JP2004037580A - 光結合装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】シリコン基板からなる支持基板1の一表面側に、下部クラッド層となるシリコン酸化膜2とシリコンからなるコア3aと空気とで構成される光導波路30が設けられるとともに、光導波路30と離間して配置し光導波路30に光結合させる光ファイバ20を位置決めする断面V字状のV溝からなる位置決め溝5が形成されている。支持基板1の上記一表面側において位置決め溝5と光導波路30との間に周期的な凹凸パターンよりなる下地パターン6が形成されており、光ファイバ20と光導波路30とを光結合する屈折率周期構造体よりなる光結合デバイス40が、下地パターン6上に自己整合的に形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】シリコン基板からなる支持基板1の一表面側に、下部クラッド層となるシリコン酸化膜2とシリコンからなるコア3aと空気とで構成される光導波路30が設けられるとともに、光導波路30と離間して配置し光導波路30に光結合させる光ファイバ20を位置決めする断面V字状のV溝からなる位置決め溝5が形成されている。支持基板1の上記一表面側において位置決め溝5と光導波路30との間に周期的な凹凸パターンよりなる下地パターン6が形成されており、光ファイバ20と光導波路30とを光結合する屈折率周期構造体よりなる光結合デバイス40が、下地パターン6上に自己整合的に形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信、特に波長多重通信や超高速光通信などに用いる光結合装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信容量の需要増加を背景に波長分割多重方式による光通信システムの普及が進んでいる。波長分割多重方式では、複数の波長の光を独立の信号により変調させた後、合波器などで光波長を多重化して1本の光ファイバに送り出すので、1本の光ファイバの伝送容量を飛躍的に増大させることができる。今後、このような波長分割多重通信が進展し、チャネル数が100以上となる高密度波長分割多重通信の実現が必要となってくると思われる。
【0003】
そこで、現状の波長分割多重通信用に用いられている光素子のさらなる小型化が要求されている。例えば、この種の光素子の一つであるアレイ導波路回折格子(Arrayed Waveguide Grating AWG)は、そのサイズが数cm□であり、合波器などの光部品の小型化を考えると、AWG自体の更なる小型化が必要である。ここにおいて、光素子の小型化のボトルネックとなっている主要因は、光素子のサイズを決定している光導波路の断面積および曲げ半径である。このため光導波路での光閉じ込め効果を高めて、光導波路の断面積および曲げ半径を小さくする研究開発が近年盛んに行われており、例えば、光導波路のコアとクラッドとの屈折率差を非常に大きくして光閉じ込め効果を高めた高屈折率差光導波路素子や、光の波長オーダの屈折率周期構造体よりなるフォトニック結晶での多重反射を利用し1μm以下のコア径と数μmの曲げ半径とを実現したフォトニック結晶型素子がある。
【0004】
ところで、1μm以下の微小な断面積を有する光導波路を実際の光通信システムにおいて使用するためには既存の光ファイバと光結合させる必要であるが、光ファイバのコア径は一般に10μm程度であるため、低損失で光結合を行うためには導波光のスポットサイズを10μmから1μm以下へ変換する必要がある。
【0005】
ここに、導波光のスポットサイズを変換する手段としてはレンズを用いることが従来から行われていたが、部品点数が増加するという問題があり、しかも、光ファイバや導波路と±1μm以下のアライメント精度で結合することが難しいという問題があり、光を入射させて出力光強度が最大になる位置を探しながらアライメントを行う所謂アクティブアライメントを行わなければならず、生産効率が著しく悪化するので、レンズを用いずに導波光のスポットサイズを変換する方法が必要であった。
【0006】
これに対して、近年では、レンズを用いずに導波光のスポットサイズを変換する光結合デバイスとして、特開平8−234062号公報に開示されたものが知られている。この公報に記載の光結合デバイスは、図16に示すように、半導体基板71の一表面上に光の伝搬方向に沿って断面積が徐々に小さくなるコア72を形成するとともに、半導体基板71の一表面側にコア72を覆うようにクラッド層73が形成されている。なお、図16では、光の入射端面におけるコア72の厚さをt1、幅をW1とし、光の出射端面におけるコア72の厚さをt2、幅をW2とすれば、t1>t2、且つ、W1>W2となっている。
【0007】
図16に示した光結合デバイスでは、クラッド層73の屈折率がコア72の屈折率よりも小さく且つ半導体基板71の屈折率よりも大きく設定されており、クラッド層73とコア72と半導体基板71とで光導波路を構成している。また、この光結合デバイスでは、クラッド層73の厚さt3がスポットサイズの大きい光導波素子のスポットサイズに合うように設計されている。このような光結合デバイスを用いて導波光のスポットサイズを変換すれば、スポットサイズの異なる光導波路素子同士を光結合することが可能になる。
【0008】
しかし、図16に示した構成の光結合デバイスでは、スポットサイズを短い距離で急激に変換しようとすると光導波路の外への放射損失が大きくなるので、コア72の断面積を光の伝搬方向に沿って徐々に変化させる必要があり、光結合させる導波路間のスポットサイズの差が大きくなるにつれてコア72の長さが長くなり、実用レベルではコア72の長さが数mm程度となってしまい、光の伝搬方向における寸法Lも数mm程度となり小型化が難しいという問題がある。
【0009】
そこで、この種の問題を解決するために、特開2001−4869号公報には、フォトニック結晶を用いた光結合デバイスおよび光結合方法が提案されている。
【0010】
この公報には、図17に示すように、光ファイバ20とフォトニック結晶を利用した導波路50との間でスポットサイズを変換して光ファイバ20と導波路50とを光結合する光結合デバイス40’として、光の波長と同程度の間隔で周期的な屈折率の変調構造を有するフォトニック結晶を採用している。この光結合デバイスでは、当該光結合デバイスを構成するフォトニック結晶の分散面を、例えば光の入射方向から見て傾斜しているように結晶配置および光入射方向を設定することにより、フォトニック結晶がレンズと同等の機能を果たし、数100μm程度の短い変換領域で急激なスポットサイズ変換を実現することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図17に示した構成のようにフォトニック結晶からなる光結合デバイス40’を用いて導波光のスポットサイズを変換するようにした場合、以下のような問題があった。
【0012】
すなわち、フォトニック結晶は一般に入射光の入射角度に対する感度が非常に高いので、光ファイバ20とフォトニック結晶からなる光結合デバイス40’との相対的な位置関係や、光結合デバイス40’と導波路50との相対的な位置関係がずれると光結合デバイス40’であるフォトニック結晶がレンズとしての機能を果たせなかったり、集光ポイントが大きくずれて導波路50との結合効率が著しく低下するという問題があった。
【0013】
また、導波光のスポットサイズの変換を必要とする光結合以外にも、簡易で低コスト化を図れる光結合方法の確立が期待されている。例えば、微小電気機械システム(micro−electro−mechanical system:MEMS)を採用したミラー式の光スイッチにおいては、図18に示すように、入力側の複数本の光ファイバ20a1〜20a4それぞれから光軸方向に延長した直線との出力側の複数本の光ファイバ20b1〜20b4それぞれから光軸方向に延長した直線との交差点ごとにミラー7’を配置し、入力側の光ファイバ20a1〜20a4と出力側の光ファイバ20b1〜20b4とを低損失で光結合するために入力側の光ファイバ20a1〜20a4の出射面側にコリメートレンズ80aを配置するとともに、出力側の光ファイバ20b1〜20b4の入射面側にコリメートレンズ80bを配置してあるが、部品点数の増加によるコスト増加の問題や、光ファイバとレンズとを±1μm程度のアライメント精度で光結合することが困難であるという問題があった。
【0014】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、相対的な位置が決められ互いに離間した複数の光通信用デバイスと、屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなり複数の光通信用デバイスのうち規定の光通信用デバイス間を光結合する光結合デバイスと、各光通信用デバイスおよび光結合デバイスが一表面側に設けられた支持基板とを備え、光結合デバイスは、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板の前記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されてなることを特徴とするものであり、光結合デバイスが屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイスの小型化を図ることができ、また、光結合デバイスが、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板の前記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイスと光結合デバイスとの相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。なお、請求項1における光通信用デバイスは、発光素子、受光素子、光導波路、光ファイバなどを含む概念である。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記光通信用デバイスの少なくとも1つが光ファイバであり、前記支持基板の前記一表面側に前記フォトマスクを利用して形成され前記光ファイバを位置決めする位置決め溝を有するので、光通信用デバイスの1つである光ファイバと光結合デバイスとを高精度に位置合わせすることができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記光通信用デバイスの少なくとも1つが発光素子であり、前記支持基板の前記一表面側に前記フォトマスクを利用して形成され前記発光素子を位置決めする凹部を有するので、光通信用デバイスの1つである光ファイバと光結合デバイスとを高精度に位置合わせすることができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1記載の光結合装置の製造方法であって、前記支持基板の一表面側に前記フォトマスクを利用して前記下地パターンを含む所定パターンを形成する工程と、前記下地パターン上へ自己整合的に光結合デバイスを形成する工程とを備えることを特徴とし、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、前記下地パターンのパターン形状の設計により前記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターン上にブロック共重合体を滴下した後に硬化させることにより前記光結合デバイスを形成するので、成膜装置(例えばスパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などを用いた複雑なプロセスを行うことなしに前記光結合デバイスを容易に形成することができる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターンの表面側にバイアススパッタリング法によって互いに屈折率の異なる物質からなる2種類の薄膜層を交互に積層することにより前記光結合デバイスを形成するので、例えばSi、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて前記光結合デバイスを形成することができる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターンの表面側にコロイド粒子を沈降させることによって前記光結合デバイスを形成するので、真空チャンバを必要とする成膜装置(例えば、スパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などの特殊な装置を用いずに簡易な方法で、例えばSi、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて前記光結合デバイスを形成することができる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記支持基板を前記支持基板の厚み方向に直交する面内で回転させながら前記下地パターンの表面側に所望の屈折率の物質を斜め蒸着することによって前記支持基板の厚み方向に螺旋周期を有する螺旋体と空気とからなる前記光結合デバイスを形成するので、前記光結合デバイスの構成材料として、半導体、金属、金属酸化物などの一般的な半導体製造プロセスで利用されている材料を採用することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の光結合装置は、図1(a)および図3(d)に示すように、シリコン基板からなる支持基板1の一表面側に、下部クラッド層となるシリコン酸化膜2とシリコンからなるコア3aと空気とで構成される光導波路30が設けられるとともに、光導波路30と離間して配置し光導波路30に光結合させる光ファイバ20を位置決めする断面V字状のV溝からなる位置決め溝5が形成されている。また、支持基板1の上記一表面側には、位置決め溝5により位置決めした光ファイバ20と光導波路30とを光結合する光結合デバイス40が形成されている。ここにおいて、光結合デバイス40は、屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体により構成されている。すなわち、光結合デバイス40はフォトニック結晶により構成されている。なお、本実施形態では、光ファイバ20および光導波路30それぞれが光通信用デバイスを構成している。
