JP2004044897A - ガスタービンの燃焼器 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃焼器の連結管との接続部分に冷却構造を備え、燃焼ガスの温度を上昇させることができるガスタービンの燃焼器を提供する。
【解決手段】連結管19の外周と内筒15の外壁15aの外面とを固定する支持フランジ21の、燃焼ガスの流れる方向22の下流側の部分に、圧縮空気を流入させる複数の流入孔1aを設け、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bとの間の隙間23に通じ、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bと支持フランジ21とにより形成される空間6へ圧縮空気を流入させることにより、連結管19の下流側を十分に冷却できるようにしたガスタービンの燃焼器。
【選択図】 図1
【解決手段】連結管19の外周と内筒15の外壁15aの外面とを固定する支持フランジ21の、燃焼ガスの流れる方向22の下流側の部分に、圧縮空気を流入させる複数の流入孔1aを設け、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bとの間の隙間23に通じ、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bと支持フランジ21とにより形成される空間6へ圧縮空気を流入させることにより、連結管19の下流側を十分に冷却できるようにしたガスタービンの燃焼器。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンの燃焼器に関し、特に、燃焼器の連結管との接続部分に冷却構造を備えたガスタービンの燃焼器に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電等に用いられるガスタービンは、主に圧縮機、燃焼器、タービンから構成されており、タービンにより発電機を回転させて発電している。ガスタービンは、複数の燃焼器を有しているものが多く、圧縮機により圧縮された空気と燃焼器に供給された燃料を混合させ、各々の燃焼器内で燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させており、この高温の燃焼ガスをタービンへ供給している。
【0003】
図4は、従来のガスタービンの燃焼器を示す断面図である。車室内における燃焼器の配置を示すため、一部を断面にて示した。
【0004】
ガスタービンの燃焼器10は、燃焼器ケーシング11に環状に複数個配置される(図4では1個のみ示す)。燃焼器ケーシング11とガスタービンケーシング12には圧縮空気が充満し、車室14を形成する。図示していないが、上流側に設けられた圧縮機により圧縮された空気が車室14に導入され、燃焼器10の上流部に設けられた空気流入口17から燃焼器10の内部に入り、燃焼器10の上部に複数設けられた燃料ノズル18から導入された燃料と混合された後、燃焼器10の内筒15内部で燃焼され、その後、この燃焼ガスはタービン室側へ供給され、タービンローターを回転させる。燃焼器ケーシング11に複数個配置された燃焼器10は、連結管19により互いに連結されており、一つ若しくは二つの燃焼器10の内筒15内部で点火すると、未着火の他の燃焼器10との差圧により、連結管19内を火炎(着火した燃焼ガス)が走る(通過する)ことで、他の燃焼器10へ点火することができる。即ち、連結管19は燃焼器10の着火装置又は火炎維持装置の役割を持っている。
【0005】
図5は、従来のガスタービンの燃焼器の断面図である。
燃焼器全体の詳細な説明は、本発明と直接関係ないため省略し、本発明と直接係る部分のみ説明をする。
【0006】
燃焼器10の内部では、空気流入口17から導入された圧縮空気と、燃料ノズルから供給された燃料とが混合されて燃焼され、燃焼器10の内部の燃焼温度は、最高1500℃以上にまで上昇する。そのため、燃焼部の周囲、即ち、内筒15は、耐熱性の高い素材を用いており、更に、冷却を行なうことで、高温の燃焼温度から守られる。具体的には内筒15を外壁15aと内壁15bとにより構成し、外壁15aと内壁15bとの間に、後述するフィン及び通路16を設け、フィン及び通路16に、圧縮機により圧縮された空気を、燃焼ガスの流れる方向の上流側から流すことで冷却する。図5に示す燃焼器10では、内筒15、フィン及び通路16の組み合わせは4段構造となっており、連結管19は上流側の第一段目の内筒15部分に設けられている。
【0007】
図6は、図5に示す従来のガスタービンの燃焼器と連結管のA−A’線矢視断面図である。
【0008】
図6に示すように、燃焼器の周囲の圧縮空気を流入させて内筒15を冷却するため、燃焼器の内筒15の外壁15aには、外壁15aを貫通する流入孔24が多数設けられており、後述する内筒15、フィン及び通路16の組み合わせの各段において、各段の上流側の位置に配置されている。
【0009】
冷却のためのフィン及び通路16は、内筒15の外壁15aと内壁15bの間に、燃焼ガスの流れる方向22と同方向になるように、設けられている。
【0010】
フィン及び通路16では、上流の流入孔24から流入する圧縮空気が、燃焼ガスの流れる方向22と同方向に流れることで、内筒15の内壁15bを対流冷却する。つまり、内筒15は、圧縮空気を用いた対流冷却により冷却される構造となっている。
【0011】
他の燃焼器と連結するための連結管19は、内筒15を貫通して取付けられており、燃料ガスが流れる方向に斜交して(又は、直交して)取付けられている。連結管19は、環状の支持フランジ21を用いて、連結管19の外周と内筒15の外壁15aとの間を、溶接により固定されている。これは、内側に位置する内筒15の内壁15bは、燃焼器内部の燃焼温度の影響を受けて熱膨張が大きいため、熱膨張のより小さい内筒15の外壁15a部分で固定をしているものである。従って、内筒15の内壁15bの熱膨張を考慮して、連結管19と内筒15との間に、隙間23が設けられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ガスタービンは、タービンの入り口での燃焼ガスの温度を高めることで、熱効率を向上させることができるため、従来から耐熱材料や冷却技術の開発により、タービンの入り口温度の高温化が図られてきている。
【0013】
