JP2004051739A - 水膨潤性高分子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機溶媒又は油分を分散媒とし水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液を分散相とする組成物からなるラジカル重合系において、前記組成物が熱ラジカル重合温度において一相W/Oマイクロエマルション又は微細W/Oエマルションを形成するように選ばれた界面活性剤を含有し、前記熱ラジカル重合温度をラジカル重合系の転相温度以上であって転相温度から20℃を上回らない温度範囲で重合を行うことを特徴とする水膨潤性高分子の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性増粘剤として応用可能なミクロゲルの形態をとる水膨潤性高分子の製造方法であり、熱ラジカル重合による逆相マイクロエマルション重合法に関するものである。
【0002】
本発明により製造される水膨潤性高分子は、化粧品、医薬品及び衛生用品などの生活用品や、土木分野、農業分野での応用が可能である。
【0003】
【従来の技術】
逆相乳化重合法により水溶性モノマーを重合する高分子の製造方法は学術的に幾つかの報告がある{例えば、F. Candau et al. J. Colloid and Interface Science, 101(1) 167 (1984), J. Barton. Polymer International, 30 151 (1993), J. Hernabdez−Barajas et al. Polymer. 38 5623 (1997) など}。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの報告例は界面活性剤を過剰に配合したW/Oエマルションの重合系に関するものであり、工業的な高分子の製造法としては不向きであった。
【0005】
一方、産業上の応用例としては、例えば、特開平9−12613号公報において、水吸収性のミクロゲル粒子を逆相乳化重合法で製造し、オムツあるいは生理用品に適するように一定以上の大きさに製造する方法が開示されている。また、特許第1911623号公報においては、アクリル酸を用いた逆相乳化重合法による増粘剤の製造方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの逆相乳化重合法では、重合の場である水相の粒子径が制御されず、得られるミクロゲル状の水膨潤性高分子を増粘剤として応用する場合その効果が低く実用には適しない。
【0007】
本発明者は、上述の観点から鋭意研究した結果、逆相乳化重合法において、重合系が一相W/Oマイクロエマルション又は微細W/Oエマルションになるように重合温度及び界面活性剤を選択することにより、分散相である水相の粒子径をナノオーダーで制御でき、好ましいミクロゲル状の水膨潤性高分子が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、有機溶媒又は油分を分散媒とし水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液を分散相とする組成物からなるラジカル重合系において、前記組成物が熱ラジカル重合温度において一相W/Oマイクロエマルション又は微細W/Oエマルションを形成するように選ばれた界面活性剤を含有し、前記熱ラジカル重合温度をラジカル重合系の転相温度以上であって転相温度から20℃を上回らない温度範囲で重合を行うことを特徴とする水膨潤性高分子の製造方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である上記の水膨潤性高分子の製造方法を提供するものである。
【0010】
さらに、本発明は、前記ラジカル重合系において、水相と界面活性剤との質量比が、水相/界面活性剤=0.5〜20である上記の水膨潤性高分子の製造方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、前記ラジカル重合系において、界面活性剤濃度が1以上30質量%以下である上記の水膨潤性高分子の製造方法を提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、前記水膨潤性高分子の0.5%水分散液の25℃におけるずり速度1.0s−1での見掛け粘度が10000mPas以上である上記の水膨潤性高分子の製造方法を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、前記水膨潤性高分子の0.5%水分散液の25℃における動的弾性率が、歪み1%以下、周波数範囲0.01〜10Hzの範囲でG’(貯蔵弾性率)>G”(損失弾性率)である上記の水膨潤性高分子の製造方法を提供するものである。
【0014】
さらに、本発明は、前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、ジメチルアクリルアミド及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である上記の水膨潤性高分子の製造方法を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0016】
本発明の製造方法は、適宜選択された親水性疎水性バランス(HLB)に調整された界面活性剤を使用することにより、逆相乳化重合における重合系が一相W/Oマイクロエマルション又は微細W/Oエマルションを形成する条件、すなわち重合温度が重合系の転相温度以上であって転相温度から20℃を上回らない温度範囲で重合を行うことにより、分散相である水溶性モノマー水溶液の液滴のサイズを制御してラジカル重合を行うことを特徴とする製造方法である。
