JP2004042076A - 加工用光源 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工用光源において、WDを短くすることなく、M値の大きいレーザー、特にDDLのビーム形状を小面積、或いは対称な形状にすることを可能とする加工用光源を提供することにある。
【解決手段】難加工材であるアルミニウムの加工が可能な波長790〜810nmで発振するダイレクト半導体レーザー1から出力されたレーザー光3を、出射端面6が入射端面5よりも小面積なミラー2a,2b,2c,2dで構成された導波路7に入射し伝播させるという簡便かつ、安価な方法により、任意のビーム形状を得ることが出来る。これにより、難加工材とされるアルミニウムの加工プロセスを有利にすることが出来る。
【選択図】 図1
【解決手段】難加工材であるアルミニウムの加工が可能な波長790〜810nmで発振するダイレクト半導体レーザー1から出力されたレーザー光3を、出射端面6が入射端面5よりも小面積なミラー2a,2b,2c,2dで構成された導波路7に入射し伝播させるという簡便かつ、安価な方法により、任意のビーム形状を得ることが出来る。これにより、難加工材とされるアルミニウムの加工プロセスを有利にすることが出来る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼入れ、クラッディング、溶接等を行う加工用光源に関するものであり、特に難加工材であるアルミニウムの加工に優れた特性を持つ加工用光源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加工用光源は、その性質上高いエネルギーを発生させるため、M値が大きく集光特性が悪くなってしまう。特に、半導体レーザーは、素子1個あたりの出力には限りがあり、金属等を変質/溶融させるだけのエネルギーを出すためには、多数の素子から出た光を集める必要がある。
【0003】
しかし、多数の素子から出た光は小面積に集光しづらい、非対称な集光形状になるなどの問題があった。例えば、1KW以上の出力であるダイレクト半導体レーザー(DDL)は、ビーム形状が約0.5mm×10mmと非対称な形状となる。
【0004】
そこで、ビーム形状をより小さく、或いは対称形にしようとした場合、レンズを追加することが考えられ、凸レンズを用いれば、より小さな形状に集光でき、シリンドリカル凸レンズを用いれば、対称なビーム形状を得ることが出来る。また、光ファイバーを用いることでも対称なビーム形状を得ることが出来る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レンズを用いる方法によると、DDL本体から集光点までの距離(WD:ワークディスタンス)が短くなり、加工点からのスパッタ、ヒュームなどによるDDL本体へのダメージや汚染の危険性が高まり、適用対象を制限する結果となり、あまり実用的ではない。また、光ファイバーを用いる方法によると、光ファイバーに入射するために、複雑な光学系が必要となり、装置コストも高価なものになってしまう。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その主な目的は、安価で簡便にかつ、WDを短くすることなく、M値の大きいレーザー、特にDDLのビーム形状を小面積、或いは対称な形状にすることを可能とする加工用光源を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、難加工材であるアルミニウムの加工が可能な波長790〜810nmで発振するダイレクト半導体レーザーと、前記レーザーから出射されたレーザー光を伝播する導波路とを有し、該導波路の出射端面が入射端面より小面積である事を特徴とする加工用光源を提供する。なお、前記導波路として、ミラーを用いるとよい。
【0008】
また、前記加工用光源における前記導波路が2枚以上のミラーにより構成され、その傾斜角及び長さは、レーザー光が全て導波路の出射端面から出力される範囲にあることが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、添付の図面に示された好適な実施形態に基づき本発明について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明に基づく加工用光源の基本構成を模式的に示す構成・配置図であり、集光点でのビーム形状の長軸側のNAが0.1以下、短軸側のNAが0.2以下で、集光点から94mm前方での長軸側ビーム径がおよそ25mm、短軸側のビーム径がおよそ34mmであるDDL1から出力された波長790〜810nmのレーザー光3は導波路7の入射端面5から入り導波路の側面を構成するミラー2a,2b間を反射しつつ、出射端面6から出力される。
【0011】
出射端面6から出力されたレーザー光は、伝播するにつれて広がっていくが、出射端近傍のレーザー光4はそのビーム形状が保存されているため、レンズなどを用いて集光する場合に比べ、任意にビーム形状を設計することができる。
