JP2004039595A - 線状光源及びこれを用いた面照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】線状光源をなす棒状導光体からの出射光に対し、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させる。
【解決手段】図8に示すような線状光源1と導光板7とからなる液晶パネルの面照明装置10において、この線状光源1を構成する積層導光体3として、複数枚(ここでは、2枚)の導光体薄板4a,4bを積層したものとする。これら導光体薄板4a,4bでは、両端部をLED(図示せず)からの入光面4a1,4b1とし、側面の一方を出光面4a2,4b2とし、これに対向する側面をプリズム面4a3,4b3とする。これらプリズム面4a3,4b3には夫々、プリズム列4a4,4b4が形成されており、これらプリズム列4a4,4b4は、そのピッチは等しいが、その列方向にずれており、あるいはプリズム面の傾斜角が異なっている。
【選択図】 図4
【解決手段】図8に示すような線状光源1と導光板7とからなる液晶パネルの面照明装置10において、この線状光源1を構成する積層導光体3として、複数枚(ここでは、2枚)の導光体薄板4a,4bを積層したものとする。これら導光体薄板4a,4bでは、両端部をLED(図示せず)からの入光面4a1,4b1とし、側面の一方を出光面4a2,4b2とし、これに対向する側面をプリズム面4a3,4b3とする。これらプリズム面4a3,4b3には夫々、プリズム列4a4,4b4が形成されており、これらプリズム列4a4,4b4は、そのピッチは等しいが、その列方向にずれており、あるいはプリズム面の傾斜角が異なっている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、小型の液晶表示パネルに用いられる照明装置などに係り、特に、液晶表示装置をその前面側から光照射するフロントライト型の反射型液晶表示パネルの線状光源及びこれを用いた面照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信の高速化やIT化に伴い、比較的小型の携帯情報端末が民生向け商品として急速に市場に浸透しつつある。その代表的なものに携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant),スマートフォンがあり、これら携帯情報端末の基幹デバイスとして液晶表示装置が使われる。中でも、カラー表示可能なSTN(Super Twisted Nematic)型液晶やTFT(Thin Film Transistor)型液晶,TFD(Thin Film Diode)型液晶が従来の主流であったモノクロ液晶に急速に置き換わりつつあり、より高精細で小型,省電力,低コストなものが求められている。
【0003】
液晶表示装置自身は、発光性を持たないため、バックライトあるいはフロントライトと呼ばれる照明ユニットが付属され、これによって初めて色表示が可能となる。バックライトは透過型あるいは半透過型液晶に用いられ、文字通り液晶の背面側から照射することによって、その照明光が液晶内のカラーフィルタを透過し、色表示が可能となる。また、フロントライトは反射型液晶に用いられ、液晶表示装置の前面側から照射することによって、液晶内の反射電極前面に設けたカラーフィルタを透過し、色表示が可能となる。
【0004】
これらの照明ユニットは、一般に、導光板と呼ばれる透明プラスチック製の面状発光体を冷陰極蛍光管やLED(発光ダイオード)などを用いて照射する構造をなしている。特に、携帯電話やPDAでは、屋外で使うモバイルユースとして、低消費電力化も然ることながら、通信時の電気ノイズの問題から、LEDが主として使われる傾向にある。このLEDは、液晶カラー表示の色演出性や表示品位を損ねないようにするために、白色のものが使われる。従来、赤色,緑色,青色の、所謂RGB3原色のLEDを組み合わせて白色を発光させていたが、最近では、日亜化学工業社に代表されるGaN系青色LED素子から発する青色光をパッケージに塗布したYAG系蛍光体に照射させて、1つのチップから白色光を得ることが可能とされる。
【0005】
一般に、携帯電話には、対角長が2インチ前後の液晶が搭載され、これに対応して、表示パネル用照明ユニットの導光板も略同サイズとなり、これに使われるLEDは、2個から、多いものでは、4個となる。また、PDAには、対角長が3〜4インチサイズの液晶が搭載され、同様に、これに対応して表示パネル用照明ユニットの導光板も略同サイズとなり、使われるLEDは4個から、多いものでは、6個となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
液晶表示パネルの高精細化に伴って、照明ユニットから照射される光の透過する部分の面積、即ち、開口率は狭まり、これに対応してバックライト、フロントライトとも年々高輝度化が求められている。このため、照明ユニット側の光利用効率を向上させる目的で、導光板のプリズム形状や光源配置など様々な工夫がなされている。
【0007】
LEDから発する光の導光板への入射方法としては、LEDの発光面を導光板の端面に向けて配置し、直接導光板へ入射する方法が多用されるが、構造がシンプルである反面、導光板内での輝度むらが発生し易いという問題を抱えている。
【0008】
これに対し、図16に示すように、液晶(図示せず)のフロント側に配置される導光板32の一端面を入射面とし、また、棒状の線状導光体(以下、棒状導光体という)30の一側面を出光面とし、これら入射面と出光面とが重なり合うように、これら導光板32と棒状導光体30とを一体化し、さらに、この棒状導光体30の一端面もしくは両端面に発光チップとしてのLED31を取り付けた構成の照明ユニットが提案されている。かかる照明ユニットでは、LED31から発する光を棒状導光体30に一旦入光させて、そこで均一化した光を導光板32に入射させるものである。特に、フロントライトでは、反射型液晶の前面にこの導光板が位置されることから、液晶の表示品位を阻害しない高い透明性が求められ、液晶の背面に位置するバックライトなどで多用される光を拡散させるための拡散シートや光を集光させるためのプリズムシートが使えず、この棒状導光体は必須の部品となる。
【0009】
しかしながら、このLEDは指向性が強いことから、本来、棒状導光体は均一な線状発光をすべきものであるが、輝線、即ち、光の強弱を完全に取り除くことができないという問題を抱えている。これは、LEDの発光面がある程度の発光面積を持った一様な輝度の完全拡散面ではなく、発光素子を中心とした点状発光体であるが故に、図17に示すように、棒状導光体30の上記出光面30aには、取り付けるLEDの個数に応じてそのn倍の輝点Sが現れる。例えば、棒状導光体30の両端面に夫々2個ずつ、計4個のLED31を配置した場合、棒状導光体30の出光面30aには、8個所の輝点Sが観察され、これに応じて、棒状導光体30に取り付けた板状の導光板32にも、8本の輝線が生じてしまう。これは、LED31の光度や棒状導光体から出射される光の強度が増せば、より顕著となる。
【0010】
この対策として、LEDの出射面と棒状導光体の端面との間、もしくは棒状導光体の出射面と板状の導光板の入射面との間に拡散板を設ける提案がなされているが、この場合には、光が拡散することによって光量の損失が生じ、その結果として、導光板から出射される光の輝度は低下してしまい、また、前述したように、導光板内の輝度分布を向上させる目的でLEDから出射された光を一旦線状光源に入射させて、均一な線状発光にしたものを導光板内に入射させるという本来の目的を損なうことになる。
【0011】
一般に、拡散板はヘーズと呼ばれる全光線透過率に対する拡散透過率の比率によって透明性が左右され、ヘーズが高いものは、擦りガラス状となって輝線を効果的に消すことができる反面、光の直進性や透過率を損なう。逆に、ヘーズが低いものは、光の直進性や透過率を維持できるものの、効果的に輝線を消すことができない。特に、照明ユニットの明るさの指標として、照明ユニットの発光面に対する法線方向の輝度が重要視されており、光が拡散されて無方向に散らばることにより、直線性が損なわれ、輝度が低下してしまう。このことからも、ヘーズと輝度とは二律背反の関係にあり、輝度を損なうことなく、輝線を消すことが最大の課題となる。
【0012】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、棒状導光体からの出射光に対し、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させるようにした線状光源及び面照明装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、光源チップから出射された光を略直方体形状の棒状導光体の一端面もしくは両端面から入射させ、棒状導光体の長手方向の1面に入射された光を偏向、反射させるためのプリズム面を形成するとともに、プリズム面と対向する面を棒状導光体の出射面とした線状光源であって、棒状導光体が複数の板状の導光体薄板を積層してなり、棒状導光体の出射面を除く少なくとも3面以上を反射板で覆うものである。棒状導光体は少なくとも2枚以上の導光体薄板で形成し、特に、枚数の制限はないが、液晶表示装置自身、より薄型化のものが好まれることから、光源チップから出射される光を漏れなく受光するレベルで極力薄型化したものが望まれ、この厚みと導光体薄板が成形可能な最小厚みによって枚数が自ずと決まる。LEDから棒状導光体に入射された光は各導光体薄板に分かれて棒状導光体内を全反射で進むことから、全反射の繰り返し回数は増し、高い効率でプリズムに当って出射面より出射させることができる。また、各導光体薄板に分かれて光が進むことから、直線性を損なうことなく、光を配置換えできる。これによって、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させることができる。
