JP2004046202A - 走査光学装置 - Google Patents

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JP2004046202A JP2003200038A JP2003200038A JP2004046202A JP 2004046202 A JP2004046202 A JP 2004046202A JP 2003200038 A JP2003200038 A JP 2003200038A JP 2003200038 A JP2003200038 A JP 2003200038A JP 2004046202 A JP2004046202 A JP 2004046202A
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加藤 学
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Abstract

【課題】fθレンズのレンズ形状を適切に設定することによって、コンパクトで高精細な印字に適した走査光学装置を得るこ
と。
【解決手段】光源手段から出射した光束を第1の光学素子と第2の光学素子とを介して偏向素子の偏向面において主走査方向に長手の線状に結像させ、該偏向素子で偏向された光束を第3の光学素子を介し被走査面上にスポット状に結像させて該被走査面上を走査する走査光学装置において、
該第3の光学素子は単レンズより成り、該単レンズの両レンズ面は共に主走査面内で非球面形状のトーリック面より成ることを特徴とする走査光学装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は走査光学装置に関し、特に光源手段から光変調され出射した光束を回転多面
鏡等より成る光偏向器(偏向素子)で偏向反射させた後、fθ特性を有する結像光学系(fθレンズ)を介して被走査面上を光走査して画像情報を記録するようにした、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機等の装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりレーザービームプリンタ等の走査光学装置においては画像信号に応じて光源手段から光変調され出射した光束を、例えば回転多面鏡(ポリゴンミラー)より成る光偏向器により周期的に偏向させ、fθ特性を有する結像光学系によって感光性の記録媒体(感光体ドラム)面上にスポット状に集束させ、その面上を光走査して画像記録を行なっている。
【0003】
図25は従来の走査光学装置の要部概略図である。
【0004】
同図において光源手段61から出射した発散光束はコリメーターレンズ62により略平行光束とされ、絞り63によって該光束(光量)を制限して副走査方向にのみ所定の屈折力を有するシリンドリカルレンズ64に入射している。シリンドリカルレンズ64に入射した平行光束のうち主走査断面内においてはそのまま平行光束の状態で射出する。又副走査断面内においては集束して回転多面鏡(ポリゴンミラー)から成る光偏向器65の偏向面(反射面)65aにほぼ線像として結像している。
【0005】
ここで、主走査断面とは、光偏向器の偏向面で偏向反射された光束が経時的に形成する光束断面を指す。また、副走査断面とはfθレンズの光軸を含み主走査断面に直交する断面を指す。
【0006】
そして光偏向器65の偏向面65aで偏向反射された光束をfθ特性を有する結像光学系(fθレンズ)66を介して被走査面としての感光ドラム68面上に導光し、該光偏向器65を矢印A方向に回転させることによって該感光ドラム68面上を光走査して画像情報の記録を行なっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この種の走査光学装置において高精度な画像情報の記録を行なうには被走査面全域にわたって像面湾曲が良好に補正されスポット径が揃っていること、そして入射光の角度と像高とが比例関係となる歪曲収差(fθ特性)を有していることが必要である。このような光学特性を満たす走査光学装置、若しくはその補正光学系(fθレンズ)は従来より種々と提案されている。
【0008】
又一方、レーザービームプリンタやデジタル複写機等のコンパクト化及び低コスト化に伴ない、走査光学装置にも同様のことが求められている。
【0009】
これらの要望を両立させるものとしてfθレンズを1枚から構成した走査光学装置が、例えば特公昭61−48684号公報や特開昭63−157122号公報や特開平4−104213号公報や特開平4−50908号公報等で種々と提案されている。
【0010】
これらの公報のうち特公昭61−48684号公報や特開昭63−157122号公報等ではfθレンズとして光偏向器側に凹面の単レンズを用いてコリメーターレンズからの平行光束を記録媒体面上に集束させている。又特開平4−104213号公報ではfθレンズとして光偏向器側に凹面、像面側にトロイダル面の単レンズを用いてコリメーターレンズにより収束光に変換された光束を該fθレンズに入射させている。又特開平4−50908号公報ではfθレンズとしてレンズ面に高次非球面を導入した単レンズを用いてコリメーターレンズにより収束光に変換された光束を該fθレンズに入射させている。
【0011】
しかしながら上記に示した従来の走査光学装置において特公昭61−48684号公報では副走査方向の像面湾曲が残存しており、かつ平行光束を被走査面に結像させている為、fθレンズから被走査面までの距離が焦点距離fとなり長く、コンパクトな走査光学装置を構成することが難しいという問題点があった。特開昭63−157122号公報ではfθレンズの肉厚が厚い為、モールド成型による製作が困難でありコストアップの要因となるという問題点があった。特開平4−104213号公報では歪曲収差が残存するという問題点があった。特開平4−50908号公報では高次非球面のfθレンズを用い収差は良好に補正されているものの光偏向器であるポリゴンミラーの取付誤差によりポリゴン面数周期のジッターが発生するという問題点があった。
