JP2004035283A - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバ用多孔質母材の加熱時の処理条件を簡略化し、光ファイバ母材の成形不良を防止する光ファイバ母材の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス微粒子をコア用ガラス母材の外周部に堆積させて光ファイバ用多孔質母材5を得た後、光ファイバ用多孔質母材5を加熱する際に、コア用ガラス母材の屈折率分布を測定して光ファイバ用多孔質母材5の外付け倍率を決定し、光ファイバ用多孔質母材5の外径d(mm)を決定し、光ファイバ用多孔質母材5の外径dが0.65<d/D<0.95を満たすように、コア用ガラス母材の外径を定めるか、または、0.65<d/D<0.95を満たす光ファイバ用多孔質母材の外径d(mm)を定めるために、コア用ガラス母材の外径に基づいて光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率を決定し、この外付け倍率を満たすようにコア用ガラス母材の屈折率分布を定める光ファイバ母材の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】ガラス微粒子をコア用ガラス母材の外周部に堆積させて光ファイバ用多孔質母材5を得た後、光ファイバ用多孔質母材5を加熱する際に、コア用ガラス母材の屈折率分布を測定して光ファイバ用多孔質母材5の外付け倍率を決定し、光ファイバ用多孔質母材5の外径d(mm)を決定し、光ファイバ用多孔質母材5の外径dが0.65<d/D<0.95を満たすように、コア用ガラス母材の外径を定めるか、または、0.65<d/D<0.95を満たす光ファイバ用多孔質母材の外径d(mm)を定めるために、コア用ガラス母材の外径に基づいて光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率を決定し、この外付け倍率を満たすようにコア用ガラス母材の屈折率分布を定める光ファイバ母材の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ母材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ母材の製造方法としては、VAD法、MCVD法、PCVD法などの公知の方法によって製造されたコア用ガラス母材の両端にダミー部材が接続された出発部材を水平に設置し、その軸周りに回転させ、バーナからガラス原料ガスを、添加ガス、可燃性ガス、支燃性ガスとともに噴出し、ガラス原料ガスを火炎中で加水分解反応させてガラス微粒子を生成し、コア用ガラス母材の外周部にクラッド用のガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材を得た後、この光ファイバ用多孔質母材を、不活性ガス雰囲気下または真空下の炉心管中で脱水、加熱しながら透明ガラス化し光ファイバ母材を得る方法が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、高速通信の需要の増加に伴って、光ファイバの需要も増加し、光ファイバの製造コストを低減するために、光ファイバ母材は大型化する傾向にある。
一方、光通信システムの多様化により、非ゼロ分散シフト光ファイバ、分散補償光ファイバなど、多種類の光ファイバが生産されるに伴って、光ファイバ母材も多様化してきている。その結果として、多種多様な光ファイバ用多孔質母材を製造する必要が生じている。また、このように、光ファイバ用多孔質母材が多様化すると、得られる光ファイバ用多孔質母材の外径も、目的とする光ファイバ母材に応じて、様々なものとなる。
【0004】
ところで、光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材とするために用いられる炉心管は大きさが一定である。したがって、この炉心管内で処理される光ファイバ用多孔質母材の外径にばらつきがあると、外径の違いに応じて加熱処理の条件を変更しなければならず、その条件の設定が煩雑となる。
また、特に、光ファイバ用多孔質母材は、その外径が細いと、炉心管内で加熱処理しても、熱が均一に加わえられ難くいため、未加熱部を生じ、完全に透明ガラス化されない。さらに、得られた光ファイバ母材は真っ直ぐに形成されずに、曲がってしまうことがあった。そして、光ファイバ用多孔質母材の外径が細いと、単位時間当りの生産量が低下するという問題もあった。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、光ファイバ用多孔質母材の加熱時の処理条件を簡略化し、光ファイバ母材の成形不良を防止する光ファイバ母材の製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る際、前記光ファイバ用多孔質母材の外径をd(mm)とし、該光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とし、dとDの関係を0.65<d/D<0.95として、加熱する光ファイバ母材の製造方法によって解決できる。
