JP2004050640A - プロピレン樹脂製段ボール板及びそれを用いてなる製品 - Google Patents

プロピレン樹脂製段ボール板及びそれを用いてなる製品 Download PDF

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藤村 和昌
Kazuhisa Tate
舘 和久
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森岡 哲哉
Takao Tayano
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Abstract

【課題】クリーン性に優れたプロピレン樹脂製段ボール板とそれを用いた製品の提供。
【解決手段】リブ部3とライナー部2とを有する樹脂製ダンボール板1において、ライナー部が該リブ部に接続するライナー内層22とライナー表面層21の少なくとも二層からなり、該ライナー表面層は、MFRが0.1〜50g/10分、プロピレン含有量が90重量%以上100重量%未満、Q値が2〜4、および特定の溶解性を有するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体で形成されるプロピレン樹脂製段ボール板。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン樹脂製段ボール板およびそれを用いてなる製品に関する。詳しくは、耐衝撃性、表面光沢、耐応力白化に優れ、かつ使用時においても表面が傷ついたり、べたついたり、塵埃が付着して汚れたりしにくい、所謂クリーン性に優れたプロピレン樹脂製段ボール板およびそれを用いてなる製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
段ボール板は従来通函に紙製のものが用いられてきたが、近年、過度の森林伐採による木材資源や自然環境の保護の観点から、またその性能面においても、紙製に比較して一般に強度、耐水性、受傷性、耐薬品性に優れ、紙粉等の発生混入もなくクリーン性にも優れていることからプロピレン系樹脂に代表される樹脂製の段ボール板を用いた製品に転換されてきている。
【0003】
現在使われているプロピレン樹脂製の段ボール板は、耐衝撃性が要求されることからプロピレン・エチレンブロック共重合体を主原料とするが、このものは表面光沢が低く、応力白化も起こしやすいので意匠性に乏しい。さらに製品になってから在庫されたり、経繰り返して使用されていると擦れて傷がついたり、表面性状が変化して樹脂の低分子量成分がブリードしてべたついたり、その結果塵埃が付着しやすく汚れやすくなったり、光沢低下、着色効果の低下を招き製品価値を損なう問題があった。また一度ついた汚れを水洗しても落としにくく、汚れを落とそうとして強く洗浄するとますます傷がつくといった問題があった。このように製品価値を損ねると市場に受け入れられにくく、特に食品関連分野など衛生性が厳しく求められる用途への展開に対しては重大な障害になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐衝撃性、表面光沢、耐応力白化に優れ、かつ使用時においても表面に傷がついたり、べたついたり、塵埃が付着して汚れたりしにくい、所謂クリーン性に優れたプロピレン樹脂製段ボール板およびそれを用いてなる製品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の樹脂製段ボール板に関する上記問題が特定のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体をライナーの一部に用いることで解決されることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明の第一の発明は、リブ部とライナー部とを有する樹脂製ダンボール板において、ライナー部が該リブ部に接続するライナー内層とライナー表面層の少なくとも二層からなり、ライナー表面層が下記の物性(1)〜(5)を有するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体で形成されることを特徴とするプロピレン樹脂製段ボール板にある。
(1)メルトフローレート(MFR)が、0.1〜50g/10分である。
(2)プロピレン含有量が90重量%以上100重量%未満である。
(3)Q値が2〜4である。
(4)頭−尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C−NMRで測定したアイソタクチックトリアッド分率(mm分率)が97%以上である。
(5)全量の20重量%、50重量%、80重量%がオルソジクロルベンゼンに溶解する温度をそれぞれT20、T50、T80(単位:℃)とし、また40℃のオルソジクロルベンゼンに溶解する成分の量をW40(単位:重量%)としたときに、
(51)75≦T50≦125、
(52)T80−T20≦−0.07×T50+15.5、
(53)W40≦−0.05×T50+6.5なる関係を満たすこと。
【0006】
また、本発明の第二の発明は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体がメタロセン触媒によって製造されたことを特徴とする前記のプロピレン樹脂製段ボール板にある。また、本発明の第三の発明は、ライナー表面層が帯電防止剤を含有することを特徴とする前記のプロピレン樹脂製ダンボール板にある。また、本発明の第四の発明は、ライナー表面層の厚みが3〜200μmであることを特徴とする前記のプロピレン樹脂製段ボール板にある。また、本発明の第五の発明は、リブ部及び/又はライナー内層がプロピレン・エチレンブロック共重合体で形成されることを特徴とする前記のプロピレン樹脂製段ボール板にある。また、本発明の第六の発明は、前記のプロピレン樹脂製段ボール板を用いてなる製品にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のプロピレン系樹脂製段ボール板及びそれを用いてなる製品の実施の形態を以下に詳述する。
本発明の樹脂製段ボール板は、リブ部とライナー部とを有する樹脂製ダンボール板であり、ライナー部が該リブ部に接続するライナー内層とライナー表面層の少なくとも二層からなる樹脂製段ボール板である。
ライナー表面層には、下記の物性(1)〜(5)を有するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が使用される。
【0008】