従来は、上記のような連結管の構造を用いていても、使用している燃焼ガスの温度が高くなかったため、問題が発生することはなかった。しかしながら、ガスタービンの熱効率を向上させるため、タービンの入り口温度を上昇させていく場合、上記連結管は冷却を行う内筒のフィン及び通路を突き抜けて取付ける構造であるため、連結管の下流側において、冷却が不十分となり、燃焼器を損傷するおそれがあった。
【0014】
具体的に説明すると、内筒の外壁と内壁との間にフィン及び通路を設けるプレートフィン構造では、フィン及び通路に圧縮空気を流すことで内筒を冷却している。しかし、連結管の下流側では、その取付け構造上の制約から、上流側からの圧縮空気の流れが遮られるため、冷却が不十分となる。従って、燃焼ガスの温度を上昇させる場合には、連結管の下流側を冷却する手段が必要となってくる。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑み、燃焼器の連結管との接続部分に冷却構造を備え、燃焼ガスの温度を上昇させることができるガスタービンの燃焼器を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービンの燃焼器は、燃焼ガスの流れる方向の上流側より圧縮空気が供給される通路を外壁と内壁の間に有する内筒と、上記外壁及び上記内壁との間に隙間を介して上記燃焼ガスの流れる方向に直交又は斜交して貫通する連結管と、上記連結管の外周と上記外壁の外面とを固定する環状の支持部材とを備え、上記支持部材の上記燃焼ガスの流れる方向の下流側に、上記隙間に通じる空間へ圧縮空気を流入させる流入孔を設けることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービンの燃焼器は、上記流入孔を上記内筒に対して垂直に設けることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービンの燃焼器は、上記外壁の外面と上記支持部材との上記燃焼ガスの流れる方向での重なり部分を最小限にすることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービンの燃焼器は、上記空間内に上記流入孔から流入する圧縮空気を上記通路側と上記隙間側へ配分する配分手段を設けることを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービンの燃焼器は、上記配分手段が上記連結管に取り付けられるジャマ板であることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明において、ガスタービンの燃焼器の構造は、前述したものと同等の構成で良い。即ち、燃焼ガスの流れる方向の上流側より圧縮空気が供給されるフィン及び通路を外壁と内壁の間に有する内筒と、内筒の外壁及び内壁との間に隙間を介して燃焼ガスの流れる方向に直交又は斜交して貫通する連結管と、連結管の外周と内筒の外壁の外面とを溶接等により固定する環状の支持部材である支持フランジを備えたものでよい。しかしながら、本発明では、連結管の支持フランジの燃焼ガスの流れる方向の下流側に、圧縮空気を流入させる流入孔を設け、連結管と内筒の外壁及び内壁との間の隙間に通じ、連結管と内筒の外壁及び内壁と支持フランジとにより形成される空間へ圧縮空気を流入させることにより、連結管の下流側を十分に冷却できるようにすることが特徴である。
【0022】
(実施例1)
図1は、本発明に係る実施形態の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す概略断面図である。これは、図6に示す領域Bに該当する部分であり、後述する図2、図3においても同様である。
【0023】
本発明に係るガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造は、連結管19の外周と内筒15の外壁15aの外面とを固定する支持フランジ21の、燃焼ガスの流れる方向22の下流側の部分に、圧縮空気を流入させる複数の流入孔1aを設け、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bとの間の隙間23に通じ、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bと支持フランジ21とにより形成される空間6へ圧縮空気を流入させることにより、連結管19の下流側を十分に冷却できるようにした。
【0024】
支持フランジ21に流入孔1aを設けることにより、上流からの圧縮空気の流れが遮られていた連結管19の下流側のフィン及び通路16の部分に、圧縮空気を供給することが可能となり、連結管19の下流側を冷却することが可能となる。つまり、流入孔1aから流入する圧縮空気の流入孔での流れ2iが、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ2fを形成することで、内筒15の内壁15bにおいて圧縮空気による対流冷却を行うことができる。
【0025】
又、流入孔1aから流入する圧縮空気の流入孔での流れ2iは、連結管19と内筒15の隙間23から燃焼器内部に流れる隙間での流れ2gを形成し、この隙間での流れ2gは、燃焼ガスのよどみを解消し、内筒15の内壁15bの内側に薄い空気層を形成して、高温の燃焼ガスから内筒15側への熱の流入を防ぐフィルム冷却の効果も維持できる。
【0026】
本実施例では、支持フランジ21に斜め方向から流入孔1aを形成しており、これは、支持フランジ21の溶接後に流入孔1aを加工する場合、斜め方向からの加工であれば容易に加工することができるためである。
【0027】
(実施例2)
図2は、本発明に係る実施形態の他の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す概略断面図である。
【0028】
本発明に係るガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造は、連結管19の外周と内筒15の外壁15aの外面とを固定する支持フランジ21の、燃焼ガスの流れる方向22の下流側の部分に、圧縮空気を流入させる複数の流入孔1aを設け、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bとの間の隙間23に通じ、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bと支持フランジ21とにより形成される空間6へ圧縮空気を流入させることにより、連結管19の下流側を十分に冷却できるようにした。