【0014】
また、棒状導光体のプリズム面に形成したプリズムの列が、積層方向から見て、互いに重なることなく、積層させることによって、光を効率的に配置換えすることができ、これによって、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させることができる。
【0015】
また、本発明は、光源チップと直方体形状の棒状導光体とからなり、光源チップから出射された光を棒状導光体の一端面もしくは両端面から入射させ、棒状導光体の長手方向の1つの面に入射された光を反射、偏向させるためのプリズム面を形成するとともに、プリズム面と対向する面を棒状導光体の出射面とした線状光源であって、棒状導光体が複数の板状の導光体薄板を積層してなり、棒状導光体の出射面を除く少なくとも3面以上が反射板で覆われているとともに、棒状導光体から出射された光を導光板薄板の1つの側面に入射させ、導光板の1つの平面部に設けたプリズム面によってその光を反射、傾向させ、プリズム面と対向する平面部から出射させるものである。これによって導光板から出射される面状発光は、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて具体的に説明するが、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明による線状光源の第1の実施形態を示す斜視図であって、同図(a)は全体構成を示す図、同図(b)はその一部を拡大して示す図であり、図2はその展開斜視図、図3はその光源チップの取付け状態を示す斜視図であって、1はこの第1の実施形態の線状光源、2は光源チップとしてのLED、2aはLED2の発光面、3は積層導光体、4a,4bは導光体薄板、4a1,4b1は入光面、4a2,4b2は出光面、4a3,4b3はプリズム面、5は反射板、5aは開口部、6はフレキシブル回路基板、6aはベースフィルム、6bは半田めっき、6cは両面粘着材、6dは回路パターン、6e,6fはフィルム部である。
【0018】
この第1の実施例の線状光源1は、図2に示すように、フレキシブル回路基板6と、2個のLED2と、2つの導光体薄板4a,4bが積層されてなる積層導光体3と、反射板5とで構成されるものであって、これらLED2と積層導光体3と反射板5とが組み合わされてフレキシブル回路基板6上に設けられることにより、図1に示すような構成をなしている。
【0019】
図3に示すように、2個のLED2が、夫々のLED発光面2aが互いに向き合うようにして、フレキシブル回路基板6上に実装されている。
【0020】
フレキシブル回路基板6は、細長いフィルム部6eからこれにほぼ垂直に細長いフィルム部6fが突出したほば逆L字状の形状をなすベースフィルム6aに回路パターン6dが形成されたものであって、この回路パターン6dの絶縁や保護のために、図示していないが、さらに、カバーコートがなされている。
【0021】
ベースフィルム6aとしてはポリイミド製のものが用いられ、このベースフィルム6a上に銅箔が貼り付けられ、フォトレジスト法やスクリーン印刷法などでエッチングすることにより、所望の回路パターン6dを形成する。そして、上記のように、カバーコートがなされるとともに、図2に示すように、ベースフィルム6aのフィルム部6eの両端部をLED2の実装部として、この実装部にLED2の半田付けを容易にするために、半田めっき6bがなされる。また、ベースフィルム6aの裏面には、機械的な強度を高めるために、図示しないが、同じポリイミド製の補強板が熱硬化性の接着剤を用いて貼り付けられる。
【0022】
LED2の実装方法としては、かかるフレキシブル回路基板6に、まず、半田ペーストを塗布し、チップマウンタと呼ばれるロボットで2つのLED2を夫々精度良くフレキシブル回路基板6上の半田めっき6bの部分に配置した後、かかるフレキシブル回路基板6をリフロー炉に通す。これにより、半田ペーストが溶け出し、フレキシブル回路基板6上にLED2が半田付けされる。実装精度はチップマウンタの位置精度で決まるが、±0.1mmの位置精度で実装品を製作した。
【0023】
LED2は、日亜化学工業社製のNSCW215白色チップタイプLEDを用いた。なお、ここで、光源チップとして、LEDを用いた場合について説明するが、光源チップとしては、白色のLEDが主に用いられる他、LD(レーザダイオード)やPL(フォトルミネツセンス)発光のものなどの点光源、あるいは面光源であっても、非常に小さい面積で発光するチップ状にパッケージングされたものであって、この第1の実施形態では、サイドビューと呼ばれる実装面に対して直角をなす面から出光するタイプの光源を用いているが、いずれの光源チップであっても、以下に説明するLEDの場合と同様の効果が得られるものである。
【0024】
また、光源チップの使用数は、ここでは、2個としているが、数に限定はなく、発光面を夫々対向させて配置する偶数個が輝度、輝度分布的に好ましく、携帯電話などの小型のものについては、2個、PDAなどの中型のものについては、4個が夫々適している。また、携帯電話など小型で輝度、輝度分布よりも消費電力を重視する場合には、1個の構成でも構わない。
【0025】
なお、導光板薄板4a,4bの長手方向に沿う側面をプリズム面4a3,4b3とし、これらの反対側の同様の側面を出光面4a2,4b2としている。図1及び図2では、プリズム面4a3,4b3が図示されており、出光面4a2,4b2は隠れて図示していない。
【0026】
図2において、まず、反射板5が、両面粘着材6cにより、ベースフィルム6aのフィルム部6eに貼り付けられて固定され、次に、2枚の導光体薄板4a,4bが重ね合わされてなる積層導光体3を反射板5内に挿入することにより、図1に示す構成となる。かかる構成においては、積層導光体3を構成する2枚の導光体薄板4a,4bの両端面の入光面4a1,4b1が夫々のLED2のLED発光面2aに対向して配置される。
【0027】
図4は積層導光体3の一具体例を示す斜視図であって、同図(a)は全体構成を示し、同図(b)はプリズム面4a3,4b3の部分を拡大して示しており、4a4,4b4はプリズムであり、前出図面に対応する部分には全て同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0028】
図4(a)において、積層導光体3は同一外形をなす導光体薄板4a,4bを2枚重ね合わせた構成であり、積層導光体3のこれら導光体薄板4a,4bの断面は長方形とした略直方体形状をなし、両端面が入光面4a1,4b1をなしている。これら入光面4a1,4b1とは直角をなす長手方向に細長い4つ面のうち、幅の狭い2つの面の一方が平面状の出光面4a2,4b2をなしており、これとは反対側の他方の面がプリズム面4a3,4b3をなしている。これら4つの面は、基本的には、全て光損失のないレベルで鏡面に仕上げられるが、光の指向性を弱めて拡散させるために、意図的に凹凸を付加する場合もある。
【0029】
導光体薄板4a,4bのプリズム面4a3,4b3には夫々、その拡大図である図4(b)に示すように、ほぼV字形状のプリズム4a4,4b4の列が形成されており、これら導光体薄板4aのプリズム4a4と導光体薄板4bのプリズム4b4とは、これら導光体薄板4a,4bの積層方向に見て、プリズムのV字部分が重ならないようにしている。即ち、導光体薄板4aのプリズム4a4のV字部分の配列方向のピッチと導光体薄板4bのプリズム4b4の同様のピッチとは、互いに等しいが、それらのV字部分がその配列方向にずれるようにしている。従って、このずれ量をV字部分のピッチの1/2だけずれるようにした場合には、これら導光体薄板4a,4bの積層方向から見て、導光体薄板4a,4bのプリズム4a4,4b4の一方のV字部分の頂部の間に他方のV字部分の頂部があるように、これらプリズム4a4,4b4の列が形成されている。
【0030】
なお、これらプリズム4a4,4b4のずれ量がV字部分のピッチの1/2である方が最も好ましいが、V字部分のピッチの1/2に近いずれ量であれば、必ずしも1/2である必要はない。
【0031】
このようなプリズム4a4,4b4の列としては、それらを別々に作成してもよいが、1つの金型から得られた同一部品を使用することが生産コスト的に望ましく、長手方向のセンタから左右非対称にかかるプリズムのV字部分を形成し、このようにして作成した導光体薄板を2枚、互いに裏返した関係で積層することにより、上記のように、プリズム4a4,4b4の列のV字部分が互いにずれた関係で導光体薄板4a,4bを積層させることができる。
【0032】
かかるプリズム4a4,4b4により、LED2(図1)から入光された光が出光面4a2,4b2側に反射されるようにしている。図5はこの反射、偏向の様子を模式的に表わした積層導光体3の平面図である。
【0033】
同図において、積層導光体3では、導光体薄板4a,4bの両端面の入光面4a1,4b1でLED2からの光を入光し、これらを夫々内部に配列されるプリズム4a4,4b4で反射させてそれらの向きを90゜偏向させ、出光面4a2,4b2から出光させるものであるが、このためには、上記のように、導光体薄板4a,4bからなるこの積層導光体3は断面形状を長方形とした略直方体が望ましいものであり、また、出光面4bの反対側の面を微細なプリズム4a4,4b4の列が形成されたプリズム面4a3,4b3として、LED2から入光された光を漏れなく反射、偏向させるために、光の全反射の性質を利用しているものである。