【0024】
C帯(1530nm〜1565nm)やL帯(1565nm〜1625nm)などの通信波長帯においては、シリコンの屈折率が約3.4、シリコン酸化膜の屈折率が約1.5、空気の屈折率が1.0であるため、上述の光導波路30の屈折率差は55〜70%となり、一般的な光ファイバのコアとクラッドとの比屈折率差である0.3%と比較して非常に大きな値となるので、光ファイバに比べて光の閉じ込め効果を高めることができ、シングルモードの導波条件を満たすための光導波路30のサイズは約0.4μm□程度まで小さくすることができる。なお、上述の光結合デバイス40は、光ファイバ20から入射された導波光のスポットサイズを光導波路30のスポットサイズへ変換する集光機能を有するように上記周期構造の周期が設定されているので、導波光のスポットサイズが異なる光ファイバ20と光導波路30とを光結合することができる。なお、屈折率の周期構造により集光機能を実現する具体的な設計方法については、特開2001−4689号公報に開示されており、フォトニック結晶の有する分散面が光入射方向から見て傾斜しているように結晶配置および光入射方向を設定することにより、フォトニック結晶内の伝搬光の波数空間での広がり幅が、入射光の波数空間での広がり幅に対して拡大するように設定することで、この広がり幅と逆比例の関係にある実空間でのスポットサイズを相対的に縮小させることができる(出射端でのスポットサイズを入射端でのスポットサイズに対して相対的に縮小させることができる)。
【0025】
ところで、本実施形態の光結合装置では、支持基板1の上記一表面側において位置決め溝5と光導波路30との間に周期的な凹凸パターンよりなる下地パターン6が形成されており、上述の光結合デバイス40は、下地パターン6上に自己整合的に形成されている。ここに、下地パターン6は、支持基板1の上記一表面に平行な面内で2次元的に配列された複数の円柱状の凸部6aを備えており、凸部6aの周囲が凹部となっている。すなわち、円柱状の凸部6aは、コア3aの延長方向およびコア3aの幅方向それぞれに配列された複数の長手方向に直交する2次元的に配列された下地パターン6の周期構造の周期は光結合デバイス40への入射光の波長の2分の1程度となるように設定してある。なお、光結合デバイス40を構成する屈折率周期構造体の周期構造の周期は下地パターン6における周期を反映している。
【0026】
本実施形態の光結合装置は、図2(a)に示すように厚み方向の中間に絶縁膜であるシリコン酸化膜(埋込酸化膜)2を有するいわゆるSOI(Silicon OnInsulator)基板100を利用して形成してある。すなわち、シリコン基板からなる支持基板1とシリコン層3との間にシリコン酸化膜2が介在するSOI基板100を用いて形成してある。ただし、本実施形態で用いるSOI基板100は、支持基板1の裏面にもシリコン酸化膜4が形成されている。
【0027】
以下、本実施形態の光結合装置の製造方法について図2および図3を参照しながら説明する。
【0028】
まず、図2(a)に示すようにシリコン基板からなる支持基板1上にシリコン酸化膜よりなる絶縁膜を介して単結晶のシリコン層3が形成されたSOI基板100のシリコン層3の表面にスピンコート法によってレジスト層を塗布し、リソグラフィ技術などによりシリコン層3の表面のうち位置決め溝5の形成予定領域および下地パターン6の形成予定領域が露出するようにパターニングされたレジスト層101を形成することによって、図2(b)に示す構造が得られる。
【0029】
次に、シリコン層3のうち上記レジスト層101に覆われずに露出した部位を誘導結合型プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)を利用したドライエッチング装置などにより表面からシリコン酸化膜2に達する深さまでエッチングしてから、レジスト層101を除去し、その後、熱酸化法によってシリコン層3の表面のうち露出していた部位にシリコン酸化膜102を形成することにより、図2(c)に示す構造が得られる。
【0030】
続いて、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術により1枚のフォトマスクを用いた1回の露光を行うことで、位置決め溝5の形成予定領域が開口するとともに下地パターン6の凸部6aの形成予定領域の周囲が開口し且つコア3aの形成予定領域の両側が開口するようにパターニングされたレジスト層103を形成し、その後、レジスト層103をマスクとして露出したシリコン酸化膜102,2をドライエッチングしてレジスト層103のパターンを転写することにより、図2(d)に示す構造が得られる。
【0031】
その後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって位置決め溝5の形成予定領域およびその両側が露出するようにパターニングされたレジスト層104を形成し、続いて、各レジスト層103,104および裏面のシリコン酸化膜4をマスクとして例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)のようなアルカリ系溶液を用いた異方性エッチングを行って位置決め溝5を形成することにより、図2(e)に示す構造が得られる。
【0032】
次に、各レジスト層103,104にO2プラズマ処理を施し、レジスト剥離液により各レジスト層103,104を除去してから、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって位置決め溝5および位置決め溝5の両側が覆われ他の部位が露出するようにパターニングされたレジスト層105を形成することにより、図3(a)に示す構造が得られる。
【0033】
続いて、レジスト層105およびシリコン酸化膜102,2をマスクとしてシリコン層3および支持基板1それぞれの露出した部分をICPを利用したドライエッチング装置にてドライエッチングすることによりコア3aおよび下地パターン6を形成し、その後、レジスト層105を除去し、さらにリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してシリコン酸化膜2のうち下地パターン6の領域に形成されている部分およびシリコン酸化膜102を除去することにより、図3(b)に示す構造が得られる。
【0034】
その後、図3(c)に示すように、下地パターン6上にトルエンに溶解したpolystyrene−poly(n−butyl methacrylate)(PS−PnBMA)106を所定量だけ滴下する。なお、PS−PnBMAは、ブロック共重合体に属する物質であり、ブロック共重合体は規則的に相分離する性質を有しており、フォトニック結晶のような屈折率周期構造を簡易に作製できることが知られている(例えば、M.Fasolka,D.J.Harris,A.M.Mayes,M.Yoon,S.G.J.Mochrie,Rhys.Rev.Lett.,79,3018,1997)。
【0035】
ここにおけるブロック共重合体は、非相溶な2種類の高分子鎖(以下、一方の高分子鎖を高分子鎖A、他方の高分子鎖を高分子鎖Bと称す)が共有結合したもので、高分子鎖Aと高分子鎖Bとは別々の空間に凝集しようとするが、高分子鎖Aと高分子鎖Bとが共有結合で結合されているので、それぞれの空間はミクロな寸法に限定される。高分子鎖Aおよび高分子鎖Bそれぞれが凝集して形成される凝集体の形状は、高分子鎖A、高分子鎖Bの種類、ポリマー鎖の長さなどを適宜選ぶことにより、球状、棒状、層状などの形状に制御でき、この性質を利用すると、上述の規則的な相分離構造を様々な形態で実現することが可能である。
【0036】
そこで、本実施形態では、上述のように、下地パターン6上にトルエンに溶解したPS−PnBMA106を所定量だけ滴下した後、ブロック共重合体106を所定のリフロー温度で硬化させることで、下地パターン6の凹凸の周期を反映した屈折率周期構造体よりなる光結合デバイス40を形成し、位置決め溝5に光ファイバ20を配置し、接着剤などで固定することにより、図3(d)に示す構造を得ている。なお、本実施形態における光結合デバイス40は、図1(b)に示すように、PSよりなる第1の物質(上記高分子鎖Aの凝集体)41aとPnBMAよりなる第2の物質(上記高分子鎖Bの凝集体)41bとで全体として直方体状に形成されており、第1の物質41aが微小な球状に形成され、第2の物質41b中に上記周期で3次元的に配列された構造を有しているが、図4に示すように第1の物質41aが柱状に形成され、第2の物質41b中に上記周期で2次元的に配列された構造を有していてもよく、図5に示すように第1の物質41aおよび第2の物質41bが交互に積層された構造を有していてもよい。
【0037】
以上説明した製造方法によれば、光結合デバイス40が、光ファイバ20と光導波路30との相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスク(具体的には、光ファイバ20を位置決めする位置決め溝5と光導波路30のコア3aとの相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスク)に位置決め溝5用のマスクパターン(光通信用デバイス用のマスクパターン)およびコア3a用のマスクパターン(光通信用デバイス用のマスクパターン)とは別に光結合デバイス40用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されることになる。
【0038】
しかして、本実施形態の光結合装置では、光結合デバイス40が屈折率の異なる複数種類の物質41a,41bの周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス40の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス40が、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイス(光ファイバ20、光導波路30)と光結合デバイス40との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0039】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターン6を含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン6上へ自己整合的に光結合デバイス40を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターン6のパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0040】
また、光結合デバイス40を形成する工程では、下地パターン6上にブロック共重合体を滴下した後に硬化させることにより光結合デバイス40を形成するので、成膜装置(例えばスパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などを用いた複雑なプロセスを行うことなしに光結合デバイス40を容易に形成することができる。
【0041】
(実施形態2)
本実施形態の光結合装置の基本構成は図6(e)に示すように、実施形態1と略同じであり、光結合デバイス40の形成方法が異なることで光結合デバイス40の構造が相違する。
【0042】
以下、本実施形態の光結合装置の製造方法について説明する。
【0043】
実施形態1で説明した製造方法に準じて図6(a)(図3(b)と同じ)に示すように位置決め溝5および下地パターン6および光導波路30を形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって下地パターン6の部位のみが露出するようにパターニングされたレジスト層からなるエッチングストッパ膜111を形成することによって、図6(b)に示す構造が得られる。なお、エッチングストッパ膜111は、レジスト層に限らず、シリコン窒化膜を採用してもよい。
【0044】
次に、図7に示すようなrfバイアススパッタリング装置を用いて、支持基板1の上記一表面側の全面にデポジションとエッチングとが同時に起こるようにチャンバCh内のSiからなるターゲット45(あるいはSiO2からなるターゲット46)と支持基板1とに高周波電力を印加しながら、第1の物質であるアモルファスシリコンからなる第1の薄膜層と第2の物質であるSiO2からなる第2の薄膜層とを交互に積層することで下地パターン6上に屈折率周期構造体よりなる光結合デバイス40が形成されるとともに、他の部位上に第1の薄膜層と第2の薄膜層とが交互に積層した積層膜112が形成され、図6(c)に示すような構造が得られる。すなわち、支持基板1に高周波電力を印加しながら、ターゲット45に高周波電力を印加してArイオン47によりターゲット45をスパッタする期間と、ターゲット46に高周波電力を印加してArイオン47によりターゲット45をスパッタする期間とを交互に繰り返すことによって、ステージSTにセットされた対象物S(図6(b)の構造物)の表面側に上記光結合デバイス40と積層膜112とを形成することができる。なお、図7中の一点鎖線で囲んだ空間はプラズマが発生している空間を模式的に示してあり、同図中の48はターゲット45から飛び出したスパッタ原子を示している。また、ステージSTは回転可能であって、ターゲット45をスパッタする期間にはターゲット45に対象物Sが対向し、ターゲット46をスパッタする期間にはターゲット46に対象物Sが対向するように図示しない制御装置によって制御されるようになっている。
【0045】
