JP2004043199A - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コアロッドとクラッドの位置を安定させて擦らないように挿入する。
【解決手段】コアロッドと、前記コアロッドを中空部に挿入する合成石英管とで構成される光ファイバ用母材の先端部を加熱溶融し、前記コアロッドと前記合成石英管を一体化しながら線引して光ファイバを製造する際に、前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差を1.0mm〜10.0mmとして前記コアロッドを前記合成石英管の中空部に挿入することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法である。また、前記合成石英管の端部に支持管を溶着する際に、前記石英管の端部と前記支持管との内側を、前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差が1.0mm〜10.0mmとなるように成形する。
【選択図】 なし
【解決手段】コアロッドと、前記コアロッドを中空部に挿入する合成石英管とで構成される光ファイバ用母材の先端部を加熱溶融し、前記コアロッドと前記合成石英管を一体化しながら線引して光ファイバを製造する際に、前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差を1.0mm〜10.0mmとして前記コアロッドを前記合成石英管の中空部に挿入することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法である。また、前記合成石英管の端部に支持管を溶着する際に、前記石英管の端部と前記支持管との内側を、前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差が1.0mm〜10.0mmとなるように成形する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信用光ファイバの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバは石英ガラスをベース素材とする。石英ガラスは、通常のガラス材と異なり、高純度を維持しながら溶融せしめるのが著しく困難である。そのため、あらかじめ所定の屈折率分布を持った母材を合成し、これを加熱炉を用いて溶融軟化させ、細く引き伸ばして紡糸する。
【0003】
母材の合成法としては、MCVD法、VAD法、OVD法などが考案されている。コアを含む中心部(以下コアロッドと言う)をこれらの製法で製造し、クラッド部に石英管を用いて加熱一体化して母材とする方法や、一体化を線引と同時に実施する方法も知られている。
【0004】
上記線引用の加熱炉には通常電気炉を用い、温度は2000℃以上とする。電気炉に母材を挿入して先端部を加熱溶融し、引き伸ばして紡糸する。紡糸が定常状態になると、母材の先端形状は、母材の外径や粘度、加熱炉ヒータによる温度分布、線引速度等によって定まるメニスカスを形成して安定する。石英管の中空部を、例えば、真空ポンプで吸引して減圧すると、メニスカス部分では加熱によりコアロッドと石英管が一体化し、細く引き伸ばすことで線引することができる。
【0005】
ところで、上記コアロッドをクラッド部の中空部に挿入するには、例えば、図5で示したような方法が用いられる。すなわち、所定の寸法に加工したコアロッド51を垂直に作動可能な旋盤に固定し、コアロッド53を図5中の矢印方向に徐々に下げて、クラッド51の中空部に挿入する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、コアロッドをクラッド部の中空部に挿入するには縦型あるいは横型の旋盤を使うか、あるいは、他のジグを用いていた。ところが、光ファイバの製造コストを下げるために母材部分を長くしようとすると、挿入時にコアロッドや石英管が接触して傷がつくことがある。また、その傷が原因で、光ファイバの外径寸法不良率が高まっていた。
【0007】
挿入に際して、石英管やコアロッドが曲がっていたり、傾いている場合には、コアロッドが石英管内壁を擦ることになる。石英管とコアロッドとの隙間が小さいほど、また、コアロッドが長いほど擦る可能性が増す。擦ると外面に傷が生じて、線引時にファイバ外径が変動したり、ファイバ内に気泡が発生する原因となる。従って、挿入作業は、擦らないようコアロッドとクラッドの位置を安定させながら行う。そのため、手間と時間がかかる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、コアロッドと、前記コアロッドを中空部に挿入する合成石英管とで構成される光ファイバ用母材の先端部を加熱溶融し、前記コアロッドと前記合成石英管を一体化しながら線引して光ファイバを製造する際に、
