JP2004050874A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の惰力走行時における運動エネルギを動力に変換して輸送装置を駆動させて、輸送装置により伝熱媒体を移動させるとともに、伝熱媒体と、車両の室内の空気との間で、蓄熱装置を介して熱交換をおこなわせる車両用空調装置において、動力で輸送装置を駆動する場合における車両の挙動に関連する物理量を判断する挙動判断手段(ステップS701,S702)と、輸送装置の駆動状態を、挙動判断手段(ステップS701,S702)の判断結果に基づいて設定する輸送装置制御手段(ステップSステップS704ないしステップS718)とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、輸送装置により伝熱媒体を移動させて、この伝熱媒体と車両の室内の空気との間で熱交換をおこなわせる車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両用空調装置は、冷媒を循環する冷凍サイクルによって室内の空気の温度を調整するように構成されている。このような空調装置の一例が、特開平6−211036号公報に記載されている。この公報に記載されている自動車用冷房装置においては、冷媒の循環回路に、コンプレッサ、コンデンサ、蓄熱装置としての蓄冷器、膨張弁、エバポレータなどが配置されている。
【0003】
具体的には、エバポレータと膨張弁との間に蓄冷器が配置されており、膨張弁とエバポレータとの間には、2つの三方弁が配置されている。第1の三方弁は、1つの吸込口と、第1の吐出口および第2の吐出口とを備えている。第2の三方弁は、第1の吸込口および第2の吸込口と、1つの吐出口とを有している。そして、第1の三方弁の吸込口が膨張弁に接続され、第1の三方弁の第1の吐出口と、第2の三方弁の第1の吸込口とが接続されている。また、第1の三方弁の第2の吐出口と、蓄冷器の入口部とが接続されている。さらに第2の三方弁の第2の吸込口と、蓄冷器の出口部とが接続されている。さらにまた、第2の三方弁の吐出口と、エバポレータとが接続されている。
【0004】
一方、上記蓄冷器は、並列に配置された複数の冷媒室と、各冷媒室に連通する第1分岐管と、各冷媒室の入口に設けた複数の第1ストップ弁とを有している。また、蓄冷器は、各冷媒室に対応し、かつ、入口部に対して分岐管を介して接続された複数の冷媒通路と、各冷媒通路の入口に配置された第2ストップ弁とを有している。これら複数の冷媒通路は並列に配置されており、出口部に連通されている。
【0005】
上記公報の冷房装置においては、コンプレッサにより冷媒が圧縮されて高温・高圧のガスとなってコンデンサに送られる。コンデンサに送られた冷媒は、その潜熱を奪われて冷却され、かつ、凝縮(液化)する。液化された冷媒は蓄冷器を経由して膨張弁に送られ、膨張弁により冷媒が膨張されて低温・低圧の霧状冷媒となり、その冷媒がエバポレータに流れ込む。エバポレータでは冷媒が蒸発するのに必要な潜熱を、室内側の空気から奪い、室内空気を冷却すると同時に冷媒が気化し、その後、冷媒はコンプレッサに吸入される。
【0006】
蓄冷器の機能を具体的に説明すると、冷媒が蓄冷器を通過する際に蓄冷室に蓄冷される。この蓄冷時には、第1ストップ弁を選択的に開弁することで、蓄冷される蓄冷室の数、言い換えれば、蓄冷器全体としての熱容量が制御される。これに対して、放冷時には、膨張弁を通過した冷媒が、三方弁を介して蓄冷器の冷媒通路に送られて、各蓄冷室と、冷媒通路を通過する冷媒との間で熱伝達がおこなわれる。この放冷時には、蓄冷が完了している冷媒室に対応する冷媒通路のみに冷媒を送るように、第2ストップ弁を選択的に開弁させる制御がおこなわれる。
【0007】
また、この公報に記載されている冷房装置においては、冷房装置の運転を停止している場合でも、蓄冷器に蓄冷することができる。すなわち、車速が基準車速以上であり、かつブレーキペダルが踏み込まれている減速時が検知された場合は、コンプレッサの電磁クラッチをオンにしてコンプレッサを駆動し、蓄冷器への蓄冷がおこなわれる。このような制御により、減速時の車両の運動エネルギを利用して蓄冷をおこなうことができるとされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報に記載された冷房装置において、“冷房装置の運転が停止されている場合に、コンプレッサを駆動して蓄冷器への蓄冷をおこなう制御”は、車速が基準車速以上である場合に限り実行される。しかしながら、車速が基準車速以上である場合に限り、蓄冷器に蓄冷するのでは、蓄冷頻度もしくは蓄冷機会が少なく、蓄冷効率が低下するという問題があった。
【0009】
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、蓄熱装置における蓄熱効率を向上させることのできる車両用空調装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、車両の駆動力源から車輪に至るパワートレーンに動力伝達可能に連結された輸送装置を有し、パワートレーンの動力により前記輸送装置を駆動し、その輸送装置により伝熱媒体を移動させるとともに、この伝熱媒体と、前記車両の室内の空気との間で、蓄熱装置を介して熱交換をおこなわせる車両用空調装置において、前記パワートレーンの動力で前記輸送装置を駆動する場合における車両の挙動に関連する物理量を判断する挙動判断手段と、前記輸送装置の駆動状態を、前記挙動判断手段の判断結果に基づいて設定する輸送装置制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項1の発明によれば、車両のパワートレーンの動力により輸送装置が駆動され、その輸送装置により伝熱媒体が移動されて、この伝熱媒体と車両の室内の空気との間で、蓄熱装置を介して熱交換がおこなわれる。そして、車両の挙動に関連する物理量が判断され、その判断結果に基づいて、輸送装置の駆動状態が制御される。
【0012】
請求項2の発明は、車両の惰力走行時における運動エネルギを動力に変換し、その動力で輸送装置を駆動して伝熱媒体を移動させるとともに、この伝熱媒体と、前記車両の室内の空気との間で、蓄熱装置を介して熱交換をおこなわせる車両用空調装置において、前記動力で前記輸送装置を駆動する場合における車両の挙動に関連する物理量を判断する挙動判断手段と、前記輸送装置の駆動状態を、前記挙動判断手段の判断結果に基づいて制御する輸送装置制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の発明によれば、車両の減速時における運動エネルギが動力に変換され、その動力により輸送装置が駆動されて伝熱媒体が移動し、蓄熱装置に蓄熱される。そして、車両の挙動の判断結果に基づいて、輸送装置の駆動状態が制御される。
【0014】
請求項3発明は、請求項2の構成に加えて、前記車両の車輪の動力が変速機を経由して前記輸送装置に伝達されて、その輸送装置が駆動されるように構成されており、前記輸送装置制御手段は、前記変速機の変速比を可及的に大きくすることにより、前記輸送装置の駆動状態を制御する機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の作用が生じる他に、蓄熱装置の蓄熱時に、変速機の変速比が、車両の挙動が判断される前よりも大きく設定される。このため、輸送装置の出力が高められて、伝熱媒体の輸送量が増加する。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2の構成に加えて、前記輸送装置制御手段は、前記車両の室内の温度を調整する必要度合いを、可及的に少なくする機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項4の発明によれば、請求項2の発明と同じ作用が生じる他に、蓄熱装置の蓄熱時に、車両の室内の温度を調整する必要度合いが小さく(少なく)なる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4の構成に加えて、前記輸送装置制御手段は、前記車両の室内で空気を循環させることにより、前記車両の室内の温度を調整する必要度合いを可及的に少なくする機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項5の発明によれば、車両の室内で空気が循環されて、請求項4の発明と同様の作用が生じる。
【0020】
請求項6の発明は、輸送装置を駆動して伝熱媒体を移動させて、その伝熱媒体と車両の室内の空気との間で、蓄熱装置を介して熱交換をおこなわせる車両用空調装置において、前記車両に搭載されている蓄電装置の蓄電量を判断する蓄電量判断手段と、前記蓄熱装置の熱エネルギを電気エネルギに変換して前記蓄電装置に蓄電するとともに、この蓄電装置に蓄電する場合の蓄電量を、前記蓄電量判断手段の判断結果に基づいて制御する蓄電量制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6の発明によれば、蓄熱装置の熱が室内の空調に利用される他、熱エネルギが電気エネルギに変換されて蓄電装置に蓄電される。
【0022】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明を図面に基づいて説明する。図2は、この発明を適用できる車両Veのパワートレーンの一例を示す概念図である。車両Veは駆動力源としてのエンジン51を有し、エンジン51と車輪71との間の動力伝達経路に、流体伝動装置72、変速機73、デファレンシャル74が設けられている。具体的には、エンジン51と変速機73との間に、流体伝動装置72が配置されている。また、流体伝動装置72と並列にロックアップクラッチ75が設けられている。前記エンジン51は、燃料を燃焼させてその熱エネルギを機械エネルギに変換する動力装置であり、エンジン51としては、内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。
【0023】
前記変速機73として、例えば、遊星歯車機構および摩擦係合装置を有する有段変速機を用いることができる。有段変速機は、流体伝動装置72およびロックアップクラッチ75に連結される入力部材(図示せず)と、デファレンシャル74に連結される出力部材(図示せず)との間の変速比を、段階的もしくは不連続的に変更することのできる変速機である。そして、この変速機73およびロックアップクラッチ75を制御する油圧制御装置76が設けられている。すなわち、この油圧制御装置76により、変速機73の摩擦係合装置の係合・解放状態が切り替えられて変速比が制御されるとともに、ロックアップクラッチ75の係合・解放・スリップの各状態が制御される。
【0024】
また、変速機73が、例えば、前進レンジで第1速ないし第5速を選択可能な変速機である場合は、車両Veの進行方向および変速機73の変速比の制御範囲を制御するために、例えば、P(パーキング)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、D(ドライブ)レンジ、4レンジ、3レンジ、2レンジ、L(ロー)レンジの各レンジを選択できる。ここで、Dレンジ、4レンジ、3レンジ、2レンジ、Lレンジが、前進レンジである。前進レンジとは、車両を前進させる向きの駆動力を発生するレンジである。Rレンジは後進レンジである。そして、Dレンジが選択されている場合は、第1速ないし第5速のいずれかを設定可能であり、4レンジが選択されている場合は、第1速ないし第4速のいずれかを設定可能であり、3レンジが選択されている場合は、第1速ないし第3速のいずれかを設定可能であり、2レンジが選択されている場合は、第1速または第2速のいずれかを設定可能であり、Lレンジが選択されている場合は、第1速に固定される。
【0025】