【0012】
更にこれら1枚で構成されたfθレンズに共通する問題点としては、光偏向器と被走査面間における副走査方向の横倍率の不均一性により、像高によって副走査方向のスポット径が変化するという問題点があった。
【0013】
図26(A),(B)は本発明者が特願平6−239386号で提案した各々従来のシングルビームの走査光学装置における主走査方向と副走査方向の要部断面図であり、像高による副走査方向のスポット径(Fナンバー)の変化を示している。同図において図25に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0014】
通常、面倒れ補正光学系では光偏向器の偏向面の面倒れを光学的に補正する為に、該偏向面と被走査面とを光学的に共役関係(結像関係)とする必要がある。従って、前述した従来例のような主走査面内で所定のレンズ形状をもつfθレンズでは軸上(軸上光束21)では図26(B)内の(イ)に示すように横倍率が高く、軸外(最軸外光束22)では図26(B)内の(ロ)に示すように横倍率が低くなる(尚、主走査面内でのレンズ形状により逆になる場合もある)。
【0015】
このようにfθレンズの主走査面内でのレンズ形状によって副走査方向の横倍率にバラツキができ、像高による副走査方向のスポット径の変化が生じる。
【0016】
又、一方LBPに用いられる走査光学装置は、該LBPの高速化、高精細化によって、より高速走査の可能なものが求められており、走査手段であるモーターの回転数、偏向手段であるポリゴンミラーの面数などの限界から、特に複数の光束を同時に走査できるマルチビーム走査光学装置の要求が高まっている。
【0017】
上述した副走査方向の横倍率の不均一性は、光源(光源部)の位置が光軸から図2に示すZ方向に外れている場合に走査線の曲がりを生じさせる為、例えばマルチビーム走査光学系(マルチビーム走査光学装置)のように光軸から外れた複数の光束を用いて被走査面を同時に走査する光学系では、該被走査面上で走査線が曲がり、その結果ピッチムラによる画像品位の劣化が起こるという問題点があった。
【0018】
本発明の第1の目的は、コリメーターレンズ等で変換された光源からの光束を光偏向器を介して1枚のfθレンズにより被走査面上に結像させる際、該fθレンズの主走査面内でのレンズ形状(主走査面形状)を最適化にすることにより、像面湾曲や歪曲収差等を補正し、かつ主走査面内でのレンズ形状とは独立に副走査面内でのレンズ形状(副走査面形状)のみで光偏向器と被走査面間における副走査方向の横倍率の不均一性を解消することによって像高による副走査方向のFナンバー(FNo)の変化、即ちスポット径の変化を抑えることができる、コンパクトでしかも高精細な印字に適した走査光学装置の提供にある。
【0019】
本発明の第2の目的は、コリメーターレンズ等で変換された光源からの複数の光束を光偏向器を介してfθレンズにより被走査面上に結像させる際、該fθレンズの主走査面内でのレンズ形状(主走査面形状)を最適化にすることにより、像面湾曲と歪曲収差等を補正し、かつ主走査面内でのレンズ形状とは独立に副走査面内でのレンズ形状(副走査面形状)のみで光偏向器と被走査面間における副走査方向の横倍率の不均一性を解消することによって、像高による副走査方向のFナンバー(FNo)の変化、即ちスポット径の変化を抑え、光軸から副走査方向に外れた光源からの光束に対しても走査線曲がりを生じることなく高精度に走査することができる、コンパクトでしかも高精細な印字に適した走査光学装置の提供にある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の走査光学装置は、光源手段から出射した光束を第1の光学素子と第2の光学素子とを介して偏向素子の偏向面において主走査方向に長手の線状に結像させ、該偏向素子で偏向された光束を第3の光学素子を介し被走査面上にスポット状に結像させて該被走査面上を走査する走査光学装置において、
該第3の光学素子は単レンズより成り、該単レンズの両レンズ面は共に主走査面内で非球面形状のトーリック面より成ることを特徴としている。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1の発明において前記第3の光学素子はプラスチック成型により製作されていることを特徴としている。
【0022】
請求項3の発明は、1又は2の発明において前記第3の光学素子はガラス成型により製作されていることを特徴としている。
【0023】
請求項4の発明のレーザービームプリンタは、請求項B1〜3のいずれか1項に記載の走査光学装置と、前記被走査面として感光ドラム面とを有することを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
まず本発明の走査光学装置の実施形態を説明する前に本発明の目的を達成する為の手段について説明する。本走査光学装置において上述した目的を達成する為にはfθレンズのレンズ形状を最適化にすると共に軸上と軸外における副走査方向の横倍率を揃えることが必要である。図27は走査光学装置の光偏向器(偏向素子)と被走査面間の主走査方向の要部断面図である。ここで軸上と軸外において副走査方向の横倍率を揃える為には、該軸上と軸外における光路長の比が等しくなるよう主平面位置を決定する必要がある。
【0025】
従って、
Ipri :Epri =Imar :Emar
Ipri・Emar =Epri・Imar    ‥‥‥‥(a)
但し、
Ipri ‥軸上光束における光偏向器の偏向面から副走査方向の前側主平面までの距離
Epri ‥軸上光束における副走査方向の後側主平面から被走査面までの距離
Imar ‥最軸外光束における光偏向器の偏向面から副走査方向の前側主平面までの距離
