【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両衝突時等の大きな車両減速度が発生したときに乗員を拘束保護するシートベルト装置の技術分野に属し、特に、ショルダーベルトによる乗員の胸の締め付けを緩和するようになっているシートベルト装置の技術分野に属するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両にはシートベルト装置が車両のシートとともに装備されている。このシートベルト装置は、車両衝突時等の大きな車両減速度が発生したときにシートベルトにより乗員の慣性移動を抑制して乗員を拘束保護するものである。
【０００３】
このようなシートベルト装置として、３点式シートベルト装置がある。この３点式シートベルト装置は、一端が車体に固定されるとともに、他端が車体に固定されたリトラクタに連結されてたシートベルトを有している。そして、このシートベルトに摺動可能に支持されたタングを、車体に固定されたバックルに係止することで乗員を拘束するようになっている。その場合、タングよりリトラクタ側のシートベルトがショルダーベルトとして乗員の肩および胸を拘束し、タングより一端側のシートベルトがラップベルトとして乗員の腰を拘束するようになっている。
【０００４】
ところで、車両衝突時等のきわめて大きな車両減速度が発生したとき、乗員はその慣性で前方へ移動しようとする。このとき、乗員の腰部も前方へ移動しようとして、ラップベルトの下をスライドするという、いわゆるサブマリン現象が発生する傾向となる。
【０００５】
このようなサブマリン現象を抑制するために、リトラクタから延び出す単一の可撓性材料からなるシートベルトをタングに設けられた滑車に掛けるとともに、車両シートに関しこのタングが係止されるバックルと左右反対側の車体に固定されたアンカープレートに設けられた滑車に掛け、更に、このシートベルトの先端をタングに連結してラップベルトを二重に重ね、車両前方への衝撃時に乗員の慣性によりショルダーベルトが引っ張られることで、二重のラップベルトの長さが短くなるようにしたシートベルト装置が特開昭４９−１０４３２３号公報により提案されている。
【０００６】
この公開公報に開示されているシートベルト装置によれば、衝撃時に二重のラップベルトの長さが効果的に短くなるので、乗員の腰部でのラップベルトの二重による締め付け力が増大し、乗員の腰部の前方移動が抑制されて、サブマリン現象の発生が抑止される。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この公開公報に開示されているシートベルト装置では、シートベルトを２つの滑車に掛けることにより、衝撃時にショルダーベルトが引っ張られた際に二重のラップベルトが積極的にかつ容易に引っ張られるようにして、二重のラップベルトの長さを効果的に短くしている。
【０００８】
しかしながら、このようにショルダーベルトの引張力で二重のラップベルトを積極的にかつ容易に引っ張るようにすると、乗員の腰部が前方へ移動しようとすることにより二重のラップベルトに加えられる荷重がともにショルダーベルトに容易に伝達されるため、ショルダーベルトによる乗員の胸部の締め付け力が増大してしまう。
【０００９】
特に、衝撃時に二重のラップベルトの長さが効果的に短くなるようにされていることから、衝撃初期時には、二重のラップベルトにかかる荷重がともにショルダーベルトにより一層容易に伝達されるため、ショルダーベルトによる乗員の胸部の締め付け力がよりいっそう増大することになる。
【００１０】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ラップベルトからの荷重がショルダーベルトに伝達され難くして、ショルダーベルトによる乗員の胸部の締め付けを効果的に抑制することのできるシートベルト装置を提供することである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項１の発明のシートベルト装置は、１本のベルトに摺動可能に支持されたタングによって、このベルトが、シートに着座した乗員の肩部および胸部を拘束するショルダーベルトと前記乗員の腰部を拘束するラップベルトとに構成されているシートベルト装置において、前記ラップベルトが、前記シートに関し前記タングが係止されるバックルと左右反対側の車体に固定されたアンカープレートを貫通して折り返されてその先端を前記タングに連結支持されることで互いに二重に重ねられており、更に、前記ラップベルトが前記アンカープレートにおいてこのアンカープレートの形状に倣って屈曲されて折り返されていることを特徴としている。
【００１２】
また、請求項２の発明は、前記ベルトを前記乗員の肩部にガイドするショルダーアンカーを備え、このショルダーアンカーの前記ベルトとの摺動部に、前記ショルダーアンカーと前記ベルトの間の摩擦を低減する摩擦低減手段を備えていることを特徴としている。
【００１３】
【作用】
このように構成された請求項１および２の発明にかかるシートベルト装置においては、車両衝突時等の大きな車両減速度が発生すると、乗員の腰がその慣性で前方へ移動しようとし、その慣性による荷重が互いに二重に重ねられた２本のラップベルトに分散されて支持される。この荷重の分散支持により、２本のラップベルトにそれぞれ作用するベルト引張り力は、重ねられない従来の１本のラップベルトの場合に比べて小さくなる。
【００１４】
しかも、一方のラップベルトが他方のラップベルトと乗員の腰との間に挟圧されるが、ラップベルトがアンカープレートの形状に倣って屈曲されて折り返されていることから、一方のラップベルトが他方のラップベルトと乗員の腰との間により効果的に挟圧されるとともに、アンカープレートとラップベルトとの間の摩擦が効果的に大きくなる。これにより、２本のラップベルトにそれぞれ作用するベルト引張り力は互いにほぼ独立した状態となり、他方のラップベルトに作用する引張り力に対する一方のラップベルトに作用するベルト引張り力の影響が抑制される。したがって、ラップベルトからショルダーベルトには、ほとんど他方のラップベルトに作用する引張り力のみが伝達されるようになり、ショルダーベルトに作用する引張り力が従来に比べて小さくなる。これにより、ショルダーベルトにより乗員の胸を締め付ける力が従来に比べて軽減されるので、ショルダーベルトによる乗員の胸への圧迫が効果的に緩和されるようになる。
【００１５】