前記課題は、ガラス微粒子をコア用ガラス母材の外周部に堆積させて光ファイバ用多孔質母材を得た後、該光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る光ファイバ母材の製造方法において、前記コア用ガラス母材の屈折率分布を測定して前記光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率を決定し、該外付け倍率から前記光ファイバ用多孔質母材の外径d(mm)を決定し、前記光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とした時に、前記光ファイバ用多孔質母材の外径dが、0.65<d/D<0.95を満たすように、前記コア用ガラス母材の外径を定める光ファイバ母材の製造方法によって解決できる。
前記課題は、ガラス微粒子をコア用ガラス母材の外周部に堆積させて光ファイバ用多孔質母材を得た後、該光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る光ファイバ母材の製造方法において、前記光ファイバ用多孔質母材の外径をd(mm)とし、前記光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とした時に、0.65<d/D<0.95を満たす前記光ファイバ用多孔質母材の外径d(mm)を定めるために、前記コア用ガラス母材の外径に基づいて前記光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率を決定し、該外付け倍率を満たすように前記コア用ガラス母材の屈折率分布を定める光ファイバ母材の製造方法によって解決できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の光ファイバ母材の製造方法に用いられる、光ファイバ母材製造装置の一部の一例を示す概略構成図である。
符号1は光ファイバ用多孔質母材の加熱装置であり、この加熱装置1は、筒状の炉心管2と、炉心管2の外周に配置された熱源3と、炉心管2の外周を覆っている断熱材4とから概略構成されている。
この加熱装置1によって光ファイバ用多孔質母材5を加熱して、光ファイバ母材を得るには、まず、光ファイバ用多孔質母材5を、駆動軸6を介して、速度制御可能な駆動源7に連結する。次いで、光ファイバ用多孔質母材5を、炉心管2内を、その長手方向に所定の速度で移動させながら、熱源3の周辺を通過する際に加熱し、透明なガラス体からなる光ファイバ母材を得る。
また、炉心管2の下方には、不活性ガスの導入管8が接続されており、炉心管2の上方には排気管9が接続されている。光ファイバ用多孔質母材5の加熱中、炉心管2内には、導入管8を介して不活性ガスが導入され、この不活性ガスが排気管9から炉心管2外に排出され、不活性ガスが循環するようになっている。
【0008】
本発明の光ファイバ母材の製造方法では、ガラス微粒子を、出発部材を構成するコア用ガラス母材の外周部に堆積させて得られた光ファイバ用多孔質母材を加熱して光ファイバ母材を製造する際に、光ファイバ用多孔質母材の外径をd(mm)、光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とすると、dとDの関係を0.65<d/D<0.95となるように、好ましくは、0.8<d/D<0.9となるように、光ファイバ用多孔質母材の外径dを調整する。
【0009】
例えば、出発部材を構成するコア用ガラス母材の周囲に、外付け法によりガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材を得る際に、以下に示すように、コア用ガラス母材の外径を決定することにより、本発明の光ファイバ母材の製造方法を実施することができる。
【0010】
以下、本発明の光ファイバ母材の製造方法の一例を説明する。
この例の光ファイバ母材の製造方法では、コア用ガラス母材がVAD法により製造される(以下、VAD法により製造されたコア用ガラス母材を「VAD母材」とする。)。このVAD母材の屈折率分布を測定することにより、所望の光学特性を有する光ファイバを得るために必要な、ガラス微粒子堆積後(外付け後)の光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率が求められる。ここで、外付け倍率は、(外付け後の光ファイバ用多孔質母材の外径)÷(外付け前のコア用ガラス母材(VAD母材)の外径)で表される。
【0011】
外付け前のコア用ガラス母材は、VAD母材を延伸、分割して得られたものである(以下、VAD母材を延伸、分割して得られたコア用ガラス母材を「延伸母材」とする。)。
このとき、光ファイバ用多孔質母材の外径d(mm)は、延伸母材の外径をdc(mm)、光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率をa、光ファイバ用多孔質母材の平均密度をds(g/cm3)、光ファイバ用多孔質母材を焼結して得られる光ファイバ母材の密度をdg(cm3)とすると、dは下記式(1)で表される。
【0012】
【数1】
【0013】
ここで、外付け倍率aは、所望の光ファイバの光学特性に応じて定められ、光ファイバ母材の密度dg(cm3)は、光ファイバ母材がほぼ純粋な石英ガラスからなるので、ほぼ一定の値に定まる。
