JP2004049725A - 生分解性靴中敷 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリ乳酸が適用された靴中敷であって、通気性、柔軟性(クッション性)、強度、防臭効果に優れた製品を提供する。
【解決手段】好ましくは抗菌防臭加工、制菌加工、活性炭含浸加工されたポリ乳酸繊維よりなるニードルパンチ不織布1と、該不織布の上面または下面の少なくとも一方に、織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地4が接着剤3を介して積層された積層体よりなり、靴中敷形状に切断された靴中敷1ならびに前記ポリ乳酸よりなるニードルパンチ不織布が靴中敷形状に切断された靴中敷。
【選択図】 図2
【解決手段】好ましくは抗菌防臭加工、制菌加工、活性炭含浸加工されたポリ乳酸繊維よりなるニードルパンチ不織布1と、該不織布の上面または下面の少なくとも一方に、織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地4が接着剤3を介して積層された積層体よりなり、靴中敷形状に切断された靴中敷1ならびに前記ポリ乳酸よりなるニードルパンチ不織布が靴中敷形状に切断された靴中敷。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性プラスチックであるポリ乳酸よりなる不織布、特にニードルパンチ不織布を適用した新規な靴中敷に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来靴中敷は、主に天然もしくは合成高分子樹脂板、あるいは樹脂繊維よりなる織物地、編物地もしくは合成皮革等からなる単層体または複層体の製品である。
これらの靴中敷の生地としては、羊毛織布、木綿布、塩化ビニリデン樹脂の織布、また、ポリアミド(ナイロン)、塩化ビニリデン樹脂からなる織布または編物地(メッシュ編み、蜂巣編み等)などが利用されている。
【0003】
ところで、合成高分子樹脂製品は、使用後に廃棄される際、焼却処分の場合には有害ガスが発生したり、埋立て処分の場合には容易に分解しないためゴミとして長期間残存する等、環境学的な問題を有する。
従って、近年、各種日用品においてこれらの樹脂とは異なり、微生物により分解されやすい、天然高分子や生分解性プラスチックを使用することが試みられている。
【0004】
「生分解性プラスチック」としては現在、脂肪族ポリエステル系樹脂、特にポリ乳酸の他、デンプン系樹脂(デンプン脂肪酸エステルまたは澱粉ポリエステル等)、ポリヒドロキシブチレート、共重合体ポリヒドロキシブチレート−CO−ヒドロキシバリレート、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート変性体、ポリブチレンサクシネートカーボネート変性体、ボリブチレンアジペート/テレフタレート等が知られている。これらの生分解性プラスチックは数ヶ月ないし数年で水と炭酸ガスに分解することが知られている。
そしてこれらの生分解性プラスチックの中で現在、織物地や編物地の原料としてポリ乳酸がその耐熱性や強度の面で注目されている。
ポリ乳酸繊維は一般にトウモロコシを原料として、乳酸を作りこれを重合してポリ乳酸とし、さらにこのポリ乳酸を熱で溶解して繊維状に紡糸して製造される。その融点は約170℃で、強さはポリエステルに匹敵するものである。
ポリ乳酸繊維は焼却の際には燃焼ガス中にNOx等が発生せず、また燃焼熱はポリエチレンやポリプロピレンなどの1/2〜1/3程度であり、また、埋め立て廃棄の際も約2〜3年で分解される。従って、日用雑貨、包装材、農園芸分野、土木資材分野、衣料分野での利用が進められている。
【0005】
このような状況の下で生分解性プラスチック、特にポリ乳酸を材料とする靴中敷も製品化が試みられている。
実用新案登録第3016879号公報にはデンプンとポリビニルアルコール共重合体に植物油等を混合した混合物等の分解性高分子材料を芯材とする中敷部が開示されている。また、特開平9−234101号公報には脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂からなる熱変形性を有する靴中敷を開示する。
さらに、特開2000−313082公報には靴中敷としての利用が可能な生分解性繊維からなるフェルトの積層体およびそれらの起毛材を開示している。
しかし、これらの従来文献で記載されたものは、強度、クッション性、通気性など靴中敷としての要求性能を十分満足するものではなく、改良の必要が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
消耗品である靴中敷に対し、使用後に廃棄処理がし易いという面の他、製造コストがかからず、強度、クッション性、通気性、耐久性などがよりすぐれた性能をもつ靴中敷が求められている。
従って、本発明の課題は、ポリ乳酸を靴中敷原料として使用して、強度、通気性やクッション性、耐久性に優れる、新規な靴中敷を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はポリ乳酸よりなるニードルパンチ不織布を用いて、強度、クッション性、通気性、さらに十分な耐久性を有する靴中敷に関する。
具体的には、本発明はポリ乳酸繊維よりなるニードルパンチ不織布と、該不織布の上面または下面の少なくとも一方に、織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地が接着剤を介して積層された積層体よりなり、靴中敷形状に切断された靴中敷に関する。
また、前記靴中敷において前記生地がポリ乳酸繊維よりなるものはより好ましい。さらに好ましいのは前記接着剤が生分解性の材料よりなる靴中敷である。
本発明は、またポリ乳酸繊維よりなるニードルパンチ不織布を主材料としてそのまま靴中敷としたものにも関する。
