JP2004046542A - モデル加工方法およびモデル加工システム - Google Patents

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下山 公宏
Hitoshi Miyauchi
宮内 均
Kiyoshi Takagi
高木 清
Mutsumi Iwatomo
岩朝  睦美
Makoto Yoshida
吉田  誠
Takashi Hasegawa
長谷川  貴
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Honda Motor Co Ltd
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

【課題】多軸アームロボットとクレイモデルとのアプローチ・アウェイ時の干渉を簡単な手順により防止できること。
【解決手段】このモデル加工システム100は、先端に工具11を備えた多軸アームロボット1と、クレイモデルMのハンドワーク側の形状を取得するカメラ2と、CAD/CAM装置5と、多軸アームロボット1のプログラミング等を行うコンピュータ装置6と、多軸アームロボット1のドライブユニット7とを有する。CAD/CAM装置5は、カメラ2で取得したハンドワーク形状の反転形状に基づく加工パスを生成し、多軸アームロボット1の工具11によりクレイモデルMを加工する。アプローチ・アウェイ選択部500は、ユーザの選択により記憶部501からクレイモデルMと多軸アームロボット1とが干渉しないような特定のアプローチ・アウェイ経路を呼び出し、このアプローチ・アウェイ経路を加工パスと合成して、クレイモデルMの加工を行う。
【選択図】      図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多軸アームロボットとクレイモデルとのアプローチ・アウェイ時の干渉を簡単な手順により防止できるモデル加工方法およびモデル加工システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、モーターサイクルや自動車などの製品のデザインを開発する場合、原寸大のクレイモデルを作成してデザインの検討を行うのが通常である。また、これらの製品は殆ど左右対称形であるため、クレイモデルを製作する場合、まず対称形状となる半分をハンドワークで成形し、この半分の形状を決めた後に反対側の部分をハンドワークにより成形する。これにより、クレイモデルが一応形となるが、設計者はこのクレイモデルを基に、詳細かつ精密にクレイモデルを削り或いは肉盛りし、最終的な形状を決定する。
【0003】
一方、現在ではデザインCADが普及し、コンピュータ上でどのような複雑な形状でも作り上げることができるようになっているが、最終的にその製品がどのようなものであるか人間が感覚的に理解するには、実物大のクレイモデルによらなければ難しい。このため、デザインCADの普及によってもクレイモデルは必要であり、加工技術の進歩により複雑な形状の製品を製造できることが可能となった現在では、従来にも増してクレイモデルの必要性が高まっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
クレイモデルを成形するには、上記従来のように、クレイモデルの半分をハンドワークにより成形し、対称となる反対側を同様に成形し、これを繰り返し行うことで最終的なデザインを決定するため、当該対称となる反対側を形成するときはデザイン活動の時間ではなく単純作業となり、時間が無駄になる。実際のデザイン現場では、数ヶ月に及ぶクレイモデル全製作時間の3割強が反対側の成形作業に割かれるという問題に直面している。また、対称形状を正確に成形することは難しく、全体的に違和感のあるものとなり易い。このため、比較的正確に反対側の加工を行うには、クレイモデル作製者に相当の技能レベルが要求され、これらの者の養成にも時間がかかってしまう。
【0005】
このような問題に対し、本願発明者は、モデルの素材であるクレイモデルのハンドワークにより加工した一部分の形状を取得し、この取得したクレイモデルの形状を反転させると共に、当該反転形状の加工パスを生成し、この生成した加工パスに従って前記クレイモデルの別部分を多軸アームロボット先端の加工手段により加工するモデル加工装置を開発しており、クレイモデル等のモデル製作を正確且つ短時間で行えるようにしている。なお、この技術は、所謂公知公用に属するものではない。
【0006】
しかしながら、このモデル加工装置では多軸アームロボットにより加工を行うが、クレイモデルの形状によっては多軸アームロボットのアプローチ・アウェイ経路と干渉することがあり、そのためクレイモデル毎に多軸アームロボットのアプローチ・アウェイ経路をダイレクトティーチングまたはリモートティーチングするようにする。このため、ロボットの制御に不慣れなクレイモデル製作者には扱い難いという問題点がある。また、多軸アームロボットを多数用いる場合は、ティーチングに時間と手間がかかるという問題点がある。
【0007】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、多軸アームロボットとクレイモデルとのアプローチ・アウェイ時の干渉を簡単な手順により防止できるモデル加工方法およびモデル加工システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明によるモデル加工方法は、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一部分の形状を取得する形状取得ステップと、取得した軟質加工物の形状を反転させる反転ステップと、当該反転形状の加工パスを生成する加工パス生成ステップと、予め複数記憶しておいた軟質加工物に対する多軸アームロボットのアプローチ経路またはアウェイ経路から特定のものが選択され、その選択されたアプローチ・アウェイ経路を用いるアプローチ・アウェイ選択ステップと、生成した加工パスおよび選択したアプローチ・アウェイ経路に従って前記軟質加工物の別部分を多軸アームロボット先端の加工手段により加工する加工ステップとを含むものである。
【0009】
つぎの発明によるモデル加工方法は、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一側面の形状を点群データにより取得する形状取得ステップと、取得した軟質加工物の形状を表す点群データからSTLデータを取得する曲面形状取得ステップと、STLデータにより表現した曲面を反転する反転ステップと、当該反転させた形状の加工パスを生成する加工パス生成ステップと、予め複数記憶しておいた軟質加工物に対する多軸アームロボットのアプローチ経路またはアウェイ経路から特定のものが選択され、その選択したアプローチ・アウェイ経路を用いるアプローチ・アウェイ選択ステップと、生成した加工パスおよび選択したアプローチ・アウェイ経路に従って前記軟質加工物の反対側面を多軸アームロボット先端の加工手段により加工する加工ステップとを含むものである。
【0010】
この発明では、予め記憶しておいたアプローチ・アウェイ経路をユーザが選択し、この選択したアプローチ・アウェイ経路により多軸アームロボットが軟質加工物に対してアプローチまたはアウェイを行う。これにより、その都度、多軸アームロボットに対するティーチング作業を行う必要がなく、ロボット作業に不慣れなユーザでも、簡単な手順により軟質加工物との干渉を防止できる。
【0011】
つぎの発明によるモデル加工方法は、上記構成において、更に、上記アプローチ・アウェイ選択ステップは、加工の障害物が存在するときに実行されることを特徴とする。加工の障害物はデータとして保持されていないことが多いため、ユーザによる目視によってアプローチ・アウェイ経路を簡単に設定する必要があり、上記発明は係る場合に特に有効となる。
【0012】
