JP2004038369A - 切削パス予告装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】NC装置より次パス情報を抽出し、次パスが切削送りや早送りである場合には、報知音や発光手段を用い、あるいは次パス情報の文字表示属性を変更して作業者の注意を促すことによって直感的に次パス情報を認識できるようにする一方で、次パス情報の報知手段を本体から分離して作業者が携帯できるようにすることによって、作業者が工具の確認がしやすい位置での作業を可能とする切削パス予告装置を提供する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プログラムに基づいて工作機械に制御信号を出力するNC装置を有するNC工作機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2は、プログラムの初回運転において、作業者がNC工作機械の動きを監視する様子、特に切削送りに関する現状の注意行動を、従来の切削パス予告装置として示した図である。
【0003】
図において、1は従来の切削パス予告装置、2は工具を用いて加工処理を行う工作機械、3は工作機械を操作する作業者である。さらに、4は工作機械2に制御信号を出力するNC装置、5はNC装置4に制御信号を出力させるためのプログラムである。また切削パス予告装置1において、6はプログラム5の実行状況を抽出するプログラム抽出器、7は工作機械2内の工具先端の現在座標値を抽出する現在座標値抽出器、8はプログラム抽出器6の出力と現在座標値抽出器7の出力を表示し、工作機械2の状況を作業者3に伝えるNCモニターである。
【0004】
つぎに、従来の切削パス予告装置の動作について説明する。プログラム抽出器6は、NC装置4が実行しているプログラムを抽出し、NCモニタ8はその実行状況を作業者に表示するが、ここで、具体的なプログラムの表示方法としては、プログラム命令文の文字列の内、現在実行中の行を反転表示しながら、その前後の部分をスクローリング表示することが多い。また、現在座標値抽出器7が抽出する工具先端位置の現在座標値の表示は、座標系各成分の数値表示となることが多い。
【0005】
プログラムの初回運転時において、作業者3は、シングルステップと呼ばれるモードを選択することが多い。このモードでは、工具の動きが止まるたびに、工具が次にどのようなパスの動作を行うかということを、確認しながらサイクルスタートボタンを押して、実行を進めることができる。シングルステップモードでは、プログラムは1行ずつ実行され、作業者3がサイクルスタートボタンを押さないと次の行の実行に移らない。そして、そのプログラムの1行は、通常、工具パスのひとつに対応する。このとき、作業者3は、工作機械2の工具の実際の動きを見つつも、NCモニター8上の次の2つの情報に注目している。
【0006】
その第1は、プログラム抽出器6が出力する情報である。作業者3は、このプログラムにおける反転している行の次の行の内容を読んで、まず、それが切削送りであるか否かを判断し、その行に記された工具の動きを確認する。そして、安全であることが確認できれば、サイクルスタートボタンを押す。
【0007】
その第2は、現在座標値表示器7が出力する情報である。作業者3は、この数値を読んで、先に読んだプログラムの情報と併せて判断し、工具の動きを確認している。そして、切削送りなら工作の形状や条件を確認し、早送りなら工具のワークやテーブルなどへの接触がないことを確認し、安全であれば、サイクルスタートボタンを押す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の切削パス予告装置は、上記のように構成されているため、プログラム初回運転時の確認作業において誤操作をすることがあった。たとえば、それまでは早送りで駆動されていた工具が最初にワークに接触して切削が始まるというパスにおいて、実際のプログラムでは切削送りになっていなかった場合、確認作業において作業者がこの不具合に気づかなければ、工具は早送りのままでワークに高速で衝突してしまう。また、次のパスが切削送りの場合には、その工作の形状や条件について確認し、適切な工作が達成されるようにしなければならないが、初回運転時においてこれらを確認するのは困難であるために、実際には不適切な仕上がりとなってしまうことがあった。さらに、次のパスが早送りである場合には、工具のワークやテーブルに対する接触に注意を払うべきであるが、しばしば接触が生じていた。
【0009】