本発明において、転相温度とは重合系の連続相がO/WからW/Oに変化する温度を意味する。また、重合温度の温度範囲が転相温度以上であって転相温度から20℃を上回らない温度範囲とは、転相温度がX℃であった場合に、重合温度がX℃以上であって(X+20)℃以下であることを意味する。
【0017】
一相W/Oマイクロエマルションとは熱力学的に安定に油相と水相が共存している状態で、油相が連続相となり水膨潤界面活性剤ミセルが分散した状態である。また、微細W/Oエマルションとは上記一相W/Oマイクロエマルション領域の近傍に発生する相であり、熱力学的には不安定であるが、速度論的に安定に油相と水相がW/Oエマルションとして存在する状態である。一般的に一相W/Oマイクロエマルションおよび微細W/Oエマルションの水相の粒子径は約10〜数100nm程度である。一相W/Oマイクロエマルションは熱力学的に平衡状態にあるのでその状態は重合系の組成と温度のみで決定され、機械的な攪拌条件に左右されない。また一相W/Oマイクロエマルション形成温度の上部近傍で生成する微細W/Oエマルションは通常の攪拌条件においても数10〜数100nm程度の微細W/Oを形成する。このことは工業的なスケールアップに極めて有利な製造法であることを意味する。
【0018】
ラジカル重合系の「油相(有機溶媒又は油分からなる分散媒)/界面活性剤/水相(モノマー水溶液)」の三成分系において、形成する粒子径(水膨潤界面活性剤ミセルあるいは水滴)は水相/界面活性剤の量比に依存し、この比が小さいほど粒子系が小さくなる。それ故、量比が小さいほど(界面活性剤量が多いほど)微細な粒子を形成できるが、結果として界面活性剤の使用量が増大するので、工業的製造工程としては不適である。したがって、本発明のラジカル重合系における水相と界面活性剤の量の質量比は、水相/界面活性剤が0.5以上20以下であることが好ましい。水相の量とは、水と水溶性エチレン性不飽和モノマーとからなるモノマー水溶液の量である。水に溶解する化合物が(例えば、重合開始剤等)ラジカル重合系に添加された場合はその化合物の量も含む。
水と水溶性エチレン性不飽和モノマーとの質量比は適宜決定されるが、水溶性エチレン性不飽和モノマーの含有量は水相全量に対して10〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。
また、ラジカル重合系に含まれる界面活性剤の総量は、ラジカル重合系を構成する組成物全量に対して1質量%以上30質量%以下が好ましい。界面活性剤の総量が1質量%を下回ると油相での臨界ミセル形成濃度を下回ることがあり、一相W/Oマイクロエマルションを形成できない場合がある。また、30質量%以上では工業的製造に不向きである。
なお、水相と油相との質量比は、水相:油相=1:9〜6:4が好ましい。
【0019】
本発明の製造方法において、油相を構成する好ましい分散媒としての有機溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカンなどのアルカン類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、デカリン、ナフタレンなどの芳香族および環状炭化水素が挙げられる。また、好ましい分散媒としての油分としてはパラフィン油などの非極性油分が挙げられる。
これらの分散媒は、水溶性エチレン性不飽和モノマーの種類や希望する転相温度に応じて適宜決定される。
【0020】
本発明に適した界面活性剤の選択は基本的には転相温度を測定することで決定できる。転相温度とは連続相がO/WからW/Oに変化する温度、すなわち水相連続相から油相連続相に変化する温度である。本発明の製造方法において、この転相温度は所望の重合系を攪拌しながら温度を上昇させ、市販のテスターにより電気伝導度を測定し、電気伝導度が急激に低下して実質的にゼロになる温度として決定される。
上記のように決定される転相温度が希望する熱ラジカル重合温度になるように最適な界面活性剤の種類及び量が決定される。熱ラジカル重合温度は、水溶性エチレン性不飽和モノマー及び油相の種類に応じて適宜決定されるが、30〜100℃程度が好ましく、重合においては、熱ラジカル重合温度が転相温度+20℃以内の温度範囲内に容易に制御出来る。
転相温度測定の例を図1に示す。図1は、ヘキサン/ポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル/水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液の擬似三成分重合系の例である。この重合系においては、水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液としてジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸をモル比で80:20の混合物を20質量%でイオン交換水に溶解したものを用いている。この水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液とヘキサンを混合比(質量比)で10:90〜40:60の範囲で混合した混合液を調製した、その混合液全量に対してそれぞれポリオキシエチレン(6)オレイルエーテルを5質量%添加したサンプル溶液を調製した。それぞれの水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液とヘキサンを混合比が異なるサンプルの転相温度を系の電気伝導度を指標に決定した。図1において、X軸に水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液とヘキサンの混合比(例えば、X軸のn−Hexane/aqの値が70である場合、ヘキサンは70質量部であり残りの30質量部が水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液であることを示している。すなわちヘキサンと水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液の質量比が70:30であることを示している。)を、Y軸は温度(摂氏)を示している。図中の実線が各サンプルの転相温度を結んだもので、所謂可溶化限界曲線と呼ばれるものである。点線は、上記転相温度+20℃の点を結んだものである。この実線と点線に囲まれた領域Aが一相W/Oマイクロエマルション〜微細W/Oエマルションが生成する領域である。
