JP2004045307A - 回転電機の絶縁診断方法および装置 - Google Patents

回転電機の絶縁診断方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】非破壊かつ容易に回転電機がインバータ駆動できるか判別する。
【解決手段】サージ電源を用いて回転電機内サージ伝播速度およびケーブル−回転電機接続部の電圧増加率を計測し、計測したサージ伝播速度、電圧増加率と供試インバータの波頭長に基づいて、層間絶縁分担電圧を求め、回転電機の部分放電特性、課電寿命特性と比較する。層間絶縁分担電圧が層間絶縁の部分放電電圧未満か、層間絶縁分担電圧における課電寿命が回転電機全体の余寿命以上の場合には、供試インバータで駆動可と判断する。層間絶縁分担電圧が層間絶縁の部分放電電圧以上か、層間絶縁分担電圧における課電寿命が回転電機全体の余寿命未満の場合には、インバータ駆動不可と判断する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機がインバータ駆動できるか判別する絶縁診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギー化の観点から、回転電機のインバータ駆動が盛んに行われている。回転電機をインバータ電源で駆動した例について、電気学会技術報告第739号、p.14(1999)の3.2の電位分布や、IEEE Electrical Insualtion Magazine,Vol.12,p.9(1996)に報告されている。これによれば、回転電機コイルのターン導体間に大きな電圧が発生し、ターン導体間を絶縁する層間絶縁が劣化、破壊し、回転電機が故障することがあった。
【0003】
従来、このような問題に対しては、実測あるいは回路解析により層間絶縁の分担電圧を求め、インバータおよび回転電機に絶縁対策を施してきた。分担電圧を実測する公知例には、例えば、三菱電機技報Vol.45,p.1650(1971)や、IEEE.Proc.Electr.Power Appl.Vol.144,p.191(1997)がある。また、回路解析の公知例には、例えば電気学会論文誌B,Vol.100,P.25(1980)や、特開平9―80129号公報がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
回転電機内の電圧分布は、前述の電気学会技術報告にあるように、回路や機器の特性に応じて変化する。このため、各種のインバータ電源、回転電機に対し、それぞれ層間絶縁の分担電圧を実測あるいは回路解析しなければならない。しかし、従来の分担電圧の実測では、回転電機を解体し、コイル絶縁を除去し、測定電極、リード線を設置して、分担電圧を測定しなければならなかった。さらに、電圧測定後には測定電極、リード線を除去し、再度、コイルの絶縁処理を施さなければならなかった。このため、製造した回転電機を診断し出荷するまでに多くの時間を要する問題があった。特に、既設の回転電機にインバータ電源を導入する場合には、回転電機の運転を長期間停止しなければならない問題もあった。
【0005】
一方、回路解析では、回転電機をはしご型等価回路でモデル化し回路計算する。しかしモデルが不適当であると、計算結果と実際の電圧分布が一致しない問題があった。このような問題には上述の文献のように、計算結果が実測結果に一致するように回路定数を調整している。また、調整した回路定数を使用して計算した場合にも、計算結果が正しいかどうか確認する必要がある。このように、回路解析においても、回転電機の電圧分布を実測無しで求めることは困難であった。
【0006】
以上のように、従来、各種のインバータ電源、回転電機に対し層間絶縁の分担電圧を求めるには困難があり、層間絶縁がインバータ駆動に耐えられるか、すなわち回転電機がインバータ駆動できるかを判別することは困難であった。この結果、例えば特開平9―80129号公報にあるように、インバータ、回転電機に裕度を持たせた絶縁対策を施していた。また、既設の回転電機にインバータ電源を導入することが進捗できなかった。
【0007】
本発明の目的は、従来技術のかかる状況に鑑み、非破壊かつ容易に回転電機の電圧分布を求め、回転電機がインバータ駆動できるか判別する絶縁診断装置および診断方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の方法により解決できる。すなわち、サージ電圧を回転電機に印加し、回転電機のサージ電圧印加点から、回転電機巻線の電圧計測点までサージ伝播時間τを計測し、計測したサージ伝播時間とサージ電圧印加点から電圧計測点までのコイル数より、1コイルのサージ伝播時間τ/l(l:線路長)および、この逆数であるサージ伝播速度vを求める。得られたサージ伝播速度vと、使用するインバータ電源の波頭長tと、コイルターン導体の段数pを掛け合わせ、得られた値を図25のマスターカーブに適用し、回転電機の層間絶縁電圧分担率αturnを求める。
【0009】
図25のマスタカーブは、本発明者が各種の回転電機を分解し、サージ電圧を印加したときの層間絶縁分担電圧を調べて得た知見である。すなわち、横軸にサージ伝播速度v、サージ波頭長tf、コイル段数pの積をとり、縦軸に印加電圧に対する層間絶縁分担電圧の割合αturnをとり、各回転電機のデータをプロットすると、一定の範囲で直線上に位置することを見出した。この結果より、層間絶縁電圧分担率αturnは式(1)によって表される。ただし、k…ターン間分担電圧安全率、X…1相コイル数である。
【0010】
αturn=100k/(v・tf・p)    …(1)
ただし、αturn>100k%ならば、αturn=100k(%)
αturn<100/(X・p)ならば、αturn=100/(X・p)(%)
次に、インバータを設置する箇所に、インバータと同じ波頭長のサージ電圧を印加し、回転電機端における電圧増加率βを求め、使用するインバータの電圧変化量ΔVをこれに掛け合わせて、回転電機に印加されるサージ電圧ΔVを求める。得られたΔVと回転電機の層間絶縁電圧分担率αturnを掛け合わせて、層間絶縁の分担電圧Vturnを求める。この分担電圧Vturnにおいて、部分放電が発生しない、あるいは部分放電が発生しても、課電寿命がモータの余寿命以上の場合には、インバータ駆動可能と判別する。また、部分放電が発生する、あるいは課電寿命がモータの余寿命未満の場合には、インバータ駆動不可と判別する。
【0011】