このような不適切な仕上がりや誤操作が生じてしまう理由として、次のことが考えられる。第一に、作業者3はシングルブロックで停止しているときには、次のパスのことを確認しなければならないのに、その情報は直接的には示されておらず、さらに、その次のパスが切削送りか早送りかによって、確認しなければならない事項が異なるのに、その情報も明示的に示されてはいないこと。第二に、その次のパスに関する確認事項は、実際に示されているものから何らかの解釈や計算処理によってしか得られず、直感的ではないこと。第三に、次のパスの確認のために知るべき情報は、工具が動作している位置から空間的に離れたところに表示されていること、である。
【0010】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、次のパスの情報を明示的かつ直感的に示すこと、あるいは、工具が動作している位置から空間的に近いところに表示することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被加工物を加工する工作機械内の工具の切削パスを予告する切削パス予告装置であって、工作機械から次パス情報を抽出する次パス情報抽出手段と、この次パス情報を報知する報知手段とを備えたものである。
【0012】
また本発明は、前記切削パス予告装置が、前記次パス情報から次パス軌道情報を抽出する次パス軌道情報抽出手段を備え、前記報知手段が、前記次パス軌道情報を前記次パス情報として報知するものである。
【0013】
また本発明は、前記切削パス予告装置が、前記次パス情報から次パス工作条件を抽出する次パス工作条件抽出手段を備え、前記報知手段が、前記次パス工作条件を前記次パス情報として報知するものである。
【0014】
また本発明は、前記切削パス予告装置が、前記次パス情報に基づきこの次パスが切削送りか早送りかを判断しその結果を切削早送り情報として出力する切削送り検出手段を備え、前記報知手段が、前記切削早送り情報を前記次パス情報とともに報知するものである。
【0015】
また本発明は、前記報知手段が、文字表示が可能な画面を有し、この画面に次パス情報を文字表示するとともに、前記切削早送り情報に基づいてこの画面上の文字表示属性を変化させるものである。
【0016】
また本発明は、前記報知手段が、次パスが切削送りである場合に報知音を発生する報知音発生手段を備えたものである。
【0017】
また本発明は、前記報知手段が、次パスが切削送りである場合に発光する発光手段を備えたものである。
【0018】
また本発明は、前記切削パス予告装置が、次パス情報を無線信号により送出する発信手段を備え、前記報知手段が、前記発信器より送出された次パス情報を受信する受信手段を備え、前記切削パス予告装置から分離して持ち運べる構成とされたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の実施の形態である切削パス予告装置を示すものである。なお、従来例と同じ構成要素については説明を省略する。図において、9は次パス情報を抽出する次パス情報抽出器である。また10は、次パスが早送りかどうかを判断し、その結果を切削/早送り情報として出力する切削送り検出器である。11は次パス軌道情報を出力する次パス軌道情報抽出器であって、12は次パス工作条件を出力する次パス工作条件抽出器である。13は前記切削送り/早送り情報、前記次パス軌道情報、および、前記次パス工作条件を電波信号として発信する発信器であって、14は作業者3によって携帯され、次パスに関する情報を表示する切削パス予告装置独立部である。切削パス予告装置独立部14にあって、15は前記電波信号を受信する受信機であり、16は次パスが作業者にとって注意を要するものである場合に報知音を発生する報知音発生器である。また17は次パスが作業者にとって注意を要するものである場合に発光によってそれを知らせる発光器であって、18は次パスに関する詳細な情報を表示する切削パス予告装置独立部モニタである。19は次パス軌道情報を表示する次パス軌道情報表示内容であって、20は次パス工作条件を表示する次パス工作条件表示内容である。最後に21は切削パス予告装置独立部モニタ18の表示文字あるいは背景色などの属性を変化させる表示属性制御器である。
【0020】
次に本実施の形態における切削パス予告装置の動作について説明する。従来例と同じ構成要素の動作については従来例と同じであるため省略し、ここでは、本実施の形態により新たに追加された部分の動作のみを説明する。
【0021】
まず、次パス情報抽出器9は、NC装置4から次パス情報を抽出し、切削送り検出部10、次パス軌道情報抽出部11及び次パス工作条件抽出部12に出力する。切削送り検出器10は、この次パス情報から、次パスが切削送りか早送りかを判断し、その結果を切削/早送り情報として出力する。また次パス軌道情報抽出器11は、前記次パス情報から、次パス始点座標値、次パス終点座標値、次パス進行方向、あるいは、次パス形状などの情報を、次パス軌道情報として出力する。同様に、次パス工作条件抽出器12は、次パス工具情報、次パス工具回転数、あるいは、次パス送り速度などの情報を、次パス工作条件として出力する。これら切削送り/早送り情報、次パス軌道情報、および、次パス工作条件は発信器13により、電波信号として切削パス予告装置独立部モニタ14の受信機15に送出される。
