JP2004051809A - 室温速硬化型接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】きわめて早いオープンタイムでタックが発生しかつ、保存安定性がよく、保存時にゲル化したり、接着性が低下することがない室温速硬化型接着剤組成物。
【解決手段】(A)分子中に少なくとも1つ以上加水分解性シランを有するポリオキシアルキレン、(B)無機充填剤、(C)有機チタネート触媒、(D)有機ジルコニウム触媒からなる室温速硬化型接着剤組成物。また、好ましい形態として前記(A)成分100重量部に対してさらに、(A2)分子中に少なくとも1つ以上加水分解性シランを有し、(1)分子鎖が実質的に炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、(2)炭素数10〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体5〜100重量部を添加する室温速硬化型接着剤組成物。
【解決手段】(A)分子中に少なくとも1つ以上加水分解性シランを有するポリオキシアルキレン、(B)無機充填剤、(C)有機チタネート触媒、(D)有機ジルコニウム触媒からなる室温速硬化型接着剤組成物。また、好ましい形態として前記(A)成分100重量部に対してさらに、(A2)分子中に少なくとも1つ以上加水分解性シランを有し、(1)分子鎖が実質的に炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、(2)炭素数10〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体5〜100重量部を添加する室温速硬化型接着剤組成物。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は室温速硬化型接着剤組成物に関するものであり、空気中の湿気により迅速にタック力が発現するコンタクト型接着剤に関するものである。
【従来の技術】
接着剤は固化すれば強い接着力を発現できるが、被着面に塗布しやすいように固化前は液状であるため接着剤が固化するまでの間、治具などで被接着物を固定する必要がある。一方、コンタクト型接着剤というものは被着体に塗布してそのまま数分放置することにより表面の接着剤が固化し始め粘着力が発現するものであり、その後被着面を貼り合わせることにより、被接着物を治具などで固定することなく接着することができるものである。(このとき放置する時間をオープンタイムという。)コンタクト型接着剤は例えば、溶剤型ゴム系接着剤が挙げられ、古くから使用されてきた。この溶剤型ゴム系接着剤は有機溶剤による人体への毒性・環境汚染の問題から、特許第2911991号に記載されているように有機溶剤を用いない反応型高分子化合物からなる湿気硬化型コンタクト型接着剤が提案されている。
【0001】
上述の公報に記載のコンタクト型接着剤を構成する変成シリコーン系高分子化合物は実質反応性珪素基を有する変成シリコーン樹脂からなるものであるが、タックが発現するまでに長時間を必要とし、従来の溶剤型ゴム系接着剤の代替にはならなかった。
【0002】
タックが発現するまでの時間を短縮する方法としては特開平10−245484号、特開平11−29713号、特開2001−200230号公報などに記載されているように、変成シリコーンの両末端にトリアルコキシシリルを付与することが知られている。しかし、これらの組成物はタックの発現が早いと言っても5分〜10分必要である。両面テープのようにオープンタイムが必要ないものや、シアノアクリレート主成分の瞬間接着剤ような速硬化の接着性の様な使い勝手には及ばない。また、前述した手法では硬化は早くなるが反対に保存安定性は悪化するという欠点がある。
【0003】
一方、接着剤組成物の粘度を極大に増粘することでオープンタイム無しで被着体をコンタクト接着する方法が特開2001−311056号公報に提案されている。しかし、これらの組成物の粘度は10000Pa・s以上であることから、塗布時の作業性は非常に悪いものでありまた、被着体への濡れ性が悪いため固化後の接着強度が低下するという欠点がある。
【0004】
一方、シロキサン組成物や変性シリコーン組成物などのシリコーン組成物の硬化触媒として一般的に有機スズ触媒を使用することが一般的である。しかし、有機スズ化合物はPRTR法の対象物であり、環境配慮のため、スズを使用することは避けるべきである。また、電気電子分野、特にHDDの製造においてスズ化合物が大きなダメージを与えることが知られている。よって、HDD製造に関わる全ての接着・シール剤においては、スズを含有しないことが求められている。
【0005】
シリコーン組成物ではスズ触媒の代替として、ビスマスの有機酸塩が提案されている(特開平5−39428号公報)。しかし、スズ触媒と比べて一液接着・シール剤として十分な保存安定性がないだけでなく硬化物の物性など総合的な物性はいまだにスズ触媒からなる組成物までに及ばない。
【0006】
