JP2004053289A - 免震建物の風洞実験装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アイソレーターやダンパーを設けた免震建物の風に対する変位などの応答を精度よく予測できる風洞実験装置を提供する
【解決手段】バネ15と支持枠11a〜14b、空気噴出口17を有する支持台16、ダンパー実験モデル20と支持具18が設けられている支持架台10に、実建物と相似な建物模型1を載置し、アイソレーター実験モデルとして建物模型1の床プレート2の各辺を二本の引張バネ15で水平方向に支持し、支持台16の噴出口17の空気圧で建物模型1を鉛直方向に支持し、またダンパー実験モデル20として直線部と中間U字型部21bからなる金属線を支持台16と床プレート2に取付けて、送風して風力に対する建物模型1の応答をレーザー変位計9で計測する。
【選択図】 図1
【解決手段】バネ15と支持枠11a〜14b、空気噴出口17を有する支持台16、ダンパー実験モデル20と支持具18が設けられている支持架台10に、実建物と相似な建物模型1を載置し、アイソレーター実験モデルとして建物模型1の床プレート2の各辺を二本の引張バネ15で水平方向に支持し、支持台16の噴出口17の空気圧で建物模型1を鉛直方向に支持し、またダンパー実験モデル20として直線部と中間U字型部21bからなる金属線を支持台16と床プレート2に取付けて、送風して風力に対する建物模型1の応答をレーザー変位計9で計測する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、風力に対する免震建物の変位などの応答を予測するために、実建物と相似な縮尺模型を用いた免震建物の風洞実験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建物の風による荷重を予測する風洞実験として、多質点弾性模型による風洞実験が知られている。
一方、近年、大地震時における建築物の安全性や機能保持に対する要求が高まっており、建物の構造耐力上の安全性や建物内に設置される機器・設備などの移動や転倒等を少なくするために、アイソレーターやダンパーを設けた免震建物が普及しているが、従来の多質点弾性模型による風洞実験では、アイソレーターやダンパーを設けた免震建物の風に対する変位などの応答を把握し予測することができなかった。
【0003】
そこで、本発明者らは、図11(a)の平面図、(b)の側面図に示すように、実建物と相似な建物模型1のプレート2を支持架台10の支持部材40及び支持部材41のロードセル42に載置して風洞実験を行い、風荷重をロードセル42やレーザー変位計9で計測して、免震建物の風力に対する応答の予測について検討を行ったが、アイソレーターなどを設けた免震建物の風に対する変位などを評価、予測することができなかった。
また、図12(a)の平面図、(b)の側面図に示すように、実建物と相似な建物模型1のプレート2を支持架台10の支持部材47及びベアリング48に載置して建物模型の自重をベアリング48で支持し、かつプレート2の各辺を支持部材45に引張バネ46で水平方向に支持して風洞実験を行い、風に対する変位をレーザー変位計9で計測して、風力に対する免震建物の変位などの応答について検討を行ったが、建物模型の自重を支持するベアリングの摩擦が大きくてスムーズな動作が得られず、アイソレーターなどを設けた免震建物の風に対する変位などの応答を予測することができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような課題を解決し、アイソレーターやダンパーを設けた免震建物の風に対する変位などの応答を精度よく予測できる風洞実験装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、実建物と相似な縮尺模型の床プレートを支持架台に載置し、風力に対する模型の応答を変位計で計測する免震建物の風洞実験装置であって、支持架台には、バネとその支持枠及び空気噴出口を有する支持台が設けられており、前記バネとその支持枠は、縮尺模型の床プレート各辺の対向位置に設けられ、前記の空気噴出口を有する支持台は、縮尺模型の床プレートの載置位置に設けられているものであり、前記床プレートは、その各辺をぞれぞれ複数本の引張バネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持することによりアイソレーター実験モデルとすることを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、実建物と相似な縮尺模型の床プレートを支持架台に載置し、風力に対する模型の応答を変位計で計測する免震建物の風洞実験装置であって、支持架台には、バネとその支持枠、空気噴出口を有する支持台及びダンパー実験モデルとその支持具が設けられており、前記バネとその支持枠は、縮尺模型の床プレート各辺の対向位置に設けられ、前記の空気噴出口を有する支持台は、縮尺模型の床プレートの載置位置に設けられているものであり、前記床プレートは、その各辺をぞれぞれ複数本の引張バネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持することによるアイソレーター実験モデルとし、両側の直線部と中間U字型部からなる金属線をその支持具と縮尺模型の床プレートの下面に取付けてダンパー実験モデルとすることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の上記の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、バネ支持枠が支持架台に設置位置を調整可能に設けられていることを特徴とするものである。
また、本発明の上記の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、ダンパー実験モデルの両側の直線部と中間U字型部からなる金属線が、その両側の直線部をパイプに挿入し、パイプを支持具と縮尺模型床プレートの下面への取付けられていることを特徴とするものである。