このような本発明によれば、インバータ駆動以外の回転電機にも適用して、そのインバータ駆動の可否を簡単に判別できるので、回転電機のインバータ電源駆動化を推進できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による回転電機絶縁診断方式の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は回転電機絶縁診断装置の構成を示す。回転電機絶縁診断装置1には、少なくともサージ電圧を発生するサージ電源7、8と、発生したサージ電圧と、電圧計測点間のサージ伝播時間と、電圧計測点におけるサージ電圧とを計測するサージ電圧計測部5を有する。また、計測したサージ伝播時間、電圧と、ユーザから与えられた回転電機・インバータの仕様、各種層間絶縁材料の部分放電特性および課電寿命特性を計測データ診断部6に記憶する。計測データ診断部6は、これらの情報から層間絶縁電圧分担率αturn、電圧増加率β、層間絶縁の分担電圧Vturnを求め、インバータ駆動可否を判別する。さらに、ユーザがデータを入力するための入力装置10と、ユーザに判別結果を知らせるための出力装置11を備えている。なお、計測を容易に行うために、回転電機結線切り換え部4、ケーブル接続切り換え部9を備えている。
【0014】
図2は、本診断装置1による診断の手順を示すフローチャートである。始めに、回転電機、インバータ、ケーブルの仕様を、入力装置10から入力する(S11)。
【0015】
図3は入力画面を示す。表示装置11の入力画面は、診断対象のインバータと回転電機2の仕様が入力できるように構成されている。例えば、インバータの電圧変化量ΔV、波頭長t、キャリア周波数finv、回転電機のY/Δ結線、試験を希望する結線図No、回転電機固定子の1相当たりコイル数X、コイル内のターン導体段数pである。さらに、層間絶縁の厚さd、材質、比誘電率ε、安全率k、回転電機の余寿命なども入力される。これらの入力データは表示装置11の画面から入力され、計測データ診断部6に記憶される。なお、結線図のNoは操作マニュアルや診断装置1内のヘルプメニューに記載されている。
【0016】
以上のデータ入力が終わった後、回転電機結線切り換え部4を用いて診断装置と回転電機の結線を行なう(S12)。図4〜20に各結線例を示し、詳細は後述する。
【0017】
次に、サージ電源7を用いて波頭長が急峻な矩形波、インパルスなどのサージ電圧を回転電機2に印加し、サージ電圧計測部5にて回転電機内のサージ伝播特性を計測する(S13)。計測したサージ伝播特性は、計測データ診断部6に記録され、回転電機内のサージ伝播時間τを求め、先に入力した回転電機の仕様、計測した回転電機の結線から、回転電機内のサージ伝播速度を導出する。さらに、計測データ診断部6では、得られたサージ伝播速度を用いて層間絶縁電圧分担率αturnを求める(S14)。
【0018】
次に、回転電機結線切り換え部4とケーブル接続切り換え部9を用いて、サージ電圧をケーブル3から回転電機2に印加できるようにする(S15)。結線が終了し測定準備ができたところで、ケーブル3の入力端に供試インバータと同じ波頭長の矩形波あるいはインパルスなどのサージ電圧を印加し、サージ電圧計測部5にてケーブル3の回転電機端の電圧変化量を計測する。
【0019】
計測した電圧変化量は、計測データ診断部6に記録される。診断部6では測定した回転電機端のサージ電圧変化量と入力したサージ電圧変化量の比から、ケーブル−回転電機端における電圧増加率βを求める(S16)。
【0020】
また、得られた電圧増加率βと、先にオペレータが入力したインバータの電圧変化量との積により、回転電機端の電圧変化量ΔVを導出する(S17)。さらに、先に得た層間絶縁電圧分担率αturnとの積から層間絶縁分担電圧Vturnを求める(S18)。
【0021】
最後に、計測データ診断部6では、診断部6内に記憶された層間絶縁材料の課電寿命、部分放電特性データベースから、供試回転電機の層間絶縁課電寿命、部分放電特性データを取り出す。これと得られた層間絶縁分担電圧Vturnと、部分放電電圧、回転電機の余寿命データを比較し、インバータ駆動の可否を判別する(S19)。
【0022】
以下、回転電機診断装置1の各機能を詳細に説明する。結線切り換え部4は、回転電機2のU、V、W、X、Y、Zの口出し線21や接地線22の結線を切り換え、図4〜20の各結線を行なう。
【0023】
図21は結線切り換え部4のスイッチ回路を示す。結線切り換え部4はスイッチ401を用いて、回転電機2の口出し線21とサージ電源7の電源線71の結線を切り換えることができる。ここでは、回転電機のみのサージ伝播特性を測定するため、スイッチ402によりケーブルと回転電機を切り離しておく。なお、結線切り換え部4のスイッチには、同軸スイッチなどの高周波スイッチの他にリレーや一般的なロータリースイッチを使用できる。
【0024】
本発明では、特に結線切り換えを手作業で行っても本発明の目的を達成できる。このため、結線切り換え部4は単純に端子台とし、端子台上で回転電機の結線切り換えを行っても良い。また、最も単純には、直接、供試回転電機2をサージ電源7およびサージ電圧計測部5に手作業で接続しても良い。ただし、スイッチで結線切り換え部4を製作した場合には、スイッチの状態をGP−IB、RS−232C、10BASE−Tなどの計測器制御と、データ線400で計測データ診断部6に伝送する。また、手作業で結線を行う場合には、入力画面から試験時の結線を入力する。
【0025】
ここで、図4〜20の結線を説明する。図4は、Y型回転電機のUVW三相の一相に、電圧供給線71を介してサージ電圧を印加し、電圧測定リード51を用いて電圧印加相と他の二相に到達するサージ電圧を測定する例である。
【0026】
図5は、Y型回転電機のUVW三相の一相にサージ電圧を印加し、他の二相の内、一方の電圧を測定する例である。基本的に各相の巻線が同じ仕様で製作されていれば、特に図4のように二相を測定しなくとも一方の相の電圧を測定すれば良い。なお、図6、7は、図4、5の回転電機をΔ型回転電機とした例である。
【0027】
図8〜13は、端子箱に中性点接続線を有する。あるいはY−Δ起動できる回転電機のように、端子箱にU、V、W、X、Y、Z端子を有していて、X,Y,Z端子を一括することにより中性点電位を測定できる。
【0028】
図8は、Y型回転電機のUVW三相の一相にサージ電圧を印加し、中性点の電圧を測定する例である。この場合、特に電圧印加相を変えるだけで、UVW各相の巻線のサージ伝播特性を個別に測定できる。
【0029】
図9、10は、図8においてさらに電圧印加相でない端子の電圧も測定する例である。この場合、図8に比し、電圧印加相を入れ替える作業を1あるいは2回低減することができる。
【0030】
図11は、Y型回転電機のUVW三相にサージ電圧を印加し、中性点の電圧を測定する例である。この場合、UVW三相の平均的なサージ伝播特性を求めることができる。
【0031】
図12、13ではY型回転電機の二相にサージ電圧を印加し、中性点、他相の電圧を測定する例である。図11と同様に、回転電機巻線の平均的なサージ伝播特性を求めることができる。
【0032】
図14〜20は、端子箱にU、V、W、X、Y、Z端子を有している。図14は、UVW三相にサージ電圧を印加し、同時に各相の巻線のサージ伝播特性を測定する例である。この場合、特に各相のサージ伝播速度の違いを一度に測定することができる。
【0033】