【0034】
このように、LED2から棒状導光体3に入射された光は各導光体薄板4a,4bに分かれて棒状導光体3内を全反射で進むことから、全反射の繰り返し回数は増し、高い効率でプリズム4a4,4b4に当って出射面4a2,4b2より出射させることができる。また、導光体薄板4a,4bに分かれて光が進むことから、直線性を損なうことなく、光を配置換えできる。これによって、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させることができる。
【0035】
ここで、導光体薄板4a,4bのプリズム4a4,4b4の列のピッチをずらすことにより、積層導光体3に生ずる輝点をぼやかすものであるから、後述する導光板での輝線を効果的になくすことができるのである。即ち、この第1の実施形態においても、図6に示すように、積層導光体3を構成する導光体薄板4a,4bに夫々上記の輝点Sが生ずるが、これらに生ずる輝点Sは、従来の1つの線状導光体からなる棒状導光体に生ずる図17に示すような輝点Sに比べ、低輝度でかつ小さなものである上、導光体薄板4a,4bのプリズム4a4,4b4のピッチがずれていることから、これら導光体薄板4a,4bの出光面4a2,4b2に生ずる輝点が位置ずれしており、これを全体的に見ると、図17に示す輝点Sに比べて、破線で示すように、広がって薄くなったような輝点となる。これにより、積層導光体3に生ずる輝点による影響を低減できることになる。
【0036】
導光体薄板4a,4b(即ち、積層導光体3)は、全光線透過率が85%以上、屈折率が1.45〜1.60の熱可塑性樹脂で形成したものである。即ち、生産性を考えれば、金型を用いて大量生産することが望ましく、積層導光体3内で光を損失なく伝達させるためには、表面反射を含んだ全光線透過率が85%以上の材料が好ましい。また、空気との屈折率差を利用して導光体内を損失なく全反射させるためには、屈折率が1.45〜1.60の材料が好ましい。全反射とは、全ての光エネルギーが損失なく反射される現象であって、このための材料となる熱可塑性材料としては、PMMA(ポリメタクリ酸メチル),PC(ポリカーボネート),PS(ポリスチレン),COP(環状オレフィンポリマ),COPとポリエチレンの共重合体であるCOC(環状オレフィンコポリマ)などが挙げられる。
【0037】
積層導光体3の製造方法の一具体例としては、その材料として、旭化成社製のPMMAデルペット70NHXを用い、射出成形法で製作した。デルペットの全光線透過率は93%(ASTM DlOO3)、屈折率は1.49(ASTM D542)である。プリズム面4a3,4b3のプリズム4a4,4b4に関しては、この形状をほぼV字形状としているので、これと反転したプリズムパターンを金型上に形成し、金型温度を90℃、成形機のシリンダ温度を240℃として成形することにより、PMMA製の積層導光体3を得た。
【0038】
図7は反射板5の一具体例の構造を示す図であって、同図(a)は全体斜視図、同図(b)は同図(a)での長手方向の分断線A−Aに沿う断面図、同図(c)は同図(a)における中心部での幅方向の分断線B−Bに沿う断面図、同図(d)は同図(a)における端部での幅方向の分断線C−Cに沿う断面図であり、5aは開口部、5bは上壁部、5cは下壁部、5d,5eは側壁部、5fは背壁部である。なお、図7(b)〜(d)においては、反射板5での積層導光体3やLED2の挿入状態も破線で示している。
【0039】
図7(a)〜(d)において、反射板5は上壁部5bと下壁部5cと側壁部5d,5eと背壁部5fとから構成されており、反射板5の両端部では、下壁部5cが存在しない構造となっている。反射板5の背壁部5fとは反対側は開放されて開口部5aとなっており、このため、反射板5の端部以外では、図7(c)に示すように、断面形状がコ字状をなしており、端部では、図7(d)に示すように、逆L字状をなしている。この開口部5a側から積層導光体3を反射板5内に挿入することができるが、積層導光体3は上壁部5bと下壁部5cとの間に入り込み、LED2は、図3で先に説明したように、ベースフィルム6aに固定されているので、下壁部5cがない部分に入り込むことになる。このようにして、積層導光体3と2つのLED2とが、開口部5a側を除いて、反射板5によって覆われることになる。従って、積層導光体3は、その出光面4a3,4b3(図4)側が開口部5a側を向くように、反射板5内に挿入されることになる。
【0040】
かかる反射板5においては、挿入された積層導光体3の出光面4a3,4b3側を除く少なくとも3面(即ち、上壁部5bや下壁部5c,背壁部5fの内面)以上、好ましくは5面(側壁部5d,5eを含める)を反射率85%以上の反射面としており、これにより、LED2から出光された光を積層導光体3から開口部5a側に漏れなく出光させることができる。
【0041】
反射板5としては、PET(二軸延伸ポリエステル)を発泡させたものや銀、アルミニウムなどをポリエステル基材に蒸着、スバッタさせたものをアルミニウムやステンレスなどの薄板材にラミネートしたものが用いられる。これらの材料は、所望のサイズに打ち抜いた後、順送プレスなどを用いて曲げ加工されて製造される。例えば、銀をポリエステルにスパッタさせ、アルミニウム材にラミネートしたものを順送プレス金型によって所望サイズに打ち抜き、これを折り曲げて加工し、反射板5を形成した。かかる反射板5によると、略コの字型で積層導光体3から漏れた光を反射させて再び積層導光体3に入射させるために、内面が反射率90%以上のポリエステル/銀スパッタ面となる。
【0042】
次に、液晶表示パネル用の照明装置として好適に用いられる上記線状光源1を用いた本発明による面照明装置の一実施形態について説明する。
【0043】
図8はこの実施形態を示す図であって、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)の分断線D−Dに沿う断面図であり、また、図9はこの実施形態を用いた液晶表示パネルの一具体例を示す斜視図であり、7は導光板、7aは導光板入光面、7bは導光板出光面、7cは導光板プリズム面、7dは導光板プリズム、8は反射防止膜、10は面照明装置、11は液晶表示パネル、12は反射型液晶である。
【0044】
図8(a)において、この実施形態の面照明装置10は、反射型液晶12(図9)とほば同じ大きさに形成された透明な熱可塑性樹脂からなる平板状の導光板7を備え、この導光板7の1つの側面を導光板入光面7aとしている。この導光板入光面7aに先に実施形態として説明した線状光源1の出光面4a2,4b2が対向しており、この線状光源1の出光面4a2,4b2からの光が導光板入光面7aから面照明装置10の導光板7内に入光される。
【0045】
また、図8(b)で示すように、この導光板7の裏面には、フレネル反射を防止して効率良く光を反射型液晶12(図9)に導くために、反射防止膜8が形成される。この反射防止膜8は、界面反射に伴うコントラストの低下や光の透過率の低下を抑えるためのものであって、高屈折率材料と低屈折材料とを組み合わせた多層膜で構成され、可視光の1/4波長の膜厚とすることにより、透過光と反射光とを1/2波長ずれた逆位相によって反射を抑えるものである。
【0046】
導光板7の表面側は導光板プリズム面7cをなしており、導光板入光面7aから入光された光を反射、偏向させるための導光板プリズム7dが形成されている。この導光板プリズム7dで反射、偏向された光は導光板出光面7bから出光される。
【0047】
図9において、液晶表示パネル11は反射型液晶12の前面に面照明装置10が配置された構成をなしてより、面照明装置10における導光板7の導光板出光面7b(図8)から出光された光が、反射型液晶12の前面に照射される。
【0048】
この種の面照明装置10はフロントライトと呼ばれるものであって、屋外や室内の電灯下では、外光を利用し、無灯下時のみフロントライトを点灯するものであり、常に、面照明装置の点灯が必要なバックライトに比べて省電力化が可能である。
【0049】
ここで、導光板7の材質は、特に限定されないが、透過率や成形性の面からして、積層導光体3と同様に、PMMA(ポリメタクリ酸メチル),PC(ポリカーボネート),PS(ポリスチレン),COP(環状オレフィンポリマ),COPとポリエチレンの共重合体であるCOC(環状オレフィンコポリマ)などが挙げられる。
【0050】
なお、以上の実施形態では、積層導光体3が2枚の導光体薄板4a,4bを積層して構成されたものとしたが、3枚以上の導光体薄板を積層したものであってもよい。
【0051】
次に、上記の2枚の導光体薄板4a,4bを積層してなる積層導光体3を用いて図8に示すように構成した面照明装置10を実施例1とし、3枚の導光体薄板を積層してなる積層導光体3を用いて図8に示すように構成した面照明装置10を実施例2として、比較例としての従来の構成の面照明装置との特性を比較した結果について説明する。ここで、実施例2及び比較例について説明する。
【0052】
〔実施例2〕
実施例2は、図10(a)に示すように、積層導光体3が3枚の導光体薄板4a,4b,4cを重ねた構成とするものであり、これら3枚の導光体薄板のうち、上側の導光体薄板4aと下側の導光体薄板4cとは、実施例1と同様に、入光面4a1,4c1の向きが互いに逆となり、図10(b)に示すように、これら導光体薄板4a,4cのプリズム面4a3,4c3でのプリズム4a4,4c4の列が互いにそのピッチの1/2だけずれるようにしている。また、中央の導光体薄板4bでは、そのプリズム4b4のV字部分が上下の導光体薄板4a,4cのプリズム4a4,4c4のいずれのV字部分とも重ならないようにしている。勿論、これら導光体薄板4a,4b,4cのプリズム4a4,4b4,4c4の列のV字部分が順次等量ずつずれるようにしてもよい(このことは、4枚以上の導光体薄板を積層する場合も同様である)。
