JP2004051962A - 高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子 - Google Patents

高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】発光材料、電荷輸送材料等として有用な新規な高分子化合物を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で示される繰り返し単位を含み、ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10である高分子化合物
Figure 2004051962

(ここで、ArおよびArは、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。XおよびXは、一方が、C(=O) または C(R)(R)であり、他方がO、S、C(=O)等を表す。 Mは、O−C(=O)、C(=O)−O、O、S、C(=O)等を表す。Zは、−CR=CR−または−C≡C−を表す。dは、0または1を示す。)。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子化合物および該高分子化合物を用いた高分子発光素子(以下、高分子LEDということがある。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子量の発光材料(高分子蛍光体)、電荷輸送材料等は低分子量のそれとは異なり溶媒に可溶で塗布法により発光素子における層を形成できることから種々検討されており、その例として、繰り返し単位として、2個の芳香環が直接結合と、
−O−、−S−、−NR−、−CR−、−CRCR−、−N=CR−、−CR=CR−、−N=N−、−(CO)−
〔R〜Rは、水素原子、アルキル基等を表す〕
から選ばれる2個の結合基とを介して結合した
下図
Figure 2004051962
〔AおよびBはそれぞれ独立に上記結合基を表す。〕
で示される構造を含む高分子化合物が知られている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】
WO 01/96454
【特許文献2】
特開平8−81546
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発光材料、電荷輸送材料等として有用な新規な高分子化合物、該高分子化合物を用いた高分子発光素子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、繰り返し単位として、2個の芳香環が直接結合、下記―X―X―、および下記−M−で結合されてなる構造を有する高分子化合物が、発光材料、電荷輸送材料等として有用であることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、下記式(1)示される繰り返し単位を含み、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10〜1×10である高分子化合物に係るものである。
Figure 2004051962
[式中、ArおよびArは、それぞれ独立に、4価の芳香族炭化水素基または4価の複素環基を表す。
およびXは、いずれか一方が、C(=O)またはC(R)(R)を表し、他方がO、S、C(=O)、S(=O)、SO、Si(R)(R)、N(R)、B(R)、P(R)またはP(=O)(R)を表す。
(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を表す。)
Mは、下記式(2)、下記式(3)または下記式(4)で表される基を示す。
−Y−Y−     (2)
[式中、YおよびYは、それぞれ独立に、O、S、C(=O)、S(=O)、SO、C(R)(R10)、Si(R11)(R12)、N(R13)、B(R14)、P(R15)またはP(=O)(R17)を表す。
(式中、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を表す。)ただし、YがC(R)(R10)、Si(R11)(R12)以外の場合は、YとYは同一ではない。]
−Y=Y−     (3)
[式中、YおよびYは、それぞれ独立に、N、B、P、C(R17)またはSi(R18)を表す。
(式中、R17およびR18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を表す。)〕
−Y−   (4)
[式中、Yは、O、S、C(=O)、S(=O)、SO、C(R19)(R20)、Si(R21)(R22)、N(R23)、B(R24)、P(R25)またはP(=O)(R26)を表す。
(式中、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25およびR26は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を表す。)]
は、−CR36=CR37−または−C≡C−を表す。R36およびR37はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。dは、0または1を示す。〕
【0007】
【発明の実施の形態】
上記式(1)中、ArおよびArは、それぞれ独立に、4価の芳香族炭化水素基または4価の複素環基を表す。ArおよびArの両方が4価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、両方が単環性の4価の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
【0008】
ここに4価の芳香族炭化水素基とは、ベンゼン環または縮合環から水素原子4個を除いた残りの原子団をいい、通常炭素数6〜60、好ましくは6〜20であり、下記の化合物が例示される。なお、芳香族炭化水素基上に置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基が例示される。4価の芳香族炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
4価の芳香族炭化水素基としては、以下のものが例示される。
【0009】
Figure 2004051962
【0010】
また、4価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子4個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は、通常4〜60、好ましくは4〜20である。なお複素環基上には芳香族炭化水素基の場合と同様の置換基を有していてもよい。複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、けい素、セレンなどのヘテロ原子を環内に含むものをいう。
4価の複素環基としては、例えば以下のものが例示される。
ヘテロ原子として、窒素を含む4価の複素環基;ピリジンテトライル基(下記式(16))、ジアザベンゼンテトライル基(下記式(17))、キノリンテトライル基(下記式(18))、キノキサリンテトライル基(下記式(19))、アクリジンテトライル基(下記式(20)、フェナントロリンテトライル基(下記式(21))、など。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下記式(22)、(23))。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基:(下記式(24))が例示される。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素環基:(下記式(25))が例示される。