本発明の靴中敷は上記のような構成をとるので、使用後の廃棄の際、埋立ての場合にはポリ乳酸は微生物により分解されて最終的に分解されない廃棄物の量を低減させることができ、また焼却される場合もポリ乳酸材料部分は有害ガスを生じないので好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の靴中敷に使用する、織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地と積層したまたは単独で使用するニードルパンチ不織布は、好ましくは厚さ3〜6mm程度のポリ乳酸繊維からなるものである。使用する不織布の目付は、400g/m2〜2000g/m2特に、500g/m2〜1000g/m2が好ましい。2000g/m2より重いと厚く曲がりにくく、靴に取り付けたときに履きごごちが悪い。400g/m2より軽いと強度や硬さがなくなるので、靴中敷としては適当ではない。
本発明ではニードルパンチ不織布を使用することが好ましいが、その他、スパンボンド、メルトブレーン等の不織布、湿式不織布、およびそれらのスパンレース加工不織布を使用することが使用される。
なお、本発明の靴中敷のニードルパンチ不織布の他、各材料は生分解性プラスチックのうちポリ乳酸を採用するが、それ以外の生分解性プラスチックの使用を排除するものではない。本発明においては、上記ポリ乳酸には乳酸ホモポリマーの他、さらにポリ乳酸以外の他の生分解性樹脂成分で使用可能なもの、例えばポリカプロラクトン、コハク酸エステル、ポリブチレンサクシネート等をポリ乳酸の共重合体成分とする乳酸コポリマーも、本発明の目的を達成する限りポリ乳酸に含まれるものと解すべきである。またポリ乳酸繊維とこれらの樹脂成分繊維のブレンドよりなる材料を使用することも可能である。
【0009】
本発明のニードルパンチ不織布には、好ましくは美観や吸汗性の面から、靴中敷に使用する、織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地が積層される。これらの積層用生地は総てポリ乳酸繊維またはモノフィラメントよりなる織布、編物地、不織布が好ましいが、靴中敷向けの生地として使用される他の生地を使用することもでき、また主要な材料がポリ乳酸であって副材料として、天然繊維、半合成繊維、合成繊維よりなる繊維、モノフィラメントもしくは皮革樹脂、の混紡生地もしくは積層樹脂皮革なども含まれる。
これらのポリ乳酸以外の生地としては、靴中敷向けの生地としてふさわしいものであれば、いかなる種類の生地も適用することができ、例えば、羊毛、絹、木綿、麻等の天然繊維、ポリアミド、レーヨン等の半合成繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンもしくはポリアミド等の合成繊維、ポリアセテート等のその他の生分解性繊維もしくはこれらの混紡材よりなる織物地もしくは編物地などが適用されうる。さらに、積層用生地に利用される合成皮革としては、従来汎用の合成皮革の他、プロテインレザー(特に靴用のもの)等も使用されうる。特に好ましいのは、生分解可能な天然繊維や半合成繊維である。
これら生地に使用される織物地の織り方、また編物地の編み方は、特に限定されるものでなく、例えば、平織り、蜂巣織り等の織物地、ダブルラッシェル編み、トリコット編み、メッシュ編みなどの編物地、さらには起毛加工した生地等も利用されうる。
【0010】
ニードルパンチ不織布の積層用生地としてポリ乳酸繊維よりなる織物地、編物地もしくは合成皮革を使用する場合に、これらの生地等を構成するポリ乳酸繊維は、好ましくはオリエンテック社製、テンシロンUCT−100型測定器にて測定した引張強度が250MPa以上、好ましくは350MPa以上(測定条件:試料長300mm;引張速度300mm/分)であり、および引張弾性率が4.5GPa〜12.0GPa、好ましくは5.5GPa〜10.0GPa(引張強度測定において、荷重/歪曲線における初期勾配より求めた弾性率)であるものが好ましい。
また、上記生地のポリ乳酸繊維の繊度は引張強度値および引張弾性率値が上述した範囲に入るものであれば特に限定されない。好ましいポリ乳酸繊維の繊度は100dtex〜2500dtex(糸径100μm〜500μm)である。
また靴中敷の生地は、所謂メラミン加工を行なうことにより、生地の着色、黄変を抑制することができる。メラミン加工は、例えば弾反撥硬仕上げ加工剤(主成分:自己架橋型アクリル酢酸ビニル共重合樹脂)を使用して、ポリ乳酸をはじめとする上記繊維の生地をメラミン樹脂溶液に浸漬する処理(所謂ドブヅケ)を行ない、続いておよそ160℃で乾燥することにより、なされる。
【0011】
本発明の靴中敷はさらに、防臭、衛生のため、抗菌防臭加工もしくは制菌加工、または活性炭含浸処理がなされていることが好ましい。しかしながら、本発明の靴中敷は微生物を利用した「生分解性」樹脂のポリ乳酸樹脂を使用することを特徴とするものであり、一方微生物の増殖を防ぐ、抗菌防臭加工および制菌加工は生分解を抑制するものである。従って、使用する抗菌防臭剤・制菌剤は靴中敷の耐用期間を越えてあまり長期間に残留しない、制菌剤・抗菌防臭剤を使用することが望ましい。しかし、廃棄方法を埋立て廃棄に限定しなければ、抗菌防臭剤・制菌剤は好ましくは焼却時に有害ガスの発生がない、繊維製品用の一般的な抗菌剤、制菌剤を限定なく使用できる。これらの例としては、無機抗菌剤例えば、銀系、銅系、光触媒系(酸化チタン等)抗菌剤、および有機系抗菌剤例えば第四アンモニウム塩系、有機金属系、グアニジン系、ハロシアリル尿素系、フェノール系、脂肪族エステル系、その他天然系抗菌剤(天然フラボノイド類、キチン、キトサン、カテキン、タンニン、甘草エキス、ヒノキチオール等)を挙げることができる。これらの抗菌防臭剤または制菌剤は防カビ効果を有するものがより好ましい。この抗菌防臭加工、制菌加工または活性炭含浸処理は、ニードルパンチ不織布、積層用生地に直接施すことができるほか、これらの積層材料間に抗菌防臭加工もしくは制菌加工、または活性炭含浸処理された別の薄手の織布または不織布等を挿入する方法を用いることもできる。また、抗菌防臭加工もしくは制菌加工は下記の活性炭含浸処理と併用してもよい。