【0053】
なお、これら導光体薄板4a,4b,4cの材質は、実施例1と同様に、PMMAであり、射出成形して製作した。また、この積層導光体3以外の線状光源3及び面照明装置10といった部品は、実施例1と同じ構成、組み立て方法によって得たものである。
【0054】
〔比較例1〕
比較例1は、線状光源に、図11に示すように、積層構造をなさない棒状導光体13を用いるものである。この棒状導光体13の材質は、実施例1と同様に、PMMAであって、射出成形して製作した。また、それ以外の線状光源や面照明装置といった部品の構成、組み立て方法も、実施例1と同様である。
【0055】
〔比較例2〕
比較例2は、比較例1と基本構成は同様であるが、図12に示すように、輝線対策として、棒状導光体13の出光面13bにヘーズ85%の拡散板14を光線透過率90%の拡散板粘着材15でもって貼り付けたものである。これ以外の線状光源及び面照明装置の構成は、実施例1と同様である。
【0056】
〔比較例3〕
比較例3は、比較例1と基本構成は同様であるが、図13に示すように、輝線対策として、棒状導光体63の出光面64bを、面粗さRt30μm、Ra3μmの凹凸シボ加工を施することにより、シボ面16としたものである。これ以外の線状光源及び面照明装置の構成は、実施例1と同様である。
【0057】
〔評価〕
以上の実施例1、2及び比較例1〜3について、LED2に夫々18mAの電流を流して点灯させ、輝度,輝度分布,輝線の有無の確認を行なった。
【0058】
図14はその評価方法の説明図であり、面照明装置を夫々面発光させたときの輝度及び輝度分布の評価として、図14(a)に示すように、導光板7の面内を縦方向3等分、横方向3等分の9個のブロックに等分し、夫々のブロックの中心輝度を求めた。
【0059】
かかる輝度の測定方法としては、図14(b)に示すように、導光板プリズム面7cと導光板出光面7bとを上下反転させ、図面上の上方向に出光させるものとした。線状光源1から出光した光は導光板7の導光板プリズム7dで反射、偏向され、導光板出光面7bから出光されるが、導光板出光面7bからその法線21方向に出射される光を輝度計20(市販されているトプコン社製の輝度計BM7を用いた)により、視野角(測定角)1度、被測定物までの距離350mmで測定した。
【0060】
次の表1はその測定結果を示すものであって、この測定結果としては、導光板7の中央輝度、上記9個のブロックの平均輝度、上記9個のブロックの最小値に対する最大値の商を求めて輝度分布(%)とした。また、輝度計20に替え、目視で導光板7内に生じる輝線の有無を確認した。なお、用いたLED2の輝度のばらつきを極力排除するために、予め光度を測定して選別したものを用いた。
【0061】
【表1】
表1から、実施例1,2のいずれも、中央輝度,平均輝度及び輝度分布は良好であり、輝線も確認されなかった。これに対し、比較例1では、中央輝度は良好であるものの、輝線が確認されるとともに輝度分布が低下しており、これに伴って平均輝度が低下していることが判る。また、比較例2,3では、輝線は発生せず、輝度分布も良好であるものの、中央輝度や平均輝度が低いことが判る。
【0062】
以上の結果から、上記比較例では、棒状導光体13の出光面に、図12及び図13に示すように、拡散板を設けたり、凹凸シボ加工を施すことにより、輝線の発生を抑え、良好な輝度分布が得られる反面、輝度低下が生じてしまう。これに対し、上記実施例1,2の線状光源1及びこの線状光源1を用いた面光源は、輝線や輝度分布,輝度とも良好であることが判る。
【0063】
図15は本発明による線状光源の第2の実施形態の要部である積層導光体を示す平面図であって、前出図面に対応する部分には同一符号を付けている。
【0064】
同図において、この実施形態では、積層導光体3が2枚の導光体薄板4a,4bを積層してなるものとしており、夫々のプリズム面4a4,4b4のプリズムは、それらの傾斜角がθ2,θ1(但し、θ2≠θ1)と異なるものである。なお、これらプリズムのピッチは等しい。
【0065】
かかる構成においても、プリズム面4a4,4b4での反射方向が異なるから、これら導光体薄板4a,4bの出光面4a2,4b2に生ずる輝点も、図6に示したの同様となり、先の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
なお、ここでは、積層導光体3が2枚の導光体薄板4a,4bを積層してなるものとしたが、3枚以上が積層されたものとすることもできる。この場合には、少なくとも、1つおきの導光薄板と他の1つおきの導光薄板とでは、プリズムの傾斜角を異ならせるようにする。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、光源チップから出射された光を略直方体形状の棒状導光体の一端面もしくは両端面から入射させ、棒状導光体の長手方向の1面に入射された光を偏向、反射させるためのプリズム面を形成するとともに、このプリズム面と対向する面を棒状導光体の出射面とした線状光源において、棒状導光体が複数の板状導光体を積層してなり、棒状導光体の出射面を除く少なくとも3面以上を反射板で覆ったことにより、輝線がなく、高輝度の線状光源を得ることができる。
【0068】
また、棒状導光体のプリズム面に形成したプリズムが、積層方向に対して重なることなく、積層することにより、効果的に輝線の発生を抑え、輝度分布を向上させることができる。
【0069】
さらに、かかる線状光源を用い、板状の導光板の1側面に入射させ、導光板の1平面部に設けたプリズム面によってその光を偏向、反射させ、プリズム面と対向する平面部から出射させることにより、同様に高輝度で輝線のない面照明装置が得られる。
【0070】
これによって得られた線状光源及び面照明装置は、厳しい品質が要求される反射型液晶用の照明ユニットであるフロントライトとして最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による線状光源の第1の実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す線状光源の展開斜視図である。
【図3】図1に示す第1の実施例のフレキシブル回路基板と光源チップの取付け状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す線状光源の積層導光体を示す斜視図である。
【図5】図4に示す積層導光体から出射する光線を模式的に示した平面図である。
【図6】図4及び図5に示す積層導光体での輝点の発生状態を摸式的に示す図である。
【図7】図1に示す反射板と積層導光体、フレキシブル回路基板上のLEDとの組み込み状態を示す斜視図と部分断面図である。
【図8】本発明による第1の実施例の面照明装置を示す斜視図である。
【図9】図8に示す面照明装置を反射型液晶用の表示パネルとして用いた実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明による線状光源の第2の実施例での積層導光体を示す斜視図である。
【図11】比較例1の棒状導光体を示す斜視図である。
【図12】比較例2の棒状導光体と拡散板を示す斜視図である。
【図13】比較例3の棒状導光体と凹凸シボ面を示す斜視図である。
【図14】本発明の輝度計による測定方法を説明する(a)斜視図及び(b)断面図である。
【図15】本発明による線状光源の第2の実施形態の要部である積層導光体を示す平面図である。
【図16】従来の線状光源を用いた面照明装置を示す斜視図である。
【図17】図16に示した線状光源での輝点の発生状態を摸式的に示す図である。
【符号の説明】
1 線状光源
2 光源チップ(LED)
2a 発光面
3 積層導光体
4a〜4c 導光体薄板
4a1〜4c1 入光面
4a2〜4c2 出光面
4a3〜4c3 プリズム面
4a4〜4c4 プリズム
5 反射板
5a 開口部
5b 上壁部
5c 下壁部
5d,5e 側壁部
5f 背壁部
6 フレキシブル回路基板
6a ベースフィルム
6b 半田めっき
6c 両面粘着材
6d 回路パターン
6e,6f フィルム部
7 導光板
7a 導光板入光面
7b 導光板出光面
7c 導光板プリズム面
7d 導光板プリズム
8 反射防止膜
10 面照明装置
11 液晶表示パネル
12 反射型液晶
13 棒状導光体
13b 出光面
14 拡散板
15 拡散板粘着材
16 シボ面
20 輝度計
21 法線
30 棒状導光体
31 LED
32 導光板
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、小型の液晶表示パネルに用いられる照明装置などに係り、特に、液晶表示装置をその前面側から光照射するフロントライト型の反射型液晶表示パネルの線状光源及びこれを用いた面照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信の高速化やIT化に伴い、比較的小型の携帯情報端末が民生向け商品として急速に市場に浸透しつつある。その代表的なものに携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant),スマートフォンがあり、これら携帯情報端末の基幹デバイスとして液晶表示装置が使われる。中でも、カラー表示可能なSTN(Super Twisted Nematic)型液晶やTFT(Thin Film Transistor)型液晶,TFD(Thin Film Diode)型液晶が従来の主流であったモノクロ液晶に急速に置き換わりつつあり、より高精細で小型,省電力,低コストなものが求められている。