前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差を1.0mm〜10.0mmとして前記コアロッドを前記合成石英管の中空部に挿入することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法である。
【0009】
本発明の第2の態様は、前記合成石英管の端部に支持管を溶着する際に、前記合成石英管の端部と前記支持管との溶着部の内側を、前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差が1.0mm〜10.0mmとなるように成形することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法である。
【0010】
本発明の第3の態様は、前記支持菅の材質が天然の石英であることを特徴とする光ファイバ母材の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に実施の形態により、本発明を説明する。本発明は、コアロッドを形成し、別に製造した合成石英管の中空部に前記コアロッドを挿入し、先端部を加熱して前記コアロッドと前記合成石英管を一体化しながら線引して光ファイバを製造する際に、前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差を1.0mm〜10.0mmとして前記コアロッドを前記合成石英管に挿入することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法である。
【0012】
本発明によれば、光ファイバを製造するにあたり、コアロッドを製造し、さらにクラッドに相当する部分に合成石英管を使用し、これらを加熱一体化と線引を同時に実施する際に、コアロッドを合成石英管に挿入する作業時に生じる傷等による歩留減を抑制できる。
【0013】
本発明によれば、コアロッドの外径と合成石英菅の内径との差を1.0mm〜10.0mmとすることにより、挿入作業中のコアロッド材外表面と合成石英管内壁とが擦れ合って生じる傷を減らすことができる。また、ファイバ化した際のコア偏心を抑制できる。
【0014】
図3には、VADコアロッド35を石英管31に挿入させる場合の略図を示した。図中、矢印が挿入方向である。合成石英管31に用いられる石英管の内側は、表面に異物の付着がなく、平滑に維持される。石英管はガラス加工施盤にセットし、酸素/水素火炎で加熱して一方端を封止し、封止していない側に石英製の支持管32を溶着する。
【0015】
また、本発明は、合成石英管と支持管の端部を酸素/水素火炎を用いて加熱溶融し、溶融した端部同士を押しつけて溶着し、溶着された溶着部の内側を、コアロッドの外径と合成石英管の内径との差が1.0mm〜10.0mmとなるように、鏝を用いて成形する。
【0016】
すなわち、合成石英管と前記支持管の端部を酸素/水素火炎を用いて加熱し、両端末を押しつけて溶着接続し、さらに溶着部の内側を、コアロッドの外径と合成石英管の内径との差が1.0mm〜10.0mmとなるように鏝を用いて整形することが望ましい。この整形により、コアロッドを合成石英管に挿入する際に、互いに擦れ合って生じる傷を減らすことができる。
【0017】
また、本発明は、支持菅の材質が天然の石英であることが望ましい。天然の石英を用いることにより製造コストを低減できる。
【0018】
図4には、コアロッド35を合成石英管31に挿入した状態を示した。ところで、合成石英管31の外径と内径の比率は所定のファイバ特性を得るためにコアロッドの屈折率分布特性から規定される。通常、合成石英管の内径よりコアロッド外径は細い。
【0019】
挿入に際して、合成石英管31やコアロッド35が曲がつていたり、傾いていると、コアロッド35が合成石英管内壁をこする可能性がある。隙間が小さいほど、またコアロッドや合成石英管が長いほどこの危険が増す。この危険性を下げるために、コアロッドと合成石英との隙間を1.0mm〜10.0mmの範囲とする。
【0020】
なお、1.0mm〜10.0mmの範囲を確保するため、VADコアロッドと合成石英管との隙間が所定の寸法となるようにVADコアロッドと合成石英管の寸法をあらかじめ調整したものを用いることが望ましい。
【0021】
本発明ではコアロッド外径41と合成石英菅内径43との寸法差を1.0mm〜10.0mmとして、コアロッド35を合成石英菅31の中空部に挿入する。図5には、コアロッドの外径と合成石英管の内径との差(隙間)を変化させてコア偏芯量を求めた結果を示した。差(隙間)が大きくなるとともに、コア偏芯量も大きくなることがわかる。
【0022】
この隙間は1mm未満では、挿入の際に傷等を発生させるために効果がない。また、隙間を10mmを超えて設けてもファイバ化した際にコア偏心量が大きくなる傾向があり望ましくない。コアロッドや合成石英管はほぼ平行となるように挿入されるので、隙間の寸法は平行部の何れで測っても数値範囲内であればかまわない。
