JP2004037055A - スターリング冷蔵庫 - Google Patents
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- F25D23/003—General constructional features for cooling refrigerating machinery
Abstract
【課題】スターリング冷凍機の高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱を効率よく搬送可能な、省エネルギーのスターリング冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本発明のスターリング冷蔵庫1は、スターリング冷凍機2と、スターリング冷凍機2の高温部で生じた熱を高温側の二次冷媒によって搬送するための高温側ループ状管路3と、スターリング冷凍機2の低温部で生じた冷熱を低温側の二次冷媒によって搬送するための低温側ループ状管路4とを備え、スターリング冷凍機2の軸中心線が冷蔵庫1の背面と垂直に交わるように、スターリング冷凍機2を冷蔵庫1の中部に配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のスターリング冷蔵庫1は、スターリング冷凍機2と、スターリング冷凍機2の高温部で生じた熱を高温側の二次冷媒によって搬送するための高温側ループ状管路3と、スターリング冷凍機2の低温部で生じた冷熱を低温側の二次冷媒によって搬送するための低温側ループ状管路4とを備え、スターリング冷凍機2の軸中心線が冷蔵庫1の背面と垂直に交わるように、スターリング冷凍機2を冷蔵庫1の中部に配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スターリング冷凍機を使ったスターリング冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷蔵庫などの冷却手段として、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが採用されている。こうした蒸気冷却式の冷凍サイクル装置には、作動媒体としての冷媒にフロンが用いられ、フロンの凝縮、蒸発を利用して、所要の冷却性能を得るようにしている。しかし、フロンはオゾン破壊係数が大きいため、近年フロンのうち特定フロンを対象として使用と生産とが規制されてきている。このため、特定フロンを用いなくてもすむ技術として、逆スターリングサイクルを利用したスターリング冷凍機などの研究が進められている。
【0003】
スターリング冷凍機は、他の冷凍機関と比較して、小型で冷却効率が高く、低消費電力を実現できるものである。一方、冷却ヘッド部の電熱面積が小さく、冷熱を効率よく取り出せないという問題があった。
【0004】
そこで特開平7−180921号公報には、スターリング冷凍機のピストン背圧の脈動を利用して冷媒が循環されることにより、冷蔵庫の下部に配置されたスターリング冷凍機の低温部で発生した冷熱が、冷蔵庫の上部の凝縮器に搬送され、冷蔵庫内が冷却される、スターリング冷蔵庫が提案されている。
【0005】
また、特開2001−33139号公報には、スターリング冷凍機の低温部で発生した冷熱がループ状管路を介して冷凍キャビネットの内部に搬送され、冷蔵庫内が冷却される、小型のスターリング冷蔵庫が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
大型の冷蔵庫にスターリング冷凍機を搭載した場合には、熱負荷が大きくなるため、スターリング冷凍機の低温部で発生した冷熱が効率よく搬送されるとともに、高温部で発生した大量の熱が効率よく搬送され、外部へ放出されることが必要になる。
【0007】
特開平7−180921号公報に開示されたスターリング冷蔵庫では、スターリング冷凍機の低温部の冷熱は、ピストンの背圧の脈動で循環される冷媒により搬送されている。しかし、あくまでもピストンは作動ガスを圧縮・膨張させることを主目的とするものであり、背圧の脈動により冷媒を循環させることは付随的な目的にすぎない。これにより、作動ガスの圧縮、膨張に有利な設計とされるため、十分な冷媒の循環流量が得られる背圧を発生させるように設計することは困難である。したがって、特に大型の冷蔵庫では、ピストンの背圧の脈動のみでは冷媒の循環流量が不十分となり、低温部の冷熱が効率よく搬送されないという問題があった。
【0008】
また、特開平7−180921号公報および特開2001−33139号公報に開示された各スターリング冷凍機では、スターリング冷凍機の高温部の熱は、動力を使ったファンにより外部へ放出されている。したがって、大型の冷蔵庫に適用する場合、高温部で大量に発生した熱を効率よく外部へ放出するためにはファンの動力を大きくする必要があり、省エネルギーに反するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、スターリング冷凍機の高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱を効率よく搬送可能な、省エネルギーのスターリング冷蔵庫を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のスターリング冷蔵庫は、スターリング冷凍機と、スターリング冷凍機の圧縮室で生じた熱を高温側の二次冷媒によって搬送するためのループ状の高温側管路と、スターリング冷凍機の膨張室で生じた冷熱を低温側の二次冷媒によって搬送するためのループ状の低温側管路とを備えたスターリング冷蔵庫において、スターリング冷凍機の軸中心線が冷蔵庫の背面と垂直に交わるように、スターリング冷凍機を冷蔵庫の中部に配置している。
【0011】
本発明のスターリング冷蔵庫によれば、スターリング冷凍機で生じた熱は、ループ状の高温側管路の中に充填された液体の二次冷媒に伝熱される。熱を受け取った高温側の二次冷媒は、蒸発して気体となり、液体と気体の重力差を利用して移動する。そして高温側の二次冷媒の熱が冷蔵庫の外部へ放出され、高温側の二次冷媒は凝縮して液体となる。そして、高温側の二次冷媒は、液体と気体の重力差を利用して再びスターリング冷凍機の方へ移動し、スターリング冷凍機から熱を受け取る。このように、高温側の二次冷媒がループ状の高温側管路の中で凝縮、蒸発をしながら循環することにより、スターリング冷凍機で生じた熱は効率よく冷蔵庫の外部へ搬送される。
【0012】
一方、スターリング冷凍機で生じた冷熱は、ループ状の低温側管路の中に充填された気体の低温側の二次冷媒に伝熱される。冷熱を受け取った低温側の二次冷媒は、凝縮して液体となり、液体と気体の重力差を利用して移動する。そして冷熱がスターリング冷蔵庫内へ放出され、低温側の二次冷媒は蒸発して気体となる。そして、低温側の二次冷媒は、液体と気体の重力差を利用して再びスターリング冷凍機の方へ移動し、スターリング冷凍機から冷熱を受け取る。このように、低温側の二次冷媒がループ状の低温側管路の中で凝縮、蒸発をしながら循環することにより、スターリング冷凍機の膨張室で生じた冷熱は効率よく冷蔵庫内へ搬送される。
【0013】
以上の作用により、スターリング冷蔵庫において、ループ状管路に充填された冷媒は、液体と気体との重力差により自然循環するので、冷媒の循環にファンなどの動力を必要とせず、省エネルギーとなる。
【0014】
また、本発明では、冷媒の液体状態と気体状態とでの重力差を利用して冷媒を循環させるが、その冷媒を通す高温側および低温側の管路を、液体から気体、気体から液体への状態の変化が生じやすいように適切に設計することができるため、適切な設計が困難な背圧の脈動を用いる構成よりも、冷媒を循環させるための大きな圧力を得ることができる。この結果、高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱が効率よく搬送される。
【0015】
