JP2004052155A - ポリ乳酸捲縮糸 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、捲縮糸の製造並びにカーペット製品を製造するときの工程通過性とカーペット製品としての使用時に要求される物性との両立を可能としたポリ乳酸捲縮糸を提供せんとするものである。
【解決手段】本発明のポリ乳酸捲縮糸は、相対粘度が9〜22のポリ乳酸ポリマより構成され、総繊度が600〜2500dtex、引張り強度が1.0〜3.0cN/dtex、かつ沸騰水処理後の伸長率が3〜15%、糸−金属動摩擦係数が0.4以下であることを特徴とするものである。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のポリ乳酸捲縮糸は、相対粘度が9〜22のポリ乳酸ポリマより構成され、総繊度が600〜2500dtex、引張り強度が1.0〜3.0cN/dtex、かつ沸騰水処理後の伸長率が3〜15%、糸−金属動摩擦係数が0.4以下であることを特徴とするものである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸ポリマを用いた捲縮糸に関する。さらに詳しくは製糸性が良く、カーペットのパイルに用いたときにバルキー性に優れ、かつ加工時の工程通過性に優れたポリ乳酸捲縮糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸ポリマは、石油由来でなくても合成が可能であり、またポリマが生分解性を有するために、環境に優しいポリマとして注目を集めている。さらにポリ乳酸は、その優れた加工性から、繊維、フィルム、成型体の様々な形状での展開が試みられている。
【0003】
ポリ乳酸繊維に関しては、フィラメント、不織布など多くの提案があり、土木資材、おむつなどの日用品、漁網や釣り糸などの産業資材などへの展開が進められている。
【0004】
特許第3150217号公報では、適度な親水性と疎水性を有し,かつ機械的強度,寸法安定性,柔軟性が優れた生分解性短繊維不織布の提案がなされている。この特許は、乾燥条件下のみならず吸水・湿潤条件下においても優れた機械的特性を有し,かつ乾燥・湿潤の繰り返し時においても収縮が極めて小さく寸法安定性が優れた生分解性短繊維不織布を提供するものであるが、短繊維のみに関するものであり、カーペット等に用いられるフィラメントのパイルに関しては触れられていない。
【0005】
一方、カーペットは、生活空間において実用的にクッション性や暖かさを与えたりすることで、快適な生活を手助けするとともにインテリアとして安らぎを与える作用を持ち、様々な場所で使用されている。このように我々の生活の必需品となり大量に使用されているものの、嵩が大きいこと、回収が容易でないこともあり今後、リサイクルや回収・分解再使用等が望まれている製品である。この点からカーペットを構成するパイルに、生分解性を有し成形性に優れ、かつ比較的安価に入手可能なポリ乳酸を使用しようという試みはなされている。
【0006】
一方、ポリ乳酸捲縮糸は、その剛性の高さの点から粗剛感が強すぎるため、マット等に要求される柔軟でソフトな風合いが得られにくいばかりか、マットとしてのソフト感を得るために、ポリ乳酸捲縮糸の単糸を細繊度化しようとすると、製糸工程において単糸切れを起こしやすくなるという問題もある。また耐摩耗性が悪いため金属等との擦過や単糸同士の擦過でも容易に白粉の発生やフィブリル化が生じる問題があり、製糸、高次加工等の工程改善が望まれている。
【0007】
さらに、特にマット等の表糸であるパイル糸として適した捲縮特性を得ようとする場合には、ポリ乳酸フィラメントに流体捲縮を付与する直前に、一定の延伸倍率にて延伸する必要があるが、この際に単糸の延伸時糸切れが頻発したり、加熱流体捲縮装置内で糸切れを生じる問題があった。
【0008】
一般にポリ乳酸ポリマは脂肪族ポリエステルの一種であるため、その剛性の高さの点から粗剛感が強すぎ、該捲縮糸を用いてカーペットを作製した場合柔軟でソフトな風合いが得られにくい。そのため、単糸を細繊度化しようとすると、捲縮がかかりにくいばかりかフィラメントの製糸工程において単糸切れを起こしやすくなる問題を生じていた。
【0009】
またポリ乳酸捲縮糸は、上述のようにポリエステルの一種であるため、へたり易く高捲縮になりにくいとともに、高捲縮にするために捲縮の熱処理を強くするとポリマが比較的低い融点を持っているためや、分子量が高い一方で脂肪族ポリエステルであるために物理特性である強伸度が低下しやすく強度と捲縮特性を両立させることが困難であった。
【0010】
同様に分子量が高いことや初期弾性率が高いことに起因し糸−糸摩擦や糸−金属摩擦が高く、製糸工程以降、カーペットを製造するまでの工程において、フィブリル化しやすく、往々にして毛羽や糸切れを多発する場合があった。
【0011】
さらにまたポリ乳酸捲縮糸においては、その特徴である生分解性に関係し加水分解しやすいため、製品の製造中にまたは製品となってからの使用時に物性が大きく低下する現象が確認される場合があり改善が求められている。しかしこれらの懸念点に関しては、前述の公報や文献を含めても解決されていない。
【0012】
特開平6−240515号公報では、カーペット用捲縮糸としてポリエステル繊維の連続繊維を2種以上の繊維から構成し、該構成繊維の少なくとも2種の間に可撓性の連鎖の含有率の差を与え、筋状のむらを認識し難くする提案がなされている。しかし該提案では、2種以上のポリエステルを使用する必要があり、ポリ乳酸単独の捲縮糸ではなく、さらに捲縮糸として重要な引張り強度と伸長率などの捲縮については何ら記載されていない。また工程通過性に関与する摩擦特性についても何ら触れられていない。
【0013】
また、特開平7−11516号公報には、ポリエステル製捲縮繊維として、温度190℃、剪断速度1,000sec−1における溶融粘度が1.0×102 〜1.0×104 ポイズであり、融点が70〜190℃である脂肪族ポリエステルを主成分として押出成形されてなる捲縮繊維の提案がある。しかし該ポリエステル製捲縮糸は、グリコール類と多塩基酸(またはその酸無水物)とから合成されるポリエステルを主成分とするものであり、さらには、分子量を高くするため、両端にヒドロキシル基を有する、比較的高分子量のポリエステルプレポリマーを選び、カップリング剤により、さらに反応させたものでありポリ乳酸についての記載は全くない。
【0014】
さらにまた、特許第3015852号公報では、糸条体自体に機能性を付与して効果の持続性を確保すると共に、近年のエコロジーの要求を満足できる生分解可能な繊維を用いた生分解型機能性糸、及び該繊維若しくは糸を用いた生分解型機能性布帛に関する提案がなされている。該提案では、ポリ乳酸を用いることも可能であるが、具体的には異型断面糸の表面のくぼみ部に抗菌・消臭・芳香などの機能性付与剤を付着させる提案であり、実用上重要な引張り強度や捲縮レベル、また糸の摩擦特性に関する記載は何らされていない。
【0015】
一方、特公平7−81204号公報ではポリ乳酸の物性の向上を目的として、光学活性が異なるポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とのブレンド物を用いることで、力学的性質や熱的性質を大きく改善する提案がなされている。しかしながら、該提案においても、引張り強度と捲縮率の両者に関する記載や摩擦特性に関する記載はされていない。
【0016】
カーギルダウ社のホームページhttp://www.cdpoly.com/pdf/fiberguide.html にはポリ乳酸ポリマを用いたカーペット用捲縮糸の製造に関する情報が記載されている。該文献では、油剤の付着量が1%以下との記載があるが具体的に摩擦特性との関係を記したものではない。さらに文献においても、一般的な捲縮糸の作り方は記載されているものの、具体的に好ましい強度や捲縮特性の値は記載されていない。
【0017】
また、特開2002−105752号報には、カーマットやカーペットへの使用に適した嵩高性を有し、かつ生分解性能を有する生分解性繊維及びその製造方法についての記載があるが、捲縮率についての記載はあるものの工程通過性に関する引張り強度や摩擦特性については何も触れられていない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のポリ乳酸捲縮糸においては、捲縮糸の製糸性並びに捲縮糸を用いてカーペット製品を製造するときの工程通過性と、カーペット製品として使用時に要求される物性との両立を可能としたものは未だ得られていないのが現状であった。
【0019】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、柔軟でソフトな風合いを具備すると共に、カバーリング性、工程通過性および耐久性に優れ、かつ生分解が可能な捲縮糸を提供せんとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、ポリ乳酸ポリマからなる捲縮糸であって、該捲縮糸の相対粘度が9〜22、総繊度が600〜2500デシテックス、沸騰水処理後の捲縮伸長率が3〜15%、糸−金属動摩擦係数が0.4以下であることを特徴とする。
【0021】
なお、本発明のポリ乳酸捲縮糸においては、引張り強度が1.0〜3.0cN/dtexであること、前記ポリ乳酸捲縮糸の油剤の付着量が0.3〜0.7重量%であること、前記ポリ乳酸捲縮糸の単糸繊度が5〜25dtex、でかつ扁平率2〜6の扁平断面を有するかまたは変形度1.5〜5.5のY型断面もしくはY型中空断面であることが、いずれも好ましい態様であり、これらの条件を満たすことによって、さらに優れた効果を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり柔軟でソフトな風合いを具備すると共に、カバーリング性、工程通過性および耐久性に優れ、かつ生分解が可能な捲縮糸について、鋭意検討し、ポリ乳酸捲縮糸において、特定の範囲の粘度と捲縮率を有し、かつ特定の範囲の糸−金属の動摩擦係数を併せ持たせることでかかる課題が解決することを究明したものである。
【0023】
本発明のポリ乳酸捲縮糸においては相対粘度が9〜22、好ましくは11〜20であることが重要である。ここで相対粘度とは、オストワルド粘度計を用いて、オルソクロルフェノール10mlに対し、試料0.3gを溶解した溶液の相対粘度ηrを25℃で測定したものであり、次式で示すものをいう。
【0024】
ηr=t/t0
式中、t:溶液の落下秒数
t0:溶媒(オルソクロルフェノールのみ)の落下秒数
かかる相対粘度が9より小さいと、本発明で必要な強度が得られにくい。また相対粘度が22より高く高粘度であると、曵糸性が劣り、紡糸・延伸が困難となる傾向がある。
【0025】
本発明におけるポリ乳酸捲縮糸は、その総繊度が600〜2500dtexであることが必要で、より好ましくは800〜2000dtexである。600dtex未満では、そのままでカーペット用パイルとしてタフトした場合、実用の目付とするためにステッチを上げる必要が生じ、タフトが困難になる。撚糸を施し諸撚り糸のカットパイルとして使用しても繊度が低すぎて必要以上にゲージやステッチを上げる必要がでてくる。一方、総繊度が2500dtexを越える高繊度であると、製糸工程において、均一な冷却・固化が困難となったり、熱の伝達が十分に行われず、延伸性が著しく低下し、安定な製糸ができなくなる傾向がでてくる。
【0026】
本発明におけるポリ乳酸捲縮糸は、沸騰水処理後の捲縮伸長率が3〜15%であることが必要で、より好ましくは5〜9%である。
