズム対間の距離を可変させるための手段が好適に用いられる。これらは入手が容易であり、かつ光パルス幅の制御を容易に行うことができる。
【0010】
前記光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段は、前記パルス幅が広がった光パルスの光路上に設けられたスリット幅が可変なスリットとすることが構成を簡易にできかつ外部から容易に制御することができるため好ましい。
【0011】
本発明のTHz電磁波発生装置は、レーザーパルス光源と、THz電磁波発生素子との間に、該レーザパルス光源からの光パルスの光パルス幅を任意に設定できる光パルス幅制御装置およびレーザー光のパルス対の時間遅延を任意に設定するための干渉計を設けたことを特徴とする。
【0012】
光パルス幅制御装置としては前記した光パルス幅制御装置を用いることが好ましい。
【0013】
本発明のTHz電磁波発生方法は、レーザーパルス光源から光パルスの光パルス幅を制御するとともに、レーザー光のパルス対の時間遅延を制御してレーザ光をTHz電磁波発生素子に入射させることを特徴とする。
【0014】
【作用】
本発明は、上記の目的を達成するために、群速度分散を利用したパルス幅制御装置により、パルス幅の十分に短いレーザーパルス光を任意のパルス幅にし、干渉計により住意のパルス幅にされたパルス対を適当な時間遅延をつけて空間的に重ね合わせる事により、周期的な強度変調を持ったパルス光にする。その強度変調パルス光でTHz電磁波発生素子を励起してTHz電磁波を発生装置するものである。
【0015】
本発明によれば、光パルスをパルス幅制御装置により適切なパルス幅にし、干渉計によりパルス対の時間遅延を任意に選ぶ事により、THz電磁波発生素子(例えば光伝導アンテナ)を励起するパルス光に任意のパルス幅及び任意の周期の時間的な強度変調を加える事が出来るため、発生するTHz電磁波の中心周波数およびスペクトル幅を任意に選択する事ができる。
【0016】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の―実施例を説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施例を示す構成図である。図1において、前述した図7に示す従来例のTHz電磁波発生装置と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0018】
また、本装置の構成は、従来例の装置類にレーザーのパルス幅を制御する装置とパルス対の遅延合波装置(干渉計)を追加したものである。
【0019】
超短パルスレーザーから出た超短光パルスは、パルス幅制御装置に入射する事で、その時間幅が長くなる。その際、線形のパルスチャーピングにより、短波長成分 (紫外側)が時間的に先頭に、長波長成分(赤外側)が時間的に遅れる光パルスになる(方法によっては、逆になる場合がある)。これは、ガラスのような媒質では、波長ごとに屈折率が異なるため、ガラスないしはプリズム対においてプリズムおよび空間を伝播する距離が波長毎に異なる性質がある。また、回折格子においては、波長によって光が回折格子に回折される角度が異なるため、回折格子対を用いた場合,波長毎に空間を伝播する距離が異なる性質がある。この性質を指している。このパルスのチャーピングを利用する事で、光パルス幅を制御する。光パルス幅を制御する方法例を以下の(1)から(4)に述べる。
【0020】
(1)回折格子対による、パルス幅制御方法には2通り。図2に示す最初の方法では、向き合った回折格子の距離を変える事で、任意の幅tdに制御する。
【0021】
また、回折格子9のそばに配置しているミラー10は、ミラー10により反射されたレーザー光が回折格子対8、9に入射した時と全く同じ空間を逆に伝播し、ビームスプリッター3によって干渉計に入射する事が出来るよう、回折格子9と回折格子8との距離が変化した場合も、回折格子9とその空間的な位置関係が保持されている。 回折格子8に入射したレーザーパルスは、回折により空間的に波長が広がり、回折格子9により更に回折される。長波長側の波長成分が短波長側の波長成分よりも空間を伝播する距離が長くなるため、ミラー10で反射され、干渉計に入射する時には、レーザーパルスは短波長成分が時間的に先頭に来るチャーピングを生じ、パルス幅が広がる。パルス幅の制御は、回折格子対8、9の距離を変える事により出来る。
【0022】