つぎの発明によるモデル加工システムは、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一部分の形状を取得する形状取得手段と、取得した軟質加工物の形状を反転させる反転手段と、当該反転形状の加工パスを生成する加工パス生成手段と、軟質加工物に対する多軸アームロボットのそれぞれ異なるアプローチ経路またはアウェイ経路を複数記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶した複数のアプローチ経路またはアウェイ経路から特定のアプローチ経路またはアウェイ経路を選択する選択手段と、生成した加工パスおよび選択したアプローチ・アウェイ経路に従って前記軟質加工物の別部分を先端に設けた加工手段により加工する前記多軸アームロボットとを備えたものである。
【0013】
つぎの発明によるモデル加工システムは、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一側面の形状を取得する形状取得手段と、取得した軟質加工物の形状を点群データにより取得し、この点群データからSTLデータを取得する曲面形状取得手段と、STLデータにより表現した曲面を反転する反転手段と、当該反転させた形状の加工パスを生成する加工パス生成手段と、軟質加工物に対する多軸アームロボットのそれぞれ異なるアプローチ経路またはアウェイ経路を複数記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶した複数のアプローチ経路またはアウェイ経路から特定のアプローチ経路またはアウェイ経路を選択する選択手段と、生成した加工パスおよび選択したアプローチ・アウェイ経路に従って前記軟質加工物の反対側面を先端の加工手段により加工する前記多軸アームロボットとを備えたものである。
【0014】
更に、上記モデル加工方法およびモデル加工システムは、次の構成を含んでいる。
【0015】
即ち、上記第一のモデル加工方法は、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一部分の形状を取得する形状取得ステップと、取得した軟質加工物の形状を反転させる反転ステップと、当該反転形状の加工パスを生成する加工パス生成ステップと、生成した加工パスに従って前記軟質加工物の別部分を多軸アームロボット先端の加工手段により加工する加工ステップとを含んでいる。
【0016】
この構成では、まず、ハンドワークにより加工した一部分の形状を取得し、これを反転することで反転形状を取得する。そして、反転形状の加工パスを生成して当該加工パスに従って軟質加工物の加工を行う。加工は、多軸アームロボットの先端に設けた加工手段により行う。これにより、デザイナーは、クレイ等の軟質加工物の一部のみをデザインすれば、これの反転形状については多軸アームロボットにより自動的に加工することになるので、モデルの反転形状部分の成形時間を大幅に短縮できる。この結果、クレイモデル等のモデル製作を正確且つ短時間で行える。ここで、前記一部分の形状の取得は、ステレオカメラやタッチプローブ等により行うのが好ましい。また、前記一部分および別部分は、必ずしも互いに境界線を共有している必要はない。即ち、モデルの一部分、例えば自動車のミラーのみを反転させて加工するようにできる。なお、上記反転は、前記反転形状が前記取得形状に対して鏡像となるように反転することを意味する。
【0017】
また、上記第二のモデル加工方法は、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一側面の形状を点群データにより取得する形状取得ステップと、取得した軟質加工物の形状を表す点群データからSTL(Stereo Lithography Language)データを取得する曲面形状取得ステップと、STLデータにより表現した曲面を反転する反転ステップと、当該反転させた形状の加工パスを生成する加工パス生成ステップと、生成した加工パスに従って前記軟質加工物の反対側面を多軸アームロボット先端の加工手段により加工する加工ステップとを含んでいる。
【0018】
STLは、曲面を三角パッチの集合体として表現したものであり、データ構造が簡単である。このSTLデータは、取得した点群データから自動かつ簡易に変換が可能であり、曲面を張る場合に比べて、処理が簡易且つ高速で行える利点がある。特に複雑な形状のモデルの場合、処理量が膨大になるが、点群データをSTLデータに変換し、これにより表現した曲面から加工パスを生成するようにすれば、短時間で処理が可能となる。これにより、ハンドワークにより複雑な形状を加工しても加工パスの生成までの時間を短縮できる。この結果、モデルの反転形状部分の成形時間を大幅に短縮できるので、モデル製作を正確且つ短時間で行える。
【0019】
また、上記第一のモデル加工システムは、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一部分の形状を取得する形状取得手段と、取得した軟質加工物の形状を反転させる反転手段と、当該反転形状の加工パスを生成する加工パス生成手段と、生成した加工パスに従って前記軟質加工物の別部分を先端に設けた加工手段により加工する多軸アームロボットとを含んでいる。
【0020】
この構成では、まず、形状取得手段によりハンドワークを施した一部分の形状を取得し、反転手段により取得した形状を反転する。当該反転は、前記反転形状が前記取得形状に対して鏡像となるように反転することを意味する。そして、この反転した形状から加工パスを生成し、この加工パスに基づいて多軸アームロボットにより別部分の加工を行う。なお、前記一部分と別部分とは境界線を共有する必要はない。これにより、ハンドワークによりデザインした形状の反転形状を短時間で軟質加工物に反映できるので、この反転形状部分の成形時間を大幅に短縮できる。この結果、クレイモデル等のモデル製作を正確且つ短時間で行える。また、多軸アームロボットに加工手段を設けて軟質加工物の加工を行うようにすれば、軟質加工物の移動を殆ど行うことなく加工できるので、モデル加工作業が効率化される。前記加工手段としては、ドリル、エンドミル、レーザ加工ヘッド、カッター等の各種形状の加工に適したものを選択できる。
【0021】
また、上記第二のモデル加工システムは、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一側面の形状を取得する形状取得手段と、取得した軟質加工物の形状を点群データにより取得し、この点群データからSTLデータを取得する曲面形状取得手段と、STLデータにより表現した曲面を反転する反転手段と、当該反転させた形状の加工パスを生成する加工パス生成手段と、生成した加工パスに従って前記軟質加工物の反対側面を先端の加工手段により加工する多軸アームロボットとを含んでいる。
【0022】
STLデータは曲面を三角パッチの集合として表現し、データ構造が簡単で点群データから自動かつ簡易に変換が可能である。また、曲面を張る場合に比べて処理が簡易且つ高速で行えるので、複雑形状のモデル加工に適している。このため、ハンドワークにより複雑な形状を加工しても加工パス生成までの時間を短縮できる。この結果、モデルの反転形状部分の成形時間を大幅に短縮でき、モデル製作を正確且つ短時間で行える。
【0023】
更に、上記モデル加工方法およびモデル加工システムには、以下の発明を含めることができる。いずれも、上記ロボット作業に不慣れなユーザでも、簡単な手順により軟質加工物との干渉を防止できることとの相乗効果により、このモデル加工方法およびモデル加工システムの有用性を向上させるものである。
【0024】
つぎのモデル加工方法は、上記構成において、更に、ハンドワーク作業側から前記形状を取得し、更に前記多軸アームロボットを軟質加工物のハンドワーク作業側と反対側に設置し、加工物の設置位置を変えることなく前記全ステップを進めるものである。
【0025】
比較的重量の有る軟質加工物では、多軸アームロボットの位置を変えることなくモデルを加工できれば、作業性を向上できる。特に、軟質加工物により製作するモデルが例えば大型モーターサイクルや自動車などの比較的大きなものである場合に有用である。
【0026】
つぎのモデル加工方法は、上記構成において、更に、前記軟質加工物の別部分が前記多軸アームロボットの配置位置に向くように所定角度回転させ、前記加工ステップにおける反転形状の加工を行うものである。
