JP2004044544A - 排気通路切替装置の故障検知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アクチュエータによる故障だけでなく、アクチュエータと切替バルブを連結するリンク機構による故障をも検知できるとともに、故障個所をアクチュエータとリンク機構に区別して特定できる排気通路切替装置の故障検知装置を提供する。
【解決手段】内燃機関1の排気系2に設けられ、アクチュエータ19によりリンク機構20を介して切替バルブ15を駆動することによって、排気系2の排気通路を第1通路13と第2通路14に切り替える排気通路切替装置8の故障検知装置であって、アクチュエータ19の作動状態を検出するアクチュエータ作動状態検出手段28と、第1および第2通路の少なくとも一方を流れる排気ガスの状態VHUMF、VHUMRを検出する排気ガス状態検出手段21、22と、アクチュエータの作動状態および排気ガスの状態に応じて、排気通路切替装置8の故障を検知する故障検知手段25と、を備えている。
【選択図】 図7
【解決手段】内燃機関1の排気系2に設けられ、アクチュエータ19によりリンク機構20を介して切替バルブ15を駆動することによって、排気系2の排気通路を第1通路13と第2通路14に切り替える排気通路切替装置8の故障検知装置であって、アクチュエータ19の作動状態を検出するアクチュエータ作動状態検出手段28と、第1および第2通路の少なくとも一方を流れる排気ガスの状態VHUMF、VHUMRを検出する排気ガス状態検出手段21、22と、アクチュエータの作動状態および排気ガスの状態に応じて、排気通路切替装置8の故障を検知する故障検知手段25と、を備えている。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気系に設けられ、その排気通路を第1および第2の通路に切り替える排気通路切替装置の故障検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の排気通路切替装置の故障検知装置として、例えば特開2001−41026号に開示されたものが知られている。この排気通路切替装置は、内燃機関の排気系の排気通路を、メイン通路と、排気ガス中の炭化水素を吸着するための吸着材を配置したバイパス通路とに切り替えるものである。排気通路切替装置は、メイン通路を開閉する切替バルブと、切替バルブを駆動するアクチュエータとしてのダイヤフラム機構を備えている。ダイヤフラム機構は、その内部空間を負圧室と大気室に仕切るダイヤフラムと、ダイヤフラムに取り付けられるとともに切替バルブに連結された駆動ロッドを有している。負圧室は、負圧供給管を介して吸気管に接続されており、負圧供給管の途中には、負圧供給管を吸気管側と大気側に切り替えて接続する負圧供給弁が設けられている。
【0003】
以上の構成により、負圧供給弁が大気側に切り替えられた状態では、負圧室内が大気圧に保たれることによって、ダイヤフラムは撓まず、切替バルブはメイン通路を全開した状態に維持される。この状態から負圧供給弁が吸気管側に切り替えられると、その吸気負圧が負圧室内に供給されることによって、ダイヤフラムが撓み、これに取り付けた駆動ロッドを介して切替バルブを駆動することによって、切替バルブは、メイン通路を全閉し、バイパス通路側に切り替えられる。
【0004】
また、負圧供給管には、負圧室と負圧供給弁との間に、負圧室への供給圧を検出する圧力センサが設けられており、この故障検知装置では、吸気負圧の供給中に圧力センサで検出された供給圧に基づいて、負圧供給弁を含む負圧供給系の故障や、切替バルブの全開状態での固着(バイパス通路側への切替不能状態)などが検知される。具体的には、負圧供給弁が吸気管側に切り替えられた後、十分な時間が経過しても、供給圧が所定値以下に低下しない場合には、負圧供給系が故障していると判定される。また、負圧供給弁の吸気管側への切替後、供給圧が所定の基準圧まで低下するのに要した時間が、所定の判定時間よりも短いときに、切替バルブが全開状態で固着していると判定される。この判定手法は、切替バルブが全開状態で固着した場合、吸気負圧が供給されても、切替バルブに駆動ロッドを介して連結されたダイヤフラムは撓むことができず、吸気負圧で吸引される負圧室の容積が変化しないことから、切替バルブが正常な場合よりも供給圧が早く低下するという観点に基づくものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来の故障検知装置は、切替バルブを駆動するダイヤフラム機構の負圧室への供給圧の変化状態に基づいて、故障を検知するにすぎないため、負圧供給系の故障によるダイヤフラム機構側(駆動側)の故障は検知できるものの、ダイヤフラムと切替バルブを連結する駆動ロッドの外れや折損などの故障が発生した場合、これを検知できないという問題がある。すなわち、駆動ロッドの外れや折損などが生じると、切替バルブを適正に駆動できず、排気通路切替装置が故障状態になるのに対し、ダイヤフラム機構自体は正常に作動しているため、供給圧によってはそのような故障を検知できない。このことは、この従来の故障検知装置における切替バルブの全開状態での固着を判定する判定手法についても同様である。前述したように、この判定手法は、ダイヤフラムが切替バルブと連結されていることを前提としており、両者を連結する駆動ロッドが外れなどで故障した場合には、この前提が成り立たなくなる。すなわち、その場合には、ダイヤフラムは、吸気負圧の供給に伴って切替バルブの状態とは無関係に撓み、供給圧は切替バルブが正常な場合と同じように低下するため、排気通路切替装置が故障していないと誤判定してしまう。また、このような誤判定が生じると、切替バルブがバイパス通路側に切り替えられないために排気ガスが吸着材に適正に流れない状態が看過される結果、排気ガス特性にも悪影響を及ぼす。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、アクチュエータによる故障だけでなく、アクチュエータと切替バルブを連結するリンク機構による故障をも検知できるとともに、故障個所をアクチュエータとリンク機構に区別して特定することができる排気通路切替装置の故障検知装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、内燃機関1の排気系2に設けられ、アクチュエータ19によりリンク機構20を介して切替バルブ15を駆動することによって、排気系2の排気通路を第1通路(実施形態における(以下、本項において同じ)メイン通路13)と第2通路(バイパス通路14)に切り替える排気通路切替装置8の故障検知装置であって、アクチュエータ19の作動状態を検出するアクチュエータ作動状態検出手段(変位センサ28)と、第1および第2通路の少なくとも一方を流れる排気ガスの状態(上流側検出値VHUMF、下流側検出値VHUMR)を検出する排気ガス状態検出手段(上流側湿度センサ21、下流側湿度センサ22)と、検出されたアクチュエータの作動状態および排気ガスの状態に応じて、排気通路切替装置8の故障を検知する故障検知手段(ECU25、図5、図7)と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
この故障検知装置によれば、アクチュエータの作動状態を検出し、検出された作動状態に応じて、排気通路切替装置の故障を検知する。アクチュエータは排気通路切替装置の駆動源であるので、その作動状態に応じ、アクチュエータの故障を原因とする排気通路切替装置の故障を直接的に検知することができる。また、この故障検知装置では、排気通路切替装置によって切り替えられる第1および第2通路の一方を流れる排気ガスの状態を検出し、検出された排気ガスの状態に応じて、排気通路切替装置の故障を検知する。第1および/または第2通路を流れる排気ガスの状態は、排気通路切替装置が故障した場合には、正常な場合とは異なる状態になる。したがって、検出された排気ガスの状態に応じ、排気通路切替装置の故障を、アクチュエータと切替バルブとを連結するリンク機構が故障している場合も含めて、間接的に検知することができる。また、排気ガスの状態によって排気通路切替装置の故障が検知され、かつアクチュエータ自体の故障が検知されていない場合には、故障個所がリンク機構であると特定することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の排気通路切替装置の故障検知装置において、第1および第2通路の一方に、排気ガス中の有害成分を低減するための排気ガス低減手段(炭化水素吸着材16)が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成では、排気通路切替装置が故障すると、第1または第2通路に設けられた排気ガス低減手段に排気ガスが適正に流れなくなり、排気ガス低減手段による有害成分の低減動作ひいては排気ガス特性に影響を及ぼすおそれがある。本発明の故障検知装置によれば、そのような排気ガス特性に影響を及ぼし得る故障を、適切に検知することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の排気通路切替装置の故障検知装置において、アクチュエータ作動状態検出手段は、アクチュエータ19の変位を検出する変位センサ28であることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、アクチュエータの作動状態を変位センサによって直接的に検出でき、アクチュエータの故障を的確に検知することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明による排気通路切替装置の故障検知装置を適用した内燃機関を示している。この内燃機関(以下「エンジン」という)1は、図示しない車両に搭載された、例えば4気筒4サイクルエンジンである。エンジン1の吸気管1aには、気筒ごとにインジェクタ1bが設けられており、その燃料噴射時間Toutは、後述するECU25によって制御される。
【0014】
エンジン1の排気系2は、排気マニホルド3を介してエンジン1に接続された排気管4を有しており、この排気管4の途中には、排気ガスを浄化するための2つの三元触媒5、5を有する触媒装置6と、炭化水素を吸着するための炭化水素吸着装置7が設けられている。2つの三元触媒5、5は、排気管4に沿って互いに隣接して配置されており、所定温度(例えば300℃)以上に昇温された活性化状態で、触媒装置6を通過する排気ガス中の有害物質(HC(炭化水素)、COおよびNOx)を、酸化・還元作用によって浄化する。
【0015】
一方、炭化水素吸着装置7は、排気管4の触媒装置6よりも下流側に配置されており、三元触媒5、5が活性化していない冷間状態でのエンジン1の始動期間(例えば、始動後の約30〜40秒間)に、排気ガス中の炭化水素を吸着することによって、大気中に排出される炭化水素量を低減する。図1および図2に示すように、炭化水素吸着装置7は、排気通路切替装置8を介して、触媒装置6の下流端部に連結されており、円筒状のケース11と、このケース11内に配置されたバイパス排気管12と、このバイパス排気管12の途中に配置され、流入した排気ガス中の炭化水素を吸着するための円柱状の炭化水素吸着材16(排気ガス低減手段)と、を備えている。