本発明においては、分散媒と水溶性エチレン性不飽和モノマーの種類、混合比を選択して重合系を調製し、この系の転相温度が熱ラジカル重合温度(30〜100℃程度)に一致するような界面活性剤を選ぶことで、ある最適な温度範囲(転相温度+20℃)で微細なミクロゲルの形態の水膨潤性高分子を製造することが出来る。熱ラジカル重合自体はA領域で重合を行う限り、公知のラジカル重合開始剤を使用して公知の方法により行うことが出来る。なお、光重合開始剤も用いることは可能であるが、工業的な量産には不向きである。
【0021】
本発明の製造方法において、好ましい界面活性剤は、転相の温度依存性が大きい非イオン性界面活性剤である。その化学種には制限がなく、所望の重合系組成物において実際に電気伝導度を測定したり、分散媒/界面活性剤/水溶性エチレン性不飽和モノマーの3成分系の相図を作成したりして、当該重合系組成物に適した界面活性剤の一種又は二種以上の組み合わせが決定される。
好ましい界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ソルビタン脂肪酸エステル、モノ脂肪酸グリセリン、トリ脂肪酸グリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレンルリセリルなどが挙げられる。
【0022】
水溶性エチレン性不飽和モノマーは、非イオン性モノマーとイオン性モノマー(アニオン性モノマー若しくはカチオン性モノマー)とを併用することが好ましい。
非イオン性モノマーはジアルキルアクリルアミドが好ましい。
イオン性モノマーはアニオン性アクリルアミド誘導体またはカチオン性アクリルアミド誘導体が好ましい。
特に好ましいジアルキルアクリルアミドは、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドである。
特に好ましいイオン性アクリルアミド誘導体は、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩である。
特に好ましいカチオン性アクリルアミド誘導体はN,N,−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライドである。
非イオン性モノマーとイオン性モノマーの重合系におけるモノマー組成比(重合系の仕込み比)は、目的とするミクロゲルのモノマー構成比に応じて適宜任意に決定される。ミクロゲルのモノマー構成比と重合系への仕込み比はほぼ同一となる。非イオン性モノマーとイオン性モノマーの重合系の仕込み比(モル比)は、通常、非イオン性モノマー:イオン性モノマー=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1、さらに好ましくは7:3〜9:1の範囲で共重合に供される。最適比率は、非イオン性モノマー:イオン性モノマー=8:2である。
上記の水溶性エチレン性不飽和モノマーを任意に選択して本発明の水膨潤性高分子が重合される。本発明の製造方法において、特に好ましくは、水溶性エチレン性不飽和モノマーにジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用い、これらのモノマーから共重合される2元共重合体のミクロゲルからなる水膨潤性高分子を重合する製造方法である。本発明の製造法において、架橋モノマーは必要がなく自己架橋により優れた増粘効果を有する水膨潤性高分子が得られる。
【0023】
上記の如く本発明の製造方法は、例えば下記のステップにて実施されて水膨潤性高分子が製造される。
(1)分散相の水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液と、分散媒の有機溶媒又は油分とを含有する組成物に任意の界面活性剤を混合して、電気伝導度が0になる温度(転相温度)を測定する。
(2)この転相温度から20℃を越えない範囲の任意の温度(好ましくは転相温度より5〜10℃高い温度)が、制御可能な希望する任意の熱ラジカル重合温度(好ましくは30℃以上100℃以下)になるように、上記の任意の界面活性剤(その種類若しくは二種以上の組み合わせ)及びその配合量を決定する。
(3)上記により決定された重合系組成物において、上記の制御可能な希望する任意の熱ラジカル重合温度に維持して熱ラジカル重合を行う。熱ラジカル重合温度が上記転相温度から20℃を越えない範囲に維持されていれば良いが、転相温度から5〜10℃高い温度に維持することが好ましい。
(4)上記の方法により、重合系組成物の転相温度が制御可能な希望する熱ラジカル重合温度にならなければ、分散媒の有機溶媒又は油分を変更したり、水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液(水相)と、有機溶媒又は油分(油相)との組成を適宜変更したりして、上記方法により重合系組成物に用いる界面活性剤及びその配合量を決定する。
【0024】
本発明の製造方法により得られる水膨潤性高分子の水分散液は、下記(1)、および(2)のレオロジー的性質を有する。