【0011】
Figure 2004051962
(16)
Figure 2004051962
(17)
Figure 2004051962
(18)
Figure 2004051962
(19)
Figure 2004051962
(20)
Figure 2004051962
(21)
Figure 2004051962
(22)
Figure 2004051962
(23)
Figure 2004051962
(24)
Figure 2004051962
(25)
上記式中、R’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシルオキシ基、アミド基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。R’’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、置換シリル基、アシル基、または1価の複素環基を示す。
【0012】
とArはArの芳香環炭素の隣接位に結合し、XとArはArの芳香環炭素の隣接位に結合していることが好ましい。
【0013】
−X−X−としては、以下のものが例示される。
Figure 2004051962
【0014】
中でも、
Figure 2004051962
が好ましい。
−X−X−は
Figure 2004051962
または、
Figure 2004051962
であることがより好ましく、
Figure 2004051962
であることがさらに好ましい。
【0015】
−Y−Y−としては、以下のものが例示される。
Figure 2004051962
中でも、
Figure 2004051962
が好ましい。
【0016】
−Y=Y−としては、以下のものが例示される。
Figure 2004051962
中でも、化合物の安定性の観点から
Figure 2004051962
が好ましい。
【0017】
−Y−としては、以下のものが例示される。
Figure 2004051962
中でも、
Figure 2004051962
が好ましい。
【0018】
式(1)において、Mが、−Y−Y−であり、YとArはArの芳香環炭素の隣接位に結合し、YとArはArの芳香環炭素の隣接位に結合していることが好ましい。
式(1)において、Mが、−Y−Y−であり、YおよびXが、C(=O)であることが好ましい。
−Y−Y−と−X−X−との組み合わせでは、−Y−Y−と−X−X−とが、繰り返し単位において、芳香環のオルソ位同士の結合が、C2対称となる基であることが好ましく、
−Y−Y−が、
Figure 2004051962
であり、
−X−X−が、
Figure 2004051962
であることが、より好ましい。
【0019】
本発明において高分子化合物が有する式(1)で表わされる繰り返し単位としては、Ar、Arがベンゼン環であることが好ましく、下記式(5)であることがさらに好ましい。
Figure 2004051962
〔式中、R27、R28、R29およびR30は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、置換カルボキシル基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。R27とR28が連結して環を形成していてもよく、R29とR30が連結して環を形成していてもよい。Zは、−CR38=CR39−または−C≡C−を表す。R38およびR39はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。eは、0または1を示す。〕
は、−CR36=CR37−または−C≡C−を表す。R36およびR37はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。dは、0または1を示す。〕
上記式(1)において、Zは、合成の容易さ、安定性の観点から、−CR36=CR37−であることが好ましい。
上記式(1)において、dは、発光素子の発光波長の短波長化(青色化)の観点からは、0(ゼロ)であることが好ましい。
【0020】
本発明における、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、よう素が例示される。
【0021】
アルキル基としては、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが例示される。
【0022】
アルキルオキシ基としては、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、 i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが例示される。
【0023】
アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度である。具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが例示される。
【0024】
アルキルアミノ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、モノアルキルアミノ基でもジアルキルアミノ基でもよく、炭素数は通常1〜40程度である。具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基などが例示される。
【0025】
アリール基は、置換基を有していてもよく、炭素数は通常3〜60程度である。具体的には、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基(C〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示される。
【0026】
アリールオキシ基としては、芳香環上に置換基を有していてもよく、炭素数は通常3〜60程度であり、具体的には、フェノキシ基、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示される。
アリールチオ基としては、芳香環上に置換基を有していてもよく、炭素数は通常3〜60程度であり、具体的には、フェニルチオ基、C〜C12アルコキシフェニルチオ基、C〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示される。
【0027】
アリールアミノ基としては、芳香環上に置換基を有していてもよく、炭素数は通常3〜60程度であり、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基などが例示される。
【0028】
アリールアルキル基としては、置換基を有していてもよく、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基、1−ナフチル−C〜C12アルキル基、2−ナフチル−C〜C12アルキル基などが例示される。
【0029】
アリールアルキルオキシ基は、置換基を有していてもよく、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C〜C12アルコキシ基などが例示される。
【0030】
アリールアルキルチオ基としては、置換基を有していてもよく、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基などが例示される。
【0031】
アリールアルキルアミノ基としては、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基などが例示される。
【0032】