また、ループ状の高温側管路を用いているため、この高温側管路の管路長を長くするなどの手段により、ファンなどの動力を用いることなく、圧縮室で生じた熱を冷蔵庫の外部へ容易に放出することができる。このように高温部で発生した熱を冷蔵庫外部へ効率よく放出できるため、省エネルギー化を図ることができる。
【0016】
また、スターリング冷蔵庫の背面部分には、通常、冷気ダクトや冷気ダクトへの冷気の流路等が設置されるためのスペースが必要である。しかし、スターリング冷凍機は通常、その軸中心線方向に寸法が大きくなるため、その軸中心線方向と冷蔵庫の背面とが平行となるように冷凍機を設置すると、スターリング冷蔵庫の背面部分のスペースがスターリング冷凍機に占められてしまう。この結果、スターリング冷凍機が、冷気ダクトや冷気ダクトへの冷気の流路等を設置する際の妨げとなり、好ましくない。
【0017】
特に、スターリング冷凍機がスターリング冷蔵庫の中部の高さ位置に配置されている場合には、スターリング冷凍機は、冷気を発生する部分と冷気ダクトとをつなぐ冷気の流路を設置する際の妨げとなる。冷気の流路が妨げられると、冷気の流路のスペースが小さくなるので、冷気ダクトへの流動抵抗が増加し、スターリング冷蔵庫の冷却効率が低下する問題が起こる。しかし、本発明では、スターリング冷凍機は軸中心線が冷蔵庫の背面と垂直に交わるように配置されている。したがって、スターリング冷凍機が背面を占めるスペースが小さくなり、冷気の流路を設置するスペースを背面に確保することができるので、スターリング冷蔵庫の冷却効率が低下する等の問題を防止することができる。
【0018】
なお、本願明細書において「中部」という文言は、冷蔵庫内で区画された上部空間と下部空間との間に位置する部分を意味する。
【0019】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路がスターリング冷凍機の上方へ延び、かつ低温側管路がスターリング冷凍機の下方へ延びている。
【0020】
この構成により、高温側管路においては、スターリング冷凍機で生じた熱を受け取った冷媒は液体から気体へ状態変化し上方へ移動する。一方、低温側管路においては、スターリング冷凍機で生じた冷熱を受け取った冷媒は気体から液体へ状態変化し下方へ移動する。したがって、冷媒の循環が促進され、高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱は一層効率よく搬送される。
【0021】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路は、蒸発部と凝縮部とを有し、凝縮部は自然対流により外部との熱交換を行う。
【0022】
高温側管路を設けたことにより、高温側管路の凝縮部において管路長を長くするなどの手法により、放熱面積を容易に大きくすることができるため、ファンを用いない自然対流によって大量の熱を外部に放出可能となる。したがって、スターリング冷凍機の高温部の熱は、動力を用いずに放出されるので、一層省エネルギーとなる。
【0023】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路は、蒸発部と凝縮部とを有し、凝縮部は強制対流により外部との熱交換を行う。
【0024】
この構成により、ファンなどを用いて高温側管路の凝縮部を強制的に冷却することができるため、高温側管路からの熱の放出を自然対流の場合よりも促進することができる。
【0025】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路は、凝縮部において銅およびアルミニウムの少なくともいずれかを含む材質からなる管路またはフィン付の管路である。
【0026】
この構成により、高温側管路の凝縮部は熱伝導性の良好な材質もしくは構成で作製されるので、高温側管路の凝縮部において一層効率よく熱を外部に放出することが可能となる。
【0027】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路は、凝縮部において、並列に分岐した複数のパイプを有しており、かつ凝縮部で凝縮された高温側の二次冷媒が重力によって凝縮部の出口へ流れ落ちるように構成されている。
【0028】
この構成により、高温側管路の凝縮部の放熱面積が一層大きくなるので、一層効率よく熱を外部に放出可能となる。また、凝縮した高温側の二次冷媒が円滑に凝縮器から回収される。
【0029】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路は、凝縮部において蛇行しており、かつ凝縮部で凝縮された高温側の二次冷媒が重力によって凝縮部の出口へ流れ落ちるように構成されている。
【0030】
この構成により、高温側管路の凝縮部の放熱面積が一層大きくなるので、一層効率よく熱を外部に放出可能となる。また、凝縮した高温側の二次冷媒が円滑に凝縮器から回収される。
【0031】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側の二次冷媒は、水と60質量%以下のエタノールとを含み、低温側の二次冷媒は二酸化炭素を含む。
【0032】
二酸化炭素および水は、オゾン層を破壊しない物質であり、地球環境への影響がほとんどないので、好ましい。また、水と60質量%以下のエタノールとを混合することにより水の融点が下がるので、水の凍結を防止することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1および図2は、本発明の実施の形態1におけるスターリング冷蔵庫の側面断面図および正面方向から見た模式図である。
【0034】
図1および図2を参照して、スターリング冷蔵庫1は、本体7と、スターリング冷凍機2と、高温側ループ状管路3と、低温側ループ状管路4とを主に有している。本体7は箱形に構成されている。スターリング冷凍機2は、本体7の中部の高さ位置に配置されており、それによって本体7は上部空間12と、中部空間13と、下部空間14,15とに区画される。たとえば上部空間12は冷蔵室、中部空間13はチルド室、下部空間14は野菜室、下部空間15は冷凍室に用いられる。
【0035】
高温側ループ状管路3はスターリング冷凍機2の高温部より上方であって冷蔵室12の背面に位置している。この高温側ループ状管路3は、内部に冷媒を通すものであり、かつスターリング冷凍機2で生じた熱を冷媒によって搬送するためのものである。高温側ループ状管路3は、スターリング冷凍機2の高温部に設置される高温側蒸発器(蒸発部)3aと、ループ状管路の最上部に設置される高温側凝縮器(凝縮部)3bとを備えている。
【0036】
低温側ループ状管路4はスターリング冷凍機2の低温部より下方であって野菜室14および冷凍室15の背面に位置している。この低温側ループ状管路4は、内部に冷媒を通すものであり、かつスターリング冷凍機2で生じた冷熱を冷媒によって搬送するためのものである。低温側ループ状管路4は、ループ状管路の最下部に設置される低温側蒸発器(蒸発部)4aと、スターリング冷凍機2の低温部に設置される低温側凝縮器(凝縮部)4bとを備えている。
【0037】
低温側蒸発器4a付近には、低温側蒸発器4aの冷熱を庫内に循環させるための冷却ファン6が設置されている。冷蔵室12の背面には、冷気を排出するための冷気ダクト16(図2)が設置されている。また、低温側蒸発器4aの冷熱が庫外へ出るのを防ぎ、かつ高温側凝縮器3bの熱が庫内に入るのを防ぐように、本体7が断熱材17で覆われている。
【0038】
高温側ループ状管路3には冷媒として、たとえば水とエタノール(C2H5OH)の混合物が充填されている。低温側ループ状管路4には冷媒として、たとえば二酸化炭素(CO2)が充填されている。ここで、高温側ループ状管路3、低温側ループ状管路4にそれぞれ充填されている冷媒としては、気温の低下によって凝結しない物質であって、潜熱が利用可能な物質が適している。潜熱が利用可能な物質とは、高温側凝縮器3bまたは低温側凝縮器4bで凝縮し、高温側蒸発器3aおよび低温側蒸発器4aで蒸発するような沸点を有する物質である。潜熱が利用可能な冷媒によって、より大量の熱および冷熱の運搬が可能となる。
