JP2004032952A - 駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本願発明の目的とするところは、比較的簡単な構成で可動部を駆動させることができ、且つ、高い精度で位置決めを行うことを可能にする駆動装置を提供することである。
【解決手段】固定部に対して移動可能に設置された可動部に取り付けられ運動量を発生することにより可動部を移動させる運動量発生装置と、上記可動部に取り付けられ移動しようとする可動部を停止させるストップ装置とを具備したものであり、運動量発生装置により運動量を発生することにより可動部を移動させるための駆動力を得ると共に、ストップ装置を適宜動作させることによって可動部の移動方向を制御すると共に任意の位置に停止させるものであり、比較的簡単な構成で可動部を駆動させると共に位置決めすることができるようになるものである。
【選択図】 図1
【解決手段】固定部に対して移動可能に設置された可動部に取り付けられ運動量を発生することにより可動部を移動させる運動量発生装置と、上記可動部に取り付けられ移動しようとする可動部を停止させるストップ装置とを具備したものであり、運動量発生装置により運動量を発生することにより可動部を移動させるための駆動力を得ると共に、ストップ装置を適宜動作させることによって可動部の移動方向を制御すると共に任意の位置に停止させるものであり、比較的簡単な構成で可動部を駆動させると共に位置決めすることができるようになるものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は固定部に対して移動可能に配置された可動部を駆動する駆動装置に係り、特に、簡単な構成で可動部を駆動させることができると共に、高い精度で位置決めを行うことができるように工夫したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の精密位置決め装置としては、例えば、ボールネジ・ボールナット方式を採用したものがあり、これはサーボモータによってボールネジを回転駆動することにより、ボールネジに螺合し、且つ、その回転を規制されているボールナットを一軸方向に移動させ、それによって、ボールナットひいてはそこに取り付けられている任意の部材を移動させて位置決めを行うものである。
しかしながら、この種のボールネジ・ボールナット方式による精密位置決め装置の場合は、ボールネジとボールナット相互間の機械的摩擦等があるために、高い精度、例えば、サブミクロンオーダ以下の精度での位置決めは困難であった。
【0003】
そこで、そのようなボールネジ・ボールナット方式に代えて別の駆動方式を採用した精密位置決め装置が提案されている。それは、エアー或いは磁気による非接触浮上ガイドを使用し、且つ、電磁リニアモータにより駆動する方式のものである。
そのようなものとして、例えば、特開平11−185156号公報、特開平8−037772号公報、特開平05−111844号公報に記載されたものがある。
この種の電磁リニアモータ駆動の場合には、機械的な接触がない状態で可動部を駆動することができ、それによって、高い精度で位置決めを行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、電磁リニアモータにより駆動する方式の場合は、電磁コイルと永久磁石とから構成されることになるが、その構造が複雑であるという問題があった。
又、高い精度で位置決めを実現させようとした場合には、磁界分布の均一性を確保する必要があるが、そのような磁界分布の均一性の確保は極めて困難なことであった。
又、可動部を同じ位置に停止したままの状態で維持することが困難であるという問題もあった。
【0005】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、比較的簡単な構成で可動部を駆動させることができ、且つ、高い精度で位置決めを行うことを可能にする駆動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による駆動装置は、固定部に対して移動可能に設置された可動部に取り付けられ運動量を発生することにより可動部を移動させる運動量発生装置と、上記可動部に取り付けられ移動しようとする可動部を停止させるストップ装置と、を具備したことを特徴とするものである。又、請求項2による駆動装置は、請求項1記載の駆動装置において、上記運動量発生装置は、上記可動部に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータに取り付けられた錘とから構成され、上記アクチュエータによって上記錘を移動させることにより運動量を発生させ、それによって、上記可動部を移動させるものであることを特徴とするものである。
又、請求項3による駆動装置は、請求項2記載の駆動装置において、上記アクチュエータは主に圧電素子より構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項4による駆動装置は、請求項2又は請求項3記載の駆動装置において、上記ストップ装置は、上記可動部に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータに取り付けられるストッパ部材とから構成され、上記アクチュエータによって上記ストッパ部材を上記固定部側に押し付けることによりストップ機能を発揮するものであることを特徴とするものである。
又、請求項5による駆動装置は、請求項4記載の駆動装置において、上記アクチュエータは主に圧電素子より構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項6による駆動装置は、請求項4又は請求項5記載の駆動装置において、上記ストッパ部材は粘弾性体であることを特徴とするものである。
又、請求項7による駆動装置は、請求項2〜請求項6の何れかに記載の駆動装置において、上記運動量発生装置のアクチュエータに対称な変位駆動波形の駆動電源を供給することを特徴とするものである。
又、請求項8による駆動装置は、請求項7記載の駆動装置において、上記対称な変位駆動波形は概略正弦波形であることを特徴とするものである。
又、請求項9による駆動装置は、請求項2〜請求項8の何れかに記載の駆動装置において、上記ストップ装置は上記運動量発生装置のアクチュエータ駆動電源に同期をとって作動することを特徴とするものである。
又、請求項10による駆動装置は、請求項9記載の駆動装置において、上記運動量発生装置の速度が概略正又は負の時に上記ストップ装置を作動させることを特徴とするものである。
又、請求項11による駆動装置は、請求項9記載の駆動装置において、上記運動量発生装置が略停止しているときに上記ストップ装置のオン・オフの切換を行うことを特徴とするものである。
又、請求項12による駆動装置は、請求項1〜請求項11の何れかに記載の駆動装置において、上記運動量発生装置の質量が上記可動部全体の質量の1/2以下に設定されていることを特徴とするものである。
又、請求項13による駆動装置は、請求項1〜請求項12の何れかに記載の駆動装置において、上記可動部は上記固定部に対して浮上した状態で移動するものであることを特徴とするものである。
又、請求項14による駆動装置は、請求項13記載の駆動装置において、上記可動部は超音波振動によって上記固定部に対して浮上するものであることを特徴とするものである。
【0007】
すなわち、本願発明による駆動装置は、固定部に対して移動可能に設置された可動部に取り付けられ運動量を発生することにより可動部を移動させる運動量発生装置と、上記可動部に取り付けられ移動しようとする可動部を停止させるストップ装置とを具備したことを特徴とするものであり、運動量発生装置により運動量を発生することにより可動部を移動させるための駆動力を得ると共に、ストップ装置を適宜動作させることによって可動部の移動方向を制御すると共に任意の位置に停止させるものであり、比較的簡単な構成で可動部を駆動させると共に位置決めすることができるようになるものである。
その際、上記運動量発生装置を、例えば、上記可動部に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータに取り付けられた錘とから構成することが考えられ、上記アクチュエータによって上記錘を移動させることにより運動量を発生させ、それによって、上記可動部を駆動するものである。