物性(1):メルトフローレート(MFR)が、0.1〜50g/10分であること。好ましくは0.5〜30g/10分であり、より好ましくは1〜10g/10分である。ここでMFRは、JIS−K6758(230℃、荷重21.18N)で測定された値である。MFRが0.1g/10分未満では押出成形性が悪くなり、段ボール板の表面が荒れ、光沢外観が劣り好ましくない。MFRが50g/10分を超えると、樹脂の分子量が低下するために衝撃強度の低下が著しく好ましくない。
【0009】
物性(2):プロピレン含有量が90重量%以上100重量%未満であること。好ましくは95重量%以上100重量%未満であり、より好ましくは95重量%以上99.7重量%以下である。プロピレン含有量が90重量%未満では段ボール板の剛性が低くなりすぎ好ましくない。一方、100重量%では光沢や耐衝撃性が低下してしまい好ましくない。ここでプロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数2〜10のα−オレフィン(ただしプロピレンを除く)が挙げられる。具体的にはエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1等を好ましく例示でき、エチレンが特に好ましい。
【0010】
物性(3):Q値が2〜4であること。好ましくは2〜3.5である。なお、Q値とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。Q値が4以上になると、表面の平滑性が悪くなり光沢が低下し、また汚れやすくなり好ましくない。
【0011】
物性(4):頭−尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C−NMRで測定したアイソタクチックトリアッド分率(以下、「mm分率」とする。)が97%以上であること。好ましくは98%以上である。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクティックに制御されていることを示す値であり、高いほど高度に制御されていることを意味する。この値が上記範囲未満であると、本発明の段ボール板の剛性や強度、耐熱性に劣るとと共に傷がつきやすくなる欠点がある。
【0012】
ここで、mm分率は、下記の13C−NMRスペクトルの測定方法にしたがって測定した値である。13C−NMRスペクトルは、10mmφNMR用サンプル管の中で、350〜500mgの試料をo−ジクロロベンゼン2mlにロック溶媒である重水素化ベンゼン0.5mlを加えた溶媒中で完全に溶解させた後、130℃でプロトン完全デカップリング法で測定する。測定条件は、フリップアングル90°、パルス間隔5T1以上(T1は、メチル基のスピン格子緩和時間のうち、最長の値)が選択される。プロピレン系重合体においてメチレン基およびメチン基のT1はメチル基より短いので、この測定条件では全ての炭素の磁化の回復は99%以上となる。さらに微量成分の定量の為、炭素核の共鳴周波数として100MHz以上のNMR装置を使用して20時間以上の積算を行う。ケミカルシフトは頭−尾結合し、メチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位5連鎖の第3単位目のメチル基を21.8ppmとして設定し、他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。この基準では、mmで示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは21.2〜22.5ppmの範囲に、mrで示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは20.5〜21.2未満ppmの範囲に、rrで示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは19.5〜20.5未満ppmの範囲に現れる。ここで、mm、mrおよびrrはそれぞれ下記の化学構造で表される。
【0013】
【化1】
Figure 2004050640
【0014】
mm分率は、mm、mr、rr各構造の割合から以下の式により算出される。
【0015】
【数1】
Figure 2004050640
【0016】
ただしPPP[mm]、PPP[mr]およびPPP[rr]はそれぞれ頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖におけるmm、mr、rr各構造の割合を表し、各ピークに帰属される領域の面積から評価される。
ここでエチレンを含むプロピレン系ランダム共重合体は、エチレンユニットを含む部分構造として、mr領域に、プロピレン単位3連鎖の第2単位目のメチル基および、隣接する単位がプロピレン単位およびエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(PPE・メチル基)が共鳴(20.9ppm付近)する。また、rr領域に、プロピレン単位3連鎖の第2単位目のメチル基および、隣接する単位がいずれもエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(EPE−メチル基)が共鳴(20.2ppm付近)する。したがって、PPE−メチル基に基づくピーク面積、EPE−メチル基に基づくピーク面積を減ずる必要がある。
PPE−メチル基に基づくピーク面積は、対応するメチン基(31.0ppm付近で共鳴)のピーク面積により評価でき、EPE−メチル基に基づくピーク面積は、対応するメチン基(33.3ppm付近で共鳴)のピーク面積により評価できる。
【0017】
また、位置不規則ユニットを含む部分構造として、下記構造(i)、構造(ii)、構造(iii)および構造(iv)を有することがある。
【0018】
【化2】
Figure 2004050640
【0019】
このうち、炭素A、A’、A”ピークはmr領域に、炭素B、B’ピークはrr領域に現れる。さらに炭素C、C’ピークは16.8〜17.8ppmに現れる。これらのピークのうち、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖に基づかないピークは、PPE−メチル基、EPE−メチル基、炭素A、A’、A”、B、B’、Cおよび炭素C’に基づくピークである。したがって、炭素A、A’、A”、B、B’に基づくピーク面積を減ずる必要がある。
炭素Aに基づくピーク面積は、位置不規則部分構造[構造(i)]の炭素D(42.4ppm付近で共鳴)、炭素E及びG(36.0ppm付近で共鳴)及び炭素F(38.7ppm付近で共鳴)のピーク面積の和の1/4より評価できる。
【0020】
炭素A’に基づくピーク面積は、位置不規則部分構造[構造(ii)及び構造(iii)]の炭素H及びI(34.7ppm付近および35.0ppm付近で共鳴)と炭素J(34.1ppm付近で共鳴)のピーク面積の和の2/5と炭素K(33.7ppm付近で共鳴)のピーク面積の和により評価できる。炭素Bに基づくピーク面積は炭素Jにより評価できる。