【0029】
更に、流入孔1aから流入する圧縮空気の流入孔での流れ4iを、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ4fと隙間23における隙間での流れ4gへ配分する配分手段として、空間6における連結管19の外周面にジャマ板3を設けるとともに、流入した圧縮空気の流れの余分な抵抗にならないように、内筒15の外壁15a及びフィン及び通路16の部分を下流側に3mm短く切除して、連結管19の下流側をより十分に冷却できるようにした。
【0030】
支持フランジ21に流入孔1aを設けることにより、上流からの圧縮空気の流れが遮られていた連結管19の下流側のフィン及び通路16の部分に、圧縮空気を供給することが可能となり、更に、ジャマ板3を設け、内筒15の外壁15aとフィン及び通路16を短くすることにより、より多くの圧縮空気をフィン及び通路16の部分へ供給することができ、連結管19の下流側における対流冷却をより強くすることが可能となる。つまり、流入孔1aから流入する圧縮空気の流入孔での流れ4iを、ジャマ板3等により、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ4fにより多く流れるようにすることで、内筒15の内壁15bにおいて圧縮空気による対流冷却を、より効果的に行うことができる。
【0031】
連結管19と内筒15の隙間23から燃焼器内部に流れる隙間での流れ4gは、実施例1の燃焼器内部に流れる隙間での流れ2gよりは少なくなるが、実施例1同様に、燃焼ガスのよどみを解消し、高温の燃焼ガスからの内筒15側への熱の流入を防ぐフィルム冷却の効果も維持できる。
【0032】
本実施例では、隙間での流れ4gをジャマ板3等により制限し、そのかわりに、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ4fに適切な冷却空気量が確保できる構造とした。これは、ガスタービンの運転中には、内筒15、フィン及び通路16等が温度上昇により、燃焼ガスの流れる方向22へ熱膨張して延び、連結管19と内筒15等の間の隙間23がより大きくなる一方、連結管19の支持フランジ21の流入孔1aは、この隙間23に向かって斜めに開いており、流入した圧縮空気の半分以上が隙間での流れ4g方向に流れ、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ4fの冷却空気量が不足するためである。
【0033】
本実施例でも、加工の容易さのため、支持フランジ21に斜め方向から流入孔1aを形成しているが、後述する実施例3のように、内筒15に対して垂直に流入孔を加工する場合でも、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ4fの冷却空気量を増やすことができ、同様な強い冷却効果が期待できる。
【0034】
(実施例3)
図3は、本発明に係る実施形態の他の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す概略断面図である。
【0035】
本発明に係るガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造は、連結管19の外周と内筒15の外壁15aの外面とを固定する支持フランジ21の、燃焼ガスの流れる方向22の下流側の部分に、圧縮空気を流入させる複数の流入孔1bを内筒15に対して垂直に設け、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bとの間の隙間23に通じ、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bと支持フランジ21とにより形成される空間6へ圧縮空気を流入させることにより、連結管19の下流側を十分に冷却できるようにした。
【0036】
更に、流入した圧縮空気の流れの障害とならないように、内筒15の外壁15a及びフィン及び通路16の部分を下流側に6mm短く切除した。つまり、内筒15の外壁15a及びフィン及び通路16の部分を下流側に切除することで、内筒15の外壁15aの外面と支持フランジ21の、燃焼ガスの流れる方向22での重なり部分7を、最小限にするようにした。
【0037】
支持フランジ21に、流入孔1bを設けることにより、上流からの圧縮空気の流れが遮られていた連結管19の下流側のフィン及び通路16の部分に圧縮空気を供給することが可能となり、更に、流入孔1bを内筒15に対して垂直に設けることで、流入孔での流れ5iの向きを内筒15に対して垂直にすることとなり、実施例1と異なり、流入した圧縮空気は直接隙間23の方へ流れるのではなく、内筒15の内壁15bの外面に衝突して、より多くの圧縮空気をフィン及び通路16の部分へ供給することができ、連結管19の下流側における対流冷却をより強くすることが可能となる。つまり、流入孔1bから流入する圧縮空気の流入孔での流れ5iを、流入孔1bの向きにより、隙間23における隙間での流れ5gの空気量を削減し、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ5fにより多く流れるようにすることで、内筒15の内壁15bにおいて圧縮空気による対流冷却を、より効果的に行うことが可能となる。
【0038】
この場合も、連結管19と内筒15の隙間23から燃焼器内部に流れる隙間での流れ5gは、実施例1の燃焼器内部に流れる隙間での流れ2gよりは少なくなるが、実施例1同様に、燃焼ガスのよどみを解消し、高温の燃焼ガスからの内筒15側への熱の流入を防ぐフィルム冷却の効果が維持できる。
【0039】
上記実施例におけるフィンの空気冷却(燃焼器の内筒の冷却)の効果を検証するため、CFD(Computational Fluid Dynamics:計算流体力学)により、各実施例における流入孔での流れ2i、4i、5i、フィンでの流れ2f、4f、5f及び隙間での流れ2g、4g、5gの各々の空気流量を具体的に計算してみた。
【0040】
特に、実施例1においては、内筒と連結管との間の隙間(最大0.5mm)から圧縮空気がリークする形となり、フィン自体の冷却効率が落ちる可能性がある。そこで、CFDにより、フィン及び連結管−内筒間の微小隙間に流れる圧縮空気の流量配分の検討を行った。