【0027】
例えば作業スペースに余裕がない場合、軟質加工物を回転させることで前記別部分を多軸アームロボットの配置位置に向かせ、加工を行う。これにより、多軸アームロボットの配置位置に制約がある場合でもモデルの加工を行うことができる。
【0028】
つぎのモデル加工方法は、上記構成において、前記加工ステップは、夜間、早朝その他のユーザにより指定された時間内に行われるものである。
【0029】
加工ステップにおける軟質加工物の加工にはある程度の時間がかかるので、加工後に再びハンドワークを行う場合等は、ユーザが加工終了まで待っていなければならない。そこで、この発明では、ユーザが指定した時間内に加工ステップを行うようにし、作業の効率化を図るようにしている。例えば、ユーザが業務終了した後、夜間に加工ステップを実行することにより、次の業務日には直ぐにハンドワークに移ることができる。
【0030】
つぎのモデル加工方法は、上記構成において、前記形状取得ステップから加工ステップを経た後、前記加工手段により加工した別部分の反転形状を取得する反転形状取得ステップと、再度のハンドワークを行った後における前記軟質加工物の前記一部分の形状を取得する形状再取得ステップと、この再取得した形状と前記反転形状とを比較する比較ステップと、再取得した形状と前記反転形状とを比較した結果から加工パスを再び生成する加工パス再生成ステップと、再生成した加工パスに基いて、前記軟質加工物の別部分を多軸アームロボット先端の加工手段により再加工する再加工ステップとを行うものである。
【0031】
即ち、この発明では、形状再取得ステップによりハンドワークを更に加えた軟質加工物の形状を取得し、このハンドワーク後の形状と反転形状との違いを比較して取得し、その違いに基づいて加工パスを再生成し、再加工を行う。これにより、例えば繰り返しハンドワークを行う場合でも手を加えた部分のみ、加工パスを生成すれば済むので、処理が効率的である。また、再加工ステップでは、切削加工のほか肉盛り加工を行うようにすれば、より効率的にモデルの加工を行える。この結果、モデル加工の作業効率を向上できる。
【0032】
つぎのモデル加工方法は、上記構成において、更に、前記加工ステップには、加工パスに基いて軟質加工物に肉盛りを行う肉盛りステップが含まれるものである。
【0033】
前記肉盛りの材料は、軟質加工物と同種類或いは類似種類のものを用いることができ、好ましくは加熱することで流動状態となり常温で硬化する性質を持つものを用いるのが良い。なお、通常の軟質加工物を切削加工するステップと、肉盛りのステップを組み合わせて用いることで、ハンドワークによる切削および肉盛りを反転形状に自動的に反映できる。このため、モデル加工の作業効率が極めて向上する。
【0034】
つぎのモデル加工装置は、上記構成において、軟質加工物のハンドワークを行う一方側に前記形状取得手段が配置され、反対側に前記多軸アームロボットが配置されるものである。
【0035】
この発明では、当該ハンドワーク作業側に配置した形状取得手段によりハンドワーク後の形状を取得する。取得した形状は反転され、その反転形状に基づいて加工パスが生成される。ハンドワーク作業側と反対側に設置した多軸アームロボットは、前記加工パスにしたがって反転形状の加工を行う。このようにすれば、軟質加工物を移動させる必要がないので、モデル加工の作業効率が向上する。特に大きさ重量とも大きくなる傾向にある、自動車や大型モーターサイクル等のクレイモデルにおいて有用である。
【0036】
つぎのモデル加工装置は、上記構成において、更に、軟質加工物を載置して回転する回転テーブルを備え、この回転テーブルの周囲に前記形状取得手段および多軸アームロボットを配置したものである。
【0037】
回転テーブルにより軟質加工物を回転させることで、その周囲に配置した形状取得手段、或いは多軸アームロボットに対してハンドワーク側の反対側(加工側)を向けることができる。従って、ハンドワークの作業者の位置、形状取得手段および多軸アームロボットの設置位置の自由度が高まる。即ち、これらを所望の位置に設置できれば、トラックのコンテナ内等の狭い作業場等の場合でも当該モデル加工システムを設置することが可能となる。具体例としては、ハンドワーク作業者、形状取得手段および多軸アームロボットが殆ど同じ位置に配置されていても、回転テーブルを回転させることで軟質加工物のハンドワークの反対側を形状取得手段および多軸アームロボットに向けさせることができる。なお、回転テーブルには、位置決め機能を設けるようにするのが好ましい。
【0038】
つぎのモデル加工装置は、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一部分の形状を取得する形状取得手段と、取得した軟質加工物の形状を反転させる反転手段と、当該反転形状の加工パスを生成する加工パス生成手段と、生成した加工パスに従って前記軟質加工物の別部分を先端に設けた加工手段により加工すると共に、前記形状取得手段を先端に設けた多軸アームロボットと、多軸アームロボットと前記軟質加工物とを相対移動させる移動手段とを備えたものである。
【0039】
即ち、この発明では、加工手段と共に形状取得手段を多軸アームロボットの先端に設け、形状取得手段によりハンドワークにより加工を施した一部分の形状を取得した後、移動手段により多軸アームロボットと軟質加工物を相対移動させて前記別部分が多軸アームロボットに向かって位置するようにし、当該多軸アームロボット先端の加工手段により反転形状の加工を行うようにするものである。このようにすれば、モデル加工システムの設置場所を小さくできるので、狭い場所でもモデル加工を行える。
【0040】
つぎのモデル加工装置は、上記構成において、更に、前記多軸アームロボットの先端の制御軸に当該軸を中心として回転する工具を設けた切削加工手段を有するものである。
【0041】
多軸アームロボットの先端の制御軸に回転工具を取り付けることで切削加工手段とすれば、多軸アームロボットを加工機として用いることができる。ここで用いる工具は、ドリルやエンドミルの他、シェーパー等の工具でもよい。制御軸に取り付けることで工具の姿勢を制御することもできるため、多種類の加工を行うことができる。
【0042】
つぎのモデル加工装置は、上記構成において、前記加工手段は、流動状態とした前記軟質加工物と同素材または類似素材を先端から繰り出し、当該軟質加工物の表面に肉盛りを行う肉盛り手段を有するものである。
【0043】
ハンドワークによりモデル加工をおこなう場合、切削することもあれば、肉付けしたいこともあり、作業者がハンドワークにより肉付けした場合、この肉付けに対応する反転形状の部分に、前期肉盛り手段により肉盛りするようにする。このようにすれば、モデル加工の作業性が向上する。また、ハンドワーク側でも、作業者自らが肉付けするのではなく、この加工手段を用いて肉盛りすることもできる。なお、流動状態となって軟質加工物の表面に肉盛りするには、素材が加熱により軟化するものであったり、化学反応により流動状態となった後、固化するものであってもよい。
【0044】
つぎのモデル加工装置は、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一部分の形状を取得する形状取得手段と、取得した軟質加工物の形状を反転させる反転手段と、当該反転形状の加工パスを生成する加工パス生成手段と、前記形状取得手段、軟質加工物を切削加工する切削加工手段、及び必要により軟質加工物の表面に肉盛りを行う肉盛り手段、から何れかを選択して把持するハンドを有し、前記形状取得手段を把持して所定位置に移動すると共に、前記生成した加工パスに従って前記軟質加工物の別部分を切削加工手段または肉盛り手段により加工する多軸アームロボットと、多軸アームロボットと前記軟質加工物とを相対移動させる移動手段とを備えたものである。
【0045】
つぎのモデル加工システムでは、軟質加工物にハンドワークを施した後、形状取得手段、加工手段、必要なら肉盛り手段を用いてモデル加工を行う。このため、多軸アームロボットにこれらを選択的に把持して用いるハンドを設け、必要なときに必要な手段を使用できるようにした。また、多軸アームロボットをこのように使用する場合、軟質加工物に対して相対移動させる移動手段により、ハンドワーク側または反転形状側が当該多軸アームロボットに向かうようにする必要がある。