【0016】
図2に示すように、ケース11とバイパス排気管12との間の断面環状の空間によって、メイン通路13(第1通路)が構成されるとともに、バイパス排気管12の内部スペースによって、バイパス通路14(第2通路)が構成されている。また、ケース11は、その上流端部が上下に二股に分かれており、上側の開口部11aがメイン通路13と連通する一方、下側の開口部11bがバイパス通路14と連通している。
【0017】
バイパス排気管12は、その上流端部がケース11の下側の開口部11bの内面に、下流端部がケース11の下流端部の内面に、それぞれ気密状態で連結されている。また、バイパス排気管12の下流端部には、長孔状の複数(例えば5個)の連通孔12aが、周方向に並んで形成されており、これらの連通孔12aを介して、メイン通路13およびバイパス通路14の下流端部同士が連通している。
【0018】
炭化水素吸着材(以下、単に「吸着材」という)16は、表面にゼオライトを担持した金属製のハニカムコア(図示せず)で構成され、炭化水素とともに水分を吸着する特性を有していて、バイパス通路14に流入した排気ガスが吸着材16の内部を通過する際に、その排気ガス中の炭化水素および水分をゼオライトに吸着する。ゼオライトは、高耐熱性を有しており、低温状態(例えば100℃未満)のときに炭化水素を吸着し、所定温度以上(例えば100〜250℃)では、吸着した炭化水素を脱離するという特性を有する。
【0019】
排気通路切替装置8は、触媒装置6の下流側の排気通路を、三元触媒5の活性状態に応じて、メイン通路13とバイパス通路14に選択的に切り替えるためのものである。図2および図3に示すように、この排気通路切替装置8は、円筒状の連結管18と、この連結管18内に設けられた回動自在の切替バルブ15と、切替バルブ15を駆動するアクチュエータ19と、切替バルブ15とアクチュエータ19を連結するリンク機構20などを有している。
【0020】
アクチュエータ19は、負圧ダイヤフラム式のものであり、負圧ケース31と、負圧ケース31内に設けられ、その内部を負圧室31aと大気室31bに仕切るダイヤフラム32と、ダイヤフラム32に取り付けられ、負圧ケース31の大気室31b側を貫通して外方に突出する駆動ロッド33などを有している。負圧ケース31の負圧室31aは、負圧通路34によって吸気管1aに接続されている。負圧通路34の途中には、負圧ケース31から順に、ソレノイド弁35およびチェック弁36が設けられている。このソレノイド弁35のON(励磁)状態では、負圧通路34が吸気管1aに連通することによって、負圧室31aに吸気管1aから負圧が導入されるとともに、OFF(非励磁)状態では、負圧通路34が大気通路37に連通することによって、負圧室31aが大気に開放される。ソレノイド弁35の動作は、ECU25によって制御される。また、駆動ロッド33には、センサロッド41を介してその変位STKACTを検出する変位センサ28(アクチュエータ作動状態検出手段)が取り付けられており、その検出信号はECU25に出力される。
【0021】
一方、リンク機構20は、アクチュエータ19の駆動ロッド33の一端部に回動自在に連結されたレバーピン42と、レバーピン42を一体に設けた回動自在のリンクプレート43で構成されている。そして、前述の切替バルブ15は、このリンクプレート43に連結アーム43aを介して一体に設けられている(図2参照)。
【0022】
排気通路切替装置8の以上の構成によれば、ソレノイド弁35がOFFの状態では、アクチュエータ19の負圧室31aが大気圧に保たれることによって、駆動ロッド33およびリンクプレート43は、図3に示す位置に位置し、リンクプレート43と一体の切替バルブ15は、図2の実線位置に位置する。この状態が、排気通路がメイン通路13側に切り替えられた状態である。一方、ソレノイド弁35がONされると、負圧室31aに吸気管1aの負圧が導入されることによって、ダイヤフラム32が撓み、駆動ロッド33がダイヤフラム32と一緒に図3の左方に駆動され、それに伴い、リンクプレート43がリンクピン42を介して同図の時計方向に駆動されることで、切替バルブ15は図2の2点鎖線位置に駆動される。これにより、排気通路がバイパス通路14側に切り替えられる。
【0023】
また、連結管18とエンジン1の吸気管1aとの間には、排気ガスの一部をエンジン1に再循環させるためのEGR管45が連結されており、その途中にEGR制御弁46が取り付けられている。このEGR制御弁46をECU25で制御することによって、EGRの作動・停止およびEGR量が制御される。
【0024】
また、炭化水素吸着装置7のケース11には、吸着材16の上流側および下流に、上流側湿度センサ21(排気ガス状態検出手段)および下流側湿度センサ22(排気ガス状態検出手段)がそれぞれ取り付けられている。湿度センサ21、22のセンサ素子21a、22a(図2参照)は、バイパス通路14内に臨むように取り付けられており、上流側湿度センサ21は、吸着材16に流入する排気ガスの湿度を表す検出値(以下「上流側検出値」という)VHUMFを、下流側湿度センサ22は、吸着材16を通過した排気ガスの湿度を表す検出値(以下「下流側検出値」という)VHUMRを、それぞれECU25に出力する。
【0025】
また、各センサ素子21a、22aは、例えばアルミナやチタニアなどから成るポーラス体で構成されており、その細孔に吸着された水分の量に応じて抵抗値が変化するという特性を利用して湿度を検出し、それに対応した電圧値を検出信号として出力するタイプのものである。このため、図9に示すように、上流側検出値VHUMFおよび下流側検出値VHUMRはともに、湿度が高いほど、それに応じたより低い値を示し、すなわち、実際の湿度とは逆の増減特性を示す。また、上流側および下流側湿度センサ21、22はともに、温度検出部(図示せず)を備えた温度センサ一体型のものであり、排気ガスの温度THUMF、THUMRを検出し、ECU25に出力する。
【0026】
また、エンジン1の本体には、エンジン水温センサ23およびクランク角センサ24が取り付けられている。エンジン水温センサ23(温度状態検出手段)は、エンジン1のシリンダブロック内を循環する冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを検出し、その検出信号をECU25に出力する。クランク角センサ24は、エンジン1のクランクシャフト(図示せず)の回転に伴い、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号を、それぞれの所定のクランク角度ごとにECU25に出力する。ECU25は、このCRK信号に基づいてエンジン1の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、ECU25には、吸気管1aに設けられた吸気圧センサ26から、吸気管1a内の絶対圧(以下「吸気管内絶対圧」という)PBAを表す検出信号が、吸気温センサ27から吸気管1a内の吸気温TAを表す検出信号が、それぞれ出力される。さらに、ECU25には、吸着材16が劣化していると判定されたときに点灯する警告ランプ29が接続されている。
【0027】
ECU25は、本実施形態において故障検知手段を構成するものである。ECU25は、I/Oインターフェース、CPU、RAM、およびROM(いずれも図示せず)などから成るマイクロコンピュータで構成されている。上述した各種センサからの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
【0028】
CPUは、各種センサで検出されたエンジンパラメータ信号に基づき、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、エンジン1の運転状態を判別するとともに、その判別結果に応じて、切替バルブ15の開閉制御や排気通路切替装置8の故障検知などを含む炭化水素吸着装置7の制御処理を実行する。
【0029】
以下、図4〜図9を参照しながら、この炭化水素吸着装置7の制御処理について説明する。図4はそのメインフローを示しており、この処理は、所定の時間間隔(例えば100ms)ごとに実行される。まず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、切替バルブ15の開閉制御の実行許可フラグF_TRSRUNが「1」であるか否かを判別する。この実行許可フラグF_TRSRUNは、エンジン1の始動時のエンジン水温TWが所定の範囲にあるか否かなどに基づいて、炭化水素の吸着制御の実行条件が成立していると判定されたときに「1」にセットされるものである。この答がNOで、切替バルブ15の開閉制御の実行条件が成立していないときには、そのまま本処理を終了する。
【0030】
ステップ1の答がYESのときには、切替バルブ15の開閉制御処理を実行する(ステップ2)。詳細な説明は省略するが、この切替制御処理では、三元触媒5、5が未活性状態にあるエンジン1の冷間始動時において、排気通路切替装置8のソレノイド弁35をONすることで、切替バルブ15によって排気通路をバイパス通路14側に切り替える。これにより、触媒装置6を通過した排気ガスは、バイパス通路14に導かれ、炭化水素が吸着材16に吸着された後、大気中に排出される。その後、三元触媒5、5が活性化したと判定されたときに、ソレノイド弁35をOFFすることで、切替バルブ15によって排気通路をメイン通路13側に切り替える。これにより、排気ガスは、メイン通路13に導かれ、大気中に排出される。また、EGR制御弁46を開弁し、EGRを作動させることによって、排気ガスの一部がEGRガスとして、バイパス通路14およびEGR管45を介して、吸気管1aに再循環される。吸着材16から脱離した炭化水素は、このEGRガスによって吸気管1aに送られ、エンジン1で燃焼される。
【0031】
次いで、炭化水素の脱離検知処理を実行する(ステップ3)。この脱離検知処理は、吸着材16からの炭化水素の脱離が完全に行われたか否かを検知するものである。詳細な説明は省略するが、この脱離検知は、例えば、下流側湿度センサ22の温度検出値THUMRが吸着材16の脱離温度(例えば220℃)に達したか否か、あるいはEGR量が所定量に達したか否かに基づいて行われる。
【0032】