以上のことから、上述の0.65<d/D<0.95を満たすような延伸母材の外径dc(mm)が定まる。したがって、dcが下記式(2)を満たすように、VAD母材を延伸、分割して延伸母材を得た後、この延伸母材を光ファイバ用多孔質母材の製造に供する。
【0014】
【数2】
【0015】
以下、本発明の光ファイバ母材の製造方法の他の例を説明する。
この例の光ファイバ母材の製造方法では、コア用ガラス母材がMCVD法、PCVD法などによって製造される。
MCVD法では、一定の外径からなる石英管の中にガラス原料ガスを導入して、石英管を外側から加熱して、石英管内にガラス微粒子を沈積した後、石英管を加熱して潰し、コア用ガラス母材を製造する。また、PCVD法では、一定の外径からなる石英管の中にガラス原料ガスを導入して、石英管内にプラズマ炎を発生させ、この熱によって石英管内にガラス微粒子を沈積した後、石英管を加熱して潰し、コア用ガラス母材を製造する。
このように、MCVD法やPCVD法で製造されたコア用ガラス母材の外径は、その製造方法および製造装置の形態から、ほぼ一定の値dc2(mm)となる。
また、光ファイバ母材の密度dg(cm3)は、ほぼ一定の値となるのは、上述の光ファイバ母材の製造方法の一例の場合と同様である。
よって、この例の光ファイバ母材の製造方法では、コア用ガラス母材を製造する際に、このコア用ガラス母材を用いて製造された光ファイバ用多孔質母材が0.65<d/D<0.95を満たすように、あらかじめ、最適な外付け倍率a2が下記式(3)を満たすように、コア用ガラス母材の屈折率分布を設計し、コア用ガラス母材を製造すればよい。
【0016】
【数3】
【0017】
上記d/Dが0.65以下では、光ファイバ用多孔質母材を加熱するには、より多くの熱エネルギーを必要とするため、加熱に長時間を要したり、上記炉心管2の外周に配置された熱源3で消費される電力が多くなる。また、電力不足により、光ファイバ用多孔質母材に熱が均一に伝わり難く、光ファイバ用多孔質母材を完全に加熱できない場合や、得られた光ファイバ母材が曲がることがある。さらに、光ファイバ用多孔質母材を完全に加熱できたとしても、得られる光ファイバ母材の大きさは小さくなり、生産性が悪くなる。
一方、上記d/Dが0.95以上では、通常、光ファイバ母材の製造において問題とならないような僅かな振動によって、光ファイバ用多孔質母材を構成するガラス微粒子が剥落して、炉心管内部を損傷したり、加熱後の光ファイバ母材を損傷することがある。
【0018】
以下、図1を用いて具体的な実施例を示し、本発明の効果を明らかにする。
なお、以下に示す実施例および比較例において、炉心管の内径を、いずれの場合も200mmとした。また、この実施例をもって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
VAD法により、外径約70mmのコア用ガラス母材を作製した後、このコア用ガラス母材の屈折率分布を測定し、外付け後の光ファイバ用多孔質母材5の外径d(mm)と、この光ファイバ用多孔質母材5を加熱する炉心管2の内径D(mm)が、0.8<d/D<0.9を満たすように、外付け倍率を決定した。そして、コア用ガラス母材を延伸して延伸母材を作製し、この延伸母材の外周にガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材5を得た。その後、この光ファイバ用多孔質母材5を炉心管2内で加熱し、光ファイバ母材を製造した。
上記一連の製造方法により、光ファイバ母材の製造を200回行なった。
表1に、製造した光ファイバ母材の溶融線引きによって得られた光ファイバの総光ファイバ長、光ファイバ用多孔質母材の加熱において、問題が生じた頻度を示す。また、図2(a)に、d/Dの値の頻度を示す。さらに、図3(a)に、加熱後の光ファイバ母材の曲がりを確認するために、振れ回り量(mm)を測定した結果を示す。振れ回り量とは、光ファイバ母材の上端を鉛直方向に把持して、下端での振れを測定したものである。
【0020】
(実施例2)
MCVD法により、コア用ガラス母材を作製した。このコア用ガラス母材の外径は、MCVD法の製造方法および製造装置の形態から、約20mmに限定される。このコア用ガラス母材に外付けを行なった際に、外付け後の光ファイバ用多孔質母材5の外径d(mm)と、この光ファイバ用多孔質母材5を加熱する炉心管2の内径D(mm)が、0.8<d/D<0.9を満たすように、コア用ガラス母材の屈折率分布を設計し、コア用ガラス母材を作製した。そして、コア用ガラス母材の外周にガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材5を得た。その後、この光ファイバ用多孔質母材5を炉心管2内で加熱し、光ファイバ母材を製造した。
上記一連の製造方法により、光ファイバ母材の製造を200回行なった。
表1に、製造した光ファイバ母材の溶融線引きによって得られた光ファイバの総光ファイバ長、光ファイバ用多孔質母材の加熱において、問題が生じた頻度を示す。また、図2(b)に、d/Dの値の頻度を表すヒストグラムを示す。さらに、図3(b)に、加熱後の光ファイバ母材の曲がりを確認するために、振れ回り量(mm)を測定した結果を示す。
【0021】
(比較例1)