Emar ‥最軸外光束における副走査方向の後側主平面から被走査面までの距離
なる条件を満足させるようfθレンズの副走査方向の主平面位置を決定する。
【0026】
一般的に軸外光束はfθ特性を満たす為に主走査面内において光軸方向に屈折している為、上式(a)を満足させる為の副走査方向の主平面の主走査面内における軌跡71は図27に示すように軸外で光偏向器5側に湾曲した面になる。ここで最軸外における湾曲量をdxとすると
Emar =(Epri +dx)/cosθimg
Imar =(Ipri −dx)/cosθpor
よって、
Ipri (Epri +dx)/cosθimg
=Epri (Ipri −dx)/cosθimg
dx(Ipri・cosθpor +Epri・cosθimg )
=Ipri・Epri (cosθimg −cosθpor )
【0027】
【数1】
Figure 2004046202
【0028】
但し、
θpor ‥主走査面内において光偏向器で偏向する最軸外光束がfθレンズ       の光軸となす角度
θimg ‥主走査面内において被走査面へ入射する最軸外光束がfθレンズ       の光軸となす角度
となる。
【0029】
従って副走査方向の横倍率を揃えるには副走査方向の主平面の軌跡の湾曲量dxを上式(b)により導かれる値に設定することが必要である。
【0030】
即ち、実際の走査光学装置においてfθレンズの副走査方向の前側主平面と後側主平面の主走査面内における軌跡の湾曲量(最軸外の主平面位置と軸上の主平面位置との光軸方向の差分)を各々xm,xuとしたとき
xm ≦ dx ≦ xu        ‥‥‥‥(1)
なる条件を満足するよう主平面位置を決定することが望ましい。
【0031】
上記の条件式(1)を外れると副走査方向の横倍率にバラツキができ、像高によるスポット径の変化が大きくなり実用上問題となってくるので良くない。
【0032】
次に副走査方向の主平面位置を変化させる方法であるが、これは前述したようにfθレンズの副走査方向は光偏向器の偏向面と被走査面とを光学的に共役関係にすることによって面倒れ補正を行なっている為、該fθレンズの屈折力自体を変化させることはできない。
【0033】
従ってfθレンズの副走査方向の第1レンズ面(R1面)と第2レンズ面(R2面)をベンディングさせることによって主平面位置の移動を行なう。ベンディングによりレンズの主平面は該レンズ自体の屈折力を変えずに移動させることができる為、軸上から軸外に向かい子線rを連続的に変化させ、場所により最適なレンズ形状にすることにより副走査方向の横倍率を揃えることができる。
【0034】
このようにしてfθレンズのレンズ形状を最適化にすることにより、被走査面に入射する光束の副走査方向のFナンバー(FNo)を揃えることができ、従来、単玉fθレンズで問題となっていた像高による副走査方向のスポット径の変化を小さく抑えることができる。
【0035】
又、光軸から外れた光源(光源部)から出射した光束に対しても走査線曲がりが生じることなく被走査面上を高精度に走査することができ、これによりマルチビーム走査にも好適な走査光学装置を得ることができる。
【0036】
次に本発明の各実施形態について順に説明する。
【0037】
図1(A),(B)は各々本発明の実施形態1の主走査方向と副走査方向の要部断面図である。
【0038】
図中1は光源手段(光源部)であり、例えば半導体レーザより成っている。
【0039】
2は第1の光学素子としてのコリメーターレンズであり、光源手段1から出射された発散光束(光ビーム)を収束光束に変換している。3は開口絞りであり、通過光束径を整えている。
【0040】
4は第2の光学素子としてのシリンドリカルレンズであり、副走査方向にのみ所定の屈折力を有しており、開口絞り3を通過した光束を副走査断面内で後述する光偏向器(偏向素子)5の偏向面5aにほぼ線像として結像させている。
【0041】
5は偏向素子としての例えばポリゴンミラー(回転多面鏡)より成る光偏向器であり、モータ等の駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。
【0042】
6は第3の光学素子としてのfθ特性を有する1枚のレンズより成るfθレンズ(結像光学系)であり、光偏向器5と被走査面としての感光ドラム面8との中間より該光偏向器5側に配置している。本実施形態におけるfθレンズ6の両レンズ面は共に主走査面内で非球面形状のトーリック面より成り、副走査面(第3の光学素子の光軸を含み主走査面と直交する面)内の曲率をレンズの有効部内において軸上から軸外に向かい連続的に変化させている。これにより本実施形態では被走査面8に入射する光束の像高による副走査方向のFナンバー(FNo)の変化、即ちスポット径の変化を小さく抑えている。fθレンズ6は光偏向器5によって偏向反射された画像情報に基づく光束を感光ドラム8面上に結像させ、かつ該光偏向器5の偏向面の面倒れを補正している。
【0043】
尚、本実施形態においてはfθレンズ6をプラスチック成型により製作しても良く、あるいはガラス成型(ガラスモールド)により製作しても良い。
【0044】
本実施形態において半導体レーザ1より出射した発散光束はコリメータレンズ2により収束光に変換され、開口絞り3によって該光束(光量)を制限してシリンドリカルレンズ4に入射している。シリンドリカルレンズ4に入射した光束のうち主走査断面においてはそのままの状態で射出する。又副走査断面においては集束して光偏向器5の偏向面5aにほぼ線像(主走査方向に長手の線像)として結像している。そして光偏向器5の偏向面5aで偏向反射された光束は主走査方向と副走査方向とで互いに異なる屈折力を有するfθレンズ6を介して感光ドラム8面上に導光され、該光偏向器5を矢印A方向に回転させることによって該感光ドラム8面上を矢印B方向に走査している。これにより記録媒体である感光ドラム8上に画像記録を行なっている。
【0045】