(2)回折格子対によるパルス幅制御の2つめの方法は、次のとおりである(図3)。
【0023】
あらかじめ格子対の間隔を一定にし、パルス幅を十分に長く取ったあと、ミラー13の前にスリット14を設けて、スリットの幅を変えることにより、パルス幅を制御する。この場合、レーザーの中心波長に対する各波長成分の遅れ(進み)は回折格子対8、9の距離を一定にしているため、変わらない。スリット14のスリット幅を変化させることで、パルス対の遅延合波装置(干渉計)に入射する事の出来るレーザー波長の範囲を制限し、それによってパルス幅を制御する。
【0024】
(3)三角プリズム対を用いる事により、パルス幅を制御する方法を図4に示す。三角プリズムにより空間的に分けられたレーザー光の短波長および長波長成分は、空間的に異なる場所を伝播するため、三角プリズム対15、16およびミラー17を往復するのに必要な時間が異なる。これによりレーザー光はパルス幅が広がる。この場合もパルス幅の制御は、レーザーのスペクトルが空間的に広がる部分にスリット18を置き、スリット幅を変えることにより行う。
【0025】
(4)図5に第4の方法を示す。光ファイバーの波長分散特性を利用する事で、光パルスのパルス幅は長くなる。光ファイバー19に入射した光パルスは光ファイバーよりチャーピィングを受け、パルス幅が長くなる。光ファイバーと伝播した後の光パルスは、回折格子対20、21により、そのスペクトルが空間的に拡がる。スリット22の幅を調整する事で、光パルスのスペクトル幅を制御する。光パルスは、ミラー23により反射して光ファイバーに再び入射する。光ファイバーを2度光パルスが通過するため,そのことを考慮してスリット22によりパルス幅を制御する。なお、回折格子対は、単に光パルスのスペクトルを空間的に広げるために用いているため、回折格子対によるパルスチャーピングの向きが光ファイバーと逆の場合は回折格子対の影響がないように光ファイバーによるパルス拡がりを十分にとる。また、回折格子対の代わりにプリズム対を用いても良い。
【0026】
いずれかの方法を用いてパルス幅が拡大された光パルスを干渉計に入射させる事で、同じ強度および時間波形を持つ2つの光パルスができる。そのパルスが時間延滞τをつけて重ね合わせられる事により、図6に示すように、延滞時間τの周期で強度が周期的に変調されるパルス幅tdの光パルスを得る事が出来る。
【0027】
この変調された光パルスをTHz電磁波発生素子(例えば光伝導アンテナ)に入射すると、光パルスと同じ時間波形を持つTHz電磁波が発生する。これは、周波数およびスペクトル幅が同時に可変なTHz電磁波の発生を意味する。発生するTHz電磁波の周波数は1/τ、スペクトル幅は1/tdで与えられる。
【0028】
【発明の効果】
本発明のパルス幅制御装置によればレーザ光の幅を任意の幅に制御することが可能となる。
【0029】
本発明のTHz電磁波発生装置及び発生方法によれば、任意の周波数及びスペクトル幅をもったTHz電磁波を発生させることが可能となる。
【0030】
本発明装置により発生したTHz電磁波は、例えば気体の分光などに有効に利用できる。例えば、ある気体のある周波数での吸収が他の気体と区別するのに有用な場合に有効に利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のTHz電磁波発生装置を示す構成図
【図2】回折格子対を用いたTHz電磁波発生装置
【図3】回折格子対を用いたTHz電磁波発生装置
【図4】三角プリズム対を用いたTHz電磁波発生装置
【図5】光ファイバーおよび回折格子対を用いたTHz電磁波発生装置
【図6】パルス幅制御装置により広がった光パルスおよび干渉計により重ね合わされた光パルス対
【図7】従来のTHz電磁波発生装置を示す構成図
【符号の説明】
1 超短パルスレーザー、
2 THz電磁波発生素子に(光伝導アンテナ)、
3、4 ビームスプリッター、
5、6、10、13、17 ミラー、
7 パルス幅制御装置、
8、9、11、12、20、21 回折格子、
14、18、22 スリット、
15、16 三角プリズム、
19 光ファイバー。
【産業上の利用分野】
本発明は、パルス幅制御装置およびそれを用いたTHz電磁波発生装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
バルク半導体、光伝導素子などの半導体にレーザー光を照射する事で、半導体内にキャリアが生成される。このキャリアの時間応答(2階時間微分)がゼロでない事により、THz電磁波が発生する。