【0003】
液晶表示装置自身は、発光性を持たないため、バックライトあるいはフロントライトと呼ばれる照明ユニットが付属され、これによって初めて色表示が可能となる。バックライトは透過型あるいは半透過型液晶に用いられ、文字通り液晶の背面側から照射することによって、その照明光が液晶内のカラーフィルタを透過し、色表示が可能となる。また、フロントライトは反射型液晶に用いられ、液晶表示装置の前面側から照射することによって、液晶内の反射電極前面に設けたカラーフィルタを透過し、色表示が可能となる。
【0004】
これらの照明ユニットは、一般に、導光板と呼ばれる透明プラスチック製の面状発光体を冷陰極蛍光管やLED(発光ダイオード)などを用いて照射する構造をなしている。特に、携帯電話やPDAでは、屋外で使うモバイルユースとして、低消費電力化も然ることながら、通信時の電気ノイズの問題から、LEDが主として使われる傾向にある。このLEDは、液晶カラー表示の色演出性や表示品位を損ねないようにするために、白色のものが使われる。従来、赤色,緑色,青色の、所謂RGB3原色のLEDを組み合わせて白色を発光させていたが、最近では、日亜化学工業社に代表されるGaN系青色LED素子から発する青色光をパッケージに塗布したYAG系蛍光体に照射させて、1つのチップから白色光を得ることが可能とされる。
【0005】
一般に、携帯電話には、対角長が2インチ前後の液晶が搭載され、これに対応して、表示パネル用照明ユニットの導光板も略同サイズとなり、これに使われるLEDは、2個から、多いものでは、4個となる。また、PDAには、対角長が3〜4インチサイズの液晶が搭載され、同様に、これに対応して表示パネル用照明ユニットの導光板も略同サイズとなり、使われるLEDは4個から、多いものでは、6個となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
液晶表示パネルの高精細化に伴って、照明ユニットから照射される光の透過する部分の面積、即ち、開口率は狭まり、これに対応してバックライト、フロントライトとも年々高輝度化が求められている。このため、照明ユニット側の光利用効率を向上させる目的で、導光板のプリズム形状や光源配置など様々な工夫がなされている。
【0007】
LEDから発する光の導光板への入射方法としては、LEDの発光面を導光板の端面に向けて配置し、直接導光板へ入射する方法が多用されるが、構造がシンプルである反面、導光板内での輝度むらが発生し易いという問題を抱えている。
【0008】
これに対し、図16に示すように、液晶(図示せず)のフロント側に配置される導光板32の一端面を入射面とし、また、棒状の線状導光体(以下、棒状導光体という)30の一側面を出光面とし、これら入射面と出光面とが重なり合うように、これら導光板32と棒状導光体30とを一体化し、さらに、この棒状導光体30の一端面もしくは両端面に発光チップとしてのLED31を取り付けた構成の照明ユニットが提案されている。かかる照明ユニットでは、LED31から発する光を棒状導光体30に一旦入光させて、そこで均一化した光を導光板32に入射させるものである。特に、フロントライトでは、反射型液晶の前面にこの導光板が位置されることから、液晶の表示品位を阻害しない高い透明性が求められ、液晶の背面に位置するバックライトなどで多用される光を拡散させるための拡散シートや光を集光させるためのプリズムシートが使えず、この棒状導光体は必須の部品となる。
【0009】
しかしながら、このLEDは指向性が強いことから、本来、棒状導光体は均一な線状発光をすべきものであるが、輝線、即ち、光の強弱を完全に取り除くことができないという問題を抱えている。これは、LEDの発光面がある程度の発光面積を持った一様な輝度の完全拡散面ではなく、発光素子を中心とした点状発光体であるが故に、図17に示すように、棒状導光体30の上記出光面30aには、取り付けるLEDの個数に応じてそのn倍の輝点Sが現れる。例えば、棒状導光体30の両端面に夫々2個ずつ、計4個のLED31を配置した場合、棒状導光体30の出光面30aには、8個所の輝点Sが観察され、これに応じて、棒状導光体30に取り付けた板状の導光板32にも、8本の輝線が生じてしまう。これは、LED31の光度や棒状導光体から出射される光の強度が増せば、より顕著となる。
【0010】
この対策として、LEDの出射面と棒状導光体の端面との間、もしくは棒状導光体の出射面と板状の導光板の入射面との間に拡散板を設ける提案がなされているが、この場合には、光が拡散することによって光量の損失が生じ、その結果として、導光板から出射される光の輝度は低下してしまい、また、前述したように、導光板内の輝度分布を向上させる目的でLEDから出射された光を一旦線状光源に入射させて、均一な線状発光にしたものを導光板内に入射させるという本来の目的を損なうことになる。
【0011】
一般に、拡散板はヘーズと呼ばれる全光線透過率に対する拡散透過率の比率によって透明性が左右され、ヘーズが高いものは、擦りガラス状となって輝線を効果的に消すことができる反面、光の直進性や透過率を損なう。逆に、ヘーズが低いものは、光の直進性や透過率を維持できるものの、効果的に輝線を消すことができない。特に、照明ユニットの明るさの指標として、照明ユニットの発光面に対する法線方向の輝度が重要視されており、光が拡散されて無方向に散らばることにより、直線性が損なわれ、輝度が低下してしまう。このことからも、ヘーズと輝度とは二律背反の関係にあり、輝度を損なうことなく、輝線を消すことが最大の課題となる。
【0012】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、棒状導光体からの出射光に対し、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させるようにした線状光源及び面照明装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、光源チップから出射された光を略直方体形状の棒状導光体の一端面もしくは両端面から入射させ、棒状導光体の長手方向の1面に入射された光を偏向、反射させるためのプリズム面を形成するとともに、プリズム面と対向する面を棒状導光体の出射面とした線状光源であって、棒状導光体が複数の板状の導光体薄板を積層してなり、棒状導光体の出射面を除く少なくとも3面以上を反射板で覆うものである。棒状導光体は少なくとも2枚以上の導光体薄板で形成し、特に、枚数の制限はないが、液晶表示装置自身、より薄型化のものが好まれることから、光源チップから出射される光を漏れなく受光するレベルで極力薄型化したものが望まれ、この厚みと導光体薄板が成形可能な最小厚みによって枚数が自ずと決まる。LEDから棒状導光体に入射された光は各導光体薄板に分かれて棒状導光体内を全反射で進むことから、全反射の繰り返し回数は増し、高い効率でプリズムに当って出射面より出射させることができる。また、各導光体薄板に分かれて光が進むことから、直線性を損なうことなく、光を配置換えできる。これによって、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させることができる。
【0014】
また、棒状導光体のプリズム面に形成したプリズムの列が、積層方向から見て、互いに重なることなく、積層させることによって、光を効率的に配置換えすることができ、これによって、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させることができる。
【0015】
また、本発明は、光源チップと直方体形状の棒状導光体とからなり、光源チップから出射された光を棒状導光体の一端面もしくは両端面から入射させ、棒状導光体の長手方向の1つの面に入射された光を反射、偏向させるためのプリズム面を形成するとともに、プリズム面と対向する面を棒状導光体の出射面とした線状光源であって、棒状導光体が複数の板状の導光体薄板を積層してなり、棒状導光体の出射面を除く少なくとも3面以上が反射板で覆われているとともに、棒状導光体から出射された光を導光板薄板の1つの側面に入射させ、導光板の1つの平面部に設けたプリズム面によってその光を反射、傾向させ、プリズム面と対向する平面部から出射させるものである。これによって導光板から出射される面状発光は、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて具体的に説明するが、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明による線状光源の第1の実施形態を示す斜視図であって、同図(a)は全体構成を示す図、同図(b)はその一部を拡大して示す図であり、図2はその展開斜視図、図3はその光源チップの取付け状態を示す斜視図であって、1はこの第1の実施形態の線状光源、2は光源チップとしてのLED、2aはLED2の発光面、3は積層導光体、4a,4bは導光体薄板、4a1,4b1は入光面、4a2,4b2は出光面、4a3,4b3はプリズム面、5は反射板、5aは開口部、6はフレキシブル回路基板、6aはベースフィルム、6bは半田めっき、6cは両面粘着材、6dは回路パターン、6e,6fはフィルム部である。
【0018】