【0041】
今回は、隙間に流れる空気量が最大となると考えられる以下の最も厳しい条件で計算を実施した。
(1)連結管−内筒間の最大隙間を0.5mmとする。
(2)圧縮空気の流入孔の中心が、フィンとフィンの中間にある。
(3)燃焼による熱延びでフィンの先端が内筒の外壁の内側に密着する(フィン部の空気流路断面積が最小)。
【0042】
また、計算条件の詳細は以下の通りである。縮流の影響(流体の密度が変化する)を考慮し、流量規定の境界条件を使用せず、下記圧力の差圧規定の境界条件を用いた。
(1)圧力:車室=1.73MPa、燃焼器内筒=1.66MPa(−4%)
(2)空気温度:423℃
(3)乱流モデル:標準κ−εモデル
(4)境界条件:入口・出口境界=上記の圧力規定、壁面=壁法則、その他の境界=対称境界条件
【0043】
又、上記計算式を行うため、各実施例における流入孔等を具体的に下記のように規定した。
(1)実施例1:連結管の中心軸に対して40°の角度を持った流入孔。
(2)実施例2:連結管の中心軸に対して40°の角度を持った流入孔。隙間上部にジャマ板を取り付け。内筒の外壁を3mmカットし、フィンを内筒の外壁と同端面になるようにカット。
(3)実施例3:流入孔を、内筒に対して垂直に開け、その位置に合わせて内筒の外壁、フィンを6mmカット。
【0044】
上記条件による流入孔からの圧縮空気の流入流量、フィン及び連結管−内筒間の隙間に流れる圧縮空気の流出流量及び流量割合を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
前述したように差圧規定の境界条件を用いているため、実施例毎に流入孔での流量が異なる結果となっている。しかしながら、各実施例における流量配分の傾向は明らかであり、実施例1の形状では全流入空気のうち約56%が隙間からリークしているが、実施例2の形状では約32%、実施例3の形状では約33%までリーク量を減らすことができている。又、実施例3の形状では、フィン出口での空気流量が、実施例2の形状のものよりも約13%少なくなっている。
【0047】
実施例1の形状では、流入した流れが連結管の壁面に当たった後に壁面に沿ってそのまま隙間に流れ込むため、隙間へのリーク流量が多いが、実施例2の形状では、ジャマ板によって流れがフィン方向に向かうため、フィンの通路に流れ込む流量が相対的に増加する。又、実施例3の形状では、連結管、内筒、フィンで囲まれた空間の体積が他の実施例に比べて大きく、内筒に垂直に衝突した流れが上部に大きな循環渦を形成しているため、実施例2の形状よりフィンでの流量が減少しているものと考えられる。
【0048】
上記計算式により、各実施例での冷却の効果がおおよそ予想でき、特に、実施例2、3において、最も効果的な冷却が期待できる。
【0049】
本実施例では、代表的な上記3つの実施例について説明してきたが、本発明は上記実施例のみに限定されるものではなく、例えば、流入孔を垂直に設け、更にジャマ板を設ける構成とするように、互いに組み合わせることも可能である。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、燃焼ガスの流れる方向の上流側より圧縮空気が供給される通路を外壁と内壁の間に有する内筒と、上記外壁及び上記内壁との間に隙間を介して上記燃焼ガスの流れる方向に直交又は斜交して貫通する連結管と、上記連結管の外周と上記外壁の外面とを固定する環状の支持部材とを備え、上記支持部材の上記燃焼ガスの流れる方向の下流側に、上記隙間に通じる空間へ圧縮空気を流入させる流入孔を設けるので、従来、連結管により冷却空気の流れが妨げられていた連結管の下流側のフィンに圧縮空気を供給することが可能となり、連結管の下流側を十分に冷却でき、連結管の下流側の熱損傷を防ぐことができる。そのため、燃焼ガスの温度を上昇させることが可能となり、ガスタービンの熱効率も良くなる。又、大きな設計変更も必要なく、簡単に流入孔を設けることができる。
【0051】
請求項2に係る発明によれば、上記流入孔を上記内筒に対して垂直に設けるので、従来、連結管により冷却空気の流れが妨げられていた連結管の下流側のフィンに、より多くの圧縮空気を供給することが可能となり、連結管の下流側をより効果的に冷却できる。
【0052】
請求項3に係る発明によれば、上記外壁の外面と上記支持部材との上記燃焼ガスの流れる方向での重なり部分を最小限にするので、前記内筒、前記連結管及び前記支持部材が形成する空間を大きくでき、この空間に流入した圧縮空気に対して、流れの余分な抵抗にならないようにすることができ、圧縮空気の流速を損なうことなくフィンに多くの圧縮空気を供給することが可能となり、連結管の下流側をより効果的に冷却できる。
【0053】
請求項4乃至請求項5に係る発明によれば、上記空間内に上記流入孔から流入する圧縮空気を上記通路側と上記隙間側へ配分する配分手段を設けるので、従来、連結管により冷却空気の流れが妨げられていた連結管の下流側のフィンに、より多くの圧縮空気を供給することが可能となり、連結管の下流側をより効果的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す断面図である。
【図2】本発明に係る実施形態の他の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施形態の他の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す断面図である。
【図4】従来のガスタービンの燃焼器回りを示す断面図である。
【図5】従来のガスタービンの燃焼器を示す詳細断面図である。
【図6】図5に示す従来のガスタービンの燃焼器と連結管のA−A’線矢視断面図である。
【符号の説明】
1a 流入孔
1b 流入孔
2i 流入孔での流れ
2f フィンでの流れ
2g 隙間での流れ
3 ジャマ板
4i 流入孔での流れ
4f フィンでの流れ
4g 隙間での流れ
5i 流入孔での流れ
5f フィンでの流れ
5g 隙間での流れ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンの燃焼器に関し、特に、燃焼器の連結管との接続部分に冷却構造を備えたガスタービンの燃焼器に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電等に用いられるガスタービンは、主に圧縮機、燃焼器、タービンから構成されており、タービンにより発電機を回転させて発電している。ガスタービンは、複数の燃焼器を有しているものが多く、圧縮機により圧縮された空気と燃焼器に供給された燃料を混合させ、各々の燃焼器内で燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させており、この高温の燃焼ガスをタービンへ供給している。
