JP2004029874A - 生産管理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】比較的小さな手番の変更によって置換することができる第1グループの複数の製品、および該第1グループの製品と置換するには比較的大きな手番の変更を要する第2グループの少なくとも1種類の製品を含む少なくとも2つのグループの製品を、同じ生産ラインで生産する。生産管理システムは、生産の準備に必要な処理日数との関係で短期生産計画を確定しなければならない確定日の前日に、短期生産計画のテーブルと、受注残テーブルとを比較し、短期生産計画のテーブルに見込み生産の製品があり、かつ受注残テーブルに見込み生産の製品とは異なるグループの未割り当ての製品があることに応答して、見込み生産の製品を未割り当ての製品で置き換えることが許容されるかどうかを評価する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多品種の製品を生産する生産ラインの管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に製品の生産は、長期の需要予測に基づいた年単位などの生産計画をベースに月間、旬間、週間などの中期の生産計画を作成し、さらにこれに基づいて日ごとの短期の生産計画を作成して実行される。自動車などのような製品では、顧客の好みに応じて、車種、タイプ、タイヤの種類、車体の色、座席シートの柄、カーナビ装備の有無、ステレオ装備の有無などが選択される。したがって、同じ車種の生産ラインであっても細部の仕様が異なる多品種を生産する必要がある。
【0003】
生産計画の立て方には大きく分けて2つの方式がある。その一つは、需要予測に基づいて数ヶ月前にあらかじめ予測した長期生産計画をもとに、顧客の需要動向などを考慮した生産する側の効率を優先させた中期計画(たとえば1週間)の生産順位計画を確定し、順位計画通りに製品の生産を実施し、販売店に割り振る方法である。この方式では、顧客の注文と販売店に割り振られた車とが一致すれば短期での納品が可能になるが、一致しないときは、一致する車が割り振られるまで待たねばならないという欠点がある。もう一つの方式は、数ヶ月前に需要予測に基づいて、長期生産計画を車種別(タイプ、車体の色などの情報はまだない)の生産比率として作成する。なぜならタイプ、車体の色などは顧客の注文によって変化するからである。顧客からの注文が発生した時に応じて、長期の生産計画で顧客が確定していない車種別の枠を顧客枠として確定することにより、中期の生産計画を作成する。このように計画が作成されるので、日ごとの短期の生産計画は、顧客の注文を反映して立てる方式である。この方式では、顧客の注文どおりの車が生産されるが、注文から生産までの期間が待ち時間になるという欠点がある。
【0004】
いずれの方式においても注文に合致する車が在庫にあるときは、在庫引き当てで対応するので、この点で両者の間に相違はない。今日、顧客の嗜好は多様化してきており、車についても同じ車種であっても各種のオプションを組み合わせて可能な範囲で個性的な車が求められるようになってきている。このような環境においては、上記の2つの生産計画方式のうち後者の方式が、顧客の嗜好をよりよく反映させることができるという点で優れている。
【0005】
特開平11−120266号公報には、需要の変化を生産計画に反映させるために、在庫の実績や工場から顧客の手に渡る過程を管理することによって予測率を向上させる技術が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
顧客の注文を短期生産計画に反映させるためには、生産計画確定前に工程間の調整、部品の発注など取引先を含めた関連部門の調整が必要であり、人手の負担が増大するという問題がある。
【0007】
したがって、短期生産計画の確定直前に顧客の注文を反映した計画変更を実施することができる生産管理システムに対する必要性が存在する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、その一面によると、中長期の需要予測に応じて作成された中長期の生産計画、および該中長期の生産計画に基づいて作成された短期の生産計画を格納する生産管理データベース、顧客からの注文を格納する受注データベース、およびこれらのデータベースにアクセスすることができる一つまたは複数のコンピュータを備え、比較的小さな手番の変更によって置換することができる第1グループの複数の製品、および該第1グループの製品と置換するには比較的大きな手番の変更を要する第2グループの少なくとも1種類の製品を含む少なくとも2つのグループの製品を、同じ生産ラインで生産することができる生産ラインのための生産管理システムを提供する。