本実施形態ではfθレンズ6のレンズ形状を主走査方向は10次までの関数で表わせる非球面形状とし、副走査方向は像高方向に連続的に変化する球面より構成している。そのレンズ形状は、例えばfθレンズ6と光軸との交点を原点とし、光軸方向をX軸、主走査面内において光軸と直交する軸をY軸、副走査面内において光軸と直交する軸をZ軸としたとき、主走査方向と対応する母線方向が
【0046】
【数2】
Figure 2004046202
【0047】
(但し、Rは曲率半径、K,B4 ,B6 ,B8 ,B10は非球面係数)なる式で表わせるものであり、又副走査方向(光軸を含む主走査方向に対して直交する方向)と対応する子線方向が、
【0048】
【数3】
Figure 2004046202
【0049】
(ここでr´=r(1+D+D+D+D+D1010)なる式で表わせるものである。
【0050】
表1に本実施形態における光学配置とfθレンズ6の非球面係数を示す。
【0051】
【表1】
Figure 2004046202
【0052】
図4はfθレンズ6の長手方向の位置に対する副走査方向の曲率の変化を示す説明図であり、同図に示すように軸上でメニスカス形状の曲率がきつく、軸上から軸外に向かうに従って平凸になっていくことがわかる。図7はfθレンズ6の非球面形状を示す説明図であり、太い実線は主走査方向のレンズ面形状、細い実線は副走査方向の主平面の軌跡であり、前側主平面と後側主平面を示している。
【0053】
本実施形態において像高による副走査方向の横倍率の変化を抑える為の主平面の軌跡の湾曲量dxは
Ipri =48.73   Epri =108.77
θpor =44.4°   θimg =29.10°
より
dx=6.50
となる。又fθレンズ6の副走査方向の前側主平面の軌跡の湾曲量xmと後側主平面の軌跡の湾曲量xuは
xm=3.24     xu=7.48
となり、これら上記の値は前述の条件式(1)(xm≦dx≦xu)を満足させている。
【0054】
これにより本実施形態においては光偏向器5と被走査面8間における副走査方向の横倍率を軸上と軸外において実用上問題のないレベルまで揃えることができ、図10に示すように像高による副走査方向のスポット径の変化を小さく抑えることができる。これにより安価で高精細な印字に適した走査光学装置を達成している。
【0055】
図2(A),(B)は各々本発明の実施形態2の主走査方向と副走査方向の要部断面図である。同図において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0056】
本実施形態において前述の実施形態1と異なる点は半導体レーザ(光源部)から出射する発散光束をコリメーターレンズにより収束光束ではなく平行光束に変換している点と、これに伴なってfθレンズのレンズ形状を異ならせたことである。その他の構成及び光学的作用は前述の実施形態1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0057】
表2に本実施形態における光学配置とfθレンズ26の非球面係数を示す。
【0058】
【表2】
Figure 2004046202
【0059】
図5はfθレンズ26の長手方向の位置に対する副走査方向の曲率の変化を示す説明図であり、同図に示すように軸上から軸外に向かうに従ってメニスカス形状の曲率がきつくなっていくことがわかる。図8はfθレンズ26の非球面形状を示す説明図であり、太い実線は主走査方向のレンズ面形状、細い実線は副走査方向の主平面の軌跡であり、前側主平面と後側主平面を示している。
【0060】
本実施形態において像高による副走査方向の横倍率の変化を抑える為の主平面の軌跡の湾曲量dxは
Ipri =53.94   Epri =147.51
θpor =42.0°   θimg =24.57°
より
dx=7.60
となる。又fθレンズ26の副走査方向の前側主平面の軌跡の湾曲量xmと後側主平面の軌跡の湾曲量xuは
xm=7.34     xu=12.31
となり、これら上記の値は前述の条件式(1)(xm≦dx≦xu)を満足させている。
【0061】
これにより本実施形態においては前述の実施形態1と同様に光偏向器5と被走査面8間における副走査方向の横倍率を軸上と軸外において実用上問題のないレベルまで揃えることができ、図11に示すように像高による副走査方向のスポット径の変化を小さく抑えることができる。これにより安価で高精細な印字に適した走査光学装置を達成している。
【0062】
本実施形態では前述の如く半導体レーザ1から出射した発散光束をコリメーターレンズ2により平行光束に変換しているので、光偏向器によるジッターがなく、又副走査方向のパワーを重点的に発生するレンズ面R2の主走査方向のレンズ形状が横倍率を揃える為の主平面の軌跡の形状と類似している為、像高による子線方向の曲率の変化が少なくても横倍率を揃えることができ、これにより更なる高精細な印字に適した走査光学装置を達成することができる。
【0063】
図3(A),(B)は各々本発明の実施形態3の主走査方向と副走査方向の要部断面図である。同図において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0064】
本実施形態において前述の実施形態1と異なる点は独立的に変調可能な複数(本実施形態では2つ)の光源部を有する光源手段11から出射する複数の光ビームを被走査面上において一定の間隔となるよう同時に走査するマルチビーム走査光学系より構成した点と、これに伴ないfθレンズの子線方向(副走査方向)のレンズ形状を異ならせたことである。その他の構成及び光学的作用は前述の実施形態1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。上記複数の光源部は副走査方向に所定の間隔で配置されている。
【0065】
表3に本実施形態における光学配置とfθレンズ36の非球面係数を示す。
【0066】
【表3】