図15〜17は一相の巻線サージ伝播特性、図18〜20は二相の巻線サージ伝播特性を測定する例である。図15〜17では一相づつ切り離して各相のサージ伝播特性を測定できる。特に、図15では、非試験相を接地しているため、容量結合性のノイズが大きい場合にもこれを低減できる。一方、図16、17では非試験相の一部もしくは全てを浮かせているため、試験相と非試験相の相互インダクタンスが大きい場合にも、誘導電流が流れる閉回路ができず、誘導電流の影響を除去できる。同様の理由から、図18〜20の回路は、二相の巻線のサージ伝播特性を測定する場合に、それぞれ、非試験相を接地または一部もしくは全部を浮かせた例である。
【0034】
これらの結線による試験は、いずれも回転電機の外部端子箱に用意されている端子を利用している。このため、従来のように、回転電機を解体し、コイル絶縁を除去し、測定電極、リード線を設置し、試験後には再び測定電極、リード線を除去し、コイルの絶縁処理する作業が必要なく、従来に比べて短時間で試験ができる。
【0035】
サージ電源7は、サージ電源出力線71、結線切り換え部4および回転電機口出し線21を介し、回転電機2にサージ電圧を印加する。サージ電源の電圧波形は、波頭長が短い矩形波やインパルスが好ましい。特に、サージ電圧の波頭長が短いほどサージ伝播特性を測定しやすく、波頭長が10μs以下、とりわけ1μs以下の矩形波やインパルスを使用することが望ましい。
【0036】
サージ電圧計測部5では、印加サージ電圧と回転電機内を伝播したサージ電圧波形を測定する。図22に測定波形を示す。印加サージ電圧53に対し、サージ伝播時間τだけ電圧の立ち上がり/立下りが遅れたサージ電圧54を観測することができる。τは回転電機のサージ電圧入力端とサージ測定端子との間の伝播時間である。また、開放端の測定端子では、電圧波形にサージ伝播時間τの約4倍の周期を有する振動が認められる。さらに、サージ電圧計測部5で、印加サージ電圧53と測定サージ電圧54の差電圧を測定する。差電圧55には、サージ伝播時間τと同じ幅のパルスと、サージ伝播時間τの約4倍の周期を有する振動が認められる。これらの電圧測定波形は、計測器制御とデータ線500を介し、計測データ診断部6に伝送される。
【0037】
以上のサージ電圧計測部5は、高周波広帯域の電圧プローブとデジタルオシロスコープや高速A/D変換器などの電圧波形計測機器で実現することができる。また、特に振動波形および振動周期を観測せず、サージの遅延だけを測定する場合は、入力インピーダンスの高い電圧プローブを使用しなくてもよい。50Ωや75Ωの同軸ケーブルで、被測定点の電圧波形を直接デジタルオシロスコープの電圧波形観測装置に導いても良い。
【0038】
計測データ診断部6は回転電機サージ伝播時間τを、サージ電圧波形の時間遅れ、振動周期あるいは差電圧のパルス幅、振動周期から求める。図23にサージ伝播時間計測の出力画面(1)を示す。印加サージ電圧▲1▼、回転電機内伝播サージ電圧▲2▼、差電圧▲1▼−▲2▼の図示と、回転電機サージ伝播時間τが示されている。
【0039】
計測データ診断部6では、得られたサージ伝播時間τから回転電機の層間絶縁電圧分担率を求める。図24に回転電機の層間絶縁電圧分担率を求めるフローチャートを示す。計測データ診断部6には、回転電機の被測定結線と、これに対応する線路長lと、1相のコイル数Xと、インバータ波頭長tと、コイル導体の段数pとターン間分担電圧安全率kが入力されている。図24(b)に、被測定結線とこれに対応する線路長lを示す。
【0040】
始めに、得られたサージ伝播速度τと、回転電機の結線と、線路長lと、回転電機の1相のコイル数Xから、回転電機内のサージ伝播速度vを求める(S21)。次に、回転電機内のサージ伝播速度vと、インバータ波頭長t、コイル段数p、ターン間分担電圧安全率kを用い、層間絶縁電圧分担率αturnを式(1)により計算する(S22)。αturnが100k%を超える場合(S23)、αturn=100k%とする(S24)。また、αturnが平等分布のときの値(=100/(x・p)%)に比べて小さい場合(S25)、αturn=100/(x・p) %と修正する(S26)。図26は層間絶縁電圧分担率αturnの出力画面(2)である。
【0041】
計測データ診断部6は、層間絶縁電圧分担率αturnを求めると、次にサージ電圧をケーブルのインバータ端から回転電機に印加するように指示する。図27に、ケーブル・回転電機の結線切換えの説明図を示す。これらの作業をスイッチで行う場合、回転電機結線切り換え部4は、例えば図21に示すスイッチ401と402を開閉し、先の回転電機のサージ伝播特性を求めたサージ電源7と回転電機2を切り離し、ケーブル3と回転電機2を接続する。また、ケーブル接続切り換え部9では、サージ電源8とケーブル3を接続する。図28にケーブル接続切換え部9の一例を示す。図示のように、スイッチ901を開閉し、UVW相の極性を決定する。
【0042】
図21、28の回転電機結線切り換え部4、ケーブル接続切り換え部9では、スイッチの状態を計測器制御、データ線400、900を介して、計測データ診断部6に伝送する。また、先述のように、回転電機結線切り換え部4、ケーブル接続切り換え部9は手作業で行うことも可能である。
【0043】
サージ電源8は、ケーブル−回転電機の結線が完了した時点で、サージ電源出力線81、ケーブル結線切り換え部9を介し、供試インバータと同じ波頭長の矩形波あるいはインパルスなどのサージ電圧をケーブル3に入力する。この際、ケーブルのインバータ電源端32と回転電機端31におけるサージ電圧は、それぞれ測定リード52、51を介して、サージ電圧計測部5で計測される。
【0044】
この測定結果の例を、図27の33、34に示す。回転電機端では、入力電圧ΔVのβ倍の電圧変化33、ケーブル端では入力電圧ΔVの電圧変化34が観測される。これらの電圧波形は、図1に示すようにサージ電圧計測部5からデータ線500を介し計測データ診断部6に伝送される。なお、供試インバータと同じ波頭長の矩形波あるいはインパルスは、波頭長が可変のサージ電源を使用する。あるいは波頭長が急峻なサージ電源の出力にLCR,LR,CR,LCなどのローパスフィルタを接続することで実現できる。
【0045】
計測データ診断部6では、回転電機端の電圧増加率βを回転電機端とインバータ端の電圧波形33、34の電圧変化の比から求める。あるいは回転電機端の電圧波形の最大値と平坦部の電圧変化量の比から求める。
【0046】
さらに、計測データ診断部6では、インバータ駆動時の回転電機端の電圧変化量ΔVを求める。図29に手順を示すように、入力されたインバータ電圧変化量ΔVと電圧増加率βとの積から、回転電機端の電圧変化量ΔVを求めることができる。
【0047】
図30に出力画面(3)の表示例を示す。表示装置11の表示画面には、回転電機端電圧増加率β、回転電機端電圧変化量ΔVが、電圧変化33,34とともに表示されている。
【0048】
さらに、計測データ診断部6では、得られた層間絶縁電圧分担率αturnと回転電機端の電圧変化量ΔVの積を計算し、インバータ駆動時の層間絶縁分担電圧Vturnを求める。図31にその手順を示す。また、その結果を図32の出力画面(4)に示す。出力画面(4)には、層間絶縁分担電圧Vturnとともに、層間絶縁電圧分担率αturn、サージ電圧変化量ΔVなどが図示のように示されている。
