JP2004037669A - 現像ローラおよびこれを用いた現像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温から高温までの条件下で安定した画像が得られ、環境変化の繰り返し等の長期に渡る連続使用にも、優れたセット性能を維持し、安定した画像を持続し得る現像ローラおよびこの現像ローラを用いた現像装置を提供する。
【解決手段】軸芯体と、軸芯体の外周面に形成された少なくとも1層の弾性体層と、その外側に形成された表面層とを有する現像ローラにおいて、表面層を構成する材料が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E’’(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たすことを特徴とする現像ローラ。
【選択図】 なし
【解決手段】軸芯体と、軸芯体の外周面に形成された少なくとも1層の弾性体層と、その外側に形成された表面層とを有する現像ローラにおいて、表面層を構成する材料が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E’’(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たすことを特徴とする現像ローラ。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など、電子写真方式を採用した装置に組み込まれる感光体に接触させて使用される現像ローラおよびこれを用いた現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やファクシミリ、プリンター等の電子写真装置には、感光体を帯電させたり、静電潜像を顕像化するために、103〜1010Ωの半導電性領域のその目的に応じた導電性(電気抵抗)を有する弾性ローラが一般に用いられている。たとえば、一成分現像方式の電子写真装置では、互いに圧接されている現像ローラから感光体(ドラム)へ現像剤(トナー)を移動させて静電潜像を顕像化し、現像が成される。このような電子写真装置に用いられる弾性ローラは感光体と所定の接触幅をもって圧接したり、ブレード等によって薄層化された現像剤を担持するため、変形しやすく、かつ変形回復性に優れる必要がある。さらに、これらの弾性ローラには画像ムラを発生させないために104〜108Ωの間で適度かつ均一な導電性を有することが要求される。
【0003】
これらの要求を満たすため、従来からこの種のローラ、特に現像ローラについては、導電性を付与したシリコーンゴム材料から構成される弾性体層を軸芯体の外周に形成したものなどが使用されている。しかしながら、従来の現像ローラは、その弾性体層の特性から以下の欠点がある。すなわち、良好な感光体表面への追従性を得るために弾性体層を低硬度化すると、感光体の汚染が発生する場合があり、さらに、弾性体層の低硬度化によって、弾性体層表面の研磨が困難となり、良好な表面性状を有する現像ローラを得るのが困難となる。
【0004】
上記汚染性・表面性を改善するために弾性体層の上に表面層を設ける手法を用いた場合、導電性粉体を含まない材料を用いて形成した表面層は全体としての抵抗上昇が著しく、現像ローラとして十分に機能しない。逆に、導電性粉体を多量に含む材料を用いて表面層を形成した場合、弾性率が大幅に上昇し、導電性ローラとして求められるセット性能が得られなくなる。特に、カーボンブラックを添加した材料を用いた場合には低い電気抵抗を有する弾性ローラが得られるが、表面層の弾性率が高く、要求されるセット性能(変形回復性)を有する現像ローラを製造することが難しいものとなる。
【0005】
これまで、上記セット性能を含めた現像ローラの要求特性を満たすために、表面層の材料に着目した発明がなされてきており、表面層を構成する材料の貯蔵弾性率(E’と表すことがある)や、損失正接(tanδと表すことがある)に注目したものがあげられる。
【0006】
特開平11−249384号公報には、塗膜層のtanδを0.15〜0.5の範囲とした、騒音発生の低減、連続使用による画像低下を生じない耐久性を有する帯電部材が開示されている。また、特開平11−295967号公報には、隣り合う層の貯蔵弾性率(E’と表すことがある)の比を500倍以内にし、少なくとも表面層の貯蔵弾性率E’を2.5x109 Pa以下(記載は、2.5x1010dyn/cm2以下)とすることで、トナー付着による劣化を防ぎ、耐久性に優れた帯電部材が得られることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など、電子写真方式を採用した装置に使用される現像ローラに必要とされる性能はより高度になっており、高解像度に要求される均一な導電性、変形回復性が特に課題となっている。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、現像ローラの表面層の損失弾性率の温度依存性を小さくすることで、低温から高温までの条件下で安定した画像が得られ、環境変化の繰り返し等の長期に渡る連続使用にも、優れたセット性能を維持し、安定した画像を持続し得る現像ローラを提供することにある。また、本発明の他の目的は、このような現像ローラを用いた現像装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究、検討を重ね、損失弾性率(E”と表すことがある)に注目した結果、現像ローラの表面層を形成する材料が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E”(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たす場合には、目的とする、低温から高温までの条件下での安定した画像、優れたセット性能、およびこれらの持続が可能となることを見出した。
【0010】
上式において、E”(0)は、10Hzの正弦波の歪みを印加したときの、0℃における損失弾性率を表し、E”(60)は、10Hzの正弦波の歪みを印加したときの、60℃における損失弾性率を表す。
【0011】
また、このような材料を用いて表面層を構成することにより、本発明の現像ローラにおいて、該表面層の物性が大きく変化することを防ぐとともに、弾性体層の性質を十分に引き出し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。例えば、弾性体層にシリコーンゴムなどのセット性能に優れた材料を用いた場合、そのセット性能を、温度環境下、連続使用下において維持することが可能となる。
【0012】
すなわち、本発明の現像ローラは、軸芯体と、軸芯体の外周面に形成された少なくとも1層の弾性体層と、その外側に形成された表面層とを有する現像ローラにおいて、表面層を構成する材料が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E’’(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たすことを特徴とする現像ローラである。
【0013】
また、本発明による現像装置は、潜像を担持する感光体に対向して当接もしくは圧接した状態で現像剤を担持する現像ローラを備え、現像ローラが感光体に現像剤を付与することにより感光体上に形成された潜像を現像剤像として可視化する現像装置において、現像ローラが、請求項1ないし5のいずれかに記載の現像ローラであることを特徴とする現像装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の現像口一ラ1は、図1および2に示すように、円柱状または中空円筒状の軸芯体(導電性を有する軸芯体としてもよい)11の外周面に少なくとも1層の弾性体層12が形成され、この弾性体層12の外側に表面層13が積層された構成を有する。図2には、この本発明の現像ロールの断面図を示した。本発明の現像ローラは、弾性体層12と表面層13との間に、1または複数の弾性体層を積層させてもよい。
【0015】
軸芯体11は、導電性部材の電極および支持部材としても機能するもので、例えばアルミニウム,銅合金,ステンレス鋼等の金属または合金、クロム,ニッケル等で鍍金処理を施した鉄,合成樹脂などの導電性の材質で構成することができる。軸芯体の外径は通常4〜10mmの範囲にある。
【0016】
弾性体層12は、導電性部材が適切なニップ幅ないしニップ圧でもって感光体ドラム表面に押圧して感光体ドラム面に形成された潜像を均一に現像することができるよう、適切な硬度および電気抵抗値を有する。この弾性体層は、ゴム弾性を有する材料を用いて構成される。上記ゴム弾性を有する材料の原料ゴムとしては、従来より導電性ゴムローラに用いられている種々の原料ゴムを用いることができる。具体的には、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム等の原料ゴムを単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
特にシリコーンゴムを弾性体層12を構成する材料として用いることが好ましい。これにより、優れたセット性能が得られるからである。
【0018】
シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン,ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン,ポリメチルビニルシロキサン,ポリトリフルオロプロピルビニルシロキサン,ポリメチルフェニルシロキサン,ポリフェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの(共)重合体等が挙げられる。
【0019】
上記ポリシロキサンの場合は、架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、P−クロロベンゾイルパーオキサイド等が使用される。
【0020】
またシリコーンゴム原料としては、加工性に優れている、硬化反応に伴う副生成物の発生がないため寸法安定性が良好である、硬化後の物性が安定している等の理由から、付加反応架橋型液状シリコーンゴムが好ましい。
【0021】
本発明で使用されるシリコーンゴムを形成するオルガノポリシロキサンは、たとえば式1で表される。
【0022】
【化1】
【0023】
オルガノポリシロキサンはシリコーンゴム原料のベースポリマーであり、その分子量は特に限定されないが10万以上100万以下が好ましく、平均分子量はおよそ50万程度が好ましい。さらに加工特性および得られるシリコーンゴム組成物の特性等の観点から、オルガノポリシロキサンの粘度は、下限値として10Pa・s以上が好ましく、50Pa・s以上がより好ましく、上限値としては300Pa・s以下が好ましく250Pa・s以下がより好ましい。
【0024】
上記オルガノポリシロキサンのアルケニル基は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの活性水素と反応して架橋点を形成する部位であり、その種類は特に限定されないが、活性水素との反応性が高い等の理由から、ビニル基およびアリル基の少なくとも一方であることが好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0025】
本発明で使用されるシリコーンゴムを形成するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、たとえば式2で表される。
【0026】
【化2】
【0027】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、硬化工程における付加反応の架橋剤の働きをするもので、一分子中のケイ素原子結合水素原子の数は2コ以上であり、硬化反応を最適に行わせるために、3個以上のポリマーが好ましい。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの分子量に特に制限は無く、低分子量(オリゴマー)から高分子量まで含有される。
しかし、硬化反応を最適に行わせるために、比較的低分子量のポリマーが好ましい。
【0028】
本発明においてポリオルガノハイドロジェンシロキサンの架橋触媒として使用される塩化白金酸六水和物のかわりに、ヒドロシリル化反応において触媒作用を示す遷移金属化合物が使用できる。特に制限はないが、例えば、Fe(CO)5、Co(CO)8、RuCl3、IrCl3、〔(オレフィン)PtCl2〕2、ビニル基含有ポリシロキサン−Pt錯体、H2PtCl6・6H2O、L3RhCl3、L2Ni(オレフィン)、L4Pd、L4Pt、L2NiCl2(但し、L=PPh3若しくはPR’3、ここでPhはフェニル基、R’はアルキル基を示す)を挙げることができる。その中でも、好ましくは白金、パラジウム、ロジウム系遷移金属化合物触媒である。
【0029】
上記触媒の配合量は、白金系金属化合物触媒の場合、白金として1ppm以上100ppm以下が好ましいが、この範囲に限定されることはなく、目標とする可使時間、硬化時間、製品形状等により適宜選択される。
【0030】
低硬度及び低圧縮永久歪の特徴を阻害しない範囲内で、ゴムに通常使用される各種の配合剤を添加することができる。これらの配合物は、必要に応じて本発明の基層材料を製造する過程において添加してもよい。
【0031】
表面層を構成する材料には、導電剤を必須成分とし、非導電性充填剤、架橋剤、触媒、分散促進剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。
【0032】
本発明に用いることのできる導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム,銅,錫,ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金、酸化錫,酸化亜鉛,酸化インジウム,酸化チタン,酸化錫一酸化アンチモン固溶体,酸化錫一酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物、これらの導電性材料で被膜された絶縁性物質などの微粉末を用いることができる。このうち、カーボンブラックが、比較的容易に入手でき良好な帯電性が得られるので好ましい。
【0033】
表面層を構成する材料の各成分を混合する手段としては、ロールニーダー、バンバリーミキサー、ボールミル、サンドグラインダー、ペイントシェーカー等を適宜利用すればよい。
【0034】
その他の、導電性を付与する手段として、導電性高分子化合物を使用することも可能である。例えば、ホストポリマーとして、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレンオキシド)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェレンビニレン)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキサイド)、ポリ(ビスフェノールAカーボネート)、ポリビニルカルバゾール、ポリジアセチレン、ポリ(N−メチル−4−ビニルピリジン)、ポリアニリン、ポリキノリン、ポリ(フェニレンエーテルスルフォン)等を使用し、これらにドーパントとしてAsF5、I2、Br2、SO3、Na、K、ClO4、FeCl3、F、Cl、Br、I、Krの各イオン、Li、TCNQ等をドープしたものが用いられる。
【0035】
本発明に用いることのできる非導電性充填剤としては、珪藻土,石英粉末,乾式シリカ,湿式シリカ,酸化チタン,酸化亜鉛,アルミノケイ酸,炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0036】
シリカとしては、特に制限がなく、従来から公知のものを広く使用でき、例えば、上述した乾式法による無水ケイ酸、湿式法による含水ケイ酸、合成ケイ酸塩等を挙げることができる。
【0037】
弾性体層に含有される非導電性充填剤の量は、その弾性体層の硬度やその他特性を出すために適宜決定すれば良いが、接着性への寄与するためには、原料ゴム100質量部に対し10〜120質量部の範囲が好ましく、20〜80質量部の範囲が更に好ましい。非導電性充填剤の使用量が10質量部以上であると、接着性への効果が得られる。一方、使用量が120質量部以下とすると、弾性体層の硬度が高くなると共にシリコーンゴムの特性を十分に発揮させることができる。
【0038】
弾性体層の体積固有抵抗値は、100Vの直流電圧印加時で103〜1010Ω・cmの範囲にあることが好ましい。例えば、導電剤としてカーボンブラックを用いる場合は、原料ゴム100質量部に対して5〜100質量部配合することができる。また、弾性体層の厚さは0.5〜6.0mmの範囲にあればよく、1.0〜5.0mmの範囲にあることが好ましい。弾性体層の厚さが、0.5mmよりも大きければ、均一なニップを確保することが可能である。一方、厚さを6.0mm以下とすると、帯電性能の向上を図ることができるのみならず、原料ゴムの量を節減することができ、コスト的に有利である。
【0039】
本発明の現像ローラの表面層13を構成する材料のとしては、請求項に記載の所定の条件を満たすことができるものであれば特に限定されるものではないが、自己膜補強性、トナー帯電性等の観点から特にポリアミド樹脂、ウレタン樹脂またはウレア樹脂等を主成分とするものが好ましい。
【0040】
本発明に使用することのできるウレタン樹脂としては、例えば、カーボンブラックをポリウレタンプレポリマー中に配合し、プレポリマーを架橋反応させる方法で得たものや、ポリオールに導電性材料を配合し、このポリオールをワン・ショット法にてポリイソシアネー卜と反応させる方法で得たものなどがあげられる。
【0041】
この場合、ポリウレタンを得る際に用いられるポリヒドロキシル化合物としては、一般の軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に用いられるポリオール、例えば、末端にポリヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及び両者の共重合物であるポリエーテルポリエステルポリオールが挙げられるほか、ポリブタジエンポリオールやポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、ポリオール中でエチレン性不飽和単量体を重合させて得られる所謂ポリマーポリオール等の一般的なポリオールを使用することができる。また、イソシアネート化合物としては、同様に一般的な軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に使用されるポリイソシアネート、即ち、トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの混合物や変性物、例えば部分的にポリオール類と反応させて得られるプレポリマー等が用いられる。