一方、チタネート化合物はRTVシリコーンの硬化触媒として古くから提案されている。変成シリコーン粘着剤の硬化触媒として、特開昭61−60771号公報、62−146959号公報に有機チタネートが例示されている。しかし、変成シリコーン樹脂を接着剤等に使用するためには無機充填剤による補強が必要であるがこの系に有機チタネートを配合すると保存中にゲル化してしまう。即ち、保存安定性がなく、一液性組成物として利用することができない。無機充填剤がない状態であれば保存安定性は向上するが、接着剤・シール剤などの樹脂に強度が必要な用途には使用できない。さらに、チタネート化合物は様々な有機化合物と反応し有色錯体になり、変成シリコーン樹脂に配合すると着色してしまい、黄色硬化物しか得られないという問題点がある。
【0007】
この発明の目的は上述した欠点を克服するものであり、本発明は無機充填剤配合の変成シリコーンに有機チタネート及び有機ジルコニウム硬化触媒を使用することによって、超速硬化型弾性接着剤を見出すことが出来た。即ち、本発明は速硬化という特徴以外に、スズ触媒を使用しない湿気硬化性組成物であるということにある。スズ触媒を使用せず、かつ、変成シリコーンの持つ優れた作業性、弾性接着性、耐熱耐候性を保ながら、α−シアノアクリレート系瞬間接着剤の様に使用できる超速硬化型弾性接着剤を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
本発明者はこのような問題を解決するために鋭意検討した結果、(A)分子中に少なくとも1つ以上加水分解性シランを有するポリオキシアルキレン、(B)無機充填剤、(C)有機チタネート触媒、(D)有機ジルコニウム触媒からなる室温速硬化型接着剤組成物を得るに至った。また、本発明の別の形態として前記(A)成分100重量部に対してさらに、(A2)分子中に少なくとも1つ以上加水分解性シランを有し、(1)分子鎖が実質的に炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、(2)炭素数10〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体5〜100重量部を添加する室温速硬化型接着剤組成物を得るものである。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明で使用される(A)成分は、主鎖が本質的にポリオキシアルキレンであって、分子中に少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の加水分解性シランを有するものである。典型的な例としてポリオキシアルキレン両末端に架橋可能な加水分解性のシリル基を有するものが用いられる。このような(A)成分は、例えば、末端にアリル基を有するポリオキシアルキレンをVIII族遷移金属の存在下で、式1で表される水素化ケイ素化合物と反応させることによって得ることができる。
【化1】
【0009】
式中、Rは1価の炭化水素基又はそのハロゲン化物から選択される基を示し、aは0、1又は2の整数であり、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはケトキシメート基から選択される基又は原子を示す。
【0010】
上記重合体(A)の主鎖であるポリオキシアルキレンとしては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等が挙げられる。これらの中で、室温硬化性組成物の硬化物の耐水性がよく、かつシーリング材としての弾性を付与するという点でポリオキシプロピレンが好ましい。また、架橋可能な加水分解性シリル基としては、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノオキシ基、アルケニルオキシ基などが挙げられるが、メトキシシリル基、エトキシシリル基等のアルコキシシリル基が、反応後有害な副生物を生成しない点で好ましい。
【0011】
上記加水分解性シランを有するポリオキシアルキレンの凝集力及び耐熱性、耐候性を高めるため、(A2)加水分解性シランを有するアクリル酸エステル共重合体をブレンドまたは共重合すると有利である。この方法は昭63−112642号公報に記載されている。(A2)加水分解性シランを有するアクリル酸エステル重合体とは、(1)分子鎖が実質的に炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、(2)炭素数10〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体であり、分子中に少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、さらに好ましくは分子両末端に加水分解性シランを有するものである。加水分解性シランは前述のとおりである。
【0012】
前記(A)加水分解性シランを有するポリオキシアルキレン100重量部に対して、(A2)加水分解性シランを有するアクリル酸エステル共重合体5〜200重量部を併用することにより更に耐熱性、耐候性、接着性を高めることが出来る。前記(A)成分は例えば、鐘淵化学工業(株)のMSポリマーシリーズ、(A)成分と(A2)成分の混合物はMAポリマーシリーズとして販売されており、入手は容易である。
【0013】