【0049】
回転電機・ケーブルのサージ伝播特性の計測により得られた層間絶縁分担電圧Vturnは、計測データ診断部6において層間絶縁材料の課電寿命、部分放電特性データ、回転電機の余寿命と比較され、インバータ駆動可否の判別が行われる。
【0050】
図33にインバータ駆動可否の判別処理のフローチャートを示す。先に入力された層間絶縁材の厚さdと層間絶縁の種類あるいは比誘電率εriに対し、図34に示す部分放電電圧Vが求められる(S31)。なお、部分放電電圧には、部分放電開始電圧Vと消滅電圧Vが使用できる。一般に両者はほぼ同値であるが、後者の方がやや低く、かつ、測定値のばらつきが小さいため、後者を用いることが望ましい。さらに、後者はパッシェンの法則から導いた部分放電電圧と良く一致することが知られている。したがって、理論的に予測できる点からも、後者を使用することが望ましい。
【0051】
計測データ診断部6では、Vi、Vと層間絶縁分担電圧Vturnを比較し(S32)、層間絶縁分担電圧Vturnが層間絶縁の部分放電電圧V未満の場合には、インバータ駆動可と判別する(S33)。逆に、層間絶縁分担電圧Vturnが部分放電電圧V以上の場合には、次のように処理が分かれる。
【0052】
ユーザが層間絶縁を部分放電電圧以上で使用するか否かを判断し(S34)、使用しないと判断した場合には、インバータ駆動不可と判別する(S38)。一方、層間絶縁を部分放電電圧以上で使用すると判断した場合は、計測データ診断部6は、層間絶縁材料の課電寿命特性からVturnにおける破壊までの時間t(at Vturn)を求めて回転電機の余寿命tと比較する(S37)。時間t(atVturn)がt以上の場合はインバータ駆動可と判別する。一方、t(atVturn)がt未満の場合はインバータ駆動不可と判別する。
【0053】
図35に、Vturnと破壊までの時間t(at Vturn)の関係を示す。また、課電寿命特性は、図36に示す層間絶縁材料のインパルスV−N特性のNを、インバータ電源のキャリア周波数finvの2倍で除すことにより得る。
【0054】
以上の3種類の判別を行なった場合、表示装置11には、例えば図37〜39のような出力画面(5)〜(7)が表示される。各出力画面には判別に用いられた層間絶縁分担電圧Vturnと部分放電電圧Vdの関係、あるいは層間絶縁寿命t(atVturn)と回転電機余寿命tの関係と、インバータ駆動の可否が示される。
【0055】
次に、上記した発明の実施の形態に基づく実施例を説明する。
【0056】
(実施例1)
図40に、本発明の回転電機絶縁診断装置の実施例1の構成図を示す。回転電機・ケーブルの結線切り換え部4、9を同軸スイッチ4000、9000、サージ電圧計測部5をデジタルオシロスコープ5000、サージ電源7、8をファンクションジェネレータ7000、8000により構成した。また、計測データ診断部6にはPC6000を使用し、入力装置10はPCのキーボード10000と図示しないマウス、表示装置11はPCのディスプレイ11000を用いた。PCと各結線切り換え部、サージ電源、サージ電圧計測装置は、GP―IB100を介して接続されている。
【0057】
PC6000には、RAM、ROM、FDD、HDD、MO、CD−R、CD−RW、DVDなどの記憶装置60があり、記憶装置60には大きく分けて、プログラム61、データベース62、データ記録領域63が用意されている。プログラム領域61には、インバータ駆動可否判別プログラム610が記憶されている。データベース領域62には、各種層間絶縁材料の部分放電特性620、課電寿命特性621、比誘電率622、回転電機の結線と線路長の関係データ623が記憶されている。
【0058】
なお、各種層間絶縁材料としては、例えば、油性、ホルマール、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、エナメル、シリコーン、アクリルニトリル、テフロン等のエナメルが記憶されている。また、ガラスクロス、アスベストなどの無機繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、紙、絹、綿などの有機繊維、ポリイミド、PET、PENなどのフィルム、マイカ、ガラスフレーク、無機粉末コートエナメルなどの耐コロナ性材料等が記憶されている。
【0059】
データ記憶領域63には、判別プログラム起動時入力データの回転電機巻線のY/Δ結線630、診断装置と回転電機の結線631、回転電機の1相のコイル数632が記憶されている。また、回転電機コイルのターン導体の段数633、層間絶縁の厚さ634、層間絶縁材料名635、インバータ波頭長636、電圧変化量637、キャリア周波数638、回転電機余寿命639が記憶される。さらに、回転電機端電圧増加率640、回転電機端電圧変化量641や、電圧波形計測データ642も記憶される。
【0060】
実施例1の診断例を説明する。始めにユーザはPC6000、デジタルオシロスコープ5000、ファンクションジェネレータ7000、8000の電源を入れ、PC起動後に、ユーザがインバータ駆動可否判別プログラム610を起動する。
【0061】
始めに、図3の初期データ入力画面が起動する。ユーザはインバータの仕様として、ステップ電圧の電圧変化量ΔV、波頭長t、キャリア周波数finvを入力する。回転電機仕様は、回転電機のY/Δ結線、中性点接地/非接地、Y/Δ起動可能/不可能、サージ伝播特性測定結線、固定子巻線の一相当たりコイル数、コイル導体の縦方向の段数、層間絶縁の厚さd、材質、安全率k、回転電機の余寿命を入力する。
【0062】
図41に入力結果の一例を示す。なお、画面下部の注意書きにあるように、低圧電動機では一般的な乱巻コイルの場合、コイル段数pには1を入力する。また、既知であれば、層間絶縁の比誘電率εriも入力することが望ましい。ただし、比誘電率は材料名を入力した時点で、代表的な値がPC6000内の比誘電率データベース622から抽出可能なため、特に入力しなくても良い。安全率kは初期値に1.3が入力されているが、回転電機メーカの推奨値があれば、これを入力する。回転電機の余寿命は、回転電機の保証年数から現在までの使用年数を引いた値を入力する。
【0063】
また、電圧変化量ΔV=1.3kV、波頭長t=0.1μs、キャリア周波数finv=500Hzのインバータを使用した。回転電機には、Y型、中性点非接地、Y/Δ起動可能、固定子巻線の1相のコイル数16個、ターン導体の段数10段、層間絶縁の厚さd=0.15mm、材質がマイカ巻電線、比誘電率εri=4.2、安全率k=1.3、余寿命1年の回転電機を使用した。また、サージ伝播特性の測定回路には、図4の回路を選択した。
【0064】
この結果、実施例1の診断装置と回転電機の結線は図42に示すものとなる。このとき、同軸スイッチ4000は図43に示すように投入されている。ファンクションジェネレータ7000からサージ電圧を発生させ、これを回転電機の一相、例えばU相に入力する。また、この際、入力したサージ電圧と、回転電機内を伝播し他相のV,W相口出しに到達するサージ電圧を広帯域FETプローブ5001〜5003とデジタルオシロスコープ5000にて測定する。なお、同軸スイッチにおける記号は、回転電機の端子記号である。また、Gは、回転電機の接地端子を意味する。