前記受注データベースは、顧客からの受注残の製品をリストする受注残テーブルを有し、前記生産管理システムは、生産の準備に必要な処理日数との関係で短期生産計画を確定しなければならない確定日の前日に、前記中長期の生産計画から作成された短期生産計画のテーブルと、前記受注残テーブルとを比較し、前記短期生産計画のテーブルに見込み生産の製品があり、かつ前記受注残テーブルに該見込み生産の製品とは異なるグループの未割り当ての製品があることに応答して、該見込み生産の製品を該未割り当ての製品で置き換えることが許容されるかどうかを評価する機能を実現するようプログラムされている。
【0009】
この発明によると、見込み生産を減らすとともに受注した製品の納期を短縮することが可能になる。
【0010】
この発明の生産管理システムは、一実施形態では、前記確定日に起動され、該確定日前日の前記短期生産計画処理後に入力された新注文を検出し、前日作成した前記短期生産計画のテーブルに見込み生産の製品が含まれているとき、該見込み生産の製品と前記新注文製品とが同じグループの製品であるかどうかを判定し、同じグループの製品であれば、該見込み生産の製品を該新注文の製品で置き換えて前記短期生産計画のテーブルを更新する機能を実現するようプログラムされている。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記コンピュータは、前記確定日の所定時間前に作成された前記生産計画のテーブルに基づいて生産に必要な部品の発注データを前記確定日の前に作成する機能を有するようプログラムされている。
【0012】
さらにこの発明の一実施形態では、前記コンピュータは、前記確定日に変更された前記短期生産計画に基づいて前記生産に必要な部品の発注データを変更し、通信ネットワークを介して部品メーカに提供する機能を有するようプログラムされている。
【0013】
これらの実施形態によると、確定日の前日に生産日における生産に必要な部品の発注データを作成し、確定日当日には生産計画の変更を反映して部品の発注データを部分的に変更するだけで部品の発注を行うことができる。生産に多種類の多くの部品を必要とし、部品の納期によって生産日と確定日との間の期間が定まる生産方式においては、この発明の実施形態により、部品の発注直前に最新の注文を反映して生産計画を変更することが可能になる。部品の発注日には、すでにほぼ完成された生産計画の部分的な修正とこれを反映した発注データの変更という比較的軽微な作業を行うだけで足りるからである。こうして製品の注文から納品までの期間を短縮することが可能になる。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記製品は自動車であり、前記管理システムは、前記見込み生産の製品を前記未割り当ての製品で置き換えることが許容されるかどうかを評価するため、生産ラインにおける生産制約条件を評価するようプログラムされている。
【0015】
また、この発明の一実施形態では、前記製品は自動車であり、前記管理システムは、前記見込み生産の製品を前記未割り当ての製品で置き換えることが許容されるかどうかを評価するため、該置き換えによって部品の安全在庫が許容範囲内にあるかどうか、または該置き換えによって前記生産ラインのプレス負荷が許容範囲内にあるかどうか、を評価するようプログラムされている。
【0016】
また、この発明の一実施形態によると、前記データベースおよび前記コンピュータは、ネットワーク接続されており、少なくとも1台の前記コンピュータは、前記顧客の注文を受け付ける販売部門に設置されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施例の生産管理システムの全体的な構成を示すブロック図である。この実施例では、製品は自動車である。コンピュータ11A、11B、11Cは、汎用のパーソナルコンピュータであってよい。これらのコンピュータは、社内LANを介して受注データベース13および生産管理データベース15にアクセスすることができる。これらのデータベースは、具体的にはLANに接続されたサーバ・コンピュータによって実現される。図1では、サーバ・コンピュータとしてではなく、単にデータベースとして示してある。コンピュータ11A、11B、11Cは図1では3台が示されているが、任意の台数をLANに接続することができ、何台かは営業部門に配置され、何台かは生産管理部門に配置される。ここではLANで接続された環境として実施例を開示したが、もちろんホストコンピュータと端末が接続されたSNAアーキテクチャーの構成であってもかまわない。
