JP2004043739A - 積層建材の分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用済みの積層建材を基材と化粧材とに分離してリサイクル使用することができる積層建材の分離方法を提供する。本発明は環境問題に対する社会的ニーズに資するものである。
【解決手段】基材2と化粧材3とを接着剤4で貼着することにより形成された積層建材1の分離方法である。接着剤4を融点Tm以上に加熱した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離する方法および接着剤4をガラス転移点以下に冷却した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離する方法である。
【選択図】 図1
【解決手段】基材2と化粧材3とを接着剤4で貼着することにより形成された積層建材1の分離方法である。接着剤4を融点Tm以上に加熱した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離する方法および接着剤4をガラス転移点以下に冷却した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離する方法である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材と化粧材とを接着剤で貼着することにより形成された積層建材の分離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、住宅用建材、家具、扉、キッチン等には基材の表面に化粧材を貼り合わせた積層建材が用いられている。この積層建材は基材にデザインが施された化粧材が接着剤により貼着して形成されており、これにより、デザイン性に優れ、安価で、且つ加工性が容易な積層建材を形成している。
【0003】
ところで、近年、環境問題に対する社会的ニーズから、資源のリサイクル化が求められており、使用済みの積層建材を基材と化粧材とに分離してリサイクル使用することが強く望まれている。
【0004】
しかしながら従来の積層建材は基材と化粧材とが剥離しないように接着剤によって強力に接着されて形成されているため、基材と化粧材とに分離することが困難であり、リサイクル使用することができなかった。またこれにより、使用済みの積層建材はそのまま焼却、埋め立て等によって廃棄物として処理されているのが現状であり、環境に与える影響が大きかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用済みの積層建材を基材と化粧材とに簡単に分離してリサイクル使用することができる積層建材の分離方法を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る積層建材の分離方法は、基材2と化粧材3とを接着剤4で貼着することにより形成された積層建材1の分離方法において、接着剤4を融点Tm以上に加熱した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離して成ることを特徴とするものである。
【0007】
このように接着剤4を融点Tm以上に加熱した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離することで、融点Tm以上に加熱された接着剤4は溶融して流動し易い融液状に変質し、これによって簡単に基材2と化粧材3とを分離することができるものである。
【0008】
また請求項2記載の積層建材の分離方法は、基材2と化粧材3とを接着剤4で貼着することにより形成された積層建材1の分離方法において、接着剤4をガラス転移点Tg以下に冷却した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離して成ることを特徴とするものである。
【0009】
このように接着剤4をガラス転移点Tg以下に冷却した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離することで、ガラス転移点Tg以下に冷却された接着剤4はガラス状態となって粘着力が低下し、これによって簡単に基材2と化粧材3とを分離することができるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1には本発明における積層建材1が示されており、この積層建材1は住宅用建材、家具、扉、キッチン等に用いられる。積層建材1は木材、石膏ボード、金属、セメント等からなる基材2と、基材2の表面に接着剤層を介して積層された大理石調や御影石調等のデザインが施された化粧板(例えばメラミン化粧板)のような化粧材3とからなり、この積層建材1は基材2の表面に化粧材3を接着剤4により貼着することで複合して形成されている。しかしてデザイン性に優れ、安価で、且つ加工性が容易な積層建材1が形成されることとなる。
【0012】