アシル基は、炭素数は通常2〜20程度であり、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが例示される。
アシルオキシ基は、炭素数は通常2〜20程度であり、具体的には、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。
【0033】
アミド基は、炭素数は通常2〜20程度であり、具体的には、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基、スクシンイミド基、フタル酸イミド基などが例示される。
【0034】
イミノ基は、炭素数2〜20程度であり、具体的には、以下の構造式で示される化合物が例示される。
Figure 2004051962
【0035】
置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが例示される。
【0036】
置換シリルオキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ−n−プロピルシリルオキシ基、トリ−i−プロピルシリルオキシ基、t−ブチルシリルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基などが例示される。
【0037】
置換シリルチオ基としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリ−n−プロピルシリルチオ基、トリ−i−プロピルシリルチオ基、t−ブチルシリルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、t−ブチルジフェニルシリルチオ基、ジメチルフェニルシリルチオ基などが例示される。
【0038】
置換シリルアミノ基としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリ−n−プロピルシリルアミノ基、トリ−i−プロピルシリルアミノ基、t−ブチルシリルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、t−ブチルジフェニルシリルアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基、ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(トリエチルシリル)アミノ基、ジ(トリ−n−プロピルシリル)アミノ基、ジ(トリ−i−プロピルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルシリルジメチルシリル)アミノ基、ジ(トリフェニルシリル)アミノ基、ジ(トリ−p−キシリルシリル)アミノ基、ジ(トリベンジルシリル)アミノ基、ジ(ジフェニルメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジフェニルシリル)アミノ基、ジ(ジメチルフェニルシリル)アミノ基などが例示される。
【0039】
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度であり、具体的には、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、チアゾール基、チアジアゾール基などが例示される。これらの基は、エーテル結合、チオエーテル結合、アルキル基、アミノ基、アルケニル基、アルキニル基などを介して、ArまたはArと結合していてもよい。
アリールアルケニル基、アリールエチニル基におけるアリール基としては、上記のアリール基と同様なものが例示される。
【0040】
本発明の高分子化合物は式(1)で示される繰り返し単位をそれぞれ2種以上含んでいてもよい。
本発明の高分子化合物は、蛍光特性や電荷輸送特性を損なわない範囲で、式(1)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。また、式(1)で示される繰り返し単位の合計が全繰り返し単位の5モル%以上であることが好ましく、より好ましくは10モル%以上である。
本発明の高分子化合物が含むことができる(1)以外の繰り返し単位として好ましいものとして、一般式(6)で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2004051962
(式中、Arは、アリーレン基または2価の複素環基を示す。R31、R32は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。fは0または1である。)
【0041】
上記一般式(6)におけるArは、アリーレン基または2価の複素環基である。該Arはハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基等の置換基を有していてもよい。
Arとしては、従来からEL発光性材料として利用されてきた材料に含まれるアリーレン基または2価の複素環基であってもよい。これらの材料は例えば、WO99/12989、 WO00/55927、WO01/49769A1、WO01/49768A2、WO98/06773、US5,777,070、WO99/54385、WO00/46321、US6,169,163B1、WO 02/077060に開示されている。
アリーレン基は、ベンゼン環、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環または縮合環が2個直接またはビニレン等の基を介して結合したものが含まれ、通常炭素数6〜60、好ましくは6〜20であり、フェニレン基(例えば、下記式(26))、ナフタレンジイル基(下記式(27))、アントラセニレン基(下記式(28))、ビフェニレン基(下記式(29))、トリフェニレン基(下記式(30))、縮合環化合物基(下記式(31))などが例示される。なおアリーレン基上に置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、シリル基、シリルオキシ基、シリルチオ基、シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基が例示され、アリーレン基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0042】
Figure 2004051962
(26)
Figure 2004051962
(27)
Figure 2004051962
(28)
Figure 2004051962
(29)
Figure 2004051962
(30)
Figure 2004051962
(31)
【0043】
本発明において、2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は、通常4〜60、好ましくは4〜20である。なお複素環基上に置換基を有していてもよく、複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、けい素、セレンなどのヘテロ原子を環内に含むものをいう。
2価の複素環基としては、例えば以下のものが例示される。
ヘテロ原子として、窒素を含む2価の複素環基;ピリジンジイル基(下記式(32))、ジアザフェニレン基(下記式(33))、キノリンジイル基(下記式(34))、キノキサリンジイル基(下記式(35))、アクリジンジイル基(下記式(36))、ビピリジルジイル基(下記式(37))、フェナントロリンジイル基(下記式(38))、など。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下記式(39))。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基:(下記式(40))が例示される。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素環基:(下記式(41))、ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基やベンゾオキサジアゾール−4,7−ジイル基などが例示される。