また炭素B’に基づくピーク面積は炭素Kにより評価できる。A”に基づくピーク面積は炭素L(27.7ppm付近で共鳴)の1/2により評価できる。なお、炭素Cピークおよび炭素C’ピークの位置は、プロピレン単位3連鎖(PPP)のピークと全く関与しないので考慮する必要はない。
【0021】
以上によりmm、mrおよびrrのピーク面積を評価することができるので、上記数式に従って、頭−尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のアイソタクチックトリアッド分率を求めることができる。
【0022】
物性(5):全量の20重量%、50重量%、80重量%がオルソジクロルベンゼンに溶解する温度をそれぞれT20、T50、T80(℃)とし、また40℃のオルソジクロルベンゼンに溶解する成分の量をW40(重量%)としたときに、(51)75≦T50≦125、(52)T80−T20≦−0.07×T50+15.5、(53)W40≦−0.05×T50+6.5なる関係を満たすこと。好ましくは(54)75≦T50≦120、(55)T80−T20≦−0.07×T50+15.0、(56)W40≦−0.05×T50+6.5なる関係を満たし、より好ましくは(57)70≦T50≦115、(58)T80−T20≦−0.07×T50+14.5、(59)W40≦−0.05×T50+6.5なる関係を満たす。
【0023】
ここでT20、T50、T80及びW40は温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fractionation)による溶出曲線から得られるものである。ここで温度上昇溶離分別(TREF)の測定は一定高温でポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次いで温度を連続または段階的に昇温して溶出した成分(溶出重合体)を回収し、その濃度を連続的に検出してその溶出成分の量と溶出温度とを求める方法である。その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフが溶出曲線であり、これによりポリマーの組成分布を測定することができる。温度上昇溶離分別(TREF)の測定方法及び装置等の詳細については、Journal of Appliedpolymer Science、第26巻、第4217〜4231頁(1981年)に記載されている。T20、T50及びT80は溶出重合体の積算重量が20、50、80%となる時の温度を示すものである。T50が上記範囲未満であると分子量が低すぎるか融点が低すぎるために、表面べたつきの原因となる。また、上記範囲を超過すると分子量が高すぎるか融点が高すぎて成形が困難になる。
【0024】
80−T20は立体規則性や異種結合量、コモノマー量の分子間分布を示す指標であり、これらの分子間分布が狭く均一になるほどT80−T20は小さくなる。これらの分布が広く、不均一になるとT80−T20の値は増加するが、特にこの値が上記範囲を超過すると、分布が広くなりすぎた結果として結晶性を阻害する立体規則性の低い成分やコモノマー組成の大きく異なる部分が増加し、クリーン性に優れたプロピレン樹脂製ダンボール板が得られない。また、温度上昇溶離分別(TREF)における40℃オルソジクロルベンゼン可溶分量W40とT50が上記範囲で示される関係を外れると、光沢等外観の割に表面べたつき成分が増え問題である。
【0025】
立体規則性、異種結合量、コモノマー量の分子間分布が狭いプロピレン系重合体は、メタロセン触媒を用いる方法、重合後に得られた重合体をn−オクタン等の溶媒を使い50℃〜120℃の温度で洗浄する方法、又はこれらの方法の組合せにより製造することができる。メタロセン触媒を用いる方法が、比較的低温での洗浄または無洗浄のまま狭い分子間分布となりやすく好ましい。
以下に本発明に用いるプロピレン系重合体の好ましい製造方法としてのメタロセン触媒を用いる製造方法を詳細に説明する。
【0026】
上記プロピレン系重合体を製造する方法は、特に限定はされるものではないが、本発明の要件を満たすために好ましくは、メタロセン触媒を用いて製造される。
例えば下記に示すような成分(a)、(b)、および必要に応じて使用する成分(c)からなる触媒を用いることができる。
成分(a):後述する遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物、
成分(b):(b−1)有機アルミオキシ化合物、(b−2)ルイス酸、(b−3)成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン化合物(ただしルイス酸を除く)、(b−4)イオン交換性層状珪酸塩から選ばれる1種以上の成分。
成分(c):有機アルミニウム化合物。
【0027】
成分(a)メタロセン遷移金属化合物
Q(C4−a )(C4−b )MeXY  (1)
[ここで、Qは2つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を示し、Meはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属原子を示し、XおよびYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示し、R、Rは水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、または、リン含有炭化水素基を示す。]
【0028】
Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を表し、例えば、2価の炭化水素基、シリレン基ないしオリゴシリレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン或いはオリゴシリレン基、または炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基、等が例示される。この中でも好ましいものは2価の炭化水素基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基である。
XおよびYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なってもよく、次のものを示す。水素、ハロゲン、炭化水素基、または、酸素、窒素、或いは、ケイ素を含有する炭化水素基、このうちで好ましいものとしては、水素、塩素、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基等を例示することができる。
【0029】