ここにおいて、光結合デバイス40は、支持基板1の上記一表面に平行な面内では下地パターン6の凹凸の周期を反映した周期構造が形成され、さらに支持基板1の厚み方向には交互積層による周期性が現れ、全体として3次元周期構造を有している。このような3次元周期構造の形成方法は、自己クローニング法と呼ばれており(例えば、S.Kawakami,T.Kawashima,T.Sato,Appl.Phys.Lett.,74,463,1999)、下地パターン6を円形の穴が2次元的な周期構造を有するように配列された凹凸パターンとすれば、図8に示すように、第1の物質からなる第1の薄膜層40aと第2の物質からなる第2の薄膜層40bとが下地パターン6の形状を反映して積層された3次元周期構造体を形成できることができる。
【0046】
上述のようにして支持基板1の上記一表面側に光結合デバイス40と積層膜112とを形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって光結合デバイス40が覆われ他の部位が露出するようにパターニングされたレジスト層113を形成し、ICPを利用したドライエッチング装置などによって積層膜112をエッチング除去することにより、図6(d)に示す構造が得られる。なお、積層膜112は上述のように第1の物質であるアモルファスシリコンからなる第1の薄膜層と第2の物質であるSiO2からなる第2の薄膜層とが交互に積層されているから、各薄膜層ごとにエッチングガスを切り替えることで連続的にエッチングすることができる。ここに、上述のエッチングストッパ膜111が形成されていることで、エッチングの終点の管理が容易になるとともにエッチングストッパ膜111下のコア3aや位置決め溝5の内面がエッチングされるのを防止することができる。
【0047】
積層膜112を除去した後、レジスト層113を除去してから、ダイシングを行い、光ファイバ20を位置決め溝5に配置し、接着剤などにより固定することにより、図6(e)に示す構造が得られる。
【0048】
しかして、本実施形態の光結合装置では、実施形態1と同様に、光結合デバイス40が屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス40の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス40が、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイス(光ファイバ20、光導波路30)と光結合デバイス40との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0049】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターン6を含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン6上へ自己整合的に光結合デバイス40を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターン6のパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0050】
また、光結合デバイス40を形成する工程では、下地パターン6の表面側にrfバイアススパッタリング装置を用いたバイアススパッタリング法によって互いに屈折率の異なる物質からなる2種類の薄膜層を交互に積層することにより光結合デバイス40を形成するので、Si、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて光結合デバイス40を形成することができる。なお、各薄膜層を構成する材料はSiとSiO2との組み合わせ以外でもよいことは勿論である。
【0051】
(実施形態3)
本実施形態の光結合装置の基本構成は図9(e)に示すように、実施形態1と略同じであり、光結合デバイス40の形成方法が異なることで光結合デバイス40の構造が相違する。
【0052】
以下、本実施形態の光結合装置の製造方法について説明する。
【0053】
実施形態1で説明した製造方法に準じて図9(a)(図3(b)と同じ)に示すように位置決め溝5および下地パターン6および光導波路30を形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって下地パターン6の部位のみが露出するようにパターニングされたレジスト層からなるエッチングストッパ膜111を形成することによって、図9(b)に示す構造が得られる。なお、エッチングストッパ膜111は、レジスト層に限らず、シリコン窒化膜を採用してもよい。
【0054】
次に、直径が数100nmサイズのシリカ球を含むコロイド溶液中に図9(b)に示す構造物を浸漬してシリカ球を沈降させることにで下地パターン6上に屈折率周期構造体(コロイド結晶)よりなる光結合デバイス40が形成されるとともに、他の部位上にコロイド結晶114が形成され、図9(c)に示すような構造が得られる。すなわち、コロイド結晶114は、下地上にシリカ球を沈降させることでコロイド結晶を成長させる人工オパール法をにより形成され、光結合デバイス40は、周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6をテンプレートとして周期構造を制御可能なコロイドエピタキシー法(例えば、A.Van Blaaderen,R.Ruel and P.Wiltzuis,Nature 385,321,1997)により形成されており、光結合デバイス40は、図10に示すようにシリカの球状体40cが3次元周期構造を有するように配列されている。
【0055】
上述のようにして支持基板1の上記一表面側に光結合デバイス40とコロイド結晶114とを形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって光結合デバイス40が覆われ他の部位が露出するようにパターニングされたレジスト層113を形成し、ICPを利用したドライエッチング装置などによってコロイド結晶114をエッチング除去することにより、図9(d)に示す構造が得られる。なお、上述のエッチングストッパ膜111が形成されていることで、エッチングの終点の管理が容易になるとともにエッチングストッパ膜111下のコア3aや位置決め溝5の内面がエッチングされるのを防止することができる。
【0056】
コロイド結晶114を除去した後、レジスト層113を除去してから、ダイシングを行い、光ファイバ20を位置決め溝5に配置し、接着剤などにより固定することにより、図9(e)に示す構造が得られる。
【0057】
しかして、本実施形態の光結合装置では、実施形態1と同様に、光結合デバイス40が屈折率の異なる複数種類の物質(本実施形態では、シリカと空気)の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス40の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス40が、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイス(光ファイバ20、光導波路30)と光結合デバイス40との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0058】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターン6を含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン6上へ自己整合的に光結合デバイス40を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターン6のパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0059】
また、光結合デバイス40を形成する工程では、下地パターン6の表面側にコロイド粒子を沈降させることによって光結合デバイス40を形成するので、真空チャンバを必要とする成膜装置(例えば、スパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などの特殊な装置を用いずに簡易な方法で、例えばSi、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて光結合デバイス40を形成することができる。
【0060】
(実施形態4)
本実施形態の光結合装置の基本構成は図11(e)に示すように、実施形態1と略同じであり、光結合デバイス40の形成方法が異なることで光結合デバイス40の構造が相違する。
【0061】
以下、本実施形態の光結合装置の製造方法について説明する。
【0062】
実施形態1で説明した製造方法に準じて図11(a)(図3(b)と同じ)に示すように位置決め溝5および下地パターン6および光導波路30を形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって下地パターン6の部位のみが露出するようにパターニングされたレジスト層からなるエッチングストッパ膜111を形成することによって、図11(b)に示す構造が得られる。なお、エッチングストッパ膜111は、レジスト層に限らず、シリコン窒化膜を採用してもよい。
【0063】
次に、図12に示すような斜め蒸着が可能な蒸着装置を用いて、ステージSTにセットされた対象物S(図12(b)の構造物)の表面側に図13に示すようなSiO2からなり支持基板1の厚み方向に螺旋周期を有する螺旋体40dが支持基板1の上記一表面に平行な面内で2次元周期構造を有するように配列された光結合デバイス40とシリコン酸化膜115とを形成することにより、図11(c)に示す構造が得られる。ここにおいて、光結合デバイス40およびシリコン酸化膜115は、図12に示すように、対象物SがセットされたステージSTをモータ51によって回転させながら、ステージSTの法線に対して傾いた方向から所望の屈折率の物質(例えば、SiO2からなる蒸着粒子)が到来するような斜め蒸着を行うことによって形成されている。なお、図12中のθは、図示しない電子ビームにより蒸着源52から蒸発した蒸着粒子の飛来方向の中心線とステージSTの法線方向(支持基板1の厚み方向)とのなす角度を示している。
【0064】
ここにおいて、光結合デバイス40は、支持基板1の上記一表面に平行な面内では下地パターン6の凹凸の周期を反映した周期構造が形成され、さらに支持基板1の厚み方向には螺旋体40dの螺旋周期による周期性が現れ、全体として3次元周期構造を有している。このような3次元周期構造の形成方法は、GLAD(Glancing Angle Deposition)法と呼ばれており(例えば、K.Robbie and M.J.Brett,J.Vac.Sci Technol.A15(3),1460,1997)、螺旋体40dは下地パターン6を核として形成されるから、螺旋体40dの形状は下地パターン6の形状や配列によって制御可能である。なお、上述の説明から明らかなように、光結合デバイス40は、SiO2よりなる複数の螺旋体40dと空気とで構成されている。
【0065】
上述のようにして支持基板1の上記一表面側に光結合デバイス40とシリコン酸化膜115とを形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって光結合デバイス40が覆われ他の部位が露出するようにパターニングされたレジスト層113を形成し、ICPを利用したドライエッチング装置などによってシリコン酸化膜115をエッチング除去することにより、図11(d)に示す構造が得られる。ここに、上述のエッチングストッパ膜111が形成されていることで、エッチングの終点の管理が容易になるとともにエッチングストッパ膜111下のコア3aや位置決め溝5の内面がエッチングされるのを防止することができる。
【0066】
シリコン酸化膜115を除去した後、レジスト層113を除去してから、ダイシングを行い、光ファイバ20を位置決め溝5に配置し、接着剤などにより固定することにより、図11(e)に示す構造が得られる。
【0067】
しかして、本実施形態の光結合装置では、実施形態1と同様に、光結合デバイス40が屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス40の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス40が、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイス(光ファイバ20、光導波路30)と光結合デバイス40との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0068】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターン6を含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン6上へ自己整合的に光結合デバイス40を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターン6のパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0069】
また、光結合デバイス40を形成する工程では、支持基板1を支持基板1の厚み方向に直交する面内で回転させながら下地パターン6の表面側に所望の屈折率の物質(本実施形態では、SiO2)を斜め蒸着することによって支持基板1の厚み方向に螺旋周期を有する螺旋体40dと空気とからなる光結合デバイス40を形成するので、光結合デバイス40の構成材料として、一般的な半導体製造プロセスで利用されている材料を採用することができる。なお、本実施形態のように斜め蒸着により光結合デバイス40を形成する場合には、SiO2に限らず、半導体、金属、金属酸化物などの一般的な半導体製造プロセスで利用されている材料を採用することが可能となる。
【0070】
(実施形態5)