【0065】
図44にデジタルオシロスコープで測定した電圧波形を示す。U相に入力したサージ電圧5010とV、W相に到達したサージ電圧5011、5012が計測される。デジタルオシロスコープでは、これらの波形をA/D変換し、変換された数値データはGP−IB100を介してPC6000に送信される。PCでは、採取した電圧波形の立上がり開始時刻の差から、回転電機内のサージ電圧伝播時間τを求める。
【0066】
なお、本実施例ではV、W相の二相の電圧波形を計測しているが、図44で明らかなように、特にサージ電圧の到達時間に違いは認められない。しかしながら、巻線の製作上のばらつきによってサージ伝播時間に違いが生じる場合には、特に長い側のサージ伝播時間を採用することが望ましい。
【0067】
図45に測定結果の出力画面を示す。測定結果に、ノイズが多く重畳したり、いずれかの相の信号が計測されていない等の問題がなければ、層間絶縁電圧分担率を求めるボタンをクリックする。一方、異常が認められた場合には、測定を中止するか、あるいは再測定する。
【0068】
ユーザが層間絶縁電圧分担率を求める指示を出すと、PC6000内のインバータ駆動可否判別プログラム610は、図24(a)のフローチャートに従い、層間絶縁電圧分担率αturnを求める。すなわち、始めにプログラムは、回転電機の結線図4に対応した線路長lを図24(b)から選択する。これとユーザが入力した1相のコイル数Xと計測したサージ伝播時間τを用い、サージ電圧が伝播した線路lに含まれるコイル数Xを、サージが伝播するのに要した時間τで割る。これにより、単位時間あたりにサージが伝播するコイル数、すなわちサージ伝播速度vが求められる。得られたサージ伝播速度vと、ユーザが入力したインバータ波頭長t、コイル段数p、ターン間分担電圧安全率kを用い、図24の場合分けに応じた層間絶縁電圧分担率αturnを計算する。ただし、αturnが130%以上の場合には、αを130%とする。また、1相のコイル数で平等に電圧を分担する場合、すなわち1相のコイル数Xと段数pで100%を割った値に比しαturnが小さい場合には、αturnを平等分布の値とする。
【0069】
本実施例では、図24(b)より、図4に対応する線路長lは2X、1相のコイル数Xは16個、サージ伝播時間τは10μsであるため、サージ伝播速度vは3.2コイル/μsとなる。また、インバータの波頭長tは0.1μs、コイル段数pは10段、ターン間分担電圧安全率kは1.3であるため、層間絶縁電圧分担率αturnは41%となる。
【0070】
以上の結果、ディスプレイ11000には、図46のように表示される。すなわち、供試インバータの波頭長tに対し、層間絶縁電圧分担率αturnが一意に決まる。
【0071】
なお、診断プログラムは、層間絶縁に実際に印加される電圧の絶対値を求めるために、回転電機端に印加されるサージ電圧を測定する。もし、サージ電圧が既知ならばユーザに入力するように促す。ユーザは、回転電機端のサージ電圧変化量の数値を入力することができ、この場合、プログラムは次の回転電機端の電圧増加率βを求めるフローを省略し、図31のフローに移行する。なお、ここでは、ケーブルと回転電機のサージインピーダンスの不整合に伴う電圧跳ね上りも含めた変化量を入力する必要がある。
【0072】
一方、インバータから発生されたサージ電圧が回転電機端で跳ね上り、増加する割合が分からない場合には、“はい”をクリックし、続いて回転電機端の電圧増加率βを求める。あるいは、回転電機端の電圧変化量をメーカに問い合わせる場合には、途中で本プログラムを中止することもできる。
【0073】
診断プログラムは、ユーザが回転電機端の電圧増加率βを求めることを指示した場合、同軸スイッチ4000及び9000を開閉し、回転電機端にケーブル3を介してサージ電圧を印加する図27の回路を実現する。図47に、実施例1の装置で構成した接続図を示す。これを実現するためには、図48、49に示すように、スイッチ4000及び9000を投入すれば良い。すなわち、始めに、スイッチ4000は先に使用したファンクションジェネレータ7000と回転電機を切り離し、回転電機のU、V,W相をそれぞれケーブルの該当する相に接続する。一方、スイッチ9000はU、V、W相の中の1相をファンクションジェネレータ8000の+に、他の2相を−に接続する。
【0074】
ファンクションジェネレータ8000は、回路の結線が終了した時点で、インバータの波頭長と同じ波頭長のサージ電圧を発生する。発生した電圧と、回転電機端の電圧は、デジタルオシロスコープ5000と広帯域FETプローブ5001〜5005にて測定する。図50に、この際の測定結果を示す。すなわち、ファンクションジェネレータの+側に接続されたU相では(a)の正極性の電圧、−側に接続されたV,W相では(b)の負極性の電圧が観測される。いずれも、ファンクションジェネレータ側のステップ電圧変化量ΔVに対し、回転電機端ではβ倍だけ電圧が増加した波形が観測される。この測定波形は、先の回転電機内のサージ伝播特性と同様に、デジタルオシロスコープでA/D変換され、数値データはGP−IB100を介してPC6000に送信される。PCでは、採取した電圧波形の電圧変化量を比較し、電圧増加倍率βが求められる。
【0075】
なお、+側と−側の電圧波形の電圧変化量は、ケーブルやモータの浮遊容量の分布によって変化する。また、−側を接地したファンクションジェネレータを使用した場合には、−側の電圧波形は観測されない。これらの測定条件に伴う電圧波形の変化を除去する場合、ファンクションジェネレータ、回転電機の各相の対地電圧を測定するのではなく、線間電圧を測定し、ファンクションジェネレータ側と回転電機側の線間電圧の電圧変化量を比較すれば良い。この結果、ケーブルと回転電機のサージインピーダンスの不整合に伴う電圧増加率βとほぼ同じ電圧増加率を得ることができる。ただし、ケーブル長や浮遊容量などの回路条件が各相で異なる場合には、これらの影響を含めた平均的な電圧増加率が得られる。
【0076】
得られた電圧増加率βは、図29のフローの入力データとなり、回転電機端の電圧変化量が求められる。すなわち、回転電機端の電圧増加率βと、ユーザが入力したインバータの電圧変化量ΔVの積を計算し、回転電機端の電圧変化量ΔVを求めることができる。実施例1では、インバータの電圧変化量ΔV=1.3kV、β=1.9であることから、ΔVは2.5kVとなる。
【0077】
以上の回転電機端の電圧変化量βや、これを用いて計算した回転電機端の電圧変化量ΔVは、図51のようにディスプレイ11000に表示される。この画面で、プログラムはさらに層間絶縁の分担電圧Vturnを求めるかどうか尋ねる。ここで、ユーザが“はい”をクリックすると、プログラムは図31のフローを実行する。一方、測定したβが2より大きい場合や、測定を中断する場合には、“中止”をクリックすることでプログラムを中止できる。