【0003】
図4は、従来のガスタービンの燃焼器を示す断面図である。車室内における燃焼器の配置を示すため、一部を断面にて示した。
【0004】
ガスタービンの燃焼器10は、燃焼器ケーシング11に環状に複数個配置される(図4では1個のみ示す)。燃焼器ケーシング11とガスタービンケーシング12には圧縮空気が充満し、車室14を形成する。図示していないが、上流側に設けられた圧縮機により圧縮された空気が車室14に導入され、燃焼器10の上流部に設けられた空気流入口17から燃焼器10の内部に入り、燃焼器10の上部に複数設けられた燃料ノズル18から導入された燃料と混合された後、燃焼器10の内筒15内部で燃焼され、その後、この燃焼ガスはタービン室側へ供給され、タービンローターを回転させる。燃焼器ケーシング11に複数個配置された燃焼器10は、連結管19により互いに連結されており、一つ若しくは二つの燃焼器10の内筒15内部で点火すると、未着火の他の燃焼器10との差圧により、連結管19内を火炎(着火した燃焼ガス)が走る(通過する)ことで、他の燃焼器10へ点火することができる。即ち、連結管19は燃焼器10の着火装置又は火炎維持装置の役割を持っている。
【0005】
図5は、従来のガスタービンの燃焼器の断面図である。
燃焼器全体の詳細な説明は、本発明と直接関係ないため省略し、本発明と直接係る部分のみ説明をする。
【0006】
燃焼器10の内部では、空気流入口17から導入された圧縮空気と、燃料ノズルから供給された燃料とが混合されて燃焼され、燃焼器10の内部の燃焼温度は、最高1500℃以上にまで上昇する。そのため、燃焼部の周囲、即ち、内筒15は、耐熱性の高い素材を用いており、更に、冷却を行なうことで、高温の燃焼温度から守られる。具体的には内筒15を外壁15aと内壁15bとにより構成し、外壁15aと内壁15bとの間に、後述するフィン及び通路16を設け、フィン及び通路16に、圧縮機により圧縮された空気を、燃焼ガスの流れる方向の上流側から流すことで冷却する。図5に示す燃焼器10では、内筒15、フィン及び通路16の組み合わせは4段構造となっており、連結管19は上流側の第一段目の内筒15部分に設けられている。
【0007】
図6は、図5に示す従来のガスタービンの燃焼器と連結管のA−A’線矢視断面図である。
【0008】
図6に示すように、燃焼器の周囲の圧縮空気を流入させて内筒15を冷却するため、燃焼器の内筒15の外壁15aには、外壁15aを貫通する流入孔24が多数設けられており、後述する内筒15、フィン及び通路16の組み合わせの各段において、各段の上流側の位置に配置されている。
【0009】
冷却のためのフィン及び通路16は、内筒15の外壁15aと内壁15bの間に、燃焼ガスの流れる方向22と同方向になるように、設けられている。
【0010】
フィン及び通路16では、上流の流入孔24から流入する圧縮空気が、燃焼ガスの流れる方向22と同方向に流れることで、内筒15の内壁15bを対流冷却する。つまり、内筒15は、圧縮空気を用いた対流冷却により冷却される構造となっている。
【0011】
他の燃焼器と連結するための連結管19は、内筒15を貫通して取付けられており、燃料ガスが流れる方向に斜交して(又は、直交して)取付けられている。連結管19は、環状の支持フランジ21を用いて、連結管19の外周と内筒15の外壁15aとの間を、溶接により固定されている。これは、内側に位置する内筒15の内壁15bは、燃焼器内部の燃焼温度の影響を受けて熱膨張が大きいため、熱膨張のより小さい内筒15の外壁15a部分で固定をしているものである。従って、内筒15の内壁15bの熱膨張を考慮して、連結管19と内筒15との間に、隙間23が設けられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ガスタービンは、タービンの入り口での燃焼ガスの温度を高めることで、熱効率を向上させることができるため、従来から耐熱材料や冷却技術の開発により、タービンの入り口温度の高温化が図られてきている。
【0013】
従来は、上記のような連結管の構造を用いていても、使用している燃焼ガスの温度が高くなかったため、問題が発生することはなかった。しかしながら、ガスタービンの熱効率を向上させるため、タービンの入り口温度を上昇させていく場合、上記連結管は冷却を行う内筒のフィン及び通路を突き抜けて取付ける構造であるため、連結管の下流側において、冷却が不十分となり、燃焼器を損傷するおそれがあった。
【0014】
具体的に説明すると、内筒の外壁と内壁との間にフィン及び通路を設けるプレートフィン構造では、フィン及び通路に圧縮空気を流すことで内筒を冷却している。しかし、連結管の下流側では、その取付け構造上の制約から、上流側からの圧縮空気の流れが遮られるため、冷却が不十分となる。従って、燃焼ガスの温度を上昇させる場合には、連結管の下流側を冷却する手段が必要となってくる。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑み、燃焼器の連結管との接続部分に冷却構造を備え、燃焼ガスの温度を上昇させることができるガスタービンの燃焼器を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービンの燃焼器は、燃焼ガスの流れる方向の上流側より圧縮空気が供給される通路を外壁と内壁の間に有する内筒と、上記外壁及び上記内壁との間に隙間を介して上記燃焼ガスの流れる方向に直交又は斜交して貫通する連結管と、上記連結管の外周と上記外壁の外面とを固定する環状の支持部材とを備え、上記支持部材の上記燃焼ガスの流れる方向の下流側に、上記隙間に通じる空間へ圧縮空気を流入させる流入孔を設けることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービンの燃焼器は、上記流入孔を上記内筒に対して垂直に設けることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービンの燃焼器は、上記外壁の外面と上記支持部材との上記燃焼ガスの流れる方向での重なり部分を最小限にすることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービンの燃焼器は、上記空間内に上記流入孔から流入する圧縮空気を上記通路側と上記隙間側へ配分する配分手段を設けることを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービンの燃焼器は、上記配分手段が上記連結管に取り付けられるジャマ板であることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明において、ガスタービンの燃焼器の構造は、前述したものと同等の構成で良い。