JP2004035950A - 廃合成樹脂粉末を利用した製鉄ダストの成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡ウレタン樹脂粉末等の廃合成樹脂粉末に製鉄ダストを加えて加圧混練し、製鉄ダストを廃合成樹脂粉末の枝状部に捕捉させる。この混練物を合成樹脂粉末が熱分解しない常温〜120℃の低温度域で、ブリケットマシンや押出成形機で成形する。加温のための多くの熱エネルギーを必要とせず、強度の高い粒状成形体を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回収された廃合成樹脂粉末を利用した製鉄ダストの成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平成13年4月からの家電リサイクル法の施行に伴い、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の4製品については小売業者が回収の義務を負うこととなり、これらの家電製品のリサイクルが本格化しつつある。特にエアコンと冷蔵庫には断熱材として多量の発泡ウレタン樹脂が用いられているため、回収された発泡ウレタン樹脂の破砕物の有効利用法が強く求められている。
【0003】
本発明者等は、製鉄所において発生する製鉄ダストの粒状成形のためのバインダーとして、この発泡ウレタン樹脂の破砕物を利用できるのではないかと考え、実用化技術を開発中である。ウレタンは熱硬化性を持つ樹脂であるが、加温して行くと180℃付近から熱分解が活発化するとともに半溶融状態となり、200℃以上では徐々に炭化し、330℃でガス化の最盛期を迎える。そこでこの180〜200℃での熱可塑性を利用してバインダー効果を発揮させるため、発泡ウレタン樹脂の破砕物と製鉄ダストを180〜200℃で混合し、ブリケットを成形する方法を試みた。
【0004】
ところがこの方法には、次のような問題があることが判明した。
▲1▼ 混合物を180〜200℃に加温するのに多くの熱エネルギーを要する。
▲2▼ 加温し過ぎると樹脂が炭化してしまい、加温不足であるとバインダー効果がなく成形できない。このため、回収される樹脂の性状が変動すると安定した成形が困難となる。
▲3▼ 発泡ウレタン樹脂の破砕物から熱分解ガスが発生するために、成形されたブリケットが割れてしまい、十分な強度が得られない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決して、発泡ウレタン樹脂の破砕物などの廃合成樹脂粉末をバインダーとして用い、強度の高い粒状成形体を多くの熱エネルギーを必要とせずに安定して成形することができる廃合成樹脂粉末を利用した製鉄ダストの成形方法を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の廃合成樹脂粉末を利用した製鉄ダストの成形方法は、微細な枝状部を持つ廃合成樹脂粉末に製鉄ダストを加えて加圧混練することにより製鉄ダストを枝状部に捕捉させ、この混練物を廃合成樹脂粉末が熱分解しない低温度域で成形することを特徴とするものである。なお、廃合成樹脂粉末が発泡ウレタン樹脂の破砕物であることが好ましく、常温〜120℃の低温度域で混練及び成形を行なうことが好ましい。
【0007】
本発明の廃合成樹脂粉末を利用した製鉄ダストの成形方法によれば、加圧混練により廃合成樹脂粉末の微細な枝状部に製鉄ダストを絡ませて捕捉させ、高温に加温することなく成形を行なう。このため多くの熱エネルギーを必要とせずに安定した成形が可能となり、しかも成形体の強度は高い。成形方法としてはブリケット成形法を採ることができるがこれに限定されるものではなく、押出成形法等によっても強度の高い成形体を得ることができる。この成形体は、例えば製鋼原料として転炉内に投入されるが、廃合成樹脂粉末は高温の炉内で燃焼し、二次公害を招くこともない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のフローを示す図1を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図2に示すように、発泡ウレタン樹脂の破砕物は、顕微鏡で観察すると枝状部と膜状部とで構成されている。これは発泡による気孔を形成していた隔壁などが細かく分断されて形成されたもので、例えば枝状部の長さは300μm、太さは20μm程度である。なお、この実施形態では廃合成樹脂粉末として発泡ウレタン樹脂の破砕物を用いたが、微細な枝状部を持つ廃合成樹脂粉末であれば必ずしもウレタン樹脂に限定されず、ポリプロピレンやポリエチレン等の他の樹脂粉末であってもよい。
【0009】
このような廃合成樹脂粉末に、高炉又は溶銑予熱処理炉及び転炉の集塵設備によって回収された製鉄ダストを混合する。製鉄ダストのサイズは廃合成樹脂粉末の枝状部の長さよりも十分に小さいものであることが必要で、例えば平均粒径が45μm程度のものとする。混合物中の廃合成樹脂粉末の割合は質量比で10〜30%程度とするが、製鉄ダストに比べて廃合成樹脂粉末の比重は極めて小さいため、見掛け上では廃合成樹脂粉末中に製鉄ダストが点在した状態となる。
【0010】