VAD法により、コア用ガラス母材を作製した後、常に一定の外径となるようコア用ガラス母材を延伸して延伸母材を作製し、この延伸母材の外周にガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材5を得た。その後、この光ファイバ用多孔質母材5を炉心管2内で加熱し、光ファイバ母材を製造した。
上記一連の製造方法により、光ファイバ母材の製造を200回行なった。
表1に、製造した光ファイバ母材の溶融線引きによって得られた光ファイバの総光ファイバ長、光ファイバ用多孔質母材の加熱において、問題が生じた頻度を示す。また、図2(c)に、d/Dの値の頻度を表すヒストグラムを示す。さらに、図3(c)に、加熱後の光ファイバ母材の曲がりを確認するために、振れ回り量(mm)を測定した結果を示す。
【0022】
(比較例2)
MCVD法により、コア用ガラス母材を作製した。このコア用ガラス母材の外径は、MCVD法の製造方法および製造装置の形態から、約20mmに限定される。このコア用ガラス母材の屈折率分布を設計する際には、最終的に光ファイバ母材を線引きして得られる光ファイバの光学特性についてのみ考慮し、外付け後の光ファイバ用多孔質母材の外径については考慮しなかった。そして、コア用ガラス母材の外周にガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材5を得た。その後、この光ファイバ用多孔質母材5を炉心管2内で加熱し、光ファイバ母材を製造した。
上記一連の製造方法により、光ファイバ母材の製造を200回行なった。
表1に、製造した光ファイバ母材の溶融線引きによって得られた光ファイバの総光ファイバ長、光ファイバ用多孔質母材の加熱において、問題が生じた頻度を示す。また、図2(d)に、d/Dの値の頻度を表すヒストグラムを示す。さらに、図3(d)に、加熱後の光ファイバ母材の曲がりを確認するために、振れ回り量(mm)を測定した結果を示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1および図2の結果から、実施例では、光ファイバ母材の製造において問題が生じなかった。
比較例では、光ファイバ母材の外径にばらつきが生じた上に、この光ファイバ母材の溶融線引き後に得られた光ファイバの長さも、実施例よりも短かった。また、d/Dが0.65以下で形成された光ファイバ母材の中には、未焼却部分の存在するものがいくつかあった。さらに、光ファイバ用多孔質母材5の外径が大き過ぎて、炉心管2内に入らなかったことが3回あった。そして、光ファイバ用多孔質母材5の加熱中に、炉心管2の内壁に光ファイバ用多孔質母材5のが接触し、光ファイバ用多孔質母材5の一部が炉心管2内に剥落したことが1回あった。
【0025】
また、図3の結果から、実施例では、全ての光ファイバ母材の振れ回り量が2mm以下であり、曲がりの少ない良好な光ファイバ母材が得られたことが確認された。さらに、比較例では、曲がりの多い光ファイバ母材が得られる頻度が多いことが確認され、光ファイバ母材の振れ回り量が10mmを超え、非常に曲がりの多いものが得られることがあるのが確認された。
【0026】
以上の結果から、本発明の光ファイバ母材の製造方法によれば、光ファイバ母材を効率的に製造することができるのが確認された。
なお、本実施例においては、コア用ガラス母材の外周に、外付け法によりガラス微粒子を堆積させて得た光ファイバ用多孔質母材について示したが、本発明の光ファイバ母材の製造方法は、外付け法に限定されるものではない。例えば、VAD法により光ファイバ用多孔質母材を製造し、この光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る場合についても、0.65<d/D<0.95が成り立つような条件で光ファイバ用多孔質母材を製造すれば、同様の効果が得られる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバ母材の製造方法は、光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る際、前記光ファイバ用多孔質母材の外径をd(mm)とし、該光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とし、dとDの関係を0.65<d/D<0.95として、加熱するから、光ファイバ用多孔質母材の加熱条件が簡略化され、これによって得られる光ファイバ母材の成形不良を防止し、良質の光ファイバ母材を効率良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバ母材の製造方法に用いられる、光ファイバ母材製造装置の一部の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例および比較例において、d/Dの値の頻度を表すヒストグラムである。
【図3】本発明の実施例および比較例において、加熱後の光ファイバ母材の曲がりを確認するために、振れ回り量を測定した結果を示すヒストグラムである。
【符号の説明】
1・・・加熱装置、2・・・炉心管、3・・・熱源、4・・・断熱材、5・・・光ファイバ用多孔質母材、6・・・駆動軸、7・・・駆動源、8・・・導入管、9・・・排気管