積層建材1の基材2と化粧材3とを接着する接着剤4としては、反応硬化型ではない熱可塑性樹脂接着剤が用いられており、例えば酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニルとエチレン、アクリル酸エステル等のモノマーとの共重合エマルジョン、クロロプレンゴムラテックス系、SBR系等の水系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤等の、接着剤4の融点Tmが実使用環境の温度域よりも高く且つ接着剤4のガラス転移点Tgが実使用環境の温度域よりも低いもの、すなわち接着状態において接着剤4(接着剤層)が融点Tmよりも低く且つガラス転移点Tgよりも高い固体の状態になるものが使用される。
【0013】
上記の接着剤4によって基材2と化粧材3とは接着剤層を介して強力に接着され、これにより実使用環境の温度域において基材2と化粧材3とが容易に剥離し難い積層建材1を形成している。
【0014】
ところで上記のような積層建材1において、接着剤4により接着された基材2と化粧材3とを分離するには下記のような分離方法が採用できるものである。
【0015】
すなわち、使用済みの積層建材1の分離方法の一実施形態としては、接着剤4(接着剤層)を融点Tm以上に加熱した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離するものである。詳述すると、前述したように接着状態における接着剤4(接着剤層)は融点Tmよりも低く且つガラス転移点Tgよりも高い固体の状態にあり、この状態にある接着剤4を融点Tm以上の温度になるまで加熱して接着剤4を溶融させ、この接着剤4が融液状態にある積層建材1の化粧材3を基材2から剥離することで基材2と化粧材3とを分離する。この場合、融点Tm以上に加熱された接着剤4は溶融して流動し易い融液状になっているため、接着界面から簡単に基材2と化粧材3とを分離することができ、この結果、上記基材2と化粧材3とを分別してリサイクル使用することができ、環境への負荷を大きく減少させることができる。
【0016】
また、上記実施形態とは別の使用済みの積層建材1の分離方法の実施形態としては、接着剤4(接着剤層)をガラス転移点Tg以下に冷却した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離する方法がある。すなわち、前述したように接着状態における接着剤4(接着剤層)は融点Tmよりも低く且つガラス転移点Tgよりも高い固体の状態にあり、この状態にある接着剤4をガラス転移点Tg以下の温度になるまで冷却して接着剤4をガラス化し、この接着剤4がガラス状態にある積層建材1の化粧材3を基材2から剥離することで基材2と化粧材3とを分離する。この場合、ガラス転移点Tg以下に冷却された接着剤4はガラス化して粘着力が低下しているため、接着界面から簡単に基材2と化粧材3とを分離することができ、この結果、上記基材2と化粧材3とを分別してリサイクル使用することができ、環境への負荷を大きく減少させることができる。
【0017】
以下に上記の接着剤4を融点Tm以上に加熱した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離する分離方法(実施例1、実施例2参照)と、接着剤4をガラス転移点Tg以下に冷却した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離する分離方法(実施例3、実施例4参照)の実施例を示す。
【0018】
【実施例】
(実施例1)
本実施例における積層建材1はシステムバス用の壁として利用されるものであり、該積層建材1は基材2としての石膏ボード2a(厚さ9mm)と、表面が樹脂シートで鏡面化粧が施された化粧材3としての裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3a(厚さ1mm)とで構成されている。この積層建材1は裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aの裏面に接着剤4を塗布し、該裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aの裏面に石膏ボード2aを貼り合わせることで形成されており、しかして石膏ボード2aとアルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aとが接着剤層を介して積層された厚さ10mmの積層建材1が製造される。そして、本実施例においては、この積層建材1を、接着剤4としてSBRラテックス系水性エマルジョンを使用したもので製造している。なお、SBRラテックス系水性エマルジョンは積層建材1の裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aの裏面に120g/m2を塗布したものとする。上記の積層建材1を内部温度が約170℃(すなわち、SBRラテックス系水性エマルジョンの融点Tm以上の温度)に保たれた乾燥機内に約1時間放置した後、乾燥機から取り出し、取り出した直後に積層建材1のアルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aを石膏ボード2aから剥離し、その剥離性を評価した。また、積層建材1の常温での密着強度の評価も行った。上記により得られた結果を下記の表1に示す。