【0027】
ここで、沸騰水処理後の捲縮伸長率の測定は次のとおりに行う。
【0028】
室温(20〜35℃)、相対湿度50〜75%の雰囲気中に20時間以上放置されたパッケージから解舒した捲縮糸を、無荷重状態で30分間沸騰水で浸漬処理した後、平衡水分率まで乾燥し、これを沸騰水処理後捲縮糸の試料として使用する。この試料糸に表示dtex×0.0176mN(1.8mg/dtex)の張力を与える初荷重をかけ、30秒経過した後に、試料長50cm(L1)にマーキングをする。次いで、同試料に表示dtex×0.882mN(90mg/dtex)の張力を与える定荷重をかけて、30秒経過後に、伸びた試料長(L2)を測定する。次いで、下記式により、捲縮伸長率(%)を求める。
【0029】
捲縮伸長率(%)=[(L2−L1)/L1]×100
なお、沸騰水処理前に糸条を放置する際の雰囲気条件は、実際のカーペット製造工程において使用される時の捲縮糸状態、つまり、吸湿により捲縮特性が平衡状態に達した状態とするためのものであり、平衡状態に達するのに時間がかかり過ぎず、かつ、結露を生じないという点から採用したものである。
【0030】
かかる捲縮糸の沸騰水処理後の捲縮伸長率が、3%より低いと、捲縮発現が十分でなく、カーペットとしたとき、バルキー性に乏しく、ボリューム感のないカーペットになってしまう。一方、沸騰水処理後の捲縮伸長率が15%より大きい場合、この捲縮特性を得るために捲縮加工時の熱処理を強くする必要があり、結果的に強度が低い捲縮糸しか得られず、後述の摩擦特性が本発明の範囲であったとしても、ガイド類等の擦過により糸切れしやすくなり、工程通過性に劣った糸になってしまう。また、カーペットの使用時に摩耗が激しく単糸が脱落しやすくなる。さらに、捲縮伸長率が高すぎると、非晶部が多くなり、実用に際して経時的に強度劣化が起こりやすくなってしまう。
【0031】
本発明におけるポリ乳酸捲縮糸は、糸−金属動摩擦係数が0.4以下であることが必要であり、より好ましくは0.35以下である。本発明のポリ乳酸ポリマは重合度が高く、紡糸工程で配向しやすい。従って工程中の擦過や摩耗に対して、耐性が低い。このため糸−金属動摩擦係数を0.4以下にする必要がある。
【0032】
0.4以下にする手法は、特に制限がなく、糸表面を高温熱処理するなどして表層部の配向を低くしたり、糸−金属動摩擦係数を低くする油剤を付与することで達成することができる。また別工程で、糸−金属動摩擦係数を低くする処理剤を付与してもよい。中でも操作の容易さ、均一な処理が可能であるなどの点から、低摩擦となる油剤を付与することが好ましく採用される。
【0033】
油剤は主として平滑剤成分・極圧剤成分・界面活性剤成分から構成されるが、それぞれにおいて糸−金属動摩擦係数が低摩擦となるべく成分を選択すればよい。この低摩擦となる油剤の平滑剤成分としては、ポリエーテルポリエステルが好ましく使用される。このポリエーテルポリエステルとしては、平均分子量が好ましくは2000〜15000、より好ましくは3000〜10000であり、かつ、ポリエーテルのジオール化合物と脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化物(但し、平均分子量が600〜6000のポリテトラメチレングリコールと、二塩基酸と一価脂肪酸とからのエステル化物を除く)であるものが好ましく使用される。かかるポリエーテルポリエステルの中でも、二塩基酸の両末端が、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの重合体のようなポリエーテルによってエステル化され、さらにその両末端が一価脂肪酸によってエステル化されてなる化合物のように、一価脂肪酸によるエステル化によって両末端が封鎖されてなるものが特に好ましく使用される。
【0034】
かかるポリエーテルポリエステルの平均分子量が2000未満と小さ過ぎる場合には、油膜の強さが不十分となり、また、分子量が15000を越える場合には、摩擦特性を十分に改善できない傾向がでてくる。
【0035】
さらに、そのポリエーテルポリエステルを構成するポリエーテル成分としては、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの重合体で平均分子量が好ましくは600〜6000、より好ましくは800〜4000であるポリエーテルがよい。その平均分子量が600未満と小さ過ぎる場合には、油膜の強さが不十分となり、また平均分子量が6000を越える場合では、摩擦が大きくなりすぎる場合がある。
【0036】
なお、本発明でいう平均分子量はGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)等で測定される数平均分子量である。
【0037】
また、そのポリエーテルポリエステルを構成するカルボン酸は、脂肪族カルボン酸であることが好ましい。そのカルボン酸として、二塩基酸と一塩基酸とを併用する場合には、その少なくともいずれかが、好ましくは両方が脂肪族カルボン酸であるのが好ましい。上記平滑剤成分は、処理剤全体の30〜100重量%を占めるように、単独または二種以上の併用で使用されるが、上記平滑剤成分以外に、他の平滑剤成分や極圧剤成分、界面活性剤成分等を含んでいてもよく、それらの含有量の合計は、多くとも70重量%とすることが好ましい。
【0038】
その他の平滑剤成分としては、精製スピンドル油、流動パラフィンなどの鉱物油、ヤシ油、ヒマシ油などの植物油、イソステアリルラウレート、オレイルオレート、ジオレイルアジペートなどの高級脂肪酸エステル、ラウリルアルコールのエチレンオキサイド(EO)2モル付加物ラウレート、トリデシルアルコールのEO3モル付加物などのアルキルエーテルエステルおよびワックスなどが挙げられ、なかでも脂肪酸エステルおよびアルキルエーテルエステルが好ましく使用される。その他の平滑剤成分の割合は5〜30重量%、とくに10〜20重量%の範囲が好ましい。
【0039】
極圧剤成分は、処理剤の油膜強度を高める作用を有する成分であり、例えば、オレイン酸石鹸、エルシン酸石鹸などの脂肪酸石鹸、ラウリルホスフェートカリウム塩、オレイルホスフェートナトリウム塩などの有機ホスフェート塩、ラウリルスルフォネートナトリウム塩、及び、ドデシルベンゼンスルフォネートナトリウム塩などの有機スルフォネート塩などがあげられる。
【0040】
その極圧剤成分を配合する場合には、その割合は0.02〜10重量%、特に1〜5重量%の範囲がよい。0.02重量%未満では油膜強度を高めるという作用が十分に発揮されなくなることがある。また、10重量%を越えると粘度上昇が大きくなって滑り性が悪化することがある。
【0041】
また、界面活性剤としては、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物(オクチルアルコールのエチレンープロピオンオキサイド付加物、ステアリルアルコールのエチレン・プロピオンオキサイド付加物、オレイルアルコールのエチレンオキサイド付加物など)、多価アルコールエステルのアルキレンオキサイド付加物(硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド25モル付加物、ソルビタントリオレートのエチレンオキサイド20モル付加物など)があげられる。
【0042】
その界面活性剤成分を配合する場合には、その割合は5〜20重量%、特に 10〜15重量%の範囲がよい。
【0043】
さらに、その他の成分としてアルカリ金属、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物などのPH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤およびフッ素化合物などのその他の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
【0044】
上記PH調整剤を配合する場合には、その割合は0.02〜10重量%、特に0.03〜8重量%の範囲がよい。それ以外の添加剤を配合する場合には、それらの割合は、0.02〜10重量%、特に0.03〜5重量%の範囲がよい。
【0045】
また上記油剤は、溶融紡糸・延伸工程で非含水液またはエマルジョン液で糸条に付与される。非含水液の場合は源液のまま低粘度鉱物油などの希釈剤で希釈して使用されるが、希釈比率は通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%の範囲が好適である。またエマルジョン液の場合は希釈比率は通常5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲が好適である。
【0046】
本発明におけるポリ乳酸とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主成分とするポリ乳酸である。ここでL−乳酸を主成分とするとは、構成成分の60重量%以上がL−乳酸よりなっていることを意味しており、40重量%を超えない範囲でD−乳酸を含有するポリエステルであってもよい。L−乳酸の場合も同様である。さらには、構成するポリマの分子鎖の全繰返し単位の80重量%以上、特に90重量%以上、より好ましくは95重量%以上が乳酸であるポリ乳酸であればよく、本発明の構成要件および目的を損なわない範囲であれば他のポリマのブレンド、共重合、添加物を含んでいても良い。
【0047】
ポリ乳酸の製造方法には、乳酸を原料としていったん環状二量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う二段階のラクチド法と、乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知られている。本発明で用いられるポリ乳酸は、いずれの製法によって得られたものであってもよい。ラクチド法によって得られるポリマーの場合には、ポリマー中に含有される環状2量体が溶融紡糸時に気化して糸斑の原因となるため、溶融紡糸以前の段階でポリマー中に含有される環状2量体の含有量を0.1wt%以下とすることが望ましい。また、直接重合法の場合には、環状2量体に起因する問題が実質的にないため、製糸性の観点からはより好適であるといえる。共重合をしていてもよいが、融点が160℃以上であることが好ましい。融点が160℃よりも低い場合には、単糸間の融着の発生による延伸性不良や、染色加工時、熱セット時および摩擦加熱時に溶融欠点が生じるなど、製品の品位が著しく低いものとなることがある。ここで融点とは、DSC測定によって得られた溶融ピークのピーク温度を意味する。
【0048】
ポリ乳酸の平均分子量は捲縮糸とした後の相対粘度が前述の値を満足する範囲であれば特に制限はない。通常5万以上、好ましくは少なくとも10万、より好ましくは10〜20万である。平均分子量が5万よりも低い場合には、相対粘度が上がらず、ひいては繊維の強度物性が低下する傾向がある。さらには耐候性、耐熱性、および耐疲労性などのカーペットのパイルに要求される十分な耐久性能が得られなくなるなどの問題を生じやすくなる。
【0049】
また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な他の成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。
【0050】