また、本発明の上記の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、ダンパー実験モデルの両側の直線部と中間U字型部からなる金属線が、複数本を1組みとしてその両側の直線部をパイプに挿入したもので、複数本の金属線の中間U字型部を異なる方向に配置されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の上記の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、両側の直線部と中間U字型部から金属線のダンパー実験モデルが、鉛ダンパーの実験モデルとして鉛線を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の上記の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、両側の直線部と中間U字型部からなる金属線のダンパー実験モデルが、鋼棒ダンパーの実験モデルとしてアルミニウム線を用いることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
本発明の免震建物の風洞実験装置は、実建物と相似な縮尺模型の床プレートの各辺をぞれぞれ複数本の引張バネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持してアイソレーターの実験モデルとすることにより、風に応答したスムーズな作動が得られ、実際のアイソレーターの作動が風洞実験で再現でき、風の応答を精度よく予測することができるものである。
【0010】
また、本発明の免震建物の風洞実験装置は、実建物と相似な縮尺模型の床プレートの各辺をぞれぞれ複数本の引張バネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持してアイソレーターの実験モデルとし、かつ両側の直線部と中間U字型部からなる金属線をその支持具と縮尺模型の床プレートの下面に取付けてダンパー実験モデルとすることにより、風に応答したスムーズな作動が得られ、かつダンパーの特性が応答に反映され、実際のアイソレーターやダンパーの作動が風洞実験で再現でき、風の応答を精度よく予測することができるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1〜図8に示して説明する。
図1は本発明の実施形態を示す斜視図、図2は本発明の実施形態の風洞実験装置の支持架台を示す側面図、図3は本発明の実施形態の風洞実験装置の支持架台を示す平面図、図4(a)(b)は本発明の実施形態の支持台を示す側面図と平面図、図5は本発明の実施形態のダンパー実験モデルとその支持具を示す斜視図、図6及び図7は本発明の実施形態のダンパー実験モデルを示す図、図8は本発明のもう1つの実施形態のダンパー実験モデルの支持具を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、免震建物の風洞実験装置は、実建物と相似な縮尺建物模型1を、支持架台10に載置し、送風機(図示していない)により送風して、風力に対する建物模型1の応答をレーザー変位計9で計測するものである。
なお、レーザー変位計9を支持架台10に載置した場合を図示したが、レーザー変位計9は適宜の位置に設置するものである。また、風力に対する建物模型の応答の計測は、建物模型1に加速度計を設置して行ってもよい。
建物模型1は、四角形の床プレート2と上部プレート3を4本の柱部材5で支え、模型外装4で実建物と相似にモデル化したものである。
まず、図1〜図3で風洞実験装置の支持架台について説明する。
支持架台10には、バネ15とその支持枠11a〜14b及び空気噴出口17を有する支持台16が設けられており、さらにダンパー実験モデル20とその支持具18が設けられている。
【0013】
支持枠11a〜14bは、縮尺模型の四角形の床プレート2の各辺と対向した位置に設けられている。
支持枠11a、11b及び支持枠12a、12bは、引張バネ15を四角形の床プレート2の短辺に係着し、また支持枠13a、13b及び支持枠14a、14bは、引張バネ15を四角形の床プレート2の長辺に係着して四角形の床プレート2の各辺を引張って水平方向に支持するものである。
このように、四角形の床プレート2の短辺、長辺の各辺を複数本、例えば二本の引張バネ15で水平方向支持することにより、アイソレーター実験モデルとして、建物模型1の捩じ剛性を実建物と相似にすることができるものである。
【0014】
四角形の床プレート2の各辺に係着される二本の引張バネ15は、建物模型1の剛心Gからほぼ等しい距離に係着するようにすることが好ましい。
また、支持枠11a〜14bは、支持架台10にネジ19(図2に示す)で着脱自在に取り付けられており、二つの支持枠11aと11bの間隔を容易に調整できるように設けられている。二つのバネ支持枠12aと12b、13aと13b、14aも同様に設けられている。これにより、二本の引張バネ15が、建物模型1の剛心Gからほぼ等しい距離になるように調整することができる。
【0015】
支持台16は、四角形の床プレート2の載置位置に、すなわち床プレート2の下側になるように支持架台10に設けられている。
図4(a)(b)に示すように、部材16aを支持架台10にネジ19で取り付け、そこに支持台16を設けている。ネジ19で着脱自在に取り付けられており、その位置を調整できるものである。なお、部材16aを用いずに支持架台10に支持台16を設けてもよい。
支持台16には空気噴出口17が設けられており、管17aで接続されたコンプレッサーから矢印のように空気が送られて、支持台16の噴出口17より噴出する空気圧で建物模型の床プレート2を鉛直方向に絶縁して支持するものである。
四個の支持台16で建物模型の床プレート2を鉛直方向に支持することが好ましく、四個の支持台16は、建物模型1の重量がバランスしてかかるように配置する。なお、支持台16を四箇所に設けた場合を示したが、これに限るものではなく、建物模型1の重量をバランスさせて床プレート2を鉛直方向に支持するように、適宜の位置に所用の数の支持台16を設けるものである。
【0016】
支持架台10には、そのほぼ中央にダンパー実験モデル20とその支持具18が設けられている。二つのダンパー実験モデル20は建物模型の剛心Gからほぼ等しい距離に取り付けることが好ましい。
ダンパー実験モデルとその支持具について、図5〜図7で説明する。
図5は、四個のダンパー実験モデル20を取り付けた場合である。ダンパー実験モデルの支持具18は、支持架台にネジ19で設けられ、支持具18の両端には、保持部材33と締付けネジ34が設けられている。
ダンパー実験モデルは、捩じ剛性の調整をするために、四個以上のダンパー実験モデル20でモデル化することが好ましい。
ダンパー実験モデル20を設ける位置として、支持具18の両端に設けた場合を示したが、支持具18の両側に設けるようにしてもよい。