【0023】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いて説明する。本実施例では、VAD法により一部クラッドを含むコア材を製造し、さらに石英管を用いてクラッド部を付与することで、単一モード光ファイバを製造する例について説明する。なお、本発明を実施する場合には、本実施の形態以外のプロファイルであっても、コア母材を他の方法で作製してもかまわない。
【0024】
図1に示したように、VAD法では多重管構造からなるコアバーナ5を通じて、気化させた四塩化炭素(SiCl4)、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)、酸素(O2)、及び水素(H2)とで構成されるガス9を送り込み、点火燃焼させる。火炎中で加熱分解反応させて、合成ガラス微粒子を得、これを種棒3に吹き付けて多孔質母材を1を形成する。なお、種棒3と多孔質母材1は矢印で示すように反時計方向に回転しており、図面の上方向の矢印が引き上げられる方向である。
【0025】
多孔質母材1の特性を安定させるために、コアバーナ5の上部に類似のクラッドバーナ7を配置し、四塩化珪素(SiCl4)、酸素(O2)、及び水素(H2)とで構成されるガス11を送り込み反応させて、コアスートの外周にクラッド部を付与する。この多孔質母材1を1500〜1600℃程度に加熱して透明なガラスとする。単一モード光ファイバではコアとクラッドの寸法比は1:13程度となるが、VAD法で作製したものは1:4.5であった。次に、母材を引き伸ばして外径30mmのVADコアロッドを作製した。
【0026】
別に、合成石英管用として外径90mmで内径33mmの石英管を用意した。VADコアロッドを石英管に挿入すると所定の比率とすることができる。たとえば、図2には、VADコアロッドコア部分21を中心部に備えたVADコアロッド23と合成石英管25の配置例を示した。
【0027】
図2中の矢印内で示した数字は、それぞれの寸法比を示しており、VADコアロッドコア部分21の外形寸法の1に対して、VADコアロッド23の寸法は4.5となっている。合成石英管25は、VADコアロッドコア部分21の外形寸法の1に対して、外形の寸法が13となる。
【0028】
図3には、VADコアロッド35を合成石英管に挿入させる場合の略図を示した。合成石英管31に用いられる石英管の内側は、表面に異物の付着がなく、平滑に維持される。石英管はガラス加工施盤にセットし、酸素/水素火炎で加熱して一方端を封止し、封止していない側に石英製の支持管32を溶着させた。冷却後、これを旋盤から外した。
【0029】
なお、前記合成石英管と前記支持管の端部を酸素/水素火炎にて加熱し、両端末を押しつけて溶着接続し、さらに溶着部の内側は合成石英管の内径と等しくなるよう鏝を用いて整形した。
【0030】
次に、所定の寸法に加工したVADコアロッド35を施盤にセットし、酸素/水素火炎で加熱して石英製の支持棒36を溶着させ、冷却後はずした。
【0031】
合成石英管31とVADコアロッド35とを垂直に駆動する挿入旋盤にセットし、合成石英管31への挿入作業を実施した。VADコアロッド35の支持棒36は、旋盤にチャック37で固定した。合成石英管31の支持管32は、チャック33で固定した。そして、VADコアロッド35を図3中の矢印方向に徐々に下げて、合成石英管31の中空部に挿入した。
【0032】
図4には、VADコアロッド35を合成石英管31に挿入した状態を示した。本実施例では、外径30mmのVADコアロッドと内径が33mmの合成石英管を用いたことから、VADコアロッド外径41と合成石英菅内径43との寸法差が3.0mmであり、1.0mm以上を十分確保していた。
【0033】
次に、このようにして準備したVADコアロッドを挿入した支持管の上部管部に真空装置を取り付け、内部を減圧に吸引できるようにし、線引装置にセットした。徐々に炉に挿入すると先端部が加熱されて溶着が起こり、さらにこの部分が伸びて線引が開始できた。あとは、通常の線引と同様にして、ファイバを引き取りながらガラス体を炉に押し込んで行くと、中実化とファイバ化が同時に進行した。ファイバは、引取りキャプスタンにて引き伸ばして125μmにし、紫外線硬化樹脂を250μm径になるように塗って得た。
【発明の効果】
本発明により、合成石英管の内部やコアロッドの外表面を傷つけることなく挿入されるので、でき上がり母材を線引工程にてファイバ化する際、ファイバ線径不良が減少した。
【図面の簡単な説明】
【図1】VAD法の概略図である。
【図2】VAD法による、寸法比である。
【図3】コアロッドを合成石英管に挿入する際の概略図である。
【図4】コアロッドを合成石英管に挿入した概略図である。
【図5】コアロッド外径と合成石英管内径の差と偏心量との関係を示した図である。
【図6】従来の、コアロッドをクラッドに挿入する状況を示した図である。
【符号の説明】
1 多孔質母材
