JP2004035972A - ステーブ支持構造および支持方法 - Google Patents

Abstract

【課題】高炉の鉄皮に新たに開孔を設けないでステーブの取り付けができ、しかも、ステーブの据付工事の際に据付レベル調整ができるステーブ支持構造および支持方法を提供する。
【解決手段】高炉の炉壁冷却用のステーブを鉄皮の炉内側に取り付けるステーブ支持構造であって、前記鉄皮に面したステーブの表面に、該ステーブを支持する受け金物を配設し、前記鉄皮に設けられたステーブ冷却パイプ用のノズル孔の中に、前記ステーブの据付レベルを調整する高さ調整ボルトを有する支持金物およびシムを配設することを特徴とするステーブ支持構造および支持方法。
【選択図】　　図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉の鉄皮の内側に取り付ける冷却用熱交換装置（以下、ステーブと称する）を支持するステーブ支持構造および支持方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
高炉等の大型溶解炉や各種熱炉においては、炉内鉄皮の保護のため炉壁の強制冷却が行われており、この強制冷却装置として、内部に冷却水を循環させるステーブが使用されている。
このステーブの取り付け方法については、例えば、特開平７−１０９５０６号公報に、以下のような従来技術が開示されている。
【０００３】
図４は、高炉本体を強制冷却するステーブの構造を示す図である。
図４において、ステーブ１は、高炉の鉄皮３の内面（炉内側）に取り付けられており、給排水パイプ２に冷却水を通水して炉壁（鉄皮）を冷却する。
ステーブ１の炉内側には、鋳込み煉瓦１３が設けられており、ステーブ１を鉄皮３に取り付けた後に、ステーブ１の炉内側に耐火物１２を積み上げ、耐火物１２とステーブ１との隙間をスタンプ１１により密着させている。
ステーブ１の給排水パイプ２は、パイプを鋳物で鋳ぐるむものと、高炉の鉄皮３に開孔を設けるものとがある。
【０００４】
このステーブ１の荷重を鉄皮３で支持するにあたり、従来は、ボルト・給配水パイプ、支持金物にて支持させていた。
図５は、従来のステーブの支持構造を示す図である。
図５において、ステーブ１は、ステーブ表面に設けられた受け金物４を、鉄皮３に設けられた鉄皮側の支持金具５に勘合させることにより支持されている。
このステーブ受け金物４はステーブ一枚当たり少なくとも２列構成で、各列はステーブの横方向に連続な形状あるいは複数個に分かれた形状でも良い。
【０００５】
鉄皮側の支持金物５は鉄皮３と同材質（例えば溶接構造用鋼）からなり、ステーブの支持及び脱落防止のため、ステーブの受け金物４を嵌合する形状になっている。この鉄皮の支持金物５は、工場で鉄皮３を製作する段階で鉄皮内面に溶接取付けを行うのが望ましい。この鉄皮側の支持金物５は、ステーブを取り付ける位置の鉄皮の、前記のステーブ受け金物４に対応する位置にそれぞれ取付け、各列は鉄皮の横方向に連続か、あるいは複数個に分けて取り付けても良い。鉄皮側支持金物５の付いた鉄皮３の組立が終了した後、炉内よりステーブ１のステーブ受け金物４が鉄皮側の支持金物５に嵌合するように、上方からステーブ１を鉄皮３に取り付けていた。
【０００６】
しかし、新設の高炉の場合には、鉄皮開孔レベルとステーブパイプ・支持部レベルを製造時に合わせることが可能だが、既設の開孔（例えば、冷却盤の開孔）を利用する場合、開孔レベルに対して、ステーブ給配水パイプ・支持レベルを製造時に合わせることが困難であり、据付時に新たに開孔を開けなおす必要性もでてくるという問題点があった。
また、鉄皮に予め受け金物を固定配置されるため、鉄皮の据え付け誤差等が生じた場合、この誤差を吸収することが難しかった。
さらに、既設鉄皮を流用する場合、鉄皮内側に受け金物の位置を設定し固定するため、施工時間がかかるという問題点もあった。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、ステーブの支持部レベルを調整可能な支持構造にすることにより、高炉の鉄皮に新たに開孔を設けないでステーブの取り付けができ、しかも、ステーブの据付工事の際に据付レベル調整ができるステーブ支持構造および支持方法を提供することを課題とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題を解決するために鋭意検討の結果、既設の冷却パイプ用のノズル孔を利用することにより、鉄皮に新たに開孔を設けないでステーブの取り付けができ、しかも、ステーブの据付工事の際に据付レベル調整ができるステーブ支持構造および支持方法を提供するものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
【０００９】
（１）　高炉の炉壁冷却用のステーブを鉄皮の炉内側に取り付けるステーブ支持構造であって、
前記鉄皮に面したステーブの表面に、該ステーブを支持する受け金物を配設し、
前記鉄皮に設けられたステーブ冷却パイプ用のノズル孔の中に、前記ステーブの据付レベルを調整する高さ調整ボルトを有する支持金物およびシムを配設することを特徴とするステーブ支持構造。
（２）　高炉の炉壁冷却用のステーブを鉄皮の炉内側に取り付けるステーブ支持方法であって、
前記鉄皮に面したステーブの表面に設けられた受け金物により該ステーブを支持し、
前記鉄皮に設けられたステーブ冷却パイプ用のノズル孔の中に該ステーブの支持金物を設け、