、Rは、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、または、リン含有炭化水素基を表す。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基等が例示される。また、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、または、リン含有炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基、等を典型的な例として例示できる。これらの中で、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが特に好ましい。ところで、隣接したR、Rは、結合して環を形成してもよく、この環上に炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、または、リン含有炭化水素基からなる置換基を有していてもよい。
【0030】
Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの中から選ばれる金属であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
【0031】
これまで記載した成分(a)の中で、本発明のプロピレン系重合体の製造に好ましいものは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基或いはアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレン基を有する配位子からなる遷移金属化合物であり、特に好ましくは、炭化水素置換基を有するシリレン基、或いはゲルミレン基で架橋された2,4位置換インデニル基、2,4位置換アズレン基を有する配位子からなる遷移金属化合物である。
【0032】
成分(b):(b−1)有機アルミオキシ化合物、(b−2)ルイス酸、(b−3)成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン化合物(ただしルイス酸を除く)、(b−4)イオン交換性層状珪酸塩から選ばれるもののから選ばれる1種以上の成分。
成分(b)のうち、(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)についての具体的な化合物の製造方法については、特開平6−239914号、特開平8−208733号、特開平10−226712号、特開平14−069116号の各公報に例示された化合物や製造方法等を挙げることができる。
【0033】
例えば、成分(b−1)としては、1種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られるメチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、2種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られるメチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、また、アルキルボロン酸としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸等を挙げることができる。
【0034】
成分(b−2)としては、トリフェニルボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを、成分(b−3)としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを用いることが望ましい。
【0035】
更に、成分(b−4)としては、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよく、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等の化学処理が施されていることが好ましい。
【0036】
成分(c)有機アルミニウム化合物
必要に応じて成分(c)として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、
一般式   AlR3−a
(式中、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Pは水素、ハロゲン、アルコキシ基、aは0<a≦3の数)で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシド等のハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類等も使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
【0037】
成分(a)、成分(b)および必要に応じて成分(c)を接触させて触媒とする。その接触方法は特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時、またはオレフィンの重合時に行ってもよい。
1)成分(a)と成分(b)を接触させる
2)成分(a)と成分(b)を接触させた後に成分(c)を添加する
3)成分(a)と成分(b)を接触させた後に成分(b)を添加する
4)成分(b)と成分(c)を接触させた後に成分(a)を添加する
その他、三成分を同時に接触させてもよい。
【0038】
本発明で使用する成分(a)、成分(b)の使用量は任意であるが、成分(b)として何を選択するかで好ましい使用量の範囲が異なる。
成分(b)として成分(b−1)を使用する場合、成分(b−1)のアルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子と成分(a)中の遷移金属の原子比(Al/Me)が1〜100,000、好ましくは10〜10,000、更に好ましくは50〜5,000の範囲内である。
【0039】
成分(b)として成分(b−2)を使用する場合、成分(b−2)のルイス酸や成分(b−3)のイオン性化合物を使用する場合には、成分(a)中の遷移金属と成分(b−2)、成分(b−3)のモル比が0.1〜50の範囲で使用される。
成分(b)として成分(b−4)を使用する場合、成分(b)1g当たり成分(a)が0.001〜10mmol、好ましくは0.001〜5mmol使用される。
【0040】
もし、成分(c)の有機アルミニウム化合物を使用するならば、その使用量は、対成分(a)に対するモル比で10以下、更に10以下、特に10以下の範囲が好ましい。
【0041】
本発明に用いられるプロピレン系重合体の製造は、プロピレンとエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィンとメタロセン触媒とを混合接触させることによって行われる。共重合の場合には、分子間α−オレフィン含有量の分布が狭い共重合体を得るという観点から、反応系中の各モノマーの量比は経時的に一定であることが望ましい。