又、上記アクチュエータとしては様々な構成のものが考えられるが、例えば、主に圧電素子より構成することが考えられる。
尚、圧電素子以外にも、ソレノイド、シリンダ等様々な方式のアクチュエータが考えられる。
又、上記ストップ装置を、例えば、上記可動部に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータに取り付けられたストッパ部材とから構成することが考えられ、上記アクチュエータによって上記ストッパ部材を上記固定部側に押し付けることによりストップ機能を発揮するものである。
又、このストップ装置のアクチュエータについても、例えば、主に圧電素子より構成することが考えられる。又、この場合にも上記運動量発生装置の場合と同様に、圧電素子以外にも、ソレノイド、シリンダ等様々な方式のアクチュエータが考えられる。
又、上記ストッパ部材を、例えば、粘弾性体から構成することが考えられる。
又、上記運動量発生装置のアクチュエータに対称な変位駆動波形の駆動電源を供給することが考えられる。
又、上記対称な変位駆動波形の一例として、例えば、概略正弦波形状が考えられる。
又、上記ストップ装置は上記運動量発生装置のアクチュエータ駆動電源に同期をとって作動するものとして構成することが考えられる。
又、上記運動量発生装置の速度が概略正又は負の時に上記ストップ装置を作動させることが考えられる。
又、上記運動量発生装置が略停止しているときに上記ストップ装置のオン・オフの切換を行うことが考えられる。
又、上記運動量発生装置の質量を上記可動部全体の質量の1/2以下に設定することが考えられる。
又、可動部がどのような状態で固定部に対して移動可能に構成されているかは任意であるが、例えば、可動部が固定部に対して浮上した状態で移動可能に配置されている構成が考えられる。
その際、可動部が超音波浮上によって上記固定部に対して浮上するものであるとすることが考えられる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図4を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1(a)は本実施の形態による駆動装置を使用した浮上装置の構成を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)のb−b断面図である。
まず、固定部1があり、この固定部1は略U字状をなしていてU字溝3を備えている。上記U字溝3の左右両側には左側ガイド部5と右側ガイド部7が鋭利な状態で突出・配置されている。すなわち、上記左側ガイド部5は、上側傾斜面9と下側傾斜面11とを備えた構成になっていて、これら上側傾斜面9と下側傾斜面11によって挟まれた部分が内側に突出・配置されているものである。同様に、上記右側ガイド部7も上側傾斜面13と下側傾斜面15とを備えた構成になっていて、これら上側傾斜面13と下側傾斜面15によって挟まれた部分が内側に突出・配置されているものである。
【0009】
上記U字溝3内には可動部17が、図1(b)中Z軸方向に浮上可能であって、図1(a)中Y軸方向に移動可能な状態で収容・配置されている。上記可動部17は主として可動部本体47と振動装置18と運動量発生装置41とストップ装置61から構成されている。上記振動発生装置18は、振動板19と該振動板19の上下面に設けられた電極部21、23とから構成されている。上記振動板19は圧電材料から構成されている。又、上記振動装置18の作用両側は、既に説明した固定部1側の左側ガイド部5と右側ガイド部7の形状に対応するように凹状に形成されている。すなわち、振動装置18の左側には、上側傾斜面25と下側傾斜面27が設けられている。同様に、振動装置18の右側にも、上側傾斜面29と下側傾斜面31が設けられている。
【0010】
そして、上記構成をなす振動装置18が超音波振動することにより、図1(b)に示すように、可動部17がZ軸方向に浮上した状態になるものである。
【0011】
上記可動部17には、上記したように、運動量発生装置41が設けられている。すなわち、振動装置18の振動板19の上側には一対の柱部材43、45を介して既に述べた可動部本体47が設けられていて、この可動部本体47の下面側に上記運動量発生装置41が設けられている。上記運動量発生装置41は、上記可動部本体47の下面に固定された固定部材51と、この固定部材51に取り付けられたアクチュエータ53と、このアクチュエータ53の先端に取り付けられた錘55とから構成されている。上記アクチュエータ53及び錘55は、アクチュエータ53の伸長・収縮によって他の部材と接触しないように空間が設けられている。
【0012】
上記アクチュエータ53は、圧電素子を積層させた圧電積層型アクチュエータである。この圧電積層型アクチュエータの場合には高分解能であればその積層数は少ない方が望ましい。
尚、この実施の形態では圧電素子を使用したアクチュエータ53を例に挙げているが、伸長・収縮するものであれば必ずしも圧電素子を使用したものに限定されることなく、例えば、ソレノイドを使用するタイプ、シリンダを使用するタイプ等様々な構成のものが考えられる。
【0013】
又、上記錘55であるが、基本的にはその材質を特定するものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の材質が想定される。又、非金属材料であってもよい。
【0014】
又、上記可動部17にはストップ装置61が取り付けられている。上記ストップ装置61は、上記可動部本体47に取り付けられたアクチュエータ63と、このアクチュエータ63の両側に取り付けられたストッパ部材65、67とから構成されている。
【0015】
上記アクチュエータ63は、既に説明した運動量発生装置41のアクチュエータ53の場合と同様に、圧電素子を積層させた圧電積層型アクチュエータである。この場合必ずしも積層タイプである必要はなく単層タイプであってもよい。
尚、この実施の形態では圧電素子を使用したアクチュエータ63を例に挙げているが、伸長・収縮するものであれば必ずしも圧電素子を使用したものに限定されることなく、例えば、ソレノイドを使用するタイプ、シリンダを使用するタイプ等様々な構成のものが考えられる。
【0016】
又、上記ストッパ部材65、67は粘弾性体材料から構成されている。例えば、ポリアセタ−ル樹脂である。この種の粘弾性体材料を使用することによりストップ機能発生時における衝撃を緩和させると共に異音の発生や摩耗粉の発生を抑制するものである。
【0017】
そして、ストップ装置61の動作時(オン)は、アクチュエータ63に対する印加電圧を「0」とする。それによって、アクチュエータ63は本来の伸長状態に戻っていて、その結果、上記ストッパ部材65、67が固定部1のU字溝3の内壁に押し付けられている。つまり、ストッパ機能が発揮されることになる。これに対して、ストップ装置61の非動作時(オフ)には、アクチュエータ63に電圧を印加する。電圧の印加によりアクチュエータ63を収縮させ、それによって、上記ストッパ部材65、67の固定部1のU字溝3の内壁に対する押し付けが解除されることになる。
【0018】
次に、上記運動量発生装置41とストップ装置61による駆動原理を図1〜図3を参照しながら説明する。
尚、図3に示す構成は図1及び図2に示した構成と若干異なっており、あくまで、運動量発生装置41の駆動原理を説明するための図である。
まず、図3に示すように、運動量発生装置41のアクチュエータ53を駆動してこれを伸長させ、それによって、錘55を図3中右方向に移動させる。この錘55の移動によって同方向に(mv)の運動量が発生する。
但し、m:運動量発生装置41の質量
v:運動量発生装置41の速度
【0019】
上記(mv)の運動量発生により、次の式(I)に示す運動量保存の法則により、可動部17には逆方向に(MV)の運動量が発生する。
但し、M:可動部17の質量
V:可動部17の速度
mv+MV=0―――(I)
そして、可動部17は次の式(II)に示す速度(V)にて逆方向に移動することになる。
V=−(m/M)×v―――(II)
【0020】
これに対して、次の動作によって伸長したアクチュエータ53を収縮させて移動した錘55を元の位置に戻すことになるが、この場合には、上記したと同様の駆動原理によって、図3において、左方向に移動した可動部17が右方向に戻ることになってしまう。そこで、ストップ装置61をオンさせることになる。つまり、ストップ装置61のアクチュエータ63への電圧の印加を止めて伸長状態にすることにより両側のストッパ部材65、67を固定部1のU字溝3の内壁に押し付けてストッパ機能を発揮させる。それによって、可動部17が戻ろうとする動作を規制するものである。つまり、運動量発生装置41のアクチュエータ53が収縮するときには可動部17は停止状態となる。そして、このような動作を繰り返すことにより可動部17を所定の方向へ移動させることが可能になるものである。