ダンパー実験モデル20は、両側の直線部と中間U字型部21bからなる金属線が、二本を1組みとして、その両側の直線部を角形パイプ23に挿入したものであり、二本の金属線の中間U字型部21bが角度差90度で異なる方向に配置されているものである。
ダンパー実験モデル20は、二本の金属線を1組みとして両側の直線部を挿入した一方の角形パイプ23を支持具18の端部に保持部材33で挟持しネジ34で締付け固定し、もう一方のパイプ23は、図示していない床プレートの下面に、例えばパテによって固定して取付けるものである。
【0017】
図6に示すように、ダンパー実験モデルとしての金属線21は、両側の直線部21aと中間のU字型部21bからなるもので、曲げ加工により成形するものである。歪硬化が生じるような材料については、精度よく再現性をもたせるために、焼なましなどの熱処理により歪を除去して用いることが好ましい。
ダンパー実験モデルの金属線21の弾性剛性および降伏荷重(または、降伏変位)が、実建物に設置されているダンパーと相似になるように、材料を選択し、また金属線の径や中間のU字型部の形状(図6のd、S、L、r)を定めるものである。
【0018】
実建物に設置されている鉛ダンパーの実験モデルとしては、鉛線が好ましく、例えば、ダンパー実験モデルの降伏変位を1mmとするとき、両側の直線部21aと中間U字型部21bからなる鉛線は、d:0.5〜0.8mm、S:3〜5mm、L:2〜4mmに曲げ加工する。
実建物に設置されている鋼棒ダンパーの実験モデルとしては、アルミニウム線が好ましい。アルミニウム線は一般に冷間線引加工で製造されているので、焼なまし熱処理を行ってから曲げ加工し、さらに曲げ加工後に焼なましなどの熱処理により歪を除去することが好ましい。例えば、ダンパー実験モデルの降伏変位を1mmとするとき、両側の直線部21aと中間U字型部21bからなるアルミニウム線は、d:0.3〜0.7mm、S:6〜9mm、L:2〜4mmに曲げ加工する。
【0019】
なお、ダンパー実験モデルとして、中間にU字型部を設けていない直線のみの金属線を用いることについても検討したが、直線のみの実験モデルで実建物に設置されているダンパーの弾性剛性および降伏荷重と相似になるようにするには、鉛ダンパーの実験モデルとして直径1mm、長さ27mmというような長い金属線を用いなければらず、縮尺模型全体からみてダンパーの実験モデルが長く、バランスがとれず、風洞実験には適さないものであった。そこで金属線の中間にU字型部を形成したものを用いて、金属線の弾性剛性および降伏荷重(または、降伏変位)が、実建物に設置されているダンパーと相似になるようにした。また、両側の直線部と中間U字型部からなる金属線のダンパー実験モデルは、自由振動時の復元力特性についても実建物に設置されているダンパーと相似に特性を示すものであった。
【0020】
図7(a)〜(d)は、ダンパー実験モデルとしての金属線の両側の直線部をパイプに挿入している場合の実施形態を示すものである。図7(a)〜(d)の(イ)は側面図、(ロ)は断面図である。
図7(a)は、ダンパー実験モデルとしての金属線が一本の場合で、両側の直線部21aが、角形のパイプ22に挿入しているものである。
図7(b)は、二本の金属線が1組みにっているダンパー実験モデルで、二本の金属線の中間U字型部21bが角度差90度の異なる方向に配置されているものであり、直線部21aが、角形のパイプ23に挿入しているものである。
図7(c)は、三本の金属線が1組みにっているダンパー実験モデルで、三本の金属線の中間U字型部21bが、それぞれ角度差90度の異なる方向に配置されているものであり、直線部21aが、角形のパイプ24に挿入しているものである。
図7(d)は、四本の金属線が1組みにっているダンパー実験モデルで、四本の金属線の中間U字型部21bが、それぞれ角度差90度の異なる方向に配置され放射状になっているものであり、直線部21aが、角形のパイプ25に挿入しているものである。
ダンパー実験モデルとしての金属線の直線部を挿入する角形のパイプとして、例えば1.5mm角(板厚0.25mm)の真鍮パイプを用い、この真鍮パイプ内に金属線の直線部を10mm程度挿入しするものである。
【0021】
このように、金属線の両側の直線部をパイプに挿入することにより、ダンパー実験モデルとしての小さくて細い金属線をその支持具や建物模型の床プレートに容易に取り付けることができ、また端部(金属線の両側の直線部)の固定条件を満足なものとすることができ、金属線の中間U字型部の配設された方向を安定させることができる。
また、金属線の両側の直線部をパイプに挿入することにより、ダンパー実験モデルとしての金属線は、その直線部では剛性が保たれ、金属線の中間のU字型部の弾性剛性および降伏荷重(または、降伏変位)により、実建物に設置されているダンパーと相似になるようにするものである。
なお、両側の直線部をパイプに挿入されているダンパー実験モデルの金属線は、降伏変形する際、直線部では剛性が保たれ、U字型部のパイプ近傍が塑性域に達した領域であった。
【0022】
図8は、ダンパー実験モデルの支持具について、もう1つの実施形態を示す斜視図である。ダンパー実験モデルの支持具18は、中央の箱型部30に、板部材31と32が摺動可能に挿入されているものである。板部材31と32には、保持部材33と締付けネジ34が設けられおり、ダンパー実験モデル20は、その一方の直線部を挿入したパイプ23を保持部材33で挟持しネジ34で固定さるものである。
箱型部30に摺動可能に設けられている板部材31と32を伸縮させることにより、ダンパー実験モデル20の位置を調整できるようにしたものであるできるようにしたものである。ネジ35は中央の箱型30に板部材31と32を締め付け固定するものである。
【0023】
【実施例】
本発明の実施例について、図1、図6、図9及び図10を参照して説明する。図9は、図1に示した実建物に相似な縮尺建物模型を四角形のプレートに設け、これを支持架台に載置した状態の側面図、図10はその平面図である。
図1、図9及び図10に示した、支持架台10、バネ支持枠11a〜14b及び空気噴出口17を有する支持台16、及びダンパー実験モデル20とその支持具18は、図1〜図6と同様の構成である。
【0024】
図1、図9及び図10に示した建物模型1は、四角形の床プレート2と上部プレート3を4本の柱部材5で支え、模型外装4で実建物と相似にモデル化したものについて、風洞実験を行った。
建物模型1は、高さ=0.197m、幅(長辺)=0.455m、奥行(短辺)=0.160m、総重量=36.4Nのものである。
この建物模型1は、地上8階、地下2階で、免震部材は地下2階と地下1階の間に設けられており、高さ約39m、その平面形状は幅(長辺)約90m、奥行(短辺)約32m、総重量=291,000,000Nで、L字型の形状をしている実建物と相似な1/200の縮尺模型である。