第1速ないし第5速の各変速段は、電子制御装置(後述)に記憶されているデータに基づいて選択される。具体的には、車速およびアクセル開度をパラメータとする変速マップに基づいて、変速段が制御される。なお、変速段を示す数字が小さくなるほど、変速比は大きくなる。また、この実施例においては、変速マップ以外の条件に基づいて、変速段を制御することができる。この制御については後述する。
【0026】
エンジン51のトルクは、変速機73およびデファレンシャル74を経由して車輪71に伝達されて駆動力が発生する。ここで、ロックアップクラッチ75が解放された場合は、エンジン51と変速機73との間で、流体の運動エネルギにより動力伝達がおこなわれる。これに対して、ロックアップクラッチ75が係合された場合は、エンジン51と変速機73との間で、ロックアップクラッチ75の摩擦力により動力伝達がおこなわれる。
【0027】
さらに、車両Veの減速時、言い換えれば惰力走行時には、車両Veの運動エネルギが車輪71で動力に変換されて、その動力が変速機73を経由しエンジン51に伝達される。このとき、エンジン回転数が所定回転数以上である場合に、燃料供給を停止する制御、いわゆるフューエルカット制御をおこなうことができる。
【0028】
さらにまた、エンジン51に対して伝動装置77を介してコンプレッサ1および発電機80が連結されている。すなわち、エンジン51のトルクによりコンプレッサ1および発電機80を駆動することができる。ここで、エンジン51のトルクには、▲1▼アクセルペダルが踏み込まれてエンジン出力が制御された場合のトルクと、▲2▼アクセルペダルが踏まれていない場合のエンジントルク、および車両Veの惰力走行時の運動エネルギが動力に変換されて、車輪71からエンジンに51伝達された場合のトルクとを加えたトルクと、が含まれる。
【0029】
前記発電機80には蓄電装置81が接続されており、発電機80により発電された電力が蓄電装置81に蓄電される。蓄電装置81としては、例えばバッテリ、キャパシタを用いることができる。また、蓄電装置81には、熱エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換装置82が、電気的に接続されている。このエネルギ変換装置82は、第1蓄熱器および第2蓄熱器(後述する)に蓄積された熱エネルギを、電気エネルギに変換して蓄電装置81に蓄電するものである。
【0030】
前記コンプレッサ1は、車両Veに搭載されているエアコンシステムの一部を構成するものである。図3は、エアコンシステムA1の構成を示す概念図である。エアコンシステムA1は、第1循環回路B1および第2循環回路C1および第3循環回路D1を有している。各循環回路は、具体的には、配管などを有する流体の流通経路である。そして、第1循環回路B1を冷媒(例えば、フロンガスなど)が流れ、第2循環回路C1および第3循環回路D1内をブライン(例えば、水など)が流れる。
【0031】
まず、第1循環回路B1の構成について説明する。第1循環回路B1にはコンプレッサ1が設けられており、コンプレッサ1は吸込口2および吐出口3を有している。また、第1の循環回路B1には室外熱交換器4が設けられている。この室外熱交換器4としては、例えば、エンジンルームの前方に設けられているコンデンサが挙げられる。室外熱交換器4は、第1の流通口4Aおよび第2の流通口4Bを有している。
【0032】
さらに、室外熱交換器4に対応するファン5が設けられている。このファン5は、エンジン51または電動機(後述)により駆動される。さらに、第1循環回路B1には、減圧装置6およびアキュムレータ7が設けられている。減圧装置6は第1の流通口6Aおよび第2の流通口6Bを有している。そして、減圧装置6の第1の流通口6Aと、室外熱交換器4の第2の流通口4Bとが接続されている。また、アキュムレータ7は、入口7Aおよび出口7Bを有している。
【0033】
一方、第1循環回路B1の一部、および第2循環回路C1の一部を構成する第1蓄熱器8が設けられているとともに、第1循環回路B1の一部、および第3循環回路D1の一部を構成する第2蓄熱器9が設けられている。第1蓄熱器8の内部には2本の配管(図示せず)が設けられており、この一方の配管は、第1循環回路B1に対応する第1の流通口8Aおよび第2の流通口8Bを有しており、他方の配管は第2の循環回路C1に対応する第1の流通口8Cおよび第2の流通口8Dを有している。また、2本の配管は、熱伝導性に優れた金属材料、例えば、アルミニウム、銅などにより構成されている。さらに、第1蓄熱器8の内部には蓄熱剤(図示せず)が収容されている。この蓄熱剤としては、例えば水などを用いることができる。このような構成により、第1蓄熱器8において、冷媒とブラインとの間で熱交換が可能となっている。
【0034】
一方、第2蓄熱器9の構成も、第1蓄熱器8とほぼ同様に構成されている。この第2蓄熱器9にも2本の配管(図示せず)が設けられており、一方の配管は、第1の循環回路B1に対応する入口9Aおよび出口9Bを有している。これに対して、他方の配管は、第3循環回路D1に対応する入口9Cおよび出口9Dを有している。また、2本の配管は、熱伝導性に優れた金属材料、例えば、アルミニウム、銅などにより構成されている。さらに、第2蓄熱器9の内部には蓄熱剤(図示せず)が収容されている。この蓄熱剤としては、例えば水などを用いることができる。このような構成により、第2蓄熱器9において、2本の配管の内部を流れる冷媒とブラインとの間で熱交換が可能となっている。
【0035】
前記第1循環回路B1には四方弁17が設けられている。この四方弁17は、第1蓄熱器8の第1の流通口8A、または室外熱交換器4の第1の流通口4Aと、アキュムレータ7の吸込口7A、または第2蓄熱器9の第2の流通口9Bとの間の経路を、選択的に接続・遮断するものである。
【0036】
また、前記第1の循環回路B1の一部、および第2の循環回路C1の一部を構成する熱交換器18が設けられている。具体的には、第1の循環回路B1において、減圧装置6と第1蓄熱器8との間に、熱交換器18が配置されている。この熱交換器18は、複数の伝熱板(図示せず)を、その伝熱板の厚さ方向に配列することにより、隣り合う伝熱板同士の間に、第1の循環回路B1の一部と、第2の循環回路C1の一部とを形成したものである。
【0037】
そして、熱交換器18には、第1の循環回路B1に対応し、かつ、相互に連通する第1の流通口18Aおよび第2の流通口18Bが形成されている。ここで、第2の流通口18Bと、減圧装置6の第2の流通口6Bとが接続され、第1の流通口18Aと、第1蓄熱器8の第1の流通口8Bとが接続されている。また、熱交換器18には、第2の循環回路C1に対応する第1の流通口18Cおよび第2の流通口18Dが形成されている。
【0038】
さらにまた、前第2の循環回路B1および第3の循環回路C1に亘って空調ユニット20が設けられている。この空調ユニット20は、空気吸込口21および空気吐出口22を有するダクト23と、ダクト23の内部に設けられたファン24および室内熱交換器(エバポレータ)25およびヒータ26を有している。前記空気吸込口21には、外気取り入れ口21Aと内気取り入れ口21Bとが並列に接続されている。外気取り入れ口21Aは、車両Veの外部に連通され、内気取り入れ口21Bは、車両Veの室内X1に連通されている。そして、外気取り入れ口21Aまたは内気取り入れ口21Bと、空気吸込口21との間の経路を、選択的に接続または遮断するダンパ21Cが設けられている。
【0039】
一方、ヒータ26は、ヒータコア35およびダンパ36を有している。ダンパ36は、その開度が調整自在に構成されている。ダクト23の内部であって、ファン24とヒータ26との間に室内熱交換器25が配置されている。さらに、ファン24は、室内熱交換器25およびヒータ26よりも、空気吸込口21に近い箇所に配置され、ヒータ26は、ファン24および室内熱交換器25よりも、空気吐出口22に近い箇所に配置されている。そして、室内熱交換器25は第2の循環回路C1の一部を構成しており、室内熱交換器25は入口25Aおよび出口25Bを有している。
【0040】
この入口25Aに対しては、熱交換器18の第1の流通口18Cと、第1蓄熱器8の第1の流通口8Cとが、相互に並列に接続されている。また、出口25Bに対しては、熱交換器18の第2の流通口18Dと、第1蓄熱器8の第2の流通口8Dとが、並列に接続されている。さらに、ヒータ26は第3の循環回路D1の一部を構成しており、ヒータ26は、入口26Aおよび出口26Bを有している。このヒータ26の入口26Aと、第2蓄熱器9の出口9Dとが接続されている。
【0041】
そして、第2の循環回路C1であって、熱交換器18の第2の流通口18Dと、第1蓄熱器8の第2の流通口8Dとに接続される分岐部分に、三方弁27が配置されている。この三方弁27は、室内熱交換器25の出口25Bと、第1蓄熱器8の第2の流通口8D、または熱交換器18の第2の流通口18Dとの間の経路を、選択的に接続・遮断するものである。また、第2の循環回路B1であって、室内熱交換器25の出口25Bと三方弁27との間には、第1のポンプ28が配置されている。この第1のポンプ28は吸込口28Aおよび吐出口28Bを有しており、吸込口28Aと出口25Bとが接続され、吐出口28Bと三方弁27とが接続されている。
【0042】
さらに、第3の循環回路D1であって、ヒータ26の出口26Bと、第2蓄熱器9の入口9Cとの間に、第2のポンプ29が配置されている。前記第1のポンプ28および第2のポンプ29は、いずれも可変容量ポンプである。この第2のポンプ29は吸込口29Aおよび吐出口29Bを有しており、吸込口29Aとヒータ26の出口26Bとが接続され、吐出口29Bと第2蓄熱器9の入口9Cとが接続されている。さらにまた、第1蓄熱器8の内部の温度を検知する温度センサ30と、第2蓄熱器9の内部の温度を検知する温度センサ31と、ダクト23の内部に設けられた温度センサ32とを有している。
【0043】
つぎに、車両Veの制御系統を図4に基づいて説明する。すなわち、車両Veの全体を制御するコントローラとしての電子制御装置33が設けられており、電子制御装置33は、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装置(RAMおよびROM)および入出力インタフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
【0044】
そして、温度センサ30,31,32の検知情報が電子制御装置33に入力されるとともに、アクセル開度、エンジン回転数、燃料噴射量、吸気管負圧、外気温度、内気温度(車両Veの室内X1の温度)車速、エアコンスイッチの操作状態、日射量、シフトレンジ、変速機73で設定されている変速比(変速段)、イグニッションキーの操作状態、蓄電装置81の蓄電量および電圧、蓄電装置81の充放電電流、蓄電装置81の温度、車両Veに搭載されている電気装置の負荷(電気負荷)などの情報が、車両情報検知センサ34により検知されて、その車両情報検知センサ34の信号が電子制御装置33に入力される。前記エアコンスイッチの操作状態には、運転・停止の切り替え情報、外気入力モードまたは内気循環モードの選択情報、温度設定情報などが含まれる。
【0045】
さらに、車両Veが走行する予定道路の信号、渋滞、気象、道路勾配などの情報が、インフラ情報(外部情報)検知センサ78またはナビゲーションシステム79などにより検知され、その信号が電子制御装置33に入力される。ナビゲーションシステム79は、車両Veの走行経路の情報を、3次元的に検知できる、いわゆる、3Dナビと呼ばれるものを用いることができる。
【0046】
これに対して、電子制御装置33からは、エンジン51を制御する信号、四方弁17を制御する信号、三方弁27を制御する信号、ダンパ21C,36を制御する信号、第1のポンプ28および第2のポンプ29の出力を制御する信号、油圧制御装置76を制御する信号などが出力される。また、コンプレッサ1、ファン5,24が、エンジン51以外の電動機50により駆動される場合は、電動機50、コンプレッサ1、ファン5,24の駆動・停止を制御する信号が、電子制御装置33から出力される。
【0047】