特に、請求項２の発明においては、ショルダーアンカーのベルトとの摺動部に摩擦低減手段を備えることにより、この摺動部とベルトとの間の摩擦が低減し、この摺動部においてベルトが滑らかに移動するようになる。したがって、乗員のシートベルトの装着性が向上する。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図１は本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の第１例を示す図、図２はこの第１例のシートベルト装置のタングおよびアンカープレート部分を示し、（ａ）はその部分斜視図、（ｂ）は（ａ）におけるＩＩＢ−ＩＩＢ線に沿う部分断面図である。
【００１７】
図１に示すように、第１例のシートベルト装置１は、可撓性の材料からなり乗員を拘束保護する１本のベルト２、このベルト２に摺動（移動）可能に支持されたタング３、シートに関し後述するバックル５と左右方向反対側の車体に揺動可能に固定されたアンカープレート４、車体に固定されかつタング３が着脱可能に係止可能なバックル５、車体の例えばセンタープレート等に揺動可能に支持されベルト２をガイドするショルダーアンカー６、車体に固定され、通常時はベルト２の引出しを自由にするとともに少なくとも例えば車両衝突時等の車両大減速度発生時にベルト２の引出しを阻止し、更に非使用時にはベルト２を巻き取るリトラクタ７から構成されている。
【００１８】
図２（ａ）および（ｂ）に拡大して示すように、タング３は把持部３ａとこの把持部３ａに連結固定され、バックル５と係止可能な係止部３ｂとからなり、平板状に形成されている。把持部３ａには３つの第１ないし第３孔３ｃ，３ｄ，３ｅが穿設されている。これらの第１ないし第３孔３ｃ，３ｄ，３ｅは、いずれもベルト２の幅方向に延びたベルト２の横断面形状と相似形状でかつこのの横断面形状より大きな長孔に形成されている。また、第１ないし第３孔３ｃ，３ｄ，３ｅの左右幅方向（図において）の中心および係止部３ｂの係止孔３ｂ１の左右幅方向の中心とがタング３の長手方向に一致するようにかつ互いに平行に整列されている｛図２（ａ）に各孔の左右方向中心が一致することを表す中心線が線が示されている｝。なお、第１ないし第３孔３ｃ，３ｄ，３ｅおよび係止孔３ｂ１の左右幅方向の中心は厳密に一致する必要はなく、ほぼ一致していればよい。特に、第１ないし第３孔３ｃ，３ｄ，３ｅと係止孔３ｂ１と左右幅方向の中心はかなり偏心していてもよい。
【００１９】
第１孔３ｃにはベルト２が摺動可能に貫通する孔であり、この第１孔３ｃにより、タング３がベルト２に相対移動可能に支持される。また、ベルト２の一端部２ａが第２孔３ｄを貫通した後折り返されて第３孔３ｅを貫通し、一端部２ａの第３孔３ｅから突出した部分２ａ１が第２孔３ｄを貫通する前の部分２ａ２に重ね合わされて堅固に縫合されている。これにより、ベルト２がタング３に連結支持される。
【００２０】
タング３より他端部２ｂ側のベルト２の部分が従来の一般的なシートベルト装置と同様にショルダーアンカー６を摺動可能に貫通した後、その他端部２ｂがリトラクタ１に連結されている。
【００２１】
そして、タング３がバックル５に係止してベルト２が乗員に装着された状態では、タング３とショルダーアンカー６との間のベルト２の部分が乗員の肩および胸等の腰より上部を拘束保護するショルダーベルト２ｃとなり、タング３より一端部２ａ側のベルト２の部分が乗員の腰を拘束保護するラップベルト２ｄとなる。
【００２２】
ラップベルト２ｄはアンカープレート４の孔４ａを貫通し、１８０°以上に屈曲されて折り返されることにより、タング３とアンカープレート４との間の第１ラップベルト２ｄ１と、アンカープレート４と一端部２ａとの間の第２ラップベルト２ｄ２との２本のラップベルトからなっている。その場合、アンカープレート４でのラップベルト２ｄの屈曲部２ｄ３は、アンカープレート４の孔４ａを画成する部分４ｂの断面形状に倣って屈曲されるようになる。また、アンカープレート４の孔４ａはタング３の第１ないし第３孔３ｃ，３ｄ，３ｅと同様にベルト２の幅方向に延びた長孔に形成されている。
【００２３】
タング３の第１ないし第３孔３ｃ，３ｄ，３ｅが長手方向に整列されていることから、図１に示すように、ベルト２の乗員への装着時には、これらの第１および第２ラップベルト２ｄ１，２ｄ２は平面を維持して互いに２重に重ねられて乗員の腰を拘束保護するようになる。その場合、ラップベルト２ｄはアンカープレート４で１８０°以上に屈曲されて折り返されることから、第１および第２ラップベルト２ｄ１，２ｄ２のほとんどの部分が互いに軽く接触した状態となる。
【００２４】
ベルト２、タング３の係止部３ｂ、アンカープレート４、バックル５、ショルダーアンカー６およびリトラクタ７は、従来の一般的なシートベルト装置と同じものを用いることができる。
【００２５】
このように構成された第１例のシートベルト装置１においては、図１に示すようにベルト２が乗員に装着されたとき、第１および第２ラップベルト２ｄ１，２ｄ２が互いに２重に重ねた状態となる。この状態で、車両衝突時等の車両の大きな減速度が発生すると、乗員はその慣性力でＡ方向に移動しようとするため、ベルト２は引っ張られる。しかし、リトラクタ３が作動してベルト２の引出しが阻止される。
【００２６】
このとき、ベルト２の第１および第２ラップベルト２ｄ１，２ｄ２は乗員の腰によりＢ方向に引っ張られるが、乗員の腰が前方へ移動しようとすることによる引張り力はこれらの第１および第２ラップベルト２ｄ１，２ｄ２の２本のベルトに分散されて支持される。この引張り力の分散支持により、第１および第２ラップベルト２ｄ１，２ｄ２にそれぞれ作用するベルト引張り力Ｆ１，Ｆ２は、重ねられない従来の１本のラップベルトの場合に比べて小さくなる。
【００２７】
しかも、第２ラップベルト２ｄ２が第１ラップベルト２ｄ１と乗員の腰との間に挟圧されるが、ラップベルト２ｄがアンカープレート４の形状に倣って１８０°以上に屈曲されて折り返されていることから、第２ラップベルト２ｄ２は第１ラップベルト２ｄ１と乗員の腰との間により効果的に挟圧されるとともに、アンカープレート４とラップベルト２ｄとの間の摩擦が効果的に大きくなる。これにより、第１および第２ラップベルト２ｄ１，２ｄ２にそれぞれ作用するベルト引張り力Ｆ１，Ｆ２は互いにほぼ独立した状態となる。
【００２８】
すなわち、第１ラップベルト２ｄ１に作用する引張り力Ｆ１に対する第２ラップベルト２ｄ２に作用するベルト引張り力Ｆ２の影響が抑制される。したがって、ラップベルト２ｄからショルダーベルト２ｃには、ほとんど第１ラップベルト２ｄ１に作用する引張り力Ｆ１のみが作用するようになり、ショルダーベルト２ｃに作用する引張り力Ｆ３が従来に比べて小さくなる。これにより、ショルダーベルト２ｃにより乗員の胸を締め付ける力が従来に比べて軽減されるので、ショルダーベルト２ｃによる乗員の胸への圧迫を効果的に緩和できる。
この第１例のシートベルト装置１の他の作用効果は、従来の一般的なシートベルト装置と実質的に同じである。
【００２９】