【0018】
ここで先ず自動車の生産ラインの概要を説明する。自動車の生産ラインは、大きく分けてプレス工程、溶接工程、塗装工程、および組み立て工程の4つの工程に分けられる。それぞれの工程の間には若干のバッファが設けられているが、基本的には、ほとんど工程間に在庫を持つことはなく、プレス工程で製造された製品は、すぐに溶接工程に送られ、ホワイトボティと呼ばれる車体の骨格に溶接される。溶接工程の検査に合格したホワイトボディは塗装工程に送られる。塗装工程では顧客の注文に応じた外装色に塗装され、シートやエンジンや電装部品などの細かい顧客の注文に応じた部品を組み付ける組み立て工程を経て自動車が完成する。自動車の車種は、1つのモデルたとえばホンダシビックが4ドア、2ドアというドアによるタイプおよびエンジンのタイプによって複数のタイプに分かれ、さらにそれぞれのタイプについて注文ごとに車体のカラーが異なり、装備するオプションが異なるので、非常に他種類の自動車を1つの生産ラインで生産することが求められる。また、多くの在庫を用意することなく、顧客の注文から納品までの期間を短縮するため、1つの生産ラインで複数の異なる車種の自動車を生産することが行われている。
【0019】
また、一方において製品の組み立て工程において使用される非常に多品種にわたる部品の在庫管理の負担を軽減するため同期搬入と呼ばれる部品の搬入形態が実現している。同期搬入では、発注者である自動車メーカは、製造する製品が非常に多種類に及ぶため、製造する製品の生産順位計画に応じて車種やオプションに対応した部品を、部品メーカに発注する。それらの部品は製品の製造時間にタイムリーに工場のライン上の複数の受け入れ場所に搬入されるように、搬入する日時を指定する。通常は一日に複数回、指定された時間に指定された数量を工場に搬入することを部品メーカに指示する。こうして指定時間に搬入された部品は、ただちに生産ラインで消費される。したがって、同期搬入方式の工場における生産計画は、部品の発注計画および部品を生産ラインに供給する手番の計画と一体的な関係にある。
【0020】
図1にもどると、受注データベース13には、営業部門に設置されたコンピュータ11Aから受注した自動車の詳細データが入力される。生産管理データベース15は、長期計画テーブル15A、中期生産計画テーブル15B、短期生産計画テーブル15Cを備えている。図4はこれらの生産計画が作成されるフローを示す。販売企画部門は、市場での顧客嗜好の動向調査結果や、過去の季節毎の需要変動動向などを踏まえて長期、たとえば3月間の需要予測をデータ入力する(S31)。このデータ入力に基づいて、車種ごとの生産予定台数を示す長期計画テーブルを作成する(S53)。この長期予測に対応して必要となる部品のデータが作成され、部品メーカにネットワークを介して提示される(S35)。この提示は、部品発注の内内示としての性格をもつ。部品メーカは、提示されたデータにしたがって、部品生産の長期計画をたてることができる。
【0021】
中期計画は、たとえば月単位のような中間の期間についての生産計画である。生産を行う前の月の初めに、長期計画テーブルを基に翌月の生産計画(中期生産計画テーブル)をデータベース上で作成する(S37)。生産に対して顧客の受注量が多く、生産が間に合わない製品などでは、この中期の生産計画を作成する段階で、顧客からの受注に割り当たった生産枠も存在する。長期生産計画に対応して部品メーカへ提示した内々示の部品供給予定は、この段階であれば補正が可能である。この中期生産計画に対応する部品の注文データをデータベース上で作成し、ネットワークを介して部品メーカに提示する(S39)。この提示は、部品注文の内示である。
【0022】
図2は、ある生産ラインについての一月の中期生産計画の例を示す。この例では、生産ラインの能力の50%を車種Aの生産にあて、30%を車種Bの2ドアにあて、残りの20%を車種Bの4ドアの生産にあてる計画になっている。車種Aについてみると、オプション(イ)カラー(白)が第3週の初めまで、オプション(ロ)カラー(銀)が第3週の半ばまで受注済みになっており、残りの部分は見込み生産となっている。車種Bについては、オプション(ハ)カラー(白)が第3週の終わり近くまで、オプション(ニ)カラー(銀)が第4週の初めまで、オプション(ホ)カラー(白)が第4週の半ばまで受注済みになっており、残りの部分が見込み生産分になっている。また、車種B4ドアは、第4週の3分の2まで受注済みになっている。