【0003】
図7は、このようなTHz電磁波発生装置を構成する従来の装置の一例である。超短パルスレーザー1から出たパルス光は、例えば光伝導アンテナ2などのTHz電磁波発生素子を励起し、キャリアがTHz電磁波発生素子内に生成される。生成されたキャリアの時間変化に応じてTHz電磁波が発生する。この際、キャリアの2階時間微分はゼロから数THzに渡る広い範囲におよび、広いスペクトルを持つTHz電磁波が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来のTHz電磁波発生装置は、発生する電磁波の周波数がほぼゼロから数THzに渡る非常にスペクトル幅の広いものになっている。そのため、ある周波数のみ、またある大きさのスペクトル幅のみのTHz電磁波光源を必要とする場合には、残りのほとんどのTHz電磁波成分は不用であり、所望の結果を期待する場合や信号検出において不用なTHz電磁波成分は取り除く必要がある。
【0005】
本発明は、レーザ光の幅を任意の幅に制御することが可能なパルス幅制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、任意の周波数及びスペクトル幅をもったTHz電磁波を発生させることが可能なTHz電磁波発生装置及び発生方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の光パルス幅制御装置は、光パルスが波長毎に伝播する距離が異なる性質を有する部材と、該部材に入射した後のパルス幅が広がった光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段とを有することを特徴とする。
【0008】
前記光パルスが波長毎に伝播する距離が異なる性質を有する部材としては、例えば、回折格子対、プリズム対、ないしは光ファイバーが好適に用いられる。
【0009】
前記光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段は、回折格子対、プリズム対間の距離を可変させるための手段が好適に用いられる。これらは入手が容易であり、かつ光パルス幅の制御を容易に行うことができる。
【0010】
前記光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段は、前記パルス幅が広がった光パルスの光路上に設けられたスリット幅が可変なスリットとすることが構成を簡易にできかつ外部から容易に制御することができるため好ましい。
【0011】
本発明のTHz電磁波発生装置は、レーザーパルス光源と、THz電磁波発生素子との間に、該レーザパルス光源からの光パルスの光パルス幅を任意に設定できる光パルス幅制御装置およびレーザー光のパルス対の時間遅延を任意に設定するための干渉計を設けたことを特徴とする。
【0012】
光パルス幅制御装置としては前記した光パルス幅制御装置を用いることが好ましい。
【0013】
本発明のTHz電磁波発生方法は、レーザーパルス光源から光パルスの光パルス幅を制御するとともに、レーザー光のパルス対の時間遅延を制御してレーザ光をTHz電磁波発生素子に入射させることを特徴とする。
【0014】
【作用】
本発明は、上記の目的を達成するために、群速度分散を利用したパルス幅制御装置により、パルス幅の十分に短いレーザーパルス光を任意のパルス幅にし、干渉計により住意のパルス幅にされたパルス対を適当な時間遅延をつけて空間的に重ね合わせる事により、周期的な強度変調を持ったパルス光にする。その強度変調パルス光でTHz電磁波発生素子を励起してTHz電磁波を発生装置するものである。
【0015】
本発明によれば、光パルスをパルス幅制御装置により適切なパルス幅にし、干渉計によりパルス対の時間遅延を任意に選ぶ事により、THz電磁波発生素子(例えば光伝導アンテナ)を励起するパルス光に任意のパルス幅及び任意の周期の時間的な強度変調を加える事が出来るため、発生するTHz電磁波の中心周波数およびスペクトル幅を任意に選択する事ができる。
【0016】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の―実施例を説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施例を示す構成図である。図1において、前述した図7に示す従来例のTHz電磁波発生装置と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0018】