【0025】
また、実建物の地下2階と地下1階の間に設けられている免震部材は、天然ゴム系の積層ゴムアイソレーター、鉛ダンパー、鋼棒ダンパーが用されているものである。この実建物において免震部材の終局限界変形は420mmに設計されているものであるが、実施例の実験装置では1mmを想定した。
なお、この実建物は、既に建設されているもので、免震部材の性能や風力に対する応答は、その設計書などから明らかなものであり、本発明の免震建物の風洞実験装置による実験結果を、この既存の実建物のものと比較して、風に対する変位などのを評価、予測することができることを示すものである。
【0026】
図1、図9及び図10に示した風洞実験装置では、実建物の天然ゴム系の積層ゴムアイソレーターの実験モデルとして、建物模型の床プレート2の短辺をバネ支持枠11a、11bの引張バネ15及びバネ支持枠12a、12bの引張バネ15で引張り、また床プレート2の長辺をバネ支持枠13a、13bの引張バネ15及びバネ支持枠14a、14bの引張バネ15で引張り水平方向支持し、さらに、支持台16の噴出口17よりの空気圧で上部構造を設けた四角形のプレート2を鉛直方向支持した。
【0027】
また、実建物の鉛ダンパーの実験モデルとして、図6に示すような、両側の直線部21aと中間U字型部21bに曲げ加工した、直径d=0.65mm、S=4mm、L=3mmの鉛線を用い、二本の鉛線の中間U字型部21bが角度差90度で異なる方向になるように配置し、二本の鉛線の直線部21aを1.5mm角(板厚0.25mm)の真鍮パイプ23に挿入して、支持具18と床プレート2に取付けた。
このように、実建物と相似な縮尺建物模型1を支持架台10に載置し、送風機(図示していない)により送風して、風力に対する建物模型1の応答をレーザー変位計9で計測した。その結果、自由振動波形から求めた固有振動モードは、概ね初期剛性時の実建物の振動モードと一致し、免震部材の層せん断力と変位の関係も、実建物の復元力特性に概ね一致したものであり、このような鉛線が実建物に用いられる免震部材に相似な模型用の鉛ダンパーの実験モデルであることを確認した。
【0028】
また、実建物の鋼棒ダンパーの実験モデルとして、図6に示すように、両側の直線部21aと中間のU字型部21bに曲げ加工した、直径d=0.5mm、S=7mm、L=3mmのアルミニウム線を用い、二本のアルミニウム線の中間U字型部21bが角度差90度で異なる方向になるように配置し、二本のアルミニウム線の直線部21aを1.5mm角(板厚0.25mm)の真鍮パイプ23に挿入して、支持具18と床プレート2に取付けた。
このように、実建物と相似な縮尺建物模型1を支持架台10に載置し、送風機(図示していない)により送風して、風力に対する建物模型1の応答をレーザー変位計9で計測した。その結果、自由振動波形から求めた固有振動モードは、概ね初期剛性時の実建物の振動モードと一致し、免震部材の層せん断力と変位の関係も、実建物の復元力特性に概ね一致したものであり、このようなアルミニウム線が実建物に用いられる免震部材に相似な模型用の鋼棒ダンパーの実験モデルであることを確認した。
【0029】
また、鉛ダンパーの実験モデルとして、両側の直線部21aと中間U字型部21bに曲げ加工した鉛線を用い、鋼棒ダンパーの実験モデルとして、両側の直線部21aと中間のU字型部21bに曲げ加工したアルミニウム線を用い、この二種類のダンパー実験モデルを取付けた場合にも、免震部材に相似な模型用のダンパー実験モデルとして、振動モード及び復元力特性は概ね一致したものであった。
【0030】
【発明の効果】
以上に述べように、本発明の免震建物の風洞実験装置によれば、建物模型の床プレートをバネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持してアイソレーターの実験モデルとすることにより、風に応答したスムーズな作動が得られ、実際のアイソレーターの作動が風洞実験で再現でき、風の応答を精度よく予測できるという効果を有する。また建物模型の床プレートをバネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持してアイソレーターの実験モデルとし、さらに両側の直線部と中間U字型部からなる金属線をダンパー実験モデルを取り付けることにより、風に応答してたダンパーの特性が応答に反映され、実際のアイソレーターやダンパーの作動が風洞実験で再現でき、風の応答を精度よく予測できるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図
【図2】本発明の実施形態の風洞実験装置の支持架台の側面図
【図3】本発明の実施形態の風洞実験装置の支持架台の平面図
【図4】本発明の実施形態の支持台を示す図
【図5】本発明の実施形態のダンパー実験モデルと支持具の斜視図
【図6】本発明の実施形態のダンパー実験モデルを示す図
【図7】本発明の実施形態のダンパー実験モデルを示す図
【図8】本発明のもう1つの実施形態のダンパー実験モデルの支持具の斜視図
【図9】本発明の実施例を示す図
【図10】本発明の実施例を示す図
【図11】従来技術を示す図
【図12】従来技術を示す図
【符号の説明】
1 建物模型
2 床プレート
3 上部プレート
4 模型外装
5 柱部材
9 レーザー変位計
10 支持架台
11a〜14b 支持枠
15 バネ
16 支持台
17 空気噴出口
18 ダンパー実験モデルの支持具
20 ダンパー実験モデル
21 ダンパー実験モデルの金属線
21a 直線部
21b 中間U字型部
22〜25 パイプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、風力に対する免震建物の変位などの応答を予測するために、実建物と相似な縮尺模型を用いた免震建物の風洞実験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建物の風による荷重を予測する風洞実験として、多質点弾性模型による風洞実験が知られている。
一方、近年、大地震時における建築物の安全性や機能保持に対する要求が高まっており、建物の構造耐力上の安全性や建物内に設置される機器・設備などの移動や転倒等を少なくするために、アイソレーターやダンパーを設けた免震建物が普及しているが、従来の多質点弾性模型による風洞実験では、アイソレーターやダンパーを設けた免震建物の風に対する変位などの応答を把握し予測することができなかった。
【0003】