【0046】
つぎのモデル加工システムは、上記構成において、更に、前記移動手段を、軟質加工物を載置し且つ回転方向で位置決め可能である回転テーブルとしたものである。
【0047】
軟質加工物を回転できると、前記多軸アームロボットの設置位置に自由度が生まれる。即ち、ハンドワーク側の反対側に多軸アームロボットが配置されなければならない場合、システムの設置スペースが大きくなるが、回転テーブルを用いて軟質加工物を所定角度回転できれば、多軸アームロボットの設置位置はハンドワーク側の反対側でなくてもよい。このため、コンテナやアトリエのような狭いスペースであっても、モデル加工システムを設置できる。
【0048】
つぎのモデル加工システムは、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一部分の形状を取得する形状取得手段と、取得した軟質加工物の形状から当該形状を反転させた別部分の形状を生成し、この別部分の形状に前記取得した一部分の形状に加えることで加工後のモデル全体の3次元画像を生成する3次元画像生成手段と、生成したモデルの3次元画像を表示する表示手段とを備えたものである。
【0049】
ハンドワークにより創作したデザインを反転させて全体を作り上げる前、画面上で全体を視認できれば便利である。そのために、ハンドワークにより加工した一部分の形状を取得し、当該形状を反転させると共にこれを前記一部分の形状に加えてモデル全体の3次元画像を生成する。そして、この3次元画像を表示手段により表示し、デザイナー等の作業者の参考とする。これにより、実際の加工の前段階でモデル全体のデザインを検討する機会が与えられることになる。作業者は、この3次元画像を見て、実際に加工パスを生成して加工を行うか否かを決定すればよい。
【0050】
つぎのモデル加工システムは、上記構成において、上記モデル加工システムは、製品のクレイモデル、人形モデル等の対称性のある品物を加工対象とするものである。
【0051】
上記モデル加工システムは、ハンドワークにより製作した後、反転形状を自動的に加工するため、対称性のある品物の加工に好適である。
【0052】
つぎのモデル加工システムは、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一部分の形状を取得し、その形状から当該形状を反転させた別部分の形状を得ると共に、前記一部分の形状と別部分の形状とを合わせてモデル全体の形状を取得する全体形状取得手段と、当該全体形状の加工パスを生成する加工パス生成手段と、生成した加工パスに従って前記軟質加工物を先端に設けた加工手段により加工する多軸アームロボットとを備えたものである。
【0053】
モデルの全体形状を取得して、当該全体形状の加工パスを生成し、この加工パスにしたがって軟質加工物を加工することで、モデル全体を自動的に加工できる。この発明では、ハンドワークにより加工した一部分の形状を取得すれば、その形状からモデル全体の形状を生成できるのであり、通信手段を介して前記一部分の形状を取得してもよいし、可般記憶手段を介して前記一部分の形状を取得してもよい。このようにすれば、遠隔地においてハンドワークで加工したデザインからモデル全体を加工できる。
【0054】
つぎのモデル加工用プログラムは、コンピュータに、モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一部分の形状を取得する形状取得機能と、取得した軟質加工物の形状から当該形状を反転させた形状であり、且つ前記軟質加工物の別部分を多軸アームロボット先端の加工手段により加工するための加工パスを生成する加工パス生成機能と、を実現させるためのものである。
【0055】
つぎのモデル加工方法は、上記加工ステップでは、多軸アームロボットに設けた位置測定用のマニピュレーターと、加工パスを生成するCAMシステムのレイアウトマシンとの両方により、前記軟質加工物の複数点を取得し、マッチング法により軟質加工物と多軸アームロボットとのキャリブレーションを行うものである。
【0056】
軟質加工物の複数点を基準として軟質加工物と多軸アームロボットとのキャリブレーションを行うので、軟質加工物と多軸アームロボットとの設置を自由に行うことができる。この結果、モデル加工の作業効率を向上できる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者により置換可能で且つ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0058】
(実施の形態1)
まず、この発明の前提となるモデル加工システムについて説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るモデル加工システムを示す構成図である。図2は、図1に示したモデル加工システムのCAD・CAM装置を示すブロック図である。このモデル加工システム100は、6軸制御の多軸アームロボット1と、モーターサイクル等のクレイモデルMの一側面側の形状を取得するカメラ2と、クレイモデルMの形状を点群データとして認識し、この点群データを三角パッチにより構成するSTLデータに変換する3次元CAD装置3と、3次元CAD装置3のCADデータから加工パスを生成するCAM装置4と(CAD装置およびCAM装置を合わせてCAD/CAM装置5とする)、クレイモデルMの3次元形状や加工パスを表示し、多軸アームロボット1のプログラミング等を行うコンピュータ装置6と、多軸アームロボット1のドライブユニット7とを有している。
【0059】
カメラ2は、2つのレンズを備えることで遠近感を測定することが可能であり、それぞれのレンズの焦点や露出を制御するカメラコントローラー21を有する。カメラ2は、高さ調整できる設置台22に設置され、且つクレイモデルMのハンドワーク側に配置される。CAD/CAM装置5には、生成した3次元形状を表示するLCDディスプレイ等の表示手段50が設けられている。
【0060】
多軸アームロボット1は、先端にクレイモデルMを切削するドリル等の工具11を備えており、前記クレイモデルMに対してハンドワーク側と反対側に配置される。ハンドワークにより形成した形状を当該ハンドワーク側の反対側に転写形成するためである。即ち、多軸アームロボット1の位置は、ハンドワークの反対側に反転形状を転写加工できる位置であればよく、常時ハンドワーク側と反対側に位置していなくても、加工の際に位置していれば良い。また、クレイモデルMと離れて設置していても、多軸アームロボット1の工具類がハンドワーク側と反対側の領域に位置できれば良い。
【0061】
また、本システムにおけるクレイモデルMの切削は、金属の切削加工に比べて加工機の剛性を比較的低く設定できるので、多軸アームロボット1を軽量化し、コンパクト化できる。具体例としては、本願出願人により販売提供される「可搬式汎用知能アームPA−10」が好適である。通常であれば最も重量物となる多軸アームロボット1が軽量化されると、モデル加工システム自体の搬送が可能になる。例えば車両のコンテナに当該モデル加工システムを収納して搬送できる。
【0062】
具体的には、多軸アームロボット1の先端には、図7に示すように、筐体12内に収納したモータ13の回転軸14にドリル等の加工工具を取り付けるホルダ15が設けられており、このホルダ15に対して複数種類の工具11が取り付けられる。複数径のドリル、シェーパー、エンドミル等の工具が用いられる。ホルダ15は、スピンドル軸に限らず、多軸アームロボット1に第7軸となる制御軸を設け、この制御軸にホルダ15を取り付けても良い。
【0063】
また、コンピュータ装置6には、HDD等の補助記憶装置にロボット言語によりプログラミングされた所定のプログラムが格納されている。コンピュータ装置6は、CAD/CAM装置5の加工パスに従って多軸アームロボット1に所定の命令を出して動作の制御を行う。なお、コンピュータ装置6にて、図示しないティーチングボックス等からの入力により多軸アームロボット1の位置の教示を行うこと等が可能である。また、コンピュータ装置6は、例えば汎用のパーソナルコンピュータに多軸アームロボット1の運動制御用CPUボードを組み込んで簡単に構成できる。