この第1の実施例の線状光源1は、図2に示すように、フレキシブル回路基板6と、2個のLED2と、2つの導光体薄板4a,4bが積層されてなる積層導光体3と、反射板5とで構成されるものであって、これらLED2と積層導光体3と反射板5とが組み合わされてフレキシブル回路基板6上に設けられることにより、図1に示すような構成をなしている。
【0019】
図3に示すように、2個のLED2が、夫々のLED発光面2aが互いに向き合うようにして、フレキシブル回路基板6上に実装されている。
【0020】
フレキシブル回路基板6は、細長いフィルム部6eからこれにほぼ垂直に細長いフィルム部6fが突出したほば逆L字状の形状をなすベースフィルム6aに回路パターン6dが形成されたものであって、この回路パターン6dの絶縁や保護のために、図示していないが、さらに、カバーコートがなされている。
【0021】
ベースフィルム6aとしてはポリイミド製のものが用いられ、このベースフィルム6a上に銅箔が貼り付けられ、フォトレジスト法やスクリーン印刷法などでエッチングすることにより、所望の回路パターン6dを形成する。そして、上記のように、カバーコートがなされるとともに、図2に示すように、ベースフィルム6aのフィルム部6eの両端部をLED2の実装部として、この実装部にLED2の半田付けを容易にするために、半田めっき6bがなされる。また、ベースフィルム6aの裏面には、機械的な強度を高めるために、図示しないが、同じポリイミド製の補強板が熱硬化性の接着剤を用いて貼り付けられる。
【0022】
LED2の実装方法としては、かかるフレキシブル回路基板6に、まず、半田ペーストを塗布し、チップマウンタと呼ばれるロボットで2つのLED2を夫々精度良くフレキシブル回路基板6上の半田めっき6bの部分に配置した後、かかるフレキシブル回路基板6をリフロー炉に通す。これにより、半田ペーストが溶け出し、フレキシブル回路基板6上にLED2が半田付けされる。実装精度はチップマウンタの位置精度で決まるが、±0.1mmの位置精度で実装品を製作した。
【0023】
LED2は、日亜化学工業社製のNSCW215白色チップタイプLEDを用いた。なお、ここで、光源チップとして、LEDを用いた場合について説明するが、光源チップとしては、白色のLEDが主に用いられる他、LD(レーザダイオード)やPL(フォトルミネツセンス)発光のものなどの点光源、あるいは面光源であっても、非常に小さい面積で発光するチップ状にパッケージングされたものであって、この第1の実施形態では、サイドビューと呼ばれる実装面に対して直角をなす面から出光するタイプの光源を用いているが、いずれの光源チップであっても、以下に説明するLEDの場合と同様の効果が得られるものである。
【0024】
また、光源チップの使用数は、ここでは、2個としているが、数に限定はなく、発光面を夫々対向させて配置する偶数個が輝度、輝度分布的に好ましく、携帯電話などの小型のものについては、2個、PDAなどの中型のものについては、4個が夫々適している。また、携帯電話など小型で輝度、輝度分布よりも消費電力を重視する場合には、1個の構成でも構わない。
【0025】
なお、導光板薄板4a,4bの長手方向に沿う側面をプリズム面4a3,4b3とし、これらの反対側の同様の側面を出光面4a2,4b2としている。図1及び図2では、プリズム面4a3,4b3が図示されており、出光面4a2,4b2は隠れて図示していない。
【0026】
図2において、まず、反射板5が、両面粘着材6cにより、ベースフィルム6aのフィルム部6eに貼り付けられて固定され、次に、2枚の導光体薄板4a,4bが重ね合わされてなる積層導光体3を反射板5内に挿入することにより、図1に示す構成となる。かかる構成においては、積層導光体3を構成する2枚の導光体薄板4a,4bの両端面の入光面4a1,4b1が夫々のLED2のLED発光面2aに対向して配置される。
【0027】
図4は積層導光体3の一具体例を示す斜視図であって、同図(a)は全体構成を示し、同図(b)はプリズム面4a3,4b3の部分を拡大して示しており、4a4,4b4はプリズムであり、前出図面に対応する部分には全て同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0028】
図4(a)において、積層導光体3は同一外形をなす導光体薄板4a,4bを2枚重ね合わせた構成であり、積層導光体3のこれら導光体薄板4a,4bの断面は長方形とした略直方体形状をなし、両端面が入光面4a1,4b1をなしている。これら入光面4a1,4b1とは直角をなす長手方向に細長い4つ面のうち、幅の狭い2つの面の一方が平面状の出光面4a2,4b2をなしており、これとは反対側の他方の面がプリズム面4a3,4b3をなしている。これら4つの面は、基本的には、全て光損失のないレベルで鏡面に仕上げられるが、光の指向性を弱めて拡散させるために、意図的に凹凸を付加する場合もある。
【0029】
導光体薄板4a,4bのプリズム面4a3,4b3には夫々、その拡大図である図4(b)に示すように、ほぼV字形状のプリズム4a4,4b4の列が形成されており、これら導光体薄板4aのプリズム4a4と導光体薄板4bのプリズム4b4とは、これら導光体薄板4a,4bの積層方向に見て、プリズムのV字部分が重ならないようにしている。即ち、導光体薄板4aのプリズム4a4のV字部分の配列方向のピッチと導光体薄板4bのプリズム4b4の同様のピッチとは、互いに等しいが、それらのV字部分がその配列方向にずれるようにしている。従って、このずれ量をV字部分のピッチの1/2だけずれるようにした場合には、これら導光体薄板4a,4bの積層方向から見て、導光体薄板4a,4bのプリズム4a4,4b4の一方のV字部分の頂部の間に他方のV字部分の頂部があるように、これらプリズム4a4,4b4の列が形成されている。
【0030】
なお、これらプリズム4a4,4b4のずれ量がV字部分のピッチの1/2である方が最も好ましいが、V字部分のピッチの1/2に近いずれ量であれば、必ずしも1/2である必要はない。
【0031】
このようなプリズム4a4,4b4の列としては、それらを別々に作成してもよいが、1つの金型から得られた同一部品を使用することが生産コスト的に望ましく、長手方向のセンタから左右非対称にかかるプリズムのV字部分を形成し、このようにして作成した導光体薄板を2枚、互いに裏返した関係で積層することにより、上記のように、プリズム4a4,4b4の列のV字部分が互いにずれた関係で導光体薄板4a,4bを積層させることができる。
【0032】
かかるプリズム4a4,4b4により、LED2(図1)から入光された光が出光面4a2,4b2側に反射されるようにしている。図5はこの反射、偏向の様子を模式的に表わした積層導光体3の平面図である。
【0033】
同図において、積層導光体3では、導光体薄板4a,4bの両端面の入光面4a1,4b1でLED2からの光を入光し、これらを夫々内部に配列されるプリズム4a4,4b4で反射させてそれらの向きを90゜偏向させ、出光面4a2,4b2から出光させるものであるが、このためには、上記のように、導光体薄板4a,4bからなるこの積層導光体3は断面形状を長方形とした略直方体が望ましいものであり、また、出光面4bの反対側の面を微細なプリズム4a4,4b4の列が形成されたプリズム面4a3,4b3として、LED2から入光された光を漏れなく反射、偏向させるために、光の全反射の性質を利用しているものである。
【0034】
このように、LED2から棒状導光体3に入射された光は各導光体薄板4a,4bに分かれて棒状導光体3内を全反射で進むことから、全反射の繰り返し回数は増し、高い効率でプリズム4a4,4b4に当って出射面4a2,4b2より出射させることができる。また、導光体薄板4a,4bに分かれて光が進むことから、直線性を損なうことなく、光を配置換えできる。これによって、輝度を損なうことなく、効果的に輝線をなくして、輝度分布を向上させることができる。
【0035】
ここで、導光体薄板4a,4bのプリズム4a4,4b4の列のピッチをずらすことにより、積層導光体3に生ずる輝点をぼやかすものであるから、後述する導光板での輝線を効果的になくすことができるのである。即ち、この第1の実施形態においても、図6に示すように、積層導光体3を構成する導光体薄板4a,4bに夫々上記の輝点Sが生ずるが、これらに生ずる輝点Sは、従来の1つの線状導光体からなる棒状導光体に生ずる図17に示すような輝点Sに比べ、低輝度でかつ小さなものである上、導光体薄板4a,4bのプリズム4a4,4b4のピッチがずれていることから、これら導光体薄板4a,4bの出光面4a2,4b2に生ずる輝点が位置ずれしており、これを全体的に見ると、図17に示す輝点Sに比べて、破線で示すように、広がって薄くなったような輝点となる。これにより、積層導光体3に生ずる輝点による影響を低減できることになる。
【0036】
導光体薄板4a,4b(即ち、積層導光体3)は、全光線透過率が85%以上、屈折率が1.45〜1.60の熱可塑性樹脂で形成したものである。即ち、生産性を考えれば、金型を用いて大量生産することが望ましく、積層導光体3内で光を損失なく伝達させるためには、表面反射を含んだ全光線透過率が85%以上の材料が好ましい。また、空気との屈折率差を利用して導光体内を損失なく全反射させるためには、屈折率が1.45〜1.60の材料が好ましい。全反射とは、全ての光エネルギーが損失なく反射される現象であって、このための材料となる熱可塑性材料としては、PMMA(ポリメタクリ酸メチル),PC(ポリカーボネート),PS(ポリスチレン),COP(環状オレフィンポリマ),COPとポリエチレンの共重合体であるCOC(環状オレフィンコポリマ)などが挙げられる。