そこで、本発明者らは、図11(a)の平面図、(b)の側面図に示すように、実建物と相似な建物模型1のプレート2を支持架台10の支持部材40及び支持部材41のロードセル42に載置して風洞実験を行い、風荷重をロードセル42やレーザー変位計9で計測して、免震建物の風力に対する応答の予測について検討を行ったが、アイソレーターなどを設けた免震建物の風に対する変位などを評価、予測することができなかった。
また、図12(a)の平面図、(b)の側面図に示すように、実建物と相似な建物模型1のプレート2を支持架台10の支持部材47及びベアリング48に載置して建物模型の自重をベアリング48で支持し、かつプレート2の各辺を支持部材45に引張バネ46で水平方向に支持して風洞実験を行い、風に対する変位をレーザー変位計9で計測して、風力に対する免震建物の変位などの応答について検討を行ったが、建物模型の自重を支持するベアリングの摩擦が大きくてスムーズな動作が得られず、アイソレーターなどを設けた免震建物の風に対する変位などの応答を予測することができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような課題を解決し、アイソレーターやダンパーを設けた免震建物の風に対する変位などの応答を精度よく予測できる風洞実験装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、実建物と相似な縮尺模型の床プレートを支持架台に載置し、風力に対する模型の応答を変位計で計測する免震建物の風洞実験装置であって、支持架台には、バネとその支持枠及び空気噴出口を有する支持台が設けられており、前記バネとその支持枠は、縮尺模型の床プレート各辺の対向位置に設けられ、前記の空気噴出口を有する支持台は、縮尺模型の床プレートの載置位置に設けられているものであり、前記床プレートは、その各辺をぞれぞれ複数本の引張バネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持することによりアイソレーター実験モデルとすることを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、実建物と相似な縮尺模型の床プレートを支持架台に載置し、風力に対する模型の応答を変位計で計測する免震建物の風洞実験装置であって、支持架台には、バネとその支持枠、空気噴出口を有する支持台及びダンパー実験モデルとその支持具が設けられており、前記バネとその支持枠は、縮尺模型の床プレート各辺の対向位置に設けられ、前記の空気噴出口を有する支持台は、縮尺模型の床プレートの載置位置に設けられているものであり、前記床プレートは、その各辺をぞれぞれ複数本の引張バネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持することによるアイソレーター実験モデルとし、両側の直線部と中間U字型部からなる金属線をその支持具と縮尺模型の床プレートの下面に取付けてダンパー実験モデルとすることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の上記の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、バネ支持枠が支持架台に設置位置を調整可能に設けられていることを特徴とするものである。
また、本発明の上記の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、ダンパー実験モデルの両側の直線部と中間U字型部からなる金属線が、その両側の直線部をパイプに挿入し、パイプを支持具と縮尺模型床プレートの下面への取付けられていることを特徴とするものである。
また、本発明の上記の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、ダンパー実験モデルの両側の直線部と中間U字型部からなる金属線が、複数本を1組みとしてその両側の直線部をパイプに挿入したもので、複数本の金属線の中間U字型部を異なる方向に配置されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の上記の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、両側の直線部と中間U字型部から金属線のダンパー実験モデルが、鉛ダンパーの実験モデルとして鉛線を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の上記の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置は、両側の直線部と中間U字型部からなる金属線のダンパー実験モデルが、鋼棒ダンパーの実験モデルとしてアルミニウム線を用いることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
本発明の免震建物の風洞実験装置は、実建物と相似な縮尺模型の床プレートの各辺をぞれぞれ複数本の引張バネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持してアイソレーターの実験モデルとすることにより、風に応答したスムーズな作動が得られ、実際のアイソレーターの作動が風洞実験で再現でき、風の応答を精度よく予測することができるものである。
【0010】
また、本発明の免震建物の風洞実験装置は、実建物と相似な縮尺模型の床プレートの各辺をぞれぞれ複数本の引張バネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持してアイソレーターの実験モデルとし、かつ両側の直線部と中間U字型部からなる金属線をその支持具と縮尺模型の床プレートの下面に取付けてダンパー実験モデルとすることにより、風に応答したスムーズな作動が得られ、かつダンパーの特性が応答に反映され、実際のアイソレーターやダンパーの作動が風洞実験で再現でき、風の応答を精度よく予測することができるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1〜図8に示して説明する。
図1は本発明の実施形態を示す斜視図、図2は本発明の実施形態の風洞実験装置の支持架台を示す側面図、図3は本発明の実施形態の風洞実験装置の支持架台を示す平面図、図4(a)(b)は本発明の実施形態の支持台を示す側面図と平面図、図5は本発明の実施形態のダンパー実験モデルとその支持具を示す斜視図、図6及び図7は本発明の実施形態のダンパー実験モデルを示す図、図8は本発明のもう1つの実施形態のダンパー実験モデルの支持具を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、免震建物の風洞実験装置は、実建物と相似な縮尺建物模型1を、支持架台10に載置し、送風機(図示していない)により送風して、風力に対する建物模型1の応答をレーザー変位計9で計測するものである。