また、本装置の構成は、従来例の装置類にレーザーのパルス幅を制御する装置とパルス対の遅延合波装置(干渉計)を追加したものである。
【0019】
超短パルスレーザーから出た超短光パルスは、パルス幅制御装置に入射する事で、その時間幅が長くなる。その際、線形のパルスチャーピングにより、短波長成分 (紫外側)が時間的に先頭に、長波長成分(赤外側)が時間的に遅れる光パルスになる(方法によっては、逆になる場合がある)。これは、ガラスのような媒質では、波長ごとに屈折率が異なるため、ガラスないしはプリズム対においてプリズムおよび空間を伝播する距離が波長毎に異なる性質がある。また、回折格子においては、波長によって光が回折格子に回折される角度が異なるため、回折格子対を用いた場合,波長毎に空間を伝播する距離が異なる性質がある。この性質を指している。このパルスのチャーピングを利用する事で、光パルス幅を制御する。光パルス幅を制御する方法例を以下の(1)から(4)に述べる。
【0020】
(1)回折格子対による、パルス幅制御方法には2通り。図2に示す最初の方法では、向き合った回折格子の距離を変える事で、任意の幅tdに制御する。
【0021】
また、回折格子9のそばに配置しているミラー10は、ミラー10により反射されたレーザー光が回折格子対8、9に入射した時と全く同じ空間を逆に伝播し、ビームスプリッター3によって干渉計に入射する事が出来るよう、回折格子9と回折格子8との距離が変化した場合も、回折格子9とその空間的な位置関係が保持されている。 回折格子8に入射したレーザーパルスは、回折により空間的に波長が広がり、回折格子9により更に回折される。長波長側の波長成分が短波長側の波長成分よりも空間を伝播する距離が長くなるため、ミラー10で反射され、干渉計に入射する時には、レーザーパルスは短波長成分が時間的に先頭に来るチャーピングを生じ、パルス幅が広がる。パルス幅の制御は、回折格子対8、9の距離を変える事により出来る。
【0022】
(2)回折格子対によるパルス幅制御の2つめの方法は、次のとおりである(図3)。
【0023】
あらかじめ格子対の間隔を一定にし、パルス幅を十分に長く取ったあと、ミラー13の前にスリット14を設けて、スリットの幅を変えることにより、パルス幅を制御する。この場合、レーザーの中心波長に対する各波長成分の遅れ(進み)は回折格子対8、9の距離を一定にしているため、変わらない。スリット14のスリット幅を変化させることで、パルス対の遅延合波装置(干渉計)に入射する事の出来るレーザー波長の範囲を制限し、それによってパルス幅を制御する。
【0024】
(3)三角プリズム対を用いる事により、パルス幅を制御する方法を図4に示す。三角プリズムにより空間的に分けられたレーザー光の短波長および長波長成分は、空間的に異なる場所を伝播するため、三角プリズム対15、16およびミラー17を往復するのに必要な時間が異なる。これによりレーザー光はパルス幅が広がる。この場合もパルス幅の制御は、レーザーのスペクトルが空間的に広がる部分にスリット18を置き、スリット幅を変えることにより行う。
【0025】
(4)図5に第4の方法を示す。光ファイバーの波長分散特性を利用する事で、光パルスのパルス幅は長くなる。光ファイバー19に入射した光パルスは光ファイバーよりチャーピィングを受け、パルス幅が長くなる。光ファイバーと伝播した後の光パルスは、回折格子対20、21により、そのスペクトルが空間的に拡がる。スリット22の幅を調整する事で、光パルスのスペクトル幅を制御する。光パルスは、ミラー23により反射して光ファイバーに再び入射する。光ファイバーを2度光パルスが通過するため,そのことを考慮してスリット22によりパルス幅を制御する。なお、回折格子対は、単に光パルスのスペクトルを空間的に広げるために用いているため、回折格子対によるパルスチャーピングの向きが光ファイバーと逆の場合は回折格子対の影響がないように光ファイバーによるパルス拡がりを十分にとる。また、回折格子対の代わりにプリズム対を用いても良い。
【0026】
いずれかの方法を用いてパルス幅が拡大された光パルスを干渉計に入射させる事で、同じ強度および時間波形を持つ2つの光パルスができる。そのパルスが時間延滞τをつけて重ね合わせられる事により、図6に示すように、延滞時間τの周期で強度が周期的に変調されるパルス幅tdの光パルスを得る事が出来る。
【0027】