【0039】
次に、上記のスターリング冷凍機2の構成について詳細に説明する。図3は、本発明の実施に用いられるスターリング冷凍機の断面図である。
【0040】
図3を参照して、スターリング冷凍機2では、一端がケーシング113で密閉されたシリンダ101内に、ディスプレーサ103とピストン102とが配設されており、これらによって圧縮空間108と膨張空間109とが形成されている。そして、これらと再生器105により閉回路が構成され、この閉回路の作動空間にはヘリウムなどの作動ガスが充填されている。ピストン102はスプリング119を介して接続されており、リニアモータなどの外部動力によってシリンダ101の軸方向に振動可能とされている。ディスプレーサ103は、ディスプレーサロッド104を介してスプリング106に接続され、自由に往復運動することが可能である。
【0041】
このスターリング冷凍機2の高温部となる放熱器111には、放熱器111からの熱を受け取ることができるように、高温側ループ状管路3の一部が巻き回され、高温側蒸発器3aを構成している。また、スターリング冷凍機2の低温部となる吸熱器117には、吸熱器117からの冷熱を受け取ることができるように、低温側ループ状管路4の一部が巻き回され、低温側凝縮器4bを構成している。
【0042】
なお、スターリング冷凍機2は、図中のA−A’線で示されるピストン102とディスプレーサ103との軸中心線を有しており、スターリング冷凍機2は、図1に示すように、その軸中心線がスターリング冷蔵庫1の背面と垂直に交わるように配置されている。
【0043】
次に、本実施の形態におけるスターリング冷蔵庫の冷却動作について説明する。
【0044】
まず、図3を参照して、ピストン102により圧縮された圧縮空間108内の作動ガスは、シリンダ通気口118、流路112、高温側熱交換器110を通過し、再生器105で予冷されて、低温側熱交換器114を経由して膨張空間109へ移動する。このとき、圧縮空間108で生じた熱は高温側熱交換器110を介して放熱器111から高温側蒸発器3aに放出される。大部分の作動ガスが膨張空間109に流入すると、膨張空間109の圧力は上昇し、作動ガスはディスプレーサ103を押し上げるようにして膨張を始める。そして、ある程度膨張すると、ピストン102の復元力によりディスプレーサ103は逆に押し上げられ、圧力の低くなった膨張空間109内の作動ガスが再び圧縮空間108へ移動する。このときに、膨張空間109で生じた冷熱は低温側熱交換器114を介して吸熱器117から低温側凝縮器4bに放出される。そして、大部分の作動ガスが圧縮空間108へ移動すると、再びピストン102に圧縮されて次のサイクルに移行する。以上のような一連のサイクルが連続的に繰り返されることにより、極低温の冷熱が取り出される。
【0045】
スターリング冷凍機2で発生した熱および冷熱は、以下の原理によって自然循環する冷媒によって搬送され、放出される。すなわち、図1において、スターリング冷凍機2の放熱器111の熱は高温側蒸発器3aへ伝えられる。高温側ループ状管路3に充填されている冷媒は、高温側蒸発器3aへ伝えられた熱によって液体から気体に変化する。気体となった冷媒は液体との重量差を利用して高温側ループ状管路3内を上昇し、高温側凝縮器3bへ移動する。高温側凝縮器3bでは、冷媒は熱を外部へ放出し、気体から液体に変化する。液体となった冷媒は気体との重量差を利用して高温側ループ状管路3内を下降し、再び高温側蒸発器3aへ移動し、熱を受け取る。なお、本実施の形態では、高温側凝縮器3bからの熱の放出は自然対流により行われる。自然対流とは、空気が熱の影響を受けて密度変化し、受ける重力の力の差により起こる対流を意味する。
【0046】
一方、スターリング冷凍機2の吸熱器117の冷熱は低温側凝縮器4bへ伝えられる。低温側ループ状管路4に充填されている冷媒は、低温側凝縮器4bへ伝えられた冷熱によって気体から液体に変化する。液体となった冷媒は気体との重量差を利用して低温側ループ状管路4内を下降し、低温側蒸発器4aへ移動する。低温側蒸発器4aでは、冷媒は冷熱をスターリング冷蔵庫1の内部へ放出し、液体から気体に変化する。気体となった冷媒は液体との重量差を利用して低温側ループ状管路4内を上昇し、再び低温側凝縮器4bへ移動し、冷熱を受け取る。このように、低温側蒸発器4aによりスターリング冷蔵庫1の内部へ冷熱を放出することができるため、スターリング冷蔵庫1内を冷却することができる。
【0047】
次に、冷却ファン6の作用について説明する。
図2を参照して、冷却ファン6は、庫内空気を図中の矢印のように循環させる。すなわち、低温側蒸発器4aで冷却された庫内空気により、冷凍室15が冷却される。このとき、冷却ファン6は、冷熱を受け取った庫内空気の一部を、低温側蒸発器4aと冷気ダクト16とをつなぐ流路を介して冷気ダクト16へ送り、冷気ダクト16から排出する。これにより、冷蔵室12が冷却される。さらに冷却ファン6は、冷蔵室12の庫内空気を流路を介してチルド室13および野菜室14へ送る。これにより、チルド室13および野菜室14が冷却される。
【0048】
以上の構成・動作により、本実施の形態においては、以下の4つの効果が得られる。
【0049】
1つ目の効果としては、本実施の形態においては、冷媒の重力による自然循環を利用して、高温側ループ状管路3および低温側ループ状管路4により高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱が搬送されるので省エネルギーとなる。また、ピストン102の背圧の脈動で冷媒を循環させる方式の場合では、あくまでもピストン102は作動ガスを圧縮・膨張させることを主目的とするものであり、冷媒を循環させることは付随的な目的にすぎない。このため、十分な冷媒の循環流量が得られる背圧を発生させるようにピストン102を設計することはできないので、ピストン102の背圧の脈動のみでは冷媒の循環流量を十分に得ることはできない。一方、本発明においては、液体から気体、気体から液体への状態の変化が生じやすいように管路の直径を適切に設計することにより、冷媒の液体と気体との重力差により冷媒を循環させるための大きな圧力が得られる。したがって、ピストン102の背圧の脈動を利用する場合よりも高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱が効率よく搬送される。
【0050】
また、高温側ループ状管路3を備えるため、この高温側管路の管路長を長くするなどの手段により、ファンなどの動力を用いることなく、圧縮室で生じた熱を冷蔵庫の外部へ容易に放出することができる。このように高温部で発生した熱を冷蔵庫外部へ効率よく放出できるため、省エネルギー化を図ることができる。
【0051】
2つ目の効果としては、本実施の形態では、スターリング冷凍機2はスターリング冷蔵庫1の中部の高さ位置に配置されていて、高温側蒸発器3aと高温側凝縮器3bとの高低差、および低温側蒸発器4aと低温側凝縮器4bとの高低差が大きくとられている。このような蒸発器と凝縮器の配置をとるために、冷媒の液体と気体の重力差による移動が容易となり、冷媒の循環が促進される。
【0052】
3つ目の効果としては、本実施の形態においては、前述のように、スターリング冷凍機2はスターリング冷蔵庫1の中部の高さ位置に配置されている。しかし、スターリング冷蔵庫1の背面部分には、通常、低温側蒸発器4aから冷気ダクト16への冷気の流路が設けられている。しかし、スターリング冷凍機は通常、その軸中心線方向に寸法が大きくなるため、その軸中心線方向と冷蔵庫の背面とが平行となるように冷凍機を設置すると、冷気の流路のスペースがスターリング冷凍機2に占められてしまう。冷気の流路のスペースが小さくなれば、冷気ダクト16の流動抵抗が増加し、スターリング冷蔵庫1の冷却効率が低下する問題が起こる。しかし、本実施の形態において、スターリング冷凍機2は、軸中心線が冷蔵庫の背面と垂直に交わるように配置されているので、背面に冷気の流路のスペースが確保される。したがって、スターリング冷凍機2がスターリング冷蔵庫1の中部の高さ位置に配置されても、冷気ダクト16の流動抵抗の増加による冷却効率の低下という問題が起こらない。