なお、レーザー変位計9を支持架台10に載置した場合を図示したが、レーザー変位計9は適宜の位置に設置するものである。また、風力に対する建物模型の応答の計測は、建物模型1に加速度計を設置して行ってもよい。
建物模型1は、四角形の床プレート2と上部プレート3を4本の柱部材5で支え、模型外装4で実建物と相似にモデル化したものである。
まず、図1〜図3で風洞実験装置の支持架台について説明する。
支持架台10には、バネ15とその支持枠11a〜14b及び空気噴出口17を有する支持台16が設けられており、さらにダンパー実験モデル20とその支持具18が設けられている。
【0013】
支持枠11a〜14bは、縮尺模型の四角形の床プレート2の各辺と対向した位置に設けられている。
支持枠11a、11b及び支持枠12a、12bは、引張バネ15を四角形の床プレート2の短辺に係着し、また支持枠13a、13b及び支持枠14a、14bは、引張バネ15を四角形の床プレート2の長辺に係着して四角形の床プレート2の各辺を引張って水平方向に支持するものである。
このように、四角形の床プレート2の短辺、長辺の各辺を複数本、例えば二本の引張バネ15で水平方向支持することにより、アイソレーター実験モデルとして、建物模型1の捩じ剛性を実建物と相似にすることができるものである。
【0014】
四角形の床プレート2の各辺に係着される二本の引張バネ15は、建物模型1の剛心Gからほぼ等しい距離に係着するようにすることが好ましい。
また、支持枠11a〜14bは、支持架台10にネジ19(図2に示す)で着脱自在に取り付けられており、二つの支持枠11aと11bの間隔を容易に調整できるように設けられている。二つのバネ支持枠12aと12b、13aと13b、14aも同様に設けられている。これにより、二本の引張バネ15が、建物模型1の剛心Gからほぼ等しい距離になるように調整することができる。
【0015】
支持台16は、四角形の床プレート2の載置位置に、すなわち床プレート2の下側になるように支持架台10に設けられている。
図4(a)(b)に示すように、部材16aを支持架台10にネジ19で取り付け、そこに支持台16を設けている。ネジ19で着脱自在に取り付けられており、その位置を調整できるものである。なお、部材16aを用いずに支持架台10に支持台16を設けてもよい。
支持台16には空気噴出口17が設けられており、管17aで接続されたコンプレッサーから矢印のように空気が送られて、支持台16の噴出口17より噴出する空気圧で建物模型の床プレート2を鉛直方向に絶縁して支持するものである。
四個の支持台16で建物模型の床プレート2を鉛直方向に支持することが好ましく、四個の支持台16は、建物模型1の重量がバランスしてかかるように配置する。なお、支持台16を四箇所に設けた場合を示したが、これに限るものではなく、建物模型1の重量をバランスさせて床プレート2を鉛直方向に支持するように、適宜の位置に所用の数の支持台16を設けるものである。
【0016】
支持架台10には、そのほぼ中央にダンパー実験モデル20とその支持具18が設けられている。二つのダンパー実験モデル20は建物模型の剛心Gからほぼ等しい距離に取り付けることが好ましい。
ダンパー実験モデルとその支持具について、図5〜図7で説明する。
図5は、四個のダンパー実験モデル20を取り付けた場合である。ダンパー実験モデルの支持具18は、支持架台にネジ19で設けられ、支持具18の両端には、保持部材33と締付けネジ34が設けられている。
ダンパー実験モデルは、捩じ剛性の調整をするために、四個以上のダンパー実験モデル20でモデル化することが好ましい。
ダンパー実験モデル20を設ける位置として、支持具18の両端に設けた場合を示したが、支持具18の両側に設けるようにしてもよい。
ダンパー実験モデル20は、両側の直線部と中間U字型部21bからなる金属線が、二本を1組みとして、その両側の直線部を角形パイプ23に挿入したものであり、二本の金属線の中間U字型部21bが角度差90度で異なる方向に配置されているものである。
ダンパー実験モデル20は、二本の金属線を1組みとして両側の直線部を挿入した一方の角形パイプ23を支持具18の端部に保持部材33で挟持しネジ34で締付け固定し、もう一方のパイプ23は、図示していない床プレートの下面に、例えばパテによって固定して取付けるものである。
【0017】
図6に示すように、ダンパー実験モデルとしての金属線21は、両側の直線部21aと中間のU字型部21bからなるもので、曲げ加工により成形するものである。歪硬化が生じるような材料については、精度よく再現性をもたせるために、焼なましなどの熱処理により歪を除去して用いることが好ましい。
ダンパー実験モデルの金属線21の弾性剛性および降伏荷重(または、降伏変位)が、実建物に設置されているダンパーと相似になるように、材料を選択し、また金属線の径や中間のU字型部の形状(図6のd、S、L、r)を定めるものである。
【0018】
実建物に設置されている鉛ダンパーの実験モデルとしては、鉛線が好ましく、例えば、ダンパー実験モデルの降伏変位を1mmとするとき、両側の直線部21aと中間U字型部21bからなる鉛線は、d:0.5〜0.8mm、S:3〜5mm、L:2〜4mmに曲げ加工する。
実建物に設置されている鋼棒ダンパーの実験モデルとしては、アルミニウム線が好ましい。アルミニウム線は一般に冷間線引加工で製造されているので、焼なまし熱処理を行ってから曲げ加工し、さらに曲げ加工後に焼なましなどの熱処理により歪を除去することが好ましい。例えば、ダンパー実験モデルの降伏変位を1mmとするとき、両側の直線部21aと中間U字型部21bからなるアルミニウム線は、d:0.3〜0.7mm、S:6〜9mm、L:2〜4mmに曲げ加工する。
【0019】
なお、ダンパー実験モデルとして、中間にU字型部を設けていない直線のみの金属線を用いることについても検討したが、直線のみの実験モデルで実建物に設置されているダンパーの弾性剛性および降伏荷重と相似になるようにするには、鉛ダンパーの実験モデルとして直径1mm、長さ27mmというような長い金属線を用いなければらず、縮尺模型全体からみてダンパーの実験モデルが長く、バランスがとれず、風洞実験には適さないものであった。そこで金属線の中間にU字型部を形成したものを用いて、金属線の弾性剛性および降伏荷重(または、降伏変位)が、実建物に設置されているダンパーと相似になるようにした。また、両側の直線部と中間U字型部からなる金属線のダンパー実験モデルは、自由振動時の復元力特性についても実建物に設置されているダンパーと相似に特性を示すものであった。