【0042】
特に弾性体層を低硬度化する目的でポリイソシアネートの混合比率を低くしてもよい。
【0043】
ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6,6・6,6・10,6・12,11,12,12・12及びそれらのポリアミドの異種モノマー間の重縮合から得られるポリアミドなどであり、作業性の面からアルコール可溶性のものが好んで用いられている。例えばポリアミドの3元共重合体や4元共重合体の分子量を調整したもの、またはポリアミド6やポリアミド12をメトキシメチル化し、アルコールや水に可溶性としたものがあげられる。ウレタン樹脂としてはポリイソシアネートを含む、1液型や2液型が挙げられ、必要に応じてエポキシ樹脂やメラミン樹脂を架橋剤として用いても良い。
【0044】
ウレタン樹脂や、ポリアミド樹脂、および他の変性樹脂の1種又は2種以上を混合して用いることもでき、現像を行うシステムに応じて適宜選択して用いることにより、その現像システムに適したトナー帯電量を得ることができる。
【0045】
表面層に用いられる樹脂材中には、導電剤、非導電性充填剤等の各種添加剤が適宜配合される。
【0046】
表面層13を弾性体層12表面に付与する手段としては、樹脂溶液を弾性体層12に塗布する方法が有効に採用される。この樹脂溶液中の樹脂成分濃度は特に制限はなく、必要とする膜厚に応じ、適宜調整すればよいが、溶液におけるカーボンブラックの分散性や安定性から、樹脂成分濃度は8%以上であることが好ましい。樹脂溶液を調整するための溶剤は、上記樹脂を溶解することができるものであればいずれのものでもよく、例えばメタノール,エタノール,イソプロパノールなどの低級アルコール、メチルエチルケトンなどのケトン類、シクロヘキサントルエン、キシレンなどが好ましく用いられる。特に塗布後の乾燥工程によって良好な成膜性を得るためには、これらの混合溶媒を用いることが好適である。
【0047】
また、この樹脂溶液には、カーボンブラックの分散安定性をさらに向上させる目的で、分散剤を添加しても良い。塗布の手法としては、上記樹脂溶液を調整した後、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法などにより行うことができる。例えば、ディッピングによる方法は、弾性体層12を形成した口一ラを上記濃度の樹脂溶液に通常室温で5秒〜3分、好ましくは10秒〜30秒浸漬し、これを引き上げ乾燥する方法を採用することができる。なお、スプレー法を採用する場合、樹脂溶液中の樹脂濃度をディッピング法よりも高く設定することができ、例えば、30%以上の濃度に調整したものを使用することも可能である。いずれにおいても、所望の膜厚が得られるよう最適な樹脂濃度・塗布法・塗布条件を設定すれば良い。なお、この表面層13の厚さは特に制限されず、適宜選定し得るが、好ましくは5〜100μm、より好ましくは7〜30μmとすることができる。この場合、本発明では、表面層13を上記特性を有する材料で形成するようにしたことにより、表面層13の温度依存性を小さくすることで、低温から高温までの条件下で安定した画像が得られ、環境変化の繰り返し等の長期に渡る連続使用にも、優れたセット性能を維持し、安定した画像を持続し得るものである。
【0048】
本発明では、最外層に設ける表面層の損失弾性率E”の温度依存性を小さくすることで、低温から高温までの条件下で安定した画像が得られ、環境変化の繰り返し等の長期に渡る連続使用にも、優れたセット性能を維持し、安定した画像を持続し得る現像ローラを得ることができる。
【0049】
本発明の現像ローラの表面層を構成する材料の組み合わせは多岐にわたり、表面層を構成する材料が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E”(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たすものであれば何ら制限されないが、例えば、以下のような方法によって実現することができる。
【0050】
従来現像ローラの表面層に用いられてきたものよりも柔軟なウレタン樹脂を生成するポリオール成分とイソシアネート成分と、補強性の低いカーボンブラックを組み合わせ、該ポリオール、イソシアネートおよびカーボンブラックの配合量を、現像ローラの硬度および弾性率が適切なものとなるようにするとともに現像ローラの表面層を構成する材料が前記関係を満足するように選択することにより本発明の現像ローラの表面層を得ることができる。
【0051】
つまり、従来現像ローラの表面層に用いられていた材料よりも柔軟な、弾性率の低い材料と補強性の低い非導電性充填剤を組み合わせることにより所望特性を有する表面層とすることができる。
【0052】
図3は、本発明の現像装置を用いた画像形成装置の一例を示す概略図である。
【0053】
潜像担持体としての感光ドラム21が矢印A方向に回転し、感光ドラム21を帯電処理するための帯電装置22によって一様に帯電され、感光ドラム21に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザー光23により、その表面に静電潜像が形成される。上記静電潜像は、感光ドラム21に対して近接配置され、画像形成装置本体に対し着脱可能なプロセスカートリッジ(図示せず)に保持される現像装置24によって現像剤たるトナーを付与されることにより現像され、トナー像として可視化される。
【0054】
現像は露光部にトナー像を形成するいわゆる反転現像を行っている。可視化された感光ドラム21上のトナー像は、転写ローラ29によって記録媒体である紙33に転写される。トナー像を転写された紙33は、定着装置32により定着処理され、装置外に排紙されプリント動作が終了する。
【0055】
一方、転写されずに感光ドラム21上に残存した転写残トナーはクリーニングブレード30により掻き取られ廃トナー容器31に収納され、クリーニングされた感光ドラム21は上述作用を繰り返し行う。
【0056】
現像装置24は、一成分現像剤としてトナー(非磁性トナー)28を収容した現像装置34と、現像容器34内の長手方向に延在する開口部に位置し感光ドラム21と対向設置された現像剤担持体としての現像ローラ25とを備え、感光ドラム21上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
【0057】
尚、現像ローラ25は感光ドラム21と当接幅をもって接触している。現像装置24においては、弾性ローラ26が、現像容器34内で、弾性ブレード27の現像ローラ25表面との当接部に対し現像ローラ25回転方向上流側に当接され、かつ、回転可能に支持されている。
【0058】
弾性ローラ26の構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ25へのトナー供給および未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。本実施形態においては、芯金上にポリウレタンフォームを設けた直径16mmの弾性ローラ26を用いた。
【0059】
この弾性ローラ26の現像ローラ25に対する当接幅としては、1 ̄8mmが有効であり、また、現像ローラ25に対してその当接部において相対速度をもたせることが好ましく、本実施形態においては、当接幅を3mmに設定し、弾性ローラ26の周速として現像動作時に50mm/s(現像ローラ25との相対速度は130mm/s)となるように駆動手段(図示せず)により所定タイミングで回転駆動させている。
【0060】
【実施例】
[実施例1]
軸芯体11としてSUS製の芯金にニッケルメッキを施し、さらに接着剤(シランカップリング系プライマー)を塗布、焼付けしたものを用いた。ついで、軸芯体11を金型に配置し、液状シリコーンゴム材料(25℃における粘度が10000Pa・sの末端ビニル基封鎖の直鎖状ポリジメチルシロキサン40質量%と、25℃における粘度が35Pa・sであり1つのビニル基を有する分岐ポリシロキサンセグメントと、二官能性のジメチルシロキサンを約200個連続して有する直鎖状オイルセグメントとからなるブロックポリマー60質量%とからなるポリシロキサン混合物に、架橋剤として1分子中にケイ素結合水素原子を2個以上有したオルガノシロキサンおよび白金系触媒を加え、無機微粉体である耐熱性付与剤としてシリカ粉体を15質量部、導電性付与剤としてカーボンブラックを30質量部、混合した付加型シリコーンゴム組成物)を金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を150℃で10分間加熱してシリコーンゴムを加硫硬化し、冷却した後に脱型することで、弾性体層12を軸芯体11の外周に設けた。
【0061】