【0021】
上記駆動原理に関して若干説明を加えると、そもそもストップ装置61なしでは可動部17を駆動させることはできない。すなわち、ストップ装置61がないとすると、運動量発生装置41の収縮・伸長により可動部17は前進と後退を繰り返すことになり、結局、前に進むことはできない。そこで、上記したように、前進又は後退の何れかのときにストップ装置61によって可動部17の動きを止める必要があるものである。
【0022】
以上の構成を基にその作用を説明する。
図1及び図2において、運動量発生装置41のアクチュエータ53を駆動してこれを伸長・収縮させ、それによって、錘55を往復動させる。そして、例えば、可動部17を図1(a)中Y軸方向に沿って上方に移動させたい場合には、アクチュエータ53が伸長して錘55が図1(a)中下方に移動するときに、ストップ装置61をオフにしてストップ機能を停止させ、逆に、アクチュエータ53が収縮して錘55が図1(a)中上方に移動するときに、ストップ装置61をオンにしてストップ機能を発揮させる。このような動作によって可動部17は図1(a)中Y軸方向上方にのみ移動することになる。
【0023】
逆に、可動部17を図1(a)中下方に移動させる場合には、アクチュエータ53が伸長して錘55が図1(a)中下方に移動するときに、ストップ装置61をオンにしてストップ機能を発揮させ、逆に、アクチュエータ53が収縮して錘55が図1(a)中上方に移動するときに、ストップ装置61をオフにしてストップ機能を停止させる。このような動作によって可動部17は図1(a)中Y軸方向下方に移動することになる。
【0024】
上記動作を図4の特性図を参照して整理してみる。図4は横軸に時間をとり、縦軸に、運動量発生装置41における錘55の変位、速度、加速度特性を示すと共に、ストップ装置61のオン・オフのタイミングを示すものである。
仮に、可動部17をY軸方向に沿った一方向に移動させるものとして説明する。まず、図4における最初の領域aであるが、ここでは錘55が一方向に移動し、そのときの速度と加速度は図示の通りである。その際、ストップ装置61がオンしている。したがって、本来であれば錘55の移動方向である一方向の反対側である他方向に可動部17が移動するはずであるが、上記したように、ストップ装置61がオンしているために可動部17は停止することになる。
【0025】
次に、図4における領域bであるが、ここでは錘55が他方向に移動し、そのときの速度と加速度は図示の通りである。その際、ストップ装置61がオフしている。したがって、錘55の移動方向である他方向の反対側である一方向に可動部17が移動することになる。
以下、領域a、領域bの動作が繰り返されることにより、可動部17は一方向に移動していくことになる。
又、可動部17をY軸方向に沿った他方向に移動させたい場合には、ストップ装置61のオン・オフのタイミングを逆にすればよい。
【0026】
又、この第1の実施の形態の場合には、図4に示すように、変位駆動波形が制止時と駆動時で対称になっていて、いわゆる「対称変位駆動波形」となっている。尚、図4に示すものは正弦波形から少しずれてはいるが、上記「対称変位駆動波形」の中でも、特に、概略正弦波或いは正弦波の波形形状が好ましい。
これに対して、制止時と駆動時で変位駆動波形が非対称である「非対称変位駆動波形」と称される変位駆動波形がある。例えば、ストップ装置61をオンさせるストップ領域(領域a)の変位は緩やかな変化(収縮)とし、ストップ装置61をオフにして駆動させるときは(領域b)には急峻な変位変化(伸長)を付与するようなものである。その場合にはそれに伴って速度と加速度も急峻な変化となる。
【0027】
その種の「非対称変位駆動波形」は、加速度の大きさにより駆動力を得るインパクト駆動方式の場合に頻繁に用いられるが、これは変位の急峻な変化に伴う大きな加速度が生じて可動部に衝撃を与えることとなり、又、運動量駆動方式においても急峻な変位は衝撃を生じさせるので、残存振動が残ったりして精密位置決めには適さない。その点、この実施の形態における上記「対称変位駆動波形」の場合には、そのような衝撃の発生もないので、精密な位置決めに適していると共に、滑らかな加速が可能になると共に衝撃力を小さくすることができ、さらに、駆動電源回路の構成が容易でコストも低くなる。
又、この実施の形態の場合には、図4に示すように、速度波形が「0」のとき、すなわち、可動部17が停止しているときにストップ装置61のオン・オフの切換を行うようにしているので、ストップ装置61に可動部移動方向の外力が働かないため、ストップ装置61及び固定部1に与える衝撃は軽減され、ストップ装置61の摩耗や不安定振動が軽減される。
【0028】
ここで、可動部17の位置決め精度における分解能に関して説明する。可動部17の変位量を(Y)とすると共に運動量発生装置41の変位量を(y)とすると次の式(III)が成立する。
Y=∫Vdt―――(III)
ここで既に説明した式(II)を代入すると、次の式(IV)となる。
Y=−(m/M)∫vdt
=−(m/M)y―――(IV)
すなわち、可動部17の変位量(Y)は運動量発生装置41の変位量(y)の(m/M)となっている。これは分解能が運動量発生装置41の(M/m)倍であることを意味する。
例えば、m/M=1/100であれば、運動量発生装置41の駆動分解能が10nm(nanoメートル、10−9m)のときに、可動部17の分解能は0.1nmとなる。つまり、100倍の分解能を持つ高い精度の位置決めが可能になったものである。
そして、このような高い分解能を得るためには、次の式(V)に示す条件を満足することが望ましい。
m/M<1―――(V)
すなわち、次の式(VI)に示すようなものとなり、結局、運動量発生装置41の質量mが、可動部17全体の質量(m+M)の1/2以下に設定したときに高い分解能を得ることができるものである。
m/(m+M)<1/2―――(VI)
【0029】
以上、本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、可動部17を駆動させるための構成が比較的簡単であり、よって、装置が大型化するようなこともない。つまり、従来の電磁リニアモータにより駆動する方式の場合は、前述したように、電磁コイルと永久磁石とからなる構成が複雑であるという問題があったが、この実施の形態の場合にはそのような複雑な構成になることはない。
又、従来の電磁リニアモータにより駆動する方式の場合には、高い精度で位置決めを実現させようとした場合には、磁界分布の均一性を確保する必要があり、それが極めて困難なことであったわけであるが、この実施の形態の場合にはそのような困難な作業を強いられることはなく、運動量発生装置41の質量(m)と可動部17全体の質量(m+M)の関係を所定の値に設定することにより、高い精度で位置決めすることが可能になる。
又、ストップ装置61によって可動部17を位置決めしてそこに停止したままにしておくことができる。
又、このストップ装置61の場合には、粘弾性体からなるストッパ部材65、67を設けているので、ストップ機能をオンにした場合における衝撃の吸収を図ることができると共に、異音の発生や摩耗粉の発生を抑制することができる。
又、この実施の形態の場合には、ストップ装置61がオフになっているときにも、ストッパ部材65、67が僅かに固定部1のU字溝3の内壁に接触している状態にセットしているので、それによって、可動部1の移動時の不必要な振動等を防止することができる。
尚、ストップ装置61の効き具合は、外乱に応じて、ストップ装置61のオフの状態を完全非接触から半ストップ装置61のオン状態まで、機械設定又は電気制御により調整できる。例えば、外乱が大きくて可動部17を移動させる外力が外乱としてある環境では、ストップ装置61のオフ時でも圧電素子印加電圧を半減させ、半分ストップ装置61のオン状態で作動させることもできる。
又、この実施の形態の場合には、駆動電源が制止時と駆動時で対称な「対称変位駆動波形」であるので、精密な位置決めに適していると共に、滑らかな加速が可能になると共に衝撃力を小さくすることができる。又、「対称変位駆動波形」の駆動電源の作成は比較的容易であるために、駆動電源を発生・供給する駆動電源回路も単純な構成となり、それによって、コストも低減される。