【0019】
(実施例2)
本実施例における積層建材1は、積層建材1の接着剤4としてSBRラテックス系水性エマルジョンではなくEVA系水性エマルジョンを使用した点が実施例1と異なるものであり、その他の構成要件は上記実施例1の積層建材1と同じものとする。なお、本実施例のEVA系水性エマルジョンは積層建材1の裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aの裏面に120g/m2を塗布したものである。このように製造された積層建材1を上記実施例1と同様に内部温度が約170℃(すなわち、EVA系水性エマルジョンの融点Tm以上の温度)に保たれた乾燥機内に約1時間放置した後、乾燥機から取り出し、取り出した直後に積層建材1のアルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aを石膏ボード2aから剥離し、その剥離性を評価した。また、積層建材1の常温での密着強度の評価も行った。上記により得られた結果を下記の表1に示す。
【0020】
(実施例3)
本実施例における積層建材1は、上記実施例1における接着剤4としてSBRラテックス系水性エマルジョンを使用した積層建材1と同じものであり、実施例1と異なる点は積層建材1を乾燥機ではなく冷凍庫内に放置したことである。すなわち、実施例1における接着剤4としてSBRラテックス系水性エマルジョンを使用した積層建材1を内部温度が約−25℃(すなわち、SBRラテックス系水性エマルジョンのガラス転移点Tg以下の温度)に保たれた冷凍庫内に約3時間放置した後、冷凍庫から取り出し、取り出した直後に夫々の積層建材1、1のアルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aを石膏ボード2aから剥離し、その剥離性を評価した。また積層建材1の常温での密着強度の評価も行った。得られた結果を以下の表1に示す。
【0021】
(実施例4)
本実施例における積層建材1は、上記実施例2における接着剤4としてEVA系水性エマルジョンを使用した積層建材1と同じものであり、実施例2と異なる点は積層建材1を乾燥機ではなく冷凍庫内に放置したことである。すなわち、実施例2における接着剤4としてEVA系水性エマルジョンを使用した積層建材1を内部温度が約−25℃(すなわち、EVA系水性エマルジョンのガラス転移点Tg以下の温度)に保たれた冷凍庫内に約3時間放置した後、冷凍庫から取り出し、取り出した直後に積層建材1のアルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aを石膏ボード2aから剥離し、その剥離性を評価した。また積層建材1の常温での密着強度の評価も行った。得られた結果を以下の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1から明らかなように、接着剤4を乾燥機にて融点Tm以上に加熱した状態においては、SBRラテックス系水性エマルジョン、EVA系水性エマルジョンのいずれの接着剤4を用いた場合にも、接着界面で石膏ボード2aと裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aとが剥離しており、基材2と化粧材3とを容易に分離することができることが判明した。
【0024】
また表1から明らかなように、接着剤4を冷凍庫にてガラス転移点Tg以下に冷却した状態においても、SBRラテックス系水性エマルジョン、EVA系水性エマルジョンのいずれの接着剤4を用いた場合にも、接着界面で石膏ボード2aと裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aとが剥離しており、基材2と化粧材3とを容易に分離することができることが判明した。
【0025】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、接着剤を融点以上に加熱した状態で積層建材を基材と化粧材とに分離することで、融点以上に加熱された状態の接着剤は溶融して流動し易い融液状に変質し、簡単に基材と化粧材とを分離することができ、この結果、上記基材と化粧材とを分別してリサイクル使用することができ、環境への負荷を大きく減少させることができる。
【0026】
また請求項2記載の発明にあっては、接着剤をガラス転移点以下に冷却した状態で積層建材を基材と化粧材とに分離することで、ガラス転移点以下に冷却された接着剤はガラス状態となって粘着力が低下し、これによって簡単に基材と化粧材とを分離することができ、この結果、上記基材と化粧材とを分別してリサイクル使用することができ、環境への負荷を大きく減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す積層建材の断面図である。
【符号の説明】
1 積層建材
2 基材
3 化粧材
4 接着剤