【0064】
図2を参照してCAD/CAM装置5の機能を説明すると、このCAD/CAM装置5は、カメラ2により取得した画像からハンドワーク後のクレイモデルMの曲面形状を取得する曲面形状取得部51と、曲面形状取得部51により取得したクレイモデルMのハンドワーク後の形状をクレイモデルMの反対側に実現するために必要となる反転形状を得る反転形状取得部52と、クレイモデルMのハンドワーク側の実際の曲面形状と当該曲面形状の反転形状とを合成してクレイモデルMの3次元画像を生成する3次元画像生成部53と、曲面形状から加工パスを生成する加工パス生成部54と、多軸アームロボット1とクレイモデルMとの位置関係を校正するキャリブレーション実行部55と、多軸アームロボット1のアプローチ・アウェイ経路を選択するアプローチ・アウェイ経路選択部500とを備えている。なお、上記図1では、CAD装置、CAM装置を別のハードウエアとして説明したが、図2に示したように単一の汎用コンピュータにCAD/CAM装置5の各機能を実現するためのプログラムをインストールして構成することもできる。また、CAD/CAM装置5には、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナ等の入力装置57が設けられている。
【0065】
反転形状取得部52は、後に詳述するがクレイモデルMの表面を実際にカメラ2により測定して当該クレイモデルMのハンドワーク側の曲面形状を点群データとし、この点群データを反転した後、この反転した点群データから三角パッチを形成し、当該三角パッチにより反転形状の曲面を表現する。
【0066】
図3は、このモデル加工システムの動作を示すフローチャートである。まず、ユーザは、加工するクレイモデルMに対してその一方側にカメラ2を設置し、その反対側に多軸アームロボット1を設置する。設置位置は、多軸アームロボット1の加工領域の範囲内であれば、厳密に位置合わせする必要はない。この設置状態か或いはその前に、ユーザは、クレイモデルMに対してへらや型等を用いて手を加えつつデザインを行う(ハンドワーク)。このデザインは、通常、デザインCAD等により大まかには決定されているので、まず決定済みのデザインに係るクレイモデルMを作成し、このクレイモデルMに対してハンドワークを加えることになる。そして、曲面形状取得部51は、クレイモデルMのうち、カメラ2によりハンドワークを加えた側の形状を撮影する(ステップS1)。
【0067】
カメラ2により撮影した画像データはCAD/CAM装置5に送られ、図4に示すような点群データとして取得される(ステップS2)。なお、ここでは点群データを取得する方法として立体視できるカメラ2を用いたが、タッチプローブによりクレイモデルMの表面の多数の地点を測定することで取得するようにしても良い。しかしながら、処理速度が速いこと、軟質のクレイに接触しないのでプローブの押し痕をつけないことから、立体視できるカメラ2により点群データを取得するのが好ましい。
【0068】
次に、取得した点群データを反転処理する(ステップS3)。点群データは、3次元のX,Y,Z座標で表現されており、反転の基準面を入力することで簡単に反転処理の計算を行うことができる。続いて、反転した点群データを複数の三角パッチからなるSTLデータに変換する(ステップS4)。図5に、STLデータに変換した三角パッチにより曲面を表現した場合を示す。点群データから三角パッチを生成することは、通常のCAD装置において採られる手法であり、この三角パッチの集合体によりクレイモデルの曲面形状が表現される。こうして得られた反転形状は、クレイモデルMのハンドワーク側の反対側に相当する。なお、反転形状を生成する場合、最初に取得した点群データの状態でSTLデータを生成し、このSTLデータを反転させることで生成するようにしても良い。
【0069】
次に、多軸アームロボット1とクレイモデルMとの設置位置のキャリブレーションを行う(ステップS5)。キャリブレーションの手順については、後述する。続いて、加工パスの生成に先立ち、加工条件の設定を行う(ステップS6)。例えば加工に用いる工具、加工方法、加工領域、加工パラメータ等の設定である。勿論、加工に必要なデータは、CAD/CAM装置5の補助記憶装置または外部記憶装置に記憶してある。
【0070】
加工条件の設定が終了したら、反転形状のSTLデータに基づいてCAD/CAM装置5の加工パス生成部54がクレイモデルMの加工パスを生成する(ステップS7)。図6は、生成した加工パスの一例を示す説明図である。また、加工パスを実行する際の多軸アームロボット1の軌道データを生成する(ステップS8)。即ち、ハンドワーク側と反対側を多軸アームロボット1のみで且つロボット自体が移動することなく加工を行うので、クレイモデルMの形状によってはアームが干渉する場合があり、それ故にアームの干渉を防止するような軌道を生成する必要がある。具体的な手段については、後述する。
【0071】
生成した加工パスは、CAD/CAM装置5からコンピュータ装置6に送られ、コンピュータ装置6は加工パスに従って多軸アームロボット1のロボット言語に基づいて指令を出す。ドライバユニット7は、コンピュータ装置6の指令に従い、多軸アームロボット1を駆動し、クレイモデルMの加工を行う(ステップS9)。多軸アームロボット1によりハンドワーク側と反対側を加工することで、クレイモデルMはハンドワーク形状を反対側に転写した状態となる。また、この転写した状態で表示手段50により表示した3次元画像と同一の形状となり、ユーザは実物大のクレイモデルMを実際に認識できる。
【0072】
なお、上記説明ではドリルによる切削用の加工パスを生成したが、肉盛り用の加工パスを別途生成して、肉盛り加工を行うこともできる。肉盛り加工を行う場合は、肉盛り加工用のヘッドを多軸アームロボット1の先端に設置するようにする。肉盛り加工用のヘッドについては後述する。
【0073】
次に、ユーザは、実際に加工した後のクレイモデルMを参照して、デザイン作業を終了するか否かを決定する(ステップS10)。リデザインを行う必要がある場合は、再びハンドワークによりクレイモデルMの片側の成形を行う(ステップS11)。このハンドワークによりクレイモデルMのハンドワーク側の形状が変更されることになるので、上記ステップS1〜ステップS9を再び実行し、ハンドワーク形状の反転形状を転写する。
【0074】
ここで、ハンドワークにより修正した部分が一部である場合、当該部分のみの加工パスを生成するようにしてもよい。即ち、図8のフローチャートに示すように、CAD/CAM装置5によりハンドワークで形成した形状と、前回のハンドワークで形成した形状とを点群データとして比較し(ステップS12)、リデザインした今回のハンドワークにより修正した部分を抽出する(ステップS13)。より具体的には、CAD/CAM装置5の曲面形状取得部51により今回修正したクレイモデルの形状を点群データとして取得し、今回の修正形状の点群データと前回の形状の点群データとを逐次比較し(比較部56)、異なるデータを抽出する。そして、データを反転してSTLデータを生成し、このSTLデータで表現された反転形状に基づいて加工パスを生成する。このときキャリブレーションの必要性および加工条件設定に変更があるか否か判断する(ステップS14)。このように処理することで、余分な加工パスを生成して無駄にクレイモデルMの表面をトレースするのを防止できるから、リデザイン時の反転形状の加工時間を短縮できる。特に、クレイモデルMの製作は何度もリデザインを行うのが常であるから、係る処理方法が加工時間の短縮には極めて好適である。
【0075】
以上のように、ハンドワークにより形成した形状を取得してこれを反転させ、その反転形状の加工パスに基づいてハンドワーク側と反対側を転写加工するようにすれば、作業時間を極めて短縮でき、形状転写の高度の技能を作業者に要求する必要がなく、正確な転写加工が可能になる。
【0076】