ヘテロ原子として硫黄などを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基:(下記式(42))が例示される。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基:(下記式(43))が例示される。
Figure 2004051962
(32)
Figure 2004051962
(33)
Figure 2004051962
(34)
Figure 2004051962
(35)
Figure 2004051962
(36)
Figure 2004051962
(37)
Figure 2004051962
(38)
Figure 2004051962
Figure 2004051962
(39)
Figure 2004051962
(40)
Figure 2004051962
(41)
Figure 2004051962
(42)
Figure 2004051962
(43)
式中、R’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシルオキシ基、アミド基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。R’’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、置換シリル基、アシル基、または1価の複素環基を示す。
さらに、2価の複素環基としては、たとえば、三重項発光錯体なども含まれ、例えば、以下に例示されるような2価の金属錯体基が例示される。
Figure 2004051962
Figure 2004051962
Figure 2004051962
Figure 2004051962
Figure 2004051962
Figure 2004051962
Figure 2004051962
【0044】
本発明の高分子化合物が含むことができる(1)以外の繰り返し単位として発光効率の点で好ましいものとして、下記式(7)で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2004051962
式中、ArおよびArはそれぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基であり、ArとArは互いに結合して環を形成してもよい。またR33は、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、下記(8)で示される基、または下記(9)で示される基を示す。gは1〜4の整数である。
Figure 2004051962
式中、Arはアリーレン基または2価の複素環基である。R34は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、または下記式(9)で示される基を示す。Zは、 −CR40=CR41−または−C≡C−を表す。R およびR はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。hは0〜2の整数である。
Figure 2004051962
式中、ArおよびArはそれぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基である。R42は水素原子、アルキル基、アリール基または1価の複素環基を示す。また、R43はアルキル基、アリール基または1価の複素環基を示す。iは1〜4の整数である。
上記式(7)で示される繰り返し単位の好ましい具体例としては、下図のものが例示される。なおベンゼン環上または複素環基上に置換基を有していてもよい。
Figure 2004051962
【0045】
本発明の高分子化合物は、数平均分子量がポリスチレン換算で10〜10である。繰り返し構造の合計数は、繰り返し構造やその割合によっても変わるが成膜性の点から一般には繰り返し構造の合計数が、好ましくは5〜10000、さらに好ましくは10〜10000、特に好ましくは20〜5000である。
【0046】
本発明の高分子化合物は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。蛍光の量子収率の高い高分子化合物を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも含まれる。
【0047】
本発明の高分子化合物が含む繰り返し単位は、非共役の単位で連結されていてもよいし、繰り返し単位にそれらの非共役部分が含まれていてもよい。繰り返し単位を連結する構造としては、以下に示すもの、以下に示すものとビニレン基を組み合わせたもの、および以下に示すもののうち2つ以上を組み合わせたものなどが例示される。ここで、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜60のアリール基および炭素数4〜60の複素環基からなる群から選ばれる基であり、Arは炭素数6〜60個の炭化水素基を示す。
Figure 2004051962
【0048】
本発明の高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていても良い。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、例えば、炭素―炭素結合を介してアリール基または複素環基と結合している構造が例示される。
また、薄膜からの発光を利用するので本発明の高分子化合物は、固体状態で蛍光を有するものが好適に用いられる。
【0049】
本発明の高分子化合物に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。高分子化合物の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0050】
次に、本発明の高分子化合物の製造方法について説明する
本発明の高分子化合物は下記式(10)で示される化合物を原料の一つとして縮合重合することにより製造することができる。
Figure 2004051962
(式中、Ar、Ar、X、XおよびMは、式(1)と同じ。DおよびDはそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ホウ酸基、ホルミル基、シアノメチル基またはビニル基を示す。)
【0051】
ここにアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基などが例示され、アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基などが例示され、アリールアルキルスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基などが例示される。
【0052】
ホウ酸エステル基としては、下記式で示される基が例示される。
Figure 2004051962
【0053】
スルホニウムメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CHSMeX、−CHSPhX (Xはハロゲン原子を示す。)
【0054】
ホスホニウムメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CHPPhX (Xはハロゲン原子を示す。)
【0055】
ホスホネートメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CHPO(OR’’’)
(R’’’はアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を示す。)
モノハロゲン化メチル基としては、フッ化メチル基、塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基が例示される。
【0056】
縮合重合の方法としては、主鎖にビニレン基を有する場合には、必要に応じてその他の単量体を用いて、例えば、〔1〕アルデヒド基を有する化合物とホスホニウム塩基を有する化合物とのWittig反応による重合、〔2〕アルデヒド基とホスホニウム塩基とを有する化合物のWittig反応による重合、〔3〕ビニル基を有する化合物とハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応による重合〔4〕ビニル基とハロゲン原子とを有する化合物のHeck反応による重合、〔5〕アルデヒド基を有する化合物とアルキルホスホネート基を有する化合物とのHorner−Wadsworth−Emmons法による重合〔6〕アルデヒド基とアルキルホスホネート基とを有する化合物のHorner−Wadsworth−Emmons法による重合、〔7〕ハロゲン化メチル基を2つ以上有する化合物の脱ハロゲン化水素法による重縮合、〔8〕スルホニウム塩基を2つ以上有する化合物のスルホニウム塩分解法による重縮合、〔9〕アルデヒド基を有する化合物とアセトニトリル基を有する化合物とのKnoevenagel反応による重合〔10〕アルデヒド基とアセトニトリル基とを有する化合物のKnoevenagel反応による重合などの方法、〔11〕アルデヒド基を2つ以上有する化合物のMcMurry反応による重合などの方法が例示される。
上記〔1〕〜〔11〕の重合について以下に式で示す。
〔1〕
Figure 2004051962
〔2〕
Figure 2004051962
〔3〕
Figure 2004051962
〔4〕
Figure 2004051962
〔5〕
Figure 2004051962
〔6〕
Figure 2004051962
〔7〕
Figure 2004051962
〔8〕
Figure 2004051962
〔9〕
Figure 2004051962
〔10〕
Figure 2004051962
〔11〕
Figure 2004051962
また、本発明の高分子化合物の製造方法として、主鎖にビニレン基を有しない場合には、例えば、〔12〕Suzukiカップリング反応により重合する方法、〔13〕Grignard反応により重合する方法、〔14〕Ni(0)触媒により重合する方法、〔15〕FeCl等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、あるいは〔16〕適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。
上記〔12〕〜〔16〕までの重合法について、以下に式で示す。
〔12〕
Figure 2004051962
〔13〕
Figure 2004051962
〔14〕
Figure 2004051962
〔15〕
Figure 2004051962
〔16〕
Figure 2004051962
これらのうち、 Wittig反応による重合、Heck反応による重合、Horner−Wadsworth−Emmons法による重合、Knoevenagel反応による重合、およびSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が、構造制御がしやすいので好ましい。さらにSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が原料の入手しやすさと重合反応操作の簡便さから好ましい。
【0057】
本発明の高分子化合物を高分子LEDの発光材料として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、本発明の製造方法においては、上記分離操作、精製操作を十分行い、未反応モノマー、副生成物、触媒残渣などを十分除いておくことが好ましい。
乾燥の際には、残存する溶媒が十分に除去される条件であればよい。高分子化合物の変質を防止するために、不活性な雰囲気で遮光して乾燥することが好ましい。また、高分子化合物が熱的に変質しない温度で乾燥することが好ましい。
本発明の高分子化合物は、発光材料の有効成分として用いることができる。さらに、電荷輸送性材料有機半導体材料、光学材料、あるいはドーピングにより導電性材料として用いることもできる。
【0058】
本発明において液晶性を有する高分子化合物とは、高分子化合物を含む分子が液晶相を示すことである。液晶相は、偏光顕微鏡および示差走査熱量測定、X線回折測定などにより確認することができる。
液晶性を有する化合物は、配向させることにより、光学的や電気的に異方性を有することが知られている。(Synthetic Metals 119(2001)537)
配向させる手法としては、一般的に液晶の配向手法として知られているもの、例えば「液晶の基礎と応用」(松本正一、角田市良共著、工業調査会 1991年)第5章、「強誘電性液晶の構造と物性」(福田敦夫、竹添秀男共著、コロナ社、1990年)第7章、「液晶」第3巻第1号(1999年)3〜16頁等に記載の方法を用いることができる。中でもラビング法、光配向法、ずり応力印加法や引き上げ塗布法が配向手法として簡便かつ有用で利用しやすい。
ラビング法とは、基板表面を布などで軽く擦る方法である。基板としてはガラスや高分子フィルム等を用いることができる。基板を擦る布としては、ガーゼやポリエステル、コットン、ナイロン、レーヨンなどの布を用いることができる。また基板上に別途配向膜を形成すると、より配向性能が高くなる。ここで配向膜としては、ポリイミド、ポリアミド、PVA、ポリエステル、ナイロンなどが挙げられ、市販の液晶用配向膜も用いることができる。配向膜はスピンコート法やフレキソ印刷などで形成することができる。ラビングに用いる布は、用いる配向膜にあわせて適宜選択することができる。
光配向法とは、基板上に配向膜を形成し、偏光UV光照射あるいはUV光を斜入射照射する方法で配向機能を持たせる方法である。配向膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルシンナメートなどが挙げられ、市販の液晶用配向膜も用いることができる。
ラビング法または光配向法では、上記記載の処理を施した基板間に配向させた高分子材料を挟むことにより、配向させることができる。このとき、基板を材料が液晶相または等方相の温度にすることが必要である。温度設定を行うのは、高分子材料を基板に挟む前でも、挟んだあとでもよい。また、該高分子材料を配向処理を施した基板上に塗布するだけでもよい。高分子の塗布は、高分子を基板上にのせてTg以上あるいは液晶相または等方相を示す温度に設定し、ロッドなどで一方向にコーティングするか、有機溶媒に溶解した溶液を調製し、スピンコートやフレキソ印刷などで塗布する方法で行うことができる。
ずり応力印加法とは、基板上にのせた高分子材料の上に別の基板をのせ、液晶相または等方相になる温度下で上基板を一方向にずらす方法である。このとき基板は、上記ラビング法や光配向法で記載したような配向処理を施した基板を用いると、より配向度が高いものが得られる。基板としては、ガラスや高分子フィルム等を用いることができ、応力でずらすものは基板ではなく金属製のロッド等でもよい。
引き上げ塗布法とは、基板を高分子溶液に浸し、引き上げる手法である。高分子溶液に用いる有機溶剤や、基板引き上げ速度は特に限定はされないが、、高分子の配向度にあわせて選択、調整することができる。