【0078】
層間絶縁分担電圧Vturnを求めるフローを図31に示す。層間絶縁分担電圧Vturnは回転電機端に印加される対地サージ電圧に対する電圧分担率αturnと回転電機端の電圧変化量ΔVの積を計算することで求められる。実施例1では、層間絶縁電圧分担率αturn=41%、回転電機端の電圧変化量ΔV=2.5kVであるため、層間絶縁分担電圧Vturnは1.0kVとなる。この結果は、図52のようにディスプレイ11000に表示される。
【0079】
なお、インバータ駆動可否判別プログラムは、層間絶縁分担電圧Vturnを求めた時点で一通りの測定を終了する。ここからは、得られた層間絶縁分担電圧VturnとPC6000内のデータベースに記憶された層間絶縁材料の部分放電特性620、課電寿命特性621を比較し、インバータ駆動可否判別を行なう。
【0080】
ユーザがインバータ駆動可否判別を行なう指示を出した場合の、インバータ駆動可否判別フローは、図33となる。判別プログラムは、ユーザが入力した層間絶縁の厚さdと比誘電率εriに相当する部分放電電圧Vを、PC内に保存された部分放電特性データベース620から求める。なお、部分放電特性データベース620には、図34の特性が数値データとして記憶されている。
【0081】
実施例1では、層間絶縁の厚さd=0.15mm、εri=4.2であるので、データベースから部分放電電圧Vは1.5kVとなる。得られた部分放電電圧と先に計測した層間絶縁分担電圧Vturn=1.0kVを比較すると、層間絶縁分担電圧Vturn=1.0kVは部分放電電圧V=1.5kV未満であるため、インバータ駆動可能と表示し、全プログラムを終了する。
【0082】
この際の表示画面は、例えば図53のようになる。すなわち、層間絶縁分担電圧が部分放電電圧以下であることと、インバータ駆動可能であることを表示する。また、診断プログラムを終了するボタンが表示される。なお、特に、続けて他の回転電機を診断するか、あるいは再度確認のために診断を行ないたい場合には、再診断ボタンをクリックすることで再度、始めから診断を行なう事ができる。
【0083】
(実施例2)
実施例2は、コイル導体の段数pが5段であることを除き、他の仕様は実施例1と同じモータを試験する例である。なお、実施例2では特に実施例1とコイル巻線長がほぼ同じモータを試験するものとする。この場合のサージ伝播時間τは、モータの巻線長がほぼ同じであるため、実施例1と同じ10μsとなる。この結果、サージ伝播速度vも実施例1とほぼ同じく3.2コイル/μsとなる。しかしながら、コイル段数pが5段であり、実施例1の1/2であるため、層間絶縁電圧分担率αturnは82%となる。この結果、層間絶縁分担電圧Vturnは実施例1の約2倍の2.0kVとなり、層間絶縁部分放電電圧1.5kV以上となる。
【0084】
得られた層間絶縁分担電圧Vturnを図33のフローに適用すると、図54に示す画面が表示される。この画面で、層間絶縁部分放電電圧V以上で使用するかどうかを質問する。なお、繰り返し回数が多いインバータサージ電圧下では、一度、部分放電劣化が生じると絶縁物は急速に劣化するため、インバータにフィルタを設置するか、あるいは絶縁強化するなどの対策をとることが望ましい。このため、図示のように、この主旨の注意書きが記載されることが望ましい。
【0085】
ここで、ユーザが“はい”をクリックした場合,判別プログラムは、PC6000内のデータベースにある層間絶縁材料の課電寿命特性(V−N特性)621の電圧印加回数Nをインバータのキャリア周波数finvの2倍で割り、V−t特性に換算する。すなわち、図36の課電圧Vと絶縁物の破壊までの電圧印加回数Nの関係を、単位時間あたりのインバータサージ電圧の繰り返し回数2finvを用いて、課電圧Vと絶縁物が破壊するまでの時間tの関係に換算する。判別プログラムは、換算したグラフにおいて、層間絶縁分担電圧Vturnにおける破壊までの時間t(at Vturn)を求め、これとユーザが入力した回転電機の余寿命tを比較する。層間絶縁分担電圧Vturnにおける破壊までの時間t(at Vturn)が回転電機の余寿命t以上の場合、インバータ駆動可と表示し、逆に、回転電機の余寿命t未満の場合には、インバータ駆動不可と表示する。
【0086】
実施例2の結果を図55に示す。実施例2では、耐部分放電劣化特性に優れたマイカ巻電線を使用しているため、層間絶縁分担電圧Vturnにおける破壊までの時間t(at Vturn)は1.5年となり、ユーザが入力した余寿命t=1年に比し長い。したがって、プログラムは、インバータ駆動可能であることを表示する。また、プログラムは、診断プログラムを終了するか、あるいは再診断するか質問する。
【0087】
一方、先の図54で“いいえ”をクリックした場合、図56に示すように、インバータ駆動不可であることを表示し、診断プログラムを終了するか、あるいは再診断するか質問する。
【0088】
(実施例3)
実施例3では、実施例2の層間絶縁が二重ガラス被覆電線の回転電機の場合を示す。二重ガラス被覆電線では、比誘電率εriが5.3となるため、部分放電特性データベース620から実施例3の層間絶縁部分放電電圧Vは1.2kVとなる。すなわち、実施例3では、実施例2と同様に、層間絶縁分担電圧Vturn=2.0kVが層間絶縁部分放電電圧V=1.2kVに比し高いため、図54と同様に、部分放電電圧以上で使用するかどうかの質問が行なわれる。
【0089】
ここでユーザが“はい”をクリックした場合、実施例2と同様に、課電寿命特性データベース621のV−N特性と、キャリア周波数finvの2倍を用いて、V−t特性を求める。換算したグラフにおいて、層間絶縁分担電圧Vturnにおける破壊までの時間t(at Vturn)を求め、これとユーザが入力した回転電機の余寿命tを比較する。
【0090】
実施例3の結果を図57に示す。実施例3では層間絶縁分担電圧Vturn=2.0kVにおける破壊までの時間t(at Vturn)は0.1年であり、ユーザが入力した余寿命t=1年に比し短い。したがって、プログラムは、インバータ駆動不可であることを表示する。また、プログラムは、診断プログラムを終了するか、あるいは再診断するか質問する。
【0091】
(実施例4)
図58に実施例4の装置構成を示す。実施例4では、実施例1のファンクションジェネレータ7000、8000を、一つのファンクションジェネレータ12で実現し、サージ電圧は、サージ電源出力切り換え部13で、同軸スイッチ4000あるいは9000のいずれかに印加できる。なお、サージ電源出力切り換え部13はスイッチで構成することができる。
【0092】
図59にスイッチの開閉回路を示す。始めに回転電機内のサージ伝播特性を測定する場合には、(b)側にスイッチを投入し、回転電機にサージ電圧を印加する。一方、モータ端の電圧増加率を測定する場合には、(c)の側にスイッチを投入することで、ケーブルのインバータ電源側にサージ電圧を印加する。
【0093】
