JP2004043388A - イソチオシアネート基を有する金属錯体、及びそれを用いるタンパク質のアミノ酸配列決定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イソチオシアネート基を有する金属錯体。例えば、一般式(I):(L2 )m M(L1 ) (I)
〔式中、Mは遷移金属を表し、L1 は置換基:−NCS基又は−R−NCS基(ここで、Rはアリーレン基又はアルキレン基を表す。)を有する配位子を表し、L2 は配位子を表し、mはL2 の数であり0、1、2、3、4又は5を表す。〕で示される金属錯体。イソチオシアネート基を有する金属錯体を用いて、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定試薬として有用な新規なイソチオシアネート基を有する金属錯体、及びそれを用いるタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンパク質のN末端からのアミノ酸配列決定法として、フェニルイソチオシアネート(PITC)でタンパク質のN末端アミノ酸を標識し、N末端アミノ酸を2−アニリノ−5−チアゾリノン誘導体として脱離させ、これを3−フェニルチオヒダントイン誘導体(PTHアミノ酸)に変換し、この最終生成物である3−フェニルチオヒダントイン誘導体を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析してアミノ酸を同定する各工程を有するエドマン法が一般的に行われている。HPLCによるアミノ酸のフェニルチオヒダントイン誘導体の分析は、通常269nmのUV吸収を用いて行われるが、その吸光係数が小さく検出感度は低い。
【0003】
また、エドマン法の改良法として、PITCの代わりにフルオレセインイソチオシアネートなどの蛍光物質を用いて、タンパク質のN末端アミノ酸を標識し、タンパク質のN末端からのアミノ酸配列を決定する方法も報告されている。しかし、この方法においても、蛍光物質による標識後に得られる最終生成物の蛍光強度が小さく検出感度が低いという問題や、最終生成物の安定性が低いという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、エドマン型のタンパク質のN末端からのアミノ酸配列決定法方法において、分析すべき最終生成物が安定で且つ高い検出感度が得られる方法の開発が望まれる。
【0005】
本発明の目的は、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定試薬として有用な新規イソチオシアネート基を有する金属錯体を提供することにある。また、本発明の目的は、新規なイソチオシアネート基を有する金属錯体を含むタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定試薬を提供することにある。さらに、本発明の目的は、新規なイソチオシアネート基を有する金属錯体を用いるタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、アミノ酸配列決定試薬としてイソチオシアネート基を有する金属錯体を用いてエドマン型反応を行い、その最終生成物を質量分析装置により分析することにより、高感度で安定な分析が行い得ることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
本発明は、イソチオシアネート基を有する金属錯体である。
本発明は、イソチオシアネート基を有する配位子を有する、前記の金属錯体である。
本発明は、イソチオシアネートフェニル基を有する配位子を有する、前記の金属錯体である。
【0008】
本発明は、金属錯体の金属元素は、遷移金属及び典型金属から選ばれる、前記の金属錯体である。
本発明は、金属錯体の配位数は、2、3、4、5又は6である、前記の金属錯体である。
本発明は、金属錯体の配位子は、単座配位子又は多座配位子である、前記の金属錯体である。
【0009】
本発明は、下記一般式(I):
(L2 )m M(L1 ) (I)
〔式中、Mは遷移金属を表し、L1 は置換基:−NCS基又は−R−NCS基(ここで、Rはアリーレン基又はアルキレン基を表す。)を有する配位子を表し、L2 は配位子を表し、mはL2 の数であり0、1、2、3、4又は5を表す。〕で示される、前記の金属錯体である。
【0010】
本発明は、下記一般式(II):
【化2】
(式中、Mは遷移金属を表す。)
で示される、前記の金属錯体である。
【0011】
また、本発明は、前記いずれかの金属錯体を含む、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定試薬である。
【0012】
さらに、本発明は、前記いずれかの金属錯体を用いて、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法である。
【0013】
本発明は、(1) 前記いずれかの金属錯体をアミノ酸配列を決定すべきタンパク質又はペプチド(A)と反応させ、金属錯体のイソチオシアネート基とタンパク質又はペプチド(A)のN末端アミノ基とがカップリングした金属錯体チオカルバモイル誘導体を得て、
(2) 金属錯体チオカルバモイル誘導体に弱酸を作用させ、末端のペプチド結合を選択的に切断して、N末端アミノ酸の2−(金属錯体アミノ)−5−チアゾリノン誘導体と、N末端アミノ酸がとれたタンパク質又はペプチド(B)とを生成させ、これら両生成物を分離し、