加工は、衣服の繊維に対して通常為されている抗菌防臭加工又は制菌加工と同様の加工、例えば、ニードルパンチ不織布および積層用生地を抗菌剤又は制菌剤含有浴に浸漬する処理(ドブヅケ)、抗菌剤又は制菌剤を該材料表面に塗布する処理、該材料繊維中に練り込む処理、抗菌剤または制菌剤のマイクロカプセルを該部材に付着させることによりなされるものである。
なお、上記「抗菌防臭加工」及び「制菌加工」は、繊維製品新機能評価協議会(JAFET)により、それぞれ、「抗菌防臭加工」は、試験菌種(黄色ぶどう球菌)について、「制菌加工」は、試験菌種(黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌、特定用途にはさらにMRSA)について定められている評価方法と効果の認証基準に合致するものである。
【0012】
本発明の靴中敷のニードルパンチ不織布はさらに、消臭・脱臭のため、活性炭含有処理されうる。活性炭含有処理は、靴内の臭いを吸収することができる活性炭を、薄手ないし厚手の織物地、編物地布もしくは不織布などに含浸・含有もしくは被覆したものである。活性炭としては、ビーズ活性炭、ヤシガラ(椰子殻)活性炭、もしくは竹、炭素繊維などより誘導される活性炭が利用することができる。活性炭の含浸等の量は、所要の防臭効果を得るのに必要な量以上の量であればよい。
さらにこの活性炭含浸シートは上記抗菌防臭加工もしくは制菌加工されたものも使用できる。適当な活性炭含有量は50〜150g/m2である。
また、ニードルパンチ不織布とその上面または下面の生地積層材料間に挿入するため、抗菌防臭加工もしくは制菌加工、または活性炭含浸処理された別の薄手の不織布、織布等も上記方法により製造できる。
【0013】
本発明の積層タイプのニードルパンチ不織布は、接着剤によって積層用生地と接着している。この接着剤は、靴中敷の廃棄後の生分解性を考慮すれば、好ましくは、生分解性プラスチックを主材とする接着剤、例えば特開2002−38118公報や特開2001−288273公報に記載されるようなポリ乳酸系接着剤、ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステルとからなる接着剤、また、特開2002−88334公報に記載されるようなポリエステル付加ポリビニルアルコール・酢酸ビニル共重合体等を使用すること、特にホットメルト接着剤を使用することが好ましい。
しかしながら、使用する接着剤は、好ましくは焼却時に有害ガスが発生しない、生分解性でないものも含む、慣用の衣料、繊維用接着剤、例えば酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、ホットメルト接着剤、ポリウレタン系接着剤、エチレン共重合樹脂系接着剤、天然ゴム系接着剤、セルロース系接着剤等の使用を排除するものではない。接着剤は慣用の塗布、硬化方法により硬化できる。
また、接着剤の代わりにホットメルトが可能な樹脂よりなる不織布を積層用生地とニードルパンチ不織布との間に介在させることもできる。使用するホットメルト不織布は、例えば、蜘蛛の巣状スパンボンドのポリアミド/ポリオレフィンホットメルト不織布製品 商標名ダイナックB−1030(東洋紡績株式会社より市販されている)のようなポリアミド系成分を主成分とするホットメルト不織布が代表的に適用され得、また、ポリ乳酸や他の生分解性プラスチックよりなるものも使用され得る。これらのホットメルト不織布製品は、通気性が良好で、柔軟性が高いので好ましい。
ホットメルト接着剤粉末またはホットメルト不織布を使用する場合のニードルパンチ不織布への生地の接着は慣用の加熱装置(ホットプレス、熱ロール等)が使用でき加熱温度は接着に使用されるホットメルト接着剤または不織布にもよるが、およそ130℃〜200℃である。
【0014】
接着剤を介して積層したタイプ中敷材料またはポリ乳酸ニードルパンチ不織布はそのまま、例えば、靴中敷の製造で適用される水準の慣用の裁断機によって靴中敷形状に切断し、靴中敷とすることができる。
しかし、積層タイプの靴中敷の場合、切断後の靴中敷周縁側部の切断面を剥き出しのままにすると、使用時に積層用生地が剥離し易くなるため、該周縁側部をさらに加熱して溶融着させることが望ましい。
また、靴中敷の製造順序を変更して積層前に各材料を切断し、その際に積層用生地をニードルパンチ不織布の形状より一回り大きい寸法のものに切断し、積層の際に靴中敷周縁側部の積層用生地を、該ニードルパンチ不織布の周縁側部を被覆するように接着処理することも好ましい。例えば、積層用生地をニードルパンチ不織布の上面のみに使用した靴中敷の場合には積層接着工程において、靴中敷周縁部の該生地を、該ニードルパンチ不織布の周縁側部を覆うように下面側に折り曲げ、該折り曲げ部分を、上記のような接着剤でニードルパンチ不織布の下面に接着固定するか、または積層用生地をニードルパンチ不織布の上面および下面の両方に使用する三層の靴中敷の場合には該ニードルパンチ不織布の周縁部で上下の生地を熱溶着またはホットメルト接着させて、該不織布の周縁側部を被覆する方法が利用できる。
【0015】
本発明における靴中敷の最も好ましい態様は、ポリ乳酸繊維よりなるニードルパンチ不織布と、その上面または下面の少なくとも一方に、ポリ乳酸繊維よりなる織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地が生分解性接着剤を介して積層された積層体よりなり、靴中敷形状に切断された靴中敷であり、この靴中敷は廃棄後、最終的に、微生物により完全に分解され、また焼却時に有害ガスが排出されることがない。
本発明による靴中敷はその利用時には、ニードルパンチ不織布の持つ弾力性が歩行時の足への衝撃を緩和し、また、不織布には通気性があるため足蒸れを防ぐことができる。また少なくとも上面に表生地として生地が接着されれば、見た目も美しく、また耐久性が増すので好ましい。