次に、アプローチ・アウェイ選択部の動作について説明する。まず、アプローチ・アウェイ選択部500は、ユーザにより予め用意された複数のアプローチ・アウェイ経路を記憶した記憶部501を有している。アプローチ・アウェイ選択部500では、ユーザが入力手段57により特定のアプローチ・アウェイ経路に係る画面上のボタン等を選択入力することで、使用する当該アプローチ・アウェイ経路を選択する。図9は、アプローチ・アウェイ経路の選択についての説明図である。クレイモデルMの表面形状によっては、多軸アームロボット1をそのまま加工パスの始点に移動させるとクレイモデルMと干渉する場合があるので、ユーザは予め記憶されているアプローチ・アウェイ経路を参照して、クレイモデルMとの干渉が起こらないと考えられるアプローチ・アウェイ経路を選択する。選択は、入力手段57により特定のアプローチ・アウェイ経路を指定することで行う。具体例としては、表示手段50にアプローチ・アウェイ経路が表示され、ユーザはこの画面を参照して特定のアプローチ・アウェイ経路を選択する。例えば、画面に表示されているアプローチ・アウェイ経路をクリックすることで選択する。
【0077】
また、上記アプローチ・アウェイ経路は、予めダイレクトティーチングまたはリモートティーチングにより複数設定しておき、これを記憶部501に記憶させておく。記憶部501に記憶したアプローチ・アウェイ経路は、ティーチングをし直すことにより変更できる。アプローチ・アウェイ経路の表示装置50への表示形態は、多軸アームロボット1とクレイモデルMとを斜視図或いは三面図により表示した上で複数の経路を番号を付けて表示しても良い。このようにアプローチ・アウェイ経路選択部により、難しいティーチング作業は専門家により最初に行うのみで、その後はユーザがアプローチ・アウェイ経路を選択することで簡単に設定できる。
【0078】
同図に示す例では、複数のアプローチ・アウェイ経路(1)〜(n)が用意されており、クレイモデルMの一部を加工するにあたり、その中からクレイモデルMとの干渉が起きないと考えられる特定のアプローチ経路(例えばアプローチ経路(3))を選択する。これに対して、アプローチ経路(1)はクレイモデルMとの干渉を起こすので、選択しないようにする。選択したアプローチ経路は、上記生成した加工パスと合成されてコンピュータ装置6に送られる。アウェイ経路についても、同様に複数用意されており、ユーザが任意に選択できる。通常はアプローチ経路とアウェイ経路とは同じ経路となるが(同図(1)〜(n))、加工後の形状や加工パスの終点が異なる場合は、別の経路とする。また、図示しないが、クレイモデルMと多軸アームロボット1との間または近傍に障害物が存在する場合にも、ユーザは、当該障害物を回避するようにアプローチ・アウェイ経路を選択できる。即ち、アプローチ・アウェイ経路の選択は、クレイモデルMの形状やその周囲の障害物によってユーザが任意に選択でき、これによりユーザがロボット操作に不慣れな場合でも簡単にアプローチ・アウェイ経路の設定できる。特に、アプローチ・アウェイ経路をCAD/CAM装置5により自動選択することなく、ユーザにより選択することで、CAD/CAM装置5上にデータとして存在しない障害物を回避するのに有用となる。
【0079】
図10は、別のアプローチ・アウェイ経路の例を示す説明図である。同図(a)では、階段状のクレイモデルMを例とし、当該クレイモデルMに干渉しないようなアプローチ経路(1)をユーザにより選択し用いる。このアプローチ経路(1)は、クレイモデルMの高い部分を回避して先端の工具を低い部分までアプローチするものである。これに対して、例えばアプローチ経路(2)のように単純に旋回動作したアプローチを行うと、クレイモデルMに干渉するので、選択しないようにする。この場合は、クレイモデルMと多軸アームロボット1との干渉を問題としているので、CAD/CAM装置5の有するクレイモデルMのデータとアプローチ経路のデータとを比較することで干渉チェックを行うこともできる。また、同図(b)のように、多軸アームロボット1の近傍に障害物Sがある場合、アプローチ経路(2)のように上腕1aと下腕1bとを障害物側に曲げるとき、当該障害物Sに干渉するおそれがあるので、上腕1aと下腕1bとが障害物側と反対側に曲がるようなアプローチ経路(1)を選択する。
【0080】
また、上記実施の形態では、加工対象物であるクレイモデルMを動かすことなく、ハンドワーク側から形状を取得し、その反転形状をハンドワーク側と反対側から転写加工しているが、図11に示すように、クレイモデルMを回転テーブル8に載せ、ハンドワーク側でクレイモデルMをデザインし且つ形状を取得した後、回転テーブル8を180度回転させ、ハンドワーク側から反転形状の転写加工を行うようにしてもよい。この場合、カメラ2と多軸アームロボット1は、ハンドワーク側に設置する。また、多軸アームロボット1は、移動用のパレット81に設置してレール82に沿って移動できるようにするのが好ましい。その際、回転テーブル8は、太鼓形状とするのが好ましい。回転テーブル8の辺部分8aを以って多軸アームロボット1をクレイモデルMに近接できる。
【0081】
さらに、上記回転テーブル8には、回転角度の位置決め装置83を設けるのが更に好ましい。位置決め装置83は、例えば回転テーブル8の側面に設けた角度の目盛84と、回転テーブル8を固定するクランプ装置85とから構成してもよい。回転角度の位置決めを行うことで、クレイモデルMを回転させた場合に多軸アームロボット1との相対位置を校正するためのキャリブレーションを行う必要がなくなる。また、クレイモデルMのハンドワークと反対側を加工する場合において、クレイモデルMを動かすときは、回転テーブル8以外の移動手段を採用できる。例えば円弧状のレール上でテーブルを動かすようにしてもよい(図示省略)。
【0082】
この場合、カメラ2は、多軸アームロボット1の先端に取り付けることもできる。このようにすれば、カメラ2の設置台を省略できる。また、クレイモデルMの形状が複雑な場合でも、カメラ2のアングルを自由に変更できるので、ハンドワークによる形状を完全に取得できる。
【0083】
上記肉盛り装置9は、図12に示すように、先端からクレイを出す肉盛りヘッド91と、肉盛り用のクレイを搬送する搬送管92と、クレイを溜めておくタンク93とを有する。クレイは、タンク93内に乾燥した粉末の状態で貯留されている。搬送管92の端部にはポンプ94が設けられ、係るポンプ94によりタンク93から肉盛りヘッド91まで粉末状のクレイが強制的に搬送される。肉盛りヘッド91は一時的に乾燥粉末のクレイを溜める貯留部95を備え、更に貯留部95に水を導入する水供給装置96を備える。また、貯留部95には、簡易の撹拌インペラが設けられており(図示省略)、粉末状のクレイを貯留部95に溜めた状態で、水供給装置96から貯留部95内に水を入れ、クレイがある程度の流動状態となったとき、肉盛りヘッド91の先端ノズル97からポンプ等の図示しない繰り出し手段により繰り出す。
【0084】
なお、肉盛り装置9は、上記構成に限定されない。即ち、多軸アームロボット1の先端に肉盛りヘッド91から流動状態としたクレイを加工対象であるクレイモデルMの表面に被着させることができれば、どのような構成を用いてもよい。また、樹脂材料によりモデルを製作する場合は、樹脂粉末を溶融させるヒーター等を肉盛りヘッド91内に設け、溶融した樹脂を肉盛りヘッド91から繰り出すようにすればよい。更に、肉盛りヘッドを溶射ガンのような構成とし、加熱した樹脂をモデル表面に溶射するようにしてもよい。
【0085】
また、図13に示すように、多軸アームロボット1の先端にハンド101を設け、このハンド101により各種の加工工具や肉盛りヘッド、カメラ等を選択して把持し、加工を行うようにしてもよい。具体的には、符号103がドリルヘッド、符号104がカメラヘッド、符号105が肉盛りヘッド、符号106が塗装ヘッドである。ドリルヘッド103や肉盛りヘッド104は、近傍に設置したストッカにストックしておく。ハンド101は、ハンド101に設けたモータまたはシリンダー等のアクチュエータにより動作し、コンピュータ装置の命令により制御される。一方、加工工具11等には、ハンド101により把持するための把持部102が設けられている。ハンド101は、各ヘッドの把持部102を把持固定し、加工を行う。