図３は本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の第２例のタングおよびアンカープレート部分を示す図２と同様の図であり、（ａ）はその部分斜視図、（ｂ）は（ａ）におけるＩＩＩＢ−ＩＩＩＢ線に沿う部分断面図である。なお、以下の実施の形態の各例の説明において、その例よりも前に説明された例と同じ構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
【００３０】
前述の第１例では、タング３の把持部３ａに３つの第１ないし第３孔３ｃ，３ｄ，３ｅが設けられ、ベルト２の一端部２ａが第２孔３ｄと第３孔３ｅとの間の把持部３ａに連結支持されているが、この第２例のシートベルト装置１では、図３（ａ）および（ｂ）に示すようにタング３の把持部３ａには第３孔３ｅは設けられておらず、２つの第１および第２孔３ｃ，３ｄのみが穿設されている。
【００３１】
また、この第２例のシートベルト装置１では、ベルト２の一端部２ａの袋状の折り返し部２ｅが第２孔３ｄを貫通し、把持部３ａの反対側に突出した折り返し部２ｅにかしめバー８が挿入保持されている。その場合、かしめバー８が折り返し部２ｅからかしめバー８の軸方向に抜け出ることのないように適宜の抜け出し防止手段を設けることが好ましい。
【００３２】
このかしめバー８の径は、ベルト２を図３（ｂ）において左方に引っ張ったとき、かしめバー８が折り返し部２ｅとともに第２孔３ｄを左方に抜けることがない大きさに設定されている。したがって、ベルト２を左方に引っ張ったとき、ベルト２の折り返し部２ｅがタング３の把持部３ａとかしめバー８との間にかしめられて挟圧されることにより、ベルト２はタング３に強固に連結保持される。
【００３３】
この第２例のシートベルト装置１によれば、第１例に比べて、タング３の把持部３ａに形成される孔が１つ少ないので、構造が簡単になるとともに加工工数を削減できる。しかも、ベルト２の一端部２ａに予め折り返し部２ｅを形成して折り返し部２ｅを第２孔３ｄを貫通させてかしめバー８を折り返し部２ｅに挿入するだけでよいので、第１例に比べてベルト２とタング３との連結が簡単になり、かつ組立ラインでベルト２とタング３とを連結することができる。
この第２例のシートベルト装置１の他の構成および他の作用効果は実質的に第１例と同じである。
【００３４】
図４は本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の第３例のタングおよびアンカープレート部分を示す図であり、（ａ）は図２（ａ）と同様の部分斜視図、（ｂ）はベルト２の一端部２ａとタング３との連結部の平面図、（ｃ）は（ａ）におけるＩＶＣ−ＩＶＣ線に沿う部分断面図である。
【００３５】
前述の第２例では、タング３の把持部３ａと係止部３ｂとが平板状に形成されているが、第３例のシートベルト装置１では、図４（ａ）および（ｃ）に示すように把持部３ａが、第１孔３ｃが設けられた垂直部３ａ１と第２孔３ｄが設けられ垂直部３ａ１より左右幅の狭い水平部３ａ２とから縦断面Ｌ字状に形成されている。したがって、タング３は全体として縦断面Ｔ字状に形成されている。
【００３６】
水平部３ａ２に形成される第２孔３ｄは円形状に形成されており、ベルト２の一端部２ａの折り返し部２ｅがしぼめられてこの円形状の第２孔３ｃを貫通している。第２孔３ｄの中心と、第１孔３ｃの左右幅方向の中心および係止孔３ｂ１の左右幅方向の中心とがタング３の長手方向に一列に整列されている。
このようにタング３の把持部３ａを断面Ｌ字状に形成することで、シートベルトの取り回しが簡単になる。
この第３例のシートベルト装置１の他の構成および他の作用効果は実質的に第１例と同じである。
【００３７】
なお、第２孔３ｄの円形状の孔に代えて、前述の第１および第２例の第２孔３ｄと同様の左右幅方向に長い長孔に形成することもできる。その場合には、垂直部３ａ１と水平部３ａ２の左右幅を同じに設定することが形状の簡略化のうえで望ましい。
【００３８】
図５は本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の第４例のタングおよびアンカープレート部分を示す図２と同様の図であり、（ａ）はその部分斜視図、（ｂ）は（ａ）におけるＶＢ−ＶＢ線に沿う部分断面図である。
【００３９】
前述の図２に示す第１例では、ショルダーベルト２ｃに連続する第１ラップベルト２ｄ１がタング３に連結支持される側の第２ラップベルト２ｄ２より上方に、つまり、第２ラップベルト２ｄ２が乗員の腰と第１ラップベルト２ｄ１との間に位置して、第２ラップベルト２ｄ２とタング３との連結支持部が第１ラップベルト２ｄ１とショルダーベルト２ｃとを区画する第１孔３ｃよりタング３の係止部３ｂ側に位置するようになっているが、この第４例シートベルト装置では、図５（ａ）および（ｂ）に示すようにショルダーベルト２ｃに連続する第１ラップベルト２ｄ１がタング３に連結支持される側の第２ラップベルト２ｄ２より下方に、つまり、第１ラップベルト２ｄ１が乗員の腰と第２ラップベルト２ｄ２との間に位置して、第２ラップベルト２ｄ２とタング３との連結支持部が第１ラップベルト２ｄ１とショルダーベルト２ｃとを区画する第１孔３ｃよりタング３の係止部３ｂと反対側に位置している。
【００４０】
このように、第２ラップベルト２ｄ２とタング３との連結支持部がタング３の係止部３ｂと反対側に位置することで、ベルト２の一端部２ａ側の折り返し部２ｅは、第２孔３ｄと把持部３ａの図５（ａ）において上端との間の把持部３ａに支持されている。これにより、第３孔３ｅが不要となり、タング３の形状が簡略化されるとともに、孔加工の工数が削減できる。
この第４例のシートベルト装置１の他の構成および他の作用効果は実質的に第１例と同じである。
【００４１】
図６は本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の第５例のタングおよびアンカープレート部分を示す図５と同様の図であり、（ａ）はその部分斜視図、（ｂ）は（ａ）におけるＶＩＢ−ＶＩＢ線に沿う部分断面図である。
【００４２】
前述の図５に示す第４例では、把持部３ａに２つの第１および第２孔３ｃ，３ｄが穿設されて、ショルダーベルト２ｃと第１ラップベルト２ｄ１との境界部のベルトが貫通する第１孔３ｃと、ベルト２の一端部２ａが貫通する第２孔３ｄとが異なるが、この第５例シートベルト装置では、図６（ａ）および（ｂ）に示すように把持部３ａに１つの第１孔３ｃのみが穿設されている。すなわち、ショルダーベルト２ｃと第１ラップベルト２ｄ１との境界部のベルトが貫通する孔とベルト２の一端部２ａが貫通する孔とが１つの共通の第１孔３ｃのみで構成されている。
【００４３】
このように、シートベルト２が貫通する孔を１つの共通の第１孔３ｃのみで構成することで、更に第２孔３ｄが不要となり、タング３の形状が更に一層簡略化されるとともに、孔加工の工数が更に削減できる。