ポリオール ニッポラン5037(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)と硬化剤 コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)を10:1で混合し、固形分が12%となるようにメチルエチルケトンで希釈した。これにカーボンブラック トーカブラック#7360SB(東海カーボン(株)、商品名)を、上記固形分100質量部に対し15質量部添加し、攪拌したものをディップ液とした。この液中に弾性体層12が設けられた軸芯体11を浸漬してコーティングした後、引き上げて乾燥させ、150℃にて1時間加熱処理することで、平均膜厚25μmの表面層13を弾性体層12の外周に設けた。このようにして本実施例1の現像ローラ1を得た。
【0062】
[実施例2]
カーボンブラック トーカブラック#7360SBの添加量を、15質量部から50質量部に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ2を得た。この時、平均膜厚は28μmであった。
【0063】
[実施例3]
ポリオールとして、ニッポラン5037に代えてニッポラン5120(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)を用い、ポリーオールと硬化剤との混合割合を10:1から20:1と変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ3を得た。この時、平均膜厚は22μmであった。
【0064】
[実施例4]
硬化剤として、コロネートLに代えてタケネートB−830(三井武田ケミカル(株)、商品名)を用い、ポリオールと硬化剤との混合割合を10:1から20:1に変更し、カーボンブラック トーカブラック#7360SBの添加量を15質量部から40質量部に変更し、加熱処理温度を150℃から170℃に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ4を得た。この時、平均膜厚は24μmであった。
【0065】
[実施例5]
硬化剤として、コロネートLに代えてコロネート2094(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)を用いた以外は実施例1と同様にして現像ローラ5を得た。この時、平均膜厚は20μmであった。
【0066】
[比較例1]
ポリオールとして、ニッポラン5037に代えてニッポラン5115(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)を用い、ポリーオールと硬化剤との混合割合を10:1から20:1に変更し、カーボンブラック トーカブラック#7360SBの添加量を15質量部から20質量部に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ6を得た。この時、平均膜厚は24μmであった。
【0067】
[比較例2]
ポリオールとして、ニッポラン5037に代えてニッポラン5033(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)を用い、硬化剤として、コロネートLに代えてタケネートB−830(三井武田ケミカル(株)商品名)を用い、ポリーオールと硬化剤との混合割合を10:1から15:1に変更し、カーボンブラックの添加量を15質量部から無添加(0質量部)に変更し、加熱処理温度を150℃から170℃に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ7を得た。この時、平均膜厚は28μmであった。
【0068】
[比較例3]
ポリオールとして、ニッポラン5037に代えてタケラックE−553(三井武田ケミカル(株)、商品名)を用い、カーボンブラック トーカブラック#7360SBの添加量を15質量部から10質量部に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ8を得た。この時、平均膜厚は24μmであった。
【0069】
[評価方法]
(複素弾性率の評価方法)
表面層用のディップ液を平面にキャストし、溶剤が十分に揮発するまで乾燥させた後、各実施例、比較例に示した条件にてそれぞれ加熱硬化することにより、0.5mm〜2.5mm厚みのシートを作成した。このシートを幅5mmに打ち抜き測定サンプルを調整した。
【0070】
これを、動的粘弾性装置DVA−220(アイティー計測制御(株)、商品名)にチャック間20mmでセットし、周波数10Hz、歪1%、昇温速度5℃/min、測定温度範囲−20℃〜80℃の条件で測定を行なった。
【0071】
0℃における損失弾性率E’’(0)、60℃におけるE’’(60)、log(E’’(0)/E’’(60))、ならびに0〜60℃の温度域におけるtanδ(=E’’/E’、ここでE’は貯蔵弾性率を表す)の最大値(tanδ maxと表すことがある)の測定結果を表1に示した。
【0072】
(画像評価方法)
画像の評価は、作成したローラを、図3に示す画像形成装置の現像ローラとして使用して画像上の問題有無にて判断した。画像が良好なものを◎、問題がないものを○、やや濃度ムラが確認されるものを△、色抜けや明らかな不良箇所のあるものを×とした。
【0073】
それぞれ、低温環境での連続使用(15℃で、7000枚を通紙)、高温環境(35℃で、7000枚を通紙)での連続使用、および、低温と高温の環境を一定時間毎に交互に繰り返しての連続使用(15℃、35℃下の環境を200枚の通紙毎に繰り返し、通算7000枚を通紙)時の画像について評価を行なった
評価結果を表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
低温環境下での連続使用時の画像について、実施例1,3,4,5、比較例2ではいずれも画像良好で、実施例2、比較例3ではややガサツキが見られるが問題なく、比較例1では当初から画像に縦スジが見られる不良状態となった。
【0076】
高温環境下での連続使用時の画像について、実施例1,2,3,5、比較例1,3ではいずれも画像良好で、実施例4では時間の経過と共にカブリが確認されたが問題ないレベルであった。比較例2では画像の濃度ムラが激しかった。
【0077】
低温と高温の環境を一定時間毎に交互に繰り返しての連続使用時の画像について、実施例1では良好であり、低温環境下、高温環境下での画像と比べても同等であった。
【0078】
実施例3,5では、低温環境下、高温環境下での画像と比べると、低温と高温の環境を一定時間毎に交互に繰り返しての連続使用時の画像は劣るものの問題はないレベルであった。実施例2では、低温環境下ではガサツキが見られ、実施例4では時間の経過と共に高温環境下でのカブリが確認されたが、いずれも問題のないレベルであった。
【0079】
比較例1では、低温環境下での縦スジ画像がひどく、比較例2では高温環境下での濃度ムラが見られる状態は変わらなかった。比較例3では、低温環境下、高温環境下のいずれでも画像は問題ないレベルであったが、低温と高温の環境を一定時間毎に交互に繰り返しての連続使用により徐々に画像が悪化し、濃度ムラ等が目立つものとなった。
【0080】
以上、総合評価すると、実施例1〜5では溶液に低温環境下、高温環境下、低温と高温の環境を一定時間毎に交互に繰り返した連続使用時における、いずれの画像にも問題はなかった。その中でも実施例1は、特に良好な結果が得られている。
【0081】
なお、本発明は、上述した説明例に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で変形実施できるものを含む。因に、上述では、ディッピング法による塗布の例で示したが、スプレー法やロールコーター法、または他の方法で塗布するものでも良い。
【0082】
また、シリコーンゴムの弾性体層とウレタン樹脂からなる表面層のみからなる現像ローラで説明したが、必要に応じてこの他にさらに層を設けてもよい。
【0083】
【発明の効果】
以上のように、軸芯体の外周面に2層以上が形成された現像ローラであって、最も外側に被膜された表面層が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E’’(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たすことを特徴とする現像ローラは、表面層の温度依存性を小さくすることで、低温から高温までの条件下で安定した画像が得られ、環境変化の繰り返し等の長期に渡る連続使用にも、優れたセット性能を維持し、安定した画像を持続することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例として示す現像ローラの説明図(斜視図)である。
【図2】図1に示す現像ローラの断面図である。
【図3】本発明の現像装置を用いた画像形成装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1…現像ローラ
11…軸芯体
12…弾性体層
13…表面層
3…画像形成装置
21…感光ドラム
22…帯電装置
23…レーザー光
24…現像装置
25…現像ローラ
26…弾性ローラ
27…弾性ブレード
28…トナー
29…転写ローラ
30…クリーニングブレード
31…廃トナー容器
32…定着装置
33…紙
34…現像容器