尚、このような効果は、「対称変位駆動波形」の中でも、特に、概略正弦波形状或いは正弦波形状の駆動波形を採用することによりさらに高くなる。
又、この実施の形態の場合には、図4に示すように、速度波形が「0」のとき、すなわち、可動部17が停止しているときにストップ装置61のオン・オフの切換を行うようにしているので、それによっても、ストップ装置61及び固定部1に与える衝撃を軽減させて、ストップ装置61の摩耗や不安定振動が軽減されるという効果を得ることができる。
【0030】
次に、図5を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。
前記第1の実施の形態の場合には、変位駆動波形が制止時と駆動時で対称になっていて、いわゆる「対称変位駆動波形」となっていたが、それに限定されるものではない。この点に関しては、前記第1の実施の形態の説明においても一部説明しているが、ここではそのような例を第2の実施の形態として説明する。
【0031】
図5は図4と同じ形式の図であるが、ストップ装置61をオンさせるストップ領域(領域a)の変位は緩やかな変化(収縮)であるが、ストップ装置61をオフにして駆動させるときは(領域b)には急峻な変位変化(伸長)を付与するようにしている。それに伴って速度と加速度も急峻な変化となっている。
【0032】
この図5に示す変位駆動波形は制止時と駆動時で変位駆動波形が非対称であるのでこれを「非対称変位駆動波形」と称し、既に説明した前記第1の実施の形態の場合のような「対称変位駆動波形」と区別される。この種の「非対称変位駆動波形」は加速度の大きさにより駆動力を得るインパクト駆動方式の場合に頻繁に用いられるが、これは変位の急峻な変化に伴う大きな加速度が生じて可動部に衝撃を与える。又、運動量駆動方式においても急峻な変位は衝撃を生じさせるので、残存振動が残ったりして精密位置決めには適さない。
このように、「非対称変位駆動波形」の場合は前記第1の実施の形態の場合のような「対称変位駆動波形」に比べて不利な点はあるが本発明の一実施の形態ではある。
尚、位置決めの精度に関しては、上記したように、前記第1の実施の形態の場合には劣るが、反面、可動部17の動作はより俊敏なものとなる。したがって、位置決めの精度よりも迅速な動作を必要とするような場合に適しているといえる。
【0033】
尚、本発明は前記第1、第2の実施の形態に限定されるものではない。
まず、前記第1、第2の実施の形態の場合には、可動部17をY軸方向に移動させる一軸タイプの浮上装置を説明したが、このようなものを組み合わせて、X・Y二軸に移動可能な浮上装置の場合にも同様に適用可能である。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、運動量発生装置が1個の場合を例に挙げて説明したが、これを複数個としたり、或いは、異なる方向に配置するようなことも考えられる。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、超音波浮上の場合を例に挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、浮上のメカニズムを特定するものではない。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、運動量発生装置とストップ装置におけるアクチュエータを圧電素子を積層させたものを使用したが、必ずしも積層タイプに限定されるものではなく、単層タイプでもよい。
又、圧電素子を使用したものに限定されるものではなく、要は、伸長・収縮可能なものであればよい。例えば、ソレノイドタイプ、シリンダタイプ等が想定される。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、ストップ装置に粘弾性体からなるストッパ部材を設けたが、それについても任意であって、例えば、アクチュエータのみから構成するようなことも想定される。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、ストップ装置は1個のアクチュエータと2個のストッパ部材から構成したが、これについても、ストップ機能を発揮できればその構成は任意である。例えば、2個のアクチュエータと2個のストッパ部材での構成も可能であり、さらに、1個のアクチュエータと1個のストッパ部材での構成による片側だけの押付ストップ装置も考えられる。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明による浮上装置によると、まず、可動部を駆動させるための構成が比較的簡単であり、よって、装置が大型化するようなこともない。つまり、従来の電磁リニアモータにより駆動する方式の場合は、前述したように、電磁コイルと永久磁石とからなる構成が複雑であるという問題があったが、この実施の形態の場合にはそのような複雑な構成になることはない。
又、従来の電磁リニアモータにより駆動する方式の場合には、高い精度で位置決めを実現させようとした場合には、磁界分布の均一性を確保する必要があり、それが極めて困難なことであったわけであるが、この実施の形態の場合にはそのような困難な作業を強いられることはなく、運動量発生装置の質量と可動部全体の質量の関係を所定の値に設定することにより、高い精度で位置決めすることが可能になる。
又、ストップ装置が設けられているので、可動部を位置決めしてそこに停止させておくことができる。
又、このストップ装置において、粘弾性体からなるストッパ部材を設けた場合には、ストップ機能をオンにした場合における衝撃の吸収を図ることができると共に、異音の発生や摩耗粉の発生を抑制することができる。
又、駆動電源を対称な変位駆動波形の駆動電源とした場合には、衝撃力が小さくなり、それによっても位置決めの精度を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1(a)は駆動装置の構成を示す平面図、図1(b)は図1(a)のb−b断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図2(a)は可動部の構成を示す側面図、図2(b)は図2(a)のb−b断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、運動量発生装置の駆動原理を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、運動量発生装置とストップ装置の特性を示す特性図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す図で、運動量発生装置とストップ装置の特性を示す特性図である。
【符号の説明】
1 固定部
17 可動部
41 運動量発生装置
51 固定部材
53 アクチュエータ
55 錘
61 ストップ装置
63 アクチュエータ
65 ストッパ部材
67 ストッパ部材
【発明が属する技術分野】
本発明は固定部に対して移動可能に配置された可動部を駆動する駆動装置に係り、特に、簡単な構成で可動部を駆動させることができると共に、高い精度で位置決めを行うことができるように工夫したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の精密位置決め装置としては、例えば、ボールネジ・ボールナット方式を採用したものがあり、これはサーボモータによってボールネジを回転駆動することにより、ボールネジに螺合し、且つ、その回転を規制されているボールナットを一軸方向に移動させ、それによって、ボールナットひいてはそこに取り付けられている任意の部材を移動させて位置決めを行うものである。
しかしながら、この種のボールネジ・ボールナット方式による精密位置決め装置の場合は、ボールネジとボールナット相互間の機械的摩擦等があるために、高い精度、例えば、サブミクロンオーダ以下の精度での位置決めは困難であった。
【0003】
そこで、そのようなボールネジ・ボールナット方式に代えて別の駆動方式を採用した精密位置決め装置が提案されている。それは、エアー或いは磁気による非接触浮上ガイドを使用し、且つ、電磁リニアモータにより駆動する方式のものである。
そのようなものとして、例えば、特開平11−185156号公報、特開平8−037772号公報、特開平05−111844号公報に記載されたものがある。