即ち、燃焼ガスの流れる方向の上流側より圧縮空気が供給されるフィン及び通路を外壁と内壁の間に有する内筒と、内筒の外壁及び内壁との間に隙間を介して燃焼ガスの流れる方向に直交又は斜交して貫通する連結管と、連結管の外周と内筒の外壁の外面とを溶接等により固定する環状の支持部材である支持フランジを備えたものでよい。しかしながら、本発明では、連結管の支持フランジの燃焼ガスの流れる方向の下流側に、圧縮空気を流入させる流入孔を設け、連結管と内筒の外壁及び内壁との間の隙間に通じ、連結管と内筒の外壁及び内壁と支持フランジとにより形成される空間へ圧縮空気を流入させることにより、連結管の下流側を十分に冷却できるようにすることが特徴である。
【0022】
(実施例1)
図1は、本発明に係る実施形態の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す概略断面図である。これは、図6に示す領域Bに該当する部分であり、後述する図2、図3においても同様である。
【0023】
本発明に係るガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造は、連結管19の外周と内筒15の外壁15aの外面とを固定する支持フランジ21の、燃焼ガスの流れる方向22の下流側の部分に、圧縮空気を流入させる複数の流入孔1aを設け、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bとの間の隙間23に通じ、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bと支持フランジ21とにより形成される空間6へ圧縮空気を流入させることにより、連結管19の下流側を十分に冷却できるようにした。
【0024】
支持フランジ21に流入孔1aを設けることにより、上流からの圧縮空気の流れが遮られていた連結管19の下流側のフィン及び通路16の部分に、圧縮空気を供給することが可能となり、連結管19の下流側を冷却することが可能となる。つまり、流入孔1aから流入する圧縮空気の流入孔での流れ2iが、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ2fを形成することで、内筒15の内壁15bにおいて圧縮空気による対流冷却を行うことができる。
【0025】
又、流入孔1aから流入する圧縮空気の流入孔での流れ2iは、連結管19と内筒15の隙間23から燃焼器内部に流れる隙間での流れ2gを形成し、この隙間での流れ2gは、燃焼ガスのよどみを解消し、内筒15の内壁15bの内側に薄い空気層を形成して、高温の燃焼ガスから内筒15側への熱の流入を防ぐフィルム冷却の効果も維持できる。
【0026】
本実施例では、支持フランジ21に斜め方向から流入孔1aを形成しており、これは、支持フランジ21の溶接後に流入孔1aを加工する場合、斜め方向からの加工であれば容易に加工することができるためである。
【0027】
(実施例2)
図2は、本発明に係る実施形態の他の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す概略断面図である。
【0028】
本発明に係るガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造は、連結管19の外周と内筒15の外壁15aの外面とを固定する支持フランジ21の、燃焼ガスの流れる方向22の下流側の部分に、圧縮空気を流入させる複数の流入孔1aを設け、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bとの間の隙間23に通じ、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bと支持フランジ21とにより形成される空間6へ圧縮空気を流入させることにより、連結管19の下流側を十分に冷却できるようにした。
【0029】
更に、流入孔1aから流入する圧縮空気の流入孔での流れ4iを、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ4fと隙間23における隙間での流れ4gへ配分する配分手段として、空間6における連結管19の外周面にジャマ板3を設けるとともに、流入した圧縮空気の流れの余分な抵抗にならないように、内筒15の外壁15a及びフィン及び通路16の部分を下流側に3mm短く切除して、連結管19の下流側をより十分に冷却できるようにした。
【0030】
支持フランジ21に流入孔1aを設けることにより、上流からの圧縮空気の流れが遮られていた連結管19の下流側のフィン及び通路16の部分に、圧縮空気を供給することが可能となり、更に、ジャマ板3を設け、内筒15の外壁15aとフィン及び通路16を短くすることにより、より多くの圧縮空気をフィン及び通路16の部分へ供給することができ、連結管19の下流側における対流冷却をより強くすることが可能となる。つまり、流入孔1aから流入する圧縮空気の流入孔での流れ4iを、ジャマ板3等により、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ4fにより多く流れるようにすることで、内筒15の内壁15bにおいて圧縮空気による対流冷却を、より効果的に行うことができる。
【0031】
連結管19と内筒15の隙間23から燃焼器内部に流れる隙間での流れ4gは、実施例1の燃焼器内部に流れる隙間での流れ2gよりは少なくなるが、実施例1同様に、燃焼ガスのよどみを解消し、高温の燃焼ガスからの内筒15側への熱の流入を防ぐフィルム冷却の効果も維持できる。
【0032】