【0020】
図7(a)〜(d)は、ダンパー実験モデルとしての金属線の両側の直線部をパイプに挿入している場合の実施形態を示すものである。図7(a)〜(d)の(イ)は側面図、(ロ)は断面図である。
図7(a)は、ダンパー実験モデルとしての金属線が一本の場合で、両側の直線部21aが、角形のパイプ22に挿入しているものである。
図7(b)は、二本の金属線が1組みにっているダンパー実験モデルで、二本の金属線の中間U字型部21bが角度差90度の異なる方向に配置されているものであり、直線部21aが、角形のパイプ23に挿入しているものである。
図7(c)は、三本の金属線が1組みにっているダンパー実験モデルで、三本の金属線の中間U字型部21bが、それぞれ角度差90度の異なる方向に配置されているものであり、直線部21aが、角形のパイプ24に挿入しているものである。
図7(d)は、四本の金属線が1組みにっているダンパー実験モデルで、四本の金属線の中間U字型部21bが、それぞれ角度差90度の異なる方向に配置され放射状になっているものであり、直線部21aが、角形のパイプ25に挿入しているものである。
ダンパー実験モデルとしての金属線の直線部を挿入する角形のパイプとして、例えば1.5mm角(板厚0.25mm)の真鍮パイプを用い、この真鍮パイプ内に金属線の直線部を10mm程度挿入しするものである。
【0021】
このように、金属線の両側の直線部をパイプに挿入することにより、ダンパー実験モデルとしての小さくて細い金属線をその支持具や建物模型の床プレートに容易に取り付けることができ、また端部(金属線の両側の直線部)の固定条件を満足なものとすることができ、金属線の中間U字型部の配設された方向を安定させることができる。
また、金属線の両側の直線部をパイプに挿入することにより、ダンパー実験モデルとしての金属線は、その直線部では剛性が保たれ、金属線の中間のU字型部の弾性剛性および降伏荷重(または、降伏変位)により、実建物に設置されているダンパーと相似になるようにするものである。
なお、両側の直線部をパイプに挿入されているダンパー実験モデルの金属線は、降伏変形する際、直線部では剛性が保たれ、U字型部のパイプ近傍が塑性域に達した領域であった。
【0022】
図8は、ダンパー実験モデルの支持具について、もう1つの実施形態を示す斜視図である。ダンパー実験モデルの支持具18は、中央の箱型部30に、板部材31と32が摺動可能に挿入されているものである。板部材31と32には、保持部材33と締付けネジ34が設けられおり、ダンパー実験モデル20は、その一方の直線部を挿入したパイプ23を保持部材33で挟持しネジ34で固定さるものである。
箱型部30に摺動可能に設けられている板部材31と32を伸縮させることにより、ダンパー実験モデル20の位置を調整できるようにしたものであるできるようにしたものである。ネジ35は中央の箱型30に板部材31と32を締め付け固定するものである。
【0023】
【実施例】
本発明の実施例について、図1、図6、図9及び図10を参照して説明する。図9は、図1に示した実建物に相似な縮尺建物模型を四角形のプレートに設け、これを支持架台に載置した状態の側面図、図10はその平面図である。
図1、図9及び図10に示した、支持架台10、バネ支持枠11a〜14b及び空気噴出口17を有する支持台16、及びダンパー実験モデル20とその支持具18は、図1〜図6と同様の構成である。
【0024】
図1、図9及び図10に示した建物模型1は、四角形の床プレート2と上部プレート3を4本の柱部材5で支え、模型外装4で実建物と相似にモデル化したものについて、風洞実験を行った。
建物模型1は、高さ=0.197m、幅(長辺)=0.455m、奥行(短辺)=0.160m、総重量=36.4Nのものである。
この建物模型1は、地上8階、地下2階で、免震部材は地下2階と地下1階の間に設けられており、高さ約39m、その平面形状は幅(長辺)約90m、奥行(短辺)約32m、総重量=291,000,000Nで、L字型の形状をしている実建物と相似な1/200の縮尺模型である。
【0025】
また、実建物の地下2階と地下1階の間に設けられている免震部材は、天然ゴム系の積層ゴムアイソレーター、鉛ダンパー、鋼棒ダンパーが用されているものである。この実建物において免震部材の終局限界変形は420mmに設計されているものであるが、実施例の実験装置では1mmを想定した。
なお、この実建物は、既に建設されているもので、免震部材の性能や風力に対する応答は、その設計書などから明らかなものであり、本発明の免震建物の風洞実験装置による実験結果を、この既存の実建物のものと比較して、風に対する変位などのを評価、予測することができることを示すものである。
【0026】
図1、図9及び図10に示した風洞実験装置では、実建物の天然ゴム系の積層ゴムアイソレーターの実験モデルとして、建物模型の床プレート2の短辺をバネ支持枠11a、11bの引張バネ15及びバネ支持枠12a、12bの引張バネ15で引張り、また床プレート2の長辺をバネ支持枠13a、13bの引張バネ15及びバネ支持枠14a、14bの引張バネ15で引張り水平方向支持し、さらに、支持台16の噴出口17よりの空気圧で上部構造を設けた四角形のプレート2を鉛直方向支持した。
【0027】
また、実建物の鉛ダンパーの実験モデルとして、図6に示すような、両側の直線部21aと中間U字型部21bに曲げ加工した、直径d=0.65mm、S=4mm、L=3mmの鉛線を用い、二本の鉛線の中間U字型部21bが角度差90度で異なる方向になるように配置し、二本の鉛線の直線部21aを1.5mm角(板厚0.25mm)の真鍮パイプ23に挿入して、支持具18と床プレート2に取付けた。
このように、実建物と相似な縮尺建物模型1を支持架台10に載置し、送風機(図示していない)により送風して、風力に対する建物模型1の応答をレーザー変位計9で計測した。その結果、自由振動波形から求めた固有振動モードは、概ね初期剛性時の実建物の振動モードと一致し、免震部材の層せん断力と変位の関係も、実建物の復元力特性に概ね一致したものであり、このような鉛線が実建物に用いられる免震部材に相似な模型用の鉛ダンパーの実験モデルであることを確認した。
【0028】