【0086】
次に、クレイモデルMに色彩を施す場合、この色彩を反対形状に転写するのは、切削加工の場合と同様に極めて手間のかかる作業である。この発明では、ハンドワーク形状に着色した場合、カメラ2によりハンドワーク側の色を取得し、この着色位置を反転させて反転着色情報を取得し、当該反転着色情報に基づいてクレイモデルMの反対形状を着色するようにしても良い(図示省略)。これらの処理は、CAD/CAM装置5、コンピュータ装置6により行う。また、着色作業は、多軸アームロボット1の先端で把持する塗装ヘッド106により行うことができる。より具体的には、反転形状のSTLデータに基づき、塗装に必要な加工条件を設定し、塗装用の加工パスを生成する。そして、この加工パスに従い多軸アームロボット1を制御し、先端に把持した塗装ヘッド106により自動的に塗装を行う。このようにすれば、クレイモデルMに着色する必要がある場合でも、クレイモデルMの半分に着色を行うことで残りの半分を自動的に着色できるから、作業時間を短縮でき、且つ色を正確に転写できる。
【0087】
また、多軸アームロボット先端のドリルヘッド103と肉盛りヘッド105とを併用した場合は、次のような加工が可能である。図14は、工具と肉盛りヘッドとを併用した場合の加工例を示す説明図である。クレイモデル(同図(a))のハンドワーク側に対し、切削および肉盛りをハンドワークで行うことで所定のリデザインを施した場合(同図(b))、ハンドワークの形状HDをカメラ2で取得して、上記同様にこれを点群データとして取得する。次に、当該新しく取得した点群データを反転して、前回の点群データ(前回の加工時に反転して得た点群データ)とを比較し、切削部分および肉盛り部分を抽出する(同図(c))。例えば(c)に示すように、A部分を切削部分、B部分を肉盛り部分として抽出する(実際には3次元的に抽出する)。
【0088】
そして、抽出した各部分の点群データからSTLデータを生成し、所定の加工条件を設定した後、加工パスを生成する。多軸アームロボットの先端には、図12で示したように、ドリルヘッド103と肉盛りヘッド105とを選択的に用いることができるハンド101が設けられており、このハンド101によりドリルヘッド103を把持し、或いは肉盛りヘッド105に持ち替えて加工を行う。即ち、前記切削部分Aはドリルヘッド103により、前記肉盛り部分Bは肉盛りヘッド105により加工を施し、ハンドワーク側の反転形状を転写する(同図(d))。なお、肉盛りにより寸法精度が著しく低下する場合は、一旦肉盛りを施した後に切削加工を行うようにするのが好ましい。このようにすれば、ハンドワークによるリデザインを自由に行え、且つそのハンドワーク形状の反転形状を正確かつ短時間に転写加工できる。実際のデザインの現場では、切削し過ぎた部分にクレイを追加して再び切削を行うケースが頻繁に起こり得るので、ドリルヘッド103と肉盛りヘッド105との併用はクレイモデルMの製作に好適なものとなる。
【0089】
次に、多軸アームロボットとクレイモデルとの位置関係についてキャリブレーションを行う。第一の方法として、多軸アームロボット1の先端にタッチプローブを設け(ハンドにより把持してもよい)、一方、クレイモデルMの設置台の特定位置にクレイモデルMの座標系の基準となる基準点を設ける。多軸アームロボット1は、この基準点をタッチプローブにより触ることでクレイモデルMに対する位置関係を取得する。そして、マッチング法により多軸アームロボット1の座標系をクレイモデルMの座標系にマッチングさせる。このようにすれば、簡単な計算により多軸アームロボット1とクレイモデルMとの位置関係のキャリブレーションが行える。
【0090】
第二の方法として、3次元測定器によりクレイモデルMの基準点を計測し、多軸アームロボット1の先端に設けたタッチプローブにより同じ基準点を計測し、クレイモデルMと多軸アームロボット1の位置関係を取得し、この双方の位置ずれを算出する。算出した位置ずれは、多軸アームロボット1の座標系に対してキャリブレーションデータとして付加される。このようにすれば、多軸アームロボット1の座標系を基準としてクレイモデルMを設置する必要があったが、クレイモデルMを移動させることなく加工を続行できる。このため、加工後のクレイモデルMにゆがみや歪が生じない。
【0091】
(実施の形態2)
図15は、この発明の実施の形態2に係るモデル加工システムを示す構成図である。このモデル加工システム200は、自動車のクレイモデルMCのような大型のものに適したものであり、多軸アームロボット1を一箇所に固定した場合の加工領域では不足しているとき、多軸アームロボット1をクレイモデルMCに沿って敷設したレール201上を移動させることで加工領域の拡大を図るものである。多軸アームロボット1は、レール201上を移動するテーブル202上に設置される。レール201上の移動は、直動装置により行う。直動装置は、例えばテーブル202にモータおよび減速機を設け、回転軸にギアを設け、レール201に設けたラックとかみ合うようにして構成できる(図示省略)。
【0092】
テーブル202の位置は、センサーにより検出するようにしても良いが、テーブル202にクランプ装置を設けると共にレール201の特定複数位置にマークをつけ、当該テーブル202を任意のマークに合わせて固定するようにするのが経済的である。この他、センサーを用いず、機械的にテーブル202を位置決めできる機構であれば、マークとクランプ装置の組み合わせ以外であっても良い。しかしながら、機械的に位置決めした場合でも、多軸アームロボット1の位置をCAD/CAM装置5が認識する必要がある。例えばユーザが位置を入力するか、または、リミットスイッチのような接触型あるいは超音波センサーのような非接触型のスイッチを各所定位置に設置しておき、このスイッチの出力によりCAD/CAM装置5に位置情報が入力されるようにしても良い。
【0093】
また、同図では、レール201が直線的に配置されているが、クレイモデルMCの周囲に沿って湾曲しても良い(図示省略)。このように、多軸アームロボット1をレール上で移動させることで、簡単な構成により加工領域を拡大できる。また、上記アプローチ・アウェイ選択部500により多軸アームロボット1とクレイモデルMCとが干渉しないようにアプローチ・アウェイ経路を選択できる。
【0094】
(実施の形態3)
図16は、この発明の実施の形態3に係るモデル加工システムを示す構成図である。このモデル加工システム300は、遠隔地のモデル加工システム100A,100B同士を通信回線301により接続した構成である。このモデル加工システム300では、CAD/CAM装置5Aを構成するコンピュータのモデムその他のDCE(データ回線終端装置)302が、電話回線や、LAN、WAN、インターネット等の通信回線301を介して、他のCAD/CAM装置5Bを構成するコンピュータのDCE302と接続されている。各モデル加工システム100A,100Bは、上記実施の形態1または2に記載のものと略同じ構成である。
【0095】
図17は、モデル加工システムの動作を示すフローチャートである。まず、地点Aに存在するモデル加工システム100A側において、ユーザがハンドワークによりクレイモデルMAを成形する(ステップS31)。そして、このクレイモデルMAのハンドワーク側の形状をカメラ2Aにより取得し(ステップS32)、この画像データを圧縮する(ステップS33)。圧縮した画像は、CAD/CAM装置5AのDCE302により変調され、例えばインターネット301を介して、別の場所である地点Bに存在するクレイ加工システム100Bのコンピュータに送信される。画像データを受信したコンピュータでは、圧縮したクレイモデルMAの画像データを解凍し(ステップS34)、CAD/CAM装置5Bの記憶装置に一旦記憶し、当該形状を点群データとして取得する(ステップS35)。
【0096】