この第５例のシートベルト装置１の他の構成および他の作用効果は実質的に第４例と同じである。
【００４４】
なお、図７に示すようにショルダーアンカー６のベルト２との摺動部に、摩擦低減手段であるローラ９を回動自在に設けて、このローラ９にショルダーベルト２ｃよりリトラクタ７側のベルト２を掛けることで、ベルト２とショルダーアンカー６との間の摩擦を低減してリトラクタ７からのベルト２の引出しを滑らかにすることもできる。これによっても、乗員のシートベルトの装着性を向上させることができる。
【００４５】
更に、このローラ９に代えて、ショルダーアンカー６のベルト２との摺動部に、摩擦低減手段として低摩擦係数の材料を用いてベルト２と低摩擦係数の材料との間の摩擦を低減することによって、前述と同様に乗員のシートベルトの装着性を向上させることもできる。
【００４６】
更に、図８（ａ）に示すように、ラップベルト２ｄが倣って屈曲されるアンカープレート４の断面形状を、前述の各例の矩形状に代えて、円形、楕円形、長円形等の曲面に形成することもできるし、図８（ｂ）に示すように、ラップベルト２ｄが倣って屈曲されるアンカープレート４の断面形状をＶ字状の形状にすることもできる。
更に、本発明は、アンカープレート４を直接車体に固定することに代えて、プリテンショナーを介してアンカープレート４を直接車体に固定することもできる。
【００４７】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項１ないし３の発明にかかるシートベルト装置によれば、車両衝突時等の大きな車両減速度の発生時に、乗員の腰の前方への慣性による荷重を互いに二重に重ねられた２本のラップベルトに分散して支持させているので、２本のラップベルトにそれぞれ作用するベルト引張り力を、重ねられない従来の１本のラップベルトの場合に比べて小さくできる。
【００４８】
しかも、ラップベルトをアンカープレートの形状に倣って屈曲して折り返すことにより、一方のラップベルトを他方のラップベルトと乗員の腰との間により効果的に挟圧するとともに、アンカープレートとラップベルトとの間の摩擦を効果的に大きくして、他方のラップベルトに作用する引張り力に対する一方のラップベルトに作用するベルト引張り力の影響を抑制しているので、ラップベルトからショルダーベルトには、ほとんど他方のラップベルトに作用する引張り力のみを伝達させることができる。これにより、ショルダーベルトに作用する引張り力を従来に比べて小さくでき、ショルダーベルトによる乗員の胸の締め付け力を従来に比べて軽減できる。したがって、ショルダーベルトによる乗員の胸への圧迫を効果的に緩和できるようになる。
【００４９】
特に、ショルダーアンカーのベルトとの摺動部に摩擦低減手段を備えて、この摺動部とベルトとの間の摩擦を低減しているので、この摺動部においてベルトを滑らかに移動できるようになる。したがって、請求項２の発明によれば、乗員のシートベルトの装着性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の第１例を示す図である。
【図２】図１に示す第１例のシートベルト装置のタング部分を示し、（ａ）はその部分斜視図、（ｂ）は（ａ）におけるＩＩＢ−ＩＩＢ線に沿う部分断面図である。
【図３】本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の第２例のタング部分を示す図２と同様の図であり、（ａ）はその部分斜視図、（ｂ）は（ａ）におけるＩＩＩＢ−ＩＩＩＢ線に沿う部分断面図である。
【図４】本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の第３例のタング部分を示す図であり、（ａ）は図２（ａ）と同様の部分斜視図、（ｂ）はベルト２の一端部２ａとタング３との連結部の平面図、（ｃ）は（ａ）におけるＩＶＣ−ＩＶＣ線に沿う部分断面図である。
【図５】本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の第４例のタング部分を示す図２と同様の図であり、（ａ）はその部分斜視図、（ｂ）は（ａ）におけるＶＢ−ＶＢ線に沿う部分断面図である。
【図６】本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の第５例のタング部分を示す図５と同様の図であり、（ａ）はその部分斜視図、（ｂ）は（ａ）におけるＶＩＢ−ＶＩＢ線に沿う部分断面図である。
【図７】本発明にかかるシートベルト装置の変形例を示す図である。
【図８】（ａ）および（ｂ）は、それぞれ本発明にかかるシートベルト装置の第３および第４変形例を示す図である。
【符号の説明】
１…シートベルト装置、２…ベルト、２ｃ…ショルダーベルト、２ｄ…ラップベルト、２ｄ１…第１ラップベルト、２ｄ２…第２ラップベルト、２ｄ３…屈曲部、２ｅ…折り返し部、３…タング、３ａ…把持部、３ａ１…垂直部、３ａ２…水平部、３ｂ…係止部、３ｃ…第１孔、３ｄ…第２孔、３ｅ…第３孔、４…アンカープレート、４ａ…孔、４ｂ…アンカープレート４の孔４ａを画成する部分、５…バックル、６…ショルダーアンカー、７…リトラクタ、８…かしめバー、９…ローラ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention belongs to the technical field of a seat belt device that restrains and protects an occupant when a large vehicle deceleration occurs, for example, at the time of a vehicle collision. In particular, the present invention eases the tightening of the occupant's chest by a shoulder belt. The seat belt device.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, a vehicle such as an automobile is equipped with a seat belt device together with a vehicle seat. This seatbelt device restrains the occupant by inertia movement by the seatbelt and restrains the occupant when a large vehicle deceleration occurs at the time of a vehicle collision or the like.