3 VAD種棒
5 コア用バーナー
7 クラッド用バーナー
9 ガス
11 ガス
21 VADコアロッドコア部分
23 VADコアロッド
25 合成石英管
31 合成石英管
32 支持管
33 チャック
35 コアロッド
36 支持棒
37 チャック
41 コアロッド外径
43 合成石英管内径
51 コアロッド
53 クラッド
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信用光ファイバの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバは石英ガラスをベース素材とする。石英ガラスは、通常のガラス材と異なり、高純度を維持しながら溶融せしめるのが著しく困難である。そのため、あらかじめ所定の屈折率分布を持った母材を合成し、これを加熱炉を用いて溶融軟化させ、細く引き伸ばして紡糸する。
【0003】
母材の合成法としては、MCVD法、VAD法、OVD法などが考案されている。コアを含む中心部(以下コアロッドと言う)をこれらの製法で製造し、クラッド部に石英管を用いて加熱一体化して母材とする方法や、一体化を線引と同時に実施する方法も知られている。
【0004】
上記線引用の加熱炉には通常電気炉を用い、温度は2000℃以上とする。電気炉に母材を挿入して先端部を加熱溶融し、引き伸ばして紡糸する。紡糸が定常状態になると、母材の先端形状は、母材の外径や粘度、加熱炉ヒータによる温度分布、線引速度等によって定まるメニスカスを形成して安定する。石英管の中空部を、例えば、真空ポンプで吸引して減圧すると、メニスカス部分では加熱によりコアロッドと石英管が一体化し、細く引き伸ばすことで線引することができる。
【0005】
ところで、上記コアロッドをクラッド部の中空部に挿入するには、例えば、図5で示したような方法が用いられる。すなわち、所定の寸法に加工したコアロッド51を垂直に作動可能な旋盤に固定し、コアロッド53を図5中の矢印方向に徐々に下げて、クラッド51の中空部に挿入する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、コアロッドをクラッド部の中空部に挿入するには縦型あるいは横型の旋盤を使うか、あるいは、他のジグを用いていた。ところが、光ファイバの製造コストを下げるために母材部分を長くしようとすると、挿入時にコアロッドや石英管が接触して傷がつくことがある。また、その傷が原因で、光ファイバの外径寸法不良率が高まっていた。
【0007】
挿入に際して、石英管やコアロッドが曲がっていたり、傾いている場合には、コアロッドが石英管内壁を擦ることになる。石英管とコアロッドとの隙間が小さいほど、また、コアロッドが長いほど擦る可能性が増す。擦ると外面に傷が生じて、線引時にファイバ外径が変動したり、ファイバ内に気泡が発生する原因となる。従って、挿入作業は、擦らないようコアロッドとクラッドの位置を安定させながら行う。そのため、手間と時間がかかる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、コアロッドと、前記コアロッドを中空部に挿入する合成石英管とで構成される光ファイバ用母材の先端部を加熱溶融し、前記コアロッドと前記合成石英管を一体化しながら線引して光ファイバを製造する際に、
前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差を1.0mm〜10.0mmとして前記コアロッドを前記合成石英管の中空部に挿入することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法である。
【0009】
本発明の第2の態様は、前記合成石英管の端部に支持管を溶着する際に、前記合成石英管の端部と前記支持管との溶着部の内側を、前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差が1.0mm〜10.0mmとなるように成形することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法である。
【0010】
本発明の第3の態様は、前記支持菅の材質が天然の石英であることを特徴とする光ファイバ母材の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に実施の形態により、本発明を説明する。本発明は、コアロッドを形成し、別に製造した合成石英管の中空部に前記コアロッドを挿入し、先端部を加熱して前記コアロッドと前記合成石英管を一体化しながら線引して光ファイバを製造する際に、前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差を1.0mm〜10.0mmとして前記コアロッドを前記合成石英管に挿入することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法である。