【0042】
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならばあらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずにプロピレンを溶媒として用いるバルク法、溶液重合法、或いは、実質的に液体溶媒を用いず各モノマーを実質的にガス状に保つ気相法等を採用することができる。
また、連続重合、回分式にも適用される。重合環境がより均一に制御が可能である連続重合が好ましい。重合の条件は、重合温度が−78〜160℃、好ましくは0〜150℃であり、重合圧力は常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜6MPa、特に好ましくは常圧〜5MPaが好ましい。この際に、分子量調節剤として補助的に水素を用いることが可能である。
【0043】
ライナー表面層は、帯電防止剤を含有していることが好ましい。帯電防止剤を含有していることにより帯電が防止され、塵埃などの付着による汚染がより起こり難くなるので好ましい。帯電防止剤は、プロピレン・α−オレフィン共重合体に練り込まれていてもよく、樹脂製段ボール板を製造後表面に塗布されていてもよい。帯電防止性能の点で練り込み型帯電防止剤が好ましい。
【0044】
練り込み型帯電防止剤としては、例えば、ステアリルエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアミン化合物、アマイド化合物、ステアリルジエタノールモノステアレート、グリセリン脂肪酸エステル等のエステル化合物、第4級アンモニウム化合物、ピリジン誘導体、カルボン酸誘導体等から選ばれる1種類、または2種類以上の混合物が挙げられる。
帯電防止剤の含有量は、好ましくは0.1〜3重量部、より好ましくは0.2〜2である。
【0045】
リブ部及びライナー内層には押出成形が可能なプロピレン系重合体が使用される。プロピレン系重合体としてはプロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体等が挙げられる。もちろん上述した特定のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を使用してもよい。耐衝撃性と剛性とのバランスの観点から、プロピレン・エチレンブロック共重合体が好ましい。上記プロピレン重合体には、ポリエチレンや各種熱可塑性エラストマ−を添加して耐衝撃性を付与したものを使用することもできる。
【0046】
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、メルトフローレート(230℃、21.18N)が0.1〜10g/10分、エチレン含有量が3〜20重量%が好ましく、メルトフローレートが1〜4g/10分、エチレン含有量が5〜10重量%がより好ましい。
【0047】
前記ライナー表面層に使用されるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、リブ部及びライナー内層に使用されるプロピレン系重合体には本発明の目的を損ねない範囲で必要に応じて添加剤や樹脂を処方することが可能である。必要に応じて処方することが可能である添加剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、耐候剤、紫外線吸収剤、造核剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、着色剤、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤等から選ばれる少なくとも1種類以上の添加剤が挙げられる。必要に応じて処方することが可能である樹脂としては、本発明で用いられるプロピレン系重合体以外のポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、各種エラストマー等である。
【0048】
本発明のプロピレン樹脂製段ボール板は、上下のライナーに挟まれた空間に、両ライナーに連結する複数のリブが配された構造を有する。例えば、図1に示すような、上下のライナー部2、2とこのライナー部間を長手方向に平行に仕切るように複数のリブ3が両ライナー部を連結するように設けられている形状のものを含む。
図2は、本発明のプロピレン樹脂製段ボール板の一例を示す断面図である。上下のライナー2がそれぞれライナー表面層21と、ライナー内層22の少なくとも二層からなり、複数のリブ3が両ライナー内層22を接続するように設けられている。
【0049】
ライナー表面層の厚さは好ましくは3〜200μm、より好ましくは10〜100μmであり、その他の形状寸法は例えば、ライナー厚さ100〜800μm、リブ厚さ200〜800μm、リブ間隔1〜10mm、段ボール板総厚さ2〜20mmを好ましく例示できる。
【0050】
本発明のプロピレン樹脂製段ボール板の製造方法は、例えば、ライナー部表層用の樹脂材料と中間部用の樹脂材料とを別々の押出機でそれぞれ可塑化し、フィードブロックにて両樹脂材料を一体的に押し出して成形する方法、別々に可塑化したライナー部表層用の樹脂材料と中間部用の樹脂材料とをマルチマニホールド方式により別々に押し出し、次いで両者を熱時一体化する方法、ライナー部の内層部とリブとからなる中間部を押出成形し、押し出された両内層部の表面に更にライナー部の表層部用の可塑化樹脂材料をシート状に押し出して積層する方法、予め二層押出成形で作製した一枚のライナー部の内層部にリブとなる樹脂板を接合して立て、更にこれらの立っている樹脂板に予め多層押出成形で作製した他のライナー部の内層部を接合する方法などを採用することができる。後者の方法において、ライナー部とリブ用樹脂板との接合は、接着剤による接着または熱融着により行なうことができる。本発明の樹脂製段ボール板は、多層押出成形による全体を一体成形する方法で製造するのが好ましい。
【0051】
本発明の樹脂製段ボール板を用いてなる製品は、従来からポリプロピレン樹脂製段ボール板が用いられている製品を含む。好ましくは、段ボ−ル箱等の容器類、建設用養生シート、セパレートシート、看板、商品陳列棚、パーテイション等の製品に適用することができる。より好ましくは容器に適用することができ、特に乳・乳製品、食肉製品用容器に好適である。
【0052】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の各項目の測定値は、以下の方法で測定した。
【0053】
(1)メルトフローレイト(MFR)