この変調された光パルスをTHz電磁波発生素子(例えば光伝導アンテナ)に入射すると、光パルスと同じ時間波形を持つTHz電磁波が発生する。これは、周波数およびスペクトル幅が同時に可変なTHz電磁波の発生を意味する。発生するTHz電磁波の周波数は1/τ、スペクトル幅は1/tdで与えられる。
【0028】
【発明の効果】
本発明のパルス幅制御装置によればレーザ光の幅を任意の幅に制御することが可能となる。
【0029】
本発明のTHz電磁波発生装置及び発生方法によれば、任意の周波数及びスペクトル幅をもったTHz電磁波を発生させることが可能となる。
【0030】
本発明装置により発生したTHz電磁波は、例えば気体の分光などに有効に利用できる。例えば、ある気体のある周波数での吸収が他の気体と区別するのに有用な場合に有効に利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のTHz電磁波発生装置を示す構成図
【図2】回折格子対を用いたTHz電磁波発生装置
【図3】回折格子対を用いたTHz電磁波発生装置
【図4】三角プリズム対を用いたTHz電磁波発生装置
【図5】光ファイバーおよび回折格子対を用いたTHz電磁波発生装置
【図6】パルス幅制御装置により広がった光パルスおよび干渉計により重ね合わされた光パルス対
【図7】従来のTHz電磁波発生装置を示す構成図
【符号の説明】
1 超短パルスレーザー、
2 THz電磁波発生素子に(光伝導アンテナ)、
3、4 ビームスプリッター、
5、6、10、13、17 ミラー、
7 パルス幅制御装置、
8、9、11、12、20、21 回折格子、
14、18、22 スリット、
15、16 三角プリズム、
19 光ファイバー。
Claims (6)
- 光パルスが波長毎に伝播する距離が異なる性質を有する部材と、該部材に入射した後のパルス幅が広がった光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段とを有することを特徴とする光パルス幅制御装置。
- 前記光パルスが波長毎に伝播する距離が異なる性質を有する部材は、回折格子対、プリズム対、ないしは光ファイバーであることを特徴とする請求項1記載の光パルス幅制御装置。
- 前記光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段は、回折格子対、プリズム対間の距離を可変させるための手段であることを特徴とする請求項2記載の光パルス幅制御装置。
- 前記光パルスの幅を任意の光パルス幅に制御するための手段は、前記パルス幅が広がった光パルスの光路上に設けられたスリット幅が可変なスリットであることを特徴とする請求項1又は2記載の光パルス幅制御装置。
- レーザーパルス光源と、THz電磁波発生素子との間に、該レーザパルス光源からの光パルスの光パルス幅を任意に設定できる光パルス幅制御装置およびレーザー光のパルス対の時間遅延を任意に設定するための干渉計を設けたことを特徴とするTHz電磁波発生装置。
- レーザーパルス光源から光パルスの光パルス幅を制御するとともに、レーザー光のパルス対の時間遅延を制御してレーザ光をTHz電磁波発生素子に入射させることを特徴とするTHz電磁波発生方法。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012082472A3 (en) * | 2010-12-14 | 2013-01-03 | Coherent, Inc. | Short-pulse fiber-laser |
JP2013007679A (ja) * | 2011-06-24 | 2013-01-10 | Seiko Epson Corp | テラヘルツ波発生装置、カメラ、イメージング装置および計測装置 |
WO2014047203A1 (en) * | 2012-09-20 | 2014-03-27 | Applied Materials, Inc. | Pulse width controller |
JP2019105616A (ja) * | 2017-12-15 | 2019-06-27 | 株式会社日立製作所 | レーザ超音波装置 |
-
2002
- 2002-07-16 JP JP2002207563A patent/JP2004055626A/ja active Pending
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