また、溶融粘度を低減させるため、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、およびポリエチレンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマーを内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用いることができる。さらには、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤、着色顔料等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加することができる。
【0051】
本発明におけるポリ乳酸捲縮糸とは、加熱流体処理などにより3次元ランダムなスパイラル形状を与えられ、カーペット等の表糸として優れたバルキー性を付与されたマルチフィラメント延伸糸である。
【0052】
すなわち、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、マルチフィラメントに3次元的なクリンプを付与することにより嵩高性を持たせた糸を指す。これによりカーペット等の表糸として用いたときにバルキー性を発現することが可能となる。マルチフィラメントに対する捲縮は、特に制限なく公知の方法で付与できる。ギヤなどによる機械捲縮、紡糸時の非対称熱処理による捲縮付与、仮撚り加工方式、加熱流体処理による捲縮付与等が挙げられる。中でも3次元のランダムな捲縮を付与する点、高捲縮を付与できる点から加熱空気あるいは蒸気などの加熱流体により付与することが好ましい。また加熱流体を使用する方法は、糸へのダメージを少なくして捲縮が付与できるため、高い引張り強度の捲縮糸を得ることが可能となる。
【0053】
本発明においては、柔軟でソフトな風合いのカーペットを得るために、ポリ乳酸捲縮糸を構成する単糸の繊度を、5〜25dtexの範囲とする。
【0054】
一般に、ポリ乳酸からなるフィラメントの場合には、単糸繊度を小さくすればするほどフィラメント製糸工程での単糸切れを生じやすく、また特にカーペット等の表糸に適した捲縮を得ようとする場合には、流体捲縮処理をする直前に、高い延伸倍率にて延伸する必要があって、この際に単糸の延伸切れが頻発したり、さらには加熱流体捲縮処理時に糸切れを生じたりするばかりか、カーペット等として使用中に、フィブリル化を発生しやすくなる。しかし、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、製糸および加工時においても、高い分子量で安定している上糸と金属の動摩擦係数が低いため、延伸性を損なうことなく、またフィブリル化しにくい単糸の細繊度化が実現できるのである。
【0055】
ここで、ポリ乳酸捲縮糸の単糸繊度が上記の範囲未満となると、流体捲縮加工において十分な捲縮が得られず、カバーリング性に劣り、さらにカーペットとして使用中にピリングを生じやすくなるため好ましくない。
【0056】
また、ポリ乳酸捲縮糸の単糸繊度が上記の範囲を越えると、カーペットとしての風合いが硬くなるため好ましくない。
【0057】
さらに、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、その柔軟性とソフト感をより一層向上させるために、単糸断面の扁平率が2〜6、より好ましくは3〜5の扁平断面糸または変形度が1.5〜5.5より好ましくは1.8〜4.0の異形断面糸、特にY型断面糸とするのが好ましい。
【0058】
扁平断面糸単糸の場合に、扁平率が2未満では、丸断面に近くなって風合いが硬くなる傾向を生じ、一方、扁平率が大きな方が柔軟でソフトにはなるが、扁平率が6を越える場合には、製造が困難になるとともに、単糸繊度を小さくした際に単糸断面の厚みが極度に薄くなり、過度に柔らかくなってへたりやすくなるため、カーペットの用途が著しく制限される傾向となることがある。
【0059】
なお、上記扁平断面糸は、扁平率つまり、単糸断面の短辺部の最大長さ(A)と長辺部の最大長さ(B)の比(B/A)が2〜6の範囲であれば、断面に1個以上の凹凸を有するものであってもよい。
【0060】
また、異形断面糸の場合、特に単糸断面がY型の異形断面糸の場合に、変形度が5.5を越えると、風合いが硬くなる傾向を生じ、一方、変形度の値が小さな方が柔軟でソフトにはなるが、変形度が2未満の場合には、特に単糸繊度を小さくした際に単糸断面の嵩が小さくなり、過度に柔らかくなってカーペットがへたりやすくなるため好ましくない。
【0061】
なお、上記異形断面糸は、変形度つまり、単糸断面の外接円の直径(B)と内接円の直径(A)の比(B/A)が1.5〜5.5の範囲であれば、断面に1個以上の凹凸を有するものであってもよい。
【0062】
そして、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、融点が130℃以上で、重量平均分子量が10万以上、好ましくは10〜30万のポリ乳酸からなることが好ましい。
【0063】
ポリ乳酸の融点が130℃未満では、染色時の熱処理等による熱劣化が起こる原因となりやすい。
【0064】
ポリ乳酸の重量平均分子量が上記の範囲よりも小さいと、ポリ乳酸捲縮糸の機械的特性が十分に得られないばかりか、耐候性、耐熱性、および耐疲労性などのカーペットの表糸に要求される十分な耐久性能が得られなくなるなどの問題を生じやすくなる。
【0065】
上記の条件を満たすポリ乳酸捲縮糸はカーペットのパイルに用いたときに、その使用後において、土中、海水中、活性汚泥中で微生物により生分解して、水と二酸化炭素に分解することから、地球環境に優しいという特性を有するものである。
【0066】
本発明のポリ乳酸捲縮糸を用いたカーペットにおいて、上記捲縮糸をタフトする基布の素材としては、カーペット用として使用されている汎用のポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン製の不織布、たて糸およびよこ糸ともにポリプロピレンのスプリット糸またはフラットテープを用いたもの等を使用することができるが、さらに好ましくは基布としてポリ乳酸繊維の不織布を用いることによって、上記表糸とともに基布を生分解することが可能になる。
【0067】
さらに、縫製によって整形してカーペット製品とする場合は、縫糸としてポリ乳酸糸を用いることにより、カーペットを部位別に分離することなく生分解処分が可能となる。
【0068】
本発明においては、上記ポリ乳酸捲縮糸を2本または3本用い、下撚り、上撚りを施し撚り捲縮糸として使用することが可能である。これにより、撚糸セット糸使いのカーペット、特にカーマットやロールマットに好ましく用いることが可能となる。このとき、撚糸セット条件は、用いるポリ乳酸捲縮糸の物性に応じて、また下撚り、上撚り数は繊度に応じて決定すればよい。また、セット温度は100℃〜125℃の範囲が一般に採用される。
【0069】
次に、本発明のポリ乳酸捲縮糸の製造方法の一例について説明する。
まず、ポリ乳酸のチップを押出し機に供給し、溶融ポリ乳酸となし、続いて紡糸口金から紡糸する。紡糸された糸条は、冷風により冷却・固化され、次いで油剤が付着される。油剤は公知の油剤が使用可能であるが、本発明の糸−金属動摩擦係数を油剤により満足させる方法を取る場合には、用いるポリマの粘度等に応じて前述の低摩擦となる油剤を使用する必要がある。経時的な物性の低下抑制や引き続き行われる延伸工程での予熱をよりスムーズに行うために蒸発潜熱の低い非含水油剤を用いることが好ましい。その後糸条は引取りロールで引き取られた後、熱延伸される。本発明の引張り強度と捲縮伸長率を同時に満足させるために好ましい条件として、引き取り速度400〜2000m/分、延伸倍率は2〜5倍が挙げられる。ポリ乳酸ポリマは延伸を一段で高倍率延伸すると毛羽や単糸切れを発生させる場合があり、引き取りまでにある程度配向を進めておき、3倍程度の延伸を施すことがより好ましい。延伸に際し、十分な予熱を行うためにネルソンローラを用いることが好ましい手法である。高倍率延伸しすぎると後工程でフィブリル化しやすく、かえって好ましくない場合が生じる。
【0070】
続いて加熱流体捲縮付与装置に導入して捲縮が付与される。捲縮付与のための、加熱流体としては加熱蒸気もしくは加熱空気が好ましく用いられる。通常糸条に付与する加熱流体の温度としては130℃〜200℃が好適として採用される。高温すぎた場合、単糸を融着させたり捲縮糸の強度低下につながる。また加熱媒体は糸へのダメージを少なくする点から加熱蒸気よりも加熱空気の使用がより好ましい。
【0071】
捲縮が付与された糸条は冷却された後、捲縮がへたらない程度に引き伸ばされて、最後にパッケージに巻き取られる。ポリ乳酸捲縮糸は、張力のかかった状態で時間が経過すると、用いる油剤の影響や保管する周囲の環境の影響で強伸度が低下することがある。このため、過度な張力付与は望ましくなく、通常0.1 cN/dtex以下の巻き取り張力が採用される。これにより、本発明の引張り強度、沸騰水処理後の捲縮伸長率が達成され、製糸後巻き取った形態で2ヶ月保管した後の強伸度低下もほとんど起こらない捲縮糸が得られる。
【0072】
以上の製法は上記工程の任意部分で一旦糸条を巻取ってもよいが、好ましくは連続で行うのがよい。
【0073】
次いで、上記の方法により得たポリ乳酸捲縮糸をタフティング機にセットし、ポリ乳酸不織布またはポリエステル、ポリプロピレンなどの基布などにタフティングした後、ポリ乳酸不織布またはポリプロピレンなどのバッキング材で裏張りを行うことにより、カーペットを得ることができる。
【0074】
なお、必要に応じて、途中にスチーミング工程、ブラッシング工程、スプレー工程、染色工程、シャーリング工程およびポリシャー工程などの加工工程を付加することも可能である。
【0075】
本発明のカーペットは、上記カーペットをそのまま使用してもよく、また縫製して整形することによりカーマットなどのマットとして使用してもよい。
【0076】
縫製して整形することによりマットとする場合には、縫製用の縫糸としてポリ乳酸糸を用いることにより、マットを部位別に分離することなく生分解処分することができる。
【0077】
【実施例】
以下、実施例により本発明の構成および効果をさらに説明する。
なお、上述および実施例中の物性値は次のようにして求めた値である。
【0078】
[相対粘度]
オストワルド粘度計を用いて、オルソクロルフェノール10mlに対し、試料0.3gを溶解した溶液の相対粘度ηrを25℃で測定した。測定は、n=2の平均値とした。
ηr=t/t0
t:溶液の落下秒数、t0:溶媒(オルソクロルフェノールのみ)の落下秒数。
【0079】
[重量平均分子量]:
試料の0.1%クロロホルム溶液のGPC分析を行い、分子量1,000以下の成分を除く高分子量成分の分散重量平均値を算出した。
【0080】
[総繊度]:
JIS L 1090により測定した。
【0081】
[単糸繊度]:
試料の表示繊度とフイラメント数から求めた。
【0082】
単糸繊度=総繊度(D)/フイラメント数(F)。
【0083】
[沸騰水処理後の捲縮伸長率]
室温(20〜35℃)、相対湿度50〜75%の雰囲気中に20時間以上放置されていたパッケージから解舒した捲縮糸を、無荷重状態で30分間沸騰水で浸漬処理した後、平衡水分率まで乾燥し、これを沸騰水処理後捲縮糸の試料とする。この試料糸に表示dtex×0.0176mN(1.8mg/dtex)の張力を与える初荷重をかけ30秒経過した後に、試料長50cm(L1)にマーキングをする。次いで、同試料に表示dtex×0.882mN(90mg/dtex)の張力を与える定荷重をかけて30秒経過後に、伸びた試料長(L2)を測定する。次いで、下記式により、捲縮伸長率(%)を求める。