【0016】
本発明の靴中敷は様々な種類の靴に特に制限なく使用できる。また本発明の靴中敷は靴内に挿入して使用する他、靴の材料として靴の製造の際に直接中底として組み付けることも可能である。
【0017】
【実施例】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ポリ乳酸繊維からなる繊維径12dtex、繊維長約40mmのステープルをカード機によりウエーブを形成した後、これに上下よりニードルパンチを施し、厚さ3mm、目付600g/m2 の不織布を作製した。不織布を靴中敷形状に裁断した。靴中敷を靴に取り付けて履いたところ、足に対してクッション性、通気性がよく、また靴に取り付けて少なくとも数十回使用したところ従来の靴中敷と比べても、ヘタリはみられず、十分な耐久性があった。
実施例2
本実施例の靴中敷1は図1及び図2に示すように積層タイプの靴中敷1である。図1に本実施例の靴中敷の正面図を示し、図2にその断面図を示す。
本実施例の靴中敷1は実施例1で作製した不織布2上に、ポリ乳酸系接着剤3をローラーで均一に塗布し、ポリ乳酸繊維よりなるジャージ織り織物地4(引張強度350MPa、引張弾性率6.0GPa:オリエンテック社製、テンシロンUCT−100型測定器にて、引張強度の測定条件:試料長300mm;引張速度300mm/分、引張弾性率の測定:引張強度測定において、荷重/歪曲線における初期勾配より求めた弾性率以下同じ)を積層接着し、得られた積層体を靴中敷形状に裁断したものである。この靴中敷1を靴に取り付けて履いたところ、足に対してクッション性がよく、通気性や吸汗性もあり、少なくとも数十回の使用に対してヘタリが殆どなく、十分な耐久性を有していた。
【0018】
実施例3
実施例1で作成したのニードルパンチ不織布2を2.5重量%の抗菌防臭剤ニッカノンRB(薬剤成分:N−ポリオキシアルキレン−N,N,N−トリアルキルアンモニウム)の水溶液に浸漬し、乾燥させた。この抗菌防臭加工は繊維製品新機能評価協議会の抗菌防臭加工基準を満たす。図3に示すようにこの不織布2の上面と下面に、抗菌防臭性能を有するポリ乳酸繊維よりなるジャージ織り織物地4(登録商標テラマック,ユニチカファイバー社製)を、ポリ乳酸系ホットメルト粉末接着剤3’を介して積層し、約145℃のホットプレス装置で加熱した。次いで得られた積層体を靴中敷形状に裁断した。この靴中敷10を靴に取り付けて履いたところ、足に対してクッション性がよく、通気性とともに、吸汗性もあるので履き心地がよかった。さらに靴の臭いも実施例1や実施例2の靴中敷を使用した場合に比べて抑えられていた。また、少なくとも数十回の使用に対してヘタリが殆どなく、十分な耐久性を有していた。
実施例4
実施例3の抗菌防臭剤に浸漬し乾燥させたニードルパンチ不織布2の上に、ヤシ殻活性炭(100g/m2溶液)に含浸・含有させた後、乾燥させたポリ乳酸ホットメルト不織布5を積層し、さらに東レ株式会社の制菌加工された繊維製品(登録商標マックスペック)に使用された制菌剤を用いて制菌加工した実施例2と同様のポリ乳酸繊維よりなるジャージ織り織物地4を積層し、この積層体をホットプレス装置にて170℃に加熱接着した(図4参照)。次いで得られた積層体を靴中敷形状に裁断した。この靴中敷20を靴に取り付けて履いたところ、足に対してクッション性がよく、通気性、吸汗性もあり、靴の臭いも実施例1や実施例2の靴中敷を使用した場合に比べて少なかった。また少なくとも数十回の使用に対してヘタリはみられず、耐久性も十分であった。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の靴中敷は、ポリ乳酸から作られた弾力性、通気性をもつニードルパンチ不織布を使用するので、靴中敷としての十分なクッション性をもつと共に足蒸れを防止できる。また、このニードルパンチ不織布は主材料として生分解性プラスチックであるポリ乳酸を使用しているので、使用後の埋立て廃棄において最終的には分解されて廃棄物として長期に残存することはない。加えて積層タイプの靴中敷であれば、さらに、美観、吸汗性をより良くするためにニードルパンチ不織布の上に積層される積層用生地もポリ乳酸繊維よりなる生地を使用し、また、この積層用生地とニードルパンチ不織布とを接着する接着剤も生分解性の材料を使用して全てポリ乳酸よりなる靴中敷とすれば、使用後の埋め立て廃棄において最終的に完全に土中で分解される靴中敷となるので、環境的に好ましいものである。
さらにまた、好ましくは上記ニードルパンチ不織布または積層用生地に、抗菌防臭もしくは制菌加工、または活性炭含浸処理あるいはこれらの組合わせを施した材料を使用すれば上記特徴に加えて防臭性を持つ靴中敷となる。しかも、本発明の靴中敷は、製造に特別な工程を必要としない。従って、本発明の靴中敷は上記優れた利点を有すると同時に特別な装置等を使用せずに、従来の靴中敷とほとんど変わらないコストにて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例2の靴中敷の正面図である。
【図2】図2は実施例2の靴中敷を示す断面図である。
【図3】図3は実施例3の靴中敷を示す断面図である。
【図4】図4は実施例4の靴中敷を示す断面図である。
【符号の説明】
1、10、20 靴中敷
2 ニードルパンチ不織布
3、3’ 接着剤
4 積層用生地
5 ホットメルト不織布
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性プラスチックであるポリ乳酸よりなる不織布、特にニードルパンチ不織布を適用した新規な靴中敷に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来靴中敷は、主に天然もしくは合成高分子樹脂板、あるいは樹脂繊維よりなる織物地、編物地もしくは合成皮革等からなる単層体または複層体の製品である。