次に、排気通路切替装置8のアクチュエータ19の故障検知処理を実行する(ステップ4)。図5はそのサブルーチンを示している。まず、そのステップ10では、図4のステップ2の処理において、切替バルブ15をバイパス通路14側へ駆動するためにソレノイド弁35への駆動信号の出力を指示するソレノイド弁駆動フラグF_SOLONが「1」に設定されているか否か、すなわちソレノイド弁35がON(通電)状態であるか否かを判別する。この答がNOで、ソレノイド弁35がOFF状態のときには、そのまま本サブルーチンを終了する。ステップ10の答がYESのときには、ステップ11に進み、F_SOLON=1が成立した後の経過時間を計時するタイマtm_astの値が、所定時間#TM0(例えば3秒)以上であるか否かを判別する。この答がNOで、F_SOLON=1の成立後、所定時間#TM0が経過していないときには、そのまま本サブルーチンを終了する。これは、ソレノイド弁35への通電開始から、リンク機構20にアクチュエータ19の駆動力が確実に伝達されるのに要する時間を考慮したものである。
【0033】
ステップ11の答がYESのときには、変位センサ28で検出されたアクチュエータ19の変位STKACTが、そのフルストローク(切替バルブ15の全開角度)にほぼ相当する所定値#STK0以上であるか否かを判別する(ステップ12)。この答がYESで、STKACT≧#STK0のときには、アクチュエータ19が正常に作動しているとして、アクチュエータ故障フラグF_ACTNGを「0」にセットする(ステップ13)。一方、ステップ12の答がNOで、STKACT<#STK0のときには、駆動ロッド33が正常に作動しておらず、アクチュエータ19が故障しているとして、そのことを表すために、アクチュエータ故障フラグF_ACTNGを「1」にセットし(ステップ14)、本サブルーチンを終了する。以上のように、アクチュエータ19の変位STKACTに応じて、アクチュエータ19の故障を検知でき、それを原因とする排気通路切替装置8の故障を直接的に検知することができる。
【0034】
図4に戻り、前記ステップ4に続くステップ5では、アクチュエータ故障フラグF_ACTNGが「1」であるか否かを判別する。この答がYESで、上記の故障検知処理においてアクチュエータ19の故障が検知されているときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ5の答がNOで、アクチュエータ19の故障が検知されていないときには、排気通路切替装置8のリンク機構20の故障検知処理を実行する(ステップ6)。この故障検知処理は、リンクピン42からの駆動ロッド33の外れなどを含むリンク機構20の故障を検知するものであり、後述するように、リンク機構20の故障が検知されたときには、リンク機構故障フラグF_LINKNGが「1」にセットされる。
【0035】
次いで、リンク機構故障フラグF_LINKNGが「1」であるか否かを判別する(ステップ7)。この答がNOで、アクチュエータ19およびリンク機構20の故障が検知されていないときには、吸着材16の劣化判定処理を実行し(ステップ8)、本処理を終了する。詳細な説明は省略するが、この劣化判定処理では、炭化水素の吸着制御中に上流側および下流側湿度センサ21、22で検出された上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRの変化状態に基づき、下流側検出値VHUMRの高湿度側への変化タイミングが早いときに、吸着材16の水分および炭化水素の吸着能力が低下しているとして、吸着材16が劣化していると判定される。一方、ステップ7の答がYESで、リンク機構20の故障が検知されているときには、切替バルブ15が適切に開閉できないことで、吸着材16の劣化判定を適正に行えないおそれがあるため、ステップ8をスキップし、本処理を終了する。
【0036】
次に、図4のステップ6で実行されるリンク機構20の故障検知処理を、図6〜図9を参照して説明する。図6は、この故障検知を実行するか否かを判定するとともに、故障検知用の各種パラメータを初期化する処理を示している。この処理は、エンジン1の始動直後に1回のみ実行される。
【0037】
本処理ではまず、ステップ21(「S1」と図示。以下同じ)において、エンジン水温TWが所定の下限値TWTRSL(例えば0℃)以上でかつ上限値TWTRSH(例えば40℃)以下であるか否かを判別する。この答がNOで、始動時のエンジン水温TWが、上下限値TWTRSL/Hで規定される所定の温度範囲から外れているときには、吸着材16の劣化判定およびリンク機構20の故障検知(以下、それぞれ単に「劣化判定」「故障検知」という)の実行条件が成立していないとして、劣化判定許可フラグF_MCNDTRSおよび故障検知許可フラグF_MCNDLINKをそれぞれ「0」にセットし(ステップ22、23)、本処理を終了する。
【0038】
前記ステップ21の答がYESで、エンジン水温TWが所定の温度範囲にあるときには、前回のエンジン運転時における脱離検知処理の結果に基づき、前回運転時に吸着材16から炭化水素が完全に脱離されたか否かを判別する(ステップ24)。この答がNOで、前回運転時に炭化水素の脱離が完全に行われていないときには、吸着材16に炭化水素が残留しているために、劣化判定および故障検知を適正に行えないおそれがあるとして、前記ステップ22および23に進み、これらの実行を禁止する。
【0039】
上記ステップ24の答がYESのときには、エンジン1が完全ソーク状態であるか否か、すなわちエンジン1の前回の停止時から今回の始動時までの停止時間(ソーク時間)が十分に長いか否かを判別する(ステップ25)。この判別は、例えば、始動時のエンジン水温TWと吸気温TAとの差TW−TAが、所定温度(例えば5度)以内であるか否かに基づいて行われる。このステップ25の答がNOで、エンジン1が完全ソーク状態でないときには、吸着材16の温度が十分に低下していないために、やはり劣化判定および故障検知を適正に行えないおそれがあるとして、前記ステップ22および23を実行する。
【0040】
一方、前記ステップ25の答がYESのときには、劣化判定および故障検知の実行条件が成立しているとして、劣化判定許可フラグF_MCNDTRSおよび故障検知許可フラグF_MCNDLINKをそれぞれ「1」にセットする(ステップ26、27)。
【0041】
次いで、ステップ28〜31において、故障検知用のパラメータを初期化する。まず、今回時に上流側および下流側湿度センサ21、22で検出された上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRを、エンジン1の始動時における初期値VHUMF_INI、VHUMR_INIとしてそれぞれ設定する(ステップ28、29)。次に、上流側検出値VHUMFが高湿度側に変化した(立ち上がった)ことを「1」で表す上流側立上がりフラグF_HUMF_WETを「0」にリセットする(ステップ30)。同様に、下流側検出値VHUMFに関する下流側立上がりフラグF_HUMR_WETを「0」にリセットし(ステップ31)、本処理を終了する。
【0042】
図7は、リンク機構20の故障検知処理を示している。まず、故障検知許可フラグF_MCNDLINKが「1」であるか否かを判別し(ステップ41)、その答がNOで、故障検知の実行条件が成立していないときには、そのまま本処理を終了する。
【0043】
ステップ41の答がYESで、故障検知の実行条件が成立しているときには、上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRが高湿度側に立ち上がったか否かを判定する(ステップ42)。図8はそのサブルーチンを示している。まず、今回の上流側検出値VHUMFが、図6のステップ28で設定された初期値VHUMF_INIと所定の立上がり判定用偏差D_VHUMFとの差(=VHUMF_INI−D_VHUMF)よりも小さいか否かを判別する(ステップ51)。この答がNOのときには、上流側立上がりフラグF_HUMF_WETを「0」に維持する(ステップ52)。一方、上記ステップ51の答がYESで、VHUMF<(VHUMF_INI−D_VHUMF)が成立したときには、上流側検出値VHUMFが高湿度側に立ち上がったとして、上流側立上がりフラグF_HUMF_WETを「1」にセットする(ステップ53)。
【0044】
同様に、ステップ54では、今回の下流側検出値VHUMRが、図6のステップ29で設定された初期値VHUMR_INIと所定の立上がり判定用偏差D_VHUMRとの差よりも小さいか否かを判別する。そして、下流側立上がりフラグF_HUMR_WETを、ステップ54の答がNOのときには「0」に維持する(ステップ55)一方、その答がYESのときには、下流側検出値VHUMRが高湿度側に立ち上がったとして「1」にセットし(ステップ56)、本サブルーチンを終了する。
【0045】
図7に戻り、前記ステップ42に続くステップ43では、下流側立上がりフラグF_HUMR_WETが「1」であるか否かを判定し、その答がNOのときには、そのまま本処理を終了する。ステップ43の答がYESのときには、上流側立上がりフラグF_HUMF_WETが「1」であるか否かを判定する(ステップ44)。
【0046】
この判定は、以下の趣旨に基づくものである。すなわち、例えば図9に示すように、エンジン1が始動され(時刻t1)、炭化水素の吸着制御のためにソレノイド弁35がONされると、排気通路切替装置8が正常な場合には、切替バルブ15がバイパス通路14側に切り替えられ(図2の2点鎖線位置)、排気ガスがバイパス通路14に流れることで、切替バルブ15のすぐ下流側に位置する上流側湿度センサ21の上流側検出値VHUMFが、まず高湿度側に立ち上がる(時刻t2)。その後、吸着材16への水分の吸着が進み、飽和した吸着材16で吸着できなくなった水分が下流側に流れるようになることで、下流側検出値VHUMRが高湿度側に立ち上がる(時刻t3)。このように、排気通路切替装置8が正常な場合には、高湿度側への立上がりは、上流側検出値VHUMF→下流側検出値VHUMRの順序で発生する。
【0047】
一方、ソレノイド19またはリンク機構20の故障により、ソレノイド弁35がONされても、バイパス通路14側への切替バルブ15の切替が不能になる(図2の実線位置)ような排気通路切替装置8の故障が発生した場合には、排気ガスはメイン通路13側にのみ流れ、下流側湿度センサ22に達することで、図9に破線で示すように、上流側検出値VHUMFが立ち上がらない状態で、下流側検出値VHUMRが高湿度側に先に立ち上がるようになる。以上から、炭化水素の吸着制御中において、上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRの高湿度側への立上がりの順序を監視することによって、上記のような排気通路切替装置8の故障を検知できる。
【0048】
したがって、前記ステップ44の答がYESのとき、すなわち下流側検出値VHUMRが立ち上がった時に上流側検出値VHUMFがすでに立ち上がっているときには、リンク機構20が正常であると判定して、リンク機構故障フラグF_LINKNGを「0」にセットする(ステップ45)。次いで、リンク機構20の故障検知が終了したことを受けて、故障検知許可フラグF_MCNDLINKを「0」にセットし(ステップ46)、本処理を終了する。