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材と化粧材とを接着剤で貼着することにより形成された積層建材の分離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、住宅用建材、家具、扉、キッチン等には基材の表面に化粧材を貼り合わせた積層建材が用いられている。この積層建材は基材にデザインが施された化粧材が接着剤により貼着して形成されており、これにより、デザイン性に優れ、安価で、且つ加工性が容易な積層建材を形成している。
【0003】
ところで、近年、環境問題に対する社会的ニーズから、資源のリサイクル化が求められており、使用済みの積層建材を基材と化粧材とに分離してリサイクル使用することが強く望まれている。
【0004】
しかしながら従来の積層建材は基材と化粧材とが剥離しないように接着剤によって強力に接着されて形成されているため、基材と化粧材とに分離することが困難であり、リサイクル使用することができなかった。またこれにより、使用済みの積層建材はそのまま焼却、埋め立て等によって廃棄物として処理されているのが現状であり、環境に与える影響が大きかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用済みの積層建材を基材と化粧材とに簡単に分離してリサイクル使用することができる積層建材の分離方法を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る積層建材の分離方法は、基材2と化粧材3とを接着剤4で貼着することにより形成された積層建材1の分離方法において、接着剤4を融点Tm以上に加熱した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離して成ることを特徴とするものである。
【0007】
このように接着剤4を融点Tm以上に加熱した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離することで、融点Tm以上に加熱された接着剤4は溶融して流動し易い融液状に変質し、これによって簡単に基材2と化粧材3とを分離することができるものである。
【0008】
また請求項2記載の積層建材の分離方法は、基材2と化粧材3とを接着剤4で貼着することにより形成された積層建材1の分離方法において、接着剤4をガラス転移点Tg以下に冷却した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離して成ることを特徴とするものである。
【0009】
このように接着剤4をガラス転移点Tg以下に冷却した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離することで、ガラス転移点Tg以下に冷却された接着剤4はガラス状態となって粘着力が低下し、これによって簡単に基材2と化粧材3とを分離することができるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1には本発明における積層建材1が示されており、この積層建材1は住宅用建材、家具、扉、キッチン等に用いられる。積層建材1は木材、石膏ボード、金属、セメント等からなる基材2と、基材2の表面に接着剤層を介して積層された大理石調や御影石調等のデザインが施された化粧板(例えばメラミン化粧板)のような化粧材3とからなり、この積層建材1は基材2の表面に化粧材3を接着剤4により貼着することで複合して形成されている。しかしてデザイン性に優れ、安価で、且つ加工性が容易な積層建材1が形成されることとなる。
【0012】
積層建材1の基材2と化粧材3とを接着する接着剤4としては、反応硬化型ではない熱可塑性樹脂接着剤が用いられており、例えば酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニルとエチレン、アクリル酸エステル等のモノマーとの共重合エマルジョン、クロロプレンゴムラテックス系、SBR系等の水系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤等の、接着剤4の融点Tmが実使用環境の温度域よりも高く且つ接着剤4のガラス転移点Tgが実使用環境の温度域よりも低いもの、すなわち接着状態において接着剤4(接着剤層)が融点Tmよりも低く且つガラス転移点Tgよりも高い固体の状態になるものが使用される。
【0013】
上記の接着剤4によって基材2と化粧材3とは接着剤層を介して強力に接着され、これにより実使用環境の温度域において基材2と化粧材3とが容易に剥離し難い積層建材1を形成している。
【0014】
ところで上記のような積層建材1において、接着剤4により接着された基材2と化粧材3とを分離するには下記のような分離方法が採用できるものである。
【0015】
すなわち、使用済みの積層建材1の分離方法の一実施形態としては、接着剤4(接着剤層)を融点Tm以上に加熱した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離するものである。詳述すると、前述したように接着状態における接着剤4(接着剤層)は融点Tmよりも低く且つガラス転移点Tgよりも高い固体の状態にあり、この状態にある接着剤4を融点Tm以上の温度になるまで加熱して接着剤4を溶融させ、この接着剤4が融液状態にある積層建材1の化粧材3を基材2から剥離することで基材2と化粧材3とを分離する。この場合、融点Tm以上に加熱された接着剤4は溶融して流動し易い融液状になっているため、接着界面から簡単に基材2と化粧材3とを分離することができ、この結果、上記基材2と化粧材3とを分別してリサイクル使用することができ、環境への負荷を大きく減少させることができる。