【0012】
本発明によれば、光ファイバを製造するにあたり、コアロッドを製造し、さらにクラッドに相当する部分に合成石英管を使用し、これらを加熱一体化と線引を同時に実施する際に、コアロッドを合成石英管に挿入する作業時に生じる傷等による歩留減を抑制できる。
【0013】
本発明によれば、コアロッドの外径と合成石英菅の内径との差を1.0mm〜10.0mmとすることにより、挿入作業中のコアロッド材外表面と合成石英管内壁とが擦れ合って生じる傷を減らすことができる。また、ファイバ化した際のコア偏心を抑制できる。
【0014】
図3には、VADコアロッド35を石英管31に挿入させる場合の略図を示した。図中、矢印が挿入方向である。合成石英管31に用いられる石英管の内側は、表面に異物の付着がなく、平滑に維持される。石英管はガラス加工施盤にセットし、酸素/水素火炎で加熱して一方端を封止し、封止していない側に石英製の支持管32を溶着する。
【0015】
また、本発明は、合成石英管と支持管の端部を酸素/水素火炎を用いて加熱溶融し、溶融した端部同士を押しつけて溶着し、溶着された溶着部の内側を、コアロッドの外径と合成石英管の内径との差が1.0mm〜10.0mmとなるように、鏝を用いて成形する。
【0016】
すなわち、合成石英管と前記支持管の端部を酸素/水素火炎を用いて加熱し、両端末を押しつけて溶着接続し、さらに溶着部の内側を、コアロッドの外径と合成石英管の内径との差が1.0mm〜10.0mmとなるように鏝を用いて整形することが望ましい。この整形により、コアロッドを合成石英管に挿入する際に、互いに擦れ合って生じる傷を減らすことができる。
【0017】
また、本発明は、支持菅の材質が天然の石英であることが望ましい。天然の石英を用いることにより製造コストを低減できる。
【0018】
図4には、コアロッド35を合成石英管31に挿入した状態を示した。ところで、合成石英管31の外径と内径の比率は所定のファイバ特性を得るためにコアロッドの屈折率分布特性から規定される。通常、合成石英管の内径よりコアロッド外径は細い。
【0019】
挿入に際して、合成石英管31やコアロッド35が曲がつていたり、傾いていると、コアロッド35が合成石英管内壁をこする可能性がある。隙間が小さいほど、またコアロッドや合成石英管が長いほどこの危険が増す。この危険性を下げるために、コアロッドと合成石英との隙間を1.0mm〜10.0mmの範囲とする。
【0020】
なお、1.0mm〜10.0mmの範囲を確保するため、VADコアロッドと合成石英管との隙間が所定の寸法となるようにVADコアロッドと合成石英管の寸法をあらかじめ調整したものを用いることが望ましい。
【0021】
本発明ではコアロッド外径41と合成石英菅内径43との寸法差を1.0mm〜10.0mmとして、コアロッド35を合成石英菅31の中空部に挿入する。図5には、コアロッドの外径と合成石英管の内径との差(隙間)を変化させてコア偏芯量を求めた結果を示した。差(隙間)が大きくなるとともに、コア偏芯量も大きくなることがわかる。
【0022】
この隙間は1mm未満では、挿入の際に傷等を発生させるために効果がない。また、隙間を10mmを超えて設けてもファイバ化した際にコア偏心量が大きくなる傾向があり望ましくない。コアロッドや合成石英管はほぼ平行となるように挿入されるので、隙間の寸法は平行部の何れで測っても数値範囲内であればかまわない。
【0023】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いて説明する。本実施例では、VAD法により一部クラッドを含むコア材を製造し、さらに石英管を用いてクラッド部を付与することで、単一モード光ファイバを製造する例について説明する。なお、本発明を実施する場合には、本実施の形態以外のプロファイルであっても、コア母材を他の方法で作製してもかまわない。
【0024】
図1に示したように、VAD法では多重管構造からなるコアバーナ5を通じて、気化させた四塩化炭素(SiCl4)、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)、酸素(O2)、及び水素(H2)とで構成されるガス9を送り込み、点火燃焼させる。火炎中で加熱分解反応させて、合成ガラス微粒子を得、これを種棒3に吹き付けて多孔質母材を1を形成する。なお、種棒3と多孔質母材1は矢印で示すように反時計方向に回転しており、図面の上方向の矢印が引き上げられる方向である。
【0025】
多孔質母材1の特性を安定させるために、コアバーナ5の上部に類似のクラッドバーナ7を配置し、四塩化珪素(SiCl4)、酸素(O2)、及び水素(H2)とで構成されるガス11を送り込み反応させて、コアスートの外周にクラッド部を付与する。この多孔質母材1を1500〜1600℃程度に加熱して透明なガラスとする。単一モード光ファイバではコアとクラッドの寸法比は1:13程度となるが、VAD法で作製したものは1:4.5であった。次に、母材を引き伸ばして外径30mmのVADコアロッドを作製した。