【0049】
一方、前記ステップ44の答がNOのとき、すなわち下流側検出値VHUMRがすでに立ち上がっているにもかかわらず、上流側検出値VHUMFがまだ立ち上がっていないときには、排気通路切替装置8が故障していることを示す。また、前述したように、このステップ44を含むリンク機構20の故障検知処理は、図4のステップ4の故障検知処理でアクチュエータ19の故障が検知されていないときにのみ実行されるので、この場合の排気通路切替装置8の故障は、リンク機構20の故障によるものと判定し、そのことを表すために、リンク機構故障フラグF_LINKNGを「1」にセットする(ステップ47)。次いで、前記ステップ46を実行し、本処理を終了する。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、排気通路切替装置8の駆動源であるアクチュエータ19の変位STKACTを、所定値#STK0と比較することによって、アクチュエータ19の故障を原因とする排気通路切替装置8の故障を直接的に且つ的確に検知することができる。また、炭化水素の吸着制御中に、上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRの高湿度側への立上がりの順序を監視することによって、排気通路切替装置8の故障を、アクチュエータ19が故障している場合だけでなく、リンク機構20が故障している場合も含めて、検知することができる。また、その場合、アクチュエータ19の故障が検知されていないときには、故障個所がリンク機構20であると特定することができる。以上により、吸着材16に排気ガスが流れなくなることにより炭化水素の吸着動作ひいては排気ガス特性へ悪影響を及ぼすような排気通路切替装置8の故障を、適切に検知することができる。さらに、前述したように、上流側および下流側湿度センサ21、22は、吸着材16の劣化判定のためにもともと設けられているものであるので、既存のセンサを利用しながら、上記の効果を得ることができる。
【0051】
図10および図11は、第2実施形態によるリンク機構20の故障検知処理を示し、図12はその動作例を示している。これらの処理は、図4のステップ4において、前述した実施形態の故障検知処理に代えて実行される。また、前述の実施形態では、バイパス通路14を流れる排気ガスの状態を表すパラメータとして、上流側および下流側湿度センサ21、22で検出された上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRを用いているのに対し、本実施形態の故障検知処理は、これらのパラメータに代えて、上流側湿度センサ21で検出された温度検出値(以下「上流側温度検出値」という)THUMFを用いたものである。
【0052】
図10は、図6と同様の故障検知の実行判定および初期化のための処理を示しており、この処理もまた、エンジン1の始動直後に1回のみ実行される。本処理では、図6のステップ21〜27とまったく同様のステップ61〜67を実行する。すなわち、始動時のエンジン水温TWが、上下限値TWTRSL/Hで規定される温度範囲内にあり、前回運転時に炭化水素の脱離が完全に行われ、かつエンジン1が完全ソーク状態である場合に、劣化判定および故障検知の実行条件が成立しているとして、劣化判定許可フラグF_MCNDTRSおよび故障検知許可フラグF_MCNDLINKを「1」にセットする一方、他の場合には、両フラグを「0」にセットする。また、実行条件の成立時には、今回時に検出された上流側温度検出値THUMFに、所定の偏差#DTLINKF(例えば50度)を加算した値を、故障判定しきい値TLINKFとして設定し(ステップ68)、本処理を終了する。
【0053】
図11は、リンク機構20の故障検知処理を示している。本処理ではまず、故障検知許可フラグF_MCNDLINKが「1」であるか否かを判別し(ステップ71)、その答がNOで、故障検知の実行条件が成立していないときには、そのまま本処理を終了する。ステップ71の答がYESのときには、アクチュエータ19の変位STKACTが前記所定値#STK0以上であるか否かを判別する(ステップ72)。この答がNOで、アクチュエータ19がフルストロークに達していないときには、本処理を終了する。
【0054】
一方、上記ステップ72の答がYESのときには(図12の時刻t2)、ダウンカウント式のディレイタイマTMGの値が0であるか否かを判別する(ステップ73)。この答がYESのとき、すなわち今回のループがアクチュエータ19がフルストロークに達した直後に相当するときには、ディレイタイマTMGに所定値#TMGASD(例えば5秒相当)をセットする(ステップ74)。このステップ74の実行後には、前記ステップ73の答がNOになるので、その場合には、ディレイタイマTMGをデクリメントする(ステップ75)。次いで、ディレイタイマTMGの値が0であるか否かを再び判別し(ステップ76)、その答がNOのときには、本処理を終了する。
【0055】
一方、上記ステップ76の答がYESのとき、すなわちアクチュエータ19がフルストロークに達した後に所定時間が経過したときには(時刻t3)、今回時の上流側温度検出値THUMFが、図10のステップ68で設定した故障判定しきい値TLINKFよりも大きいか否かを判別する(ステップ77)。この答がYESで、THUMF>TLINKFのときには、バイパス通路14内の上流側湿度センサ21付近の温度が排気ガスの熱によって十分に上昇しており(図12の実線)、切替バルブ15がバイパス通路14側に適正に切り替えられているとして、リンク機構20が正常であると判定し、リンク機構故障フラグF_LINKNGを「0」にセットする(ステップ78)。次いで、リンク機構20の故障検知の終了に伴い、故障検知許可フラグF_MCNDLINKを「0」にセットし(ステップ79)、本処理を終了する。
【0056】
一方、前記ステップ77の答がNOで、THUMF≦TLINKFのときには、アクチュエータ19がフルストロークに達した後に所定時間が経過したにもかかわらず、バイパス通路14内の上流側湿度センサ21付近の温度が十分に上昇しておらず(図12の破線)、切替バルブ15がバイパス通路14側に適正に切り替えられていないとして、リンク機構20が故障していると判定し、リンク機構故障フラグF_LINKNGを「1」にセットする(ステップ80)。次いで、前記ステップ79を実行し、本処理を終了する。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、バイパス通路14を流れる排気ガスの状態を表すパラメータとして、上流側湿度センサ21で検出された上流側温度検出値THUMFを用いることによって、前述した実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、排気通路切替装置8の故障を、アクチュエータ19が故障している場合だけでなく、リンク機構20が故障している場合も含めて、検知できるとともに、故障個所をアクチュエータ19とリンク機構20に区別して特定することができるなどの効果が得られる。
【0058】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態の排気通路切替装置は、排気通路をメイン通路と吸着材を配置したバイパス通路とに切り替えるためのものであるが、本発明は、他の用途の任意の排気通路切替装置に適用できる。例えば、メイン通路に配置した三元触媒が高回転高負荷運転状態において過熱するのを防止するために排気通路をバイパス通路に切り替えるものや、互いに異なる通路長さを有する2つの排気通路を運転状態に応じて切り替えるものなどに、本発明を適用することが可能である。また、実施形態では、アクチュエータの作動状態を表すパラメータとして、その駆動ロッドの変位を用いているが、これに代えて、負圧室や負圧通路の圧力などを採用してもよい。
【0059】
さらに、実施形態では、温度検出手段として、上流側および下流側湿度センサ21、22に一体に設けた温度検出部を用いているが、これに代えて、温度センサを別個に設けてもよい。また、実施形態では、排気ガスの状態を表すパラメータとして、排気ガスの湿度や温度を用いているが、他の適当なパラメータを採用してもよいことはもちろんである。実施形態では、その他、細部の構成を、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することが可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の排気通路切替装置の故障検知装置は、アクチュエータによる故障だけでなく、アクチュエータと切替バルブを連結するリンク機構による故障をも検知できるとともに、故障個所をアクチュエータとリンク機構に区別して特定することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による排気通路切替装置の故障検知装置を適用した内燃機関を示す構成図である。
【図2】炭化水素吸着装置を拡大して示す断面図である。
【図3】排気通路切替装置を部分的に破断して示す図である。
【図4】炭化水素吸着装置の制御処理のメインフローである。
【図5】アクチュエータの故障検知処理を示すフローチャートである。
【図6】リンク機構の故障検知の実行判定および初期化処理を示すフローチャートである。
【図7】リンク機構の故障検知処理を示すフローチャートである。
【図8】吸着材の上流側および下流側の湿度立上がりを検出する処理を示すフローチャートである。
【図9】図7の故障検知処理による動作例を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態によるリンク機構の故障検知の実行判定および初期化処理を示すフローチャートである。
【図11】リンク機構の故障検知処理を示すフローチャートである。
【図12】図11の故障検知処理による動作例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 排気系
8 排気通路切替装置
13 メイン通路(第1通路)
14 バイパス通路(第2通路)
15 切替バルブ
16 炭化水素吸着材(排気ガス低減手段)
19 アクチュエータ
20 リンク機構
21 上流側湿度センサ(排気ガス状態検出手段)
22 下流側湿度センサ(排気ガス状態検出手段)
25 ECU(故障検知手段)
28 変位センサ(アクチュエータ作動状態検出手段)
VHUMF 上流側検出値(排気ガスの状態)
VHUMR 下流側検出値(排気ガスの状態)
THUMF 上流側温度検出値(排気ガスの状態)