捲縮伸長率(%)=[(L2−L1)/L1]×100
なお、沸騰水処理前に糸条を放置する際の雰囲気条件は、実際のカーペット製造工程において使用される時の捲縮糸状態、つまり吸湿により捲縮特性が平衡状態に達した状態とするためのものであり、平衡状態に達するのに時間がかかり過ぎず、かつ結露を生じないという点から選定したものである。
【0084】
[扁平率]:
単糸を切断後、光学顕微鏡を用いて単糸断面の単糸長辺部の最大長(B)と、単糸短辺部の最大長(A)を測定し、次式によりn=5にて求めた。
【0085】
扁平率=(B)/(A)。
【0086】
[変形度]:
単糸を切断後、光学顕微鏡を用いて単糸断面の外接円の直径(B)と内接円の直径(A)を測定し、次式によりn=5にて求めた。
【0087】
変形度=(B)/(A)。
[製糸性]:
延伸時の糸切れ率の評価により次の4段階に区別した。
【0088】
◎…延伸中の糸切れ率が0.5回/t未満のもの(最良)
○…延伸中の糸切れ率が0.5〜1.0回/tのものを(良好)
△…延伸中の糸切れ率が1.0〜2.0回/tのもの(若干不良)
×…延伸中の糸切れ率が2.0回/tを越えるもの(不良)。
[工程通過性]:
撚糸工程での白粉・フィブリル化の発生やタフト性を、最良(◎)、良好(○)、若干不良(△)および不良(×)の4段階に区分した。
[原糸強力(破断強度・破断伸度)]:
オリエンテック社製テンシロン引張り試験機を用い、試長250mm、引張速度300mm/分の条件で測定した。
[風合い]:
カーペットを素足で踏んだ時最もソフト感あるものを最良(◎)とし、最も悪いものを不良(×)とする官能評価により4段階に区分した。(○)は良好、(△)は若干不良を示す。
[耐摩耗性]:
10万人実用テスト法による実用テスト後の表糸の摩耗の程度を、使用テスト前のものと比較し、目視による官能評価により、最良(◎)、良好(○)、若干不良(△)および不良(×)の4段階に区分した。
[カバーリング性]:
カーペットを真上から見たときに表糸の隙間から基布が最も見えにくいものを良好とし(○)、若干不良(△)、最も見やすいものを不良(×)とする官能評価により、3段階に区分した。
【0089】
[実施例1]
重量平均分子量が149000のポリ乳酸のチップをエクストルダー型紡糸機で溶融し、吐出孔形状がY型である68ホールの口金より吐出させた。このとき、紡糸温度は220℃とし、口金直下冷却条件をコントロールすることで、変形度3.8のY型断面のポリ乳酸マルチフィラメントを得た。
【0090】
次いで、紡糸部より得た糸条に先ず表2示す油剤Aの低粘度鉱物油で希釈した25重量%液を付与し、続いて引取りロールで700m/minにて引取り、延伸予熱温度70℃で予熱後、3.0倍に延伸を行った。延伸糸をそのまま連続して捲縮予熱ロール温度130℃にて予熱後、捲縮加工装置にて200℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与した。
【0091】
次いで、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に90gの巻取張力で巻き取った。得られたポリ乳酸捲縮糸は、1170dtexの68フィラメントであった。該捲縮糸の相対粘度は、11.4であった。
【0092】
この際、延伸加工性を評価すると共に、得られたポリ乳酸捲縮糸の原糸特性として、相対粘度、総繊度、沸騰水処理後の捲縮伸長率、摩擦係数、捲縮糸引張り強度、付着油分の値を表1に示す。
【0093】
[実施例2]
重量平均分子量が149000のポリ乳酸のチップをエクストルダー型紡糸機で溶融し、吐出孔形状がY型である136ホールの口金より吐出させた。このとき、紡糸温度は220℃とし、口金直下冷却条件をコントロールすることで、変形度 3.9のY型断面のポリ乳酸マルチフィラメントを得た。
【0094】
次いで、紡糸部より得た糸条に先ず表2示す油剤Aの低粘度鉱物油で希釈した25重量%液を付与し、続いて引取りロールで700m/minにて引取り、延伸予熱温度70℃で予熱後、3.0倍に延伸を行った。延伸糸をそのまま連続して捲縮予熱ロール温度130℃にて予熱後、捲縮加工装置にて200℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与した。
【0095】
次いで、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に160gの巻取張力で巻き取った。得られたポリ乳酸捲縮糸は、2000dtexの136フィラメントであった。該捲縮糸の相対粘度は、11.3であった。
【0096】
この際、延伸加工性を評価すると共に、得られたポリ乳酸捲縮糸の原糸特性を表1に示す。
【0097】
[実施例3]
実施例2において延伸予熱温度100℃で予熱後、3.3倍に延伸を行った。延伸糸をそのまま連続して捲縮予熱ロール温度130℃にて予熱後、捲縮加工装置にて170℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与した。
【0098】
次いで、吐出量を調整し捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に160gの巻取張力で巻き取った。得られたポリ乳酸捲縮糸は、2000dtexの136フィラメントであった。該捲縮糸の相対粘度は、11.3であった。
【0099】
得られたポリ乳酸捲縮糸の原糸特性を表1に示す。
【0100】
[実施例4]
実施例1において口金の吐出孔の形状がタテとヨコのスリット比が1:4の長方形のものを使用した。このときフィラメント数は120にした。
【0101】
次いで、実施例1と同様に紡糸部より得た糸条に先ず表2示す油剤Aの低粘度鉱物油で希釈した25重量%液を付与し、続いて引取りロールで1000m/minにて引取り、加熱延伸ロールにて2.5倍に延伸を行った。延伸糸をそのまま連続して予熱ロール温度130℃にて予熱後、捲縮加工装置にて190℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与した。
【0102】
次いで、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に100gの巻取張力で巻き取った。得られたポリ乳酸捲縮糸は、1100dtexの120フィラメントでありその単糸断面は扁平率3.2の扁平断面であった。
得られたポリ乳酸捲縮糸の原糸特性を表1に示す。
【0103】
[比較例1]
重量平均分子量が60000のポリ乳酸のチップをエクストルダー型紡糸機で溶融し、実施例1と同様に吐出孔形状がY型である68ホールの口金より吐出させた。このとき、紡糸温度は210℃とし、口金直下冷却条件をコントロールすることで、変形度3.1のY型断面のポリ乳酸マルチフィラメントを得た。
【0104】
次いで、紡糸部より得た糸条に先ず表2示す油剤Aの低粘度鉱物油で希釈した25重量%液を付与し、続いて引取りロールで600m/minにて引取り、延伸予熱温度60℃で予熱後、3.6倍に延伸を行った。延伸糸をそのまま連続して予熱ロール温度120℃にて予熱後、捲縮加工装置にて160℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与した。
【0105】
次いで、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に100gの巻取張力で巻き取った。得られたポリ乳酸捲縮糸は、1170dtexの68フィラメントであった。得られた捲縮糸の相対粘度は、6.6であった。
【0106】
実施例1と同様に延伸加工性を評価すると共に、得られたポリ乳酸捲縮糸の原糸特性として、相対粘度、総繊度、沸騰水処理後の捲縮伸長率、摩擦係数、捲縮糸引張り強度、付着油分の値を表1に示す。
【0107】
[比較例2]
実施例1において、巻き取った後の捲縮糸の繊度が3000dtexとなるよう吐出量を増加させ、フィラメント数が180となるように口金を変更した。 このとき、延伸前のローラーでの予熱がフィラメントに均一に行われず、単糸切れが多発した。得られた捲縮糸の物性を表1に示す。
【0108】
[比較例3〜4]
実施例3において捲縮予熱ロール温度120℃にて予熱後、捲縮加工装置にて150℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与したものを比較例3、糸条に表2に示す油剤Bの低粘度鉱物油で希釈した25重量%液を付与したものを比較例4とした。
【0109】
また、実施例1〜4、比較例1〜4にて得られたポリ乳酸捲縮糸を、目付800g/m2 のカットパイルとしてタフティングし得られた各マット用基布について、表面のソフト感、耐摩耗性、表面のカバーリング性を評価した結果を表1に併せて示す。
【0110】
【表1】
【0111】
表1の結果から分かるように、実施例1〜4にて得られた捲縮糸は、製糸性、工程通過性、物理特性とも優れており、カーペット用捲縮糸として優れていることがわかる。一方、比較例1は用いるポリマの重合度が低いため、得られる捲縮糸の相対粘度が低いとともに低強度の捲縮糸しか得られず、製糸性、工程通過性や耐摩耗性が劣る結果となった。比較例2は、製造時に熱がフィラメントに均一に伝わらず、製糸性、工程通過性に劣る捲縮糸であった。比較例3は、捲縮処理温度が低く原糸の強度は高く製糸性、工程通過性は良いものの捲縮レベルを示す伸長率が低いためバルキー性が悪くカーペットとしてのカバーリング性の悪い捲縮糸であった。また比較例4においては、捲縮レベルを示す伸長率・原糸の強度とも高いものの糸−金動摩擦係数が高く、カーペットの製造工程での毛羽や糸切れが増加したとともに、カーペットにしたときの摩耗性が劣る結果であった。また、捲縮処理から巻き取るまでの各ガイドや撚糸工程において白粉の発生やフィブリル化が見られた。
【0112】
【表2】
【0113】
表1に記載している油剤成分の各記号は下記に示す化合物を表わすものである。A1はポリエーテルポリエステルであり、B1はそれ以外の平滑剤成分であり、C1〜C2は極圧剤成分であり、D1〜D4は界面活性剤成分であり、また、E1は、その他の添加剤である。
A1・・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・コポリマ−(2750)とアジピン酸とラウリン酸とのエステル(分子量6000)
B1・・オレイルオレ−ト
C1・・ラウリル(EO)2ホスフェートK塩
C2・・オレイン酸石鹸
D1・・ラウリルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量1500)
D2・・オクチルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量1500)
D3・・オレイルアルコ−ルEO付加物(分子量900)
D4・・硬化ヒマシ油(EO)10モル付加物
E1・・ステアリルアミン(EO)10モル付加物
【0114】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、捲縮糸の製造並びにカーペット製品を製造するときの工程通過性とカーペット製品としての使用時に要求される物性との両立を可能とするものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸ポリマを用いた捲縮糸に関する。さらに詳しくは製糸性が良く、カーペットのパイルに用いたときにバルキー性に優れ、かつ加工時の工程通過性に優れたポリ乳酸捲縮糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸ポリマは、石油由来でなくても合成が可能であり、またポリマが生分解性を有するために、環境に優しいポリマとして注目を集めている。さらにポリ乳酸は、その優れた加工性から、繊維、フィルム、成型体の様々な形状での展開が試みられている。