(3) N末端アミノ酸の2−(金属錯体アミノ)−5−チアゾリノン誘導体に酸を作用させ、N末端アミノ酸の3−(金属錯体)チオヒダントイン誘導体に変換し、この3−(金属錯体)チオヒダントイン誘導体からN末端アミノ酸を同定し、次に、
(4) 前記(2) 工程で生成したタンパク質又はペプチド(B)について、(1) 〜(3) の工程を繰り返し、タンパク質又はペプチド(B)のN末端アミノ酸を同定し、さらに、
(5) 以上の操作を順次行い、N末端からタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法である。
【0014】
本発明は、質量分析法により、3−(金属錯体)チオヒダントイン誘導体からN末端アミノ酸を同定する、前記のタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、錯体1分子中に1つのイソチオシアネート基を有する金属錯体である。通常は、イソチオシアネート基は金属錯体の配位子中に含まれる。例えば、イソチオシアネート基は、イソチオシアネートフェニル基や、イソチオシアネート低級アルキル基として金属錯体の配位子中に含まれる。
【0016】
金属錯体の金属元素は遷移金属及び典型金属の中から選ばれる。遷移金属としては、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Os、Ir、Pt、Au等が挙げられる。典型金属としては、例えば、Zn、Al、As、Si、P等が挙げられる。これらのうち、好ましい金属としては、Ru、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等が挙げられる。
【0017】
金属錯体の配位数は、2、3、4、5又は6のいずれでもよいが、錯体の安定性の観点から、配位数6が好ましい。
【0018】
また、金属錯体の配位子は、単座配位子又は多座配位子のいずれでもよい。単座配位子としては、アミン(イミダゾール等の環状アミンを含む)、ピリジン、カルボン酸などのオキソ配位子、ハロゲン等が挙げられる。多座配位子のうち、二座配位子としては、ビピリジン、シッフ塩基、フェナントリン、オルトベンゾキノン誘導体、核酸塩基等が挙げられる。三座配位子としては、ジエチレントリアミン、ターピリジン、シッフ塩基、トリアザシクロアルカン、テトラキス(2’−アミノエチル)−1,2 −ジアミノプロパン、オクタアザビシクロ[6.6.6] アイコサン等が挙げられる。四座配位子としては、ポルフィリン及びその誘導体、フタロシアニン及びその誘導体、テトラアザシクロアルカン等が挙げられる。五座配位子としては、アミノアルキル・テトラアザシクロアルカン等が挙げられる。6座配位子としては、トリ(アミノアルキル)トリアザシクロアルカン、1,14−ジアミノ−3,6,9,12−テトラアザテトラデカン等が挙げられる。これらのうち、イソチオシアネート基、イソチオシアネートフェニル基、又はイソチオシアネート低級アルキル基を導入しやすく好ましい配位子として、ターピリジン、ビピリジン、ポルフィリン及びその誘導体(例えば、テトラフェニルポルフィリン)、フタロシアニン及びその誘導体等が挙げられる。
【0019】
例えば、金属錯体は、一般式(I)で示される。
(L2 )m M(L1 ) (I)
式(I)中、Mは上記の遷移金属を表し、L1 は置換基:−NCS基又は−R−NCS基(ここで、Rはアリーレン基又はアルキレン基を表す。)を有する配位子を表し、L2 は配位子を表し、mはL2 の数であり0、1、2、3、4又は5を表す。Rのアリーレン基としては、フェニレン基が挙げられ、アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン基等の低級アルキレン基が挙げられる。好ましい金属としては、Ru(II)、Ru(III) 、Co(III) 、Cr(III) 、Rh(III) 、Ir(III) 、Pd(II)、Pd(IV)、Pt(II)、Pt(IV)、Fe(II)、Ni(II)、Cu(II)等が挙げられる。
【0020】
例えば、金属錯体のより好ましいものとして、前記一般式(II)で示されるものが挙げられる。一般式(II)において、Mは上記の遷移金属を表す。好ましい金属としては、Ru(II)、Ru(III) 、Co(III) 、Cr(III) 、Rh(III) 、Ir(III) 、Pt(IV)、Fe(II)、Ni(II)、Cu(II)等が挙げられる。
【0021】
本発明のイソチオシアネート基を有する金属錯体は、まず、1つのアミノ基を有する配位子を調製し、次に、この配位子と、必要によりイソチオシアネート基を有しない他の配位子とを、金属に配位させて合成することができる。例えば、前記一般式(II)に示される金属錯体の場合、まず、2,2’:6’2’’−ターピリジンの4位にp−アミノフェニル基を導入し、4−アミノフェニル−2,2’:6’2’’−ターピリジンを調製する。次に、調製された4−アミノフェニル−2,2’:6’2’’−ターピリジンと、2,2’:6’2’’−ターピリジンとを、金属Mに配位させて金属錯体を得る。この金属錯体を単離して、チオホスゲンと反応させて、一般式(II)の金属錯体を得る。
【0022】
本発明の金属錯体の同定は、核磁気共鳴スペクトル、可視紫外吸収スペクトル、質量分析等により行うことができる。
【0023】
本発明のイソチオシアネート基を有する金属錯体は、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定試薬として非常に有用である。すなわち、本発明は、イソチオシアネート基を有する金属錯体を用いて、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法にも関する。