本発明の高分子化合物を高分子LEDの発光材料として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちに重合することが好ましく、また合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
また、薄膜からの発光やりん光を利用するので本発明の高分子化合物は、固体状態で蛍光またはりん光を有するものが好適に用いられる。
本発明の高分子化合物に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。高分子化合物の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0059】
次に、本発明の高分子LEDについて説明する。
本発明の高分子LEDは、陽極および陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が本発明の高分子化合物を含むことを特徴とする。
また、本発明の高分子LEDとしては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
本発明の高分子LEDには少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して導電性高分子を含む層を設けた高分子LED;少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDも含まれる。
具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
ここで、発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。
発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm以上10S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm以上10S/cm以下がより好ましく、10−5S/cm以上10S/cm以下がさらに好ましい。
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10−5S/cm以上10S/cm以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
本発明の高分子LEDにおける 発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の高分子LEDにおいては、発光層に上記高分子化合物以外の発光材料を混合して使用してもよい。また、本発明の高分子LEDにおいては、上記高分子蛍光体以外の発光材料を含む発光層が、上記高分子蛍光体を含む発光層と積層されていてもよい。
該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
発光層の成膜の方法に制限はないが、溶液からの成膜による方法が例示される。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
これらの中で、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。
ポリシランもしくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有するものが例示される。
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料および/または高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液または溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリシロキサンなどが例示される。
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
本発明において、陽極および陰極からなる電極の少なくとも一方が透明または半透明であり、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。
該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
また、陽極および陰極からなる電極間に、電荷輸送層と発光層とを有し、該電荷輸送層が本発明の高分子化合物を含む高分子LEDも可能である。
【0060】
本発明の高分子発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライトとして用いることができる。
【0061】
本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、平均分子量については、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。
【0063】
実施例1
<単量体1の合成>
エラグ酸25gと1−ブロモ−3,7−ジメチルオクタン221gと炭酸カリウム60gをN,N−ジメチルホルムアミド450g中、100℃で28時間反応させた。この反応液を冷却した後、静置したところ、二層に分離した。次に、上層を回収した。回収したこの溶液をイオン交換水で洗浄した。洗浄水が中性になるまで、水洗を繰り返した。次に、この油層を減圧乾燥した後、シリカゲルカラムを用いて、流動相トルエン/へキサン=1/1で、未反応1−ブロモ−3,7−ジメチルオクタンおよびエラグ酸のテトラアルコキシ置換体を除去した後、流動相クロロホルムで、ジアルコキシ置換体を分取した。分取した溶液から、溶媒を減圧留去した後、これを減圧乾燥することにより、ジアルコキシ置換体6.5gを得た。得られたジアルコキシ置換体は、プロトンNMRの化学シフトおよび2,7位と3,8位の水酸基と1−ブロモ−3,7−ジメチルオクタンとの反応性から考えて、2,7−ジヒドロキシ−3,8−ジ(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−[1]ベンゾピラノ[5,4,3−cde][1]ベンゾピラン−5,10−ジオンであると推定した。
得られた化合物を単量体1と呼ぶ。
【0064】
<高分子化合物1の合成>
単量体1とトリフルオロメタンスルホン酸無水物とを反応して得た単量体1のトリフルオロメタンスルホン酸エステル0.59gと9,9−ジオクチル―2,7−フルオレンジホウ酸エチレングリコールエステル0.37gと炭酸カリウム1gとをトルエン20gとイオン交換水20gに溶解した後、窒素ガスでバブリングして、系内を窒素ガス置換した。この溶液に、パラジウム触媒{Pd(PPh3)4}0.02gを、あらかじめ窒素ガスでバブリングして脱気したトルエン1mlに溶解した溶液を加えた。室温で10分間攪拌した後、100℃で5時間反応させた。なお、反応は窒素雰囲気中で行った。
この反応液を冷却した後、トルエンを加え、分液し、トルエン層を回収した。このトルエン溶液を、1規定の塩酸で洗浄した後、さらに、2%アンモニア水で洗浄、最後に、イオン交換水で洗浄した。このトルエン溶液をアルミナを充填したカラムを通すことにより精製した後、このトルエン溶液をメタノールにそそぎ込み、再沈精製した。生成した沈殿を回収した後、減圧乾燥して、重合体0.3gを得た。得られた重合体を高分子化合物1と呼ぶ。
高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量は、2.0×10であり、重量平均分子量は、5.6×10であった。仕込みから推定される高分子化合物1に含まれる繰り返し単位の構造を下記に示す。
Figure 2004051962
【0065】
実施例2
<高分子化合物2の合成>