水膨潤性高分子の0.5%(質量百分率)の水分散液の見掛け粘度がずり速度1.0s−1において10000mPas以上である。
水膨潤性高分子の0.5%(質量百分率)の水分散液の動的弾性率が歪み1%以下、周波数範囲0.01〜10Hzの範囲でG’>G”である。
なお、水膨潤性高分子の水分散液の見掛け粘度とはコーンプレート型レオメーター(Paar Physica製 MCR−300)を用い、測定温度25℃、ずり速度1.0s−1における粘度である。また、動的弾性率は、同上の測定装置を用いて測定温度25℃、歪み1%以下、周波数範囲0.01〜10Hzで測定した貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G”)の値を意味する。
これらの物性値は上記装置に限らず市販のレオメータによっても測定可能である。
【0025】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
「実施例1」
ジメチルアクリルアミド(興人製)を40gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)9gを250gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調整する。還流装置を備えた1000mL4つ口フラスコにn−ヘキサン250gポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.2gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)16.4gを入れ混合溶解しN2置換する。この四つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下攪拌しながらオイルバスで65〜70℃まで徐々に加熱する。
この重合系組成物の電気伝導度をテスターにてモニターし、電気伝導度が急激に低下し実質的に0になる温度を転相温度とし(59℃)、この温度から20℃を上回らないように重合温度を65℃に制御する。
次に重合系組成物が半透明の状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム0.2gを重合系組成物に添加し重合を開始する。重合系を攪拌しながら上述の温度に4時間維持することで水膨潤性高分子が生成する。
重合終了後重合液に多量のアセトンを加えて水膨潤性高分子を沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物はろ過後減圧乾燥し、白色粉末状の水膨潤高分子乾燥物を得た。収率は96%であった。得られた水膨潤性高分子の0.5%イオン交換水分散液を調製し、見掛け粘度および動的弾性率測定を行った。
見掛けの粘度、転相温度および重合温度の結果を表1に、動的弾性率の結果を図2に示す。
【0027】
「実施例2」
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gを250gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調整する。還流装置を備えた1000mL4つ口フラスコにn−ヘキサン250gポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.2gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)16.4gを入れ混合溶解しN2置換する。この四つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下攪拌しながらオイルバスで65〜70℃まで徐々に加熱する。
この重合系組成物の電気伝導度をテスターにてモニターし、電気伝導度が急激に低下し実質的に0になる温度を転相温度とし(60℃)、この温度から20℃を上回らないように重合温度を65℃に制御する。
次に重合系組成物が半透明の状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム0.2gを重合系組成物に添加し重合を開始する。重合系を攪拌しながら上述の温度に4時間維持することで水膨潤性高分子が生成する。
重合終了後重合液に多量のアセトンを加えて水膨潤性高分子を沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物はろ過後減圧乾燥し、白色粉末状の水膨潤高分子乾燥物を得た。収率は95%であった。得られた水膨潤性高分子の0.5%イオン交換水分散液を調製し、見掛け粘度および動的弾性率測定を行った。
見掛けの粘度、転相温度および重合温度の結果を表1に、動的弾性率の結果を図3に示す。
【0028】
「実施例3」
ジメチルアクリルアミド(興人製)を30gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)26.7gを250gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調整する。還流装置を備えた1000mL4つ口フラスコにn−ヘキサン250gポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.2gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)16.4gを入れ混合溶解しN2置換する。この四つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下攪拌しながらオイルバスで65〜70℃まで徐々に加熱する。
この重合系組成物の電気伝導度をテスターにてモニターし、電気伝導度が急激に低下し実質的に0になる温度を転相温度とし(55℃)、この温度から20℃を上回らないように重合温度を68℃に制御する。