これらの靴中敷の生地としては、羊毛織布、木綿布、塩化ビニリデン樹脂の織布、また、ポリアミド(ナイロン)、塩化ビニリデン樹脂からなる織布または編物地(メッシュ編み、蜂巣編み等)などが利用されている。
【0003】
ところで、合成高分子樹脂製品は、使用後に廃棄される際、焼却処分の場合には有害ガスが発生したり、埋立て処分の場合には容易に分解しないためゴミとして長期間残存する等、環境学的な問題を有する。
従って、近年、各種日用品においてこれらの樹脂とは異なり、微生物により分解されやすい、天然高分子や生分解性プラスチックを使用することが試みられている。
【0004】
「生分解性プラスチック」としては現在、脂肪族ポリエステル系樹脂、特にポリ乳酸の他、デンプン系樹脂(デンプン脂肪酸エステルまたは澱粉ポリエステル等)、ポリヒドロキシブチレート、共重合体ポリヒドロキシブチレート−CO−ヒドロキシバリレート、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート変性体、ポリブチレンサクシネートカーボネート変性体、ボリブチレンアジペート/テレフタレート等が知られている。これらの生分解性プラスチックは数ヶ月ないし数年で水と炭酸ガスに分解することが知られている。
そしてこれらの生分解性プラスチックの中で現在、織物地や編物地の原料としてポリ乳酸がその耐熱性や強度の面で注目されている。
ポリ乳酸繊維は一般にトウモロコシを原料として、乳酸を作りこれを重合してポリ乳酸とし、さらにこのポリ乳酸を熱で溶解して繊維状に紡糸して製造される。その融点は約170℃で、強さはポリエステルに匹敵するものである。
ポリ乳酸繊維は焼却の際には燃焼ガス中にNOx等が発生せず、また燃焼熱はポリエチレンやポリプロピレンなどの1/2〜1/3程度であり、また、埋め立て廃棄の際も約2〜3年で分解される。従って、日用雑貨、包装材、農園芸分野、土木資材分野、衣料分野での利用が進められている。
【0005】
このような状況の下で生分解性プラスチック、特にポリ乳酸を材料とする靴中敷も製品化が試みられている。
実用新案登録第3016879号公報にはデンプンとポリビニルアルコール共重合体に植物油等を混合した混合物等の分解性高分子材料を芯材とする中敷部が開示されている。また、特開平9−234101号公報には脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂からなる熱変形性を有する靴中敷を開示する。
さらに、特開2000−313082公報には靴中敷としての利用が可能な生分解性繊維からなるフェルトの積層体およびそれらの起毛材を開示している。
しかし、これらの従来文献で記載されたものは、強度、クッション性、通気性など靴中敷としての要求性能を十分満足するものではなく、改良の必要が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
消耗品である靴中敷に対し、使用後に廃棄処理がし易いという面の他、製造コストがかからず、強度、クッション性、通気性、耐久性などがよりすぐれた性能をもつ靴中敷が求められている。
従って、本発明の課題は、ポリ乳酸を靴中敷原料として使用して、強度、通気性やクッション性、耐久性に優れる、新規な靴中敷を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はポリ乳酸よりなるニードルパンチ不織布を用いて、強度、クッション性、通気性、さらに十分な耐久性を有する靴中敷に関する。
具体的には、本発明はポリ乳酸繊維よりなるニードルパンチ不織布と、該不織布の上面または下面の少なくとも一方に、織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地が接着剤を介して積層された積層体よりなり、靴中敷形状に切断された靴中敷に関する。
また、前記靴中敷において前記生地がポリ乳酸繊維よりなるものはより好ましい。さらに好ましいのは前記接着剤が生分解性の材料よりなる靴中敷である。
本発明は、またポリ乳酸繊維よりなるニードルパンチ不織布を主材料としてそのまま靴中敷としたものにも関する。
本発明の靴中敷は上記のような構成をとるので、使用後の廃棄の際、埋立ての場合にはポリ乳酸は微生物により分解されて最終的に分解されない廃棄物の量を低減させることができ、また焼却される場合もポリ乳酸材料部分は有害ガスを生じないので好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の靴中敷に使用する、織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地と積層したまたは単独で使用するニードルパンチ不織布は、好ましくは厚さ3〜6mm程度のポリ乳酸繊維からなるものである。使用する不織布の目付は、400g/m2〜2000g/m2特に、500g/m2〜1000g/m2が好ましい。2000g/m2より重いと厚く曲がりにくく、靴に取り付けたときに履きごごちが悪い。400g/m2より軽いと強度や硬さがなくなるので、靴中敷としては適当ではない。
本発明ではニードルパンチ不織布を使用することが好ましいが、その他、スパンボンド、メルトブレーン等の不織布、湿式不織布、およびそれらのスパンレース加工不織布を使用することが使用される。
なお、本発明の靴中敷のニードルパンチ不織布の他、各材料は生分解性プラスチックのうちポリ乳酸を採用するが、それ以外の生分解性プラスチックの使用を排除するものではない。本発明においては、上記ポリ乳酸には乳酸ホモポリマーの他、さらにポリ乳酸以外の他の生分解性樹脂成分で使用可能なもの、例えばポリカプロラクトン、コハク酸エステル、ポリブチレンサクシネート等をポリ乳酸の共重合体成分とする乳酸コポリマーも、本発明の目的を達成する限りポリ乳酸に含まれるものと解すべきである。またポリ乳酸繊維とこれらの樹脂成分繊維のブレンドよりなる材料を使用することも可能である。
