JP2004044653A - 易解体締結保持部品 - Google Patents

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Akihisa Furukawa
古川 明久
Masao Suzuki
鈴木 正夫
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Tokin Corp
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NEC Tokin Corp
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Abstract

【課題】形状記憶合金を用い、常用時には複数の部材、部品、装置を締結保持する機能を発現し、前記形状記憶合金の形状回復によって、締結保持機能を喪失する易解体締結保持部品の締結保持機能を確実にし、信頼性を向上すること。
【解決手段】易解体締結保持部品に、ヘッド部11、シャフト12、内径拡張部13を設け、締結保持状態では、ばね性を有する部材14を径の拡張部に挿入することで、形状記憶合金のマルテンサイト相の機械的な強度不足を補強する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二つ以上の部材や部品などを締結するために使用する締結保持部品に関し、特に製品の廃棄の際に、部材の締結を容易に解除し得る機能を有し、製品の解体を容易にする締結保持部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、大量に生産されている工業製品、たとえば家庭用電化製品は、多くの部材や部品を組み合わせて構成され、部材や部品の相互の結合には溶接や接着の他に、ネジやリベットが多用されている。そして、ネジやリベットにより機械的に部品を締結する工程も、他の方法と同様に機械化され、生産性向上に寄与している。
【0003】
一方、近年、廃棄物の処理が環境に与える負荷や、資源の有効利用の観点から、工業製品に用いられている部材や部品の、リサイクル利用が注目されている。しかしながら、リサイクル利用には、たとえば金属やプラスチックに分別するように、部材や部品を材質毎に分別回収することが不可欠であるが、廃棄物の仕様が一様でないため、解体や回収の自動化が困難であり、コストの問題でリサイクル材料が十分に活用されていないのが現状である。
【0004】
この対策として、常用時には締結機能を発現し、廃棄時には容易に部品や部材に解体できるように、締結機能を解除する機構を具備した締結保持部品が、種々提案されている。この種の部品として、特開2000−5124号公報には、形状記憶合金を用い、形状回復機能を利用して締結を解除し得る部品が提案されている。
【0005】
図5は、前記公報に開示されている、従来の易解体締結保持部品の一例を示す概略図で、図5(a)は常用の状態、図5(b)は解体時の状態を示す。図5において、50a,50bは被締結部材、51,54はシャフト、52a,52b,55a,55bは溝、53a,53b,56a,56bはリング状部品である。
【0006】
図5(a)に示したように、この締結部品は、常用時には、シャフト51の径が拡大するように変形され、リング状部品53a,53bの径が縮小するように変形されて、シャフト51の外周に設けられた、溝52a及び52bに嵌合して、締結機能を発現する。また、締結を解除する際には、図5(b)に示したように、形状回復温度とすることで、シャフト54の外径を縮小し、リング状部品55a,55bの内径を拡大させればよい。
【0007】
そして、このような易解体締結保持部品には、前記のように形状記憶合金が用いられ、低温のマルテンサイトの状態で締結機能を有し、高温の母相への変態による形状変化で易解体の形状とするものが圧倒的に多いが、実用化されている形状記憶合金は、鉄系、銅系、TiNi系合金である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、問題となるのは、鉄系を除く他の合金は、マルテンサイト相の降伏応力が母相のそれよりも圧倒的に小さいことである。つまり、締結に必要な剛性、締結力が得られ難く、特に小型の締結部品の形状に制約を生じる場合が多い。従って、本発明の技術的な課題は、常用時においても、十分な締結力を有する易解体締結保持部品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の易解体締結保持部品における課題解決のため、常用時の締結力を、他の部材を用いることで補強し、十分な信頼性を確保することを検討した結果なされたものである。
【0010】
即ち、本発明は、 形状記憶合金からなる部材と、ばね性を有する部材から構成され、常用時には複数の部材、部品、装置を締結保持する機能を発現し、前記形状記憶合金の形状回復によって、締結保持機能を喪失する易解体締結保持部品において、前記締結保持機能は、ばね性を有する部材により補強されることを特徴とする、易解体締結保持部品である。
【0011】
また、本発明は、前記の易解体締結保持部品において、前記形状記憶合金からなる部材は、ヘッド部とシャフト部を有し、前記シャフト部の少なくとも一部には、径を拡張し得る部分が設けられ、締結保持状態では、前記径を拡張し得る部分の径が拡張された状態となり、かつ前記ばね性を有する部材が、前記シャフト部の径が拡張された部分に嵌合して締結保持機能を補強することを特徴とする、易解体締結保持部品である。