(B)成分は無機充填剤である。(A)成分を接着剤やシール剤として使用するためには凝集力が弱いため、無機微粉末での補強が不可欠である。この無機微粉末は従来公知なものが使用でき重質炭酸カルシウム、コロイド軽質炭酸カルシウム、タルク、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、石英粉末、珪藻土、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸亜鉛、アルミナ、水酸化アルミ、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー等が挙げられる。
【0014】
通常、これらの無機微粉末をシリコーン樹脂などの有機高分子樹脂に混合するときは分散性を向上させるためや二時凝集を起こさないために、シランカップリング剤、脂肪酸などの表面処理剤(表面改質剤)でフィラーの表面処理が行われている。しかし、表面処理剤で表面処理した無機微粉末を本発明に用いると、混合と同時に増粘する可能性がある。よって、本発明では無機微粉末の表面を表面処理剤や表面改質剤で処理しない方がよい。本発明で用いないほうが良い表面処理剤としては脂肪酸、アルコール、グリコール、シラノール、アミンを有する処理剤である。また、極めて高い保存安定性を求める場合、表面未処理重炭酸カルシウムが最も有用であることを見いだした。
【0015】
(B)成分の配合量は(A)成分または(A)成分と(A2)成分の混合物100重量部に対して30〜300重量部である。30重量部以下だと接着剤として使用するための樹脂強度が不足し300重量部以上だと樹脂の弾性が低くなりもろい樹脂となる。
【0016】
(C)成分である有機チタネート湿気硬化触媒としては、有機チタン酸エステル、チタンのキレート化合物、チタンケイ酸エステルによるキレート化合物などが挙げられる。チタネート類の具体例としては、チタンエチルアセテート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラステアリルチタネート、テトラメチルチタネート、ジエトキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロピルビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ(2−エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、テトラアセチルアセトネートチタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンおよびこれらの加水分解縮合物等を挙げることができる。
【0017】
(C)成分の配合量は、(A)成分または(A)成分と(A2)成分の混合物100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部配合することがとくに好ましい。配合量が0.1部未満の場合には、得られる組成物の硬化速度が遅くなり、10重量部より多いと得られる硬化物の引張特性等の物性が低下するばかりでなく、経済的にも不利益であり、組成物の貯蔵安定性が低下することにもなるため、いずれも好ましくない。
【0018】
本発明の硬化触媒として(C)成分の他に(D)成分と組み合わせることにより速硬化性を持ちながら保存安定性も持ち合わせる組成物になり、さらに接着性を向上し接着剤としての使用に適した組成物を得ることができる。(D)成分は有機ジルコニウムであり、具体例としては有機ジルコニウム酸エステル、ジルコニウムのキレート化合物、ジルコニウムのケイ酸エステルによるキレート化合物、ジルコニウムエチルアセテート、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、ブトキシジルコニウムダイマー、テトラステアリルジルコニウム、テトラメトキシジルコニウム、ジエトキシビス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)ジルコニウム、ジ(2−エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)ジルコニウム、テトラアセチルアセトネートジルコニウム、ヒドロキシビス(ラクタト)ジルコニウムおよびこれらの加水分解縮合物等を挙げることができる。前記チタネート類は1種類のみで使用しても良いが、2種類以上混合使用するとさらに保存安定性が良くなる。
【0019】
(D)成分の配合量は、(A)成分または(A)成分と(A2)成分の混合物100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部配合することがとくに好ましい。配合量が0.1部未満の場合には、得られる組成物の硬化速度が遅くなり、10重量部より多いと得られる硬化物の引張特性等の物性が低下するばかりでなく、経済的にも不利益であり、組成物の貯蔵安定性が低下することにもなるため、いずれも好ましくない。
【0020】
本発明は上記必須成分以外に、シランカップリング剤を添加することができる。シランカップリング剤は本発明の組成物に保存安定性をさらに向上させることができ、湿気硬化スピードを調整する役割も担い、また様々なプラスチック、ゴム、金属、無機材質に対して密着性効果を果たす。
【0021】