【0016】
また、上記実施形態とは別の使用済みの積層建材1の分離方法の実施形態としては、接着剤4(接着剤層)をガラス転移点Tg以下に冷却した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離する方法がある。すなわち、前述したように接着状態における接着剤4(接着剤層)は融点Tmよりも低く且つガラス転移点Tgよりも高い固体の状態にあり、この状態にある接着剤4をガラス転移点Tg以下の温度になるまで冷却して接着剤4をガラス化し、この接着剤4がガラス状態にある積層建材1の化粧材3を基材2から剥離することで基材2と化粧材3とを分離する。この場合、ガラス転移点Tg以下に冷却された接着剤4はガラス化して粘着力が低下しているため、接着界面から簡単に基材2と化粧材3とを分離することができ、この結果、上記基材2と化粧材3とを分別してリサイクル使用することができ、環境への負荷を大きく減少させることができる。
【0017】
以下に上記の接着剤4を融点Tm以上に加熱した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離する分離方法(実施例1、実施例2参照)と、接着剤4をガラス転移点Tg以下に冷却した状態で積層建材1を基材2と化粧材3とに分離する分離方法(実施例3、実施例4参照)の実施例を示す。
【0018】
【実施例】
(実施例1)
本実施例における積層建材1はシステムバス用の壁として利用されるものであり、該積層建材1は基材2としての石膏ボード2a(厚さ9mm)と、表面が樹脂シートで鏡面化粧が施された化粧材3としての裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3a(厚さ1mm)とで構成されている。この積層建材1は裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aの裏面に接着剤4を塗布し、該裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aの裏面に石膏ボード2aを貼り合わせることで形成されており、しかして石膏ボード2aとアルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aとが接着剤層を介して積層された厚さ10mmの積層建材1が製造される。そして、本実施例においては、この積層建材1を、接着剤4としてSBRラテックス系水性エマルジョンを使用したもので製造している。なお、SBRラテックス系水性エマルジョンは積層建材1の裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aの裏面に120g/m2を塗布したものとする。上記の積層建材1を内部温度が約170℃(すなわち、SBRラテックス系水性エマルジョンの融点Tm以上の温度)に保たれた乾燥機内に約1時間放置した後、乾燥機から取り出し、取り出した直後に積層建材1のアルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aを石膏ボード2aから剥離し、その剥離性を評価した。また、積層建材1の常温での密着強度の評価も行った。上記により得られた結果を下記の表1に示す。
【0019】
(実施例2)
本実施例における積層建材1は、積層建材1の接着剤4としてSBRラテックス系水性エマルジョンではなくEVA系水性エマルジョンを使用した点が実施例1と異なるものであり、その他の構成要件は上記実施例1の積層建材1と同じものとする。なお、本実施例のEVA系水性エマルジョンは積層建材1の裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aの裏面に120g/m2を塗布したものである。このように製造された積層建材1を上記実施例1と同様に内部温度が約170℃(すなわち、EVA系水性エマルジョンの融点Tm以上の温度)に保たれた乾燥機内に約1時間放置した後、乾燥機から取り出し、取り出した直後に積層建材1のアルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aを石膏ボード2aから剥離し、その剥離性を評価した。また、積層建材1の常温での密着強度の評価も行った。上記により得られた結果を下記の表1に示す。
【0020】
(実施例3)
本実施例における積層建材1は、上記実施例1における接着剤4としてSBRラテックス系水性エマルジョンを使用した積層建材1と同じものであり、実施例1と異なる点は積層建材1を乾燥機ではなく冷凍庫内に放置したことである。すなわち、実施例1における接着剤4としてSBRラテックス系水性エマルジョンを使用した積層建材1を内部温度が約−25℃(すなわち、SBRラテックス系水性エマルジョンのガラス転移点Tg以下の温度)に保たれた冷凍庫内に約3時間放置した後、冷凍庫から取り出し、取り出した直後に夫々の積層建材1、1のアルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aを石膏ボード2aから剥離し、その剥離性を評価した。また積層建材1の常温での密着強度の評価も行った。得られた結果を以下の表1に示す。