これを混練機により加圧混練する。混練機の種類は特に限定されるものではないが、例えばシンプソンミルと呼ばれる回転ホイール式の加圧混練機を用いることができる。この混練機は容器内で一対のマラーホイールを回転させる形式のもので、ニーディング(荷重を掛けながらマラーホイールが粉体を圧縮する作用)、スメアリング(回転時のマラーホイールのスリップによる粉体のせん断作用)、スパチュレイト(マラーホイールの横滑りによる粉体の圧縮作用)などの作用によって、廃合成樹脂粉末と製鉄ダストとを加圧混練する。
【0011】
この結果、廃合成樹脂粉末の枝状部は相互に絡み合いながらその内部に製鉄ダストを捕捉する。このように、本発明では廃合成樹脂粉末の粘着性を利用して製鉄ダストを捕捉するのではなく、枝状部の絡み合いを利用して製鉄ダストを捕捉するので、粘着性を生ずるまで加温する必要はない。
【0012】
本実施形態においては、混練物は次にブリケットマシンにより粒状体(ブリケット)に成形される。ブリケットマシンは一対のロール間で混練物を加圧成形する装置であり、ロールの接線長さ当たりの加圧力は2.5〜5.2トン/cm(2.5〜5.2万N/cm)程度である。もちろん、これ以上の圧力をかければ、更に強度は増加する。本発明では混練及び成形を廃合成樹脂粉末が熱分解しない低温度域で行なう。具体的には、廃合成樹脂粉末が発泡ウレタン樹脂の破砕物である場合、常温〜120℃の低温度域で混練及びブリケット成形を行なう。ブリケットのサイズは例えば18×28×10mmである。
【0013】
このように低温度域で成形を行なう理由は、廃合成樹脂粉末が熱分解を開始すると熱分解ガスが成形体の内部に封じ込まれて圧縮され、最大加圧力が作用するロール間の接線部分を通過して加圧力が解放されると同時に膨張し、成形されたブリケットを内部から破壊するためである。また低温度域で混練及び成形を行なうことにより、加温のためのエネルギーを節約することができる。さらに厳密な温度制御を必要としない利点がある。
【0014】
このほか、混練物中に水分が含まれている場合にも水蒸気が成形体の内部で膨張し、粒状成形体を内部から破壊するおそれがある。このため水分はできるだけ少なくすることが好ましく、5%を越えると強度の大きい粒状成形体を得ることができなくなるので、特に湿式集塵機で回収された製鉄ダストは乾燥しておくことが好ましい。
【0015】
上記した本発明の方法によれば、廃合成樹脂粉末をバインダーとして製鉄ダストを造粒し、圧壊強度が50kg(500N)以上、5m落下歩留まりが80%以上の高強度の粒状体を成形することができる。ここで圧壊強度とは一個の粒状成形体を押し潰すに要する荷重を意味し、5m落下歩留まりは粒状成形体をゴム床に5mの高さから落下させたときの非破壊率を意味する。得られた粒状成形体は製鋼原料として転炉に投入され有効活用されるとともに、粒状成形体に含まれる廃合成樹脂粉末は転炉内で燃焼され、その燃焼熱も有効利用されることとなる。以下に本発明の実施例を比較例とともに示す。
【0016】
【実施例】
平均粒径が46μmの製鉄ダストと、冷蔵庫から回収された発泡ウレタン樹脂の破砕物とを用い、実施形態の項で説明した方法により、温度、水分、ブリケットマシンのロール圧力、混合比などの条件を変えてブリケット成形を行なった。その評価は圧壊強度と5m落下歩留まりにより行なった。表1は温度条件を変えた結果を示し、20℃、120℃で良好な結果が得られるが、熱分解が開始する180℃では強度が低下することを示している。
【0017】
表2は水分を変化させた結果を示し、3.3%となると5m落下歩留まりがやや低下し、6.9%となると5m落下歩留まりが大幅に低下することが判る。表3はロール圧力を変化させた結果を示し、2.5〜5.2トン/cm(2.5〜5.2万N/cm)の範囲で良好な強度が得られることが判る。表4は混合比を変化させた結果を示し、発泡ウレタン樹脂の破砕物の比率が40%に達すると、強度が大幅に低下することを示している。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、発泡ウレタン樹脂などの破砕物をバインダーとして、圧壊強度や落下歩留まりの高い製鉄ダストの粒状成形体を安定して成形することができる。しかも本発明の方法では、加圧混練により廃合成樹脂粉末の微細な枝状部に製鉄ダストを絡ませて捕捉させるので、多くの熱エネルギーを必要としない。よって本発明は、回収された廃合成樹脂粉末を有効利用する技術として価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフローを示すブロック図である。
【図2】発泡ウレタン樹脂の破砕物の拡大図である。
Claims (3)
- 微細な枝状部を持つ廃合成樹脂粉末に製鉄ダストを加えて加圧混練することにより製鉄ダストを枝状部に捕捉させ、この混練物を廃合成樹脂粉末が熱分解しない低温度域で成形することを特徴とする廃合成樹脂粉末を利用した製鉄ダストの成形方法。
- 廃合成樹脂粉末が発泡ウレタン樹脂の破砕物である請求項1記載の廃合成樹脂粉末を利用した製鉄ダストの成形方法。
- 常温〜120℃の低温度域で混練及び成形を行なう請求項2記載の廃合成樹脂粉末を利用した製鉄ダストの成形方法。
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JP2012219364A (ja) * | 2011-04-13 | 2012-11-12 | Arbiz Corp | 鉄鋼用副資材の製造方法 |
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