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気系に設けられ、その排気通路を第1および第2の通路に切り替える排気通路切替装置の故障検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の排気通路切替装置の故障検知装置として、例えば特開2001−41026号に開示されたものが知られている。この排気通路切替装置は、内燃機関の排気系の排気通路を、メイン通路と、排気ガス中の炭化水素を吸着するための吸着材を配置したバイパス通路とに切り替えるものである。排気通路切替装置は、メイン通路を開閉する切替バルブと、切替バルブを駆動するアクチュエータとしてのダイヤフラム機構を備えている。ダイヤフラム機構は、その内部空間を負圧室と大気室に仕切るダイヤフラムと、ダイヤフラムに取り付けられるとともに切替バルブに連結された駆動ロッドを有している。負圧室は、負圧供給管を介して吸気管に接続されており、負圧供給管の途中には、負圧供給管を吸気管側と大気側に切り替えて接続する負圧供給弁が設けられている。
【0003】
以上の構成により、負圧供給弁が大気側に切り替えられた状態では、負圧室内が大気圧に保たれることによって、ダイヤフラムは撓まず、切替バルブはメイン通路を全開した状態に維持される。この状態から負圧供給弁が吸気管側に切り替えられると、その吸気負圧が負圧室内に供給されることによって、ダイヤフラムが撓み、これに取り付けた駆動ロッドを介して切替バルブを駆動することによって、切替バルブは、メイン通路を全閉し、バイパス通路側に切り替えられる。
【0004】
また、負圧供給管には、負圧室と負圧供給弁との間に、負圧室への供給圧を検出する圧力センサが設けられており、この故障検知装置では、吸気負圧の供給中に圧力センサで検出された供給圧に基づいて、負圧供給弁を含む負圧供給系の故障や、切替バルブの全開状態での固着(バイパス通路側への切替不能状態)などが検知される。具体的には、負圧供給弁が吸気管側に切り替えられた後、十分な時間が経過しても、供給圧が所定値以下に低下しない場合には、負圧供給系が故障していると判定される。また、負圧供給弁の吸気管側への切替後、供給圧が所定の基準圧まで低下するのに要した時間が、所定の判定時間よりも短いときに、切替バルブが全開状態で固着していると判定される。この判定手法は、切替バルブが全開状態で固着した場合、吸気負圧が供給されても、切替バルブに駆動ロッドを介して連結されたダイヤフラムは撓むことができず、吸気負圧で吸引される負圧室の容積が変化しないことから、切替バルブが正常な場合よりも供給圧が早く低下するという観点に基づくものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来の故障検知装置は、切替バルブを駆動するダイヤフラム機構の負圧室への供給圧の変化状態に基づいて、故障を検知するにすぎないため、負圧供給系の故障によるダイヤフラム機構側(駆動側)の故障は検知できるものの、ダイヤフラムと切替バルブを連結する駆動ロッドの外れや折損などの故障が発生した場合、これを検知できないという問題がある。すなわち、駆動ロッドの外れや折損などが生じると、切替バルブを適正に駆動できず、排気通路切替装置が故障状態になるのに対し、ダイヤフラム機構自体は正常に作動しているため、供給圧によってはそのような故障を検知できない。このことは、この従来の故障検知装置における切替バルブの全開状態での固着を判定する判定手法についても同様である。前述したように、この判定手法は、ダイヤフラムが切替バルブと連結されていることを前提としており、両者を連結する駆動ロッドが外れなどで故障した場合には、この前提が成り立たなくなる。すなわち、その場合には、ダイヤフラムは、吸気負圧の供給に伴って切替バルブの状態とは無関係に撓み、供給圧は切替バルブが正常な場合と同じように低下するため、排気通路切替装置が故障していないと誤判定してしまう。また、このような誤判定が生じると、切替バルブがバイパス通路側に切り替えられないために排気ガスが吸着材に適正に流れない状態が看過される結果、排気ガス特性にも悪影響を及ぼす。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、アクチュエータによる故障だけでなく、アクチュエータと切替バルブを連結するリンク機構による故障をも検知できるとともに、故障個所をアクチュエータとリンク機構に区別して特定することができる排気通路切替装置の故障検知装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、内燃機関1の排気系2に設けられ、アクチュエータ19によりリンク機構20を介して切替バルブ15を駆動することによって、排気系2の排気通路を第1通路(実施形態における(以下、本項において同じ)メイン通路13)と第2通路(バイパス通路14)に切り替える排気通路切替装置8の故障検知装置であって、アクチュエータ19の作動状態を検出するアクチュエータ作動状態検出手段(変位センサ28)と、第1および第2通路の少なくとも一方を流れる排気ガスの状態(上流側検出値VHUMF、下流側検出値VHUMR)を検出する排気ガス状態検出手段(上流側湿度センサ21、下流側湿度センサ22)と、検出されたアクチュエータの作動状態および排気ガスの状態に応じて、排気通路切替装置8の故障を検知する故障検知手段(ECU25、図5、図7)と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
この故障検知装置によれば、アクチュエータの作動状態を検出し、検出された作動状態に応じて、排気通路切替装置の故障を検知する。アクチュエータは排気通路切替装置の駆動源であるので、その作動状態に応じ、アクチュエータの故障を原因とする排気通路切替装置の故障を直接的に検知することができる。また、この故障検知装置では、排気通路切替装置によって切り替えられる第1および第2通路の一方を流れる排気ガスの状態を検出し、検出された排気ガスの状態に応じて、排気通路切替装置の故障を検知する。第1および/または第2通路を流れる排気ガスの状態は、排気通路切替装置が故障した場合には、正常な場合とは異なる状態になる。したがって、検出された排気ガスの状態に応じ、排気通路切替装置の故障を、アクチュエータと切替バルブとを連結するリンク機構が故障している場合も含めて、間接的に検知することができる。また、排気ガスの状態によって排気通路切替装置の故障が検知され、かつアクチュエータ自体の故障が検知されていない場合には、故障個所がリンク機構であると特定することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の排気通路切替装置の故障検知装置において、第1および第2通路の一方に、排気ガス中の有害成分を低減するための排気ガス低減手段(炭化水素吸着材16)が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成では、排気通路切替装置が故障すると、第1または第2通路に設けられた排気ガス低減手段に排気ガスが適正に流れなくなり、排気ガス低減手段による有害成分の低減動作ひいては排気ガス特性に影響を及ぼすおそれがある。本発明の故障検知装置によれば、そのような排気ガス特性に影響を及ぼし得る故障を、適切に検知することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の排気通路切替装置の故障検知装置において、アクチュエータ作動状態検出手段は、アクチュエータ19の変位を検出する変位センサ28であることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、アクチュエータの作動状態を変位センサによって直接的に検出でき、アクチュエータの故障を的確に検知することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明による排気通路切替装置の故障検知装置を適用した内燃機関を示している。この内燃機関(以下「エンジン」という)1は、図示しない車両に搭載された、例えば4気筒4サイクルエンジンである。エンジン1の吸気管1aには、気筒ごとにインジェクタ1bが設けられており、その燃料噴射時間Toutは、後述するECU25によって制御される。
【0014】
エンジン1の排気系2は、排気マニホルド3を介してエンジン1に接続された排気管4を有しており、この排気管4の途中には、排気ガスを浄化するための2つの三元触媒5、5を有する触媒装置6と、炭化水素を吸着するための炭化水素吸着装置7が設けられている。2つの三元触媒5、5は、排気管4に沿って互いに隣接して配置されており、所定温度(例えば300℃)以上に昇温された活性化状態で、触媒装置6を通過する排気ガス中の有害物質(HC(炭化水素)、COおよびNOx)を、酸化・還元作用によって浄化する。
【0015】
一方、炭化水素吸着装置7は、排気管4の触媒装置6よりも下流側に配置されており、三元触媒5、5が活性化していない冷間状態でのエンジン1の始動期間(例えば、始動後の約30〜40秒間)に、排気ガス中の炭化水素を吸着することによって、大気中に排出される炭化水素量を低減する。図1および図2に示すように、炭化水素吸着装置7は、排気通路切替装置8を介して、触媒装置6の下流端部に連結されており、円筒状のケース11と、このケース11内に配置されたバイパス排気管12と、このバイパス排気管12の途中に配置され、流入した排気ガス中の炭化水素を吸着するための円柱状の炭化水素吸着材16(排気ガス低減手段)と、を備えている。
【0016】
図2に示すように、ケース11とバイパス排気管12との間の断面環状の空間によって、メイン通路13(第1通路)が構成されるとともに、バイパス排気管12の内部スペースによって、バイパス通路14(第2通路)が構成されている。また、ケース11は、その上流端部が上下に二股に分かれており、上側の開口部11aがメイン通路13と連通する一方、下側の開口部11bがバイパス通路14と連通している。
【0017】
バイパス排気管12は、その上流端部がケース11の下側の開口部11bの内面に、下流端部がケース11の下流端部の内面に、それぞれ気密状態で連結されている。また、バイパス排気管12の下流端部には、長孔状の複数(例えば5個)の連通孔12aが、周方向に並んで形成されており、これらの連通孔12aを介して、メイン通路13およびバイパス通路14の下流端部同士が連通している。
【0018】
炭化水素吸着材(以下、単に「吸着材」という)16は、表面にゼオライトを担持した金属製のハニカムコア(図示せず)で構成され、炭化水素とともに水分を吸着する特性を有していて、バイパス通路14に流入した排気ガスが吸着材16の内部を通過する際に、その排気ガス中の炭化水素および水分をゼオライトに吸着する。ゼオライトは、高耐熱性を有しており、低温状態(例えば100℃未満)のときに炭化水素を吸着し、所定温度以上(例えば100〜250℃)では、吸着した炭化水素を脱離するという特性を有する。
【0019】
排気通路切替装置8は、触媒装置6の下流側の排気通路を、三元触媒5の活性状態に応じて、メイン通路13とバイパス通路14に選択的に切り替えるためのものである。図2および図3に示すように、この排気通路切替装置8は、円筒状の連結管18と、この連結管18内に設けられた回動自在の切替バルブ15と、切替バルブ15を駆動するアクチュエータ19と、切替バルブ15とアクチュエータ19を連結するリンク機構20などを有している。