[0003]
As such a seat belt device, there is a three-point seat belt device. The three-point seat belt device has a seat belt having one end fixed to a vehicle body and the other end connected to a retractor fixed to the vehicle body. An occupant is restrained by locking a tongue slidably supported by the seat belt to a buckle fixed to the vehicle body. In this case, the seat belt on the retractor side from the tongue restrains the shoulder and chest of the occupant as a shoulder belt, and the seat belt on one end side from the tongue restrains the occupant's waist as a lap belt.
[0004]
By the way, when an extremely large vehicle deceleration occurs at the time of a vehicle collision or the like, the occupant tries to move forward due to its inertia. At this time, the so-called submarine phenomenon that the occupant's waist slides under the lap belt in an attempt to move forward also tends to occur.
[0005]
In order to suppress such a submarine phenomenon, a seat belt made of a single flexible material extending from the retractor is hung on a pulley provided on the tongue, and a buckle on which the tongue is locked with respect to the vehicle seat is fixed to the left and right. Hang it on a pulley provided on an anchor plate fixed to the opposite vehicle body, further connect the tip of this seat belt to the tongue and overlap the lap belt double, and the shoulder due to the inertia of the occupant at the time of impact to the front of the vehicle JP-A-49-104323 proposes a seat belt device in which the length of a double lap belt is shortened by pulling the belt.
[0006]
According to the seat belt device disclosed in this publication, since the length of the double lap belt is effectively shortened at the time of impact, the tightening force of the double lap belt at the waist of the occupant increases, The forward movement of the occupant's waist is suppressed, and the occurrence of the submarine phenomenon is suppressed.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, in the seat belt device disclosed in this publication, the double lap belt is actively and easily pulled when the shoulder belt is pulled at the time of impact by hanging the seat belt on two pulleys. In this way, the length of the double lap belt is effectively reduced.
[0008]
However, if the double lap belt is positively and easily pulled by the pulling force of the shoulder belt as described above, the load applied to the double lap belt due to the occupant's waist moving forward is increased. Since both are easily transmitted to the shoulder belt, the tightening force of the occupant's chest by the shoulder belt increases.
[0009]
In particular, since the length of the double lap belt is effectively shortened at the time of impact, both the load applied to the double lap belt is more easily transmitted to the shoulder belt at the initial stage of the impact. Therefore, the tightening force of the shoulder belt on the occupant's chest is further increased.
[0010]
The present invention has been made in view of such circumstances, and an object of the present invention is to make it difficult for a load from a lap belt to be transmitted to a shoulder belt, thereby effectively suppressing tightening of the occupant's chest by the shoulder belt. It is to provide a seat belt device capable of performing the following.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-mentioned problem, the seat belt device according to the first aspect of the present invention uses a tongue slidably supported by a single belt so that the belt applies to a shoulder and a chest of an occupant seated on a seat. In a seat belt device comprising a shoulder belt for restraining and a lap belt for restraining the waist of the occupant, the lap belt is fixed to a vehicle body on the right and left opposite sides to a buckle where the tongue is locked with respect to the seat. Is folded back through the anchor plate, and its tip is connected to and supported by the tongue, so that the two overlap each other. Further, the lap belt is bent at the anchor plate according to the shape of the anchor plate. It is characterized by being folded back.
[0012]
The invention according to claim 2 further includes a shoulder anchor for guiding the belt to a shoulder of the occupant, and a sliding portion of the shoulder anchor that slides on the belt reduces friction between the shoulder anchor and the belt. Characterized in that it is provided with a friction reducing means.
[0013]
[Action]
In the seat belt device according to the first and second aspects of the present invention, when a large vehicle deceleration occurs at the time of a vehicle collision or the like, the occupant's waist tends to move forward due to its inertia, and the inertia causes The load is dispersed and supported by two lap belts that are doubled on each other. Due to the distributed support of the load, the belt pulling force acting on each of the two lap belts is smaller than that of a single non-overlapping conventional lap belt.
[0014]
Moreover, one lap belt is pinched between the other lap belt and the occupant's waist, but since the lap belt is bent and folded according to the shape of the anchor plate, one lap belt is The pressure is more effectively sandwiched between the other lap belt and the waist of the occupant, and the friction between the anchor plate and the lap belt is effectively increased. Thus, the belt pulling forces acting on the two lap belts are substantially independent of each other, and the influence of the belt pulling force acting on one lap belt on the pulling force acting on the other lap belt is suppressed. Therefore, almost only the tensile force acting on the other lap belt is transmitted from the lap belt to the shoulder belt, and the tensile force acting on the shoulder belt becomes smaller than before. As a result, the force of tightening the chest of the occupant by the shoulder belt is reduced as compared with the related art, so that the compression of the occupant's chest by the shoulder belt is effectively alleviated.
[0015]
In particular, in the second aspect of the present invention, the friction between the belt and the sliding portion of the shoulder anchor is provided with a friction reducing means, so that the friction between the belt and the sliding portion is reduced. It will move smoothly. Therefore, the occupant's ease of wearing the seat belt is improved.
[0016]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
FIG. 1 is a view showing a first embodiment of a seat belt device according to the present invention, FIG. 2 is a view showing a tongue and an anchor plate portion of the seat belt device of the first embodiment, and FIG. (B) is a partial sectional view taken along line IIB-IIB in (a).