【0024】
本発明のアミノ酸配列決定方法は、本発明のイソチオシアネート基を有する金属錯体を用いて、エドマン型反応により行われる。以下、本発明のアミノ酸配列決定方法について説明する。次の化3には、金属錯体として、一般式(II)の金属錯体(金属M=Ru)を用いた場合の各反応工程が示される。
【0025】
【化3】
【0026】
(1)イソチオシアネート基とN末端アミノ基とのカップリング工程
本発明のイソチオシアネート基を有する金属錯体(a)を弱アルカリ性条件下で、アミノ酸配列を決定すべきタンパク質又はペプチド(A)と反応させ、イソチオシアネート基とタンパク質又はペプチド(A)のN末端アミノ基とがカップリングした金属錯体チオカルバモイル誘導体(b)を得る。
【0027】
(2)切断工程
得られた金属錯体チオカルバモイル誘導体(b)に、トリフルオロ酢酸等の弱酸を作用させ、末端のペプチド結合を選択的に切断して、N末端アミノ酸の2−(金属錯体アミノ)−5−チアゾリノン誘導体(c)と、N末端アミノ酸がとれたタンパク質又はペプチド(B)とを生成させる。チアゾリノン誘導体(c)を酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出して、タンパク質又はペプチド(B)と分離する。
【0028】
(3)転換反応工程
N末端アミノ酸の2−(金属錯体アミノ)−5−チアゾリノン誘導体(c)に塩酸等の酸を作用させ、N末端アミノ酸の3−(金属錯体)チオヒダントイン誘導体(d)に変換する。この3−(金属錯体)チオヒダントイン誘導体(d)からN末端アミノ酸を同定する。
【0029】
(4)前記(2)工程で生成したタンパク質又はペプチド(B)について、前記(1)〜(3)の工程を繰り返し、タンパク質又はペプチド(B)のN末端アミノ酸を同定する。
【0030】
(5)以上の操作を順次行い、N末端からタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する。
【0031】
この方法による最終生成物3−(金属錯体)チオヒダントイン誘導体(d)は安定であり、分析に適している。分析は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行うことも可能であるが、質量分析装置を用いて分析することにより、より高感度な分析を行うことができる。金属錯体は特有の同位体分布を示すために、質量分析法での最終生成物の同定が容易である。質量分析装置としては、例えば、MALDI−TOF MS等が挙げられる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
[実施例1:金属錯体の合成]
この例では、前記一般式(II)に示される金属錯体(M=Ru)を以下のようにして合成した。2,2’:6’2’’−ターピリジンをtpyと表記する。
【0034】
[(tpy)RuCl3]を文献(D.P.Sullivan et al., Inorg. Chem., 1980, 19, 1404−1407)の方法により合成した。4’−(4−アミノフェニル)−2,2’:6’2’’−ターピリジン(tpy−C6H4NH2 )を文献(G.D.Storrier et al., J. Chem. Soc., Dalton Trans., 1997, 3011−3028)の方法により調製した。
【0035】
[(tpy)RuCl3] 130mg(0.30mmol)、tpy−C6H4−NH2 96mg(0.30mmol)、及びトリエチルアミン1.0mL(7.2mmol)をエタノール50mL中で、アルゴン雰囲気下、1日間還流した。得られた反応液を減圧濃縮・乾固した。これにメタノールを注ぎ、メタノール可溶部を集め、セファデックスSephadex LH−20 のカラムを用いて精製した。精製物を一旦乾固し、水に溶解させ、その後、この水溶液にNH4 PF6 水溶液を加え、[(tpy)Ru(tpy−C6H4−NH2)](PF6)2 (130mg、収率46%)を得た。
【0036】
[(tpy)Ru(tpy−C6H4−NH2)](PF6)2 60mg(0.063mmol)をアセトニトリル2mLに溶解し、この溶液にチオホスゲン0.1mL(1mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。溶媒を留去した後、アセトニトリル/エーテルにより沈殿を生じさせ、[(tpy)Ru(tpy−C6H4−NCS)](PF6)2 (50mg、収率80%)を得た。
【0037】
[(tpy)Ru(tpy−C6H4−NCS)](PF6)2 の同定データ:
1H NMR(303K、dimethyl sulfoxide−d6 ):δ7.26(m,4H,H5A,H5B),7.43(d,2H,J=4.8Hz,H6B),7.55(d,2H,J=4.8Hz,H6A),7.86(d,2H,J=8.4Hz,Hm ),8.02(td,2H,J=8.0,1.2Hz,H4B ),8.07(td,2H,J=8.0,1.2Hz,H4A ),8.54(m,3H,HO ,H4’B ),8.83(d,2H,J=8.0Hz,H3B),9.09(d,4H,J=8.0Hz,H3A,H3’B ),9.50(s,2H,H3’A ),
ESI−MS m/z for C37H25N7 RuS M2+ calcd. 350.4,found.350.6, [M+PF6]+ calcd. 845.7,found.845.8