本実施形態の光結合装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、図14に示すように、シリコン基板よりなる支持基板1の上記一表面側に、実施形態1で説明した断面V字状の位置決め溝5の代わりに、レーザーダイオードからなる発光素子21を位置決めする凹部8が形成されている点が相違する。すなわち、発光素子21は図14における下部が凹部8に埋め込まれた形で位置決めされている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施形態では、発光素子21および光導波路30それぞれが光通信用デバイスを構成している。
【0071】
本実施形態における光結合デバイス40の基本構造としては、上記各実施形態の何れかにおける構造を採用すればよく、上記各実施形態では光ファイバ20から入射された導波光のスポットサイズを光導波路30のスポットサイズへ変換する集光機能を有するように上記周期構造の周期が設定されているのに対して、本実施形態では、発光素子21から入射された導波光のスポットサイズを光導波路30のスポットサイズへ変換する集光機能を有するように上記周期構造の周期が設定されている点が相違する。
【0072】
また、本実施形態の光結合装置の製造方法は上記各実施形態のいずれかで説明した方法に準じ、位置決め溝5の代わりに凹部8を形成する点が相違するだけである。すなわち、位置決め溝5に対応したマスクパターンを凹部8に対応したマスクパターンに変更すればよい。また、位置決め溝5を形成する際にはアルカリ系溶液を用いた異方性エッチングを行っているが、凹部8を形成する際にはドライエッチングを行えばよい。
【0073】
しかして、本実施形態の光結合装置では、実施形態1と同様に、光結合デバイス40が屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス40の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス40が、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイス(発光素子21、光導波路30)と光結合デバイス40との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0074】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターン6を含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン6上へ自己整合的に光結合デバイス40を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターン6のパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0075】
(実施形態6)
本実施形態の光結合装置は、図15に示すように、MEMS式ミラー型光スイッチの入力側の2本の光ファイバ20a,20bからの出射光をコリメートする機能を有する屈折率周期構造体よりなる光結合デバイス41と、ミラー7で反射されて出力側の2本の光ファイバ20b,20bへ向かう光をコリメートする機能を有する屈折率周期構造体よりなる光結合デバイス42とが支持基板1の一表面側に形成されている。また、支持基板1の上記一表面側には各光ファイバ20a,20a,20b,20bそれぞれを位置決めする4つの断面V字状の位置決め溝5が形成されている。なお、屈折率の周期構造によりコリメート機能を実現する具体的な設計方法については、上述の特開2001−4689号公報に記載の内容から容易に類推することができる。
【0076】
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、入力側の2本の光ファイバ20a,20aそれぞれから光軸方向に延長した直線との出力側の2本の光ファイバ20b,20bそれぞれから光軸方向に延長した直線との交差点ごとにミラー7を配置し、入力側の光ファイバ20a,20aと出力側の光ファイバ20b,20bとを低損失で光結合するために入力側の光ファイバ20a,20aの出射面側に光結合デバイス41を配置するとともに、出力側の光ファイバ20b,20bの入射面側に光結合デバイス42を配置してある。ミラーのサイズは200μm□程度で、入力側の光ファイバ20aから出射された光は、光結合デバイス41を介してミラー7で光路を90度変換され、光結合デバイス42を介して出力側の光ファイバ20bへ入射される。ここにおいて、光結合デバイス41,42はコリメートレンズとして機能する。すなわち、本実施形態では、光ファイバ20aからの出射光を光結合デバイス41で適当なスポットサイズ、例えば100μm程度のコリメート光に変換し、ミラー7で光路変換された後、光結合デバイス42を通る際に光ファイバ20bのスポットサイズである10μm程度にスポットサイズ変換を行う。
【0077】
ところで、本実施形態の光結合装置は、上記各実施形態で説明した製造方法のいずれかに準拠して製造することができる。すなわち、支持基板1の上記一表面側には各光結合デバイス41,42の形成予定領域に上記各実施形態で説明したような下地パターンがそれぞれ形成しておけばよい。
【0078】
しかして、本実施形態の光結合装置では、実施形態1と同様に、光結合デバイス41,42が屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス41,42の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス41,42が、各光通信用デバイス(光ファイバ20a,20b)間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイスと光結合デバイス41,42との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0079】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターンを含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン上へ自己整合的に光結合デバイス41,42を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターンのパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0080】
【発明の効果】
請求項1の発明は、相対的な位置が決められ互いに離間した複数の光通信用デバイスと、屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなり複数の光通信用デバイスのうち規定の光通信用デバイス間を光結合する光結合デバイスと、各光通信用デバイスおよび光結合デバイスが一表面側に設けられた支持基板とを備え、光結合デバイスは、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板の前記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されてなるものであり、光結合デバイスが屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイスの小型化を図ることができるという効果があり、また、光結合デバイスが、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板の前記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイスと光結合デバイスとの相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れるという効果があり、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れるという効果がある。
【0081】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記光通信用デバイスの少なくとも1つが光ファイバであり、前記支持基板の前記一表面側に前記フォトマスクを利用して形成され前記光ファイバを位置決めする位置決め溝を有するので、光通信用デバイスの1つである光ファイバと光結合デバイスとを高精度に位置合わせすることができるという効果がある。
【0082】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記光通信用デバイスの少なくとも1つが発光素子であり、前記支持基板の前記一表面側に前記フォトマスクを利用して形成され前記発光素子を位置決めする凹部を有するので、光通信用デバイスの1つである光ファイバと光結合デバイスとを高精度に位置合わせすることができるという効果がある。
【0083】
請求項4の発明は、請求項1記載の光結合装置の製造方法であって、前記支持基板の一表面側に前記フォトマスクを利用して前記下地パターンを含む所定パターンを形成する工程と、前記下地パターン上へ自己整合的に光結合デバイスを形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができるという効果がある。また、前記下地パターンのパターン形状の設計により前記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できるという効果がある。
【0084】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターン上にブロック共重合体を滴下した後に硬化させることにより前記光結合デバイスを形成するので、成膜装置(例えばスパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などを用いた複雑なプロセスを行うことなしに前記光結合デバイスを容易に形成することができるという効果がある。
【0085】
請求項6の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターンの表面側にバイアススパッタリング法によって互いに屈折率の異なる物質からなる2種類の薄膜層を交互に積層することにより前記光結合デバイスを形成するので、例えばSi、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて前記光結合デバイスを形成することができるという効果がある。
【0086】
請求項7の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターンの表面側にコロイド粒子を沈降させることによって前記光結合デバイスを形成するので、真空チャンバを必要とする成膜装置(例えば、スパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などの特殊な装置を用いずに簡易な方法で、例えばSi、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて前記光結合デバイスを形成することができるという効果がある。
【0087】
請求項8の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記支持基板を前記支持基板の厚み方向に直交する面内で回転させながら前記下地パターンの表面側に所望の屈折率の物質を斜め蒸着することによって前記支持基板の厚み方向に螺旋周期を有する螺旋体と空気とからなる前記光結合デバイスを形成するので、前記光結合デバイスの構成材料として、半導体、金属、金属酸化物などの一般的な半導体製造プロセスで利用されている材料を採用することが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示し、(a)は光結合装置の概略斜視図、(b)は(a)における光結合デバイスの概略斜視図である。
【図2】同上の光結合装置の製造方法を説明するための主要工程斜視図である。
【図3】同上の光結合装置の製造方法を説明するための主要工程斜視図である。
【図4】同上における光結合デバイスの他の構成例の概略斜視図である。
【図5】同上における光結合デバイスの別の構成例の概略斜視図である。
【図6】実施形態2の光結合装置の製造方法を説明するための主要工程斜視図である。
【図7】同上の光結合装置の製造方法の説明図である。
【図8】同上における光結合デバイスの概略斜視図である。
【図9】実施形態3の光結合装置の製造方法を説明するための主要工程斜視図である。
【図10】同上における光結合デバイスの概略斜視図である。
【図11】実施形態4の光結合装置の製造方法を説明するための主要工程斜視図である。
【図12】同上の光結合装置の製造方法の説明図である。
【図13】同上における光結合デバイスの概略斜視図である。
【図14】実施形態5の光結合装置の概略斜視図である。
【図15】実施形態6の光結合装置の概略平面図である。
【図16】従来例を示す光結合デバイスの概略斜視図である。
【図17】他の従来例を示す光結合方法の説明図である。
【図18】別の従来例を示す光スイッチの概略説明図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 シリコン酸化膜
3a コア
4 シリコン酸化膜
5 位置決め溝
6 下地パターン
20 光ファイバ
30 光導波路
40 光結合デバイス
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信、特に波長多重通信や超高速光通信などに用いる光結合装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信容量の需要増加を背景に波長分割多重方式による光通信システムの普及が進んでいる。波長分割多重方式では、複数の波長の光を独立の信号により変調させた後、合波器などで光波長を多重化して1本の光ファイバに送り出すので、1本の光ファイバの伝送容量を飛躍的に増大させることができる。今後、このような波長分割多重通信が進展し、チャネル数が100以上となる高密度波長分割多重通信の実現が必要となってくると思われる。
【0003】