【0012】
これにより、焼入れやクラッディングなどで限定された部分にだけ熱を加え改質層を形成したい用途などには、非常に有効な方法と言える。またここでは、一方向のみのレーザー光の軌跡の記述となっているが、これと垂直方向に付いても同様な考え方が成り立つ。
【0013】
図2は高出力半導体レーザーの構成を示したものである。図2(1)にその基本となるレーザーダイオードバー10の構造を示し、このレーザーダイオードバー10を複数個積層することにより、図2(2)に示すレーザーダイオードアレイ11を組み上げるが、レーザーダイオードアレイ11のサイズは、およそ10mm×50mmである。
【0014】
そして、レーザーダイオードアレイ11をおよそ15mm間隔で2個組み合わせることで、図2(3)に示すような2KWの出力が得られる高出力半導体レーザー12が完成する。
【0015】
図3は、図1に示した導波路の具体的な構成を示した図である。導波路7は4枚のミラー2a,2b,2c,2dで構成されている。ミラー2a,2bはDDLの長軸側の導波路を形成し、ミラー2c,2dは短軸側の導波路を形成している。ミラーには、波長790〜810nmのレーザー光3にそれぞれに高い反射率を持つ、金属蒸着膜や、誘電体多層膜によるコーティングが施されている。
【0016】
対向するミラーの角度は、レーザー光が入射端面5側に反射しない範囲に設定され、図2に示したDDLを使用した場合、長軸側入射開口径29mmのとき、出射開口径を3mm、長さ98mmとすると、図4に示すような光路を通り、出射端面6から出力される。この時、WDが101mmでのビーム形状は4mmとなる。またこの時、短軸側入射開口径40mm、出射開口径を2mm以上に設定すると、短軸側のレーザー光はミラーで反射すること無く出力され、WDが101mmでのビーム形状は2mmとなる。
【0017】
出射ビーム形状を変更したい場合には、入射開口径、出射開口径および、長さを変化させればよく、例えば長軸側入射開口径28mmのとき、出射開口径を3mm、長さ105mmとすると、図5に示すような光路を通り、出射端面6から出力される。この時、WDが108mmでのビーム形状は5mmとなる。またこの時、短軸側入射開口径40mm、出射開口径を4mm以上に設定すると、短軸側のレーザー光はミラーで反射すること無く出力され、WDが108mmでのビーム形状は5mmとなる。
【0018】
上記実施例では、短軸側のレーザー光がミラーで反射しない構成について記述しているが、反射させたとしてもなんら問題はなく、例えば、短軸側入射開口径を40mm、出射開口径を2mm、長さを105mmにした場合、図6に示すような光路を通り、WDが108mmでのビーム形状は4mmとなる。
【0019】
【発明の効果】
上記説明から明らかなごとく、本発明の加工用光源によれば、難加工材であるアルミニウムの加工が可能な波長790〜810nmで発振するダイレクト半導体レーザーから出力されたレーザー光を、出射端面が入射端面よりも小面積なミラーで構成された導波路に入射し伝播させるという簡便かつ、安価な方法により、任意のビーム形状を得ることが出来る。これにより、難加工材とされるアルミニウムの加工プロセスを有利にすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく加工用光源の基本構成を模式的に示す構成・配置図。
【図2】高出力半導体レーザーの構成図。
【図3】図1に示す導波路の具体的な構成図。
【図4】長軸側のレーザー光の軌跡を表した図。
【図5】他の構成での長軸側のレーザー光の軌跡を表した図。
【図6】短軸側のレーザー光の軌跡を表した図。
【符号の説明】
1 ダイレクト半導体レーザー
2a、2b、2c、2d ミラー
3 レーザー光
4 出射端近傍のレーザー光
5 入射端面
6 出射端面
7 導波路
10 レーザーダイオードバー
11 レーザーダイオードアレイ
12 高出力半導体レーザー
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼入れ、クラッディング、溶接等を行う加工用光源に関するものであり、特に難加工材であるアルミニウムの加工に優れた特性を持つ加工用光源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加工用光源は、その性質上高いエネルギーを発生させるため、M値が大きく集光特性が悪くなってしまう。特に、半導体レーザーは、素子1個あたりの出力には限りがあり、金属等を変質/溶融させるだけのエネルギーを出すためには、多数の素子から出た光を集める必要がある。
【0003】
しかし、多数の素子から出た光は小面積に集光しづらい、非対称な集光形状になるなどの問題があった。例えば、1KW以上の出力であるダイレクト半導体レーザー(DDL)は、ビーム形状が約0.5mm×10mmと非対称な形状となる。
【0004】