これらのシランカップリング剤は、具体的に、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の4官能アルコキシシラン及びそれらの加水分解物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びこれらの加水分解物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類等を挙げることができる。
【0022】
前記シランカップリング剤の配合量は(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましいが、0.1〜5重量部配合することがとくに好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、組成部の保存安定性を寄与できない。5部をこえると湿気硬化スピードは著しく低下してしまう。上記シランカップリング剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0023】
上記シランカップリング剤の他に密着付与剤としてアミノシランを使用することが出来る。具体的には、(β−アミノエチル)−β−アミノエチルトリアルコキシシラン、(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、(γ−アミノプロピル)−β−アミノエチルトリアルコキシシラン、(γ−アミノプロピル)−アミノプロピルトリアルコキシシラン、アミノプロピルトリアルコキシシラン、アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、また、アクリレートモノマーとマイケル付加反応によって得られる2級アミノシラン化合物などが挙げられる。アルコキシ基は加水分解性基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、プロペノキシ基などが挙げられる。これらの1種もしくは2種以上のアミノシラン化合物が好適に用いられる。
【0024】
但し、チタネート及びジルコニウム触媒はアミンと錯体に形成するため、チタネート化合物の湿気硬化触媒活性は失ってしまう。そのため、アミノシランの添加量は限られている。(A)成分100部に対して0.01〜0.5部が好ましい。0.01〜0.2部配合することがとくに好ましい。アミノシランの添加量は0.5部を超える場合、チタネート触媒を失活させてしまうため、好ましくない。
【0025】
また、上記(A)〜(D)の必須成分に加え、必要に応じて、繊維質充填剤、耐油性向上剤、耐熱性向上剤、耐寒性向上剤、チクソトロピー剤、脱水剤、防錆剤、接着性向上剤、耐油接着性向上剤、溶剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃性付与剤、界面活性剤、静電気防止剤等を添加してもよい。これらは所要の物性に応じて適宜の量で添加される。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されない。以下の実施例の記載において、特に記さない限り部はいずれも重量部を示す。
【0027】
実施例1〜9、比較例1〜9
表1に示すとおりの各成分を無水の状態で混合、真空脱泡し調製した。また、表2に示すとおりの各成分を同様に調製した。各試料は下記評価項目に従って試験された。ただし、表中の略称は以下の通りである。
樹脂1:両末端がジアルコキシシランのポリオキシアルキレン重合体
樹脂2:両末端がジアルコキシシランであり、炭素数3〜5のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位と、炭素数10〜12のアクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体
ソフトン1800:表面未処理の重炭酸カルシウム(備北粉化社製)
ネオライトSP−T:表面脂肪酸処理コロイダル炭酸カルシウム(竹原工業製)
チタボンドT−19:(日本曹達社製)テトラーブトキシチタン50%、テトラープロピキシチタン35%、テトラステアリルオキシチタン15%の混合物
【0028】
評価項目:
タック発生時間:清浄にしたガラス板の上に試料をあわが混入しないないように、厚さ約3mmの薄膜状に塗布し、25℃・相対湿度50%に静置した。その後ガラス棒で表面の3ヶ所に軽く触れてみる。塗布したときから、その試料がガラス棒割り箸に付着しなくなるまでに要した時間をタック発生時間とした。
【0029】
接着強度:JIS−K−6249に従って引っ張り剪断接着強さを測定した。被着体はアルミニウムで硬化時間は25℃相対湿度50%状態で7日間とした。
【0030】
保存安定性:500mlガラス製容器に各試料480mlを入れ、密封し、40℃相対湿度50%で30日保存して初期の粘度と比較した。初期粘度と比べ1〜1.5倍のものは◎、1.5倍〜3倍を○、3倍〜10倍を△、11倍〜ゲル化を×とした。
【0031】
表1
表2
【発明の効果】