【0020】
アクチュエータ19は、負圧ダイヤフラム式のものであり、負圧ケース31と、負圧ケース31内に設けられ、その内部を負圧室31aと大気室31bに仕切るダイヤフラム32と、ダイヤフラム32に取り付けられ、負圧ケース31の大気室31b側を貫通して外方に突出する駆動ロッド33などを有している。負圧ケース31の負圧室31aは、負圧通路34によって吸気管1aに接続されている。負圧通路34の途中には、負圧ケース31から順に、ソレノイド弁35およびチェック弁36が設けられている。このソレノイド弁35のON(励磁)状態では、負圧通路34が吸気管1aに連通することによって、負圧室31aに吸気管1aから負圧が導入されるとともに、OFF(非励磁)状態では、負圧通路34が大気通路37に連通することによって、負圧室31aが大気に開放される。ソレノイド弁35の動作は、ECU25によって制御される。また、駆動ロッド33には、センサロッド41を介してその変位STKACTを検出する変位センサ28(アクチュエータ作動状態検出手段)が取り付けられており、その検出信号はECU25に出力される。
【0021】
一方、リンク機構20は、アクチュエータ19の駆動ロッド33の一端部に回動自在に連結されたレバーピン42と、レバーピン42を一体に設けた回動自在のリンクプレート43で構成されている。そして、前述の切替バルブ15は、このリンクプレート43に連結アーム43aを介して一体に設けられている(図2参照)。
【0022】
排気通路切替装置8の以上の構成によれば、ソレノイド弁35がOFFの状態では、アクチュエータ19の負圧室31aが大気圧に保たれることによって、駆動ロッド33およびリンクプレート43は、図3に示す位置に位置し、リンクプレート43と一体の切替バルブ15は、図2の実線位置に位置する。この状態が、排気通路がメイン通路13側に切り替えられた状態である。一方、ソレノイド弁35がONされると、負圧室31aに吸気管1aの負圧が導入されることによって、ダイヤフラム32が撓み、駆動ロッド33がダイヤフラム32と一緒に図3の左方に駆動され、それに伴い、リンクプレート43がリンクピン42を介して同図の時計方向に駆動されることで、切替バルブ15は図2の2点鎖線位置に駆動される。これにより、排気通路がバイパス通路14側に切り替えられる。
【0023】
また、連結管18とエンジン1の吸気管1aとの間には、排気ガスの一部をエンジン1に再循環させるためのEGR管45が連結されており、その途中にEGR制御弁46が取り付けられている。このEGR制御弁46をECU25で制御することによって、EGRの作動・停止およびEGR量が制御される。
【0024】
また、炭化水素吸着装置7のケース11には、吸着材16の上流側および下流に、上流側湿度センサ21(排気ガス状態検出手段)および下流側湿度センサ22(排気ガス状態検出手段)がそれぞれ取り付けられている。湿度センサ21、22のセンサ素子21a、22a(図2参照)は、バイパス通路14内に臨むように取り付けられており、上流側湿度センサ21は、吸着材16に流入する排気ガスの湿度を表す検出値(以下「上流側検出値」という)VHUMFを、下流側湿度センサ22は、吸着材16を通過した排気ガスの湿度を表す検出値(以下「下流側検出値」という)VHUMRを、それぞれECU25に出力する。
【0025】
また、各センサ素子21a、22aは、例えばアルミナやチタニアなどから成るポーラス体で構成されており、その細孔に吸着された水分の量に応じて抵抗値が変化するという特性を利用して湿度を検出し、それに対応した電圧値を検出信号として出力するタイプのものである。このため、図9に示すように、上流側検出値VHUMFおよび下流側検出値VHUMRはともに、湿度が高いほど、それに応じたより低い値を示し、すなわち、実際の湿度とは逆の増減特性を示す。また、上流側および下流側湿度センサ21、22はともに、温度検出部(図示せず)を備えた温度センサ一体型のものであり、排気ガスの温度THUMF、THUMRを検出し、ECU25に出力する。
【0026】
また、エンジン1の本体には、エンジン水温センサ23およびクランク角センサ24が取り付けられている。エンジン水温センサ23(温度状態検出手段)は、エンジン1のシリンダブロック内を循環する冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを検出し、その検出信号をECU25に出力する。クランク角センサ24は、エンジン1のクランクシャフト(図示せず)の回転に伴い、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号を、それぞれの所定のクランク角度ごとにECU25に出力する。ECU25は、このCRK信号に基づいてエンジン1の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、ECU25には、吸気管1aに設けられた吸気圧センサ26から、吸気管1a内の絶対圧(以下「吸気管内絶対圧」という)PBAを表す検出信号が、吸気温センサ27から吸気管1a内の吸気温TAを表す検出信号が、それぞれ出力される。さらに、ECU25には、吸着材16が劣化していると判定されたときに点灯する警告ランプ29が接続されている。
【0027】
ECU25は、本実施形態において故障検知手段を構成するものである。ECU25は、I/Oインターフェース、CPU、RAM、およびROM(いずれも図示せず)などから成るマイクロコンピュータで構成されている。上述した各種センサからの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
【0028】
CPUは、各種センサで検出されたエンジンパラメータ信号に基づき、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、エンジン1の運転状態を判別するとともに、その判別結果に応じて、切替バルブ15の開閉制御や排気通路切替装置8の故障検知などを含む炭化水素吸着装置7の制御処理を実行する。
【0029】
以下、図4〜図9を参照しながら、この炭化水素吸着装置7の制御処理について説明する。図4はそのメインフローを示しており、この処理は、所定の時間間隔(例えば100ms)ごとに実行される。まず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、切替バルブ15の開閉制御の実行許可フラグF_TRSRUNが「1」であるか否かを判別する。この実行許可フラグF_TRSRUNは、エンジン1の始動時のエンジン水温TWが所定の範囲にあるか否かなどに基づいて、炭化水素の吸着制御の実行条件が成立していると判定されたときに「1」にセットされるものである。この答がNOで、切替バルブ15の開閉制御の実行条件が成立していないときには、そのまま本処理を終了する。
【0030】
ステップ1の答がYESのときには、切替バルブ15の開閉制御処理を実行する(ステップ2)。詳細な説明は省略するが、この切替制御処理では、三元触媒5、5が未活性状態にあるエンジン1の冷間始動時において、排気通路切替装置8のソレノイド弁35をONすることで、切替バルブ15によって排気通路をバイパス通路14側に切り替える。これにより、触媒装置6を通過した排気ガスは、バイパス通路14に導かれ、炭化水素が吸着材16に吸着された後、大気中に排出される。その後、三元触媒5、5が活性化したと判定されたときに、ソレノイド弁35をOFFすることで、切替バルブ15によって排気通路をメイン通路13側に切り替える。これにより、排気ガスは、メイン通路13に導かれ、大気中に排出される。また、EGR制御弁46を開弁し、EGRを作動させることによって、排気ガスの一部がEGRガスとして、バイパス通路14およびEGR管45を介して、吸気管1aに再循環される。吸着材16から脱離した炭化水素は、このEGRガスによって吸気管1aに送られ、エンジン1で燃焼される。
【0031】
次いで、炭化水素の脱離検知処理を実行する(ステップ3)。この脱離検知処理は、吸着材16からの炭化水素の脱離が完全に行われたか否かを検知するものである。詳細な説明は省略するが、この脱離検知は、例えば、下流側湿度センサ22の温度検出値THUMRが吸着材16の脱離温度(例えば220℃)に達したか否か、あるいはEGR量が所定量に達したか否かに基づいて行われる。
【0032】
次に、排気通路切替装置8のアクチュエータ19の故障検知処理を実行する(ステップ4)。図5はそのサブルーチンを示している。まず、そのステップ10では、図4のステップ2の処理において、切替バルブ15をバイパス通路14側へ駆動するためにソレノイド弁35への駆動信号の出力を指示するソレノイド弁駆動フラグF_SOLONが「1」に設定されているか否か、すなわちソレノイド弁35がON(通電)状態であるか否かを判別する。この答がNOで、ソレノイド弁35がOFF状態のときには、そのまま本サブルーチンを終了する。ステップ10の答がYESのときには、ステップ11に進み、F_SOLON=1が成立した後の経過時間を計時するタイマtm_astの値が、所定時間#TM0(例えば3秒)以上であるか否かを判別する。この答がNOで、F_SOLON=1の成立後、所定時間#TM0が経過していないときには、そのまま本サブルーチンを終了する。これは、ソレノイド弁35への通電開始から、リンク機構20にアクチュエータ19の駆動力が確実に伝達されるのに要する時間を考慮したものである。
【0033】
ステップ11の答がYESのときには、変位センサ28で検出されたアクチュエータ19の変位STKACTが、そのフルストローク(切替バルブ15の全開角度)にほぼ相当する所定値#STK0以上であるか否かを判別する(ステップ12)。この答がYESで、STKACT≧#STK0のときには、アクチュエータ19が正常に作動しているとして、アクチュエータ故障フラグF_ACTNGを「0」にセットする(ステップ13)。一方、ステップ12の答がNOで、STKACT<#STK0のときには、駆動ロッド33が正常に作動しておらず、アクチュエータ19が故障しているとして、そのことを表すために、アクチュエータ故障フラグF_ACTNGを「1」にセットし(ステップ14)、本サブルーチンを終了する。以上のように、アクチュエータ19の変位STKACTに応じて、アクチュエータ19の故障を検知でき、それを原因とする排気通路切替装置8の故障を直接的に検知することができる。
【0034】