本実施例では、隙間での流れ4gをジャマ板3等により制限し、そのかわりに、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ4fに適切な冷却空気量が確保できる構造とした。これは、ガスタービンの運転中には、内筒15、フィン及び通路16等が温度上昇により、燃焼ガスの流れる方向22へ熱膨張して延び、連結管19と内筒15等の間の隙間23がより大きくなる一方、連結管19の支持フランジ21の流入孔1aは、この隙間23に向かって斜めに開いており、流入した圧縮空気の半分以上が隙間での流れ4g方向に流れ、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ4fの冷却空気量が不足するためである。
【0033】
本実施例でも、加工の容易さのため、支持フランジ21に斜め方向から流入孔1aを形成しているが、後述する実施例3のように、内筒15に対して垂直に流入孔を加工する場合でも、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ4fの冷却空気量を増やすことができ、同様な強い冷却効果が期待できる。
【0034】
(実施例3)
図3は、本発明に係る実施形態の他の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す概略断面図である。
【0035】
本発明に係るガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造は、連結管19の外周と内筒15の外壁15aの外面とを固定する支持フランジ21の、燃焼ガスの流れる方向22の下流側の部分に、圧縮空気を流入させる複数の流入孔1bを内筒15に対して垂直に設け、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bとの間の隙間23に通じ、連結管19と内筒15の外壁15a及び内壁15bと支持フランジ21とにより形成される空間6へ圧縮空気を流入させることにより、連結管19の下流側を十分に冷却できるようにした。
【0036】
更に、流入した圧縮空気の流れの障害とならないように、内筒15の外壁15a及びフィン及び通路16の部分を下流側に6mm短く切除した。つまり、内筒15の外壁15a及びフィン及び通路16の部分を下流側に切除することで、内筒15の外壁15aの外面と支持フランジ21の、燃焼ガスの流れる方向22での重なり部分7を、最小限にするようにした。
【0037】
支持フランジ21に、流入孔1bを設けることにより、上流からの圧縮空気の流れが遮られていた連結管19の下流側のフィン及び通路16の部分に圧縮空気を供給することが可能となり、更に、流入孔1bを内筒15に対して垂直に設けることで、流入孔での流れ5iの向きを内筒15に対して垂直にすることとなり、実施例1と異なり、流入した圧縮空気は直接隙間23の方へ流れるのではなく、内筒15の内壁15bの外面に衝突して、より多くの圧縮空気をフィン及び通路16の部分へ供給することができ、連結管19の下流側における対流冷却をより強くすることが可能となる。つまり、流入孔1bから流入する圧縮空気の流入孔での流れ5iを、流入孔1bの向きにより、隙間23における隙間での流れ5gの空気量を削減し、フィン及び通路16におけるフィンでの流れ5fにより多く流れるようにすることで、内筒15の内壁15bにおいて圧縮空気による対流冷却を、より効果的に行うことが可能となる。
【0038】
この場合も、連結管19と内筒15の隙間23から燃焼器内部に流れる隙間での流れ5gは、実施例1の燃焼器内部に流れる隙間での流れ2gよりは少なくなるが、実施例1同様に、燃焼ガスのよどみを解消し、高温の燃焼ガスからの内筒15側への熱の流入を防ぐフィルム冷却の効果が維持できる。
【0039】
上記実施例におけるフィンの空気冷却(燃焼器の内筒の冷却)の効果を検証するため、CFD(Computational Fluid Dynamics:計算流体力学)により、各実施例における流入孔での流れ2i、4i、5i、フィンでの流れ2f、4f、5f及び隙間での流れ2g、4g、5gの各々の空気流量を具体的に計算してみた。
【0040】
特に、実施例1においては、内筒と連結管との間の隙間(最大0.5mm)から圧縮空気がリークする形となり、フィン自体の冷却効率が落ちる可能性がある。そこで、CFDにより、フィン及び連結管−内筒間の微小隙間に流れる圧縮空気の流量配分の検討を行った。
【0041】
今回は、隙間に流れる空気量が最大となると考えられる以下の最も厳しい条件で計算を実施した。
(1)連結管−内筒間の最大隙間を0.5mmとする。
(2)圧縮空気の流入孔の中心が、フィンとフィンの中間にある。
(3)燃焼による熱延びでフィンの先端が内筒の外壁の内側に密着する(フィン部の空気流路断面積が最小)。
【0042】
また、計算条件の詳細は以下の通りである。縮流の影響(流体の密度が変化する)を考慮し、流量規定の境界条件を使用せず、下記圧力の差圧規定の境界条件を用いた。
(1)圧力:車室=1.73MPa、燃焼器内筒=1.66MPa(−4%)
(2)空気温度:423℃
(3)乱流モデル:標準κ−εモデル
(4)境界条件:入口・出口境界=上記の圧力規定、壁面=壁法則、その他の境界=対称境界条件
【0043】
又、上記計算式を行うため、各実施例における流入孔等を具体的に下記のように規定した。
(1)実施例1:連結管の中心軸に対して40°の角度を持った流入孔。
(2)実施例2:連結管の中心軸に対して40°の角度を持った流入孔。隙間上部にジャマ板を取り付け。内筒の外壁を3mmカットし、フィンを内筒の外壁と同端面になるようにカット。
(3)実施例3:流入孔を、内筒に対して垂直に開け、その位置に合わせて内筒の外壁、フィンを6mmカット。
【0044】
上記条件による流入孔からの圧縮空気の流入流量、フィン及び連結管−内筒間の隙間に流れる圧縮空気の流出流量及び流量割合を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
前述したように差圧規定の境界条件を用いているため、実施例毎に流入孔での流量が異なる結果となっている。しかしながら、各実施例における流量配分の傾向は明らかであり、実施例1の形状では全流入空気のうち約56%が隙間からリークしているが、実施例2の形状では約32%、実施例3の形状では約33%までリーク量を減らすことができている。又、実施例3の形状では、フィン出口での空気流量が、実施例2の形状のものよりも約13%少なくなっている。
【0047】