【0003】
ポリ乳酸繊維に関しては、フィラメント、不織布など多くの提案があり、土木資材、おむつなどの日用品、漁網や釣り糸などの産業資材などへの展開が進められている。
【0004】
特許第3150217号公報では、適度な親水性と疎水性を有し,かつ機械的強度,寸法安定性,柔軟性が優れた生分解性短繊維不織布の提案がなされている。この特許は、乾燥条件下のみならず吸水・湿潤条件下においても優れた機械的特性を有し,かつ乾燥・湿潤の繰り返し時においても収縮が極めて小さく寸法安定性が優れた生分解性短繊維不織布を提供するものであるが、短繊維のみに関するものであり、カーペット等に用いられるフィラメントのパイルに関しては触れられていない。
【0005】
一方、カーペットは、生活空間において実用的にクッション性や暖かさを与えたりすることで、快適な生活を手助けするとともにインテリアとして安らぎを与える作用を持ち、様々な場所で使用されている。このように我々の生活の必需品となり大量に使用されているものの、嵩が大きいこと、回収が容易でないこともあり今後、リサイクルや回収・分解再使用等が望まれている製品である。この点からカーペットを構成するパイルに、生分解性を有し成形性に優れ、かつ比較的安価に入手可能なポリ乳酸を使用しようという試みはなされている。
【0006】
一方、ポリ乳酸捲縮糸は、その剛性の高さの点から粗剛感が強すぎるため、マット等に要求される柔軟でソフトな風合いが得られにくいばかりか、マットとしてのソフト感を得るために、ポリ乳酸捲縮糸の単糸を細繊度化しようとすると、製糸工程において単糸切れを起こしやすくなるという問題もある。また耐摩耗性が悪いため金属等との擦過や単糸同士の擦過でも容易に白粉の発生やフィブリル化が生じる問題があり、製糸、高次加工等の工程改善が望まれている。
【0007】
さらに、特にマット等の表糸であるパイル糸として適した捲縮特性を得ようとする場合には、ポリ乳酸フィラメントに流体捲縮を付与する直前に、一定の延伸倍率にて延伸する必要があるが、この際に単糸の延伸時糸切れが頻発したり、加熱流体捲縮装置内で糸切れを生じる問題があった。
【0008】
一般にポリ乳酸ポリマは脂肪族ポリエステルの一種であるため、その剛性の高さの点から粗剛感が強すぎ、該捲縮糸を用いてカーペットを作製した場合柔軟でソフトな風合いが得られにくい。そのため、単糸を細繊度化しようとすると、捲縮がかかりにくいばかりかフィラメントの製糸工程において単糸切れを起こしやすくなる問題を生じていた。
【0009】
またポリ乳酸捲縮糸は、上述のようにポリエステルの一種であるため、へたり易く高捲縮になりにくいとともに、高捲縮にするために捲縮の熱処理を強くするとポリマが比較的低い融点を持っているためや、分子量が高い一方で脂肪族ポリエステルであるために物理特性である強伸度が低下しやすく強度と捲縮特性を両立させることが困難であった。
【0010】
同様に分子量が高いことや初期弾性率が高いことに起因し糸−糸摩擦や糸−金属摩擦が高く、製糸工程以降、カーペットを製造するまでの工程において、フィブリル化しやすく、往々にして毛羽や糸切れを多発する場合があった。
【0011】
さらにまたポリ乳酸捲縮糸においては、その特徴である生分解性に関係し加水分解しやすいため、製品の製造中にまたは製品となってからの使用時に物性が大きく低下する現象が確認される場合があり改善が求められている。しかしこれらの懸念点に関しては、前述の公報や文献を含めても解決されていない。
【0012】
特開平6−240515号公報では、カーペット用捲縮糸としてポリエステル繊維の連続繊維を2種以上の繊維から構成し、該構成繊維の少なくとも2種の間に可撓性の連鎖の含有率の差を与え、筋状のむらを認識し難くする提案がなされている。しかし該提案では、2種以上のポリエステルを使用する必要があり、ポリ乳酸単独の捲縮糸ではなく、さらに捲縮糸として重要な引張り強度と伸長率などの捲縮については何ら記載されていない。また工程通過性に関与する摩擦特性についても何ら触れられていない。
【0013】
また、特開平7−11516号公報には、ポリエステル製捲縮繊維として、温度190℃、剪断速度1,000sec−1における溶融粘度が1.0×102 〜1.0×104 ポイズであり、融点が70〜190℃である脂肪族ポリエステルを主成分として押出成形されてなる捲縮繊維の提案がある。しかし該ポリエステル製捲縮糸は、グリコール類と多塩基酸(またはその酸無水物)とから合成されるポリエステルを主成分とするものであり、さらには、分子量を高くするため、両端にヒドロキシル基を有する、比較的高分子量のポリエステルプレポリマーを選び、カップリング剤により、さらに反応させたものでありポリ乳酸についての記載は全くない。
【0014】
さらにまた、特許第3015852号公報では、糸条体自体に機能性を付与して効果の持続性を確保すると共に、近年のエコロジーの要求を満足できる生分解可能な繊維を用いた生分解型機能性糸、及び該繊維若しくは糸を用いた生分解型機能性布帛に関する提案がなされている。該提案では、ポリ乳酸を用いることも可能であるが、具体的には異型断面糸の表面のくぼみ部に抗菌・消臭・芳香などの機能性付与剤を付着させる提案であり、実用上重要な引張り強度や捲縮レベル、また糸の摩擦特性に関する記載は何らされていない。
【0015】
一方、特公平7−81204号公報ではポリ乳酸の物性の向上を目的として、光学活性が異なるポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とのブレンド物を用いることで、力学的性質や熱的性質を大きく改善する提案がなされている。しかしながら、該提案においても、引張り強度と捲縮率の両者に関する記載や摩擦特性に関する記載はされていない。
【0016】
カーギルダウ社のホームページhttp://www.cdpoly.com/pdf/fiberguide.html にはポリ乳酸ポリマを用いたカーペット用捲縮糸の製造に関する情報が記載されている。該文献では、油剤の付着量が1%以下との記載があるが具体的に摩擦特性との関係を記したものではない。さらに文献においても、一般的な捲縮糸の作り方は記載されているものの、具体的に好ましい強度や捲縮特性の値は記載されていない。
【0017】
また、特開2002−105752号報には、カーマットやカーペットへの使用に適した嵩高性を有し、かつ生分解性能を有する生分解性繊維及びその製造方法についての記載があるが、捲縮率についての記載はあるものの工程通過性に関する引張り強度や摩擦特性については何も触れられていない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のポリ乳酸捲縮糸においては、捲縮糸の製糸性並びに捲縮糸を用いてカーペット製品を製造するときの工程通過性と、カーペット製品として使用時に要求される物性との両立を可能としたものは未だ得られていないのが現状であった。
【0019】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、柔軟でソフトな風合いを具備すると共に、カバーリング性、工程通過性および耐久性に優れ、かつ生分解が可能な捲縮糸を提供せんとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、ポリ乳酸ポリマからなる捲縮糸であって、該捲縮糸の相対粘度が9〜22、総繊度が600〜2500デシテックス、沸騰水処理後の捲縮伸長率が3〜15%、糸−金属動摩擦係数が0.4以下であることを特徴とする。
【0021】
なお、本発明のポリ乳酸捲縮糸においては、引張り強度が1.0〜3.0cN/dtexであること、前記ポリ乳酸捲縮糸の油剤の付着量が0.3〜0.7重量%であること、前記ポリ乳酸捲縮糸の単糸繊度が5〜25dtex、でかつ扁平率2〜6の扁平断面を有するかまたは変形度1.5〜5.5のY型断面もしくはY型中空断面であることが、いずれも好ましい態様であり、これらの条件を満たすことによって、さらに優れた効果を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり柔軟でソフトな風合いを具備すると共に、カバーリング性、工程通過性および耐久性に優れ、かつ生分解が可能な捲縮糸について、鋭意検討し、ポリ乳酸捲縮糸において、特定の範囲の粘度と捲縮率を有し、かつ特定の範囲の糸−金属の動摩擦係数を併せ持たせることでかかる課題が解決することを究明したものである。
【0023】
本発明のポリ乳酸捲縮糸においては相対粘度が9〜22、好ましくは11〜20であることが重要である。ここで相対粘度とは、オストワルド粘度計を用いて、オルソクロルフェノール10mlに対し、試料0.3gを溶解した溶液の相対粘度ηrを25℃で測定したものであり、次式で示すものをいう。
【0024】
ηr=t/t0
式中、t:溶液の落下秒数
t0:溶媒(オルソクロルフェノールのみ)の落下秒数
かかる相対粘度が9より小さいと、本発明で必要な強度が得られにくい。また相対粘度が22より高く高粘度であると、曵糸性が劣り、紡糸・延伸が困難となる傾向がある。
【0025】
本発明におけるポリ乳酸捲縮糸は、その総繊度が600〜2500dtexであることが必要で、より好ましくは800〜2000dtexである。600dtex未満では、そのままでカーペット用パイルとしてタフトした場合、実用の目付とするためにステッチを上げる必要が生じ、タフトが困難になる。撚糸を施し諸撚り糸のカットパイルとして使用しても繊度が低すぎて必要以上にゲージやステッチを上げる必要がでてくる。一方、総繊度が2500dtexを越える高繊度であると、製糸工程において、均一な冷却・固化が困難となったり、熱の伝達が十分に行われず、延伸性が著しく低下し、安定な製糸ができなくなる傾向がでてくる。
【0026】
本発明におけるポリ乳酸捲縮糸は、沸騰水処理後の捲縮伸長率が3〜15%であることが必要で、より好ましくは5〜9%である。
【0027】
ここで、沸騰水処理後の捲縮伸長率の測定は次のとおりに行う。
【0028】
室温(20〜35℃)、相対湿度50〜75%の雰囲気中に20時間以上放置されたパッケージから解舒した捲縮糸を、無荷重状態で30分間沸騰水で浸漬処理した後、平衡水分率まで乾燥し、これを沸騰水処理後捲縮糸の試料として使用する。この試料糸に表示dtex×0.0176mN(1.8mg/dtex)の張力を与える初荷重をかけ、30秒経過した後に、試料長50cm(L1)にマーキングをする。次いで、同試料に表示dtex×0.882mN(90mg/dtex)の張力を与える定荷重をかけて、30秒経過後に、伸びた試料長(L2)を測定する。次いで、下記式により、捲縮伸長率(%)を求める。
【0029】
捲縮伸長率(%)=[(L2−L1)/L1]×100
なお、沸騰水処理前に糸条を放置する際の雰囲気条件は、実際のカーペット製造工程において使用される時の捲縮糸状態、つまり、吸湿により捲縮特性が平衡状態に達した状態とするためのものであり、平衡状態に達するのに時間がかかり過ぎず、かつ、結露を生じないという点から採用したものである。
【0030】