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ母材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ母材の製造方法としては、VAD法、MCVD法、PCVD法などの公知の方法によって製造されたコア用ガラス母材の両端にダミー部材が接続された出発部材を水平に設置し、その軸周りに回転させ、バーナからガラス原料ガスを、添加ガス、可燃性ガス、支燃性ガスとともに噴出し、ガラス原料ガスを火炎中で加水分解反応させてガラス微粒子を生成し、コア用ガラス母材の外周部にクラッド用のガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材を得た後、この光ファイバ用多孔質母材を、不活性ガス雰囲気下または真空下の炉心管中で脱水、加熱しながら透明ガラス化し光ファイバ母材を得る方法が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、高速通信の需要の増加に伴って、光ファイバの需要も増加し、光ファイバの製造コストを低減するために、光ファイバ母材は大型化する傾向にある。
一方、光通信システムの多様化により、非ゼロ分散シフト光ファイバ、分散補償光ファイバなど、多種類の光ファイバが生産されるに伴って、光ファイバ母材も多様化してきている。その結果として、多種多様な光ファイバ用多孔質母材を製造する必要が生じている。また、このように、光ファイバ用多孔質母材が多様化すると、得られる光ファイバ用多孔質母材の外径も、目的とする光ファイバ母材に応じて、様々なものとなる。
【0004】
ところで、光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材とするために用いられる炉心管は大きさが一定である。したがって、この炉心管内で処理される光ファイバ用多孔質母材の外径にばらつきがあると、外径の違いに応じて加熱処理の条件を変更しなければならず、その条件の設定が煩雑となる。
また、特に、光ファイバ用多孔質母材は、その外径が細いと、炉心管内で加熱処理しても、熱が均一に加わえられ難くいため、未加熱部を生じ、完全に透明ガラス化されない。さらに、得られた光ファイバ母材は真っ直ぐに形成されずに、曲がってしまうことがあった。そして、光ファイバ用多孔質母材の外径が細いと、単位時間当りの生産量が低下するという問題もあった。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、光ファイバ用多孔質母材の加熱時の処理条件を簡略化し、光ファイバ母材の成形不良を防止する光ファイバ母材の製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る際、前記光ファイバ用多孔質母材の外径をd(mm)とし、該光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とし、dとDの関係を0.65<d/D<0.95として、加熱する光ファイバ母材の製造方法によって解決できる。
前記課題は、ガラス微粒子をコア用ガラス母材の外周部に堆積させて光ファイバ用多孔質母材を得た後、該光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る光ファイバ母材の製造方法において、前記コア用ガラス母材の屈折率分布を測定して前記光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率を決定し、該外付け倍率から前記光ファイバ用多孔質母材の外径d(mm)を決定し、前記光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とした時に、前記光ファイバ用多孔質母材の外径dが、0.65<d/D<0.95を満たすように、前記コア用ガラス母材の外径を定める光ファイバ母材の製造方法によって解決できる。
前記課題は、ガラス微粒子をコア用ガラス母材の外周部に堆積させて光ファイバ用多孔質母材を得た後、該光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る光ファイバ母材の製造方法において、前記光ファイバ用多孔質母材の外径をd(mm)とし、前記光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とした時に、0.65<d/D<0.95を満たす前記光ファイバ用多孔質母材の外径d(mm)を定めるために、前記コア用ガラス母材の外径に基づいて前記光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率を決定し、該外付け倍率を満たすように前記コア用ガラス母材の屈折率分布を定める光ファイバ母材の製造方法によって解決できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の光ファイバ母材の製造方法に用いられる、光ファイバ母材製造装置の一部の一例を示す概略構成図である。
符号1は光ファイバ用多孔質母材の加熱装置であり、この加熱装置1は、筒状の炉心管2と、炉心管2の外周に配置された熱源3と、炉心管2の外周を覆っている断熱材4とから概略構成されている。