MFRは、JIS−K6758「ポリプロピレン試験方法」のメルトフローレイト(温度230℃、荷重21.18N)に従って測定した。
(2)プロピレン含有量
α−オレフィン含量を、13C−NMRによって測定し、100から減じた値をプロピレン含有量(単位:重量%)とした。
【0054】
(3)Q値
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として定義され、その測定条件は次の通りである。
・装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
・検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本
カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288)の各0.5mg/ml溶液での測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリプロピレンの粘度式を用いてポリプロピレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリプロピレンはα=0.707、logK=−3.616である。)
・測定温度:140℃
・濃度:2mg/mL
・注入量:0.2ml
・溶媒:オルソジクロロベンゼン
・流速:1.0ml/分
【0055】
(4)アイソタクチックトリアッド分率(mm分率)
13C−NMRスペクトルは、350〜500mgの試料をo−ジクロロベンゼン約2.0mlにロック溶媒である重水素化ベンゼン0.5mlを加えた溶媒中で完全に溶解させた後、日本電子社製NMR測定装置を用いて130℃でプロトン完全デカップリング法で測定した。測定条件及びピークの帰属は上述の方法に従った。
【0056】
(5)T20、T50、T80、W40
140℃に加熱したカラムに試料溶液(溶媒:オルソジクロルベンゼン、試料濃度:4mg/mL)0.4mLを注入した後、45分間かけて40℃まで冷却して、試料ポリマーを充填剤表面に吸着(析出)させた。この時点において充填剤表面に吸着せず、溶媒に溶解している成分を40℃以下可溶分として、オンラインでSECカラムに送って分子量分別した後に溶出量(W40)を赤外検出器で検出した。次いで2℃刻みで140℃まで昇温し各フラクションを得た。各フラクションを同様にSECカラムに送り溶出量を測定し、温度に対する溶出量の積分曲線を得た。該積分曲線からT20、T50、T80を読みとった。なお140℃までの積算量を100重量%とした。
装置:油化電子製CFC T−100型
SECカラム:昭和電工製 AD806M/S 3本直列
溶出時溶媒流速:1mL/min
【0057】
(6)表面光沢
JIS−Z8741に従って反射角度60度にて測定した。
(7)耐衝撃性
段ボール板に50cmの高さから球径1インチで重さ2kgの荷重を落下させ、破壊の有無を目視で確認した。
(8)耐応力白化性
段ボール板に50cmの高さから球径1インチで重さ300gの荷重を落下させ、白化の有無を目視で確認した。
【0058】
(9)表面傷つき性
長さ10cm幅10cmに切り取った2枚の段ボール板同士に荷重1kgを乗せ、上部の段ボール板を5cmの距離で10回移動させおのおのの表面傷を目視して判定した。
◎:全く傷が見られない。
○:著しい傷が見られない。
△:傷が見られる。
×:激しい傷が見られる。
【0059】
(10)表面べたつき性評価
段ボール板を2枚重ねて、80℃のオーブンに60分間保存し、取り出した直後に2枚の段ボール板を引き剥がし、その抵抗を判定した。
◎:全くべたつかない。
○:著しい抵抗がない。
△:抵抗がある。
×:激しい抵抗がある。
(11)帯電減衰率
宍戸商会株式会社製のスタチックオネストメーターを使用して、2分間荷電した後荷電を止めさらに3分後の電荷減衰率を測定した。この値が大きいほど、汚れがつきにくい。
【0060】
〈プロピレン重合体の製造1〉
(1)メタロセン遷移金属化合物の合成
ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリドラセミ体を特開平12―95791号公報、実施例5に記載された方法に従って合成した。
(2)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
攪拌翼、還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、蒸留水500g、水酸化リチウム水和物249g(5.93mol)を投入して水酸化リチウム水溶液を調製した。
別に、硫酸581g(5.93mol)を蒸留水500gで希釈し、滴下ロートを用いて上記水酸化リチウム水溶液に滴下した。
そこへ、更に市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:28.0μm)を350g投入後攪拌した。その後30分間かけて108℃まで昇温し150分間維持した。その後、1時間かけて50℃まで冷却した。このスラリーから、減圧ろ過にて、ケーキを回収した。純水を5.0l加え再スラリー化し、ろ過を行いケーキを回収した。この操作をさらに4回繰り返した。
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。その結果、275gの化学処理モンモリロナイトを得た。
【0061】
(3)触媒の調製/予備重合
先に製造した化学処理モンモリロナイトを減圧下、200℃で4時間乾燥した。
内容積10Lのオートクレーブに上記で得た化学処理モンモリロナイト200gを導入し、ヘプタン1160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.6mmol/ml)840ml(0.5mol)を30分間かけて投入し、25℃で1時間攪拌した。その後、スラリーを静止沈降させ、上澄み1300mlを抜き出した後に2600mlのヘプタンにて2回洗浄し最終的にヘプタン全量が1200mlになるようにヘプタンを足して調整した。
次に、2Lフラスコに前記ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド 5.93g(6mol)とヘプタン516mlを投入しよく攪拌した後にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/ml)を84ml(11.8g)を室温にて加え、60分間攪拌した。
続いて、先にオートクレーブ中に調製したモンモリロナイトスラリーに上記溶液を導入し、60分間攪拌した。
続いて、更にヘプタンを全容積が5Lになるまで導入して、30℃に保持した。そこにプロピレンを100g/hrの定速で、40℃で4時間導入し、引き続き50℃で2時間維持した。サイホンにて予備重合触媒スラリーを回収し、上澄み除去後、40℃にて減圧下乾燥した。この操作により触媒成分1g当たりポリプロピレンが2.0gを含む予備重合触媒が得られた。