ここで、図2ないし図4に示す構成と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、エンジン51がこの発明の駆動力源に相当し、エンジン51、流体伝動装置72、ロックアップクラッチ75、変速機73、デファレンシャル74、車輪71などが、この発明のパワートレーンに相当し、コンプレッサ1がこの発明の輸送装置に相当し、冷媒がこの発明の伝熱媒体に相当し、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9が、この発明の蓄熱装置に相当する。また、冷媒の熱を、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9を経由させてブラインに伝達すること、またはブラインの熱を、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9を経由させて冷媒に伝達すること、のうち少なくともも一方が、この発明の熱交換に相当する。
【0048】
上記のように構成されたエアコンシステムA1を運転する場合は、急速冷房モード、冷房モード(プレ蓄冷モードを含む)、暖房モードという3種類の運転モードを選択的に切り換え可能である。以下、各モードが選択された場合におけるエアコンシステムA1の制御および作用を説明する。
【0049】
(急速冷房モード)
この急速冷房モードは、車室内温度が非常に高い場合、あるいは第1蓄熱器8に蓄熱されている熱量が所定量よりも少ない場合において、急速な冷房を実行しなければならない要求があるときに選択されるものである。この急速冷房モードが選択された場合、四方弁17の状態は、第1蓄熱器8の出口8Aと、アキュムレータ7の入口7Aとを接続し、第2蓄熱器9の第2の流通口9Bと、室外熱交換器4の第1の流通口4Aとを接続する状態に制御される。
【0050】
そして、コンプレッサ1が駆動されると第1循環回路B1内の冷媒が圧縮され、かつ、高温・高圧のガスとなって吐出口3から吐出される。気化された冷媒は第2蓄熱器9に流れ込むとともに、冷媒の熱が第2蓄熱器9に蓄熱されて、冷媒の温度が低下する。具体的には、冷媒の熱が配管11および放熱フィン13を経由して蓄熱剤14に伝達され、蓄熱剤14で熱が蓄熱される。さらに、第2のポンプ29が駆動されて、第3循環回路D1内を、循環方向G1でブラインが流れる。
【0051】
一方、第2蓄熱器9の第2の流通口9Bから出た冷媒は、室外熱交換器4に送られる。ここで、ファン5の駆動により空気に流れが発生しており、室外熱交換器4において、強制対流による熱伝達がおこなわれて、冷媒の温度が低下し、かつ、冷媒が液化する。このようにして、室外熱交換器4において冷却された冷媒は、第2の流通口4Bから出て減圧装置6に送られる。冷媒は減圧装置6で膨張された後、熱交換器18に送られる。
【0052】
ここで、前記熱交換器18における、冷媒とブラインとの熱交換作用について説明する。前記第1循環回路B1の減圧装置6で冷媒が膨張されて、冷媒が低温となっている。その冷媒と、第2循環回路C1内のブラインとが、図4に示すようにプレート19を挟んで流れるため、ブラインの熱が冷媒に奪われて、ブラインが十分冷却される。この時、冷媒が流れる方向と、ブラインが流れる方向とが逆となるように、熱交換器18が構成されている。つまり、第1循環回路B1内を流れる冷媒の循環方向と、第2循環回路C1内を流れるブラインの循環方向とが逆となる。これは、熱交換器18内の冷媒は、第2導入口18Bから第1導入口18Aに向かうに従い、徐々に冷却作用が低下するとともに、また熱交換器18内で熱の損失が発生することを考慮して、冷媒の冷却作用が最も大きい流れ方向の位置を、ブラインが熱交換器18から出る位置にすることで、ブラインの冷却効果を高めるための構成である。
【0053】
上記のようにして、熱交換器18を通った冷媒は、第1蓄熱器8を通り、再びコンプレッサ1に導入される。このようにして、冷媒が第1循環回路B1内を循環する。急速冷房モードが選択されている場合は、第1循環回路B1内を循環方向F1に沿って冷媒が流れる。一方、第2循環回路C1の三方弁27の状態は、第1のポンプ28の出口28Bと、熱交換器18の第2流通口18Dとを接続する状態に制御される。この第1のポンプ28の駆動により、第2循環回路C1内のブラインは、熱交換器18を通る際に冷媒により冷却される。その後、第2循環回路C1内のブラインは、空調ユニット20の室内熱交換器25に送られる。このように、急速冷房モードが選択された場合は、第2循環回路C1内を、冷媒が循環方向E1で流れる。
【0054】
一方、空調ユニット20においては、ファン24が駆動されており、空気吸込口21から吸い込まれた空気が、ダクト23の内部を通過して空気吐出口22から、車両の室内X1に供給される。ダクト23の内部の空気が室内熱交換器25を通過する際に、空気の熱がブラインに伝達されて、空気が冷却されるとともに、ブラインの温度が上昇する。このようにして、車両の室内X1の温度が低下させられる。なお、急速冷房モードにおいても、第3循環回路D1内をブラインが流れるが、ヒータ26のダンパ36が閉じられているため、第3循環回路D1内のブラインと、ダクト23内を流れる空気との間で熱伝達はおこなわれない。
【0055】
(冷房モード)
この冷房モードは、第1蓄熱器8が所定量以上の熱を蓄熱している状態で、冷房を実行する場合に選択されるものである。冷房モードが選択された場合は、第1循環回路B1および第3循環回路D1の状態は、急速冷房モードと同じになる。一方、第2循環回路C1においては、三方弁27が制御されて、第1のポンプ28の出口28Bと、第1蓄熱器8の第2の流通口8Dとが接続される一方、第1のポンプ28の出口28Bと、熱交換器18の第2の流通口18Dとの間の経路が遮断される。このため、第1のポンプ28から吐出されたブラインは、三方弁27を経由して第1蓄熱器8に送られる。第1蓄熱器8においては、第1循環回路B1内で低温となった冷媒と、第2循環回路C1を流れるブラインとの間で、熱交換がおこなわれる。
【0056】
図2に示したように、第1蓄熱器8には蓄熱剤14が設けられており、ブラインの熱が蓄熱剤14に奪われて、ブラインが十分冷却される。また、図2に示すように、冷媒が流れる方向と、ブラインが流れる方向とが逆になるように構成されている。つまり、第1循環回路B1における冷媒の循環方向F1と、第2循環回路C1におけるブラインの循環方向H1とが、逆向きとなっている。これは、第1蓄熱器8内の冷媒は、第2の流通口8Bから第1の流通口8Aに向かうに従い、徐々に冷却作用が低下するとともに、また第1蓄熱器8内で熱の損失が発生することを考慮して、冷媒の冷却作用が最も大きい流れ方向の位置を、ブラインが第1蓄熱器8から出る位置にすることで、ブラインの冷却効果を高めるための構成である。
【0057】
なお、この実施例においては、冷房モードであっても、冷媒が熱交換器18を経由して第1蓄熱器8に導入されるが、冷房モード時には、第1循環経路B1内の冷媒が、熱交換器18を通過することなく(バイパスして)、第1蓄熱器8に導入されるように構成することもできる。このような構成を採用することにより、冷媒の輸送経路が短縮することとなり、冷媒を輸送する輸送力を発生させるコンプレッサ1の駆動に必要なエネルギを低減でき、エンジンの燃費が向上するという効果がある。
【0058】
このようにして、第1蓄熱器8で冷却されたブラインは、第1蓄熱器8の第1の流通口8Cから送り出されて、空調ユニット20に送られる。上記以外の作用および制御は、急速冷房モードの場合と同じである。このように、冷房モードが選択された場合は、第2循環回路C1内をブラインが循環方向H1で流れる。なお、ここでは、プレ蓄冷モードの説明は省略する。
【0059】
(暖房モード)
この暖房モードが選択された場合は、四方弁17が制御されて、第1蓄熱器8の第1の流通口8Aと、第2蓄熱器9の第2の流通口9Bとが接続されるとともに、アキュムレータ7の入口7Aと、室外熱交換器4の第2の流通口4Aとが接続される。また、三方弁27が制御されて、第1のポンプ28の吐出口28Bと、第1蓄熱器8の第2の流通口8Dとが接続されるとともに、第1のポンプ28の吐出口28Bと、熱交換器18の第2の流通口18Dとの間の経路が遮断される。さらに、第1のポンプ28および第2のポンプ29が駆動され、ヒータ26のダンパ36が開放される。
【0060】
この暖房モードが選択された場合は、第1循環回路B1内の冷媒が、コンプレッサ1で圧縮されて高温・高圧のガスになるとともに、その冷媒が第2蓄熱器9に送られる。冷媒が第2蓄熱器9に送られると、冷媒の熱が第3循環回路D1のブラインに伝達される。具体的には、冷媒の熱が配管11、放熱フィン13、蓄熱剤14、配管16を経由して、ブラインに伝達される。第2蓄熱器9の第2の流通口9Bから出た冷媒は、第1蓄熱器8に送られる。さらに、その冷媒は、熱交換器18、減圧装置6、室外熱交換器4、アキュムレータ7を経由して、コンプレッサ1に吸い込まれる。以上のように、暖房モードが選択された場合は、第1循環回路B1内を冷媒が循環方向J1で流れる。
【0061】
一方、暖房モードが選択された場合に、第2循環回路C1においては、第1のポンプ28の駆動により、第2循環回路C1内のブラインは、第1のポンプ28の吐出口28Bから第1蓄熱器8に向けて流れる。そして、第1蓄熱器8において、冷媒の熱が第2循環回路C1のブラインに伝達されて、ブラインが温められる。具体的には、冷媒の熱が配管12,11、放熱フィン13、蓄熱剤14を経由してブラインに伝達される。このようにして、温度が上昇したブラインは、第1蓄熱器8の第1の流通口8Cから出て、空調ユニット20の室内熱交換器25に送られる。そして、ダクト23内を流れる空気が室内熱交換器25を通過する際に、ブラインの熱がダクト23内の空気に伝達されて、暖められた空気が空気吐出口22から車両の室内X1に供給される。このようにして、車両の室内X1が暖房される。また、室内熱交換器25の出口25Bから出た冷媒は、第1のポンプ28の吸込口28Aに吸い込まれる。
【0062】
ところで、暖房モードが選択された場合に、第3循環回路D1では第2のポンプ29が駆動されており、第3循環回路D1内をブラインが循環方向G1で流れる。このため、第2蓄熱器9で温度が上昇されたブラインは、ヒータ26に送られる。そして、ヒータ26において、ブラインの熱がダクト23内の空気に伝達されて、ダクト23内の空気が一層暖められる。なお、ヒータ26の出口26Bから出たブラインは、第2のポンプ29の吸込口29Aに吸い込まれる。
【0063】
(第1の制御例)
つぎに、前記3種類の運転モードの切り替えを含む総合的な制御例を、図5および図6のフローチャートに基づいて説明する。図5および図6のフローチャートにおいて、丸付き数字が付されている部分は、同じ丸付き数字同士で制御ルーチンが接続されることを意味する。まず、図5のフローチャートにおいて、エアコンシステムA1を起動する要求があるか否かが判断される(ステップS601)。例えば、エアコンスイッチがオンされていれば、このステップS601で肯定的に判断されて、急速冷房要求があるか否かが判断される(ステップS602)。
【0064】
このステップS602の判断は、例えば、図7のマップおよび図8の線図に基づいておこなわれる。図7のマップは、第1蓄熱器8の蓄熱剤14の温度と、蓄熱剤14に対する冷却・加熱状態との対応関係を示すものである。この図7のマップは、温度がT2以下では蓄熱剤14は固体となっており、温度がT2では蓄熱剤14は固体と液体とが混じった状態にあり、温度がT2以上では、蓄熱剤14は液体、または液体と気体とが混じった状態にあることを意味している。
【0065】
そして、図8の線図に示すように、第1蓄熱器8の蓄熱剤14の温度が上昇している場合は、蓄熱剤14の温度がT6未満では急速冷房要求がオフされ、蓄熱剤14の温度がT6以上になると、急速冷房要求がオンされる。これに対して、蓄熱剤14の温度が低下している場合は、蓄熱剤14の温度がT2よりも高い時は急速冷房要求がオンされ、蓄熱剤14の温度がT2以下になると急速冷房要求がオフされる。急速冷房要求の有無を判断する方法としては、車室内あるいは車両の周辺の気温を測定し、測定された温度が所定値以上か否かに基づいて、判断する方向もある。