[0017]
As shown in FIG. 1, a seat belt device 1 of a first example includes a single belt 2 made of a flexible material for restraining and protecting an occupant, and a tongue slidably (movably) supported by the belt 2. 3. An anchor plate 4 swingably fixed to a vehicle body opposite to a buckle 5 which will be described later with respect to a seat in a lateral direction, a buckle 5 fixed to the vehicle body and capable of detachably engaging the tongue 3, and a center plate of the vehicle body, for example. A shoulder anchor 6 which is swingably supported on the belt 2 and guides the belt 2, is fixed to the vehicle body, and normally allows the belt 2 to be freely pulled out, and at least when the vehicle 2 is decelerated, for example, at the time of a vehicle collision, etc. The retractor 7 is configured to prevent pulling out and further take up the belt 2 when not in use.
[0018]
2 (a) and 2 (b), the tongue 3 is composed of a grip portion 3a and a locking portion 3b which is connected and fixed to the grip portion 3a and can be locked to the buckle 5, and has a flat shape. Is formed. Three first to third holes 3c, 3d, 3e are formed in the gripping portion 3a. Each of the first to third holes 3c, 3d, 3e is formed in a long hole having a shape similar to the cross-sectional shape of the belt 2 extending in the width direction of the belt 2 and larger than the cross-sectional shape thereof. . The first to third holes 3c, 3d, and the centers of and the lateral width direction of the locking hole 3b 1 of the locking portion 3b of the left-right width direction of 3e (in the drawing) coincides with the longitudinal direction of the tongue 3 2 (a), the center line indicating that the center in the left-right direction of each hole coincides is shown in FIG. 2 (a). The first to third holes 3c, 3d, 3e and lateral width direction of the center of the locking hole 3b 1 is not strictly necessary to match, it is sufficient that substantially coincides. In particular, the first to third holes 3c, 3d, 3e and the locking hole 3b 1 center of lateral width direction may be quite eccentric.
[0019]
The first hole 3c is a hole through which the belt 2 slidably penetrates, and the tongue 3 is supported by the belt 2 so as to be relatively movable by the first hole 3c. Further, a third hole 3e through folded after one end portion 2a of the belt 2 is passed through the second hole 3d, part 2a 1 which protrudes from the third hole 3e of the end portion 2a through the second hole 3d It is rigidly sewn superimposed in front of the portion 2a 2. Thereby, the belt 2 is connected and supported by the tongue 3.
[0020]
After the portion of the belt 2 on the other end 2b side of the tongue 3 slidably penetrates the shoulder anchor 6 as in a conventional general seat belt device, the other end 2b is connected to the retractor 1.
[0021]
When the tongue 3 is locked to the buckle 5 and the belt 2 is attached to the occupant, the portion of the belt 2 between the tongue 3 and the shoulder anchor 6 restrains the occupant from above the waist such as the shoulder and chest. The shoulder belt 2c is to be protected, and the portion of the belt 2 closer to the one end 2a than the tongue 3 is to be a lap belt 2d that restrains and protects the occupant's waist.
[0022]
The lap belt 2d penetrates through the hole 4a of the anchor plate 4, is bent by 180 ° or more, and is folded, so that the first lap belt 2d 1 between the tongue 3 and the anchor plate 4, the anchor plate 4 and one end thereof 2a and a second lap belt 2d 2 between the two lap belts. In that case, the bent portion 2d 3 of the lap belt 2d in the anchor plate 4 will be bent to follow the cross-sectional shape of the portion 4b defining a hole 4a of the anchor plate 4. The holes 4a of the anchor plate 4 are formed as elongated holes extending in the width direction of the belt 2, similarly to the first to third holes 3c, 3d, 3e of the tongue 3.
[0023]
Since the first to third holes 3c, 3d, 3e of the tongue 3 are aligned in the longitudinal direction, when the belt 2 is worn on the occupant, as shown in FIG. 2d 1 and 2d 2 are superimposed on each other while maintaining a flat surface to restrain and protect the occupant's waist. In this case, since the lap belt 2d is bent by 180 ° or more at the anchor plate 4 and folded, most of the first and second lap belts 2d 1 and 2d 2 are in light contact with each other.
[0024]
As the belt 2, the locking portion 3b of the tongue 3, the anchor plate 4, the buckle 5, the shoulder anchor 6, and the retractor 7, the same members as those of a conventional general seat belt device can be used.
[0025]
In the seat belt device 1 of the first example configured as described above, when the belt 2 is worn on the occupant as shown in FIG. 1, the first and second lap belts 2d 1 and 2d 2 are overlapped with each other. It will be in the piled state. In this state, if a large deceleration of the vehicle occurs at the time of a vehicle collision or the like, the occupant tries to move in the direction A by its inertia, and the belt 2 is pulled. However, the retractor 3 operates to prevent the belt 2 from being pulled out.
[0026]
At this time, the first and second lap belts 2d 1 and 2d 2 of the belt 2 are pulled in the B direction by the occupant's waist, but the tensile force due to the occupant's waist moving forward is the first and second lap belts 2d 1 and 2d 2. The second lap belts 2d 1 and 2d 2 are dispersed and supported by two belts. Due to the dispersive support of the pulling force, the belt pulling forces F 1 and F 2 acting on the first and second lap belts 2 d 1 and 2 d 2 , respectively, are smaller than those of a single non-overlapping conventional lap belt. Become.
[0027]
In addition, the second lap belt 2d 2 is pinched between the first lap belt 2d 1 and the waist of the occupant, but the lap belt 2d is bent and turned over 180 ° or more according to the shape of the anchor plate 4. Therefore, the second lap belt 2d 2 is more effectively pinched between the first lap belt 2d 1 and the occupant's waist, and the friction between the anchor plate 4 and the lap belt 2d is effectively reduced. Become larger. As a result, the belt pulling forces F 1 and F 2 acting on the first and second lap belts 2d 1 and 2d 2 are substantially independent of each other.
[0028]
That is, the influence of the belt tensile force F 2 acting on the pulling force second lap belt 2d 2 for F 1 acting on the first lap belt 2d 1 is suppressed. Therefore, the shoulder belt 2c from the lap belt 2d, only the tensile force F 1 acting almost first lap belt 2d 1 is to act, the pulling force F 3 acting on the shoulder belt 2c smaller in comparison with the conventional Become. Thus, the force of tightening the chest of the occupant by the shoulder belt 2c is reduced as compared with the conventional art, so that the pressure on the chest of the occupant by the shoulder belt 2c can be effectively reduced.