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など、電子写真方式を採用した装置に組み込まれる感光体に接触させて使用される現像ローラおよびこれを用いた現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やファクシミリ、プリンター等の電子写真装置には、感光体を帯電させたり、静電潜像を顕像化するために、103〜1010Ωの半導電性領域のその目的に応じた導電性(電気抵抗)を有する弾性ローラが一般に用いられている。たとえば、一成分現像方式の電子写真装置では、互いに圧接されている現像ローラから感光体(ドラム)へ現像剤(トナー)を移動させて静電潜像を顕像化し、現像が成される。このような電子写真装置に用いられる弾性ローラは感光体と所定の接触幅をもって圧接したり、ブレード等によって薄層化された現像剤を担持するため、変形しやすく、かつ変形回復性に優れる必要がある。さらに、これらの弾性ローラには画像ムラを発生させないために104〜108Ωの間で適度かつ均一な導電性を有することが要求される。
【0003】
これらの要求を満たすため、従来からこの種のローラ、特に現像ローラについては、導電性を付与したシリコーンゴム材料から構成される弾性体層を軸芯体の外周に形成したものなどが使用されている。しかしながら、従来の現像ローラは、その弾性体層の特性から以下の欠点がある。すなわち、良好な感光体表面への追従性を得るために弾性体層を低硬度化すると、感光体の汚染が発生する場合があり、さらに、弾性体層の低硬度化によって、弾性体層表面の研磨が困難となり、良好な表面性状を有する現像ローラを得るのが困難となる。
【0004】
上記汚染性・表面性を改善するために弾性体層の上に表面層を設ける手法を用いた場合、導電性粉体を含まない材料を用いて形成した表面層は全体としての抵抗上昇が著しく、現像ローラとして十分に機能しない。逆に、導電性粉体を多量に含む材料を用いて表面層を形成した場合、弾性率が大幅に上昇し、導電性ローラとして求められるセット性能が得られなくなる。特に、カーボンブラックを添加した材料を用いた場合には低い電気抵抗を有する弾性ローラが得られるが、表面層の弾性率が高く、要求されるセット性能(変形回復性)を有する現像ローラを製造することが難しいものとなる。
【0005】
これまで、上記セット性能を含めた現像ローラの要求特性を満たすために、表面層の材料に着目した発明がなされてきており、表面層を構成する材料の貯蔵弾性率(E’と表すことがある)や、損失正接(tanδと表すことがある)に注目したものがあげられる。
【0006】
特開平11−249384号公報には、塗膜層のtanδを0.15〜0.5の範囲とした、騒音発生の低減、連続使用による画像低下を生じない耐久性を有する帯電部材が開示されている。また、特開平11−295967号公報には、隣り合う層の貯蔵弾性率(E’と表すことがある)の比を500倍以内にし、少なくとも表面層の貯蔵弾性率E’を2.5x109 Pa以下(記載は、2.5x1010dyn/cm2以下)とすることで、トナー付着による劣化を防ぎ、耐久性に優れた帯電部材が得られることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など、電子写真方式を採用した装置に使用される現像ローラに必要とされる性能はより高度になっており、高解像度に要求される均一な導電性、変形回復性が特に課題となっている。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、現像ローラの表面層の損失弾性率の温度依存性を小さくすることで、低温から高温までの条件下で安定した画像が得られ、環境変化の繰り返し等の長期に渡る連続使用にも、優れたセット性能を維持し、安定した画像を持続し得る現像ローラを提供することにある。また、本発明の他の目的は、このような現像ローラを用いた現像装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究、検討を重ね、損失弾性率(E”と表すことがある)に注目した結果、現像ローラの表面層を形成する材料が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E”(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たす場合には、目的とする、低温から高温までの条件下での安定した画像、優れたセット性能、およびこれらの持続が可能となることを見出した。
【0010】
上式において、E”(0)は、10Hzの正弦波の歪みを印加したときの、0℃における損失弾性率を表し、E”(60)は、10Hzの正弦波の歪みを印加したときの、60℃における損失弾性率を表す。
【0011】
また、このような材料を用いて表面層を構成することにより、本発明の現像ローラにおいて、該表面層の物性が大きく変化することを防ぐとともに、弾性体層の性質を十分に引き出し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。例えば、弾性体層にシリコーンゴムなどのセット性能に優れた材料を用いた場合、そのセット性能を、温度環境下、連続使用下において維持することが可能となる。
【0012】
すなわち、本発明の現像ローラは、軸芯体と、軸芯体の外周面に形成された少なくとも1層の弾性体層と、その外側に形成された表面層とを有する現像ローラにおいて、表面層を構成する材料が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E’’(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たすことを特徴とする現像ローラである。
【0013】
また、本発明による現像装置は、潜像を担持する感光体に対向して当接もしくは圧接した状態で現像剤を担持する現像ローラを備え、現像ローラが感光体に現像剤を付与することにより感光体上に形成された潜像を現像剤像として可視化する現像装置において、現像ローラが、請求項1ないし5のいずれかに記載の現像ローラであることを特徴とする現像装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の現像口一ラ1は、図1および2に示すように、円柱状または中空円筒状の軸芯体(導電性を有する軸芯体としてもよい)11の外周面に少なくとも1層の弾性体層12が形成され、この弾性体層12の外側に表面層13が積層された構成を有する。図2には、この本発明の現像ロールの断面図を示した。本発明の現像ローラは、弾性体層12と表面層13との間に、1または複数の弾性体層を積層させてもよい。
【0015】
軸芯体11は、導電性部材の電極および支持部材としても機能するもので、例えばアルミニウム,銅合金,ステンレス鋼等の金属または合金、クロム,ニッケル等で鍍金処理を施した鉄,合成樹脂などの導電性の材質で構成することができる。軸芯体の外径は通常4〜10mmの範囲にある。
【0016】
弾性体層12は、導電性部材が適切なニップ幅ないしニップ圧でもって感光体ドラム表面に押圧して感光体ドラム面に形成された潜像を均一に現像することができるよう、適切な硬度および電気抵抗値を有する。この弾性体層は、ゴム弾性を有する材料を用いて構成される。上記ゴム弾性を有する材料の原料ゴムとしては、従来より導電性ゴムローラに用いられている種々の原料ゴムを用いることができる。具体的には、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム等の原料ゴムを単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
特にシリコーンゴムを弾性体層12を構成する材料として用いることが好ましい。これにより、優れたセット性能が得られるからである。
【0018】
シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン,ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン,ポリメチルビニルシロキサン,ポリトリフルオロプロピルビニルシロキサン,ポリメチルフェニルシロキサン,ポリフェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの(共)重合体等が挙げられる。
【0019】
上記ポリシロキサンの場合は、架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、P−クロロベンゾイルパーオキサイド等が使用される。
【0020】
またシリコーンゴム原料としては、加工性に優れている、硬化反応に伴う副生成物の発生がないため寸法安定性が良好である、硬化後の物性が安定している等の理由から、付加反応架橋型液状シリコーンゴムが好ましい。
【0021】
本発明で使用されるシリコーンゴムを形成するオルガノポリシロキサンは、たとえば式1で表される。
【0022】
【化1】
【0023】
オルガノポリシロキサンはシリコーンゴム原料のベースポリマーであり、その分子量は特に限定されないが10万以上100万以下が好ましく、平均分子量はおよそ50万程度が好ましい。さらに加工特性および得られるシリコーンゴム組成物の特性等の観点から、オルガノポリシロキサンの粘度は、下限値として10Pa・s以上が好ましく、50Pa・s以上がより好ましく、上限値としては300Pa・s以下が好ましく250Pa・s以下がより好ましい。
【0024】