【0066】
このステップS602で肯定的に判断された場合は、急速冷房モードを選択し、四方弁17および三方弁27の状態を、急速冷房モードに対応する状態に制御し、かつ、第1のポンプ28および第2のポンプ29が駆動されて(ステップS603)、ステップS605に進む。これに対して、ステップS602で否定的に判断された場合は、冷房モードを選択し、かつ、第1のポンプ28および第2のポンプ29が駆動されて(ステップS604)、ステップS605に進む。
【0067】
ステップS605においては、図7および図9に基づいて、第1蓄熱器8の蓄冷不足判定がオンされているか否かが判断される。ここで、“蓄冷不足”とは、“蓄冷剤14の温度が所定温度以下に低下していないこと”を意味する。例えば、図9の線図に示すように、蓄熱剤14の温度が上昇している場合は、蓄熱剤14の温度がT5未満では蓄冷不足判定がオフされ、温度がT5以上になった時に蓄冷不足判定がオンされる。これに対して、蓄熱剤14の温度が低下している場合は、蓄熱剤14の温度がT2を越えているときには蓄冷不足判定がオンされ、蓄熱剤14の温度がT2以下になると蓄冷不足判定がオフされる。
【0068】
上記ステップS605で肯定的に判断された場合は、蓄熱剤14における蓄熱量が不十分であるため、ステップS606でエアコン優先要求をオンし、ステップS608に進む。これに対して、ステップS605で否定的に判断された場合は、蓄熱剤14における蓄熱量が充分であるため、ステップS607でエアコン優先要求をオフし、ステップS608に進む。ここで、エアコン優先要求とは、「第1蓄熱器8による冷房運転、または、第2蓄熱器9による暖房運転時において、各運転時に熱エネルギを溜めるための蓄熱器に、要求されている空調機能を満足できる十分な熱エネルギが蓄熱されていないことに起因して、車内の空調制御ができなくなった場合に、エンジン負荷状態とは無関係に、コンプレッサ1を駆動させる制御を許可すること」を意味する。
【0069】
ステップS608においては、図7のマップおよび図10の線図に基づいて、第1蓄熱器8の蓄冷が完了したか否かが判断される。ここで、“蓄冷完了”とは、蓄熱剤14の温度が所定温度以下まで低下したこと”を意味する。例えば、蓄熱剤14の温度が上昇している場合は、蓄熱剤14の温度がT2未満では蓄冷完了判定がオンされ、蓄熱剤14の温度がT2以上になったときに蓄冷完了判定がオフされる。これに対して、蓄熱剤14の温度が低下している場合は、蓄熱剤14の温度がT1を越えているときは蓄冷完了判定がオフされ、蓄熱剤14の温度がT1以下になったときに蓄冷完了判定がオンされる。
【0070】
そして、ステップS608で肯定的に判断された場合は、図11のマップおよび図12の線図に基づいて、第2蓄熱器9の蓄暖完了判定がオンされているか否かが判断される(ステップS609)。ここで、“蓄暖完了”とは、“第2蓄熱器9の蓄熱剤14の温度が、所定温度以上に高められていること”を意味する。図11のマップは、第2蓄熱器9において、蓄熱剤14を液相の顕熱を利用して構成した場合の温度と、冷却・加熱状態との対応関係を示すものである。すなわち、蓄熱目標温度は、蓄熱剤14の融点と沸点との間であるT8ないしT9の間に設定している。
【0071】
そして、図12の線図に示すように、蓄熱剤14の温度が上昇している場合は、蓄熱剤14の温度がT9未満の時には、蓄暖完了判定がオフされ、蓄熱剤14の温度がT9以上になったときに蓄暖完了判定がオンされる。これに対して、蓄熱剤14の温度が低下している場合は、蓄熱剤14の温度がT8を越えているときには蓄暖完了判定がオンされ、蓄熱剤14の温度がT8以下になったときに蓄暖完了判定がオフされる。
【0072】
上記ステップS609で肯定的に判断された場合は、コンプレッサ1の可動許可をオフし(ステップS610)、ステップS618に進む。これに対して、ステップS608で否定的に判断された場合は、コンプレッサ1の稼動許可がオンされ(ステップS611)、ステップS618に進む。
【0073】
一方、前記ステップS609で否定的に判断された場合は、ステップS612で、コンプレッサ1の稼動許可をオンし、ステップS613で、第2蓄熱器9の蓄熱剤14を解凍中である(解凍運転中)か否かが判断される。ステップS613で否定的に判断された場合は、ステップS616で解凍運転を始め、ステップS617でタイマ1を起動させる。ここで、解凍運転が開始されると、図1で説明したように、冷房をおこなうために、第1循環回路B1を冷媒が循環方向F1で流れているときに、冷房負荷が低く、第1蓄熱器8の蓄熱剤14が完全に凝固して蓄冷が完了した状態で、第1循環回路B1内の冷媒の循環方向を、一時的に暖房運転モードと同じ循環方向(図1の循環方向J1)に切り換えることで、蓄熱剤14を溶かすことになる。
【0074】
ステップS613で肯定的に判断された場合は、タイマ1がタイムアウトしたか否かが判断される(ステップS614)。このタイマ1は、例えば、第2蓄熱器9の蓄熱剤14の温度から、その蓄熱剤14が液化するまでに要する時間を判断し、その判断結果に基づいて設定される。
【0075】
ステップS614で肯定的に判断された場合は、ステップS615で解凍運転をオフするとともに、第1循環回路B1内における冷媒の循環方向を、冷房モードに対応する循環方向(図1の循環方向F1)に戻し、ステップS618に進む。また、ステップS614で否定的に判断された場合は、そのままステップS618に進む。
【0076】
ステップS618で肯定的に判断された場合は、ステップS619に進み第1のポンプ28を停止して、ステップS601に戻る。これに対して、ステップS618で否定的に判断された場合は、ステップS620において、第1のポンプ28、第2のポンプ29の出力を以下のように設定して駆動する。まず、第1のポンプ28は、オン・オフ制御とし、ヒータコア35のダンパ36の開度を調整することで、暖房能力を制御する。ここで、空気の流れ方向における空気吹出口22よりも下流位置における空気温度TEが、目標温度TEOとなるように、第1のポンプ28の出力を制御する。したがって、冷房運転時において、室内X1の実際の空気温度が目標温度よりも高い場合は、第1のポンプ28の流量を増加する制御をおこない、空気温度が目標温度よりも低い場合は、第1のポンプ28の流量を減少させる制御をおこなう。これに対して、暖房運転時において、空気温度が目標温度よりも高い場合は、第1のポンプ28の流量を減少する制御をおこない、空気温度が目標温度よりも低い場合は、第1のポンプ28の流量を増加させる制御をおこなう。
【0077】
このようにして、各ポンプの流量制御を実行する場合には、室内X1の実際の空気温度を、目標温度にフィードバックさせるPI制御をおこなうことができる。このPI制御で用いる各ポンプの流量算出式の例として、以下の式が挙げられる。
【0078】
(冷房運転時)
En=TE−TEO
P1out=P1outn−1+Kp((En−En−1)+(T/Ti*En))
【0079】
(暖房運転時)
En=TE−TEO
P1out=P1outn−1−Kp((En−En−1)+(T/Ti*En))
【0080】
上記の各式において、P1outは第1のポンプ28の出力であり、TEは実際の空気温度であり、TEOは目標温度であり、Enのうちの「E」は、空気温度と目標温度との偏差であり、Kpは比例定数であり、Tiは積分定数であり、Tはサンプリングタイムであり、P1outnまたはEnのうちの「n」は、回数である。
【0081】
一方、図5のステップS601の判断時点で、エアコンスイッチがオフされていた場合は、ステップS601で否定的に判断されて、図6のルーチンに移行する。そして、暖房要求がオンされているか否かが判断される(ステップS621)。このステップS621の判断は、図13の線図に基づいておこなわれる。例えば、空調ユニット20の空気吐出口22から吹き出す空気の温度の目標値(必要吹き出し温度=TAO)が上昇している場合は、その必要吹き出し温度がT45未満であれば暖房要求がオフされ、その必要吹き出し温度がT45以上になったときに暖房要求がオンされる。これに対して、必要吹き出し温度が低下している場合は、その必要吹き出し温度がT35よりも高い時は暖房要求がオンされ、その必要吹き出し温度がT35以下になったときに暖房要求がオフされる。
【0082】
このステップS621で肯定的に判断された場合は、暖房モードを選択し、かつ、第1のポンプ28および第2のポンプ29を駆動する(ステップS622)。ついで、図7のマップおよび図14の線図に基づいて、第1蓄熱器8の蓄暖不足判定がオンされているか否かが判断される(ステップS624)。ここで、“蓄暖不足”とは“第1蓄熱器8の蓄熱剤14の温度が所定温度以上に高められていないこと”を意味する。例えば、図14のように、蓄熱剤14の温度が上昇している場合は、蓄熱剤14の温度がT4未満であれば蓄暖不足判定がオンされ、蓄熱剤14の温度がT4以上になったときに蓄暖不足判定がオフされる。これに対して、蓄熱剤の温度が低下している場合は、その蓄熱剤の温度がT7よりも高い時は蓄暖不足判定がオフされ、蓄熱剤の温度がT7以下になった時に蓄暖不足判定がオンされる。
【0083】
このステップS624で肯定的に判断された場合は、エアコン優先要求をオンし(ステップS625)、ステップS627に進む。これに対して、ステップS624で否定的に判断された場合は、エアコン優先要求をオフし(ステップS626)、ステップS627に進む。ステップS627では、図7のマップおよび図15の線図に基づいて、第1蓄熱器8の蓄暖完了判定がオンされているか否かが判断される。
【0084】
例えば、図15のように、蓄熱剤14の温度が上昇している場合は、蓄熱剤14の温度がT4未満であれば蓄暖完了判定がオフされ、蓄熱剤14の温度がT4以上になったときに蓄暖完了判定がオンされる。これに対して、蓄熱剤14の温度が低下している場合は、蓄熱剤14の温度がT3よりも高い時は蓄暖完了判定がオンされ、蓄熱剤14の温度がT3以下になった時に蓄暖完了判定がオフされる。
【0085】
そして、ステップS627で肯定的に判断された場合は、コンプレッサ1の稼動許可をオフし(ステップS628)、ステップS630に進む。これに対して、ステップS627で否定的に判断された場合は、コンプレッサ1の稼動許可をオンし(ステップS629)、ステップS630に進む。
【0086】
ステップS630においては、
TEO=TAO
に設定される。ここで、TAOは、空気吐出口22から吐出する空気の目標(必要)温度である。このステップS630についで、第1のポンプ28および第2のポンプ29の出力を算出し(ステップS631)、図5のステップS601に戻る。なお、前記ステップS621で否定的に判断されるということは、冷房または暖房のいずれをもおこなう必要がない状態であることを意味する。
【0087】
このような場合は、プレ蓄冷モードを選択し(ステップS623)、図5のステップS607に進む。このプレ蓄冷モードが選択された場合は、エンジン51の燃費に影響を及ぼすことが少ない状態、例えば、車両が惰力走行し、かつ、燃料供給を停止する制御が実行されており、車両の惰力走行により発生する運動エネルギがエンジン51に伝達されて、エンジン51が空転している状態において、エンジン51を空転させているトルクの一部によりコンプレッサ1を駆動させて、蓄熱器への蓄熱または蓄熱器からの放熱を実行する制御がおこなわれる。
【0088】
このような制御を実行することにより、エンジン51の燃費を悪化させることなく、第1の蓄熱器8の熱が放熱される一方、第2の蓄熱器に熱が蓄熱される。したがって、次回に空調機能が必要となった場合に備えることができるとともに、次回に暖房が必要となった場合にも対応が可能となる。
【0089】