次に重合系組成物が半透明の状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム0.2gを重合系組成物に添加し重合を開始する。重合系を攪拌しながら上述の温度に4時間維持することで水膨潤性高分子が生成する。
重合終了後重合液に多量のアセトンを加えて水膨潤性高分子を沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物はろ過後減圧乾燥し、白色粉末状の水膨潤高分子乾燥物を得た。収率は95%であった。得られた水膨潤性高分子の0.5%イオン交換水分散液を調製し、見掛け粘度および動的弾性率測定を行った。
見掛けの粘度、転相温度および重合温度の結果を表1に、動的弾性率の結果を図4に示す。
【0029】
「比較例:A領域からはずれた範囲で重合した例」
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gを250gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調整する。還流装置を備えた1000mL四つ口フラスコにn−ヘキサン250g、ポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)16.4gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)8.2gを入れ混合溶解しN2置換する。この四つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下攪拌しながらオイルバスで65〜70℃まで徐々に加熱する。
この重合系組成物の電気伝導度をテスターにてモニターし、電気伝導度が急激に低下し実質的に0になる温度を転相温度とし(23℃)、この温度から20℃を上回るように重合温度を66℃に制御する。
次に過硫酸アンモニウム0.2gを重合系組成物に添加し重合を開始する。重合系を攪拌しながら上述の温度に4時間維持することで水膨潤性高分子が生成する。重合終了後重合液に多量のアセトンを加えて水膨潤性高分子を沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物はろ過後減圧乾燥し、白色粉末状の水膨潤性高分子感想物を得た。収率は96%であった。得られた水膨潤性高分子の0.5%イオン交換水分散液を調製し見掛け粘度の測定を行った。
見掛け粘度、転相温度および重合温度の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
(1)0.5%イオン交換水分散液のずり速度1.0s−1での見掛け粘度(mPa・s)
(2)電気伝導度がゼロに変化した温度
(3)重合時の重合系組成物の平均温度
【0031】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、優れた増粘効果を有する水膨潤性高分子を容易に製造できる。
本発明の製造方法によりラジカル重合された水膨潤性高分子はミクロゲルの形態をとり粉末状態で得られ、増粘剤の用途に使用するにあたって、従来の製造方法により得られる高分子ゲルのように粉砕する必要がないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘキサン(O)/界面活性剤/水溶性エチレンモノマー水溶液(W)の3成分の重合系組成物の相図である。
【図2】実施例1により得られた水膨潤性高分子の水分散液の動的弾性率を表わすグラフである。
【図3】実施例2により得られた水膨潤性高分子の水分散液の動的弾性率を表わすグラフである。
【図4】実施例3により得られた水膨潤性高分子の水分散液の動的弾性率を表わすグラフである。
Claims (7)
- 有機溶媒又は油分を分散媒とし水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液を分散相とする組成物からなるラジカル重合系において、前記組成物が熱ラジカル重合温度において一相W/Oマイクロエマルション又は微細W/Oエマルションを形成するように選ばれた界面活性剤を含有し、前記熱ラジカル重合温度をラジカル重合系の転相温度以上であって転相温度から20℃を上回らない温度範囲で重合を行うことを特徴とする水膨潤性高分子の製造方法。
- 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項1記載の水膨潤性高分子の製造方法。
- 前記ラジカル重合系において、水相と界面活性剤との質量比が、水相/界面活性剤=0.5〜20である請求項1又は2記載の水膨潤性高分子の製造方法。
- 前記ラジカル重合系において、界面活性剤濃度が1以上30質量%以下である請求項1、2又は3記載の水膨潤性高分子の製造方法。
- 前記水膨潤性高分子の0.5%水分散液の25℃におけるずり速度1.0s−1での見掛け粘度が10000mPas以上である請求項1、2、3又は4記載の水膨潤性高分子の製造方法。
- 前記水膨潤性高分子の0.5%水分散液の25℃における動的弾性率が、歪み1%以下、周波数範囲0.01〜10Hzの範囲でG’(貯蔵弾性率)>G”(損失弾性率)である請求項1、2、3、4又は5記載の水膨潤性高分子の製造方法。
- 前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、ジメチルアクリルアミド及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である請求項1、2、3、4、5又は6記載の水膨潤性高分子の製造方法。
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