そこで、現状の波長分割多重通信用に用いられている光素子のさらなる小型化が要求されている。例えば、この種の光素子の一つであるアレイ導波路回折格子(Arrayed Waveguide Grating AWG)は、そのサイズが数cm□であり、合波器などの光部品の小型化を考えると、AWG自体の更なる小型化が必要である。ここにおいて、光素子の小型化のボトルネックとなっている主要因は、光素子のサイズを決定している光導波路の断面積および曲げ半径である。このため光導波路での光閉じ込め効果を高めて、光導波路の断面積および曲げ半径を小さくする研究開発が近年盛んに行われており、例えば、光導波路のコアとクラッドとの屈折率差を非常に大きくして光閉じ込め効果を高めた高屈折率差光導波路素子や、光の波長オーダの屈折率周期構造体よりなるフォトニック結晶での多重反射を利用し1μm以下のコア径と数μmの曲げ半径とを実現したフォトニック結晶型素子がある。
【0004】
ところで、1μm以下の微小な断面積を有する光導波路を実際の光通信システムにおいて使用するためには既存の光ファイバと光結合させる必要であるが、光ファイバのコア径は一般に10μm程度であるため、低損失で光結合を行うためには導波光のスポットサイズを10μmから1μm以下へ変換する必要がある。
【0005】
ここに、導波光のスポットサイズを変換する手段としてはレンズを用いることが従来から行われていたが、部品点数が増加するという問題があり、しかも、光ファイバや導波路と±1μm以下のアライメント精度で結合することが難しいという問題があり、光を入射させて出力光強度が最大になる位置を探しながらアライメントを行う所謂アクティブアライメントを行わなければならず、生産効率が著しく悪化するので、レンズを用いずに導波光のスポットサイズを変換する方法が必要であった。
【0006】
これに対して、近年では、レンズを用いずに導波光のスポットサイズを変換する光結合デバイスとして、特開平8−234062号公報に開示されたものが知られている。この公報に記載の光結合デバイスは、図16に示すように、半導体基板71の一表面上に光の伝搬方向に沿って断面積が徐々に小さくなるコア72を形成するとともに、半導体基板71の一表面側にコア72を覆うようにクラッド層73が形成されている。なお、図16では、光の入射端面におけるコア72の厚さをt1、幅をW1とし、光の出射端面におけるコア72の厚さをt2、幅をW2とすれば、t1>t2、且つ、W1>W2となっている。
【0007】
図16に示した光結合デバイスでは、クラッド層73の屈折率がコア72の屈折率よりも小さく且つ半導体基板71の屈折率よりも大きく設定されており、クラッド層73とコア72と半導体基板71とで光導波路を構成している。また、この光結合デバイスでは、クラッド層73の厚さt3がスポットサイズの大きい光導波素子のスポットサイズに合うように設計されている。このような光結合デバイスを用いて導波光のスポットサイズを変換すれば、スポットサイズの異なる光導波路素子同士を光結合することが可能になる。
【0008】
しかし、図16に示した構成の光結合デバイスでは、スポットサイズを短い距離で急激に変換しようとすると光導波路の外への放射損失が大きくなるので、コア72の断面積を光の伝搬方向に沿って徐々に変化させる必要があり、光結合させる導波路間のスポットサイズの差が大きくなるにつれてコア72の長さが長くなり、実用レベルではコア72の長さが数mm程度となってしまい、光の伝搬方向における寸法Lも数mm程度となり小型化が難しいという問題がある。
【0009】
そこで、この種の問題を解決するために、特開2001−4869号公報には、フォトニック結晶を用いた光結合デバイスおよび光結合方法が提案されている。
【0010】
この公報には、図17に示すように、光ファイバ20とフォトニック結晶を利用した導波路50との間でスポットサイズを変換して光ファイバ20と導波路50とを光結合する光結合デバイス40’として、光の波長と同程度の間隔で周期的な屈折率の変調構造を有するフォトニック結晶を採用している。この光結合デバイスでは、当該光結合デバイスを構成するフォトニック結晶の分散面を、例えば光の入射方向から見て傾斜しているように結晶配置および光入射方向を設定することにより、フォトニック結晶がレンズと同等の機能を果たし、数100μm程度の短い変換領域で急激なスポットサイズ変換を実現することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図17に示した構成のようにフォトニック結晶からなる光結合デバイス40’を用いて導波光のスポットサイズを変換するようにした場合、以下のような問題があった。
【0012】
すなわち、フォトニック結晶は一般に入射光の入射角度に対する感度が非常に高いので、光ファイバ20とフォトニック結晶からなる光結合デバイス40’との相対的な位置関係や、光結合デバイス40’と導波路50との相対的な位置関係がずれると光結合デバイス40’であるフォトニック結晶がレンズとしての機能を果たせなかったり、集光ポイントが大きくずれて導波路50との結合効率が著しく低下するという問題があった。
【0013】
また、導波光のスポットサイズの変換を必要とする光結合以外にも、簡易で低コスト化を図れる光結合方法の確立が期待されている。例えば、微小電気機械システム(micro−electro−mechanical system:MEMS)を採用したミラー式の光スイッチにおいては、図18に示すように、入力側の複数本の光ファイバ20a1〜20a4それぞれから光軸方向に延長した直線との出力側の複数本の光ファイバ20b1〜20b4それぞれから光軸方向に延長した直線との交差点ごとにミラー7’を配置し、入力側の光ファイバ20a1〜20a4と出力側の光ファイバ20b1〜20b4とを低損失で光結合するために入力側の光ファイバ20a1〜20a4の出射面側にコリメートレンズ80aを配置するとともに、出力側の光ファイバ20b1〜20b4の入射面側にコリメートレンズ80bを配置してあるが、部品点数の増加によるコスト増加の問題や、光ファイバとレンズとを±1μm程度のアライメント精度で光結合することが困難であるという問題があった。
【0014】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、相対的な位置が決められ互いに離間した複数の光通信用デバイスと、屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなり複数の光通信用デバイスのうち規定の光通信用デバイス間を光結合する光結合デバイスと、各光通信用デバイスおよび光結合デバイスが一表面側に設けられた支持基板とを備え、光結合デバイスは、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板の前記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されてなることを特徴とするものであり、光結合デバイスが屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイスの小型化を図ることができ、また、光結合デバイスが、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板の前記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイスと光結合デバイスとの相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。なお、請求項1における光通信用デバイスは、発光素子、受光素子、光導波路、光ファイバなどを含む概念である。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記光通信用デバイスの少なくとも1つが光ファイバであり、前記支持基板の前記一表面側に前記フォトマスクを利用して形成され前記光ファイバを位置決めする位置決め溝を有するので、光通信用デバイスの1つである光ファイバと光結合デバイスとを高精度に位置合わせすることができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記光通信用デバイスの少なくとも1つが発光素子であり、前記支持基板の前記一表面側に前記フォトマスクを利用して形成され前記発光素子を位置決めする凹部を有するので、光通信用デバイスの1つである光ファイバと光結合デバイスとを高精度に位置合わせすることができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1記載の光結合装置の製造方法であって、前記支持基板の一表面側に前記フォトマスクを利用して前記下地パターンを含む所定パターンを形成する工程と、前記下地パターン上へ自己整合的に光結合デバイスを形成する工程とを備えることを特徴とし、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、前記下地パターンのパターン形状の設計により前記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターン上にブロック共重合体を滴下した後に硬化させることにより前記光結合デバイスを形成するので、成膜装置(例えばスパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などを用いた複雑なプロセスを行うことなしに前記光結合デバイスを容易に形成することができる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターンの表面側にバイアススパッタリング法によって互いに屈折率の異なる物質からなる2種類の薄膜層を交互に積層することにより前記光結合デバイスを形成するので、例えばSi、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて前記光結合デバイスを形成することができる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターンの表面側にコロイド粒子を沈降させることによって前記光結合デバイスを形成するので、真空チャンバを必要とする成膜装置(例えば、スパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などの特殊な装置を用いずに簡易な方法で、例えばSi、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて前記光結合デバイスを形成することができる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記支持基板を前記支持基板の厚み方向に直交する面内で回転させながら前記下地パターンの表面側に所望の屈折率の物質を斜め蒸着することによって前記支持基板の厚み方向に螺旋周期を有する螺旋体と空気とからなる前記光結合デバイスを形成するので、前記光結合デバイスの構成材料として、半導体、金属、金属酸化物などの一般的な半導体製造プロセスで利用されている材料を採用することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の光結合装置は、図1(a)および図3(d)に示すように、シリコン基板からなる支持基板1の一表面側に、下部クラッド層となるシリコン酸化膜2とシリコンからなるコア3aと空気とで構成される光導波路30が設けられるとともに、光導波路30と離間して配置し光導波路30に光結合させる光ファイバ20を位置決めする断面V字状のV溝からなる位置決め溝5が形成されている。また、支持基板1の上記一表面側には、位置決め溝5により位置決めした光ファイバ20と光導波路30とを光結合する光結合デバイス40が形成されている。ここにおいて、光結合デバイス40は、屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体により構成されている。すなわち、光結合デバイス40はフォトニック結晶により構成されている。なお、本実施形態では、光ファイバ20および光導波路30それぞれが光通信用デバイスを構成している。
【0024】
C帯(1530nm〜1565nm)やL帯(1565nm〜1625nm)などの通信波長帯においては、シリコンの屈折率が約3.4、シリコン酸化膜の屈折率が約1.5、空気の屈折率が1.0であるため、上述の光導波路30の屈折率差は55〜70%となり、一般的な光ファイバのコアとクラッドとの比屈折率差である0.3%と比較して非常に大きな値となるので、光ファイバに比べて光の閉じ込め効果を高めることができ、シングルモードの導波条件を満たすための光導波路30のサイズは約0.4μm□程度まで小さくすることができる。なお、上述の光結合デバイス40は、光ファイバ20から入射された導波光のスポットサイズを光導波路30のスポットサイズへ変換する集光機能を有するように上記周期構造の周期が設定されているので、導波光のスポットサイズが異なる光ファイバ20と光導波路30とを光結合することができる。なお、屈折率の周期構造により集光機能を実現する具体的な設計方法については、特開2001−4689号公報に開示されており、フォトニック結晶の有する分散面が光入射方向から見て傾斜しているように結晶配置および光入射方向を設定することにより、フォトニック結晶内の伝搬光の波数空間での広がり幅が、入射光の波数空間での広がり幅に対して拡大するように設定することで、この広がり幅と逆比例の関係にある実空間でのスポットサイズを相対的に縮小させることができる(出射端でのスポットサイズを入射端でのスポットサイズに対して相対的に縮小させることができる)。
【0025】
ところで、本実施形態の光結合装置では、支持基板1の上記一表面側において位置決め溝5と光導波路30との間に周期的な凹凸パターンよりなる下地パターン6が形成されており、上述の光結合デバイス40は、下地パターン6上に自己整合的に形成されている。ここに、下地パターン6は、支持基板1の上記一表面に平行な面内で2次元的に配列された複数の円柱状の凸部6aを備えており、凸部6aの周囲が凹部となっている。すなわち、円柱状の凸部6aは、コア3aの延長方向およびコア3aの幅方向それぞれに配列された複数の長手方向に直交する2次元的に配列された下地パターン6の周期構造の周期は光結合デバイス40への入射光の波長の2分の1程度となるように設定してある。なお、光結合デバイス40を構成する屈折率周期構造体の周期構造の周期は下地パターン6における周期を反映している。