なお、各ステップの判定において、イグニッションキーがアクセサリを経由してオンされた時、いわゆる、システム起動時は、各線図の温度に関わりなく、各種の判定がおこなわれる。例えば、図8の線図において、システムの起動時には、急速冷房要求判定がオンさる。また、図9の線図において、システムの起動時には、第1蓄熱器8の蓄冷不足判定がオンされる。また、図10線図において、システムの起動時には、第1蓄熱器8の蓄冷判定がオフされる。また、図12の線図において、システムの起動時には、第2蓄熱器9の蓄暖完了判定がオフされる。また、図1の線図において、システムの起動時には、暖房要求判定がオンされる。また、図14の線図において、システムの起動時には、第1蓄熱器8の蓄暖不足判定がオンされる。また、図15の線図において、システムの起動時には、第1蓄熱器8の蓄暖完了判定がオフされる。また、図5のステップS601においては、外気温度に基づいて、エアコンシステムA1を起動させる要求があるか否かを判断することもできる。
【0090】
このように、図3に示すエアコンシステムA1においては、第1循環回路B1を流れる冷媒と、第2循環回路C1を流れるブラインとの間で、熱交換がおこなわれて、空気が加熱・冷却される。また、この実施例では、熱交換器18の熱交換機能(伝熱特性)と、第1蓄熱器8の熱交換機能、例えば、熱伝達率、熱流束、熱貫流率(熱通過率)、全熱抵抗などが相違する。具体的には、冷媒とブラインとの間における熱交換機能は、第1蓄熱器8よりも熱交換器18の方が高い。その理由は、第1蓄熱器8には蓄熱剤が収納されているのに対して、熱交換器18には、このような蓄熱剤は収納されていない分、第1蓄熱器8の方が、熱交換器18よりも熱容量が大きいからである。
【0091】
このため、図3に示すエアコンシステムA1においては、コンプレッサ1による冷媒の輸送機能を変更することなく、第1蓄熱器8または熱交換器18のいずれかを選択することで、第1循環回路B1の冷媒と、第2循環回路C1のブラインとの間における熱交換機能(熱交換特性)を変更することができる。したがって、コンプレッサ1の作動状態に関わりなく、必要な空調機能を得ることができ、車両の室内温度を任意に制御できる。
【0092】
また、必要吹き出し温度に合わせてコンプレッサ1の駆動状態を制御する必要性が少なくなる。したがって、コンプレッサ1をエンジン51で駆動する構成であれば、エンジン51の燃費を向上することができる。また、エンジン51により発電機を駆動して、その電力を電動機50に供給し、その電動機50によりコンプレッサ1を駆動する構成であれば、電動機50で消費される電力の増加を抑制でき、かつ、エンジン51の燃費を向上することができる。つまり、必要吹き出し温度の変化に関わりなく、エンジン負荷の平準化を図ることができる。また、エンジントルクが低い状態において、その動力の一部がコンプレッサ1の駆動に消費されることを抑制でき、ドライバビリティの低下を抑制できる。
【0093】
また、第1蓄熱器8または熱交換器18のうち、第1蓄熱器8の熱交換機能が、必要吹き出し温度に対応できる機能ではない場合に、熱交換器18を経由して、冷媒とブラインとの間で熱交換がおこなわれる。したがって、必要吹き出し温度と、第1蓄熱器8の熱交換機能とが異なる事態を確実に回避することができ、エアコンシステムA1の空調機能が一層向上する。
【0094】
さらに、第1循環回路B1を流れる冷媒の熱を第2蓄熱器9に蓄熱するとともに、その熱をダクト23内を通過する空気に伝達することができる。したがって、冷媒がコンプレッサ1で圧縮された際の熱のうち、熱交換器18および第1蓄熱器8に伝達されない余剰分の熱エネルギの利用効率を高めることができ、エアコンシステムA1の空調機能が一層向上する。
【0095】
ここで、第1のポンプ29および三方弁27の制御例を、図24に基づいて説明する。まず、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9の蓄熱量情報、温度検知センサ32の検知情報、エアコンシステムA1の温度設定情報などが処理される(ステップS1301)。このステップS1301についで、三方弁27の開度および第1のポンプ29の流量が算出される(ステップS1302)。そして、ステップS1302の算出結果に基づく制御を実行し(ステップS1303)、温度センサ32で検知される温度が、設定温度以下であるか否かが判断される(ステップS1304)。このステップS1304で肯定的に判断された場合は、リターンし、ステップS1304で否定的に判断された場合は、ステップS1302に戻る。
【0096】
(第2の制御例)
ところで、エアコンシステムA1を作動させる要求がない場合でも、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9のうち、少なくとも一方に蓄熱する制御を実行することができる。具体的には、車両Veの減速時、言い換えれば惰力走行時に、車両Veの運動エネルギを動力に変換し、その動力を、デファレンシャル74、変速機73、エンジン51、伝動装置77を経由させてコンプレッサ1に伝達して、コンプレッサ1を駆動するとともに、第1循環回路B1内を流れる冷媒の熱を、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9のうちの少なくとも一方に蓄熱する制御である。このように、車両Veの運動エネルギを熱エネルギに変換する制御と、車両Veの運動エネルギを電気エネルギに変換する制御を包括して、回生制御(回生モード)と呼ぶ。この回生制御には、車両Veの運動エネルギを、発電機80で電気エネルギに変換して蓄電装置81に蓄電する制御と、車両Veの運動エネルギを第1の蓄電器8および第2の蓄電器9で熱エネルギに変換する制御とが含まれる。
【0097】
この回生制御の実行例を、図16のフローチャートに基づいて説明する。まず、電子制御装置33において、シフトレンジ、エンジン回転数、車速、ブレーキペダルの操作状態、蓄電装置81の蓄電量、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9の蓄熱量(温度)などの情報、およびインフラ情報検知センサ78、ナビゲーションシステム79の信号が処理される(ステップS301)。
【0098】
このステップS301についで、回生制御を実行することが許可されているか否かが判断される(ステップS302)。例えば、所定車速未満であり、かつ、アクセルペダルが踏み込まれている場合は、ステップS302で否定的に判断されて、制御ルーチンをリターンする。これに対して、所定車速以上であり、かつ、アクセルペダルが踏み込まれていない場合は、ステップS302で肯定的に判断されて、ブレーキペダルが踏まれているか否かが判断される(ステップS303)。
【0099】
このステップS303で肯定的に判断された場合は、回生制御1に対応する判定値を決定する(ステップS304)。これに対して、ステップS303で否定的に判断された場合は、回生制御2に対応する判定値を決定する(ステップS305)。ここで、“判定値”とは、回生制御を実行する場合に用いるものであり、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9の蓄熱量の基準値を意味している。また、ステップS303に対応する判定値(蓄熱量)の方が、ステップS305に対応する判定値(蓄熱量)よりも大きい。
【0100】
上記のステップS304またはステップS305についで、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9の蓄熱量の実測値が、判定値未満であるか否かが判断される(ステップS306)。ステップS304を経由してステップS306に進んだ場合は、ステップS304で決定された判定値を用い、ステップS305を経由してステップS306に進んだ場合は、ステップS305で決定された判定値を用いる。
【0101】
ステップS306で肯定的に判断された場合(つまり、蓄熱量不足である場合)は、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9に蓄熱することが許可されているか否かが判断される(ステップS312)。このステップS312では、必要吹き出し温度に対応する必要熱量と、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9の蓄熱量の実測値とが比較される。ステップS312で否定的に判断された場合は、ステップS308に進む。
【0102】
これに対して、ステップS306で否定的に判断された場合(つまり、蓄熱量が足りている場合)は、そのままステップS308に進む。ステップS308では、蓄電装置81の蓄電残量の実測値が、予め電子制御装置33に記憶されている判定値未満であるか否かが判断される。このステップS308で否定的に判断された場合は、制御ルーチンをリターンする。
【0103】
ステップS308で肯定的に判断された場合は、蓄電許可が成立しているか否かが、エンジン負荷状態に基づいて、判断される(ステップS309)。ステップS309で否定的に判断された場合は、リターンする。これに対して、ステップS309で肯定的に判断された場合は、発電機51により発電する際の駆動トルクを指示する信号が出力される(ステップS310)。このステップS310についで、発電機80で発生した電力を蓄電装置81に蓄電し(ステップS311)、リターンする。
【0104】
一方、前記ステップS312で肯定的に判断された場合は、コンプレッサ1の稼動許可がオンされているか否かが判断される(ステップS313)。コンプレッサ1の稼動許可とは、図5および図6で述べた事項を意味している。このステップS313で肯定的に判断された場合は、コンプレッサ1の駆動トルクを指示する(ステップS314)。そして、冷媒の熱を第1蓄熱器8または第2蓄熱器9に蓄熱し(ステップS315)、リターンする。なお、ステップS313で否定的に判断された場合は、リターンする。
【0105】
この図16の制御例によれば、車両Veの惰力走行時の運動エネルギを動力に変換し、その動力によりコンプレッサ1を駆動して冷媒の熱を第1蓄熱器8および第2蓄熱器9に蓄熱することができる。したがって、車両Veが惰力走行していない状態で、エアコンシステムA1の作動要求が発生した場合において、コンプレッサ1の稼動率を低減させることができ、エンジン51の燃費を向上できる。
【0106】
(第3の制御例)
ところで、予め決定されている車速以上である場合に限り、上記の回生制御を実行するとすれば、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9に対して蓄熱をおこなう機会および頻度が少なくなり、蓄熱効率が低下する可能性がある。そこで、車両Ve自体の状態および車両Veの周囲の環境などを判断し、その判断結果に基づいて、上記の回生制御を実行できる車速を決定すれば、状況に応じて蓄熱効率を高めることができる。
【0107】
以下、上記の回生制御を実行できる車速を、環境に応じて変更する場合の制御例を、図1および図17および図18のフローチャートに基づいて説明する。図1および図17および図18のフローチャートは、請求項1ないし3の発明に対応するものである。図1および図17および図18において、丸付きのアルファベットを付した部分は、その部分同士で制御ルーチンが継続されることを意味する。
【0108】
まず、電子制御装置33に入力される信号が処理される(ステップS701)。このステップS701の処理は、図16のステップS301の処理と同じである。ステップS701についで、ブレーキペダルが踏み込まれているか否かが判断される(ステップS702)。ステップS702で肯定的に判断された場合は、Dレンジが選択されているか否かが判断される(ステップS703)。
【0109】
このステップS703で肯定的に判断された場合は、実車速spdが第1の判定値よりも高速であり、かつ、第2の判定値未満であるか否かが判断される(ステップS704)。第1の判定値としては、例えば90km/hが選択され、第2の判定値としては、例えば130km/hが選択される。このステップS704で肯定的に判断された場合は、変速機73の変速段が第4速以上であるか否かが判断される(ステップS705)。このステップS705で肯定的に判断された場合は、変速機73の変速段を第3速にダウンシフトさせて(ステップS706)、ステップS707に進む。なお、ステップS705で否定的に判断された場合も、ステップS707に進む。