以上のように、実施例4では、サージ電源を1つに統一しているため、実施例1に比し装置を小型化できる。なお、実施例4では、計測機器制御、データ線101には、RS−232Cを用いている。
【0094】
(実施例5)
図60に実施例5の装置構成を示す。実施例5では、実施例1のサージ電源8000でケーブルのインバータ端に電圧を印加し、ケーブルの回転電機端の電圧増加率を計測するとともに、回転電機内のサージ伝播特性を測定する例である。
【0095】
このため、実施例1に対し、短時間でインバータ駆動可否判別ができる。また、実施例1のサージ電源7000を除去できるため、診断装置を小型化できる。なお、実施例5では、計測機器制御、データ線102には、10BASE−Tを用いている。
【0096】
実施例5の回路構成を図61に示す。なお、図61の回路構成は、同軸スイッチ4000と9000を図62、63とすることで実現できる。すなわち、同軸スイッチ4000では、回転電機の一相のみをケーブル側と接続し、他相は開放する。一方、同軸スイッチ9000では、ファンクションジェネレータの+側を、同軸スイッチ4000で回転電機と接続された相と接続し,ケーブルの他相は接地する。
【0097】
実施例5の回路の動作を図61を用いて説明する。実施例5では、実施例1の電圧増加率計測時と同様に、サージ電圧35をケーブルのインバータ側に印加する。ケーブルから回転電機の一相に印加された電圧は、ケーブルと回転電機のサージインピーダンスの不整合が原因となり跳ね上り、サージ電圧36が観測される。この際の電圧増加量βΔVと入力したサージ電圧35のΔVを比較し、電圧増加率βを求める。さらに、ケーブル/回転電機端で増加したサージ電圧36は、回転電機内に侵入、回転電機巻線を伝播、他相の口出しに到達し、この結果、サージ電圧37が観測される。このサージ電圧37と回転電機端のサージ電圧36の立上がり時刻の差からサージ伝播時間τを求め、実施例1と同様に層間絶縁電圧分担率を得ることできる。
【0098】
実施例5では、この時点で実施例1のサージ伝播時間τと電圧増加率βを測定できるため、インバータ駆動可否判別プログラムは、得られたデータとユーザが入力したデータとPC内のデータベースを基に、直ちに回転電機のインバータ駆動可否判別ができる。
【0099】
なお、実施例5ではケーブルの一相のみにサージ電圧35を印加し、他の二相は開放しているが、特にこのような回路としても、回転電機端の電圧増加率βには実施例1、4と大きな差を生じない。これは、ケーブル側から回転電機を見た場合、回転電機の電圧印加相の対地サージインピーダンスは、回転電機のインダクタンスと対地静電容量で決まる固有の値となる。このため、他相の口出しが浮動電位でも、ケーブルと接続されていても影響されず、ケーブルと回転電機のサージインピーダンスの比から求められるケーブル−回転電機接続部の電圧反射率は実施例1、4と同じになるためである。また、線間のインピーダンスが不整合の場合でも、回転電機や変圧器のような巻線機器ではインダクタンスが大きく、高周波サージには開放と見なせるため、ケーブルと接続されていても開放されていても、回転電機端の電圧反射率は同じになるためである。
【0100】
ただし、実施例5では、回転電機の非電圧印加相の口出しにおいて電圧反射が生じると、これとケーブル−回転電機端の電圧反射と区別することが困難になる。このため、非電圧印加相の口出しは、図61に示すように、回転電機のサージインピーダンスと同程度かそれ以下の抵抗22で終端する。あるいは、FETプローブ5002、5003のインピーダンスを回転電機のサージインピーダンスと同程度かそれ以下にすることが望ましい。
【0101】
具体的には、種々の回転電機のサージインピーダンスを計測した結果、終端抵抗あるいは入力インピーダンスは10kΩ以下、とりわけ1kΩ以下が望ましい。ただし、終端抵抗あるいは入力インピーダンスの値が小さいと電圧信号の振幅が小さくなりノイズとの区別が困難になったため、少なくとも1Ω以上あることが望ましい。
【0102】
以上、本発明の複数の実施例を詳細に説明した。本発明では、以上のように回転電機を分解しないで、回転電機外部の端子を使用し回転電機、ケーブルのサージ伝播特性を測定し、インバータ駆動時の層間絶縁分担電圧を導出するため、従来に比し層間絶縁分担電圧を容易かつ迅速に得ることができる。また、得られた層間絶縁分担電圧と層間絶縁材の部分放電、課電寿命特性から回転電機をインバータ駆動できるかどうか判別するため、過剰な絶縁対策を行うことなくインバータ駆動が容易に行なえ、回転電機の省エネルギー化を推進できる。
【0103】
【発明の効果】
本発明により、非破壊かつ容易に回転電機の電圧分布を測定し、回転電機がインバータ駆動できるか否かの判別をできるので、回転電機のインバータ駆動、省エネルギー化を推進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転電機絶縁診断装置の構成図。
【図2】回転電機絶縁診断装置の試験手順を示すフローチャート。
【図3】インバータ、回転電機仕様データの入力画面。
【図4】Y型回転電機巻線の一相課電、二相電圧計測の回路図。
【図5】Y型回転電機巻線の一相課電、一相電圧計測の回路図。
【図6】Δ型回転電機巻線の一相課電、二相電圧計測の回路図。
【図7】Δ型回転電機巻線の一相課電、一相電圧計測の回路図。
【図8】Y型回転電機の一相課電、中性点電圧計測の回路図。
【図9】Y型回転電機の一相課電、中性点、一相電圧計測の回路図。
【図10】Y型回転電機の一相課電、中性点、二相電圧計測の回路図。
【図11】Y型回転電機の三相課電、中性点電圧計測の回路図。
【図12】Y型回転電機の二相課電、中性点、一相電圧計測の回路図。
【図13】Y型回転電機の二相課電、中性点電圧計測の回路図。
【図14】Y型回転電機の三相同時課電、各相巻き終わり電圧計測の回路図。
【図15】他相の巻き始め、巻き終わりを接地したY型回転電機の一相課電、巻き終わり電圧計測の回路図。
【図16】他相の巻き始めを接地し、巻き終わりを開放したY型回転電機の一相課電、巻き終わり電圧計測の回路図。
【図17】他相の巻き始め、巻き終わりを開放したY型回転電機の一相課電、巻き終わり電圧計測の回路図。
【図18】他相の巻き始め、巻き終わりを接地したY型回転電機の一相課電、中性点、巻き終わり電圧計測の回路図。
【図19】他相の巻き始めを接地し、巻き終わりを開放したY型回転電機の一相課電、中性点、巻き終わり電圧計測の回路図。
【図20】他相の巻き始め、巻き終わりを開放したY型回転電機の一相課電、中性点、巻き終わり電圧計測の回路図。
【図21】回転電機結線切り換え部の回路図。
【図22】印加サージ電圧と回転電機内を伝播したサージ電圧の測定結果の波形図。
【図23】サージ伝播時間計測結果の表示図。
【図24】サージ伝播速度から層間絶縁電圧分担率を求める手順を示すフローチャート。
【図25】サージ伝播速度、波頭長、段数pに対する層間絶縁電圧分担率のグラフ。
【図26】層間絶縁電圧分担率の導出結果の表示図。
【図27】ケーブル・回転電機端での電圧増加率を求める回路及び測定結果の説明図。
【図28】ケーブル結線切り換え部の回路図。