【0037】
積層導光体3の製造方法の一具体例としては、その材料として、旭化成社製のPMMAデルペット70NHXを用い、射出成形法で製作した。デルペットの全光線透過率は93%(ASTM DlOO3)、屈折率は1.49(ASTM D542)である。プリズム面4a3,4b3のプリズム4a4,4b4に関しては、この形状をほぼV字形状としているので、これと反転したプリズムパターンを金型上に形成し、金型温度を90℃、成形機のシリンダ温度を240℃として成形することにより、PMMA製の積層導光体3を得た。
【0038】
図7は反射板5の一具体例の構造を示す図であって、同図(a)は全体斜視図、同図(b)は同図(a)での長手方向の分断線A−Aに沿う断面図、同図(c)は同図(a)における中心部での幅方向の分断線B−Bに沿う断面図、同図(d)は同図(a)における端部での幅方向の分断線C−Cに沿う断面図であり、5aは開口部、5bは上壁部、5cは下壁部、5d,5eは側壁部、5fは背壁部である。なお、図7(b)〜(d)においては、反射板5での積層導光体3やLED2の挿入状態も破線で示している。
【0039】
図7(a)〜(d)において、反射板5は上壁部5bと下壁部5cと側壁部5d,5eと背壁部5fとから構成されており、反射板5の両端部では、下壁部5cが存在しない構造となっている。反射板5の背壁部5fとは反対側は開放されて開口部5aとなっており、このため、反射板5の端部以外では、図7(c)に示すように、断面形状がコ字状をなしており、端部では、図7(d)に示すように、逆L字状をなしている。この開口部5a側から積層導光体3を反射板5内に挿入することができるが、積層導光体3は上壁部5bと下壁部5cとの間に入り込み、LED2は、図3で先に説明したように、ベースフィルム6aに固定されているので、下壁部5cがない部分に入り込むことになる。このようにして、積層導光体3と2つのLED2とが、開口部5a側を除いて、反射板5によって覆われることになる。従って、積層導光体3は、その出光面4a3,4b3(図4)側が開口部5a側を向くように、反射板5内に挿入されることになる。
【0040】
かかる反射板5においては、挿入された積層導光体3の出光面4a3,4b3側を除く少なくとも3面(即ち、上壁部5bや下壁部5c,背壁部5fの内面)以上、好ましくは5面(側壁部5d,5eを含める)を反射率85%以上の反射面としており、これにより、LED2から出光された光を積層導光体3から開口部5a側に漏れなく出光させることができる。
【0041】
反射板5としては、PET(二軸延伸ポリエステル)を発泡させたものや銀、アルミニウムなどをポリエステル基材に蒸着、スバッタさせたものをアルミニウムやステンレスなどの薄板材にラミネートしたものが用いられる。これらの材料は、所望のサイズに打ち抜いた後、順送プレスなどを用いて曲げ加工されて製造される。例えば、銀をポリエステルにスパッタさせ、アルミニウム材にラミネートしたものを順送プレス金型によって所望サイズに打ち抜き、これを折り曲げて加工し、反射板5を形成した。かかる反射板5によると、略コの字型で積層導光体3から漏れた光を反射させて再び積層導光体3に入射させるために、内面が反射率90%以上のポリエステル/銀スパッタ面となる。
【0042】
次に、液晶表示パネル用の照明装置として好適に用いられる上記線状光源1を用いた本発明による面照明装置の一実施形態について説明する。
【0043】
図8はこの実施形態を示す図であって、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)の分断線D−Dに沿う断面図であり、また、図9はこの実施形態を用いた液晶表示パネルの一具体例を示す斜視図であり、7は導光板、7aは導光板入光面、7bは導光板出光面、7cは導光板プリズム面、7dは導光板プリズム、8は反射防止膜、10は面照明装置、11は液晶表示パネル、12は反射型液晶である。
【0044】
図8(a)において、この実施形態の面照明装置10は、反射型液晶12(図9)とほば同じ大きさに形成された透明な熱可塑性樹脂からなる平板状の導光板7を備え、この導光板7の1つの側面を導光板入光面7aとしている。この導光板入光面7aに先に実施形態として説明した線状光源1の出光面4a2,4b2が対向しており、この線状光源1の出光面4a2,4b2からの光が導光板入光面7aから面照明装置10の導光板7内に入光される。
【0045】
また、図8(b)で示すように、この導光板7の裏面には、フレネル反射を防止して効率良く光を反射型液晶12(図9)に導くために、反射防止膜8が形成される。この反射防止膜8は、界面反射に伴うコントラストの低下や光の透過率の低下を抑えるためのものであって、高屈折率材料と低屈折材料とを組み合わせた多層膜で構成され、可視光の1/4波長の膜厚とすることにより、透過光と反射光とを1/2波長ずれた逆位相によって反射を抑えるものである。
【0046】
導光板7の表面側は導光板プリズム面7cをなしており、導光板入光面7aから入光された光を反射、偏向させるための導光板プリズム7dが形成されている。この導光板プリズム7dで反射、偏向された光は導光板出光面7bから出光される。
【0047】
図9において、液晶表示パネル11は反射型液晶12の前面に面照明装置10が配置された構成をなしてより、面照明装置10における導光板7の導光板出光面7b(図8)から出光された光が、反射型液晶12の前面に照射される。
【0048】
この種の面照明装置10はフロントライトと呼ばれるものであって、屋外や室内の電灯下では、外光を利用し、無灯下時のみフロントライトを点灯するものであり、常に、面照明装置の点灯が必要なバックライトに比べて省電力化が可能である。
【0049】
ここで、導光板7の材質は、特に限定されないが、透過率や成形性の面からして、積層導光体3と同様に、PMMA(ポリメタクリ酸メチル),PC(ポリカーボネート),PS(ポリスチレン),COP(環状オレフィンポリマ),COPとポリエチレンの共重合体であるCOC(環状オレフィンコポリマ)などが挙げられる。
【0050】
なお、以上の実施形態では、積層導光体3が2枚の導光体薄板4a,4bを積層して構成されたものとしたが、3枚以上の導光体薄板を積層したものであってもよい。
【0051】
次に、上記の2枚の導光体薄板4a,4bを積層してなる積層導光体3を用いて図8に示すように構成した面照明装置10を実施例1とし、3枚の導光体薄板を積層してなる積層導光体3を用いて図8に示すように構成した面照明装置10を実施例2として、比較例としての従来の構成の面照明装置との特性を比較した結果について説明する。ここで、実施例2及び比較例について説明する。
【0052】
〔実施例2〕
実施例2は、図10(a)に示すように、積層導光体3が3枚の導光体薄板4a,4b,4cを重ねた構成とするものであり、これら3枚の導光体薄板のうち、上側の導光体薄板4aと下側の導光体薄板4cとは、実施例1と同様に、入光面4a1,4c1の向きが互いに逆となり、図10(b)に示すように、これら導光体薄板4a,4cのプリズム面4a3,4c3でのプリズム4a4,4c4の列が互いにそのピッチの1/2だけずれるようにしている。また、中央の導光体薄板4bでは、そのプリズム4b4のV字部分が上下の導光体薄板4a,4cのプリズム4a4,4c4のいずれのV字部分とも重ならないようにしている。勿論、これら導光体薄板4a,4b,4cのプリズム4a4,4b4,4c4の列のV字部分が順次等量ずつずれるようにしてもよい(このことは、4枚以上の導光体薄板を積層する場合も同様である)。
【0053】
なお、これら導光体薄板4a,4b,4cの材質は、実施例1と同様に、PMMAであり、射出成形して製作した。また、この積層導光体3以外の線状光源3及び面照明装置10といった部品は、実施例1と同じ構成、組み立て方法によって得たものである。
【0054】
〔比較例1〕
比較例1は、線状光源に、図11に示すように、積層構造をなさない棒状導光体13を用いるものである。この棒状導光体13の材質は、実施例1と同様に、PMMAであって、射出成形して製作した。また、それ以外の線状光源や面照明装置といった部品の構成、組み立て方法も、実施例1と同様である。
【0055】
〔比較例2〕
比較例2は、比較例1と基本構成は同様であるが、図12に示すように、輝線対策として、棒状導光体13の出光面13bにヘーズ85%の拡散板14を光線透過率90%の拡散板粘着材15でもって貼り付けたものである。これ以外の線状光源及び面照明装置の構成は、実施例1と同様である。
【0056】
〔比較例3〕
比較例3は、比較例1と基本構成は同様であるが、図13に示すように、輝線対策として、棒状導光体63の出光面64bを、面粗さRt30μm、Ra3μmの凹凸シボ加工を施することにより、シボ面16としたものである。これ以外の線状光源及び面照明装置の構成は、実施例1と同様である。
【0057】
〔評価〕
以上の実施例1、2及び比較例1〜3について、LED2に夫々18mAの電流を流して点灯させ、輝度,輝度分布,輝線の有無の確認を行なった。
【0058】
図14はその評価方法の説明図であり、面照明装置を夫々面発光させたときの輝度及び輝度分布の評価として、図14(a)に示すように、導光板7の面内を縦方向3等分、横方向3等分の9個のブロックに等分し、夫々のブロックの中心輝度を求めた。
【0059】
かかる輝度の測定方法としては、図14(b)に示すように、導光板プリズム面7cと導光板出光面7bとを上下反転させ、図面上の上方向に出光させるものとした。線状光源1から出光した光は導光板7の導光板プリズム7dで反射、偏向され、導光板出光面7bから出光されるが、導光板出光面7bからその法線21方向に出射される光を輝度計20(市販されているトプコン社製の輝度計BM7を用いた)により、視野角(測定角)1度、被測定物までの距離350mmで測定した。