【0110】
ステップS707においては、エンジン回転数の実測値が判定値を越えたか否かが判断される。このステップS707で肯定的に判断された場合は、現時点よりも前の実車速spdBから、現時点の実車速spdAを除した値が、判定値未満であるか否かが判断される(ステップS708)。このステップS708で否定的に判断されるということは、車両Veが急降坂路を走行している状況が想定され、エンジン回転数が高まりすぎる可能性がある。そこで、変速機73の変速段として第4速を選択し(ステップS709)、リターンする。なお、ステップS708で肯定的に判断された場合はリターンし、前記ステップS707で否定的に判断された場合は、ステップS709に進む。
【0111】
ところで、前記ステップS704で否定的に判断された場合は、実車速spdが第3の判定値よりも高速であり、かつ、第4の判定値未満であるか否かが判断される(ステップS710)。第3の判定値としては、例えば60km/hが選択され、第4の判定値としては、例えば90km/hが選択される。このステップS710で肯定的に判断された場合は、変速機73の変速段が、現在、第3速以上であるか否かが判断される(ステップS711)。このステップS711で肯定的に判断された場合は、変速段を第2速にダウンシフトし(ステップS712)、ステップS713に進む。これに対して、ステップS711で否定的に判断された場合は、そのままステップS713に進む。
【0112】
ステップS713では、エンジン回転数の実測値が判定値を越えているか否かが判断される(ステップS713)。このステップS713で肯定的に判断された場合は、現時点よりも前の実車速spdBから、現時点の実車速spdAを除した値が、判定値未満であるか否かが判断される(ステップS714)。このステップS714で否定的に判断されるということは、車両Veが降坂路を走行している状況が想定され、エンジン回転数が高まりすぎる可能性があるため、ステップS709に進む。なお、ステップS714で肯定的に判断された場合はリターンする。
【0113】
一方、前記ステップS713で否定的に判断された場合は、変速機73の変速段として第3速を選択する(ステップS715)。このステップS715についで、エンジン回転数の実測値が判定値を越えているか否かが判断される(ステップS716)。このステップS716で肯定的に判断された場合は、現時点よりも前の実車速spdBから、現時点の実車速spdAを除した値が、判定値未満であるか否かが判断される(ステップS717)。このステップS717で否定的に判断されるということは、車両Veが降坂路を走行している状況が想定され、エンジン回転数が高まりすぎる可能性があるため、変速段として第4速を選択し(ステップS718)、リターンする。これに対して、ステップS717で否定的に判断された場合はリターンし、ステップS716で否定的に判断された場合は、ステップS718に進む。
【0114】
つぎに、前記ステップS702で否定的に判断された場合のルーチンを、図17に基づいて説明する。すなわち、ステップS702で否定的に判断された場合は、レンジとして3レンジが選択されているか否かが判断される(ステップS719)。このステップS719で肯定的に判断された場合は、実車速spdが第5の判定値よりも高速であり、かつ、第6の判定値未満であるか否かが判断される(ステップS720)。第5の判定値としては、例えば70km/hが選択され、第6の判定値としては、例えば110km/hが選択される。このステップS720で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。
【0115】
これに対して、ステップS720で肯定的に判断された場合は、エンジン回転数の実測値が判定値を越えているか否かが判断される(ステップS721)。このステップS721で肯定的に判断された場合は、現時点よりも前の実車速spdBから、現時点の実車速spdAを除した値が、判定値未満であるか否かが判断される(ステップS722)。このステップS722で否定的に判断された場合はリターンする。これに対して、ステップS722で肯定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。また、ステップS721で否定的に判断された場合は、リターンする。
【0116】
また、前記ステップS719で否定的に判断された場合は、レンジとして2レンジが選択されているか否かが判断される(ステップS723)。このステップS723で肯定的に判断された場合は、実車速spdが第7の判定値よりも高速であり、かつ、第8の判定値未満であるか否かが判断される(ステップS724)。第7の判定値としては、例えば30km/hが選択され、第8の判定値としては、例えば90km/hが選択される。このステップS724で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。
【0117】
これに対して、ステップS724で肯定的に判断された場合は、エンジン回転数の実測値が判定値を越えているか否かが判断される(ステップS725)。このステップS725で肯定的に判断された場合は、現時点よりも前の実車速spdBから、現時点の実車速spdAを除した値が、判定値未満であるか否かが判断される(ステップS726)。このステップS726で否定的に判断された場合はリターンする。これに対して、ステップS726で肯定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。また、ステップS725で否定的に判断された場合、または前記ステップS723で否定的に判断された場合は、リターンする。なおステップS724で否定的に判断された場合は、制御ルーチンを終了する。
【0118】
つぎに、前記ステップS702で否定的に判断された場合のルーチンを、図18に基づいて説明する。すなわち、ステップS702で否定的に判断された場合は、レンジとしてDレンジが選択されているか否かが判断される(ステップS727)。このステップS727で肯定的に判断された場合は、実車速spdが第9の判定値よりも高速であり、かつ、第10の判定値未満であるか否かが判断される(ステップS728)。第9の判定値としては、例えば40km/hが選択され、第10の判定値としては、例えば100km/hが選択される。このステップS728で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。
【0119】
これに対して、ステップS728で肯定的に判断された場合は、エンジン回転数の実測値が判定値を越えているか否かが判断される(ステップS729)。このステップS729で肯定的に判断された場合は、現時点よりも前の実車速spdBから、現時点の実車速spdAを除した値が、判定値未満であるか否かが判断される(ステップS730)。このステップS730で否定的に判断された場合はリターンする。これに対して、ステップS730で肯定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。また、ステップS729で否定的に判断された場合は、リターンする。
【0120】
また、前記ステップS727で否定的に判断された場合は、レンジとして3レンジが選択されているか否かが判断される(ステップS731)。このステップS731で肯定的に判断された場合は、実車速spdが第11の判定値よりも高速であり、かつ、第12の判定値未満であるか否かが判断される(ステップS732)。第11の判定値としては、例えば30km/hが選択され、第12の判定値としては、例えば70km/hが選択される。このステップS732で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。
【0121】
これに対して、ステップS732で肯定的に判断された場合は、エンジン回転数の実測値が判定値を越えているか否かが判断される(ステップS733)。このステップS733で肯定的に判断された場合は、現時点よりも前の実車速spdBから、現時点の実車速spdAを除した値が、判定値未満であるか否かが判断される(ステップS734)。このステップS734で否定的に判断された場合はリターンする。これに対して、ステップS734で肯定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。また、ステップS733で否定的に判断された場合は、リターンする。
【0122】
また、前記ステップS731で否定的に判断された場合は、レンジとして2レンジが選択されているか否かが判断される(ステップS735)。このステップS735で肯定的に判断された場合は、実車速spdが第13の判定値よりも高速であり、かつ、第14の判定値未満であるか否かが判断される(ステップS736)。第13の判定値としては、例えば20km/hが選択され、第14の判定値としては、例えば40km/hが選択される。このステップS736で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。
【0123】
これに対して、ステップS737で肯定的に判断された場合は、エンジン回転数の実測値が判定値を越えているか否かが判断される(ステップS737)。このステップS737で肯定的に判断された場合は、現時点よりも前の実車速spdBから、現時点の実車速spdAを除した値が、判定値未満であるか否かが判断される(ステップS738)。このステップS738で否定的に判断された場合はリターンする。これに対して、ステップS738で肯定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。さらにステップS737で否定的に判断された場合、またはステップS735で否定的に判断された場合は、リターンする。なお、図1、図17、図18において、第1の判定値ないし第14の判定値は、ステップS701の処理結果に基づいて決定される。
【0124】
このように、第3の制御例によれば、車両Veの惰力走行時における運動エネルギが動力に変換され、その動力によりコンプレッサ1が駆動される。そして、コンプレッサ1が駆動されて冷媒が移動して、その冷媒と第1蓄熱器8または第2蓄熱器9の少なくとも一方と、ブラインとの間で、熱交換がおこなわれる。ここで、コンプレッサ1を駆動する場合の車速は、ステップS701で処理される各種の情報に基づいて設定される。つまり、コンプレッサ1を駆動可能な車速領域を、車両Ve自体の状態、車両Veが走行する経路や環境などに基づいて変更できる。したがって、コンプレッサ1の駆動により移動する冷媒と、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9の少なくとも一方と、ブラインとの間で熱交換をおこなうことのできる車速領域(車速範囲)を可及的に拡大でき、熱交換効率が向上する。
【0125】
また、第3の実施例によれば、変速機73の変速比が可及的に大きく設定される。このため、コンプレッサ1の回転数が上昇して冷媒の流量が増加し、上記冷媒と蓄熱器との間における熱伝達性能が向上する。ところで、車両Veの惰力走行時には、前述したフューエルカット制御をおこなうことができる。このフューエルカット制御をおこなう場合は、エンジン回転数をなるべく高く保持するために、ロックアップクラッチ75を係合させて、変速機73とエンジン51との間における動力伝達損失を抑制する。そして、第3の実施例によれば、変速機73がダウンシフトされるため、エンジン回転数の低下が一層抑制されて、フューエルカット制御を実行可能な車速領域が、低車速側に一層拡大されて、燃費を向上できる。
【0126】