【0038】
[実施例2:アミノ酸配列決定]
この例では、実施例1で合成されたRu錯体[(tpy)Ru(tpy−C6H4−NCS)](PF6)2 を用いて、アミノ酸配列決定を行った。
【0039】
プロテインシーケンサを用い、反応試薬として、従来のフェニルイソチオシアネート(PITC)の代わりに上記Ru錯体のアセトニトリル飽和溶液を用い、アポミオグロビン1nmolを反応させた。この時、洗浄・抽出溶媒として、従来のn−ヘプタンの代わりにアセトニトリルを、塩化n−ブチルの代わりにアセトニトリルを用いた。その他は、従来のプロテインシーケンサの試薬を使用した。反応生成物の全量をフラクションコレクターに回収し、乾固し、その後、再溶解し、MALDI−TOF MSで分析した。
【0040】
図1に得られたMALDI−TOF MSのN末端から2残基目の同定チャートを示す。この時、回収量を100%と仮定した場合、100fmolまでのLeuを同定することができた。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定試薬として有用な新規なイソチオシアネート基を有する金属錯体が提供され、新規なイソチオシアネート基を有する金属錯体を含むタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定試薬が提供される。
【0042】
さらに、本発明によれば、新規なイソチオシアネート基を有する金属錯体を用いるタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定方法が提供される。本発明のアミノ酸配列決定方法は、分析すべき最終生成物が安定で且つ高い検出感度が得られる点で非常に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られたMALDI−TOF MSの同定チャートである。
Claims (12)
- イソチオシアネート基を有する金属錯体。
- イソチオシアネート基を有する配位子を有する、請求項1に記載の金属錯体。
- イソチオシアネートフェニル基を有する配位子を有する、請求項1又は2に記載の金属錯体。
- 金属錯体の金属元素は、遷移金属及び典型金属から選ばれる、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の金属錯体。
- 金属錯体の配位数は、2、3、4、5又は6である、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の金属錯体。
- 金属錯体の配位子は、単座配位子又は多座配位子である、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の金属錯体。
- 下記一般式(I):
(L2 )m M(L1 ) (I)
〔式中、Mは遷移金属を表し、L1 は置換基:−NCS基又は−R−NCS基(ここで、Rはアリーレン基又はアルキレン基を表す。)を有する配位子を表し、L2 は配位子を表し、mはL2 の数であり0、1、2、3、4又は5を表す。〕で示される、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の金属錯体。 - 請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の金属錯体を含む、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定試薬。
- 請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の金属錯体を用いて、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法。
- (1) 請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の金属錯体をアミノ酸配列を決定すべきタンパク質又はペプチド(A)と反応させ、金属錯体のイソチオシアネート基とタンパク質又はペプチド(A)のN末端アミノ基とがカップリングした金属錯体チオカルバモイル誘導体を得て、
(2) 金属錯体チオカルバモイル誘導体に弱酸を作用させ、末端のペプチド結合を選択的に切断して、N末端アミノ酸の2−(金属錯体アミノ)−5−チアゾリノン誘導体と、N末端アミノ酸がとれたタンパク質又はペプチド(B)とを生成させ、これら両生成物を分離し、
(3) N末端アミノ酸の2−(金属錯体アミノ)−5−チアゾリノン誘導体に酸を作用させ、N末端アミノ酸の3−(金属錯体)チオヒダントイン誘導体に変換し、この3−(金属錯体)チオヒダントイン誘導体からN末端アミノ酸を同定し、次に、
(4) 前記(2) 工程で生成したタンパク質又はペプチド(B)について、(1) 〜(3) の工程を繰り返し、タンパク質又はペプチド(B)のN末端アミノ酸を同定し、さらに、
(5) 以上の操作を順次行い、N末端からタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法。 - 質量分析法により、3−(金属錯体)チオヒダントイン誘導体からN末端アミノ酸を同定する、請求項11に記載のタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定する方法。
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