【0053】
4つ目の効果としては、本実施の形態では、高温側凝縮器3bにおいて、管路長を長くするなどの手法により放熱面積を容易に大きくすることができるので、自然対流により外部との熱交換を行うことが容易となり、スターリング冷凍機2で発生した熱を放出するのにファンなどの動力が不要となり、省エネルギーとなる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるスターリング冷蔵庫の側面断面図である。
【0054】
図4を参照して、本実施の形態では、高温側凝縮器3bの付近に凝縮ファン5が設けられている。
【0055】
なお、これ以外の構成については図1に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
これにより、高温側凝縮器3bにおいて、冷媒の熱は凝縮ファン5による強制対流で外部に放出される。したがって、高温側凝縮器3bからの熱の放出を自然対流の場合よりも一層促進することができる。強制対流とは、ファンなどの動力によって起こる対流を意味する。
【0057】
次に、本発明の実施の形態1および2におけるスターリング冷蔵庫の高温側凝縮器3bの構成について説明する。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3におけるスターリング冷蔵庫に用いられる高温側凝縮器の構成を示す模式図である。
【0058】
図5を参照して、本実施の形態における高温側凝縮器3bは、パイプ18とフィン付きパイプ19とからなる。フィン付きパイプ19は、パイプ18に並列に分岐して複数本接続されている。パイプ18およびフィン付きパイプ19の各々は、たとえば銅からなる。
【0059】
気体の状態の冷媒は、上部のパイプ18から流入し、分岐した複数のフィン付きパイプ19へ移動する。フィン付きパイプ19は熱伝導性が高く、放熱面積が大きいので、冷媒の熱を効率よく放出することができる。したがって、フィン付きパイプ19によって冷媒は熱を奪われ、液体となって重力により出口へ流れ落ち、下部のパイプ18から流出する。
【0060】
この構成により、高温側凝縮器3bにおいて一層効率よく熱を外部へ放出可能となる。
【0061】
本実施の形態においては、液体となった冷媒が重力によって出口へ流れ落ちるように構成されていれば、たとえば図6のように冷媒が一方のパイプ18の上方から流入し、他方のパイプ18の下部から流出するような構成でもよい。
【0062】
なお、図6の上記以外の構成は、図5に示す構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4におけるスターリング冷蔵庫に用いられる高温側凝縮器の構成を示す模式図である。
【0063】
図7を参照して、本実施の形態における高温側凝縮器3bは、フィン付きパイプ19からなり、フィン付きパイプ19は上部と下部は水平に配置され、その間の部分は蛇行している構成である。フィン付きパイプ19は、たとえば銅からなる。
【0064】
気体の状態の冷媒は、フィン付きパイプ19の上部から流入し、フィン付きパイプ19内を移動する。フィン付きパイプ19は熱伝導性が高く、放熱面積が大きいので、冷媒の熱を効率よく放出することができる。したがって、フィン付きパイプ19によって冷媒は熱を奪われ、液体となって重力により出口へ流れ落ち、フィン付きパイプ19の下部から流出する。
【0065】
この構成により、高温側凝縮器3bにおいて一層効率よく熱を外部へ放出可能となる。
【0066】
なお、本実施の形態において、スターリング冷凍機2はリニアモータを駆動源とするフリーピストン型のものが用いられたが、リニアモータ以外の駆動源を用いるものや、フリーピストン型以外のスターリング冷凍機でもよい。
【0067】
また、本実施の形態3および4において、高温側凝縮器3bの材質は銅であったが、その他、アルミニウムでもよく、また銅とアルミニウムとの双方を含む材質でもよい。
【0068】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
【0069】
【発明の効果】
以上のように、本発明のスターリング冷蔵庫によれば、ループ状管路に充填された冷媒は、液体と気体との重力差により自然循環するので、冷媒の循環にファンなどの動力を必要とせず、省エネルギーとなる。また、ピストンの背圧の脈動を利用する場合よりも、スターリング冷凍機の高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱を効率よく搬送可能である。また、ループ状の高温側管路を用いているため、この高温側管路の管路長を長くするなどの手段により、ファンなどの動力を用いることなく、高温部で発生した熱を冷蔵庫外部へ効率よく放出できるため、省エネルギー化を図ることができる。さらに、スターリング冷凍機は軸中心線が冷蔵庫の背面と垂直に交わるように配置されているので、スターリング冷凍機が背面を占めるスペースが小さくなり、冷気の流路を設置するスペースを背面に確保することができるので、スターリング冷蔵庫の冷却効率が低下する等の問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるスターリング冷蔵庫の側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるスターリング冷蔵庫を正面方向から見た模式図である。
【図3】本発明の実施に用いられるスターリング冷凍機の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2におけるスターリング冷蔵庫の側面断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3におけるスターリング冷蔵庫に用いられる高温側凝縮器の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態3におけるスターリング冷蔵庫に用いられる高温側凝縮器の他の構成を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態4におけるスターリング冷蔵庫に用いられる高温側凝縮器の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 スターリング冷蔵庫、2 スターリング冷凍機、3 高温側ループ状管路、3a 高温側蒸発器、3b 高温側凝縮器、4 低温側ループ状管路、4a 低温側蒸発器、4b 低温側凝縮器、5 凝縮ファン、6 冷却ファン、7 本体、12 冷蔵室、13 チルド室、14 野菜室、15 冷凍室、16 冷気ダクト、17 断熱材、18 パイプ、19 フィン付きパイプ、101 シリンダ、102 ピストン、103 ディスプレーサ、104 ディスプレーサロッド、105 再生器、106 スプリング、108 圧縮空間、109 膨張空間、110 高温側熱交換器、111 放熱器、112 流路、113 ケーシング、114 低温側熱交換器、117 吸熱器、118 シリンダ通気口、119 スプリング。
【発明の属する技術分野】
本発明は、スターリング冷凍機を使ったスターリング冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷蔵庫などの冷却手段として、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが採用されている。こうした蒸気冷却式の冷凍サイクル装置には、作動媒体としての冷媒にフロンが用いられ、フロンの凝縮、蒸発を利用して、所要の冷却性能を得るようにしている。しかし、フロンはオゾン破壊係数が大きいため、近年フロンのうち特定フロンを対象として使用と生産とが規制されてきている。このため、特定フロンを用いなくてもすむ技術として、逆スターリングサイクルを利用したスターリング冷凍機などの研究が進められている。