【0023】
図2(A)の中期計画テーブルは、計画が実際の需要に十分適応できていないことを示している。すなわち、車種B4ドアの生産枠が他の車種の生産枠よりも小さすぎ、需要に適合していない。図2(B)は、(A)の中期計画において車種Aの生産枠を40%に落とし、車種B4ドアの生産枠を30%に増やした後の第4週の週間計画を示す。車種Aのオプション(イ)カラー(白)に見込み生産分があるが、他の車種についてはすべて受注済み分の生産計画になっていることが示されている。
【0024】
前述した部品の同期搬入の関係上、それぞれの生産日に対して所定日数、たとえば8日、前に生産の内容を確定しなければならない。図2(C)は、確定日におけるそのたとえば8日後の生産日の生産計画の一例を示す。車種Aについては、若干の台数が見込み生産分に当てられており、その他の車種についてはすべて受注済みの自動車の生産に当てられていることが示されている。
【0025】
ここで図5を参照して販売部門が顧客の注文を受け、納期を回答するときのプロセスを説明する。販売店のスタッフは、顧客との商談において注文が決定し、詳細な車種、外装色、オプション等が確定すると、受注データベース13にそのデータを入力する(S51)。次いで生産管理データベース15にアクセスして注文された自動車の在庫があるかどうかを検索する(S53)。在庫になっている車は、主に売れ筋の車種・外装色・オプションのものを、生産確定日に顧客に割り当てられなかった生産分として生産されて工場に保管されている。在庫があれば販売店までの物流時間を加味して納期を販売店経由で顧客に知らせる(S57)。
【0026】
該当する自動車の在庫がないときは、生産管理データベースの該当する生産ラインの短期生産計画テーブル15Cを検索して、既に生産が確定している見込み生産枠があるかどうかを検索する(S54)。短期生産計画テーブルに見込み生産枠があるときは、その枠のうちの1台をこの注文に割り当てる処理を行い、見込み生産枠の生産予定日に販売店までの物流時間を加味して納期を演算し、販売店経由で顧客に納期を知らせる。短期生産計画テーブルに見込み生産枠がないときは、中期生産計画テーブル15Bに見込み生産枠があるかどうかを検索し、その枠のうちの1台をこの注文に割り当て、販売店経由で顧客に納期を知らせる。
【0027】
中期生産計画テーブルに見込み生産枠がないときは、長期生産計画テーブル15Aを検索し、その中の見込み生産枠または未確定の生産枠にこの注文を割り当て、販売店経由で顧客に納期を知らせる。
【0028】
次に図6を参照して、この発明の一実施例における短期生産計画の確定処理のフローを説明する。ある生産日の所定日数だけ前の計画確定日の前日に、週間計画(たとえば図2(B)に示す計画)からその生産日の日計画を切り出す(S60)。この計画は、たとえば次の表1に示す内容であったとする。
【0029】
【表1】
【0030】
個々で、生産ライン11で生産されるシビックの機種グループ分けを表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
グループ1のシビック4D−A、4D−B、および4D−Cは、多くの部品が共通でありこれらの機種の間での生産変更は容易に実行することができる。グループ2のシビック4D−Dおよび4D−Eは、多くの部品が共通でありこれらの機種の間での生産変更は容易に実行することができる。しかし、グループ1の機種とグループ2の機種とでは、主要な部品に相違があり、グループを越えての生産変更は大きな手番変更が伴い容易でない。
【0033】
表1から、この生産計画には、グループ1の機種が5台、グループ2の機種が5台含まれることがわかる。販売部門のスタッフは、この生産計画を次の表3に示す受注残テーブルを参照して必要に応じて日計画テーブルを修正する(S61)。
【0034】
【表3】
【0035】
表3によると、優先順位の1位から6位までグループ1の機種が占めている。表1の生産計画ではグループ1の機種は5台なので、優先順位の5位までをとり、シビック4D−Aを4台、4D−Bを1台の生産計画とする。表3の受注残では、グループ2の機種は7位、8位、9位のシビック4D−Dが2台と、4D−Eが1台の計3台である。グループを越えての機種変更は原則的にできない。そこで、生産計画は、一旦4D−Dを2台、4D−Eを3台とする。4D−Eの3台のうち2台はこの時点では注文が入っていないので、見込み生産になる。こうして変更された生産計画を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】