【0021】
(実施例4)
本実施例における積層建材1は、上記実施例2における接着剤4としてEVA系水性エマルジョンを使用した積層建材1と同じものであり、実施例2と異なる点は積層建材1を乾燥機ではなく冷凍庫内に放置したことである。すなわち、実施例2における接着剤4としてEVA系水性エマルジョンを使用した積層建材1を内部温度が約−25℃(すなわち、EVA系水性エマルジョンのガラス転移点Tg以下の温度)に保たれた冷凍庫内に約3時間放置した後、冷凍庫から取り出し、取り出した直後に積層建材1のアルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aを石膏ボード2aから剥離し、その剥離性を評価した。また積層建材1の常温での密着強度の評価も行った。得られた結果を以下の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1から明らかなように、接着剤4を乾燥機にて融点Tm以上に加熱した状態においては、SBRラテックス系水性エマルジョン、EVA系水性エマルジョンのいずれの接着剤4を用いた場合にも、接着界面で石膏ボード2aと裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aとが剥離しており、基材2と化粧材3とを容易に分離することができることが判明した。
【0024】
また表1から明らかなように、接着剤4を冷凍庫にてガラス転移点Tg以下に冷却した状態においても、SBRラテックス系水性エマルジョン、EVA系水性エマルジョンのいずれの接着剤4を用いた場合にも、接着界面で石膏ボード2aと裏面アルキッド塗装亜鉛メッキ鋼板3aとが剥離しており、基材2と化粧材3とを容易に分離することができることが判明した。
【0025】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、接着剤を融点以上に加熱した状態で積層建材を基材と化粧材とに分離することで、融点以上に加熱された状態の接着剤は溶融して流動し易い融液状に変質し、簡単に基材と化粧材とを分離することができ、この結果、上記基材と化粧材とを分別してリサイクル使用することができ、環境への負荷を大きく減少させることができる。
【0026】
また請求項2記載の発明にあっては、接着剤をガラス転移点以下に冷却した状態で積層建材を基材と化粧材とに分離することで、ガラス転移点以下に冷却された接着剤はガラス状態となって粘着力が低下し、これによって簡単に基材と化粧材とを分離することができ、この結果、上記基材と化粧材とを分別してリサイクル使用することができ、環境への負荷を大きく減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す積層建材の断面図である。
【符号の説明】
1 積層建材
2 基材
3 化粧材
4 接着剤
Claims (2)
- 基材と化粧材とを接着剤で貼着することにより形成された積層建材の分離方法において、接着剤を融点以上に加熱した状態で積層建材を基材と化粧材とに分離して成ることを特徴とする積層建材の分離方法。
- 基材と化粧材とを接着剤で貼着することにより形成された積層建材の分離方法において、接着剤をガラス転移点以下に冷却した状態で積層建材を基材と化粧材とに分離して成ることを特徴とする積層建材の分離方法。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002206070A Withdrawn JP2004043739A (ja) | 2002-07-15 | 2002-07-15 | 積層建材の分離方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004043739A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007009168A (ja) * | 2005-06-28 | 2007-01-18 | Seagate Technology Llc | 第1部材の第2部材への接着取り付け |
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2002
- 2002-07-15 JP JP2002206070A patent/JP2004043739A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007009168A (ja) * | 2005-06-28 | 2007-01-18 | Seagate Technology Llc | 第1部材の第2部材への接着取り付け |
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