本発明は上述した構成によりきわめて早いオープンタイムでタックが発生するため、硬化まで治具などにより固定する必要が無く、作業性がよい。また、きわめて早いオープンタイムにもかかわらず保存安定性がよく、保存時にゲル化したり、接着性が低下することがない。さらに、本発明は通常シリコーン化合物に使用されるスズ触媒を使用しないため、環境にやさしく、また、HDD部材の接着剤に使用することができる。
本発明は室温速硬化型接着剤組成物に関するものであり、空気中の湿気により迅速にタック力が発現するコンタクト型接着剤に関するものである。
【従来の技術】
接着剤は固化すれば強い接着力を発現できるが、被着面に塗布しやすいように固化前は液状であるため接着剤が固化するまでの間、治具などで被接着物を固定する必要がある。一方、コンタクト型接着剤というものは被着体に塗布してそのまま数分放置することにより表面の接着剤が固化し始め粘着力が発現するものであり、その後被着面を貼り合わせることにより、被接着物を治具などで固定することなく接着することができるものである。(このとき放置する時間をオープンタイムという。)コンタクト型接着剤は例えば、溶剤型ゴム系接着剤が挙げられ、古くから使用されてきた。この溶剤型ゴム系接着剤は有機溶剤による人体への毒性・環境汚染の問題から、特許第2911991号に記載されているように有機溶剤を用いない反応型高分子化合物からなる湿気硬化型コンタクト型接着剤が提案されている。
【0001】
上述の公報に記載のコンタクト型接着剤を構成する変成シリコーン系高分子化合物は実質反応性珪素基を有する変成シリコーン樹脂からなるものであるが、タックが発現するまでに長時間を必要とし、従来の溶剤型ゴム系接着剤の代替にはならなかった。
【0002】
タックが発現するまでの時間を短縮する方法としては特開平10−245484号、特開平11−29713号、特開2001−200230号公報などに記載されているように、変成シリコーンの両末端にトリアルコキシシリルを付与することが知られている。しかし、これらの組成物はタックの発現が早いと言っても5分〜10分必要である。両面テープのようにオープンタイムが必要ないものや、シアノアクリレート主成分の瞬間接着剤ような速硬化の接着性の様な使い勝手には及ばない。また、前述した手法では硬化は早くなるが反対に保存安定性は悪化するという欠点がある。
【0003】
一方、接着剤組成物の粘度を極大に増粘することでオープンタイム無しで被着体をコンタクト接着する方法が特開2001−311056号公報に提案されている。しかし、これらの組成物の粘度は10000Pa・s以上であることから、塗布時の作業性は非常に悪いものでありまた、被着体への濡れ性が悪いため固化後の接着強度が低下するという欠点がある。
【0004】
一方、シロキサン組成物や変性シリコーン組成物などのシリコーン組成物の硬化触媒として一般的に有機スズ触媒を使用することが一般的である。しかし、有機スズ化合物はPRTR法の対象物であり、環境配慮のため、スズを使用することは避けるべきである。また、電気電子分野、特にHDDの製造においてスズ化合物が大きなダメージを与えることが知られている。よって、HDD製造に関わる全ての接着・シール剤においては、スズを含有しないことが求められている。
【0005】
シリコーン組成物ではスズ触媒の代替として、ビスマスの有機酸塩が提案されている(特開平5−39428号公報)。しかし、スズ触媒と比べて一液接着・シール剤として十分な保存安定性がないだけでなく硬化物の物性など総合的な物性はいまだにスズ触媒からなる組成物までに及ばない。
【0006】
一方、チタネート化合物はRTVシリコーンの硬化触媒として古くから提案されている。変成シリコーン粘着剤の硬化触媒として、特開昭61−60771号公報、62−146959号公報に有機チタネートが例示されている。しかし、変成シリコーン樹脂を接着剤等に使用するためには無機充填剤による補強が必要であるがこの系に有機チタネートを配合すると保存中にゲル化してしまう。即ち、保存安定性がなく、一液性組成物として利用することができない。無機充填剤がない状態であれば保存安定性は向上するが、接着剤・シール剤などの樹脂に強度が必要な用途には使用できない。さらに、チタネート化合物は様々な有機化合物と反応し有色錯体になり、変成シリコーン樹脂に配合すると着色してしまい、黄色硬化物しか得られないという問題点がある。
【0007】
この発明の目的は上述した欠点を克服するものであり、本発明は無機充填剤配合の変成シリコーンに有機チタネート及び有機ジルコニウム硬化触媒を使用することによって、超速硬化型弾性接着剤を見出すことが出来た。即ち、本発明は速硬化という特徴以外に、スズ触媒を使用しない湿気硬化性組成物であるということにある。スズ触媒を使用せず、かつ、変成シリコーンの持つ優れた作業性、弾性接着性、耐熱耐候性を保ながら、α−シアノアクリレート系瞬間接着剤の様に使用できる超速硬化型弾性接着剤を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