Other functions and effects of the seat belt device 1 of the first example are substantially the same as those of a conventional general seat belt device.
[0029]
FIGS. 3A and 3B are views similar to FIGS. 2A and 2B showing a tongue and an anchor plate portion of a second embodiment of the seatbelt device according to the present invention, wherein FIG. 3A is a partial perspective view thereof, and FIG. 3) is a partial sectional view taken along line IIIB-IIIB in FIG. In the following description of each example of the embodiment, the same reference numerals are given to the same components as in the example described before the example, and the detailed description is omitted.
[0030]
In the first example described above, three first to third holes 3c, 3d, and 3e are provided in the gripping portion 3a of the tongue 3, and one end 2a of the belt 2 is located between the second hole 3d and the third hole 3e. In the seat belt device 1 of the second example, as shown in FIGS. 3A and 3B, a third hole 3e is provided in the grip 3a of the tongue 3. However, only two first and second holes 3c and 3d are formed.
[0031]
Further, in the seat belt device 1 of the second example, the bag-shaped folded portion 2e of the one end 2a of the belt 2 penetrates the second hole 3d, and the swaged bar 2e is protruded to the opposite side of the grip portion 3a. 8 is inserted and held. In that case, it is preferable to provide an appropriate escape prevention means so that the swage bar 8 does not slip out of the folded portion 2e in the axial direction of the swage bar 8.
[0032]
The diameter of the caulking bar 8 is set to a size such that when the belt 2 is pulled to the left in FIG. 3B, the caulking bar 8 does not pass through the second hole 3d to the left together with the folded portion 2e. I have. Therefore, when the belt 2 is pulled to the left, the folded portion 2e of the belt 2 is crimped between the gripping portion 3a of the tongue 3 and the caulking bar 8, and the belt 2 is firmly attached to the tongue 3. Is connected and held.
[0033]
According to the seat belt device 1 of the second example, the number of holes formed in the grip portion 3a of the tongue 3 is one less than that of the first example, so that the structure is simplified and the number of processing steps can be reduced. Moreover, it is only necessary to form the folded portion 2e in advance at the one end 2a of the belt 2, penetrate the folded portion 2e through the second hole 3d, and insert the caulking bar 8 into the folded portion 2e. The connection between the belt 2 and the tongue 3 is simplified, and the belt 2 and the tongue 3 can be connected on an assembly line.
Other configurations and other effects of the seat belt device 1 of the second example are substantially the same as those of the first example.
[0034]
4A and 4B are views showing a tongue and an anchor plate portion of a third embodiment of the seat belt device according to the present invention, wherein FIG. 4A is a partial perspective view similar to FIG. 2A, and FIG. FIG. 3C is a plan view of a connecting portion between the one end 2a of the belt 2 and the tongue 3, and FIG. 4C is a partial cross-sectional view along the line IVC-IVC in FIG.
[0035]
In the above-described second example, the grip portion 3a and the locking portion 3b of the tongue 3 are formed in a flat plate shape. However, in the seat belt device 1 of the third example, FIGS. 4A and 4C show. grasping portion 3a as is formed in the longitudinal sectional L-shape from the first hole 3c is a vertical section 3a 1 which is provided a second hole 3d is provided a vertical section 3a 1 than the lateral width narrow horizontal portion 3a 2 Metropolitan ing. Therefore, the tongue 3 is formed in a T-shaped vertical section as a whole.
[0036]
Second hole 3d formed in the horizontal portion 3a 2 extends through a circular shape is formed, the second hole 3c folded portion 2e is provided deflated the circular end portion 2a of the belt 2. The center of the second hole 3d, the lateral width direction of the center and the center of the lateral width direction of the locking hole 3b 1 of the first hole 3c are aligned in a row in the longitudinal direction of the tongue 3.
By forming the grip portion 3a of the tongue 3 in an L-shaped cross section in this manner, the maneuvering of the seat belt is simplified.
Other configurations and other operational effects of the seat belt device 1 of the third example are substantially the same as those of the first example.
[0037]
Note that, instead of the circular hole of the second hole 3d, a long hole in the left-right width direction similar to the second hole 3d of the above-described first and second examples can be formed. In that case, it is desirable for the simplification of the shape to set the lateral width of the vertical portion 3a 1 and the horizontal part 3a 2 similarly.
[0038]
FIG. 5 is a view similar to FIG. 2 showing a tongue and an anchor plate portion of a fourth embodiment of the seatbelt device according to the present invention, where (a) is a partial perspective view and (b) is (a). FIG. 5 is a partial cross-sectional view taken along line VB-VB in FIG.
[0039]
In the first example shown in FIG. 2 described above, above the second lap belt 2d 2 on the side where the first lap belt 2d 1 that is continuous with the shoulder belt 2c is connected to and supported on the tongue 3, i.e., the second lap belt 2d 2 is located between the waist and the first lap belt 2d 1 of the occupant, the connection support portion and the second lap belt 2d 2 and the tongue 3 partitioning the first lap belt 2d 1 and the shoulder belt 2c The tongue 3 is positioned closer to the locking portion 3b than the one hole 3c. In the fourth example of the seat belt device, as shown in FIGS. 5A and 5B, the seat belt device is continuous with the shoulder belt 2c. below the second lap belt 2d 2 on the side where the first lap belt 2d 1 is connected to and supported on the tongue 3, i.e., the first lap belt 2d 1 is located between the occupant of the waist and the second lap belt 2d 2 do it, Joint supports the second lap belt 2d 2 and the tongue 3 are located on the opposite side of the locking portion 3b of the tongue 3 from the first hole 3c partitioning the first lap belt 2d 1 and the shoulder belt 2c.
[0040]
Thus, by connecting the support portion and the second lap belt 2d 2 and the tongue 3 is positioned on the opposite side of the locking portion 3b of the tongue 3, the folded portion 2e of the one end 2a of the belt 2, the second The grip 3a is supported between the hole 3d and the upper end of the grip 3a in FIG. This eliminates the need for the third hole 3e, simplifies the shape of the tongue 3, and reduces man-hours for drilling.
Other configurations and other effects of the seat belt device 1 of the fourth example are substantially the same as those of the first example.