【0026】
別に、合成石英管用として外径90mmで内径33mmの石英管を用意した。VADコアロッドを石英管に挿入すると所定の比率とすることができる。たとえば、図2には、VADコアロッドコア部分21を中心部に備えたVADコアロッド23と合成石英管25の配置例を示した。
【0027】
図2中の矢印内で示した数字は、それぞれの寸法比を示しており、VADコアロッドコア部分21の外形寸法の1に対して、VADコアロッド23の寸法は4.5となっている。合成石英管25は、VADコアロッドコア部分21の外形寸法の1に対して、外形の寸法が13となる。
【0028】
図3には、VADコアロッド35を合成石英管に挿入させる場合の略図を示した。合成石英管31に用いられる石英管の内側は、表面に異物の付着がなく、平滑に維持される。石英管はガラス加工施盤にセットし、酸素/水素火炎で加熱して一方端を封止し、封止していない側に石英製の支持管32を溶着させた。冷却後、これを旋盤から外した。
【0029】
なお、前記合成石英管と前記支持管の端部を酸素/水素火炎にて加熱し、両端末を押しつけて溶着接続し、さらに溶着部の内側は合成石英管の内径と等しくなるよう鏝を用いて整形した。
【0030】
次に、所定の寸法に加工したVADコアロッド35を施盤にセットし、酸素/水素火炎で加熱して石英製の支持棒36を溶着させ、冷却後はずした。
【0031】
合成石英管31とVADコアロッド35とを垂直に駆動する挿入旋盤にセットし、合成石英管31への挿入作業を実施した。VADコアロッド35の支持棒36は、旋盤にチャック37で固定した。合成石英管31の支持管32は、チャック33で固定した。そして、VADコアロッド35を図3中の矢印方向に徐々に下げて、合成石英管31の中空部に挿入した。
【0032】
図4には、VADコアロッド35を合成石英管31に挿入した状態を示した。本実施例では、外径30mmのVADコアロッドと内径が33mmの合成石英管を用いたことから、VADコアロッド外径41と合成石英菅内径43との寸法差が3.0mmであり、1.0mm以上を十分確保していた。
【0033】
次に、このようにして準備したVADコアロッドを挿入した支持管の上部管部に真空装置を取り付け、内部を減圧に吸引できるようにし、線引装置にセットした。徐々に炉に挿入すると先端部が加熱されて溶着が起こり、さらにこの部分が伸びて線引が開始できた。あとは、通常の線引と同様にして、ファイバを引き取りながらガラス体を炉に押し込んで行くと、中実化とファイバ化が同時に進行した。ファイバは、引取りキャプスタンにて引き伸ばして125μmにし、紫外線硬化樹脂を250μm径になるように塗って得た。
【発明の効果】
本発明により、合成石英管の内部やコアロッドの外表面を傷つけることなく挿入されるので、でき上がり母材を線引工程にてファイバ化する際、ファイバ線径不良が減少した。
【図面の簡単な説明】
【図1】VAD法の概略図である。
【図2】VAD法による、寸法比である。
【図3】コアロッドを合成石英管に挿入する際の概略図である。
【図4】コアロッドを合成石英管に挿入した概略図である。
【図5】コアロッド外径と合成石英管内径の差と偏心量との関係を示した図である。
【図6】従来の、コアロッドをクラッドに挿入する状況を示した図である。
【符号の説明】
1 多孔質母材
3 VAD種棒
5 コア用バーナー
7 クラッド用バーナー
9 ガス
11 ガス
21 VADコアロッドコア部分
23 VADコアロッド
25 合成石英管
31 合成石英管
32 支持管
33 チャック
35 コアロッド
36 支持棒
37 チャック
41 コアロッド外径
43 合成石英管内径
51 コアロッド
53 クラッド
Claims (3)
- コアロッドと、前記コアロッドを中空部に挿入する合成石英管とで構成される光ファイバ用母材の先端部を加熱溶融し、前記コアロッドと前記合成石英管を一体化しながら線引して光ファイバを製造する際に、
前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差を1.0mm〜10.0mmとして前記コアロッドを前記合成石英管の中空部に挿入することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。 - 前記合成石英管の端部に支持管を溶着する際に、前記石英管の端部と前記支持管との溶着部の内側を、前記コアロッドの外径と前記合成石英管の内径との差が1.0mm〜10.0mmとなるように成形することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 前記支持菅の材質が天然の石英であることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ母材の製造方法。
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