Figure 2004046202
【0067】
本実施形態ではfθレンズ36のレンズ面のうち少なくとも1つのレンズ面の子線方向のレンズ形状を曲率の符号が軸上から軸外に向かって反転するように設定している。この為fθレンズ36の副走査方向と対応する子線方向は
【0068】
【数4】
Figure 2004046202
【0069】
ここでr´=r+d+d+d+d+d1010
なる式で表わされる。又主走査方向と対応する母線方向は前述の実施形態1と同様の(c)式にて表わされる。
【0070】
図6は本実施形態におけるfθレンズ36の長手方向の位置に対する副走査方向の曲率の変化を示す説明図であり、同図に示すようにレンズ面R1では軸上から軸外に向かうに従って副走査方向の曲率の符号が反転し、軸上のメニスカス形状が軸外では両凸形状に変化していることが分かる。図9はfθレンズ36の非球面形状を示す説明図であり、太い実線は主走査方向のレンズ面形状、細い実線は副走査方向の主平面の軌跡であり、前側主平面と後側主平面を示している。
【0071】
本実施形態において像高による副走査方向の横倍率の変化を抑える為の主平面の軌跡の湾曲量dxは
Ppri =48.73   Epri =108.77
θpor =44.4°   θimg =29.10°
より
dx=6.50
となる。又fθレンズ36の副走査方向の前側主平面の軌跡の湾曲量xmと後側主平面の軌跡の湾曲量xuは
xm=4.93     xu=9.10
となり、これら上記の値は前述の条件式(1)(xm≦dx≦xu)を満足させている。
【0072】
これにより本実施形態においては前述の実施形態1,2と同様に光偏向器5と被走査面8間における副走査方向の横倍率は軸上と軸外において実用上問題のないレベルまで揃えることができ、像高による副走査方向のスポット径の変化を小さく抑えることができる。これにより安価で高精細な印字に適した走査光学装置を達成している。
【0073】
又、本実施形態では複数の光ビームを用いて被走査面上を同時に走査するマルチビーム走査光学装置である為、該被走査面上における走査線の曲がりは画像上でピッチムラとなるので良くない。
【0074】
そこで本実施形態では副走査方向の曲率半径をレンズの有効部内において像高により連続的に変化させることによって図12に示すように被走査面上における走査線の曲がりをなくすことができ、これによりピッチムラのない高画質の走査光学装置(マルチビーム走査光学装置)を達成している。
【0075】
図13(A),(B)は各々本発明の実施形態4の主走査方向と副走査方向の要部断面図である。同図において図3に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0076】
同図において46は第3の光学素子としてのfθ特性を有する1枚のレンズより成るfθレンズ(結像光学系)であり、光偏向器5と被走査面としての感光ドラム面8との中間より該光偏向器5側に配置している。
【0077】
本実施形態におけるfθレンズ46の両レンズ面は共に副走査方向における曲率を軸上から軸外に向かい連続的に変化させている。これにより本実施形態では被走査面に入射する光束の像高による副走査方向のFナンバーの変化、即ちスポット径の変化を小さく抑えている。又fθレンズ46の両レンズ面のうち少なくとも1つのレンズ面(第1面)R1の副走査方向の曲率の符号を軸上から軸外に向かい反転させている。更にfθレンズ46の両レンズ面の副走査方向の曲率を軸上から軸外に向かい光軸に対して非対称になるように変化させている。fθレンズ46は光偏向器5によって偏向反射された画像情報に基づく複数の光束を感光ドラム8面上に結像させ、かつ該光偏向器5の偏向面の面倒れを補正している。
【0078】
尚、本実施形態においてはfθレンズ46をプラスチック成型により製作しても良く、あるいはガラス成型(ガラスモールド)により製作しても良い。
【0079】
本実施形態において半導体レーザー11より出射した独立変調された2本の発散光束はコリメーターレンズ2により収束光束に変換され、開口絞り3によって該光束(光量)を制限してシリンドリカルレンズ4に入射している。シリンドリカルレンズ4に入射した光束のうち主走査断面においてはそのままの状態で射出する。又副走査断面においては収束して光偏向器5の偏向面5aにほぼ線像(主走査方向に長手の線像)として結像している。そして光偏向器5の偏向面5aで偏向反射された2本の光束は主走査方向と副走査方向とで互いに異なる屈折力を有するfθレンズ46を介して感光ドラム8面上に2つのスポットを形成し、該光偏向器5を矢印A方向に回転させることによって、該感光ドラム8面上を矢印B方向に走査している。これにより画像記録を行なっている。
【0080】
本実施形態ではfθレンズ46のレンズ形状を主走査方向は10次までの関数で表わせる非球面形状とし、副走査方向は像高方向に連続的に変化する球面より構成している。そのレンズ形状は、主走査方向と対応する母線方向が、前記(c)式に示されるものであり、又副走査方向(fθレンズの光軸を含む主走査方向に対して直交する方向)と対応する子線方向が、
【0081】
【数5】
Figure 2004046202
【0082】
なる式で表わせるものである。
【0083】
一般にマルチビーム走査光学装置において視覚的にピッチムラを目立たなくさせる為には、走査線曲がりによるピッチムラを副走査方向のビームピッチの1/10以下にすることが望ましい。例えば副走査方向の解像度が600dpiの走査光学装置の場合、副走査方向におけるビームピッチは42μmとなるため、許容できるピッチムラは約4μm以下となる。
【0084】
そこで本実施形態では被走査面に入射する光束の副走査方向のFナンバーの最大値をFmax、最小値をFminとしたとき、
Fmin/Fmax≧0.9    ‥‥‥(2)