生産管理システム(図1)は、短期生産計画テーブル15Cに記憶された対象となる日の生産計画(表4)にグループ2の機種に見込み生産が発生したことを検出する。また、生産管理システムは、受注残テーブル13A(表3)からグループ1の機種に受注残があることを検出する。これらの状態が検出されると(S62)、生産管理システムは、当日の生産計画においてグループ2の機種をグループ1の機種に変更可能かどうか、変更可能であれば何台を変更することができるかをシミュレーションにより評価するプログラムを起動させる。
【0038】
この実施例では、シミュレーション評価として、図3に示す安全在庫の観点からの評価とプレス負荷の観点からの評価が行われる。この実施例では、部品は前述した同期搬入形態により時間指定で一日数回搬入される。生産ラインを円滑に走らせるためには、あるレベルの部品在庫数が必要である。変更がシビック4ドア−Eからシビック4ドア−Aへの変更であったとき、急な変更によってシビック4ドア−A用の部品が安全在庫数の許容幅の下限以下になるかどうかを評価し、そうなるようであれば日計画への変更入力を拒否する。部品の安全在庫数が許容幅内に維持されるときは、図3(B)のプレス負荷の観点からの評価を実行する。
【0039】
前述した自動車の生産プロセスのうちで、車種変更の影響を最も強く受けるのがプレス工程なので、プレス負荷からみて日計画の変更が許容できるかどうかについても評価される。安全在庫のシミュレーションから許容されるシビック4ドア−Aに変更される台数が、図3(B)に示す変更可能台数の範囲にあれば、日計画の変更が許可される。これ以上の台数の変更の場合は、変更が拒否される。
【0040】
これらの繰り返しシミュレーションを実施することによって、これの例では、結果としてシビック4ドア−Eの見込み生産車のうち1台をシビック4ドア−Cへの変更が可能であると判定される。
【0041】
本来、変更が不可能なグループ間の台数変更を実施し、シビック4ドア−Cを追加で1台製造することを決定したのであって、グループ1内の他の機種への変更は、工場側としてはこのシビック4ドア−Cについては変更を受け入れないということを明確化するために、工場からネットワークを介して販売部門に表5が提示される。
【0042】
【表5】
【0043】
表4との比較で明らかであるが、シビック4ドア−Dが1台減り、シビック4ドア−Cが追加され、シビック4ドア−Cについては変更を許可しないステータス「固定」が明示されている。
【0044】
ここまでの処理が、生産確定日前日までに実施される。
【0045】
生産確定日当日には、生産確定日前日のようなシミュレーションを実施する余裕はない。まず、更新された顧客受注残テーブルを参照する(S70)。生産確定日前日の受注残テーブルは表3に示した。生産確定日の受注残テーブルを次の表6に示す。
【0046】
【表6】
【0047】
生産確定日には、グループを越えた変更はできないが、グループ内での機種の変更、外装色の変更は可能である。表6は、シビック4ドアーCに新たな受注が発生していることを示している(S71)。この受注を前日変更したシビック4ドア−Cの枠に割り当てる(S77)。4ドアーCは、生産計画が固定されているが、受注はされていなかったので、見込み生産に該当していた。
【0048】
シビック4ドア−Cと同じグループに属しているシビック4ドア−Aに顧客受注優先度が高い優先度「6」のシビック4ドア−A受注があるが、前日に変更したシビック4ドア−Cはグループ内での変更を許さない「固定」ステータスがたっているので、例え同じグループであってもシビック4ドア−Aへの変更を許可しない。
【0049】
さらに、この時点で新たに優先順位16としてグループ2のシビック4ドアーDの受注が入ってきたとする。前日に見込み生産車の生産枠を変更したが、表4に見られるようにまだグループ2の見込み生産車が1台残っている。前日までの見込み生産車はシビック4ドア−Eの予定であったが、シビック4ドア−Dは同じグループであるので、この枠が新たに発生した優先順位16の受注に割り当てられる(S77)。この結果、シビック4ドア−Dの生産数は2台から3台に増加し、シビック4ドア−Eの生産数は2台から1台に減少する。
【0050】
こうして最終的に生産計画が確定する(S83)。生産確定日に決定された生産計画を表7に示す。
【0051】
【表7】
【0052】
生産計画が確定すると、部品の発注データが更新され(S89)、手番データが更新される(S89)。そして、部品メーカーに同期搬入計画にしたがって確定注文がネットワークを介して提示される(S93)。