上記オルガノポリシロキサンのアルケニル基は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの活性水素と反応して架橋点を形成する部位であり、その種類は特に限定されないが、活性水素との反応性が高い等の理由から、ビニル基およびアリル基の少なくとも一方であることが好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0025】
本発明で使用されるシリコーンゴムを形成するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、たとえば式2で表される。
【0026】
【化2】
【0027】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、硬化工程における付加反応の架橋剤の働きをするもので、一分子中のケイ素原子結合水素原子の数は2コ以上であり、硬化反応を最適に行わせるために、3個以上のポリマーが好ましい。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの分子量に特に制限は無く、低分子量(オリゴマー)から高分子量まで含有される。
しかし、硬化反応を最適に行わせるために、比較的低分子量のポリマーが好ましい。
【0028】
本発明においてポリオルガノハイドロジェンシロキサンの架橋触媒として使用される塩化白金酸六水和物のかわりに、ヒドロシリル化反応において触媒作用を示す遷移金属化合物が使用できる。特に制限はないが、例えば、Fe(CO)5、Co(CO)8、RuCl3、IrCl3、〔(オレフィン)PtCl2〕2、ビニル基含有ポリシロキサン−Pt錯体、H2PtCl6・6H2O、L3RhCl3、L2Ni(オレフィン)、L4Pd、L4Pt、L2NiCl2(但し、L=PPh3若しくはPR’3、ここでPhはフェニル基、R’はアルキル基を示す)を挙げることができる。その中でも、好ましくは白金、パラジウム、ロジウム系遷移金属化合物触媒である。
【0029】
上記触媒の配合量は、白金系金属化合物触媒の場合、白金として1ppm以上100ppm以下が好ましいが、この範囲に限定されることはなく、目標とする可使時間、硬化時間、製品形状等により適宜選択される。
【0030】
低硬度及び低圧縮永久歪の特徴を阻害しない範囲内で、ゴムに通常使用される各種の配合剤を添加することができる。これらの配合物は、必要に応じて本発明の基層材料を製造する過程において添加してもよい。
【0031】
表面層を構成する材料には、導電剤を必須成分とし、非導電性充填剤、架橋剤、触媒、分散促進剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。
【0032】
本発明に用いることのできる導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム,銅,錫,ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金、酸化錫,酸化亜鉛,酸化インジウム,酸化チタン,酸化錫一酸化アンチモン固溶体,酸化錫一酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物、これらの導電性材料で被膜された絶縁性物質などの微粉末を用いることができる。このうち、カーボンブラックが、比較的容易に入手でき良好な帯電性が得られるので好ましい。
【0033】
表面層を構成する材料の各成分を混合する手段としては、ロールニーダー、バンバリーミキサー、ボールミル、サンドグラインダー、ペイントシェーカー等を適宜利用すればよい。
【0034】
その他の、導電性を付与する手段として、導電性高分子化合物を使用することも可能である。例えば、ホストポリマーとして、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレンオキシド)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェレンビニレン)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキサイド)、ポリ(ビスフェノールAカーボネート)、ポリビニルカルバゾール、ポリジアセチレン、ポリ(N−メチル−4−ビニルピリジン)、ポリアニリン、ポリキノリン、ポリ(フェニレンエーテルスルフォン)等を使用し、これらにドーパントとしてAsF5、I2、Br2、SO3、Na、K、ClO4、FeCl3、F、Cl、Br、I、Krの各イオン、Li、TCNQ等をドープしたものが用いられる。
【0035】
本発明に用いることのできる非導電性充填剤としては、珪藻土,石英粉末,乾式シリカ,湿式シリカ,酸化チタン,酸化亜鉛,アルミノケイ酸,炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0036】
シリカとしては、特に制限がなく、従来から公知のものを広く使用でき、例えば、上述した乾式法による無水ケイ酸、湿式法による含水ケイ酸、合成ケイ酸塩等を挙げることができる。
【0037】
弾性体層に含有される非導電性充填剤の量は、その弾性体層の硬度やその他特性を出すために適宜決定すれば良いが、接着性への寄与するためには、原料ゴム100質量部に対し10〜120質量部の範囲が好ましく、20〜80質量部の範囲が更に好ましい。非導電性充填剤の使用量が10質量部以上であると、接着性への効果が得られる。一方、使用量が120質量部以下とすると、弾性体層の硬度が高くなると共にシリコーンゴムの特性を十分に発揮させることができる。
【0038】
弾性体層の体積固有抵抗値は、100Vの直流電圧印加時で103〜1010Ω・cmの範囲にあることが好ましい。例えば、導電剤としてカーボンブラックを用いる場合は、原料ゴム100質量部に対して5〜100質量部配合することができる。また、弾性体層の厚さは0.5〜6.0mmの範囲にあればよく、1.0〜5.0mmの範囲にあることが好ましい。弾性体層の厚さが、0.5mmよりも大きければ、均一なニップを確保することが可能である。一方、厚さを6.0mm以下とすると、帯電性能の向上を図ることができるのみならず、原料ゴムの量を節減することができ、コスト的に有利である。
【0039】
本発明の現像ローラの表面層13を構成する材料のとしては、請求項に記載の所定の条件を満たすことができるものであれば特に限定されるものではないが、自己膜補強性、トナー帯電性等の観点から特にポリアミド樹脂、ウレタン樹脂またはウレア樹脂等を主成分とするものが好ましい。
【0040】
本発明に使用することのできるウレタン樹脂としては、例えば、カーボンブラックをポリウレタンプレポリマー中に配合し、プレポリマーを架橋反応させる方法で得たものや、ポリオールに導電性材料を配合し、このポリオールをワン・ショット法にてポリイソシアネー卜と反応させる方法で得たものなどがあげられる。
【0041】
この場合、ポリウレタンを得る際に用いられるポリヒドロキシル化合物としては、一般の軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に用いられるポリオール、例えば、末端にポリヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及び両者の共重合物であるポリエーテルポリエステルポリオールが挙げられるほか、ポリブタジエンポリオールやポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、ポリオール中でエチレン性不飽和単量体を重合させて得られる所謂ポリマーポリオール等の一般的なポリオールを使用することができる。また、イソシアネート化合物としては、同様に一般的な軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に使用されるポリイソシアネート、即ち、トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの混合物や変性物、例えば部分的にポリオール類と反応させて得られるプレポリマー等が用いられる。
【0042】
特に弾性体層を低硬度化する目的でポリイソシアネートの混合比率を低くしてもよい。
【0043】
ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6,6・6,6・10,6・12,11,12,12・12及びそれらのポリアミドの異種モノマー間の重縮合から得られるポリアミドなどであり、作業性の面からアルコール可溶性のものが好んで用いられている。例えばポリアミドの3元共重合体や4元共重合体の分子量を調整したもの、またはポリアミド6やポリアミド12をメトキシメチル化し、アルコールや水に可溶性としたものがあげられる。ウレタン樹脂としてはポリイソシアネートを含む、1液型や2液型が挙げられ、必要に応じてエポキシ樹脂やメラミン樹脂を架橋剤として用いても良い。
【0044】
ウレタン樹脂や、ポリアミド樹脂、および他の変性樹脂の1種又は2種以上を混合して用いることもでき、現像を行うシステムに応じて適宜選択して用いることにより、その現像システムに適したトナー帯電量を得ることができる。
【0045】
表面層に用いられる樹脂材中には、導電剤、非導電性充填剤等の各種添加剤が適宜配合される。
【0046】