本発明者はこのような問題を解決するために鋭意検討した結果、(A)分子中に少なくとも1つ以上加水分解性シランを有するポリオキシアルキレン、(B)無機充填剤、(C)有機チタネート触媒、(D)有機ジルコニウム触媒からなる室温速硬化型接着剤組成物を得るに至った。また、本発明の別の形態として前記(A)成分100重量部に対してさらに、(A2)分子中に少なくとも1つ以上加水分解性シランを有し、(1)分子鎖が実質的に炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、(2)炭素数10〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体5〜100重量部を添加する室温速硬化型接着剤組成物を得るものである。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明で使用される(A)成分は、主鎖が本質的にポリオキシアルキレンであって、分子中に少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の加水分解性シランを有するものである。典型的な例としてポリオキシアルキレン両末端に架橋可能な加水分解性のシリル基を有するものが用いられる。このような(A)成分は、例えば、末端にアリル基を有するポリオキシアルキレンをVIII族遷移金属の存在下で、式1で表される水素化ケイ素化合物と反応させることによって得ることができる。
【化1】
【0009】
式中、Rは1価の炭化水素基又はそのハロゲン化物から選択される基を示し、aは0、1又は2の整数であり、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはケトキシメート基から選択される基又は原子を示す。
【0010】
上記重合体(A)の主鎖であるポリオキシアルキレンとしては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等が挙げられる。これらの中で、室温硬化性組成物の硬化物の耐水性がよく、かつシーリング材としての弾性を付与するという点でポリオキシプロピレンが好ましい。また、架橋可能な加水分解性シリル基としては、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノオキシ基、アルケニルオキシ基などが挙げられるが、メトキシシリル基、エトキシシリル基等のアルコキシシリル基が、反応後有害な副生物を生成しない点で好ましい。
【0011】
上記加水分解性シランを有するポリオキシアルキレンの凝集力及び耐熱性、耐候性を高めるため、(A2)加水分解性シランを有するアクリル酸エステル共重合体をブレンドまたは共重合すると有利である。この方法は昭63−112642号公報に記載されている。(A2)加水分解性シランを有するアクリル酸エステル重合体とは、(1)分子鎖が実質的に炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、(2)炭素数10〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体であり、分子中に少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、さらに好ましくは分子両末端に加水分解性シランを有するものである。加水分解性シランは前述のとおりである。
【0012】
前記(A)加水分解性シランを有するポリオキシアルキレン100重量部に対して、(A2)加水分解性シランを有するアクリル酸エステル共重合体5〜200重量部を併用することにより更に耐熱性、耐候性、接着性を高めることが出来る。前記(A)成分は例えば、鐘淵化学工業(株)のMSポリマーシリーズ、(A)成分と(A2)成分の混合物はMAポリマーシリーズとして販売されており、入手は容易である。
【0013】
(B)成分は無機充填剤である。(A)成分を接着剤やシール剤として使用するためには凝集力が弱いため、無機微粉末での補強が不可欠である。この無機微粉末は従来公知なものが使用でき重質炭酸カルシウム、コロイド軽質炭酸カルシウム、タルク、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、石英粉末、珪藻土、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸亜鉛、アルミナ、水酸化アルミ、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー等が挙げられる。
【0014】
通常、これらの無機微粉末をシリコーン樹脂などの有機高分子樹脂に混合するときは分散性を向上させるためや二時凝集を起こさないために、シランカップリング剤、脂肪酸などの表面処理剤(表面改質剤)でフィラーの表面処理が行われている。しかし、表面処理剤で表面処理した無機微粉末を本発明に用いると、混合と同時に増粘する可能性がある。よって、本発明では無機微粉末の表面を表面処理剤や表面改質剤で処理しない方がよい。本発明で用いないほうが良い表面処理剤としては脂肪酸、アルコール、グリコール、シラノール、アミンを有する処理剤である。また、極めて高い保存安定性を求める場合、表面未処理重炭酸カルシウムが最も有用であることを見いだした。
【0015】
(B)成分の配合量は(A)成分または(A)成分と(A2)成分の混合物100重量部に対して30〜300重量部である。30重量部以下だと接着剤として使用するための樹脂強度が不足し300重量部以上だと樹脂の弾性が低くなりもろい樹脂となる。
【0016】