【0062】
(4)重合
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kg、エチレン0.32kgを導入した。これにトリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)、水素6.0L(標準状態の体積として)を加え、内温を30℃に維持した。次いで、上記予備重合触媒7.5gをアルゴンで圧入して重合を開始させ、35分間かけて65℃に昇温し、1時間その温度を維持した。ここでエタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、プロピレンエチレンランダム共重合体(PP−1)を得た。このものはMFR:3.8g/分、エチレン含量:0.4重量%、Q値:3.0、mm分率:99%であり、T20、T50、T80、W40は、それぞれ105.8℃、109.1℃、111.5℃、0.5重量%であり、(51)〜(59)式を満たすものであった。
【0063】
〈プロピレン重合体の製造2〉
(1)メタロセン遷移金属化合物の合成
ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリドのラセミ体を特開平10―226712号公報、実施例12に記載された方法に従って合成した。
(2)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
特開平11−80229号公報、実施例1に記載された方法に従って製造した。さらに、この化学処理モンモリロナイト200gを内容積3Lの攪拌翼のついたガラス製反応器に導入し、ノルマルヘプタン750ml、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(500mmol)を加え、室温で攪拌した。1時間後、ノルマルヘプタンにて洗浄(残液率1%未満)し、スラリーを2000mLに調製した。
【0064】
(3)触媒の調製/予備重合
次に、前記(r)−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]ジルコニウムジクロリド3mmolのトルエンスラリー870mLとトリイソブチルアルミニウム(15mmol)のヘプタン溶液42.6mLを、予め室温にて1時間反応させておいた混合液を、上記の化学処理モンモリロナイトスラリーに加え、1時間攪拌した。
続いて、窒素で十分置換を行った内容積10Lの攪拌式オートクレーブにノルマルヘプタン2.1Lを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製したモンモリロナイト/錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、その温度を維持した。4時間後、プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。回収した予備重合触媒スラリーから、上澄みを約3L除き、トリイソブチルアルミニウム(30mmol)のヘプタン溶液を170mL添加し、10分間撹拌した後に、40℃にて減圧下熱処理した。この操作により触媒成分1g当たりポリプロピレン2.08gを含む予備重合触媒が得られた。
【0065】
(4)重合
内容積270Lの攪拌装置付き液相重合槽、内容積400Lの失活槽、スラリー循環ポンプ、循環ラインからなる失活洗浄システム、二重管式熱交換器と流動フラッシュ槽からなる高圧脱ガスシステム、さらに低圧脱ガス槽および乾燥器などを含む後処理系を組み込んだプロセスにより、プロピレン・エチレン共重合体の連続製造を実施した。
上記で製造した予備重合触媒を流動パラフィン(東燃社製:ホワイトレックス335)に濃度15重量%で分散させて、触媒成分導入量1.5g/hrで液相重合槽に導入した。さらにこの重合槽に液状プロピレンを38kg/hr、エチレンを0.42kg/hr、水素を0.04g/hr、トリイソブチルアルミニウムを9g/hrで連続的に供給し、内温を70℃に保持し、重合を行った。
液相重合槽からポリマーと液状プロピレンの混合スラリーをポリマーとして13kg/hrとなるように失活洗浄槽に抜き出した。このとき重合槽の触媒の平均滞留時間は、1.3時間であった。失活洗浄槽には、失活剤としてエタノールを10.5g/hrで供給した。さらにポリマーは循環ラインから高圧脱ガス槽へ抜き出し、さらに低圧脱ガス槽を経て、乾燥器で乾燥を行った。乾燥器の内温80℃、滞留時間が1時間となるように調整し、さらに室温の乾燥窒素をパウダーの流れの向流方向に12m/hrの流量で流した。乾燥後のポリマーは、ホッパーから取り出し、プロピレンエチレンランダム共重合体(PP−2)を得た。このものはMFR:4.1g/分、エチレン含量:1.2重量%、Q値:2.8、mm分率:98%であり、T20、T50、T80、W40は、それぞれ82.3℃、86.7℃、89.0℃、0.9重量%であり、(51)〜(59)式を満たすものであった。
【0066】
〈プロピレン重合体の製造3〉
プロピレン重合体の製造2(4)において、触媒成分導入量を0.57g/hr、エチレン供給量を1.38kg/hr、水素供給量を0.20g/hr、重合槽内温を62℃とした以外は同様の条件で重合を行い、プロピレンエチレンランダム共重合体(PP−3)を得た。このものはMFR:7.1g/分、エチレン含量:3.4重量%、Q値:3.1、mm分率:98%であり、T20、T50、T80、W40は、それぞれ72.9℃、78.4℃、79.7℃、1.6重量%であり、(51)〜(59)式を満たすものであった。
【0067】
〈プロピレン重合体の製造4〉
内容積0.4mの攪拌装置付き液相重合槽を用いて、70℃でプロピレンの連続重合を行った。液体プロピレン、トリエチルアルミニウム、及びターシャリーブチルメチルジメトキシシランをそれぞれ、140kg/hr、15g/hr、1.7g/hrで供給した。同時に、エチレンと水素を連続的に重合槽に供給して、気相部のエチレン濃度と水素濃度をそれぞれ0.6mol%、1.6mol%となるように調整した。固体触媒成分としては、特開2001−151816号公報の実施例1に記載された方法で調整したものを用い、生産量が25kg/hrとなるように連続的に重合槽へフィードし、プロピレンエチレンランダム共重合体(PP−4)を得た。滞留時間は1.5時間、触媒活性は110kg/g−触媒であった。このものはMFR:4.1g/分、エチレン含量:1.3重量%、Q値:5.2、mm分率:99%であり、T20、T50、T80、W40は、それぞれ99.6℃、108.9℃、113.1℃、3.3重量%であり、(52)、(53)、(55)、(56)、(58)、(59)式を満たさないものであった。
【0068】