表面層13を弾性体層12表面に付与する手段としては、樹脂溶液を弾性体層12に塗布する方法が有効に採用される。この樹脂溶液中の樹脂成分濃度は特に制限はなく、必要とする膜厚に応じ、適宜調整すればよいが、溶液におけるカーボンブラックの分散性や安定性から、樹脂成分濃度は8%以上であることが好ましい。樹脂溶液を調整するための溶剤は、上記樹脂を溶解することができるものであればいずれのものでもよく、例えばメタノール,エタノール,イソプロパノールなどの低級アルコール、メチルエチルケトンなどのケトン類、シクロヘキサントルエン、キシレンなどが好ましく用いられる。特に塗布後の乾燥工程によって良好な成膜性を得るためには、これらの混合溶媒を用いることが好適である。
【0047】
また、この樹脂溶液には、カーボンブラックの分散安定性をさらに向上させる目的で、分散剤を添加しても良い。塗布の手法としては、上記樹脂溶液を調整した後、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法などにより行うことができる。例えば、ディッピングによる方法は、弾性体層12を形成した口一ラを上記濃度の樹脂溶液に通常室温で5秒〜3分、好ましくは10秒〜30秒浸漬し、これを引き上げ乾燥する方法を採用することができる。なお、スプレー法を採用する場合、樹脂溶液中の樹脂濃度をディッピング法よりも高く設定することができ、例えば、30%以上の濃度に調整したものを使用することも可能である。いずれにおいても、所望の膜厚が得られるよう最適な樹脂濃度・塗布法・塗布条件を設定すれば良い。なお、この表面層13の厚さは特に制限されず、適宜選定し得るが、好ましくは5〜100μm、より好ましくは7〜30μmとすることができる。この場合、本発明では、表面層13を上記特性を有する材料で形成するようにしたことにより、表面層13の温度依存性を小さくすることで、低温から高温までの条件下で安定した画像が得られ、環境変化の繰り返し等の長期に渡る連続使用にも、優れたセット性能を維持し、安定した画像を持続し得るものである。
【0048】
本発明では、最外層に設ける表面層の損失弾性率E”の温度依存性を小さくすることで、低温から高温までの条件下で安定した画像が得られ、環境変化の繰り返し等の長期に渡る連続使用にも、優れたセット性能を維持し、安定した画像を持続し得る現像ローラを得ることができる。
【0049】
本発明の現像ローラの表面層を構成する材料の組み合わせは多岐にわたり、表面層を構成する材料が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E”(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たすものであれば何ら制限されないが、例えば、以下のような方法によって実現することができる。
【0050】
従来現像ローラの表面層に用いられてきたものよりも柔軟なウレタン樹脂を生成するポリオール成分とイソシアネート成分と、補強性の低いカーボンブラックを組み合わせ、該ポリオール、イソシアネートおよびカーボンブラックの配合量を、現像ローラの硬度および弾性率が適切なものとなるようにするとともに現像ローラの表面層を構成する材料が前記関係を満足するように選択することにより本発明の現像ローラの表面層を得ることができる。
【0051】
つまり、従来現像ローラの表面層に用いられていた材料よりも柔軟な、弾性率の低い材料と補強性の低い非導電性充填剤を組み合わせることにより所望特性を有する表面層とすることができる。
【0052】
図3は、本発明の現像装置を用いた画像形成装置の一例を示す概略図である。
【0053】
潜像担持体としての感光ドラム21が矢印A方向に回転し、感光ドラム21を帯電処理するための帯電装置22によって一様に帯電され、感光ドラム21に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザー光23により、その表面に静電潜像が形成される。上記静電潜像は、感光ドラム21に対して近接配置され、画像形成装置本体に対し着脱可能なプロセスカートリッジ(図示せず)に保持される現像装置24によって現像剤たるトナーを付与されることにより現像され、トナー像として可視化される。
【0054】
現像は露光部にトナー像を形成するいわゆる反転現像を行っている。可視化された感光ドラム21上のトナー像は、転写ローラ29によって記録媒体である紙33に転写される。トナー像を転写された紙33は、定着装置32により定着処理され、装置外に排紙されプリント動作が終了する。
【0055】
一方、転写されずに感光ドラム21上に残存した転写残トナーはクリーニングブレード30により掻き取られ廃トナー容器31に収納され、クリーニングされた感光ドラム21は上述作用を繰り返し行う。
【0056】
現像装置24は、一成分現像剤としてトナー(非磁性トナー)28を収容した現像装置34と、現像容器34内の長手方向に延在する開口部に位置し感光ドラム21と対向設置された現像剤担持体としての現像ローラ25とを備え、感光ドラム21上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
【0057】
尚、現像ローラ25は感光ドラム21と当接幅をもって接触している。現像装置24においては、弾性ローラ26が、現像容器34内で、弾性ブレード27の現像ローラ25表面との当接部に対し現像ローラ25回転方向上流側に当接され、かつ、回転可能に支持されている。
【0058】
弾性ローラ26の構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ25へのトナー供給および未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。本実施形態においては、芯金上にポリウレタンフォームを設けた直径16mmの弾性ローラ26を用いた。
【0059】
この弾性ローラ26の現像ローラ25に対する当接幅としては、1 ̄8mmが有効であり、また、現像ローラ25に対してその当接部において相対速度をもたせることが好ましく、本実施形態においては、当接幅を3mmに設定し、弾性ローラ26の周速として現像動作時に50mm/s(現像ローラ25との相対速度は130mm/s)となるように駆動手段(図示せず)により所定タイミングで回転駆動させている。
【0060】
【実施例】
[実施例1]
軸芯体11としてSUS製の芯金にニッケルメッキを施し、さらに接着剤(シランカップリング系プライマー)を塗布、焼付けしたものを用いた。ついで、軸芯体11を金型に配置し、液状シリコーンゴム材料(25℃における粘度が10000Pa・sの末端ビニル基封鎖の直鎖状ポリジメチルシロキサン40質量%と、25℃における粘度が35Pa・sであり1つのビニル基を有する分岐ポリシロキサンセグメントと、二官能性のジメチルシロキサンを約200個連続して有する直鎖状オイルセグメントとからなるブロックポリマー60質量%とからなるポリシロキサン混合物に、架橋剤として1分子中にケイ素結合水素原子を2個以上有したオルガノシロキサンおよび白金系触媒を加え、無機微粉体である耐熱性付与剤としてシリカ粉体を15質量部、導電性付与剤としてカーボンブラックを30質量部、混合した付加型シリコーンゴム組成物)を金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を150℃で10分間加熱してシリコーンゴムを加硫硬化し、冷却した後に脱型することで、弾性体層12を軸芯体11の外周に設けた。
【0061】
ポリオール ニッポラン5037(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)と硬化剤 コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)を10:1で混合し、固形分が12%となるようにメチルエチルケトンで希釈した。これにカーボンブラック トーカブラック#7360SB(東海カーボン(株)、商品名)を、上記固形分100質量部に対し15質量部添加し、攪拌したものをディップ液とした。この液中に弾性体層12が設けられた軸芯体11を浸漬してコーティングした後、引き上げて乾燥させ、150℃にて1時間加熱処理することで、平均膜厚25μmの表面層13を弾性体層12の外周に設けた。このようにして本実施例1の現像ローラ1を得た。
【0062】
[実施例2]
カーボンブラック トーカブラック#7360SBの添加量を、15質量部から50質量部に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ2を得た。この時、平均膜厚は28μmであった。
【0063】
[実施例3]
ポリオールとして、ニッポラン5037に代えてニッポラン5120(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)を用い、ポリーオールと硬化剤との混合割合を10:1から20:1と変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ3を得た。この時、平均膜厚は22μmであった。
【0064】
[実施例4]
硬化剤として、コロネートLに代えてタケネートB−830(三井武田ケミカル(株)、商品名)を用い、ポリオールと硬化剤との混合割合を10:1から20:1に変更し、カーボンブラック トーカブラック#7360SBの添加量を15質量部から40質量部に変更し、加熱処理温度を150℃から170℃に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ4を得た。この時、平均膜厚は24μmであった。