(C)成分である有機チタネート湿気硬化触媒としては、有機チタン酸エステル、チタンのキレート化合物、チタンケイ酸エステルによるキレート化合物などが挙げられる。チタネート類の具体例としては、チタンエチルアセテート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラステアリルチタネート、テトラメチルチタネート、ジエトキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロピルビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ(2−エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、テトラアセチルアセトネートチタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンおよびこれらの加水分解縮合物等を挙げることができる。
【0017】
(C)成分の配合量は、(A)成分または(A)成分と(A2)成分の混合物100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部配合することがとくに好ましい。配合量が0.1部未満の場合には、得られる組成物の硬化速度が遅くなり、10重量部より多いと得られる硬化物の引張特性等の物性が低下するばかりでなく、経済的にも不利益であり、組成物の貯蔵安定性が低下することにもなるため、いずれも好ましくない。
【0018】
本発明の硬化触媒として(C)成分の他に(D)成分と組み合わせることにより速硬化性を持ちながら保存安定性も持ち合わせる組成物になり、さらに接着性を向上し接着剤としての使用に適した組成物を得ることができる。(D)成分は有機ジルコニウムであり、具体例としては有機ジルコニウム酸エステル、ジルコニウムのキレート化合物、ジルコニウムのケイ酸エステルによるキレート化合物、ジルコニウムエチルアセテート、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、ブトキシジルコニウムダイマー、テトラステアリルジルコニウム、テトラメトキシジルコニウム、ジエトキシビス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)ジルコニウム、ジ(2−エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)ジルコニウム、テトラアセチルアセトネートジルコニウム、ヒドロキシビス(ラクタト)ジルコニウムおよびこれらの加水分解縮合物等を挙げることができる。前記チタネート類は1種類のみで使用しても良いが、2種類以上混合使用するとさらに保存安定性が良くなる。
【0019】
(D)成分の配合量は、(A)成分または(A)成分と(A2)成分の混合物100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部配合することがとくに好ましい。配合量が0.1部未満の場合には、得られる組成物の硬化速度が遅くなり、10重量部より多いと得られる硬化物の引張特性等の物性が低下するばかりでなく、経済的にも不利益であり、組成物の貯蔵安定性が低下することにもなるため、いずれも好ましくない。
【0020】
本発明は上記必須成分以外に、シランカップリング剤を添加することができる。シランカップリング剤は本発明の組成物に保存安定性をさらに向上させることができ、湿気硬化スピードを調整する役割も担い、また様々なプラスチック、ゴム、金属、無機材質に対して密着性効果を果たす。
【0021】
これらのシランカップリング剤は、具体的に、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の4官能アルコキシシラン及びそれらの加水分解物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びこれらの加水分解物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類等を挙げることができる。
【0022】
前記シランカップリング剤の配合量は(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましいが、0.1〜5重量部配合することがとくに好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、組成部の保存安定性を寄与できない。5部をこえると湿気硬化スピードは著しく低下してしまう。上記シランカップリング剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0023】
上記シランカップリング剤の他に密着付与剤としてアミノシランを使用することが出来る。具体的には、(β−アミノエチル)−β−アミノエチルトリアルコキシシラン、(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、(γ−アミノプロピル)−β−アミノエチルトリアルコキシシラン、(γ−アミノプロピル)−アミノプロピルトリアルコキシシラン、アミノプロピルトリアルコキシシラン、アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、また、アクリレートモノマーとマイケル付加反応によって得られる2級アミノシラン化合物などが挙げられる。アルコキシ基は加水分解性基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、プロペノキシ基などが挙げられる。これらの1種もしくは2種以上のアミノシラン化合物が好適に用いられる。