【図29】回転電機端の電圧変化量を求めるフローチャート。
【図30】回転電機端電圧変化量の導出結果の表示図。
【図31】層間絶縁分担電圧を求めるフローチャート。
【図32】層間絶縁分担電圧の導出結果の表示図。
【図33】インバータ駆動可否を判別する処理のフローチャート。
【図34】層間絶縁材料の厚さ、種類と部分放電電圧の特性図。
【図35】層間絶縁材料の課電寿命の特性図。
【図36】層間絶縁材料のV−N特性図。
【図37】インバータ駆動可能と判断された一例による表示画面図。
【図38】インバータ駆動可能と判断された他例による表示画面図。
【図39】インバータ駆動不可と判断された更に別の例による表示画面図。
【図40】実施例1の装置の構成図。
【図41】実施例1の入力画面図。
【図42】診断装置と回転電機の結線図。
【図43】同軸スイッチ4000の接続図。
【図44】実施例1で測定された電圧波形図。
【図45】実施例1のサージ伝播時間の表示図。
【図46】実施例1の層間絶縁電圧分担率の表示図。
【図47】実施例1でケーブル・回転電機の接続による診断装置との結線図。
【図48】結線切換え部4000の接続図。
【図49】結線切換え部9000の接続図。
【図50】実施例1でケーブルからのサージ電圧による回転電機端の電圧波形図。
【図51】回転電機端電圧変化量の表示図。
【図52】層間絶縁分担電圧の表示図。
【図53】インバータ駆動可否の判別結果を示す表示図。
【図54】実施例2によるインバータ駆動可否の判別結果の一例を示す表示図。
【図55】実施例2によるインバータ駆動可否の判別結果の他例を示す表示図。
【図56】実施例2によるインバータ駆動可否の判別結果の更に他の例を示す表示図。
【図57】実施例3によるインバータ駆動可否の判別結果の一例を示す表示図。
【図58】実施例4の装置構成を示す構成図。
【図59】実施例4におけるスイッチの開閉を示す接続図。
【図60】実施例5の装置構成を示す構成図。
【図61】実施例5における試験回路の構成を示す説明図。
【図62】実施例5の同軸スイッチ4000の接続図。
【図63】実施例5の同軸スイッチ9000の接続図。
【符号の説明】
1…回転電機絶縁診断装置、2…回転電機、3…ケーブル、4…結線切り換え部、5…サージ電圧計測部、6…計測データ診断部、7…サージ電源、8…サージ電源、9…結線切り換え部、10…入力装置、11…表示装置、21…回転電機口出し線、22…回転電機接地線、31…ケーブルの回転電機端、32…ケーブルのインバータ電源端、51…回転電機サージ電圧計測リード、52…ケーブル入力端サージ電圧計測リード、71…サージ電源出力線、81…サージ電源出力線、400…データ線、500…データ線、700…データ線、800…データ線、900…データ線、401…回転電機−サージ電源切り替えスイッチ、402…回転電機−ケーブル切り替えスイッチ、901…ケーブル−サージ電源切り替えスイッチ、100…GP−IB、60…記憶装置、61…プログラム領域、62…データベース領域、63…データ記憶領域、610…インバータ駆動可否判別プログラム、620…部分放電特性、621…課電寿命特性、622…比誘電率、623…回転電機の結線と線路長の関係データ、630…回転電機巻線の結線、631…診断装置と回転電機の結線、632…回転電機の1相のコイル数、633…回転電機コイルのターン導体の段数、634…層間絶縁の厚さ、635…層間絶縁材料名、636…インバータ波頭長、637…インバータ電圧変化量、638…インバータキャリア周波数、639…回転電機余寿命、640…回転電機端電圧増加率、641…回転電機端電圧変化量、642…電圧波形計測データ。

Claims (10)

  1. 回転電機のインバータ駆動の可否を判定する回転電機の絶縁診断方法において、
    回転電機内のサージ伝播速度とインバータ波頭長に基づいて層間絶縁分担率を求め、
    サージ電源を用いてケーブルと回転電機の接続部におけるサージ電圧増加率を計測し、該サージ電圧変化率から求まる回転電機端電圧変化量と前記層間絶縁分担率に基づいて層間絶縁分担電圧を求め、
    前記層間絶縁分担電圧を前記回転電機の部分放電電圧と比較してインバータ駆動の可否を判定する回転電機の絶縁診断方法。
  2. 請求項1において、
    前記サージ伝播速度は、サージ電源を用いて回転電機内のサージ伝播時間を計測し、該伝播時間から求める回転電機絶縁診断方法。
  3. 請求項1において、
    前記層間絶縁分担電圧における課電寿命が回転電機全体の寿命に比し短い場合には、インバータ駆動を不可と判定する回転電機の絶縁診断方法。
  4. 請求項1において、
    前記層間絶縁分担電圧が前記部分放電電圧より小さいとき、インバータ駆動可と判定することを特徴とする回転電機の絶縁診断方法。
  5. 請求項4において、
    前記層間絶縁分担電圧が前記部分放電電圧以上のとき、前記回転電機で使用されている層間絶縁材料の課電寿命特性から前記層間絶縁分担電圧における破壊までの時間を求め、この時間が回転電機の余寿命より長いとき、インバータ駆動可と判定することを特徴とする回転電機の絶縁診断方法。
  6. 回転電機のインバータ駆動の可否を判定する回転電機の絶縁診断装置において、
    サージ電圧を発生するサージ電源と、該サージ電圧を印加し、回転電機内のサージ伝播時間及びケーブルを介した回転電機端の電圧変化量を計測するサージ電圧計測部と、
    前記サージ伝播時間から求めたサージ伝播速度とインバータ波頭長に基づいて層間絶縁分担率を求め、前記層間絶縁分担率と前記サージ電圧の電圧変化量に基づいて層間絶縁分担電圧を求め、該層間絶縁分担電圧から前記回転電機の部分放電特性や課電寿命特性を参照してインバータ駆動の可否を判定する計測データ診断部を設けていることを特徴とする回転電機の絶縁診断装置。
  7. 請求項6において、
    前記サージ電源と前記回転電機及び前記サージ電圧計測部の接続、さらに前記サージ電源とインバータ電源に接続するための前記ケーブル及び前記回転電機の接続を、回転電機の種別に応じて切り換える結線切換え部を設けていることを特徴とする回転電機の絶縁診断装置。
  8. 請求項6において、
    前記回転電機の線路長、1相コイル数、部分放電特性、課電寿命特性と前記回転電機を駆動しようとするインバータのキャリア周波数及び波頭長を入力する入力手段を設けていることを特徴とする回転電機の絶縁診断装置。
  9. 請求項6において、
    前記計測データ診断部と入出力可能な表示装置を設け、回転電機の結線図番号、1相あたりのコイル数、層間絶縁仕様、余寿命年など、及びインバータの波頭長、入力電圧及びキャリア周波数を入力する画面を有していることを特徴とする回転電機の絶縁診断装置。
  10. 請求項6において、
    前記計測データ診断部と入出力可能な表示装置を設け、インバータ駆動の可否とその判定要因を表示する出力画面を有していることを特徴とする回転電機の絶縁診断装置。
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