この種の電磁リニアモータ駆動の場合には、機械的な接触がない状態で可動部を駆動することができ、それによって、高い精度で位置決めを行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、電磁リニアモータにより駆動する方式の場合は、電磁コイルと永久磁石とから構成されることになるが、その構造が複雑であるという問題があった。
又、高い精度で位置決めを実現させようとした場合には、磁界分布の均一性を確保する必要があるが、そのような磁界分布の均一性の確保は極めて困難なことであった。
又、可動部を同じ位置に停止したままの状態で維持することが困難であるという問題もあった。
【0005】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、比較的簡単な構成で可動部を駆動させることができ、且つ、高い精度で位置決めを行うことを可能にする駆動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による駆動装置は、固定部に対して移動可能に設置された可動部に取り付けられ運動量を発生することにより可動部を移動させる運動量発生装置と、上記可動部に取り付けられ移動しようとする可動部を停止させるストップ装置と、を具備したことを特徴とするものである。又、請求項2による駆動装置は、請求項1記載の駆動装置において、上記運動量発生装置は、上記可動部に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータに取り付けられた錘とから構成され、上記アクチュエータによって上記錘を移動させることにより運動量を発生させ、それによって、上記可動部を移動させるものであることを特徴とするものである。
又、請求項3による駆動装置は、請求項2記載の駆動装置において、上記アクチュエータは主に圧電素子より構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項4による駆動装置は、請求項2又は請求項3記載の駆動装置において、上記ストップ装置は、上記可動部に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータに取り付けられるストッパ部材とから構成され、上記アクチュエータによって上記ストッパ部材を上記固定部側に押し付けることによりストップ機能を発揮するものであることを特徴とするものである。
又、請求項5による駆動装置は、請求項4記載の駆動装置において、上記アクチュエータは主に圧電素子より構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項6による駆動装置は、請求項4又は請求項5記載の駆動装置において、上記ストッパ部材は粘弾性体であることを特徴とするものである。
又、請求項7による駆動装置は、請求項2〜請求項6の何れかに記載の駆動装置において、上記運動量発生装置のアクチュエータに対称な変位駆動波形の駆動電源を供給することを特徴とするものである。
又、請求項8による駆動装置は、請求項7記載の駆動装置において、上記対称な変位駆動波形は概略正弦波形であることを特徴とするものである。
又、請求項9による駆動装置は、請求項2〜請求項8の何れかに記載の駆動装置において、上記ストップ装置は上記運動量発生装置のアクチュエータ駆動電源に同期をとって作動することを特徴とするものである。
又、請求項10による駆動装置は、請求項9記載の駆動装置において、上記運動量発生装置の速度が概略正又は負の時に上記ストップ装置を作動させることを特徴とするものである。
又、請求項11による駆動装置は、請求項9記載の駆動装置において、上記運動量発生装置が略停止しているときに上記ストップ装置のオン・オフの切換を行うことを特徴とするものである。
又、請求項12による駆動装置は、請求項1〜請求項11の何れかに記載の駆動装置において、上記運動量発生装置の質量が上記可動部全体の質量の1/2以下に設定されていることを特徴とするものである。
又、請求項13による駆動装置は、請求項1〜請求項12の何れかに記載の駆動装置において、上記可動部は上記固定部に対して浮上した状態で移動するものであることを特徴とするものである。
又、請求項14による駆動装置は、請求項13記載の駆動装置において、上記可動部は超音波振動によって上記固定部に対して浮上するものであることを特徴とするものである。
【0007】
すなわち、本願発明による駆動装置は、固定部に対して移動可能に設置された可動部に取り付けられ運動量を発生することにより可動部を移動させる運動量発生装置と、上記可動部に取り付けられ移動しようとする可動部を停止させるストップ装置とを具備したことを特徴とするものであり、運動量発生装置により運動量を発生することにより可動部を移動させるための駆動力を得ると共に、ストップ装置を適宜動作させることによって可動部の移動方向を制御すると共に任意の位置に停止させるものであり、比較的簡単な構成で可動部を駆動させると共に位置決めすることができるようになるものである。
その際、上記運動量発生装置を、例えば、上記可動部に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータに取り付けられた錘とから構成することが考えられ、上記アクチュエータによって上記錘を移動させることにより運動量を発生させ、それによって、上記可動部を駆動するものである。
又、上記アクチュエータとしては様々な構成のものが考えられるが、例えば、主に圧電素子より構成することが考えられる。
尚、圧電素子以外にも、ソレノイド、シリンダ等様々な方式のアクチュエータが考えられる。
又、上記ストップ装置を、例えば、上記可動部に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータに取り付けられたストッパ部材とから構成することが考えられ、上記アクチュエータによって上記ストッパ部材を上記固定部側に押し付けることによりストップ機能を発揮するものである。
又、このストップ装置のアクチュエータについても、例えば、主に圧電素子より構成することが考えられる。又、この場合にも上記運動量発生装置の場合と同様に、圧電素子以外にも、ソレノイド、シリンダ等様々な方式のアクチュエータが考えられる。
又、上記ストッパ部材を、例えば、粘弾性体から構成することが考えられる。
又、上記運動量発生装置のアクチュエータに対称な変位駆動波形の駆動電源を供給することが考えられる。
又、上記対称な変位駆動波形の一例として、例えば、概略正弦波形状が考えられる。
又、上記ストップ装置は上記運動量発生装置のアクチュエータ駆動電源に同期をとって作動するものとして構成することが考えられる。
又、上記運動量発生装置の速度が概略正又は負の時に上記ストップ装置を作動させることが考えられる。
又、上記運動量発生装置が略停止しているときに上記ストップ装置のオン・オフの切換を行うことが考えられる。
又、上記運動量発生装置の質量を上記可動部全体の質量の1/2以下に設定することが考えられる。
又、可動部がどのような状態で固定部に対して移動可能に構成されているかは任意であるが、例えば、可動部が固定部に対して浮上した状態で移動可能に配置されている構成が考えられる。
その際、可動部が超音波浮上によって上記固定部に対して浮上するものであるとすることが考えられる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図4を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1(a)は本実施の形態による駆動装置を使用した浮上装置の構成を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)のb−b断面図である。
まず、固定部1があり、この固定部1は略U字状をなしていてU字溝3を備えている。上記U字溝3の左右両側には左側ガイド部5と右側ガイド部7が鋭利な状態で突出・配置されている。すなわち、上記左側ガイド部5は、上側傾斜面9と下側傾斜面11とを備えた構成になっていて、これら上側傾斜面9と下側傾斜面11によって挟まれた部分が内側に突出・配置されているものである。同様に、上記右側ガイド部7も上側傾斜面13と下側傾斜面15とを備えた構成になっていて、これら上側傾斜面13と下側傾斜面15によって挟まれた部分が内側に突出・配置されているものである。
【0009】