【0003】
スターリング冷凍機は、他の冷凍機関と比較して、小型で冷却効率が高く、低消費電力を実現できるものである。一方、冷却ヘッド部の電熱面積が小さく、冷熱を効率よく取り出せないという問題があった。
【0004】
そこで特開平7−180921号公報には、スターリング冷凍機のピストン背圧の脈動を利用して冷媒が循環されることにより、冷蔵庫の下部に配置されたスターリング冷凍機の低温部で発生した冷熱が、冷蔵庫の上部の凝縮器に搬送され、冷蔵庫内が冷却される、スターリング冷蔵庫が提案されている。
【0005】
また、特開2001−33139号公報には、スターリング冷凍機の低温部で発生した冷熱がループ状管路を介して冷凍キャビネットの内部に搬送され、冷蔵庫内が冷却される、小型のスターリング冷蔵庫が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
大型の冷蔵庫にスターリング冷凍機を搭載した場合には、熱負荷が大きくなるため、スターリング冷凍機の低温部で発生した冷熱が効率よく搬送されるとともに、高温部で発生した大量の熱が効率よく搬送され、外部へ放出されることが必要になる。
【0007】
特開平7−180921号公報に開示されたスターリング冷蔵庫では、スターリング冷凍機の低温部の冷熱は、ピストンの背圧の脈動で循環される冷媒により搬送されている。しかし、あくまでもピストンは作動ガスを圧縮・膨張させることを主目的とするものであり、背圧の脈動により冷媒を循環させることは付随的な目的にすぎない。これにより、作動ガスの圧縮、膨張に有利な設計とされるため、十分な冷媒の循環流量が得られる背圧を発生させるように設計することは困難である。したがって、特に大型の冷蔵庫では、ピストンの背圧の脈動のみでは冷媒の循環流量が不十分となり、低温部の冷熱が効率よく搬送されないという問題があった。
【0008】
また、特開平7−180921号公報および特開2001−33139号公報に開示された各スターリング冷凍機では、スターリング冷凍機の高温部の熱は、動力を使ったファンにより外部へ放出されている。したがって、大型の冷蔵庫に適用する場合、高温部で大量に発生した熱を効率よく外部へ放出するためにはファンの動力を大きくする必要があり、省エネルギーに反するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、スターリング冷凍機の高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱を効率よく搬送可能な、省エネルギーのスターリング冷蔵庫を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のスターリング冷蔵庫は、スターリング冷凍機と、スターリング冷凍機の圧縮室で生じた熱を高温側の二次冷媒によって搬送するためのループ状の高温側管路と、スターリング冷凍機の膨張室で生じた冷熱を低温側の二次冷媒によって搬送するためのループ状の低温側管路とを備えたスターリング冷蔵庫において、スターリング冷凍機の軸中心線が冷蔵庫の背面と垂直に交わるように、スターリング冷凍機を冷蔵庫の中部に配置している。
【0011】
本発明のスターリング冷蔵庫によれば、スターリング冷凍機で生じた熱は、ループ状の高温側管路の中に充填された液体の二次冷媒に伝熱される。熱を受け取った高温側の二次冷媒は、蒸発して気体となり、液体と気体の重力差を利用して移動する。そして高温側の二次冷媒の熱が冷蔵庫の外部へ放出され、高温側の二次冷媒は凝縮して液体となる。そして、高温側の二次冷媒は、液体と気体の重力差を利用して再びスターリング冷凍機の方へ移動し、スターリング冷凍機から熱を受け取る。このように、高温側の二次冷媒がループ状の高温側管路の中で凝縮、蒸発をしながら循環することにより、スターリング冷凍機で生じた熱は効率よく冷蔵庫の外部へ搬送される。
【0012】
一方、スターリング冷凍機で生じた冷熱は、ループ状の低温側管路の中に充填された気体の低温側の二次冷媒に伝熱される。冷熱を受け取った低温側の二次冷媒は、凝縮して液体となり、液体と気体の重力差を利用して移動する。そして冷熱がスターリング冷蔵庫内へ放出され、低温側の二次冷媒は蒸発して気体となる。そして、低温側の二次冷媒は、液体と気体の重力差を利用して再びスターリング冷凍機の方へ移動し、スターリング冷凍機から冷熱を受け取る。このように、低温側の二次冷媒がループ状の低温側管路の中で凝縮、蒸発をしながら循環することにより、スターリング冷凍機の膨張室で生じた冷熱は効率よく冷蔵庫内へ搬送される。
【0013】
以上の作用により、スターリング冷蔵庫において、ループ状管路に充填された冷媒は、液体と気体との重力差により自然循環するので、冷媒の循環にファンなどの動力を必要とせず、省エネルギーとなる。
【0014】
また、本発明では、冷媒の液体状態と気体状態とでの重力差を利用して冷媒を循環させるが、その冷媒を通す高温側および低温側の管路を、液体から気体、気体から液体への状態の変化が生じやすいように適切に設計することができるため、適切な設計が困難な背圧の脈動を用いる構成よりも、冷媒を循環させるための大きな圧力を得ることができる。この結果、高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱が効率よく搬送される。
【0015】
また、ループ状の高温側管路を用いているため、この高温側管路の管路長を長くするなどの手段により、ファンなどの動力を用いることなく、圧縮室で生じた熱を冷蔵庫の外部へ容易に放出することができる。このように高温部で発生した熱を冷蔵庫外部へ効率よく放出できるため、省エネルギー化を図ることができる。
【0016】
また、スターリング冷蔵庫の背面部分には、通常、冷気ダクトや冷気ダクトへの冷気の流路等が設置されるためのスペースが必要である。しかし、スターリング冷凍機は通常、その軸中心線方向に寸法が大きくなるため、その軸中心線方向と冷蔵庫の背面とが平行となるように冷凍機を設置すると、スターリング冷蔵庫の背面部分のスペースがスターリング冷凍機に占められてしまう。この結果、スターリング冷凍機が、冷気ダクトや冷気ダクトへの冷気の流路等を設置する際の妨げとなり、好ましくない。
【0017】
特に、スターリング冷凍機がスターリング冷蔵庫の中部の高さ位置に配置されている場合には、スターリング冷凍機は、冷気を発生する部分と冷気ダクトとをつなぐ冷気の流路を設置する際の妨げとなる。冷気の流路が妨げられると、冷気の流路のスペースが小さくなるので、冷気ダクトへの流動抵抗が増加し、スターリング冷蔵庫の冷却効率が低下する問題が起こる。しかし、本発明では、スターリング冷凍機は軸中心線が冷蔵庫の背面と垂直に交わるように配置されている。したがって、スターリング冷凍機が背面を占めるスペースが小さくなり、冷気の流路を設置するスペースを背面に確保することができるので、スターリング冷蔵庫の冷却効率が低下する等の問題を防止することができる。
【0018】
なお、本願明細書において「中部」という文言は、冷蔵庫内で区画された上部空間と下部空間との間に位置する部分を意味する。
【0019】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路がスターリング冷凍機の上方へ延び、かつ低温側管路がスターリング冷凍機の下方へ延びている。
【0020】
この構成により、高温側管路においては、スターリング冷凍機で生じた熱を受け取った冷媒は液体から気体へ状態変化し上方へ移動する。一方、低温側管路においては、スターリング冷凍機で生じた冷熱を受け取った冷媒は気体から液体へ状態変化し下方へ移動する。したがって、冷媒の循環が促進され、高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱は一層効率よく搬送される。