【0053】
この様にして、当初の需要予測による台数が、実際の顧客からの受注と相違しても、見込み生産車を減らし、かつ受注に応じた生産が可能になる。
【0054】
以上にこの発明を具体的な実施例について説明したが、この発明はこのような実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の生産管理システムの全体的な構成を示す図。
【図2】この発明の一実施例における月計画、週計画、日計画の内容を示す図。
【図3】この発明の一実施例における機種変更の許容性を判断するためのシミュレーション評価を示すグラフ。
【図4】この発明の一実施例における生産計画の作成と部品の発注作業との関係を示す流れ図。
【図5】この発明の一実施例における受注から納期回答までの処理の流れを示す流れ図。
【図6】この発明の一実施例における、生産計画確定日前日での生産管理システムによる処理の流れ、および生産計画確定日での生産管理システムによる処理の流れを示す流れ図。
【符号の説明】
11A, 11B, 11C コンピュータ
13 受注データベース
15 生産管理データベース
Claims (7)
- 中長期の需要予測に応じて作成された中長期の生産計画、および該中長期の生産計画に基づいて作成された短期の生産計画を格納する生産管理データベース、顧客からの注文を格納する受注データベース、およびこれらのデータベースにアクセスすることができる一つまたは複数のコンピュータを備え、比較的小さな手番の変更によって置換することができる第1グループの複数の製品、および該第1グループの製品と置換するには比較的大きな手番の変更を要する第2グループの少なくとも1種類の製品を含む少なくとも2つのグループの製品を、同じ生産ラインで生産することができる生産ラインのための生産管理システムであって、
前記受注データベースは、顧客からの受注残の製品をリストする受注残テーブルを有し、前記生産管理システムは、
生産の準備に必要な処理日数との関係で短期生産計画を確定しなければならない確定日の前日に、前記中長期の生産計画から作成された短期生産計画のテーブルと、前記受注残テーブルとを比較し、前記短期生産計画のテーブルに見込み生産の製品があり、かつ前記受注残テーブルに該見込み生産の製品とは異なるグループの未割り当ての製品があることに応答して、該見込み生産の製品を該未割り当ての製品で置き換えることが許容されるかどうかを評価する機能を実現するようプログラムされている生産管理システム。 - 前記確定日に起動され、該確定日前日の前記短期生産計画処理後に入力された新注文を検出し、前日作成した前記短期生産計画のテーブルに見込み生産の製品が含まれているとき、該見込み生産の製品と前記新注文製品とが同じグループの製品であるかどうかを判定し、同じグループの製品であれば、該見込み生産の製品を該新注文の製品で置き換えて前記短期生産計画のテーブルを更新する機能を実現するようプログラムされている、請求項1に記載の生産管理システム。
- 前記管理システムは、前記確定日の前日に作成された前記短期生産計画のテーブルに基づいて生産に必要な部品の発注データを前記確定日の前に作成する機能を有するようプログラムされている請求項1に記載の生産管理システム。
- 前記管理システムは、前記確定日に変更された前記短期生産計画に基づいて前記生産に必要な部品の発注データを変更し、通信ネットワークを介して部品メーカに提供する機能を有するようプログラムされている請求項3に記載の生産管理システム。
- 前記管理システムは、前記見込み生産の製品を前記未割り当ての製品で置き換えることが許容されるかどうかを評価するため、前記生産ラインにおける生産制約条件を評価するようプログラムされている請求項1に記載の生産管理システム。
- 前記管理システムは、前記見込み生産の製品を前記受注残の製品で置き換えることが許容されるかどうかを評価するため、該置き換えによって部品の安全在庫が許容範囲内にあるかどうか、または該置き換えによって前記生産ラインのプレス負荷が許容範囲内にあるかどうか、を評価するようプログラムされている請求項5に記載の生産管理システム。
- 前記データベースおよび前記コンピュータは、ネットワーク接続されており、少なくとも1台の前記コンピュータは、前記顧客の注文を受け付ける販売部門に設置されている請求項1から6のいずれかに記載の生産管理システム。
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