また、実建物の鋼棒ダンパーの実験モデルとして、図6に示すように、両側の直線部21aと中間のU字型部21bに曲げ加工した、直径d=0.5mm、S=7mm、L=3mmのアルミニウム線を用い、二本のアルミニウム線の中間U字型部21bが角度差90度で異なる方向になるように配置し、二本のアルミニウム線の直線部21aを1.5mm角(板厚0.25mm)の真鍮パイプ23に挿入して、支持具18と床プレート2に取付けた。
このように、実建物と相似な縮尺建物模型1を支持架台10に載置し、送風機(図示していない)により送風して、風力に対する建物模型1の応答をレーザー変位計9で計測した。その結果、自由振動波形から求めた固有振動モードは、概ね初期剛性時の実建物の振動モードと一致し、免震部材の層せん断力と変位の関係も、実建物の復元力特性に概ね一致したものであり、このようなアルミニウム線が実建物に用いられる免震部材に相似な模型用の鋼棒ダンパーの実験モデルであることを確認した。
【0029】
また、鉛ダンパーの実験モデルとして、両側の直線部21aと中間U字型部21bに曲げ加工した鉛線を用い、鋼棒ダンパーの実験モデルとして、両側の直線部21aと中間のU字型部21bに曲げ加工したアルミニウム線を用い、この二種類のダンパー実験モデルを取付けた場合にも、免震部材に相似な模型用のダンパー実験モデルとして、振動モード及び復元力特性は概ね一致したものであった。
【0030】
【発明の効果】
以上に述べように、本発明の免震建物の風洞実験装置によれば、建物模型の床プレートをバネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持してアイソレーターの実験モデルとすることにより、風に応答したスムーズな作動が得られ、実際のアイソレーターの作動が風洞実験で再現でき、風の応答を精度よく予測できるという効果を有する。また建物模型の床プレートをバネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持してアイソレーターの実験モデルとし、さらに両側の直線部と中間U字型部からなる金属線をダンパー実験モデルを取り付けることにより、風に応答してたダンパーの特性が応答に反映され、実際のアイソレーターやダンパーの作動が風洞実験で再現でき、風の応答を精度よく予測できるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図
【図2】本発明の実施形態の風洞実験装置の支持架台の側面図
【図3】本発明の実施形態の風洞実験装置の支持架台の平面図
【図4】本発明の実施形態の支持台を示す図
【図5】本発明の実施形態のダンパー実験モデルと支持具の斜視図
【図6】本発明の実施形態のダンパー実験モデルを示す図
【図7】本発明の実施形態のダンパー実験モデルを示す図
【図8】本発明のもう1つの実施形態のダンパー実験モデルの支持具の斜視図
【図9】本発明の実施例を示す図
【図10】本発明の実施例を示す図
【図11】従来技術を示す図
【図12】従来技術を示す図
【符号の説明】
1 建物模型
2 床プレート
3 上部プレート
4 模型外装
5 柱部材
9 レーザー変位計
10 支持架台
11a〜14b 支持枠
15 バネ
16 支持台
17 空気噴出口
18 ダンパー実験モデルの支持具
20 ダンパー実験モデル
21 ダンパー実験モデルの金属線
21a 直線部
21b 中間U字型部
22〜25 パイプ
Claims (7)
- 実建物と相似な縮尺模型の床プレートを支持架台に載置し、風力に対する模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置であって、支持架台には、バネとその支持枠及び空気噴出口を有する支持台が設けられており、前記バネとその支持枠は、縮尺模型の床プレート各辺の対向位置に設けられ、前記の空気噴出口を有する支持台は、縮尺模型の床プレートの載置位置に設けられているものであり、前記床プレートは、その各辺をぞれぞれ複数本の引張バネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持することによりアイソレーター実験モデルとすることを特徴とする風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置。
- 実建物と相似な縮尺模型の床プレートを支持架台に載置し、風力に対する模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置であって、支持架台には、バネとその支持枠、空気噴出口を有する支持台及びダンパー実験モデルとその支持具が設けられており、前記バネとその支持枠は、縮尺模型の床プレート各辺の対向位置に設けられ、前記の空気噴出口を有する支持台は、縮尺模型の床プレートの載置位置に設けられているものであり、前記床プレートは、その各辺をぞれぞれ複数本の引張バネで水平方向に支持し、支持台噴出口の空気圧で鉛直方向に支持することによるアイソレーター実験モデルとし、両側の直線部と中間U字型部からなる金属線をその支持具と縮尺模型の床プレートの下面に取付けてダンパー実験モデルとすることを特徴とする風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置。
- バネ支持枠が、支持架台に設置位置を調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置。
- ダンパー実験モデルの両側の直線部と中間U字型部からなる金属線は、その両側の直線部をパイプに挿入し、パイプを支持具と縮尺模型床プレートの下面への取付けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置。
- ダンパー実験モデルの両側の直線部と中間U字型部からなる金属線は、複数本を1組みとしてその両側の直線部をパイプに挿入したもので、複数本の金属線の中間U字型部を異なる方向に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置。
- 両側の直線部と中間U字型部から金属線のダンパー実験モデルが、鉛ダンパーの実験モデルとして鉛線を用いることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置。
- 両側の直線部と中間U字型部からなる金属線のダンパー実験モデルが、鋼棒ダンパーの実験モデルとしてアルミニウム線を用いることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の風力に対する建物模型の応答を計測する免震建物の風洞実験装置。
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