【0021】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路は、蒸発部と凝縮部とを有し、凝縮部は自然対流により外部との熱交換を行う。
【0022】
高温側管路を設けたことにより、高温側管路の凝縮部において管路長を長くするなどの手法により、放熱面積を容易に大きくすることができるため、ファンを用いない自然対流によって大量の熱を外部に放出可能となる。したがって、スターリング冷凍機の高温部の熱は、動力を用いずに放出されるので、一層省エネルギーとなる。
【0023】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路は、蒸発部と凝縮部とを有し、凝縮部は強制対流により外部との熱交換を行う。
【0024】
この構成により、ファンなどを用いて高温側管路の凝縮部を強制的に冷却することができるため、高温側管路からの熱の放出を自然対流の場合よりも促進することができる。
【0025】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路は、凝縮部において銅およびアルミニウムの少なくともいずれかを含む材質からなる管路またはフィン付の管路である。
【0026】
この構成により、高温側管路の凝縮部は熱伝導性の良好な材質もしくは構成で作製されるので、高温側管路の凝縮部において一層効率よく熱を外部に放出することが可能となる。
【0027】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路は、凝縮部において、並列に分岐した複数のパイプを有しており、かつ凝縮部で凝縮された高温側の二次冷媒が重力によって凝縮部の出口へ流れ落ちるように構成されている。
【0028】
この構成により、高温側管路の凝縮部の放熱面積が一層大きくなるので、一層効率よく熱を外部に放出可能となる。また、凝縮した高温側の二次冷媒が円滑に凝縮器から回収される。
【0029】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側管路は、凝縮部において蛇行しており、かつ凝縮部で凝縮された高温側の二次冷媒が重力によって凝縮部の出口へ流れ落ちるように構成されている。
【0030】
この構成により、高温側管路の凝縮部の放熱面積が一層大きくなるので、一層効率よく熱を外部に放出可能となる。また、凝縮した高温側の二次冷媒が円滑に凝縮器から回収される。
【0031】
上記本発明のスターリング冷蔵庫において好ましくは、高温側の二次冷媒は、水と60質量%以下のエタノールとを含み、低温側の二次冷媒は二酸化炭素を含む。
【0032】
二酸化炭素および水は、オゾン層を破壊しない物質であり、地球環境への影響がほとんどないので、好ましい。また、水と60質量%以下のエタノールとを混合することにより水の融点が下がるので、水の凍結を防止することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1および図2は、本発明の実施の形態1におけるスターリング冷蔵庫の側面断面図および正面方向から見た模式図である。
【0034】
図1および図2を参照して、スターリング冷蔵庫1は、本体7と、スターリング冷凍機2と、高温側ループ状管路3と、低温側ループ状管路4とを主に有している。本体7は箱形に構成されている。スターリング冷凍機2は、本体7の中部の高さ位置に配置されており、それによって本体7は上部空間12と、中部空間13と、下部空間14,15とに区画される。たとえば上部空間12は冷蔵室、中部空間13はチルド室、下部空間14は野菜室、下部空間15は冷凍室に用いられる。
【0035】
高温側ループ状管路3はスターリング冷凍機2の高温部より上方であって冷蔵室12の背面に位置している。この高温側ループ状管路3は、内部に冷媒を通すものであり、かつスターリング冷凍機2で生じた熱を冷媒によって搬送するためのものである。高温側ループ状管路3は、スターリング冷凍機2の高温部に設置される高温側蒸発器(蒸発部)3aと、ループ状管路の最上部に設置される高温側凝縮器(凝縮部)3bとを備えている。
【0036】
低温側ループ状管路4はスターリング冷凍機2の低温部より下方であって野菜室14および冷凍室15の背面に位置している。この低温側ループ状管路4は、内部に冷媒を通すものであり、かつスターリング冷凍機2で生じた冷熱を冷媒によって搬送するためのものである。低温側ループ状管路4は、ループ状管路の最下部に設置される低温側蒸発器(蒸発部)4aと、スターリング冷凍機2の低温部に設置される低温側凝縮器(凝縮部)4bとを備えている。
【0037】
低温側蒸発器4a付近には、低温側蒸発器4aの冷熱を庫内に循環させるための冷却ファン6が設置されている。冷蔵室12の背面には、冷気を排出するための冷気ダクト16(図2)が設置されている。また、低温側蒸発器4aの冷熱が庫外へ出るのを防ぎ、かつ高温側凝縮器3bの熱が庫内に入るのを防ぐように、本体7が断熱材17で覆われている。
【0038】
高温側ループ状管路3には冷媒として、たとえば水とエタノール(C2H5OH)の混合物が充填されている。低温側ループ状管路4には冷媒として、たとえば二酸化炭素(CO2)が充填されている。ここで、高温側ループ状管路3、低温側ループ状管路4にそれぞれ充填されている冷媒としては、気温の低下によって凝結しない物質であって、潜熱が利用可能な物質が適している。潜熱が利用可能な物質とは、高温側凝縮器3bまたは低温側凝縮器4bで凝縮し、高温側蒸発器3aおよび低温側蒸発器4aで蒸発するような沸点を有する物質である。潜熱が利用可能な冷媒によって、より大量の熱および冷熱の運搬が可能となる。
【0039】
次に、上記のスターリング冷凍機2の構成について詳細に説明する。図3は、本発明の実施に用いられるスターリング冷凍機の断面図である。
【0040】
図3を参照して、スターリング冷凍機2では、一端がケーシング113で密閉されたシリンダ101内に、ディスプレーサ103とピストン102とが配設されており、これらによって圧縮空間108と膨張空間109とが形成されている。そして、これらと再生器105により閉回路が構成され、この閉回路の作動空間にはヘリウムなどの作動ガスが充填されている。ピストン102はスプリング119を介して接続されており、リニアモータなどの外部動力によってシリンダ101の軸方向に振動可能とされている。ディスプレーサ103は、ディスプレーサロッド104を介してスプリング106に接続され、自由に往復運動することが可能である。
【0041】
このスターリング冷凍機2の高温部となる放熱器111には、放熱器111からの熱を受け取ることができるように、高温側ループ状管路3の一部が巻き回され、高温側蒸発器3aを構成している。また、スターリング冷凍機2の低温部となる吸熱器117には、吸熱器117からの冷熱を受け取ることができるように、低温側ループ状管路4の一部が巻き回され、低温側凝縮器4bを構成している。
【0042】
なお、スターリング冷凍機2は、図中のA−A’線で示されるピストン102とディスプレーサ103との軸中心線を有しており、スターリング冷凍機2は、図1に示すように、その軸中心線がスターリング冷蔵庫1の背面と垂直に交わるように配置されている。
【0043】
次に、本実施の形態におけるスターリング冷蔵庫の冷却動作について説明する。
【0044】