上記U字溝3内には可動部17が、図1(b)中Z軸方向に浮上可能であって、図1(a)中Y軸方向に移動可能な状態で収容・配置されている。上記可動部17は主として可動部本体47と振動装置18と運動量発生装置41とストップ装置61から構成されている。上記振動発生装置18は、振動板19と該振動板19の上下面に設けられた電極部21、23とから構成されている。上記振動板19は圧電材料から構成されている。又、上記振動装置18の作用両側は、既に説明した固定部1側の左側ガイド部5と右側ガイド部7の形状に対応するように凹状に形成されている。すなわち、振動装置18の左側には、上側傾斜面25と下側傾斜面27が設けられている。同様に、振動装置18の右側にも、上側傾斜面29と下側傾斜面31が設けられている。
【0010】
そして、上記構成をなす振動装置18が超音波振動することにより、図1(b)に示すように、可動部17がZ軸方向に浮上した状態になるものである。
【0011】
上記可動部17には、上記したように、運動量発生装置41が設けられている。すなわち、振動装置18の振動板19の上側には一対の柱部材43、45を介して既に述べた可動部本体47が設けられていて、この可動部本体47の下面側に上記運動量発生装置41が設けられている。上記運動量発生装置41は、上記可動部本体47の下面に固定された固定部材51と、この固定部材51に取り付けられたアクチュエータ53と、このアクチュエータ53の先端に取り付けられた錘55とから構成されている。上記アクチュエータ53及び錘55は、アクチュエータ53の伸長・収縮によって他の部材と接触しないように空間が設けられている。
【0012】
上記アクチュエータ53は、圧電素子を積層させた圧電積層型アクチュエータである。この圧電積層型アクチュエータの場合には高分解能であればその積層数は少ない方が望ましい。
尚、この実施の形態では圧電素子を使用したアクチュエータ53を例に挙げているが、伸長・収縮するものであれば必ずしも圧電素子を使用したものに限定されることなく、例えば、ソレノイドを使用するタイプ、シリンダを使用するタイプ等様々な構成のものが考えられる。
【0013】
又、上記錘55であるが、基本的にはその材質を特定するものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の材質が想定される。又、非金属材料であってもよい。
【0014】
又、上記可動部17にはストップ装置61が取り付けられている。上記ストップ装置61は、上記可動部本体47に取り付けられたアクチュエータ63と、このアクチュエータ63の両側に取り付けられたストッパ部材65、67とから構成されている。
【0015】
上記アクチュエータ63は、既に説明した運動量発生装置41のアクチュエータ53の場合と同様に、圧電素子を積層させた圧電積層型アクチュエータである。この場合必ずしも積層タイプである必要はなく単層タイプであってもよい。
尚、この実施の形態では圧電素子を使用したアクチュエータ63を例に挙げているが、伸長・収縮するものであれば必ずしも圧電素子を使用したものに限定されることなく、例えば、ソレノイドを使用するタイプ、シリンダを使用するタイプ等様々な構成のものが考えられる。
【0016】
又、上記ストッパ部材65、67は粘弾性体材料から構成されている。例えば、ポリアセタ−ル樹脂である。この種の粘弾性体材料を使用することによりストップ機能発生時における衝撃を緩和させると共に異音の発生や摩耗粉の発生を抑制するものである。
【0017】
そして、ストップ装置61の動作時(オン)は、アクチュエータ63に対する印加電圧を「0」とする。それによって、アクチュエータ63は本来の伸長状態に戻っていて、その結果、上記ストッパ部材65、67が固定部1のU字溝3の内壁に押し付けられている。つまり、ストッパ機能が発揮されることになる。これに対して、ストップ装置61の非動作時(オフ)には、アクチュエータ63に電圧を印加する。電圧の印加によりアクチュエータ63を収縮させ、それによって、上記ストッパ部材65、67の固定部1のU字溝3の内壁に対する押し付けが解除されることになる。
【0018】
次に、上記運動量発生装置41とストップ装置61による駆動原理を図1〜図3を参照しながら説明する。
尚、図3に示す構成は図1及び図2に示した構成と若干異なっており、あくまで、運動量発生装置41の駆動原理を説明するための図である。
まず、図3に示すように、運動量発生装置41のアクチュエータ53を駆動してこれを伸長させ、それによって、錘55を図3中右方向に移動させる。この錘55の移動によって同方向に(mv)の運動量が発生する。
但し、m:運動量発生装置41の質量
v:運動量発生装置41の速度
【0019】
上記(mv)の運動量発生により、次の式(I)に示す運動量保存の法則により、可動部17には逆方向に(MV)の運動量が発生する。
但し、M:可動部17の質量
V:可動部17の速度
mv+MV=0―――(I)
そして、可動部17は次の式(II)に示す速度(V)にて逆方向に移動することになる。
V=−(m/M)×v―――(II)
【0020】
これに対して、次の動作によって伸長したアクチュエータ53を収縮させて移動した錘55を元の位置に戻すことになるが、この場合には、上記したと同様の駆動原理によって、図3において、左方向に移動した可動部17が右方向に戻ることになってしまう。そこで、ストップ装置61をオンさせることになる。つまり、ストップ装置61のアクチュエータ63への電圧の印加を止めて伸長状態にすることにより両側のストッパ部材65、67を固定部1のU字溝3の内壁に押し付けてストッパ機能を発揮させる。それによって、可動部17が戻ろうとする動作を規制するものである。つまり、運動量発生装置41のアクチュエータ53が収縮するときには可動部17は停止状態となる。そして、このような動作を繰り返すことにより可動部17を所定の方向へ移動させることが可能になるものである。
【0021】
上記駆動原理に関して若干説明を加えると、そもそもストップ装置61なしでは可動部17を駆動させることはできない。すなわち、ストップ装置61がないとすると、運動量発生装置41の収縮・伸長により可動部17は前進と後退を繰り返すことになり、結局、前に進むことはできない。そこで、上記したように、前進又は後退の何れかのときにストップ装置61によって可動部17の動きを止める必要があるものである。
【0022】
以上の構成を基にその作用を説明する。
図1及び図2において、運動量発生装置41のアクチュエータ53を駆動してこれを伸長・収縮させ、それによって、錘55を往復動させる。そして、例えば、可動部17を図1(a)中Y軸方向に沿って上方に移動させたい場合には、アクチュエータ53が伸長して錘55が図1(a)中下方に移動するときに、ストップ装置61をオフにしてストップ機能を停止させ、逆に、アクチュエータ53が収縮して錘55が図1(a)中上方に移動するときに、ストップ装置61をオンにしてストップ機能を発揮させる。このような動作によって可動部17は図1(a)中Y軸方向上方にのみ移動することになる。
【0023】
逆に、可動部17を図1(a)中下方に移動させる場合には、アクチュエータ53が伸長して錘55が図1(a)中下方に移動するときに、ストップ装置61をオンにしてストップ機能を発揮させ、逆に、アクチュエータ53が収縮して錘55が図1(a)中上方に移動するときに、ストップ装置61をオフにしてストップ機能を停止させる。このような動作によって可動部17は図1(a)中Y軸方向下方に移動することになる。
【0024】
上記動作を図4の特性図を参照して整理してみる。図4は横軸に時間をとり、縦軸に、運動量発生装置41における錘55の変位、速度、加速度特性を示すと共に、ストップ装置61のオン・オフのタイミングを示すものである。
仮に、可動部17をY軸方向に沿った一方向に移動させるものとして説明する。まず、図4における最初の領域aであるが、ここでは錘55が一方向に移動し、そのときの速度と加速度は図示の通りである。その際、ストップ装置61がオンしている。したがって、本来であれば錘55の移動方向である一方向の反対側である他方向に可動部17が移動するはずであるが、上記したように、ストップ装置61がオンしているために可動部17は停止することになる。
【0025】
次に、図4における領域bであるが、ここでは錘55が他方向に移動し、そのときの速度と加速度は図示の通りである。その際、ストップ装置61がオフしている。したがって、錘55の移動方向である他方向の反対側である一方向に可動部17が移動することになる。