実施例1の形状では、流入した流れが連結管の壁面に当たった後に壁面に沿ってそのまま隙間に流れ込むため、隙間へのリーク流量が多いが、実施例2の形状では、ジャマ板によって流れがフィン方向に向かうため、フィンの通路に流れ込む流量が相対的に増加する。又、実施例3の形状では、連結管、内筒、フィンで囲まれた空間の体積が他の実施例に比べて大きく、内筒に垂直に衝突した流れが上部に大きな循環渦を形成しているため、実施例2の形状よりフィンでの流量が減少しているものと考えられる。
【0048】
上記計算式により、各実施例での冷却の効果がおおよそ予想でき、特に、実施例2、3において、最も効果的な冷却が期待できる。
【0049】
本実施例では、代表的な上記3つの実施例について説明してきたが、本発明は上記実施例のみに限定されるものではなく、例えば、流入孔を垂直に設け、更にジャマ板を設ける構成とするように、互いに組み合わせることも可能である。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、燃焼ガスの流れる方向の上流側より圧縮空気が供給される通路を外壁と内壁の間に有する内筒と、上記外壁及び上記内壁との間に隙間を介して上記燃焼ガスの流れる方向に直交又は斜交して貫通する連結管と、上記連結管の外周と上記外壁の外面とを固定する環状の支持部材とを備え、上記支持部材の上記燃焼ガスの流れる方向の下流側に、上記隙間に通じる空間へ圧縮空気を流入させる流入孔を設けるので、従来、連結管により冷却空気の流れが妨げられていた連結管の下流側のフィンに圧縮空気を供給することが可能となり、連結管の下流側を十分に冷却でき、連結管の下流側の熱損傷を防ぐことができる。そのため、燃焼ガスの温度を上昇させることが可能となり、ガスタービンの熱効率も良くなる。又、大きな設計変更も必要なく、簡単に流入孔を設けることができる。
【0051】
請求項2に係る発明によれば、上記流入孔を上記内筒に対して垂直に設けるので、従来、連結管により冷却空気の流れが妨げられていた連結管の下流側のフィンに、より多くの圧縮空気を供給することが可能となり、連結管の下流側をより効果的に冷却できる。
【0052】
請求項3に係る発明によれば、上記外壁の外面と上記支持部材との上記燃焼ガスの流れる方向での重なり部分を最小限にするので、前記内筒、前記連結管及び前記支持部材が形成する空間を大きくでき、この空間に流入した圧縮空気に対して、流れの余分な抵抗にならないようにすることができ、圧縮空気の流速を損なうことなくフィンに多くの圧縮空気を供給することが可能となり、連結管の下流側をより効果的に冷却できる。
【0053】
請求項4乃至請求項5に係る発明によれば、上記空間内に上記流入孔から流入する圧縮空気を上記通路側と上記隙間側へ配分する配分手段を設けるので、従来、連結管により冷却空気の流れが妨げられていた連結管の下流側のフィンに、より多くの圧縮空気を供給することが可能となり、連結管の下流側をより効果的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す断面図である。
【図2】本発明に係る実施形態の他の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施形態の他の一例で、ガスタービンの燃焼器と連結管との接続部の冷却構造を示す断面図である。
【図4】従来のガスタービンの燃焼器回りを示す断面図である。
【図5】従来のガスタービンの燃焼器を示す詳細断面図である。
【図6】図5に示す従来のガスタービンの燃焼器と連結管のA−A’線矢視断面図である。
【符号の説明】
1a 流入孔
1b 流入孔
2i 流入孔での流れ
2f フィンでの流れ
2g 隙間での流れ
3 ジャマ板
4i 流入孔での流れ
4f フィンでの流れ
4g 隙間での流れ
5i 流入孔での流れ
5f フィンでの流れ
5g 隙間での流れ
Claims (5)
- 燃焼ガスの流れる方向の上流側より圧縮空気が供給される通路を外壁と内壁の間に有する内筒と、上記外壁及び上記内壁との間に隙間を介して上記燃焼ガスの流れる方向に直交又は斜交して貫通する連結管と、上記連結管の外周と上記外壁の外面とを固定する環状の支持部材とを備えるガスタービンの燃焼器において、
上記支持部材の上記燃焼ガスの流れる方向の下流側に、上記隙間に通じる空間へ圧縮空気を流入させる流入孔を設けることを特徴とするガスタービンの燃焼器。 - 請求項1記載のガスタービンの燃焼器において、
上記流入孔を上記内筒に対して垂直に設けることを特徴とするガスタービンの燃焼器。 - 請求項1又は請求項2記載のガスタービンの燃焼器において、
上記外壁の外面と上記支持部材との上記燃焼ガスの流れる方向での重なり部分を最小限にすることを特徴とするガスタービンの燃焼器。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガスタービンの燃焼器において、
上記空間内に上記流入孔から流入する圧縮空気を上記通路側と上記隙間側へ配分する配分手段を設けることを特徴とするガスタービンの燃焼器。 - 請求項4記載のガスタービンの燃焼器において、
上記配分手段が上記連結管に取り付けられるジャマ板であることを特徴とするガスタービンの燃焼器。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10584879B2 (en) | 2014-09-25 | 2020-03-10 | Mitsubishi Hitachi Power Systems, Ltd. | Combustor including a flow guide introduction portion connected to a flow guide main body portion, and a gas turbine |
-
2002
- 2002-07-11 JP JP2002202319A patent/JP2004044897A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10584879B2 (en) | 2014-09-25 | 2020-03-10 | Mitsubishi Hitachi Power Systems, Ltd. | Combustor including a flow guide introduction portion connected to a flow guide main body portion, and a gas turbine |
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