そこで、ビーム形状をより小さく、或いは対称形にしようとした場合、レンズを追加することが考えられ、凸レンズを用いれば、より小さな形状に集光でき、シリンドリカル凸レンズを用いれば、対称なビーム形状を得ることが出来る。また、光ファイバーを用いることでも対称なビーム形状を得ることが出来る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レンズを用いる方法によると、DDL本体から集光点までの距離(WD:ワークディスタンス)が短くなり、加工点からのスパッタ、ヒュームなどによるDDL本体へのダメージや汚染の危険性が高まり、適用対象を制限する結果となり、あまり実用的ではない。また、光ファイバーを用いる方法によると、光ファイバーに入射するために、複雑な光学系が必要となり、装置コストも高価なものになってしまう。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その主な目的は、安価で簡便にかつ、WDを短くすることなく、M値の大きいレーザー、特にDDLのビーム形状を小面積、或いは対称な形状にすることを可能とする加工用光源を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、難加工材であるアルミニウムの加工が可能な波長790〜810nmで発振するダイレクト半導体レーザーと、前記レーザーから出射されたレーザー光を伝播する導波路とを有し、該導波路の出射端面が入射端面より小面積である事を特徴とする加工用光源を提供する。なお、前記導波路として、ミラーを用いるとよい。
【0008】
また、前記加工用光源における前記導波路が2枚以上のミラーにより構成され、その傾斜角及び長さは、レーザー光が全て導波路の出射端面から出力される範囲にあることが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、添付の図面に示された好適な実施形態に基づき本発明について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明に基づく加工用光源の基本構成を模式的に示す構成・配置図であり、集光点でのビーム形状の長軸側のNAが0.1以下、短軸側のNAが0.2以下で、集光点から94mm前方での長軸側ビーム径がおよそ25mm、短軸側のビーム径がおよそ34mmであるDDL1から出力された波長790〜810nmのレーザー光3は導波路7の入射端面5から入り導波路の側面を構成するミラー2a,2b間を反射しつつ、出射端面6から出力される。
【0011】
出射端面6から出力されたレーザー光は、伝播するにつれて広がっていくが、出射端近傍のレーザー光4はそのビーム形状が保存されているため、レンズなどを用いて集光する場合に比べ、任意にビーム形状を設計することができる。
【0012】
これにより、焼入れやクラッディングなどで限定された部分にだけ熱を加え改質層を形成したい用途などには、非常に有効な方法と言える。またここでは、一方向のみのレーザー光の軌跡の記述となっているが、これと垂直方向に付いても同様な考え方が成り立つ。
【0013】
図2は高出力半導体レーザーの構成を示したものである。図2(1)にその基本となるレーザーダイオードバー10の構造を示し、このレーザーダイオードバー10を複数個積層することにより、図2(2)に示すレーザーダイオードアレイ11を組み上げるが、レーザーダイオードアレイ11のサイズは、およそ10mm×50mmである。
【0014】
そして、レーザーダイオードアレイ11をおよそ15mm間隔で2個組み合わせることで、図2(3)に示すような2KWの出力が得られる高出力半導体レーザー12が完成する。
【0015】
図3は、図1に示した導波路の具体的な構成を示した図である。導波路7は4枚のミラー2a,2b,2c,2dで構成されている。ミラー2a,2bはDDLの長軸側の導波路を形成し、ミラー2c,2dは短軸側の導波路を形成している。ミラーには、波長790〜810nmのレーザー光3にそれぞれに高い反射率を持つ、金属蒸着膜や、誘電体多層膜によるコーティングが施されている。
【0016】
対向するミラーの角度は、レーザー光が入射端面5側に反射しない範囲に設定され、図2に示したDDLを使用した場合、長軸側入射開口径29mmのとき、出射開口径を3mm、長さ98mmとすると、図4に示すような光路を通り、出射端面6から出力される。この時、WDが101mmでのビーム形状は4mmとなる。またこの時、短軸側入射開口径40mm、出射開口径を2mm以上に設定すると、短軸側のレーザー光はミラーで反射すること無く出力され、WDが101mmでのビーム形状は2mmとなる。
【0017】
出射ビーム形状を変更したい場合には、入射開口径、出射開口径および、長さを変化させればよく、例えば長軸側入射開口径28mmのとき、出射開口径を3mm、長さ105mmとすると、図5に示すような光路を通り、出射端面6から出力される。この時、WDが108mmでのビーム形状は5mmとなる。またこの時、短軸側入射開口径40mm、出射開口径を4mm以上に設定すると、短軸側のレーザー光はミラーで反射すること無く出力され、WDが108mmでのビーム形状は5mmとなる。