かかる捲縮糸の沸騰水処理後の捲縮伸長率が、3%より低いと、捲縮発現が十分でなく、カーペットとしたとき、バルキー性に乏しく、ボリューム感のないカーペットになってしまう。一方、沸騰水処理後の捲縮伸長率が15%より大きい場合、この捲縮特性を得るために捲縮加工時の熱処理を強くする必要があり、結果的に強度が低い捲縮糸しか得られず、後述の摩擦特性が本発明の範囲であったとしても、ガイド類等の擦過により糸切れしやすくなり、工程通過性に劣った糸になってしまう。また、カーペットの使用時に摩耗が激しく単糸が脱落しやすくなる。さらに、捲縮伸長率が高すぎると、非晶部が多くなり、実用に際して経時的に強度劣化が起こりやすくなってしまう。
【0031】
本発明におけるポリ乳酸捲縮糸は、糸−金属動摩擦係数が0.4以下であることが必要であり、より好ましくは0.35以下である。本発明のポリ乳酸ポリマは重合度が高く、紡糸工程で配向しやすい。従って工程中の擦過や摩耗に対して、耐性が低い。このため糸−金属動摩擦係数を0.4以下にする必要がある。
【0032】
0.4以下にする手法は、特に制限がなく、糸表面を高温熱処理するなどして表層部の配向を低くしたり、糸−金属動摩擦係数を低くする油剤を付与することで達成することができる。また別工程で、糸−金属動摩擦係数を低くする処理剤を付与してもよい。中でも操作の容易さ、均一な処理が可能であるなどの点から、低摩擦となる油剤を付与することが好ましく採用される。
【0033】
油剤は主として平滑剤成分・極圧剤成分・界面活性剤成分から構成されるが、それぞれにおいて糸−金属動摩擦係数が低摩擦となるべく成分を選択すればよい。この低摩擦となる油剤の平滑剤成分としては、ポリエーテルポリエステルが好ましく使用される。このポリエーテルポリエステルとしては、平均分子量が好ましくは2000〜15000、より好ましくは3000〜10000であり、かつ、ポリエーテルのジオール化合物と脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化物(但し、平均分子量が600〜6000のポリテトラメチレングリコールと、二塩基酸と一価脂肪酸とからのエステル化物を除く)であるものが好ましく使用される。かかるポリエーテルポリエステルの中でも、二塩基酸の両末端が、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの重合体のようなポリエーテルによってエステル化され、さらにその両末端が一価脂肪酸によってエステル化されてなる化合物のように、一価脂肪酸によるエステル化によって両末端が封鎖されてなるものが特に好ましく使用される。
【0034】
かかるポリエーテルポリエステルの平均分子量が2000未満と小さ過ぎる場合には、油膜の強さが不十分となり、また、分子量が15000を越える場合には、摩擦特性を十分に改善できない傾向がでてくる。
【0035】
さらに、そのポリエーテルポリエステルを構成するポリエーテル成分としては、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの重合体で平均分子量が好ましくは600〜6000、より好ましくは800〜4000であるポリエーテルがよい。その平均分子量が600未満と小さ過ぎる場合には、油膜の強さが不十分となり、また平均分子量が6000を越える場合では、摩擦が大きくなりすぎる場合がある。
【0036】
なお、本発明でいう平均分子量はGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)等で測定される数平均分子量である。
【0037】
また、そのポリエーテルポリエステルを構成するカルボン酸は、脂肪族カルボン酸であることが好ましい。そのカルボン酸として、二塩基酸と一塩基酸とを併用する場合には、その少なくともいずれかが、好ましくは両方が脂肪族カルボン酸であるのが好ましい。上記平滑剤成分は、処理剤全体の30〜100重量%を占めるように、単独または二種以上の併用で使用されるが、上記平滑剤成分以外に、他の平滑剤成分や極圧剤成分、界面活性剤成分等を含んでいてもよく、それらの含有量の合計は、多くとも70重量%とすることが好ましい。
【0038】
その他の平滑剤成分としては、精製スピンドル油、流動パラフィンなどの鉱物油、ヤシ油、ヒマシ油などの植物油、イソステアリルラウレート、オレイルオレート、ジオレイルアジペートなどの高級脂肪酸エステル、ラウリルアルコールのエチレンオキサイド(EO)2モル付加物ラウレート、トリデシルアルコールのEO3モル付加物などのアルキルエーテルエステルおよびワックスなどが挙げられ、なかでも脂肪酸エステルおよびアルキルエーテルエステルが好ましく使用される。その他の平滑剤成分の割合は5〜30重量%、とくに10〜20重量%の範囲が好ましい。
【0039】
極圧剤成分は、処理剤の油膜強度を高める作用を有する成分であり、例えば、オレイン酸石鹸、エルシン酸石鹸などの脂肪酸石鹸、ラウリルホスフェートカリウム塩、オレイルホスフェートナトリウム塩などの有機ホスフェート塩、ラウリルスルフォネートナトリウム塩、及び、ドデシルベンゼンスルフォネートナトリウム塩などの有機スルフォネート塩などがあげられる。
【0040】
その極圧剤成分を配合する場合には、その割合は0.02〜10重量%、特に1〜5重量%の範囲がよい。0.02重量%未満では油膜強度を高めるという作用が十分に発揮されなくなることがある。また、10重量%を越えると粘度上昇が大きくなって滑り性が悪化することがある。
【0041】
また、界面活性剤としては、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物(オクチルアルコールのエチレンープロピオンオキサイド付加物、ステアリルアルコールのエチレン・プロピオンオキサイド付加物、オレイルアルコールのエチレンオキサイド付加物など)、多価アルコールエステルのアルキレンオキサイド付加物(硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド25モル付加物、ソルビタントリオレートのエチレンオキサイド20モル付加物など)があげられる。
【0042】
その界面活性剤成分を配合する場合には、その割合は5〜20重量%、特に 10〜15重量%の範囲がよい。
【0043】
さらに、その他の成分としてアルカリ金属、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物などのPH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤およびフッ素化合物などのその他の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
【0044】
上記PH調整剤を配合する場合には、その割合は0.02〜10重量%、特に0.03〜8重量%の範囲がよい。それ以外の添加剤を配合する場合には、それらの割合は、0.02〜10重量%、特に0.03〜5重量%の範囲がよい。
【0045】
また上記油剤は、溶融紡糸・延伸工程で非含水液またはエマルジョン液で糸条に付与される。非含水液の場合は源液のまま低粘度鉱物油などの希釈剤で希釈して使用されるが、希釈比率は通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%の範囲が好適である。またエマルジョン液の場合は希釈比率は通常5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲が好適である。
【0046】
本発明におけるポリ乳酸とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主成分とするポリ乳酸である。ここでL−乳酸を主成分とするとは、構成成分の60重量%以上がL−乳酸よりなっていることを意味しており、40重量%を超えない範囲でD−乳酸を含有するポリエステルであってもよい。L−乳酸の場合も同様である。さらには、構成するポリマの分子鎖の全繰返し単位の80重量%以上、特に90重量%以上、より好ましくは95重量%以上が乳酸であるポリ乳酸であればよく、本発明の構成要件および目的を損なわない範囲であれば他のポリマのブレンド、共重合、添加物を含んでいても良い。
【0047】
ポリ乳酸の製造方法には、乳酸を原料としていったん環状二量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う二段階のラクチド法と、乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知られている。本発明で用いられるポリ乳酸は、いずれの製法によって得られたものであってもよい。ラクチド法によって得られるポリマーの場合には、ポリマー中に含有される環状2量体が溶融紡糸時に気化して糸斑の原因となるため、溶融紡糸以前の段階でポリマー中に含有される環状2量体の含有量を0.1wt%以下とすることが望ましい。また、直接重合法の場合には、環状2量体に起因する問題が実質的にないため、製糸性の観点からはより好適であるといえる。共重合をしていてもよいが、融点が160℃以上であることが好ましい。融点が160℃よりも低い場合には、単糸間の融着の発生による延伸性不良や、染色加工時、熱セット時および摩擦加熱時に溶融欠点が生じるなど、製品の品位が著しく低いものとなることがある。ここで融点とは、DSC測定によって得られた溶融ピークのピーク温度を意味する。
【0048】
ポリ乳酸の平均分子量は捲縮糸とした後の相対粘度が前述の値を満足する範囲であれば特に制限はない。通常5万以上、好ましくは少なくとも10万、より好ましくは10〜20万である。平均分子量が5万よりも低い場合には、相対粘度が上がらず、ひいては繊維の強度物性が低下する傾向がある。さらには耐候性、耐熱性、および耐疲労性などのカーペットのパイルに要求される十分な耐久性能が得られなくなるなどの問題を生じやすくなる。
【0049】
また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な他の成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。
【0050】
また、溶融粘度を低減させるため、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、およびポリエチレンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマーを内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用いることができる。さらには、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤、着色顔料等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加することができる。
【0051】
本発明におけるポリ乳酸捲縮糸とは、加熱流体処理などにより3次元ランダムなスパイラル形状を与えられ、カーペット等の表糸として優れたバルキー性を付与されたマルチフィラメント延伸糸である。
【0052】
すなわち、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、マルチフィラメントに3次元的なクリンプを付与することにより嵩高性を持たせた糸を指す。これによりカーペット等の表糸として用いたときにバルキー性を発現することが可能となる。マルチフィラメントに対する捲縮は、特に制限なく公知の方法で付与できる。ギヤなどによる機械捲縮、紡糸時の非対称熱処理による捲縮付与、仮撚り加工方式、加熱流体処理による捲縮付与等が挙げられる。中でも3次元のランダムな捲縮を付与する点、高捲縮を付与できる点から加熱空気あるいは蒸気などの加熱流体により付与することが好ましい。また加熱流体を使用する方法は、糸へのダメージを少なくして捲縮が付与できるため、高い引張り強度の捲縮糸を得ることが可能となる。