【0012】
また、本発明は、前記の易解体締結保持部品において、前記シャフト部の径が拡張された部分の形状回復により、シャフト部の径が一様となることで、締結を解除することを特徴とする、易解体締結保持部品である。
【0013】
本発明の易解体締結保持部品においては、締結機能を補強するために用いるばね性を有する部材の弾性力を、形状回復時におけるシャフト部の径が拡張された部分の、縮小する力が上回るように設定することで、容易に締結を解除することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、具体的な例を挙げ、図面を参照して述べる。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態の一例を示す図で、リベット状の締結保持部品に本発明の方法を適用したものである。図1に示したように、ここでは、板状の被締結部材10a、10bに貫通孔を設け、TiNi系形状記憶合金からなる易解体締結保持部品のシャフト部12を挿入し、シャフト部12の下部に設けられた内径拡張部13に、ばね性を有する部材14を挿入して、内径拡張部を拡げ、ヘッド部11とともに、被締結部材10aと10bを締結する。
【0016】
ここで用いる形状記憶合金は、TiとNiがそれぞれ50原子%の組成のものを用い、常温において、マルテンサイト相を示すように作製した。また、ばね性を有する部材には、ばね鋼を用いた。
【0017】
図2は、前記易解体締結保持部品の概略を示す図で、図2(a)は締結に使用する前、もしくは締結を解除した状態を示す図、図2(b)は常用時の状態を示す図である。また、図3はばね性を有する部材の概略を示す図であり、材質や寸法は、用いる易解体締結保持部品の寸法などに適合させて、適宜設定する。
【0018】
また、図4は、易解体締結保持部品の形状回復により、締結を解除した状態を示す図である。図4に示したように、常用時に内径が拡げられた内径拡張部43は、形状回復によりばね性を有する部材44の弾性力に抗する状態で内径が縮小し、シャフト部42と外径が同一となる。これによって、本発明の易解体締結保持部品は、被締結部材40aと40bに設けられた貫通孔から容易に除去できるので、被締結部材40aと40bが分離できる。
【0019】
なお、ここに示した実施の形態では、形状記憶合金としてTiNi系合金を、ばね性を有する部材としてばね鋼を用いたが、これらに限定されるものではなく、易解体締結保持部品の形状としてリベットに類似した形状を採用したが、これに限定されるものでもないことは、論を俟たない。そして、従来の形状記憶合金単体で構成した易解体締結保持部品では十分な締結力を発現できず、これまで実現できなかった、特に小型の易解体締結保持部品を実現できる。
【0020】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、常用時には確実に複数の部材を締結し、解体が必要になった時は、容易に締結が解除できる易解体締結保持部品が得られる。これによって、様々な工業製品を構成する部品や部材をリサイクル使用することが容易になり、環境への負荷低減に資するところは非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す図。
【図2】易解体締結保持部品の概略を示す図で、図2(a)は締結に使用する前、もしくは締結を解除した状態を示す図、図2(b)は常用時の状態を示す図。
【図3】ばね性を有する部材の概略を示す図。
【図4】易解体締結保持部品の形状回復により、締結を解除した状態を示す図。
【図5】従来の易解体締結保持部品の一例を示す概略図。図5(a)は、常用の状態を示す図、図5(b)は、解体時の状態を示す図。
【符号の説明】
10a,10b,40a,40b,50a,50b  被締結部材
11,41  ヘッド部
12,42  シャフト部
13,43  内径拡張部
14,44  ばね性を有する部材
51,54  シャフト
52a,52b,55a,55b  溝
53a,53b,56a,56b  リング状部品

Claims (3)

  1. 形状記憶合金からなる部材と、ばね性を有する部材から構成され、常用時には複数の部材、部品、装置を締結保持する機能を発現し、前記形状記憶合金の形状回復によって、締結保持機能を喪失する易解体締結保持部品において、前記締結保持機能は、ばね性を有する部材により補強されることを特徴とする、易解体締結保持部品。
  2. 請求項1に記載の易解体締結保持部品において、前記形状記憶合金からなる部材は、ヘッド部とシャフト部を有し、前記シャフト部の少なくとも一部には、径を拡張し得る部分が設けられ、締結保持状態では、前記径を拡張し得る部分の径が拡張された状態となり、かつ前記ばね性を有する部材が、前記シャフト部の径が拡張された部分に嵌合して締結保持機能を補強することを特徴とする、易解体締結保持部品。
  3. 請求項2に記載の易解体締結保持部品において、前記シャフト部の径が拡張された部分の形状回復により、シャフト部の径が一様となることで、締結を解除することを特徴とする、易解体締結保持部品。
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