次に、CAD/CAM装置5Bでは、この点群データを反転してハンドワーク側のクレイモデルMBの全体形状を生成し、当該点群データをSTLデータに変換する(ステップS36,S37)。これにより、遠隔地においてハンドワークで成形したクレイモデルMAの全体形状を三角パッチにより表現する。次に、地点Bのクレイ加工システム100BのCAD/CAM装置5は、ハンドワークを施していない未加工のクレイと、多軸アームロボット1とのキャリブレーションを行い(ステップS38)、加工条件の設定を行う(ステップS39)。続いて、クレイモデルMBの全体形状を加工するための加工パスを生成し(ステップS40)、多軸アームロボット1の先端の工具により、クレイモデルMBの加工を行う(ステップS41)。これにより、地点Aのハンドワーク形状を反映した、全体形状のクレイモデルMAを地点Bにおいて再現成形できる。
【0097】
また、地点BのCAD/CAM装置5Bにおいて成形した反転形状を地点AのCAD/CAM装置5Aに戻すようにしても良い(ステップS42)。地点BのCAD/CAM装置5では、この反転形状の加工パスからクレイモデルMに転写加工を行う(ステップS43)。また、地点AのCAD/CAM装置5側でも反転形状の加工パスを生成し、クレイモデルMの転写加工を行うようにしても良い。
【0098】
次に、地点Bのリデザインを地点Aのクレイ加工システムに反映することもできる。まず、地点Bにおいて、クレイモデル全体を検討し、当該クレイモデルにハンドワークを施す(ステップS44)。地点Bのクレイ加工システムでは、ハンドワークを施した形状をカメラ2により撮影し、この画像データを圧縮する(ステップS45,S46)。圧縮した画像は、CAD/CAM装置5BのDCE302Bにより変調され、例えばインターネット301を介して、地点Aに存在するクレイ加工システム100Aのコンピュータに送信される。画像データを受信したコンピュータでは、圧縮したクレイモデルの画像データを解凍し(ステップS47)、CAD/CAM装置5Aの記憶装置に一旦記憶し、当該形状を点群データとして取得する(ステップS48)。この後の処理は、上記ステップS36〜ステップS41と同様の処理となる。
【0099】
以上から、このクレイ加工システム300では、通信手段により遠隔地のクレイ加工システム100A,100B同士を接続し、相互のデザインをクレイモデルMA,MBに反映しながら作業できる。このため、デザイナー等が特定の地点に集合する必要がない。例えば、海外に設置したクレイ加工システム100Aと国内に設置したクレイ加工システム100Bとを接続することで、世界規模で共同デザイン開発が可能となる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のモデル加工方法およびモデル加工システムによれば、多軸アームロボットと軟質加工物とのアプローチ・アウェイ時の干渉を簡単な手順により防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るモデル加工システムを示す構成図である。
【図2】図1に示したモデル加工システムのCAD・CAM装置を示すブロック図である。
【図3】このモデル加工システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】点群データの一例を示す概念図である。
【図5】STLデータの一例を示す概念図である。
【図6】加工パスの一例を示す概念図である。
【図7】多軸アームロボットの先端に設けた加工軸の簡略構成図である。
【図8】このモデル加工システムの動作の変形例を示すフローチャートである。
【図9】アプローチ・アウェイ経路の選択についての説明図である。
【図10】別のアプローチ・アウェイ経路の例を示す説明図である。
【図11】モデル加工システムの変形例を示す構成図である。
【図12】肉盛り装置の一例を示す構成図である。
【図13】ハンドによりドリルヘッド等を選択的に把持する場合の説明図である。
【図14】工具と肉盛りヘッドとを併用した場合の加工例を示す説明図である。
【図15】この発明の実施の形態2に係るモデル加工システムを示す構成図である。
【図16】この発明の実施の形態3に係るモデル加工システムを示す構成図である。
【図17】モデル加工システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 モデル加工システム
500 アプローチ・アウェイ経路選択部
501 記憶部
1 多軸アームロボット
2 カメラ
3 3次元CAD装置
4 CAM装置
5 CAD/CAM装置
6 コンピュータ装置
7 ドライブユニット

Claims (5)

  1. モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物をハンドワークにより加工した一部分の形状を取得する形状取得ステップと、
    取得した軟質加工物の形状を反転させる反転ステップと、
    当該反転形状の加工パスを生成する加工パス生成ステップと、
    予め複数記憶しておいた軟質加工物に対する多軸アームロボットのアプローチ経路またはアウェイ経路から特定のものが選択され、その選択されたアプローチ・アウェイ経路を用いるアプローチ・アウェイ選択ステップと、
    生成した加工パスおよび選択したアプローチ・アウェイ経路に従って前記軟質加工物の別部分を多軸アームロボット先端の加工手段により加工する加工ステップと、
    を含むモデル加工方法。
  2. モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物をハンドワークにより加工した一側面の形状を点群データにより取得する形状取得ステップと、
    取得した軟質加工物の形状を表す点群データからSTL(Stereo LithographyLanguage)データを取得する曲面形状取得ステップと、
    STLデータにより表現した曲面を反転する反転ステップと、
    当該反転させた形状の加工パスを生成する加工パス生成ステップと、
    予め複数記憶しておいた軟質加工物に対する多軸アームロボットのアプローチ経路またはアウェイ経路から特定のものが選択され、その選択したアプローチ・アウェイ経路を用いるアプローチ・アウェイ選択ステップと、
    生成した加工パスおよび選択したアプローチ・アウェイ経路に従って前記軟質加工物の反対側面を多軸アームロボット先端の加工手段により加工する加工ステップと、
    を含むモデル加工方法。
  3. 更に、上記アプローチ・アウェイ選択ステップは、加工の障害物が存在するときに実行されることを特徴とするモデル加工方法。
  4. モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一部分の形状を取得する形状取得手段と、
    取得した軟質加工物の形状を反転させる反転手段と、
    当該反転形状の加工パスを生成する加工パス生成手段と、
    軟質加工物に対する多軸アームロボットのそれぞれ異なるアプローチ経路またはアウェイ経路を複数記憶する記憶手段と、
    記憶手段に記憶した複数のアプローチ経路またはアウェイ経路から特定のアプローチ経路またはアウェイ経路を選択する選択手段と、
    生成した加工パスおよび選択したアプローチ・アウェイ経路に従って前記軟質加工物の別部分を先端に設けた加工手段により加工する前記多軸アームロボットと、
    を備えたモデル加工システム。
  5. モデルの素材であるクレイ、樹脂その他の軟質加工物のハンドワークにより加工した一側面の形状を取得する形状取得手段と、
    取得した軟質加工物の形状を点群データにより取得し、この点群データからSTLデータを取得する曲面形状取得手段と、
    STLデータにより表現した曲面を反転する反転手段と、
    当該反転させた形状の加工パスを生成する加工パス生成手段と、
    軟質加工物に対する多軸アームロボットのそれぞれ異なるアプローチ経路またはアウェイ経路を複数記憶する記憶手段と、
    記憶手段に記憶した複数のアプローチ経路またはアウェイ経路から特定のアプローチ経路またはアウェイ経路を選択する選択手段と、
    生成した加工パスおよび選択したアプローチ・アウェイ経路に従って前記軟質加工物の反対側面を先端の加工手段により加工する前記多軸アームロボットと、
    を備えたモデル加工システム。
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