[0041]
FIGS. 6A and 6B are views similar to FIGS. 5A and 5B showing a tongue and an anchor plate portion of a fifth embodiment of the seatbelt device according to the present invention, wherein FIG. 6A is a partial perspective view thereof, and FIG. FIG. 6 is a partial cross-sectional view taken along line VIB-VIB in FIG.
[0042]
In the fourth example of FIG. 5 described above, the two first and second holes 3c to the grip portion 3a, 3d is drilled, the belt of the boundary portion between the shoulder belt 2c and the first lap belt 2d 1 through The second hole 3d through which the one end 2a of the belt 2 penetrates is different from the first hole 3c, but in the seat belt device of the fifth example, as shown in FIGS. Is provided with only one first hole 3c. That is, a hole shoulder belt 2c and the one end portion 2a of the hole and the belt 2 which is a boundary portion of the belt between the first lap belt 2d 1 through penetrates consists of only one common first hole 3c.
[0043]
As described above, by forming the hole through which the seat belt 2 penetrates with only one common first hole 3c, the second hole 3d becomes unnecessary, and the shape of the tongue 3 is further simplified, and the hole is further reduced. The number of processing steps can be further reduced.
Other configurations and other operational effects of the seat belt device 1 of the fifth example are substantially the same as those of the fourth example.
[0044]
As shown in FIG. 7, a roller 9 serving as a friction reducing means is rotatably provided in a sliding portion of the shoulder anchor 6 with the belt 2, and the roller 9 is provided with a belt 2 on the retractor 7 side of the shoulder belt 2c. , The friction between the belt 2 and the shoulder anchor 6 can be reduced, and the belt 2 can be smoothly pulled out from the retractor 7. This also makes it possible to improve the occupant's ease of wearing the seat belt.
[0045]
Further, instead of the rollers 9, a material having a low coefficient of friction is used as a friction reducing means for a sliding portion of the shoulder anchor 6 with the belt 2 to reduce friction between the belt 2 and the material having a low coefficient of friction. As a result, it is also possible to improve the occupant's ease of wearing the seat belt in the same manner as described above.
[0046]
Further, as shown in FIG. 8 (a), the cross-sectional shape of the anchor plate 4 where the lap belt 2d is bent following the curve is replaced with the rectangular shape in each of the above-described examples, and is a curved surface such as a circle, an ellipse, and an oval. 8B, or as shown in FIG. 8B, the cross-sectional shape of the anchor plate 4 where the lap belt 2d is bent according to the shape can be V-shaped.
Further, in the present invention, instead of fixing the anchor plate 4 directly to the vehicle body, the anchor plate 4 can be directly fixed to the vehicle body via a pretensioner.
[0047]
【The invention's effect】
As is apparent from the above description, according to the seat belt device of the first to third aspects of the present invention, when a large vehicle deceleration occurs at the time of a vehicle collision or the like, the load due to the inertia of the occupant's waist forward is mutually reduced. Since the two lap belts are dispersed and supported on two lap belts, the belt pulling force acting on each of the two lap belts is smaller than that of a conventional non-lap lap belt. Can be smaller.
[0048]
Moreover, by bending and folding the lap belt in accordance with the shape of the anchor plate, one lap belt is more effectively pinched between the other lap belt and the occupant's waist, and the The friction between the lap belt and the shoulder belt is almost the same because the friction between the lap belt and the lap belt is effectively suppressed by suppressing the influence of the belt tension acting on one lap belt on the tension acting on the other lap belt. Only the pulling force acting on the lap belt can be transmitted. Thereby, the pulling force acting on the shoulder belt can be made smaller than before, and the tightening force of the occupant's chest by the shoulder belt can be reduced as compared with the conventional case. Therefore, pressure on the occupant's chest by the shoulder belt can be effectively alleviated.
[0049]
In particular, since a friction reducing means is provided at a sliding portion of the shoulder anchor with the belt to reduce friction between the sliding portion and the belt, the belt can be smoothly moved at the sliding portion. Become. Therefore, according to the invention of claim 2, the occupant's ease of wearing the seat belt can be improved.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a first example of an embodiment of a seat belt device according to the present invention.
2A and 2B show a tongue portion of the seat belt device of the first example shown in FIG. 1, wherein FIG. 2A is a partial perspective view thereof, and FIG. 2B is a partial cross-sectional view taken along line IIB-IIB in FIG.
FIGS. 3A and 3B are views similar to FIGS. 2A and 2B showing a tongue portion of a second embodiment of the seat belt device according to the present invention, wherein FIG. 3A is a partial perspective view, and FIG. FIG. 3 is a partial cross-sectional view along the line IIIB-IIIB.
4A and 4B are diagrams showing a tongue portion of a third example of the seat belt device according to the present invention, wherein FIG. 4A is a partial perspective view similar to FIG. 2A, and FIG. 4A is a plan view of a connecting portion between the one end 2a and the tongue 3, and FIG. 4C is a partial cross-sectional view taken along line IVC-IVC in FIG.
5 is a view similar to FIG. 2, showing a tongue portion of a fourth example of the embodiment of the seatbelt device according to the present invention, wherein FIG. 5 (a) is a partial perspective view thereof, and FIG. FIG. 4 is a partial cross-sectional view along the line VB-VB.
6 is a view similar to FIG. 5, showing a tongue portion of a fifth example of the seat belt device according to the embodiment of the present invention, wherein FIG. 6 (a) is a partial perspective view thereof, and FIG. FIG. 6 is a partial cross-sectional view along the line VIB-VIB.
FIG. 7 is a view showing a modification of the seatbelt device according to the present invention.
FIGS. 8A and 8B are diagrams showing third and fourth modifications of the seatbelt device according to the present invention, respectively.
[Explanation of symbols]
1 ... seat belt apparatus, 2 ... belt, 2c ... shoulder belt, 2d ... lap belt, 2d 1 ... first lap belt, 2d 2 ... second lap belt, 2d 3 ... bent portion, 2e ... folded portion, 3 ... tongue .., 3a 1 ... Vertical portion 3a 2 ... Horizontal portion 3b... Locking portion 3c .1st hole 3d .2nd hole 3e .3rd hole 4 .anchor plate 4a. Reference numeral 4b: a portion defining the hole 4a of the anchor plate 4, 5: buckle, 6: shoulder anchor, 7: retractor, 8: caulking bar, 9: roller