この加熱装置1によって光ファイバ用多孔質母材5を加熱して、光ファイバ母材を得るには、まず、光ファイバ用多孔質母材5を、駆動軸6を介して、速度制御可能な駆動源7に連結する。次いで、光ファイバ用多孔質母材5を、炉心管2内を、その長手方向に所定の速度で移動させながら、熱源3の周辺を通過する際に加熱し、透明なガラス体からなる光ファイバ母材を得る。
また、炉心管2の下方には、不活性ガスの導入管8が接続されており、炉心管2の上方には排気管9が接続されている。光ファイバ用多孔質母材5の加熱中、炉心管2内には、導入管8を介して不活性ガスが導入され、この不活性ガスが排気管9から炉心管2外に排出され、不活性ガスが循環するようになっている。
【0008】
本発明の光ファイバ母材の製造方法では、ガラス微粒子を、出発部材を構成するコア用ガラス母材の外周部に堆積させて得られた光ファイバ用多孔質母材を加熱して光ファイバ母材を製造する際に、光ファイバ用多孔質母材の外径をd(mm)、光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とすると、dとDの関係を0.65<d/D<0.95となるように、好ましくは、0.8<d/D<0.9となるように、光ファイバ用多孔質母材の外径dを調整する。
【0009】
例えば、出発部材を構成するコア用ガラス母材の周囲に、外付け法によりガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材を得る際に、以下に示すように、コア用ガラス母材の外径を決定することにより、本発明の光ファイバ母材の製造方法を実施することができる。
【0010】
以下、本発明の光ファイバ母材の製造方法の一例を説明する。
この例の光ファイバ母材の製造方法では、コア用ガラス母材がVAD法により製造される(以下、VAD法により製造されたコア用ガラス母材を「VAD母材」とする。)。このVAD母材の屈折率分布を測定することにより、所望の光学特性を有する光ファイバを得るために必要な、ガラス微粒子堆積後(外付け後)の光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率が求められる。ここで、外付け倍率は、(外付け後の光ファイバ用多孔質母材の外径)÷(外付け前のコア用ガラス母材(VAD母材)の外径)で表される。
【0011】
外付け前のコア用ガラス母材は、VAD母材を延伸、分割して得られたものである(以下、VAD母材を延伸、分割して得られたコア用ガラス母材を「延伸母材」とする。)。
このとき、光ファイバ用多孔質母材の外径d(mm)は、延伸母材の外径をdc(mm)、光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率をa、光ファイバ用多孔質母材の平均密度をds(g/cm3)、光ファイバ用多孔質母材を焼結して得られる光ファイバ母材の密度をdg(cm3)とすると、dは下記式(1)で表される。
【0012】
【数1】
【0013】
ここで、外付け倍率aは、所望の光ファイバの光学特性に応じて定められ、光ファイバ母材の密度dg(cm3)は、光ファイバ母材がほぼ純粋な石英ガラスからなるので、ほぼ一定の値に定まる。
以上のことから、上述の0.65<d/D<0.95を満たすような延伸母材の外径dc(mm)が定まる。したがって、dcが下記式(2)を満たすように、VAD母材を延伸、分割して延伸母材を得た後、この延伸母材を光ファイバ用多孔質母材の製造に供する。
【0014】
【数2】
【0015】
以下、本発明の光ファイバ母材の製造方法の他の例を説明する。
この例の光ファイバ母材の製造方法では、コア用ガラス母材がMCVD法、PCVD法などによって製造される。
MCVD法では、一定の外径からなる石英管の中にガラス原料ガスを導入して、石英管を外側から加熱して、石英管内にガラス微粒子を沈積した後、石英管を加熱して潰し、コア用ガラス母材を製造する。また、PCVD法では、一定の外径からなる石英管の中にガラス原料ガスを導入して、石英管内にプラズマ炎を発生させ、この熱によって石英管内にガラス微粒子を沈積した後、石英管を加熱して潰し、コア用ガラス母材を製造する。
このように、MCVD法やPCVD法で製造されたコア用ガラス母材の外径は、その製造方法および製造装置の形態から、ほぼ一定の値dc2(mm)となる。
また、光ファイバ母材の密度dg(cm3)は、ほぼ一定の値となるのは、上述の光ファイバ母材の製造方法の一例の場合と同様である。
よって、この例の光ファイバ母材の製造方法では、コア用ガラス母材を製造する際に、このコア用ガラス母材を用いて製造された光ファイバ用多孔質母材が0.65<d/D<0.95を満たすように、あらかじめ、最適な外付け倍率a2が下記式(3)を満たすように、コア用ガラス母材の屈折率分布を設計し、コア用ガラス母材を製造すればよい。
【0016】
【数3】
【0017】
上記d/Dが0.65以下では、光ファイバ用多孔質母材を加熱するには、より多くの熱エネルギーを必要とするため、加熱に長時間を要したり、上記炉心管2の外周に配置された熱源3で消費される電力が多くなる。また、電力不足により、光ファイバ用多孔質母材に熱が均一に伝わり難く、光ファイバ用多孔質母材を完全に加熱できない場合や、得られた光ファイバ母材が曲がることがある。さらに、光ファイバ用多孔質母材を完全に加熱できたとしても、得られる光ファイバ母材の大きさは小さくなり、生産性が悪くなる。