以下、領域a、領域bの動作が繰り返されることにより、可動部17は一方向に移動していくことになる。
又、可動部17をY軸方向に沿った他方向に移動させたい場合には、ストップ装置61のオン・オフのタイミングを逆にすればよい。
【0026】
又、この第1の実施の形態の場合には、図4に示すように、変位駆動波形が制止時と駆動時で対称になっていて、いわゆる「対称変位駆動波形」となっている。尚、図4に示すものは正弦波形から少しずれてはいるが、上記「対称変位駆動波形」の中でも、特に、概略正弦波或いは正弦波の波形形状が好ましい。
これに対して、制止時と駆動時で変位駆動波形が非対称である「非対称変位駆動波形」と称される変位駆動波形がある。例えば、ストップ装置61をオンさせるストップ領域(領域a)の変位は緩やかな変化(収縮)とし、ストップ装置61をオフにして駆動させるときは(領域b)には急峻な変位変化(伸長)を付与するようなものである。その場合にはそれに伴って速度と加速度も急峻な変化となる。
【0027】
その種の「非対称変位駆動波形」は、加速度の大きさにより駆動力を得るインパクト駆動方式の場合に頻繁に用いられるが、これは変位の急峻な変化に伴う大きな加速度が生じて可動部に衝撃を与えることとなり、又、運動量駆動方式においても急峻な変位は衝撃を生じさせるので、残存振動が残ったりして精密位置決めには適さない。その点、この実施の形態における上記「対称変位駆動波形」の場合には、そのような衝撃の発生もないので、精密な位置決めに適していると共に、滑らかな加速が可能になると共に衝撃力を小さくすることができ、さらに、駆動電源回路の構成が容易でコストも低くなる。
又、この実施の形態の場合には、図4に示すように、速度波形が「0」のとき、すなわち、可動部17が停止しているときにストップ装置61のオン・オフの切換を行うようにしているので、ストップ装置61に可動部移動方向の外力が働かないため、ストップ装置61及び固定部1に与える衝撃は軽減され、ストップ装置61の摩耗や不安定振動が軽減される。
【0028】
ここで、可動部17の位置決め精度における分解能に関して説明する。可動部17の変位量を(Y)とすると共に運動量発生装置41の変位量を(y)とすると次の式(III)が成立する。
Y=∫Vdt―――(III)
ここで既に説明した式(II)を代入すると、次の式(IV)となる。
Y=−(m/M)∫vdt
=−(m/M)y―――(IV)
すなわち、可動部17の変位量(Y)は運動量発生装置41の変位量(y)の(m/M)となっている。これは分解能が運動量発生装置41の(M/m)倍であることを意味する。
例えば、m/M=1/100であれば、運動量発生装置41の駆動分解能が10nm(nanoメートル、10−9m)のときに、可動部17の分解能は0.1nmとなる。つまり、100倍の分解能を持つ高い精度の位置決めが可能になったものである。
そして、このような高い分解能を得るためには、次の式(V)に示す条件を満足することが望ましい。
m/M<1―――(V)
すなわち、次の式(VI)に示すようなものとなり、結局、運動量発生装置41の質量mが、可動部17全体の質量(m+M)の1/2以下に設定したときに高い分解能を得ることができるものである。
m/(m+M)<1/2―――(VI)
【0029】
以上、本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、可動部17を駆動させるための構成が比較的簡単であり、よって、装置が大型化するようなこともない。つまり、従来の電磁リニアモータにより駆動する方式の場合は、前述したように、電磁コイルと永久磁石とからなる構成が複雑であるという問題があったが、この実施の形態の場合にはそのような複雑な構成になることはない。
又、従来の電磁リニアモータにより駆動する方式の場合には、高い精度で位置決めを実現させようとした場合には、磁界分布の均一性を確保する必要があり、それが極めて困難なことであったわけであるが、この実施の形態の場合にはそのような困難な作業を強いられることはなく、運動量発生装置41の質量(m)と可動部17全体の質量(m+M)の関係を所定の値に設定することにより、高い精度で位置決めすることが可能になる。
又、ストップ装置61によって可動部17を位置決めしてそこに停止したままにしておくことができる。
又、このストップ装置61の場合には、粘弾性体からなるストッパ部材65、67を設けているので、ストップ機能をオンにした場合における衝撃の吸収を図ることができると共に、異音の発生や摩耗粉の発生を抑制することができる。
又、この実施の形態の場合には、ストップ装置61がオフになっているときにも、ストッパ部材65、67が僅かに固定部1のU字溝3の内壁に接触している状態にセットしているので、それによって、可動部1の移動時の不必要な振動等を防止することができる。
尚、ストップ装置61の効き具合は、外乱に応じて、ストップ装置61のオフの状態を完全非接触から半ストップ装置61のオン状態まで、機械設定又は電気制御により調整できる。例えば、外乱が大きくて可動部17を移動させる外力が外乱としてある環境では、ストップ装置61のオフ時でも圧電素子印加電圧を半減させ、半分ストップ装置61のオン状態で作動させることもできる。
又、この実施の形態の場合には、駆動電源が制止時と駆動時で対称な「対称変位駆動波形」であるので、精密な位置決めに適していると共に、滑らかな加速が可能になると共に衝撃力を小さくすることができる。又、「対称変位駆動波形」の駆動電源の作成は比較的容易であるために、駆動電源を発生・供給する駆動電源回路も単純な構成となり、それによって、コストも低減される。
尚、このような効果は、「対称変位駆動波形」の中でも、特に、概略正弦波形状或いは正弦波形状の駆動波形を採用することによりさらに高くなる。
又、この実施の形態の場合には、図4に示すように、速度波形が「0」のとき、すなわち、可動部17が停止しているときにストップ装置61のオン・オフの切換を行うようにしているので、それによっても、ストップ装置61及び固定部1に与える衝撃を軽減させて、ストップ装置61の摩耗や不安定振動が軽減されるという効果を得ることができる。
【0030】
次に、図5を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。
前記第1の実施の形態の場合には、変位駆動波形が制止時と駆動時で対称になっていて、いわゆる「対称変位駆動波形」となっていたが、それに限定されるものではない。この点に関しては、前記第1の実施の形態の説明においても一部説明しているが、ここではそのような例を第2の実施の形態として説明する。
【0031】
図5は図4と同じ形式の図であるが、ストップ装置61をオンさせるストップ領域(領域a)の変位は緩やかな変化(収縮)であるが、ストップ装置61をオフにして駆動させるときは(領域b)には急峻な変位変化(伸長)を付与するようにしている。それに伴って速度と加速度も急峻な変化となっている。
【0032】
この図5に示す変位駆動波形は制止時と駆動時で変位駆動波形が非対称であるのでこれを「非対称変位駆動波形」と称し、既に説明した前記第1の実施の形態の場合のような「対称変位駆動波形」と区別される。この種の「非対称変位駆動波形」は加速度の大きさにより駆動力を得るインパクト駆動方式の場合に頻繁に用いられるが、これは変位の急峻な変化に伴う大きな加速度が生じて可動部に衝撃を与える。又、運動量駆動方式においても急峻な変位は衝撃を生じさせるので、残存振動が残ったりして精密位置決めには適さない。
このように、「非対称変位駆動波形」の場合は前記第1の実施の形態の場合のような「対称変位駆動波形」に比べて不利な点はあるが本発明の一実施の形態ではある。
尚、位置決めの精度に関しては、上記したように、前記第1の実施の形態の場合には劣るが、反面、可動部17の動作はより俊敏なものとなる。したがって、位置決めの精度よりも迅速な動作を必要とするような場合に適しているといえる。
【0033】
尚、本発明は前記第1、第2の実施の形態に限定されるものではない。