実施例1で得られた単量体1とトリフルオロメタンスルホン酸無水物とを反応して得た単量体1のトリフルオロメタンスルホン酸エステル0.63gと2,2‘−ビピリジル0.28gとをテトラヒドロフラン(脱水)30gに溶解した後、窒素ガスでバブリングして、系内を窒素ガス置換した。この溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}0.5gを加え、室温で約10分間攪拌した後、昇温し、60℃で3時間反応した。なお、反応は窒素雰囲気中で行った。
この反応液を冷却した後、25%アンモニア水10ml/メタノール100ml/イオン交換水200ml混合溶液を加え、約1時間攪拌した。この溶液を室温で一夜静置した後、生成した沈殿をろ過することにより、回収した。次に、この沈殿を乾燥した後、トルエンに溶解した。不溶物をろ過することにより、除去した後、この溶液を、アルミナを充填したカラムを通過させることにより精製した。次に、この溶液をメタノール中に注ぎ込み、再沈精製した。生成した沈殿を回収し、エタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.02gを得た。得られた重合体を高分子化合物2と呼ぶ。
該高分子化合物2のポリスチレン換算の数平均分子量は、4.5×10であり、重量平均分子量は、7.2×10であった。仕込みから推定される高分子化合物2に含まれる繰り返し単位の構造を下記に示す。
なお、該高分子化合物2を、偏光顕微鏡を用いて、クロスニコル下で観察した結果、そのテクスチャーより、該高分子化合物2は、液晶であることを確認した。
Figure 2004051962
【0066】
実施例3
<高分子化合物3の合成>
実施例1で得られた単量体1とトリフルオロメタンスルホン酸無水物とを反応して得た単量体1のトリフルオロメタンスルホン酸エステル0.63gとN、N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N、N’−ビス―(4―n―ブチルフェニル)―1,4−フェニレンジアミン0.23gと2,2‘−ビピリジル0.39gとをテトラヒドロフラン(脱水)30gに溶解した後、窒素ガスでバブリングして、系内を窒素ガス置換した。この溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}0.7gを加え、室温で約10分間攪拌した後、昇温し、60℃で3時間反応した。なお、反応は窒素雰囲気中で行った。
この反応液を冷却した後、25%アンモニア水10ml/メタノール100ml/イオン交換水200ml混合溶液を加え、約1時間攪拌した。この溶液を室温で一夜静置した後、生成した沈殿をろ過することにより、回収した。次に、この沈殿を乾燥した後、トルエンに溶解した。不溶物をろ過することにより、除去した後、この溶液を、アルミナを充填したカラムを通過させることにより精製した。次に、この溶液をメタノール中に注ぎ込み、再沈精製した。生成した沈殿を回収し、エタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.03gを得た。得られた重合体を高分子化合物3と呼ぶ。
該高分子化合物3のポリスチレン換算の数平均分子量は、5.3×10であり、重量平均分子量は、1.2×10であった。仕込みから推定される高分子化合物3に含まれる繰り返し単位の構造を下記に示す。
Figure 2004051962
【0067】
実施例4
<高分子化合物4の合成>
実施例1で得られた単量体1とトリフルオロメタンスルホン酸無水物とを反応して得た単量体1のトリフルオロメタンスルホン酸エステル0.25gと1,4−ジブロモー2,5−ビス(3,7−ジメチルオクチルオキシ)ベンゼン0.66gと2,2‘−ビピリジル0.61gとをテトラヒドロフラン(脱水)40gに溶解した後、窒素ガスでバブリングして、系内を窒素ガス置換した。この溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}1.1gを加え、室温で24時間反応した。なお、反応は窒素雰囲気中で行った。
次に、この反応液に、25%アンモニア水10ml/メタノール30ml/イオン交換水60ml混合溶液を加え、約1時間攪拌した。この溶液を室温で一夜静置した後、生成した沈殿をろ過することにより、回収した。次に、この沈殿を乾燥した後、トルエンに溶解した。不溶物を、ろ過することにより、除去した。次に、この溶液を、1規定塩酸で洗浄、分液後、次に、トルエン層を約2.5%のアンモニア水で洗浄、分液後、トルエン層をイオン交換水で洗浄した。次に、得られたトルエン溶液をメタノール中に注ぎ込み、再沈精製した。生成した沈殿を回収し、エタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.05gを得た。得られた重合体を高分子化合物4と呼ぶ。
該高分子化合物4のポリスチレン換算の数平均分子量は、4.7×10であり、重量平均分子量は、7.0×10であった。仕込みから推定される高分子化合物4に含まれる繰り返し単位の構造を下記に示す。
Figure 2004051962
【0068】
実施例5
<高分子化合物5の合成>
実施例1で得られた単量体1とトリフルオロメタンスルホン酸無水物とを反応して得た単量体1のトリフルオロメタンスルホン酸エステル0.25gと3,7−ジブロモー2,8−ジオクチルオキシジベンゾチオフェン0.72gと2,2‘−ビピリジル0.55gとをテトラヒドロフラン(脱水)40gに溶解した後、窒素ガスでバブリングして、系内を窒素ガス置換した。この溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}1.0gを加え、室温で24時間反応した。なお、反応は窒素雰囲気中で行った。
次に、この反応液に、25%アンモニア水10ml/メタノール30ml/イオン交換水60ml混合溶液を加え、約1時間攪拌した。この溶液を室温で一夜静置した後、生成した沈殿をろ過することにより、回収した。次に、この沈殿を乾燥した後、トルエンに溶解した。不溶物を、ろ過することにより、除去した。次に、この溶液を、1規定塩酸で洗浄した。分液後、次に、トルエン層を約2.5%のアンモニア水で洗浄、分液後、トルエン層をイオン交換水で洗浄した。次に、得られたトルエン溶液をメタノール中に注ぎ込み、再沈精製した。生成した沈殿を回収し、エタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.05gを得た。得られた重合体を高分子化合物5と呼ぶ。
該高分子化合物5のポリスチレン換算の数平均分子量は、1.0×10であり、重量平均分子量は、1.8×10であった。仕込みから推定される高分子化合物5に含まれる繰り返し単位の構造を下記に示す。
Figure 2004051962
【0069】
実施例6
<高分子化合物6の合成>
実施例1で得られた単量体1とトリフルオロメタンスルホン酸無水物とを反応して得た単量体1のトリフルオロメタンスルホン酸エステル0.25gと3,7−ジブロモー2,8−ジオクチルオキシジベンゾチオフェン0.45gとN、N’−ビス−(4−ブロモフェニル)−N、N’−ビス―(2,6−ジメチルー4―tert―ブチルフェニル)―1,4−フェニレンジアミン0.33gと2,2‘−ビピリジル0.55gとをテトラヒドロフラン(脱水)40gに溶解した後、窒素ガスでバブリングして、系内を窒素ガス置換した。この溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}1.0gを加え、室温で40時間反応した。なお、反応は窒素雰囲気中で行った。