図4に戻り、前記ステップ4に続くステップ5では、アクチュエータ故障フラグF_ACTNGが「1」であるか否かを判別する。この答がYESで、上記の故障検知処理においてアクチュエータ19の故障が検知されているときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ5の答がNOで、アクチュエータ19の故障が検知されていないときには、排気通路切替装置8のリンク機構20の故障検知処理を実行する(ステップ6)。この故障検知処理は、リンクピン42からの駆動ロッド33の外れなどを含むリンク機構20の故障を検知するものであり、後述するように、リンク機構20の故障が検知されたときには、リンク機構故障フラグF_LINKNGが「1」にセットされる。
【0035】
次いで、リンク機構故障フラグF_LINKNGが「1」であるか否かを判別する(ステップ7)。この答がNOで、アクチュエータ19およびリンク機構20の故障が検知されていないときには、吸着材16の劣化判定処理を実行し(ステップ8)、本処理を終了する。詳細な説明は省略するが、この劣化判定処理では、炭化水素の吸着制御中に上流側および下流側湿度センサ21、22で検出された上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRの変化状態に基づき、下流側検出値VHUMRの高湿度側への変化タイミングが早いときに、吸着材16の水分および炭化水素の吸着能力が低下しているとして、吸着材16が劣化していると判定される。一方、ステップ7の答がYESで、リンク機構20の故障が検知されているときには、切替バルブ15が適切に開閉できないことで、吸着材16の劣化判定を適正に行えないおそれがあるため、ステップ8をスキップし、本処理を終了する。
【0036】
次に、図4のステップ6で実行されるリンク機構20の故障検知処理を、図6〜図9を参照して説明する。図6は、この故障検知を実行するか否かを判定するとともに、故障検知用の各種パラメータを初期化する処理を示している。この処理は、エンジン1の始動直後に1回のみ実行される。
【0037】
本処理ではまず、ステップ21(「S1」と図示。以下同じ)において、エンジン水温TWが所定の下限値TWTRSL(例えば0℃)以上でかつ上限値TWTRSH(例えば40℃)以下であるか否かを判別する。この答がNOで、始動時のエンジン水温TWが、上下限値TWTRSL/Hで規定される所定の温度範囲から外れているときには、吸着材16の劣化判定およびリンク機構20の故障検知(以下、それぞれ単に「劣化判定」「故障検知」という)の実行条件が成立していないとして、劣化判定許可フラグF_MCNDTRSおよび故障検知許可フラグF_MCNDLINKをそれぞれ「0」にセットし(ステップ22、23)、本処理を終了する。
【0038】
前記ステップ21の答がYESで、エンジン水温TWが所定の温度範囲にあるときには、前回のエンジン運転時における脱離検知処理の結果に基づき、前回運転時に吸着材16から炭化水素が完全に脱離されたか否かを判別する(ステップ24)。この答がNOで、前回運転時に炭化水素の脱離が完全に行われていないときには、吸着材16に炭化水素が残留しているために、劣化判定および故障検知を適正に行えないおそれがあるとして、前記ステップ22および23に進み、これらの実行を禁止する。
【0039】
上記ステップ24の答がYESのときには、エンジン1が完全ソーク状態であるか否か、すなわちエンジン1の前回の停止時から今回の始動時までの停止時間(ソーク時間)が十分に長いか否かを判別する(ステップ25)。この判別は、例えば、始動時のエンジン水温TWと吸気温TAとの差TW−TAが、所定温度(例えば5度)以内であるか否かに基づいて行われる。このステップ25の答がNOで、エンジン1が完全ソーク状態でないときには、吸着材16の温度が十分に低下していないために、やはり劣化判定および故障検知を適正に行えないおそれがあるとして、前記ステップ22および23を実行する。
【0040】
一方、前記ステップ25の答がYESのときには、劣化判定および故障検知の実行条件が成立しているとして、劣化判定許可フラグF_MCNDTRSおよび故障検知許可フラグF_MCNDLINKをそれぞれ「1」にセットする(ステップ26、27)。
【0041】
次いで、ステップ28〜31において、故障検知用のパラメータを初期化する。まず、今回時に上流側および下流側湿度センサ21、22で検出された上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRを、エンジン1の始動時における初期値VHUMF_INI、VHUMR_INIとしてそれぞれ設定する(ステップ28、29)。次に、上流側検出値VHUMFが高湿度側に変化した(立ち上がった)ことを「1」で表す上流側立上がりフラグF_HUMF_WETを「0」にリセットする(ステップ30)。同様に、下流側検出値VHUMFに関する下流側立上がりフラグF_HUMR_WETを「0」にリセットし(ステップ31)、本処理を終了する。
【0042】
図7は、リンク機構20の故障検知処理を示している。まず、故障検知許可フラグF_MCNDLINKが「1」であるか否かを判別し(ステップ41)、その答がNOで、故障検知の実行条件が成立していないときには、そのまま本処理を終了する。
【0043】
ステップ41の答がYESで、故障検知の実行条件が成立しているときには、上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRが高湿度側に立ち上がったか否かを判定する(ステップ42)。図8はそのサブルーチンを示している。まず、今回の上流側検出値VHUMFが、図6のステップ28で設定された初期値VHUMF_INIと所定の立上がり判定用偏差D_VHUMFとの差(=VHUMF_INI−D_VHUMF)よりも小さいか否かを判別する(ステップ51)。この答がNOのときには、上流側立上がりフラグF_HUMF_WETを「0」に維持する(ステップ52)。一方、上記ステップ51の答がYESで、VHUMF<(VHUMF_INI−D_VHUMF)が成立したときには、上流側検出値VHUMFが高湿度側に立ち上がったとして、上流側立上がりフラグF_HUMF_WETを「1」にセットする(ステップ53)。
【0044】
同様に、ステップ54では、今回の下流側検出値VHUMRが、図6のステップ29で設定された初期値VHUMR_INIと所定の立上がり判定用偏差D_VHUMRとの差よりも小さいか否かを判別する。そして、下流側立上がりフラグF_HUMR_WETを、ステップ54の答がNOのときには「0」に維持する(ステップ55)一方、その答がYESのときには、下流側検出値VHUMRが高湿度側に立ち上がったとして「1」にセットし(ステップ56)、本サブルーチンを終了する。
【0045】
図7に戻り、前記ステップ42に続くステップ43では、下流側立上がりフラグF_HUMR_WETが「1」であるか否かを判定し、その答がNOのときには、そのまま本処理を終了する。ステップ43の答がYESのときには、上流側立上がりフラグF_HUMF_WETが「1」であるか否かを判定する(ステップ44)。
【0046】
この判定は、以下の趣旨に基づくものである。すなわち、例えば図9に示すように、エンジン1が始動され(時刻t1)、炭化水素の吸着制御のためにソレノイド弁35がONされると、排気通路切替装置8が正常な場合には、切替バルブ15がバイパス通路14側に切り替えられ(図2の2点鎖線位置)、排気ガスがバイパス通路14に流れることで、切替バルブ15のすぐ下流側に位置する上流側湿度センサ21の上流側検出値VHUMFが、まず高湿度側に立ち上がる(時刻t2)。その後、吸着材16への水分の吸着が進み、飽和した吸着材16で吸着できなくなった水分が下流側に流れるようになることで、下流側検出値VHUMRが高湿度側に立ち上がる(時刻t3)。このように、排気通路切替装置8が正常な場合には、高湿度側への立上がりは、上流側検出値VHUMF→下流側検出値VHUMRの順序で発生する。
【0047】
一方、ソレノイド19またはリンク機構20の故障により、ソレノイド弁35がONされても、バイパス通路14側への切替バルブ15の切替が不能になる(図2の実線位置)ような排気通路切替装置8の故障が発生した場合には、排気ガスはメイン通路13側にのみ流れ、下流側湿度センサ22に達することで、図9に破線で示すように、上流側検出値VHUMFが立ち上がらない状態で、下流側検出値VHUMRが高湿度側に先に立ち上がるようになる。以上から、炭化水素の吸着制御中において、上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRの高湿度側への立上がりの順序を監視することによって、上記のような排気通路切替装置8の故障を検知できる。
【0048】
したがって、前記ステップ44の答がYESのとき、すなわち下流側検出値VHUMRが立ち上がった時に上流側検出値VHUMFがすでに立ち上がっているときには、リンク機構20が正常であると判定して、リンク機構故障フラグF_LINKNGを「0」にセットする(ステップ45)。次いで、リンク機構20の故障検知が終了したことを受けて、故障検知許可フラグF_MCNDLINKを「0」にセットし(ステップ46)、本処理を終了する。
【0049】
一方、前記ステップ44の答がNOのとき、すなわち下流側検出値VHUMRがすでに立ち上がっているにもかかわらず、上流側検出値VHUMFがまだ立ち上がっていないときには、排気通路切替装置8が故障していることを示す。また、前述したように、このステップ44を含むリンク機構20の故障検知処理は、図4のステップ4の故障検知処理でアクチュエータ19の故障が検知されていないときにのみ実行されるので、この場合の排気通路切替装置8の故障は、リンク機構20の故障によるものと判定し、そのことを表すために、リンク機構故障フラグF_LINKNGを「1」にセットする(ステップ47)。次いで、前記ステップ46を実行し、本処理を終了する。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、排気通路切替装置8の駆動源であるアクチュエータ19の変位STKACTを、所定値#STK0と比較することによって、アクチュエータ19の故障を原因とする排気通路切替装置8の故障を直接的に且つ的確に検知することができる。また、炭化水素の吸着制御中に、上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRの高湿度側への立上がりの順序を監視することによって、排気通路切替装置8の故障を、アクチュエータ19が故障している場合だけでなく、リンク機構20が故障している場合も含めて、検知することができる。また、その場合、アクチュエータ19の故障が検知されていないときには、故障個所がリンク機構20であると特定することができる。以上により、吸着材16に排気ガスが流れなくなることにより炭化水素の吸着動作ひいては排気ガス特性へ悪影響を及ぼすような排気通路切替装置8の故障を、適切に検知することができる。さらに、前述したように、上流側および下流側湿度センサ21、22は、吸着材16の劣化判定のためにもともと設けられているものであるので、既存のセンサを利用しながら、上記の効果を得ることができる。