【0009】
本発明のニードルパンチ不織布には、好ましくは美観や吸汗性の面から、靴中敷に使用する、織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地が積層される。これらの積層用生地は総てポリ乳酸繊維またはモノフィラメントよりなる織布、編物地、不織布が好ましいが、靴中敷向けの生地として使用される他の生地を使用することもでき、また主要な材料がポリ乳酸であって副材料として、天然繊維、半合成繊維、合成繊維よりなる繊維、モノフィラメントもしくは皮革樹脂、の混紡生地もしくは積層樹脂皮革なども含まれる。
これらのポリ乳酸以外の生地としては、靴中敷向けの生地としてふさわしいものであれば、いかなる種類の生地も適用することができ、例えば、羊毛、絹、木綿、麻等の天然繊維、ポリアミド、レーヨン等の半合成繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンもしくはポリアミド等の合成繊維、ポリアセテート等のその他の生分解性繊維もしくはこれらの混紡材よりなる織物地もしくは編物地などが適用されうる。さらに、積層用生地に利用される合成皮革としては、従来汎用の合成皮革の他、プロテインレザー(特に靴用のもの)等も使用されうる。特に好ましいのは、生分解可能な天然繊維や半合成繊維である。
これら生地に使用される織物地の織り方、また編物地の編み方は、特に限定されるものでなく、例えば、平織り、蜂巣織り等の織物地、ダブルラッシェル編み、トリコット編み、メッシュ編みなどの編物地、さらには起毛加工した生地等も利用されうる。
【0010】
ニードルパンチ不織布の積層用生地としてポリ乳酸繊維よりなる織物地、編物地もしくは合成皮革を使用する場合に、これらの生地等を構成するポリ乳酸繊維は、好ましくはオリエンテック社製、テンシロンUCT−100型測定器にて測定した引張強度が250MPa以上、好ましくは350MPa以上(測定条件:試料長300mm;引張速度300mm/分)であり、および引張弾性率が4.5GPa〜12.0GPa、好ましくは5.5GPa〜10.0GPa(引張強度測定において、荷重/歪曲線における初期勾配より求めた弾性率)であるものが好ましい。
また、上記生地のポリ乳酸繊維の繊度は引張強度値および引張弾性率値が上述した範囲に入るものであれば特に限定されない。好ましいポリ乳酸繊維の繊度は100dtex〜2500dtex(糸径100μm〜500μm)である。
また靴中敷の生地は、所謂メラミン加工を行なうことにより、生地の着色、黄変を抑制することができる。メラミン加工は、例えば弾反撥硬仕上げ加工剤(主成分:自己架橋型アクリル酢酸ビニル共重合樹脂)を使用して、ポリ乳酸をはじめとする上記繊維の生地をメラミン樹脂溶液に浸漬する処理(所謂ドブヅケ)を行ない、続いておよそ160℃で乾燥することにより、なされる。
【0011】
本発明の靴中敷はさらに、防臭、衛生のため、抗菌防臭加工もしくは制菌加工、または活性炭含浸処理がなされていることが好ましい。しかしながら、本発明の靴中敷は微生物を利用した「生分解性」樹脂のポリ乳酸樹脂を使用することを特徴とするものであり、一方微生物の増殖を防ぐ、抗菌防臭加工および制菌加工は生分解を抑制するものである。従って、使用する抗菌防臭剤・制菌剤は靴中敷の耐用期間を越えてあまり長期間に残留しない、制菌剤・抗菌防臭剤を使用することが望ましい。しかし、廃棄方法を埋立て廃棄に限定しなければ、抗菌防臭剤・制菌剤は好ましくは焼却時に有害ガスの発生がない、繊維製品用の一般的な抗菌剤、制菌剤を限定なく使用できる。これらの例としては、無機抗菌剤例えば、銀系、銅系、光触媒系(酸化チタン等)抗菌剤、および有機系抗菌剤例えば第四アンモニウム塩系、有機金属系、グアニジン系、ハロシアリル尿素系、フェノール系、脂肪族エステル系、その他天然系抗菌剤(天然フラボノイド類、キチン、キトサン、カテキン、タンニン、甘草エキス、ヒノキチオール等)を挙げることができる。これらの抗菌防臭剤または制菌剤は防カビ効果を有するものがより好ましい。この抗菌防臭加工、制菌加工または活性炭含浸処理は、ニードルパンチ不織布、積層用生地に直接施すことができるほか、これらの積層材料間に抗菌防臭加工もしくは制菌加工、または活性炭含浸処理された別の薄手の織布または不織布等を挿入する方法を用いることもできる。また、抗菌防臭加工もしくは制菌加工は下記の活性炭含浸処理と併用してもよい。
加工は、衣服の繊維に対して通常為されている抗菌防臭加工又は制菌加工と同様の加工、例えば、ニードルパンチ不織布および積層用生地を抗菌剤又は制菌剤含有浴に浸漬する処理(ドブヅケ)、抗菌剤又は制菌剤を該材料表面に塗布する処理、該材料繊維中に練り込む処理、抗菌剤または制菌剤のマイクロカプセルを該部材に付着させることによりなされるものである。
なお、上記「抗菌防臭加工」及び「制菌加工」は、繊維製品新機能評価協議会(JAFET)により、それぞれ、「抗菌防臭加工」は、試験菌種(黄色ぶどう球菌)について、「制菌加工」は、試験菌種(黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌、特定用途にはさらにMRSA)について定められている評価方法と効果の認証基準に合致するものである。
【0012】
本発明の靴中敷のニードルパンチ不織布はさらに、消臭・脱臭のため、活性炭含有処理されうる。活性炭含有処理は、靴内の臭いを吸収することができる活性炭を、薄手ないし厚手の織物地、編物地布もしくは不織布などに含浸・含有もしくは被覆したものである。活性炭としては、ビーズ活性炭、ヤシガラ(椰子殻)活性炭、もしくは竹、炭素繊維などより誘導される活性炭が利用することができる。活性炭の含浸等の量は、所要の防臭効果を得るのに必要な量以上の量であればよい。
さらにこの活性炭含浸シートは上記抗菌防臭加工もしくは制菌加工されたものも使用できる。適当な活性炭含有量は50〜150g/m2である。