一方、上記d/Dが0.95以上では、通常、光ファイバ母材の製造において問題とならないような僅かな振動によって、光ファイバ用多孔質母材を構成するガラス微粒子が剥落して、炉心管内部を損傷したり、加熱後の光ファイバ母材を損傷することがある。
【0018】
以下、図1を用いて具体的な実施例を示し、本発明の効果を明らかにする。
なお、以下に示す実施例および比較例において、炉心管の内径を、いずれの場合も200mmとした。また、この実施例をもって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
VAD法により、外径約70mmのコア用ガラス母材を作製した後、このコア用ガラス母材の屈折率分布を測定し、外付け後の光ファイバ用多孔質母材5の外径d(mm)と、この光ファイバ用多孔質母材5を加熱する炉心管2の内径D(mm)が、0.8<d/D<0.9を満たすように、外付け倍率を決定した。そして、コア用ガラス母材を延伸して延伸母材を作製し、この延伸母材の外周にガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材5を得た。その後、この光ファイバ用多孔質母材5を炉心管2内で加熱し、光ファイバ母材を製造した。
上記一連の製造方法により、光ファイバ母材の製造を200回行なった。
表1に、製造した光ファイバ母材の溶融線引きによって得られた光ファイバの総光ファイバ長、光ファイバ用多孔質母材の加熱において、問題が生じた頻度を示す。また、図2(a)に、d/Dの値の頻度を示す。さらに、図3(a)に、加熱後の光ファイバ母材の曲がりを確認するために、振れ回り量(mm)を測定した結果を示す。振れ回り量とは、光ファイバ母材の上端を鉛直方向に把持して、下端での振れを測定したものである。
【0020】
(実施例2)
MCVD法により、コア用ガラス母材を作製した。このコア用ガラス母材の外径は、MCVD法の製造方法および製造装置の形態から、約20mmに限定される。このコア用ガラス母材に外付けを行なった際に、外付け後の光ファイバ用多孔質母材5の外径d(mm)と、この光ファイバ用多孔質母材5を加熱する炉心管2の内径D(mm)が、0.8<d/D<0.9を満たすように、コア用ガラス母材の屈折率分布を設計し、コア用ガラス母材を作製した。そして、コア用ガラス母材の外周にガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材5を得た。その後、この光ファイバ用多孔質母材5を炉心管2内で加熱し、光ファイバ母材を製造した。
上記一連の製造方法により、光ファイバ母材の製造を200回行なった。
表1に、製造した光ファイバ母材の溶融線引きによって得られた光ファイバの総光ファイバ長、光ファイバ用多孔質母材の加熱において、問題が生じた頻度を示す。また、図2(b)に、d/Dの値の頻度を表すヒストグラムを示す。さらに、図3(b)に、加熱後の光ファイバ母材の曲がりを確認するために、振れ回り量(mm)を測定した結果を示す。
【0021】
(比較例1)
VAD法により、コア用ガラス母材を作製した後、常に一定の外径となるようコア用ガラス母材を延伸して延伸母材を作製し、この延伸母材の外周にガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材5を得た。その後、この光ファイバ用多孔質母材5を炉心管2内で加熱し、光ファイバ母材を製造した。
上記一連の製造方法により、光ファイバ母材の製造を200回行なった。
表1に、製造した光ファイバ母材の溶融線引きによって得られた光ファイバの総光ファイバ長、光ファイバ用多孔質母材の加熱において、問題が生じた頻度を示す。また、図2(c)に、d/Dの値の頻度を表すヒストグラムを示す。さらに、図3(c)に、加熱後の光ファイバ母材の曲がりを確認するために、振れ回り量(mm)を測定した結果を示す。
【0022】
(比較例2)
MCVD法により、コア用ガラス母材を作製した。このコア用ガラス母材の外径は、MCVD法の製造方法および製造装置の形態から、約20mmに限定される。このコア用ガラス母材の屈折率分布を設計する際には、最終的に光ファイバ母材を線引きして得られる光ファイバの光学特性についてのみ考慮し、外付け後の光ファイバ用多孔質母材の外径については考慮しなかった。そして、コア用ガラス母材の外周にガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用多孔質母材5を得た。その後、この光ファイバ用多孔質母材5を炉心管2内で加熱し、光ファイバ母材を製造した。
上記一連の製造方法により、光ファイバ母材の製造を200回行なった。
表1に、製造した光ファイバ母材の溶融線引きによって得られた光ファイバの総光ファイバ長、光ファイバ用多孔質母材の加熱において、問題が生じた頻度を示す。また、図2(d)に、d/Dの値の頻度を表すヒストグラムを示す。さらに、図3(d)に、加熱後の光ファイバ母材の曲がりを確認するために、振れ回り量(mm)を測定した結果を示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1および図2の結果から、実施例では、光ファイバ母材の製造において問題が生じなかった。