まず、前記第1、第2の実施の形態の場合には、可動部17をY軸方向に移動させる一軸タイプの浮上装置を説明したが、このようなものを組み合わせて、X・Y二軸に移動可能な浮上装置の場合にも同様に適用可能である。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、運動量発生装置が1個の場合を例に挙げて説明したが、これを複数個としたり、或いは、異なる方向に配置するようなことも考えられる。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、超音波浮上の場合を例に挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、浮上のメカニズムを特定するものではない。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、運動量発生装置とストップ装置におけるアクチュエータを圧電素子を積層させたものを使用したが、必ずしも積層タイプに限定されるものではなく、単層タイプでもよい。
又、圧電素子を使用したものに限定されるものではなく、要は、伸長・収縮可能なものであればよい。例えば、ソレノイドタイプ、シリンダタイプ等が想定される。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、ストップ装置に粘弾性体からなるストッパ部材を設けたが、それについても任意であって、例えば、アクチュエータのみから構成するようなことも想定される。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、ストップ装置は1個のアクチュエータと2個のストッパ部材から構成したが、これについても、ストップ機能を発揮できればその構成は任意である。例えば、2個のアクチュエータと2個のストッパ部材での構成も可能であり、さらに、1個のアクチュエータと1個のストッパ部材での構成による片側だけの押付ストップ装置も考えられる。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明による浮上装置によると、まず、可動部を駆動させるための構成が比較的簡単であり、よって、装置が大型化するようなこともない。つまり、従来の電磁リニアモータにより駆動する方式の場合は、前述したように、電磁コイルと永久磁石とからなる構成が複雑であるという問題があったが、この実施の形態の場合にはそのような複雑な構成になることはない。
又、従来の電磁リニアモータにより駆動する方式の場合には、高い精度で位置決めを実現させようとした場合には、磁界分布の均一性を確保する必要があり、それが極めて困難なことであったわけであるが、この実施の形態の場合にはそのような困難な作業を強いられることはなく、運動量発生装置の質量と可動部全体の質量の関係を所定の値に設定することにより、高い精度で位置決めすることが可能になる。
又、ストップ装置が設けられているので、可動部を位置決めしてそこに停止させておくことができる。
又、このストップ装置において、粘弾性体からなるストッパ部材を設けた場合には、ストップ機能をオンにした場合における衝撃の吸収を図ることができると共に、異音の発生や摩耗粉の発生を抑制することができる。
又、駆動電源を対称な変位駆動波形の駆動電源とした場合には、衝撃力が小さくなり、それによっても位置決めの精度を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1(a)は駆動装置の構成を示す平面図、図1(b)は図1(a)のb−b断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図2(a)は可動部の構成を示す側面図、図2(b)は図2(a)のb−b断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、運動量発生装置の駆動原理を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、運動量発生装置とストップ装置の特性を示す特性図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す図で、運動量発生装置とストップ装置の特性を示す特性図である。
【符号の説明】
1 固定部
17 可動部
41 運動量発生装置
51 固定部材
53 アクチュエータ
55 錘
61 ストップ装置
63 アクチュエータ
65 ストッパ部材
67 ストッパ部材
Claims (14)
- 固定部に対して移動可能に設置された可動部に取り付けられ運動量を発生することにより可動部を移動させる運動量発生装置と、
上記可動部に取り付けられ移動しようとする可動部を停止させるストップ装置と、
を具備したことを特徴とする駆動装置。 - 請求項1記載の駆動装置において、
上記運動量発生装置は、上記可動部に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータに取り付けられた錘とから構成され、
上記アクチュエータによって上記錘を移動させることにより運動量を発生させ、それによって、上記可動部を移動させるものであることを特徴とする駆動装置。 - 請求項2記載の駆動装置において、
上記アクチュエータは主に圧電素子より構成されていることを特徴とする駆動装置。 - 請求項2又は請求項3記載の駆動装置において、
上記ストップ装置は、上記可動部に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータに取り付けられるストッパ部材とから構成され、
上記アクチュエータによって上記ストッパ部材を上記固定部側に押し付けることによりストップ機能を発揮するものであることを特徴とする駆動装置。 - 請求項4記載の駆動装置において、
上記アクチュエータは主に圧電素子より構成されていることを特徴とする駆動装置。 - 請求項4又は請求項5記載の駆動装置において、
上記ストッパ部材は粘弾性体であることを特徴とする駆動装置。 - 請求項2〜請求項6の何れかに記載の駆動装置において、
上記運動量発生装置のアクチュエータに対称な変位駆動波形の駆動電源を供給することを特徴とする駆動装置。 - 請求項7記載の駆動装置において、
上記対称な変位駆動波形は概略正弦波形であることを特徴とする駆動装置。 - 請求項2〜請求項8の何れかに記載の駆動装置において、
上記ストップ装置は上記運動量発生装置のアクチュエータ駆動電源に同期をとって作動することを特徴とする駆動装置。 - 請求項9記載の駆動装置において、
上記運動量発生装置の速度が概略正又は負の時に上記ストップ装置を作動させることを特徴とする駆動装置。 - 請求項9記載の駆動装置において、
上記運動量発生装置が略停止しているときに上記ストップ装置のオン・オフの切換を行うことを特徴とする駆動装置。 - 請求項1〜請求項11の何れかに記載の駆動装置において、上記運動量発生装置の質量が上記可動部全体の質量の1/2以下に設定されていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項1〜請求項12の何れかに記載の駆動装置において、上記可動部は上記固定部に対して浮上した状態で移動するものであることを特徴とする駆動装置。
- 請求項13記載の駆動装置において、
上記可動部は超音波振動によって上記固定部に対して浮上するものであることを特徴とする駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002188899A JP2004032952A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004032952A true JP2004032952A (ja) | 2004-01-29 |
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JP2002188899A Pending JP2004032952A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 駆動装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006230148A (ja) * | 2005-02-21 | 2006-08-31 | Iai:Kk | 超音波浮上装置 |
JP2009112789A (ja) * | 2007-10-16 | 2009-05-28 | Shiro Hidaka | 車椅子 |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002188899A patent/JP2004032952A/ja active Pending
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