また、ニードルパンチ不織布とその上面または下面の生地積層材料間に挿入するため、抗菌防臭加工もしくは制菌加工、または活性炭含浸処理された別の薄手の不織布、織布等も上記方法により製造できる。
【0013】
本発明の積層タイプのニードルパンチ不織布は、接着剤によって積層用生地と接着している。この接着剤は、靴中敷の廃棄後の生分解性を考慮すれば、好ましくは、生分解性プラスチックを主材とする接着剤、例えば特開2002−38118公報や特開2001−288273公報に記載されるようなポリ乳酸系接着剤、ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステルとからなる接着剤、また、特開2002−88334公報に記載されるようなポリエステル付加ポリビニルアルコール・酢酸ビニル共重合体等を使用すること、特にホットメルト接着剤を使用することが好ましい。
しかしながら、使用する接着剤は、好ましくは焼却時に有害ガスが発生しない、生分解性でないものも含む、慣用の衣料、繊維用接着剤、例えば酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、ホットメルト接着剤、ポリウレタン系接着剤、エチレン共重合樹脂系接着剤、天然ゴム系接着剤、セルロース系接着剤等の使用を排除するものではない。接着剤は慣用の塗布、硬化方法により硬化できる。
また、接着剤の代わりにホットメルトが可能な樹脂よりなる不織布を積層用生地とニードルパンチ不織布との間に介在させることもできる。使用するホットメルト不織布は、例えば、蜘蛛の巣状スパンボンドのポリアミド/ポリオレフィンホットメルト不織布製品 商標名ダイナックB−1030(東洋紡績株式会社より市販されている)のようなポリアミド系成分を主成分とするホットメルト不織布が代表的に適用され得、また、ポリ乳酸や他の生分解性プラスチックよりなるものも使用され得る。これらのホットメルト不織布製品は、通気性が良好で、柔軟性が高いので好ましい。
ホットメルト接着剤粉末またはホットメルト不織布を使用する場合のニードルパンチ不織布への生地の接着は慣用の加熱装置(ホットプレス、熱ロール等)が使用でき加熱温度は接着に使用されるホットメルト接着剤または不織布にもよるが、およそ130℃〜200℃である。
【0014】
接着剤を介して積層したタイプ中敷材料またはポリ乳酸ニードルパンチ不織布はそのまま、例えば、靴中敷の製造で適用される水準の慣用の裁断機によって靴中敷形状に切断し、靴中敷とすることができる。
しかし、積層タイプの靴中敷の場合、切断後の靴中敷周縁側部の切断面を剥き出しのままにすると、使用時に積層用生地が剥離し易くなるため、該周縁側部をさらに加熱して溶融着させることが望ましい。
また、靴中敷の製造順序を変更して積層前に各材料を切断し、その際に積層用生地をニードルパンチ不織布の形状より一回り大きい寸法のものに切断し、積層の際に靴中敷周縁側部の積層用生地を、該ニードルパンチ不織布の周縁側部を被覆するように接着処理することも好ましい。例えば、積層用生地をニードルパンチ不織布の上面のみに使用した靴中敷の場合には積層接着工程において、靴中敷周縁部の該生地を、該ニードルパンチ不織布の周縁側部を覆うように下面側に折り曲げ、該折り曲げ部分を、上記のような接着剤でニードルパンチ不織布の下面に接着固定するか、または積層用生地をニードルパンチ不織布の上面および下面の両方に使用する三層の靴中敷の場合には該ニードルパンチ不織布の周縁部で上下の生地を熱溶着またはホットメルト接着させて、該不織布の周縁側部を被覆する方法が利用できる。
【0015】
本発明における靴中敷の最も好ましい態様は、ポリ乳酸繊維よりなるニードルパンチ不織布と、その上面または下面の少なくとも一方に、ポリ乳酸繊維よりなる織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地が生分解性接着剤を介して積層された積層体よりなり、靴中敷形状に切断された靴中敷であり、この靴中敷は廃棄後、最終的に、微生物により完全に分解され、また焼却時に有害ガスが排出されることがない。
本発明による靴中敷はその利用時には、ニードルパンチ不織布の持つ弾力性が歩行時の足への衝撃を緩和し、また、不織布には通気性があるため足蒸れを防ぐことができる。また少なくとも上面に表生地として生地が接着されれば、見た目も美しく、また耐久性が増すので好ましい。
【0016】
本発明の靴中敷は様々な種類の靴に特に制限なく使用できる。また本発明の靴中敷は靴内に挿入して使用する他、靴の材料として靴の製造の際に直接中底として組み付けることも可能である。
【0017】
【実施例】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ポリ乳酸繊維からなる繊維径12dtex、繊維長約40mmのステープルをカード機によりウエーブを形成した後、これに上下よりニードルパンチを施し、厚さ3mm、目付600g/m2 の不織布を作製した。不織布を靴中敷形状に裁断した。靴中敷を靴に取り付けて履いたところ、足に対してクッション性、通気性がよく、また靴に取り付けて少なくとも数十回使用したところ従来の靴中敷と比べても、ヘタリはみられず、十分な耐久性があった。
実施例2
本実施例の靴中敷1は図1及び図2に示すように積層タイプの靴中敷1である。図1に本実施例の靴中敷の正面図を示し、図2にその断面図を示す。
本実施例の靴中敷1は実施例1で作製した不織布2上に、ポリ乳酸系接着剤3をローラーで均一に塗布し、ポリ乳酸繊維よりなるジャージ織り織物地4(引張強度350MPa、引張弾性率6.0GPa:オリエンテック社製、テンシロンUCT−100型測定器にて、引張強度の測定条件:試料長300mm;引張速度300mm/分、引張弾性率の測定:引張強度測定において、荷重/歪曲線における初期勾配より求めた弾性率以下同じ)を積層接着し、得られた積層体を靴中敷形状に裁断したものである。この靴中敷1を靴に取り付けて履いたところ、足に対してクッション性がよく、通気性や吸汗性もあり、少なくとも数十回の使用に対してヘタリが殆どなく、十分な耐久性を有していた。