なる条件を満足するようにfθレンズ46の両レンズ面の副走査方向における曲率を軸上から軸外に向かい連続的に変化させることによって、被走査面上における走査線曲がりをなくすことができ、これによりピッチムラの少ない、高画質でコンパクトなマルチビーム走査光学装置を達成している。
【0085】
上記の条件式(2)を外れると走査線曲がりによってピッチムラが視覚的に目立ち実用上問題となってくるので良くない。
【0086】
表4に実施形態4における光学配置とfθレンズ46の非球面係数を示す。
【0087】
【表4】
Figure 2004046202
【0088】
図16は実施形態4の被走査面上における副走査方向のFナンバーの変化を示す説明図である。本実施形態ではfθレンズ46の副走査方向の曲率を両レンズ面において図19に示すように軸上から軸外に向かい連続的に変化させることによって、像高によるFナンバーの変化率を、
Fmin/Fmax=64.52/66.31=0.973
0.9以上になるよう抑えている。
【0089】
図22は本実施形態のマルチビーム走査光学装置を解像度600dpi(走査線間隔42.3μm)で使用したときの走査線曲がりを示す説明図である。上記のとおり像高によるFナンバーの変化を抑えることによって、走査線曲がりは0.2μm程度(ピッチムラは0.4μm程度)と実用上全く問題のないレベルにすることができる。
【0090】
このように本実施形態では上述の如く条件式(2)を満足させつつfθレンズ46の副走査方向(子線方向)の曲率を両レンズ面とも軸上から軸外に向けて連続的に変化させることによって、像高による副走査方向のFナンバーの変化,即ちスポット径の変化を所定量以下(本装置の許容値内)に抑え、マルチビーム走査光学装置において問題となる走査線曲がりによるピッチムラをなくしている。又、本実施形態では第3の光学素子(fθレンズ)46を単レンズで構成している為、コンパクトで低コストなマルチビーム走査光学装置を達成することができる。
【0091】
図14(A),(B)は各々本発明の実施形態5の主走査方向と副走査方向の要部断面図である。同図において図3に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0092】
本実施形態において前述の実施形態4と異なる点は、さらなる高精細印字に対応できるよう主走査方向の像面湾曲を小さくする為、fθレンズ56の両レンズ面の母線方向の曲率を光軸に対して非対称となるように設定した点、ポリゴンミラー15のポリゴン面数を4面から6面とし高速印字に対応した点である。その他の構成及び光学的作用は前述の実施形態4と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0093】
表5に実施形態5における光学配置とfθレンズ56の非球面係数を示す。
【0094】
【表5】
Figure 2004046202
【0095】
図17は実施形態5の被走査面上における副走査方向のFナンバーの変化を示す説明図である。本実施形態ではfθレンズ56の副走査方向の曲率を両レンズ面において図20に示すように軸上から軸外に向かい連続的に変化させることによって、像高によるFナンバーの変化率を、
Fmin/Fmax=49.75/53.08=0.937
0.9以上になるよう抑えている。
【0096】
図23は本実施形態のマルチビーム走査光学装置を解像度600dpi(走査線間隔42.3μm)で使用したときの走査線曲がりを示す説明図である。上記のとおり像高によるFナンバーの変化を抑えることによって、走査線曲がりは1.2μm程度(ピッチムラは2.4μm程度)と実用上全く問題のないレベルにすることができる。
【0097】
このように本実施形態においても前述の実施形態4と同様に条件式(2)を満足させつつfθレンズ56の副走査方向(子線方向)の曲率を両レンズ面とも軸上から軸外に向けて連続的に変化させることによって、像高による副走査方向のFナンバーの変化、即ちスポット径の変化を所定量以下に抑え、マルチビーム走査光学装置において問題となる走査線曲がりによるピッチムラをなくしている。又本実施形態ではfθレンズ(第3の光学素子)56の両レンズ面の母線方向の曲率を光軸に対して非対称となるように設定することにより、主走査方向の像面湾曲を抑え、さらなる高精細印字に適したマルチビーム走査光学装置を達成している。
【0098】
図15(A),(B)は各々本発明の実施形態6の主走査方向と副走査方向の要部断面図である。同図において図3に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0099】
本実施形態において前述の実施形態4と異なる点は、fθレンズ(第3の光学素子)76を2枚のレンズより構成し、さらなる精度で走査線曲がりによるピッチムラを低減している点、独立的に変調可能な複数の発光部を有する半導体レーザ11からの光束をコリメーターレンズ2で略平行光束に変換している点、そしてポリゴンミラー15のポリゴン面数を4面から6面とし高速印字に対応した点である。その他の構成及び光学的作用は前述の実施形態4と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0100】
即ち、同図において76は第3の光学素子としてのfθレンズであり、ガラス材より成る第1fθレンズとしての球面レンズ(ガラス球面レンズ)76aと、プラスチック材より成る非球面形状の第2fθレンズとしてのトーリックレンズ(非球面プラスチックトーリックレンズ)76bとの2枚のレンズより成っている。ガラス球面レンズ76aは光偏向器15と感光ドラム面8との中間より該光偏向器15側に配され、主にfθ特性を補正する役割を持っている。非球面プラスチックトーリックレンズ76bは主に像面湾曲の補正及び副走査方向の横倍率の補正を行っている。
【0101】
本実施形態では副走査方向の屈折力のほとんどの部分を担っている非球面プラスチックトーリックレンズ76bの両レンズ面の子線方向(副走査方向)における曲率を軸上から軸外に向かい連続的に変化させることによって、被走査面上における副走査方向のFナンバーの変化、即ちスポット径の変化を抑えている。