【0026】
本実施形態の光結合装置は、図2(a)に示すように厚み方向の中間に絶縁膜であるシリコン酸化膜(埋込酸化膜)2を有するいわゆるSOI(Silicon OnInsulator)基板100を利用して形成してある。すなわち、シリコン基板からなる支持基板1とシリコン層3との間にシリコン酸化膜2が介在するSOI基板100を用いて形成してある。ただし、本実施形態で用いるSOI基板100は、支持基板1の裏面にもシリコン酸化膜4が形成されている。
【0027】
以下、本実施形態の光結合装置の製造方法について図2および図3を参照しながら説明する。
【0028】
まず、図2(a)に示すようにシリコン基板からなる支持基板1上にシリコン酸化膜よりなる絶縁膜を介して単結晶のシリコン層3が形成されたSOI基板100のシリコン層3の表面にスピンコート法によってレジスト層を塗布し、リソグラフィ技術などによりシリコン層3の表面のうち位置決め溝5の形成予定領域および下地パターン6の形成予定領域が露出するようにパターニングされたレジスト層101を形成することによって、図2(b)に示す構造が得られる。
【0029】
次に、シリコン層3のうち上記レジスト層101に覆われずに露出した部位を誘導結合型プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)を利用したドライエッチング装置などにより表面からシリコン酸化膜2に達する深さまでエッチングしてから、レジスト層101を除去し、その後、熱酸化法によってシリコン層3の表面のうち露出していた部位にシリコン酸化膜102を形成することにより、図2(c)に示す構造が得られる。
【0030】
続いて、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術により1枚のフォトマスクを用いた1回の露光を行うことで、位置決め溝5の形成予定領域が開口するとともに下地パターン6の凸部6aの形成予定領域の周囲が開口し且つコア3aの形成予定領域の両側が開口するようにパターニングされたレジスト層103を形成し、その後、レジスト層103をマスクとして露出したシリコン酸化膜102,2をドライエッチングしてレジスト層103のパターンを転写することにより、図2(d)に示す構造が得られる。
【0031】
その後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって位置決め溝5の形成予定領域およびその両側が露出するようにパターニングされたレジスト層104を形成し、続いて、各レジスト層103,104および裏面のシリコン酸化膜4をマスクとして例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)のようなアルカリ系溶液を用いた異方性エッチングを行って位置決め溝5を形成することにより、図2(e)に示す構造が得られる。
【0032】
次に、各レジスト層103,104にO2プラズマ処理を施し、レジスト剥離液により各レジスト層103,104を除去してから、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって位置決め溝5および位置決め溝5の両側が覆われ他の部位が露出するようにパターニングされたレジスト層105を形成することにより、図3(a)に示す構造が得られる。
【0033】
続いて、レジスト層105およびシリコン酸化膜102,2をマスクとしてシリコン層3および支持基板1それぞれの露出した部分をICPを利用したドライエッチング装置にてドライエッチングすることによりコア3aおよび下地パターン6を形成し、その後、レジスト層105を除去し、さらにリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してシリコン酸化膜2のうち下地パターン6の領域に形成されている部分およびシリコン酸化膜102を除去することにより、図3(b)に示す構造が得られる。
【0034】
その後、図3(c)に示すように、下地パターン6上にトルエンに溶解したpolystyrene−poly(n−butyl methacrylate)(PS−PnBMA)106を所定量だけ滴下する。なお、PS−PnBMAは、ブロック共重合体に属する物質であり、ブロック共重合体は規則的に相分離する性質を有しており、フォトニック結晶のような屈折率周期構造を簡易に作製できることが知られている(例えば、M.Fasolka,D.J.Harris,A.M.Mayes,M.Yoon,S.G.J.Mochrie,Rhys.Rev.Lett.,79,3018,1997)。
【0035】
ここにおけるブロック共重合体は、非相溶な2種類の高分子鎖(以下、一方の高分子鎖を高分子鎖A、他方の高分子鎖を高分子鎖Bと称す)が共有結合したもので、高分子鎖Aと高分子鎖Bとは別々の空間に凝集しようとするが、高分子鎖Aと高分子鎖Bとが共有結合で結合されているので、それぞれの空間はミクロな寸法に限定される。高分子鎖Aおよび高分子鎖Bそれぞれが凝集して形成される凝集体の形状は、高分子鎖A、高分子鎖Bの種類、ポリマー鎖の長さなどを適宜選ぶことにより、球状、棒状、層状などの形状に制御でき、この性質を利用すると、上述の規則的な相分離構造を様々な形態で実現することが可能である。
【0036】
そこで、本実施形態では、上述のように、下地パターン6上にトルエンに溶解したPS−PnBMA106を所定量だけ滴下した後、ブロック共重合体106を所定のリフロー温度で硬化させることで、下地パターン6の凹凸の周期を反映した屈折率周期構造体よりなる光結合デバイス40を形成し、位置決め溝5に光ファイバ20を配置し、接着剤などで固定することにより、図3(d)に示す構造を得ている。なお、本実施形態における光結合デバイス40は、図1(b)に示すように、PSよりなる第1の物質(上記高分子鎖Aの凝集体)41aとPnBMAよりなる第2の物質(上記高分子鎖Bの凝集体)41bとで全体として直方体状に形成されており、第1の物質41aが微小な球状に形成され、第2の物質41b中に上記周期で3次元的に配列された構造を有しているが、図4に示すように第1の物質41aが柱状に形成され、第2の物質41b中に上記周期で2次元的に配列された構造を有していてもよく、図5に示すように第1の物質41aおよび第2の物質41bが交互に積層された構造を有していてもよい。
【0037】
以上説明した製造方法によれば、光結合デバイス40が、光ファイバ20と光導波路30との相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスク(具体的には、光ファイバ20を位置決めする位置決め溝5と光導波路30のコア3aとの相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスク)に位置決め溝5用のマスクパターン(光通信用デバイス用のマスクパターン)およびコア3a用のマスクパターン(光通信用デバイス用のマスクパターン)とは別に光結合デバイス40用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されることになる。
【0038】
しかして、本実施形態の光結合装置では、光結合デバイス40が屈折率の異なる複数種類の物質41a,41bの周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス40の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス40が、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイス(光ファイバ20、光導波路30)と光結合デバイス40との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0039】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターン6を含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン6上へ自己整合的に光結合デバイス40を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターン6のパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0040】
また、光結合デバイス40を形成する工程では、下地パターン6上にブロック共重合体を滴下した後に硬化させることにより光結合デバイス40を形成するので、成膜装置(例えばスパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などを用いた複雑なプロセスを行うことなしに光結合デバイス40を容易に形成することができる。
【0041】
(実施形態2)
本実施形態の光結合装置の基本構成は図6(e)に示すように、実施形態1と略同じであり、光結合デバイス40の形成方法が異なることで光結合デバイス40の構造が相違する。
【0042】
以下、本実施形態の光結合装置の製造方法について説明する。
【0043】
実施形態1で説明した製造方法に準じて図6(a)(図3(b)と同じ)に示すように位置決め溝5および下地パターン6および光導波路30を形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって下地パターン6の部位のみが露出するようにパターニングされたレジスト層からなるエッチングストッパ膜111を形成することによって、図6(b)に示す構造が得られる。なお、エッチングストッパ膜111は、レジスト層に限らず、シリコン窒化膜を採用してもよい。
【0044】
次に、図7に示すようなrfバイアススパッタリング装置を用いて、支持基板1の上記一表面側の全面にデポジションとエッチングとが同時に起こるようにチャンバCh内のSiからなるターゲット45(あるいはSiO2からなるターゲット46)と支持基板1とに高周波電力を印加しながら、第1の物質であるアモルファスシリコンからなる第1の薄膜層と第2の物質であるSiO2からなる第2の薄膜層とを交互に積層することで下地パターン6上に屈折率周期構造体よりなる光結合デバイス40が形成されるとともに、他の部位上に第1の薄膜層と第2の薄膜層とが交互に積層した積層膜112が形成され、図6(c)に示すような構造が得られる。すなわち、支持基板1に高周波電力を印加しながら、ターゲット45に高周波電力を印加してArイオン47によりターゲット45をスパッタする期間と、ターゲット46に高周波電力を印加してArイオン47によりターゲット45をスパッタする期間とを交互に繰り返すことによって、ステージSTにセットされた対象物S(図6(b)の構造物)の表面側に上記光結合デバイス40と積層膜112とを形成することができる。なお、図7中の一点鎖線で囲んだ空間はプラズマが発生している空間を模式的に示してあり、同図中の48はターゲット45から飛び出したスパッタ原子を示している。また、ステージSTは回転可能であって、ターゲット45をスパッタする期間にはターゲット45に対象物Sが対向し、ターゲット46をスパッタする期間にはターゲット46に対象物Sが対向するように図示しない制御装置によって制御されるようになっている。
【0045】
ここにおいて、光結合デバイス40は、支持基板1の上記一表面に平行な面内では下地パターン6の凹凸の周期を反映した周期構造が形成され、さらに支持基板1の厚み方向には交互積層による周期性が現れ、全体として3次元周期構造を有している。このような3次元周期構造の形成方法は、自己クローニング法と呼ばれており(例えば、S.Kawakami,T.Kawashima,T.Sato,Appl.Phys.Lett.,74,463,1999)、下地パターン6を円形の穴が2次元的な周期構造を有するように配列された凹凸パターンとすれば、図8に示すように、第1の物質からなる第1の薄膜層40aと第2の物質からなる第2の薄膜層40bとが下地パターン6の形状を反映して積層された3次元周期構造体を形成できることができる。
【0046】
上述のようにして支持基板1の上記一表面側に光結合デバイス40と積層膜112とを形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって光結合デバイス40が覆われ他の部位が露出するようにパターニングされたレジスト層113を形成し、ICPを利用したドライエッチング装置などによって積層膜112をエッチング除去することにより、図6(d)に示す構造が得られる。なお、積層膜112は上述のように第1の物質であるアモルファスシリコンからなる第1の薄膜層と第2の物質であるSiO2からなる第2の薄膜層とが交互に積層されているから、各薄膜層ごとにエッチングガスを切り替えることで連続的にエッチングすることができる。ここに、上述のエッチングストッパ膜111が形成されていることで、エッチングの終点の管理が容易になるとともにエッチングストッパ膜111下のコア3aや位置決め溝5の内面がエッチングされるのを防止することができる。
【0047】
積層膜112を除去した後、レジスト層113を除去してから、ダイシングを行い、光ファイバ20を位置決め溝5に配置し、接着剤などにより固定することにより、図6(e)に示す構造が得られる。
【0048】
しかして、本実施形態の光結合装置では、実施形態1と同様に、光結合デバイス40が屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス40の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス40が、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイス(光ファイバ20、光導波路30)と光結合デバイス40との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0049】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターン6を含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン6上へ自己整合的に光結合デバイス40を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターン6のパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0050】