【0022】
切削パス予告装置独立部14は、作業者3により携帯されており、作業者3の手元で切削パスに関する情報を報知する。すなわち、報知音発生器16は、前記切削送り/早送り情報により、次パスが切削送りであることが判断された場合、そのことを示す報知音を発生させる。また、発光器17は、前記切削送り/早送り情報により、次パスが切削送りであることが判断された場合、そのことを示すために発光する。さらに、表示属性制御器21は、前記切削送り/早送り情報により、次パスが切削送りか早送りであるかに応じて、後述の切削パス予告装置独立部モニター上の表示文字あるいは背景色などの属性を変化させる。
【0023】
切削パス予告装置独立部モニター18は、受信器15が切削パス予告装置から受信する次パス軌道情報、次パス工作条件に基づいて、次パス軌道情報表示内容19と次パス軌道情報表示内容20を表示する。次パス軌道情報表示内容19は、次パス始点座標値、次パス終点座標値、次パス進行方向、あるいは、次パス形状などの情報をその内容とする。また次パス工作条件表示内容20は、次パス工具情報、次パス工具回転数、あるいは、次パス送り速度などの情報をその内容とする。次パス軌道情報表示内容19と次パス軌道情報表示内容20の表示属性は、表示属性制御器21によって適宜変化させる。たとえば前回パスと変化のあった情報のみを反転表示させたり、次パス工具回転数や次パス送り速度が所定値以上の場合には強調表示するといった方法が考えられる。
【0024】
なお、本実施の形態においては、切削パス予告装置独立部14を設けて、その上に切削パス予告装置独立部モニタ18を配置し、次パスに関する情報を表示したが、これらの表示機能は切削パス予告装置1本体に設けてもよい。また、その場合には、報知音発生器16、発光器17を切削パス予告装置1本体に設けてもよいことになる。
【0025】
以上のように、本実施の形態においては、NC装置本体より次パス情報を抽出して表示することとしたので、シングルブロックで停止しているときに、次パスに関する情報を直接的に確認できる。
【0026】
また次パス情報から切削/早送り情報を抽出して、これらを報知音発生器16および発光器17を通じて報知し、表示属性制御器21によって、切削パス予告装置独立部モニタ18上の表示属性を変更することによって、作業者3の注意を促すこととしたので、直感的に次パスが切削/早送りかどうかを識別することができる。
【0027】
また切削パス予告装置独立部14を設けて、これを携帯可能とすることにより、作業者3は工作機械の状態を作業しやすい場所や工作機械内部の状態を確認しやすい場所に持ち運ぶことが可能となり、工具が動作している位置から空間的に近いところにおいて上述の一連の情報を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、工作機械から次パス情報を抽出する次パス情報抽出手段と、この次パス情報を報知する報知手段とを備えたので、作業者に対し次パスに関する情報を明示的に示すことができ、かつ作業者は次パスに関する情報を直感的に認識することが可能であるという効果を有する。
【0029】
また本発明は、前記次パス情報から次パス軌道情報を抽出する次パス軌道情報抽出手段を備えたので、シングルブロックにおける次パス確認作業において、工具のワークやテーブルに対する接触が発生するか否かを直感的に識別することが可能であるという効果を有する。
【0030】
また本発明は、前記次パス情報から次パス工作条件を抽出する次パス工作条件抽出手段を備えたので、シングルブロックにおける次パス確認作業において、工具が高速で移動するパスを直感的に事前確認することが可能となるという効果を有する。
【0031】
また本発明は、前記次パス情報に基づきこの次パスが切削送りか早送りかを判断しその結果を切削早送り情報として出力する切削送り検出手段を備え、前記報知手段は、前記切削早送り情報を前記次パス情報とともに報知することとしたので、シングルブロックにおける次パス確認作業において、特に注意を有する切削送りや早送りに対して作業者の注意を促すことが可能となるという効果を有する。
【0032】
また本発明は、前記報知手段が、文字表示が可能な画面を有し、この画面に次パス情報を文字表示するとともに、前記切削早送り情報に基づいてこの画面上の文字表示属性を変化させることとしたので、シングルブロックにおける次パス確認作業において、次パスの処理内容を正確に把握し、特に次パスが切削又は早送りである場合に作業者の注意を促すことができるという効果を有する。