【0102】
表6に実施形態6における光学配置とfθレンズ(球面レンズ76a及びトーリックレンズ76b)76の非球面係数を示す。
【0103】
【表6】
Figure 2004046202
【0104】
図18は実施形態6の被走査面上における副走査方向のFナンバーの変化を示す説明図である。本実施形態ではトーリックレンズ76bの副走査方向の曲率を両レンズ面において図21に示すように軸上から軸外に向かい連続的に変化させることによって、像高によるFナンバーの変化率を、
Fmin/Fmax=72.67/73.75=0.985
0.9以上になるよう抑えている。
【0105】
図24は本実施形態のマルチビーム走査光学装置を解像度600dpi(走査線間隔42.3μm)で使用したときの走査線曲がりを示す説明図である。上記のとおり像高によるFナンバーの変化を抑えることによって、走査線曲がりは0.1μm程度(ピッチムラは0.2μm程度)と実用上問題のないレベルにすることができる。
【0106】
このように本実施形態においても前述の実施形態4と同様に条件式(2)を満足させつつfθレンズ76を構成するトーリックレンズ76bの副走査方向(子線方向)の曲率を両レンズ面とも軸上から軸外に向けて連続的に変化させることによって、像高による副走査方向のFナンバーの変化、即ちスポット径の変化を所定量以下に抑え、マルチビーム走査光学装置において問題となる走査線曲がりによるピッチムラをなくしている。又本実施形態ではfθレンズ(第3の光学素子)76を2枚のレンズで構成することによって、より高精度に走査線曲がりを補正することができ、さらなる高精細印字に適したマルチビーム走査光学装置を達成している。
【0107】
尚、第3の光学素子を構成する2枚のレンズのうち少なくとも1つのレンズ面の副走査方向の曲率の符号を軸上から軸外に向かい反転させて形成しても良く、又2枚のレンズのうち少なくとも2つのレンズ面の副走査方向の曲率を軸上から軸外に向かい光軸に対して非対称に変化させて形成しても良い。これにより更に高精細印字に適したマルチビーム走査光学装置を達成することができる。
【0108】
最後に本発明の走査光学装置との比較のために、先の図26(A),(B)で示した従来のシングルビームの走査光学装置でマルチビームの走査を行なったときの様子について説明する。
【0109】
図28(A),(B)は各々図26(A),(B)で示した従来のシングルビームの走査光学装置を用いてマルチビーム走査を行なった場合の主走査方向と副走査方向の要部断面図であり、像高による副走査方向の角倍率及び被走査面における副走査方向のスポット径(Fナンバー)の変化を示している。表7は図28(A),(B)に示した光学配置とfθレンズ86の非球面係数である。
【0110】
【表7】
Figure 2004046202
【0111】
同図において副走査方向に所定の間隔で配置された2つの発光部を有する光源手段81から出射した独立変調された2本の発散光束はコリメーターレンズ82により収束光束となり、絞り83によって該光束(光量)を制限して副走査方向にのみ所定の屈折力を有するシリンドリカルレンズ84に入射している。シリンドリカルレンズ84に入射した光束のうち主走査面内においてはそのままの状態で射出する。又副走査断面内においては集束して回転多面鏡(ポリゴンミラー)から成る光偏向器85の偏向面(反射面)にほぼ線像として結像している。そして光偏向器85の偏向面85aで偏向反射された2本の光束をfθ特性を有する結像光学系(fθレンズ)86を介して被走査面88としての感光ドラム面上に導光し、該光偏向器85を矢印A方向に回転させることによって該感光ドラム88面上を光走査して画像情報の記録を行なっている。
【0112】
通常、面倒れ補正光学系では前述したように光偏向器の偏向面の面倒れを光学的に補正する為に、該偏向面と被走査面とを光学的に共役関係(結像関係)とする必要がある。上記の図28に示した比較例ではfθレンズ86の光偏向器85側のレンズ面(第1面)R1の副走査方向の曲率(子線曲率)を一定に、被走査面側のレンズ面(第2面)R2の副走査方向の曲率(子線曲率)を軸上から軸外に向けて連続的に変化させることにより、どの像高においても共役関係となるように設定している。
【0113】
しかしながら上記の比較例のfθレンズ86は図30に示すように片面(R1面)の子線曲率を一定にしている為、図29に示すようにその母線形状により像高によってFナンバー(FNo)がばらつく。つまり軸上(軸上光束)では図28(B)内の(イ)に示すように被走査面上における副走査方向のFナンバーが大きい為、副走査方向の角倍率が小さく、軸外(軸外光束)では図28(B)内の(ロ)に示すように副走査方向のFナンバーが小さいため角倍率が大きい(主走査面形状により逆になる場合もある)。
【0114】
一般に角倍率γと横倍率βは、
βγ=−1
という関係が成り立つため、上記の比較例では軸上において横倍率が大きく、軸外において横倍率が小さくなる。このため像高によって副走査方向の横倍率にばらつきができ、マルチビーム走査光学装置のように光軸から外れた複数のレーザー光束を用いて走査する光学系では、被走査面上で走査線が曲がりを生じる。
【0115】
図31は上記の比較例のマルチビーム走査光学装置を解像度600dpi(走査線間隔42.3μm)で使用した場合の走査線曲がりを示す説明図である。同図において周辺部の走査線は中心部に対して2.4μm曲がっている為、4.8μmのピッチムラとなり画像品位を劣化させるという問題点がある。
【0116】
【発明の効果】
本発明の走査光学装置では上述した問題点は生じず、前述の如くコリメーターレンズ等で変換された光源からの光束を光偏向器を介して1枚のfθレンズにより被走査面上に結像させる際、該fθレンズのレンズ形状を最適化にすることにより、像面湾曲や歪曲収差等を良好に補正し、かつ光偏向器と被走査面間における副走査方向の横倍率の不均一性を解消することによって像高による副走査方向のFナンバーの変化、即ちスポット径の変化を抑えることができる、コンパクトで高精細な印字に適した走査光学装置を達成することができる。