【0018】
実施例3
実施例1で作成したのニードルパンチ不織布2を2.5重量%の抗菌防臭剤ニッカノンRB(薬剤成分:N−ポリオキシアルキレン−N,N,N−トリアルキルアンモニウム)の水溶液に浸漬し、乾燥させた。この抗菌防臭加工は繊維製品新機能評価協議会の抗菌防臭加工基準を満たす。図3に示すようにこの不織布2の上面と下面に、抗菌防臭性能を有するポリ乳酸繊維よりなるジャージ織り織物地4(登録商標テラマック,ユニチカファイバー社製)を、ポリ乳酸系ホットメルト粉末接着剤3’を介して積層し、約145℃のホットプレス装置で加熱した。次いで得られた積層体を靴中敷形状に裁断した。この靴中敷10を靴に取り付けて履いたところ、足に対してクッション性がよく、通気性とともに、吸汗性もあるので履き心地がよかった。さらに靴の臭いも実施例1や実施例2の靴中敷を使用した場合に比べて抑えられていた。また、少なくとも数十回の使用に対してヘタリが殆どなく、十分な耐久性を有していた。
実施例4
実施例3の抗菌防臭剤に浸漬し乾燥させたニードルパンチ不織布2の上に、ヤシ殻活性炭(100g/m2溶液)に含浸・含有させた後、乾燥させたポリ乳酸ホットメルト不織布5を積層し、さらに東レ株式会社の制菌加工された繊維製品(登録商標マックスペック)に使用された制菌剤を用いて制菌加工した実施例2と同様のポリ乳酸繊維よりなるジャージ織り織物地4を積層し、この積層体をホットプレス装置にて170℃に加熱接着した(図4参照)。次いで得られた積層体を靴中敷形状に裁断した。この靴中敷20を靴に取り付けて履いたところ、足に対してクッション性がよく、通気性、吸汗性もあり、靴の臭いも実施例1や実施例2の靴中敷を使用した場合に比べて少なかった。また少なくとも数十回の使用に対してヘタリはみられず、耐久性も十分であった。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の靴中敷は、ポリ乳酸から作られた弾力性、通気性をもつニードルパンチ不織布を使用するので、靴中敷としての十分なクッション性をもつと共に足蒸れを防止できる。また、このニードルパンチ不織布は主材料として生分解性プラスチックであるポリ乳酸を使用しているので、使用後の埋立て廃棄において最終的には分解されて廃棄物として長期に残存することはない。加えて積層タイプの靴中敷であれば、さらに、美観、吸汗性をより良くするためにニードルパンチ不織布の上に積層される積層用生地もポリ乳酸繊維よりなる生地を使用し、また、この積層用生地とニードルパンチ不織布とを接着する接着剤も生分解性の材料を使用して全てポリ乳酸よりなる靴中敷とすれば、使用後の埋め立て廃棄において最終的に完全に土中で分解される靴中敷となるので、環境的に好ましいものである。
さらにまた、好ましくは上記ニードルパンチ不織布または積層用生地に、抗菌防臭もしくは制菌加工、または活性炭含浸処理あるいはこれらの組合わせを施した材料を使用すれば上記特徴に加えて防臭性を持つ靴中敷となる。しかも、本発明の靴中敷は、製造に特別な工程を必要としない。従って、本発明の靴中敷は上記優れた利点を有すると同時に特別な装置等を使用せずに、従来の靴中敷とほとんど変わらないコストにて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例2の靴中敷の正面図である。
【図2】図2は実施例2の靴中敷を示す断面図である。
【図3】図3は実施例3の靴中敷を示す断面図である。
【図4】図4は実施例4の靴中敷を示す断面図である。
【符号の説明】
1、10、20 靴中敷
2 ニードルパンチ不織布
3、3’ 接着剤
4 積層用生地
5 ホットメルト不織布
Claims (4)
- ポリ乳酸繊維よりなるニードルパンチ不織布と、該不織布の上面または下面の少なくとも一方に、織物地、編物地、合成皮革、不織布より選択された生地が接着剤を介して積層された積層体よりなり、靴中敷形状に切断された靴中敷。
- 前記生地がポリ乳酸繊維よりなる請求項1記載の靴中敷。
- 前記接着剤が生分解性の材料よりなる請求項1記載の靴中敷。
- ポリ乳酸繊維よりなるニードルパンチ不織布を主材料とした靴中敷。
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JP2002213954A JP2004049725A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | 生分解性靴中敷 |
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JP2007290276A (ja) * | 2006-04-26 | 2007-11-08 | Dainippon Ink & Chem Inc | 積層フィルム |
KR101779378B1 (ko) * | 2017-01-18 | 2017-09-21 | 주식회사 크레데레 | 피혁과 실리콘이 중합된 신발용 인솔 제조방법 |
JP2021514219A (ja) * | 2018-02-15 | 2021-06-10 | ライヒャルト,ベンノ | 解放可能ストラップファスナを伴うサンダル |
WO2021247797A1 (en) * | 2020-06-03 | 2021-12-09 | O2 Partners, Llc | Fiber-based shoe insoles and methods of manufacturing the same |
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2002
- 2002-07-23 JP JP2002213954A patent/JP2004049725A/ja active Pending
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