まず、図3を参照して、ピストン102により圧縮された圧縮空間108内の作動ガスは、シリンダ通気口118、流路112、高温側熱交換器110を通過し、再生器105で予冷されて、低温側熱交換器114を経由して膨張空間109へ移動する。このとき、圧縮空間108で生じた熱は高温側熱交換器110を介して放熱器111から高温側蒸発器3aに放出される。大部分の作動ガスが膨張空間109に流入すると、膨張空間109の圧力は上昇し、作動ガスはディスプレーサ103を押し上げるようにして膨張を始める。そして、ある程度膨張すると、ピストン102の復元力によりディスプレーサ103は逆に押し上げられ、圧力の低くなった膨張空間109内の作動ガスが再び圧縮空間108へ移動する。このときに、膨張空間109で生じた冷熱は低温側熱交換器114を介して吸熱器117から低温側凝縮器4bに放出される。そして、大部分の作動ガスが圧縮空間108へ移動すると、再びピストン102に圧縮されて次のサイクルに移行する。以上のような一連のサイクルが連続的に繰り返されることにより、極低温の冷熱が取り出される。
【0045】
スターリング冷凍機2で発生した熱および冷熱は、以下の原理によって自然循環する冷媒によって搬送され、放出される。すなわち、図1において、スターリング冷凍機2の放熱器111の熱は高温側蒸発器3aへ伝えられる。高温側ループ状管路3に充填されている冷媒は、高温側蒸発器3aへ伝えられた熱によって液体から気体に変化する。気体となった冷媒は液体との重量差を利用して高温側ループ状管路3内を上昇し、高温側凝縮器3bへ移動する。高温側凝縮器3bでは、冷媒は熱を外部へ放出し、気体から液体に変化する。液体となった冷媒は気体との重量差を利用して高温側ループ状管路3内を下降し、再び高温側蒸発器3aへ移動し、熱を受け取る。なお、本実施の形態では、高温側凝縮器3bからの熱の放出は自然対流により行われる。自然対流とは、空気が熱の影響を受けて密度変化し、受ける重力の力の差により起こる対流を意味する。
【0046】
一方、スターリング冷凍機2の吸熱器117の冷熱は低温側凝縮器4bへ伝えられる。低温側ループ状管路4に充填されている冷媒は、低温側凝縮器4bへ伝えられた冷熱によって気体から液体に変化する。液体となった冷媒は気体との重量差を利用して低温側ループ状管路4内を下降し、低温側蒸発器4aへ移動する。低温側蒸発器4aでは、冷媒は冷熱をスターリング冷蔵庫1の内部へ放出し、液体から気体に変化する。気体となった冷媒は液体との重量差を利用して低温側ループ状管路4内を上昇し、再び低温側凝縮器4bへ移動し、冷熱を受け取る。このように、低温側蒸発器4aによりスターリング冷蔵庫1の内部へ冷熱を放出することができるため、スターリング冷蔵庫1内を冷却することができる。
【0047】
次に、冷却ファン6の作用について説明する。
図2を参照して、冷却ファン6は、庫内空気を図中の矢印のように循環させる。すなわち、低温側蒸発器4aで冷却された庫内空気により、冷凍室15が冷却される。このとき、冷却ファン6は、冷熱を受け取った庫内空気の一部を、低温側蒸発器4aと冷気ダクト16とをつなぐ流路を介して冷気ダクト16へ送り、冷気ダクト16から排出する。これにより、冷蔵室12が冷却される。さらに冷却ファン6は、冷蔵室12の庫内空気を流路を介してチルド室13および野菜室14へ送る。これにより、チルド室13および野菜室14が冷却される。
【0048】
以上の構成・動作により、本実施の形態においては、以下の4つの効果が得られる。
【0049】
1つ目の効果としては、本実施の形態においては、冷媒の重力による自然循環を利用して、高温側ループ状管路3および低温側ループ状管路4により高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱が搬送されるので省エネルギーとなる。また、ピストン102の背圧の脈動で冷媒を循環させる方式の場合では、あくまでもピストン102は作動ガスを圧縮・膨張させることを主目的とするものであり、冷媒を循環させることは付随的な目的にすぎない。このため、十分な冷媒の循環流量が得られる背圧を発生させるようにピストン102を設計することはできないので、ピストン102の背圧の脈動のみでは冷媒の循環流量を十分に得ることはできない。一方、本発明においては、液体から気体、気体から液体への状態の変化が生じやすいように管路の直径を適切に設計することにより、冷媒の液体と気体との重力差により冷媒を循環させるための大きな圧力が得られる。したがって、ピストン102の背圧の脈動を利用する場合よりも高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱が効率よく搬送される。
【0050】
また、高温側ループ状管路3を備えるため、この高温側管路の管路長を長くするなどの手段により、ファンなどの動力を用いることなく、圧縮室で生じた熱を冷蔵庫の外部へ容易に放出することができる。このように高温部で発生した熱を冷蔵庫外部へ効率よく放出できるため、省エネルギー化を図ることができる。
【0051】
2つ目の効果としては、本実施の形態では、スターリング冷凍機2はスターリング冷蔵庫1の中部の高さ位置に配置されていて、高温側蒸発器3aと高温側凝縮器3bとの高低差、および低温側蒸発器4aと低温側凝縮器4bとの高低差が大きくとられている。このような蒸発器と凝縮器の配置をとるために、冷媒の液体と気体の重力差による移動が容易となり、冷媒の循環が促進される。
【0052】
3つ目の効果としては、本実施の形態においては、前述のように、スターリング冷凍機2はスターリング冷蔵庫1の中部の高さ位置に配置されている。しかし、スターリング冷蔵庫1の背面部分には、通常、低温側蒸発器4aから冷気ダクト16への冷気の流路が設けられている。しかし、スターリング冷凍機は通常、その軸中心線方向に寸法が大きくなるため、その軸中心線方向と冷蔵庫の背面とが平行となるように冷凍機を設置すると、冷気の流路のスペースがスターリング冷凍機2に占められてしまう。冷気の流路のスペースが小さくなれば、冷気ダクト16の流動抵抗が増加し、スターリング冷蔵庫1の冷却効率が低下する問題が起こる。しかし、本実施の形態において、スターリング冷凍機2は、軸中心線が冷蔵庫の背面と垂直に交わるように配置されているので、背面に冷気の流路のスペースが確保される。したがって、スターリング冷凍機2がスターリング冷蔵庫1の中部の高さ位置に配置されても、冷気ダクト16の流動抵抗の増加による冷却効率の低下という問題が起こらない。
【0053】
4つ目の効果としては、本実施の形態では、高温側凝縮器3bにおいて、管路長を長くするなどの手法により放熱面積を容易に大きくすることができるので、自然対流により外部との熱交換を行うことが容易となり、スターリング冷凍機2で発生した熱を放出するのにファンなどの動力が不要となり、省エネルギーとなる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるスターリング冷蔵庫の側面断面図である。
【0054】
図4を参照して、本実施の形態では、高温側凝縮器3bの付近に凝縮ファン5が設けられている。
【0055】
なお、これ以外の構成については図1に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
これにより、高温側凝縮器3bにおいて、冷媒の熱は凝縮ファン5による強制対流で外部に放出される。したがって、高温側凝縮器3bからの熱の放出を自然対流の場合よりも一層促進することができる。強制対流とは、ファンなどの動力によって起こる対流を意味する。
【0057】
次に、本発明の実施の形態1および2におけるスターリング冷蔵庫の高温側凝縮器3bの構成について説明する。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3におけるスターリング冷蔵庫に用いられる高温側凝縮器の構成を示す模式図である。
【0058】
図5を参照して、本実施の形態における高温側凝縮器3bは、パイプ18とフィン付きパイプ19とからなる。フィン付きパイプ19は、パイプ18に並列に分岐して複数本接続されている。パイプ18およびフィン付きパイプ19の各々は、たとえば銅からなる。
【0059】
気体の状態の冷媒は、上部のパイプ18から流入し、分岐した複数のフィン付きパイプ19へ移動する。フィン付きパイプ19は熱伝導性が高く、放熱面積が大きいので、冷媒の熱を効率よく放出することができる。したがって、フィン付きパイプ19によって冷媒は熱を奪われ、液体となって重力により出口へ流れ落ち、下部のパイプ18から流出する。