【0117】
また、前述の如くコリメーターレンズ等で変換された光源からの複数の光束を光偏向器を介してfθレンズにより被走査面上に結像させる際、該fθレンズのレンズ形状を最適化にすることにより、像面湾曲や歪曲収差等を良好に補正し、かつ光偏向器と被走査面間における副走査方向の横倍率の不均一性を解消することによって像高による副走査方向のFナンバーの変化、即ちスポット径の変化を抑え、走査線曲がりによるピッチムラを低減させることができる走査光学装置を達成することができる。
【0118】
更に前記条件式(2)を満足するようにfθレンズの副走査方向の曲率を決定することにより、視覚上問題のないレベルにまでピッチムラを低減させることができる走査光学装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の主走査方向と副走査方向の要部断面図
【図2】本発明の実施形態2の主走査方向と副走査方向の要部断面図
【図3】本発明の実施形態3の主走査方向と副走査方向の要部断面図
【図4】本発明の実施形態1におけるfθレンズの非球面形状を示す説明図
【図5】本発明の実施形態2におけるfθレンズの非球面形状を示す説明図
【図6】本発明の実施形態3におけるfθレンズの非球面形状を示す説明図
【図7】本発明の実施形態1におけるfθレンズの主走査方向の形状を示す説明図
【図8】本発明の実施形態2におけるfθレンズの主走査方向の形状を示す説明図
【図9】本発明の実施形態3におけるfθレンズの主走査方向の形状を示す説明図
【図10】本発明の実施形態1における被走査面における副走査方向のスポット径のデフォーカス特性を示す説明図
【図11】本発明の実施形態2における被走査面における副走査方向のスポット径のデフォーカス特性を示す説明図
【図12】本発明の実施形態3における走査線の曲がりを示す説明図
【図13】本発明の実施形態4の主走査方向と副走査方向の要部断面図
【図14】本発明の実施形態5の主走査方向と副走査方向の要部断面図
【図15】本発明の実施形態6の主走査方向と副走査方向の要部断面図
【図16】本発明の実施形態4における像高に対する被走査面上における副走査方向のFナンバーの変化を示す説明図
【図17】本発明の実施形態5における像高に対する被走査面上における副走査方向のFナンバーの変化を示す説明図
【図18】本発明の実施形態6における像高に対する被走査面上における副走査方向のFナンバーの変化を示す説明図
【図19】本発明の実施形態4における像高に対するfθレンズの子線方向の曲率を示す説明図
【図20】本発明の実施形態5における像高に対するfθレンズの子線方向の曲率を示す説明図
【図21】本発明の実施形態6における像高に対するfθレンズの子線方向の曲率を示す説明図
【図22】本発明の実施形態4における解像度600dpi(走査線間隔42.3μm)でのマルチビーム走査時における走査線の曲がりを示す説明図
【図23】本発明の実施形態5における解像度600dpi(走査線間隔42.3μm)でのマルチビーム走査時における走査線の曲がりを示す説明図
【図24】本発明の実施形態6における解像度600dpi(走査線間隔42.3μm)でのマルチビーム走査時における走査線の曲がりを示す説明図
【図25】従来の走査光学装置の光学系の要部概略図
【図26】従来の走査光学装置の主走査方向と副走査方向の要部断面図
【図27】走査光学装置の偏向素子と被走査面間の主走査方向の要部断面図
【図28】図26で示した従来のシングルビーム走査光学装置を用いてマルチビーム走査を行った場合の主走査方向と副走査方向の要部断面図
【図29】図28で示したマルチビーム走査光学装置の像高に対する被走査面上における副走査方向のFナンバーの変化を示す説明図
【図30】図28で示したマルチビーム走査光学装置の像高に対するfθレンズの子線方向の曲率を示す説明図
【図31】図28で示したマルチビーム走査光学装置の解像度600dpi(走査線間隔42.3μm)でのマルチビーム走査時における走査線の曲がりを示す説明図
【符号の説明】
1,11  光源手段
2  第1の光学素子(コリメーターレンズ)
3  絞り
4  第2の光学素子(シリンドリカルレンズ)
5,15  偏向素子(光偏向器)
6,26,36   第3の光学素子(fθレンズ)
46,56,76  第3の光学素子(fθレンズ)
76a 球面レンズ
76b トーリックレンズ
8  被走査面(感光体ドラム)
21 軸上光束
22 最軸外光束

Claims (4)

  1. 光源手段から出射した光束を第1の光学素子と第2の光学素子とを介して偏向素子の偏向面において主走査方向に長手の線状に結像させ、該偏向素子で偏向された光束を第3の光学素子を介し被走査面上にスポット状に結像させて該被走査面上を走査する走査光学装置において、
    該第3の光学素子は単レンズより成り、該単レンズの両レンズ面は共に主走査面内で非球面形状のトーリック面より成ることを特徴とする走査光学装置。
  2. 前記第3の光学素子はプラスチック成型により製作されていることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  3. 前記第3の光学素子はガラス成型により製作されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の走査光学装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の走査光学装置と、前記被走査面として感光ドラム面とを有することを特徴とするレーザービームプリンタ。
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