【0018】
上記実施例では、短軸側のレーザー光がミラーで反射しない構成について記述しているが、反射させたとしてもなんら問題はなく、例えば、短軸側入射開口径を40mm、出射開口径を2mm、長さを105mmにした場合、図6に示すような光路を通り、WDが108mmでのビーム形状は4mmとなる。
【0019】
【発明の効果】
上記説明から明らかなごとく、本発明の加工用光源によれば、難加工材であるアルミニウムの加工が可能な波長790〜810nmで発振するダイレクト半導体レーザーから出力されたレーザー光を、出射端面が入射端面よりも小面積なミラーで構成された導波路に入射し伝播させるという簡便かつ、安価な方法により、任意のビーム形状を得ることが出来る。これにより、難加工材とされるアルミニウムの加工プロセスを有利にすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく加工用光源の基本構成を模式的に示す構成・配置図。
【図2】高出力半導体レーザーの構成図。
【図3】図1に示す導波路の具体的な構成図。
【図4】長軸側のレーザー光の軌跡を表した図。
【図5】他の構成での長軸側のレーザー光の軌跡を表した図。
【図6】短軸側のレーザー光の軌跡を表した図。
【符号の説明】
1 ダイレクト半導体レーザー
2a、2b、2c、2d ミラー
3 レーザー光
4 出射端近傍のレーザー光
5 入射端面
6 出射端面
7 導波路
10 レーザーダイオードバー
11 レーザーダイオードアレイ
12 高出力半導体レーザー
Claims (2)
- 難加工材であるアルミニウムの加工が可能な波長790〜810nmで発振するダイレクト半導体レーザーと、前記レーザーから出射されたレーザー光を伝播する導波路とを有し、該導波路の出射端面が入射端面より小面積である事を特徴とする加工用光源。
- 前記導波路が2枚以上のミラーにより構成され、その傾斜角及び長さは、レーザー光が全て導波路の出射端面から出力される範囲にあることを特徴とする請求項1記載の加工用光源。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002201372A JP2004042076A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 加工用光源 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002201372A JP2004042076A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 加工用光源 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004042076A true JP2004042076A (ja) | 2004-02-12 |
Family
ID=31707928
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002201372A Pending JP2004042076A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 加工用光源 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004042076A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20150146418A (ko) * | 2014-06-19 | 2015-12-31 | 오토모티브 라이팅 이탈리아 에스.피.에이 | 자동차 등의 동시 레이저 용접 방법 및 관련 자동차 등 |
-
2002
- 2002-07-10 JP JP2002201372A patent/JP2004042076A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20150146418A (ko) * | 2014-06-19 | 2015-12-31 | 오토모티브 라이팅 이탈리아 에스.피.에이 | 자동차 등의 동시 레이저 용접 방법 및 관련 자동차 등 |
JP2016005846A (ja) * | 2014-06-19 | 2016-01-14 | オートモーティブ・ライティング・イタリア エス.ピー.エー.・エー・ソシオ・ウニコ | 自動車灯の同時レーザ溶接方法および関連する自動車灯 |
KR102334277B1 (ko) | 2014-06-19 | 2021-12-01 | 마렐리 오토모티브 라이팅 이탈리아 에스.피.에이. | 자동차 등의 동시 레이저 용접 방법 및 관련 자동차 등 |
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