【0065】
[実施例5]
硬化剤として、コロネートLに代えてコロネート2094(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)を用いた以外は実施例1と同様にして現像ローラ5を得た。この時、平均膜厚は20μmであった。
【0066】
[比較例1]
ポリオールとして、ニッポラン5037に代えてニッポラン5115(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)を用い、ポリーオールと硬化剤との混合割合を10:1から20:1に変更し、カーボンブラック トーカブラック#7360SBの添加量を15質量部から20質量部に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ6を得た。この時、平均膜厚は24μmであった。
【0067】
[比較例2]
ポリオールとして、ニッポラン5037に代えてニッポラン5033(日本ポリウレタン工業(株)、商品名)を用い、硬化剤として、コロネートLに代えてタケネートB−830(三井武田ケミカル(株)商品名)を用い、ポリーオールと硬化剤との混合割合を10:1から15:1に変更し、カーボンブラックの添加量を15質量部から無添加(0質量部)に変更し、加熱処理温度を150℃から170℃に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ7を得た。この時、平均膜厚は28μmであった。
【0068】
[比較例3]
ポリオールとして、ニッポラン5037に代えてタケラックE−553(三井武田ケミカル(株)、商品名)を用い、カーボンブラック トーカブラック#7360SBの添加量を15質量部から10質量部に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラ8を得た。この時、平均膜厚は24μmであった。
【0069】
[評価方法]
(複素弾性率の評価方法)
表面層用のディップ液を平面にキャストし、溶剤が十分に揮発するまで乾燥させた後、各実施例、比較例に示した条件にてそれぞれ加熱硬化することにより、0.5mm〜2.5mm厚みのシートを作成した。このシートを幅5mmに打ち抜き測定サンプルを調整した。
【0070】
これを、動的粘弾性装置DVA−220(アイティー計測制御(株)、商品名)にチャック間20mmでセットし、周波数10Hz、歪1%、昇温速度5℃/min、測定温度範囲−20℃〜80℃の条件で測定を行なった。
【0071】
0℃における損失弾性率E’’(0)、60℃におけるE’’(60)、log(E’’(0)/E’’(60))、ならびに0〜60℃の温度域におけるtanδ(=E’’/E’、ここでE’は貯蔵弾性率を表す)の最大値(tanδ maxと表すことがある)の測定結果を表1に示した。
【0072】
(画像評価方法)
画像の評価は、作成したローラを、図3に示す画像形成装置の現像ローラとして使用して画像上の問題有無にて判断した。画像が良好なものを◎、問題がないものを○、やや濃度ムラが確認されるものを△、色抜けや明らかな不良箇所のあるものを×とした。
【0073】
それぞれ、低温環境での連続使用(15℃で、7000枚を通紙)、高温環境(35℃で、7000枚を通紙)での連続使用、および、低温と高温の環境を一定時間毎に交互に繰り返しての連続使用(15℃、35℃下の環境を200枚の通紙毎に繰り返し、通算7000枚を通紙)時の画像について評価を行なった
評価結果を表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
低温環境下での連続使用時の画像について、実施例1,3,4,5、比較例2ではいずれも画像良好で、実施例2、比較例3ではややガサツキが見られるが問題なく、比較例1では当初から画像に縦スジが見られる不良状態となった。
【0076】
高温環境下での連続使用時の画像について、実施例1,2,3,5、比較例1,3ではいずれも画像良好で、実施例4では時間の経過と共にカブリが確認されたが問題ないレベルであった。比較例2では画像の濃度ムラが激しかった。
【0077】
低温と高温の環境を一定時間毎に交互に繰り返しての連続使用時の画像について、実施例1では良好であり、低温環境下、高温環境下での画像と比べても同等であった。
【0078】
実施例3,5では、低温環境下、高温環境下での画像と比べると、低温と高温の環境を一定時間毎に交互に繰り返しての連続使用時の画像は劣るものの問題はないレベルであった。実施例2では、低温環境下ではガサツキが見られ、実施例4では時間の経過と共に高温環境下でのカブリが確認されたが、いずれも問題のないレベルであった。
【0079】
比較例1では、低温環境下での縦スジ画像がひどく、比較例2では高温環境下での濃度ムラが見られる状態は変わらなかった。比較例3では、低温環境下、高温環境下のいずれでも画像は問題ないレベルであったが、低温と高温の環境を一定時間毎に交互に繰り返しての連続使用により徐々に画像が悪化し、濃度ムラ等が目立つものとなった。
【0080】
以上、総合評価すると、実施例1〜5では溶液に低温環境下、高温環境下、低温と高温の環境を一定時間毎に交互に繰り返した連続使用時における、いずれの画像にも問題はなかった。その中でも実施例1は、特に良好な結果が得られている。
【0081】
なお、本発明は、上述した説明例に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で変形実施できるものを含む。因に、上述では、ディッピング法による塗布の例で示したが、スプレー法やロールコーター法、または他の方法で塗布するものでも良い。
【0082】
また、シリコーンゴムの弾性体層とウレタン樹脂からなる表面層のみからなる現像ローラで説明したが、必要に応じてこの他にさらに層を設けてもよい。
【0083】
【発明の効果】
以上のように、軸芯体の外周面に2層以上が形成された現像ローラであって、最も外側に被膜された表面層が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E’’(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たすことを特徴とする現像ローラは、表面層の温度依存性を小さくすることで、低温から高温までの条件下で安定した画像が得られ、環境変化の繰り返し等の長期に渡る連続使用にも、優れたセット性能を維持し、安定した画像を持続することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例として示す現像ローラの説明図(斜視図)である。
【図2】図1に示す現像ローラの断面図である。
【図3】本発明の現像装置を用いた画像形成装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1…現像ローラ
11…軸芯体
12…弾性体層
13…表面層
3…画像形成装置
21…感光ドラム
22…帯電装置
23…レーザー光
24…現像装置
25…現像ローラ
26…弾性ローラ
27…弾性ブレード
28…トナー
29…転写ローラ
30…クリーニングブレード
31…廃トナー容器
32…定着装置
33…紙
34…現像容器
Claims (6)
- 軸芯体と、軸芯体の外周面に形成された少なくとも1層の弾性体層と、その外側に形成された表面層とを有する現像ローラにおいて、表面層を構成する材料が、
0.1 ≦ log( E’’(0) / E’’(60) ) ≦ 1.5
の関係を満たすことを特徴とする現像ローラ。 - 表面層を構成する材料が、0℃〜60℃の温度範囲において0.45以下の損失正接(tanδ)を有するものである請求項1記載の現像ローラ。
- 表面層を構成する材料が、 1×108 Pa 以下のE”(0)を有するものである、請求項1または2記載の現像ローラ。
- 表面層を構成する材料が、主にウレタン樹脂からなるものである請求項1ないし3の何れかに記載の現像ローラ。
- 表面層の膜厚が5〜100μmである、請求項1ないし4の何れかに記載の現像ローラ。
- 潜像を担持する感光体に対向して当接もしくは圧接した状態で現像剤を担持する現像ローラを備え、現像ローラが感光体に現像剤を付与することにより感光体上に形成された潜像を現像剤像として可視化する現像装置において、現像ローラが、請求項1ないし5のいずれかに記載の現像ローラであることを特徴とする現像装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2009011330A1 (ja) * | 2007-07-17 | 2009-01-22 | Bridgestone Corporation | 現像ローラ |
WO2013077065A1 (ja) * | 2011-11-22 | 2013-05-30 | バンドー化学株式会社 | 液体現像電子写真装置用ローラー |
-
2002
- 2002-07-01 JP JP2002192598A patent/JP2004037669A/ja active Pending
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