該支持金物に取り付けられた高さ調整ボルトと、該支持金物の下面に設けたシムとにより、前記ステーブの据付レベルの調整を行うことを特徴とするステーブ支持方法。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図１および図２を用いて詳細に説明する。
図１は、本発明のステーブ支持構造を示す側部断面図である。
図１において、高炉の炉壁冷却用ステーブ１を鉄皮８の内側に取り付ける際に、鉄皮８に面したステーブの表面に、ステーブの水平方向中心線上に少なくとも１箇所（本実施形態ではステーブ幅方向に２箇所）の下向きの支持部４を設け、鉄皮に設けられた冷却パイプ用のノズル孔９から該ステーブ支持部４の下に高さ調整ボルト６を有する支持金物５およびシム７を挿入し、鉄皮のノズル孔９のレベルとステーブに設けられた受け金物４とのレベルに合わせて、高さ調整ボルト６を調整することにより、シム７を支点として、高さ調整ボルト６と下向きの支持部４との「てこの原理」にてステーブ１を支持することができる。
【００１１】
このステーブクーラ１には、上下に給排水パイプ２この給排水パイプ２は、既設冷却盤ノズル９が流用できるよう予め、開口部に合わせた給排水パイプのレイアウトとしている。
また、このステーブクーラ１を鉄皮に装着するため、取り付けボルト３を配設している　。この取り付けボルト３も、既設冷却盤開口部９が流用できるように既設冷却盤開口部　の位置に合わせて設置されている。
このように構成したステーブクーラ１を炉内側から設置場所に搬送し、冷却盤開口部９に合わせ装着する。このとき、ステーブクーラ１に設置した受け金物４の背面側は、冷却盤開口部９が位置するため、この冷却盤開口部９に鉄皮の外側からシム７、調整ボルト６を設けた支持金物５を挿入する。支持金物５には、回転防止及び位置ずれ防止の目的で位置ずれ防止板１０を具備している。そして、調整ボルト６を回転させて、シム７を支点として支持金物５を傾動させながら、ステーブクーラ１の支持金物４に下面に接するよう調整する。下面に接したら、支持金物５を固定する。このように、ステーブクーラの支持として、ステーブクーラ１を支持金物５に合わせて移動するものではなく、支持金物５を受け金物４に合わせて調整し、支持金物５を調整後固定する。そして、この支持金物５と取り付けボルト３で支持する。
【００１２】
このステーブ支持構造および支持方法によれば、既設の鉄皮への工事中に鉄皮に新たに開孔を設ける必要が無くなり、ステーブの据付工事日数を著しく低減することができる。
また、ステーブおよびステーブ内容物の荷重を支持するための支持金物を、炉内から事前に取り付ける必要が無く、炉外から鉄皮のノズル孔に挿入するだけで簡単に据付ることができる。
さらに、ステーブの鉄皮への固定は、荷重支持を当該支持金物で実施し、炉対への炉体への引き寄せを従来と同様な２ないし４本のボルトにて実施することができる。
【００１３】
なお、ステーブの高さ方向の熱膨張は、当該支持金物を支点として、上下方向に膨張する。この時、給排水パイプが熱膨張吸収用の伸縮管にて鉄皮と固定されていても、支持部から給排水パイプまでの熱膨張を考慮して伸縮管の仕様を決定することができる。
図２は、本発明のステーブ支持構造を示す図１のＡ−Ａ´矢視図である。
図２において、ノズル孔９の中に、ステーブの据付レベルを調整する高さ調整ボルト６が付いた支持金物５が設置されている。
図３は、本発明のステーブ支持構造を示す図２のＢ−Ｂ´矢視図である。
【００１４】
【発明の効果】
本発明によれば、既設の冷却パイプ用のノズル孔を利用することにより、鉄皮に新たな開孔を設けないでステーブの取り付けができ、しかも、ステーブの据付工事の際に据付レベル調整ができるステーブ支持構造および支持方法を提供することができるうえ、支持金物を鉄皮に予め固定する必要がないので、工事時間の短縮が可能であり、ステーブクーラ本体を移動させて微調整することがないので調整時間も短縮できるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のステーブ支持構造を示す側部断面図である。
【図２】本発明のステーブ支持構造を示す図１のＡ−Ａ´矢視図である。
【図３】本発明のステーブ支持構造を示す図２のＢ−Ｂ´矢視図である。
【図４】高炉本体を強制冷却するステーブの構造を示す図である。
【図５】従来のステーブの支持構造を示す図である。
【符号の説明】
１：ステーブ、２：給排水パイプ、３：取り付けボルト、４：受け金物、
５：支持金物、６：調整ボルト、７：シム、８：鉄皮、９：ノズル孔、
１０：位置ずれ防止板、１１：スタンプ、１２：耐火物、１３：鋳込み煉瓦

Claims (2)

1. 高炉の炉壁冷却用のステーブを鉄皮の炉内側に取り付けるステーブ支持構造であって、
   前記鉄皮に面したステーブの表面に、該ステーブを支持する受け金物を配設し、
   前記鉄皮に設けられたステーブ冷却パイプ用のノズル孔の中に、前記ステーブの据付レベルを調整する高さ調整ボルトを有する支持金物およびシムを配設することを特徴とするステーブ支持構造。
2. 高炉の炉壁冷却用のステーブを鉄皮の炉内側に取り付けるステーブ支持方法であって、
   前記鉄皮に面したステーブの表面に設けられた受け金物により該ステーブを支持し、
   前記鉄皮に設けられたステーブ冷却パイプ用のノズル孔の中に該ステーブの支持金物を設け、
   該支持金物に取り付けられた高さ調整ボルトと、該支持金物の下面に設けたシムとにより、前記ステーブの据付レベルの調整を行うことを特徴とするステーブ支持方法。

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