また、光結合デバイス40を形成する工程では、下地パターン6の表面側にrfバイアススパッタリング装置を用いたバイアススパッタリング法によって互いに屈折率の異なる物質からなる2種類の薄膜層を交互に積層することにより光結合デバイス40を形成するので、Si、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて光結合デバイス40を形成することができる。なお、各薄膜層を構成する材料はSiとSiO2との組み合わせ以外でもよいことは勿論である。
【0051】
(実施形態3)
本実施形態の光結合装置の基本構成は図9(e)に示すように、実施形態1と略同じであり、光結合デバイス40の形成方法が異なることで光結合デバイス40の構造が相違する。
【0052】
以下、本実施形態の光結合装置の製造方法について説明する。
【0053】
実施形態1で説明した製造方法に準じて図9(a)(図3(b)と同じ)に示すように位置決め溝5および下地パターン6および光導波路30を形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって下地パターン6の部位のみが露出するようにパターニングされたレジスト層からなるエッチングストッパ膜111を形成することによって、図9(b)に示す構造が得られる。なお、エッチングストッパ膜111は、レジスト層に限らず、シリコン窒化膜を採用してもよい。
【0054】
次に、直径が数100nmサイズのシリカ球を含むコロイド溶液中に図9(b)に示す構造物を浸漬してシリカ球を沈降させることにで下地パターン6上に屈折率周期構造体(コロイド結晶)よりなる光結合デバイス40が形成されるとともに、他の部位上にコロイド結晶114が形成され、図9(c)に示すような構造が得られる。すなわち、コロイド結晶114は、下地上にシリカ球を沈降させることでコロイド結晶を成長させる人工オパール法をにより形成され、光結合デバイス40は、周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6をテンプレートとして周期構造を制御可能なコロイドエピタキシー法(例えば、A.Van Blaaderen,R.Ruel and P.Wiltzuis,Nature 385,321,1997)により形成されており、光結合デバイス40は、図10に示すようにシリカの球状体40cが3次元周期構造を有するように配列されている。
【0055】
上述のようにして支持基板1の上記一表面側に光結合デバイス40とコロイド結晶114とを形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって光結合デバイス40が覆われ他の部位が露出するようにパターニングされたレジスト層113を形成し、ICPを利用したドライエッチング装置などによってコロイド結晶114をエッチング除去することにより、図9(d)に示す構造が得られる。なお、上述のエッチングストッパ膜111が形成されていることで、エッチングの終点の管理が容易になるとともにエッチングストッパ膜111下のコア3aや位置決め溝5の内面がエッチングされるのを防止することができる。
【0056】
コロイド結晶114を除去した後、レジスト層113を除去してから、ダイシングを行い、光ファイバ20を位置決め溝5に配置し、接着剤などにより固定することにより、図9(e)に示す構造が得られる。
【0057】
しかして、本実施形態の光結合装置では、実施形態1と同様に、光結合デバイス40が屈折率の異なる複数種類の物質(本実施形態では、シリカと空気)の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス40の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス40が、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイス(光ファイバ20、光導波路30)と光結合デバイス40との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0058】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターン6を含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン6上へ自己整合的に光結合デバイス40を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターン6のパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0059】
また、光結合デバイス40を形成する工程では、下地パターン6の表面側にコロイド粒子を沈降させることによって光結合デバイス40を形成するので、真空チャンバを必要とする成膜装置(例えば、スパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などの特殊な装置を用いずに簡易な方法で、例えばSi、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて光結合デバイス40を形成することができる。
【0060】
(実施形態4)
本実施形態の光結合装置の基本構成は図11(e)に示すように、実施形態1と略同じであり、光結合デバイス40の形成方法が異なることで光結合デバイス40の構造が相違する。
【0061】
以下、本実施形態の光結合装置の製造方法について説明する。
【0062】
実施形態1で説明した製造方法に準じて図11(a)(図3(b)と同じ)に示すように位置決め溝5および下地パターン6および光導波路30を形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって下地パターン6の部位のみが露出するようにパターニングされたレジスト層からなるエッチングストッパ膜111を形成することによって、図11(b)に示す構造が得られる。なお、エッチングストッパ膜111は、レジスト層に限らず、シリコン窒化膜を採用してもよい。
【0063】
次に、図12に示すような斜め蒸着が可能な蒸着装置を用いて、ステージSTにセットされた対象物S(図12(b)の構造物)の表面側に図13に示すようなSiO2からなり支持基板1の厚み方向に螺旋周期を有する螺旋体40dが支持基板1の上記一表面に平行な面内で2次元周期構造を有するように配列された光結合デバイス40とシリコン酸化膜115とを形成することにより、図11(c)に示す構造が得られる。ここにおいて、光結合デバイス40およびシリコン酸化膜115は、図12に示すように、対象物SがセットされたステージSTをモータ51によって回転させながら、ステージSTの法線に対して傾いた方向から所望の屈折率の物質(例えば、SiO2からなる蒸着粒子)が到来するような斜め蒸着を行うことによって形成されている。なお、図12中のθは、図示しない電子ビームにより蒸着源52から蒸発した蒸着粒子の飛来方向の中心線とステージSTの法線方向(支持基板1の厚み方向)とのなす角度を示している。
【0064】
ここにおいて、光結合デバイス40は、支持基板1の上記一表面に平行な面内では下地パターン6の凹凸の周期を反映した周期構造が形成され、さらに支持基板1の厚み方向には螺旋体40dの螺旋周期による周期性が現れ、全体として3次元周期構造を有している。このような3次元周期構造の形成方法は、GLAD(Glancing Angle Deposition)法と呼ばれており(例えば、K.Robbie and M.J.Brett,J.Vac.Sci Technol.A15(3),1460,1997)、螺旋体40dは下地パターン6を核として形成されるから、螺旋体40dの形状は下地パターン6の形状や配列によって制御可能である。なお、上述の説明から明らかなように、光結合デバイス40は、SiO2よりなる複数の螺旋体40dと空気とで構成されている。
【0065】
上述のようにして支持基板1の上記一表面側に光結合デバイス40とシリコン酸化膜115とを形成した後、支持基板1の上記一表面側の全面にスピンコート法によりレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって光結合デバイス40が覆われ他の部位が露出するようにパターニングされたレジスト層113を形成し、ICPを利用したドライエッチング装置などによってシリコン酸化膜115をエッチング除去することにより、図11(d)に示す構造が得られる。ここに、上述のエッチングストッパ膜111が形成されていることで、エッチングの終点の管理が容易になるとともにエッチングストッパ膜111下のコア3aや位置決め溝5の内面がエッチングされるのを防止することができる。
【0066】
シリコン酸化膜115を除去した後、レジスト層113を除去してから、ダイシングを行い、光ファイバ20を位置決め溝5に配置し、接着剤などにより固定することにより、図11(e)に示す構造が得られる。
【0067】
しかして、本実施形態の光結合装置では、実施形態1と同様に、光結合デバイス40が屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス40の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス40が、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイス(光ファイバ20、光導波路30)と光結合デバイス40との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0068】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターン6を含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン6上へ自己整合的に光結合デバイス40を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターン6のパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0069】
また、光結合デバイス40を形成する工程では、支持基板1を支持基板1の厚み方向に直交する面内で回転させながら下地パターン6の表面側に所望の屈折率の物質(本実施形態では、SiO2)を斜め蒸着することによって支持基板1の厚み方向に螺旋周期を有する螺旋体40dと空気とからなる光結合デバイス40を形成するので、光結合デバイス40の構成材料として、一般的な半導体製造プロセスで利用されている材料を採用することができる。なお、本実施形態のように斜め蒸着により光結合デバイス40を形成する場合には、SiO2に限らず、半導体、金属、金属酸化物などの一般的な半導体製造プロセスで利用されている材料を採用することが可能となる。
【0070】
(実施形態5)
本実施形態の光結合装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、図14に示すように、シリコン基板よりなる支持基板1の上記一表面側に、実施形態1で説明した断面V字状の位置決め溝5の代わりに、レーザーダイオードからなる発光素子21を位置決めする凹部8が形成されている点が相違する。すなわち、発光素子21は図14における下部が凹部8に埋め込まれた形で位置決めされている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施形態では、発光素子21および光導波路30それぞれが光通信用デバイスを構成している。
【0071】
本実施形態における光結合デバイス40の基本構造としては、上記各実施形態の何れかにおける構造を採用すればよく、上記各実施形態では光ファイバ20から入射された導波光のスポットサイズを光導波路30のスポットサイズへ変換する集光機能を有するように上記周期構造の周期が設定されているのに対して、本実施形態では、発光素子21から入射された導波光のスポットサイズを光導波路30のスポットサイズへ変換する集光機能を有するように上記周期構造の周期が設定されている点が相違する。
【0072】
また、本実施形態の光結合装置の製造方法は上記各実施形態のいずれかで説明した方法に準じ、位置決め溝5の代わりに凹部8を形成する点が相違するだけである。すなわち、位置決め溝5に対応したマスクパターンを凹部8に対応したマスクパターンに変更すればよい。また、位置決め溝5を形成する際にはアルカリ系溶液を用いた異方性エッチングを行っているが、凹部8を形成する際にはドライエッチングを行えばよい。
【0073】
しかして、本実施形態の光結合装置では、実施形態1と同様に、光結合デバイス40が屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス40の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス40が、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン6上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイス(発光素子21、光導波路30)と光結合デバイス40との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0074】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターン6を含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン6上へ自己整合的に光結合デバイス40を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターン6のパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0075】