【0060】
次の表1はその測定結果を示すものであって、この測定結果としては、導光板7の中央輝度、上記9個のブロックの平均輝度、上記9個のブロックの最小値に対する最大値の商を求めて輝度分布(%)とした。また、輝度計20に替え、目視で導光板7内に生じる輝線の有無を確認した。なお、用いたLED2の輝度のばらつきを極力排除するために、予め光度を測定して選別したものを用いた。
【0061】
【表1】
表1から、実施例1,2のいずれも、中央輝度,平均輝度及び輝度分布は良好であり、輝線も確認されなかった。これに対し、比較例1では、中央輝度は良好であるものの、輝線が確認されるとともに輝度分布が低下しており、これに伴って平均輝度が低下していることが判る。また、比較例2,3では、輝線は発生せず、輝度分布も良好であるものの、中央輝度や平均輝度が低いことが判る。
【0062】
以上の結果から、上記比較例では、棒状導光体13の出光面に、図12及び図13に示すように、拡散板を設けたり、凹凸シボ加工を施すことにより、輝線の発生を抑え、良好な輝度分布が得られる反面、輝度低下が生じてしまう。これに対し、上記実施例1,2の線状光源1及びこの線状光源1を用いた面光源は、輝線や輝度分布,輝度とも良好であることが判る。
【0063】
図15は本発明による線状光源の第2の実施形態の要部である積層導光体を示す平面図であって、前出図面に対応する部分には同一符号を付けている。
【0064】
同図において、この実施形態では、積層導光体3が2枚の導光体薄板4a,4bを積層してなるものとしており、夫々のプリズム面4a4,4b4のプリズムは、それらの傾斜角がθ2,θ1(但し、θ2≠θ1)と異なるものである。なお、これらプリズムのピッチは等しい。
【0065】
かかる構成においても、プリズム面4a4,4b4での反射方向が異なるから、これら導光体薄板4a,4bの出光面4a2,4b2に生ずる輝点も、図6に示したの同様となり、先の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
なお、ここでは、積層導光体3が2枚の導光体薄板4a,4bを積層してなるものとしたが、3枚以上が積層されたものとすることもできる。この場合には、少なくとも、1つおきの導光薄板と他の1つおきの導光薄板とでは、プリズムの傾斜角を異ならせるようにする。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、光源チップから出射された光を略直方体形状の棒状導光体の一端面もしくは両端面から入射させ、棒状導光体の長手方向の1面に入射された光を偏向、反射させるためのプリズム面を形成するとともに、このプリズム面と対向する面を棒状導光体の出射面とした線状光源において、棒状導光体が複数の板状導光体を積層してなり、棒状導光体の出射面を除く少なくとも3面以上を反射板で覆ったことにより、輝線がなく、高輝度の線状光源を得ることができる。
【0068】
また、棒状導光体のプリズム面に形成したプリズムが、積層方向に対して重なることなく、積層することにより、効果的に輝線の発生を抑え、輝度分布を向上させることができる。
【0069】
さらに、かかる線状光源を用い、板状の導光板の1側面に入射させ、導光板の1平面部に設けたプリズム面によってその光を偏向、反射させ、プリズム面と対向する平面部から出射させることにより、同様に高輝度で輝線のない面照明装置が得られる。
【0070】
これによって得られた線状光源及び面照明装置は、厳しい品質が要求される反射型液晶用の照明ユニットであるフロントライトとして最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による線状光源の第1の実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す線状光源の展開斜視図である。
【図3】図1に示す第1の実施例のフレキシブル回路基板と光源チップの取付け状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す線状光源の積層導光体を示す斜視図である。
【図5】図4に示す積層導光体から出射する光線を模式的に示した平面図である。
【図6】図4及び図5に示す積層導光体での輝点の発生状態を摸式的に示す図である。
【図7】図1に示す反射板と積層導光体、フレキシブル回路基板上のLEDとの組み込み状態を示す斜視図と部分断面図である。
【図8】本発明による第1の実施例の面照明装置を示す斜視図である。
【図9】図8に示す面照明装置を反射型液晶用の表示パネルとして用いた実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明による線状光源の第2の実施例での積層導光体を示す斜視図である。
【図11】比較例1の棒状導光体を示す斜視図である。
【図12】比較例2の棒状導光体と拡散板を示す斜視図である。
【図13】比較例3の棒状導光体と凹凸シボ面を示す斜視図である。
【図14】本発明の輝度計による測定方法を説明する(a)斜視図及び(b)断面図である。
【図15】本発明による線状光源の第2の実施形態の要部である積層導光体を示す平面図である。
【図16】従来の線状光源を用いた面照明装置を示す斜視図である。
【図17】図16に示した線状光源での輝点の発生状態を摸式的に示す図である。
【符号の説明】
1 線状光源
2 光源チップ(LED)
2a 発光面
3 積層導光体
4a〜4c 導光体薄板
4a1〜4c1 入光面
4a2〜4c2 出光面
4a3〜4c3 プリズム面
4a4〜4c4 プリズム
5 反射板
5a 開口部
5b 上壁部
5c 下壁部
5d,5e 側壁部
5f 背壁部
6 フレキシブル回路基板
6a ベースフィルム
6b 半田めっき
6c 両面粘着材
6d 回路パターン
6e,6f フィルム部
7 導光板
7a 導光板入光面
7b 導光板出光面
7c 導光板プリズム面
7d 導光板プリズム
8 反射防止膜
10 面照明装置
11 液晶表示パネル
12 反射型液晶
13 棒状導光体
13b 出光面
14 拡散板
15 拡散板粘着材
16 シボ面
20 輝度計
21 法線
30 棒状導光体
31 LED
32 導光板
Claims (5)
- 光源チップと略直方体形状の棒状導光体とからなり、該光源チップから出射された光を該棒状導光体の一端面もしくは両端面から入射させ、該棒状導光体の長手方向の1つの面に入射された光を偏向、反射させるためのプリズム面が形成されているとともに、該プリズム面と対向する面を該棒状導光体の出射面とした線状光源において、
該棒状導光体は複数の板状の導光体薄板が積層されてなり、該棒状導光体の出射面を除く少なくとも3面以上が反射板で覆われていることを特徹とする線状光源。 - 請求項1において、
前記棒状導光体の複数の前記導光体薄板の夫々の前記プリズム面に形成されたプリズムは、全て同一傾斜角を有することを特徹とする線状光源。 - 請求項1において、
前記棒状導光体の複数の前記導光体薄板の夫々の前記プリズム面に形成されたプリズムは、直接重ね合わされる前記導光体薄板間で、異なる傾斜角を有することを特徹とする線状光源。 - 請求項1,2または3記載の線状光源において、
前記棒状導光体の複数の前記導光体薄板の夫々の前記プリズム面に形成されたプリズムが、積層方向に対して重なることなく、積層されていることを特徴とする線状光源。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の線状光源と、
該線状光源の前記棒状導光体の出射面から出射された光が入光される板状の導光板と
を備え、
該導光板は、その1つの側面を前記棒状導光体の出射面から出射された光の入光面とし、その1つの平面部をプリズム面として、該入光面から入光された光を該プリズム面によって偏向、反射させ、該プリズム面と対向する平面部から出射させることを特徴とする面照明装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002198837A JP2004039595A (ja) | 2002-07-08 | 2002-07-08 | 線状光源及びこれを用いた面照明装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007149668A (ja) * | 2005-11-24 | 2007-06-14 | Lg Innotek Co Ltd | 照明装置 |
KR100843658B1 (ko) | 2006-08-16 | 2008-07-03 | 김장규 | 엘이디 렌즈 및 이를 이용한 백라이트 유닛 그리고 액정디스플레이 장치 |
JP2016107133A (ja) * | 2014-07-23 | 2016-06-20 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電気掃除機およびその吸込具 |
KR101748622B1 (ko) | 2012-03-21 | 2017-06-20 | 한화테크윈 주식회사 | 칩마운터의 사이드 조명 장치 및 이를 이용한 칩마운터의 조명 장치 |
-
2002
- 2002-07-08 JP JP2002198837A patent/JP2004039595A/ja not_active Withdrawn
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