比較例では、光ファイバ母材の外径にばらつきが生じた上に、この光ファイバ母材の溶融線引き後に得られた光ファイバの長さも、実施例よりも短かった。また、d/Dが0.65以下で形成された光ファイバ母材の中には、未焼却部分の存在するものがいくつかあった。さらに、光ファイバ用多孔質母材5の外径が大き過ぎて、炉心管2内に入らなかったことが3回あった。そして、光ファイバ用多孔質母材5の加熱中に、炉心管2の内壁に光ファイバ用多孔質母材5のが接触し、光ファイバ用多孔質母材5の一部が炉心管2内に剥落したことが1回あった。
【0025】
また、図3の結果から、実施例では、全ての光ファイバ母材の振れ回り量が2mm以下であり、曲がりの少ない良好な光ファイバ母材が得られたことが確認された。さらに、比較例では、曲がりの多い光ファイバ母材が得られる頻度が多いことが確認され、光ファイバ母材の振れ回り量が10mmを超え、非常に曲がりの多いものが得られることがあるのが確認された。
【0026】
以上の結果から、本発明の光ファイバ母材の製造方法によれば、光ファイバ母材を効率的に製造することができるのが確認された。
なお、本実施例においては、コア用ガラス母材の外周に、外付け法によりガラス微粒子を堆積させて得た光ファイバ用多孔質母材について示したが、本発明の光ファイバ母材の製造方法は、外付け法に限定されるものではない。例えば、VAD法により光ファイバ用多孔質母材を製造し、この光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る場合についても、0.65<d/D<0.95が成り立つような条件で光ファイバ用多孔質母材を製造すれば、同様の効果が得られる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバ母材の製造方法は、光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る際、前記光ファイバ用多孔質母材の外径をd(mm)とし、該光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とし、dとDの関係を0.65<d/D<0.95として、加熱するから、光ファイバ用多孔質母材の加熱条件が簡略化され、これによって得られる光ファイバ母材の成形不良を防止し、良質の光ファイバ母材を効率良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバ母材の製造方法に用いられる、光ファイバ母材製造装置の一部の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例および比較例において、d/Dの値の頻度を表すヒストグラムである。
【図3】本発明の実施例および比較例において、加熱後の光ファイバ母材の曲がりを確認するために、振れ回り量を測定した結果を示すヒストグラムである。
【符号の説明】
1・・・加熱装置、2・・・炉心管、3・・・熱源、4・・・断熱材、5・・・光ファイバ用多孔質母材、6・・・駆動軸、7・・・駆動源、8・・・導入管、9・・・排気管
Claims (3)
- 光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る際、
前記光ファイバ用多孔質母材の外径をd(mm)とし、該光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とし、dとDの関係を0.65<d/D<0.95として、加熱することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。 - ガラス微粒子をコア用ガラス母材の外周部に堆積させて光ファイバ用多孔質母材を得た後、該光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る光ファイバ母材の製造方法において、
前記コア用ガラス母材の屈折率分布を測定して前記光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率を決定し、該外付け倍率から前記光ファイバ用多孔質母材の外径d(mm)を決定し、前記光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とした時に、前記光ファイバ用多孔質母材の外径dが、0.65<d/D<0.95を満たすように、前記コア用ガラス母材の外径を定めることを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。 - ガラス微粒子をコア用ガラス母材の外周部に堆積させて光ファイバ用多孔質母材を得た後、該光ファイバ用多孔質母材を加熱して、光ファイバ母材を得る光ファイバ母材の製造方法において、
前記光ファイバ用多孔質母材の外径をd(mm)とし、前記光ファイバ用多孔質母材を加熱する炉心管の内径をD(mm)とした時に、0.65<d/D<0.95を満たす前記光ファイバ用多孔質母材の外径d(mm)を定めるために、前記コア用ガラス母材の外径に基づいて前記光ファイバ用多孔質母材の外付け倍率を決定し、該外付け倍率を満たすように前記コア用ガラス母材の屈折率分布を定めることを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
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