【0051】
図10および図11は、第2実施形態によるリンク機構20の故障検知処理を示し、図12はその動作例を示している。これらの処理は、図4のステップ4において、前述した実施形態の故障検知処理に代えて実行される。また、前述の実施形態では、バイパス通路14を流れる排気ガスの状態を表すパラメータとして、上流側および下流側湿度センサ21、22で検出された上流側および下流側検出値VHUMF、VHUMRを用いているのに対し、本実施形態の故障検知処理は、これらのパラメータに代えて、上流側湿度センサ21で検出された温度検出値(以下「上流側温度検出値」という)THUMFを用いたものである。
【0052】
図10は、図6と同様の故障検知の実行判定および初期化のための処理を示しており、この処理もまた、エンジン1の始動直後に1回のみ実行される。本処理では、図6のステップ21〜27とまったく同様のステップ61〜67を実行する。すなわち、始動時のエンジン水温TWが、上下限値TWTRSL/Hで規定される温度範囲内にあり、前回運転時に炭化水素の脱離が完全に行われ、かつエンジン1が完全ソーク状態である場合に、劣化判定および故障検知の実行条件が成立しているとして、劣化判定許可フラグF_MCNDTRSおよび故障検知許可フラグF_MCNDLINKを「1」にセットする一方、他の場合には、両フラグを「0」にセットする。また、実行条件の成立時には、今回時に検出された上流側温度検出値THUMFに、所定の偏差#DTLINKF(例えば50度)を加算した値を、故障判定しきい値TLINKFとして設定し(ステップ68)、本処理を終了する。
【0053】
図11は、リンク機構20の故障検知処理を示している。本処理ではまず、故障検知許可フラグF_MCNDLINKが「1」であるか否かを判別し(ステップ71)、その答がNOで、故障検知の実行条件が成立していないときには、そのまま本処理を終了する。ステップ71の答がYESのときには、アクチュエータ19の変位STKACTが前記所定値#STK0以上であるか否かを判別する(ステップ72)。この答がNOで、アクチュエータ19がフルストロークに達していないときには、本処理を終了する。
【0054】
一方、上記ステップ72の答がYESのときには(図12の時刻t2)、ダウンカウント式のディレイタイマTMGの値が0であるか否かを判別する(ステップ73)。この答がYESのとき、すなわち今回のループがアクチュエータ19がフルストロークに達した直後に相当するときには、ディレイタイマTMGに所定値#TMGASD(例えば5秒相当)をセットする(ステップ74)。このステップ74の実行後には、前記ステップ73の答がNOになるので、その場合には、ディレイタイマTMGをデクリメントする(ステップ75)。次いで、ディレイタイマTMGの値が0であるか否かを再び判別し(ステップ76)、その答がNOのときには、本処理を終了する。
【0055】
一方、上記ステップ76の答がYESのとき、すなわちアクチュエータ19がフルストロークに達した後に所定時間が経過したときには(時刻t3)、今回時の上流側温度検出値THUMFが、図10のステップ68で設定した故障判定しきい値TLINKFよりも大きいか否かを判別する(ステップ77)。この答がYESで、THUMF>TLINKFのときには、バイパス通路14内の上流側湿度センサ21付近の温度が排気ガスの熱によって十分に上昇しており(図12の実線)、切替バルブ15がバイパス通路14側に適正に切り替えられているとして、リンク機構20が正常であると判定し、リンク機構故障フラグF_LINKNGを「0」にセットする(ステップ78)。次いで、リンク機構20の故障検知の終了に伴い、故障検知許可フラグF_MCNDLINKを「0」にセットし(ステップ79)、本処理を終了する。
【0056】
一方、前記ステップ77の答がNOで、THUMF≦TLINKFのときには、アクチュエータ19がフルストロークに達した後に所定時間が経過したにもかかわらず、バイパス通路14内の上流側湿度センサ21付近の温度が十分に上昇しておらず(図12の破線)、切替バルブ15がバイパス通路14側に適正に切り替えられていないとして、リンク機構20が故障していると判定し、リンク機構故障フラグF_LINKNGを「1」にセットする(ステップ80)。次いで、前記ステップ79を実行し、本処理を終了する。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、バイパス通路14を流れる排気ガスの状態を表すパラメータとして、上流側湿度センサ21で検出された上流側温度検出値THUMFを用いることによって、前述した実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、排気通路切替装置8の故障を、アクチュエータ19が故障している場合だけでなく、リンク機構20が故障している場合も含めて、検知できるとともに、故障個所をアクチュエータ19とリンク機構20に区別して特定することができるなどの効果が得られる。
【0058】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態の排気通路切替装置は、排気通路をメイン通路と吸着材を配置したバイパス通路とに切り替えるためのものであるが、本発明は、他の用途の任意の排気通路切替装置に適用できる。例えば、メイン通路に配置した三元触媒が高回転高負荷運転状態において過熱するのを防止するために排気通路をバイパス通路に切り替えるものや、互いに異なる通路長さを有する2つの排気通路を運転状態に応じて切り替えるものなどに、本発明を適用することが可能である。また、実施形態では、アクチュエータの作動状態を表すパラメータとして、その駆動ロッドの変位を用いているが、これに代えて、負圧室や負圧通路の圧力などを採用してもよい。
【0059】
さらに、実施形態では、温度検出手段として、上流側および下流側湿度センサ21、22に一体に設けた温度検出部を用いているが、これに代えて、温度センサを別個に設けてもよい。また、実施形態では、排気ガスの状態を表すパラメータとして、排気ガスの湿度や温度を用いているが、他の適当なパラメータを採用してもよいことはもちろんである。実施形態では、その他、細部の構成を、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することが可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の排気通路切替装置の故障検知装置は、アクチュエータによる故障だけでなく、アクチュエータと切替バルブを連結するリンク機構による故障をも検知できるとともに、故障個所をアクチュエータとリンク機構に区別して特定することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による排気通路切替装置の故障検知装置を適用した内燃機関を示す構成図である。
【図2】炭化水素吸着装置を拡大して示す断面図である。
【図3】排気通路切替装置を部分的に破断して示す図である。
【図4】炭化水素吸着装置の制御処理のメインフローである。
【図5】アクチュエータの故障検知処理を示すフローチャートである。
【図6】リンク機構の故障検知の実行判定および初期化処理を示すフローチャートである。
【図7】リンク機構の故障検知処理を示すフローチャートである。
【図8】吸着材の上流側および下流側の湿度立上がりを検出する処理を示すフローチャートである。
【図9】図7の故障検知処理による動作例を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態によるリンク機構の故障検知の実行判定および初期化処理を示すフローチャートである。
【図11】リンク機構の故障検知処理を示すフローチャートである。
【図12】図11の故障検知処理による動作例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 排気系
8 排気通路切替装置
13 メイン通路(第1通路)
14 バイパス通路(第2通路)
15 切替バルブ
16 炭化水素吸着材(排気ガス低減手段)
19 アクチュエータ
20 リンク機構
21 上流側湿度センサ(排気ガス状態検出手段)
22 下流側湿度センサ(排気ガス状態検出手段)
25 ECU(故障検知手段)
28 変位センサ(アクチュエータ作動状態検出手段)
VHUMF 上流側検出値(排気ガスの状態)
VHUMR 下流側検出値(排気ガスの状態)
THUMF 上流側温度検出値(排気ガスの状態)
Claims (3)
- 内燃機関の排気系に設けられ、アクチュエータによりリンク機構を介して切替バルブを駆動することによって、前記排気系の排気通路を第1通路と第2通路に切り替える排気通路切替装置の故障検知装置であって、
前記アクチュエータの作動状態を検出するアクチュエータ作動状態検出手段と、
前記第1および第2通路の少なくとも一方を流れる排気ガスの状態を検出する排気ガス状態検出手段と、
前記検出されたアクチュエータの作動状態および排気ガスの状態に応じて、当該排気通路切替装置の故障を検知する故障検知手段と、
を備えていることを特徴とする排気通路切替装置の故障検知装置。 - 前記第1および第2通路の一方に、排気ガス中の有害成分を低減するための排気ガス低減手段が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の排気通路切替装置の故障検知装置。
- 前記アクチュエータ作動状態検出手段は、当該アクチュエータの変位を検出する変位センサであることを特徴とする、請求項1または2に記載の排気通路切替装置の故障検知装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002205778A JP2004044544A (ja) | 2002-07-15 | 2002-07-15 | 排気通路切替装置の故障検知装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002205778A JP2004044544A (ja) | 2002-07-15 | 2002-07-15 | 排気通路切替装置の故障検知装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=31710989
Family Applications (1)
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Country | Link |
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2002
- 2002-07-15 JP JP2002205778A patent/JP2004044544A/ja not_active Withdrawn
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