【0053】
本発明においては、柔軟でソフトな風合いのカーペットを得るために、ポリ乳酸捲縮糸を構成する単糸の繊度を、5〜25dtexの範囲とする。
【0054】
一般に、ポリ乳酸からなるフィラメントの場合には、単糸繊度を小さくすればするほどフィラメント製糸工程での単糸切れを生じやすく、また特にカーペット等の表糸に適した捲縮を得ようとする場合には、流体捲縮処理をする直前に、高い延伸倍率にて延伸する必要があって、この際に単糸の延伸切れが頻発したり、さらには加熱流体捲縮処理時に糸切れを生じたりするばかりか、カーペット等として使用中に、フィブリル化を発生しやすくなる。しかし、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、製糸および加工時においても、高い分子量で安定している上糸と金属の動摩擦係数が低いため、延伸性を損なうことなく、またフィブリル化しにくい単糸の細繊度化が実現できるのである。
【0055】
ここで、ポリ乳酸捲縮糸の単糸繊度が上記の範囲未満となると、流体捲縮加工において十分な捲縮が得られず、カバーリング性に劣り、さらにカーペットとして使用中にピリングを生じやすくなるため好ましくない。
【0056】
また、ポリ乳酸捲縮糸の単糸繊度が上記の範囲を越えると、カーペットとしての風合いが硬くなるため好ましくない。
【0057】
さらに、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、その柔軟性とソフト感をより一層向上させるために、単糸断面の扁平率が2〜6、より好ましくは3〜5の扁平断面糸または変形度が1.5〜5.5より好ましくは1.8〜4.0の異形断面糸、特にY型断面糸とするのが好ましい。
【0058】
扁平断面糸単糸の場合に、扁平率が2未満では、丸断面に近くなって風合いが硬くなる傾向を生じ、一方、扁平率が大きな方が柔軟でソフトにはなるが、扁平率が6を越える場合には、製造が困難になるとともに、単糸繊度を小さくした際に単糸断面の厚みが極度に薄くなり、過度に柔らかくなってへたりやすくなるため、カーペットの用途が著しく制限される傾向となることがある。
【0059】
なお、上記扁平断面糸は、扁平率つまり、単糸断面の短辺部の最大長さ(A)と長辺部の最大長さ(B)の比(B/A)が2〜6の範囲であれば、断面に1個以上の凹凸を有するものであってもよい。
【0060】
また、異形断面糸の場合、特に単糸断面がY型の異形断面糸の場合に、変形度が5.5を越えると、風合いが硬くなる傾向を生じ、一方、変形度の値が小さな方が柔軟でソフトにはなるが、変形度が2未満の場合には、特に単糸繊度を小さくした際に単糸断面の嵩が小さくなり、過度に柔らかくなってカーペットがへたりやすくなるため好ましくない。
【0061】
なお、上記異形断面糸は、変形度つまり、単糸断面の外接円の直径(B)と内接円の直径(A)の比(B/A)が1.5〜5.5の範囲であれば、断面に1個以上の凹凸を有するものであってもよい。
【0062】
そして、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、融点が130℃以上で、重量平均分子量が10万以上、好ましくは10〜30万のポリ乳酸からなることが好ましい。
【0063】
ポリ乳酸の融点が130℃未満では、染色時の熱処理等による熱劣化が起こる原因となりやすい。
【0064】
ポリ乳酸の重量平均分子量が上記の範囲よりも小さいと、ポリ乳酸捲縮糸の機械的特性が十分に得られないばかりか、耐候性、耐熱性、および耐疲労性などのカーペットの表糸に要求される十分な耐久性能が得られなくなるなどの問題を生じやすくなる。
【0065】
上記の条件を満たすポリ乳酸捲縮糸はカーペットのパイルに用いたときに、その使用後において、土中、海水中、活性汚泥中で微生物により生分解して、水と二酸化炭素に分解することから、地球環境に優しいという特性を有するものである。
【0066】
本発明のポリ乳酸捲縮糸を用いたカーペットにおいて、上記捲縮糸をタフトする基布の素材としては、カーペット用として使用されている汎用のポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン製の不織布、たて糸およびよこ糸ともにポリプロピレンのスプリット糸またはフラットテープを用いたもの等を使用することができるが、さらに好ましくは基布としてポリ乳酸繊維の不織布を用いることによって、上記表糸とともに基布を生分解することが可能になる。
【0067】
さらに、縫製によって整形してカーペット製品とする場合は、縫糸としてポリ乳酸糸を用いることにより、カーペットを部位別に分離することなく生分解処分が可能となる。
【0068】
本発明においては、上記ポリ乳酸捲縮糸を2本または3本用い、下撚り、上撚りを施し撚り捲縮糸として使用することが可能である。これにより、撚糸セット糸使いのカーペット、特にカーマットやロールマットに好ましく用いることが可能となる。このとき、撚糸セット条件は、用いるポリ乳酸捲縮糸の物性に応じて、また下撚り、上撚り数は繊度に応じて決定すればよい。また、セット温度は100℃〜125℃の範囲が一般に採用される。
【0069】
次に、本発明のポリ乳酸捲縮糸の製造方法の一例について説明する。
まず、ポリ乳酸のチップを押出し機に供給し、溶融ポリ乳酸となし、続いて紡糸口金から紡糸する。紡糸された糸条は、冷風により冷却・固化され、次いで油剤が付着される。油剤は公知の油剤が使用可能であるが、本発明の糸−金属動摩擦係数を油剤により満足させる方法を取る場合には、用いるポリマの粘度等に応じて前述の低摩擦となる油剤を使用する必要がある。経時的な物性の低下抑制や引き続き行われる延伸工程での予熱をよりスムーズに行うために蒸発潜熱の低い非含水油剤を用いることが好ましい。その後糸条は引取りロールで引き取られた後、熱延伸される。本発明の引張り強度と捲縮伸長率を同時に満足させるために好ましい条件として、引き取り速度400〜2000m/分、延伸倍率は2〜5倍が挙げられる。ポリ乳酸ポリマは延伸を一段で高倍率延伸すると毛羽や単糸切れを発生させる場合があり、引き取りまでにある程度配向を進めておき、3倍程度の延伸を施すことがより好ましい。延伸に際し、十分な予熱を行うためにネルソンローラを用いることが好ましい手法である。高倍率延伸しすぎると後工程でフィブリル化しやすく、かえって好ましくない場合が生じる。
【0070】
続いて加熱流体捲縮付与装置に導入して捲縮が付与される。捲縮付与のための、加熱流体としては加熱蒸気もしくは加熱空気が好ましく用いられる。通常糸条に付与する加熱流体の温度としては130℃〜200℃が好適として採用される。高温すぎた場合、単糸を融着させたり捲縮糸の強度低下につながる。また加熱媒体は糸へのダメージを少なくする点から加熱蒸気よりも加熱空気の使用がより好ましい。
【0071】
捲縮が付与された糸条は冷却された後、捲縮がへたらない程度に引き伸ばされて、最後にパッケージに巻き取られる。ポリ乳酸捲縮糸は、張力のかかった状態で時間が経過すると、用いる油剤の影響や保管する周囲の環境の影響で強伸度が低下することがある。このため、過度な張力付与は望ましくなく、通常0.1 cN/dtex以下の巻き取り張力が採用される。これにより、本発明の引張り強度、沸騰水処理後の捲縮伸長率が達成され、製糸後巻き取った形態で2ヶ月保管した後の強伸度低下もほとんど起こらない捲縮糸が得られる。
【0072】
以上の製法は上記工程の任意部分で一旦糸条を巻取ってもよいが、好ましくは連続で行うのがよい。
【0073】
次いで、上記の方法により得たポリ乳酸捲縮糸をタフティング機にセットし、ポリ乳酸不織布またはポリエステル、ポリプロピレンなどの基布などにタフティングした後、ポリ乳酸不織布またはポリプロピレンなどのバッキング材で裏張りを行うことにより、カーペットを得ることができる。
【0074】
なお、必要に応じて、途中にスチーミング工程、ブラッシング工程、スプレー工程、染色工程、シャーリング工程およびポリシャー工程などの加工工程を付加することも可能である。
【0075】
本発明のカーペットは、上記カーペットをそのまま使用してもよく、また縫製して整形することによりカーマットなどのマットとして使用してもよい。
【0076】
縫製して整形することによりマットとする場合には、縫製用の縫糸としてポリ乳酸糸を用いることにより、マットを部位別に分離することなく生分解処分することができる。
【0077】
【実施例】
以下、実施例により本発明の構成および効果をさらに説明する。
なお、上述および実施例中の物性値は次のようにして求めた値である。
【0078】
[相対粘度]
オストワルド粘度計を用いて、オルソクロルフェノール10mlに対し、試料0.3gを溶解した溶液の相対粘度ηrを25℃で測定した。測定は、n=2の平均値とした。
ηr=t/t0
t:溶液の落下秒数、t0:溶媒(オルソクロルフェノールのみ)の落下秒数。
【0079】
[重量平均分子量]:
試料の0.1%クロロホルム溶液のGPC分析を行い、分子量1,000以下の成分を除く高分子量成分の分散重量平均値を算出した。
【0080】
[総繊度]:
JIS L 1090により測定した。
【0081】
[単糸繊度]:
試料の表示繊度とフイラメント数から求めた。
【0082】
単糸繊度=総繊度(D)/フイラメント数(F)。
【0083】
[沸騰水処理後の捲縮伸長率]
室温(20〜35℃)、相対湿度50〜75%の雰囲気中に20時間以上放置されていたパッケージから解舒した捲縮糸を、無荷重状態で30分間沸騰水で浸漬処理した後、平衡水分率まで乾燥し、これを沸騰水処理後捲縮糸の試料とする。この試料糸に表示dtex×0.0176mN(1.8mg/dtex)の張力を与える初荷重をかけ30秒経過した後に、試料長50cm(L1)にマーキングをする。次いで、同試料に表示dtex×0.882mN(90mg/dtex)の張力を与える定荷重をかけて30秒経過後に、伸びた試料長(L2)を測定する。次いで、下記式により、捲縮伸長率(%)を求める。
捲縮伸長率(%)=[(L2−L1)/L1]×100
なお、沸騰水処理前に糸条を放置する際の雰囲気条件は、実際のカーペット製造工程において使用される時の捲縮糸状態、つまり吸湿により捲縮特性が平衡状態に達した状態とするためのものであり、平衡状態に達するのに時間がかかり過ぎず、かつ結露を生じないという点から選定したものである。
【0084】
[扁平率]:
単糸を切断後、光学顕微鏡を用いて単糸断面の単糸長辺部の最大長(B)と、単糸短辺部の最大長(A)を測定し、次式によりn=5にて求めた。
【0085】
扁平率=(B)/(A)。
【0086】
[変形度]:
単糸を切断後、光学顕微鏡を用いて単糸断面の外接円の直径(B)と内接円の直径(A)を測定し、次式によりn=5にて求めた。
【0087】
変形度=(B)/(A)。
[製糸性]:
延伸時の糸切れ率の評価により次の4段階に区別した。
【0088】
◎…延伸中の糸切れ率が0.5回/t未満のもの(最良)
○…延伸中の糸切れ率が0.5〜1.0回/tのものを(良好)
△…延伸中の糸切れ率が1.0〜2.0回/tのもの(若干不良)
×…延伸中の糸切れ率が2.0回/tを越えるもの(不良)。
[工程通過性]:
撚糸工程での白粉・フィブリル化の発生やタフト性を、最良(◎)、良好(○)、若干不良(△)および不良(×)の4段階に区分した。