ここで、図1、図17、図18に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS701、ステップS702が、この発明の挙動判断手段とに相当し、ステップS703ないしステップS738が、この発明の輸送装置制御手段に相当する。また、ステップS701で処理される各種の情報が、この発明の車両の挙動に関連する物理量に相当し、コンプレッサ1の駆動・停止、コンプレッサ1の回転数(回転速度)などが、この発明の輸送装置の駆動状態に相当し、変速機73をダウンシフトさせることが、この発明の変速機の変速比を可及的に大きくすることに相当する。
【0127】
(第4の制御例)
前記した図1、図17、図18の制御例を実行して、室内X1の温度調整をおこなう場合、外気温度、内気温度、日射量などにより、エアコンシステムA1の熱負荷が変化する。例えば、外気温(日射量)が高まるほど、熱負荷は高まる。この場合、外気入力モード(後述)または内気循環モード(後述)のいずれが選択されている場合も同じである。ここで、熱負荷とは、エアコンシステムA1の機能により制御(調整)するべき室内X1の温度もしくは熱を意味している。一方、エアコンシステムA1においては、コンプレッサ1の回転数が高まることにともない、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9に蓄熱される熱量が増加する特性を備えている。このため、熱負荷が増加するとコンプレッサ1の稼動率が増加して、エンジン51の燃費が低下する可能性がある。この第4の制御例は、このような不具合に対処するものであり、この第4の制御例は、請求項4および請求項5の発明に対応するものである。
【0128】
以下、第4の制御例を、図19のフローチャートに基づいて説明する。なお、図19のフローチャートは、冷媒の熱を、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9の少なくとも一方を経由させて室内X1の空気に伝達する場合、言い換えれば、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9の放熱時に実行される。
【0129】
まず、ナビゲーションシステム79で検知される情報が処理され(ステップS801)、ついで、インフラ情報検知センサ78で検知される情報が処理される(ステップS802)。そして、エアコンシステムA1を作動する要求があるか否かが判断され(ステップS803)、ステップS803で肯定的に判断された場合は、空気循環モードの設定情報を処理する(ステップS804)。
【0130】
このステップS804についで、外気入力モードが選択されているか否かが判断される(ステップS805)。外気入力モードとは、エアコンシステムA1の状態を、車両Veの室外の空気を、車両Veの室内X1に吸い込む状態に制御するモードであり、外気入力モードが選択された場合は、ダンパ21Cの制御により、外気吸込口21Aと空気吸込口21とが連通され、内気吸込口21Bが遮断される。
【0131】
このステップS805で肯定的に判断された場合は、外気温度情報が処理され(ステップS806)、また、内気温度情報が処理され(ステップS807)、さらに、日射量情報が処理される(ステップS808)。これら、ステップS806ないしステップS808で、熱負荷が判断される。さらに、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9における蓄熱量情報が処理され(ステップS809)、さらに、車速情報が処理される(ステップS810)。
【0132】
ついで、実車速が判定値よりも低速であるか否かが判断され(ステップS811)、ステップS811で肯定的に判断された場合は、外気循環モードから内気循環モードに切り替える(ステップS812)。すなわち、ダンパ21Aが制御されて、内気吸込口21Bと空気吸込口21とが連通され、外気吸込口21Aが遮断される。さらに、ファン24の吹き出し風量を減少させ(ステップS813)、リターンする。
【0133】
なお、ステップS803またはステップS805またはステップS811で否定的に判断された場合はリターンする。また、ステップS806ないしステップS808で判断される熱負荷が増加するほど、ステップS811で用いる判定値が高車速に設定される。
【0134】
つまり、実車速が判定値未満である場合は、室外熱交換器4の放熱量が少なく、冷媒輸送機能が低くなる。このため、第1蓄熱器8の蓄熱量が少ない状態において、外気をダクト23に吸い込んで室内X1に供給するのでは、熱負荷に対応する必要吹き出し温度を確保することができない可能性がある。そこで、図19の制御例では、実車速が所定値未満である場合は、外気入力モードから内気循環モードに切り替えている。内気循環モードが選択された場合は、室内X1で同じ空気を循環させて冷却するため、外気温(日射量)が同じであれば、外気入力モードが選択されている場合の熱負荷よりも、内気循環モードが選択されている場合の熱負荷の方が小さく(少なく)なる。
【0135】
このような制御を実行することで、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9の放熱量の増加を抑制することができ、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9からの放熱時間を延ばすことができる。したがって、コンプレッサ1の駆動率が低下して、エンジン51の燃費が向上する。
【0136】
ここで、図19に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS801ないしステップS813が、この発明の輸送装置制御手段に相当する。また、熱負荷が、この発明の車両の室内の温度を調整する必要度合い相当する。
【0137】
(第5の制御例)
この発明の第5の制御例を、図20のフローチャートに基づいて説明する。この第5の制御例は、請求項6の発明に対応するものである。まず、電子制御装置33に入力される情報が処理され(ステップS1401)、蓄電装置81における必要蓄電量と、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9の蓄熱量とが算出される(ステップS1402)。このステップS1402についで、蓄電装置81の電気エネルギの残量が判定値未満であるか否かが判断される(ステップS1403)。判定値は、蓄電装置81の電圧および温度および充放電電流積算値に基づいて算出される。
【0138】
ステップS1403で肯定的に判断された場合は、蓄電装置81に対する蓄電が許可されているか否かが判断される(ステップS1404)。このステップS1404で肯定的に判断された場合は、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9のうち、少なくとも一方の熱エネルギを、エネルギ変換装置82で電気エネルギに変換する制御を実行する(ステップS1405)。ついで、エネルギ変換装置82で得られた電力を蓄電装置81に蓄電し(ステップS1406)、リターンする。
【0139】
一方、前記ステップS1404で否定的に判断された場合はリターンする。また、前記ステップS1403で否定的に判断された場合は、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9のうちの一方への蓄電が許可されているか否かが判断される(ステップS1407)。このステップS1407で肯定的に判断された場合は、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9の熱を、そのまま蓄熱させておく制御を実行し(ステップS1408)、リターンする。なお、ステップS1407で否定的に判断された場合はリターンする。
【0140】
この図20の制御例によれば、冷媒から第1蓄熱器8および第2蓄熱器9に伝達された熱を、室内X1の空調に利用できるほか、その熱エネルギを電気エネルギに変換して、蓄電装置81に蓄電することができる。したがって、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9の熱の利用効率が向上する。
【0141】
ここで、図20に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS1401、ステップS1402がこの発明の蓄電量判断手段に相当し、ステップS1403ないしステップS1406が、この発明の蓄電量制御手段に相当する。
【0142】
(第6の制御例)
この発明の第6の制御例を、図21のフローチャートに基づいて説明する。この第6の制御例は、請求項6の発明に対応するものである。この図21のフローチャートは、エンジン1が停止している場合に実行される。まず、監視制御を開始する(ステップS1501)。ここで、監視制御とは、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9の蓄熱量と、蓄電装置81の蓄電量とを監視する制御を意味する。
【0143】
ステップS1501についで、蓄電装置81の蓄電量と、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9の蓄熱量とが算出される(ステップS1502)。このステップS1502についで、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9の蓄熱量が、判定値を越えているか否かが判断される(ステップS1503)。判定値は、蓄電装置81の電圧および温度に基づいて算出される。
【0144】
ステップS1503で肯定的に判断された場合は、蓄電装置81に対する蓄電量が判定値未満であるか否かが判断される(ステップS1504)。ここで、判定値は、蓄電装置81の電圧および温度および充放電電流積算値に基づいて算出される。このステップS1504で肯定的に判断された場合は、第1蓄熱器8または第2蓄熱器9のうち、少なくとも一方の熱エネルギを、エネルギ変換装置82で電気エネルギに変換する制御を実行する(ステップS1505)。
【0145】
ついで、エネルギ変換装置82で得られた電力を蓄電装置81に蓄電し(ステップS1506)、ステップS1502に戻る。なお、前記ステップS1504で否定的に判断された場合も、ステップS1502に戻る。これに対して、前記ステップS1503で否定的に判断された場合は、監視制御を中止し(ステップS1507)、この制御ルーチンを終了する。
【0146】
この図21の制御例によれば、冷媒から第1蓄熱器8および第2蓄熱器9に伝達された熱を、室内X1の空調に利用できるほか、その熱エネルギを電気エネルギに変換して、蓄電装置81に蓄電することができる。したがって、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9に伝達される熱の利用効率が向上する。
【0147】
ここで、図21に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS1502がこの発明の蓄電量判断手段に相当し、ステップS1504ないしステップS1506が、この発明の蓄電量制御手段に相当する。
【0148】
(第7の制御例)
ところで、エンジンにより駆動される発電機を有し、その発電機で発電された電力を蓄電装置に供給するように構成された車両が知られている。このような車両においては、車両の惰力走行時の運動エネルギを動力に変換して、その動力により発電機、および前述のコンプレッサを駆動することとなる。しかしながら、従来の技術で述べた公報には、蓄電装置と蓄熱装置との間でエネルギの授受をおこなうことに関する記述がなく、この点で改善の余地が残されていた。この第7の制御例は、このような課題に対応するものであり、具体的なフローチャートを、図22および図23に基づいて説明する。
【0149】