【0033】
また本発明は、前記報知手段が、次パスが切削送りである場合に報知音を発生する報知音発生手段を備えたので、シングルブロックにおける次パス確認作業において、聴覚の面からも作業者に注意を促すことが可能となるという効果を有する。
【0034】
また本発明は、前記報知手段が、次パスが切削送りである場合に発光する発光手段を備えたので、発光によって直感的に作業者の注意を促すことができるという効果を有する。
【0035】
また本発明は、次パス情報を無線信号により送出する発信手段を備え、前記報知手段が、前記発信器より送出された次パス情報を受信する受信手段を備えて、前記切削パス予告装置から分離して持ち運べる構成とされたので、作業者はこの報知手段を持ち歩くことが可能となり、工具の動作を確認しやすい位置から次パス情報を確認することが可能となるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成図である。
【図2】従来例の構成図である。
【符号の説明】
1 切削パス予告装置
2 工作機械
3 作業者
4 NC装置
5 プログラム
6 プログラム抽出器
7 現在座標抽出器
8 NCモニタ
9 次パス情報抽出器
10 切削送り検出器
11 次パス軌道情報抽出器
12 次パス工作条件抽出器
13 発信器
14 切削パス予告装置独立部モニタ
15 受信器
16 報知音発生器
17 発光器
18 切削パス予告装置独立部モニタ
19 次パス軌道情報表示内容
20 次パス工作条件表示内容
21 表示属性制御器
Claims (8)
- 被加工物を加工する工作機械内の工具の切削パスを予告する切削パス予告装置であって、工作機械から次パス情報を抽出する次パス情報抽出手段と、この次パス情報を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする切削パス予告装置。
- 前記切削パス予告装置は、前記次パス情報から次パス軌道情報を抽出する次パス軌道情報抽出手段を備え、前記報知手段は、前記次パス軌道情報を前記次パス情報として報知することを特徴とする請求項1記載の切削パス予告装置。
- 前記切削パス予告装置は、前記次パス情報から次パス工作条件を抽出する次パス工作条件抽出手段を備え、前記報知手段は、前記次パス工作条件を前記次パス情報として報知することを特徴とする請求項1記載の切削パス予告装置。
- 前記切削パス予告装置は、前記次パス情報に基づきこの次パスが切削送りか早送りかを判断しその結果を切削早送り情報として出力する切削送り検出手段を備え、前記報知手段は、前記切削早送り情報を前記次パス情報とともに報知することを特徴とする請求項1記載の切削パス予告装置。
- 前記報知手段は、文字表示が可能な画面を有し、この画面に次パス情報を文字表示するとともに、前記切削早送り情報に基づいてこの画面上の文字表示属性を変化させることを特徴とする請求項4記載の切削パス予告装置。
- 前記報知手段は、次パスが切削送りである場合に報知音を発生する報知音発生手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の切削パス予告装置。
- 前記報知手段は、次パスが切削送りである場合に発光する発光手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の切削パス予告装置。
- 前記切削パス予告装置は、次パス情報を無線信号により送出する発信手段を備え、前記報知手段は、前記発信器より送出された次パス情報を受信する受信手段を備え、前記切削パス予告装置から分離して携帯可能とされたことを特徴する請求項1乃至請求項7の一に記載の切削パス予告装置。
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JP2002191951A JP4238528B2 (ja) | 2002-07-01 | 2002-07-01 | 切削パス予告装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019012376A (ja) * | 2017-06-30 | 2019-01-24 | Dmg森精機株式会社 | 加工プログラムデバッグ装置およびこれを備えた工作機械 |
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2002
- 2002-07-01 JP JP2002191951A patent/JP4238528B2/ja not_active Expired - Fee Related
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