[原糸強力(破断強度・破断伸度)]:
オリエンテック社製テンシロン引張り試験機を用い、試長250mm、引張速度300mm/分の条件で測定した。
[風合い]:
カーペットを素足で踏んだ時最もソフト感あるものを最良(◎)とし、最も悪いものを不良(×)とする官能評価により4段階に区分した。(○)は良好、(△)は若干不良を示す。
[耐摩耗性]:
10万人実用テスト法による実用テスト後の表糸の摩耗の程度を、使用テスト前のものと比較し、目視による官能評価により、最良(◎)、良好(○)、若干不良(△)および不良(×)の4段階に区分した。
[カバーリング性]:
カーペットを真上から見たときに表糸の隙間から基布が最も見えにくいものを良好とし(○)、若干不良(△)、最も見やすいものを不良(×)とする官能評価により、3段階に区分した。
【0089】
[実施例1]
重量平均分子量が149000のポリ乳酸のチップをエクストルダー型紡糸機で溶融し、吐出孔形状がY型である68ホールの口金より吐出させた。このとき、紡糸温度は220℃とし、口金直下冷却条件をコントロールすることで、変形度3.8のY型断面のポリ乳酸マルチフィラメントを得た。
【0090】
次いで、紡糸部より得た糸条に先ず表2示す油剤Aの低粘度鉱物油で希釈した25重量%液を付与し、続いて引取りロールで700m/minにて引取り、延伸予熱温度70℃で予熱後、3.0倍に延伸を行った。延伸糸をそのまま連続して捲縮予熱ロール温度130℃にて予熱後、捲縮加工装置にて200℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与した。
【0091】
次いで、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に90gの巻取張力で巻き取った。得られたポリ乳酸捲縮糸は、1170dtexの68フィラメントであった。該捲縮糸の相対粘度は、11.4であった。
【0092】
この際、延伸加工性を評価すると共に、得られたポリ乳酸捲縮糸の原糸特性として、相対粘度、総繊度、沸騰水処理後の捲縮伸長率、摩擦係数、捲縮糸引張り強度、付着油分の値を表1に示す。
【0093】
[実施例2]
重量平均分子量が149000のポリ乳酸のチップをエクストルダー型紡糸機で溶融し、吐出孔形状がY型である136ホールの口金より吐出させた。このとき、紡糸温度は220℃とし、口金直下冷却条件をコントロールすることで、変形度 3.9のY型断面のポリ乳酸マルチフィラメントを得た。
【0094】
次いで、紡糸部より得た糸条に先ず表2示す油剤Aの低粘度鉱物油で希釈した25重量%液を付与し、続いて引取りロールで700m/minにて引取り、延伸予熱温度70℃で予熱後、3.0倍に延伸を行った。延伸糸をそのまま連続して捲縮予熱ロール温度130℃にて予熱後、捲縮加工装置にて200℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与した。
【0095】
次いで、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に160gの巻取張力で巻き取った。得られたポリ乳酸捲縮糸は、2000dtexの136フィラメントであった。該捲縮糸の相対粘度は、11.3であった。
【0096】
この際、延伸加工性を評価すると共に、得られたポリ乳酸捲縮糸の原糸特性を表1に示す。
【0097】
[実施例3]
実施例2において延伸予熱温度100℃で予熱後、3.3倍に延伸を行った。延伸糸をそのまま連続して捲縮予熱ロール温度130℃にて予熱後、捲縮加工装置にて170℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与した。
【0098】
次いで、吐出量を調整し捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に160gの巻取張力で巻き取った。得られたポリ乳酸捲縮糸は、2000dtexの136フィラメントであった。該捲縮糸の相対粘度は、11.3であった。
【0099】
得られたポリ乳酸捲縮糸の原糸特性を表1に示す。
【0100】
[実施例4]
実施例1において口金の吐出孔の形状がタテとヨコのスリット比が1:4の長方形のものを使用した。このときフィラメント数は120にした。
【0101】
次いで、実施例1と同様に紡糸部より得た糸条に先ず表2示す油剤Aの低粘度鉱物油で希釈した25重量%液を付与し、続いて引取りロールで1000m/minにて引取り、加熱延伸ロールにて2.5倍に延伸を行った。延伸糸をそのまま連続して予熱ロール温度130℃にて予熱後、捲縮加工装置にて190℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与した。
【0102】
次いで、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に100gの巻取張力で巻き取った。得られたポリ乳酸捲縮糸は、1100dtexの120フィラメントでありその単糸断面は扁平率3.2の扁平断面であった。
得られたポリ乳酸捲縮糸の原糸特性を表1に示す。
【0103】
[比較例1]
重量平均分子量が60000のポリ乳酸のチップをエクストルダー型紡糸機で溶融し、実施例1と同様に吐出孔形状がY型である68ホールの口金より吐出させた。このとき、紡糸温度は210℃とし、口金直下冷却条件をコントロールすることで、変形度3.1のY型断面のポリ乳酸マルチフィラメントを得た。
【0104】
次いで、紡糸部より得た糸条に先ず表2示す油剤Aの低粘度鉱物油で希釈した25重量%液を付与し、続いて引取りロールで600m/minにて引取り、延伸予熱温度60℃で予熱後、3.6倍に延伸を行った。延伸糸をそのまま連続して予熱ロール温度120℃にて予熱後、捲縮加工装置にて160℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与した。
【0105】
次いで、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に100gの巻取張力で巻き取った。得られたポリ乳酸捲縮糸は、1170dtexの68フィラメントであった。得られた捲縮糸の相対粘度は、6.6であった。
【0106】
実施例1と同様に延伸加工性を評価すると共に、得られたポリ乳酸捲縮糸の原糸特性として、相対粘度、総繊度、沸騰水処理後の捲縮伸長率、摩擦係数、捲縮糸引張り強度、付着油分の値を表1に示す。
【0107】
[比較例2]
実施例1において、巻き取った後の捲縮糸の繊度が3000dtexとなるよう吐出量を増加させ、フィラメント数が180となるように口金を変更した。 このとき、延伸前のローラーでの予熱がフィラメントに均一に行われず、単糸切れが多発した。得られた捲縮糸の物性を表1に示す。
【0108】
[比較例3〜4]
実施例3において捲縮予熱ロール温度120℃にて予熱後、捲縮加工装置にて150℃での加熱圧空処理を行い捲縮を付与したものを比較例3、糸条に表2に示す油剤Bの低粘度鉱物油で希釈した25重量%液を付与したものを比較例4とした。
【0109】
また、実施例1〜4、比較例1〜4にて得られたポリ乳酸捲縮糸を、目付800g/m2 のカットパイルとしてタフティングし得られた各マット用基布について、表面のソフト感、耐摩耗性、表面のカバーリング性を評価した結果を表1に併せて示す。
【0110】
【表1】
【0111】
表1の結果から分かるように、実施例1〜4にて得られた捲縮糸は、製糸性、工程通過性、物理特性とも優れており、カーペット用捲縮糸として優れていることがわかる。一方、比較例1は用いるポリマの重合度が低いため、得られる捲縮糸の相対粘度が低いとともに低強度の捲縮糸しか得られず、製糸性、工程通過性や耐摩耗性が劣る結果となった。比較例2は、製造時に熱がフィラメントに均一に伝わらず、製糸性、工程通過性に劣る捲縮糸であった。比較例3は、捲縮処理温度が低く原糸の強度は高く製糸性、工程通過性は良いものの捲縮レベルを示す伸長率が低いためバルキー性が悪くカーペットとしてのカバーリング性の悪い捲縮糸であった。また比較例4においては、捲縮レベルを示す伸長率・原糸の強度とも高いものの糸−金動摩擦係数が高く、カーペットの製造工程での毛羽や糸切れが増加したとともに、カーペットにしたときの摩耗性が劣る結果であった。また、捲縮処理から巻き取るまでの各ガイドや撚糸工程において白粉の発生やフィブリル化が見られた。
【0112】
【表2】
【0113】
表1に記載している油剤成分の各記号は下記に示す化合物を表わすものである。A1はポリエーテルポリエステルであり、B1はそれ以外の平滑剤成分であり、C1〜C2は極圧剤成分であり、D1〜D4は界面活性剤成分であり、また、E1は、その他の添加剤である。
A1・・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・コポリマ−(2750)とアジピン酸とラウリン酸とのエステル(分子量6000)
B1・・オレイルオレ−ト
C1・・ラウリル(EO)2ホスフェートK塩
C2・・オレイン酸石鹸
D1・・ラウリルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量1500)
D2・・オクチルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量1500)
D3・・オレイルアルコ−ルEO付加物(分子量900)
D4・・硬化ヒマシ油(EO)10モル付加物
E1・・ステアリルアミン(EO)10モル付加物
【0114】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明のポリ乳酸捲縮糸は、捲縮糸の製造並びにカーペット製品を製造するときの工程通過性とカーペット製品としての使用時に要求される物性との両立を可能とするものである。
Claims (4)
- ポリ乳酸ポリマからなる捲縮糸であって、該捲縮糸の相対粘度が9〜22、総繊度が600〜2500dtex、沸騰水処理後の捲縮伸長率が 3〜15%、糸−金属動摩擦係数が0.4以下であることを特徴とするポリ乳酸捲縮糸。
- 該捲縮糸の引張り強度が1.0〜3.0cN/dtexである請求項1に記載のポリ乳酸捲縮糸。
- 該捲縮糸の油剤の付着量が0.3〜0.7重量%である請求項1または2に記載のポリ乳酸捲縮糸
- 該捲縮糸が、単糸繊度5〜25dtexであって、かつ、扁平率が 2〜6の扁平断面を有するものであるか、または、変形度が1.5〜5.5であるY型断面もしくはY型中空断面を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸捲縮糸。
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JP2002210591A JP2004052155A (ja) | 2002-07-19 | 2002-07-19 | ポリ乳酸捲縮糸 |
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JP2007056378A (ja) * | 2005-08-22 | 2007-03-08 | Toray Ind Inc | カーペット用捲縮糸およびカーペット |
-
2002
- 2002-07-19 JP JP2002210591A patent/JP2004052155A/ja active Pending
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