(実施形態6)
本実施形態の光結合装置は、図15に示すように、MEMS式ミラー型光スイッチの入力側の2本の光ファイバ20a,20bからの出射光をコリメートする機能を有する屈折率周期構造体よりなる光結合デバイス41と、ミラー7で反射されて出力側の2本の光ファイバ20b,20bへ向かう光をコリメートする機能を有する屈折率周期構造体よりなる光結合デバイス42とが支持基板1の一表面側に形成されている。また、支持基板1の上記一表面側には各光ファイバ20a,20a,20b,20bそれぞれを位置決めする4つの断面V字状の位置決め溝5が形成されている。なお、屈折率の周期構造によりコリメート機能を実現する具体的な設計方法については、上述の特開2001−4689号公報に記載の内容から容易に類推することができる。
【0076】
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、入力側の2本の光ファイバ20a,20aそれぞれから光軸方向に延長した直線との出力側の2本の光ファイバ20b,20bそれぞれから光軸方向に延長した直線との交差点ごとにミラー7を配置し、入力側の光ファイバ20a,20aと出力側の光ファイバ20b,20bとを低損失で光結合するために入力側の光ファイバ20a,20aの出射面側に光結合デバイス41を配置するとともに、出力側の光ファイバ20b,20bの入射面側に光結合デバイス42を配置してある。ミラーのサイズは200μm□程度で、入力側の光ファイバ20aから出射された光は、光結合デバイス41を介してミラー7で光路を90度変換され、光結合デバイス42を介して出力側の光ファイバ20bへ入射される。ここにおいて、光結合デバイス41,42はコリメートレンズとして機能する。すなわち、本実施形態では、光ファイバ20aからの出射光を光結合デバイス41で適当なスポットサイズ、例えば100μm程度のコリメート光に変換し、ミラー7で光路変換された後、光結合デバイス42を通る際に光ファイバ20bのスポットサイズである10μm程度にスポットサイズ変換を行う。
【0077】
ところで、本実施形態の光結合装置は、上記各実施形態で説明した製造方法のいずれかに準拠して製造することができる。すなわち、支持基板1の上記一表面側には各光結合デバイス41,42の形成予定領域に上記各実施形態で説明したような下地パターンがそれぞれ形成しておけばよい。
【0078】
しかして、本実施形態の光結合装置では、実施形態1と同様に、光結合デバイス41,42が屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイス41,42の小型化を図ることができる。また、光結合デバイス41,42が、各光通信用デバイス(光ファイバ20a,20b)間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板1の上記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイスと光結合デバイス41,42との相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れ、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れる。
【0079】
また、上述の製造方法では、支持基板1の上記一表面側に上記フォトマスクを利用して下地パターンを含む所定パターンを形成する工程と、下地パターン上へ自己整合的に光結合デバイス41,42を形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができる。また、下地パターンのパターン形状の設計により上記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できる。
【0080】
【発明の効果】
請求項1の発明は、相対的な位置が決められ互いに離間した複数の光通信用デバイスと、屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなり複数の光通信用デバイスのうち規定の光通信用デバイス間を光結合する光結合デバイスと、各光通信用デバイスおよび光結合デバイスが一表面側に設けられた支持基板とを備え、光結合デバイスは、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板の前記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されてなるものであり、光結合デバイスが屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなることにより、光結合デバイスの小型化を図ることができるという効果があり、また、光結合デバイスが、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板の前記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されているので、従来のようなアクティブアライメントを行うことなく光通信用デバイスと光結合デバイスとの相対的な位置精度を高めることができて光結合損失の低減を図れるという効果があり、しかも、レンズを用いることなく規定の光通信用デバイス間を光結合することができるので、レンズを用いる場合に比べて部品点数を削減できて低コスト化を図れるという効果がある。
【0081】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記光通信用デバイスの少なくとも1つが光ファイバであり、前記支持基板の前記一表面側に前記フォトマスクを利用して形成され前記光ファイバを位置決めする位置決め溝を有するので、光通信用デバイスの1つである光ファイバと光結合デバイスとを高精度に位置合わせすることができるという効果がある。
【0082】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記光通信用デバイスの少なくとも1つが発光素子であり、前記支持基板の前記一表面側に前記フォトマスクを利用して形成され前記発光素子を位置決めする凹部を有するので、光通信用デバイスの1つである光ファイバと光結合デバイスとを高精度に位置合わせすることができるという効果がある。
【0083】
請求項4の発明は、請求項1記載の光結合装置の製造方法であって、前記支持基板の一表面側に前記フォトマスクを利用して前記下地パターンを含む所定パターンを形成する工程と、前記下地パターン上へ自己整合的に光結合デバイスを形成する工程とを備えるので、光結合損失の低減および小型化および低コスト化を図れる光結合装置を提供することができるという効果がある。また、前記下地パターンのパターン形状の設計により前記周期構造の周期を制御することができ、所望の光学特性を実現できるという効果がある。
【0084】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターン上にブロック共重合体を滴下した後に硬化させることにより前記光結合デバイスを形成するので、成膜装置(例えばスパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などを用いた複雑なプロセスを行うことなしに前記光結合デバイスを容易に形成することができるという効果がある。
【0085】
請求項6の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターンの表面側にバイアススパッタリング法によって互いに屈折率の異なる物質からなる2種類の薄膜層を交互に積層することにより前記光結合デバイスを形成するので、例えばSi、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて前記光結合デバイスを形成することができるという効果がある。
【0086】
請求項7の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターンの表面側にコロイド粒子を沈降させることによって前記光結合デバイスを形成するので、真空チャンバを必要とする成膜装置(例えば、スパッタ装置、蒸着装置など)やエッチング装置などの特殊な装置を用いずに簡易な方法で、例えばSi、SiO2のようなポリマーに比べて耐環境性に優れた物質を用いて前記光結合デバイスを形成することができるという効果がある。
【0087】
請求項8の発明は、請求項4の発明において、前記光結合デバイスを形成する工程では、前記支持基板を前記支持基板の厚み方向に直交する面内で回転させながら前記下地パターンの表面側に所望の屈折率の物質を斜め蒸着することによって前記支持基板の厚み方向に螺旋周期を有する螺旋体と空気とからなる前記光結合デバイスを形成するので、前記光結合デバイスの構成材料として、半導体、金属、金属酸化物などの一般的な半導体製造プロセスで利用されている材料を採用することが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示し、(a)は光結合装置の概略斜視図、(b)は(a)における光結合デバイスの概略斜視図である。
【図2】同上の光結合装置の製造方法を説明するための主要工程斜視図である。
【図3】同上の光結合装置の製造方法を説明するための主要工程斜視図である。
【図4】同上における光結合デバイスの他の構成例の概略斜視図である。
【図5】同上における光結合デバイスの別の構成例の概略斜視図である。
【図6】実施形態2の光結合装置の製造方法を説明するための主要工程斜視図である。
【図7】同上の光結合装置の製造方法の説明図である。
【図8】同上における光結合デバイスの概略斜視図である。
【図9】実施形態3の光結合装置の製造方法を説明するための主要工程斜視図である。
【図10】同上における光結合デバイスの概略斜視図である。
【図11】実施形態4の光結合装置の製造方法を説明するための主要工程斜視図である。
【図12】同上の光結合装置の製造方法の説明図である。
【図13】同上における光結合デバイスの概略斜視図である。
【図14】実施形態5の光結合装置の概略斜視図である。
【図15】実施形態6の光結合装置の概略平面図である。
【図16】従来例を示す光結合デバイスの概略斜視図である。
【図17】他の従来例を示す光結合方法の説明図である。
【図18】別の従来例を示す光スイッチの概略説明図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 シリコン酸化膜
3a コア
4 シリコン酸化膜
5 位置決め溝
6 下地パターン
20 光ファイバ
30 光導波路
40 光結合デバイス
Claims (8)
- 相対的な位置が決められ互いに離間した複数の光通信用デバイスと、屈折率の異なる複数種類の物質の周期構造を有する屈折率周期構造体からなり複数の光通信用デバイスのうち規定の光通信用デバイス間を光結合する光結合デバイスと、各光通信用デバイスおよび光結合デバイスが一表面側に設けられた支持基板とを備え、光結合デバイスは、各光通信用デバイス間の相対的な位置決めに関わる1枚のフォトマスクに各光通信用デバイス用のマスクパターンとは別に光結合デバイス用に設けたマスクパターンにより支持基板の前記一表面側に形成された周期的な凹凸パターンからなる下地パターン上に自己整合的に形成されてなることを特徴とする光結合装置。
- 前記光通信用デバイスの少なくとも1つが光ファイバであり、前記支持基板の前記一表面側に前記フォトマスクを利用して形成され前記光ファイバを位置決めする位置決め溝を有することを特徴とする請求項1記載の光結合装置。
- 前記光通信用デバイスの少なくとも1つが発光素子であり、前記支持基板の前記一表面側に前記フォトマスクを利用して形成され前記発光素子を位置決めする凹部を有することを特徴とする請求項1記載の光結合装置。
- 請求項1記載の光結合装置の製造方法であって、前記支持基板の一表面側に前記フォトマスクを利用して前記下地パターンを含む所定パターンを形成する工程と、前記下地パターン上へ自己整合的に光結合デバイスを形成する工程とを備えることを特徴とする光結合装置の製造方法。
- 前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターン上にブロック共重合体を滴下した後に硬化させることにより前記光結合デバイスを形成することを特徴とする請求項4記載の光結合装置の製造方法。
- 前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターンの表面側にバイアススパッタリング法によって互いに屈折率の異なる物質からなる2種類の薄膜層を交互に積層することにより前記光結合デバイスを形成することを特徴とする請求項4記載の光結合装置の製造方法。
- 前記光結合デバイスを形成する工程では、前記下地パターンの表面側にコロイド粒子を沈降させることによって前記光結合デバイスを形成することを特徴とする請求項4記載の光結合装置の製造方法。
- 前記光結合デバイスを形成する工程では、前記支持基板を前記支持基板の厚み方向に直交する面内で回転させながら前記下地パターンの表面側に所望の屈折率の物質を斜め蒸着することによって前記支持基板の厚み方向に螺旋周期を有する螺旋体と空気とからなる前記光結合デバイスを形成することを特徴とする請求項4記載の光結合装置の製造方法。
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JP2009170865A (ja) * | 2007-12-17 | 2009-07-30 | Kyocera Corp | 信号端子と信号線路導体との接続構造および電子部品搭載用パッケージならびに電子装置 |
-
2002
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