図22の制御例は、前記回生制御と並行して実行されるものであり、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9の蓄熱制御と、蓄電装置81の蓄電制御とを協調させるものである。図22においては、まず、エアコンシステムA1を運転する要求があるか否かが判断される(ステップS401)。このステップS401で肯定的に判断された場合は、エアコン優先要求があるか否かが判断される(ステップS402)。このエアコン優先要求は、図5および図6のフローチャートで述べたものと同じである。このステップS402で否定的に判断された場合は、エンジン負荷協調制御を実行し(ステップS403)、リターンする。
【0150】
これに対して、ステップS402で肯定的に判断された場合は、エンジン負荷協調制御よりも、エアコン制御を優先して実行し(ステップS404)、リターンする。すなわち、エアコン優先要求とは、“エンジン負荷協調制御よりも、エアコンシステムA1を所定の状態に維持する制御の方を優先する要求”を意味する。
【0151】
つぎに、ステップS404の処理を、図23に基づいて具体的に説明する。図23においては、まず、電子制御装置33に入力される信号が処理され(ステップS501)、このステップS501の処理結果に基づいて、エンジン51からコンプレッサ1に伝達されるトルクが推定される(ステップS502)。このステップS502で推定されるトルクは、車両Veの惰力走行による運動エネルギが、動力に変換されてコンプレッサ1に伝達される時のトルクと、アクセルペダルが踏み込まれておらず、かつ、車両Veが惰力走行する時のエンジン出力に対応するトルクとに基づいて推定される。
【0152】
ついで、推定トルクが判定値未満であるか否かが判断される(ステップS503)。ここで、判定値は、道路勾配、インフラ情報、車速、エンジン回転数、アクセル開度、吸気管負圧、電気負荷などに基づいて算出される。
【0153】
このステップS503で肯定的に判断された場合は、許容トルクが算出される(ステップS504)。この許容トルクとは、前記ステップS504で算出された許容トルクから、ステップS505で算出されたオルタネータ許容トルクを除した値である。すなわち、この分だけエンジントルクを増やしても、そのトルクによりコンプレッサ1を駆動して第1蓄熱器8および第2蓄熱器9に蓄熱すれば、エンジン51の燃費が低下することにはならない。このステップS504についで、発電機80を駆動するために必要なトルクが算出される(ステップS505)。このステップS505についで、許容トルクが、発電機80を駆動するために必要なトルク以上であるか否かが判断される(ステップS506)。
【0154】
このステップS506で肯定的に判断された場合は、コンプレッサ1を駆動するトルクを指示し(ステップS507)、リターンする。ステップS507で指示するトルクは、ステップS504で算出された許容トルクから、ステップS505で算出されたオルタネータ駆動必要トルクを除した値である。なお、ステップS503またはステップS506で否定的に判断された場合はリターンする。このように、図23に示すエンジン負荷協調制御は、“エンジン出力を増加してコンプレッサ1の駆動トルクを制御する場合に、エンジン負荷が所定値以上に高まることのないようにする制御”を意味している。
【0155】
このように、図22および図23の制御例を実行することにより、蓄電装置81の蓄電量の制御と、第1蓄熱器8および第2蓄熱器9の蓄熱量の制御とを協調させることができる。具体的には、車両Veの惰力走行時における運動エネルギを動力に変換して、発電機81およびコンプレッサ1を駆動する場合に、コンプレッサ1を駆動するために必要なトルクの不足分を、エンジン負荷が低い領域におけるエンジントルクにより、コンプレッサ1を低容量で駆動することで補い、燃費の低下を抑制できる。
【0156】
この実施例では、駆動力源としてエンジンを挙げているが、駆動力源として電動機を有する車両に対しても、各制御例を適用できる。また、駆動力源としてエンジンおよび電動機の両方を有する車両に対しても、各制御例を適用できる。さらに、この実施例においては、変速機が有段変速機である場合について説明したが、変速機が無段変速機である車両に対しても、この発明を適用できる。無段変速機とは、変速比を連続的もしくは無段階に切り替えることのできる変速機であり、無段変速機としては、例えば、トロイダル式無段変速機、ベルト式無段変速機などが挙げられる。各制御例では、パワートレーンの動力として、あくせるぺだるが踏み込まれていない状態、すなわち惰力走行状態における動力が挙げられているが、請求項1の発明のパワートレーンの動力には、アクセルペダルが踏み込まれている場合、またはアクセルペダルが踏み込まれていない場合におけるパワートレーンの動力が含まれる。
【0157】
さらに、この明細書において、特許請求の範囲に記載されている挙動判断手段を挙動判断器または挙動判断用コントローラと読み替え、輸送装置制御手段を輸送装置制御器または輸送装置制御用コントローラと読み替え、蓄電量判断手段を蓄電量判断器または蓄電量判断用コントローラと読み替え、蓄電量制御手段を蓄電量制御器または蓄電量制御用コントローラと読み替えることもできる。また、挙動判断手段を挙動判断ステップと読み替え、輸送装置制御手段を輸送装置制御ステップと読み替え、蓄電量判断手段を蓄電量判断ステップと読み替え、蓄電量制御手段を蓄電量制御ステップと読み替え、車両用空調装置を車両用空調方法と読み替えることもできる。
【0158】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、車両の挙動に関連する物理量を判断し、その判断結果に基づいて、輸送装置の駆動状態を制御することができる。したがって、輸送装置を駆動できる車両の挙動範囲を、可及的に拡大することができ、蓄熱装置に対する蓄熱効率を高めることができる。
【0159】
請求項2の発明によれば、車両の挙動の判断結果に基づいて、輸送装置の駆動状態を制御することができる。したがって、輸送装置を駆動できる車両の挙動範囲を、可及的に拡大することができ、蓄熱装置に対する蓄熱効率を高めることができる。
【0160】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得られる他に、蓄熱装置への蓄熱時に、変速機の変速比を可及的に大きくする。したがって、輸送装置の出力が高められて伝熱媒体の輸送量が増加し、蓄熱装置に対する蓄熱効率が一層向上する。
【0161】
請求項4の発明によれば、請求項2の発明と同じ効果を得られる他に、蓄熱装置への蓄熱時に、車両の室内の温度を調整する必要度合いを小さく(少なく)できる。したがって、蓄熱装置からの放熱時間を可及的に長くすることができる。
【0162】
請求項5の発明によれば、車両の室内で空気が循環されることにより、請求項4の発明と同様の効果を得られる。
【0163】
請求項6の発明によれば、蓄熱装置の熱を室内の空調に利用できる他、熱エネルギを電気エネルギに変換し蓄電装置に蓄電することができる。したがって、熱エネルギの利用範囲を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の空調装置を有する車両の制御例を示すフローチャートである。
【図2】この発明の空調装置を有する車両の概念図である。
【図3】この発明の空調装置の一例を示す概念図である。
【図4】図3に示された空調装置の制御系統を示すブロック図である。
【図5】図3に示す空調装置に適用される制御例を示すフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートのルーチンの一部を示す図である。
【図7】図5の制御例および図6の制御例で用いるマップの一例である。
【図8】図5の制御例および図6の制御例で用いる線図である。
【図9】図5の制御例および図6の制御例で用いる線図である。
【図10】図5の制御例および図6の制御例で用いる線図である。
【図11】図5の制御例および図6の制御例で用いるマップの一例である。
【図12】図5の制御例および図6の制御例で用いる線図である。
【図13】図5の制御例および図6の制御例で用いる線図である。
【図14】図5の制御例および図6の制御例で用いる線図である。
【図15】図5の制御例および図6の制御例で用いる線図である。
【図16】図2および図3に示すシステムで実行される制御例を示すフローチャートである。
【図17】図1のフローチャートのルーチンの一部を示すフローチャートである。
【図18】図1のフローチャートのルーチンの一部を示すフローチャートである。
【図19】この発明の車両用空調装置の一制御例を示すフローチャートである。
【図20】この発明の車両用空調装置の他の制御例を示すフローチャートである。
【図21】この発明の車両用空調装置の他の制御例を示すフローチャートである。
【図22】図2ないし図4に示す車両で実行可能な制御例を示すフローチャートである。
【図23】図22のフローチャートの一部を具体的に示すフローチャートである。
【図24】図3に示された第1のポンプおよび三方弁の制御例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…コンプレッサ、 8…第1蓄熱器、 9…第2蓄熱器、 33…電子制御装置、 51…エンジン、 71…車輪、 72…流体伝動装置、 73…変速機、 74…デファレンシャル、 75…ロックアップクラッチ、 81…蓄電装置、 A1…エアコンシステム、 Ve…車両、 X1…室内。
Claims (6)
- 車両の駆動力源から車輪に至るパワートレーンに動力伝達可能に連結された輸送装置を有し、パワートレーンの動力により前記輸送装置を駆動し、その輸送装置により伝熱媒体を移動させるとともに、この伝熱媒体と、前記車両の室内の空気との間で、蓄熱装置を介して熱交換をおこなわせる車両用空調装置において、
前記パワートレーンの動力で前記輸送装置を駆動する場合における車両の挙動に関連する物理量を判断する挙動判断手段と、
前記輸送装置の駆動状態を、前記挙動判断手段の判断結果に基づいて設定する輸送装置制御手段と
を備えていることを特徴とする車両用空調装置。 - 車両の惰力走行時における運動エネルギを動力に変換し、その動力で輸送装置を駆動して伝熱媒体を移動させるとともに、この伝熱媒体と、前記車両の室内の空気との間で、蓄熱装置を介して熱交換をおこなわせる車両用空調装置において、
前記動力で前記輸送装置を駆動する場合における車両の挙動に関連する物理量を判断する挙動判断手段と、
前記輸送装置の駆動状態を、前記挙動判断手段の判断結果に基づいて制御する輸送装置制御手段と
を備えていることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記車両の車輪の動力が変速機を経由して前記輸送装置に伝達されて、その輸送装置が駆動されるように構成されており、
前記輸送装置制御手段は、前記変速機の変速比を可及的に大きくすることにより、前記輸送装置の駆動状態を制御する機能を、更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。 - 前記輸送装置制御手段は、前記車両の室内の温度を調整する必要度合いを、可及的に少なくする機能を、更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
- 前記輸送装置制御手段は、前記車両の室内で空気を循環させることにより、前記車両の室内の温度を調整する必要度合いを可及的に少なくする機能を、更に備えていることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
- 輸送装置を駆動して伝熱媒体を移動させて、その伝熱媒体と車両の室内の空気との間で、蓄熱装置を介して熱交換をおこなわせる車両用空調装置において、
前記車両に搭載されている蓄電装置の蓄電量を判断する蓄電量判断手段と、
前記蓄熱装置の熱エネルギを電気エネルギに変換して前記蓄電装置に蓄電するとともに、この蓄電装置に蓄電する場合の蓄電量を、前記蓄電量判断手段の判断結果に基づいて制御する蓄電量制御手段と
を備えていることを特徴とする車両用空調装置。
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