次に、この反応液に、メタノール50ml/イオン交換水50ml混合溶液を加え、約1時間攪拌した。この溶液を室温で一夜静置した後、生成した沈殿をろ過することにより、回収した。次に、この沈殿を乾燥した後、トルエンに溶解した。不溶物をろ過することにより、除去した後、この溶液を、アルミナを充填したカラムを通過させることにより精製した。次に、この溶液をメタノール中に注ぎ込み、再沈精製した。生成した沈殿を回収し、エタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥して、重合体0.35gを得た。得られた重合体を高分子化合物6と呼ぶ。
該高分子化合物6のポリスチレン換算の数平均分子量は、1.5×10であり、重量平均分子量は、2.8×10であった。仕込みから推定される高分子化合物6に含まれる繰り返し単位の構造を下記に示す。
Figure 2004051962
【0070】
実施例7
<吸収スペクトル、蛍光スペクトルの測定>
高分子化合物1〜6は、クロロホルムに容易に溶解させることができた。その0.2%クロロホルム溶液を石英板上にスピンコートして重合体の薄膜を作成した。この薄膜の紫外可視吸収スペクトルと蛍光スペクトルをそれぞれ島津製作所製自記分光光度計UV365および日立製作所製蛍光分光光度計850を用いて測定した。
高分子化合物1〜6の蛍光ピーク波長と相対強度を表1に示した。
【表1】
Figure 2004051962
【0071】
実施例8
<素子の作成および評価>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、Baytron)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上120℃で5分間乾燥した。次に、高分子化合物1の1.5wt%トルエン溶液を用いてスピンコートにより70nmの厚みで成膜した。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、フッ化リチウムを約4nm蒸着した後、陰極として、カルシウムを約20nm、次いで、アルミニウムを約50nm蒸着して、高分子LEDを作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜8×10−6Torrであった。得られた素子に電圧を印加することにより、高分子化合物1からのEL発光が得られた。発光開始電圧は約7.6Vであり、発光効率は最大約0.14cd/A、最高輝度は約100cd/m2であった。ELピーク波長は、高分子化合物1の薄膜の蛍光ピーク波長とほぼ一致しており、高分子化合物1からのEL発光が確認された。

【0072】
【発明の効果】
本発明の高分子化合物は発光材料、電荷輸送材料等として有用である。従って、該高分子化合物は高分子LEDに用いることができる。該高分子LEDはバックライトとしての面状光源、フラットパネルディスプレイ等の装置として好ましく使用できる

Claims (15)

  1. 下記式(1)で示される繰り返し単位を含み、ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であることを特徴とする高分子化合物。
    Figure 2004051962
    [式中、ArおよびArは、それぞれ独立に、4価の芳香族炭化水素基または4価の複素環基を表す。
    およびXは、いずれか一方が、C(=O) または C(R)(R)を表し、他方がO、S、C(=O)、S(=O)、SO、Si(R)(R)、N(R)、B(R)、P(R)またはP(=O)(R)を表す。
    (式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を表す。)
    Mは、下記式(2)、下記式(3)または下記式(4)で表される基を示す。
    −Y−Y−     (2)
    [式中、YおよびYは、それぞれ独立に、O、S、C(=O)、S(=O)、SO、C(R)(R10)、Si(R11)(R12)、N(R13)、B(R14)、P(R15)またはP(=O)(R16
    (式中、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を表す。)を表す。ただし、YがC(R)(R10)、Si(R11)(R12)以外の場合は、YとYは同一ではない。]
    −Y=Y−     (3)
    [式中、YおよびYは、それぞれ独立に、N、B、P、C(R17)またはSi(R18
    (式中、R17およびR18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を表す。)を表す。〕
    −Y−   (4)
    [式中、Yは、O、S、C(=O)、S(=O)、SO、C(R19)(R20)、Si(R21)(R22)、N(R23)、B(R24)、P(R25)またはP(=O)(R26
    (式中、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25およびR26は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基またはシアノ基を表す。)を表す。]
    は、−CR36=CR37−または−C≡C−を表す。R36およびR37はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。dは、0または1を示す。〕
  2. 式(1)において、Mが上記式(2)で表されることを特徴とする請求項1記載の高分子化合物。
  3. 式(1)において、XとArはArの芳香環炭素の隣接位に結合し、XとArはArの芳香環炭素の隣接位に結合し、YとArはArの芳香環炭素の隣接位に結合し、YとArはArの芳香環炭素の隣接位に結合していることを特徴とする請求項2記載の高分子化合物。
  4. 上記式(1)において、ArおよびArがベンゼン環であることを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の高分子化合物。
  5. 上記式(1)において、YおよびXが、C(=O)であることを特徴とする請求項2、3、4のいずれかに記載の高分子化合物。
  6. 上記式(1)において、YおよびXが、C(=O)であり、YおよびXが、O(酸素原子)であることを特徴とする請求項5記載の高分子化合物。
  7. 上記式(1)で示される繰り返し単位の合計が全繰り返し単位の10モル%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高分子化合物。
  8. 液晶性を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高分子化合物。
  9. 固体状態で蛍光を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高分子化合物。
  10. 請求項1〜9に記載の高分子化合物を含むことを特徴とする高分子電子素子。
  11. 陽極および陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が請求項1〜9の何れかに記載の高分子化合物を含むことを特徴とする高分子発光素子。
  12. 請求項11に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とする面状光源。
  13. 請求項11に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするセグメント表示装置。
  14. 請求項11に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
  15. 請求項11に記載の高分子発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
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