〈プロピレン重合体の製造5〉
エチレンと水素を連続的にフィードして気相部のエチレン濃度と水素濃度をそれぞれ、2.0mol%、4.4mol%とした他は、プロピレン重合体の製造4と同様にしてプロピレンの重合を行い、プロピレンエチレンランダム共重合体(PP−5)を得た。滞留時間は1.3時間、触媒活性は290kg/g−触媒であった。このものはMFR:6.8g/分、エチレン含量:3.9重量%、Q値:4.6、mm分率:98%であり、T20、T50、T80、W40は、それぞれ73.7℃、91.0℃、97.8℃、7.7重量%であり、(52)、(53)、(55)、(56)、(58)、(59)式を満たさないものであった。
【0069】
〈プロピレン重合体の製造6〉
エチレンをフィードせず、水素を連続的にフィードして気相部の水素濃度を0.9mol%とした他は、プロピレン重合体の製造4と同様にしてプロピレンの重合を行い、プロピレン単独重合体(PP−6)を得た。滞留時間は1.6時間、触媒活性は77kg/g−触媒であった。このものはMFR:2.5g/分、Q値:5.4、mm分率:99%であり、T20、T50、T80、W40は、それぞれ111.2℃、119.1℃、121.8℃、1.6重量%であり、(52)、(53)、(55)、(56)、(58)、(59)式を満たさないものであった。
【0070】
実施例1
ライナ−表面層用プロピレン樹脂としてPP−1 100重量部に対し、帯電防止剤として花王株式会社製のエレクトロストリッパーTS3を0.3重量部添加した樹脂原料を、ライナー表面層用の第1押出機に供給し、プロピレンエチレンブロック共重合体(日本ポリケム製ノバテックPP BC8)をリブ及びライナー内層用の第2押出機に供給して、第1図に示す断面形状に対応したフィードブロックダイから溶融押出し、中空部には該ダイの芯金から圧空を供給するとともに、上下のライナー部はその上下に設置された真空ホーマーに接触させつつ冷却し、樹脂製段ボール板を作成した。得られた樹脂製段ボール板は上下のライナー部の厚みがそれぞれ270μm、ライナー表面層の厚みがそれぞれ50μm、リブ部の厚みが210μm、全体の厚みが4mm、リブ間隔が5mmの寸法形状のものであった。得られた樹脂製段ボール板の物性評価を行いその結果を表1に記載した。得られた樹脂製段ボール板の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0071】
実施例2〜3
ライナ−表面層用プロピレン樹脂としてそれぞれPP−2〜PP−3を用いること以外は実施例1と同様にして、樹脂製段ボール板を作成及び評価を行った。
【0072】
比較例1〜3
ライナ−表面層用プロピレン樹脂としてそれぞれPP−4〜PP−6を用いること以外は実施例1と同様にして、樹脂製段ボール板を作成及び評価を行った。
【0073】
【表1】
Figure 2004050640
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、耐衝撃性、表面光沢、耐応力白化に優れ、かつ使用時においても表面が傷ついたり、べたついたり、塵埃が付着して汚れたりしにくい、所謂クリ−ン性にも優れたプロピレン樹脂製段ボール板およびそれを用いてなる製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロピレン樹脂製段ボール板の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明のプロピレン樹脂製段ボール板の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…プロピレン樹脂製段ボール板
2…ライナー
21…ライナー表面層
22…ライナー内層
3…リブ

Claims (6)

  1. リブ部とライナー部とを有する樹脂製ダンボール板において、ライナー部が該リブ部に接続するライナー内層とライナー表面層の少なくとも二層からなり、ライナー表面層が下記の物性(1)〜(5)を有するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体で形成されることを特徴とするプロピレン樹脂製段ボール板。
    (1)メルトフローレート(MFR)が、0.1〜50g/10分である。
    (2)プロピレン含有量が90重量%以上100重量%未満である。
    (3)Q値が2〜4である。
    (4)頭−尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C−NMRで測定したアイソタクチックトリアッド分率(mm分率)が97%以上である。
    (5)全量の20重量%、50重量%、80重量%がオルソジクロルベンゼンに溶解する温度をそれぞれT20、T50、T80(単位:℃)とし、また40℃のオルソジクロルベンゼンに溶解する成分の量をW40(単位:重量%)としたときに、
    (51)75≦T50≦125、
    (52)T80−T20≦−0.07×T50+15.5、
    (53)W40≦−0.05×T50+6.5なる関係を満たすこと。
  2. プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体がメタロセン触媒によって製造されたことを特徴とする請求項1記載のプロピレン樹脂製段ボール板。
  3. ライナー表面層が帯電防止剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のプロピレン樹脂製ダンボール板。
  4. ライナー表面層の厚みが3〜200μmであることを特徴とする請求項1〜3記載のプロピレン樹脂製段ボール板。
  5. リブ部及び/又はライナー内層がプロピレン・エチレンブロック共重合体で形成されることを特徴とする請求項1〜4記載のプロピレン樹脂製段ボール板。
  6. 請求項1〜5に記載のプロピレン樹脂製段ボール板を用いてなる製品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008274031A (ja) * 2007-04-26 2008-11-13 Sumitomo Chemical Co Ltd 帯電防止性樹脂組成物および熱可塑性樹脂製多層シート
JP2009034959A (ja) * 2007-08-03 2009-02-19 Ube Nitto Kasei Co Ltd 帯電防止層を有するポリプロピレン系樹脂製中空プレート及びその製造方法
JP2011121346A (ja) * 2009-12-14 2011-06-23 Kawakami Sangyo Co Ltd プラスチック加工用t−ダイおよびそれを使用した積層材の製造方法

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