【0024】
但し、チタネート及びジルコニウム触媒はアミンと錯体に形成するため、チタネート化合物の湿気硬化触媒活性は失ってしまう。そのため、アミノシランの添加量は限られている。(A)成分100部に対して0.01〜0.5部が好ましい。0.01〜0.2部配合することがとくに好ましい。アミノシランの添加量は0.5部を超える場合、チタネート触媒を失活させてしまうため、好ましくない。
【0025】
また、上記(A)〜(D)の必須成分に加え、必要に応じて、繊維質充填剤、耐油性向上剤、耐熱性向上剤、耐寒性向上剤、チクソトロピー剤、脱水剤、防錆剤、接着性向上剤、耐油接着性向上剤、溶剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃性付与剤、界面活性剤、静電気防止剤等を添加してもよい。これらは所要の物性に応じて適宜の量で添加される。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されない。以下の実施例の記載において、特に記さない限り部はいずれも重量部を示す。
【0027】
実施例1〜9、比較例1〜9
表1に示すとおりの各成分を無水の状態で混合、真空脱泡し調製した。また、表2に示すとおりの各成分を同様に調製した。各試料は下記評価項目に従って試験された。ただし、表中の略称は以下の通りである。
樹脂1:両末端がジアルコキシシランのポリオキシアルキレン重合体
樹脂2:両末端がジアルコキシシランであり、炭素数3〜5のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体単位と、炭素数10〜12のアクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体
ソフトン1800:表面未処理の重炭酸カルシウム(備北粉化社製)
ネオライトSP−T:表面脂肪酸処理コロイダル炭酸カルシウム(竹原工業製)
チタボンドT−19:(日本曹達社製)テトラーブトキシチタン50%、テトラープロピキシチタン35%、テトラステアリルオキシチタン15%の混合物
【0028】
評価項目:
タック発生時間:清浄にしたガラス板の上に試料をあわが混入しないないように、厚さ約3mmの薄膜状に塗布し、25℃・相対湿度50%に静置した。その後ガラス棒で表面の3ヶ所に軽く触れてみる。塗布したときから、その試料がガラス棒割り箸に付着しなくなるまでに要した時間をタック発生時間とした。
【0029】
接着強度:JIS−K−6249に従って引っ張り剪断接着強さを測定した。被着体はアルミニウムで硬化時間は25℃相対湿度50%状態で7日間とした。
【0030】
保存安定性:500mlガラス製容器に各試料480mlを入れ、密封し、40℃相対湿度50%で30日保存して初期の粘度と比較した。初期粘度と比べ1〜1.5倍のものは◎、1.5倍〜3倍を○、3倍〜10倍を△、11倍〜ゲル化を×とした。
【0031】
表1
表2
【発明の効果】
本発明は上述した構成によりきわめて早いオープンタイムでタックが発生するため、硬化まで治具などにより固定する必要が無く、作業性がよい。また、きわめて早いオープンタイムにもかかわらず保存安定性がよく、保存時にゲル化したり、接着性が低下することがない。さらに、本発明は通常シリコーン化合物に使用されるスズ触媒を使用しないため、環境にやさしく、また、HDD部材の接着剤に使用することができる。
Claims (2)
- (A)分子中に少なくとも1つ以上加水分解性シランを有するポリオキシアルキレン、(B)無機充填剤、(C)有機チタネート触媒、(D)有機ジルコニウム触媒からなることを特徴とする室温速硬化型接着剤組成物。
- 前記(A)成分100重量部に対してさらに、(A2)分子中に少なくとも1つ以上加水分解性シランを有し、(1)分子鎖が実質的に炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、(2)炭素数10〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体5〜100重量部を添加することを特徴とする請求項1に記載の室温速硬化型接着剤組成物。
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JP2002211943A JP2004051809A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | 室温速硬化型接着剤組成物 |
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2002
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