【0060】
この構成により、高温側凝縮器3bにおいて一層効率よく熱を外部へ放出可能となる。
【0061】
本実施の形態においては、液体となった冷媒が重力によって出口へ流れ落ちるように構成されていれば、たとえば図6のように冷媒が一方のパイプ18の上方から流入し、他方のパイプ18の下部から流出するような構成でもよい。
【0062】
なお、図6の上記以外の構成は、図5に示す構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4におけるスターリング冷蔵庫に用いられる高温側凝縮器の構成を示す模式図である。
【0063】
図7を参照して、本実施の形態における高温側凝縮器3bは、フィン付きパイプ19からなり、フィン付きパイプ19は上部と下部は水平に配置され、その間の部分は蛇行している構成である。フィン付きパイプ19は、たとえば銅からなる。
【0064】
気体の状態の冷媒は、フィン付きパイプ19の上部から流入し、フィン付きパイプ19内を移動する。フィン付きパイプ19は熱伝導性が高く、放熱面積が大きいので、冷媒の熱を効率よく放出することができる。したがって、フィン付きパイプ19によって冷媒は熱を奪われ、液体となって重力により出口へ流れ落ち、フィン付きパイプ19の下部から流出する。
【0065】
この構成により、高温側凝縮器3bにおいて一層効率よく熱を外部へ放出可能となる。
【0066】
なお、本実施の形態において、スターリング冷凍機2はリニアモータを駆動源とするフリーピストン型のものが用いられたが、リニアモータ以外の駆動源を用いるものや、フリーピストン型以外のスターリング冷凍機でもよい。
【0067】
また、本実施の形態3および4において、高温側凝縮器3bの材質は銅であったが、その他、アルミニウムでもよく、また銅とアルミニウムとの双方を含む材質でもよい。
【0068】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
【0069】
【発明の効果】
以上のように、本発明のスターリング冷蔵庫によれば、ループ状管路に充填された冷媒は、液体と気体との重力差により自然循環するので、冷媒の循環にファンなどの動力を必要とせず、省エネルギーとなる。また、ピストンの背圧の脈動を利用する場合よりも、スターリング冷凍機の高温部で発生した熱および低温部で発生した冷熱を効率よく搬送可能である。また、ループ状の高温側管路を用いているため、この高温側管路の管路長を長くするなどの手段により、ファンなどの動力を用いることなく、高温部で発生した熱を冷蔵庫外部へ効率よく放出できるため、省エネルギー化を図ることができる。さらに、スターリング冷凍機は軸中心線が冷蔵庫の背面と垂直に交わるように配置されているので、スターリング冷凍機が背面を占めるスペースが小さくなり、冷気の流路を設置するスペースを背面に確保することができるので、スターリング冷蔵庫の冷却効率が低下する等の問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるスターリング冷蔵庫の側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるスターリング冷蔵庫を正面方向から見た模式図である。
【図3】本発明の実施に用いられるスターリング冷凍機の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2におけるスターリング冷蔵庫の側面断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3におけるスターリング冷蔵庫に用いられる高温側凝縮器の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態3におけるスターリング冷蔵庫に用いられる高温側凝縮器の他の構成を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態4におけるスターリング冷蔵庫に用いられる高温側凝縮器の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 スターリング冷蔵庫、2 スターリング冷凍機、3 高温側ループ状管路、3a 高温側蒸発器、3b 高温側凝縮器、4 低温側ループ状管路、4a 低温側蒸発器、4b 低温側凝縮器、5 凝縮ファン、6 冷却ファン、7 本体、12 冷蔵室、13 チルド室、14 野菜室、15 冷凍室、16 冷気ダクト、17 断熱材、18 パイプ、19 フィン付きパイプ、101 シリンダ、102 ピストン、103 ディスプレーサ、104 ディスプレーサロッド、105 再生器、106 スプリング、108 圧縮空間、109 膨張空間、110 高温側熱交換器、111 放熱器、112 流路、113 ケーシング、114 低温側熱交換器、117 吸熱器、118 シリンダ通気口、119 スプリング。
Claims (8)
- スターリング冷凍機と、前記スターリング冷凍機の圧縮室で生じた熱を高温側の二次冷媒によって搬送するためのループ状の高温側管路と、前記スターリング冷凍機の膨張室で生じた冷熱を低温側の二次冷媒によって搬送するためのループ状の低温側管路とを備えたスターリング冷蔵庫において、
前記スターリング冷凍機の軸中心線が冷蔵庫の背面と垂直に交わるように、前記スターリング冷凍機を冷蔵庫の中部に配置したことを特徴とする、スターリング冷蔵庫。 - 前記高温側管路が前記スターリング冷凍機の上方へ延び、かつ前記低温側管路が前記スターリング冷凍機の下方へ延びていることを特徴とする、請求項1に記載のスターリング冷蔵庫。
- 前記高温側管路は、蒸発部と凝縮部とを有し、前記凝縮部は自然対流により外部との熱交換を行うことを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のスターリング冷蔵庫。
- 前記高温側管路は、蒸発部と凝縮部とを有し、前記凝縮部は強制対流により外部との熱交換を行うことを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のスターリング冷蔵庫。
- 前記高温側管路は、前記凝縮部において銅およびアルミニウムの少なくともいずれかを含む材質からなる管路または前記材質からなるフィン付の管路であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のスターリング冷蔵庫。
- 前記高温側管路は、前記凝縮部において、並列に分岐した複数のパイプを有しており、かつ前記凝縮部で凝縮された前記高温側の二次冷媒が重力によって前記凝縮部の出口へ流れ落ちるように構成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のスターリング冷蔵庫。
- 前記高温側管路は、前記凝縮部において蛇行しており、かつ前記凝縮部で凝縮された前記高温側の二次冷媒が重力によって前記凝縮部の出口へ流れ落ちるように構成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のスターリング冷蔵庫。
- 前記高温側の二次冷媒は、水と60質量%以下のエタノールとを含み、前記低温側の二次冷媒は二酸化炭素を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のスターリング冷蔵庫。
Priority Applications (1)
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JP (1) | JP2004037055A (ja) |
-
2002
- 2002-07-08 JP JP2002198784A patent/JP2004037055A/ja not_active Withdrawn
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